説明

プレカット加工管理システム

【課題】プレカット加工設備に長さ切断された半製品を供給することで、プレカット会社における原材料木材在庫を圧縮し、長さ切断時に木取割付組合せの選択肢を多くすることで歩留を向上し、欠品を削減し、建築現場での作業性を向上することにある。
【解決手段】このシステムにおける木材自動倉庫16には、長さ切断装置17が付帯設備され、第1の認証タグT1のデータにより長さ切断加工を施して残材にはデータを書き換えた第1の認証タグを付帯して在庫管理し、再利用する。このように予め長さ切断加工を施すことにより、木材販売会社Fからプレカット会社E1,E2へ納入する半製品は、第2の認証タグT2のデータによりプレカット加工設備12にてプレカット加工を施して完全なプレカット製品とし、建築現場毎に梱包されて現場に搬送され組立てられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅用木材のプレカット加工管理システムに関するものであり、特にプレカット加工設備への供給用原材料木材の在庫を減少し、プレカット加工システム全体として良好な歩留を実現し、検品、管理、組立て作業を簡易化することを可能にしたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来のプレカット製品の加工、出荷等の流れを示すブロック図である。一般に、住宅メーカあるいは工務店(以下「住宅メーカ等」と略称する。)Aは、顧客から住宅建築を受注し、住宅建築用図面を作成する。住宅メーカ等Aが作成した前記住宅建築用図面に合わせてプレカット会社BがCAD入力し(ステップb2)、製品を加工するためのその入力データが所望のものかを住宅メーカ等Aが確認後、プレカット会社Bにプレカット製品を発注する(ステップa1)。プレカット会社Bにおいては、受注(ステップb1)後、前記入力データに基づいて、木取割付票、木出し表及び加工データを作成し、生産計画を立案する(生産管理)(ステップb3)。ここで、プレカット製品の加工に必要な原材料木材を木材販売会社Cに発注する(ステップb4)。必要に応じて、棚卸及び入出庫管理(在庫管理)を実施する(ステップb5)。木材販売会社Cにおいては、原材料木材を受注(ステップc1)することにより、指定された木材を選択し、木材販売会社Cの木材倉庫1からプレカット会社Bに納入する(ステップc2)。原材料木材が納入されたプレカット会社Bでは、木出し作業(ステップb6)を行い、プレカット設備2で長さ切断加工を含むプレカット加工をしてプレカット製品とし(ステップb7)、検品、梱包、保管を行ない(ステップb8)、住宅メーカ等Aの建築現場3に出荷、配送する(ステップb9)。建築現場3ではプレカット製品が検収される(ステップa2)。
【0003】
上記のように、木材の発注は、住宅メーカ等A、プレカット会社B、木材販売会社Cの順に行なわれ、木材は、木材販売会社C、プレカット会社B、住宅メーカ等Aの順に納入される。また、木材の加工は、プレカット会社Bのプレカット設備2で行われ、原材料木材の在庫等の管理は、プレカット会社B、木材販売会社Cにてそれぞれで行われる。特に、住宅メーカ等A、プレカット会社B、木材販売会社Cは、それぞれ複数存在し、それぞれの会社間の関連(原材料発注、原材料納品、プレカット製品発注、プレカット製品納入等)は各会社間に応じて発生し、更に、建築現場は物件毎に管理されている。
【0004】
上記のような従来のプレカット加工管理に関する工程においては、プレカット会社Bが木材販売会社Cから原材料木材を購入する際、木材価格を低くするため、複数本のまとまりであるバンドル毎に購入することが通常行なわれている。このため、未使用分が在庫となり、プレカット会社Bにおいては、在庫管理を行なうことが必要となる。また、上記のような未使用分の原材料木材は、ある一定の割合で在庫ロスとなり、また、木材置場、あるいはそれらに係る費用や金利負担も生じるという問題がある。
【0005】
また、プレカット会社Bにおいて、通常プレカット加工する際に、原材料木材からプレカット加工する半製品をどのように組み合わせて取るかの木取割付を行って、残材を少なくできる限り歩留を高めることが考慮される。しかしながら、上記のように未使用分の在庫発生を減少するには、種類を豊富に保有することができず、少ない選択肢の中から適宜原材料木材を選び出さなければならなかった。さらに、複数棟にまとめて木取割付することが困難であり、木取割付して切断加工後の残材の多くは廃材とされ、歩留が上がらないという問題がある。
【0006】
また、プレカット加工は加工装置による自動加工部位の他、自動加工できない手加工部位があり、手加工を忘れることがあった。また、通常、プレカット加工が施された製品は、梱包して建築現場に配送するが、梱包内容を確認するのに、人的作業を介していたので、欠品が発生し易いという問題もあった。また、建築現場では、経験豊富な作業管理者が図面をもとに製品の過不足の確認をしたり、手加工部位の加工指示や製品を適所に配置指示して組立てを行っているため、熟練者が必要であった。
【0007】
また、プレカット会社Bにおいては、上記バンドルからプレカット加工に使用する必要な原材料木材の木出し作業を行なう。この木出し作業は、作業者が行うか、または加工データに基づいて自動的にピッキングを行う自動倉庫を使用することが必要になる。このため、プレカット会社Bにおいては、ピッキング作業にかかる費用も負担することになっていた。また、このピッキング作業は、日々の生産量にバラツキがある場合、稼動率を低下させたり、操業時間を長引かせるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、上記問題点を解決し、在庫を減少させるために在庫管理業務を合理化し、加工漏れをなくして歩留を向上し、欠品を防止し、プレカットの操業を平準化して建築現場での作業性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプレカット加工管理システムは、自動倉庫に長さ切断装置を付帯設備し、該長さ切断装置により原材料木材を所望長さに切断加工して半製品とし、該半製品をプレカット加工設備に供給してプレカット加工を施して製品を加工するシステムであって、前記原材料木材に付帯する第1の認証タグから得られるデータと前記長さ切断装置に与えられたデータと連携加工して半製品及び残材とし、前記残材のみに付帯する前記第1の認証タグのデータを書き換えて該残材を管理し、前記半製品に付帯する第2の認証タグから得られるデータと前記プレカット加工設備に与えられた加工データと連携加工して製品にするとともに、前記第2の認証タグから得られるデータに基づいて製品の管理組立てを行うことを特徴とする。
【0010】
また、前記第1の認証タグから得られるデータと前記長さ切断装置に与えられたデータとの連携加工は、複数のプレカット加工設備に供給する半製品を組合わせて前記原材料木材を加工することにより、所定長さ以下の残材を少なく歩留のよい木取割付を行なう切断加工である。
【0011】
また、前記プレカット加工設備には、前記長さ切断加工後の半製品を必要量供給し、前記自動倉庫での原材料木材の在庫を減少させて在庫管理業務を合理化することである。
【0012】
また、前記第1の認証タグは、原材料木材の端面に取り付けられて長さ切断加工後の残材にそのまま付帯され、前記第2の認証タグは、半製品のプレカット加工により切削される部位と干渉しない位置を前記加工データから検出して該干渉しない位置に取り付けられる。
【0013】
また、前記第1の認証タグは、前記長さ切断装置内でリーダライタにより照査して得られる原材料木材を特定するデータを保有し、そのデータと長さ切断装置に与えられた切断加工データと連携して原材料木材を切断加工し、前記第2の認証タグは、前記プレカット加工設備内で第2のリーダライタにより照査して得られる半製品を特定するデータを保有し、そのデータとプレカット加工設備に与えられた加工データと連携して半製品をプレカット加工する。
【0014】
また、前記第2の認証タグは、前記プレカット加工設備による加工及び手加工の終了データを、該加工後に入力して保有する。
【0015】
また、残材に付帯する前記第1の認証タグに保有するデータの中の長さデータは、リーダライタにより、プレカット加工設備内で、前記残材の長さに書き換えられてプレカット加工設備から排出され、所定長さ以上の前記残材は自動倉庫に戻されて半製品材料として使用され、所定長さ未満の前記残材は、半製品以外の再利用材として使用される。
【0016】
また、前記第2の認証タグは半製品を特定するデータと製品を特定するデータを保有し、前記長さ切断加工完了後には、前記リーダライタにより照査して得られる所望の半製品のデータに基づき、該半製品をプレカット設備に配送する梱包単位にまとめて、梱包、自動検品させ、前記プレカット加工完了後には、前記第2のリーダライタにより照査して得られる所望の製品のデータに基づき、該製品を建築現場に配送する梱包単位にまとめて、梱包、自動検品させる。
【0017】
また、プレカット加工後の製品に付帯する前記第2の認証タグは、第2のリーダライタにより照査して得られる建築現場での製品の手加工データ、組立て手順データ及び構造補強金具の使用データを保有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、予め原材料木材の長さ切断加工を行った半製品に対してプレカット加工を行うことにより、プレカット会社は該当するプレカット加工に必要な半製品のみを入荷してプレカット加工することになり、プレカット会社での在庫管理をなくすことができる。
【0019】
また、木材販売会社は、自動倉庫内の在庫状況を開示することにより、プレカット加工にともなう木材の発注・納入を含む在庫管理を、木材製造業者に対して在庫切れを起こさないような発注形態とすることで合理化できる。
【0020】
また、プレカット会社は、上記のように全て製品の加工に必要な半製品を購入することになって在庫がなくなるので、在庫ロス、金利負担がなくなり、業務を軽減することができる。また、在庫がなくなるため、従前、木材置場としていたスペースを別の用途に活用することもできる。
【0021】
また、プレカット会社には必要な半製品のみが納入されるので、プレカット会社において選定するピッキング作業が解消される。
【0022】
また、長さ切断加工する際に、木材販売会社で木取割付を行うことができるので、既に在庫となる残材を含めて原材料木材の選択肢が増加し、歩留を向上させることができる。
これにより、原材料としての木材の総量も減少させることができる。また、上記のように歩留が向上することによって使用する原材料木材量が減少し、その減少分だけ木出し、長さ切断加工の総量も減少するので生産性を向上することができる。
【0023】
また、業務に関しても、データ入力した第1の認証タグを用いることにより自動倉庫を導入し、残材を再利用して従来各プレカット会社で実施していた作業をまとめることによりスケールメリットが得られ、プレカット加工管理システム全体として作業を合理化できる。
【0024】
また、木材販売会社で自動倉庫を使用し、自動化することにより、棚卸を従来の各プレカット会社で行うよりも合理化できる。即ち、自動倉庫に設置したピッキング用クレーンに付帯したリーダライタで第1の認証タグを照査することにより棚卸を自動化することができる。
【0025】
また、第1の認証タグのデータを書き換えて利用することにより、使用可能とする所定長さ以上の残材が出ても半製品材料として管理ができ、所定長さを未満の残材は半製品以外の再利用材として使用するため、廃材を少なくすることができ、残材を他に有効利用できて無駄が少なくなる。また、出荷時の検品も自動化することができて欠品を防止することができる。
【0026】
また、第2の認証タグを利用することで同様にして、プレカット加工設備の材料トラッキングに不具合が生じた場合でも復旧を自動的に行うことができ、プレカット加工後に検査装置を使用して加工部位のチェックを行うことで手加工漏れの見逃しがなくなり、加工終了のデータをもとに製品に対する出荷前のチェックを行うことで加工漏れ有無の最終確認ができる。更に、製品を配送単位に梱包する場合に梱包場所へ同一梱包の製品がまとまるように自動仕分けして自動搬送し、梱包内容の確認を合理化することができる。また、建築現場での製品の確認ができ、手加工部位の確認により手加工漏れが防止され、組立て手順が容易に分かり、組立て作業に熟練度を要しないので、作業者の負担が軽減される。
【0027】
また、第1、第2の認証タグを利用することにより、原材料木材不良を検知した場合に該当原材料木材の再引き当てが容易に指示でき、製品の不良を検知した場合にも該当製品を作るのに必要な原材料木材の引き当てが容易にできる。
【0028】
また、第2の認証タグのデータに基づいて製品に印字することにより、欠品を目視で確認でき、会社名、ブランド等の印字の内容によっては消費者、外部者への宣伝効果を生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明のプレカット加工管理システムにおいては、木材自動倉庫に長さ切断装置を付帯設備して、木材自動倉庫にて原材料木材の長さ切断加工を施している。このように木材自動倉庫にて木材の長さ切断加工を施すことにより半製品及び残材となり、木材販売会社からプレカット会社へ納入する原材料木材は、プレカット製品の生産に必要な数量、樹種、性状(断面形状、等級)等を全て備えると共に、長さを製品長に切断した半製品となる。一方、残材は所定長さより長いものは他に使用可能な木材として木材販売会社で保管され、所定長さより短いものは再利用材として使用される。プレカット加工設備においては、半製品に対してプレカット加工を施して加工漏れのない製品とする。この長さ切断加工、プレカット加工及び半製品、製品、残材の管理は、木材に付設した認証タグから得られる電子データに基づいて行なわれる。また、木材は、木材販売会社の木材自動倉庫、プレカット会社のプレカット加工設備、住宅メーカ等の建築現場へと必要なものが移行するだけとなる。
【0030】
即ち、住宅メーカ等がプレカット製品をプレカット会社に発注すると、発注された製品に関する電子データに基づいて木材販売会社が木材のピッキング及び長さ切断加工を施した半製品をプレカット会社に納入し、使用可能な残材の在庫管理も行う。プレカット会社は、電子データに基づいて半製品にプレカット加工を施し、住宅メーカ等が管理する建築現場に製品を納入する。製品に付設した認証タグからの電子データは、全て会社のデータベースに入力され、当該製品とその現況がトラッキングされる。また、製品に付設された認証タグにより加工現場、出荷現場、建築現場等において加工、製品の仕様、納期、検品等が容易に確認でき、電子データを会社のデータベースに入力することが可能となる。さらに、建築現場では、製品の欠品、手加工漏れが確認でき、作業者は熟練を要することなく容易に製品の組立てができる。特に、木材自動倉庫、自動加工設備等を設置することにより、木出し、長さ切断加工、プレカット加工、検品、梱包、保管、管理を全てデータに基づいて自動化することができる。
【実施例】
【0031】
図1は本発明の一実施例に係るプレカット加工管理システムを示すブロック図である。D1,D2はそれぞれ住宅メーカあるいは工務店(以下「住宅メーカ等」と略称する)であり、それぞれ建築現場10,11を管理すると共に、プレカット加工が施されたプレカット製品の発注(ステップd1)、製品の検収(ステップd2)、組立て(ステップd3)等を行っている。
【0032】
E1,E2はそれぞれプレカット会社であり、プレカット加工設備12,13を備えている。また、本実施例においては、プレカット加工を施した製品を一時的に納める製品倉庫14,15を備えている。このプレカット会社E1,E2では、プレカット加工設備12,13にてプレカット加工を施し(ステップe1)、出荷に当たって梱包し(ステップe2)、その製品を住宅メーカ等D1,D2にそれぞれ出荷するものとなっている(ステップe3)。
【0033】
Fは木材販売会社であり、原材料木材を木出しする木材自動倉庫16と、原材料木材を切断加工する長さ切断装置17を備えている。また、本実施例における木材販売会社Fは、出荷時の梱包のために自動梱包設備18を備えている。この木材販売会社Fは、在庫の中からプレカット加工に適した原材料木材を選定し(ステップf1)、長さ切断加工のみを行って(ステップf2)、出荷するものとなっている(ステップf3)。
【0034】
COM1,COM2は住宅メーカ等D1,D2にそれぞれ設けられたコンピュータであり、COM3,COM4はプレカット会社E1,E2にそれぞれ設けられたコンピュータであり、COM5は木材販売会社Fに設けられたコンピュータである。このコンピュータCOM1〜COM5は、加工終了、製品データ、納入、出荷状況、手加工、組立て手順、補強金具使用等のデータが入力されるものとなっている。
【0035】
T1,T2はICタグの第1、第2の認証タグである。第1の認証タグT1は、木材自動倉庫16に原材料木材が入庫したときに木材の端部に取り付けられるものであり、原材料木材を特定する製造元、製造日、樹種、等級、W(幅)、H(高さ)、L(長さ)、価格等のデータが予め書き込まれて保有されている。原材料木材を長さ切断加工する前に、端面の直角面を出すため端面から数cmを切断するが、第1の認証タグはこの切断面とは逆の端面に取り付けられる。また、第1、第2の認証タグT1、T2は、長さ切断加工が施された木材に取り付けられるものであり、第2の認証タグはプレカット加工する半製品に、第1の認証タグは長さ切断加工後の半製品を除いた残材にそのまま取り付けられる。半製品に取り付けられる第2の認証タグT2は、半製品及び製品を特定する製造元、製造日、樹種、W(幅)、H(高さ)、L(長さ)、価格、住宅メーカ等の名称、棟名、部品コード、プレカット加工場所、加工予定日、加工内容、加工終了、出荷予定日、手加工、組立て手順、構造補強金具使用等のデータが書き込まれて保有される。残材に取り付けられる第1の認証タグT1は、リーダライタによってデータを新たに書き換えることにより製造元、製造日、樹種、W(幅)、H(高さ)、L(長さ)、プレカット加工場所のデータが保有される。
【0036】
この第1、第2の認証タグT1、T2は、木材の切断あるいは加工されない位置に取り付けられる。図2乃至図6は認証タグ取付位置を示す木材の斜視図である。図2に示すように、第1の認証タグT1は、原材料木材たる木材20の切断加工しない端面20aに取り付けられる。木材20は、当初、端部の矩を出すために、端面20aとは逆側の端部21を1cm程度切断し、その切断後の切断面20bからの長さを製品長として切断加工を行う。このため、本実施例においては、入庫時に取り付けられた第1の認証タグT1から、長さ切断装置内のリーダライタにより照査して得られるデータに基づいて木材20が選定され、長さ切断加工時に、長さ切断装置に与えられた切断加工データと連携して木材20の切断面20bから所望長さに切断加工されて2つの半製品とする。
【0037】
第2の認証タグT2は、木材の切断前又は切断後の半製品に取り付け可能であり、切断後のときは長さ切断されて半製品となる木材片22,23の側面等に加工部位を外すように取り付けられる。切断前のときは、第2の認証タグT2は、カット位置24,25や加工部位を外すようにして取り付けられる。この第2の認証タグT2は、プレカット加工設備内で第2のリーダライタにより照査して得られる半製品を特定するデータを保有し、そのデータとプレカット加工設備に与えられた加工データと連携して半製品を加工し、加工後に加工終了データが入力される。第2の認証タグT2の取り付け位置は、プレカット会社E1,E2等から予め提供されたプレカット加工データに基づいて、切削される部位と干渉しない位置を特定している。木材片22,23を切断加工した後の残材26は、第1の認証タグT1をそのまま付帯させておき、新たに長さ、加工日、加工場所等のデータがリーダライタによって書き換えられ、所定長さ以上であれば、半製品材料として在庫管理され、残材26が所定長さ未満であれば、再利用材として使用されるか廃材として廃棄処理される。第2の認証タグT2は、図2に示すように、木材20の表面に接着、ネジ、釘等により取り付けても良いが、搬送作業中あるいは加工機上で第2の認証タグT2が破損又は取れてしまうことが考えられるので、図3乃至図6に示すように、木材20の角部あるいは表面に凹部29を形成し、この凹部29の底面又は内側面に第2の認証タグT2を取り付けても良い。
なお、第1の認証タグの取付けが加工や搬送に差し支える場合は、取付け場所は端面20aに限ることなく変えることができる。
【0038】
このように凹部29内に第2の認証タグT2を取り付けることにより、木材20を回転させても第2の認証タグT2が破損したり外れることを防ぐことができる。また、角部に設けた凹部29内に第2の認証タグT2を取り付けた場合、二面方向から第2の認証タグT2を読み取ることができ、第2のリーダライタで照査し易くすることができる。
【0039】
尚、第1、第2の認証タグT1、T2として、バーコードを用いて木材の表面に直接印刷することにより形成することもできる。この場合にも、前述した凹部29を形成し、その中に印刷を施しても良い。
【0040】
次に、上記構成からなるプレカット加工管理システムにおける木材の流れとその発注、加工、出荷、組立てに関するデータの移行及び入出力について説明する。はじめに、顧客から住宅建築の要請が住宅メーカ等D1,D2にあると、この住宅メーカ等D1,D2はその住宅の図面に合わせてプレカット会社E1,E2がプレカット製品を加工するためにCAD入力し、その入力データが所望のものであるかを確認し、木材のプレカット製品をプレカット会社E1,E2に発注する(ステップd1)。尚、必要とするプレカット製品に関するデータは、インターネットを介して住宅メーカ等D1,D2のコンピュータCOM1,COM2とプレカット会社E1,E2のコンピュータCOM3,COM4間で送受信することもできる。プレカット会社E1,E2は、CAD入力に応じた原材料とてしての木材に関するデータを木材販売会社Fに送る。尚、必要とするデータを木材販売会社FのコンピュータCOM5にインターネット網を介して送信することもできる。
【0041】
木材販売会社Fでは、受信したデータに基づき木材自動倉庫16にて木材を選定する(ステップf1)。その際に、入庫時に木材に取り付けられた第1の認証タグT1がリーダライタで照査され在庫管理用データとしてコンピュータCOM5に入力される。選定された木材は、前述したように端部が切断され、その切断面を基準にして長さ切断装置17にてデータに基づく長さに切断加工される(ステップf2)。長さ切断加工後の残材は、第1の認証タグがそのまま取り付けられ、長さデータをリーダライタで書き換え、その長さが例えば1m以上と判別されたものは使用可能な木材として在庫管理される。一方、1m未満のものは、例えばパレット、建材用チップ、合板用のラミナー等の再利用材として使用される。再利用できない残材は、廃棄される。ここで、プレカット製品に関するデータが書き込まれた第2の認証タグT2が、長さ切断加工された木材にそれぞれ取り付けられる。上記木材の選定及び長さ切断加工は、プレカット会社E1からの発注だけでなく、他のプレカット会社E2等からの発注等も全て合わせることで、残材の量を最小限にするように、必要な長さの製品が効率よく得られるように組み合わせて選定・加工が行われる。上記のように加工データに基づく必要な長さ切断加工が施された半製品としての木材は、リーダライタにより照査してプレカット設備に配送する梱包単位にまとめて自動梱包設備18にて梱包し、プレカット会社E1,E2に出荷する(ステップf3)。出荷の際、または梱包時には、第2の認証タグT2をリーダライタにて照査して、出荷並びに該当する製品のデータをコンピュータCOM5に入力する。尚、このとき、インターネット網を介してプレカット会社E1,E2のコンピュータCOM3,COM4に送信することもできる。また、入出庫、在庫の管理は、第1の認証タグT1から得られるデータにより容易に管理することができる。
【0042】
プレカット会社E1,E2では、半製品を入荷すると生産計画に基づきプレカット加工設備12,13にてデータに基づくプレカット加工を施す(ステップe1)。その際に、予めプレカット加工設備12,13に入力されたプレカット製品ごとのプレカット製品番号および該当の加工データと第2の認証タグT2に第2のリーダライタにより照査して得られる製品データとが照合され、建築に必要とする製品データに基づいて該当半製品にプレカット加工が施される。プレカット加工は、加工データに基づく自動加工部位と、自動加工できない手加工部位に施こされる。プレカット加工後は、手加工を要する加工部位の加工忘れやミスがないかのチェックを検査装置を用いて行い、加工終了のデータが第2の認証タグに入力される。プレカット加工が施された木材は、第2のリーダライタによって第2の認証タグT2に、建築現場で検出する製品の手加工に関するデータ、組合せ位置、組立て手順及び構造補強金具使用のデータが入力保有され、例えば建築現場10,11に該当するデータに基づいて該建築現場単位でまとまるまで一時的に製品倉庫14,15に収められ、建築現場10,11に該当する製品を配送する梱包単位にまとめて梱包し(ステップe2)、住宅メーカ等D1,D2が管理する建築現場10,11へ出荷される(ステップe3)。また、出荷の際に、第2の認証タグT2を第2のリーダライタで照査して製品を自動検出し、出荷並びに該当する製品のデータがコンピュータCOM3,COM4に入力される。尚、このときは、インターネット網を介して住宅メーカ等D1,D2のコンピュータCOM1,COM2に送信することもできる。
【0043】
住宅メーカ等D1,D2の建築現場10,11では、納入されたプレカット製品に取り付けられている第2の認証タグT2をリーダで照査し、コンピュータCOM1,COM2に入力することにより、発注した製品であるか否かを検査して検収する(ステップd2)。検収後は、再度リーダを照査し、第2の認証タグT2に保有される手加工に関する情報をもとに手加工を施こし、組立て手順情報をもとに組合せ位置と補強金具との使用状態や組立て手順を確認しながら組立てる(ステップd3)。
【0044】
上記のように、発注したデータと、半製品またはプレカット製品の出荷時のデータが常に照合されることになり、欠品や不良を発見し易いシステムとなっている。また、特に、木材販売会社Fから出荷された木材は、製品として滞ることなくプレカット会社E1,E2から建築現場10,11へと送られることになり、極めて効率良く製造・出荷することが可能となる。また、木材販売会社Fは、長さ切断加工設備17が必要になるものの、木材の残材量を減らして木材を効率良く利用することができると共に出荷効率を高めることができる。また、本システム全体での歩留が従来より向上する。また、プレカット会社E1,E2では、在庫がなくなる。また、各社における出荷や製品チェックを認証タグを使って簡便に行うことができ、欠品を減らし、返品、交換等をスムーズに行うことが可能となり、建築現場では、組立てが容易になって熟練作業者を要することがなくなる。
【0045】
尚、上述した住宅メーカ等及びプレカット会社は実施例のように2つに限ることなく、3つ以上で実施することができることは勿論であり、木材自動倉庫と同一サイトに長さ切断装置が設備されていれば、木材販売会社の設備でなくてもよい。
また、認証タグから得られる電子データとその得られた場所データを一括管理することにより生産管理等の進捗管理を合理的に行え、さらに経理データ等と連携することにより経理処理の合理化も行える。この際、データリンクはインターネットを利用してもよい。
【0046】
入庫前に取り付けられた第1の認証タグで自動的に在庫管理され、木取割付は常に現状在庫に基づいて行われるように設定される。すなわち、何らかの理由で万一、原材料木材の在庫に欠品が認められ、納期に間に合わないときは、現状在庫での最良木取割付することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明におけるシステムは、木材販売会社にて長さ切断加工を施すことで各プレカット会社における在庫を減少しロスを削減し、認証タグを使用することで加工ミスをなくし、梱包時の検品作業を容易にして、建築現場での作業性を向上させて全体の合理化を図り、正確な管理を可能としたものである。木材販売会社とプレカット会社が同じ会社に属するものである場合には、社内LAN等を用いて相互にデータの入出力を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例に係るプレカット加工システムを示すブロック図である。
【図2】認証タグ取付位置を示す木材の斜視図である。
【図3】認証タグ取付位置を示す木材の斜視図である。
【図4】認証タグ取付位置を示す木材の斜視図である。
【図5】認証タグ取付位置を示す木材の斜視図である。
【図6】認証タグ取付位置を示す木材の斜視図である。
【図7】従来のプレカット製品の製造、出荷等の流れを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
1 木材倉庫
2 プレカット設備
3 建築現場
A 住宅メーカ・工務店
B プレカット会社
C 木材販売会社
10,11 建築現場
12,13 プレカット加工設備
14,15 製品倉庫
16 木材自動倉庫
17 長さ切断装置
18 自動梱包設備
20 木材
20a 端面
20b 切断面
22,23 木材片
24,25 カット位置
29 凹部
D1,D2 住宅メーカ・工務店
E1,E2 プレカット会社
F 木材販売会社
T1 第1の認証タグ
T2 第2の認証タグ
T3 第3の認証タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動倉庫に長さ切断装置を付帯設備し、該長さ切断装置により原材料木材を所望長さに切断加工して半製品とし、該半製品をプレカット加工設備に供給してプレカット加工を施して製品を加工するシステムであって、
前記原材料木材に付帯する第1の認証タグから得られるデータと前記長さ切断装置に与えられたデータと連携加工して半製品及び残材とし、前記残材のみに付帯する前記第1の認証タグのデータを書き換えて該残材を管理し、
前記半製品に付帯する第2の認証タグから得られるデータと前記プレカット加工設備に与えられた加工データと連携加工して製品にするとともに、前記第2の認証タグから得られるデータに基づいて製品の管理組立てを行うことを特徴とするプレカット加工管理システム。
【請求項2】
前記第1の認証タグから得られるデータと前記長さ切断装置に与えられたデータとの連携加工は、複数のプレカット加工設備に供給する半製品を組合わせて前記原材料木材を加工することにより、所定長さ以下の残材を少なく歩留のよい木取割付を行なう切断加工であることを特徴とする請求項1記載のプレカット加工管理システム。
【請求項3】
前記プレカット加工設備には、前記長さ切断加工後の半製品を必要量供給し、前記自動倉庫での原材料木材の在庫を減少させて在庫管理業務を合理化することを特徴とする請求項1,2のいずれか記載のプレカット加工管理システム。
【請求項4】
前記第1の認証タグは、原材料木材の端面に取り付けられて長さ切断加工後の残材にそのまま付帯され、前記第2の認証タグは、半製品のプレカット加工により切削される部位と干渉しない位置を前記加工データから検出して該干渉しない位置に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のプレカット加工管理システム。
【請求項5】
前記第1の認証タグは、前記長さ切断装置内でリーダライタにより照査して得られる原材料木材を特定するデータを保有し、そのデータと長さ切断装置に与えられた切断加工データと連携して原材料木材を切断加工し、前記第2の認証タグは、前記プレカット加工設備内で第2のリーダライタにより照査して得られる半製品を特定するデータを保有し、そのデータとプレカット加工設備に与えられた加工データと連携して半製品をプレカット加工することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載のプレカット加工管理システム。
【請求項6】
前記第2の認証タグは、前記プレカット加工設備による加工及び手加工の終了データを、該加工後に入力して保有することを特徴とする請求項1,4,5のいずれか記載のプレカット加工管理システム。
【請求項7】
残材に付帯する前記第1の認証タグに保有するデータの中の長さデータは、リーダライタにより、プレカット加工設備内で、前記残材の長さに書き換えられてプレカット加工設備から排出され、所定長さ以上の前記残材は前記自動倉庫に戻され半製品材料として使用され、所定長さ未満の前記残材は、半製品以外の再利用材として使用されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のプレカット加工管理システム。
【請求項8】
前記第2の認証タグは半製品を特定するデータと製品を特定するデータを保有し、前記長さ切断加工完了後には、前記リーダライタにより照査して得られる所望の半製品のデータに基づき、該半製品をプレカット設備に配送する梱包単位にまとめて、梱包、自動検品させ、前記プレカット加工完了後には、前記第2のリーダライタにより照査して得られる所望の製品のデータに基づき、該製品を建築現場に配送する梱包単位にまとめて、梱包、自動検品させることを特徴とする請求項1乃至5,6のいずれか記載のプレカット加工管理システム。
【請求項9】
プレカット加工後の製品に付帯する前記第2の認証タグは、第2のリーダライタにより照査して得られる建築現場での製品の手加工データ、組立て手順データ及び構造補強金具の使用データを保有することを特徴とする請求項1乃至4,6,8のいずれか記載のプレカット加工管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−301959(P2007−301959A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135830(P2006−135830)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(501355931)株式会社トーア (12)
【Fターム(参考)】