説明

プリント配線板の穴明け方法および穴明けデータ作成装置

【課題】ドリル穴を密集して形成する穴明け加工密集領域が存在しても、プリント配線板にねじれや反りを生じさせない。
【解決手段】ドリルデータよりプリント配線板に穿設するドリル穴に関する情報を取得する第1のステップと、上記第1のステップで取得した情報に基づいて、上記ドリルデータが示すドリル穴についてX軸方向およびY軸方向において隣り合うドリル穴同士が互いに他のグループとなるように2以上の複数のグループに上記ドリルデータのグループ分けを行い、各グループごとに穿設順位を設定した分割ドリルデータを作成する第2のステップと、上記第2のステップで作成した上記分割ドリルデータをグループごとに1つのドリルデータツールに割り振る第3のステップと、上記第3のステップにおいて上記分割ドリルデータを割り振られたドリルデータツールにより、上記穿設順位に従ってプリント配線板にドリル穴を穿設する第4のステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の穴明け方法および穴明けデータ作成装置に関し、さらに詳細には、プリント配線板に配線用のスルーホールなどとして用いる各種の内径を備えたドリル穴を密集して明ける際に用いて好適なプリント配線板の穴明け方法および穴明けデータ作成装置に関する。
【0002】
なお、本明細書においては、「プリント配線板」ならびに「スルーホール」は、それぞれ以下の技術内容を意味するものとする。
【0003】
即ち、「プリント配線板」には、単層よりなるものと、2層以上の複数層よりなるものとの両者が含まれるものとする。
【0004】
また、「スルーホール」には、プリント配線板を貫通する貫通スルーホールと、プリント配線板を貫通しない未貫通のブラインドビアホールとの両者が含まれるものとする。
【背景技術】
【0005】
従来より、プリント配線板に配線用のスルーホールなどとして用いる各種の内径を備えたドリル穴を明ける穴明け加工を行うにあたっては、各ドリル穴の詳細な情報を示すドリルデータが必要であった。
【0006】
ここで、ドリルデータとは、プリント配線板上に各ドリル穴を穿設する際の、各ドリル穴のプリント配線板上での座標情報と各ドリル穴の内径情報とプリント配線板が有するドリル穴の個数情報とを有して構成されるデータであり、上記ドリルデータに基づいて穴開け加工が行われるものである。
【0007】
そして、実際に穴明け加工を行う際には、こうしたドリルデータの各値をX軸方向およびY軸方向に並べ替え、座標位置に従って順にドリル穴の穿設を行うものであり、具体的には、座標位置の端から順にドリル穴の穿設を行うものである。
【0008】

ここで、図1には、こうした従来のドリルデータの各値をX軸方向およびY軸方向に並べ替えた場合に、各ドリル穴がどのように配列されるかを概念的に表すドリル穴配列100の模式図が示されている。
【0009】
この図1に示したドリル穴配列100におけるそれぞれの円図形は、穿設されるドリル穴を表しているものであり、この図1に示す例においては、XYZ直交座標系を示す参考図におけるX軸方向に同径のドリル穴が9つ配置され、Y軸方向に同径のドリル穴が5つ配置されているものである。
【0010】

また、従来のプリント配線板における穴明け加工においては、各ドリル穴をプリント配線板に物理的に穿設する手段として、穴明け加工装置であるドリルデータツールが用いられており、上記ドリルデータがドリルデータツールに割り振られた後にX軸方向もしくはY軸方向に並べ替えられ、ドリル穴配列100における座標位置の端から順に、ドリル穴配列100をプリント配線板上に穿設するように加工が行われるものである。
【0011】
なお、この加工の際には、1つずつ、もしくは、複数個のドリル穴を同時に穿設するように加工を行う。
【0012】

ところで、こうした従来のプリント配線板における穴明け加工技術においては、各ドリル穴をプリント配線板に物理的に穿設する際には、上記したように各ドリル穴の座標位置に従って順に穿設されるものである。
【0013】
そして、穴明け加工においては作業効率が重視されるため、ドリル穴の密集領域においても、互いに隣合うドリル穴を連続して穿設する作業を短時間で行っており、このため、プリント配線板に局地的に負荷がかかることになり、プリント配線板にねじれや反りが生じるという問題点があった。
【0014】
さらに、こうした従来のプリント配線板の穴明け加工過程で発生するプリント配線板のねじれや反りは、チップ部品等の実装部品をプリント配線板表面に実装する際に弊害を発生させるものであり、例えば、ケース組み込みによるGND接続の低下や放熱の低下などを引き起こすといった問題点を招来するものであった。
【0015】

なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プリント配線板の穴明け加工において、ドリル穴を密集して形成する穴明け加工密集領域が存在しても、プリント配線板にねじれや反りを生じさせることのないプリント配線板の穴明け方法および穴明けデータ作成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、プリント配線板の穴明け加工時に、X軸方向およびY軸方向において隣り合うドリル穴を連続して加工しないようにドリルデータの分割を行い、X軸方向およびY軸方向において隣り合うドリル穴を連続して加工しないように分割したドリルデータを複数のドリルデータツールに割り当てて、複数のドリルデータツールを用いて穴明け加工を行うようにしたものである。
【0018】

上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載のプリント配線板の穴明け方法は、ドリルデータツールによりドリルデータに基づいてプリント配線板にドリル穴を穿設するプリント配線板の穴明け方法において、ドリルデータよりプリント配線板に穿設するドリル穴に関する情報を取得する第1のステップと、上記第1のステップで取得した情報に基づいて、上記ドリルデータが示すドリル穴についてX軸方向およびY軸方向において隣り合うドリル穴同士が互いに他のグループとなるように2以上の複数のグループに上記ドリルデータのグループ分けを行い、各グループごとに穿設順位を設定した分割ドリルデータを作成する第2のステップと、上記第2のステップで作成した上記分割ドリルデータをグループごとに1つのドリルデータツールに割り振る第3のステップと、上記第3のステップにおいて上記分割ドリルデータを割り振られたドリルデータツールにより、上記穿設順位に従ってプリント配線板にドリル穴を穿設する第4のステップとを有するようにしたものである。
【0019】
また、本発明のうち請求項2に記載のプリント配線板の穴明け方法は、本発明のうち請求項1に記載のプリント配線板の穴明け方法において、上記ドリル穴に関する情報は、上記ドリル穴の個数と、上記ドリル穴のそれぞれの内径と、上記プリント配線板上におけるXY方向の位置を示すそれぞれの座標とであるようにしたものである。
【0020】
また、本発明のうち請求項3に記載のプリント配線板の穴明けデータ作成装置は、ドリルデータツールによりドリルデータに基づいてプリント配線板にドリル穴を穿設するプリント配線板の穴明けデータ作成装置において、プリント配線板に穿設するドリル穴に関する情報を有するドリルデータを入力するドリルデータ入力手段と、上記ドリルデータ入力手段より入力されたドリルデータよりプリント配線板に穿設するドリル穴に関する情報を取得するドリルデータ読み取り手段と、上記ドリルデータ読み取り手段で取得された情報に基づいて、上記ドリルデータが示すドリル穴についてX軸方向およびY軸方向において隣り合うドリル穴同士が互いに他のグループとなるように2以上の複数のグループに上記ドリルデータのグループ分けを行い、各グループごとに穿設順位を設定した分割ドリルデータを作成するドリルデータ分割手段とを有するようにしたものである。
【0021】
また、本発明のうち請求項4に記載のプリント配線板の穴明けデータ作成装置は、本発明のうち請求項3に記載の穴明けデータ作成装置において、上記ドリル穴に関する情報は、上記ドリル穴の個数と、上記ドリル穴のそれぞれの内径と、上記プリント配線板上におけるXY方向の位置を示すそれぞれの座標とであるようにしたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上説明したように構成されているので、プリント配線板の穴明け加工において、ドリル穴を密集して形成する穴明け加工密集領域が存在しても、プリント配線板にねじれや反りを生じさせることがないという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるプリント配線板の穴明け方法およびプリント配線板の穴明けデータ作成装置の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0024】

まず、図2(a)には、本発明の実施の形態の一例によるプリント配線板の穴明けデータ作成装置10を概念的に表したブロック構成説明図が示されている。
【0025】
この本発明によるプリント配線板の穴明けデータ作成装置10は、外部よりドリルデータを入力するための手段であるドリルデータ入力手段12と、ドリルデータ入力手段12により入力されたドリルデータを構成する各種情報を読み取るためのドリルデータ読み取り手段14と、ドリルデータ読み取り手段14が読み取ったドリルデータをX軸方向およびY軸方向で隣り合うドリル穴が連続して加工されないように分割して、複数のドリルデータツールにそれぞれ割り振られるドリルデータである分割ドリルデータを作成するドリルデータ分割手段16とを有して構成されている。
【0026】
なお、ドリルデータとは、上記したように、プリント配線板上に穿設するドリル穴に関する各種情報により構成されるものであり、各ドリル穴のプリント配線板上でのXY座標を示す座標情報と、各ドリル穴のが有する内径の寸法を示す内径情報と、プリント配線板上に穿設するドリル穴の個数を示す個数情報とを有して構成され、上記ドリルデータに基づいてプリント配線板への穴開け加工が行われるものである。
【0027】

また、ドリルデータツールとは、ドリルデータに従ってプリント配線板上にドリル穴の穿設を行う穿設手段たる穴明け加工装置であって、従来より公知の技術を適用することができるので、その詳細な構成ならびに作用の説明や図示は省略する。
【0028】

ここで、穴明けデータ作成装置10においては、ドリルデータ入力手段12により、予め作成されているドリルデータを入力するようにしてもよいし、また、図示しない入力デバイスなどを用いて使用者が所望のドリルデータを入力するようにしてもよい。
【0029】
なお、本実施の形態においては、図1に示すドリル穴配列100のドリルデータを入力した場合について説明する。
【0030】

また、ドリルデータ読み取り手段14は、ドリルデータ入力手段12により入力されたドリルデータを構成する各種情報を読み取り、当該各種情報の取得を行う。
【0031】
より詳細には、ドリルデータ読み取り手段14は、ドリルデータ入力手段12により入力されたドリルデータから、ドリルデータを構成する各ドリル穴のプリント配線板上でのXY座標を示す座標情報と、各ドリル穴が有する内径の寸法を示す内径情報と、プリント配線板上に穿設するドリル穴の個数を示す個数情報とを取得する。
【0032】

また、ドリルデータ分割手段16においては、ドリルデータ読み取り手段14により取得されたドリルデータの各種情報に基づいて、X軸方向およびY軸方向において隣り合うドリル穴が連続して加工されることのないように、ドリルデータにより形成される全てのドリル穴を2以上の複数のグループにグループ分けするとともにグループごとの穿設順も示す分割ドリルデータを作成する処理が行われる。
【0033】
即ち、分割ドリルデータとは、入力されたドリルデータを複数のグループに分割し、ドリルデータツールによるプリント配線板上へのドリル穴の穿設の際に、分割ドリルデータが示す穿設順に従ってグループごとに穿設が行われるようにするためのものである。
【0034】
なお、分割ドリルデータは、X軸方向およびY軸方向において隣り合うドリル穴が連続して加工されることのないようにするものであるので、あるグループの分割ドリルデータが示すドリル穴と他のグループの分割ドリルデータが示すドリル穴とは、X軸方向およびY軸方向において隣り合うことはない。
【0035】

そして、ドリルデータ分割手段16により作成された分割ドリルデータは、それぞれドリルデータツールへ出力され、ドリルデータツールは、分割ドリルデータに従ってプリント配線板上へのドリル穴の穿設を行うことになる。
【0036】

以上の構成において、穴明けデータ作成装置10は、ドリルデータ入力手段12により入力されて入力されたドリルデータから、ドリルデータ読み取り手段14によりドリルデータを構成する各ドリル穴のプリント配線板上でのXY座標を示す座標情報と各ドリル穴が有する内径の寸法を示す内径情報とプリント配線板上に穿設するドリル穴の個数を示す個数情報とを取得する。
【0037】
そして、ドリルデータ分割手段16は、ドリルデータ読み取り手段14により取得されたドリルデータを構成する各ドリル穴のプリント配線板上でのXY座標を示す座標情報と各ドリル穴が有する内径の寸法を示す内径情報とプリント配線板上に穿設するドリル穴の個数を示す個数情報とに基づいて、ドリルデータにより形成される全てのドリル穴を2以上の複数のグループにグループ分けして分割ドリルデータを作成し、作成した分割ドリルデータをそれぞれドリルデータツールへ出力する。
【0038】
分割ドリルデータを入力されたそれぞれのドリルデータツールは、入力されたそれぞれの分割ドリルデータに基づいて、プリント配線板上に穴明け加工を行うことになる。
【0039】

次に、図2(b)に示すフローチャートを参照しながら、上記した穴明け加工データ作成装置10において実行されるドリルデータから分割ドリルデータを生成する処理(以下、「分割ドリルデータ生成処理」と適宜に称する。)について説明する。
【0040】
図示しない操作子などの操作により、図2(b)に示す分割ドリルデータ生成処理の処理ルーチンが起動されると、まず、ステップS202の処理において、ドリルデータの入力があるか否かの判断処理が行われる。
【0041】
このステップS202の判断処理において、ドリルデータの入力があると判断された場合には、ステップS204の処理に進む。
【0042】
一方、ステップS202の判断処理において、ドリルデータの入力がないと判断された場合には、ドリルデータの入力があるまでステップS202の判断処理を繰り返し、ドリルデータの入力があると判断されたときに、ステップS204の処理へ進むことになる。
【0043】
そして、ステップS204の処理においては、ドリルデータの各ドリル穴について、各種情報として個数、内径およびプリント配線板上における位置を示すXY座標とを取得する処理が行われる。
【0044】
即ち、穴明け加工データ作成装置10内のドリルデータ読み取り手段14により、ドリルデータを構成する各ドリル穴のプリント配線板上でのXY座標を示す座標情報と各ドリル穴が有する内径の寸法を示す内径情報とプリント配線板上に穿設するドリル穴の個数を示す個数情報とを取得する処理が行われる。
【0045】
上記したステップS204の処理を終了すると、ステップS206の処理へ進み、ドリルデータが示す各ドリル穴を複数のグループごとにグループ分けした分割ドリルデータを作成する処理が行われる。この際に、分割ドリルデータには、各グループの穿設順が含まれるようにデータ処理を行う。
【0046】
即ち、穴明け加工データ作成装置10内のドリルデータ読み取り手段14により、取得されたドリルデータを構成する各ドリル穴のプリント配線板上でのXY座標を示す座標情報と各ドリル穴が有する内径の寸法を示す内径情報とプリント配線板上に穿設するドリル穴の個数を示す個数情報とに基づいて、X軸方向およびY軸方向において隣り合うドリル穴が同一のグループとならないように、ドリルデータにより形成される全てのドリル穴を2以上の複数のグループにグループ分けして分割ドリルデータを作成する処理が行われるものである。
【0047】
そして、ドリルデータ読み取り手段14は、2以上の複数のグループにグループ分けした各グループの穿設順も分割ドリルデータに含まれるようにデータ処理を行う。
【0048】

ここで、各グループの穿設順について説明すると、各グループの穿設順の決定は任意に行うことができるものであり、本実施の形態においては、グループA、グループBおよびグループCの3つのグループにグループ分けされているため、設定可能な穿設順としてはグループA→グループB→グループC、または、グループA→グループC→グループB、または、グループB→グループA→グループC、または、グループB→グループC→グループA、または、グループC→グループA→グループB、または、グループC→グループB→グループAのいずれかに設定することができる。
【0049】

なお、本実施の形態においては、穿設順としてグループA→グループB→グループCの順に設定した場合について説明する。
【0050】

つまり、ステップS206の処理による分割ドリルデータの作成においては、プリント配線板に密集して配置されたドリル穴を穿設する際に、プリント配線板に負荷がかからないようにするため、X軸方向およびY軸方向において隣り合うドリル穴同士は互いに他のグループになるようグループ分けし、分割ドリルデータを作成するものである。
【0051】

上記したように、本実施の形態においては、図1に示すドリル穴配列100のドリルデータを入力した場合について説明するものであるが、ステップS206の処理においては、図1に示すドリル穴配列100のドリル穴をA〜Cの3種類のグループ(グループA、グループBおよびグループC)にグループ分けして分割ドリルデータを作成するものとする。
【0052】
ここで、図3には、グループA、グループBおよびグループCの3種類のグループにグループ分けした分割ドリルデータについて、そのグループ分けの状態を概念的に表すドリル穴配列200の模式図が示されている。
【0053】
即ち、図3は、図1に示したドリル穴配列100のドリルデータから分割ドリルデータを作成した場合のドリル穴配列(分割ドリル穴配列)200を示すものであり、この図3に示した分割ドリル穴配列200におけるそれぞれの円図形は、穿設されるドリル穴を表しているものである。
【0054】
なお、図3において、グループAのドリル穴は白丸(○)で表されており、また、グループBのドリル穴は黒丸(●)で表されており、また、グループCのドリル穴は二重丸(◎)で表されている。
【0055】
また、本実施の形態においては、すべてのドリル穴の内径は同径で、かつ、直径0.6mmであるものとする。
【0056】

上記したステップS206の処理を終了すると、ステップS208の処理へ進み、ステップS206の処理で作成した分割ドリルデータを穴明け加工装置たるドリルデータツールへグループごとに出力し、この分割ドリルデータ生成処理の処理ルーチンを終了する。
【0057】

次に、分割ドリルデータを出力されたドリルデータツールにおける穴明け処理について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
【0058】
なお、本実施の形態においては、ドリルデータツールは1本のドリルを有するものとし、ドリル穴は1つずつ穿設されるものとする。
【0059】
ここで、分割ドリルデータは、分割ドリルデータのグループごとに複数のドリルデータツールにそれぞれ割り振られるものであり、グループごとに設定された穿設順に従って穴明け加工が行われるものであるが、本実施の形態においては、グループAの分割ドリルデータにより穿設されるドリル穴をはじめに穿設される第1グループとし、グループBの分割ドリルデータにより穿設されるドリル穴を次に穿設される第2グループとし、グループCの分割ドリルデータにより穿設されるドリル穴を最後に穿設される第3グループとして処理するものとした。
【0060】

図示しない操作子などの操作により、図4に示す穴明け処理の処理ルーチンが起動されると、まず、ステップS402の処理において、分割ドリルデータのグループごとに、1つのドリルデータツールに対して、1つのグループの分割ドリルデータを割り振る処理が行われる。従って、本実施の形態においては、分割ドリルデータは3つのグループを有するため、3つのドリルデータは3つのドリルデータツールにそれぞれ割り振られ、3つのドリルデータツールを用いて穿設が行われる。
【0061】
上記したステップS402の処理を終了すると、ステップS404の処理へ進み、未処理のグループの分割ドリルデータのなかで、設定された穿設順の最先の分割ドリルデータを割り振られたドリルデータツールにより、当該割り振られた分割ドリルデータに基づいてプリント配線板に対し穴明け加工の処理を行う。
【0062】
上記したステップS404の処理を終了すると、ステップS406の処理へ進み、未処理のグループの分割ドリルデータが存在するか否かを判断する。
【0063】
このステップS406の判断処理において、未処理のグループの分割ドリルデータが存在すると判断された場合には、ステップS404へ戻って処理を繰り返す。
【0064】
一方、ステップS406の判断処理において、未処理のグループの分割ドリルデータが存在しないと判断された場合には、この穴明け処理の処理ルーチンを終了する。
【0065】

ここで、本実施の形態においては、最初に穴明け加工する第1のグループとしてグループAが設定されているので、まず、図5(a)に示すように、グループAのすべてのドリル穴がプリント配線板上に穿設される。
【0066】
そして、次に穴明け加工する第2のグループとしてグループBが設定されているので、まず、図5(b)に示すように、グループAのドリル穴に加えてグループBのすべてのドリル穴がプリント配線板上に穿設される。
【0067】
さらに、最後に穴明け加工する第3のグループとしてグループCが設定されているので、まず、図5(c)に示すように、グループAおよびグループBのドリル穴に加えてグループCのすべてのドリル穴がプリント配線板上に穿設される。
【0068】
このようにして、ドリル穴配列100のドリルデータの通りに、プリント配線板にドリル穴が穿設されることになる。
【0069】

上記において説明したように、本発明のプリント配線板の穴明け加工方法および穴明け加工データ作成装置を用いれば、X軸方向およびY軸方向において隣接するドリル穴が連続して穿設されないようにドリルデータをグループ分けをし、ドリルデータをグループごとに分割した分割ドリルデータとしてドリルデータツールに割り振るするため、プリント配線板に密集したドリル穴を局地的に連続して穿設することがないので、プリント配線板に対して短時間で局地的に負荷が加わることが緩和されるために、プリント配線板のねじれや反りを低減することができるようになる。
そして、本発明のプリント配線板の穴明け加工方法および穴明け加工データ作成装置によれば、上記したようにプリント配線板のドリル穴穿設時に生じるプリント配線板のねじれや反りを低減することができるため、これにより表面実装部品の実装時における弊害、ケース組み込み時の弊害あるいはプリント配線板のクラックによる弊害などの発生を低減することができるようになる。
【0070】

なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(3)に示すように変形することができるものである。
【0071】
(1)上記した実施の形態においては、ドリルデータを3つのグループに分けて分割ドリルデータを作成したが、これに限られるものではないことは勿論であり、1つのドリルデータが複数のグループに分割されればよいものである。
【0072】
即ち、X軸方向およびY軸方向において隣接するドリル穴が連続して穿設されないようにドリルデータを2以上の複数のグループに分け、X軸方向およびY軸方向において隣接するドリル穴がそれぞれ異なるグループの分割ドリルデータに属するようにすればよいものである。
【0073】
(2)上記した実施に形態においては、ドリルデータツールは1本のドリルを有するものとしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、同径あるいはそれぞれ異なる径の複数のドリルを取り付けたドリルデータツールを用いても良いものである。
【0074】
なお、この場合には、ドリル穴の穿設の際に、ドリル穴の内径に適したドリルが選択される。
【0075】
(3)上記した実施の形態ならびに上記した(1)および(2)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、プリント配線板に配線用のスルーホールなどとして用いる各種の内径を備えたドリル穴を穿設するためのドリルデータを作成する際に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、プリント配線板上に穿設されるドリル穴の配列を概念的に示した模式図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施の形態の一例によるプリント配線板の穴明けデータ作成装置10を概念的に表したブロック構成説明図であり、また、図2(b)は、本発明によるプリント配線板における穴明けデータ作成装置で実行される分割ドリルデータ生成処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】図3は、グループA、グループBおよびグループCの3種類のグループにグループ分けした分割ドリルデータについて、そのグループ分けの状態を概念的に表すドリル穴配列の模式図である。
【図4】図4は、本発明によるプリント配線板における穴明けデータ作成装置において作成された分割ドリルデータに基づいて実行される穴明け処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図5(a)(b)(c)は、複数の分割ドリルデータによりドリル穴を穿設していく状態を概念的に表すドリル穴配列の模式図である。
【符号の説明】
【0078】
10 穴明け加工データ作成装置
12 ドリルデータ入力手段
14 ドリルデータ読み取り手段
16 ドリルデータ分割手段
100 ドリル穴配列
200 分割ドリル穴配列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルデータツールによりドリルデータに基づいてプリント配線板にドリル穴を穿設するプリント配線板の穴明け方法において、
ドリルデータよりプリント配線板に穿設するドリル穴に関する情報を取得する第1のステップと、
前記第1のステップで取得した情報に基づいて、前記ドリルデータが示すドリル穴についてX軸方向およびY軸方向において隣り合うドリル穴同士が互いに他のグループとなるように2以上の複数のグループに前記ドリルデータのグループ分けを行い、各グループごとに穿設順位を設定した分割ドリルデータを作成する第2のステップと、
前記第2のステップで作成した前記分割ドリルデータをグループごとに1つのドリルデータツールに割り振る第3のステップと、
前記第3のステップにおいて前記分割ドリルデータを割り振られたドリルデータツールにより、前記穿設順位に従ってプリント配線板にドリル穴を穿設する第4のステップと
を有することを特徴とするプリント配線板の穴明け方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板の穴明け方法において、
前記ドリル穴に関する情報は、
前記ドリル穴の個数と、
前記ドリル穴のそれぞれの内径と、
前記プリント配線板上におけるXY方向の位置を示すそれぞれの座標と
である
ことを特徴とするプリント配線板の穴明け方法。
【請求項3】
ドリルデータツールによりドリルデータに基づいてプリント配線板にドリル穴を穿設するプリント配線板の穴明けデータ作成装置において、
プリント配線板に穿設するドリル穴に関する情報を有するドリルデータを入力するドリルデータ入力手段と、
前記ドリルデータ入力手段より入力されたドリルデータよりプリント配線板に穿設するドリル穴に関する情報を取得するドリルデータ読み取り手段と、
前記ドリルデータ読み取り手段で取得された情報に基づいて、前記ドリルデータが示すドリル穴についてX軸方向およびY軸方向において隣り合うドリル穴同士が互いに他のグループとなるように2以上の複数のグループに前記ドリルデータのグループ分けを行い、各グループごとに穿設順位を設定した分割ドリルデータを作成するドリルデータ分割手段と
を有することを特徴とする穴明けデータ作成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の穴明けデータ作成装置において、
前記ドリル穴に関する情報は、
前記ドリル穴の個数と、
前記ドリル穴のそれぞれの内径と、
前記プリント配線板上におけるXY方向の位置を示すそれぞれの座標と
である
ことを特徴とする穴明けデータ作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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