説明

プログラム、情報記憶媒体及び電子機器

【課題】文字入力のインターフェースとして筆記したかのような感覚を与え得る新たな入力方法の実現。
【解決手段】メモ帳30が表示された操作画面において、先ずはスタイラスペン1040で筆記開始位置(書き出し位置)を示す点のマーク(行頭記号)34の周辺位置をタッチし、その後、当該行に沿って右方向へのスライド操作を行う。すると、スライド操作によるタッチ位置の軌跡に沿って、メモテキスト32の各文字が、マーク34に続けて先頭から順に出現するように表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面上をタッチ操作可能なタッチパネルを備えたコンピュータに、所与の文字列を表示制御させてゲームを進行させるためのプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
文字を入力するインターフェースとしては、キーボードの他に、ペンタブレットやタッチパネルを用いて手書きで文字を入力する方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−48655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、手書き文字の認識処理には一定の演算時間を要し、誤認識も生じ得る。ましてや手書きによる文字入力は、プレーヤにとって手間である。そのため、ゲームにおいて手書きによる文字入力をプレーヤに要求するのは、プレーヤが正確な文字を入力できるかどうかをゲーム要素の1つとしている場合が一般的である。例えば、プレーヤが英単語のスペルを正確に覚えているかどうかを確認するために、プレーヤに手書きでの文字入力をさせる英単語の学習ゲーム等が典型例である。
【0005】
しかし、プレーヤが自身の手で筆記により入力する手書き入力は、プレーヤの手間や文字認識処理の演算負荷等が無ければゲームにおいて有用な入力手段になり得る。本発明は上述した事情の下、筆記したかのような感覚を与え得る新たな入力方法を実現することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の発明は、
表示画面上をタッチ操作可能なタッチパネル(例えば、図1のタッチパネル1012,1014)を備えたコンピュータ(例えば、図1の携帯型ゲーム装置1000)に、所与の文字列を表示制御させてゲームを進行させるためのプログラム(例えば、図23のゲームプログラム612)であって、
前記表示画面内に文字列出現範囲(例えば、図14の文字列出現範囲42)を設定する窓設定手段(例えば、図23のメモテキスト表示制御部211)、
タッチ位置が所定の文字列出現方向に変化した場合に、その変化に応じて前記文字列出現範囲を前記文字列表示方向に拡大させる窓拡大手段(例えば、図23のメモテキスト表示制御部211)、
前記窓拡大手段による前記文字列出現範囲の拡大に応じて、当該拡大された部分に新たな文字を出現表示させる文字出現表示制御手段(例えば、図23のメモテキスト表示制御部211)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0007】
また、他の発明として、
表示画面上をタッチ操作可能なタッチパネルを備え、所与の文字列を表示制御してゲームを進行させる所定のゲームを実行可能な電子機器であって、
前記表示画面内に文字列出現範囲を設定する窓設定手段と、
タッチ位置が所定の文字列出現方向に変化した場合に、その変化に応じて前記文字列出現範囲を前記文字列表示方向に拡大させる窓拡大手段と、
前記窓拡大手段による前記文字列出現範囲の拡大に応じて、当該拡大された部分に新たな文字を出現表示させる文字出現表示制御手段と、
を備えた電子機器を構成しても良い。
【0008】
この第1の発明等によれば、タッチパネルに対するタッチ位置が所定の文字列出現方向に変化した場合に、その文字列出現方向に文字列出現範囲が拡大されて、拡大された部分に新たな文字が出現表示される。従って、例えば、文字列出現方向に沿った方向にスライド操作をし続けると、その文字列出現方向に沿って新たな文字が出現していくこととなる。このため、ただ単に文字列を表示する場合とは異なり、プレーヤに対して、筆記入力によって文字列が浮かび上がって表示されたかのような、筆記の操作感覚を与えることができるようになる。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明のプログラムであって、
前記窓設定手段により設定された前記文字列出現範囲内へタッチ操作が為されたか否かを判定する窓範囲内タッチ判定手段(例えば、図23のメモテキスト表示制御部211)、
前記窓範囲内タッチ判定手段により為されていないと判定された場合に、前記窓拡大手段による前記文字列出現範囲の拡大を抑止する拡大抑止手段(例えば、図23のメモテキスト表示制御部211)、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0010】
この第2の発明によれば、文字列出現範囲内へのタッチ操作が為されなければ文字列出現範囲の拡大が抑止される。つまり、文字列出現範囲内へのタッチ操作が為されなければ、文字の出現表示がなされないこととなる。一方、文字列出現範囲内にタッチ操作をすれば、文字列出現範囲の拡大が抑止されることはない。このため、例えば、文字列出現範囲内でタッチ操作を開始して文字列出現方向にスライド操作し続けるのであれば、そのスライド操作の方向に文字列出現範囲が拡大していくため、タッチ位置が文字列出現範囲外となることもない。よって、タッチ操作の位置と、文字の出現表示の位置との整合性を図ることができる。
【0011】
しかしながら、文字列出現範囲がタッチパネルのどこであるかが分からなければ、プレーヤは文字列出現範囲内にタッチ操作することができない。そこで、第3の発明のように、第1又は第2の発明のプログラムであって、
前記窓設定手段により設定された前記文字列出現範囲内へのタッチ操作を促すために、前記文字出現表示制御手段による文字の出現開始位置を示す文字、図形又は記号でなる出現開始位置マーク(例えば、図5の書き出し位置マーク34)を表示する出現開始位置マーク表示制御手段(例えば、図23のメモテキスト表示制御部211)として前記コンピュータを機能させるためのプログラムを構成しても良い。
【0012】
この第3の発明により、表示される出現開始位置マークによって、プレーヤに、文字列を出現表示させるためにタッチすべき位置を容易に判らせることができる。
【0013】
また、第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明のプログラムであって、
前記窓拡大手段が、
前記表示画面に対する右方向を前記文字列出現方向として前記文字列出現範囲を拡大するとともに、
前記表示画面に対するタッチ位置の左右方向の座標値の変化が、前記文字列出現範囲の左右方向の座標値範囲内から右方の範囲外への変化であった場合に、前記文字列出現範囲を右方向に拡大する、
ように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0014】
この第4の発明によれば、横書きで筆記しているかのような操作感覚をプレーヤに与えることが可能となる。
【0015】
また、第5の発明は、第1〜第3の何れかの発明のプログラムであって、
前記窓拡大手段が、
前記表示画面に対する下方向を前記文字列出現方向として前記文字列出現範囲を拡大するとともに、
前記表示画面に対するタッチ位置の上下方向の座標値の変化が、前記文字列出現範囲の上下方向の座標値範囲内から下方の範囲外への変化であった場合に、前記文字列出現範囲を下方向に拡大する、
ように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0016】
この第5の発明によれば、縦書きで筆記しているかのような操作感覚をプレーヤに与えることが可能となる。
【0017】
また、第6の発明は、第1〜第5の何れかの発明のプログラムであって、
前記文字出現表示制御手段が、前記窓拡大手段により拡大された前記文字列表示方向への拡大サイズが1文字分のサイズに達するごとに、当該拡大された部分に新たな文字を1文字ずつ出現表示させるように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0018】
この第6の発明によれば、文字列出現範囲の文字列表示方向への拡大サイズが1文字分のサイズに達するごとに、拡大された部分に新たな文字が1文字ずつ出現表示される。
このため、1文字ずつ筆記しているかのような操作感を与えることができる。
【0019】
また、第7の発明は、第1〜第5の何れかの発明のプログラムであって、
前記文字列出現方向へのタッチ位置の変化速度を判定するタッチ速度判定手段として前記コンピュータを機能させ、
前記文字出現表示制御手段が、前記タッチ速度判定手段により判定された速度に基づき文字フォントを切り替えて文字を出現表示させるフォント切替手段を有するように前記コンピュータを機能させる、
ためのプログラムである。
【0020】
この第7の発明によれば、文字列出現方向へのタッチ位置の変化速度に基づいて文字フォントが切り替えて文字が出現表示される。これにより、例えば、奇麗な文字フォントと字体が崩れた(乱れた)文字フォントとの複数種類の文字フォントを用意し、タッチ位置の変化速度、すなわちスライド操作の操作速度が所定速度より速い場合には、綺麗な文字フォントから字体が崩れた文字フォントに切り替えることで、筆記をしているかのような操作感覚を向上させることができる。
【0021】
また、第8の発明は、第1〜第7の何れかの発明のプログラムであって、
前記文字出現表示制御手段により新たな文字が出現表示される際に、所定の筆記音を出力制御する筆記音出力制御手段(例えば、図23の筆記音出力制御部212)として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0022】
この第8の発明によれば、新たな文字が出現表示される際に筆記音が出力制御されるため、聴覚的にも筆記しているかのような雰囲気を味わうことができる。
【0023】
また、第9の発明は、第8の発明のプログラムであって、
前記筆記音出力制御手段が、新たなタッチイン操作が為される毎に、前記筆記音を変更する筆記音変更手段を有するように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0024】
この第9の発明によれば、新たなタッチイン操作が為される毎に筆記音が変わるため、鉛筆やペンを持ち直すことによる紙面への芯先/ペン先の当たりが変化したかのような雰囲気を作ることができる。
【0025】
第10の発明は、第1〜第9の何れかの発明のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体(例えば、図23の記憶部600)である。ここでいう「情報記憶媒体」とは、例えば磁気ディスクや光学ディスク、ICメモリなどを含む。この第10の発明によれば、第1〜第9の何れか一つの発明のプログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることによって、コンピュータに第1〜第9の何れか一つの発明と同様の効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】携帯型ゲーム装置の外観例。
【図2】仮想裁判ゲームにおける主たるシナリオの流れの説明図。
【図3】事件概要シークエンスにおける表示画面例。
【図4】尋問シークエンスにおける表示画面例。
【図5】筆記操作の手順の説明図。
【図6】筆記操作の手順の説明図。
【図7】筆記操作の手順の説明図。
【図8】筆記操作の手順の説明図。
【図9】筆記操作の手順の説明図。
【図10】筆記操作の手順の説明図。
【図11】筆記操作の手順の説明図。
【図12】メモテキストの表示制御原理の説明図。
【図13】メモテキストの表示制御原理の説明図。
【図14】メモテキストの表示制御原理の説明図。
【図15】メモテキストの表示制御原理の説明図。
【図16】メモテキストの表示制御原理の説明図。
【図17】メモテキストの表示制御原理の説明図。
【図18】メモテキストの表示制御原理の説明図。
【図19】メモテキストの表示制御原理の説明図。
【図20】メモテキストの表示制御原理の説明図。
【図21】メモテキストの表示制御原理の説明図。
【図22】メモテキストの表示制御原理の説明図。
【図23】携帯型ゲーム装置の機能構成図。
【図24】質問選択肢データのデータ構成例。
【図25】文字列画像データ群のデータ構成例。
【図26】表示領域設定データのデータ構成例。
【図27】出現範囲設定データのデータ構成例。
【図28】尋問シークエンス処理のフローチャート。
【図29】メモテキスト表示制御処理のフローチャート。
【図30】筆記音出力処理のフローチャート。
【図31】筆記方向が縦書きの場合の説明図。
【図32】メモテキストの他の表示方法の説明図。
【図33】メモテキストの他の表示方法の説明図。
【図34】メモテキストの他の表示方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明を適用した実施形態として、タッチパネルを備えた携帯型ゲーム装置において、プレーヤは裁判員となり、NPCでなる証人等に対する尋問が行われてゲームが進行する仮想裁判ゲームを実行する例を説明する。但し、本発明を適用可能な実施形態がこれに限定されるものではない。
【0028】
[装置外観]
図1は、本実施形態における携帯型ゲーム装置1000の外観図である。図1によれば、携帯型ゲーム装置1000は、プレーヤがゲーム操作を入力するための方向入力キー1004及びボタンスイッチ1006と、第1液晶ディスプレイ1008と、第2液晶ディスプレイ1010と、スピーカ1016と、制御ユニット1020とを、ヒンジで開閉自在な折り畳み型の装置本体1002に備えている。そして、第1液晶ディスプレイ1008及び第2液晶ディスプレイ1010の表示面上には、スタイラスペン1040などで触れることによって表示画面の任意位置を接触入力することのできるタッチパネル1012,1014がそれぞれ装着されている。
【0029】
また、装置本体1002には、コンピュータ読み出し可能な情報記憶媒体であるメモリカード1030にデータを読み書きできるメモリカード読取装置1026が備えられている。メモリカード1030には、携帯型ゲーム装置1000の制御ユニット1020がゲームプレイにかかる各種演算処理を実行するために必要なプログラムや各種設定データが記憶されている。またその他、装置本体1002には図示されていない内蔵バッテリーや電源ボタン、音量調節ボタン等が設けられている。
【0030】
タッチパネル1012,1014は、表示画面を遮蔽することなくそれぞれ第1液晶ディスプレイ1008及び第2液晶ディスプレイ1010の表示画面のほぼ全域を被い、プレーヤがスタイラスペン1040(或いは指など)で触れる接触操作を行うと、左上を原点とする直交Xw,Yw軸座標系における接触位置座標を制御ユニット1020へ出力することができる。
【0031】
制御ユニット1020は、ゲーム装置の制御基板に相当し、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、VRAMやRAM,ROM等の各種ICメモリを搭載する。また、制御ユニット1020は、無線通信モジュール1022や、3軸加速度センサ1024、第1液晶ディスプレイ1008及び第2液晶ディスプレイ1010のドライバ回路、タッチパネル1012,1014のドライバ回路、方向入力キー1004及びボタンスイッチ1006からの信号を受信する回路、スピーカ1016へ音声信号を出力するためのアンプ回路、メモリカード読取装置1026への信号入出力回路といった所謂I/F回路(インターフェース回路)を搭載する。これら制御ユニット1020に搭載されている各要素は、それぞれバス回路を介して電気的に接続され、データの読み書きや信号の送受信が可能に接続されている。
【0032】
3軸加速度センサ1024は、携帯型ゲーム装置1000の姿勢変化や位置変化を検出するために直交するX,Y軸,Z軸の3軸方向の加速度を検出し、検出信号を制御ユニット1020へ出力する。尚、加速度センサの代わり、又は更なる機能追加としてジャイロセンサを備える構成としても良い。或いは地磁気を基準として位置や姿勢変化を検出する磁気センサを更に機能追加してもよい。
【0033】
そして、制御ユニット1020は、メモリカード読取装置1026によってメモリカード1030に格納されているプログラムやデータを読み出して、搭載するICメモリにこれらを一時記憶する。そして、読み出したプログラムを実行して演算処理を実行し、方向入力キー1004やボタンスイッチ1006、タッチパネル1012,1014からの操作入力に応じて携帯型ゲーム装置1000の各部を制御して、仮想裁判ゲームを実行する。
【0034】
なお、本実施形態では、携帯型ゲーム装置1000は必要なプログラムや各種設定データをメモリカード1030から読み出す構成としているが、無線通信モジュール1022を介して、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などの有線/無線の通信回線Nに接続して外部の装置からダウンロードする構成としても良い。
【0035】
[ゲーム概要]
図2は、本実施形態における仮想裁判ゲームの主たるシナリオの流れを示す概念図である。仮想裁判ゲームは、プレーヤが裁判員の一人としてある殺人事件の裁判に参加するものであり、事件発生から裁判終了までを模した流れを有する。ゲーム進行をシークエンスで分けると(1)事件概要説明、(2)裁判の開廷、(3)事実確認、(4)尋問、(5)補充尋問、(6)論告求刑、(7)最終陳述、(8)裁判員による評決、(9)判決の言い渡し、(10)エンディング、の順にシークエンスが構成されている。勿論、模擬する裁判が異なればシークエンスの内容や順番、繰り返しなどは適宜設定可能である。例えば、尋問及び補充尋問のシークエンスは、登場する証人等の数などによって複数回繰り返される構成もあり得る。本実施形態では、尋問及び補充尋問のシークエンスは各1回として説明する。
【0036】
図3は、本実施形態における表示画面例と基本的な操作入力例を示す図であり、事件概要説明シークエンスにおける画面例である。携帯型ゲーム装置1000の第1液晶ディスプレイ1008には、ゲーム画面W2が表示される。ゲーム画面W2には、ゲームの進行を説明する各種画像や、状況説明や登場人物の台詞等のテキストが表示される。図3の例では、テレビのニュース番組の画像が表示され、アナウンサの台詞のテキストが表示され、本ゲームにおける裁判の対象となる事件の概要が語られようとしている。
【0037】
第2液晶ディスプレイ1010には、操作画面W4が表示される。操作画面W4には、各種情報表示欄や単数又は複数のボタン表示2がその時々のゲーム進行状況に応じて表示され、プレーヤは所望するボタン表示2をスタイラスペン1040でタッチすることで選択入力してゲームを進める。図3の例では、事件の概要説明において、話しを先に進めるゲーム進行操作入力のための「次へ」のボタン表示2が表示されている。このボタン表示2をタッチすると、所定のシナリオデータに従って次のゲーム画面へ進みゲームは進行する。つまり、プレーヤは、ゲーム画面W2を見つつ、操作画面W4に表示された情報表示やボタン表示2を選択操作することで、裁判をモチーフとした仮想裁判ゲームを楽しむことができる。
【0038】
尋問シークエンスにおいては、プレーヤは、検察官や弁護人といった尋問者が証人等へ尋問し、証人等がそれに証言・応答するシーンをゲーム画面で見つつ、次の補充尋問シークエンスにおいて証人等に質問できる質問選択肢を獲得する。この尋問シークエンスでプレーヤが獲得できる質問選択肢は、必須情報を証人等から聞き出すことのできる必須質問と、必須情報ではなくストーリ展開の飾りとしてのダミー情報を証人等から聞き出すことのできるダミー質問とが適当に混在された質問選択肢の組として形成される。そして、尋問シークエンスでの各シーンで、適宜、その質問選択肢の組がプレーヤに提示される。
【0039】
図4は、尋問シークエンスで表示される表示画面例を示す図である。図4に示すように、第1液晶ディスプレイ1008に表示されるゲーム画面W6では、証人20と尋問者22のキャラクタが表示され、吹き出し24でそれらキャラクタの台詞がテキスト表示される。
【0040】
一方、第2液晶ディスプレイ1010に表示される操作画面W8では、プレーヤが質問選択肢を獲得できるシーンの場合、当該シーンにおいてプレーヤが獲得できる質問選択肢28を表示した質問選択肢表示欄26が表示される。そして、プレーヤが、質問選択肢表示欄26に表示されている何れかの質問選択肢28を、タッチして選択すると、操作画面W10に示すように、メモ帳30に選択した質問選択肢28のメモテキスト32が出現するように表示されるとともに、質問選択肢28の「選択決定」の操作が割り当てられたボタン表示2が表示される。
【0041】
このとき、メモテキスト32は、質問選択肢28の選択によって直ぐに表示されるのではなく、プレーヤが、擬似的に文字を筆記したかのような所定の筆記操作を行うことで表示され、あたかも、プレーヤが尋問の様子を見て自分で質問の内容を書き取ったかのような演出がなされる。
【0042】
筆記操作は、具体的には次のように行う。図5は、これから筆記操作を行おうとするときの操作画面を示す図である。図5に示すように、操作画面W12に表示されるメモ帳30は横書きであり、筆記方向をガイドする罫線が表示されている。そして、メモ帳30の先頭行の行頭には、筆記開始位置(書き出し位置)を示す点のマーク(行頭記号)34が表示されている。プレーヤは、先ず、スタイラスペン1040でこのマーク34の周辺位置をタッチし、その後、図6に示すように、当該行に沿って右方向へのスライド操作を行う。ここで、「スライド操作」とは、表示画面上をタッチしたまま移動させる操作である。また、表示画面へのタッチを開始する操作を「タッチイン」といい、離す操作を「タッチアウト」という。すると、スライド操作によるタッチ位置の軌跡に沿って、メモテキスト32の各文字が、マーク34に続けて先頭から順に出現するように表示される。
【0043】
また、図7に示すように、メモテキスト32の表示途中でタッチアウトすると、メモテキスト32は、そのタッチアウトした位置で表示が中断された状態となる。メモテキスト32の表示を続けるには、図8に示すように、途中まで表示されているメモテキスト32の上をタッチし、図9に示すように、再度、右方向へのスライド操作を行えば良い。メモテキスト32は、最後がクエスチョンマーク「?」で終わるようになっているので、このクエスチョンマークの出現によって、メモテキスト32が最後まで表示されたことを把握できる。そして、メモテキスト32が最後まで表示されると、「選択決定」のボタン表示2が表示される。
【0044】
なお、図10に示すように、質問選択肢28の内容が長い文章となる場合には、複数行に亘るメモテキスト32が表示される。
【0045】
また、シーンの進行に伴って複数の質問選択肢が順次獲得されるが、新たに獲得された質問選択肢のメモテキスト32bは、図11に示すように、既に表示されているメモテキスト32aの次の行に追加するように表示される。すなわち、メモ帳30には、獲得された複数の質問選択肢28それぞれのメモテキスト32a,32bが、箇条書き形式で表示されることになる。
【0046】
[メモテキストの表示原理]
筆記操作によるメモテキストの表示原理を説明する。図12に示すように、表示画面W14において、メモテキスト32を表示させる表示領域40が定められる。この表示領域40は、メモ帳30の行に合わせて定められ、図12では、先頭行に設定されている。そして、この表示領域40に、メモテキスト32の文字列を表す文字列画像50を貼り付けることで、図4に示したように、メモ帳30にメモテキスト32が表示された操作画面W10が表示されることになる。なお、メモテキスト32は先頭行から順に表示されるため、図13に示すように、既にメモテキスト32aが表示されているときは、その次の行に表示領域40が定められる。
【0047】
表示領域40は、幅(Yw軸に沿った方向)Mがメモ帳30の1行分の幅に略一致し、長さ(Xw軸に沿った方向)Lが1行分の長さ以下の矩形領域である。この表示領域40の大きさは、表示しようとする質問選択肢のメモテキスト32の文字列画像50の大きさに一致するように定められる。表示領域40の左上の開始位置PA1の座標を(AX1,AY1)とすると、右下の終了位置PA2の座標は(AX2=AX1+L,AY2=AY1+M)となる。
【0048】
文字列画像50は、メモテキスト32の文字列を表す矩形形状のテクスチャ画像であり、縦の長さがM、横の長さがLである。この文字列画像50の長さLは、対応する文字列の文字数等によって決まる。
【0049】
また、図14に示すように、表示領域40には、文字列を出現させる文字列出現範囲42が定められる。文字列出現範囲42は、その左辺を表示領域40の左辺に一致させた、幅がM、長さがD(≦L)の矩形領域である。文字列出現範囲42の左上の開始位置PB1の座標を(BX1,BY1)とすると、右下の終了位置PB2の座標は(BX2=BX1+D,BY2=BY1+M)となる。そして、文字列出現範囲42の開始位置PB1(BX1,BY1)は、表示領域40の開始位置PA1(AX1,AY1)に一致する(BX1=AX1,BY1=BY1)。また、終了位置PB2については、X座標値BX2は、表示領域40の終了位置PA2のX座標値AX2以下となり、Y座標値BY2は、表示領域40の終了域PA2のY座標値AY2に一致する(BY2=AY2)。
【0050】
そして、文字列画像50の先頭のうち、先頭から文字列出現範囲42の長さDに該当する部分が切り出され、切り出された文字列画像50の部分画像が文字列出現範囲42に貼り付けられることで、図15に示すように、表示領域40内に文字列が出現することになる。
【0051】
また、この文字列出現範囲42の大きさは可変であり、筆記方向である右方向(Xw軸に沿った方向)に延びるように拡大する。具体的には、文字列出現範囲42の開始位置PB1は固定のまま、終了位置PB2が右方向に移動する(詳細には、X座標値BX2が増加する)。このように、文字列出現範囲42の大きさが右方向に拡大していくことで、メモテキスト32の各文字が、筆記方向である右方向へ徐々に出現するように表示される。
【0052】
文字列出現範囲42は、図16に示すように、先ずは、最小値Dminを長さDの初期値として定められる。この長さDminは、文字列画像50の対応する画像部分が、書き出し位置マーク34のみを含む画像となる長さである。つまり、図17に示すように、表示画面では、メモ帳30に書き出し位置マーク34のみが表示された状態となる。
【0053】
次いで、図18に示すように、文字列出現範囲42内がタッチされると、文字列出現範囲42の拡大が有効となる。文字列出現範囲42の拡大操作は、図19に示すように、文字列出現範囲42の右辺に一致するように設定された判定ライン44を、その左側から右方向に超えるスライド操作によってなされる。判定ライン44は、X座標値Xwが所定値XLの直線(Xw=XL)であり、この所定値XLが、文字列出現範囲42の終了位置PB2のX座標値BX2となるように定められる。従って、タッチ位置のX座標値Xtが、文字列出現範囲42の終了位置のX座標値BX2より小さい状態から該座標値BX2を超えることをもって、「判定ライン44を超えた」と判定する。
【0054】
そして、図20に示すように、このスライド操作(拡大操作)に応じて文字列出現範囲42が右方向に拡大される。すなわち、文字列出現範囲42の終了位置PB2のX座標値BX2が、タッチ位置のX座標値Xtに一致するように変更されることで、終了位置PB2が右方向に移動して文字列出現範囲42が右方向に拡大する。更に、文字列出現範囲42の拡大に伴って、文字列出現範囲42の終了位置PB2を通るように判定ライン44も右方向へ移動する。従って、タッチ位置Ptに追従するように、文字列出現範囲42が右方へ拡大し、判定ライン44も右方へ移動してゆくこととなる。
【0055】
但し、文字列出現範囲42は右方向に拡大するのみであり、一旦拡大した後に縮小することはない。つまり、図21に示すように、判定ライン44を超えた後に左方向へ戻るようなスライド操作を行った場合には、このスライド操作によって到達した最大のX座標値Xtが、拡大後の文字列出現範囲42の終了位置PB2のX座標値BX2となる。
【0056】
なお、文字列出現範囲42を拡大させるためのスライド操作は、判定ライン44を左側から右方向に超える操作であれば良く、例えば、図22に示すように、タッチアウトした後、再度、判定ライン44の左側をタッチしてスライド操作を行っても良い。また、スライド操作の操作方向は、タッチ位置のX座標値Xtが増加する方向であれば良く、例えば斜め方向であっても良い。
【0057】
[機能構成]
図23は、携帯型ゲーム装置1000の機能構成図である。図23によれば、携帯型ゲーム装置1000は、機能的には、操作入力部100と、処理部200と、画像表示部300と、音出力部400と、通信部500と、記憶部600とを備えて構成される。
【0058】
操作入力部100は、プレーヤによる操作入力を受け付け、操作に応じた操作信号を処理部200に出力する。この機能は、操作入力部100は、ボタンスイッチやジョイスティック、タッチパッド、トラックボール、加速度センサユニット、傾斜センサユニットなどによって実現される。図1では、方向入力キー1004やボタンスイッチ1006がこれに該当する。
【0059】
また、操作入力部100は、タッチ位置検出部110を含む。タッチ位置検出部110は、表示画面範囲への接触位置(タッチ位置)を検出し、検出した接触位置を、例えば、表示画面の左上を原点Oとする直交Xw,Yw座標系で表現された座標値(Xt,Yt)として出力する。図1では、タッチパネル1012,1014がこれに該当する。
【0060】
処理部200は、例えばCPUやGPU等のマイクロプロセッサや、ASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現され、操作入力部100や記憶部600を含む携帯型ゲーム装置1000の各機能部との間でデータの入出力を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部100からの操作入力信号に基づいて各種の演算処理を実行して、携帯型ゲーム装置1000の動作を制御する。図1では制御ユニット1020がこれに該当する。また、処理部200は、ゲーム演算部210と、音生成部230と、画像生成部220とを含む。
【0061】
ゲーム演算部210は、ゲームの進行に関する各種処理を実行する。例えば、ゲーム処理として、各シークエンス別に用意されたシークエンスデータ群621に従って、各シークエンスを定められた順に進行させるとともに、各シークエンスにおいて所定のシーン順にゲーム画面を表示制御する。また、本実施形態では、処理部200は、メモテキスト表示制御部211と、筆記音出力制御部212とを含む。
【0062】
メモテキスト表示制御部211は、尋問シークエンスにおいて、プレーヤによって選択された質問選択肢28のメモテキスト32をメモ帳30に出現表示させる制御を行う。
【0063】
ここで、尋問シークエンスにおいて提示される質問選択肢については、質問選択肢データ623として記憶されている。図24は、質問選択肢データ623のデータ構成の一例を示す図である。図24によれば、質問選択肢データ623は、尋問シークエンスの尋問シーン毎に、シーンNo.623aに対応付けて、質問選択肢の設定有無623bと、質問選択肢623cと、質問選択肢No.623dとを格納している。
【0064】
具体的には、メモテキスト表示制御部211は、先ず、文字列画像データ群624から、選択された質問選択肢に対応する文字列画像50を取得する。
【0065】
図25は、文字列画像データ群624のデータ構成の一例を示す図である。図25によれば、文字列画像データ群624は、尋問シークエンスにて提示される質問選択肢それぞれについて、質問選択肢No.624aと、文字列画像624bと、その大きさ624cを格納している。質問選択肢には、その文字列の長さ(文字数)に応じたN枚(N=1,2,・・・)の文字列画像624bが対応付けられている。複数(N>2)の文字列画像624bが対応付けられている質問選択肢については、これら文字列画像624bの表示順が定められているとともに、文字列画像624bそれぞれの大きさが定められている。
【0066】
次いで、メモテキスト表示制御部211は、取得したN枚の文字列画像50それぞれについて、定められた表示順に従って表示させる処理を行う。すなわち、表示画面において、表示させる文字列画像50の長さLに合わせた表示領域40を設定し、この表示領域40に、長さDを最小値Dminとした文字列出現範囲42を設定する。このとき、表示領域40は、メモ帳30におけるメモテキスト32を表示する各行のうち、最も上にある空白行に設定する。また、設定した文字列出現範囲42の終了位置PB2のX座標値BX2(=BX1+Dmin)をXLとする直線Xw=XB2を、判定ライン44として設定する。
【0067】
ここで、設定した表示領域40についてのデータは表示領域設定データ625に格納され、文字列出現範囲42についてのデータは出現範囲設定データ626に格納される。
【0068】
図26は、表示領域設定データ625のデータ構成の一例を示す図である。図26によれば、表示領域設定データ625は、表示領域40の開始位置625a及び終了位置625bそれぞれについての位置座標を格納している。
【0069】
図27は、出現範囲設定データ626のデータ構成の一例を示す図である。図27によれば、出現範囲設定データ626は、文字列出現範囲42の開始位置626a及び終了位置626bそれぞれについての位置座標を格納している。
【0070】
そして、文字列出現範囲42へのタッチ操作が検知されると、文字列出現範囲42の拡大操作を有効とする。続いて、判定ライン44を左から右方向へ超えるスライド操作が検知されると、該スライド操作に応じて、文字列出現範囲42を右方向へ拡大させる。すなわち、文字列出現範囲42の終了位置PB2のX座標値BX2とタッチ位置のX座標値Xtとを比較し、タッチ位置のX座標値Xtのほうが終了位置PB2のX座標値BX2よりも大きいならば、終了位置PB2のX座標値BX2をタッチ位置のX座標値Xtに更新する。また、文字列出現範囲42の拡大に合わせて、判定ライン44を右方向へ移動させる。すなわち、拡大後の文字列出現範囲42の終了位置PB2のX座標値BX2をXLとする直線Xw=BX2を、判定ライン44として更新する。このように、スライド操作が検知されている間、そのタッチ位置の変化に応じて文字列出現範囲42を右方向へ拡大させるとともに、拡大に合わせて判定ライン44を右方向へ移動させる
【0071】
その後、タッチアウトを検知すると、文字列出現範囲42の拡大操作を停止し、文字列出現範囲42の拡大を停止させる。また文字列出現範囲42を表示領域40に一致するまで拡大させた場合には、文字列画像50全体が表示されたと判断し、当該表示領域40におけるメモテキスト32の表示を終了したとする。
【0072】
筆記音出力制御部212は、メモテキスト表示制御部211によるメモテキスト32の出現表示制御中、ペンや鉛筆等の筆記具で紙に筆記しているかのような筆記音を演出音として出力制御する。すなわち、表示画面に対するタッチ操作がなされている間は、予め定められた複数種類の筆記音のうちから、例えばランダムに選択した筆記音を出力する。このとき、出力させる筆記音の種類は、直前に出力した筆記音とは異なる種類とする。また、複数種類の筆記音それぞれの音データは、筆記音データ群622として記憶されている。そして、タッチアウトを検知すると、筆記音の出力を停止する。
【0073】
画像生成部220は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのプロセッサ、ビデオ信号IC、ビデオコーデック、フレームバッファ等の描画フレーム用ICメモリ等によって実現される。画像生成部220は、ゲーム演算部210による処理結果に基づいて1フレーム時間(例えば1/60秒)で1枚のゲーム画像を生成し、生成したゲーム画像の画像信号を画像表示部300に出力する。
【0074】
画像表示部300は、画像生成部220から入力される画像信号に基づいて各種ゲーム画像を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイ、ブラウン管(CRT)、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。図1では第1液晶ディスプレイ1008及び第2液晶ディスプレイ1010がこれに該当する。
【0075】
音生成部230は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、音声合成ICなどのプロセッサや、音声ファイル再生可能なオーディオコーデックによって実現され、ゲーム演算部210による処理結果に基づいてゲームに係る効果音やBGM、各種操作音の音信号を生成し、音出力部400に出力する。
【0076】
音出力部400は、音生成部230から入力される音信号に基づいて効果音やBGM等を音出力する装置によって実現される。図1ではスピーカ1016がこれに該当する。
【0077】
通信部500は、通信回線Nと接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、図1の無線通信モジュール1022がこれに該当する。
【0078】
記憶部600は、処理部200に携帯型ゲーム装置1000を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラムや、ゲームを実行させるために必要なゲームプログラム、各種データ等を記憶する。また、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作入力部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。この機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROMやDVDなどの光学ディスクなどによって実現される。図1では制御ユニット1020が搭載するICメモリやメモリカード1030がこれに該当する。
【0079】
本実施形態では、記憶部600は、プログラムとして、システムプログラム611と、ゲームプログラム612とが記憶されるとともに、データとして、シークエンスデータ群621と、筆記音データ群622と、質問選択肢データ623と、文字列画像データ群624と、表示領域設定データ625と、出現範囲設定データ626とが記憶される。システムプログラム611は、携帯型ゲーム装置1000の基本機能を実現するためのプログラムであり、各機能部をアプリケーションソフト側で呼び出して利用可能な各種ファームウェアを含む。
【0080】
[処理の流れ]
図28は、尋問シークエンス処理の流れを説明するフローチャートである。この尋問シークエンスよりは、ゲーム処理において、尋問シークエンスを実現するために実行される処理である。
【0081】
図28に示すように、ゲーム演算部210は、シークエンスデータ群621に含まれる尋問シークエンスデータを参照して、第1液晶ディスプレイ1008に、尋問シークエンスの最初のシーンをゲーム画面として表示させ、第2液晶ディスプレイ1010へ操作画面を表示させる(ステップA1)。
【0082】
また、質問選択肢データ623を参照して、このシーンには質問選択肢が設定されているか否かを判断する。質問選択肢が設定されているならば(ステップA3:YES)、質問選択肢データ623を参照して、該シーンに対応する質問選択肢28を列挙した質問選択肢表示欄26を、操作画面に表示させる(ステップA5)。そして、この質問選択肢表示欄26内の何れかの質問選択肢が選択されたならば(ステップA7:YES)、メモテキスト表示制御部211が、メモテキスト表示処理を行って、選択された質問選択肢28のメモテキスト32を操作画面内のメモ帳30に表示させる(ステップA9)。
【0083】
図29は、メモテキスト表示処理を説明するフローチャートである。図29によれば、先ず、筆記音出力制御部212が筆記音出力処理を開始する(ステップB1)。また、メモテキスト表示制御部211は、文字列画像データ群624から、選択された質問選択肢28に対応する文字列画像50を取得する(ステップB3)。そして、操作画面に、取得した文字列画像50それぞれの表示領域40を設定する(ステップB5)。
【0084】
次いで、先ずは1枚目の文字列画像50を表示対象として次の処理を行う(ステップB7)。すなわち、対象の文字列画像50の表示領域40に、長さDが初期値Dminの文字列出現範囲42を設定する(ステップB9)。そして、この文字列出現範囲42に、対象の文字列画像50の先頭部分であって、文字列出現範囲42の長さD分の部分画像を表示させる(ステップB11)。また、文字列出現範囲42の終了位置PB2のX座標値BX2をXLとする直線Xw=BX2を、判定ライン44として設定する(ステップB13)。
【0085】
次いで、文字列出現範囲42内へのタッチ操作を検知したならば(ステップB15:YES)、文字列出現範囲42の拡大を可能とする。続いて、判定ライン44を超える左から右方向へのスライド操作を検知したならば(ステップB17:YES)、このスライド操作に応じて、文字列出現範囲42を右方向に拡大させる(ステップB19)。すなわち、文字列出現範囲42の終了位置PB2のX座標値BX2を、タッチ位置のX座標値Xtに更新する。そして、更新後の文字列出現範囲42に、対象の文字列画像50の先頭部分であって、文字列出現範囲42の長さD分の部分画像を表示させる(ステップB21)。また、判定ライン44を更新する(ステップB23)。すなわち、文字列出現範囲42の終了位置PB2のX座標値BX2をXLとする直線Xw=BX2を、判定ライン44として更新する。
【0086】
そして、文字列出現範囲42が表示領域40に一致したかを判断する。文字列出現範囲42が表示領域40に一致していないならば(ステップB25:NO)、続いて、タッチアウトを検知したかを判断する。タッチアウトが検知されていないならば(ステップB27:NO)、現在のタッチ位置が文字列出現範囲42の右側に位置するかを判断する。すなわち、タッチ位置のX座標値Xtと文字列出現範囲42の終了位置PB2のX座標値BX2とを比較し、Xt>BX2ならば、タッチ位置が文字列出現範囲42の右側と判断する。そして、タッチ位置が文字列出現範囲42の右側に位置すると判断したならば(ステップB29:YES)、ステップB19に戻り、右側でないと判断したならば(ステップB29:NO)、ステップB27に戻る。
【0087】
一方、文字列出現範囲42が表示領域40に一致したならば(ステップB25:YES)、対象の文字列画像50の表示が終了したと判断し、続いて、全ての文字列画像50について表示が終了したかを判断する。全ての文字列画像50について表示が終了していないならば(ステップB31:NO)、次の文字列画像を新たな表示対象として(ステップB33)、ステップB9に戻り、同様の処理を行う。全ての文字列画像50について表示を終了したならば(ステップB31:YES)、実行中の筆記音出力処理を終了させる(ステップB35)。以上の処理を行うと、メモテキスト表示処理を終了する。
【0088】
図30は、筆記音出力処理の流れを説明するフローチャートである。図30によれば、筆記音出力制御部212は、先ず、タッチインが検知されたかを判断し、タッチインを検知したならば(ステップC1:YES)、筆記音データ群622を参照して、予め用意されている複数種類の筆記音のうちから1種類の筆記音を選択し(ステップC3)、選択した筆記音データに基づく筆記音の出力を開始させる(ステップC5)。このとき、直前に選択された筆記音以外の種類の筆記音を選択する。
【0089】
続いて、タッチアウトが検知されたかを判断し、タッチアウトを検知したならば(ステップC7:YES)、出力中の筆記音の出力を停止させる(ステップC9)。続いて、筆記音の出力終了の指示がなされたかを判断し、なされていないならば(ステップC11:NO)、ステップC1に戻り、同様の処理を繰り返す。終了指示がなされているならば(ステップC11:YES)、筆記音出力処理を終了する。
【0090】
図28に戻り、メモテキスト表示処理が終了すると、続いて、ゲーム演算部210は、尋問シークエンスの全シーンの表示が行われたかを判定する。まだ表示すべきシーンが残っていれば(ステップA11:NO)、次のシーンをゲーム画面として表示させ(ステップA13)、ステップA3に戻り、同様の処理を行う。一方、尋問シークエンスの全シーンを表示したならば(ステップA11:YES)、尋問シークエンス処理を終了する。
【0091】
[作用・効果]
このように、本実施形によれば、タッチパネルである表示画面に対する所定の文字列出現方向(右方向)へのスライド操作によって、その操作方向に沿って文字列が出現表示される。このため、ただ単に文字列を表示する場合とは異なり、プレーヤに対して、筆記入力によって文字列が浮かび上がって表示されたかのような、筆記の操作感覚を与えることができるようになる。
【0092】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0093】
(A)筆記方向
例えば、上述の実施形態では、メモ帳30における筆記方向を横書きとしたが、図31に示すように縦書きとしても良い。図31(a)に示すように、縦書きの場合も、メモ帳30の先頭行の行頭に書き出し位置マーク34が表示される。そして、この書き出し位置マーク34の近傍をタッチした後、図31(b)に示すように、下方向へのスライド操作を行うと、メモテキスト32が縦方向に出現表示される。
【0094】
(B)1文字ずつ出現表示
また、上述の実施形態では、1行分の文字列を1枚の文字列画像50としたが、これを、文字列を構成する各文字それぞれの複数の単位文字画像52でなることにしても良い。
【0095】
具体的には、図32に示すように、文字列画像50を、文字列を構成する文字それぞれについての複数(n個)の単位文字画像52(52−1〜52−n)とする。そして、表示画面においては、表示領域40を文字列画像50の個数nで等分したn個の単位領域41−1〜41−nそれぞれに、表示順に1個の単位文字画像52を割り当てる。また、先頭からn番目の単位領域41−nについて、該単位領域41−nの左上の位置R(n−1)を開始位置とし、右上の位置R(n)を終了位置とする。図32では、14文字からなる文字列の場合を示しており、書き出し位置マーク34を含めた15個の単位文字画像52−1〜52−15が生成される。そして、表示領域40は、15個の単位領域41−1〜41−15に分割される。
【0096】
そして、図33に示すように、各単位領域41について、文字列出現範囲42が拡大することで該単位領域41の全てが文字列出現範囲42に含まれるようになると、該単位領域41に対応付けられている単位文字画像52を表示させる。詳細には、文字列出現範囲42の終了位置PB2のX座標値BX2と、単位領域41−nの終了位置R(n)のX座標値RXnとを比較し、X座標値BX2が座標値RXnより大きくなったならば、該単位領域41−nは完全に文字列出現範囲42に含まれていると判断し、対応する単位文字画像52−nを表示させる。つまり、文字列出現範囲42が1個の単位領域41の長さ分だけ拡大する毎に、1文字ずつ順に出現表示されることになる。
【0097】
(C)文字列を遮蔽
また、上述の実施形態では、文字列出現範囲42の長さDに応じて文字列画像50の先頭部分を切り出し、切り出した部分画像を文字列出現範囲42に表示することにしたが、図34に示すように、文字列画像50に重ねた遮蔽画像60の長さを可変することにしても良い。
【0098】
すなわち、表示領域40には先ずは文字列画像50が表示され、この文字列画像50の上に、更に遮蔽画像60が重ねて表示される。遮蔽画像60は、幅がM、長さが「L−D」の矩形形状であり、その右辺を表示領域40の右辺に一致させて表示される。この長さ「L−D」は、文字列出現範囲42の長さDに応じて変化する。また、遮蔽画像60は、メモ帳30の紙面を表現したテクスチャ画像(背景画像)となっている。これにより、表示画面では、文字列画像50のうち文字列出現範囲42に該当する部分のみが表示されることになる。
【0099】
(D)文字フォントを変更
また、文字列出現範囲42の拡大操作となるスライド操作の操作速度に応じて、メモテキスト32の文字フォントを変更することにしても良い。
【0100】
具体的には、予め、例えば、通常の文字フォントAや、急いで筆記したために乱れたような文字フォントBといった複数種類の文字フォントそれぞれの文字列画像50を用意しておく。そして、表示領域40に文字列出現範囲42の長さDを初期値Dminとして初期設定した後、最初のスライド操作における操作速度を算出し、この操作速度が所定速度未満ならば、例えばフォントAの文字列画像50を該表示領域40に表示させることにし、所定速度以上ならば、フォントBの文字列画像50を該表示領域40に表示させることにするといったように、スライド操作の操作速度に応じて表示領域40に表示させる文字列画像50を選択する。
【0101】
また、図32,図33を参照して説明したように、文字列を構成する各文字の単位文字画像52を順に表示させる場合には、文字列出現範囲42が1個の単位領域41の長さ分だけ拡大する毎に、そのときのスライド操作の操作速度を算出し、算出した操作速度に応じた文字フォントの単位文字画像52を、該単位領域41に表示させることにすれば良い。
【0102】
(E)他の適用例
また、本願発明は、プレーヤキャラクタが筆記するシーンであれば何れのシーンにも適用可能である。例えば、仮想裁判ゲームでは、終盤の、(8)裁判員による評決、のシークエンスにおいて、裁判員及び裁判官それぞれが、有罪/無罪を決定し、有罪と決定した場合には懲役何年といった量刑を決定する個別評決を決定するシーンがあるが、このシーンにおいて、プレーヤキャラクタである裁判員の決定した個別評決を提出用紙に記入するといった動作に適用しても良い。更に、仮想裁判ゲーム以外のゲームであっても、例えば、ホテルにチェックインする際の住所氏名等の記入や、契約書へのサイン(署名)といったシーンにも適用可能である。
【0103】
(F)適用可能な電子機器
また、上述の実施形態では、電子機器を携帯型ゲーム装置としたが、タッチパネルを備えた電子機器であれば良く、例えば、PDAや携帯電話機等にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0104】
1000 携帯型ゲーム装置
100 操作入力部、110 タッチ位置検出部
200 処理部
210 ゲーム演算部
211 メモテキスト表示制御部、212 筆記音出力制御部
220 画像生成部、230 音生成部
300画像表示部、400 音出力部、500 通信部
600 記憶部
611 システムプログラム、612 ゲームプログラム
621 シークエンスデータ群、622 筆記音データ群
623 質問選択肢データ、624 文字列画像データ群、
625 表示領域設定データ、626 出現範囲設定データ
30 メモ帳
32 メモテキスト
34 書き出し位置マーク
40 表示領域
42 文字列出現範囲
50 文字列画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上をタッチ操作可能なタッチパネルを備えたコンピュータに、所与の文字列を表示制御させてゲームを進行させるためのプログラムであって、
前記表示画面内に文字列出現範囲を設定する窓設定手段、
タッチ位置が所定の文字列出現方向に変化した場合に、その変化に応じて前記文字列出現範囲を前記文字列表示方向に拡大させる窓拡大手段、
前記窓拡大手段による前記文字列出現範囲の拡大に応じて、当該拡大された部分に新たな文字を出現表示させる文字出現表示制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記窓設定手段により設定された前記文字列出現範囲内へタッチ操作が為されたか否かを判定する窓範囲内タッチ判定手段、
前記窓範囲内タッチ判定手段により為されていないと判定された場合に、前記窓拡大手段による前記文字列出現範囲の拡大を抑止する拡大抑止手段、
として前記コンピュータを機能させるための請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記窓設定手段により設定された前記文字列出現範囲内へのタッチ操作を促すために、前記文字出現表示制御手段による文字の出現開始位置を示す文字、図形又は記号でなる出現開始位置マークを表示する出現開始位置マーク表示制御手段として前記コンピュータを機能させるための請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記窓拡大手段が、
前記表示画面に対する右方向を前記文字列出現方向として前記文字列出現範囲を拡大するとともに、
前記表示画面に対するタッチ位置の左右方向の座標値の変化が、前記文字列出現範囲の左右方向の座標値範囲内から右方の範囲外への変化であった場合に、前記文字列出現範囲を右方向に拡大する、
ように前記コンピュータを機能させるための請求項1〜3の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記窓拡大手段が、
前記表示画面に対する下方向を前記文字列出現方向として前記文字列出現範囲を拡大するとともに、
前記表示画面に対するタッチ位置の上下方向の座標値の変化が、前記文字列出現範囲の上下方向の座標値範囲内から下方の範囲外への変化であった場合に、前記文字列出現範囲を下方向に拡大する、
ように前記コンピュータを機能させるための請求項1〜3の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記文字出現表示制御手段が、前記窓拡大手段により拡大された前記文字列表示方向への拡大サイズが1文字分のサイズに達するごとに、当該拡大された部分に新たな文字を1文字ずつ出現表示させるように前記コンピュータを機能させるための請求項1〜5の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記文字列出現方向へのタッチ位置の変化速度を判定するタッチ速度判定手段として前記コンピュータを機能させ、
前記文字出現表示制御手段が、前記タッチ速度判定手段により判定された速度に基づき文字フォントを切り替えて文字を出現表示させるフォント切替手段を有するように前記コンピュータを機能させる、
ための請求項1〜6の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記文字出現表示制御手段により新たな文字が出現表示される際に、所定の筆記音を出力制御する筆記音出力制御手段として前記コンピュータを機能させるための請求項1〜7の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記筆記音出力制御手段が、新たなタッチイン操作が為される毎に、前記筆記音を変更する筆記音変更手段を有するように前記コンピュータを機能させるための請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一項に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。
【請求項11】
表示画面上をタッチ操作可能なタッチパネルを備え、所与の文字列を表示制御してゲームを進行させる所定のゲームを実行可能な電子機器であって、
前記表示画面内に文字列出現範囲を設定する窓設定手段と、
タッチ位置が所定の文字列出現方向に変化した場合に、その変化に応じて前記文字列出現範囲を前記文字列表示方向に拡大させる窓拡大手段と、
前記窓拡大手段による前記文字列出現範囲の拡大に応じて、当該拡大された部分に新たな文字を出現表示させる文字出現表示制御手段と、
を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2010−233923(P2010−233923A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87049(P2009−87049)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】