プリントエレクトロニクスを製造するための組成物及びプロセス
本発明は、印刷可能な組成物であって、いずれも該組成物の合計重量を基準とした重量パーセントで、0.5〜60重量%のエポキシ、ノボラック及びポリ(ジメチルグルタルイミド)からなる群から選択されるポリマー、並びに40〜99.5重量%の(1)約10℃を超える引火点及び約130℃を超える沸点を有する高沸点溶媒、及び(2)30℃未満の引火点及び130℃以下の沸点を有する低沸点溶媒を含む溶媒組成物、を含む組成物を対象とする。本発明は、上記の組成物を用いてパターン化した基板を形成する方法も対象とする。本発明の組成物は、圧電プリンタを用いて基板上に電子材料を印刷するために有用である。(図面は図1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントエレクトロニクスを製造するための組成物及びプロセス、より詳しくは、圧電プリンタを用いて基板上に電子材料を印刷するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
費用効率の高い消費者用電子デバイス製造の実現は、新しいIC及びPCパターニングプロセスの研究につながってきた。過去30年間にわたるIC製造のかなめであるフォトリソグラフィーは、近年、より寛容なパターニングの環境への要求、例えば、フラットパネル及びフレキシブルディスプレー、LEDディスプレー、電子ペーパー、オプトエレクトロニクス、光起電力技術、微小電子機械システム(MEMS)等の製造のための要求に直面している。新しいパターニング技術、例えば、マイクロスタンピング(MicroStamping)、ナノインプリント(NanoImprint)、及びインクジェットパターニング等は、非常に集中的な注目を受けている。ここ数年、特にインクジェットの滴径の減少から導かれたインクジェット分配の進歩は、この技術を、主として大きいフォーマットのフラットパネルディスプレーで使用されるカラーフィルター及びアドレス可能なICのための高容量の消費者電子デバイスの製造のために採用される方法の最前線に躍進させた。その結果が、プリントエレクトロニクスとして集合的に知られるインクジェットによる製造の各アーキテクチャの発展となっている。
【0003】
従来のフォトリソグラフィーデバイス製造で使用するための現在入手できるポリマーブレンドは、主としてフィルムキャスティングとして知られるプロセスにおける回転によって乾燥するように設計されており、これらの技術に適合する比粘度及び表面張力のパラメータを有するように調整される。しかしながら、これらの材料は、インクジェットデバイスには適合しない。その材料の特性、とりわけ、粘度、表面張力、及び蒸発速度は、その材料を基板に塗布するために使用されるノズルの目詰まりを引き起こす。当技術分野で求められているものは、デバイス製造業者らが新たに開発されたプリントエレクトロニクスの技術を十分に活用することができるようにインクジェットプリンタにより実施することができる材料である。本発明は、その要求に対する解決法であるものと思われる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本発明は、印刷可能な組成物であって、いずれも該組成物の合計重量を基準とした重量パーセントで、0.5〜60重量%のエポキシ、ノボラック及びポリ(ジメチルグルタルイミド)からなる群から選択されるポリマー、並びに40〜99.5重量%の(1)約10℃を超える引火点及び約130℃を超える沸点を有する高沸点溶媒、及び(2)30℃未満の引火点及び130℃以下の沸点を有する低沸点溶媒を含む溶媒組成物、を含む組成物を対象とする。
【0005】
別の態様において、本発明は、基板上に印刷パターンを生成する方法であって、(1)上記の印刷可能な組成物を、圧電印刷デバイスを用いて基板に塗布するステップ、(2)該塗布した組成物を乾燥するステップ、及び(3)所望により、該乾燥した組成物を硬化して基板上に印刷パターンを生成するステップ、を含む方法を対象とする。
【0006】
これら及びその他の態様は、以下の本発明の詳細な説明を読めば明らかとなろう。
【0007】
本発明の以下の説明は、以下の各図と共に解釈すればよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ネガ(架橋)型(tone)のためのプロセスを説明する概略図を描いている図である。
【図2】本発明のエポキシ系組成物から作製したパターンを描いている図である。
【図3】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるパターンを描いている図である。
【図4】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるパターンを描いている図である。
【図5】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるパターンを描いている図である。
【図6】本発明の別のエポキシ系組成物から作製したパターンを描いている図である。
【図7】本発明の別のエポキシ系組成物から作製したさらなるパターンを描いている図である。
【図8】本発明のノボラック系組成物から作製したパターンを描いている図である。
【図9】本発明のノボラック系組成物から作製したさらなるパターンを描いている図である。
【図10】本発明のエポキシ系組成物から作製したフォトトリミングしたパターンを描いている図である。
【図11】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるフォトトリミングしたパターンを描いている図である。
【図12】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるフォトトリミングしたパターンを描いている図である。
【図13】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるフォトトリミングしたパターンを描いている図である。
【図14】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるフォトトリミングしたパターンを描いている図である。
【図15】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるフォトトリミングしたパターンを描いている図である。
【図16】本発明の組成物及び方法を用いて金属蒸着のためのリフトオフプロセスを描いている図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、集合的に「プリントエレクトロニクス」として知られているインクジェット(圧電性)に基づくパターニング技術を用いるデバイス製造で使用するための材料の組成物を含む。本発明の配合物は、従来のフォトリソグラフィープロセスで用いる現在入手できる材料が圧電に基づくパターニング技術で利用されるときに存在する不都合、特に印刷ノズルの目詰まりを克服する。本発明者らは、エポキシ、ノボラック、及びポリ(ジメチルグルタルイミド)(PMGI)系の組成物を、インクジェットに良く適合させることができ、UV又は熱硬化させることができることを見出した。本発明の組成物は、デバイスにおける限界寸法を縮小するためのリフトオフ技術において使用することができ、多種多様の用途に対する吸光度(absorbance)及び導電率のために修正することができる。
【0010】
一般に、本発明の組成物は、以下に限定されないが、エポキシ(例えば、SU−8)樹脂、ノボラック樹脂、及びPMGI材料を含めたポリマーブレンド、溶媒、並びに所望により機能性添加物を含み、圧電プリンタと共に使用するように特に設計されている。本発明の組成物は、従来のコーティング法と関連する様々な問題を克服する。本発明の組成物は、スピンコーティングに対する必要性及びそれと関連する欠陥を除去する。スピンコーティングは、本質的に、様々な欠陥、例えば、微細構成(topography)の不完全な被覆、蒸発の変動による膜変動、及び基板の放射状範囲全域で様々に変わる速度効果等、を引き起こし得る。本発明の組成物は、このプロセスステップを除去することに役立つことができる。
【0011】
本発明の組成物はまた、フレキシブルな基板を含めた多種多様の表面へのコーティングを可能にする。スピンコーティングは、一般に速く回転できる硬い表面にコーティングすることができるのみである。
【0012】
本発明の組成物は、それらがその他のコーティング法、即ち、スピンコーティング、ローラーコート、及びスプレーコートと対比して、一般に、使用する化学物質の量を大幅に減少し、発生する有害廃棄物の水準を低下するという点で費用効率的でもある。
【0013】
本発明の組成物は、該デバイスの必要な場所のみに印刷することによって汚染の減少を促進する。この外科手術のような精度は、基板の特定の領域を選択的には塗布しないその他のコーティング法を超える利点を提供する。
【0014】
本発明の組成物は、熱又はUV硬化による融通性を提供して従来のコーティング法におけるいくつかのプロセスのステップを取り除く。
【0015】
本発明の組成物は、最終製品の精度を増すためのパターン解像度の改善のための手段も提供する。一実施形態において、本発明の組成物は、フォトトリミングと呼ばれるプロセスにおいて使用することができる。フォトトリミングは、インクジェット印刷されたフィーチャ上で最終調整されるフォトリソグラフィーを用いることで、インクジェット印刷の体積分配及び印刷選択性のすべての利点を伴いながら、端部の鋭さを向上させ、及び/又は、非常に高い解像度のフィーチャを生成させるプロセスである。フォトトリミングは、複数層で使用してリフトオフ(lift−off)の輪郭を生成させることができる。リフトオフの輪郭は、フォトトリミングなしで発生させることもできる。これらの方法は両方とも以下でより詳細に示す。
【0016】
上で示したように、本発明は、印刷可能な組成物であって、いずれも該組成物の合計重量を基準とした重量パーセントで、0.5〜60重量%のエポキシ、ノボラック及びポリ(ジメチルグルタルイミド)からなる群から選択されるポリマー、並びに40〜99.5重量%の(1)約10℃を超える引火点及び約130℃を超える沸点を有する高沸点溶媒、及び(2)30℃未満の引火点及び130℃以下の沸点を有する低沸点溶媒を含む溶媒組成物、を含む組成物を対象とする。これらの成分のそれぞれについて以下でより詳細に説明する。
【0017】
本発明の印刷可能な組成物の第1の成分は、当技術分野では既知のエポキシ樹脂(例えば、SU−8)、ノボラック樹脂、又はポリ(ジメチルグルタルイミド)(PMGI)等のポリマーである。これらのポリマーの組合せも所望に応じて使用することができる。本発明の組成物中のポリマーの量は、通常その組成物の全体重量を基準として、0.5〜60重量%の範囲である。より好ましい実施形態においては、該組成物の全体重量を基準として、0.5〜15重量%のPMGI、より好ましくは5〜12重量%のPMGIを使用する。他の好ましい実施形態においては、該組成物の全体重量を基準として、0.5〜40重量%のノボラック又はエポキシ樹脂、より好ましくは10〜35重量%のノボラック又はエポキシ樹脂を使用する。好ましくは、そのノボラックポリマーは、50,000ダルトン以下の分子量を有し、そのエポキシポリマーは、20,000ダルトン以下の分子量を有し、そのPGMIポリマーは、90,000ダルトン以下の分子量を有する。
【0018】
本発明の印刷可能な組成物中で使用される溶媒は、該組成物の40〜99.5重量%を含み、少なくとも1つの高沸点溶媒及び少なくとも1つの低沸点溶媒を含む溶媒組成物である。その高沸点溶媒は、約10℃を超える引火点及び約130℃を超える沸点を有する。有用な高沸点溶媒の例としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、PGMEA、シクロヘキサノン、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレンカーボネート、2−ヘプタノン、NMP、ジアセトンアルコール、及びそれらの組合せが挙げられる。その低沸点溶媒は、30℃未満の引火点及び130℃以下の沸点を有する。有用な低沸点溶媒の例としては、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルイソプロピルケトン、2−ペンタノン、ピナコロン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0019】
該ポリマーがPMGIであるとき、本発明の印刷可能な組成物中の溶媒の量は、好ましくは前記組成物の全体重量を基準として、85〜99.5重量%、より好ましくは前記組成物の全体重量を基準として、88〜95重量%の範囲である。該ポリマーがノボラック又はエポキシであるとき、本発明の印刷可能な組成物中の溶媒の量は、好ましくは前記組成物の全体重量を基準として、60〜99.5重量%、より好ましくは前記組成物の全体重量を基準として、65〜90重量%の範囲である。当業者であれば理解するであろうが、その印刷可能な組成物中の溶媒は、2つより多い成分、例えば、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の溶媒を含むことができる。
【0020】
本発明の印刷可能な組成物の一部である溶媒は、特定の基板及びポリマー組成物に対して最適化された割合で含まれる。その溶媒の割合は、該基板の接触角に対応して均一な膜を形成するように最適化する。それは固体系の溶解性に応じてさらに最適化される。その溶媒系の中の成分は、この最適化のための多様な蒸発速度(蒸気圧)を有する。好ましくは、その溶媒混合物は、所望の乾燥及び表面張力の条件に対して最適化される。一般に、低沸点の溶媒は、<15,000の分子量を有するポリマーと共に使用するときは全体の溶媒組成物の50%まで混合可能である。高沸点溶媒は、分子量にかかわらず全溶媒の0.5〜99.5%の範囲で配合することができるが、乾燥時間との兼ね合いがある。
【0021】
本発明の組成物の表面張力及び粘度は、好ましくは圧電印刷装置用に最適化される。その組成物の表面張力は、好ましくは、約28〜約33ダイン/cm2であり、粘度は、好ましくは、プリンタ作動温度で約10〜12cPsの範囲である。
【0022】
本発明の印刷可能な組成物は、架橋剤を所望により含むこともできる。好ましくはその架橋剤は、アミン化合物、例えばメラミン又はメラミン樹脂等である。市販されているメラミンの例としては、Cymel 300、301、303、350、370、380、1116、又は1130が挙げられる。グリコウリルも有用であり、特に好ましい。特に有用なグリコウリルの例は、Powderlink 1174(メトキシメントール化グリコウリル)である。ベンゾグアナミン、例えば、Cymel 1123又は1125も有用な架橋剤である。本発明の印刷可能な組成物中に含まれる架橋剤の量は、前記組成物の全体重量を基準として、0〜15重量%、より好ましくは前記組成物の全体重量を基準として、0〜10重量%、最も好ましくは前記組成物の全体重量を基準として、2.5〜9重量%の範囲である。
【0023】
本発明の印刷可能な組成物は、所望により酸発生剤を含むこともできる。その酸発生剤は、光(例えば、光酸発生剤若しくはPAG)又は熱(例えば、熱酸発生剤若しくはTAG)によって活性化して、温度又はUV光をそれぞれ用いて熱又は光化学硬化のいずれかを増進することができる。オニウム塩を、本発明のインクジェット組成物の光酸発生剤として採用することができる。弱い求核性アニオンであるオニウム塩は、特に適していることが見出されている。かかるアニオンの例は、二価〜七価の金属又は非金属、例えば、Sb、Sn、Fe、Bi、Al、Ga、In、Ti、Zr、Sc、D、Cr、Hf、及びCu並びにB、P、及びAsのハロゲン錯体のアニオンである。適当なオニウム塩の例は、周期表の族Va及びB、Ia及びB並びにIのジアリール−ジアゾニウム塩及びオニウム塩、例えば、ハロニウム塩、第四級アンモニウム、ホスホニウム及びアルソニウム塩、芳香族スルホニウム塩及びスルホキソニウム塩又はセレン塩である。適当な好ましいオニウム塩の例は、米国特許第6,190,839号、第4,442,197号、第4,603,101号、及び第4,624,912号の中に見出すことができる。置換ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート化合物、特にスルホネート塩は、本発明の反射防止組成物のための好ましいオニウムPAGである。スルホネート化エステル及びスルホニルオキシケトンを含めたその他の適当なPAGも使用することができる。ベンゾイントシレート、t−ブチルフェニルα−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセテート及びt−ブチルα−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセテートを含む適当なスルホネートPAGの開示については、J.Photopolymer Science and Technology、4(3):337〜340頁(1991年)を参照されたい。好ましいスルホネートPAGは、Sintaらの米国特許第5,344,742号にも開示されている。
【0024】
その他の有用な酸発生剤は、ニトロベンジルエステル、及びそのs−トリアジン誘導体である。適当なs−トリアジン酸発生剤は、例えば、米国特許第4,189,323号に開示されている。ハロゲン化した非イオン性光酸発生化合物、例えば、1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン(DDT)、1,1−ビス[p−メトキシフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン、1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロデカン、1,10−ジブロモデカン、1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2−ジクロロエタン、4,4−ジクロロ−2−(トリクロロメチル)ベンズヒドロール(ケルセン)、ヘキサクロロジメチルスルホン、2−クロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、o,o−ジエチル−o−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジル)ホスホロチオネート、1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン、N(1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエチル)アセトアミド、トリス[2,3−ジブロモプロピル]イソシアヌレート、2,2−ビス[p−クロロフェニル]−1,1−ジクロロエチレン、トリス[トリクロロメチル]s−トリアジン、並びにそれらの異性体、類似体、同族体、及び残留化合物等も適切であり得る。適当な光酸発生剤は、欧州特許出願第0164248号及び第0232972号にも開示されている。
【0025】
様々な既知の熱酸発生剤(TAG)、例えば、CXC 1612、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート及びその他の有機スルホン酸のアルキルエステルが、本発明の組成物中で適切に使用される。活性化と同時にスルホン酸を発生する化合物が一般に適する。また、熱酸発生剤よりはむしろ、特に酸の存在下で硬化させるために熱を必要とする反射防止組成物に対しては、該組成物を使用する前にその酸が組成物成分の望ましくない反応を促進しないように、酸を該組成物中に単に配合することができる。適当な酸としては、例えば、トルエンスルホン酸及びスルホン酸等のスルホン酸、トリフル酸又はそれらの物質の混合物等の強酸が挙げられる。
【0026】
本発明の組成物中で使用する酸発生剤の量は、好ましくは、前記組成物の全体重量を基準として0〜6重量%、より好ましくは、前記組成物の全体重量を基準として0〜4重量%、最も好ましくは、前記組成物の全体重量を基準として0〜3重量%の範囲である。
【0027】
染料、可塑剤、柔軟剤、表面均展剤、表面湿潤剤、及びそれらの組合せ等の付加的成分も、本発明の組成物に含めることができる。これらの付加的成分は、様々な基板上の流動力学的性質を変化させるために役立つ。本発明の組成物に含めることができるさらなる付加的成分としては、インクジェットで堆積した膜の機能特性を最初の配合物の構成成分によって提供されるそれらの改良を超えて直接変化させる特別設計のナノ粒子又はナノ粒子コンポジット材料が挙げられる。ナノ粒子及び/又はコンポジットナノ粒子材料の包含によって有利に改変される該組成物の物理的特性としては、以下に限定はされないが、膜導電率の改良、バルク膜の誘電率、膜抵抗率、膜耐熱性の増大、バルク膜屈折率、バルク膜の力学的特性の調節、及びバルク膜の生物活性の調節が挙げられる。好ましくは、かかる付加的成分の量は、該組成物の全体重量を基準として約30重量%までを添加する。好ましい実施形態において、該ナノ粒子及び/又はコンポジットナノ粒子材料は、本発明の該組成物中に該組成物の全体重量を基準として約0.1重量%〜約10重量%の範囲の量で含まれている。
【0028】
本発明の組成物は、次の手順を用いて製造することができる:
(1)選択したポリマーを、ロール掛け(50〜250rpm)によるか又は低せん断応力のミキサー(<1000rpm)を用いて低せん断応力の混合環境中で溶媒系に溶解する。ポリマーの溶媒中への溶解を助けるために溶液を加熱してもよい。ポリマーが完全に溶解するまで混合する。典型的な混合条件の例は次の通りである:
エポキシ−50℃100rpmで4時間のロール掛け
PMGI−80℃100rpmで8時間のロール掛け
ノボラック−50℃100rpmで8時間のロール掛け
【0029】
混合物中の熱によって影響されない成分は、ポリマーと共にこのステップの溶解の間にその混合物中に添加することができる。これらには代表的には可塑剤、柔軟剤、界面活性剤、及びいくらかのPAGを含めることができる。
(2)溶解後、その混合物を室温まで冷却し、熱に敏感な成分をロール掛け(50〜250rpm)によるか又は低せん断応力のミキサー(<1000rpm)を用いて低せん断応力の混合環境中で加える。完全に溶解するまで混合する。この時加える成分は、TAG、架橋剤、染料及び熱に敏感なPAGである。
(3)その溶液の濾過。その濾過のスキームは、様々な製造可能性に適合するように変化させることができるが、基本的なスキームを以下に示す。
【0030】
その溶液を、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)又はナイロン薄膜を通して予備的に濾過して全体の粒子状物質を除去する。その濾過媒体は、その配合物の組成に依存する。その細孔サイズは、その溶液の全体の固体含量によって約0.01から約5ミクロンまで変化する。その溶液は、その溶液の全体の固体含量によって約0.01から約0.2ミクロンにかけての細孔サイズの同じ媒体を用いて最後の濾過をする。当業者であれば、このステップでの使用にはその他の細孔サイズも可能であることを理解するであろう。
【0031】
上記の組成物を圧電プリンタで利用するためには、以下のステップが用いられる:
圧電プリンタのカートリッジ、例えば、Dimatix社の材料カートリッジモデル#DMC−11610を、約1.5mlの該組成物を満たしたシリンジからの針をその注入口に注意深く挿入することによって満たす。その材料はゆっくり注入してその流体モジュールを満たす。その流体モジュールの圧力ポート及びそのジェットモジュールの開口部は、整列させ、互いにかみ合わせる。その充填されたカートリッジは次いで30分間そのままにして取り込んだ空気がノズルから抜けるように処理する。
【0032】
その溶液に対する適切な波形を選択し、各プリントヘッドに対する適切な電圧設定も選択して、ジェットの際の特定のインク組成物に対する最適な液滴速度を得る。
【0033】
堆積させる基板としては、その要求される用途によって変化するが、典型的な半導体基板のSi、GaAs及びその他のIII〜IV価及びIII〜V価金属、ガラスを挙げることができる。フレキシブルな基板としては、様々なプラスチック、例えば、PET、PETG、カプトン及びマイラー等を挙げることができる。これらのフレキシブルな基板及びSi等の標準的な半導体基板は、様々な金属、例えば、Au、Cu、Ag、又は様々な酸化物化合物例えばITO、アンチモンスズ酸化物、及びTiO2等によりさらにコーティングすることができる。
【0034】
ポリマー組成物の堆積に続いて、該コーティングは、該組成物及び/又は該組成物中の溶媒系の蒸発速度次第で、気流により、対流式オーブンシステムを介して又はホットプレートを用いて熱的に、或いはUV光照射により硬化させることができる。UV硬化したインクは、初期照射の後その系を十分に硬化させるために追加の熱焼付けが必要であり得る。高温(>120℃)硬化はまた、場合によって、コーティングの硬化の割合又は耐薬品性も増大させる。
【0035】
本発明の印刷可能な組成物は、様々な方法、例えば、熱及びレーザーインクジェット法を含めたインクジェット(圧電)法、スタンピング、スクリーンコーティング、シリンジによる分配、グラビアコーティング、フレキソコーティングなどで分配することができる。本発明の組成物は、圧電及び/又は熱及び/又はレーザーインクジェットプリンタと共に使用するために特に設計されている。
【0036】
さらなる実施形態において、光酸発生剤を含む本発明の組成物により印刷した基板は、フォトトリミングとして知られるプロセスにかけることができる。このプロセスは、パターン化した基板を高解像度のリソグラフィーマスクを通してUV光にさらすことを含む。手短に言えば、フォトトリミングプロセスは、(1)インクジェット印刷したフィーチャについてのパターン端部の鋭さを改善する必要性及び/又は(2)既に印刷したパターンを用いて選択的に高解像度のフィーチャをパターン化する要望に対応している。図1は、ネガ(架橋)型のためのプロセスを説明する概略図を示している。
【0037】
本発明の組成物及び方法は、以下のものを含む様々な製造プロセスに有用である:
化合物半導体の製造:トランジスタ製造におけるリフトオフ;PMGIを表面不活性化のための誘電体層として使用することができる。
リフトオフ:リフトオフは、化合物半導体の用途、例えば、光起電力、垂直共振器表面発光ダイオードレーザー(VCEL)、トランジスタ等において、金属蒸着を制御するために使用することができる。
光エレクトロニクス、例えばLEDの製造等:カプセル化/保護層の堆積、リフトオフプロセスにおける金属蒸着、光反射のためのバックグラウンド回折格子の作成。
エネルギー装置:バッテリー及び燃料電池の応用における製造プロセスを可能にする。
ディスプレー:DLPディスプレー−支持構造物としてのエポキシの堆積、
MEMS:感知装置、作動装置、共振器、マイクロ流体素子;PMGIを、3次元のMEMS装置で使用するための犠牲層の支持体として使用することができる、
印刷したワイヤーボード及び印刷したサーキットボード:プロセスに対するエッチング耐性、
保護層:素子の後部包装。
フォトトリミングは、MEMS、マイクロ流体、ナノインプリントに対する解像度を増すために使用することができ、上記の用途のいずれも向上させるために使用することができる。
【実施例】
【0038】
以下の実施例は、本発明について説明するが、その範囲を限定することは何ら意図するものではない。他に明示的に記されていない限りすべての部及びパーセントは、重量基準であり、すべての温度は、摂氏温度である。
【0039】
(例1)
エポキシ系組成物1
エポキシ(SU−8)組成物を上に概説したように以下の成分をブレンドすることによって作製した。
【表1】
【0040】
上の成分を上記のようにして混合し、シリコン基板上に印刷し、上記のようにして硬化した。この組成物による画像は電子顕微鏡により観察し、図1〜4に示した。
【0041】
(例2)
エポキシ系組成物2
第2のエポキシ(SU−8)組成物を上に概説したように以下の成分をブレンドすることによって作製した。Dimatix DMP−2800シリーズ16圧電プリントヘッドプリンタと共に使用するとき、この組成物は溶媒系を変えることによって単一パスに対してより厚いフィーチャを生成する。
【表2】
【0042】
上の成分を上記のようにして混合し、シリコン基板上に印刷し、上記のようにして硬化した。この組成物による画像は電子顕微鏡により観察し、図5〜6に示した。
【0043】
(例3)
ノボラック樹脂
ノボラック組成物を、上に概説したように以下の成分をブレンドすることによって作製した。
【表3】
【0044】
上の成分を上記のようにして混合し、シリコン基板上に印刷し、上記のようにして硬化した。この組成物による画像は電子顕微鏡により観察し、図7〜8に示した。
【0045】
(例4)
PMGI組成物
PMGI組成物を、上に概説したように以下の成分をブレンドすることによって作製した。
【表4】
【0046】
上の成分を上記のようにして混合し、シリコン基板上に印刷し、上記のようにして硬化した。
【0047】
(例5)
能動マトリックス液晶ディスプレー(AMLCD)及び能動マトリックス有機発光ダイオードディスプレー(AMOLED)用の光パターニングエポキシの導電性ナノコンポジット
このインクジェットエポキシ組成物は、ナノサイズの導電性酸化インジウムスズ(ITO)の導電性ナノコンポジット(5〜100nmの直径又は単分散ナノスフェア)をAMLCD及びAMOLED用途向けのピクセルの中のリジット及びフレキシブル両方の導電トランジスタのインクジェットパターンに組み込む。そのITOトランジスタをパターン化するために必要な解像度を得るために、次にフォトトリミングを用いる。
【表5】
【0048】
ITOナノスフェア(0.1〜10重量%)を、29.5重量%のエポキシSU−8樹脂+62.1重量%のシクロペンタノンの溶液中に分散させる。成分の残りを連続して加え、室温で12〜24時間撹拌する。その後、その全体を1ミクロンあるいはそれより良好になるように濾過する。
【0049】
(例6)
光パターニングエポキシの導電性ナノコンポジット
例5に記載の一般的な配合レシピを用い、ITOナノスフェアをTiO2ナノスフェアに置き換えて恒久的用途のために光及び熱硬化性エポキシ中に分散させた酸化チタン(TiO2)ナノスフェア(5〜100nm)からなるナノコンポジットの遮光性誘電体膜がこの例を特定する。
【0050】
(例7)
光パターニングエポキシの導電性ナノコンポジット
耐湿性バリア層として使用するための、光又は熱硬化したエポキシと共にナノサイズのシリカ及び/又はゼオライト組成物(5〜100nmの球の直径)からなるナノコンポジットバリア層。例5を基本レシピとして用い、ITOをナノサイズのシリカ及び/又はゼオライトナノコンポジット組成物に置き換えたことがこの例を特定する。
【0051】
(例8)
光パターニングエポキシの導電性ナノコンポジット
光又は熱硬化したエポキシポリマーと共に5〜100nmのナノスフェア又は同等物のナノサイズの銀又は銀ナノコンポジット化合物からなるナノコンポジットの抗菌性、抗バクテリア性の膜層。
【0052】
(例9)
フォトトリミング
例1又は2のインクジェット印刷したエポキシ組成物は、その後、高解像度のリソグラフィーマスクを通すUV光によりパターン化することができる。このプロセスを実施するためには、上に概説したように光マスクをこれらの画像を生成するようにその印刷した領域に整列させる。フォトトリミングの2つの主要な特徴は、処理中の解像度の増加とスカム(scum)の減少である。フォトトリミングは、印刷可能なPMGI組成物を印刷されたエポキシ又はノボラック配合物と共に積層してそれを画像化するリフトオフプロセスで使用することもでき、さらに解像度を増すことができる。そのフォトトリミングプロセスの結果を図9〜14に示す。
【0053】
(例10)
金属蒸着のためのリフトオフプロセス
上で示したように、リフトオフプロセスは、化合物半導体用途、例えば光起電力技術、VCEL、トランジスタ等において、金属蒸着を制御するために使用することができる。本発明の組成物及びプロセスを用いるこの技術の例が図15に示されている。
【0054】
リフトオフの輪郭の顕微鏡写真(図15、オプション2)を作った。下層は、印刷して硬化したPGMIインク(例4)から作製して硬化し、110℃で1分間硬化した。この生成物を印刷して硬化したエポキシインク(例2)を含む表面層でコーティングし、次いで110℃で1分間硬化した。現像時間(浸漬)は、2.38%のTMAH現像液中で〜1分であった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントエレクトロニクスを製造するための組成物及びプロセス、より詳しくは、圧電プリンタを用いて基板上に電子材料を印刷するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
費用効率の高い消費者用電子デバイス製造の実現は、新しいIC及びPCパターニングプロセスの研究につながってきた。過去30年間にわたるIC製造のかなめであるフォトリソグラフィーは、近年、より寛容なパターニングの環境への要求、例えば、フラットパネル及びフレキシブルディスプレー、LEDディスプレー、電子ペーパー、オプトエレクトロニクス、光起電力技術、微小電子機械システム(MEMS)等の製造のための要求に直面している。新しいパターニング技術、例えば、マイクロスタンピング(MicroStamping)、ナノインプリント(NanoImprint)、及びインクジェットパターニング等は、非常に集中的な注目を受けている。ここ数年、特にインクジェットの滴径の減少から導かれたインクジェット分配の進歩は、この技術を、主として大きいフォーマットのフラットパネルディスプレーで使用されるカラーフィルター及びアドレス可能なICのための高容量の消費者電子デバイスの製造のために採用される方法の最前線に躍進させた。その結果が、プリントエレクトロニクスとして集合的に知られるインクジェットによる製造の各アーキテクチャの発展となっている。
【0003】
従来のフォトリソグラフィーデバイス製造で使用するための現在入手できるポリマーブレンドは、主としてフィルムキャスティングとして知られるプロセスにおける回転によって乾燥するように設計されており、これらの技術に適合する比粘度及び表面張力のパラメータを有するように調整される。しかしながら、これらの材料は、インクジェットデバイスには適合しない。その材料の特性、とりわけ、粘度、表面張力、及び蒸発速度は、その材料を基板に塗布するために使用されるノズルの目詰まりを引き起こす。当技術分野で求められているものは、デバイス製造業者らが新たに開発されたプリントエレクトロニクスの技術を十分に活用することができるようにインクジェットプリンタにより実施することができる材料である。本発明は、その要求に対する解決法であるものと思われる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本発明は、印刷可能な組成物であって、いずれも該組成物の合計重量を基準とした重量パーセントで、0.5〜60重量%のエポキシ、ノボラック及びポリ(ジメチルグルタルイミド)からなる群から選択されるポリマー、並びに40〜99.5重量%の(1)約10℃を超える引火点及び約130℃を超える沸点を有する高沸点溶媒、及び(2)30℃未満の引火点及び130℃以下の沸点を有する低沸点溶媒を含む溶媒組成物、を含む組成物を対象とする。
【0005】
別の態様において、本発明は、基板上に印刷パターンを生成する方法であって、(1)上記の印刷可能な組成物を、圧電印刷デバイスを用いて基板に塗布するステップ、(2)該塗布した組成物を乾燥するステップ、及び(3)所望により、該乾燥した組成物を硬化して基板上に印刷パターンを生成するステップ、を含む方法を対象とする。
【0006】
これら及びその他の態様は、以下の本発明の詳細な説明を読めば明らかとなろう。
【0007】
本発明の以下の説明は、以下の各図と共に解釈すればよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ネガ(架橋)型(tone)のためのプロセスを説明する概略図を描いている図である。
【図2】本発明のエポキシ系組成物から作製したパターンを描いている図である。
【図3】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるパターンを描いている図である。
【図4】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるパターンを描いている図である。
【図5】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるパターンを描いている図である。
【図6】本発明の別のエポキシ系組成物から作製したパターンを描いている図である。
【図7】本発明の別のエポキシ系組成物から作製したさらなるパターンを描いている図である。
【図8】本発明のノボラック系組成物から作製したパターンを描いている図である。
【図9】本発明のノボラック系組成物から作製したさらなるパターンを描いている図である。
【図10】本発明のエポキシ系組成物から作製したフォトトリミングしたパターンを描いている図である。
【図11】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるフォトトリミングしたパターンを描いている図である。
【図12】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるフォトトリミングしたパターンを描いている図である。
【図13】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるフォトトリミングしたパターンを描いている図である。
【図14】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるフォトトリミングしたパターンを描いている図である。
【図15】本発明のエポキシ系組成物から作製したさらなるフォトトリミングしたパターンを描いている図である。
【図16】本発明の組成物及び方法を用いて金属蒸着のためのリフトオフプロセスを描いている図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、集合的に「プリントエレクトロニクス」として知られているインクジェット(圧電性)に基づくパターニング技術を用いるデバイス製造で使用するための材料の組成物を含む。本発明の配合物は、従来のフォトリソグラフィープロセスで用いる現在入手できる材料が圧電に基づくパターニング技術で利用されるときに存在する不都合、特に印刷ノズルの目詰まりを克服する。本発明者らは、エポキシ、ノボラック、及びポリ(ジメチルグルタルイミド)(PMGI)系の組成物を、インクジェットに良く適合させることができ、UV又は熱硬化させることができることを見出した。本発明の組成物は、デバイスにおける限界寸法を縮小するためのリフトオフ技術において使用することができ、多種多様の用途に対する吸光度(absorbance)及び導電率のために修正することができる。
【0010】
一般に、本発明の組成物は、以下に限定されないが、エポキシ(例えば、SU−8)樹脂、ノボラック樹脂、及びPMGI材料を含めたポリマーブレンド、溶媒、並びに所望により機能性添加物を含み、圧電プリンタと共に使用するように特に設計されている。本発明の組成物は、従来のコーティング法と関連する様々な問題を克服する。本発明の組成物は、スピンコーティングに対する必要性及びそれと関連する欠陥を除去する。スピンコーティングは、本質的に、様々な欠陥、例えば、微細構成(topography)の不完全な被覆、蒸発の変動による膜変動、及び基板の放射状範囲全域で様々に変わる速度効果等、を引き起こし得る。本発明の組成物は、このプロセスステップを除去することに役立つことができる。
【0011】
本発明の組成物はまた、フレキシブルな基板を含めた多種多様の表面へのコーティングを可能にする。スピンコーティングは、一般に速く回転できる硬い表面にコーティングすることができるのみである。
【0012】
本発明の組成物は、それらがその他のコーティング法、即ち、スピンコーティング、ローラーコート、及びスプレーコートと対比して、一般に、使用する化学物質の量を大幅に減少し、発生する有害廃棄物の水準を低下するという点で費用効率的でもある。
【0013】
本発明の組成物は、該デバイスの必要な場所のみに印刷することによって汚染の減少を促進する。この外科手術のような精度は、基板の特定の領域を選択的には塗布しないその他のコーティング法を超える利点を提供する。
【0014】
本発明の組成物は、熱又はUV硬化による融通性を提供して従来のコーティング法におけるいくつかのプロセスのステップを取り除く。
【0015】
本発明の組成物は、最終製品の精度を増すためのパターン解像度の改善のための手段も提供する。一実施形態において、本発明の組成物は、フォトトリミングと呼ばれるプロセスにおいて使用することができる。フォトトリミングは、インクジェット印刷されたフィーチャ上で最終調整されるフォトリソグラフィーを用いることで、インクジェット印刷の体積分配及び印刷選択性のすべての利点を伴いながら、端部の鋭さを向上させ、及び/又は、非常に高い解像度のフィーチャを生成させるプロセスである。フォトトリミングは、複数層で使用してリフトオフ(lift−off)の輪郭を生成させることができる。リフトオフの輪郭は、フォトトリミングなしで発生させることもできる。これらの方法は両方とも以下でより詳細に示す。
【0016】
上で示したように、本発明は、印刷可能な組成物であって、いずれも該組成物の合計重量を基準とした重量パーセントで、0.5〜60重量%のエポキシ、ノボラック及びポリ(ジメチルグルタルイミド)からなる群から選択されるポリマー、並びに40〜99.5重量%の(1)約10℃を超える引火点及び約130℃を超える沸点を有する高沸点溶媒、及び(2)30℃未満の引火点及び130℃以下の沸点を有する低沸点溶媒を含む溶媒組成物、を含む組成物を対象とする。これらの成分のそれぞれについて以下でより詳細に説明する。
【0017】
本発明の印刷可能な組成物の第1の成分は、当技術分野では既知のエポキシ樹脂(例えば、SU−8)、ノボラック樹脂、又はポリ(ジメチルグルタルイミド)(PMGI)等のポリマーである。これらのポリマーの組合せも所望に応じて使用することができる。本発明の組成物中のポリマーの量は、通常その組成物の全体重量を基準として、0.5〜60重量%の範囲である。より好ましい実施形態においては、該組成物の全体重量を基準として、0.5〜15重量%のPMGI、より好ましくは5〜12重量%のPMGIを使用する。他の好ましい実施形態においては、該組成物の全体重量を基準として、0.5〜40重量%のノボラック又はエポキシ樹脂、より好ましくは10〜35重量%のノボラック又はエポキシ樹脂を使用する。好ましくは、そのノボラックポリマーは、50,000ダルトン以下の分子量を有し、そのエポキシポリマーは、20,000ダルトン以下の分子量を有し、そのPGMIポリマーは、90,000ダルトン以下の分子量を有する。
【0018】
本発明の印刷可能な組成物中で使用される溶媒は、該組成物の40〜99.5重量%を含み、少なくとも1つの高沸点溶媒及び少なくとも1つの低沸点溶媒を含む溶媒組成物である。その高沸点溶媒は、約10℃を超える引火点及び約130℃を超える沸点を有する。有用な高沸点溶媒の例としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、PGMEA、シクロヘキサノン、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレンカーボネート、2−ヘプタノン、NMP、ジアセトンアルコール、及びそれらの組合せが挙げられる。その低沸点溶媒は、30℃未満の引火点及び130℃以下の沸点を有する。有用な低沸点溶媒の例としては、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルイソプロピルケトン、2−ペンタノン、ピナコロン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0019】
該ポリマーがPMGIであるとき、本発明の印刷可能な組成物中の溶媒の量は、好ましくは前記組成物の全体重量を基準として、85〜99.5重量%、より好ましくは前記組成物の全体重量を基準として、88〜95重量%の範囲である。該ポリマーがノボラック又はエポキシであるとき、本発明の印刷可能な組成物中の溶媒の量は、好ましくは前記組成物の全体重量を基準として、60〜99.5重量%、より好ましくは前記組成物の全体重量を基準として、65〜90重量%の範囲である。当業者であれば理解するであろうが、その印刷可能な組成物中の溶媒は、2つより多い成分、例えば、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の溶媒を含むことができる。
【0020】
本発明の印刷可能な組成物の一部である溶媒は、特定の基板及びポリマー組成物に対して最適化された割合で含まれる。その溶媒の割合は、該基板の接触角に対応して均一な膜を形成するように最適化する。それは固体系の溶解性に応じてさらに最適化される。その溶媒系の中の成分は、この最適化のための多様な蒸発速度(蒸気圧)を有する。好ましくは、その溶媒混合物は、所望の乾燥及び表面張力の条件に対して最適化される。一般に、低沸点の溶媒は、<15,000の分子量を有するポリマーと共に使用するときは全体の溶媒組成物の50%まで混合可能である。高沸点溶媒は、分子量にかかわらず全溶媒の0.5〜99.5%の範囲で配合することができるが、乾燥時間との兼ね合いがある。
【0021】
本発明の組成物の表面張力及び粘度は、好ましくは圧電印刷装置用に最適化される。その組成物の表面張力は、好ましくは、約28〜約33ダイン/cm2であり、粘度は、好ましくは、プリンタ作動温度で約10〜12cPsの範囲である。
【0022】
本発明の印刷可能な組成物は、架橋剤を所望により含むこともできる。好ましくはその架橋剤は、アミン化合物、例えばメラミン又はメラミン樹脂等である。市販されているメラミンの例としては、Cymel 300、301、303、350、370、380、1116、又は1130が挙げられる。グリコウリルも有用であり、特に好ましい。特に有用なグリコウリルの例は、Powderlink 1174(メトキシメントール化グリコウリル)である。ベンゾグアナミン、例えば、Cymel 1123又は1125も有用な架橋剤である。本発明の印刷可能な組成物中に含まれる架橋剤の量は、前記組成物の全体重量を基準として、0〜15重量%、より好ましくは前記組成物の全体重量を基準として、0〜10重量%、最も好ましくは前記組成物の全体重量を基準として、2.5〜9重量%の範囲である。
【0023】
本発明の印刷可能な組成物は、所望により酸発生剤を含むこともできる。その酸発生剤は、光(例えば、光酸発生剤若しくはPAG)又は熱(例えば、熱酸発生剤若しくはTAG)によって活性化して、温度又はUV光をそれぞれ用いて熱又は光化学硬化のいずれかを増進することができる。オニウム塩を、本発明のインクジェット組成物の光酸発生剤として採用することができる。弱い求核性アニオンであるオニウム塩は、特に適していることが見出されている。かかるアニオンの例は、二価〜七価の金属又は非金属、例えば、Sb、Sn、Fe、Bi、Al、Ga、In、Ti、Zr、Sc、D、Cr、Hf、及びCu並びにB、P、及びAsのハロゲン錯体のアニオンである。適当なオニウム塩の例は、周期表の族Va及びB、Ia及びB並びにIのジアリール−ジアゾニウム塩及びオニウム塩、例えば、ハロニウム塩、第四級アンモニウム、ホスホニウム及びアルソニウム塩、芳香族スルホニウム塩及びスルホキソニウム塩又はセレン塩である。適当な好ましいオニウム塩の例は、米国特許第6,190,839号、第4,442,197号、第4,603,101号、及び第4,624,912号の中に見出すことができる。置換ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート化合物、特にスルホネート塩は、本発明の反射防止組成物のための好ましいオニウムPAGである。スルホネート化エステル及びスルホニルオキシケトンを含めたその他の適当なPAGも使用することができる。ベンゾイントシレート、t−ブチルフェニルα−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセテート及びt−ブチルα−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセテートを含む適当なスルホネートPAGの開示については、J.Photopolymer Science and Technology、4(3):337〜340頁(1991年)を参照されたい。好ましいスルホネートPAGは、Sintaらの米国特許第5,344,742号にも開示されている。
【0024】
その他の有用な酸発生剤は、ニトロベンジルエステル、及びそのs−トリアジン誘導体である。適当なs−トリアジン酸発生剤は、例えば、米国特許第4,189,323号に開示されている。ハロゲン化した非イオン性光酸発生化合物、例えば、1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン(DDT)、1,1−ビス[p−メトキシフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン、1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロデカン、1,10−ジブロモデカン、1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2−ジクロロエタン、4,4−ジクロロ−2−(トリクロロメチル)ベンズヒドロール(ケルセン)、ヘキサクロロジメチルスルホン、2−クロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン、o,o−ジエチル−o−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジル)ホスホロチオネート、1,2,3,4,5,6−ヘキサクロロシクロヘキサン、N(1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエチル)アセトアミド、トリス[2,3−ジブロモプロピル]イソシアヌレート、2,2−ビス[p−クロロフェニル]−1,1−ジクロロエチレン、トリス[トリクロロメチル]s−トリアジン、並びにそれらの異性体、類似体、同族体、及び残留化合物等も適切であり得る。適当な光酸発生剤は、欧州特許出願第0164248号及び第0232972号にも開示されている。
【0025】
様々な既知の熱酸発生剤(TAG)、例えば、CXC 1612、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート及びその他の有機スルホン酸のアルキルエステルが、本発明の組成物中で適切に使用される。活性化と同時にスルホン酸を発生する化合物が一般に適する。また、熱酸発生剤よりはむしろ、特に酸の存在下で硬化させるために熱を必要とする反射防止組成物に対しては、該組成物を使用する前にその酸が組成物成分の望ましくない反応を促進しないように、酸を該組成物中に単に配合することができる。適当な酸としては、例えば、トルエンスルホン酸及びスルホン酸等のスルホン酸、トリフル酸又はそれらの物質の混合物等の強酸が挙げられる。
【0026】
本発明の組成物中で使用する酸発生剤の量は、好ましくは、前記組成物の全体重量を基準として0〜6重量%、より好ましくは、前記組成物の全体重量を基準として0〜4重量%、最も好ましくは、前記組成物の全体重量を基準として0〜3重量%の範囲である。
【0027】
染料、可塑剤、柔軟剤、表面均展剤、表面湿潤剤、及びそれらの組合せ等の付加的成分も、本発明の組成物に含めることができる。これらの付加的成分は、様々な基板上の流動力学的性質を変化させるために役立つ。本発明の組成物に含めることができるさらなる付加的成分としては、インクジェットで堆積した膜の機能特性を最初の配合物の構成成分によって提供されるそれらの改良を超えて直接変化させる特別設計のナノ粒子又はナノ粒子コンポジット材料が挙げられる。ナノ粒子及び/又はコンポジットナノ粒子材料の包含によって有利に改変される該組成物の物理的特性としては、以下に限定はされないが、膜導電率の改良、バルク膜の誘電率、膜抵抗率、膜耐熱性の増大、バルク膜屈折率、バルク膜の力学的特性の調節、及びバルク膜の生物活性の調節が挙げられる。好ましくは、かかる付加的成分の量は、該組成物の全体重量を基準として約30重量%までを添加する。好ましい実施形態において、該ナノ粒子及び/又はコンポジットナノ粒子材料は、本発明の該組成物中に該組成物の全体重量を基準として約0.1重量%〜約10重量%の範囲の量で含まれている。
【0028】
本発明の組成物は、次の手順を用いて製造することができる:
(1)選択したポリマーを、ロール掛け(50〜250rpm)によるか又は低せん断応力のミキサー(<1000rpm)を用いて低せん断応力の混合環境中で溶媒系に溶解する。ポリマーの溶媒中への溶解を助けるために溶液を加熱してもよい。ポリマーが完全に溶解するまで混合する。典型的な混合条件の例は次の通りである:
エポキシ−50℃100rpmで4時間のロール掛け
PMGI−80℃100rpmで8時間のロール掛け
ノボラック−50℃100rpmで8時間のロール掛け
【0029】
混合物中の熱によって影響されない成分は、ポリマーと共にこのステップの溶解の間にその混合物中に添加することができる。これらには代表的には可塑剤、柔軟剤、界面活性剤、及びいくらかのPAGを含めることができる。
(2)溶解後、その混合物を室温まで冷却し、熱に敏感な成分をロール掛け(50〜250rpm)によるか又は低せん断応力のミキサー(<1000rpm)を用いて低せん断応力の混合環境中で加える。完全に溶解するまで混合する。この時加える成分は、TAG、架橋剤、染料及び熱に敏感なPAGである。
(3)その溶液の濾過。その濾過のスキームは、様々な製造可能性に適合するように変化させることができるが、基本的なスキームを以下に示す。
【0030】
その溶液を、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)又はナイロン薄膜を通して予備的に濾過して全体の粒子状物質を除去する。その濾過媒体は、その配合物の組成に依存する。その細孔サイズは、その溶液の全体の固体含量によって約0.01から約5ミクロンまで変化する。その溶液は、その溶液の全体の固体含量によって約0.01から約0.2ミクロンにかけての細孔サイズの同じ媒体を用いて最後の濾過をする。当業者であれば、このステップでの使用にはその他の細孔サイズも可能であることを理解するであろう。
【0031】
上記の組成物を圧電プリンタで利用するためには、以下のステップが用いられる:
圧電プリンタのカートリッジ、例えば、Dimatix社の材料カートリッジモデル#DMC−11610を、約1.5mlの該組成物を満たしたシリンジからの針をその注入口に注意深く挿入することによって満たす。その材料はゆっくり注入してその流体モジュールを満たす。その流体モジュールの圧力ポート及びそのジェットモジュールの開口部は、整列させ、互いにかみ合わせる。その充填されたカートリッジは次いで30分間そのままにして取り込んだ空気がノズルから抜けるように処理する。
【0032】
その溶液に対する適切な波形を選択し、各プリントヘッドに対する適切な電圧設定も選択して、ジェットの際の特定のインク組成物に対する最適な液滴速度を得る。
【0033】
堆積させる基板としては、その要求される用途によって変化するが、典型的な半導体基板のSi、GaAs及びその他のIII〜IV価及びIII〜V価金属、ガラスを挙げることができる。フレキシブルな基板としては、様々なプラスチック、例えば、PET、PETG、カプトン及びマイラー等を挙げることができる。これらのフレキシブルな基板及びSi等の標準的な半導体基板は、様々な金属、例えば、Au、Cu、Ag、又は様々な酸化物化合物例えばITO、アンチモンスズ酸化物、及びTiO2等によりさらにコーティングすることができる。
【0034】
ポリマー組成物の堆積に続いて、該コーティングは、該組成物及び/又は該組成物中の溶媒系の蒸発速度次第で、気流により、対流式オーブンシステムを介して又はホットプレートを用いて熱的に、或いはUV光照射により硬化させることができる。UV硬化したインクは、初期照射の後その系を十分に硬化させるために追加の熱焼付けが必要であり得る。高温(>120℃)硬化はまた、場合によって、コーティングの硬化の割合又は耐薬品性も増大させる。
【0035】
本発明の印刷可能な組成物は、様々な方法、例えば、熱及びレーザーインクジェット法を含めたインクジェット(圧電)法、スタンピング、スクリーンコーティング、シリンジによる分配、グラビアコーティング、フレキソコーティングなどで分配することができる。本発明の組成物は、圧電及び/又は熱及び/又はレーザーインクジェットプリンタと共に使用するために特に設計されている。
【0036】
さらなる実施形態において、光酸発生剤を含む本発明の組成物により印刷した基板は、フォトトリミングとして知られるプロセスにかけることができる。このプロセスは、パターン化した基板を高解像度のリソグラフィーマスクを通してUV光にさらすことを含む。手短に言えば、フォトトリミングプロセスは、(1)インクジェット印刷したフィーチャについてのパターン端部の鋭さを改善する必要性及び/又は(2)既に印刷したパターンを用いて選択的に高解像度のフィーチャをパターン化する要望に対応している。図1は、ネガ(架橋)型のためのプロセスを説明する概略図を示している。
【0037】
本発明の組成物及び方法は、以下のものを含む様々な製造プロセスに有用である:
化合物半導体の製造:トランジスタ製造におけるリフトオフ;PMGIを表面不活性化のための誘電体層として使用することができる。
リフトオフ:リフトオフは、化合物半導体の用途、例えば、光起電力、垂直共振器表面発光ダイオードレーザー(VCEL)、トランジスタ等において、金属蒸着を制御するために使用することができる。
光エレクトロニクス、例えばLEDの製造等:カプセル化/保護層の堆積、リフトオフプロセスにおける金属蒸着、光反射のためのバックグラウンド回折格子の作成。
エネルギー装置:バッテリー及び燃料電池の応用における製造プロセスを可能にする。
ディスプレー:DLPディスプレー−支持構造物としてのエポキシの堆積、
MEMS:感知装置、作動装置、共振器、マイクロ流体素子;PMGIを、3次元のMEMS装置で使用するための犠牲層の支持体として使用することができる、
印刷したワイヤーボード及び印刷したサーキットボード:プロセスに対するエッチング耐性、
保護層:素子の後部包装。
フォトトリミングは、MEMS、マイクロ流体、ナノインプリントに対する解像度を増すために使用することができ、上記の用途のいずれも向上させるために使用することができる。
【実施例】
【0038】
以下の実施例は、本発明について説明するが、その範囲を限定することは何ら意図するものではない。他に明示的に記されていない限りすべての部及びパーセントは、重量基準であり、すべての温度は、摂氏温度である。
【0039】
(例1)
エポキシ系組成物1
エポキシ(SU−8)組成物を上に概説したように以下の成分をブレンドすることによって作製した。
【表1】
【0040】
上の成分を上記のようにして混合し、シリコン基板上に印刷し、上記のようにして硬化した。この組成物による画像は電子顕微鏡により観察し、図1〜4に示した。
【0041】
(例2)
エポキシ系組成物2
第2のエポキシ(SU−8)組成物を上に概説したように以下の成分をブレンドすることによって作製した。Dimatix DMP−2800シリーズ16圧電プリントヘッドプリンタと共に使用するとき、この組成物は溶媒系を変えることによって単一パスに対してより厚いフィーチャを生成する。
【表2】
【0042】
上の成分を上記のようにして混合し、シリコン基板上に印刷し、上記のようにして硬化した。この組成物による画像は電子顕微鏡により観察し、図5〜6に示した。
【0043】
(例3)
ノボラック樹脂
ノボラック組成物を、上に概説したように以下の成分をブレンドすることによって作製した。
【表3】
【0044】
上の成分を上記のようにして混合し、シリコン基板上に印刷し、上記のようにして硬化した。この組成物による画像は電子顕微鏡により観察し、図7〜8に示した。
【0045】
(例4)
PMGI組成物
PMGI組成物を、上に概説したように以下の成分をブレンドすることによって作製した。
【表4】
【0046】
上の成分を上記のようにして混合し、シリコン基板上に印刷し、上記のようにして硬化した。
【0047】
(例5)
能動マトリックス液晶ディスプレー(AMLCD)及び能動マトリックス有機発光ダイオードディスプレー(AMOLED)用の光パターニングエポキシの導電性ナノコンポジット
このインクジェットエポキシ組成物は、ナノサイズの導電性酸化インジウムスズ(ITO)の導電性ナノコンポジット(5〜100nmの直径又は単分散ナノスフェア)をAMLCD及びAMOLED用途向けのピクセルの中のリジット及びフレキシブル両方の導電トランジスタのインクジェットパターンに組み込む。そのITOトランジスタをパターン化するために必要な解像度を得るために、次にフォトトリミングを用いる。
【表5】
【0048】
ITOナノスフェア(0.1〜10重量%)を、29.5重量%のエポキシSU−8樹脂+62.1重量%のシクロペンタノンの溶液中に分散させる。成分の残りを連続して加え、室温で12〜24時間撹拌する。その後、その全体を1ミクロンあるいはそれより良好になるように濾過する。
【0049】
(例6)
光パターニングエポキシの導電性ナノコンポジット
例5に記載の一般的な配合レシピを用い、ITOナノスフェアをTiO2ナノスフェアに置き換えて恒久的用途のために光及び熱硬化性エポキシ中に分散させた酸化チタン(TiO2)ナノスフェア(5〜100nm)からなるナノコンポジットの遮光性誘電体膜がこの例を特定する。
【0050】
(例7)
光パターニングエポキシの導電性ナノコンポジット
耐湿性バリア層として使用するための、光又は熱硬化したエポキシと共にナノサイズのシリカ及び/又はゼオライト組成物(5〜100nmの球の直径)からなるナノコンポジットバリア層。例5を基本レシピとして用い、ITOをナノサイズのシリカ及び/又はゼオライトナノコンポジット組成物に置き換えたことがこの例を特定する。
【0051】
(例8)
光パターニングエポキシの導電性ナノコンポジット
光又は熱硬化したエポキシポリマーと共に5〜100nmのナノスフェア又は同等物のナノサイズの銀又は銀ナノコンポジット化合物からなるナノコンポジットの抗菌性、抗バクテリア性の膜層。
【0052】
(例9)
フォトトリミング
例1又は2のインクジェット印刷したエポキシ組成物は、その後、高解像度のリソグラフィーマスクを通すUV光によりパターン化することができる。このプロセスを実施するためには、上に概説したように光マスクをこれらの画像を生成するようにその印刷した領域に整列させる。フォトトリミングの2つの主要な特徴は、処理中の解像度の増加とスカム(scum)の減少である。フォトトリミングは、印刷可能なPMGI組成物を印刷されたエポキシ又はノボラック配合物と共に積層してそれを画像化するリフトオフプロセスで使用することもでき、さらに解像度を増すことができる。そのフォトトリミングプロセスの結果を図9〜14に示す。
【0053】
(例10)
金属蒸着のためのリフトオフプロセス
上で示したように、リフトオフプロセスは、化合物半導体用途、例えば光起電力技術、VCEL、トランジスタ等において、金属蒸着を制御するために使用することができる。本発明の組成物及びプロセスを用いるこの技術の例が図15に示されている。
【0054】
リフトオフの輪郭の顕微鏡写真(図15、オプション2)を作った。下層は、印刷して硬化したPGMIインク(例4)から作製して硬化し、110℃で1分間硬化した。この生成物を印刷して硬化したエポキシインク(例2)を含む表面層でコーティングし、次いで110℃で1分間硬化した。現像時間(浸漬)は、2.38%のTMAH現像液中で〜1分であった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷可能な組成物であって、いずれも該組成物の合計重量を基準とした重量パーセントで、
0.5〜60重量%のエポキシ、ノボラック及びポリ(ジメチルグルタルイミド)からなる群から選択されるポリマー、並びに
40〜99.5重量%の(1)約10℃を超える引火点及び約130℃を超える沸点を有する高沸点溶媒、及び(2)30℃未満の引火点及び130℃以下の沸点を有する低沸点溶媒を含む溶媒組成物、
を特徴とする印刷可能な組成物。
【請求項2】
前記ポリマーが、ポリ(ジメチルグルタルイミド)であり、前記組成物の合計重量を基準として0.5〜15重量%を含む、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが、ポリ(ジメチルグルタルイミド)であり、前記組成物の合計重量を基準として5〜12重量%を含む、請求項2に記載の印刷可能な組成物。
【請求項4】
前記ポリマーが、エポキシ又はノボラックであり、前記組成物の合計重量を基準として0.5〜40重量%を含む、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項5】
前記ポリマーが、エポキシ又はノボラックであり、前記組成物の合計重量を基準として10〜35重量%を含む、請求項4に記載の印刷可能な組成物。
【請求項6】
前記溶媒組成物が、前記組成物の合計重量を基準として85〜99.5重量%を含む、請求項2に記載の印刷可能な組成物。
【請求項7】
前記溶媒組成物が、前記組成物の合計重量を基準として88〜95重量%を含む、請求項3に記載の印刷可能な組成物。
【請求項8】
前記溶媒組成物が、前記組成物の合計重量を基準として60〜99.5重量%を含む、請求項4に記載の印刷可能な組成物。
【請求項9】
前記溶媒組成物が、前記組成物の合計重量を基準として65〜90重量%を含む、請求項5に記載の印刷可能な組成物。
【請求項10】
前記高沸点溶媒が、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、PGMEA、シクロヘキサノン、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレンカーボネート、2−ヘプタノン、NMP、ジアセトンアルコール、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項11】
前記低沸点溶媒が、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルイソプロピルケトン、2−ペンタノン、ピナコロン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項12】
前記組成物の全体重量を基準として、0〜15重量%の範囲の量で架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項13】
前記架橋剤が、前記組成物の全体重量を基準として、0〜10重量%の範囲である、請求項12に記載の印刷可能な組成物。
【請求項14】
前記架橋剤が、前記組成物の全体重量を基準として、2.5〜9重量%の範囲である、請求項13に記載の印刷可能な組成物。
【請求項15】
前記架橋剤が、Cymel 300、301、303、350、370、380、1116、1130、Powderlink 1174、Cymel 1123、1125、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の印刷可能な組成物。
【請求項16】
前記組成物の全体重量を基準として、0〜6重量%の範囲の酸発生剤をさらに含む、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項17】
前記酸発生剤が、前記組成物の全体重量を基準として、0〜4重量%の範囲である、請求項16に記載の印刷可能な組成物。
【請求項18】
前記酸発生剤が、前記組成物の全体重量を基準として、0〜3重量%の範囲である、請求項17に記載の印刷可能な組成物。
【請求項19】
染料、可塑剤、柔軟剤、表面均展剤、表面湿潤剤、ナノ粒子、ナノコンポジット材料、及びそれらの組合せからなる群から選択される付加的成分をさらに含む、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項20】
基板上に印刷パターンを生成する方法であって、
(1)請求項1に記載の印刷可能な組成物を、圧電印刷デバイスを用いて基板に塗布するステップ、
(2)該塗布した組成物を乾燥するステップ、及び
(3)所望により、該乾燥した組成物を硬化して基板上に印刷パターンを生成するステップ、
を含む方法。
【請求項21】
前記乾燥ステップが、熱の存在下で行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記の所望による硬化ステップが、フォトトリミングを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項1】
印刷可能な組成物であって、いずれも該組成物の合計重量を基準とした重量パーセントで、
0.5〜60重量%のエポキシ、ノボラック及びポリ(ジメチルグルタルイミド)からなる群から選択されるポリマー、並びに
40〜99.5重量%の(1)約10℃を超える引火点及び約130℃を超える沸点を有する高沸点溶媒、及び(2)30℃未満の引火点及び130℃以下の沸点を有する低沸点溶媒を含む溶媒組成物、
を特徴とする印刷可能な組成物。
【請求項2】
前記ポリマーが、ポリ(ジメチルグルタルイミド)であり、前記組成物の合計重量を基準として0.5〜15重量%を含む、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが、ポリ(ジメチルグルタルイミド)であり、前記組成物の合計重量を基準として5〜12重量%を含む、請求項2に記載の印刷可能な組成物。
【請求項4】
前記ポリマーが、エポキシ又はノボラックであり、前記組成物の合計重量を基準として0.5〜40重量%を含む、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項5】
前記ポリマーが、エポキシ又はノボラックであり、前記組成物の合計重量を基準として10〜35重量%を含む、請求項4に記載の印刷可能な組成物。
【請求項6】
前記溶媒組成物が、前記組成物の合計重量を基準として85〜99.5重量%を含む、請求項2に記載の印刷可能な組成物。
【請求項7】
前記溶媒組成物が、前記組成物の合計重量を基準として88〜95重量%を含む、請求項3に記載の印刷可能な組成物。
【請求項8】
前記溶媒組成物が、前記組成物の合計重量を基準として60〜99.5重量%を含む、請求項4に記載の印刷可能な組成物。
【請求項9】
前記溶媒組成物が、前記組成物の合計重量を基準として65〜90重量%を含む、請求項5に記載の印刷可能な組成物。
【請求項10】
前記高沸点溶媒が、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、PGMEA、シクロヘキサノン、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレンカーボネート、2−ヘプタノン、NMP、ジアセトンアルコール、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項11】
前記低沸点溶媒が、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルイソプロピルケトン、2−ペンタノン、ピナコロン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項12】
前記組成物の全体重量を基準として、0〜15重量%の範囲の量で架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項13】
前記架橋剤が、前記組成物の全体重量を基準として、0〜10重量%の範囲である、請求項12に記載の印刷可能な組成物。
【請求項14】
前記架橋剤が、前記組成物の全体重量を基準として、2.5〜9重量%の範囲である、請求項13に記載の印刷可能な組成物。
【請求項15】
前記架橋剤が、Cymel 300、301、303、350、370、380、1116、1130、Powderlink 1174、Cymel 1123、1125、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の印刷可能な組成物。
【請求項16】
前記組成物の全体重量を基準として、0〜6重量%の範囲の酸発生剤をさらに含む、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項17】
前記酸発生剤が、前記組成物の全体重量を基準として、0〜4重量%の範囲である、請求項16に記載の印刷可能な組成物。
【請求項18】
前記酸発生剤が、前記組成物の全体重量を基準として、0〜3重量%の範囲である、請求項17に記載の印刷可能な組成物。
【請求項19】
染料、可塑剤、柔軟剤、表面均展剤、表面湿潤剤、ナノ粒子、ナノコンポジット材料、及びそれらの組合せからなる群から選択される付加的成分をさらに含む、請求項1に記載の印刷可能な組成物。
【請求項20】
基板上に印刷パターンを生成する方法であって、
(1)請求項1に記載の印刷可能な組成物を、圧電印刷デバイスを用いて基板に塗布するステップ、
(2)該塗布した組成物を乾燥するステップ、及び
(3)所望により、該乾燥した組成物を硬化して基板上に印刷パターンを生成するステップ、
を含む方法。
【請求項21】
前記乾燥ステップが、熱の存在下で行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記の所望による硬化ステップが、フォトトリミングを含む、請求項20に記載の方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【図16】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【図16】
【公表番号】特表2010−540695(P2010−540695A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525839(P2010−525839)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/010899
【国際公開番号】WO2009/038766
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510078964)マイクロケム コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/010899
【国際公開番号】WO2009/038766
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510078964)マイクロケム コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
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