プリント基板の製造方法及びこれを用いたプリント基板
【課題】銅回路パターンを形成する際に、膜厚を揃えて膜厚分布を均一にし、生産性が向上したプリント基板の製造方法及びこれを用いたプリント基板を提供する。
【解決手段】銅シート2の両面に配線パターンとなる第1の開口部を有する第1のレジスト4を形成し、前記第1の開口部を通じて露出した前記銅シート2の部位に銅めっきし、前記銅シート2の両面に前記配線パターンからなる銅回路7を形成し、前記第1のレジスト4を除去し、前記銅シート2の片面に絶縁基材を積層し、前記銅シートにおける前記銅回路以外の部位を除去する。
【解決手段】銅シート2の両面に配線パターンとなる第1の開口部を有する第1のレジスト4を形成し、前記第1の開口部を通じて露出した前記銅シート2の部位に銅めっきし、前記銅シート2の両面に前記配線パターンからなる銅回路7を形成し、前記第1のレジスト4を除去し、前記銅シート2の片面に絶縁基材を積層し、前記銅シートにおける前記銅回路以外の部位を除去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜厚が揃ったパターンを有し、生産性が向上したプリント基板の製造方法及びこれを用いたプリント基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば厚さ70μm以上の銅箔をエッチングで回路形成をすると、回路断面形状は、エッチファクター(サイドエッチングの現象)により、台形形状若しくはそろばん玉形状(回路の両面側からエッチングをしたとき)になってしまう。このため、回路設計上このサイドエッチ現象を考慮しなければ、経済性はもとより回路機能を損なうことになっていた。
【0003】
回路間隔は最低でも銅膜厚分が必要(好ましくは銅膜厚の2倍)で、基板の大きさ・多層構造での絶縁樹脂の埋め込み性・部品実装性能・基板加工性能等、品質・経済性を損なう問題がある。すなわち、厚銅回路パターンを有するプリント基板の場合、その回路パターンの隣り合う間隔は、最低でも厚銅回路パターンの厚さと同じ間隔が必要(厚銅の場合、エッチング方式での回路間隔は通常銅膜厚の2倍)となるので、厚銅になればなるほど基板が大型化してしまう。
【0004】
また、薄い銅箔を絶縁材の表面に貼り付けた銅張積層板等に、電解銅めっきにより厚銅箔回路を形成する方法もあるが、電解堆積速度の高速化、これに伴う堆積膜厚分布のばらつき、パターンめっき用めっきレジストに、膜厚の極端に厚いフォトレジストが必要とされること等の新たな課題が残る。すなわち、上記銅張積層板からスタートするプリント基板の製造は、手間がかかり面倒であり、現実的にこれを行うための最良の方法には至っていない。
【0005】
一方で、多孔シートからスタートするプリント導電シートが特許文献1に開示されている。この特許文献1の内容は、多孔シートの周囲をめっきで包み込むようにパターンを形成するので、これらの接着を確実なものとし、剥離することを防止するものである。しかしながら、銅回路中に多孔シートが異種材料として残留するため、銅の導体としての電気特性に悪影響を及ぼす可能性がある。また、非回路部にある金属繊維をエッチングで除去する場合、繊維が太いため、(例えば銅の場合は50μm以上)エッチングに時間がかかる。したがってフラッシュエッチング法(銅回路部の銅厚と非回路部の銅厚の差を利用してエッチングにより非回路部の銅を除去する方法)が採用できない。このことは、回路部にエッチングレジストを形成してエッチングするという煩雑な方法を取らざるを得ず、生産性が著しく低下する。さらには、エッチング前において、銅シートの片面に絶縁基材を積層する際、積層板の絶縁機材の中に一部の金属繊維が埋め込まれたような形状になる。したがって、非回路部をエッチングで除去する場合にエッチング液に露出されず、除去することができない。これが回路間の短絡となり、回路の信頼性を著しく損なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2799411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、銅回路パターンを形成する際に、膜厚を揃えて膜厚分布を均一にし、生産性を向上することができるプリント基板の製造方法及びこれを用いたプリント基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、銅シートの両面に配線パターンとなる第1の開口部を有する第1のレジストを形成し、前記第1の開口部を通じて露出した前記銅シートの部位に銅めっきし、前記銅シートの両面に前記配線パターンからなる銅回路を形成し、前記第1のレジストを除去し、前記銅シートの片面に絶縁基材を積層し、前記銅シートにおける前記銅回路以外の部位を除去することを特徴とするプリント基板の製造方法を提供する。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記第1のレジストを形成するに先立ち、前記銅シートを準備する工程を更に含み、前記工程は、板状の支持体の片面に対し、この片面を露出させる開口域を有し且つこの開口域が少なくともメッシュパターンとなる第2の開口部を含んでなる第2のレジストを形成し、前記開口域を通じて露出した支持体に銅めっきし、前記支持体の片面に前記メッシュパターンに対応するメッシュパターン部を有した銅シート材を形成し、前記銅シート材から前記第2のレジスト及び前記支持体を除去して前記銅シートを形成することを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、前記第1のレジストを形成するに先立ち、前記銅シートを準備する工程を更に含み、前記工程は、板状の支持体の片面に積層された銅薄膜に対し、この銅薄膜の片面を露出させる開口域を有し且つこの開口域が少なくともメッシュパターンとなる第2の開口部を含んでなる第2のレジストを形成し、前記開口域を通じて露出した前記銅薄膜をエッチングにて除去し、前記支持体の片面に前記メッシュパターンに対応するメッシュパターン部を有した銅シート材を形成し、前記銅シート材から前記第2のレジスト及び前記支持体を除去して前記銅シートを形成することを特徴としている。
【0011】
請求項4の発明では、請求項2の発明において、前記第2のレジストを形成する際に、前記メッシュパターン部が将来銅回路を形成すべき部位にのみ形成されるようにすることを特徴としている。
また、請求項5の発明では、請求項1に記載のプリント基板の製造方法を用いたプリント基板であって、前記銅回路に前記銅シートが含まれていることを特徴とするプリント基板を提供する。
【0012】
また、請求項6の発明では、請求項2〜4のいずれかに記載のプリント基板の製造方法を用いたプリント基板であって、前記銅回路が前記メッシュパターン部を含んでいることを特徴とするプリント基板を提供する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、銅シートの両面に対してそれぞれ銅回路を形成するので、膜厚(めっき厚)のばらつきを抑えることができ、膜厚を揃えることができる。すなわち、同じ電流密度で銅回路を形成する場合、両面から銅回路を形成するのでその時間を半分にできる。片面のみから銅回路を形成するときと同じ時間で形成するとすれば、電流密度は半分になり、均一電着性が向上し、膜厚を揃えることができる。これにより、プリント基板の生産性および品質が向上する。
【0014】
請求項2の発明によれば、銅回路形成の際、メッシュパターン部を介して銅が電着するので膜厚分布を均一にすることに貢献できる。すなわち、メッシュパターンを構成する孔に電流が回り込み、この部分に電流が集中し、銅の堆積が起こり、したがって膜厚分布の均一化に寄与できる。これにより、メッシュパターンの孔以外の部分の絶縁性を高め、また他の部分への電流集中を抑制でき、膜厚分布の均一性を維持できる。このようなメッシュパターン部を電解めっきで形成することで、薄膜におけるファインメッシュのメッシュパターンの精度を高めることができる。なお、本発明における「メッシュパターン」は、三次元のメッシュ(網目)構造ではなく、孔が多様に分布している二次元的な多孔パターンのことである。
【0015】
請求項3の発明によれば、銅回路形成の際、メッシュパターン部を介して銅が電着するので膜厚分布を均一にすることに貢献できる。すなわち、メッシュパターンを構成する孔に電流が回り込み、この部分に電流が集中し、銅の堆積が起こり、したがって膜厚分布の均一化に寄与できる。これにより、メッシュパターンの孔以外の部分の絶縁性を高め、また他の部分への電流集中を抑制でき、膜厚分布の均一性を維持できる。このようなメッシュパターン部をエッチング法で形成することで、その形成を安価に行うことができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、メッシュパターン部が銅回路を形成する部分のみに形成、すなわちメッシュパターン部が銅シートの全体ではなく一部に形成される。このため、銅シートの全面にわたってメッシュパターン部が形成された銅シートに比べ、機械的強度(剛性)を高めることができる。また、銅回路形成の工程において、視覚的に銅回路形成部分を捉えることができ、管理上有利である。
【0017】
請求項5の発明によれば、銅回路は銅シートの両面に対してそれぞれ形成されるので、膜厚(めっき厚)のばらつきを抑えることができ、膜厚を揃えることができる。また、同じ電流密度で銅回路を形成する場合、両面から銅回路を形成するのでその時間を半分にできる。片面のみから銅回路を形成するときと同じ時間で形成するとすれば、電流密度は半分になり、均一電着性が向上し、膜厚を揃えることができる。これにより、プリント基板の生産性および品質が向上する。
【0018】
請求項6の発明によれば、銅回路がメッシュパターン部を含んでいるため、銅回路形成の際、メッシュパターン部を介して銅が電着するので膜厚分布を均一にすることに貢献できる。すなわち、メッシュパターンを構成する孔に電流が回り込み、この部分に電流が集中し、銅の堆積が起こり、したがって膜厚分布の均一化に寄与できる。これにより、メッシュパターンの孔以外の部分の絶縁性を高め、また他の部分への電流集中を抑制でき、膜厚分布の均一性を維持できる。このようなメッシュパターン部を電解めっきで形成することで、薄膜におけるファインメッシュのメッシュパターンの精度を高めることができ、かつその形成を安価に行うことができる。なお、「プリント基板」には、絶縁基材の片面あるいは両面に回路が形成されている基板や、これらを積層した多層板も含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図2】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図3】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図4】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図5】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図6】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図7】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図8】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図9】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図10】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図11】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図12】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図13】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図14】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図15】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図16】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図17】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図18】本発明に係るプリント基板の製造方法で製造された両面板の概略図である。
【図19】本発明に係るプリント基板の製造方法で製造された別の両面板の概略図である。
【図20】本発明に係るプリント基板の製造方法で製造された多層板の概略図である。
【0020】
図1〜図10は本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
図1に示すように、板状の支持体1に銅シート2を積層させる。この積層には、支持体1の表面に銅を析出堆積させた場合も含まれる。支持体1としては、鏡面仕上げを施したSUS板(SUSベルト)の他、シリコン系樹脂、又はゴム製のキャリアシート等を用いることができる。キャリアシートの例は後述している。次に、図2に示すように、銅シート2上にドライフィルムフォトレジスト3を積層する。このドライフィルムフォトレジスト3の積層は、例えば112μmの厚さを有し、銅シート2に対して加熱及び加圧ロールを用いて行われる。そして、図3に示すように、支持体1を剥離して除去した後、銅シート2の反対側の面(図2でドライフィルムフォトレジスト3を積層した面と反対側の面)にも同様に、ドライフィルムフォトレジスト3を積層する。これにて、銅シート2の両面にドライフィルムフォトレジスト3が形成される。
【0021】
次に、図4に示すように、銅シートの両面に露光、現像を施して、配線パターンとなる第1の開口部5を有する第1のレジスト4を形成する。具体的には、銅シート2の両面に対し、フォトマスクを介して露光し、銅シート2の4辺の端部から8mm幅かつ0.6mm厚のSUS枠治具を装着し、現像、水洗、乾燥をする。この後、図5に示すように、第1の開口部5に対してパターンめっきを行う。具体的には、めっき装置を用いて、15ASD(A/dm2)の電流密度にて、銅シート2の片面に約100μm厚の銅をめっき処理する。なお、めっき装置は高速電解機能を有するものを用いてもよい。これにより、両面には配線パターンが銅めっきで形成された銅回路7が盛り上がり、それぞれの配線パターンが銅シート2で連結された中間体6が得られる。なお、銅回路7の幅は約280μm〜300μmである。このように、銅シート2の両面に対してそれぞれ銅回路7を形成するので、膜厚(めっき厚)のばらつきを抑えることができ、銅回路7の膜厚を揃えることができる。特に、厚銅回路を形成する場合において、高い電流密度を用いる必要がなくなるため好ましい。なお、上記で掲げた数値はあくまで一例にすぎず、適宜変更可能である(以下についても同様である)。
【0022】
そして、図6に示すように、第1のレジスト4を除去して中間体6のみを得る。具体的には、水洗して乾燥した後、SUS製両面ネット治具に交換装着し、濃度3重量%の水酸化ナトリウム溶液、液温50℃、スプレー圧力0.2MPaでスプレー処理を行い、第1のレジスト4を剥離し、水洗する。そして、図7に示すように、次なる加工で中間体6の密着性を上げるために、中間体6に対して多層積層の前に内層銅回路の表面処理に用いられている銅樹脂間密着性向上処理と同じ処理を行ってプロファイル8を形成する。具体的には、中間体6に対して粗面化処理剤で約2μmエッチ粗化する。この後、図8に示すように、中間体6の片面にキャリアシート9を加圧しながら積層する。キャリアシート9は、例えば屈曲性・耐薬品性のある粘着シートを用いる。例えば、基板実装等で使用されているシリコン系等の耐熱粘着剤を塗布したボンディングキャリアシートを利用してもよい。そして、図9に示すように、中間体6の反対側の面(キャリアシート9を積層した面の反対側の面)に対し、絶縁基材(例えばプリプレグ)10を積層する。積層前の充填処理は、中間体6の片側の銅回路7が露出している面に印刷用エポキシ樹脂封止材で銅回路7の間隔を充填して行う。この充填操作は、0.1mm厚の塗膜印刷を施し、これを乾燥硬化して行われる。そして、図10に示すように、キャリアシートを除去し、中間体6の銅シート2に相当する部分を除去する。具体的には、H2SO4+H2O2からなるソフトエッチ液で銅回路7の間における銅シート2をエッチング除去する(フラッシュエッチ)。これにより、プリント基板11が完成する。このようなプリント基板11は、上述したように、銅回路7が厚銅であってもその膜厚分布を均一にされたものである。このような効果は、大電流に耐える多層用の内層回路基板として用いたときも同様に発揮される。また、銅回路7はエッチング法で形成していないので、回路断面は確実に矩形形状となり、サイドエッチ現象が生じることはない。
【0023】
図11〜図17は本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。なお、以降は上述した第1のレジスト4を形成するに先立ち、銅シート2を準備する工程を説明するものである。
図11に示すように、板状の支持体1にドライフィルムフォトレジスト3を積層させる。具体的には、粒度#600〜#1200のサンドブラスト等で仕上げ研磨を施した平滑SUS板状に30μm厚のドライフィルムフォトレジストを積層する。この後、図2に示すように、支持体1のドライフィルムフォトレジスト3が積層されている面に将来銅回路7(図5、図10等参照)を形成する部分のみにメッシュパターンからなる第2の開口部12を有する第2のレジスト13を形成する。すなわち、支持体1の片面を露出させる開口域をレジスト13にて形成し、このうちメッシュパターンが形成された部分が第2の開口部12となる。具体的には、メッシュパターンは幅50μmの線がクロスしたものである。
【0024】
そして、図13に示すように、開口域から露出している支持体1上にパターンめっきを施し、銅めっき14を積層する。これは、例えば電流密度10ASD(A/dm2)で厚さ約11μmの銅めっき14が施される。そして、図14に示すように、めっき処理の電解終了後、第2のレジスト13を専用の剥離剤で除去し、水洗、乾燥する。これにより、将来銅回路7(図5、図10等参照)が形成される部分のみにメッシュパターンからなるメッシュパターン部15がある銅シート2が形成される。この後の工程は、上述した図2以降と同様の工程を経て本発明に係るプリント基板11が形成される。すなわち、銅シート2の片面にドライフィルムフォトレジスト3を積層し(図2に対応する図15)、支持体1を除去し、この除去した面に同様にドライフィルムフォトレジスト3を積層し(図3に対応する図16)、そして配線パターンからなる第1の開口部5を有する第1のレジスト4を形成する(図4に対応する図17)。以降は上述した図5〜図10の工程を経る。
【0025】
このように、上述したプリント基板の製造(図1〜図10)と異なる点は、銅シート2がメッシュパターン部15を有していることである。このようにメッシュパターン部15があることで、銅回路7形成の際、メッシュパターン部15を介して銅が電着するので膜厚分布を均一にすることに貢献できる。すなわち、メッシュパターンを構成する孔に電流が回り込み、この部分に電流が集中し、銅の堆積が起こり、したがって膜厚分布の均一化に寄与できる。これにより、メッシュパターンの孔以外の部分の絶縁性を高め、また他の部分への電流集中を抑制でき、膜厚分布の均一性を維持できる。このようなメッシュパターン部15を電解めっきで形成することで、薄膜におけるファインメッシュのメッシュパターンの精度を高めることができる。また、このメッシュパターン部15が銅回路7を形成する部分のみに形成、すなわちメッシュパターン部15が銅シート2の全体ではなく一部に形成される。このため、銅シートの全面にわたってメッシュパターン部が形成された銅シートに比べ、機械的強度(剛性)を高めることができる。また、銅回路形成の工程において、視覚的に銅回路形成部分を捉えることができ、管理上有利である。
【0026】
なお、メッシュパターン部15の有無にかかわらず、銅シート2を用いて製造されたプリント基板11として、上述した図10では片面板の例を示している。しかしながら本発明は、以下に示す両面板や多層板からなるプリント基板にも当然適用可能である。すなわち、図9の状態で絶縁基材10の両面に中間体6を積層すれば、図18に示すような両面板、あるいは図19に示すようなスルーホールめっき16が施された両面板からなるプリント基板11が形成される。本発明に係るこのような両面板や片面板を組み合わせたり、あるいはこれらと公知の製造方法で製造された両面板や片面板を組み合わせたりしてこれらを複数積層し、図20に示すような多層板(図では図10の片面板を両外層に、図18の両面板を内層とした多層板)からなるプリント基板11を形成することもできる。
【0027】
一方で、メッシュパターン部15はパターンめっき法だけでなく、エッチング法を用いて形成してもよい。この場合は、銅薄膜を用意し、メッシュパターン部15を形成するようにエッチング処理する。具体的には、銅薄膜上に積層されたレジストに対し、上述した第2の開口部12を開口をエッチングにて形成し、この開口部分から露出する銅薄膜をエッチング処理して除去し、最後にレジストを除去する。これにより、上述したメッシュパターン部15を有する銅シート2と同様のものを得ることができ、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 支持体
2 銅シート
3 ドライフィルムフォトレジスト
4 第1のレジスト
5 第1の開口部
6 中間体
7 銅回路
8 プロファイル
9 キャリアシート
10 絶縁基材
11 プリント基板
12 第2の開口部
13 第2のレジスト
14 銅めっき
15 メッシュパターン部
16 スルーホールめっき
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜厚が揃ったパターンを有し、生産性が向上したプリント基板の製造方法及びこれを用いたプリント基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば厚さ70μm以上の銅箔をエッチングで回路形成をすると、回路断面形状は、エッチファクター(サイドエッチングの現象)により、台形形状若しくはそろばん玉形状(回路の両面側からエッチングをしたとき)になってしまう。このため、回路設計上このサイドエッチ現象を考慮しなければ、経済性はもとより回路機能を損なうことになっていた。
【0003】
回路間隔は最低でも銅膜厚分が必要(好ましくは銅膜厚の2倍)で、基板の大きさ・多層構造での絶縁樹脂の埋め込み性・部品実装性能・基板加工性能等、品質・経済性を損なう問題がある。すなわち、厚銅回路パターンを有するプリント基板の場合、その回路パターンの隣り合う間隔は、最低でも厚銅回路パターンの厚さと同じ間隔が必要(厚銅の場合、エッチング方式での回路間隔は通常銅膜厚の2倍)となるので、厚銅になればなるほど基板が大型化してしまう。
【0004】
また、薄い銅箔を絶縁材の表面に貼り付けた銅張積層板等に、電解銅めっきにより厚銅箔回路を形成する方法もあるが、電解堆積速度の高速化、これに伴う堆積膜厚分布のばらつき、パターンめっき用めっきレジストに、膜厚の極端に厚いフォトレジストが必要とされること等の新たな課題が残る。すなわち、上記銅張積層板からスタートするプリント基板の製造は、手間がかかり面倒であり、現実的にこれを行うための最良の方法には至っていない。
【0005】
一方で、多孔シートからスタートするプリント導電シートが特許文献1に開示されている。この特許文献1の内容は、多孔シートの周囲をめっきで包み込むようにパターンを形成するので、これらの接着を確実なものとし、剥離することを防止するものである。しかしながら、銅回路中に多孔シートが異種材料として残留するため、銅の導体としての電気特性に悪影響を及ぼす可能性がある。また、非回路部にある金属繊維をエッチングで除去する場合、繊維が太いため、(例えば銅の場合は50μm以上)エッチングに時間がかかる。したがってフラッシュエッチング法(銅回路部の銅厚と非回路部の銅厚の差を利用してエッチングにより非回路部の銅を除去する方法)が採用できない。このことは、回路部にエッチングレジストを形成してエッチングするという煩雑な方法を取らざるを得ず、生産性が著しく低下する。さらには、エッチング前において、銅シートの片面に絶縁基材を積層する際、積層板の絶縁機材の中に一部の金属繊維が埋め込まれたような形状になる。したがって、非回路部をエッチングで除去する場合にエッチング液に露出されず、除去することができない。これが回路間の短絡となり、回路の信頼性を著しく損なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2799411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、銅回路パターンを形成する際に、膜厚を揃えて膜厚分布を均一にし、生産性を向上することができるプリント基板の製造方法及びこれを用いたプリント基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、銅シートの両面に配線パターンとなる第1の開口部を有する第1のレジストを形成し、前記第1の開口部を通じて露出した前記銅シートの部位に銅めっきし、前記銅シートの両面に前記配線パターンからなる銅回路を形成し、前記第1のレジストを除去し、前記銅シートの片面に絶縁基材を積層し、前記銅シートにおける前記銅回路以外の部位を除去することを特徴とするプリント基板の製造方法を提供する。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記第1のレジストを形成するに先立ち、前記銅シートを準備する工程を更に含み、前記工程は、板状の支持体の片面に対し、この片面を露出させる開口域を有し且つこの開口域が少なくともメッシュパターンとなる第2の開口部を含んでなる第2のレジストを形成し、前記開口域を通じて露出した支持体に銅めっきし、前記支持体の片面に前記メッシュパターンに対応するメッシュパターン部を有した銅シート材を形成し、前記銅シート材から前記第2のレジスト及び前記支持体を除去して前記銅シートを形成することを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、前記第1のレジストを形成するに先立ち、前記銅シートを準備する工程を更に含み、前記工程は、板状の支持体の片面に積層された銅薄膜に対し、この銅薄膜の片面を露出させる開口域を有し且つこの開口域が少なくともメッシュパターンとなる第2の開口部を含んでなる第2のレジストを形成し、前記開口域を通じて露出した前記銅薄膜をエッチングにて除去し、前記支持体の片面に前記メッシュパターンに対応するメッシュパターン部を有した銅シート材を形成し、前記銅シート材から前記第2のレジスト及び前記支持体を除去して前記銅シートを形成することを特徴としている。
【0011】
請求項4の発明では、請求項2の発明において、前記第2のレジストを形成する際に、前記メッシュパターン部が将来銅回路を形成すべき部位にのみ形成されるようにすることを特徴としている。
また、請求項5の発明では、請求項1に記載のプリント基板の製造方法を用いたプリント基板であって、前記銅回路に前記銅シートが含まれていることを特徴とするプリント基板を提供する。
【0012】
また、請求項6の発明では、請求項2〜4のいずれかに記載のプリント基板の製造方法を用いたプリント基板であって、前記銅回路が前記メッシュパターン部を含んでいることを特徴とするプリント基板を提供する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、銅シートの両面に対してそれぞれ銅回路を形成するので、膜厚(めっき厚)のばらつきを抑えることができ、膜厚を揃えることができる。すなわち、同じ電流密度で銅回路を形成する場合、両面から銅回路を形成するのでその時間を半分にできる。片面のみから銅回路を形成するときと同じ時間で形成するとすれば、電流密度は半分になり、均一電着性が向上し、膜厚を揃えることができる。これにより、プリント基板の生産性および品質が向上する。
【0014】
請求項2の発明によれば、銅回路形成の際、メッシュパターン部を介して銅が電着するので膜厚分布を均一にすることに貢献できる。すなわち、メッシュパターンを構成する孔に電流が回り込み、この部分に電流が集中し、銅の堆積が起こり、したがって膜厚分布の均一化に寄与できる。これにより、メッシュパターンの孔以外の部分の絶縁性を高め、また他の部分への電流集中を抑制でき、膜厚分布の均一性を維持できる。このようなメッシュパターン部を電解めっきで形成することで、薄膜におけるファインメッシュのメッシュパターンの精度を高めることができる。なお、本発明における「メッシュパターン」は、三次元のメッシュ(網目)構造ではなく、孔が多様に分布している二次元的な多孔パターンのことである。
【0015】
請求項3の発明によれば、銅回路形成の際、メッシュパターン部を介して銅が電着するので膜厚分布を均一にすることに貢献できる。すなわち、メッシュパターンを構成する孔に電流が回り込み、この部分に電流が集中し、銅の堆積が起こり、したがって膜厚分布の均一化に寄与できる。これにより、メッシュパターンの孔以外の部分の絶縁性を高め、また他の部分への電流集中を抑制でき、膜厚分布の均一性を維持できる。このようなメッシュパターン部をエッチング法で形成することで、その形成を安価に行うことができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、メッシュパターン部が銅回路を形成する部分のみに形成、すなわちメッシュパターン部が銅シートの全体ではなく一部に形成される。このため、銅シートの全面にわたってメッシュパターン部が形成された銅シートに比べ、機械的強度(剛性)を高めることができる。また、銅回路形成の工程において、視覚的に銅回路形成部分を捉えることができ、管理上有利である。
【0017】
請求項5の発明によれば、銅回路は銅シートの両面に対してそれぞれ形成されるので、膜厚(めっき厚)のばらつきを抑えることができ、膜厚を揃えることができる。また、同じ電流密度で銅回路を形成する場合、両面から銅回路を形成するのでその時間を半分にできる。片面のみから銅回路を形成するときと同じ時間で形成するとすれば、電流密度は半分になり、均一電着性が向上し、膜厚を揃えることができる。これにより、プリント基板の生産性および品質が向上する。
【0018】
請求項6の発明によれば、銅回路がメッシュパターン部を含んでいるため、銅回路形成の際、メッシュパターン部を介して銅が電着するので膜厚分布を均一にすることに貢献できる。すなわち、メッシュパターンを構成する孔に電流が回り込み、この部分に電流が集中し、銅の堆積が起こり、したがって膜厚分布の均一化に寄与できる。これにより、メッシュパターンの孔以外の部分の絶縁性を高め、また他の部分への電流集中を抑制でき、膜厚分布の均一性を維持できる。このようなメッシュパターン部を電解めっきで形成することで、薄膜におけるファインメッシュのメッシュパターンの精度を高めることができ、かつその形成を安価に行うことができる。なお、「プリント基板」には、絶縁基材の片面あるいは両面に回路が形成されている基板や、これらを積層した多層板も含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図2】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図3】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図4】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図5】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図6】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図7】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図8】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図9】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図10】本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
【図11】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図12】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図13】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図14】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図15】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図16】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図17】本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。
【図18】本発明に係るプリント基板の製造方法で製造された両面板の概略図である。
【図19】本発明に係るプリント基板の製造方法で製造された別の両面板の概略図である。
【図20】本発明に係るプリント基板の製造方法で製造された多層板の概略図である。
【0020】
図1〜図10は本発明に係るプリント基板の製造方法を順番に示す概略図である。
図1に示すように、板状の支持体1に銅シート2を積層させる。この積層には、支持体1の表面に銅を析出堆積させた場合も含まれる。支持体1としては、鏡面仕上げを施したSUS板(SUSベルト)の他、シリコン系樹脂、又はゴム製のキャリアシート等を用いることができる。キャリアシートの例は後述している。次に、図2に示すように、銅シート2上にドライフィルムフォトレジスト3を積層する。このドライフィルムフォトレジスト3の積層は、例えば112μmの厚さを有し、銅シート2に対して加熱及び加圧ロールを用いて行われる。そして、図3に示すように、支持体1を剥離して除去した後、銅シート2の反対側の面(図2でドライフィルムフォトレジスト3を積層した面と反対側の面)にも同様に、ドライフィルムフォトレジスト3を積層する。これにて、銅シート2の両面にドライフィルムフォトレジスト3が形成される。
【0021】
次に、図4に示すように、銅シートの両面に露光、現像を施して、配線パターンとなる第1の開口部5を有する第1のレジスト4を形成する。具体的には、銅シート2の両面に対し、フォトマスクを介して露光し、銅シート2の4辺の端部から8mm幅かつ0.6mm厚のSUS枠治具を装着し、現像、水洗、乾燥をする。この後、図5に示すように、第1の開口部5に対してパターンめっきを行う。具体的には、めっき装置を用いて、15ASD(A/dm2)の電流密度にて、銅シート2の片面に約100μm厚の銅をめっき処理する。なお、めっき装置は高速電解機能を有するものを用いてもよい。これにより、両面には配線パターンが銅めっきで形成された銅回路7が盛り上がり、それぞれの配線パターンが銅シート2で連結された中間体6が得られる。なお、銅回路7の幅は約280μm〜300μmである。このように、銅シート2の両面に対してそれぞれ銅回路7を形成するので、膜厚(めっき厚)のばらつきを抑えることができ、銅回路7の膜厚を揃えることができる。特に、厚銅回路を形成する場合において、高い電流密度を用いる必要がなくなるため好ましい。なお、上記で掲げた数値はあくまで一例にすぎず、適宜変更可能である(以下についても同様である)。
【0022】
そして、図6に示すように、第1のレジスト4を除去して中間体6のみを得る。具体的には、水洗して乾燥した後、SUS製両面ネット治具に交換装着し、濃度3重量%の水酸化ナトリウム溶液、液温50℃、スプレー圧力0.2MPaでスプレー処理を行い、第1のレジスト4を剥離し、水洗する。そして、図7に示すように、次なる加工で中間体6の密着性を上げるために、中間体6に対して多層積層の前に内層銅回路の表面処理に用いられている銅樹脂間密着性向上処理と同じ処理を行ってプロファイル8を形成する。具体的には、中間体6に対して粗面化処理剤で約2μmエッチ粗化する。この後、図8に示すように、中間体6の片面にキャリアシート9を加圧しながら積層する。キャリアシート9は、例えば屈曲性・耐薬品性のある粘着シートを用いる。例えば、基板実装等で使用されているシリコン系等の耐熱粘着剤を塗布したボンディングキャリアシートを利用してもよい。そして、図9に示すように、中間体6の反対側の面(キャリアシート9を積層した面の反対側の面)に対し、絶縁基材(例えばプリプレグ)10を積層する。積層前の充填処理は、中間体6の片側の銅回路7が露出している面に印刷用エポキシ樹脂封止材で銅回路7の間隔を充填して行う。この充填操作は、0.1mm厚の塗膜印刷を施し、これを乾燥硬化して行われる。そして、図10に示すように、キャリアシートを除去し、中間体6の銅シート2に相当する部分を除去する。具体的には、H2SO4+H2O2からなるソフトエッチ液で銅回路7の間における銅シート2をエッチング除去する(フラッシュエッチ)。これにより、プリント基板11が完成する。このようなプリント基板11は、上述したように、銅回路7が厚銅であってもその膜厚分布を均一にされたものである。このような効果は、大電流に耐える多層用の内層回路基板として用いたときも同様に発揮される。また、銅回路7はエッチング法で形成していないので、回路断面は確実に矩形形状となり、サイドエッチ現象が生じることはない。
【0023】
図11〜図17は本発明に係るプリント基板の製造方法における銅シートの製造を順番に示す概略図である。なお、以降は上述した第1のレジスト4を形成するに先立ち、銅シート2を準備する工程を説明するものである。
図11に示すように、板状の支持体1にドライフィルムフォトレジスト3を積層させる。具体的には、粒度#600〜#1200のサンドブラスト等で仕上げ研磨を施した平滑SUS板状に30μm厚のドライフィルムフォトレジストを積層する。この後、図2に示すように、支持体1のドライフィルムフォトレジスト3が積層されている面に将来銅回路7(図5、図10等参照)を形成する部分のみにメッシュパターンからなる第2の開口部12を有する第2のレジスト13を形成する。すなわち、支持体1の片面を露出させる開口域をレジスト13にて形成し、このうちメッシュパターンが形成された部分が第2の開口部12となる。具体的には、メッシュパターンは幅50μmの線がクロスしたものである。
【0024】
そして、図13に示すように、開口域から露出している支持体1上にパターンめっきを施し、銅めっき14を積層する。これは、例えば電流密度10ASD(A/dm2)で厚さ約11μmの銅めっき14が施される。そして、図14に示すように、めっき処理の電解終了後、第2のレジスト13を専用の剥離剤で除去し、水洗、乾燥する。これにより、将来銅回路7(図5、図10等参照)が形成される部分のみにメッシュパターンからなるメッシュパターン部15がある銅シート2が形成される。この後の工程は、上述した図2以降と同様の工程を経て本発明に係るプリント基板11が形成される。すなわち、銅シート2の片面にドライフィルムフォトレジスト3を積層し(図2に対応する図15)、支持体1を除去し、この除去した面に同様にドライフィルムフォトレジスト3を積層し(図3に対応する図16)、そして配線パターンからなる第1の開口部5を有する第1のレジスト4を形成する(図4に対応する図17)。以降は上述した図5〜図10の工程を経る。
【0025】
このように、上述したプリント基板の製造(図1〜図10)と異なる点は、銅シート2がメッシュパターン部15を有していることである。このようにメッシュパターン部15があることで、銅回路7形成の際、メッシュパターン部15を介して銅が電着するので膜厚分布を均一にすることに貢献できる。すなわち、メッシュパターンを構成する孔に電流が回り込み、この部分に電流が集中し、銅の堆積が起こり、したがって膜厚分布の均一化に寄与できる。これにより、メッシュパターンの孔以外の部分の絶縁性を高め、また他の部分への電流集中を抑制でき、膜厚分布の均一性を維持できる。このようなメッシュパターン部15を電解めっきで形成することで、薄膜におけるファインメッシュのメッシュパターンの精度を高めることができる。また、このメッシュパターン部15が銅回路7を形成する部分のみに形成、すなわちメッシュパターン部15が銅シート2の全体ではなく一部に形成される。このため、銅シートの全面にわたってメッシュパターン部が形成された銅シートに比べ、機械的強度(剛性)を高めることができる。また、銅回路形成の工程において、視覚的に銅回路形成部分を捉えることができ、管理上有利である。
【0026】
なお、メッシュパターン部15の有無にかかわらず、銅シート2を用いて製造されたプリント基板11として、上述した図10では片面板の例を示している。しかしながら本発明は、以下に示す両面板や多層板からなるプリント基板にも当然適用可能である。すなわち、図9の状態で絶縁基材10の両面に中間体6を積層すれば、図18に示すような両面板、あるいは図19に示すようなスルーホールめっき16が施された両面板からなるプリント基板11が形成される。本発明に係るこのような両面板や片面板を組み合わせたり、あるいはこれらと公知の製造方法で製造された両面板や片面板を組み合わせたりしてこれらを複数積層し、図20に示すような多層板(図では図10の片面板を両外層に、図18の両面板を内層とした多層板)からなるプリント基板11を形成することもできる。
【0027】
一方で、メッシュパターン部15はパターンめっき法だけでなく、エッチング法を用いて形成してもよい。この場合は、銅薄膜を用意し、メッシュパターン部15を形成するようにエッチング処理する。具体的には、銅薄膜上に積層されたレジストに対し、上述した第2の開口部12を開口をエッチングにて形成し、この開口部分から露出する銅薄膜をエッチング処理して除去し、最後にレジストを除去する。これにより、上述したメッシュパターン部15を有する銅シート2と同様のものを得ることができ、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 支持体
2 銅シート
3 ドライフィルムフォトレジスト
4 第1のレジスト
5 第1の開口部
6 中間体
7 銅回路
8 プロファイル
9 キャリアシート
10 絶縁基材
11 プリント基板
12 第2の開口部
13 第2のレジスト
14 銅めっき
15 メッシュパターン部
16 スルーホールめっき
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅シートの両面に配線パターンとなる第1の開口部を有する第1のレジストを形成し、
前記第1の開口部を通じて露出した前記銅シートの部位に銅めっきし、
前記銅シートの両面に前記配線パターンからなる銅回路を形成し、
前記第1のレジストを除去し、
前記銅シートの片面に絶縁基材を積層し、
前記銅シートにおける前記銅回路以外の部位を除去することを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1のレジストを形成するに先立ち、前記銅シートを準備する工程を更に含み、
前記工程は、
板状の支持体の片面に対し、この片面を露出させる開口域を有し且つこの開口域が少なくともメッシュパターンとなる第2の開口部を含んでなる第2のレジストを形成し、
前記開口域を通じて露出した支持体に銅めっきし、
前記支持体の片面に前記メッシュパターンに対応するメッシュパターン部を有した銅シート材を形成し、
前記銅シート材から前記第2のレジスト及び前記支持体を除去して前記銅シートを形成することを特徴とする請求項1に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1のレジストを形成するに先立ち、前記銅シートを準備する工程を更に含み、
前記工程は、
板状の支持体の片面に積層された銅薄膜に対し、この銅薄膜の片面を露出させる開口域を有し且つこの開口域が少なくともメッシュパターンとなる第2の開口部を含んでなる第2のレジストを形成し、
前記開口域を通じて露出した前記銅薄膜をエッチングにて除去し、
前記支持体の片面に前記メッシュパターンに対応するメッシュパターン部を有した銅シート材を形成し、
前記銅シート材から前記第2のレジスト及び前記支持体を除去して前記銅シートを形成することを特徴とする請求項1に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2又は3のレジストを形成する際に、前記メッシュパターンとなる前記第2の開口部が将来銅回路を形成すべき部位にのみ形成されるようにすることを特徴とする請求項2に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載のプリント基板の製造方法を用いたプリント基板であって、
前記銅回路に前記銅シートが含まれていることを特徴とするプリント基板。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれかに記載のプリント基板の製造方法を用いたプリント基板であって、
前記銅回路が前記メッシュパターン部を含んでいることを特徴とするプリント基板。
【請求項1】
銅シートの両面に配線パターンとなる第1の開口部を有する第1のレジストを形成し、
前記第1の開口部を通じて露出した前記銅シートの部位に銅めっきし、
前記銅シートの両面に前記配線パターンからなる銅回路を形成し、
前記第1のレジストを除去し、
前記銅シートの片面に絶縁基材を積層し、
前記銅シートにおける前記銅回路以外の部位を除去することを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1のレジストを形成するに先立ち、前記銅シートを準備する工程を更に含み、
前記工程は、
板状の支持体の片面に対し、この片面を露出させる開口域を有し且つこの開口域が少なくともメッシュパターンとなる第2の開口部を含んでなる第2のレジストを形成し、
前記開口域を通じて露出した支持体に銅めっきし、
前記支持体の片面に前記メッシュパターンに対応するメッシュパターン部を有した銅シート材を形成し、
前記銅シート材から前記第2のレジスト及び前記支持体を除去して前記銅シートを形成することを特徴とする請求項1に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1のレジストを形成するに先立ち、前記銅シートを準備する工程を更に含み、
前記工程は、
板状の支持体の片面に積層された銅薄膜に対し、この銅薄膜の片面を露出させる開口域を有し且つこの開口域が少なくともメッシュパターンとなる第2の開口部を含んでなる第2のレジストを形成し、
前記開口域を通じて露出した前記銅薄膜をエッチングにて除去し、
前記支持体の片面に前記メッシュパターンに対応するメッシュパターン部を有した銅シート材を形成し、
前記銅シート材から前記第2のレジスト及び前記支持体を除去して前記銅シートを形成することを特徴とする請求項1に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2又は3のレジストを形成する際に、前記メッシュパターンとなる前記第2の開口部が将来銅回路を形成すべき部位にのみ形成されるようにすることを特徴とする請求項2に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載のプリント基板の製造方法を用いたプリント基板であって、
前記銅回路に前記銅シートが含まれていることを特徴とするプリント基板。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれかに記載のプリント基板の製造方法を用いたプリント基板であって、
前記銅回路が前記メッシュパターン部を含んでいることを特徴とするプリント基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−146467(P2011−146467A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4874(P2010−4874)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000243906)株式会社メイコー (34)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000243906)株式会社メイコー (34)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]