説明

プロジェクター、及びプロジェクターの制御方法

【課題】シャッター開放時にフォーカス、ズーム調整を誤って操作するのを禁止できるプロジェクターを提供する。
【解決手段】シャッター4が全開放位置、投写レンズ開放位置、閉鎖位置のいずれにあるかを検出するシャッター位置検出手段15を備え、シャッター4は投写レンズ開放位置、および閉鎖位置にある場合に、フォーカス調整部5、ズーム調整部6を閉塞し、調整操作を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、及びプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターの投写中において、画像のフォーカス調整、及びズーム調整を行う際、投写レンズに備えられたフォーカス調整リング、及びズーム調整リングを操作する方式が用いられている。
また、プロジェクターを使ったプレゼンテーションにおいて、一時的に画像の投写を中止したい場合、特許文献1のようにスライド式のレンズシャッターを閉じることで画像の投写を中止できるプロジェクターが知られている。このレンズシャッターによって投写レンズを閉塞することで、フォーカス調整部、及びズーム調整部も同時に閉塞することができるので、誤って、フォーカス調整部、及びズーム調整部が操作されることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−240551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、レンズシャッターを開放して投写レンズを露出しているときは、フォーカス調整部、およびズーム調整部も露出しているので、投写中に、操作されてしまう虞があった。フォーカス調整、およびズーム調整は、手間がかかるので、誤って操作部に触れたり、第三者に操作されたりした場合、正しい位置に調整し直すのは手間がかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、光源から射出された光を画像情報に応じて変調し、投写レンズを介して被投写面に投写光を投写し画像を形成する画像投写手段を有するプロジェクターであって、前記画像のフォーカス調整を行うフォーカス調整部と、前記画像のズームサイズ調整を行うズーム調整部と、少なくとも前記投写レンズと対向して当該プロジェクターの筐体に設けられた開口部を閉塞するとともに、前記投写光を遮断するシャッターと、前記シャッターが全開放位置、投写レンズ開放位置、および閉鎖位置のいずれの位置にあるかを検出するシャッター位置検出手段と、当該プロジェクターの動作を制御する制御手段と、を備え、前記シャッターは、前記投写レンズ開放位置、および前記閉鎖位置において、前記フォーカス調整部、および前記ズーム調整部の操作を禁止するように閉塞し、前記制御手段は、前記シャッター位置検出手段によって前記シャッターが前記投写レンズ開放位置にあることを検出した場合に、前記画像投写手段によって第1の画像を投写することを特徴とする。
【0007】
本適用例によれば、シャッターを全開放位置にして、画像のフォーカス調整、及びズーム調整を行った後、シャッターを投写レンズ開放位置に移動させることにより、投写レンズの開口部を開放したままで、フォーカス調整部、及びズーム調整部の操作を禁止にするように閉塞する。これにより、画像を投写しながら、フォーカス調整、及びズーム調整の操作を禁止することが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、前記第1の画像は、前記フォーカス調整部、および前記ズーム調整部の操作が禁止されていることを示す画像であることを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、第1の画像はフォーカス調整部、およびズーム調整部の操作が禁止されていることを示す画像であるので、第1の画像を投写することで、ユーザーにフォーカス調整、及びズーム調整の操作が禁止されていることを知らせることが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に記載のプロジェクターにおいて、前記筐体は、前記開口部と同じ一面に排気口を備え、前記シャッターは、全開放時には前記一面と異なる面に収納される、ことを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、シャッターが、排気口、及び開口部のある一面と異なる面に収納されるので、排気口を開口部と同じ一面に設ける場合でも、シャッターを全開放したときにシャッターと、排気口と、が干渉することを防止することが可能となる。
【0012】
[適用例4]光源から射出された光を画像情報に応じて変調し、投写レンズを介して被投写面に投写光を投写し画像を形成する画像投写手段を有し、前記画像のフォーカス調整を行うフォーカス調整部と、前記画像のズームサイズ調整を行うズーム調整部と、少なくとも前記投写レンズと対向して当該プロジェクターの筐体に設けられた開口部を閉塞するとともに、前記投写光を遮断するシャッターと、を備えるプロジェクターの制御方法であって、前記シャッターが全開放位置、投写レンズ開放位置、および閉鎖位置のいずれの位置にあるかを検出するシャッター位置検出ステップと、前記シャッター位置検ステップによって、前記シャッターが前記投写レンズ開放位置にあることを検出した場合に、前記画像投写手段によって第1の画像を投写する第1の画像投写ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、シャッターを全開放位置にして、画像のフォーカス調整、及びズーム調整を行った後、シャッターを投写レンズ開放位置に移動させることにより、投写レンズの開口部を開放したままで、フォーカス調整部、及びズーム調整部の操作を禁止にするように閉塞する。これにより、第1の画像を投写しながら、フォーカス調整、及びズーム調整の操作を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】プロジェクターの斜視図であり、(a)はシャッターが閉鎖位置、(b)はシャッターが投写レンズ開放位置、(c)はシャッターが全開放位置にあるときの状態を示す。
【図2】プロジェクターの回路構成を示すブロック図。
【図3】プロジェクターが動作中にシャッターの移動を検出したときの動作を示すフローチャート。
【図4】プロジェクターが電源オン操作を検出したときの動作を示すフローチャート。
【図5】フォーカス・ズーム調整操作禁止メッセージM1を示す図。
【図6】変形例1のプロジェクターの斜視図であり、(a)はシャッターが閉鎖位置、(b)はシャッターが投写レンズ開放位置、(c)はシャッターが全開放位置にあるときの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態における特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
(第1実施形態)
図1は本実施形態のプロジェクター1の斜視図であり、図1(a)はシャッター4が閉鎖位置にあるとき、図1(b)はシャッター4が投写レンズ開放位置にあるとき、図1(c)はシャッター4が全開放位置にあるときの状態を示す。
図1に示すように、プロジェクター1は、上面2t、前面2fなどを有する筐体2によって装置本体が覆われた構成となっている。なお、本実施形態においては、プロジェクター1に対して、投写方向である前面2f方向を前方として説明する。
【0017】
筐体2の上面2tには、ユーザーにより入力操作が行われる複数の操作キーを備えた入力操作手段23が備えられている。
筐体2の前面2f、及び前面2fに隣接する上面2tには、開口部3が連なって形成されており、開口部3の内側には、前方に向かって画像光を投写する投写レンズ13が備えられている。
投写レンズ13には、投写された画像のフォーカスを調整するフォーカス調整部5と、ズームサイズを調整するズーム調整部6が備えられている。フォーカス調整部5とズーム調整部6は、投写レンズ13に備えられたフォーカス調整リング、及びズーム調整リングをツマミで操作する方式が使われている。
【0018】
開口部3には、カバー部材としてのシャッター4が開閉可能に備えられており、開口部3をシャッター4で閉塞することによって、投写レンズ13を保護するとともに投写光を遮光することが可能となっている。
【0019】
筐体2の前面2fには、開口部3と隣り合って排気口7が設けられ、筐体2内部からの排気熱を排出する。
【0020】
シャッター4は、筐体2の上面2t、及び前面2fの間を蛇腹状に折れ曲がりながらスライド移動し、全開放時には筐体2の上面2t内に収納されるように構成されている。シャッター4には操作ツマミ4aが形成され、操作ツマミ4aを保持しながら移動することができるようになっている。
【0021】
図1(a)はシャッター4が閉鎖位置にあるときの状態を示す。このとき、シャッター4は、開口部3を閉塞し、投写レンズ13からの投写光を遮断し、フォーカス調整部5、及びズーム調整部6の操作を禁止する。
【0022】
図1(b)はシャッター4が投写レンズ開放位置にあるときの状態を示す。このとき、シャッター4は、開口部3を部分的に開放し、投写レンズ13は露出するが、フォーカス調整部5、およびズーム調整部6は閉塞したままの状態であり、フォーカス調整部5、及びズーム調整部6の操作を禁止する。
【0023】
図1(c)はシャッター4が全開放位置にあるときの状態を示す。このとき、シャッター4は、開口部3を全開放し、投写レンズ13、フォーカス調整部5、及びズーム調整部6が露出し、画像の投写、フォーカス調整、及びズーム調整が可能となる。
【0024】
また、筐体2の内側、シャッター4と隣接する部分にはシャッター4の位置を検出する図示しないフォトセンサーが配置されており、シャッター4が、全開放位置、投写レンズ開放位置、閉鎖位置のいずれの位置にあるかを判断することができるようになっている。
【0025】
図2は、本実施形態のプロジェクター1の回路構成を示すブロック図である。
図2に示すように、プロジェクター1は、画像投写手段10、シャッター位置検出手段15、OSD処理手段16、画像信号処理手段17、画像信号入力手段18、制御手段20、記憶手段21、入力操作手段23、光源制御手段25、電源端子30、電源部31等で構成されており、これらは筐体2(図1)の内部に収容されている。
【0026】
画像投写手段10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動手段14等を含んでいる。画像投写手段10は、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調し、投写レンズ13から投写することによってスクリーンSC等に画像を表示する。
【0027】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。
光源11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R),緑色(G),青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0028】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリックス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。
液晶駆動手段14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。
形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラーの画像光となった後、投写レンズ13によってスクリーンSC等に拡大投写される。
【0029】
上記実施形態では、光源11として光源ランプ11aを用いて投写するプロジェクター1を例示したが、本発明は、光源としてLED(Light emitting diode)光源やレーザー光源などを用いて投写するプロジェクターにも適用することができる。なお、上記実施形態では、画像投写手段10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いた透過型液晶方式の投写光学系を例示したが、反射型液晶表示方式やマイクロミラーデバイス方式(ライトスイッチ表示方式)など、他の表示方式の光変調装置を採用しても良い。
【0030】
制御手段20は、図示しないCPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶手段21に記憶されている制御プログラム(図示せず)に従って動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御手段20は、記憶手段21とともにコンピューターとして機能する。
【0031】
記憶手段21は、フラッシュメモリーやFeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の書き換え可能な不揮発性のメモリーにより構成されている。記憶手段21には、プロジェクター1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクター1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
【0032】
入力操作手段23は、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。入力操作手段23が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを交互に切り替えるための電源キーや、画像信号入力手段18に入力される複数の画像入力端子を切り替えるための入力切替キー、各種設定を行うための設定メニューを重畳表示させるメニューキー、メニューからユーザーが設定項目を選択するカーソルキー、決定キー、エスケープキー等がある。
【0033】
ユーザーが入力操作手段23の各種操作キーを操作すると、入力操作手段23は、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御手段20に出力する。なお、入力操作手段23は、リモートコントローラー(リモコン)信号受信手段(図示せず)と遠隔操作が可能なリモートコントローラー(図示せず)を有した構成としてもよい。
この場合、リモートコントローラーは、使用者の操作内容に応じた赤外線等の操作信号を発し、リモコン信号受信手段がこれを受信して制御情報として制御手段20に伝達する。
【0034】
画像信号入力手段18は、上述したように複数の画像入力端子を備えており、各画像入力端子より、ビデオ再生装置やパーソナルコンピューター等、外部機器から、図示しないケーブル、又は通信機器を介して画像情報が入力される。
【0035】
画像信号処理手段17は、画像信号入力手段18から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。
画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素を透過し射出する光の強弱(階調)が規定される。
【0036】
OSD処理手段16は、制御手段20の指示に基づいて、投写画像上に、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳して表示するための処理を行う。OSD処理手段16は、図示しないOSDメモリーを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。
【0037】
制御手段20が、OSD画像の重畳表示を指示すると、OSD処理手段16は、必要なOSD画像情報をOSDメモリーから読み出し、投写画像上の所定の位置にOSD画像が重畳されるように、画像信号処理手段17から入力される画像情報にこのOSD画像情報を合成する。OSD画像情報が合成された画像情報は、液晶駆動手段14に出力される。なお、制御手段20からOSD画像を重畳する旨の指示がない場合には、OSD処理手段16は、画像信号処理手段17から入力される画像情報を、そのまま液晶駆動手段14に出力する。
【0038】
液晶駆動手段14は、OSD処理手段16から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、画像情報に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。
【0039】
電源部31には、電源端子30を介してAC100V等の電力が外部から供給される。電源部31は、入力した電力(交流電力)を所定の直流電力に変換して、プロジェクター1の各部に電力を供給する。
また、電源部31は、制御手段20の指示に基づいて、画像の投写に必要な電力(動作電力)を各部に供給する状態(電源オン状態)と、動作電力の供給を停止して、電源をオンにするための操作を待機する状態(スタンバイ状態)とを切り替えることができる。
【0040】
光源制御手段25は、制御手段20の指示に基づいて、光源11に対する電力の供給と停止とを制御し、光源11の点灯、及び消灯を切り替える。
【0041】
シャッター位置検出手段15は、フォトセンサーや磁気センサー、メカスイッチなどで構成され、シャッター4を操作ツマミ4aでスライド移動したときの位置が全開放位置、投写レンズ開放位置、または閉鎖位置のいずれの位置にあるかを検出し、その検出結果を制御手段20に出力する。
【0042】
次に、本実施形態のプロジェクター1の動作を図3、および図4のフローチャートを用いて説明する。
【0043】
〔シャッター4の移動を検出したときの動作〕
図3は、プロジェクター1が動作中にシャッター4の移動を検出したときの動作を示すフローチャートである。
図3に示すように、ステップS101においてシャッター位置検出手段15が、プロジェクター1の動作中にシャッター4の位置が全開放位置、投写レンズ開放位置、および閉鎖位置のいずれかの位置に移動したことを検出する。このステップS101がシャッター位置検出ステップに相当する。
【0044】
ステップS101において位置移動を検出すると、制御手段20はシャッター位置検出手段15の検出結果に基づき、シャッター4が閉鎖位置に移動したか否かを調べる(ステップS102)。シャッター4が閉鎖位置に移動した場合(ステップS102:Y)、ステップS103に遷移する。シャッター4が閉鎖位置に移動していない場合(ステップS102:N)、ステップS104に遷移する。
【0045】
ステップS103において制御手段20は、全黒画像を画像投写手段10に投写させ、ステップS107に遷移する。全黒画像は、画像ミュート状態を示す画像である。この状態においてはシャッター4が開口部3を閉塞しているので、スクリーンSC上には画像は投写されない。
【0046】
ステップS104において制御手段20は、画像信号入力手段18から入力される画像信号に基づく画像を画像投写手段10に投写させ、ステップS105に遷移する。
【0047】
ステップS105において制御手段20は、シャッター4が投写レンズ開放位置に移動したか否かを調べる。シャッター4が投写レンズ開放位置に移動した場合(ステップS105:Y)、ステップS106に遷移する。シャッター4が投写レンズ開放位置に移動していない場合(ステップS105:N)、ステップS107に遷移する。
【0048】
ステップS106において制御手段20は、フォーカス調整、ズーム調整の操作がロック(禁止)されていることを示す第1の画像としてのメッセージM1を、画像投写手段10によって投写されている画像に重畳して投写させ、ステップS107に遷移する。このステップS106が第1の画像投写ステップに相当する。
このときのメッセージM1が投写された状態の画像例を図5に示す。
【0049】
ステップS107において本動作フローを終了する。
【0050】
〔電源オン操作を検出したときの動作〕
図4は、プロジェクター1がスタンバイ(電源オフ)中に電源オン操作を検出したときの動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、プロジェクター1がスタンバイ(電源オフ)中に入力操作手段23より電源オン操作を検出すると(ステップS201)、制御手段20はシャッター4が閉鎖位置にあるか否かを調べる(ステップS202)。シャッター4が閉鎖位置にある場合(ステップS202:Y)は、ステップS203に遷移する。シャッター4が閉鎖位置にない場合(ステップS202:N)は、ステップS204に遷移する。
【0051】
ステップS203において制御手段20は、プロジェクター1をスタンバイ状態を維持、またはスタンバイ状態に移行する。
【0052】
ステップS204において制御手段20は、光源制御手段25により光源11を点灯させ、ステップS205に遷移する。
【0053】
ステップS205において制御手段20は、画像信号入力手段18から入力される画像信号に基づく画像を画像投写手段10に投写させ、ステップS206に遷移する。
【0054】
ステップS206において制御手段20は、シャッター4が投写レンズ開放位置にあるか否かを調べる。シャッター4が投写レンズ開放位置にある場合(ステップS206:Y)、ステップS207に遷移する。シャッター4が投写レンズ開放位置にない場合(ステップS206:N)、ステップS208に遷移する。
【0055】
ステップS207において制御手段20は、フォーカス調整、ズーム調整の操作がロック(禁止)されていることを示す第1の画像としてのメッセージM1を、画像投写手段10によって投写されている画像に重畳して投写させ、ステップS208に遷移する。このステップS207が第1の画像投写ステップに相当する。
このときのメッセージM1が投写された状態の画像例を図5に示す。
【0056】
ステップS208において、投写を開始させ本動作フローを終了する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、シャッター4を投写レンズ開放位置に移動させることにより、投写レンズ13の開口部3を開放したままで、フォーカス調整部5、及びズーム調整部6の操作を禁止にするように閉塞する。これにより、画像を投写しながら、フォーカス調整部5、及びズーム調整部6の操作を禁止することが可能となる。
【0058】
また、シャッター4が投写レンズ開放位置にあることを検出した場合に、第1の画像としてのメッセージM1はフォーカス調整部5、およびズーム調整部6の操作が禁止されていることが示されているので、第1の画像としてのメッセージM1を重畳して投写することで、ユーザーにフォーカス調整、及びズーム調整の操作が禁止されていることを知らせることが可能となる。
【0059】
また、シャッター4が、排気口7、及び開口部3のある一面と異なる面に収納されるので、排気口7を開口部3と同じ一面に設ける場合でも、シャッター4を全開放したときにシャッター4と排気口7とが干渉することを防止することが可能となる。
【0060】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
(変形例1)
上述した実施形態では、シャッター4は筐体2の前面2fと上面2tの間をスライド移動するようになっているが、投写レンズ13のみを露出して、フォーカス調整部5、及びズーム調整部6を閉塞でき、シャッター4と排気口7とが干渉しない構造であれば、筐体2の前面2fを左右方向にスライド移動する構造、または筐体2の前面2fと右側面2r、または筐体2の前面2fと左側面2lの間をシャッター4がスライド移動する構造でも良い。
【0061】
図6は変形例1のプロジェクター1の斜視図であり、図6(a)はシャッター4が閉鎖位置にあるとき、図1(b)はシャッター4が投写レンズ開放位置にあるとき、図1(c)はシャッター4が全開放位置にあるときの状態を示す。
本変形例1では筐体2の前面2fと左側面2lの間をシャッター4がスライド移動する構造であり、筐体2の前面2f、および前面2fに隣接する左側面2lには、開口部3が連なって形成されている。シャッター4は、筐体2の前面2f、及び左側面2lの間を蛇腹状に折れ曲がりながらスライド移動し、全開放時には左側面2l内に収納されるように構成されている。シャッター4には操作ツマミ4aが形成され、操作ツマミ4aを保持しながら移動することができるようになっている。
この場合においても、投写レンズ13の開口部3を開放したままで、フォーカス調整部5、及びズーム調整部6の操作を禁止にするように閉塞する。これにより、画像を投写しながら、フォーカス調整部5、及びズーム調整部6の操作を禁止することが可能となる。
【0062】
(変形例2)
上述した実施形態では、フォーカス調整部5、及びズーム調整部6は、手動によりフォーカス調整リング、及びズーム調整リングのツマミを調整して操作を行う構成とされているが、それぞれを電動フォーカス調整機構、電動ズーム調整機構として構成し、入力操作手段23の操作によって電動で調整動作するようにしてもよい。この場合、シャッター4が投写レンズ開放位置および、閉鎖位置にあるときは、入力操作手段23の操作を無効にすることで、電動フォーカス調整機構、電動ズーム調整機構が操作されることを防止することができる。
【符号の説明】
【0063】
1…プロジェクター、2…筐体、3…開口部、4…シャッター、4a…操作ツマミ、5…フォーカス調整部、6…ズーム調整部、7…排気口、10…画像投写手段、11…光源、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ(光変調装置)、13…投写レンズ、14…液晶駆動手段、15…シャッター位置検手段、16…OSD処理手段、17…画像信号処理手段、18…画像信号入力手段、20…制手段部、21…記憶手段、23…入力操作手段、25…光源制御手段、30…電源端子、31…電源部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光を画像情報に応じて変調し、投写レンズを介して被投写面に投写光を投写し画像を形成する画像投写手段を有するプロジェクターであって、
前記画像のフォーカス調整を行うフォーカス調整部と、
前記画像のズームサイズ調整を行うズーム調整部と、
少なくとも前記投写レンズと対向して当該プロジェクターの筐体に設けられた開口部を閉塞するとともに、前記投写光を遮断するシャッターと、
前記シャッターが全開放位置、投写レンズ開放位置、および閉鎖位置のいずれの位置にあるかを検出するシャッター位置検出手段と、
当該プロジェクターの動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記シャッターは、前記投写レンズ開放位置、および前記閉鎖位置において、前記フォーカス調整部、および前記ズーム調整部の操作を禁止するように閉塞し、
前記制御手段は、前記シャッター位置検出手段によって前記シャッターが前記投写レンズ開放位置にあることを検出した場合に、前記画像投写手段によって第1の画像を投写する、
ことを特徴とする、プロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記第1の画像は、前記フォーカス調整部、および前記ズーム調整部の操作が禁止されていることを示す画像であることを特徴とする。
【請求項3】
請求項1、または2に記載のプロジェクターであって、
前記筐体は、前記開口部と同じ一面に排気口を備え、
前記シャッターは、全開放時には前記一面と異なる面に収納される、
ことを特徴とする、プロジェクター。
【請求項4】
光源から射出された光を画像情報に応じて変調し、投写レンズを介して被投写面に投写光を投写し画像を形成する画像投写手段を有し、
前記画像のフォーカス調整を行うフォーカス調整部と、
前記画像のズームサイズ調整を行うズーム調整部と、
少なくとも前記投写レンズと対向して当該プロジェクターの筐体に設けられた開口部を閉塞するとともに、前記投写光を遮断するシャッターと、
を備えるプロジェクターの制御方法であって、
前記シャッターが全開放位置、投写レンズ開放位置、および閉鎖位置のいずれの位置にあるかを検出するシャッター位置検出ステップと、
前記シャッター位置検ステップによって、前記シャッターが前記投写レンズ開放位置にあることを検出した場合に、前記画像投写手段によって第1の画像を投写する第1の画像投写ステップと、
を有することを特徴とする、プロジェクターの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−83853(P2013−83853A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224599(P2011−224599)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】