説明

プログラム、情報処理装置及び情報処理装置の制御方法

【課題】所定のクッキーの消去を防ぐ。
【解決手段】通信可能に接続されたウェブサーバから受信したクッキーを記憶しておくための第1の記憶領域を含む複数の記憶領域が区画されると共に所定のクッキーを示す情報を記憶する記憶装置を備える情報処理装置に、前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域に記憶されているか否かの検査を繰り返し行う手順と、前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域に記憶されている場合には、当該クッキーの複製を第2の記憶領域に記憶する手順と、前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域から消去されている場合には、前記第2の記憶領域に記憶した前記複製を前記第1の記憶領域に書き戻す手順と、を実行させるプログラムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッキーの消去を防ぐプログラム、情報処理装置及び情報処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HTTP(HyperText Transfer Protocol)は、ウェブサーバとクライアントとの間での通信に利用されるプロトコルであるが、状態を制御することができない。そのため、HTTPを用いて通信を行う場合には、状態を制御するために、ウェブサーバとクライアントとの間でクッキーの授受が行われることがある。
【0003】
クッキーの仕様については、IETF(Internet Engineering Task Force)によって標準化が進められている。(例えば非特許文献1参照)。
【非特許文献1】D. Kristol, L. Montulli、HTTP State Management Mechanism、2000 年 10 月、IETF、<URL:http://ietf.org/rfc/rfc2965.txt>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クッキーは、通常、利用者の知らないうちにウェブサーバからクライアントに送信されてくるため、いつのまにか大量のクッキーがクライアントの記憶装置に蓄積されていることがある。また、利用者の個人情報を不正に取得する等のために、クッキーをクライアントに送信してくるウェブサーバも存在する。このため、利用者は、クライアントに記憶されているクッキーを消去する場合がある。
一方で例えば、ウェブサーバの中には、情報処理サービスを提供する際に、利用者の識別情報としてクッキーを利用するものも存在する。この場合、利用者がクッキーを消去してしまうと、利用者は情報処理サービスの提供を受けることができなくなってしまう。
【0005】
このように、クライアントの記憶装置に蓄積されているクッキーには、消去した方が良いものや消去しないほうが良いものが混在している。しかしながら、利用者がクッキーを一つずつ選別し、個別に消去することは大変手間がかかる。
このため、利用者がクッキーを一括して消去しようとしても所定のクッキーについては消去されないようにすることを可能とする技術が望まれている。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、所定のクッキーの消去を防ぐプログラム、情報処理装置及び情報処理装置の制御方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、通信可能に接続されたウェブサーバから受信したクッキーを記憶しておくための第1の記憶領域を含む複数の記憶領域が区画されると共に所定のクッキーを示す情報を記憶する記憶装置を備える情報処理装置に、前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域に記憶されているか否かの検査を繰り返し行う手順と、前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域に記憶されている場合には、当該クッキーの複製を第2の記憶領域に記憶する手順と、前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域から消去されている場合には、前記第2の記憶領域に記憶した前記複製を前記第1の記憶領域に書き戻す手順と、を実行させるプログラムに関する。
【0008】
このような態様により、第1の記憶領域に所定のクッキーが記憶されている場合は、その複製が第2の記憶領域に記憶され、利用者が第1の記憶領域から所定のクッキーを消去したとしても、第2の記憶領域に記憶されている複製が第1の記憶領域に書き戻されるため、所定のクッキーの消去を防止することが可能となる。所定のクッキーが第1の記憶領域に記憶されているか否かの検査の周期は短いほど好ましいが、情報処理装置の処理負荷とのバランスから、例えば1秒ないし数秒程度に設定することができる。この程度の周期で検査を繰り返し行うようにすることにより、情報処理装置の負荷増大を抑制しつつ、利用者によってクッキーが消去されてしまったとしても、ウェブサーバからのリクエストを受けた際にはクッキーがクライアントに記憶されているようにすることができる。また、第1の記憶領域から第2の記憶領域へは、繰り返し、クッキーの複製が書き込まれるため、ウェブサーバが第1の記憶領域に記憶される所定のクッキーを新たな内容に更新したとしても、更新後のクッキーの複製が次のタイミングで第2の記憶領域に記憶される。このため、第2の記憶領域には最新のクッキーの複製が記憶されるため、第1の記憶領域からクッキーが消去された場合には、最新のクッキーが第1の記憶領域に書き戻されることになる。
【0009】
また前記情報処理装置は、ウェブブラウザの種類に応じて定められた記憶領域にクッキーを記憶し、前記プログラムは、前記情報処理装置が現在実行中のウェブブラウザの種類を特定する手順と、前記特定したウェブブラウザの種類に応じて定められた記憶領域を前記第1の記憶領域として特定する手順とを前記情報処理装置に実行させるようにすることもできる。
このような態様により、クッキーが記憶される記憶領域がウェブブラウザの種類に応じて異なる場合であっても、所定のクッキーについての消去防止を図ることが可能となる。
【0010】
また前記情報処理装置は入力装置を備え、前記プログラムは、前記入力装置から、クッキーを指定する情報の入力を受ける手順と、前記クッキーを指定する情報を、前記所定のクッキーを示す情報として前記記憶装置に記憶する手順と、を前記情報処理装置に実行させるようにすることもできる。
このような態様によって、消去させないクッキーを利用者が指定することが可能となる。例えば、クッキーを利用者の識別情報として利用するウェブサーバから送信されるクッキーを利用者が事前に指定しておくことができる。これにより、利用者が情報処理装置に記憶されている全てのクッキーを一括して消去したとしても、利用者が指定したクッキーについては消去させないようにすることが可能となる。そしてクッキー管理を効率化、省力化することが可能となる。
【0011】
また前記記憶装置は、ハードディスクドライブと半導体メモリとを含んで構成され、前記第1の記憶領域は、前記ハードディスクドライブに区画される記憶領域であり、前記第2の記憶領域は、前記半導体メモリに区画される記憶領域であるようにすることもできる。
このような態様によって、クッキーの複製が第2の記憶領域に記憶されていることを利用者に意識させないようにすることができる。そしてこれにより、クッキー及びその複製の両方が利用者によって消去されてしまうことを防止することが可能となる。つまり、ウェブサーバから受信したクッキーの複製を、ハードディスクドライブ上の記憶領域にではなく、半導体メモリ上の記憶領域に記憶するようにすることにより、利用者はハードディスクドライブ上をいくら探してもクッキーの複製を見つけることができないため、クッキーの複製が利用者によって消去されてしまうことを防止できるのである。
【0012】
また、通信可能に接続されたウェブサーバから受信したクッキー、所定のクッキーを示す情報、及びプログラムを記憶するハードディスクドライブと、ヒープ領域及びスタック領域が区画される記憶領域を有する半導体メモリと、前記プログラムの複製を前記スタック領域に記憶して実行するCPUと、を備える情報処理装置において実行される前記プログラムであって、前記ハードディスクドライブに記憶されている前記プログラムの複製を前記ヒープ領域に記憶する手順と、前記所定のクッキーが前記ハードディスクドライブに記憶されているか否かの検査を繰り返し行う手順と、前記所定のクッキーが前記ハードディスクドライブに記憶されている場合には、当該クッキーの複製を前記ヒープ領域に記憶する手順と、前記所定のクッキーが前記ハードディスクドライブから消去されている場合には、前記ヒープ領域に記憶されている前記所定のクッキーの複製を前記ハードディスクドライブに書き戻す手順と、前記プログラムの実行終了コマンドの入力を受ける手順と、前記ヒープ領域に記憶されている前記プログラムの複製を、前記ハードディスクドライブに書き戻す手順と、を実行させるプログラムとすることもできる。
【0013】
このような態様によって、ウェブサーバから受信したクッキーのうち、所定のクッキーについての消去を防止することが可能となる。また所定のクッキーの複製は半導体メモリのヒープ領域に記憶されるので、利用者に消去されてしまうことを防ぐことができる。さらに、ハードディスクドライブに記憶されているプログラムの複製をヒープ領域にコピーし、プログラムの実行終了時に、ヒープ領域に記憶しておいたプログラムの複製をハードディスクドライブに書き戻すことにより、プログラム自体が消去されてしまうことも防止することができる。
【0014】
その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための最良の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0015】
ウェブサーバから受信したクッキーのうち、所定のクッキーについての消去を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
===全体構成例===
図1に示すように、本実施の形態にかかるクライアント100は、ネットワーク500を介してウェブサーバ200と通信可能に接続される。そしてクライアント100とウェブサーバ200とがネットワーク500を介して通信可能に接続されることにより、コンピュータシステム900が構成される。
【0017】
ネットワーク500は、インターネットのような広域的な通信網とすることもできるし、企業等の内部におけるローカルな通信網とすることもできる。なおクライアント100は特許請求の範囲に記載の情報処理装置に相当する。
【0018】
ウェブサーバ200は、クライアント100から送信されたリクエストに応じてウェブページ等のレスポンスをクライアント100に送信する。ウェブページには、HTML等で記述されたテキストデータや画像データ等を含ませることができ、クライアント100で実行されるウェブブラウザ720によって、画面データとして表示される。
【0019】
ウェブサーバ200とクライアント100との間の通信は、様々な通信プロトコルに従って行われるが、HTTPプロトコルに従って行われることが多い。しかしHTTPプロトコルは状態を制御することができない。そのため、ウェブサーバ200とクライアント100との間でクッキーを授受することにより、状態の制御が行われる。
【0020】
===クライアント、ウェブサーバの構成===
次に、クライアント100及びウェブサーバ200のそれぞれの構成について説明する。クライアント100及びウェブサーバ200はいずれもコンピュータであり、ハードウェア構成は基本的に同様である。そのため、これらのハードウェア構成をひとつのブロック図にまとめて図2に示す。また、これらの各機能をそれぞれ実現させるためのプログラムやテーブル、ハードディスクドライブ、メモリなどについて図3乃至図7に示す。
【0021】
<クライアントの構成>
クライアント100は、CPU(Central Processing Unit)110、メモリ120、ポート130、記録媒体読取装置140、入力装置150、出力装置160、ハードディスクドライブ180を備える。
【0022】
CPU110はクライアント100の全体の制御を司るもので、ハードディスクドライブ180に記憶されたオペレーティングシステム710やウェブブラウザ720、クッキー維持制御プログラム730(特許請求の範囲に記載のプログラムに相当する)をメモリ120のスタック領域121に読み出して実行することにより、クライアント100としての機能を実現する。例えばCPU110によりオペレーティングシステム710やウェブブラウザ720、クッキー維持制御プログラム730が実行され、メモリ120やポート130、入力装置150、出力装置160、ハードディスクドライブ180等のハードウェア機器と協働することにより、特許請求の範囲に記載の記憶装置、検査部、複製記憶部、複製書き戻し部が実現される。
【0023】
メモリ120は半導体メモリにより構成される記憶装置である。図3に示すように、メモリ120の記憶領域にはスタック領域121とヒープ領域122(特許請求の範囲に記載の第2の記憶領域に相当する)が区画される。スタック領域121とヒープ領域122との区画はオペレーティングシステム710により行われる。
【0024】
スタック領域121には、CPU110が実行するプログラムや各種制御データ等が記憶される。オペレーティングシステム710は、プログラムの実行開始命令の入力を受けると、ハードディスクドライブ180に記憶されているプログラムの複製をスタック領域121に記憶して、CPU110に対して、スタック領域121に記憶したプログラムの実行開始を命令する。このようにして、クライアント100においてプログラムの実行が開始される。図3においては、スタック領域121にクッキー維持制御プログラム730が記憶されている様子が示される。
【0025】
ヒープ領域122には、スタック領域121に記憶されているプログラムをCPU110が実行する際に使用する変数や配列等のデータが記憶される。詳細は後述するが、本実施の形態においては、図3に示すように、ヒープ領域122にもクッキー維持制御プログラム730が記憶される。また、クッキーa(800)も記憶される。
【0026】
記録媒体読取装置140は、記録媒体400に記録されているプログラムやデータを読み取るための装置である。読み取られたプログラムやデータはメモリ120やハードディスクドライブ180に格納される。従って、例えば記録媒体400に記録されたクッキー維持制御プログラム730を、記録媒体読取装置140を用いて上記記録媒体400から読み取って、メモリ120やハードディスクドライブ180に記憶するようにすることができる。記録媒体400としてはフレキシブルディスクや磁気テープ、コンパクトディスク等を用いることができる。
【0027】
入力装置150は利用者によるクライアント100へのデータ入力等のために用いられる装置でありユーザインタフェースとして機能する。入力装置150としては例えばキーボードやマウス等を用いることができる。出力装置160は情報を外部に出力するための装置でありユーザインタフェースとして機能する。出力装置160としては例えばディスプレイやプリンタ等を用いることができる。
【0028】
ポート130は通信を行うための装置である。例えばネットワーク500を介して行われるウェブサーバ200等の他のコンピュータとの通信は、ポート130を介して行われる。また例えば、クッキー維持制御プログラム720をポート130を通じて他のコンピュータからネットワーク500を介して受信して、メモリ120やハードディスクドライブ180に記憶するようにすることもできる。
【0029】
ハードディスクドライブ180は、不揮発性の記憶装置である。図4に示すように、ハードディスクドライブ180にはオペレーティングシステム710やウェブブラウザ720、クッキー維持制御プログラム730、クッキー指定情報管理テーブル620、クッキー記憶フォルダ管理テーブル630が記憶される。またハードディスクドライブ180には、クッキー記憶フォルダ600(特許請求の範囲に記載の第1の記憶領域に相当する)がクッキー800を記憶しておくための記憶領域として区画される。図4に示す例ではクッキー記憶フォルダA(800)にはクッキーa(800)が記憶され、クッキー記憶フォルダB(800)にはクッキーb(800)が記憶されている。さらに、クッキー800の複製を記憶しておくための記憶領域として複製記憶フォルダ610(特許請求の範囲に記載の第2の記憶領域に相当する)が区画されるようにしても良い。これらの記憶領域の区画はオペレーティングシステム710によって行われる。クッキー記憶フォルダ600や複製記憶フォルダ610は、ウェブブラウザ720の種類に応じて異なる記憶領域が割り当てられる。図4に示す例では、ウェブブラウザA(720)には、クッキー記憶フォルダA(600)及び複製記憶フォルダA(610)が割り当てられ、ウェブブラウザB(720)には、クッキー記憶フォルダB(600)及び複製記憶フォルダB(610)が割り当てられる。ウェブブラウザ720の種類に応じて、どのクッキー記憶フォルダ600及び複製記憶フォルダ610が割り当てられるかは、クッキー記憶フォルダ管理テーブル630に記憶されている。
【0030】
クッキー記憶フォルダ管理テーブル630を図7に示す。ウェブサーバ200から受信したクッキー800は、ウェブブラウザ720の種類に応じて、クッキー記憶フォルダ管理テーブル630のクッキー記憶場所欄で指定される記憶領域つまりクッキー記憶フォルダ600に記憶される。またクッキー記憶フォルダ600に記憶されたクッキーの複製は、クッキー記憶フォルダ管理テーブル630の複製記憶場所欄で指定された記憶領域に記憶される。図7に示す例では、メモリ120のヒープ領域122が指定されているが、複製記憶フォルダ610等のハードディスクドライブ180上の記憶領域でも良い。またクッキー記憶フォルダ管理テーブル630は、複数のテーブルから構成されていても良い。
【0031】
クッキー指定情報管理テーブル620は、クッキー記憶フォルダ600に記憶されるクッキー800のうち、クッキー記憶フォルダ600から消去させないようにするクッキー800(所定のクッキー)を示す情報を記憶するテーブルである。クッキー指定情報管理テーブル620にクッキー800を示す情報を記憶しておけば、そのクッキーは、クッキー記憶フォルダ600から消去することはできなくなる。クッキー指定情報管理テーブル620を図6に示す。もちろん、クッキー記憶フォルダ600に記憶されているクッキー800はテキストデータであるから、利用者はクッキー記憶フォルダ600からクッキー800を消去することはできる。しかし、本実施の形態においては、クッキー指定情報管理テーブル620に所定のクッキーを示す情報が記憶されている場合には、そのクッキーは、クッキー記憶フォルダ600に記憶されると共にヒープ領域122あるいは複製記憶フォルダ610にも記憶され、そして、クッキー記憶フォルダ600からクッキーが消去された場合には、ヒープ領域122あるいは複製記憶フォルダ610に記憶しておいたクッキーがクッキー記憶フォルダ600に書き戻されるのである。
【0032】
<ウェブサーバの構成>
ウェブサーバ200は、CPU210、メモリ220、ポート230、記録媒体読取装置240、入力装置250、出力装置260、ハードディスクドライブ280を備える。これらの各装置の機能も、上述したクライアント100が備える各装置と同様である。
【0033】
ウェブサーバ200のハードディスクドライブ280には、ウェブサーバ制御プログラム700が記憶される。その様子を図5に示す。CPU210によりウェブサーバ制御プログラム700が実行されることにより、ウェブサーバ200としての各種機能が実現される。
【0034】
===処理の流れ===
次に、本実施の形態に係るクライアント100が、クッキーを消去させないようにする際の処理の流れを、図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0035】
クライアント100は、クッキー維持制御プログラム730の実行開始要求を受けると、ハードディスクドライブ180に記憶されているクッキー維持制御プログラム730の複製をメモリ120のスタック領域121に記憶する(S1000)。この処理はオペレーティングシステム710の制御の下で行われる。クッキー維持制御プログラム730の実行開始要求は、クライアント100の起動時にオペレーティングシステム710から自動的になされるようにすることもできるし、利用者がクライアント100のディスプレイに表示されるアイコンをマウスでクリックする等によりなされるようにすることもできる。
【0036】
そしてクライアント100は、スタック領域121に記憶されているクッキー維持制御プログラム730の実行を開始する(S1010)。
【0037】
そうするとクライアント100は、ハードディスクドライブ180に記憶されているクッキー維持制御プログラム730の複製をメモリ120のヒープ領域122にも記憶する(S1020)。その様子を図3に示す。なおこの際、クライアント100は、ハードディスクドライブ180からクッキー維持制御プログラム730を消去するようにしても良い。
【0038】
次にクライアント100は、現在実行中のウェブブラウザ720の種類を特定する。現在実行中のウェブブラウザ720の種類は、オペレーティングシステム710により管理されている。そしてクライアント100は、クッキー記憶フォルダ管理テーブル630を参照し、上記特定したウェブブラウザの種類に応じて定められたクッキー記憶場所をクッキー記憶フォルダ600として特定する。
【0039】
そしてクライアント100はクッキー指定情報管理テーブル620を参照し、クッキー記憶フォルダ600から消去させないようにするクッキーを特定する。クッキー指定情報管理テーブル620に記憶される消去させないクッキーを示す情報は、入力装置150から利用者によって入力されるようにしても良いし、ウェブサーバ200等の他のコンピュータから受信しても良い。
【0040】
次にクライアント100は、上記特定したクッキーの複製を、クッキー記憶フォルダ600から、クッキー記憶フォルダ管理テーブル630の複製記憶場所欄で指定される記憶領域に記憶する(S1030)。図7に示す例では、複製記憶場所としてヒープ領域122が指定されているので、クライアント100は、クッキーの複製をヒープ領域122に記憶する。図3にはクッキーa(800)がヒープ領域122に記憶されている様子が示される。
【0041】
次にクライアント100は、上記特定したクッキーがクッキー記憶フォルダ600に記憶されているか否かを検査する(S1040)。ここで、例えば、ヒープ領域122にクッキーの複製が記憶されているにもかかわらずクッキー記憶フォルダ600に記憶されていない場合には、クッキーが消去されたと判定することができる。
【0042】
もしクッキーが消去されていなければ何もせずに次の処理に進み、クッキーが消去されている場合には、ヒープ領域122に記憶しておいたクッキーの複製を、クッキー記憶フォルダ600に書き戻す(S1050)。
【0043】
クライアント100は、クッキー維持制御プログラム730の実行終了命令を受けるまで、上記処理を繰り返す(S1030〜S1060)。
【0044】
クライアント100は、クッキー維持制御プログラム730の実行終了命令を受けると、ヒープ領域122に記憶しておいたクッキー維持制御プログラム730をハードディスクドライブ180に書き戻して(S1070)、クッキー維持制御プログラム730の実行を終了する。ヒープ領域122に記憶しておいたクッキー維持制御プログラム730をハードディスクドライブ180に書き戻す処理は、オペレーティングシステム710の制御の下で行うことができる。クッキー維持制御プログラム730の実行終了命令は、クライアント100のシャットダウン時にオペレーティングシステム710から発行されるようにすることもできるし、利用者によって入力装置150からなされるようにすることもできる。
【0045】
以上、本実施の形態について説明したが、本実施の形態によれば、ウェブサーバから受信したクッキーのうち、所定のクッキーについての消去を防止することができる。
【0046】
なお、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施の形態に係るコンピュータシステムの全体構成を示す図である。
【図2】本実施の形態に係るクライアント及びウェブサーバの構成を示す図である。
【図3】本実施の形態に係るクライアントのメモリを示す図である。
【図4】本実施の形態に係るクライアントのハードディスクドライブを示す図である。
【図5】本実施の形態に係るウェブサーバのハードディスクドライブを示す図である。
【図6】本実施の形態に係るクッキー指定情報管理テーブルを示す図である。
【図7】本実施の形態に係るクッキー記憶フォルダ管理テーブルを示す図である。
【図8】本実施の形態に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
100 クライアント
110 CPU
120 メモリ
121 スタック領域
122 ヒープ領域
130 ポート
140 記録媒体読取装置
150 入力装置
160 出力装置
180 記憶装置
200 ウェブサーバ
400 記録媒体
500 ネットワーク
600 クッキー記憶フォルダ
610 複製記憶フォルダ
620 クッキー指定情報管理テーブル
630 クッキー記憶フォルダ管理テーブル
700 ウェブサーバ制御プログラム
710 オペレーティングシステム
720 ウェブブラウザ
730 クッキー維持制御プログラム
800 クッキー
900 情報処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信可能に接続されたウェブサーバから受信したクッキーを記憶しておくための第1の記憶領域を含む複数の記憶領域が区画されると共に所定のクッキーを示す情報を記憶する記憶装置を備える情報処理装置に、
前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域に記憶されているか否かの検査を繰り返し行う手順と、
前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域に記憶されている場合には、当該クッキーの複製を第2の記憶領域に記憶する手順と、
前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域から消去されている場合には、前記第2の記憶領域に記憶した前記複製を前記第1の記憶領域に書き戻す手順と、
を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、ウェブブラウザの種類に応じて定められた記憶領域にクッキーを記憶し、
前記情報処理装置が現在実行中のウェブブラウザの種類を特定する手順と、
前記特定したウェブブラウザの種類に応じて定められた記憶領域を前記第1の記憶領域として特定する手順と、
を実行させる請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記情報処理装置は入力装置を備え、
前記入力装置から、クッキーを指定する情報の入力を受ける手順と、
前記クッキーを指定する情報を、前記所定のクッキーを示す情報として前記記憶装置に記憶する手順と、
を実行させる請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記記憶装置は、ハードディスクドライブと半導体メモリとを含んで構成され、
前記第1の記憶領域は、前記ハードディスクドライブに区画される記憶領域であり、
前記第2の記憶領域は、前記半導体メモリに区画される記憶領域である
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
通信可能に接続されたウェブサーバから受信したクッキー、所定のクッキーを示す情報、及びプログラムを記憶するハードディスクドライブと、
ヒープ領域及びスタック領域が区画される記憶領域を有する半導体メモリと、
前記プログラムの複製を前記スタック領域に記憶して実行するCPUと、
を備える情報処理装置において実行される前記プログラムであって、
前記ハードディスクドライブに記憶されている前記プログラムの複製を前記ヒープ領域に記憶する手順と、
前記所定のクッキーが前記ハードディスクドライブに記憶されているか否かの検査を繰り返し行う手順と、
前記所定のクッキーが前記ハードディスクドライブに記憶されている場合には、当該クッキーの複製を前記ヒープ領域に記憶する手順と、
前記所定のクッキーが前記ハードディスクドライブから消去されている場合には、前記ヒープ領域に記憶されている前記所定のクッキーの複製を前記ハードディスクドライブに書き戻す手順と、
前記プログラムの実行終了命令の入力を受ける手順と、
前記ヒープ領域に記憶されている前記プログラムの複製を、前記ハードディスクドライブに書き戻す手順と、
を実行させるプログラム。
【請求項6】
通信可能に接続されたウェブサーバから受信したクッキーを記憶しておくための第1の記憶領域を含む複数の記憶領域が区画されると共に所定のクッキーを示す情報を記憶する記憶装置と、
前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域に記憶されているか否かの検査を繰り返し行う検査部と、
前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域に記憶されている場合には、当該クッキーの複製を第2の記憶領域に記憶する複製記憶部と、
前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域から消去されている場合には、前記第2の記憶領域に記憶した前記複製を前記第1の記憶領域に書き戻す複製書き戻し部と、
を備える情報処理装置。
【請求項7】
通信可能に接続されたウェブサーバから受信したクッキーを記憶しておくための第1の記憶領域を含む複数の記憶領域が区画されると共に所定のクッキーを示す情報を記憶する記憶装置を備える情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置が、前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域に記憶されているか否かの検査を繰り返し行い、
前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域に記憶されている場合には、前記情報処理装置が、当該クッキーの複製を第2の記憶領域に記憶し、
前記所定のクッキーが前記第1の記憶領域から消去されている場合には、前記情報処理装置が、前記第2の記憶領域に記憶した前記複製を前記第1の記憶領域に書き戻す
ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−164657(P2007−164657A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362790(P2005−362790)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(598049322)株式会社三菱東京UFJ銀行 (200)
【Fターム(参考)】