説明

プリンタ

【課題】用紙の各プリント領域(ラベル)に対してQRコード(登録商標)を常にデータの復元が可能な状態でより高速にプリントすることのできるラベルプリンタを提供する。
【解決手段】用紙の各ラベルにプリントしつつ、プリント済みラベルの切り出し、用紙移動及び次のラベルのプリントの中断、再開をさせる過程で、先頭のプリント済みラベルと次のラベルとの境界部がカット位置に達したときに前記次のラベルにおいてQRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方がプリントされるべき位置にあるか否かを判定する判定手段S14と、前記QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方がプリントされるべき位置にあると判定されたときに、前記QRコードの前記2つのファインダーパタンの双方が同時にプリントされるべき位置にならないようにプリント動作を制御するプリント動作修正制御手段S15とを有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙にラベルが等間隔にて仮着されてなる用紙が移動する過程で各ラベルに対してプリントを行いつつ、プリント済みラベルを用紙から切り出していくようにしたラベルプリンタ等、プリント領域が等間隔に配列せた用紙が用紙をそのプリント領域の配列方向に順次移動させつつ各プリント領域にプリントを行うプリンタに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のラベルプリンタが知られている。このラベルプリンタでは、台紙にラベルが等間隔で仮着されてなる用紙が移動する過程で、プリント位置を通過する各ラベルに対してプリントヘッド(具体的には、サーマルヘッド)がプリントデータに従って文字やマーク等をプリントしていく。先頭のラベルについてのプリントが終了して、プリント位置を通過する次のラベルに対して同様にプリントデータに従った文字やマークのプリントがなされていく際に、先頭のプリント済みラベルと次のラベルとの境界部がカット位置に達すると、用紙が停止されるとともに当該次のラベルに対するプリントが中断され、用紙の上記境界部がカットされて先頭のプリント済みラベルが切り出される。その後、用紙の送りが再開されるとともに、プリントの中断された前記ラベルに対するプリントが再開される。
【0003】
また、プリントデータに従ってプリントされるべき情報にバーコードが含まれている場合、先頭のラベルについてのプリントが終了した後、プリント位置を通過する次のラベルに対するプリントを行うことなく用紙の移動を継続させる。そして、先頭のプリント済みラベルと次のラベルとの境界部がカット位置に達すると、用紙が停止されて用紙の上記境界部がカットされて先頭のプリント済みラベルが切り出される。その後、前記次のラベル(新たな先頭のラベル)の先端がプリント位置となるように用紙を逆方向に移動(後退)させる。そして、再度、用紙を正規な方向に移動させつつ当該次のラベルに対するプリントがなされる。以後、同様に、ラベルに対するプリント、用紙のカット、用紙の逆方向への移動を繰り返しつつ、各ラベルに対するプリントがなされる。
【0004】
上記のような従来のプリンタ(ラベルプリンタ)では、プリントすべき情報にバーコードが含まれていない場合には、各ラベルのプリントを順次行う過程で、先頭のラベルを切り出すときに用紙の送り及び次のラベルに対するプリントを中断させ、先頭のラベルが切り出された後に、用紙の送り及び次のラベルに対するプリントを再開させるようにしているので、台紙上に順次配列されたラベルに対してより高速にプリントを行うことができるようになる。この場合、用紙の送り及びプリントの中断、再開により発生し得るプリントヘッドと用紙との間のわずかな相対的なずれによって各ラベルにプリントされた文字やマークに白抜けが生じる可能性があるが、発生したとしても見た目にはほとんど判らないようにすることができる。
【0005】
一方、プリントすべき情報にバーコードが含まれている場合、バーコードに白抜けが生じてしまうと、見た目には問題がなくても、そのバーコードから情報が読み出せなくなってしまう可能性があるので問題である。そのため、プリントすべき情報にバーコードが含まれている場合、上述したように、ラベルに対するプリントが完了すると、次のラベルに対するプリントを行うことなく、用紙をカット位置まで移動させ、用紙をカットした後に用紙を戻して次のラベルのプリントを行う。このように、1枚1枚のプリント済みのラベルを用紙から切り出すまで次のラベルに対するプリントを行わないようにしているので、バーコードに白抜けが生ずることが確実に防止される。
【0006】
このように従来のラベルプリンタによれば、プリントすべき情報にバーコードが含まれていない場合には、用紙が逆方向に移動うることなくより高速なプリントが可能になるとともに、プリントすべき情報にバーコードが含まれている場合には確実にその情報のプリントができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2002−178577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ラベル(プリント領域)にプリントすべき情報として図1Aに示すようなQRコードMが含まれている場合がある。QRコードMは、正方形状のデータ領域の3つの隅にファインダーパタン(切り出しシンボル)FD1、FD2、FD3が配置された構造となっている。このような構造のQRコードMには冗長性をもたせてデータの記録がされており、QRコード(M)からのデータ読み出しに際して誤り訂正が可能である。このため、QRコード(M)の一部に汚れや破損があって正確なデータの読み出しができない場合でも、その誤り訂正によって正規のデータを復元することができる。
【0009】
このようにQRコードMは一部に汚れや破損(白抜き)があってもデータの復元が可能であるので、このQRコードMを各ラベルにプリントする場合、前述したバーコードをプリントする場合のように、ラベルに対するプリントを完了させ、そのラベルを用紙から切り出した後に用紙を戻して次のラベルに対するプリントを行うということはせずに、用紙の送り及びプリントの中断、再開を繰り返しながら順次カットすることができる。従って、より高速なラベルプリントが可能になる。
【0010】
しかしながら、QRコードMも、図1Bに示すように、同時に2つのファインダーパタンFD1、FD2に白抜けWLがかかってしまうと、データの復元ができないことがある。このため、前述したように常に用紙の送り及びプリントの中断、再開を繰り返しながら順次カットするようにすると、プリントされたQRコードからデータを復元できない場合が生じ得る。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、用紙に順次配列される各プリント領域に対してQRコードを常にデータの復元が可能な状態でより高速にプリントすることのできるプリンタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るプリンタは、プリント領域が所定間隔で配列された用紙をそのプリント領域の配列方向に順次移動させつつ、プリントすべき情報を表すプリントデータに従って各プリント領域に対してプリントを行うプリンタであって、用紙の移動を停止させてプリント領域に対するプリントを中断させ、その後、前記用紙の移動及び前記プリント領域に対するプリントを再開させるようにプリント動作を制御するプリント動作制御手段と、前記プリントデータにプリント領域に対して所定の向きにてプリントすべきQRコードを表すデータが含まれているときに、前記プリントの中断されるプリント領域において前記QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方が前記用紙の移動が停止されたときにプリントされるべき位置にあるか否かを判定する判定手段と、該判定手段により、前記プリントの中断されるプリント領域において前記QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方が前記用紙の移動が停止されたときにプリントされるべき位置にあると判定されたときに、前記QRコードの前記2つのファインダーパタンの双方が同時にプリントされるべき位置にならないようにプリント動作を制御するプリント動作修正制御手段とを有する構成となる。
【0013】
本発明に係るプリンタは、前記プリントデータに従ってプリント領域としての各ラベルに対してプリントを行うとともに、プリント済みラベルを上記用紙から順次切り出す構成とすることができる。この場合、前記プリント動作制御手段は、先頭のプリント済みラベルと次のラベルとの境界部がカット位置に達したときに、前記用紙の移動を停止させるとともに、ラベルに対するプリントを中断させて、前記境界部をカットして前記先頭のプリント済みラベルを前記用紙から切り出し、その後、前記用紙の移動及び前記ラベルに対するプリントを再開させるようにプリント動作を制御する。
【0014】
上述したような各構成により、プリントの中断されるプリント領域(ラベル)において用紙の移動が停止されたときに一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方がプリントされるべき位置にあるQRコードを表すデータをプリントデータが含んでいても、実際に、そのプリントの中断されたプリント領域(ラベル)のプリントが再開される際に、QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方が同時にプリントされるべき位置にはならない。このため、前記用紙の移動及びプリントの中断、再開によって、プリント領域(ラベル)のプリント部分に白抜けが生じたとしても、その白抜けがQRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方にかかることがない。
【0015】
本発明に係るラベルプリンタにおいて、前記プリント動作修正制御手段は、前記QRコードの向きを変えるようにプリント動作を制御することができる。
【0016】
このような構成により、QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方が同時にプリントされるべき位置にならないようにQRコードの向きが変えられて、各プリント領域に対するプリントがなされるので、前記用紙の移動及びプリントの中断、再開によって、ラベルのプリント部分に白抜けが生じたとしても、その白抜けがQRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方にかかることがない。特に、QRコードの向きを変えることによって、各プリント領域におけるQRコードのプリント位置を大きく変えることなく、当該QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方が同時にプリントされるべき位置にならないようにすることができる。
【0017】
また、本発明に係るラベルプリンタにおいて、前記プリント動作修正制御手段は、前記QRコードを90°回転させた状態となるようにプリント動作を制御する構成とすることができる。
【0018】
このような構成により、QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方が同時にプリントされるべき位置にならないようにQRコードが90°回転された状態で各プリント領域に対してプリントされるので、前記用紙の移動及びプリントの中断、再開によって、プリント領域のプリント部分に白抜けが生じたとしても、その白抜けがQRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方にかかることがない。特に、正方形状となるQRコードを90°回転させることによって、見た目のプリント状態を大きく変えることなく、当該QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方が同時にプリントされるべき位置にならないようにすることができる。
【0019】
更に、本発明に係るラベルプリンタにおいて、前記プリント動作修正制御手段は、前記2つのファインダーパタンの双方が同時にプリントされるべき位置にならないように前記プリントデータを修正するプリントデータ修正手段を有する構成とすることができる。
【0020】
このような構成により、プリントデータが、QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方が同時にプリントされるべき位置にならないように修正されるので、そのプリントデータに基づいて移動する用紙の各プリント領域に対してプリントがなされる際に、その用紙の移動及びプリントの中断、再開によって、プリント領域のプリント部分に白抜けが生じたとしても、その白抜けがQRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方にかかることがない。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るラベルプリンタによれば、用紙の移動を停止させてプリント領域に対するプリントを中断させ、その後、前記用紙の移動及び前記プリント領域に対するプリントを再開させるようにプリント動作なされるので、用紙を逆方向に移動させることなく一方向に移動させつつ連続的に各プリント領域に対するプリントを行うことができる。その際、前記用紙の移動及びプリントの中断・再開によって、プリント領域のプリント部分に白抜けが生じたとしても、その白抜けがQRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方にかかることがないので、各ラベルにプリントされたQRコードからデータを復元することができなくなる事態を防止することができる。よって、用紙に順次配列される各ラベルに対してQRコードを常にデータの復元が可能な状態でより高速にプリントすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】QRコードの一例を示す図である。
【図1B】白抜きのラインが形成された状態のQRコードの一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るプリンタ(ラベルプリンタ)を示す図である。
【図3】プリント動作の処理の流れ(その1)を示すフローチャートである。
【図4】プリント動作の処理の流れ(その2)を示すフローチャートである。
【図5】ラベル(プリント領域)におけるQRコードのファインダーパタンのプリント開始位置Pps、用紙をカットするカット位置Pp及びサーマルヘッドによるプリント位置Ppの関係例を示す図である。
【図6】図2に示すラベルプリンタにおいて先頭のプリント済みラベルと次のラベルとの境界部にて用紙をカットする状態を示す図である。
【図7】QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンが同時にプリント位置にならない例を示す図である。
【図8】QRコードを90°回転させて、QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンが同時にプリント位置にならないようにした例を閉めず図である。
【図9】図7に示すQRコードに白抜けがかかった例を示す図である。
【図10】ラベルにおけるQRコードのファインダーパタンのプリント開始位置、用紙をカットするカット位置及びサーマルヘッドによるプリント位置Ppの他の関係例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0024】
本発明の実施の一形態に係るプリンタ(ラベルプリンタ)は、図2に示すように構成される。
【0025】
図2において、所定幅の台紙にラベル(プリント領域)が所定間隔で仮着されてなる用紙Sがロール11に巻かれており、そのロール11から繰り出しローラ12によって繰り出される用紙Sが搬送路100を移動するようになっている。このラベルプリンタは、熱転写プリンタであって、搬送路100上の所定位置にサーマルヘッド23が配置されるとともに、このサーマルヘッド23に対向するようにプラテンローラ24が配置されている。送り出しローラ21と巻取りローラ22との間にインクリボン20が巻きかけられ、送り出しローラ21から送り出されるインクリボン20が複数のテンションローラを介して巻取りローラ22に巻き取られるようになっている。そして、インクリボン20と搬送路100を移動する用紙Sとが重なってサーマルヘッド23とプラテンローラ24との間を通るようになっている。
【0026】
繰り出しローラ12の所定近傍位置にはロール11から繰り出される用紙Sの先端を検出する用紙位置センサ13が設けられている。サーマルヘッド23の位置(プリント位置)より用紙Sの移動方向における下流側所定位置には、用紙Sをカットするカッター14が設けられている。
【0027】
このラベルプリンタは、プリント動作を制御するコントローラ10を有している。コントローラ10は、用紙位置検出センサ13からの検出信号、パーソナルコンピュータ等の上位装置30からのプリントデータ、フォーマットデータ等のプリントに必要な情報(プリント情報)に基づいて、インクリボン20の用紙Sへの熱転写を行うサーマルヘッド23の駆動制御、用紙Sの送り制御、カッター14の駆動制御等、用紙Sの各ラベル(プリント領域)に対するプリント動作に係る制御を行う。このコントローラ10により制御されるプリント動作によって搬送路100を移動する用紙Sの各ラベルの所定領域にプリントデータにて表される情報のプリントがなされるとともに、用紙Sがカットされてプリント済みラベルが用紙Sから切り出される。
【0028】
次に、ラベルプリンタの動作について説明する。コントローラ10は、図3及び図4に示す手順に従って、プリント動作に係る処理を行う。
【0029】
このラベルプリンタが起動されると、繰り出しローラ12によってロール11から繰り出される用紙Sが、図2に示すように、その先端が用紙位置センサ13にて検出される位置(初期位置)にセットされる。この状態で、コントローラ10は、上位装置30(パーソナルコンピュータ)からプリント要求とともにプリントすべき情報を表すプリントデータやプリント形式(ラベルやプリントすべき情報の位置や形状等)を表すフォーマットデータ等のプリントに必要なプリント情報を取得すると(S11)、そのプリント情報からプリントデータを抽出して、該プリントデータを所定のメモリにセットする(S12)。その後、コントローラ10は、前記プリントデータに、ラベルに対して所定の向きにて(例えば、図5に示すように、一辺にある2つのファインダーパタンFD1及びFD2が用紙Sの移動方向の最下流側に当該移動方向に直交して並び、他の一辺にある2つのファインダーパタンFD2及びFD3が用紙Sの移動方向と平行に並ぶ向きにて)プリントすべきQRコードを表すデータが含まれているか否かを判定する(S13)。
【0030】
前記プリントデータにラベルに対して所定の向きにてプリントすべきQRコードを表すデータが含まれている場合(S13でYES)、コントローラ10は、更に、そのプリントデータ、フォーマットデータ、サーマルヘッド23やカッター14の位置に係る情報等に基づいて、用紙Sの各ラベルに前記プリントデータに従ってプリントを行う際に、図6に示すように、先頭のプリント済みラベルLnと次のラベルLn+1との境界部がカット位置Pc(カッター14の配置された位置)に達したときに次のラベルLn+1においてQRコードMの一辺に並ぶファインダーパタンFD1及びFD2(図5参照)の双方がプリントされるべき位置(プリント位置:サーマルヘッド23が配置された位置)Ppにあるか否かを判定する(S14)。この判定は、図5に示すように、カット位置Pc(カッター14の位置)とプリント位置Pc(サーマルヘッド23の位置)との間の距離Xと、用紙Sの先端(カットされた位置)からQRコードMのファインダーパタンFD1及びFD2が並ぶ辺の位置Pps(QR)までの距離Yと、各ファインダーパタンFD1及びFD2の用紙Sの移動方向における幅Zとを用いて、
Y≦X≦Y+Z
の条件が満たされるか否かによって行うことができる。この条件が満足される場合には、先頭のプリント済みラベルLnと次のラベルLn+1との境界部がカット位置Pc(カッター14の配置された位置)に達したときに次のラベルLn+1においてQRコードMの一辺に並ぶファインダーパタンFD1及びFD2(図5参照)の双方がプリントされるべき位置(プリント位置:サーマルヘッド23が配置された位置)Ppにあると判定される。
【0031】
一方、X、Y、Zによる上記条件が満たされない場合、例えば、図7に示すように、カット位置Pcとプリント位置Pp1との間の距離X1が、用紙Sの先端(カットされた位置)からQRコードMのファインダーパタンFD1、FD2までの距離Yより小さい場合、先頭のプリント済みラベルLnと次のラベルLn+1との境界部がカット位置Pcに達したときに次のラベルLn+1においてQRコードMの一辺に並ぶファインダーパタンFD1及びFD2(図5参照)の双方がプリントされるべき位置Pp1に達していない。また、カット位置Pcとプリント位置Pp2との間の距離X2が、用紙Sの先端(カットされた位置)からQRコードMのファインダーパタンFD1、FD2までの距離Yと各ファインダーパタンFD1、FD2の用紙Sの移動方向における幅Zの和(Y+Z)より大きい場合、先頭のプリント済みラベルLnと次のラベルLn+1との境界部がカット位置Pcに達したときに次のラベルLn+1においてQRコードMの一辺に並ぶファインダーパタンFD1及びFD2(図5参照)の双方が既にプリントされるべき位置Pp2を通過している。
【0032】
上記判定(S14)において、先頭のプリント済みラベルLnと次のラベルLn+1との境界部がカット位置Pcに達したときに次のラベルLn+1においてQRコードMの一辺に並ぶファインダーパタンFD1及びFD2の双方がプリントされるべき位置Ppにあると判定されると(S14でYES:図5参照)、コントローラ10は、QRコードMを右に90°回転させてその向きを変えるようにプリントデータを修正する(S15)。これにより、先頭のプリント済みラベルLnと次のラベルLn+1との境界部がカット位置Pcに達したときに次のラベルLn+1においてQRコードMの2つのファインダーパタンが同時にプリントされるべき位置Ppになることはなく、図8に示すように、ファインダーパタンFD1だけがプリントされるべき位置Ppになる。
【0033】
なお、セットされたプリントデータにQRコードが含まれていない場合(S13でNO)、また、プリントデータにQRコードが含まれていても(S13でYES)、先頭のプリント済みラベルLnと次のラベルLn+1との境界部がカット位置Pcに達したときに次のラベルLn+1においてQRコードMの一辺に並ぶ2つのファインダーパタン(例えば、FD1及びFD2)の双方がプリントされるべき位置Ppにはない場合(S14でNO:図7参照)、前記セットされたプリントデータの修正はなされない。
【0034】
上述したようにプリントデータのセット(S12)あるいはそのセットされたプリントデータの修正(S12〜S15)がなされると、コントローラ10は、図2に示すように先端が用紙位置センサ13にて検出されている用紙Sの搬送制御を開始する(S16)。これにより、用紙Sが搬送路100上を所定の速度にて移動を開始する。
【0035】
用紙Sの移動が開始すると、コントローラ10は、図4に示す処理に移行して、用紙Sの先頭のラベルに対するプリント開始タイミングになったか否かを監視する(S17)。このプリント開始タイミングになったか否かは、例えば、用紙Sの送り量やフォーマットデータ(ラベルのサイズ、ラベル内でのプリント開始位置等)等に基づいてラベルのプリントを開始すべき位置がプリント位置Pp(サーマルヘッド23の位置)に達したか否かによって判定することができる。コントローラ10は、用紙Sの先頭のラベルに対するプリント開始タイミングになったと判定すると(S17でYES)、前述したようにセットされたプリントデータに基づいてサーマルヘッド23の駆動制御を開始する(S18)。これにより、移動する用紙Sの先頭のラベルにプリントデータに基づいた情報(文字、マーク、QRコードM等)がプリントされていく。
【0036】
先頭のラベルにプリントがなされている際に、コントローラ10は、その先頭のラベルと次のラベルとの境界部がカット位置Pcに達したか否か(S19)及び先頭のラベルに対するプリントの終了タイミングとなったか否か(S20)を監視する。そして、先頭のラベルに対するプリントの終了タイミングになると(S20でYES)、コントローラ10は、サーマルヘッド23の駆動制御を止めてプリントを終了させる(S21)。その後、コントローラ10は、指示された枚数全てのラベルについてのプリントが終了したか否かを判定し(S22)、終了していなければ(S22でNO)、次のラベルに対するプリント開始タイミングになったか否かを監視する(S17)。次のラベルに対するプリント開始タイミングになると(S17でYES)、コントローラ10は、セットされたプリントデータに基づいてサーマルヘッド23の駆動制御を開始し(S18)、次のラベルに対するプリントが開始される。
【0037】
次のラベルについてのプリントが開始されると、コントローラ10は、先頭のプリント済みラベルと次のラベルとの境界部がカット位置Pcに達したか否か(S19)及び更に次のラベルについてのプリントの終了タイミングとなったか否か(S20)を監視する。その過程で、先頭のプリント済みラベルとプリント中の次のラベルとの境界部がカット位置Pcに達すると(S19でYES)、コントローラ10は、用紙Sの搬送を停止させるとともにプリントを中断させる(S23)。そして、コントローラ10は、カッター14を制御して用紙Sをカットさせる(S24)。これにより、先頭のプリント済みラベルが用紙Sから切り出される。その後、コントローラ10は、用紙Sの搬送を再開させるとともに次のラベルに対するプリントを再開させる(S25)。
【0038】
その後、コントローラ10は、プリント中のラベルと更に次のラベルとの境界部がカット位置Pcに達したか否か(S19)及びプリント中のラベルについてのプリントの終了タイミングとなったか否か(S20)の監視を再開する。そして、プリントの終了タイミングになると(S20でYES)、コントローラ10は、サーマルヘッド23の駆動制御を止めてプリントを終了させる(S21)。以後、コントローラ10は、指示された枚数全てのラベルについてのプリントが終了するまで(S22)、同様の処理(S17〜S25)を繰り返し実行する。その結果、移動する用紙Sの各ラベルにプリントがなされる(S18→S21)際に、先頭のプリント済みラベルとプリント中の次のラベルとの境界部がカット位置Pcに達したときに(S19)、用紙Sの移動が停止されるとともに、前記次のラベルに対するプリントが中断されて(S23)、前記境界部がカットされて(S24)先頭のプリント済みラベルが用紙Sから切り出され、その後、用紙Sの移動及び次のラベルに対するプリントが再開される(S25)。
【0039】
なお、指示された枚数全てのラベルについてのプリントが終了すると(S22でYES)、コントローラ10は、最終プリント済みラベルのカット処理を行う(S26)。この処理により、最終となる先頭のプリント済みラベルがカット位置Pcとなるまで次のラベルへのプリントなされることなく用紙Sが移動する。そして、その先頭のプリント済みラベルと次のラベルとの境界部がカット位置Pcに達したときに、用紙Sがカッター14によりカットされ、最終のプリント済みラベルが用紙Sから切り出される。
【0040】
上述したようなプリント動作により、プリントデータに基づいて用紙Sの各ラベルに対するプリントがなされる際に、先頭のプリント済みラベルとプリント中の次のラベルとの境界部がカット位置Pcに達したときに、用紙Sの移動が停止されるとともに、前記次のラベルに対するプリントが中断されて(S23参照)、前記境界部がカットされて(S24参照)前記先頭のプリント済みラベルが用紙Sから切り出され、その後、用紙Sの移動及び次のラベルに対するプリントが再開される(S25参照)ようになるので、プリント済みラベルを用紙Sから切り出した後に、次のラベルをプリント位置Ppに戻すために用紙Sを逆方向に移動させる必要がなく、連続的に各ラベルに対するプリントを行うことができる。従って、用紙Sの各ラベルに対してより高速にてプリントを行うことができる。また、先頭のプリント済みラベルとプリント中の次のラベルとの境界部がカット位置Pcに達したときに、QRコードMの一辺に並ぶ2つのファインダーマークFD1、FD2の双方がプリント位置Ppとなる場合(S14でYES)、そのQRコードMを右に90°回転させるようにプリントデータが修正される(図8参照)ので、前記用紙Sの移動及びプリントの中断、再開によって、ラベルのプリント部分に白抜けがWL生じたとしても、その白抜けWLは、図9に示すように、QRコードMのファインダーパタンFD1だけにしかかからない。このように各ラベルにプリントされるQRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンFD1、FD2の双方に白抜けWLがかかることがないので、各ラベルにプリントされたQRコードMからデータを復元することができなくなるという事態を防止することができる。よって、用紙Sに順次配列される各ラベルに対してQRコードMを常にデータの復元が可能な状態でより高速にプリントすることができる。
【0041】
特に、正方形状となるQRコードMを90°回転させることによって、2つのファインダーパタンFD1、FD2が同時にプリント位置にPpにこないようにしているので、プリントされたQRコードMの見た目は大きく変わることがない(図7及び図8参照)。なお、2つのファインダーパタンFD1、FD2が同時にプリント位置にPpにこないようにする方法はこれに限られず、QRコードMを任意の角度で回転させても、また、前後左右のいずれかに移動させるようにしてもよい。
【0042】
前述した例は、図5に示すように、一辺にある2つのファインダーパタンFD1及びFD2が用紙Sの移動方向の最下流側に当該移動方向に直交して並び、他の一辺にある2つのファインダーパタンFD2及びFD3が用紙Sの移動方向と平行に並ぶ向きにてプリントすべきQRコードMを表すデータがプリントデータに含まれている場合であった。しかし、これに限られることなく、例えば、図10に示すように、一辺にある2つのファインダーパタンFD2、FD3が用紙Sの移動方向の最上流側に当該移動方向に直交して並び、他の一辺にある2つのファインダーパタンFD1、FD2が用紙Sの移動方向と平行に並ぶ向きにてプリントすべきQRコードMを表すデータがプリントデータに含まれている場合でも、前述したのと同様のプリント動作を行わせることも可能である。この場合、カット位置Pcとプリント位置Ppとの間の距離X、用紙Sの先頭(用紙Sのカット位置Pc)から2つのファインダーパタンFD2、FD3までの距離Y、及び各ファインダーパタンFD2、FD3の幅Zが、前述した条件、即ち、
Y≦X≦Y+Z
を満たす場合に、QRコードMを左に90°回転させればよい(図7に示す状態参照)。
【0043】
前述したラベルプリンタでは、図6に示すように先頭のプリント済みラベルLnと次のラベルLn+1との境界部がカット位置Pcに達したときに、当該次のラベルLn+1にプリントがなされているものであったが、用紙Sにおけるラベルの配列ピッチやカッター14の位置に応じて、先頭のプリント済みラベルLnと次のラベルLn+1との境界部がカット位置Pcに達したときに、前記次のラベルLn+1より上流側のラベルがプリントされている場合もあり得る。
【0044】
また、前述したラベルプリンタでは、図6に示すように先頭のプリント済みラベルLnと次のラベルLn+1との境界部がカット位置Pcに達したときに、用紙Sの移動を停止させるとともに、ラベルLn+1に対するプリントを中断させて、前記境界部をカットして前記先頭のプリント済みラベルLnを前記用紙から切り出し、その後、前記用紙Sの移動及び前記ラベルLnに対するプリントを再開させるようにプリント動作が制御されるものであったが、プリント動作は、何らかの理由で用紙の移動を停止させてラベルに対するプリントを中断させ、その後、前記用紙の移動及び前記ラベルに対するプリントを再開させるものであれば特に限定されない。例えば、先頭のプリント済みラベルLnが剥離位置に達したときに、用紙Sの移動を停止させるとともに、ラベルLn+1に対するプリントを中断させて、前記プリント済みラベルLnを台紙から剥離して所定の物体に貼付し、その後、前記用紙Sの移動及び前記ラベルLnに対するプリントを再開させるようにプリント動作を制御するものであってもよい。
【0045】
更に、プリント領域が配列された用紙Sとしては、前述したような台紙にラベルが仮着されてなる用紙の他、帯状で等間隔に孔が形成されたタグがプリント領域として配列された用紙や、台紙のないラベルがプリント領域として配列された用紙を用いることができる。
【0046】
なお、本発明に係るラベルプリンタは、サーマルプリンタに限られるものではなく、他の種類のプリンタであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上、説明したように、本発明に係るラベルプリンタは、用紙に順次配列される各ラベルに対してQRコードを常にデータの復元が可能な状態でより高速にプリントすることができるという効果を有し、台紙にラベルが等間隔にて仮着されてなる用紙が移動する過程で各ラベルに対してプリントを行いつつ、プリント済みラベルを用紙から切り出していくようにしたラベルプリンタとして有用である。
【符号の説明】
【0048】
10 コントローラ
11 ロール
12 繰り出しローラ
13 用紙位置センサ
14 カッター
20 インクリボン
21 送り出しローラ
22 巻取りローラ
23 サーマルヘッド(プリントヘッド)
24 プラテンローラ
30 上位装置(パーソナルコンピュータ)
100 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント領域が所定間隔で配列された用紙をそのプリント領域の配列方向に順次移動させつつ、プリントすべき情報を表すプリントデータに従って各プリント領域に対してプリントを行うプリンタであって、
用紙の移動を停止させてプリント領域に対するプリントを中断させ、その後、前記用紙の移動及び前記プリント領域に対するプリントを再開させるようにプリント動作を制御するプリント動作制御手段と、
前記プリントデータにプリント領域に対して所定の向きにてプリントすべきQRコードを表すデータが含まれているときに、前記プリントの中断されるプリント領域において前記QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方が前記用紙の移動が停止されたときにプリントされるべき位置にあるか否かを判定する判定手段と、
該判定手段により、前記プリントの中断されるプリント領域において前記QRコードの一辺に並ぶ2つのファインダーパタンの双方が前記用紙の移動が停止されたときにプリントされるべき位置にあると判定されたときに、前記QRコードの前記2つのファインダーパタンの双方が同時にプリントされるべき位置にならないようにプリント動作を制御するプリント動作修正制御手段とを有するプリンタ。
【請求項2】
前記プリントデータに従って前記プリント領域としての各ラベルに対してプリントを行うとともに、プリント済みラベルを上記用紙から順次切り出すプリンタであって、
前記プリント動作制御手段は、先頭のプリント済みラベルと次のラベルとの境界部がカット位置に達したときに、前記用紙の移動を停止させるとともに、ラベルに対するプリントを中断させて、前記境界部をカットして前記先頭のプリント済みラベルを前記用紙から切り出し、その後、前記用紙の移動及び前記ラベルに対するプリントを再開させるようにプリント動作を制御する請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
前記プリント動作修正制御手段は、前記QRコードの向きを変えるようにプリント動作を制御する請求項1または2記載のプリンタ。
【請求項4】
前記プリント動作修正制御手段は、前記QRコードを90°回転させた状態となるようにプリント動作を制御する請求項3記載のプリンタ。
【請求項5】
前記プリント動作修正制御手段は、前記2つのファインダーパタンの双方が同時にプリントされるべき位置にならないように前記プリントデータを修正するプリントデータ修正手段を有する請求項1乃至4のいずれかに記載のプリンタ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−218385(P2012−218385A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88975(P2011−88975)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】