説明

プログラム、情報記憶媒体及びゲーム装置

【課題】 実機の回胴式遊技機をビデオゲーム内でシミュレーションするゲームにおいて演出表示の表示遅れを改善する。
【解決手段】第n回目(nは1以上の整数)のゲームの操作入力に基づいて第n+1回目の抽選処理を実行し、この抽選処理結果に基づいて第n+1回目のゲームプレイの際に前記表示画面に仮想表示するシーン種類を仮選択する。そして、各種のシーンデータを記録した記録媒体から仮選択されたシーン種類のシーンデータを読み取らせてバッファし、第n+1回目のゲームの操作入力がなされた際に、このバッファされているシーンデータをロードしてシーンを再生表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回胴式遊技機を仮想的に遊技するシミュレーションゲームを実行させるためのプログラム、情報記憶媒体及びゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオゲームのジャンルの一つに、実物の回胴式遊技機(以下、リール停止に遊技者が技術介入できるか否かに係わらず複数リールの出目で抽選を行う遊技装置を本明細書では単に「スロットマシーン」とも言う。)をシミュレーションする「スロットシミュレータ」或いは「パチスロシミュレータ」と呼ばれるゲームが有る。
【0003】
そうしたゲームでは、ゲーム画面に実物そっくりにデザインされた仮想のスロットマシーンが表示され、ゲームコントローラから所定操作を入力するとBETやリールの回転開始操作、各リールの停止操作などの入力ができるようになっている。ゲーム画面内の仮想のスロットマシーンでは、リールの図柄の配置は勿論、演出表示の内容も同じ様に再現される(例えば、任天堂社製家庭用ゲーム装置「Wii」用のゲームソフト「アニメスロットレボリューション パチスロ「機動戦士ガンダムII 〜哀・戦士編〜」に関する非特許文献1、或いはソニー・コンピュータ・エンターテイメント社製家庭用ゲーム装置「PS2」用のゲームソフト「パチスロ北斗の拳2 乱世覇王伝 天覇の章」に関する非特許文献2を参照)。
【非特許文献1】株式会社バンダイナムコゲームス、「"アニメスロットレボリューション パチスロ「機動戦士ガンダムII 〜哀・戦士編〜" MANUAL」、2007年
【非特許文献2】株式会社セガ、「"パチスロ北斗の拳2 乱世覇王伝 天覇の章"MANUAL」、2007年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたスロットシミュレータの主なユーザー層は、実機のスロットマシーンを遊技することを趣味とした者が多く、その目的とするところはゲームセンターに行けない場合の代用にとどまらずビデオゲームで実機の攻略法を研究する場合もある。したがって、この手のスロットシミュレータでは、ゲームメーカもそうした要望に応えることが望まれており、より正確に実機を再現することが要求されている。
【0005】
ところで、近年の実機のスロットマシーンでは演出表示は液晶ディスプレイなどで表示されるものが主となり、画像処理用のサブ基板によるCG(コンピュータグラフィクス)で実現されるケースが多い。演出表示に必要なデータは同サブ基板に実装されたICメモリ等の情報記憶媒体に記憶されており、メイン基板からのシーン再生コマンドを受信すると、画像処理用のサブ基板は指示されたシーンの再生に必要なデータをこれらの情報記憶媒体からその都度読み出して再生する。ICメモリ等の物理的な駆動制御機構(回転体)を有しない情報記憶媒体は、比較的データ読み出しが高速であるためシーン再生コマンドの受信からシーンデータのロード、そしてCGを生成しての再生開始までの所要時間は短く、タイムラグを感じさせずに遊技の進行に伴って次から次へと様々な演出シーンを表示することができる。
【0006】
一方、家庭用ゲーム装置を用いたスロットシミュレータの場合、ゲームソフトはDVDやCD−ROM等の光学ディスクとして供給されるのが一般的であり、ゲーム開始前、或いは必要に応じて光学ディスクからデータを読み出して制御基板に搭載されたメモリにロードしてこれを用いる構成となっている。
【0007】
家庭用ゲーム装置を用いたスロットシミュレータで、実機のスロットマシーンと同様にタイムラグを感じさせない速やかな演出表示を実現しようとすると、ゲーム開始前に光学ディスクからシーン再生に必要なデータをあらかた読み出してロードしておくのが望ましい。しかし、機種によっては搭載メモリが十分でなくこの方法は実現できないケースが多い。その結果、シーン再生のタイミングの都度、必要なシーンデータを光ディスクから読み出さねばならず、ICメモリなどに比べて読み出し速度の低い光学ディスクではデータのロードに時間を要するためにシーン再生タイミングから実際にシーン再生が開始されるまでに時間遅れが生じてしまうといった問題が起きる。
【0008】
特に、近年ではシーン再生中のゲーム進行に応じて予告演出などが豊富に実行されるため、シーンはムービーの再生ではなくビデオゲームと同様に毎フレームの描画を要する傾向にあり、またより高度な演出表現への要望から3DCGを用いた表示も必要とされるため、一つのシーン再生に要するシーンデータの大型化(データ量増大化)の傾向があり、シーン再生遅れの抑制が望まれるところである。
【0009】
本発明は、こうした事情を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、実機の回胴式遊技機をビデオゲーム内でシミュレーションするゲームにおいて演出表示の表示遅れを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する第1の発明は、コンピュータに、ゲーム進行に応じて画面表示が可変される表示画面を有する回胴式遊技機(例えば、図3のスロットマシーン40)を表示制御して、前記回胴式遊技機を仮想的に遊技するシミュレーションゲームを実行させるためのプログラムであって、
第n回目(nは1以上の整数)のゲームの操作入力に基づいて第n+1回目の抽選処理を実行する抽選処理手段(例えば、図7の処理部200、ゲーム演算部210、図10のステップS12,S18、図12のステップS60、図14のステップS106)、
前記抽選処理結果に基づいて第n+1回目のゲームプレイの際に前記表示画面に仮想表示するシーン種類を仮選択するシーン種類選択手段(例えば、図7の処理部200、ゲーム演算部210、図10のステップS12、S18、図12のステップS66)
各種のシーンデータを記録した記録媒体からデータを読み取る記録媒体読取装置に、前記シーン種類選択手段によって選択されたシーン種類のシーンデータを読み取らせてバッファするバッファ手段(例えば、図2のI/Oチップセット18、サブメモリ28、図7の処理部200、ゲーム演算部210、記憶部500、図10のステップS14,S24)、
第n+1回目のゲームの操作入力がなされた際に、前記バッファ手段にバッファされているシーンデータに基づくシーンを前記表示画面に仮想表示するシーン再生表示制御手段(例えば、図2のGPU14、図7の処理部200、画像生成部260、図10のステップS20)として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0011】
また、第8の発明は、ゲーム進行に応じて画面表示が可変される表示画面を有する回胴式遊技機を表示制御して、前記回胴式遊技機を仮想的に遊技するシミュレーションゲームを実行させるためのゲーム装置であって、
第n回目(nは1以上の整数)のゲームの操作入力に基づいて第n+1回目の抽選処理を実行する抽選処理手段と、前記抽選処理結果に基づいて第n+1回目のゲームプレイの際に前記表示画面に仮想表示するシーン種類を仮選択するシーン種類選択手段と、各種のシーンデータを記録した記録媒体からデータを読み取る記録媒体読取手段と、前記記録媒体読取手段に、前記シーン種類選択手段によって選択されたシーン種類のシーンデータを読み取らせてバッファするバッファ手段、第n+1回目のゲームの操作入力がなされた際に、前記バッファ手段にバッファされているシーンデータに基づくシーンを前記表示画面に仮想表示するシーン再生表示制御手段と、を備えたゲーム装置である。
【0012】
第1又は第8の発明によれば、第n回目(nは1以上の整数)のゲームの操作入力に基づいて第n+1回目の抽選処理を実行し、この抽選結果に基づいて第n+1回目のゲームプレイの際に演出表示するシーン種類を選択することができる。そして、選択されたシーンのシーンデータを記録媒体から読み取ってバッファし、第n+1回目のゲームの操作入力がなされた際に、バッファされているシーンデータに基づくシーンを再生表示することができる。よって、光ディスクなどICメモリと比較してデータの読み込み時間が長くなる記録媒体からシーンデータを読み出すことを基本構成とする場合であっても、読み出し時間に起因する演出表示開始の遅延を抑制することができる。
【0013】
そして、実機のスロットマシーンのメダル払い出しと同様に、スロットシミュレータにおいてもゲームプレイの結果に応じて特典付与を行う場合には、第n+1回目のゲームの操作入力の結果の出目と、前記抽選処理手段による第n+1回目の抽選処理の結果とに基づいて仮想的な特典付与処理を実行する特典付与制御手段(例えば、図7の処理部200、ゲーム演算部210、図11のステップS42〜S46、図14のステップS134〜S140)として前記コンピュータを機能させると良い(第2の発明)。
【0014】
この場合、ゲームプレイの結果とバッファされているシーンデータとの適合性、つまりゲームプレイの結果から導かれる特典付与の状態と表示されるシーン種類との適合性を高めることができる。例えば、大当たりして大量のメダルが払い出される様な状態であるのに、外れの時のような演出表示が選択・表示されるといった事態を防ぐことができる。
【0015】
それでも、抽選処理の結果(当選役)とリールの出目との組み合わせ毎に異なる内容のシーン種類が設定されているケースでは、第n回目のゲームの操作入力に基づいて第n+1回目の抽選処理を実行する以上、第n+1回目のゲームプレイの結果と表示されるシーン種類との間で本来設定した対応関係がとれない場合も生じる可能性がある。
【0016】
これに伴う不都合の軽減を希望する場合には、前記シーン再生表示制御手段が、第n+1回目のゲームの操作入力がなされた際に、前記シーン種類選択手段により仮選択されていたシーン種類が適合するか否かを判定する適合判定手段(例えば、図7の処理部200、ゲーム演算部210、図11のステップS28〜S30)を有し、前記適合判定手段により適合と判定された場合に前記バッファ手段にバッファされているシーンデータに基づくシーンを前記表示画面に仮想表示し、不適合と判定された場合に当該第n+1回目のゲームプレイにおいて前記仮想表示画面に仮想表示するシーン種類を選択して対応するシーンデータを前記記録媒体読取装置に読み取らせて、当該シーンデータに基づくシーンを前記表示画面に仮想表示する(図11のステップS30のNO〜S40)ように前記コンピュータを機能させると良い(第3の発明)。
【0017】
あるいは、バッファ領域を十分確保できるならば、第n+1回目のシーン種類が第n+1回目のゲームの操作入力に応じて複数種類有り得るか否かを、前記抽選処理手段による第n+1回目の抽選処理結果に基づいて判定する複数シーン可能性判定手段(図7の処理部200、ゲーム演算部210、図18のステップS61)として前記コンピュータを更に機能させるとともに、
前記シーン種類選択手段が、前記複数シーン可能性判定手段により有り得ると判定された場合に、当該有り得ると判定された複数種類のシーン種類を仮選択し、
前記バッファ手段が、前記シーン種類選択手段により選択された全てのシーン種類のシーンデータを前記記録媒体読取装置に読み取らせてバッファし、
前記シーン再生表示制御手段が、第n+1回目のゲームプレイにおいて前記仮想表示画面に仮想表示するシーン種類を、前記抽選処理手段による第n+1回目の抽選処理結果と第n+1回目のゲームの操作入力とに基づいて選択し、
前記バッファ手段にバッファされている該選択したシーン種類のシーンデータに基づくシーンを前記表示画面に仮想表示するように前記コンピュータを機能させるとしても良い(第4の発明)。
【0018】
更に、前記シーン再生表示制御手段が、第n+1回目のゲームの操作入力に応じて、前記表示画面に仮想表示するシーンの内容の一部を変更して仮想表示する一部表示変更手段を有するように前記コンピュータを機能させるとしても良い(第5の発明)。
【0019】
この場合、リールの出目や内部確率が特定の条件を満たした場合に、特定のキャラクタを登場させたり、特定キャラクタの表示形態を変更させたり、背景を差し換えたりと言った予告演出のように適宜シーンの内容の一部を変更することができる。そして、演出表示においてある種のインタラクティブ性を有し内容変更を許容できるものとした場合のシーンデータは、単にムービーファイルを表示する演出表示に比べてより大きなデータサイズとなるため、シーンデータの先読みによるシーン再生の遅延抑制の効果はより高まると言える。
【0020】
また、前記シーン種類選択手段が、第1回目のゲームに先立って、プレーヤによる操作入力無しに自動的にランダムな抽選処理を実行して第1回目のゲームプレイの際に前記表示画面に仮想表示するシーン種類を選択するように前記コンピュータを機能させるとするならば(第6の発明)、第1回目のゲームプレイからシーン再生の遅延を抑制することができる。
【0021】
第7の発明は、第1〜第6の発明の何れかのプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な情報記憶媒体である。ここで言う「情報記憶媒体」とは、例えば磁気ディスクや光学ディスク、ICメモリなどを含む。第7の発明によれば、第1〜第6の発明の何れかのプログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることによって、コンピュータに第1〜第6の発明の何れかと同様の効果を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、第n回目のゲームの操作入力に基づいて第n+1回目の抽選処理を実行し、この抽選結果に基づいて第n+1回目のゲームプレイの際に演出表示するシーン種類を選択することができる。そして、選択されたシーンのシーンデータを記録媒体から読み取ってバッファし、第n+1回目のゲームの操作入力がなされた際に、バッファされているシーンデータに基づくシーンを再生表示することができる。よって、光ディスクなどICメモリと比較してデータの読み込み時間が長くなる記録媒体からシーンデータを読み出すことを基本構成とする場合であっても、読み出し時間に起因する演出表示開始の遅延を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
以下、本発明を適用した第1実施形態として、実在するスロットマシーンを家庭用ゲーム装置でシミュレーションするゲーム(スロットシミュレータゲーム)を実行することで疑似的な遊技装置とする例を挙げて説明する。
尚、本実施形態がシミュレーションする遊技装置は、スロットマシーンに限らず複数のリールの出目に基づいて抽選するとともに遊技進行に伴って演出表示をする遊技装置であれば同様に適用することができる。
【0024】
[ゲーム装置の構成]
図1は、本実施形態における家庭用ゲーム装置の構成例を説明するシステム構成図である。同図に示すように、家庭用ゲーム装置1200は、ゲーム装置本体1201と、ゲームコントローラ1230と、ビデオモニタ1220とを備える。
【0025】
ゲーム装置本体1201は、例えばCPUや画像処理用LSI、ICメモリ等が実装された制御ユニット1210と、光ディスク1202のデータ読み取り装置である光学ディスクプレーヤ1206と、メモリカード1204のデータ読み取り装置であるメモリカードリーダ1208とを備える。そして、家庭用ゲーム装置1200は、情報記憶媒体である光ディスク1202やメモリカード1204からゲームプログラム及び各種設定データを読み出し、ゲームコントローラ1230に為される操作入力に基づいて制御ユニット1210が各種のゲーム演算を実行し、所与のビデオゲームを実行する。
【0026】
制御ユニット1210は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)及びDSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ICメモリなどの電気電子機器を備え家庭用ゲーム装置1200の各部を制御する。また、制御ユニット1210は、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)と言った通信回線1と接続して外部装置との間でデータ通信を実現する通信装置1212を備える。
【0027】
ゲームコントローラ1230は、BET操作や、リールの回転開始操作、各リールの停止操作などの各種操作入力に用いられるコントローラ上面に設けられたプッシュボタン1232と、左右の前側面に設けられたプッシュボタン1233R,1233Lと、図で言うところの上下左右の各方向を単独入力するための方向入力キー1234と、右アナログレバー1236と、左アナログレバー1238とを備える。
【0028】
右アナログレバー1236及び左アナログレバー1238は、図で言うところの上下方向と左右方向の2軸方向を同時入力可能な方向入力デバイスである。通常はゲームコントローラ1230を左右の手で把持し、レバーにそれぞれ親指を添えて操作する。レバーを倒すことによって2軸成分を含む任意の方向入力と、レバーの傾倒量に応じた任意操作量を入力することができる。また、何れのアナログレバーも、操作入力していない中立状態からレバーの軸方向に押し込むことでプッシュスイッチとして使用することもできる。
【0029】
本実施形態では、プッシュボタン1233R,1233LでBETの増減を入力し、菱形に配置された4つのプッシュボタン1232のうち左・中央下・右でLリール(左リール)・Cリール(中央リール)・Rリール(右リール)の停止操作を入力する。また、右アナログレバー1236又は左アナログレバー1238の何れかを下方に倒してリールの回転開始操作、スロットマシーン用語で言うところの「レバー操作」を入力する。
【0030】
ゲーム装置本体1201の制御ユニット1210は、ゲームコントローラ1230から受信した検出信号や操作入力信号に基づいてゲーム画像やゲーム音を生成してビデオゲームを実行する。生成されたゲーム画像やゲーム音は、信号ケーブル1209で接続されたビデオモニタ1220(ディスプレイモニタ)に出力される。ビデオモニタ1220には、画像を表示するディスプレイ1222と音声を放音するスピーカ1224とが備えられており、プレーヤはディスプレイ1222に映し出されるゲーム画像を見ながら、スピーカ1224から放音されるゲーム音を聞きつつゲームをプレイする。
【0031】
制御ユニット1210を中心にハードウェア構成についてより具体的に述べると、例えば図2に示すように、制御ユニット1210はCPU10とバスによってデータ通信可能に接続されたメモリコントローラ12、GPU(Graphics Processing Unit)14、サウンドDSP16と、I/Oチップセット18とを備える。
【0032】
メモリコントローラ12は、RAMなどからなるメインメモリ20へのデータの読み書きを制御したりメモリリフレッシュを行ってメインメモリ20を管理するLSIである。CPU10と統合されて実現されるとしても良い。
【0033】
GPU14は、VRAM22や、レンダリングエンジン24などのCG生成・画像合成のための物理回路などを搭載し、VRAM22を記憶領域として利用しながらゲーム画面を表示するための画像データ処理を行うLSIである。尚、VRAM22を混載せずに別途バスで接続される構成としても良いのは勿論である。
GPU14は、CPU10からの画像処理コマンドを受信して、独自に画像表示用データの読み込みや、仮想空間内へのオブジェクトの配置からレンダリングまでの所謂レンダリングパイプラインに係る処理、各種画像合成処理などを実行し、ディスプレイ1222のリフレッシュレートに適した所定周期で画像を生成する。生成する画像は、2Dグラフィックス及び3Dグラフィックスの何れも扱うことが可能である。また、GPU14はビデオ信号を生成する機能を有し、信号ケーブル1209を介してディスプレイ1222にビデオ信号を出力する。本実施形態では、画像生成に必要なデータ、例えば3Dグラフィックスであれば仮想空間に配置するオブジェクトのモデル、同モデルへ適用するテクスチャやモーション、背景画、仮想カメラの配置に関するデータは、光学ディスクプレーヤ1206にセットされた光ディスク1202から読み出して取得するものとする。
【0034】
サウンドDSP16は、予め用意されたPCM波形データ(サンプルデータ)に基づいてスピーカ1224で発音させるための音信号を生成するLSIである。本実施形態では、PCM波形データは光ディスク1202から読み出して内蔵するメモリに記憶して処理に供する。
【0035】
I/Oチップセット18は、ゲームコントローラ1230や光学ディスクプレーヤ1206といった情報記憶媒体の読み取り装置、通信装置1212などとの入出力を制御する複数の集積回路、及びUSBやイーサネット(Ethernet)(登録商標)などのI/O26を搭載した複合LSIである。
I/Oチップセット18は、CPU10からのデータ読出しコマンドを受信すると、光学ディスクプレーヤ1206にセットされている光ディスク1202から指示されたデータを読み出すことができる。また、I/Oチップセット18はサブメモリ28にバスで接続されており、光学ディスクプレーヤ1206からのデータ読出しに際してはサブメモリ28を読み出したデータのバッファ領域として利用することができる。
【0036】
[ゲーム画面及び演出表示の説明]
図3は、本実施形態におけるゲーム画面例を示す図である。本実施形態におけるゲーム画面では、仮想空間に配置されたオブジェクトを仮想カメラで撮影した画像として生成される3DCGである。ゲーム画面内には、実機のスロットマシーンを模した仮想のスロットマシーン40を正面から撮影した様子が表示される。スロットマシーン40は、BETメダルを投入するメダル投入口42と、リールの回転開始操作を入力するためのレバー44と、Rリール50の停止ボタン60と、Cリール52の停止ボタン62と、Lリール54の停止ボタン64と、メダル払出部46と、演出表示部48とを備える。演出表示部48は、実機では液晶ディスプレイなどの画像表示装置に相当する。尚、同図の例ではリールは3本となっているが特に本数は限定されない。また、スロットマシーン40を撮影する仮想カメラの画角や撮影角度などは同図の例に限らず、適宜変更可能で有るのは勿論である。
【0037】
図4は、演出表示部48に表示される演出表示の例を示す図である。同図では左端にゲームの時間進行を示し、それに横並びで表示されるシーンの内容を抜粋して示している。1ゲームプレイは、掛け金を設定してスロットマシーンで一回抽選をするまでに相当する。つまり、BET操作・レバー操作・Rリールの停止操作・Cリールの停止操作・Lリールの停止操作(尚、リールの停止操作順はこれに限る物では無い。)、実機で言うところのボーナスメダルの払出に相当する仮想メダルの払出までを1ゲームプレイとする。
【0038】
実機のスロットマシーンでは、様々なタイミングで演出表示のシーンの切り換えが行われるものもあるが、本実施形態ではBET操作を契機に再生されるシーンの切り換えが行われるものとして説明する。勿論、本発明の実施に当たってはこれに限らず実機同様に適宜切り換えタイミングを設定することができる。
【0039】
本実施形態では、前ゲームから続く前シーン70の再生は前ゲームに伴うボーナスメダルの払出などの特典付与が行われた後も一定時間継続され、継続期間中に新たなBET操作が為されると次ゲームの開始となる。そして、BET操作を契機として次に再生されるシーンが選択されるとともにその再生が行われる。
ある条件では、前回と同じシーンが繰り返されるかもしれない。同図では次シーン72(72a,72b)がそれに当たり、前シーン70が再び選択されることでディスプレイ1222にはウサギキャラクタが前ゲームから引き続き散歩している連続シーンとなって表示されることとなる。当然、更に次のゲーム(次々ゲーム)でも同じシーンが繰り返されれば、同図の様にシーン74が再生され、3ゲーム連続してウサギキャラクタが散歩を続けているように演出表示されるであろう。
【0040】
シーンの再生中に役抽選やリールの停止操作がされて出目が決定されると、実機のスロットマシーンと同様に役の抽選結果であったりリールの出目によってシーン内で所謂「予告演出」等がなされる。つまり、表示内容の一部変更が行われる。例えば、所定の予告演出標示物76が登場するといった具合である。そうした予告演出等を表示するためのデータは、シーンの表示用データ(シーンデータ)に予め含まれており再生中の役抽選やリールの出目などに応じて表示内容が調整される。
【0041】
また別の条件では、前回と異なるシーンが選択されるかもしれない。同図では次シーン78(78a,78b)がこれに当たり、物陰に隠れて待ち伏せするイヌキャラクタの様子を写すシーンが再生される。ディスプレイ1222には、前シーン70からカットが変わったかのように表示される。勿論、この次シーン78においても予告演出等の要素は含まれている。例えば、イヌキャラクタが持つ花束の形状や背景色などがそれに当たる。
【0042】
こうした演出表示を行うためのシーンデータは、より表示品質を上げ、より多様性を持たせるために近年データサイズが大きくなる傾向にある。
実機のスロットマシーンでは、ICメモリにシーンデータが記憶されているので再生のためのデータのロード時間は短く、シーンの切り換えタイミングで違和感なくカットがつながって見える。しかし、家庭用ゲーム装置1200では通常、光ディスク1202などのメディアでシーンデータが供給される。制御ユニット1210に搭載されているメモリの容量は限られており、全てのシーンデータをゲーム開始前に制御ユニット1210のメモリに記憶させることはできない為、実機のようにシーンの切り換えタイミングでシーンの選択とそのシーンデータの読み出しを開始していたのでは読み出しに時間がかかり、シーンの再生タイミングに遅れが生じて違和感を生む。具体的には、慣れた遊技者による平均的なゲームプレイ時間は1ゲーム2秒程度とも言われているが、光ディスク1202からシーンデータを読み出そうとすると2〜5秒を要するため、場合によっては演出表示の切り換えが途切れるどころか間に合わないケースもあることになる。
【0043】
そこで本実施形態では、次のゲームプレイ時に表示されるシーンを一つ前のゲームプレイ時に仮設定してそのシーンデータを事前にバッファリングしておくことでシーンデータの読み込み時間による演出表示開始の遅延を抑制する。
【0044】
[シーンデータ先読みの概念の説明]
図5は、ゲーム開始前と第1回目のゲームプレイとの間におけるシーンデータのバッファリングのタイミングについての概念を説明する図である。本実施形態では、BET操作・レバー操作・3本のリールの停止操作・ボーナスメダルの付与までを1ゲームとする。BETされるのはゲーム内でのみ使用される仮想のメダルである。
【0045】
第1回目のゲーム開始前には、CPU10がスタート準備処理を実行して、スタートシーンのシーンデータの読み込みコマンドを出力する。I/Oチップセット18はこのコマンドを受けると、光学ディスクプレーヤ1206にセットされている光ディスク1202から該当シーンデータをサブメモリ28にバッファする。一方GPU14は、公知のスロットマシーンのシミュレーションゲームと同様にして、ゲーム画面にスロットマシーン40を表示するためのデータをI/Oチップセット18を介して光ディスク1202から読み出しVRAM22にロードする。そして、レンダリングエンジン24などを用いてディスプレイ1222にスロットマシーン40を表示する。そして、GPU14はサブメモリ28にバッファされたスタートシーン用のシーンデータをVRAM22にロードして、当該シーンデータに基づいて演出表示部48にスタートシーンの表示を開始する。スタートシーン用のシーンデータがVRAM22にロードされたら、I/Oチップセット18はサブメモリ28に記憶されている同データを適宜クリアし記憶領域を開放する。
【0046】
一方、CPU10は第1回目(初回)のゲームプレイ用として遊技者による操作入力無しに役抽選処理を実行して当選役(役は勿論ハズレも含む意)を決定し、公知のスロットマシーンのシミュレーションゲームと同様にして役抽選結果に基づいてシーン選択処理を実行する。そして、選択した第1回目のゲームプレイ用のシーンに対応するシーンデータのバッファ開始コマンドを出力する。そして、I/Oチップセット18は、このバッファ開始コマンドを受けて第1回目のゲームプレイ用のシーンデータをサブメモリ28にバッファする。つまり、第1回目のゲームプレイが開始される前に、すでに第1回目のゲームプレイに伴って演出表示されるシーンのシーンデータが、読み出しの速いサブメモリ28に記憶されていることになる。
【0047】
第1回目のゲームプレイとして、遊技者がBET操作すると、CPU10はBET設定処理・役抽選処理・シーン選択処理を順次実行する。そして、シーン選択処理によって選択されたシーンに対応するシーンデータのバッファ開始コマンドと、シーン再生コマンドを出力する。
【0048】
GPU14は、このシーン再生コマンドを受けて、現在再生中のスタートシーンを破棄し、VRAM22を占めていた領域を開放する。そして、サブメモリ28にバッファされている第1回目の演出表示用のシーンデータをVRAM22にロードし、シーンの再生を開始する。このように、CPU10からのシーン再生コマンドの出力からシーン再生までのタイムラグは、サブメモリ28からシーンデータをロードする時間に依存するが、これは実機のスロットマシーンにおけるメイン基板から画像表示制御用のサブ基板にシーン再生コマンドが出力され、サブ基板に搭載されたICメモリから該当するシーンデータをロードしてシーン再生を開始するのと同程度となる。よって、家庭用ゲーム装置1200向けのスロットシミュレータのように、光ディスク1202にシーンデータを記憶させておく構成であり、家庭用ゲーム装置1200に全シーンデータを予めロードしておけるほどの搭載メモリが無い場合であってもシーン再生の遅延を抑制することができる。尚、ハードディスクを備えた家庭用ゲーム装置であって、光ディスク1202に記憶されているシーンデータをハードディスク(記録媒体)に記録した上でゲームを実行する場合であっても、ハードディスクからのシーンデータの読み出し時間は、ICメモリからの読み出し時間に比べて遅い(長い)。このため、かかるゲーム装置においても、シーン再生の遅延を抑制することができる。
【0049】
さてその一方で、シーン再生コマンドとともに出力されたバッファ開始コマンドを受けて、I/Oチップセット18は、第1回目のゲームプレイに伴って実行された役抽選結果に基づいて選択された第2回目のゲームプレイ時に演出表示されるシーンのシーンデータを光ディスク1202から読み出しサブメモリ28にバッファする。また、CPU10は、レバー操作の入力を検出するとリールの回転開始コマンドを出力する。同図では図示省略しているが、GPU14はこのコマンドを受けてRリール50とCリール52とLリール54が回転するように表示制御する。
【0050】
回転するリールを見ながら遊技者がRリール50、Cリール52、Lリール54をそれぞれ止めるべく停止操作を入力すると、CPU10はこれらを検出し、停止操作を検出したリールのリール出目決定処理を実行して当該リールの停止コマンドを出力する。すると、GPU14はこの停止コマンドを受け、図示省略しているが該当するリールがリール出目決定処理で決定された出目で停止するように表示制御する。
そして、全てのリールが停止すると、CPU10は当たり/外れの判定処理を実行する。このとき、判定には第1回目のゲームプレイが行われる前に実行された役抽選処理の抽選結果が反映される。これによって、現在ディスプレイ1222に表示されている演出表示のシーンの内容と抽選結果との関係の整合がとられる。また、CPU10はボーナス付与処理(特典付与処理)を実行して、先の当たり外れ判定処理の結果に応じた数のメダル(この場合は、ゲーム内でのみ使用可能な仮想のメダル)の払出処理を実行する。
【0051】
図6は、隣接するゲームプレイ間に於けるシーンデータのバッファリングのタイミングについての概念を説明する図であって、第1回目のゲームプレイと第2回目のゲームプレイを例に挙げている。
【0052】
第2回目のゲームプレイにおける処理も、基本的には第1回目のゲームプレイと同様となる。CPU10は、第2回目のゲームプレイにおいて役抽選処理及びシーン選択処理を実行し、シーン再生コマンドとバッファ開始コマンドを出力する。
シーン再生コマンドが出力されると、GPU14は第1回目のゲームプレイ時にバッファされたシーンデータをVRAM22にロードしてシーン再生を開始する。そして、バッファ開始コマンドが出力されると、I/Oチップセット18は第2回目のシーン選択処理で選択されたシーンのシーンデータをサブメモリ28にバッファする。ここで、バッファされたシーンデータは、第3回目のゲームプレイのシーン再生コマンドを受けてGPU14がVRAM22にロードし再生することになる。
また、第2回目のゲームプレイにおける当たり外れ判定処理は、第1回目のゲームプレイの役判定処理の結果が反映される。第2回目のゲームプレイの役判定処理の結果は第3回目の当たり外れ判定処理に反映される。
【0053】
このように、本実施形態では第n回目(nは1以上の整数)のゲームの操作入力に基づいて第n+1回目の抽選処理を実行し、この抽選結果に基づいて第n+1回目のゲームプレイの際に演出表示するシーン種類を仮選択する。そして、仮選択されたシーンのシーンデータを光ディスク1202から読み取らせてバッファし、第n+1回目のゲームの操作入力がなされた際に、バッファされているシーンデータに基づくシーンを再生表示することによって、光ディスク1202からシーンデータを読み出すことに起因する演出表示開始の遅延を抑制することができる。
【0054】
[機能ブロックの説明]
次に、上述のようなゲームを実現するための具体的な構成について説明する。
図7は、本実施形態における家庭用ゲーム装置1200の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すように本実施形態では、操作入力部100と、処理部200と、音出力部350と、画像表示部360と、通信部370と、記憶部500とを備える。
【0055】
操作入力部100は、プッシュボタンや、レバー、タッチパッド、ダイヤル、キーボード、マウス、各種ポインタ、加速度センサ、傾斜センサなどの入力デバイスやセンサ類によって実現され、プレーヤによって為された各種の操作入力に応じて操作入力信号を処理部200に出力する。図1のゲームコントローラ1230が操作入力部100に該当する。
【0056】
処理部200は、例えばマイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現され、各機能部との間でデータの入出力を行うとともに所定のプログラムやデータ及び操作入力部100からの操作入力信号に基づいて各種の演算処理を実行して、家庭用ゲーム装置1200の動作を制御する。図1では、ゲーム装置本体1201に内蔵された制御ユニット1210が処理部200に該当する。
【0057】
そして、本実施形態における処理部200は、ゲーム演算部210と、音生成部250と、画像生成部260と、通信制御部270とを備える。
【0058】
ゲーム演算部210は、ゲームの進行に係る処理を実行する。図2のCPU10がこれに該当し、例えば、3次元仮想空間中にゲーム空間を形成しスロットマシーン40のオブジェクトを配置してそのリール部を回転/停止制御する処理、役抽選処理、演出表示するシーン種類を選択するシーン選択処理、BET操作を検出してBETの設定をする処理、リールの停止操作を検出して停止操作されたリールの出目を決定する処理、役抽選の結果(当選役)と各リールの出目に基づいて当たり外れを判定する当たり外れ判定処理、役抽選の結果と当たり外れ判定の結果とに基づいてボーナスを付与(仮想メダルをボーナス枚数払い出す等)するボーナス付与処理、リーチ演出や予告演出などに伴って特別なオブジェクトを配置したり特定オブジェクトの表示形態を一部変更したりする一部表示変更処理、が実行対象に含まれる。
これらの処理は、実機のスロットマシーンにおけるメイン基板やリール制御用サブ基板が実行する処理、及び画像制御用サブ基板が実行する一部の処理に相当する。つまり、ゲーム演算部210は、メイン基板シミュレーション部212、及びリール制御基盤シミュレーション部214、画像サブ基板シミュレーション部216としての機能を有している。
【0059】
音生成部250は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのプロセッサやその制御プログラムなどの公知技術によって実現され、ゲーム演算部210による処理結果に基づいてゲームに係る効果音やBGM、各種操作音の音信号を生成し、音出力部350に出力する。図2では、サウンドDSP16がこれに該当する。
【0060】
音出力部350は、音生成部250から入力される音信号に基づいて効果音やBGM等を音出力する装置によって実現される。図1ではビデオモニタ1220のスピーカ1224がこれに該当する。
【0061】
画像生成部260は、例えば、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのプロセッサ、その制御プログラム、フレームバッファ等の描画フレーム用ICメモリ等の公知技術によって実現される。例えば画像生成部260は、ゲーム演算部210による処理結果に基づいて1フレーム時間(1/60秒)で1枚のゲーム画像を生成し、生成したゲーム画像の画像信号を画像表示部360に出力する。図2では、GPU14がこれに該当する。
本実施形態では、実機のスロットマシーンで言うところの画像処理用サブ基板が実行している演出表示部48の演出表示に係る一部の処理も実行する。つまり、画像生成部260は画像処理用サブ基板シミュレーション部264としての機能を有する。
【0062】
画像表示部360は、画像生成部260から入力される画像信号に基づいて各種ゲーム画像を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイ、ブラウン管(CRT)、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。図1ではディスプレイ1222が該当する。
【0063】
通信制御部270は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部370を介して外部装置とのデータのやりとりを実現する。
【0064】
通信部370は、通信回線1と接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、図1では通信装置1212がこれに該当する。
【0065】
記憶部500は、予め定義されたプログラムやデータを記憶するとともに、処理部200の作業領域として用いられて処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。この機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROMやDVDなどの光学ディスクなどによって実現される。図2では、メモリコントローラ12、メインメモリ20、I/Oチップセット18、サブメモリ28、光学ディスクプレーヤ1206及び同プレーヤにセットされている光ディスク1202がこれに該当する。通信装置1212を介してデータ通信可能に接続された外部記憶装置としても良い。
【0066】
本実施形態における記憶部500は、処理部200にゲーム装置1200を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラム501や、ゲームを実行させるために必要なゲームプログラム502、並びに各種データ等を記憶する。処理部200がゲームプログラム502を読み出して実行することによって、処理部200にゲーム演算部210としての機能を実現させることができる。
【0067】
また記憶部500には、予め用意されるデータとしてシーン設定データ510と、シーンデータライブラリ511とが記憶されている。
シーン設定データ510は、シーンの選択条件と、選択されるシーン種類とが対応付けられて格納されている。シーンの条件としては、実機のスロットマシーンにおける設定と同様に実現できる。例えば、当選役とリールの出目の組み合わせ、当選役と当たり/外れ、ゲームプレイ回数、ゲームプレイ経過時間、ボーナスメダルの払出累計数、前シーン種類などを条件とすることができる。
【0068】
シーンデータライブラリ511は、各シーンを表示するための各種素材データをシーン種類毎に格納している。これも実機のスロットマシーンで使用するデータと同様に実現することができる。
【0069】
また記憶部500は、更にゲームの進行に伴って生成され、随時書き換えられるデータとして、ゲーム回数512と、ゲーム内で遊技者が使用できる仮想のメダル数を格納する所持メダル数514と、BETメダル数516と、サブメモリ28にバッファしたシーンデータに関する登録情報であるバッファリスト520と、リール毎の現在の状態を示す情報を格納するリールステータスデータ540とを記憶する。
また、バッファ開始コマンドが出力されたことを示すバッファ開始コマンドフラグ560と、シーン再生コマンドが出力されたことを示すシーン再生コマンドフラグ562と、リール自動停止タイマー564と、メダル払出数566と、バッファされるシーンデータ568とを記憶する。
勿論これら以外にも、ゲームの進行に係る処理を実行するに当たり必要となる情報として、例えば仮想カメラを制御するための画角・視線方向・姿勢情報などのデータ、各種制限時間のカウントデータなどを適宜記憶する。
【0070】
図8は、バッファリスト520のデータ構成例を示す図である。同図に示すように、バッファリスト520は、ゲーム回数522と対応付けて、当該ゲーム回数のゲームプレイにおける役抽選処理の役抽選結果524と、Rリール出目526と、Cリール出目528と、Lリール出目530と、当該ゲーム回数のゲームプレイにおけるシーン選択処理で選択されたシーン種類532と、同シーン種類に対応するシーンデータの記憶されているバッファ先頭アドレス534とが1セットで登録されている。本実施形態では、第n回目のゲームプレイにおける役抽選結果に基づいて選択されたシーンを第n+1回目のゲームプレイで再生するので、バッファリスト520には最低1セット分は登録されることになり、このバッファリスト520は適宜更新される。
【0071】
図9は、リールステータスデータ540のデータ構成例を示す図である。リールステータスデータ540は、Rリール・Cリール・Lリールのリール識別情報542と対応づけて、出目544と、リールの回転状態を示すリール回転フラグ546と、リール停止操作が入力されたことを示すリール停止フラグ548とを格納する。リール停止フラグ548は、ゲームコントローラ1230からそれぞれのリールのリール停止操作が入力されるとフラグが立てられ、そのリールが停止するとフラグが下ろされる。
【0072】
[処理の流れの説明]
次に、本実施形態における処理の流れについて説明する。ここで説明される処理は、処理部200がシステムプログラム501及びゲームプログラム502を読み出して実行することによって実現される。
【0073】
図10は、本実施形態におけるゲーム進行に係る主たる処理の流れについて説明するためのフローチャートである。同図に示すように、先ず処理部200は所定のスタートシーンデータのサブメモリ28へのバッファリングを開始する一方(ステップS2)、光ディスク1202から仮想スロットマシーン40を表示させるためのデータを読み出してVRAM22へロードし、ロードしたデータに基づいてレンダリングして仮想のスロットマシーン40(図3参照)を表示する(ステップS4)。
【0074】
そして、処理部200はサブメモリ28にバッファされたスタートシーンのシーンデータをVRAM22へロードして(ステップS6)、同データを元にして仮想のスロットマシーン40の演出表示部48にスタートシーンを表示制御する(ステップS8)。尚、以降、サブメモリ28にバッファされていたシーンデータがVRAM22へロードされるとサブメモリ28上のシーンデータは廃棄されるものとする。
【0075】
次に、処理部200はゲーム回数n(図7のゲーム回数512に同じ)を「0」にセットして初期化する(ステップS10)。その他、リールステータスデータ540については、出目544に所定のデフォルト値を格納し、リール回転フラグ546及びリール停止フラグ548に「0」を格納して初期化する。
【0076】
そして、仮コマンド生成タスクを実行する(ステップS12)。仮コマンド生成タスクは、遊技者の実操作無しに次回ゲームプレイで使用するシーンデータのバッファ開始コマンドを出力する処理である。ここでは、第1回目のゲームプレイで表示するシーンを選択しバッファ開始コマンドを出力することとなる。尚、本実施形態ではバッファ開始コマンドを出力するとは、バッファ開始コマンドフラグ560を立てることで代用される。
【0077】
具体的には、図12のフローチャートに示すように、処理部200は先ず遊技者の操作入力無しに役抽選処理を自動実行して仮の当選役を決定し(ステップS60)、各リールの出目を自動決定して仮のリール出目を決定する(ステップS62)。続いて仮当選役と仮リール出目に基づいて仮の当たり/外れ判定を決定する(ステップS64)。尚、役抽選処理は公知の実機のスロットマシーンにおける内部抽選と同様にして実現できる。また、各リールの出目は乱数を用いたランダム処理で決定するとしても良い。
【0078】
次に、処理部200はシーン選択処理を実行して、シーン設定データ510を参照して仮当選役や仮リール出目、仮当たり/外れ判定結果に基づいてシーン種類を選択する(ステップS66)。そして、現在のゲーム回数nと対応づけて先に決定した仮当選役・仮リール出目・シーン種類をバッファリスト520に登録する(ステップS68)。この段階では、バッファ先頭アドレス534は未定なので所定のデフォルト値を格納するとしても良い。そして、処理部200はバッファ開始コマンドフラグ560に「1」を設定してフラグを立て(ステップS70)、仮コマンド生成タスクを終了する。
【0079】
仮コマンド生成タスクを終了したならば、図10のフローチャートに戻って、次に処理部200はシーンデータバッファタスクを実行する(ステップS14)。
図13は、本実施形態におけるシーンデータバッファタスクの流れを説明するためのフローチャートである。シーンデータバッファタスクでは先ず、処理部200はバッファ開始コマンドフラグ560を参照し、同フラグが「1」である場合(ステップS82のYES)、バッファリスト520においてゲーム回数nに対応して登録されたシーン種類に対応するシーンデータを所定サイズ分だけ光ディスク1202のシーンデータライブラリ511から読み出してサブメモリ28へバッファする(ステップS84)。
それでシーンデータのバッファリングが完了すれば(ステップS86のYES)、バッファ開始コマンドフラグ560を「0」にセットして(ステップS88)、現在のゲーム回数nと対応付けてバッファした先頭アドレスをバッファリスト520に登録する(ステップS90)。そして、シーンデータバッファタスクを終了する。
一方、ステップS84で所定サイズだけバッファしてもまだ当該シーンデータの全データの読み出しが完了していなければ(ステップS86のNO)、一旦シーンデータバッファタスクを終了する。
【0080】
図10のフローチャートに戻って、次に処理部200はゲーム回数n=0で選択したシーンのシーンデータのバッファが完了したか否かを判定する(ステップS16)。完了していなければ(ステップS16のNO)、ステップS14に戻る。完了していれば(ステップS16のYES)、第1回目のゲームプレイに係る処理に移行する。つまり、ステップS2〜S16までが図5で言うところの「スタート準備」に相当する。
【0081】
さて、第1回目のゲームプレイに係る処理として具体的には、ゲーム回数nに「1」をセットして(ステップS17)、メイン基板シミュレーションタスクを実行する(ステップS18)。メイン基板シミュレーションタスクは、実機のスロットマシーンで言うところのメイン基板が担う処理をシミュレーションする処理である。
【0082】
例えば図14に示すように、処理部200は先ず全リールが停止している状態で有るかを判定する(ステップS100)。全リールが停止状態つまり全リールのリール回転フラグ546とリール停止フラグ548がともに「0」であれば肯定判定される(ステップS100のYES)。
【0083】
全リールが停止状態においてBET操作が検出されたら(ステップS102のYES)、BETの設定処理を実行する(ステップS104)。次いで、次回のゲームプレイ(第n+1回目のゲームプレイ)で表示するシーンを選択する為に仮コマンド生成タスクを実行する(ステップS106)。ここでの仮コマンド生成タスクの実行によって、現在のゲーム回数nに対応付けられて当選役とリール出目とシーン種類とが新たに登録されるとともに、バッファ開始コマンドフラグ560が立てられる。
よって、次回シーンバッファタスクが実行されるタイミングでは、バッファ開始コマンドフラグ560が立っているので、バッファリスト520でゲーム回数n(この場合n=1)に対応づけられたシーン種類のシーンデータがサブメモリ28にバッファリングされることになる。
【0084】
さて、処理部200はリールの回転開始を入力するレバー操作に当たる操作入力を検出したならば(ステップS108のYES)、シーン再生コマンドフラグ562に「1」を格納してフラグを立てる(ステップS110)。これは、実機のスロットマシーンで言うところのメイン基板からシーン再生コマンドが出力されたのに相当する。
次いで処理部200は、リールステータスデータ540の全リールのリール回転フラグ546を「1」にセットし(ステップS112)、リール自動停止タイマー564をスタートさせる(ステップS114)。リール回転フラグ546を立てる処理は、実機のスロットマシーンで言うところのメイン基板からリール回転開始コマンドが出力されたことに相当する。
【0085】
次に、処理部200はリール停止操作の有無を判定する(ステップS120)。リール停止操作を検出したならば(ステップS120のYES)、該当リールの出目決定処理を実行し(ステップS122)、決定した該当リールの出目を現在のゲーム回数nと対応づけてバッファリスト520へ登録する(ステップS124)。出目決定処理は、公知のスロットマシーンのシミュレーションゲームと同様に実現できる。
そして、処理部200が該当リールのリールステータスデータ540のリール停止フラグ548に「1」を設定する(ステップS126)。これは、実機のスロットマシーンで言うところのメイン基板から該当リールの回転停止コマンドが出力されたのに相当する。
【0086】
一方、リール停止操作が入力されていない場合でもリール自動停止タイマー564がカウントアップした場合には(ステップS130のYES)、処理部200は全リールのリール停止フラグ548を立てて自動的にリールの回転を停止させるようにする(ステップS132)。
【0087】
次に、処理部200は全リールが停止状態であるかを判定し、全リールが停止状態であれば(ステップS134のYES)、リール自動停止タイマー564をリセットし(ステップS136)、バッファリスト520においてゲーム回数n−1に対応して登録されている役抽選結果(当選役)とゲーム回数nに対応する現在のリールの出目544(図9参照)とに基づいて、同登録されている役抽選結果の当選役の当たり外れ判定処理を行う(ステップS138)。そして、この当たり外れ判定の結果に応じて今回のゲームプレイに伴うメダル払出数を決定してメダル払出数566に格納し(ステップS140)、メイン基盤シミュレーションタスクを終了する。
【0088】
メイン基盤シミュレーションタスクを終了したならば、図10に戻って、処理部200は画像サブ基板シミュレーションタスクを実行する(ステップS20)。画像サブ基板シミュレーションタスクは、実機のスロットマシーンにおける演出表示などの画像表示制御用サブ基板の機能を実現するための処理である。
【0089】
図15は、本実施形態における画像サブ基板シミュレーションタスクの流れを説明するためのフローチャートである。同処理では先ず、処理部200はシーン再生コマンドフラグ562が立っているかを判定する(ステップS160)。
同フラグが「1」に設定されフラグが立っている場合、新たなシーンのシーン再生コマンドが出されたと判断して(ステップS160のYES)、処理部200は現在表示制御中のシーン再生を中止するとともにデータを破棄する(ステップS162)。そして、バッファリスト520からゲーム回数n−1に対応するバッファ先頭アドレス534を参照して、同アドレスを先頭にバッファされているシーンデータをVRAM22へロードし(ステップS164)、ロードしたシーンデータに基づいてシーン再生を開始する(ステップS166)。勿論、公知のスロットシミュレータと同様に、シーンの再生においては、リールの出目や内部確率が特定の条件を満たした場合に、特定のキャラクタを登場させたり、特定キャラクタの表示形態を変更させたり、背景を差し換えたりと言った予告演出のようにシーンの内容の一部を変更する処理が含まれる。
【0090】
次いで、処理部200はサブメモリ28から当該シーンデータを削除し(ステップS168)、バッファリスト520からはゲーム回数n−1に対応するリストを削除する(ステップS170)。そして、シーン再生コマンドフラグ562を「0」にリセットし(ステップS172)、画像サブ基板シミュレーションタスクを抜ける。
一方、シーン再生コマンドフラグ562が「1」でなければ、処理部200はVRAM22へロード済のシーンデータに基づいてシーンを再生処理して(ステップS174)、画像サブ基板シミュレーションタスクを抜ける。勿論、ここでの再生処理においても予告演出などシーンの内容を一部変更する処理も含まれる。
【0091】
画像サブ基板シミュレーションタスクを抜けると、図10のフローチャートに戻って、処理部200は次に、リール制御基板シミュレーションタスクを実行する(ステップS22)。リール制御基盤シミュレーションタスクは、実機のスロットマシーンで言うところのリールの回転/停止を制御するリール制御基板に相当する機能を実現する。つまり、リールステータスデータ540において、リール回転フラグ546が「1」でリール停止フラグ548が「0」のリールを回転表示制御し、リール回転フラグ546が「0」でリール停止フラグ548が「1」のリールを、対応する出目544で停止するように表示制御し、停止したらリール回転フラグ546を「0」にセットする処理をする。尚、こうしたリール部分の回転表示・停止動作表示は公知のスロットマシーンのシミュレーションゲームと同様にして実現できる。
【0092】
次に処理部200は、シーンデータバッファタスクを実行する(ステップS24)。これによって、ステップS18のメイン基盤シミュレーション処理でゲーム回数n=1に対応して選択されたシーンのシーンデータのサブメモリ28へのバッファリングを開始することができる。
【0093】
そして、処理部200はリールステータスデータ540を参照して全リールの出目が決定しているか否かを判定する(ステップS26)。
出目が出揃っていなければ(ステップS26のNO)ステップS18に戻る。一方、出目が出揃っていれば(ステップS26のYES)、図11のフローチャートに移行し、処理部200はゲーム回数n−1に対応してバッファされたシーンデータが、全リールの出目が出揃った現実の状況に適合しているか否かを判定し、不適な場合には適合するシーンデータを改めてバッファ、ロードし直す処理を実行する(ステップS28〜S36)。
【0094】
具体的には、適合性を判断するために処理部200は先ずゲーム回数n−1の当選役と今回(ゲーム回数n)のリール出目とに基づいてシーン種類の選択処理を実行する(ステップS28)。
そして、今回選択されたシーン種類と、ゲーム回数n−1に対応するシーン種類、すなわち既にサブメモリ28にバッファされているシーンデータのシーン種類との適合を判定する(ステップS30)。適合基準は適宜設定可能である。例えば両者が一致する場合に適合すると判定しても良いし、前者と後者が同じシーン選択条件に対応する同じ選択候補内に含まれている場合に適合すると判定する構成としても良い。
【0095】
適合しないと判定した場合(ステップS30のNO)、処理部200はサブメモリ28にバッファされているゲーム回数n−1に対応するシーンデータを破棄して(ステップS32)、ステップS28で新たに選択されたたシーン種類のシーンデータを光ディスク1202から読み出してサブメモリ28にバッファする(ステップS34)。そして、ゲーム回数n−1に対応するバッファリスト520のシーン種類532とバッファ先頭アドレス534とを更新し(ステップS36)、シーン再生コマンドフラグ562を「1」に設定して(ステップS38)、画像表示サブ基板シミュレーションタスクを実行する(ステップS40)。つまり、ゲームの進行状態に適合するシーンデータに差し換えたうえで、差し換え後のシーンデータに基づく演出表示を演出表示部48(図3参照)に表示させる。
【0096】
一方、今回選択されたシーン種類とサブメモリ28にバッファされているシーンデータのシーン種類とが適合すると判定した場合には(ステップS30のYES)、これらのステップは実行されずシーンデータの差し換えは行わないことになる。
【0097】
現実的には、演出表示が大きく変化するような当選役となる確率は低い。仮に演出表示が大きく変化するような当選役が選ばれてもリールの出目が揃って当たることは更に確率が低く、このようにシーンデータの差し換えを行うことは稀に起こる程度でしかない。
【0098】
シーンデータの差し換えに係る処理を実行したならば、処理部200は次にメダル払出数566の値を参照し、メダル払出数566が「0」でなければ(ステップS42のNO)、メダルが払い出される様子を表示制御するとともに(ステップS44)、所持メダル数514をメダル払出数566の値だけ加算更新して(ステップS46)、メダル払出数566を「0」にリセットする(ステップS48)。
【0099】
これで1セットのゲームが終了したことになるので、処理部200は次にゲーム終了操作の有無を判定し、ゲーム終了操作が無ければ次のゲームプレイに備えてゲーム回数nに「1」を加算して(ステップS52)、図10のステップS18に戻る。
【0100】
以上、本実施形態によれば第n回目(nは1以上の整数)のゲームの操作入力に基づいて第n+1回目の抽選処理を実行し、この抽選結果に基づいて第n+1回目のゲームプレイの際に演出表示するシーン種類を仮選択する。そして、仮選択されたシーンのシーンデータを光ディスクから読み取ってバッファし、第n+1回目のゲームの操作入力がなされた際に、バッファされているシーンデータに基づくシーンを再生表示することによって、光ディスクからシーンデータを読み出すことに起因する演出表示開始の遅延を抑制することができる。
こうした効果は、演出表示を単にムービーの再生ではなく、リーチ予告を含めるなど現在のゲーム進行に応じて可変するインタラクティブ性を備える構成であって、シーンデータがムービーよりも大きく成るケースにおいてより発揮される。
【0101】
〔第2実施形態〕
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。本実施形態は、基本的に第1実施形態と同様の構成を有するが、第n回目のゲームプレイに基づいて第n+1回目のゲームプレイで表示するシーン種類の選択の際に可能性のある複数種類を選択する点において異なる。尚、第1実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与し説明は省略するものとする。
【0102】
図16と図17は、本実施形態における主たる処理の流れを説明するためのフローチャートである。第1実施形態と比べると、第1実施形態のステップS12に代えてステップS13として仮コマンド生成タスクBを実行する点と、第1実施形態のステップS20に代えてステップS21として画像サブ基板シミュレーションタスクBを実行する点、そして、第1実施形態におけるステップS28〜S40までが省略されている点において異なる。
【0103】
図18は本実施形態における仮コマンド生成タスクBの処理の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態では役抽選処理を自動実行して当選役を仮決定した後(ステップS60)、この仮当選役に基づいて表示され得るシーン種類が複数有るか否かを判定する(ステップS61)。例えば、当選役が「ハズレ」であっていかなるリール停止操作があっても当たりに成り得ない場合では否定判定され、当選役が「小役」でリール停止操作如何によっては小役が当たる場合と外れる場合とが有り、しかもそれぞれ異なるシーン種類が設定されている場合には肯定判定される。
【0104】
そして、肯定判定の場合(ステップS61のYES)この仮当選役を選択条件に含んでいてリールの出目によって選択され得る可能性の有る全シーン種類を選択する(ステップS67)。例えば仮当選役がリールの出目によって当たった場合と外れた場合とで異なるシーン内容が設定されている構成では、両方のシーン種類を選択対象とすることができる。また、現在確率変動によってリールの出目が特定の出目に揃いやすい状態に有るならば、更に当該特定の出目が揃った場合のシーン種類を含めることもできる。
【0105】
シーン種類を選択したならば、次に処理部200は現在のゲーム回数nと対応づけて仮当選役・選択した複数のシーン種類をバッファリスト520に登録して(ステップS69)、バッファ開始コマンドフラグ560に「1」を格納して(ステップS70)、仮コマンド生成タスクを抜ける。
【0106】
図19は本実施形態における画像サブ基板シミュレーションタスクBの処理の流れを説明するためのフローチャートである。本実施形態では、現在実行中のシーン再生を中止した後(ステップS162)、処理部200はゲーム回数n−1の当選役と今回のリール出目とに基づいてシーン種類を選択し(ステップS163)、バッファリスト520から今回選択したシーン種類に対応するバッファ先頭アドレス534を参照し、当該シーン種類のバッファ済みのシーンデータをVRAM22にロードする(ステップS164)。つまり、ステップS163で表示され得るシーン種類の中から適切なシーン種類を選択し、選択されたシーン種類についてのみサブメモリ28からVRAM22にロードし再生する構成となっている。
【0107】
よって、本実施形態によれば予めバッファされているシーンデータとゲームプレイ結果との適合性が悪くてバッファのやり直しをする頻度を低くできるので、より確実にシーンデータの読み出しに伴う再生開始の遅延を抑制できる。
尚、本実施形態では、表示され得る全てのシーン種類を選択し、そのシーンデータを事前にバッファしておく構成としたがこれに限らず、表示され得る全てのシーン種類の中から選択される確率の高い方から所定数選択するとしても良いのは勿論である。その場合、主たるフローチャートにおいてステップS24〜S40は省略しない構成とするのが良い。
【0108】
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明の形態がこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜構成要素の追加・省略・変更を行うことができる。
【0109】
例えば、上記実施形態では家庭用ゲーム装置を用いてスロットシミュレータゲームを実行する例を上げたが、例えば図20に示すような携帯ゲーム装置においても同様に適用することができる。
【0110】
携帯ゲーム装置1400は、プレーヤがゲーム操作を入力するための方向入力キー1402およびボタンスイッチ1404と、第1液晶ディスプレイ1406と、第2液晶ディスプレイ1408と、スピーカ1410と、無線通信モジュール1412と、制御ユニット1460とを、ヒンジ1414で開閉自在なフリップフロップ型の装置本体1401と一体に備えている。更に、第1液晶ディスプレイ1406及び第2液晶ディスプレイ1408の表面には、スタイラスペン1416などで触れることによって表示範囲内の任意位置を入力することのできるタッチパネル1407、1409が装着されている。
【0111】
また、装置本体1401には、コンピュータ読み出し可能な情報記憶媒体である光ディスクを内蔵した光ディスクカートリッジ1440(光ディスク1202に相当)の読取装置1418(光学ディスクプレーヤ1206に相当)が備えられている。光ディスクカートリッジ1440には、携帯ゲーム装置1400の制御ユニット1460が各種演算処理を実行するために必要なプログラムや各種設定データ、並びに提示するコンテンツに係るデータが記憶されている。その他、図示しない内臓バッテリーや電源ボタン、音量調節ボタン等が設けられている。
【0112】
制御ユニット1460は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)及びDSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ICメモリ、液晶ディスプレイのドライバ回路、音出力用のアンプ回路などを備える。そして、読取装置1418でメモリカード1440に格納されているプログラムやデータを読み出し種々の演算処理を実行する。そして、方向入力キー1402やボタンスイッチ1404、タッチパネル1407及び1409からの操作入力に応じて装置各部を制御する。
【0113】
また、携帯ゲーム装置1400は、マイクロフォン1420と、3軸加速度センサ1422とを備える。
マイクロフォン1420は、プレイ中のユーザーの立てる音や声を集音し、集音した音の信号を制御ユニット1460へ出力する。同図のように一体型のマイクロフォンに限らず、外部マイクロフォンを接続可能な接続端子を備える構成としても良い。
3軸加速度センサ1422は、携帯ゲーム装置1400の姿勢変化や位置変化を検出するために垂直交差するX軸・Y軸・Z軸の各軸方向の加速度を検出し、検出信号を制御ユニット1460へ出力する。尚、加速度センサの代わり、又は更なる機能追加としてジャイロセンサを備える構成としても良い。
【0114】
尚、本実施形態では、携帯ゲーム装置1400は必要なプログラムや各種設定データ、並びにコンテンツに係るデータをメモリカード1440から読み出す構成であるが、無線通信モジュール1412を介して、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)と言った通信回線1に接続して外部の装置からデータ通信によって取得する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】家庭用ゲーム装置の構成例を示すシステム構成図。
【図2】ハードウェア構成例を示す図。
【図3】ゲーム画面例を示す図。
【図4】演出表示部に表示される演出表示の例を示す図。
【図5】シーンデータ先読みの概念を説明するための図であって、ゲーム開始前と第1回目のゲームプレイとの間におけるシーンデータのバッファリングのタイミングについての概念を説明する図。
【図6】隣接するゲームプレイ間に於けるシーンデータのバッファリングのタイミングについての概念を説明する図であって、第1回目のゲームプレイと第2回目のゲームプレイとの例を示す図。
【図7】第1本実施形態における家庭用ゲーム装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図。
【図8】バッファリストの構成例を示すデータ構成図。
【図9】リールステータスデータの構成例を示すデータ構成図。
【図10】第2実施形態における主たる処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図11】第2実施形態における主たる処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図12】仮コマンド生成タスクの流れを説明するためのフローチャート。
【図13】シーンバッファタスクの流れを説明するためのフローチャート。
【図14】メイン基板シミュレーションタスクの流れを説明するためのフローチャート。
【図15】第1実施形態における画像サブ基板シミュレーションタスクの流れを説明するためのフローチャート。
【図16】第2実施形態における主たる処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図17】第2実施形態における主たる処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図18】第2実施形態における仮コマンド生成タスクBの処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図19】第2実施形態における画像サブ基板シミュレーションタスクBの処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図20】携帯ゲーム装置の構成例を示す外観図。
【符号の説明】
【0116】
10 CPU
14 GPU
18 I/Oチップセット
22 VRAM
28 サブメモリ
200 処理部
210 ゲーム演算部
212 メイン基板シミュレーション部
214 リール制御基板シミュレーション部
216 画像サブ基板シミュレーション部
260 画像生成部
264 画像サブ基板シミュレーション部
500 記憶部
510 シーン設定データ
511 シーンデータライブラリ
520 バッファリスト
560 バッファ開始コマンド
562 シーン再生コマンドフラグ
568 シーンデータ(バッファ分)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、ゲーム進行に応じて画面表示が可変される表示画面を有する回胴式遊技機を表示制御して、前記回胴式遊技機を仮想的に遊技するシミュレーションゲームを実行させるためのプログラムであって、
第n回目(nは1以上の整数)のゲームの操作入力に基づいて第n+1回目の抽選処理を実行する抽選処理手段、
前記抽選処理結果に基づいて第n+1回目のゲームプレイの際に前記表示画面に仮想表示するシーン種類を仮選択するシーン種類選択手段、
各種のシーンデータを記録した記録媒体からデータを読み取る記録媒体読取装置に、前記シーン種類選択手段によって選択されたシーン種類のシーンデータを読み取らせてバッファするバッファ手段、
第n+1回目のゲームの操作入力がなされた際に、前記バッファ手段にバッファされているシーンデータに基づくシーンを前記表示画面に仮想表示するシーン再生表示制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項2】
第n+1回目のゲームの操作入力の結果の出目と、前記抽選処理手段による第n+1回目の抽選処理の結果とに基づいて仮想的な特典付与処理を実行する特典付与制御手段として前記コンピュータを機能させるための請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記シーン再生表示制御手段が、第n+1回目のゲームの操作入力がなされた際に、前記シーン種類選択手段により仮選択されていたシーン種類が適合するか否かを判定する適合判定手段を有し、前記適合判定手段により適合と判定された場合に前記バッファ手段にバッファされているシーンデータに基づくシーンを前記表示画面に仮想表示し、不適合と判定された場合に当該第n+1回目のゲームプレイにおいて前記仮想表示画面に仮想表示するシーン種類を選択して対応するシーンデータを前記記録媒体読取装置に読み取らせて、当該シーンデータに基づくシーンを前記表示画面に仮想表示する、
ように前記コンピュータを機能させるための請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
第n+1回目のシーン種類が第n+1回目のゲームの操作入力に応じて複数種類有り得るか否かを、前記抽選処理手段による第n+1回目の抽選処理結果に基づいて判定する複数シーン可能性判定手段として前記コンピュータを更に機能させるとともに、
前記シーン種類選択手段が、前記複数シーン可能性判定手段により有り得ると判定された場合に、当該有り得ると判定された複数種類のシーン種類を仮選択し、
前記バッファ手段が、前記シーン種類選択手段により選択された全てのシーン種類のシーンデータを前記記録媒体読取装置に読み取らせてバッファし、
前記シーン再生表示制御手段が、第n+1回目のゲームプレイにおいて前記仮想表示画面に仮想表示するシーン種類を、前記抽選処理手段による第n+1回目の抽選処理結果と第n+1回目のゲームの操作入力とに基づいて選択し、前記バッファ手段にバッファされている該選択したシーン種類のシーンデータに基づくシーンを前記表示画面に仮想表示する、
ように前記コンピュータを機能させるための請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記シーン再生表示制御手段が、第n+1回目のゲームの操作入力に応じて、前記表示画面に仮想表示するシーンの内容の一部を変更して仮想表示する一部表示変更手段を有するように前記コンピュータを機能させるための請求項1〜4の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記シーン種類選択手段が、第1回目のゲームに先立って、プレーヤによる操作入力無しに自動的にランダムな抽選処理を実行して第1回目のゲームプレイの際に前記表示画面に仮想表示するシーン種類を選択するように前記コンピュータを機能させるための請求項1〜5の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載のプログラムを記憶するコンピュータ読取可能な情報記憶媒体。
【請求項8】
ゲーム進行に応じて画面表示が可変される表示画面を有する回胴式遊技機を表示制御して、前記回胴式遊技機を仮想的に遊技するシミュレーションゲームを実行させるためのゲーム装置であって、
第n回目(nは1以上の整数)のゲームの操作入力に基づいて第n+1回目の抽選処理を実行する抽選処理手段と、
前記抽選処理結果に基づいて第n+1回目のゲームプレイの際に前記表示画面に仮想表示するシーン種類を仮選択するシーン種類選択手段と、
各種のシーンデータを記録した記録媒体からデータを読み取る記録媒体読取手段と、
前記記録媒体読取手段に、前記シーン種類選択手段によって選択されたシーン種類のシーンデータを読み取らせてバッファするバッファ手段、
第n+1回目のゲームの操作入力がなされた際に、前記バッファ手段にバッファされているシーンデータに基づくシーンを前記表示画面に仮想表示するシーン再生表示制御手段と、
を備えたゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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