説明

プリント配線板の製造方法

【課題】プリント配線板30におけるカードエッジコネクタ31のめっきに際し、めっき後の不要となった内側めっきリード線38の簡便な除去方法が求められていた。
【解決手段】カードエッジコネクタに対し、プリント配線板30の内側に各コンタクト32から引き出された信号線兼用めっきリード線39と、内側めっきリード線38と、これらの内側めっきリード線38を接続する内側共通めっきリード線35を設けてめっき加工を行うようにした。
めっき工程が終了すると内側共通めっきリード線35をミーリング加工等により除去するようにしたので、隣接するコンタクト32間の距離に関係なく、除去のための加工が容易となる。更に、コンタクト32の数によらず1回のミーリング加工等で内側共通めっきリード線35を容易に削除できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」という。)や通信機器等で使用されるプリント配線板の製造方法に関し、特に、シーケンシャルパッドを有するカードエッジコネクタのめっき方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、シーケンシャルパッドがないときのめっき加工時における従来のプリント配線板を示す概略の構成図である。
【0003】
カードエッジコネクタ11とは、プリント配線板10の端部に導電性のコンタクト12を設けた部分のことで、図示しないマザーボード等の他のプリント配線板に設けられたエッジコネクタソケットへ挿し込むことで電気的に導通するように構成されている。カードエッジコネクタ11の実装例としては、例えば、パソコンの拡張カードやゲーム機のROMカートリッジ等がある。
【0004】
プリント配線板10の内側、すなわち、図3の右側には、例えば、集積回路等で構成された回路19が配置されている。
【0005】
一般に、従来のパソコン等で使用されるカードエッジコネクタ11への電解金めっきは、図3のように各コンタクト12からプリント配線板10の端部へめっきリード線13を引き出して共通めっきリード線14に並列に接続し、この共通めっきリード線14に直流電源の陰極を接続してプリント配線板10をめっき浴に投入することで行っていた。
【0006】
図4は、シーケンシャルパッドを有するめっき加工時における従来のプリント配線板を示す概略の構成図であり、図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付けられている。
【0007】
図4において、カードエッジコネクタ11Aは、単一のコンタクト12と2つに分割されたコンタクト12であるシーケンシャルパッド12aとにより構成されている。2つに分割されたコンタクト12は、図示されない接続先の他のプリント配線板のエッジコネクタソケットとの電気的導通にシーケンス(接触する際の時間的なずれ)を持たるための構成である。
【0008】
このような構成のシーケンシャルパッド12aを有するカードエッジコネクタ11Aへの電解金めっきの場合は、プリント配線板11の端部だけでなく、プリント配線板11Aの内側にも別のめっきリード線を引き出す必要がある。従来のめっき方法では、図4のように基板表層の内側のコンタクト12の間を内側用の内側めっきリード線16で繋ぎ、めっき加工の後に、内側めっきリード線16をミーリングなどで一本ずつ切断する方法で行っていた。
【0009】
図5は、シーケンシャルパッド12aを有する多層基板の場合のめっき加工時における従来のプリント配線板を示す概略の構成図であり、図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付けられている。
【0010】
図5に示すプリント配線板10Bの場合、配線板10Bの内側に配置された回路19は、図示しない内層配線及びスルーホール20を経由して外部と電気的に接続されている。図4の場合と同様にカードエッジコネクタ11Bの左側は、めっきリード線13により共通めっきリード線14に接続されている。カードエッジコネクタ11Bの右側、すなわち、コンタクト12の内側は、信号線兼用めっきリード線18でスルーホール20に接続され、更にスルーホール20を経由して内層めっきリード線17によって、共通めっきリード線14に接続されている。
【0011】
このような構成により、カードエッジコネクタ11Bの左側も右側も共通めっきリード線14から導通するので、めっきが可能となる。めっきが完了すると、めっきリード線13及び共通めっきリード線14をミーリング加工又は、化学的に処理して除去し、更に、内層リード線17をドリルによる穴あけで切断していた。
【0012】
このようなプリント配線板10,10A,10Bの製造方法の一例として、下記の特許文献1がある。特許文献1には、薄型の高密度プリント配線板の微小部分に設けられた、電気ニッケルめっき、電気金めっき等のめっきリードパターンを安定的に、且つ経済性良く除去する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平8−148810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来のプリント配線板の製造方法では、図4に示す例のように、シーケンシャルパッド12aを有するカードエッジコネクタ11Aにおいて、コンタクト12を直列に接続するように内側めっきリード線16を配置したときは、めっきをした後に、内側めっきリード線16を1本ずつ切断する必要がある。この場合は、コンタクト12の数が多ければ多いほど、ミーリング等の加工工数が増大する。更に、隣接するコンタクト12の間の距離が小さいとミーリング加工自体が困難になるという問題があった。
【0015】
又、図5のような場合でも同様に、コンタクト12の数が多ければ、ドリル加工工数が増大し、又隣接するコンタクト12の間の距離が小さい場合、ドリル加工自体が困難という問題があった。
【0016】
なお、先行文献1には、シーケンシャルパッド12aを有するカードエッジコネクタ11Aに対するめっき方法についての記載はない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のプリント配線板の製造方法は、主要部形成工程と、めっき工程と、内側共通リード線除去工程とを有している。前記主要部形成工程は、プリント配線板の端部に設けられた複数のコンタクトを有するカードエッジコネクタと、前記端部の外側に配置される共通めっきリード線と、前記共通めっきリード線及び複数の前記コンタクトの端部側を接続するめっきリード線と、前記カードエッジコネクタの内側に配置される内側共通めっきリード線と、前記内側共通めっきリード線及び複数の前記コンタクトを接続する内側めっきリード線とを形成する工程である。
【0018】
前記めっき工程は、前記コンタクトと、前記共通めっきリード線と、前記めっきリード線と、前記内側共通めっきリード線と、前記内側めっきリード線とにめっきを施す工程である。更に、前記内側共通リード線除去工程は、前記内側共通リード線を除去する工程である。
【0019】
本発明の他のプリント配線板の製造方法は、多層構造を有するプリント配線板の製造方法であって、内層配線工程と、一体化工程と、スルーホール形成工程と、主要部形成工程と、めっき工程と、内側共通リード線除去工程とを有している。
【0020】
前記内層配線工程は、銅張積層板を用いて銅パターンを形成して内層配線を配置し、内層部分を構成する工程であり、前記一体化工程は、前記内層部分と前記プリント配線板の表層を構成する表層部分とを積層圧着して一体化生成する工程である。前記スルーホール形成工程は、前記内層部分と前記表層部分を貫通するスルーホールを形成する工程である。
【0021】
更に、前記主要部形成工程は、プリント配線板の端部に設けられた複数のコンタクトを有するカードエッジコネクタと、前記端部の外側に配置される共通めっきリード線と、前記共通めっきリード線及び複数の前記コンタクトの端部側を接続するめっきリード線と、前記カードエッジコネクタの内側に配置される内側共通めっきリード線と、前記内側共通めっきリード線及び前記スルーホールを接続する内側めっきリード線と、複数の前記スルーホールと複数の前記コンタクトの内側を接続する信号線兼用めっきリード線とを形成する工程である。
【0022】
前記めっき工程は、前記コンタクトと、前記共通めっきリード線と、前記めっきリード線と、前記内側共通めっきリード線と、前記内側めっきリード線と、前記信号線兼用めっきリード線とにめっきを施すめっき工程である。前記内側共通リード線除去工程は、前記内側共通リード線を除去する工程である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のプリント配線板の製造方法によれば、プリント配線板の内側に、コンタクトから引き出された内側めっきリード線とこれらのめっきリード線を接続する内側共通めっきリード線を設け、めっきを行うようにし、めっき工程が終了すると内側共通めっきリード線をミーリング加工等により除去するようにしたので、隣接するコンタクト間の距離に関係なく、除去のための加工が容易となる。
【0024】
更に、コンタクトの数によらず1回のミーリング加工等で内側共通めっきリード線を容易に削除できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は本発明の実施例1におけるめっき加工時のプリント配線板を示す概略の構成図である。
【図2−1】図2−1は本発明の実施例1におけるプリント配線板30の製造工程図である。
【図2−2】図2−2は本発明の実施例1におけるプリント配線板30の製造工程図である。
【図3】図3はシーケンシャルパッドがないときのめっき加工時における従来のプリント配線板を示す概略の構成図である。シーケンシャルパッドがないときの従来のプリント配線板を示す構成図である。
【図4】図4はシーケンシャルパッドを有するめっき加工時における従来のプリント配線板を示す概略の構成図である。
【図5】図5はシーケンシャルパッドを有する多層基板の場合のめっき加工時における従来のプリント配線板を示す概略の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0027】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1におけるめっき加工時のプリント配線板を示す概略の構成図である。
【0028】
プリント配線板30の端部には、単一のコンタクト32と分割されたコンタクト32(=シーケンシャルパッド32a)から構成されるカードエッジコネクタ31が形成されている。カードエッジコネクタ31とは、プリント配線板30と外部とを電気的に接続するために、プリント配線板30の端部に長方形の導体パターンであるコンタクト32を並列に設けた接触端子のことで、通常、摩耗や腐食に強い金めっきが施されて構成されている。
【0029】
シーケンシャルパッド32aは、例えば、活線挿抜(=ホットスワップ)時に発生するラッシュ電流による素子破壊を防ぐため、図示しない他のプリント配線板に設けられたエッジコネクタソケットへ挿し込む際に、最初にグランドを接続して基準電位を確定し、その後、電源、信号順に導通させるシーケンシャル接続を行うためのものである。
【0030】
つまり、単一のコンタクト32のうちのいずれかがプリント配線板30内のグランド又は電源に接続されており、シーケンシャルパッド32aの端部側のコンタクト32は、ダミーとして電気的な接続がされておらず、内側のコンタクト32には信号線が接続されているように構成されている。
【0031】
このような構成により、他のプリント配線板のエッジコネクタソケットにプリント配線板30を挿入するときは、最初にグランドが接続され、続いて、電源、信号線の順に接触することになる。逆に、抜去するときは、信号線、電源、グランドの順に電気的に切断されて行くことになる。
【0032】
シーケンシャルパッド32aの端部側のコンタクト32と内側のコンタクト32のサイズを変えて複数の種類のシーケンシャルパッド32aを設けることにより、プリント配線板30の挿入・抜去におけるエッジコンタクトとの接触タイミングを更に細かくずらすことができる。
【0033】
例えば、単一のコンタクト32にグランド又は電源を接続し、端部側のコンタクト32を短くしたシーケンシャルパッド32aの内側のコンタクト32に制御信号線を接続する。更に、端部側のコンタクト32をやや長くしたシーケンシャルパッド32aの内側のコンタクト32に高速伝送用信号線を接続する構成にする。
【0034】
このような構成にすることにより、プリント配線板30を挿入するときは、グランド、電源、制御信号線、高速伝送用信号線の順に接触することになる。抜去のときは、逆に、高速伝送用信号線、制御信号線、電源、グランドの順に電気的に切断されていく。
【0035】
プリント配線板30の内側、すなわち、図1の右側には、複数の回路40が配置されている。これらの回路40は、内層配線37によりスルーホール36に接続されている。
【0036】
各コンタクト32は、各コンタクト32の端部側(=図1の左方向)から引き出されためっきリード線33により、共通めっきリード線34に並列に接続されている。各コンタクト32の内側(=図1の右方向)は、信号線兼用めっきリード線39によって、千鳥状に設けられたスルーホール36に接続されている。
【0037】
この信号兼用めっきリード線39は、めっき加工時には、シーケンシャルパッド32aの内側のコンタクト32を図示しない直流電源の陰極に接続させるために使用される。めっき加工終了後は、除去されず信号線として使用される。
【0038】
更に、シーケンシャルパッド32aの内側の部分にめっきのための導通を行うため、スルーホール36と内側共通めっきリード線35とが、内側めっきリード線38により接続されている。単一のコンタクト32は、めっきリード線33により、共通めっきリード線34に接続されているので、図1のカードエッジコネクタ31の最上部および最下部のコンタクト32を除き、スルーホール36と内側共通めっきリード線35とは、接続されていない。
【0039】
最上部のコンタクト32及び最下部のコンタクト32については、スルーホール36と内側共通めっきリード線35とが接続されており、内側共通めっきリード線35と共通めっきリード線34とが電気的に接続されており、これらは、同一の電位、例えば、グランドを有している。
【0040】
このような構成により、カードエッジコネクタ31の左側も右側も共通めっきリード線34と導通するので、電解金めっきが可能となる。
【0041】
めっきリード線33、共通めっきリード線34、内側共通めっきリード線35及び内側めっきリード線38は、めっき加工のためだけに必要な配線であり、めっき加工の後は、不要な配線となる。電解金めっき後には、ミーリング加工等により、これらの配線が削除される。ミーリング加工による切断の際は、内層配線37を切断しないように、表層から0.1mm程度の深さで加工される。
【0042】
(実施例1の製造方法)
図2−1及び図2−2は、本発明の実施例1におけるプリント配線板30の製造工程図である。
【0043】
本実施例1のプリント基板は、例えば、以下の(1)〜(7)の工程により製造される。
【0044】
(1) 図5-1(a)の内層配線工程
内層部分52の銅張積層板にフォトレジストを塗布してパターン露光、現像を行うフォトエッチング処理により、銅パターンを形成して内層配線37及びスルーホール用ランド51を設ける。
【0045】
フォトエッチング処理は、おおよそ、次のように行われる。始めに、フォトレジストを銅張積層板に塗布する。塗布方法としては、広く用いられているスピンコート法やその他、スプレイ法、気相塗布法がある。次にプレベークによりフォトレジスト膜中に残る有機溶剤を除去して、マスク合わせを行って紫外光を露光する。露光により、例えば、紫外光が当たった部分が高分子化して溶剤に溶けなくなる。現像により、紫外光の当たらなかった部分が溶けてレジストパターンが得られる。
【0046】
ポストベークにより、現像時の溶剤を除去し、エッチングを行う。エッチングによりフォトレジストで覆われていない部分の銅が化学的に除去される。エッチングが終了すると、不要になったフォトレジストを、剥離剤を用いて除去する。以上のフォトエッチング処理により、プリント配線板30の内層部分52に銅パターンを形成して内層配線37及びスルーホール用ランド51を設ける。
【0047】
なお、プリント配線板30の表層部分53の配線領域を大きく取るため、内層配線37は、できるだけカードエッジコネクタ31に近づけて配置する。
【0048】
(2) 図5−1(b)の内層部分と表層部分の一体化工程。
プリント配線板30の内層部分52と表層部分53を一般的な圧着方法で積層圧着する。なお、図5−1では、内層部分52の様子を分かりやすくするために表層部分53と内層部分52とを分離した図となっている。
【0049】
(3) 図5−2(c)のスルーホール形成工程
信号線兼用めっきリード線39及び内側めっきリード線38と内層配線37とを電気的に接続するためにドリルによる穴明け、レーザ加工等の一般的な方法でスルーホール36を設ける。スルーホール36は、千鳥格子状に設けられてプリント配線板30の強度の低下を防いでいる。内層部分52には、図示しない電源部及びグランド部が設けられている。
【0050】
(4) 図5−1(d)のプリント配線板30の表層部分53にカードエッジコネクタ31等を設ける主要部形成工程。
銅張積層板にフォトレジストを塗布してパターン露光、現像を行うフォトエッチング処理により、銅パターンを形成してプリント配線板30の表層部分53に、カードエッジコネクタ31、めっきリード線33、共通めっきリード線34、内側共通めっきリード線35、内側めっきリード線38及び信号線兼用めっきリード線39を形成する。なお、内側共通めっきリード線35は、次の理由によりできるだけスルーホール36の近傍(約1mm程度)に設けるほうがよい。
【0051】
(a) スルーホール36と内側共通めっきリード線35の間にある内側めっきリード線38は、内側共通めっきリード線35を除去した後にもプリント配線板30上に残るためスタブとなり高速伝送に影響を与える可能性がある。
【0052】
(b) 内側共通めっきリード線35のから見てプリント配線板30の内側(右側)の領域が、表層配線可能な領域となるため、スルーホール36から内側共通めっきリード線35が離れるほど表層配線領域が狭くなる。
【0053】
(5) 図5−2(e)の耐めっき性の絶縁被膜の塗布工程。
カードエッジコネクタ31のみにめっきを施すため、一般的な方法でカードエッジコネクタ31を除く部分、すなわち、めっきリード線33、共通めっきリード線34、内側共通めっきリード線35、内側めっきリード線38及び信号線兼用めっきリード線39に、耐めっき性の絶縁被膜を塗布する。耐めっき性の絶縁被膜は、特に制限はないが、例えば、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化剤であってもよい。
【0054】
(6) 図5−2(f)のカードエッジコネクタ31上にニッケル及び金めっきを施すめっき工程。
耐めっき性の絶縁被膜が塗布されていないカードエッジコネクタ31上に、ニッケルめっき(例えば無電解ニッケルめっき)を行う。このとき、カードエッジコネクタ31は、銅が露出した状態になっている。
【0055】
ニッケルめっきにおいては、プリント配線板30をめっき浴の中に投入すると、還元剤と水分が反応してカードエッジコネクタ31の銅表面の近傍で電子が発生する。イオン化していたニッケルがこの電子と反応してニッケルの析出がカードエッジコネクタ31の銅表面に発生する。
【0056】
続いて、金めっきを施す。金めっきにおいては、直流電源の陽極に金を接続し、プリント配線板30に設けられた共通めっきリード線34に陰極を接続してめっき浴のなかに投入する。陽極と陰極に直流電圧を印加すると、金が溶けてイオン化し、イオン化した金が電子と反応して金の析出がカードエッジコネクタ31のニッケル表面に発生する。
【0057】
(7) 図5−2(g)の内側共通リード線35除去工程。
ミーリング加工領域54をミーリング加工することにより、内側共通めっきリード線35を除去する。なお、ミーリング加工の際は、ビットの回転方向と進行方向の向きによって、片面側にバリの発生が懸念されることから、往復加工を行うことが望ましい。往復加工の場合、ミーリング加工幅は、約1〜2mmを目安とする。また加工の深さは、表層部分53の直下の第2層である内層部分52を傷つけないように加工精度を考慮して設定する。
【0058】
(実施例1の使用例)
前記の製造方法で製造されたプリント配線板30の使用例について説明する。図1において、プリント配線板30のカードエッジコネクタ部分を図示しない他のプリント配線板に設けられたエッジコネクタソケットに差し込むと2つのプリント配線板は電気的に導通する。他のプリント配線板からの電気信号は、カードエッジコネクタ31のコンタクト32及び信号線兼用めっきリード線39を介してスルーホールに到達する。
【0059】
このとき、コンタクト32のうち、分割されたコンタクト32であるシーケンシャルパッド32aでは、内側のコンタクト32に信号線兼用めっきリード線39が接続されており、端部側のコンタクト32は、電気的には接続されていいない。
【0060】
スルーホール36は、内層配線37により回路40に接続されており、外部からの電気信号は、回路40に伝達される。回路40での処理結果の電気信号は、逆に、内層配線37、スルーホール36、信号線専用めっきリード線39及びカードエッジコネクタ31を経由して外部のプリント配線板30に伝達される。
【0061】
(実施例1の効果)
本実施例1のプリント配線板30の製造方法によれば、カードエッジコネクタ31に対し、プリント配線板30の内側に各コンタクト32から引き出された信号線兼用めっきリード線39と、内側めっきリード線38とこれらの内側めっきリード線38を接続する内側共通めっきリード線35を設けてめっき加工を行うようにした。
【0062】
めっき工程が終了すると内側共通めっきリード線35をミーリング加工等により除去するようにしたので、隣接するコンタクト32の間の距離に関係なく、除去のための加工が容易となる。更に、コンタクト32の数によらず1回のミーリング加工等で内側共通めっきリード線35を容易に削除できる。
【0063】
その上、スルーホール36は、千鳥に配置されているため、図示しない他のプリント配線板に設けられたエッジコネクタソケットとの挿抜の際に必要なプリント配線板30の強度が確保できる。
【0064】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0065】
(a) 実施例1では、多層プリント配線板30の例で説明したが、これに限定されず、例えば、片面プリント配線板や両面プリント配線板であってもよい。
【0066】
(b) 実施例1の内側共通リード線除去工程では、ミーリング加工による方法で説明したが電気化学的あるいは化学的に除去する方法でもよい。
【0067】
(c) 実施例1では、層間接続として、プリント配線板30の全層を貫通するスルーホール(貫通ビア)36で説明したが、特定の層間のみを接続するIVH(Interstitial Via Hole)でもよい。
【符号の説明】
【0068】
30 プリント配線板
31 カードエッジコネクタ
32 コンタクト
32a シーケンシャルパッド
33 めっきリード線
34 共通めっきリード線
35 内側共通めっきリード線
36 スルーホール
37 内層配線
38 内側めっきリード線
39 信号線兼用めっきリード線
52 内層部分
53 表層部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板の端部に設けられた複数のコンタクトを有するカードエッジコネクタと、前記端部の外側に配置される共通めっきリード線と、前記共通めっきリード線及び複数の前記コンタクトの端部側を接続するめっきリード線と、前記カードエッジコネクタの内側に配置される内側共通めっきリード線と、前記内側共通めっきリード線及び複数の前記コンタクトを接続する内側めっきリード線とを形成する主要部形成工程と、
前記コンタクトと、前記共通めっきリード線と、前記めっきリード線と、前記内側共通めっきリード線と、前記内側めっきリード線とにめっきを施すめっき工程と、
前記内側共通リード線を除去する内側共通リード線除去工程と、
を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
前記主要部形成工程は、銅張積層板にフォトレジストを塗布してパターン露光、及び現像を行い、銅パターンを形成することで、前記カードエッジコネクタと、前記共通めっきリード線と、前記めっきリード線と、前記内側共通めっきリード線と、前記内側めっきリード線とを形成することを特徴とする請求項1記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
多層構造を有するプリント配線板の製造方法であって、
銅張積層板を用いて銅パターンを形成して内層配線を配置し、内層部分を構成する内層配線工程と、
前記内層部分と前記プリント配線板の表層を構成する表層部分とを積層圧着して一体化生成する一体化工程と、
前記内層部分と前記表層部分を貫通するスルーホールを形成するスルーホール形成工程と、
前記プリント配線板の端部に設けられた複数のコンタクトを有するカードエッジコネクタと、前記端部の外側に配置される共通めっきリード線と、前記共通めっきリード線及び複数の前記コンタクトの端部側を接続するめっきリード線と、前記カードエッジコネクタの内側に配置される内側共通めっきリード線と、前記内側共通めっきリード線及び前記スルーホールを接続する内側めっきリード線と、複数の前記スルーホールと複数の前記コンタクトの内側を接続する信号線兼用めっきリード線とを形成する主要部形成工程と、
前記コンタクトと、前記共通めっきリード線と、前記めっきリード線と、前記内側共通めっきリード線と、前記内側めっきリード線と、前記信号線兼用めっきリード線とにめっきを施すめっき工程と、
前記内側共通リード線を除去する内側共通リード線除去工程と、
を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
前記主要部形成工程は、銅張積層板にフォトレジストを塗布してパターン露光、及び現像を行い、銅パターンを形成することで、前記カードエッジコネクタと、前記共通めっきリード線と、前記めっきリード線と、前記内側共通めっきリード線と、前記内側めっきリード線と、前記信号線兼用めっきリード線とを形成することを特徴とする請求項3記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
前記スルーホール形成工程は、前記スルーホールを前記カードエッジコネクタに沿って千鳥状に配列して形成することを特徴とする請求項3又は4記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
前記主要部形成工程において、複数の前記内側めっきリード線は、前記カードエッジコネクタに沿ってほぼ並行に形成される内側共通めっきリード線に対して並列に接続されて形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記内側共通リード線除去工程は、前記内側共通めっきリード線をミーリング加工によって削除することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記カードエッジコネクタは、分割されたコンタクトを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2−1】
image rotate

【図2−2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−232579(P2010−232579A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80931(P2009−80931)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】