説明

プリント回路板の設計支援方法、プリント回路板の設計支援システム及びプログラム

【課題】 良質の設計を効率的且つ同時並行的に行うことを可能とするプリント回路板の設計支援方法、プリント回路板の設計支援システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】 複数の設計者による1つのプリント回路板の設計を支援するプリント回路板の設計支援方法であって、電子部品の配置設計がされた配置・配線データに基づいて、少なくとも前記複数の設計者の各々が担当する設計領域及び配線のレイアウトに関する情報を含む指示情報を作成する指示情報作成ステップと、前記指示情報を、データベースに格納する指示情報格納ステップと、前記指示情報が作成されたことを前記複数の設計者が使用するクライアント端末装置に通知する指示情報通知ステップと、を有することを特徴とする。この指示情報を各設計者が把握して設計が実行することにより、各設計者間の干渉を削減させて、効率的で設計品質の良く同時並行的にプリント回路板の設計を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数人によるプリント回路板の設計に好適なプリント回路板の設計支援方法及び設計支援システム並びにこのシステムに好適なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
設計の期間短縮化のために、一つの設計対象を複数のCAD装置に分配して同時並行で作業を行う設計方法が提案されている。例えば特許文献1には、設計対象の内容を機能別に複数のパートに分割し、それぞれのパートを独立した設計作業として各CAD装置に割付けて行う同時並行設計方法が開示されている。
【0003】
しかし、プリント回路板の設計では、回路を形成する多数の配線と部品とを縦横無尽に密集してレイアウトすることが要求されるため、独立した複数のパートに分割することは困難である。例えば、あるパートでの配線の設計の結果、その配線が繋がっている隣接するパートとの間で干渉や矛盾が生じることがある。このため、各パートで独立して設計を進めることは難しい。
【0004】
一方、設計対象を分割することなく同一設計対象を複数CAD装置または端末装置でアクセスする設計方法も知られている。例えば、特許文献2には、CAD装置毎に優先順位を設定する方法が開示され、特許文献3には、対象オブジェクトへ最初に設計・編集要求をした端末装置が他の端末装置を排他して設計・編集する方法が開示されている。これらの方法によれば、主設計者の下で複数の設計者がチーム形式で一つの設計対象であるプリント回路板の設計を行うことにより、複数設計者間の干渉や矛盾を自動的に解消して同時並行的に設計を行うことが可能となる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−117078号公報
【特許文献2】特開平08−235233号公報
【特許文献3】特開2003−186914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、同時並行的に行う設計では、多くの場合、設計者間の習熟度に差があることや設計構想に対する情報ギャップがあること等のために、設計者間に跨るオブジェクトの設計については干渉や矛盾が解消されていない。そして、これらの干渉や矛盾の度に設計者間での詳細な調整や設計ミスの訂正を行うことになり、設計効率の低下が生じてしまう。
【0007】
本発明は上述した問題点を鑑みてなされたものであり、良質の設計を効率的且つ同時並行的に行うことを可能とするプリント回路板の設計支援方法、プリント回路板の設計支援システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
【0009】
本発明に係るプリント回路板の設計支援方法は、複数の設計者による1つのプリント回路板の設計を支援するプリント回路板の設計支援方法であって、電子部品の配置設計がされた配置・配線データに基づいて、少なくとも前記複数の設計者の各々が担当する設計領域及び/又は配線のレイアウトに関する情報を含む指示情報を作成する指示情報作成ステップと、前記指示情報を、データベースに格納する指示情報格納ステップと、前記指示情報が作成されたことを前記複数の設計者が使用するクライアント端末装置に通知する指示情報通知ステップと、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るプリント回路板の設計支援システムは、複数の設計者による1つのプリント回路板の設計を支援するプリント回路板の設計支援システムであって、電子部品の配置設計がされた配置・配線データに基づいて、少なくとも前記複数の設計者の各々が担当する設計領域及び/又は配線のレイアウトに関する情報を含む指示情報を作成する指示情報作成手段と、前記指示情報を、データベースに格納する指示情報格納手段と、前記指示情報が作成されたことを前記複数の設計者が使用するクライアント端末装置に通知する指示情報通知手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプログラムは、複数の設計者による1つのプリント回路板の設計をコンピュータに支援させるプログラムであって、コンピュータに、前記プリント回路板の設計の基準となる設計情報及び電子部品の配置設計情報を含む配置・配線データを表示装置に表示させる手順と、前記プリント回路板を複数の設計領域に区画し、前記設計者毎に一つ以上の設計領域の割付けをし、互いに異なる設計者に割り当てられた隣り合う設計領域については、設計順番を互いに異なるものとした第1の指示情報を使用者に入力させる手順と、相異なる電子部品の3つ以上の部品ピンを経由して接続する配線の接続順序を指示する第2の指示情報を使用者に入力させる手順と、他の配線より優先して配線経路を確保する配線を指示する第3の指示情報を使用者に入力させる手順と、配線を設計する位置又は配線層の少なくとも一方を指示する第4の指示情報を使用者に入力させる手順と、前記第1乃至第4の指示情報を、データベースに格納する指示情報格納手順と、前記第1乃至第4の指示情報が作成されたことを前記複数の設計者が使用するクライアント端末装置に通知する指示情報通知手順と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各々が担当する設計領域及び/又は配線のレイアウトに関する情報を含む指示情報を各設計者が確認することができる。このため、各設計者がこの指示情報に沿って設計を進めることにより、設計者間の干渉や設計・編集の矛盾の発生を低減して、良質の設計を効率的且つ同時並行的に行うことが可能となる。特に、設計領域の設計順番、配線の接続順序、優先して経路を確保する配線、配線する位置や配線層等のプリント回路板に配線設計するための指示情報をクライアント端末装置で確認することにより、良質の設計をより容易に行うことが可能となる。
【0013】
また、クライアント端末装置を用いる設計者は、特段の習熟を要することなく設計することができるようになるため、習熟度による設計者間の設計時間や設計品質等の差を低減することができる。更に、設計後の完成検査の際には、設計された配線パターンを画像情報や文章形式で作成した指示情報と直接に対比することを可能とすれば、迅速に且つ正確な検査ができ、設計期間の短縮が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るプリント回路板設計支援システム100の構成を示すブロック図である。
【0015】
このプリント回路板設計支援システム100は、サーバCAD装置10及び複数のクライアント端末装置11〜13を備え、サーバCAD装置10とクライアント端末装置11〜13とは所定のネットワーク55を介して通信するものである。クライアント端末装置の台数に限定はないが、本実施形態では3台としてある。
【0016】
サーバCAD装置10は、コンピュータ(CPU)等を備えており、プリント回路板についての部品配置設計や配線設計を行うCAD(コンピュータ支援設計)機能を発揮する。CPUが実行するプログラムは、例えば記憶媒体ドライブ53に格納されている。サーバCAD装置10は、回路設計図、部品ライブラリ及び配線仕様や設計制約条件等に基づいて入力されたプリント回路板の設計に必要な設計情報21、サーバCAD装置10やクライアント端末装置11〜13を用いて編集された配置・配線データ28、並びに指示情報41(その詳細は後述する)等を格納するデータベース20と情報等の送受信を行う。更に、サーバCAD装置10は、設計情報21、配置・配線データ28及び指示情報41等を画像情報として表示する表示装置52、キーボードやマウス等からなる入力装置51、プログラムやデータ等を取り込むための記憶媒体ドライブ53、並びに指示情報処理装置30等との間でも情報等の送受信を行う。
【0017】
ここで、指示情報処理装置30の機能構成について説明する。図2は、指示情報処理装置30の機能構成を示す機能ブロック図である。指示情報処理装置30は、サーバCAD装置10との情報のやり取りを仲介するインターフェース部39、サーバCAD装置10を制御してデータを表示装置52に出力させる処理、データをデータベース20に格納させたる処理、及び指示情報41の更新状態等をクライアント端末装置に通知する処理等を行うサーバCAD制御部40、並びに指示情報41を作成する指示情報作成部31を備えている。なお、インターフェース部39は、サーバCAD装置10と指示情報処理部30とのプログラム仕様等が同じ場合は省くことが可能である。
【0018】
指示情報処理装置30を構成する上記の各部は、例えばコンピュータ(CPU)及びこれが実行するプログラムにより構成されている。このプログラムは、例えば記憶媒体ドライブ53に格納されている。
【0019】
指示情報作成部31は、プリント回路板を複数の設計領域に分割し、各クライアント端末装置を担当する設計者毎に設計領域を割付けし、その設計領域毎の設計順番を指示する指示情報を作成する設計領域指示作成部32、三つ以上の部品ピンを経由して接続する配線に関し、接続順序を指示する指示情報を作成する接続順序指示作成部33、優先して配線経路を確保すべき配線を指示する指示情報を作成する優先配線指示作成部34、プリント回路板上での配線の位置又は配線層等の指示情報を作成する配線ルート指示作成部35、及び配線の態様について文章形式で指示する指示情報を作成する文章形式指示作成部36を備えている。
【0020】
サーバCAD制御部40は、サーバCAD装置10を制御して、設計情報21や配置配線データ28を表示装置52に表示させる準備情報表示部47、指示情報作成部31を動作させて作成した指示情報41をサーバCAD装置10が管理するデータベース20に格納する指示情報格納部48、及び指示情報41が作成されたことをクライアント端末装置11〜13に通知する指示情報通知部49を備えている。
【0021】
本実施形態に係るプリント回路板設計支援システム100においては、主設計者SがサーバCAD装置10を操作し、指示情報処理装置30を用いて、設計領域の区分等や配線の設計位置(レイアウト)等に関する指示情報41等を作成する。この際、主設計者Sは表示装置52に表示させたデータベース20の設計情報21や配置・配線データ28等を参照しながら指示情報41を作成することができる。その後、指示情報処理装置30は、作成された指示情報41をデータベース20に格納し、指示情報41が作成されたことをクライアント端末装置11〜13に通知する。
【0022】
クライアント端末装置11〜13は、夫々に備えられた指示情報参照部14〜16を用いて、ネットワーク55を介してサーバCAD装置10が管理するデータベース20に格納された指示情報41を参照することができる。同様に、クライアント端末装置11〜13は、データベース20に格納された設計情報21をも参照することができる。従って、各クライアント端末装置11〜13を使用する設計者A〜Cは、指示情報41及び設計情報21を参照して、配置・配線データ28を編集してプリント回路板の設計を行うことができる。
【0023】
従って、以上のような構成を備えたプリント回路板設計支援システム100によれば、クライアント端末装置11〜13を操作する設計者A〜Cが、熟練した主設計者Sの作成した指示情報41を参照することにより、設計者間で発生する編集内容の干渉や矛盾を削減させながら、配置・配線データ28を効率良く編集することができるようになる。即ち、設計者A〜Cがこのプリント回路板設計支援システム100を利用することにより、一つのプリント回路板の部品配置設計や配線設計を同時並行的且つ効率的に行うことができる。また、主設計者Sについても、他の設計者A〜Cと同様に配置・配線データ28の編集できる環境に設定可能とすることが好ましい。
【0024】
次に、指示情報処理装置30の処理動作について説明する。図3は、第1の実施形態における指示情報処理装置30を用いた処理を示すフローチャートである。なお、図3中の破線で囲んだブロック(31及び40)は、夫々指示情報作成部31及びサーバCAD制御部40を用いた処理であることを表している。また、ここでは、データベース20には、設計準備の段階で入力する設計情報21として、例えば、プリント回路板の外形形状、配線層の構成、部品配置領域、配線禁止領域や部品高さ制限領域等に関する基板情報23、部品の配置設計に必要な電子部品の外形寸法や電子部品に付随するリード・パッドの形状や寸法等に関する部品情報24、及び電子部品間の配線接続に関する接続情報25と、バイアホール・配線幅・配線間隔等の設計制約や配線層の属性等に関する配線仕様情報26等が予め格納されている。更に、既に、主設計者SがサーバCAD装置10を用い、設計情報21に基づいて主要な電子部品を優先的に配置設計した配置・配線データ28等がデータベース20に格納してあるものとする。
【0025】
また、実際の部品配置設計において優先的に配置設計する主要な電子部品は、高集積回路等で多ピンからなり配線接続数が多いQFP(quad flat package)やBGA(ball grid array)と称されるパッケージIC等や、サイズや配置高さが大きいこと等で配置位置が限定される大型コンデンサー、コイルや水晶振動子などの発信回路用部品、高周波回路上の制約から配置位置が決定されるダンピング抵抗、ICの近傍に配置しICへの供給電源等の安定化を行うバイパスコンデンサ、終端抵抗等およびプリント回路板の外部と電気接続するためのコネクタ等である。
【0026】
先ず、ステップS101では、サーバCAD制御部40が、主要な電子部品の配置設計を行った配置・配線データ28と設計情報21の画像情報とを重ね合せて表示装置52に表示させる。図4は、この表示内容の一例としてプリント回路板全体の概略を示している。この概略表示では、配置・配線データ28において優先的に配置することとした主要な電子部品である、QFP62、SOP(small outline package)63、バイパスコンデンサ65、大型コンデンサー66及びコネクタ67がプリント回路板60の表面に配置され、SOP64及びバイパスコンデンサ65が裏面に配置されることを示している。つまり、図4では、模様が付された電子部品が裏面に配置されることを示している。また、この表示には、ラッツネストとよばれる設計情報21の接続情報25に基づく部品ピン間の配線接続状態を示す破線61が含まれる。このラッツネストは、電子部品の部品ピン間を結ぶ線分として表示される。つまり、図4に示すように、サーバCAD制御部40は、設計情報21と配置・配線データ28とを重ね合せて画像情報101として表示装置52に表示させるのである。これらの部品配置は、主設計者Sが予め配置設計し、配置・配線データ28としてデータベース20に格納させていたものである。
【0027】
ステップS103では、主設計者Sが設計領域指示作成部32を動作させて、プリント回路板を複数の設計領域に分割し、複数の設計者に割付ける等の設計領域指示情報42を作成する。なお、この設計領域指示情報42は、
(1)クライアント端末装置11〜13の設計者毎に一つ以上の設計領域を割付けできる数の設計領域にプリント回路板を領域分割し、設計領域毎に担当する設計者を指定した指示情報、及び
(2)設計領域毎の設計する順番を指示する指示情報
が含まれている。なお、設計する順番を指示する際には、この設計領域の任意の一つを第一の設計領域としたとき、該第一の設計領域を第一の設計者の設計順番1とし、該第一の設計領域に隣接しない任意の一つの設計領域を第二の設計者の設計順番1と指示することにより、異なる設計者間の設計領域が隣接する場合に設計作業が同時にならないようにし、設計者間の干渉を削減させることとする。この際、主設計者Sは、回路の機能的ブロックや配線数等を考慮すると共に、クライアント端末装置11〜13の各設計者A〜Cの能力等を勘案し、プリント回路板の設計が効率的に最も早く完了できる設計領域の分割を行って設計者A〜Cへ割付けることが好適である。
【0028】
図5は、作成された設計領域指示情報42の内容を示す図である。設計領域指示情報42の作成の実態は、主設計者SがステップS101で表示装置52に表示させた画像情報101に基づいて、入力装置51を用いて対話形式でプリント回路板60内に領域区分線70の図形を作成し、プリント回路板を複数の設計領域に区分するというものである。そして、各設計領域に、その設計領域を担当する設計者名(A〜C)及びその設計領域の設計順番(1〜3)を記入したタグ71の図形を作成する。図5に示す例では、プリント回路板の配線領域をA1〜A3、B1〜B3及びC1〜C2からなる8つの設計領域に分割し、設計者A〜Cへの割付けを行った状態を示している。
【0029】
ここで、タグ71が示す指示内容について説明する。例えばタグにB2と記入されている設計領域は、設計者Bに割付けられ、設計者Bに割付けられた3つの設計領域の2番目に設計すべき設計領域であることを指示するものである。従って、設計者Aには、3つの設計領域が割付けられ設計領域A1、A2、A3を順に設計することを指示しており、設計者Bには、3つの設計領域が割付けられ、設計領域B1、B2、B3を順に設計することを指示している。同様に、設計者Cには、2つの設計領域が割付けられ、設計領域C1、C2を順に設計することを指示している。
【0030】
また、各設計領域の設計順番は、設計者間で設計作業時に生じる干渉を削減させることを意図して主設計者Sが決定したものである。図5に示す例では、設計者Aに設計順番1の設計領域A1が第1の設計領域として割付けられており、設計領域A1である第1の設計領域に隣接しない任意の一つの設計領域として設計領域B1が設計者Bの設計順番1として割付けられている。なお、主設計者Sは、設計領域B1と設計領域B2と入れ替えて設定してもよい。
【0031】
このような設定が主設計者Sによりされた場合、設計者Aは、設計順番の指示に従い設計領域A1から設計を開始する。また、隣接する設計領域B3を設計担当する設計者Bは、設計順番の指示情報に従って設計領域B1から設計を開始する。即ち、設計者Aが設計している領域と設計者Bが設計している領域とは互いに隣接していない。従って、設計者Aは、設計領域A1と設計領域B3との境界を跨ぐ配線の設計に関して、設計者Bとの干渉や矛盾を配慮することなく優先的に設計することができる。その後、設計者Bが設計領域B3を設計する際には、既に設計者Aによる設計領域A1と設計領域B3との境界を跨ぐ配線の設計がこの境界上まで終了している。従って、設計者Bは、設計領域B3の設計を行うに当たっては、設計者Aが設計し終わったこの境界までの配線の端の位置等を考慮することとなる。即ち、設計者Bは、設計領域B3内の所定の配線の端が、既に設計者Aにより設計された配線の端と接続されるように、配線設計を行う。このため、設計領域B3での配線設計を設計者Aによる配線設計と干渉することなく効率的に実行することができる。主設計者Sは、同様な設計順番の関係を、設計領域B1と設計領域C2との境界、及び設計領域C1と設計領域A3との境界においても設定している。
【0032】
このように設計領域の設計順番を指示することにより、設計者間の干渉や矛盾の発生を少なくして迅速で効率な配置・配線設計ができるのである。なお、この設計領域は、担当設計者A〜Cの編集独占性や他設計者による編集の排他性を決定するものではないので、他の設計者に割付けられた設計領域の設計内容を別の設計者が編集することは可能である。
【0033】
このようにステップS103で作成された設計領域指示情報42は、領域区分線70、タグ71の図形、及びそれらの位置データを含む画像情報であって、ステップS101で表示装置52に表示した画像情報101と重ね合わされる画像情報である。
【0034】
次のステップS105からステップS111では、主設計者Sが指示情報作成部31を動作させて、プリント回路板の各部分における配線の接続順序の指示、優先配線する順番の指示、配線ルートの位置や配線層の指示及び配線自体や配線相互の態様について指示等の配線レイアウトに関する指示情報を作成する。即ち、これらのステップでは、設計領域に依存することなく、クライアント端末装置11〜13を担当する全設計者A〜Cに共通の指示情報を主設計者Sが作成する。本実施形態では、このような的確な指示情報をクライアント端末装置11〜13の設計者A〜Cに伝えることにより、迅速で信頼性の高いプリント回路板の設計が可能になるのである。
【0035】
ステップS105では、主設計者Sが接続順序指示作成部33を動作させて接続順序指示情報43を作成する。この接続順序指示情報43は、3つ以上の部品ピンを経由して接続する信号配線の接続形態又は接続順序を指示する情報である。この接続順序が適正でない場合には、高速のバス配線や高周波クロック配線の信号伝送において時間遅延やノイズ増大等による不具合が生じ、プリント回路板が正常に動作しないことが起き得る。
【0036】
図6は、接続順序指示情報43の作成例を示す図である。図6(a)は、ステップS101で表示した画像情報101である図4に示すプリント回路板60のほぼ中央部を拡大し、領域区分線70の図形を重ね合して図示したものである。3つの電子部品81、82及び83の間を接続する4本の信号バスの接続情報25に基づくラッツネストは、各電子部品の部品ピン609間を最短で接続する線分の仮想配線として自動作画されている。即ち、例えば、電子部品81と電子部品83との部品ピン609間を結ぶラッツネスト84、及び電子部品83と電子部品82との部品ピン609間を結ぶラッツネスト85が作画され、4本の信号バスの各配線は3つの部品ピン609を経由する配線となっている。しかし、回路図上の規制による正しい接続順序は、電子部品81から電子部品82に配線を接続し、更に電子部品82から電子部品83に至る配線の接続順序を要求されていることがある。この場合、自動作画されたラッツネスト84及び85が正しい接続順序と異なることとなる。このような場合には、主設計者Sが、図6(b)に示すように、その接続順序を的確に指示するために電子部品81から電子部品82に向かう矢印図形86、及び電子部品82から電子部品83に向かう矢印図形87を作図する。矢印図形86は、電子部品81の部品ピン609から延びる4本の信号バスが電子部品82の所定の部品ピン609に接続され、矢印図形87は、電子部品82の部品ピン609から延びる4本の信号バスが電子部品83の所定の部品ピン609に接続させることを指示している。
【0037】
このような作図を行うことにより、配線順序に関する的確な指示情報(図6(b))がクライアント端末装置11〜13の設計者A〜Cに指示される。この結果、クライアント端末装置11〜13の設計者A〜Cは正しい設計を容易に実行できることになる。図6に示す例は、設計領域C1と設計領域B2とを跨ぐ配線の指示情報に関するものであるが、一設計領域内だけに収まる配線についても接続順序指示情報43を作成することが好ましい。
【0038】
このようにステップS105で作成された接続順序指示情報43は、接続順序を指示する矢印図形86及び87、並びにそれらの位置データを含む画像情報であって、ステップS101で表示装置52に表示した画像情報101と重ね合わさせる画像情報である。
【0039】
ステップS107では、主設計者Sが優先配線指示作成部34を動作させて優先配線指示情報44を作成する。この優先配線指示情報44は、特定の配線を他の配線より優先して設計することを指示する情報である。例えばクロック信号配線や高速バス信号をなす束配線等には、特別な電気回路上の配線規則が要求され、他の配線に優先して配線経路を確保する設計の必要がある。そこで、ステップS107では、このような特定の配線に対する優先設計の指示情報を作成する。
【0040】
図7は、優先配線指示情報44の作成例を示す図である。図7は、ステップS101で表示した画像情報101である図4に示すプリント回路板60に基づいて、主設計者Sが特定の配線について優先して配線設計することを指示するために、対応するラッツネストの各々に番号図形701、702及び703を配置したものを図示してある。番号図形701及び番号図形702を配置したラッツネストは、高周波クロック信号の伝送配線に相当するものであり、これらのラッツネストについては、番号図形の配置してない配線よりも優先して配線経路を確保すると共に、その際に番号図形701及び702に記入されている番号の順に設計することを指示している。即ち、「1」と記入された番号図形701が配置されたラッツネストは、これと交差する7本のラッツネスト601より先に配線設計をして配線経路を確保し、「2」と記入された番号図形702が配置されたラッツネストは、これと交差する5本のラッツネスト602より先に配線設計をして配線経路を確保することを指示している。また、「3」と記入された番号図形703が配置された4本のラッツネストの各々は、バス信号配線に相当するものであり、これらを一括して設計することを指示すると共に、交差しているラッツネスト603より先に配線経路を確保することを指示している。
【0041】
このようにステップS107で作成された優先配線指示情報44は、優先配線を指示する番号図形701、702及び703、並びにそれらの位置データを含む画像情報であって、ステップS101で表示装置52に表示した画像情報101と重ね合わされる画像情報である。
【0042】
ステップS109では、主設計者Sが配線ルート指示作成部35を動作させて配線ルート指示情報45を作成する。この配線ルート指示情報45は、主設計者Sが主要な電子部品の配置設計をした際等に、計画した配線用スペースにおける配線経路、配線位置又は配線層等を指示する図形を含む情報である。これらの指示情報にクライアント端末装置11〜13の設計者A〜Cが従うことにより、経験の浅い設計者でも、迷うことなく迅速に品質の良い設計が実行可能となる。
【0043】
図8は、配線ルート指示情報45の作成例を示す図である。図8(a)は、ステップS101で表示した画像情報101である図4に示すプリント回路板60のほぼ上中央部を拡大して図示したものである。また、図8(b)は、図8(a)に配線ルート指示情報45を重ね合わせて図示したものである。
【0044】
図8(b)において、2つの屈曲線図形706は、電子部品610と電子部品611との部品ピン間を接続するラッツネスト607の並列した4本の束配線の設計位置を指示しており、主設計者Sが自身の経験に基づいて作図した図形である。具体的には、図8(b)は、この4本の束配線における外側2本の配線を2つの屈曲線図形706が示す経路に設計すべきことを指示し、この束配線の内側2本の配線は2つの屈曲線図形706に挟まれた部分に等間隔で並行に配線することを指示している。なお、屈曲線図形706の左端から電子部品610の部品ピン609までと、屈曲線図形706の右端から電子部品611の部品ピンまでの間を経路指示してないのは、この間はクライアント端末装置11〜13の設計者A〜Cが、指示無しでも容易に設計できるからである。
【0045】
図8(b)において、図形707、708及び709も、主設計者Sが自身の経験に基づいて作図した図形である。これらの図形707〜709は、プリント回路板60の表面に配置した電子部品610の右下部の4つの部品ピン609からの4本束配線を途中に設けるバイアホールを経由してプリント回路板60の裏面に配置された電子部品612の左側の部品ピン609までの配線ルートを指示するものである。2つの平行線図形707は、この4本束配線のプリント回路板60の表面での配線経路の設計位置を指示している。更にその右側の矩形破線図形708は、4本束配線の各々を表層から裏層に通すためのバイアホールを設ける位置を指示している。その右側の2つの平行線図形709は、この4本束配線の裏層における配線経路の設計位置を指示している。このように単純な図形情報により、主要配線の設計すべき位置、経路や配線層を指示することができる。また、表示する図形と指示内容との関係を予め決めて、設計者間で共有しておくことが好ましい。
【0046】
このようにステップS109で作成された配線ルート指示情報45は、2つの屈曲線図形706、2つの平行線図形707、矩形破線図形708、2つの平行線図形709、及びそれらの位置データを含む画像情報であって、ステップS101で表示装置52に表示した画像情報101と重ね合わされる画像情報である。
【0047】
ステップS111では、主設計者Sが文章形式指示作成部36を動作させて文書形式指示情報46を作成する。この文書形式指示情報46は、前述したような図形による指示情報ではなく設計する配線の態様等を文章形式で行う指示情報である。
【0048】
図9は、文書形式指示情報46の作成例を示す図である。図4に示す画像情報101から文書形式指示情報46の説明に関係する電子部品を抜粋して図示したものである。主設計者Sが文書形式指示情報46として指示する配線は、図9においては、コネクタ615から延びるラッツネスト618、及びそれに繋がりQFP617に至るラッツネスト619の両者に相当するものであり、これらは、コネクタ615からの電源信号をQFP616の部品ピンを経由しQFP617に供給する電源信号配線である。ここでは、この電源信号配線に、「VC1」という配線名称を付してある。
【0049】
また、この例では、主設計者Sは、この電源信号配線VC1の配線を次のように構想している。ラッツネスト618は2つのQFP616とQFP617に電源供給する配線であり、回路図等の電流指示値から配線パターン幅を0.30mmに決定している。ラッツネスト619の配線エリアでは2つのQFP616及び617の多数の部品ピン609が近接しており、高い配線密度が要求される。このため、この領域では、ラッツネスト619の配線パターン幅を許容範囲の最小値としているのである。つまり、2つのQFP616及び617の必要電源電流は同じであるので、QFP617だけに電源供給するラッツネスト619の配線パターン幅を0.15mm(ラッツネスト618の配線パターン幅の半分)と決定したのである。
【0050】
このような主設計者Sが構想した情報をクライアント端末装置11〜13の設計者A〜Cに的確に指示するための文章形式指示情報46の内容は、表示装置52やクライアント端末装置11〜13の表示装置等において、マウス等を用いてカーソルを信号線VC1のラッツネスト618又は619の破線上に合せることにより、図9に示すように吹き出し枠内に文章形式情報620として現れるようにプログラムが設計されている。文章形式情報620の文面は、『電源信号配線VC1の配線パターン幅は、コネクタ615〜616までを0.30mmとし、QFP616〜617までを0.15mmとする。』との内容を主設計者Sが入力したものであり、その内容は電源信号配線の接続順序や配線パターン幅等の配線態様ついての指示情報である。クライアント端末装置11〜13の設計者A〜Cは、この指示情報を参照することにより電源信号配線VC1を効率的に品質良く設計できることになる。
【0051】
このようにステップS111で作成された文書形式指示情報46は、カーソルが該当ラッツネストを表す線上に合った際に表示される、指示内容の文章を記入した吹き出し枠の画像情報である。
【0052】
これらの指示情報が主設計者Sにより作成されると、ステップS113において、ステップS103〜ステップS111で作成された指示情報をサーバCAD制御部40がデータベース20に指示情報41として格納する。図10は、指示情報41とステップS101で表示装置52に表示した画像情報101と重ね合わせた画像の例を示す図である。なお、ステップS103〜S111での各ステップが完了するごとに作成した指示情報をデータベース20に格納することとしても良い。
【0053】
次のステップS115では、新たな指示情報41が作成されデータベース20に格納されたことを、サーバCAD制御部40がサーバCAD装置10を制御して全てのクライアント端末装置11〜13に通知する。この結果、各クライアント端末装置11〜13の設計者A〜Cは、この通知により対象とするプリント回路板60を設計するための指示情報41がデータベース20に格納されたことを知り、クライアント端末装置11〜13の指示情報参照部14〜16の各々を用い、ネットワーク55及びサーバCAD装置10を介して指示情報41を参照することが可能となる。そして、設計者A〜Cは、図10に示す画像情報を参照しながら、同時並行的にプリント回路板60の設計を行うこととなる。
【0054】
以上で、指示情報処理装置30の処理操作が終了する。なお、上述した指示情報の作成順は一例であり、ステップS103〜S111における5つの指示情報の作成順は固定するものではない。また、プリント回路板60の配線設計の複雑性や難易度により、作成する指示情報を削減することも可能である。また、指示情報41は、全ての配線又は全ての部品配置についての設計指示をするものである必要はなく、未指示部分については、各設計者A〜Cの技能及び裁量に基づいて行わせることが可能である。
【0055】
なお、各指示情報に含まれる画像情報や図形が象徴的に指示する設計作業の内容については、予め、主設計者Sとクライアント端末装置11〜13の設計者A〜Cとの間で、整理し、共通の認識をもつようにしておくことが好ましい。
【0056】
本実施形態によれば、以上の指示情報処理装置30での処理により、クライアント端末装置11〜13を操作する各設計者A〜Cが、ネットワーク55及びサーバCAD装置10を介して、設計情報21や指示情報41を参照しながら、配置・配線データ28の自分に割付けられた設計領域を他の設計者と干渉せずに迅速に編集することができる。従って、このような環境に基づいて、複数の設計者A〜Cが対象プリント回路板60の配線設計を同時並行的に効率良く、高品質に行うことができる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態に係るプリント回路板設計支援システム100を用いて作成された指示情報41に基づき、クライアント端末装置11〜13を操作する設計者A〜Cにより対象とするプリント配線板60の設計が開始された後に、設計の進捗状況に応じて主設計者Sがクライアント端末装置11〜13の設計者A〜Cが既に編集した配置・配線データ28全体の設計の指示情報41を見直し、未配線部分等に対する新たな指示情報を作成し、指示情報41を更新する処理に関するものである。このような処理が必要な場合としては、例えば、(1)設計者間の設計進捗に大幅な差異が生じている場合、及び(2)第1の実施形態での未指示部分や設計者間での干渉する部分等の配線設計が滞っている場合等が挙げられる。
【0058】
図11は、第2の実施形態における指示情報処理装置30を用いた処理を示すフローチャートである。なお、図11中の破線で囲んだブロック(31及び40)も、図3と同様に、夫々指示情報作成部31及びサーバCAD制御部40を用いた処理であることを表している。
【0059】
先ず、ステップS151においては、主設計者Sが、その時点までに設計又は編集された配置・配線データ28、並びに第1の実施形態で作成しデータベース20に格納した指示情報41及び設計情報21を、サーバCAD制御部40を用いて表示装置52に表示させる。
【0060】
そして、ステップS153〜S161において、主設計者Sが表示装置52に表示された情報に基づいて、その時点での配置・配線データ28から設計の進捗や未配線部分及び不具合設計部分や設計者間の干渉等を把握した後、第1の実施形態と同様に、設計領域指示情報42、接続順序指示情報43、優先配線指示情報44、配線ルート指示情報45及び文章形式指示情報46を修正する。
【0061】
ステップS163では、修正された各指示情報を新たな指示情報41としてデータベース20に格納する。その後、ステップS165で、新たな指示情報41がデータベースに格納されたことをクライアント端末装置に通知する。
【0062】
本実施形態によれば、進捗に大幅な差異が生じている場合や、設計者間での干渉する部分等の配線設計が滞っている場合であっても、この新たな指示情報41を複数のクライアント端末装置11〜13の設計者A〜Cが第1の実施形態と同様に参照することにより、更に対象プリント回路板60の配線設計を同時並行的に効率的で高品質に進めることが可能となる。このような設計が進んだ段階での指示情報の見直し及び修正は、主設計者Sの判断又はクライアント端末装置11〜13の設計者A〜Cからの要求等により実施するものであり、その回数や実施の時期等は制限なく実行できるものである。
【0063】
なお、本発明の実施形態における図3に示すフローチャート(第1の実施形態)及び図11に示すフローチャート(第2の実施形態)は、例えばコンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は複数の設計者が対象とするプリント回路板の設計領域を分割し複数の設計者が同時並行的に設計することで設計時間の短縮を図るものである。また、熟練設計者が初心者の設計者にOJT(仕事の現場で、業務に必要な知識や技術を習得させる研修。)する際にも有効に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態に係るプリント回路板設計支援システム100の構成を示すブロック図である。
【図2】指示情報処理装置30の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】第1の実施形態における指示情報処理装置30を用いた処理を示すフローチャートである。
【図4】設計情報21の内容を示す図である。
【図5】設計領域指示情報42の内容を示す図である。
【図6】接続順序指示情報43の内容を示す図である。
【図7】優先配線指示情報44の内容を示す図である。
【図8】配線ルート指示情報45の内容を示す図である。
【図9】文書形式指示情報46の内容を示す図である。
【図10】指示情報41と画像情報101と重ね合わせた画像の例を示す図である。
【図11】第2の実施形態における指示情報処理装置30を用いた処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
S:主設計者
A、B、C:クライアント端末装置の設計者
10:サーバCAD装置
11、12、13:クライアント端末装置
14、15、16:指示情報参照部
20:データベース
21:設計情報
28:配置・配線データ
30:指示情報処理装置
31:指示情報作成部
39:インターフェース部
40:サーバCAD制御部
41:指示情報
51:入力装置
52:表示装置
53:記憶媒体ドライブ
55:ネットワーク
60:プリント回路板
61:ラッツネスト
70:領域区分線
71:タグ
100:プリント回路板設計支援システム
101:画像情報
609:部品ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設計者による1つのプリント回路板の設計を支援するプリント回路板の設計支援方法であって、
電子部品の配置設計がされた配置・配線データに基づいて、少なくとも前記複数の設計者の各々が担当する設計領域及び/又は配線のレイアウトに関する情報を含む指示情報を作成する指示情報作成ステップと、
前記指示情報を、データベースに格納する指示情報格納ステップと、
前記指示情報が作成されたことを前記複数の設計者が使用するクライアント端末装置に通知する指示情報通知ステップと、
を有することを特徴とするプリント回路板の設計支援方法。
【請求項2】
前記設計領域に関する情報は、前記プリント回路板を複数の設計領域に区画し、前記設計者毎に一つ以上の設計領域の割付けをし、各々の設計領域の設計順番を指示する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント回路板の設計支援方法。
【請求項3】
前記設計領域に関する情報は、互いに異なる設計者に割り当てられた隣り合う設計領域については、設計順番を互いに異なるものとした情報を含むことを特徴とする請求項2に記載のプリント回路板の設計支援方法。
【請求項4】
前記配線のレイアウトに関する情報は、相異なる電子部品の3つ以上の部品ピンを経由して接続する配線の接続順序を指示する情報を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリント回路板の設計支援方法。
【請求項5】
前記配線のレイアウトに関する情報は、他の配線より優先して配線経路を確保する配線を指示する情報を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント回路板の設計支援方法。
【請求項6】
前記配線のレイアウトに関する情報は、配線を設計する位置又は配線層の少なくとも一方を指示する情報を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプリント回路板の設計支援方法。
【請求項7】
前記クライアント端末装置を用いた前記設計者による設計の結果に基づいて前記配置・配線データを編集する編集ステップと、
編集された前記配置・配線データに基づいて、前記指示情報を修正するステップと、
修正した指示情報を前記データベースに格納するステップと、
前記指示情報が修正されたことを前記クライアント端末装置に通知するステップと、
を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプリント回路板の設計支援方法。
【請求項8】
複数の設計者による1つのプリント回路板の設計を支援するプリント回路板の設計支援システムであって、
電子部品の配置設計がされた配置・配線データに基づいて、少なくとも前記複数の設計者の各々が担当する設計領域及び/又は配線のレイアウトに関する情報を含む指示情報を作成する指示情報作成手段と、
前記指示情報を、データベースに格納する指示情報格納手段と、
前記指示情報が作成されたことを前記複数の設計者が使用するクライアント端末装置に通知する指示情報通知手段と、
を有することを特徴とするプリント回路板の設計支援システム。
【請求項9】
前記設計領域に関する情報は、前記プリント回路板を複数の設計領域に区画し、前記設計者毎に一つ以上の設計領域の割付けをし、各々の設計領域の設計順番を指示する情報を含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント回路板の設計支援システム。
【請求項10】
前記設計領域に関する情報は、互いに異なる設計者に割り当てられた隣り合う設計領域については、設計順番を互いに異なるものとした情報を含むことを特徴とする請求項9に記載のプリント回路板の設計支援システム。
【請求項11】
前記配線のレイアウトに関する情報は、相異なる電子部品の3つ以上の部品ピンを経由して接続する配線の接続順序を指示する情報を含むことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のプリント回路板の設計支援システム。
【請求項12】
前記配線のレイアウトに関する情報は、他の配線より優先して配線経路を確保する配線を指示する情報を含むことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載のプリント回路板の設計支援システム。
【請求項13】
前記配線のレイアウトに関する情報は、配線を設計する位置又は配線層の少なくとも一方を指示する情報を含むことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載のプリント回路板の設計支援システム。
【請求項14】
前記クライアント端末装置は、ネットワークを経由して前記データベースの前記指示情報を参照する指示情報参照手段を有することを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載のプリント回路板の設計支援システム。
【請求項15】
複数の設計者による1つのプリント回路板の設計をコンピュータに支援させるプログラムであって、
コンピュータに、
前記プリント回路板の設計の基準となる設計情報及び電子部品の配置設計情報を含む配置・配線データを表示装置に表示させる手順と、
前記プリント回路板を複数の設計領域に区画し、前記設計者毎に一つ以上の設計領域の割付けをし、互いに異なる設計者に割り当てられた隣り合う設計領域については、設計順番を互いに異なるものとした第1の指示情報を使用者に入力させる手順と、
相異なる電子部品の3つ以上の部品ピンを経由して接続する配線の接続順序を指示する第2の指示情報を使用者に入力させる手順と、
他の配線より優先して配線経路を確保する配線を指示する第3の指示情報を使用者に入力させる手順と、
配線を設計する位置又は配線層の少なくとも一方を指示する第4の指示情報を使用者に入力させる手順と、
前記第1乃至第4の指示情報を、データベースに格納する指示情報格納手順と、
前記第1乃至第4の指示情報が作成されたことを前記複数の設計者が使用するクライアント端末装置に通知する指示情報通知手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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