説明

プレス装置

【課題】ホットプレス成形法により製造されるプレス成形品の形状偏差を抑えることができるプレス装置を提供すること。
【解決手段】上下方向に配置された上部プレス盤と下部プレス盤との間で被加工物をプレスするプレス装置であり、上部プレス盤のプレス面と反対側の上部面と接合され、この接合を介して上部プレス盤を支持する上部支持部材と、下部プレス盤のプレス面と反対側の下部面と接合され、この接合を介して下部プレス盤を支持する下部支持部材とを備えており、上部支持部材が上部プレス盤と接合する上部面内の接合支持域と、下部支持部材が下部プレス盤と接合する下部面内の接合支持域の上下方向の投影が略重なるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板等の板状製品を高精度にホットプレス成形するプレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板等の板状製品を成形するため、プレス盤の間に載置された被加工物をホットプレス成形するプレス装置が知られている。この種のプレス装置の具体的構成例は、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のプレス装置は、可動熱盤の下面に接合されたシリンダのピストンを押し出して、可動熱盤を固定熱盤に向けて上昇させる。これにより、可動熱盤と固定熱盤との間の熱盤が押し上げられて、固定熱盤との間で挟み込まれることにより、各熱盤の間に載置された被加工物がホットプレス成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−122911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、可動熱盤は、下面(可動熱盤のプレス面の裏面)中央部に接合されたシリンダのピストンを介してフレームに上下動可能に支持されており、固定熱盤は、上面(固定熱盤のプレス面の裏面)の複数箇所に接合された複数本の吊り下げ部材を介してフレームに吊り下げ支持されている。ホットプレス成形時、各熱盤には、その中央領域に対してピストンの突き上げによる集中荷重が掛かると同時に、各吊り下げ部材との接合点に対応する領域に集中荷重が掛かる。すなわち、ホットプレス成形時、各熱盤には、偏位する領域(上記中央領域と接合点対応領域)に上下逆方向の集中荷重が掛かるため、各熱盤内部に大きなせん断応力が発生する。各熱盤は、せん断応力の発生により、ホットプレス成形時に波打つように複雑に歪む。しかし、この種の熱盤の歪みは極僅かであるため、これまで問題視されたことがなく、そもそも認識すらされていなかったのが実情である。
【0005】
ところが、近年、情報処理端末等の小型化に伴い、情報処理端末等に搭載されるプリント配線板の配線パターンにもより一層の微細化が要求されるようになると、上述した熱盤の歪みがプレス成形時に問題となることが分かった。具体的には、ホットプレス成形時に各熱盤に僅かとはいえ歪みが発生することにより、各熱盤から被加工物の上下各面に伝わる荷重分布が不均衡となる。被加工物の上下各面への荷重分布が不均衡となることにより、被加工物に含まれる樹脂材料が歪んだ形状にプレスされるため、微細配線パターンの断線や微細配線パターン間の短絡等が発生し、配線パターンの微細化を達成することができない。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ホットプレス成形法により製造されるプレス成形品の形状偏差を抑えることができるプレス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係るプレス装置は、上下方向に配置された上部プレス盤と下部プレス盤との間で被加工物をプレスする装置であり、上部プレス盤を支持する上部支持部材と、下部プレス盤を支持する下部支持部材を備えている。上部支持部材は、上部プレス盤のプレス面と反対側の上部面と接合され、この接合を介して上部プレス盤を支持している。下部支持部材は、下部プレス盤のプレス面と反対側の下部面と接合され、この接合を介して下部プレス盤を支持している。上部支持部材が上部プレス盤と接合する上部面内の接合支持域と、下部支持部材が下部プレス盤と接合する下部面内の接合支持域の上下方向の投影は、略重なる。
【0008】
このように、上記接合支持域の投影が略重なるように上下の各支持部材が各プレス盤を支持することにより、プレス成形時、各支持部材から各プレス盤に対して上下逆方向の略等しい分布の荷重を掛けることができるため、各プレス盤内部においてせん断応力が実質的に発生せず、各プレス盤の歪みが抑えられる。そのため、被加工物の上下各面に掛かる荷重分布の不均衡が無くなり、被加工物に含まれる樹脂材料の成形不良が抑えられる。被加工物に含まれる樹脂材料の成形不良が抑えられることにより、微細配線パターンの断線や微細配線パターン間の短絡等の発生が抑えられるため、配線パターンの微細化を達成することができる。
【0009】
各支持部材から各プレス盤に対して上下逆方向の略等しい分布の荷重が掛かるようにするため、上部支持部材と下部支持部材は、例えば、略同径の円柱形状を有し、かつ略同軸に配置されており、上部支持部材の一端面が上部面と接合され、下部支持部材一端面が下部面と接合されている。
【0010】
本発明の別の形態に係るプレス装置は、上下方向に配置された上部プレス盤と下部プレス盤との間で被加工物をプレスするプレス装置であり、複数の上部支持部材と、複数の下部支持部材を備えている。複数の上部支持部材は、夫々、上部プレス盤のプレス面と反対側の上部面と接合され、この接合を介して上部プレス盤を支持している。複数の下部支持部材は、夫々、下部プレス盤のプレス面と反対側の下部面と接合され、この接合を介して下部プレス盤を支持している。複数の上部支持部材の夫々が上部プレス盤と接合する上部面内の複数の接合支持域と、複数の下部支持部材の夫々が下部プレス盤と接合する下部面内の複数の接合支持域の上下方向の投影は、略重なる。
【0011】
別の形態に係るプレス装置では、下部プレス盤のプレス面上の上記接合支持域に対応する各位置に被加工物を載置してプレスすると、各位置で、各支持部材から各プレス盤に対して上下逆方向の略等しい分布の荷重を掛けることができ、各プレス盤の歪みが抑えられるため、被加工物の上下各面に掛かる荷重分布の不均衡が無くなり、被加工物に含まれる樹脂材料の成形不良が抑えられる。そのため、別の形態に係るプレス装置では、微細な配線パターンを持つプレス成形品を複数個同時に成形することができる。
【0012】
下部プレス盤のプレス面上の上記接合支持域に対応する各位置で、各支持部材から各プレス盤に対して上下逆方向の略等しい分布の荷重が掛かるようにするため、複数の上部支持部材と複数の下部支持部材は、例えば、略同径の円柱形状を互いに同じ本数有しており、かつ複数の上部支持部材の夫々が複数の下部支持部材の一つと略同軸に配置されており、複数の上部支持部材の夫々の一端面が上部面と接合され、複数の下部支持部材の夫々の一端面が下部面と接合されている。
【0013】
複数の上部支持部材は、上部プレス盤の上部面内に例えば一対配置されており、複数の下部支持部材は、下部プレス盤の下部面内に例えば一対配置されている。また、複数の上部支持部材は、上部プレス盤の上部面内に例えば行列状に二対配置されており、複数の下部支持部材は、下部プレス盤の下部面内に例えば行列状に二対配置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ホットプレス成形法により製造されるプレス成形品の形状偏差を抑えることができるプレス装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態のプレス装置の正面図である。
【図2】本発明の実施形態において被加工物をホットプレス成形する際のプレス装置の状態を示す図である。
【図3】本発明の実施形態におけるラム、連結支持柱、及び被加工物の位置関係を示す模式図である。
【図4】変形例1のプレス装置の正面図である。
【図5】変形例1において被加工物をホットプレス成形する際のプレス装置の状態を示す図である。
【図6】変形例1におけるラム、連結支持柱、及び被加工物の位置関係を示す模式図である。
【図7】変形例2のプレス装置の正面図である。
【図8】変形例2において被加工物をホットプレス成形する際のプレス装置の状態を示す図である。
【図9】変形例2におけるラム、連結支持柱、及び被加工物Pの位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態のプレス装置について図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施形態のプレス装置1の正面図を示す。図1に示されるように、プレス装置1は、一対のホットプレス用の熱盤体が天地方向に並べて配置された縦型のホットプレス装置であり、プレスフレーム2、下部熱盤体100、上部熱盤体200、及びラムシリンダ部300を備えている。プレスフレーム2は、プレス装置1の設置部であるベースBに剛体支持されている。図2は、プレス装置1を図1の矢印A方向にて臨んだ図であり、プリント配線板等の被加工物Pをホットプレス成形する際のプレス装置1の状態を示す。なお、図2においては、説明の便宜上、プレスフレーム2を除いた構成を示している。
【0018】
ラムシリンダ部300は、プレスフレーム2のベース側に支持されている。ラムシリンダ部300は、上端面が開口し下端面が閉じられた略円筒形状を持つシリンダ310を備えている。シリンダ310内には、シリンダ310の内壁面と摺動しながら上下動可能な略円柱状のラム320(直径:φD)が収容されている。プレス装置1のコントローラには、油圧ポンプが接続されている(何れも不図示)。コントローラは、油圧ポンプを駆動してシリンダ310内の作動油の加圧又は減圧を行うことにより、ラム320をシリンダ310に対して上下動させる。
【0019】
下部熱盤体100は、下方から順に、テーブル定盤110、断熱板120、下部熱板130を積層して一体に固定したものである。本実施形態においては、下部熱板130の上面が被加工物Pの載置面であり、被加工物Pを直接プレスするプレス面でもある。被加工物Pは、ローダ等の搬送装置によって下部熱板130の上面に搬送され載置される。下部熱盤体100は、テーブル定盤110の下面中央部にてラム320の先端面と接合されており、ラム320に対して固定されている。下部熱盤体100は、コントローラによるシリンダ310内の油圧制御に応じて、ラム320とともに上下動する。すなわち、下部熱盤体100は、プレスフレーム2に対し、ラムシリンダ部300を介して上下動可能に支持されている。
【0020】
上部熱盤体200は、上方から順に、クラウン定盤210、断熱板220、上部熱板230を積層して一体に固定したものである。本実施形態においては、上部熱板230の下面が被加工物Pを直接プレスするプレス面となる。上部熱盤体200は、プレスフレーム2に対し、連結支持部材400を介して吊り下げ支持されている。連結支持部材400の詳細は後述する。
【0021】
下部熱板130、上部熱板230の各熱板には、図示省略された周知の加熱手段(例えば電熱ヒータ)が設けられている。各熱板のプレス面は、温度調節ユニットの動作により、被加工物Pを構成する樹脂材料の成形温度(例えば熱硬化性樹脂においては熱硬化温度)まで上昇され維持される。各熱板のプレス面が所定の成形温度に維持されている状態で油圧ポンプを駆動して下部熱板130を上昇駆動させ、下部熱板130上に載置された被加工物Pを下部熱板130と上部熱板230との間で挟み込むことにより、被加工物Pがホットプレス成形される(図2参照)。
【0022】
図1又は図2に示されるように、下部熱盤体100は、テーブル定盤110の下面中央部でラム320に支えられている。そのため、ホットプレス成形時、下部熱盤体100の中央領域に、ラム320の突き上げによる集中荷重が掛かる。このように、ホットプレス成形時、下部熱盤体100に集中荷重が掛かるため、下部熱盤体100に歪みが発生して、結果物(プレス成形品)の形状が安定しないという不具合が懸念される。しかし、本実施形態のプレス装置1は、連結支持部材400を備えることにより、かかる不具合の発生を抑えている。
【0023】
具体的には、連結支持部材400は、基台410、及び基台410の下面に取り付けられた連結支持柱420を備えている。基台410は、プレスフレーム2の天井側に固定されている。連結支持柱420は、一端面(下面)がクラウン定盤210の上面中央部に接合されている。すなわち、連結支持部材400は、上部熱盤体200をプレスフレーム2に対して吊り下げ支持している。
【0024】
図3は、ラム320、連結支持柱420、及び被加工物Pの位置関係を示す模式図である。図3に示されるように、連結支持柱420は、ラム320と略同径の円柱形状(直径:φD)を備え、かつラム320と同軸に配置されている。テーブル定盤110の下面内におけるラム320との接合支持域と、クラウン定盤210の上面内における連結支持柱420との接合支持域は、天地方向の互いの投影が略重なる。
【0025】
ホットプレス成形時、下部熱盤体100からの集中荷重は、上部熱盤体200を介して連結支持柱420によって受けられる。そのため、下部熱盤体100には、連結支持柱420に対応する領域を中心とした反力(集中荷重)が掛かる。すなわち、ホットプレス成形時、下部熱盤体100には、ラム320の突き上げに応じた荷重分布(ラム320との接合支持域に対応する領域に集中荷重を持つ分布)と略同じ荷重分布(連結支持柱420との接合支持域に対応する領域に集中荷重を持つ分布)が上部熱盤体200側から掛かる。このように、下部熱盤体100には上下逆方向から略等しい分布の荷重が掛かるため、下部熱盤体100内部には実質的にせん断応力が発生しない。下部熱盤体100内部には集中荷重点付近で圧縮応力が生じるだけであるため、下部熱盤体100には実質的な歪みは生じない。上部熱盤体200についても同様に、上下逆方向から略等しい分布の荷重が掛かるため、実質的な歪みは生じない。
【0026】
このように、ホットプレス成形時における各熱盤体の歪みが抑えられるため、被加工物Pの上下各面に掛かる荷重分布の不均衡が無くなり、被加工物Pに含まれる樹脂材料の成形不良が抑えられる。被加工物Pに含まれる樹脂材料の成形不良が抑えられることにより、微細配線パターンの断線や微細配線パターン間の短絡等の発生が抑えられるため、配線パターンの微細化を達成することができる。
【0027】
配線パターンの更なる微細化を達成するため、例えば、ラム320と連結支持柱420は外形を同一にするだけでなく、互いの剛性を等しく又は近似させるべく、材料の選定や寸法の設定等を行ってもよい。また、下部熱盤体100全体の剛性と上部熱盤体200全体の剛性とを等しく又は近似させるため、材料の選定や寸法の設定、形状の設計等を行ってもよい。また、ラムシリンダ部300を支持するプレスフレーム2のベース側と、連結支持部材400を支持するプレスフレーム2の天井側の材料や板厚、寸法等を含む構造全体を共通化設計してもよい。ここに例示する設計を行うことにより、各熱盤体に掛かる上下逆方向の荷重分布がより一層近いものとなるため、各熱盤体の歪みが更に抑えられ、その結果、配線パターンの更なる微細化が達成される。
【0028】
本実施形態では、ラムシリンダ部300のシリンダ310の上端開口縁部に4本の棒状のフレーム部511〜514(同一部品)が取り付けられている。フレーム部511と512、512と513、513と514、514と511の各フレーム部の間には、互いを連結し補強支持する補強板520が取り付けられている。シリンダ310の本体(円筒部分)は、4枚の補強板520で囲われる上下に開口した直方体空間に収容されている。各フレーム部511〜514は、シリンダ310の外周面を沿うように下方に延びてプレスフレーム2のベース側と連結し、ラムシリンダ部300を支持している。一方、連結支持部材400側には、基台410の上面に上記と同一のフレーム部511〜514が立設されている。各フレーム部の間には同じく、補強板520が取り付けられている。各フレーム部511〜514の他端は、プレスフレーム2の天井側と連結し、連結支持部材400を吊り下げ支持している。すなわち、本実施形態では、ラムシリンダ部300と連結支持部材400を共に、プレスフレーム2に対して同一部品で4点支持している。このように、ラムシリンダ部300と連結支持部材400の支持構造を共通化することにより、各熱盤体に掛かる上下逆方向の荷重分布がより一層近いものとなる。そのため、各熱盤体の歪みが更に抑えられ、その結果、配線パターンの更なる微細化が達成される。
【0029】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内で任意に変更することができる。
【0030】
図4は、本実施形態の変形例1のプレス装置1zの正面図を示す。また、図5は、変形例1のプレス装置1zを図4の矢印A方向にて臨んだ図であり、被加工物Pをホットプレス成形する際の変形例1のプレス装置1zの状態を示す。なお、変形例1のプレス装置1z及び後述の変形例2のプレス装置1yは、上述した実施形態のプレス装置1と基本的構成が共通である。そのため、以降の変形例の説明においては、上述した実施形態のプレス装置1と同一又は同様の構成には同一又は同様の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。また、図面中にて、上述した実施形態のプレス装置1と同一の構成のうち、変形例の説明上必要ないものについては符号を省略する。
【0031】
図4又は図5に示されるように、変形例1のプレス装置1zは、ラムシリンダ部300a及び連結支持部材400aを備えている。図5に示されるように、プレス装置1zは、ラムシリンダ部300a及び連結支持部材400aを夫々二つ備えている。ラムシリンダ部300aは、シリンダ310a及びラム320a(直径:φDa)を備えている。また、連結支持部材400aは、基台410a及び連結支持柱420a(直径:φDa)を備えている。変形例1のラムシリンダ部300a、連結支持部材400aは夫々、上述した実施形態のラムシリンダ部300、連結支持部材400と寸法が異なるだけであり、それ以外は実質同一である。
【0032】
図6は、変形例1のラム320a、連結支持柱420a、及び被加工物Pの位置関係を示す模式図である。図6に示されるように、二つの連結支持柱420aは夫々、ラム320aと略同径の円柱形状(直径:φDa)を備え、かつ対応するラム320aと同軸に配置されている。テーブル定盤110の下面内における二つのラム320aとの接合支持域と、クラウン定盤210の上面内における二つの連結支持柱420aとの接合支持域は、天地方向の互いの投影が略重なる。また、変形例1では、上記接合支持域の投影が略重なるラム320aと連結支持柱420aの軸線位置を中心とする下部熱板130上の二つの領域の夫々に、二つの被加工物Pが並べて載置される。言い換えると、変形例1のプレス装置1zは、複数の被加工物Pの載置位置毎に、対応する一対のラム320aと連結支持柱420aが配置されている。
【0033】
変形例1においては、被加工物Pの載置が予定される各位置で、各熱盤体に対して上下逆方向から略等しい分布の荷重が掛かり、各熱盤体の歪みが抑えられるため、被加工物Pの上下各面に掛かる荷重分布の不均衡が無くなり、被加工物Pに含まれる樹脂材料の成形不良が抑えられる。そのため、微細な配線パターンを持つプレス成形品を複数個(二つ)同時に成形することができる。
【0034】
図7は、本実施形態の変形例2のプレス装置1yの正面図を示す。また、図8は、変形例2のプレス装置1yを図7の矢印A方向にて臨んだ図であり、被加工物Pをホットプレス成形する際の変形例2のプレス装置1yの状態を示す。
【0035】
図7又は図8に示されるように、変形例2のプレス装置1yは、ラムシリンダ部300b及び連結支持部材400bを備えている。ラムシリンダ部300bは、シリンダ310b及びラム320b(直径:φDb)を備えている。また、連結支持部材400bは、基台410b及び連結支持柱420b(直径:φDb)を備えている。変形例2のラムシリンダ部300b、連結支持部材400bは夫々、上述した実施形態のラムシリンダ部300、連結支持部材400と寸法が異なるだけであり、それ以外は同一である。
【0036】
図9は、変形例2のラム320b、連結支持柱420b、及び被加工物Pの位置関係を示す模式図である。図9に示されるように、ラム320b(ラムシリンダ部300b)、連結支持柱420b(連結支持部材400b)は夫々、四つ(2行×2列)備えられている。四つの連結支持柱420bは夫々、ラム320bと略同径の円柱形状(直径:φDb)を備え、かつ対応するラム320bと同軸に配置されている。テーブル定盤110の下面内における四つのラム320bとの接合支持域と、クラウン定盤210の上面内における四つの連結支持柱420bとの接合支持域は、天地方向の互いの投影が略重なる。また、変形例2では、上記接合支持域の投影が略重なるラム320bと連結支持柱420bの軸線位置を中心とする下部熱板130上の四つの領域の夫々に、四つの被加工物Pが並べて載置される。言い換えると、変形例2のプレス装置1yは、変形例1と同様に、複数の被加工物Pの載置位置毎に、対応する一対のラム320bと連結支持柱420bが配置されている。
【0037】
変形例2においても、変形例1と同様に、被加工物Pの載置が予定される各位置で、各熱盤体に対して上下逆方向から略等しい分布の荷重が掛かり、各熱盤体の歪みが抑えられるため、被加工物Pの上下各面に掛かる荷重分布の不均衡が無くなり、被加工物Pに含まれる樹脂材料の成形不良が抑えられる。そのため、微細な配線パターンを持つプレス成形品を複数個(四つ)同時に成形することができる。
【符号の説明】
【0038】
1、1z、1y プレス装置
2 プレスフレーム
100 下部熱盤体
110 テーブル定盤
120 断熱板
130 下部熱板
200 上部熱盤体
210 クラウン定盤
220 断熱板
230 上部熱板
300 ラムシリンダ部
310 シリンダ
320 ラム
400 連結支持部材
410 基台
420 連結支持柱
511〜514 フレーム部
520 補強板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に配置された上部プレス盤と下部プレス盤との間で被加工物をプレスするプレス装置において、
前記上部プレス盤のプレス面と反対側の上部面と接合され、該接合を介して該上部プレス盤を支持する上部支持部材と、
前記下部プレス盤のプレス面と反対側の下部面と接合され、該接合を介して該下部プレス盤を支持する下部支持部材と、
を備え、
前記上部支持部材が前記上部プレス盤と接合する前記上部面内の接合支持域と、前記下部支持部材が前記下部プレス盤と接合する前記下部面内の接合支持域の、上下方向の投影は、略重なることを特徴とする、プレス装置。
【請求項2】
前記上部支持部材と前記下部支持部材は、略同径の円柱形状を有し、かつ略同軸に配置されており、該上部支持部材の一端面が前記上部面と接合され、該下部支持部材の一端面が前記下部面と接合されていることを特徴とする、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項3】
上下方向に配置された上部プレス盤と下部プレス盤との間で被加工物をプレスするプレス装置において、
前記上部プレス盤のプレス面と反対側の上部面と接合され、該接合を介して該上部プレス盤を支持する複数の上部支持部材と、
前記下部プレス盤のプレス面と反対側の下部面と接合され、該接合を介して該下部プレス盤を支持する複数の下部支持部材と、
を備え、
前記複数の上部支持部材の夫々が前記上部プレス盤と接合する前記上部面内の複数の接合支持域と、前記複数の下部支持部材の夫々が前記下部プレス盤と接合する前記下部面内の複数の接合支持域の上下方向の投影は、略重なることを特徴とする、プレス装置。
【請求項4】
前記複数の上部支持部材と前記複数の下部支持部材は、略同径の円柱形状を互いに同じ本数有しており、かつ該複数の上部支持部材の夫々が該複数の下部支持部材の一つと略同軸に配置されており、該複数の上部支持部材の夫々の一端面が前記上部面と接合され、該複数の下部支持部材の夫々の一端面が前記下部面と接合されていることを特徴とする、請求項3に記載のプレス装置。
【請求項5】
前記複数の上部支持部材は、前記上部面内に一対配置されており、
前記複数の下部支持部材は、前記下部面内に一対配置されていることを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載のプレス装置。
【請求項6】
前記複数の上部支持部材は、前記上部面内に行列状に二対配置されており、
前記複数の下部支持部材は、前記下部面内に行列状に二対配置されていることを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載のプレス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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