説明

プレファブ管の接続構造

【課題】プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことができるプレファブ管の接続構造を提供する。
【解決手段】第1プレファブ管の外表面から立ち上がるフランジ部と、外周部に局所的に切欠部を有する立壁部を有する筒状部材と、第2プレファブ管の周方向に延びる突条部と、第1プレファブ管の周方向に回動可能な外側環状部材と、外側環状部材における第2プレファブ管側の軸方向端部に設けられ、第1プレファブ管の軸方向に突条部と係合可能な係合爪と、外側環状部材の過度の回動を防止可能な係止部材と、フランジ部と立壁部との間に設けられたシール部材とを備え、突条部の第2プレファブ管側の端面を、除々に立壁部における第2プレファブ管側の端面に近づくように傾斜させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、典型的には建築物内に配設される配管同士を接続する際に使用可能なプレファブ管の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物内には、一般に給水や給湯等を行なうべく水や湯等の流体を流通させることが可能な様々な配管設備が設置される。この配管設備の設計および設置工事は、建築工事の品質および工期を左右する大きな要因となる。ところが、建築物の基礎工事や、鉄骨の組立作業等に工期の大部分が費やされることが多いため、現実には、残された短い期間の中で配管設備の設置工事を行なうことを要求されることが多い。
【0003】
そこで、従来から、短い工期で配管設備の設置工事を行なうべく、プレファブ管やモジュール管と呼ばれる配管同士を接続可能な様々な形状の接続管を作製し、当該プレファブ管等を用いて効率的に配管設備を構築するプレファブ工法やユニット工法等の手法が提案されている。
【0004】
プレファブ工法は、上記のようなプレファブ管やモジュール管を予め工場等の工事現場以外の場所で作製しておき、これらを工事現場に搬入して配管の組立てを行ない、配管設備を設置するものである。他方、ユニット工法は、たとえば対象となる建築物の設計図から作成されたアイソメトリック図や配管製作図に基づいて、工場等の工事現場以外の場所でプレファブ管やモジュール管を用いて配管ユニットを作製し、この配管ユニットを工事現場に搬入して、他の機器と接続したり、配管ユニット同士を接続する等して配管設備を設置するものである。
【0005】
このように、短い工期内で、配管の取付けを行なう手法以外にも、単に配管同士を接続する手法として、特開2001−205367号公報、特開平9−229260号公報および特開2005−351351号公報に記載された手法が提案されている。
【特許文献1】特開2001−205367号公報
【特許文献2】特開平9−229260号公報
【特許文献3】特開2005−351351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような従来のプレファブ工法やユニット工法等を採用して配管設備の設置を行なう際には、配管ユニットを他の機器等と接続したり、プレファブ管やモジュール管を取り付けたりする際に、管同士を正確に位置合わせした状態で保持し、この状態でフランジ等に形成された貫通孔にボルトを通してナットで固定する必要がある。このため、配管の取付けが完了するまでの間、管を保持する作業者と、ボルト締めを行なう作業者とを要し、多くの作業者が必要となるばかりでなく、管を保持しながらボルト締めを行なう必要があり作業効率も低下する。特に、管同士が正確に位置合せされていなければ、フランジ等に形成された貫通孔にボルトを通すことができない場合もあり、このような場合には管同士を固定するのに多大の時間を要することとなる。
【0007】
また、配管作業は、配管図面に従った管形状、管の姿勢を保持した状態での接続・取外しが必要とされる。従来の接続・取外し作業では、継手に管を差し込み、管側を回転して接続するため、異形管と異形管との接続・取外しでは管の姿勢と方向を保てない場合がある。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことが可能となるプレファブ管の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプレファブ管の接続構造は、1つの局面では、端部に拡径部が設けられた第1プレファブ管と、一端が拡径部に挿入される第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、拡径部の開口端部側に設けられ、第1プレファブ管の外表面から立ち上がるフランジ部と、第2プレファブ管の外表面に設けられ、第2プレファブ管の外表面から立ち上がり、外周部に局所的に切欠部を有する立壁部を有する筒状部材と、立壁部の外周に切欠部を規定し、第2プレファブ管の周方向に延びる突条部と、フランジ部と突条部とを覆い、第1プレファブ管の周方向に回動可能な外側環状部材と、外側環状部材における第2プレファブ管側の軸方向端部に設けられ、第1プレファブ管の軸方向に切欠部を通過可能である一方で、第1プレファブ管の軸方向に突条部と係合可能な係合爪と、立壁部に形成され、外側環状部材の過度の回動を防止可能な係止部材と、フランジ部と立壁部との間に設けられたシール部材とを備え、突条部の第2プレファブ管側の端面を、立壁部における第2プレファブ管側の端面に対して第2プレファブ管の軸方向に離れた位置から、第2プレファブ管の周方向に突条部が延びるにつれて、除々に立壁部における第2プレファブ管側の端面に近づくように傾斜させた。好ましくは、係止部材に形成された凹部と、係止部材と係合した状態における外側環状部材のうち、凹部に対応する部分に形成された穴部と、穴部から挿入され、凹部に達して外側環状部材と第2立壁部とを固定可能な固定部材と、をさらに備える。好ましくは、フランジ部の第2プレファブ管側の端面または立壁部の第1プレファブ管側の端面に設けられ、フランジ部と立壁部との一方から第1プレファブ管の軸方向に突出する突出壁部をさらに備え、突出壁部と立壁部とフランジ部と第2プレファブ管の外表面とによって、シール部材を収納する収納室を規定する。好ましくは、筒状体は、外側環状部材における第2プレファブ管側の端面よりも、第2プレファブ管側に延出する延出部を有し、延出部を利用して、筒状体に対して外側環状部材を相対的に回転操作可能とした。好ましくは、第1プレファブ管の拡径部内に第2プレファブ管の一端を挿入した状態で、第2プレファブ管を第1プレファブ管に対して回動させずに、切欠部から係合部を通過させて、外側環状部材を回動操作することで、第1プレファブ管と第2プレファブ管とを接続する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るプレファブ管の接続構造によれば、一方のプレファブ管の端部に設けた管状部材を他方のプレファブ管の端部に設けた外側管状部材内に挿入した状態で、外側管状部材を回動操作するだけでプレファブ管同士を接続することができるので、プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本実施の形態に係るプレファブ管の接続構造10は、プレファブ工法に適用される 以下、図1〜図14を用いて、本発明の実施の形態について説明する。以下の各実施の形態において説明するプレファブ管の接続構造は、前述のプレファブ工法やユニット工法等に適用されるものであり、特に建築物内に設置され水や湯等の流体を移送する配管設備を設置する際に有用である。
【0012】
図1と図2は、本発明の実施の形態におけるプレファブ管の接続構造10を含む配管構造1の形状例を示す部分断面側面図である。
【0013】
図1に示す配管構造1は、プレファブ管11,12と、このプレファブ管11,12の接続構造10とを備える。プレファブ管11は、図1の例では、溶接部2を介して直管やエルボー管等の複数の配管を接合することにより作製されている。他方、プレファブ管12は、主に直管を用いて作製される。このように複数の管を接続することでプレファブ管を構成してもよいが、プレファブ管を単一の管で構成してもよい。図2の例では、プレファブ管11は複数の枝管3を有し、この枝管3にプレファブ管12を接続している。
【0014】
なお、図1や図2に示す配管構成以外の様々な形態の配管構成に対し下記の各実施の形態の接続構造を適用することができる。たとえば、複数のプレファブ管を接続してモジュール化し、プレファブ管を用いて当該配管モジュール同士、あるいは配管モジュールとプレファブ管とを接続する際に、各実施の形態のプレファブ管の接続構造を適用することが考えられる。また、複数のプレファブ管を接続して配管ユニットを作製し、モジュール管を用いて配管ユニット同士、配管ユニットと各種機器、または、配管ユニット化する上でモジュール管もしくはプレファブ管とを接続する場合にも各実施の形態のプレファブ管の接続構造を適用することができる。
【0015】
図3は、本発明の実施の形態におけるプレファブ管11,12の接続構造10の部分断面側面図である。
【0016】
図3に示すように、プレファブ管12(第1プレファブ管)は、一方の端部に拡径部24を有している。図3の例では、拡径部24は、プレファブ管(第2プレファブ管)11の一端を挿入可能な筒部23と、プレファブ管11側の端部に形成されたフランジ(第1立壁部)16と、筒部23に対して、フランジ16と反対側に形成されたテーパ部15と、回動可能に設けられた外側環状部材18とを備えている。
【0017】
フランジ16は、筒部23のプレファブ管11側の端部にて、外方に向けて拡径するよに、プレファブ管11の外表面から立ち上がるように形成された平坦面とされている。
【0018】
テーパ部15は、筒部23とプレファブ管12の管本体とを滑らかに連設するように設けられており、テーパ部15の管本体側の内径は、プレファブ管11の外径より小さくされている。このため、プレファブ管11がプレファブ管12内に過大に進入することを抑制することができ、テーパ部15は、プレファブ管12の差し込み量の上限をきめるストッパーとしての機能を発揮する。
【0019】
プレファブ管(第2プレファブ管)11の一方の端部(一端)は、プレファブ管12の拡径部24内に挿入可能な挿入部13とされており、この挿入部13より、プレファブ管11の管本体側には、筒状体17が形成されている。
【0020】
筒状体17は、プレファブ管11の外表面に固着される延出部17Bと、プレファブ管11の外表面から外方に向けて立ち上がり、局所的に切欠部29を有する立壁部17Cと、立壁部17Cに形成された係合壁(突条部)17Aと、突出壁部28とを備えている。
【0021】
図4は、図3において、筒状体17をA矢視した正面図であり、図5は、プレファブ管11の側面図である。
【0022】
図4に示されるように、立壁部17Cは、延出部17Bのプレファブ管12側の端面に形成されている。この延出部17Bと立壁部17Cとは、プレファブ管11の周方向に環状に形成されている。そして、係合壁17Aは、立壁部17Cの上面上に、切欠部29を規定するように、プレファブ管11の周方向に沿って延在している。
【0023】
延出部17Bには、周方向に沿って、複数の凹部17aが間隔を隔てて形成されている。
【0024】
図5に示されるように、係合壁17Aのプレファブ管12側の端面は、プレファブ管12の周方向に傾斜する傾斜面(傾斜部)30が形成されている。この傾斜面30は、立壁部17Cのプレファブ管11側の端面60に対して、プレファブ管11の軸方向に離れた位置から、プレファブ管11の周方向に延びるにしたがって、除々に、立壁部17Cの端面60に近づくように傾斜している。
【0025】
そして、係合壁17Aのプレファブ管11側の端面は、プレファブ管12の周方向に沿って延びる平坦面31とされている。このため、係合壁17Aのプレファブ管12の軸方向の幅Wは、切欠部29側の端部から周方向に向かうに従って、大きくなるように形成されている。この係合壁17Aの周方向の端部のうち、幅Wが大きい方の端部には、係合壁17Aより幅の大きい係止部27が形成されている。この係止部27には、凹部17bが形成されている。なお、図4に示すように、係合壁17Aは、プレファブ管12の周方向に複数形成されてもよく、係合壁17Aが複数形成された場合には、各係合壁17Aの幅広の端部ごとに係止部27が形成される。
【0026】
図6は、図4のIV−IV線における断面図である。この図6および図1に示すように、立壁部17Cに形成された突出壁部28も、周方向に沿って環状に形成されている。そして、この突出壁部28とプレファブ管12の外表面と立壁部17Cとによって、環状凹部40が規定され、この環状凹部40内にOリング等のシール部材22が嵌め込まれている。なお、図5に示されるように、シール部材22は、環状凹部40の開口部から僅かにプレファブ管11に向けて突出している。
【0027】
図7は、図3に示す外側環状部材18をA矢視したときの正面図であり、図8は、図7におけるVIII−VIII線の断面図である。この図8に示されるように、外側環状部材18は、環状に形成された周壁部20と、周壁部20のプレファブ管11側の端面に形成され、径方向内方に向けて突出する係合爪19と、周壁部20のプレファブ管12側の端面に形成された環状に側壁部21とを備えている。
【0028】
係合爪19は、図5に示される切欠部29を、プレファブ管12の軸方向に通過可能とされている。周壁部20の内周面には、係合爪19と隣り合う位置に環状に形成された溝部26が形成されている。この溝部26は、係合爪19が切欠部29を通過した後に、外側環状部材18を回動させることにより、係合壁17Aが進入可能とされている。このように、係合壁17Aが溝部26内に入り込むことにより、係合爪19と係合壁17Aとが、プレファブ管11の軸方向に係合する。
【0029】
係合爪19と係合壁17Aとが係合した際、図3において、フランジ16のプレファブ管12管本体側の端面と、側壁部21の内壁面とが当接し、側壁部21とフランジ16とが係合する。なお、側壁部21は、径方向外方から内方に向かうに従って、プレファブ管11の軸方向の厚みが、厚くなるように形成されている。
【0030】
そして、図7および図8に示されるように、周壁部20の外表面上には、複数の凹部18aが間隔を隔てて形成されており、周壁部20のうち、凹部18aより係合爪19側に位置する部分に、間隔を隔てて複数の穴部18bが形成されている。さらに、係合爪19も間隔を隔てて複数形成されている。
【0031】
上記のように構成されたプレファブ管11とプレファブ管12とを接続手法について説明する。図9は、プレファブ管11とプレファブ管12との接続工程の第1工程を示す正面図である。この図9に示されるように、外側環状部材18の係合爪19と、筒状体17の切欠部29とを位置合わせした状態で、図1に示すプレファブ管11の挿入部13を、プレファブ管12の拡径部24内に挿入させる。
【0032】
この際、拡径部24の内表面および挿入部13の外表面上には、シール部材が設けられていないため、容易に拡径部24内に挿入部13を挿入することができる。
【0033】
そして、フランジ16と突出壁部28から突出するシール部材22とが接触するまで挿入する。このように、挿入部13を挿入することで、プレファブ管11の差し込み量を確保することができる。なお、拡径部24には、テーパ部15が設けられているため、挿入部13の先端部とテーパ部15とが当接することにより、プレファブ管11がプレファブ管12内に過大に挿入されることを抑制することができる。
【0034】
ここで、フランジ16とシール部材22とが当接するまでプレファブ管11をプレファブ管12内に挿入すると、図9に示す係合爪19が切欠部29を通過する。
【0035】
この際、図3に示すように、側壁部21がフランジ16を押圧し、さらに、フランジ16がシール部材22を押圧する。
【0036】
そして、外側環状部材18をプレファブ管12の周方向に沿って回動させる。外側環状部材18を回動させるには、外側環状部材18に形成された凹部18aに工具を挿入する。ここで、係合爪19と係合壁17Aとが係合した状態において、延出部17Bは、外側環状部材18のプレファブ管11側の端面より、プレファブ管11側に位置しており、延出部17Bに形成された凹部17a内に工具を挿入可能とされている。ここで、図5において、外側環状部材18を、係合壁17Aの幅Wが大きくなる方向に向けて回動する。このように外側環状部材18を回動することにより、図8に示す外側環状部材18の溝部26内に、係合壁17Aが進入してくる。
【0037】
この際、図5に示す係合壁17Aの傾斜面30と、係合爪19の内壁面とが当接する。傾斜面30は、外側環状部材18の回動方向に向かうに従って、係合壁17Aの幅Wが大きくなるように傾斜している。このため、外側環状部材18を回動させると、傾斜面30に沿って、外側環状部材18がプレファブ管11側に向けて案内される。
【0038】
このように、外側環状部材18がプレファブ管11側に変位すると、図3において、フランジ16が側壁部21によって、プレファブ管11側に押圧され、プレファブ管12がプレファブ管11に向けて変位する。
【0039】
そして、フランジ16がシール部材22を押圧する押圧力が大きくなり、フランジ16とシール部材22との間のシール面圧が向上すると共に、シール部材22と環状凹部40の内壁面との間のシール面圧および、プレファブ管11の外表面とシール部材22との間のシール面圧も向上させることができる。
【0040】
このように、フランジ16と筒状体17との間に位置するシール部材22は、フランジ16と立壁部17Cとプレファブ管11の外表面と突出壁部28とによって規定される収納室内に収納される。なお、図14に示されるように、突出壁部28は、フランジ16のプレファブ管11側の端面に形成してもよい。
【0041】
図10は、プレファブ管11とプレファブ管12の接続するための接続工程の第2工程を示す正面図である。この図10に示されるように、外側環状部材18の係合爪19が係止部27に当接するまで回動する。本実施の形態においては、外側環状部材18を1/4回転させることにより、係合爪19と係止部27とが当接して、外側環状部材18の回動作業を完了させることができる。なお、外側環状部材18の回動角度は、上記のように1/4回転に限られず、傾斜面30のプレファブ管11の軸線に対する傾斜角度を適宜調整することにより、さらに短い回動角度であってもよく、さらに長い回動角度であってもよい。ここで、外側環状部材18の回動作業が完了し、係合爪19と係止部27とが係合した際、突出壁部28と、周壁部20の側壁部21とが僅かに離間している。すなわち、突出壁部28と側壁部21とが当接することによる外側環状部材18の回動の阻害を抑制することができ、良好に外側環状部材18を回動させることができる。このため、外側環状部材18の回動作業が完了した際においても、シール部材22は、突出壁部28から僅かに外方に膨出している。
【0042】
ここで、外側環状部材18がプレファブ管11側に前進することにより、図3において、シール部材22と、フランジ16との間に生じるシール面圧が大きくなっており、これに伴い、係合爪19と係合壁17Aとの間に生じる面圧も大きくなっている。このため、係合爪19と係合壁17Aとの間に生じる摩擦力もある程度確保される。これにより、管内に正圧が生じたとしても、外側環状部材18と係合壁17Aと係合状態が解除されることが抑制されている。
【0043】
ここで、図10に示されるように、係止部27と係合爪19とが当接した状態においては、外側環状部材18に形成された穴部18bと、係止部27の凹部17bとが径方向に一致する。
【0044】
そして、穴部18bから凹部17bにまで達するピン(固定部材)50を、穴部18bから挿入することで、外側環状部材18と筒状体17とを固定する。
【0045】
図11は、ピン50の詳細を示す断面図である。この図11に示されるように、ピン50は、円柱状に形成されたピン本体51と、ピン本体51の一方の端面に固定された弾性変形可能な係止部材52とを備えている。
【0046】
係止部材52は、ピン本体51の一方の端面に固定され、ピン本体51の一方の端面から外方にまで突出する平板状の天板部53と、この天板部53の縁部でピン本体51の他方の端面側に向けて垂下する脚部54と、脚部54の端部に形成された屈曲部54aとを備えている。屈曲部54aは、脚部54の端部からピン本体51に近接する方向に屈曲している。
【0047】
図12は、ピン50を用いて、外側環状部材18と筒状体17とを固定したときの断面図であり、図13は、正面図である。この図12に示されるように、ピン50を穴部18bから凹部17b内に達するように挿入する。この際、係止部材52の脚部54は、外側環状部材18の周壁部20の端部から、径方向内方に向けて突出している。
【0048】
そして、屈曲部54aが、周壁部20の端部側から周壁部20下にまで達するように屈曲している。このため、ピン50が径方向外方に向けて、穴部18bから飛び出そうとしても、屈曲部54aが周壁部20の下面に引っ掛かり、ピン50の脱落を抑制することができる。このように、ピン50を挿入することにより、容易に外側環状部材18と筒状体17との係合状態を確保することができる。
【0049】
このプレファブ管11,12の接続構造10によれば、係合壁17Aと外側環状部材18との間のシール面圧が大きい状態で、ピン50によって周方向および軸方向の変位が固定され、プレファブ管11、12を良好に固定することができる。その一方で、ピン50の係合を解除するには、脚部54の下端部を変形させることにより、容易に、ピン50を穴部18bおよび凹部17bから取り外すことができる。
【0050】
このように、プレファブ管11とプレファブ管12とを接続するには、外側環状部材18を回動させ、ピン50を挿入するという簡易な作業により、容易に完了することができる。さらに、プレファブ管11、12自体を回動させる必要がなく、狭いスペースにおいても接続作業を行なうことができる。
【0051】
さらに、プレファブ管11とプレファブ管12との解除作業も、ピン50を外し、外側環状部材18を回動させることにより完了することができる。
【0052】
その上、拡径部24内に挿入部13を挿入することで、プレファブ管11、12同士が接続された姿勢を保持しつつ、プレファブ管11、12同士の接続作業を行なうことができ、接続作業を容易に行なうことができる。
【0053】
すなわち、本実施の形態に係るプレファブ管11、12の接続構造10においては、プレファブ工法やユニット工法等を用いて配管設備の形状・姿勢を保持しながら、その設置および取外し作業を効率的に行なうことができる。
【0054】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、プレファブ管同士を接続するプレファブ管の接続構造に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態におけるプレファブ管の接続構造を含む配管構造の形状例を示す部分断面側面図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるプレファブ管の接続構造を含む配管構造の形状例を示す部分断面側面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるプレファブ管の接続構造の部分断面側面図である。
【図4】図3において、筒状体をA矢視した正面図である。
【図5】プレファブ管の側面図である。
【図6】図4のIV−IV線における断面図である。
【図7】図3に示す外側環状部材18をA矢視したときの正面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線の断面図である。
【図9】プレファブ管とプレファブ管との接続工程の第1工程を示す正面図である。
【図10】プレファブ管とプレファブ管の接続工程の第2工程を示す正面図である。
【図11】ピンの詳細を示す断面図である。
【図12】ピンを用いて、外側環状部材と筒状体とを固定したときの断面図である。
【図13】ピンを用いて、外側環状部材と筒状体とを固定したときの正面図である。
【図14】実施の形態に係る接続構造の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 配管構造、2 溶接部、10 接続構造、11,12 プレファブ管、13 挿入部、15 テーパ部、16 フランジ、17 筒状体、17A 係合壁(突条部)、17a,17b 凹部、17B 延出部、17C 立壁部、18 外側環状部材、18a 凹部、19 係合爪、20 周壁部、21 側壁部、22 シール部材、23 筒部、24 拡径部、28 突出壁部、29 切欠部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に拡径部が設けられた第1プレファブ管と、一端が前記拡径部に挿入される第2プレファブ管とを接続するプレファブ管の接続構造であって、
前記拡径部の開口端部側に設けられ、前記第1プレファブ管の外表面から立ち上がるフランジ部と、
前記第2プレファブ管の外表面に設けられ、前記第2プレファブ管の外表面から立ち上がり、外周部に局所的に切欠部を有する立壁部を有する筒状部材と、
前記立壁部の外周に前記切欠部を規定し、前記第2プレファブ管の周方向に延びる突条部と、
前記フランジ部と前記突条部とを覆い、前記第1プレファブ管の周方向に回動可能な外側環状部材と、
前記外側環状部材における前記第2プレファブ管側の軸方向端部に設けられ、前記第1プレファブ管の軸方向に前記切欠部を通過可能である一方で、前記第1プレファブ管の軸方向に前記突条部と係合可能な係合爪と、
前記立壁部に形成され、前記外側環状部材の過度の回動を防止可能な係止部材と、
前記フランジ部と前記立壁部との間に設けられたシール部材とを備え、
前記突条部の前記第2プレファブ管側の端面を、前記立壁部における前記第2プレファブ管側の端面に対して前記第2プレファブ管の軸方向に離れた位置から、前記第2プレファブ管の周方向に前記突条部が延びるにつれて、除々に前記立壁部における前記第2プレファブ管側の端面に近づくように傾斜させた、プレファブ管の接続構造。
【請求項2】
前記係止部材に形成された凹部と、
前記係止部材と係合した状態における前記外側環状部材のうち、前記凹部に対応する部分に形成された穴部と、
前記穴部から挿入され、前記凹部に達して前記外側環状部材と前記第2立壁部とを固定可能な固定部材と、
をさらに備えた、請求項1に記載のプレファブ管の接続構造。
【請求項3】
前記フランジ部の前記第2プレファブ管側の端面または前記立壁部の前記第1プレファブ管側の端面に設けられ、前記フランジ部と前記立壁部との一方から前記第1プレファブ管の軸方向に突出する突出壁部をさらに備え、
前記突出壁部と前記立壁部と前記フランジ部と前記第2プレファブ管の外表面とによって、前記シール部材を収納する収納室を規定する、請求項1または請求項2に記載のプレファブ管の接続構造。
【請求項4】
前記筒状体は、前記外側環状部材における前記第2プレファブ管側の前記端面よりも、前記第2プレファブ管側に延出する延出部を有し、
前記延出部を利用して、前記筒状体に対して前記外側環状部材を相対的に回転操作可能とした、請求項1から請求項3のいずれかに記載のプレファブ管の接続構造。
【請求項5】
前記第1プレファブ管の前記拡径部内に前記第2プレファブ管の一端を挿入した状態で、前記第2プレファブ管を前記第1プレファブ管に対して回動させずに、前記切欠部から前記係合部を通過させて、前記外側環状部材を回動操作することで、前記第1プレファブ管と前記第2プレファブ管とを接続する、請求項1から請求項4のいずれかに記載のプレファブ管の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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