説明

プリンタ

【課題】緩衝機構を有するプリンタにおいて、用紙のセットを容易にできるようにする。
【解決手段】実施形態のプリンタは、用紙保持部と、印字搬送部と、緩衝機構と、可動部と、を備える。前記印字搬送部は、相互に対向する印字ヘッドおよびプラテンローラを有し、前記用紙を引き出し搬送して前記用紙に印字する。前記緩衝機構は、前記用紙保持部の用紙搬送方向下流側且つ前記印字搬送部の用紙搬送方向上流側で、前記用紙の紙面を弾性力によって押す。前記可動部は、前記印字ヘッドおよび前記緩衝機構を有し、前記印字ヘッドが前記プラテンローラと対向する閉位置と、前記印字ヘッドと前記プラテンローラとの間が前記閉位置の場合よりも広い開位置との間で、回動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙保持部で保持したロール状の用紙を、プラテンローラによって引き出し搬送して印字を行うプリンタが知られている。このようなプリンタでは、プラテンローラによる用紙搬送の開始時に、用紙保持部で保持した用紙のロール部の慣性負荷によって、プラテンローラによる用紙の搬送に滑りが生じ、印字品質が低下してしまうことがある。
【0003】
このような印字品質の低下を抑制するために、用紙保持部から引き出された用紙に当接部材を押し付ける構成の緩衝機構を設けたプリンタがある。緩衝機構は、用紙搬送開始時に、用紙に作用する引っ張り力をばねによって吸収する。これにより、プラテンローラによる用紙の搬送に滑りが発生するのが抑制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなプリンタでは、緩衝機構が設けられているため、用紙のセットにかかる手間が比較的に大きい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のプリンタは、用紙保持部と、印字搬送部と、緩衝機構と、可動部と、を備える。前記用紙保持部は、ロール状に巻回された用紙を引き出し搬送可能に保持する。前記印字搬送部は、相互に対向する印字ヘッドおよびプラテンローラを有し、前記用紙を引き出し搬送して前記用紙に印字する。前記緩衝機構は、前記用紙保持部の用紙搬送方向下流側且つ前記印字搬送部の用紙搬送方向上流側で、前記用紙の紙面を弾性力によって押す。前記可動部は、前記印字ヘッドおよび前記緩衝機構を有し、前記印字ヘッドが前記プラテンローラと対向する閉位置と、前記印字ヘッドと前記プラテンローラとの間が前記閉位置の場合よりも広い開位置との間で、回動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態にかかるプリンタの内部構成の一例を示す側面図である。
【図2】図2は、実施形態にかかるプリンタの内部構成の一例を示す側面図であって、図1とは反対側から見た図である。
【図3】図3は、実施形態にかかるプリンタの内部構成の一例を示す正面図であって、ヘッドブロックが閉位置にある状態を示す図である。
【図4】図4は、実施形態にかかるプリンタの内部構成の一例を示す正面図であって、ヘッドブロックが開位置にある状態を示す図である。
【図5】図5は、実施形態にかかるプリンタのヘッドブロックの一部を背面側から見て示す斜視図であって、ヘッドブロックが閉位置にある状態を示す図である。
【図6】図6は、実施形態にかかるプリンタのヘッドブロックの一部を背面側から見て示す斜視図であって、ヘッドブロックが開位置にある状態を示す図である。
【図7】図7は、実施形態にかかる緩衝機構の一部を示す背面断面図である。
【図8】図8は、実施形態にかかる緩衝機構の一部を示す背面断面図であって、ローラ軸が傾斜した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態にかかるプリンタを説明する。
【0008】
図1に示すように、プリンタ1は、ロール状に巻回された用紙2を保持しており、この用紙2を引き出して、引き出した用紙2に印字する。
【0009】
用紙2は、帯状に形成されている。用紙2は、ロール状に巻回された部分をロール部2aと、ロール部2aから引き出された部分を引出部2bとを含む。用紙2は、本実施形態では、帯状の台紙上に複数のラベルが添付されて構成されたラベル用紙である。図1では、ラベルが台紙の内側となる状態で用紙2が巻回された内巻き用紙の例が示されている。なお、図1中に実線で示す用紙2は、ロール部2aの径が比較的に大きい状態の用紙2を示している。一方、図1中の一点鎖線L1は、ロール部2aの径が比較的に小さくなった状態の用紙2の位置を例示している。また、図1中の一点鎖線L2,L3は、用紙2が、ラベルが台紙の外側となる状態で用紙2が巻回された外巻き用紙の場合の用紙2の位置を例示している。線L2は、ロール部2aの径が比較的に小さくなった状態の用紙2の位置を例示しており、線L3は、ロール部2aの径が比較的に大きい状態の用紙2の位置を例示している。なお、用紙2としては、ラベルを有しないレシート用紙等の連続紙であっても良い。
【0010】
また、プリンタ1は、用紙搬送方向TDと直交する幅が異なる複数種類の用紙2のいずれかをセット可能となっている。プリンタ1は、用紙搬送経路3の幅方向の一側縁部に用紙2の一側縁部を合わせて配置する所謂片寄せ配置型となっている。
【0011】
図1〜4に示すように、プリンタ1の本体部1aは、底壁1cや、側壁1d、天壁1e等を含む筐体1bと、当該筐体1b内で底壁1cと垂直でありかつ側壁1dと平行な縦壁1fと、を有している。筐体1b内は、縦壁1fによって、第一室S1と第二室S2とに区画されている。図1には、第一室S1が示され、図2には、第二室S2が示されている。
【0012】
図1に示すように、第一室S1では、縦壁1fに、用紙保持軸4や、プラテンローラ5、インクリボン6の供給軸7、インクリボン6の巻取軸8、ヘッドブロック9、ヘッドブロック9に設けられたサーマルヘッド9a、およびローラブロック10等が、当該縦壁1fとほぼ垂直な姿勢で取り付けられている。ヘッドブロック9とローラブロック10とは、一体化されて可動部としての可動ブロック20を構成している。また、第一室S1には、プラテンローラ5を含む固定ブロック21が設けられており、固定ブロック21と可動ブロック20とが対向している。そして、第一室S1には、用紙保持軸4から、固定ブロック21と可動ブロック20と間を通る用紙搬送経路3が設けられている。
【0013】
用紙保持軸4は、ロール状に巻回された用紙2を引き出し搬送可能に保持する。詳細には、用紙保持軸4は、用紙2のロール部2aを、縦壁1fに垂直な軸回りに回動可能に保持する。ここでは、用紙保持軸4が縦壁1fに回転可能に保持された構成とすることができるし、あるいは、用紙保持軸4が縦壁1fに固定されて用紙2のロール部2aが用紙保持軸4の回りに回転可能に保持された構成とすることができる。いずれにせよ、本実施形態では、用紙保持軸4やロール部2aは、モータ等によっては駆動されず、搬送方向下流側(図1の左方向)のプラテンローラ5の回転によって用紙2のロール部2aが回動(従動)することにより、ロール部2aから用紙2が引き出される。用紙保持軸4は、用紙保持部に相当する。
【0014】
プラテンローラ5は、ステッピングモータ等のモータ12a(図2参照)や、ギヤ、ベルト等を含む第一の回転駆動機構12(図2参照)によって回転駆動される。プラテンローラ5は、サーマルヘッド9aと対向配置されている。プラテンローラ5には、弾性部材によって付勢されたサーマルヘッド9aによって用紙2の引出部2bが押し付けられている。この構造によって、プラテンローラ5とサーマルヘッド9aとが用紙2の引出部2bを挟持する。そして、第一の回転駆動機構12によって駆動されたプラテンローラ5が、用紙保持軸4に保持された用紙2を引き出して搬送する。プラテンローラ5は、搬送部に相当する。また、本実施形態では、プラテンローラ5や、第一の回転駆動機構12、モータコントローラ(図示せず)等によって、搬送機構が構成されている。
【0015】
インクリボン6の供給軸7には、インクリボン6のロール部(リボンロール)6aがセットされる。巻取軸8は、モータ15a(図2参照)や、ギヤ、ベルト等を含む第二の回転駆動機構15(図2参照)によって回転駆動される。巻取軸8の回転によって、インクリボン6が巻取軸8に巻き取られてロール部6aから引き出される。インクリボン6は、用紙2とともに、サーマルヘッド9aとプラテンローラ5との間に挟持される。
【0016】
可動ブロック20は、各部材を支持するベース部材22を有している。このベース部材22に、ヘッドブロック9およびローラブロック10が取り付けられている。ヘッドブロック9は、サーマルヘッド9aと、サーマルヘッド9aを支持した骨格部材23とを有している。一方、ローラブロック10は、ガイドローラ10aと、緩衝機構24と、これらのガイドローラ10aおよび緩衝機構24を支持した骨格部材25と、を有している。骨格部材23,25は、例えば板金構造によって形成されている。
【0017】
サーマルヘッド9aは、プラテンローラ5の上方でプラテンローラ5と対向配置されている。サーマルヘッド9aは、プラテンローラ5によって引き出された用紙2に印字する。サーマルヘッド9aは、印字部に相当する。サーマルヘッド9aは、プラテンローラ5に対して接離可能に設けられているとともに、プラテンローラ5に向けて弾性部材によって付勢されている。弾性部材に付勢されたサーマルヘッド9aは、当該サーマルヘッド9aとプラテンローラ5との間に介在する用紙2をプラテンローラ5に押し付ける。サーマルヘッド9aは、一列に配置された複数の発熱素子を有しており、これらの複数の発熱素子に選択的に通電することで発熱素子を発熱させる。サーマルヘッド9aは、発熱素子の発熱によって、インクリボン6のインクを溶融あるいは昇華させて、用紙2の引出部2bにインクを転写して印字する。本実施形態では、サーマルヘッド9aとプラテンローラ5とは、用紙2を挟んで引き出し搬送し、用紙2に印字する印字搬送部13を構成している。また、本実施形態では、サーマルヘッド9aや、プラテンローラ5、インクリボン6、供給軸7、巻取軸8、第二の回転駆動機構15、モータコントローラ(図示せず)等によって、印字機構が構成されている。
【0018】
図5や図6に示すように、緩衝機構24は、当接体としてのローラ31と、このローラ31を弾性支持した左右一対の弾性支持部32と、を有している。一対の弾性支持部32とローラ31とは、一対の弾性支持部32が別々に(独立して)動作可能に、連結している。
【0019】
ローラ31は、用紙保持軸4の用紙搬送方向TDの下流側且つプラテンローラ5の用紙搬送方向TDの上流側に設けられている。なお、本実施形態では、緩衝機構24の全体が用紙保持軸4の用紙搬送方向TDの下流側且つプラテンローラ5の用紙搬送方向TDの上流側に設けられている。
【0020】
ローラ31は、用紙搬送方向TDと直交する用紙2の幅方向WDに延在していて、用紙2の紙面2c(図1参照)と当接する。ローラ31は、ローラ軸33に支持されて回転可能となっている。ローラ31は、詳細には、複数のコロ31aを有して構成されている。複数のコロ31aは、用紙2の幅方向WDに並んで配置されている。複数のコロ31aは、相互に独立して回転可能にローラ軸33に支持されている。ローラ31は、用紙2に当接して用紙2を押す当接体に相当する。
【0021】
一対の弾性支持部32は、ローラ31の幅方向の両端部と連結している。具体的には、一方の弾性支持部32がローラ31の幅方向の一端部に連結していて、他方の弾性支持部32がローラ31の幅方向の他端部に連結している。なお、ローラ31の幅方向は、用紙2の幅方向WDと同じ方向である。一対の弾性支持部32は、ローラ31を用紙2の紙面2cに弾性力によって押し付ける。
【0022】
弾性支持部32は、支軸34と、支軸34に回動可能に支持された回動体としてのアーム部材35と、アーム部材35を付勢する弾性部材としてのトーションばね36と、を有している。一対の弾性支持部32は、単一の支軸34を共用している。
【0023】
支軸34は、用紙2の幅方向WDに延在している。支軸34は、骨格部材25に支持されている。支軸34には、用紙2をガイドするガイドローラ40が設けられている。ガイドローラ40は、ローラ31の用紙搬送方向TDの下流側且つサーマルヘッド9aの用紙搬送方向TDの上流側に配置されている。ガイドローラ40は、複数のコロ40aを有して構成されている。複数のコロ40aは、用紙2の幅方向WDに並んで配置されて相互に独立して回転可能であって用紙2の紙面2cと当接可能である。
【0024】
アーム部材35は、支軸34に回転可能に支持されており、支軸34周りに回動可能となっている。アーム部材35には、支軸34が挿通された挿通孔が形成されている。ここで、一対のアーム部材35は、同じ支軸34に回動可能に支持されているが、それぞれが支軸に回動可能に支持されているので、相互に別々に回動可能である。アーム部材35は、その回動中心部から延出したローラ支持部35aと、その回動中心部からローラ支持部35aとは略反対側へ延出した位置決め部35bと、を有している。アーム部材35の端部(一端部)としてのローラ支持部35aの先端部には、ローラ軸33が挿通されている。一対のアーム部材35は、ローラ軸33を支持しており、アーム部材35の一端部にローラ31が連結されている。ローラ31は、一対のアーム部材35の間に配置されている。
【0025】
ここで、アーム部材35のローラ支持部35aには、一対の弾性支持部32が別々に動作可能に、ローラ軸33が遊嵌している。詳細には、図7および図8に示すように、ローラ支持部35aの先端部には、ローラ軸33が挿通された挿通孔35aが形成されている。挿通孔35aの径は、ローラ軸33の径よりも大きく形成されており、挿通孔35aとローラ軸33との間に遊びがある状態となっている。この構造では、アーム部材35が上下方向で同じ位置に位置している場合には、ローラ軸33が略水平となり、一方のアーム部材35が上方へ回動する場合には、そのアーム部材35によってローラ軸33の一端部が上方へ引き上げられて、ローラ軸33が水平に対して傾斜した状態となる。
【0026】
トーションばね36は、支軸34に外挿されている。トーションばね36の一方の脚部36aは、骨格部材25の壁部25aに支持され、トーションばね36の他方の脚部36bは、ローラ支持部35aに形成されたばね支持部35cに支持されている。トーションばね36は、ローラ31が用紙2の紙面2cを押す方向に、アーム部材35を付勢している。用紙2がセットされていない場合、トーションばね36によって付勢されたアーム部材35では、位置決め部35bが骨格部材25の壁部25aに当接し、これによりアーム部材35が位置決めされる。
【0027】
以上の構成の緩衝機構24は、用紙2が停止した状態においては、用紙2に張力を与える方向に用紙2を付勢した状態で用紙2を弾性支持している。そして、プラテンローラ5による用紙2の引き出し搬送の開始時には、プラテンローラ5によって引っ張られる用紙2がローラ31を上方へ押し、アーム部材35のローラ支持部35aが、トーションばね36の付勢力に抗して上方(図1中の矢印R方向)へ回動する。この際、トーションばね36は弾性変形して、用紙2の引出部2bに作用する引っ張り力(負荷)を吸収する。これにより、プラテンローラ5に作用する搬送負荷が低減される。
【0028】
この際、用紙2の幅がローラ31の幅と略同じである場合(用紙2の幅が比較的に広い場合)には、一対のアーム部材35の各ローラ支持部35aが、上方へ回動して、一対のトーションばね36が用紙2の引出部2bに作用する引っ張り力(負荷)を吸収する。一方、用紙2の幅がローラ31の幅よりも狭い場合(用紙2の幅が比較的に狭い場合)、例えば、用紙2の幅がローラ31の幅の1/3程度の場合、片寄せ状態で搬送される用紙2に対して、一方のアーム部材35のローラ支持部35aが、上方へ回動して、一方のトーションばね36が用紙2の引出部2bに作用する引っ張り力(負荷)を吸収する(図8)。この場合、他方のアーム部材35のローラ支持部35aは、上方へ回動せず、他方のトーションばね36は用紙2の引出部2bに作用する引っ張り力(負荷)を吸収しない。このように、用紙2の幅が比較的に広い場合には、用紙2のロール部2aの慣性負荷が比較的に大きいので、二つのトーションばね36で負荷を吸収するようにしている。一方、用紙2の幅が比較的に狭い場合には、用紙2のロール部2aの緩衝負荷が比較的に小さいので、一つのトーションばね36で負荷を吸収するようにしている。
【0029】
図2に示すように、第二室S2には、第一の回転駆動機構12および第二の回転駆動機構15の他、制御部として機能するCPU(Central Processing Unit)等の電子部品が実装された回路基板16や、電源供給ユニット17等が収容されている。第一の回転駆動機構12および第二の回転駆動機構15は、第二室S2内で、用紙搬送方向TDの下流側に配置され、回路基板16および電源供給ユニット17は、用紙搬送方向TDの上流側に配置されている。
【0030】
図2,3に示すように、第二室S2には、縦壁1fおよび底壁1cと直交する姿勢で配置され、用紙搬送方向TDの上流側の領域と下流側の領域とを仕切る隔壁1gが設けられている。隔壁1gには、複数の貫通孔1hが設けられており、軽量化が図られるとともに、第二室S2内での通気性の向上が図られている。
【0031】
そして、本実施形態では、図3,4に示すように、可動ブロック20の用紙2の幅方向WDの一方側の一端部20aが、隔壁1gおよび第二室S2の前壁1iに、可動ブロック20の幅方向WDの他方側の他端部20bを上方(天壁1e側)へ向けて跳ね上げ可能な状態で、回動可能に支持されている。図2に示すように、隔壁1gと前壁1iとの間には、縦壁1fおよび底壁1cと平行な姿勢で支軸41が架設されている。可動ブロック20は、例えば支軸41の中心軸Ax1(すなわち、縦壁1fおよび底壁1cと平行な軸)回りに回動可能に支持されている。この場合、支軸41が隔壁1gおよび前壁1iに回動可能に保持された構成とすることができるし、あるいは、支軸41が隔壁1gおよび前壁1iに固定されて可動ブロック20が支軸41の回りに回動可能に保持された構成とすることができる。本実施形態では、隔壁1gおよび前壁1iが、ブロック支持部材に相当する。
【0032】
可動ブロック20は、閉位置(図3、図5)と、開位置(図4、図6)との間で回動可能となっている。閉位置は、サーマルヘッド9aがプラテンローラ5と対向する位置である。この閉位置では、サーマルヘッド9aとプラテンローラ5とが平行であり、サーマルヘッド9aとプラテンローラ5とが用紙2を挟持である、この閉位置では、サーマルヘッド9aとプラテンローラ5とによる用紙2の印字搬送が可能である。一方、開位置は、サーマルヘッド9aとプラテンローラ5との間が閉位置の場合よりも広い位置であり、この位置では、サーマルヘッド9aがプラテンローラ5に対して跳ね上げ状態で傾斜しており、サーマルヘッド9aとプラテンローラ5との間が開放される。このように、可動ブロック20が開位置に位置した状態では、サーマルヘッド9aとプラテンローラ5との間が開放されるので、用紙2やインクリボン6のセットや交換を行うことが可能となる。可動ブロック20は、閉位置では、プリンタ1の本体部1a(筐体1b)に固定される。一方、開位置では、幅方向WDの他方側の他端部20bが本体部1a(筐体1b)から離間する。
【0033】
以上、説明したように、本実施形態にかかるプリンタ1では、サーマルヘッド9aを有する可動ブロック20に、緩衝機構24が設けられている。したがって、可動ブロック20を開位置に回動させることで、緩衝機構24も開位置に移動するので、用紙搬送経路3への用紙2のセットを容易に行うことができる。また、サーマルヘッド9aを有する可動ブロック20に、緩衝機構24が設けられているので、サーマルヘッド9aを有する可動ブロック20とは別に、緩衝機構24専用の可動体を設ける場合に比べて、プリンタ1の構成を簡素化することができる。
【0034】
また、本実施形態では、可動ブロック20は、用紙搬送方向TDと直交する幅方向での一端部を回動可能に支持され、幅方向での他端部を跳ね上げ可能である。したがって、跳ね上げた側で用紙搬送経路が大きく開放されるので、用紙搬送経路3への用紙2のセットをより容易に行うことができる。
【0035】
また、本実施形態では、可動ブロック20は、用紙2をガイドするガイドローラ10a,40を有する。したがって、ガイドローラ10a,40もサーマルヘッド9aとともに回動するので、用紙搬送経路3への用紙2のセットをより容易に行うことができる。
【0036】
また、本実施形態では、緩衝機構24において、一対の弾性支持部32が別々に動作可能に、一対の弾性支持部32とローラ31とが連結している。したがって、用紙2の幅が比較的に大きい場合には、両方の弾性支持部32が動作し、用紙2の幅が比較的に小さい場合には、一方の弾性支持部32が動作する。よって、幅の異なる複数種類の用紙2のそれぞれに対応して、それら用紙2に作用する引っ張り力を良好に吸収することができる。よって、幅の異なる複数種類の用紙2のそれぞれで、印字を良好に行うことができる。
【0037】
また、本実施形態では、支軸34周りに回動可能であって端部にローラ31が連結されたアーム部材35が、トーションばね36によって、用紙2の紙面2cを押す方向に付勢されている。したがって、用紙2からローラ31が受ける力を、アーム部材35を介してトーションばね36で吸収することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、印字搬送部13の一例として、プラテンローラ5が用紙2を引き出し搬送するものを説明したが、これに限るものではない。例えば、印字搬送部13としては、プラテンローラ5とは別の搬送ローラを有して、この搬送ローラによって用紙を引き出し搬送するものであっても良いし、この搬送ローラとプラテンローラ5とが協働して用紙2を引き出し搬送するものであっても良い。
【0039】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1…プリンタ
2…用紙
2c…紙面
4…用紙保持軸(用紙保持部)
5…プラテンローラ
9a…サーマルヘッド(印字ヘッド)
10a,40…ガイドローラ
13…印字搬送部
20…可動ブロック(可動部)
24…緩衝機構
31…ローラ(当接体)
32…弾性支持部
35…アーム部材(回動体)
36…トーションばね(弾性部材)
TD…用紙搬送方向
WD…幅方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2007−126230号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回された用紙を引き出し搬送可能に保持する用紙保持部と、
相互に対向する印字ヘッドおよびプラテンローラを有し、前記用紙を引き出し搬送して前記用紙に印字する印字搬送部と、
前記用紙保持部の用紙搬送方向下流側且つ前記印字搬送部の用紙搬送方向上流側で、前記用紙の紙面を弾性力によって押す緩衝機構と、
前記印字ヘッドおよび前記緩衝機構を有し、前記印字ヘッドが前記プラテンローラと対向する閉位置と、前記印字ヘッドと前記プラテンローラとの間が前記閉位置の場合よりも広い開位置との間で、回動可能な可動部と、
を備えるプリンタ。
【請求項2】
前記可動部は、用紙搬送方向と直交する幅方向での一端部を回動可能に支持され、前記幅方向での他端部を跳ね上げ可能である請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記可動部は、前記用紙をガイドするガイドローラを有する請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記緩衝機構は、前記用紙に当接して前記用紙を押す当接体を有し、
前記ガイドローラは、前記当接体の用紙搬送方向下流側且つ前記印字ヘッドの用紙搬送方向上流側に配置されている請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記緩衝機構は、
前記用紙保持部の用紙搬送方向下流側且つ前記搬送部の用紙搬送方向上流側に設けられて用紙搬送方向と直交する前記用紙の幅方向に延在していて、前記用紙の紙面と当接する当接体と、
前記当接体の前記幅方向の両端部と連結していて、前記当接体を前記用紙の紙面に弾性力によって押し付ける一対の弾性支持部と、
を有し、
前記一対の弾性支持部が別々に動作可能に前記一対の弾性支持部と前記当接体とが連結している請求項1ないし4のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記弾性支持部は、
支軸周りに回動可能であって、端部に前記当接体が連結された回動体と、
前記当接体が前記用紙の紙面を押す方向に、前記回動体を付勢する弾性部材と、
を有する請求項5に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−52612(P2013−52612A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193002(P2011−193002)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】