説明

プロジェクター

【課題】開口部のシャッターのガタツキを抑制でき、開口部とシャッターとの隙間からプロジェクター内部に塵埃が侵入しにくいプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、複数のレンズの相対位置を変更する調整部610を有し変調された光束を投写する投写光学装置600と、投写光学装置600を内部に収納し調整部610を露出させる調整用開口部2aを有する外装ケース2と、外装ケース2の内側に設けられ調整用開口部2aを閉塞可能なシャッター3と、外装ケース2との間にシャッター3を、調整用開口部2aを閉塞する位置と調整用開口部2aを開放する位置との間で移動可能に挟装し保持する保持部材4とを備え、シャッター3は、シャッター3を厚さ方向に付勢する付勢部32を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
投写レンズから射出された光束を通過させるための開口部、および投写レンズの調整部を露出するための開口部を備えたプロジェクターが知られている。また、防塵等を目的として、これらの開口部を閉塞するシャッター(遮蔽部材)を備えたプロジェクターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のプロジェクターでは、各開口部の長手方向に沿って形成された溝部にシャッターが嵌め込まれ、開口部を開放する位置と開口部を閉塞する位置との間を移動自在にシャッターが保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−122290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクターでは、各シャッターが溝部をスライドして移動自在とするため、各シャッターと溝部との間にある程度の隙間を必要とする。そのため、この隙間に起因して、シャッターを操作する際にガタツキが生じて操作性が低下したり、プロジェクターの使用中の振動等によりシャッターがガタつくことで雑音が発生したりするという課題や、塵埃がプロジェクター内部に侵入してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、複数のレンズと前記複数のレンズの相対位置を変更する調整部とを有し、変調された光束を投写する投写光学装置と、前記投写光学装置を内部に収納し、前記調整部を露出させる調整用開口部を有する外装ケースと、前記外装ケースの内側に設けられ、前記調整用開口部を閉塞可能な第1の遮蔽部材と、前記外装ケースとの間に前記第1の遮蔽部材を、前記調整用開口部を閉塞する位置と前記調整用開口部を開放する位置との間で移動可能に挟装し保持する保持部材と、を備え、前記第1の遮蔽部材は、該第1の遮蔽部材を厚さ方向に付勢する付勢部を有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、外装ケースと保持部材との間に挟装され調整用開口部を閉塞する位置と開放する位置との間で移動可能に保持された第1の遮蔽部材は、第1の遮蔽部材の厚さ方向に付勢する付勢部を有している。第1の遮蔽部材を外装ケース側または保持部材側に押す付勢力が付与されることにより、第1の遮蔽部材のガタツキが抑制されるので、第1の遮蔽部材を操作する際の操作性の低下や、プロジェクターの使用中の振動等に伴う雑音の発生が抑えられる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターであって、前記付勢部は、前記第1の遮蔽部材の前記外装ケース側に付勢することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、付勢部が第1の遮蔽部材の外装ケース側に付勢するので、第1の遮蔽部材を外装ケース側、すなわち外装ケースと第1の遮蔽部材との隙間がより小さくなる方向に押す付勢力が付与される。これにより、外装ケースの調整用開口部が第1の遮蔽部材で閉塞された状態において、外装ケースと第1の遮蔽部材との隙間からの塵埃の侵入が抑えられる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターであって、前記付勢部は、前記第1の遮蔽部材の4隅に配置されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、第1の遮蔽部材の4隅に付勢部が配置されているので、第1の遮蔽部材の4隅において第1の遮蔽部材を外装ケース側または保持部材側に押す方向に付勢力が付与される。これにより、第1の遮蔽部材のガタツキがより効果的に抑制される。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターであって、前記外装ケースは、前記投写光学装置から射出される前記光束を通過させるための光束通過用開口部と、前記外装ケースの内側に設けられ、前記光束通過用開口部を閉塞可能な第2の遮蔽部材と、をさらに備え、前記第2の遮蔽部材は、該第2の遮蔽部材を厚さ方向に付勢する付勢部を有することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、外装ケースの光束通過用開口部を閉塞可能な第2の遮蔽部材が、第1の遮蔽部材と同様に厚さ方向に付勢する付勢部を有している。このため、第2の遮蔽部材のガタツキが抑制されるので、第2の遮蔽部材を操作する際の操作性の低下や、プロジェクターの使用中の振動等による雑音の発生が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す模式図。
【図2】第1の実施形態に係るプロジェクターを示す斜視図。
【図3】第1の実施形態に係るシャッターと保持部材とを示す斜視図。
【図4】第1の実施形態に係るシャッターの構成を説明する図。
【図5】第1の実施形態に係るプロジェクターの部分断面図。
【図6】第2の実施形態に係るシャッターの構成を説明する図。
【図7】第3の実施形態に係るプロジェクターの構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、参照する各図面において、構成をわかりやすく示すため、各構成要素の寸法の比率、角度等は適宜異ならせてある。
【0016】
(第1の実施形態)
<プロジェクターの構成>
まず、第1の実施形態に係るプロジェクターの概略構成について、図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す模式図である。第1の実施形態に係るプロジェクター1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調してスクリーン等の投写面に拡大投写する電子機器である。
【0017】
なお、以下の図および説明では、投写光学装置600から光束が投写される方向を+X方向とし、光源装置100から光束が射出される方向を+Y方向とする。さらに、X方向およびY方向に直交し、かつ、図2の図面視における上方向を+Z方向とする。すなわち、X,Y,Zで示される各方向は、それぞれ互いに直交する。また、プロジェクター1において、+X側(光束射出側)の面を正面と呼び、その反対側の面を背面と呼ぶ。そして、+Z側(据置き姿勢での上方側)の面を天面と呼び、その反対側の面を底面と呼ぶ。
【0018】
図1に示すように、プロジェクター1は、外装ケース2と、光源装置100と、照明光学装置200と、色分離光学装置300と、リレー光学装置400と、光変調装置500と、投写光学装置600とを備えている。光源装置100、照明光学装置200、色分離光学装置300、リレー光学装置400、光変調装置500、および投写光学装置600は外装ケース2内に収納され固定されている。
【0019】
また、図示を省略するが、プロジェクター1は、外装ケース2内における空間に、プロジェクター1内部を冷却するためのファン、プロジェクター1内部の各構成部材に電力を供給する電源装置、プロジェクター1内部の各構成部材を制御する制御装置、プロジェクター1の電源オン/オフや投写される画像の画質調整等のための操作部等をさらに備えている。
【0020】
光源装置100は、光束を射出する発光管110と、リフレクター120とを備えている。発光管110は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる。光源装置100は、発光管110から射出された光束をリフレクター120で反射させて射出方向を揃え、照明光学装置200に向けて射出する。照明光軸OCは、光源装置100から被照明領域側に射出される光束の中心軸である。
【0021】
照明光学装置200は、第1のレンズアレイ210と、第2のレンズアレイ220と、偏光変換素子230と、重畳レンズ240とを備えている。照明光学装置200は、光源装置100から射出された光束を複数の部分光束に分割し、各部分光束を略1種類の偏光光に揃えて、照明対象である3つの液晶装置520R,520G,520Bの光入射面上に重畳させる。
【0022】
色分離光学装置300は、第1のダイクロイックミラー310と、第2のダイクロイックミラー320と、反射ミラー330とを備えている。色分離光学装置300は、照明光学装置200から射出された光束を、赤色(R)光、緑色(G)光、青色(B)光の3色の色光に分離する。
【0023】
リレー光学装置400は、入射側レンズ410と、リレーレンズ420と、反射ミラー430,440とを備えている。リレー光学装置400は、色分離光学装置300で分離されたB光をB光用の液晶装置520Bまで導く。なお、本実施形態では、リレー光学装置400がB光を導く構成としているが、これに限定されず、例えば、R光を導く構成としてもよい。
【0024】
光変調装置500は、フィールドレンズ510R,510G,510Bと、入射側偏光板(図示省略)と、液晶装置520R,520G,520Bと、射出側偏光板(図示省略)と、クロスダイクロイックプリズム530とを備えている。入射側偏光板および射出側偏光板は、液晶装置520R,520G,520B毎に設けられている。
【0025】
液晶装置520R,520G,520Bは、色分離光学装置300で分離された各色光を画像情報に応じて変調する。クロスダイクロイックプリズム530は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。クロスダイクロイックプリズム530は、液晶装置520R,520G,520Bにて変調された各色光を合成し、投写光学装置600側に射出する。
【0026】
投写光学装置600は、複数のレンズと複数のレンズを内部に収納する筒状の鏡筒とで構成される(具体的な図示は省略)。投写光学装置600は、光変調装置500で変調され合成された光束をスクリーン等の投写面上に射出する。これにより、投写面上に画像が拡大投写される。
【0027】
投写光学装置600は、複数のレンズの相対位置を変更して投写面上に投写される画像のズーム状態やフォーカスを調整する調整部610を備えている(図2参照)。調整部610は、鏡筒の中心軸を中心として回転するリング610aと、リング610aを回転操作するための突起部610bとで構成される。ユーザーが突起部610bを把持してリング610aを回転操作することにより、複数のレンズの相対位置が変更される。これにより、手動で画像のズーム状態やフォーカスを調整することができる。
【0028】
<外装ケースの構成>
次に、第1の実施形態に係るプロジェクターの外装ケースの構成について、図2、図3、および図4を参照して説明する。
【0029】
図2は、第1の実施形態に係るプロジェクターを示す斜視図である。詳しくは、図2(a)はシャッターが調整用開口部を開放する位置にある状態を示す斜視図であり、図2(b)はシャッターが調整用開口部を閉塞する位置にある状態を示す斜視図である。図3は、第1の実施形態に係るシャッターと保持部材とを示す斜視図である。詳しくは、図3(a)はシャッターを保持部材から取り外した状態を示す斜視図であり、図3(b)はシャッターが調整用開口部を開放する位置にある状態を示す斜視図であり、図3(c)はシャッターが調整用開口部を閉塞する位置にある状態を示す斜視図である。また、図4は、第1の実施形態に係るシャッターの構成を説明する図である。詳しくは、図4(a)はシャッターの平面図であり、図4(b)はシャッターの側面図である。
【0030】
図2(a)に示すように、プロジェクター1は外装ケース2を備えている。外装ケース2は、例えば合成樹脂製の筐体である。なお、外装ケース2は、合成樹脂製に限定されず、その他の材料、例えば金属等により構成されていてもよい。外装ケース2は、天面に設けられた調整用開口部2aと、正面に設けられた光束通過用開口部2bとを有している。また、外装ケース2の内側には、第1の遮蔽部材としてのシャッター3と、保持部材4とが取り付けられている。
【0031】
調整用開口部2aは、投写光学装置600の調整部610を露出させるためのものであり、+Z側から見て、調整部610と重なるように設けられている。調整用開口部2a内には、保持部材4の斜面部41と開口部42とが配置されている。開口部42は、ズーム状態やフォーカスを調整する際のリング610aの所定の回転範囲において、突起部610bとリング610aの一部とが露出するように設けられている。
【0032】
シャッター3は、図2(b)に示すように、プロジェクター1を使用しないときに、斜面部41、開口部42、および調整部610を覆って調整用開口部2aを閉塞する。これにより、調整部610が保護されるとともに、調整用開口部2aからプロジェクター1内部への塵埃等の侵入が抑えられる。また、プロジェクター1を使用しているときにおいても、シャッター3で調整用開口部2aを閉塞することにより、塵埃等の侵入が抑えられ、さらにユーザーが不用意に調整部610を操作してしまうことが防止される。
【0033】
光束通過用開口部2bは、投写光学装置600から射出される光束を通過させるためのものであり、投写光学装置600と対向するように設けられている。光束通過用開口部2b内には、光束通過用開口部2bを閉塞するように、保持部材4のガラス部45が配置されている。ガラス部45は、光束通過用開口部2bよりも一回り大きい板状であり、投写光学装置600から射出される光束を透過する。これにより、光束通過用開口部2bからプロジェクター1の内部への塵埃の侵入が抑えられるとともに、投写光学装置600の先端部が保護される。
【0034】
図3(a)に示すように、保持部材4は、外装ケース2の天面の内側(+Z側)に配置されY方向に沿って延在する天面部4aと、外装ケース2の正面の内側(+X側)に配置される正面部4bとが一体に形成されたものであり、+Y方向から見て略L字形状を有している。保持部材4は、外装ケース2の内側にネジ止め等により取り付けられている。シャッター3は、外装ケース2の天面の内側に、外装ケース2と保持部材4(天面部4a)との間に挟まれるように配置されている。
【0035】
まず、図4(a),(b)を参照して、シャッター3の構成を説明する。シャッター3は、板状の基体30と、操作用の突起部31と、付勢部32と、係合凸部33と、突条部34と、凸部35とを備えている。基体30は、X方向とY方向とで構成され調整用開口部2aを閉塞可能な略矩形の面を有している。突起部31は、基体30の+Z側かつ+Y側に設けられている。突起部31は、ユーザーが把持してシャッター3をY方向に沿ってスライド操作するためのものである。
【0036】
付勢部32は、基体30の+Y側のX方向における両端に一対設けられている。付勢部32は、例えば、基体30の+Y側の辺3aから−Y側に向かうスリット32bを設けることにより形成されており、基体30よりも薄く、先端部の−Z側に凸形状を有するバネ部32aを有している。付勢部32は、シャッター3の厚さ方向、より具体的には+Z側、すなわち外装ケース2側に撓むようになっている。
【0037】
係合凸部33は、基体30の−Z側かつ−Y側に設けられている。係合凸部33は、X方向に延在する円柱が略1/2に分割されたような形状を有している。係合凸部33は、シャッター3が調整用開口部2aを開放する位置において保持部材4の係合バネ部43aと係合し(図3(b)参照)、シャッター3が調整用開口部2aを閉塞する位置において保持部材4の係合バネ部43bと係合する(図3(c)参照)。これにより、シャッター3が、調整用開口部2aを開放する位置および調整用開口部2aを閉塞する位置のそれぞれに位置決めされる。
【0038】
突条部34は、基体30の+X側および−X側の両端縁部にY方向に略平行に設けられ、+Z側および−Z側に各1対配置されている。突条部34は、保持部材4(天面部4a)の溝部44と、外装ケース2の天面の内側に設けられた溝部(図示省略)とにスライド可能に係合する。これにより、シャッター3は、調整用開口部2aを開放する位置と調整用開口部2aを閉塞する位置との間で、Y方向に沿ってスライド移動可能に保持される。
【0039】
凸部35は、基体30の+Z側において、付勢部32の近くに1対設けられ、−Y側におけるX方向両端側に1対設けられている。凸部35は、半円状の形状を有しており、付勢部32とともにシャッター3のガタツキを抑える役割を果たす。
【0040】
続いて、図3(a)に戻って、保持部材4の構成を説明する。保持部材4の天面部4aには、上述の斜面部41と、開口部42と、係合バネ部43a,43bと、溝部44とが設けられている。係合バネ部43a,43bは、斜面部41の−Y側に互いに離間して設けられ、シャッター3が調整用開口部2aを開放する位置と調整用開口部2aを閉塞する位置とにそれぞれ対応して配置されている。係合バネ部43a,43bは、−Z側に撓むようになっている。溝部44は、+X側および−X側の両端縁部にY方向に略平行に1対設けられている。また、保持部材4の正面部4bには、上述のガラス部45が設けられている。
【0041】
次に、第1の実施形態に係るプロジェクターにおいてシャッター3のガタツキを抑える構造について、図5を参照して説明する。図5は、第1の実施形態に係るプロジェクターの部分断面図である。詳しくは、図5(a)は図2(b)におけるA−A線に沿ったB部の部分断面図であり、図5(b)は図2(b)におけるA−A線に沿ったC部の部分断面図である。なお、図5(a)では付勢部32が撓んでいない状態における位置を破線で示し、図5(b)では係合バネ部43bがシャッター3と当接していない状態における位置を破線で示している。
【0042】
図5(a)に示すように、シャッター3において、基体30の−Z側端部から凸部35の先端までの距離は外装ケース2と天面部4a(保持部材4)との間の距離よりも小さく設定されており、破線で示すバネ部32a(付勢部32)の先端と凸部35の先端とのZ方向における距離は外装ケース2と天面部4aとの間の距離よりもわずかに大きく設定されている。そのため、シャッター3が調整用開口部2aを閉塞する位置にある状態において、付勢部32は、バネ部32aが天面部4aに当接することにより、基体30に対して+Z側に撓む。そうすると、矢印で示すように、基体30を+Z側、すなわち外装ケース2側に押す方向に付勢力が付与されるので、凸部35が外装ケース2の内側に当接する。これにより、シャッター3のガタツキが抑制されるので、シャッター3を操作する際の操作性の低下や、プロジェクター1の使用中の振動等に伴う雑音の発生が抑えられる。
【0043】
ここで、仮にシャッター3に付勢部32が設けられていない場合は、シャッター3と外装ケース2および天面部4aとの間に隙間ができるので、Z方向にシャッター3のガタツキが発生することとなる。また、シャッター3が天面部4a側に寄るほど、シャッター3と外装ケース2との隙間が大きくなるので、調整用開口部2aにおいてこの隙間から塵埃等がプロジェクター内部に侵入し易くなる。
【0044】
これに対して、本実施形態のプロジェクター1では、付勢部32を備えることにより、シャッター3の+Y側を外装ケース2側に押す方向、すなわちシャッター3と外装ケース2との隙間が小さくなる方向に付勢力が付与される。そのため、シャッター3のガタツキが抑制されるとともに、シャッター3と外装ケース2との隙間から塵埃等がプロジェクター1内部に侵入しにくくなる。これにより、プロジェクター1の防塵性を高めることができる。
【0045】
また、図5(b)に示すように、係合凸部33が天面部4a(保持部材4)の係合バネ部43bと係合することにより、シャッター3が調整用開口部2aを閉塞する位置に位置決めされる。このとき、係合バネ部43bは、係合凸部33が当接することで−Z側に撓む。そうすると、係合バネ部43bの反発力により、矢印で示すように、シャッター3を外装ケース2側に押す方向に付勢力が付与される。したがって、シャッター3の−Y側においても、ガタツキが抑制されるとともに、シャッター3と外装ケース2との隙間から塵埃等がプロジェクター1内部に侵入しにくくなる。
【0046】
なお、図示は省略するが、シャッター3が調整用開口部2aを開放する位置にある状態においても、シャッター3が調整用開口部2aを閉塞する位置にある状態と同様に、シャッター3を外装ケース2側に押す方向に付勢力が付与されるので、シャッター3のガタツキが抑制される。
【0047】
以上、第1の実施形態に係るプロジェクター1の構成によれば、以下の効果が得られる。
【0048】
(1)外装ケース2と保持部材4との間に挟まれ調整用開口部2aを閉塞する位置と開放する位置との間で移動可能に保持されたシャッター3が、外装ケース2側に撓む付勢部32を有している。そのため、この付勢部32が撓むことでその反発力により、シャッター3を外装ケース2側に押す付勢力が付与される。これにより、シャッター3のガタツキが抑制されるので、シャッター3を操作する際の操作性の低下や、プロジェクター1の使用中の振動等に伴う雑音の発生が抑えられる。
なお、付勢部32がシャッター3の−Z側、すなわち保持部材4側に撓む構成とすることも可能である。この場合でも、付勢部32の反発力により、シャッター3を保持部材4側に押す付勢力が付与されるので、上記と同様に、シャッター3のガタツキを抑制することができる。
【0049】
(2)シャッター3の外装ケース2側に撓む付勢部32の反発力により、シャッター3を、外装ケース2とシャッター3との隙間がより小さくなる方向に押す付勢力が付与される。これにより、外装ケース2とシャッター3との隙間からの塵埃の侵入が抑えられる。
【0050】
(第2の実施形態)
<シャッターの構成>
次に、第2の実施形態に係るプロジェクターのシャッターの構成について説明する。第2の実施形態に係るプロジェクターは、第1の実施形態に係るプロジェクター1に対して、シャッター3の代わりにシャッター13を備えている点が異なっているが、その他の構成はほぼ同じである。したがって、第2の実施形態では、シャッター13の構成を説明し、第1の実施形態と共通する構成要素についてはその説明を省略する。
【0051】
また、第2の実施形態に係るシャッター13は、第1の実施形態に係るシャッター3に対して、付勢部32が4隅に設けられている点が異なっているが、その他の構成はほぼ同じである。シャッター13の構成においても、シャッター3と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0052】
図6は、第2の実施形態に係るシャッターの構成を説明する図である。詳しくは、図6(a)はシャッターを+Z側から見た平面図であり、図6(b)はシャッターを+X側から見た側面図である。
【0053】
図6(a),(b)に示すように、シャッター13は、基体30と、突起部31と、付勢部32と、係合凸部33と、突条部34と、凸部35とを備えている。付勢部32は、基体30の+Y側のX方向両端に一対設けられ、基体30の−Y側のX方向両端にも一対設けられている。このように、付勢部32が基体30の4隅に設けられているので、シャッター13の4隅において外装ケース2側に押す方向に付勢力が付与される。
【0054】
第2の実施形態に係るシャッター13の構成によれば、シャッター13の4隅において外装ケース2側に押す方向に付勢力が付与されるので、第1の実施形態のシャッター3に比べて、ガタツキをより効果的に抑制でき、シャッター13と外装ケース2との隙間から塵埃等がプロジェクター内部により侵入しにくくすることができる。
【0055】
(第3の実施形態)
<プロジェクターの構成>
次に、第3の実施形態に係るプロジェクターの構成について説明する。第3の実施形態に係るプロジェクターは、第1の実施形態に係るプロジェクター1に対して、光束通過用開口部2bにもシャッターを備えている点が異なっているが、その他の構成はほぼ同じである。第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0056】
図7は、第3の実施形態に係るプロジェクターの構成を説明する図である。詳しくは、図7(a)は調整用開口部および光束通過用開口部がシャッターで閉塞された状態を示す斜視図であり、図7(b)はシャッターと保持部材とを示す斜視図である。
【0057】
図7(a)に示すように、第3の実施形態に係るプロジェクター11は、調整用開口部2aにシャッター3を備えており、さらに、光束通過用開口部2bに第2の遮蔽部材としてのシャッター6を備えている。また、図7(b)に示すように、プロジェクター11は、外装ケース2との間にシャッター3,6を挟むように設けられた保持部材14を備えている。
【0058】
シャッター6は、プロジェクター11を使用しないときに、保持部材14のガラス部45を覆って光束通過用開口部2bを閉塞する。これにより、ガラス部45を保護するとともに、ガラス部45の表面に汚れや塵埃等が付着することを防止できる。
【0059】
シャッター6は、板状の基体60と、操作用の突起部61と、付勢部62と、係合凸部63と、突条部64と、凸部65とを備えている。基体60は、Z方向とY方向とで構成され光束通過用開口部2bを閉塞可能な略矩形の面を有している。突起部61は、基体60の+X側かつ+Y側に設けられている。
【0060】
付勢部62は、基体60の+Y側のZ方向における両端に一対設けられている。付勢部62は、シャッター6の厚さ方向、より具体的には+X側(外装ケース2側)に撓むようになっている。したがって、この付勢部62が撓むことで、その反発力により、シャッター6を外装ケース2側に押す付勢力が付与される。
【0061】
係合凸部63は、基体60の−X側かつ−Y側に設けられている。係合凸部63は、シャッター6が光束通過用開口部2bを開放する位置において保持部材14の係合バネ部46aに当接し、シャッター6が光束通過用開口部2bを閉塞する位置において保持部材14の係合バネ部46bに当接する。これにより、シャッター6が、光束通過用開口部2bを開放する位置および光束通過用開口部2bを閉塞する位置のそれぞれに位置決めされる。
【0062】
突条部64は、基体60の+Z側および−Z側の両端縁部にY方向に略平行に設けられ、+X側および−X側に各1対配置されている。突条部64は、保持部材14(正面部14b)の溝部47と、外装ケース2の正面の内側に設けられた溝部(図示省略)とにスライド可能に係合する。これにより、シャッター6は、光束通過用開口部2bを開放する位置と光束通過用開口部2bを閉塞する位置との間で、Y方向に沿ってスライド移動可能に保持される。
【0063】
凸部65は、基体60の+X側において、付勢部62の近くに1対設けられ、−Y側におけるZ方向両端側に1対設けられている。凸部65は、円柱が略1/2に分割されたような形状を有しており、付勢部62とともにシャッター6のガタツキを抑える役割を果たす。
【0064】
保持部材14は、天面部14aと正面部14bとが一体に形成されたものであり、+Y方向から見て略L字形状を有している。天面部14aは、第1の実施形態における保持部材4の天面部4aと同様の構成を有している。正面部14bには、ガラス部45と、係合バネ部46a,46bと、溝部47とが設けられている。係合バネ部46a,46bは、ガラス部45の−Y側に互いに離間して設けられ、シャッター6が光束通過用開口部2bを開放する位置と光束通過用開口部2bを閉塞する位置とにそれぞれ対応して配置されている。係合バネ部46a,46bは、−X側に撓むようになっている。溝部47は、+Z側および−Z側の両端縁部にY方向に略平行に1対設けられている。
【0065】
第3の実施形態に係るプロジェクター11の構成によれば、外装ケース2と保持部材14との間に挟まれ光束通過用開口部2bを閉塞する位置と開放する位置との間で移動可能に保持されたシャッター6が、外装ケース2側に撓む付勢部62を有している。そのため、この付勢部62が撓むことで、その反発力により、シャッター6を外装ケース2側に押す付勢力が付与されシャッター6のガタツキが抑制されるので、シャッター6を操作する際の操作性の低下や、プロジェクター11の使用中の振動等に伴う雑音の発生が抑えられる。
【0066】
また、シャッター6の外装ケース2側に撓む付勢部62の反発力により、シャッター6を、外装ケース2とシャッター6との隙間がより小さくなる方向に押す付勢力が付与される。これにより、外装ケース2の光束通過用開口部2bがシャッター6で閉塞された状態において、外装ケース2とシャッター6との隙間からの塵埃の侵入が抑えられる。
【0067】
したがって、第3の実施形態に係るプロジェクター11の構成によれば、第1の実施形態におけるプロジェクター1と同様の効果が得られることに加えて、光束通過用開口部2bを閉塞可能なシャッター6のガタツキが抑制されるとともに、外装ケース2とシャッター6との隙間からの塵埃の侵入が抑えられる。
【0068】
なお、プロジェクター11は、保持部材14の正面部14bにガラス部45を備えた構成を有しているが、ガラス部45を備えていない構成とすることも可能である。ガラス部45を備えていない場合でも、プロジェクター11は光束通過用開口部2bを閉塞可能なシャッター6を備えているので、プロジェクター11を使用しないときに光束通過用開口部2bを閉塞して、プロジェクター11の内部への塵埃の侵入を抑えるとともに、投写光学装置600の先端部のレンズを保護できる。
【0069】
以上、本発明のプロジェクターを上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0070】
(変形例1)
第3の実施形態におけるプロジェクター11は、調整用開口部2aに第1の実施形態のシャッター3を備え光束通過用開口部2bにシャッター6を備えた構成を有していたが、このような構成に限定されない。プロジェクター11が調整用開口部2aに第2の実施形態のシャッター13を備えるとともに、光束通過用開口部2bに第2の実施形態のシャッター13と同様に付勢部62が基体60の4隅に設けられたシャッターを備えた構成としてもよい。
【0071】
このような構成にすれば、第3の実施形態のプロジェクター11に比べて、調整用開口部2aおよび光束通過用開口部2bの双方において、シャッターのガタツキをより効果的に抑制でき、外装ケース2との隙間から塵埃等がプロジェクター11内部により侵入しにくくすることができる。
【0072】
(変形例2)
上記実施形態におけるプロジェクターは、光を透過し光束入射面と光束射出面とが異なる透過型の液晶装置520を備えた透過型のプロジェクターであるが、本発明はこれに限定されるものではない。プロジェクターは、光を反射し光束入射面と光束射出面とが同一となる反射型の液晶装置を備えた反射型のプロジェクターであってもよい。反射型のプロジェクターに本発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を得ることができる。
【0073】
(変形例3)
上記実施形態におけるプロジェクターは光変調装置に3つの液晶装置520を用いたプロジェクターであるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば、1つ、2つまたは4つ以上の液晶装置を用いたプロジェクターにも適用することができる。
【0074】
(変形例4)
上記実施形態のプロジェクターの構成では、光変調装置に液晶装置520を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。光変調装置としては、一般に、画像情報に応じて入射光を変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置等を利用してもよい。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。
【符号の説明】
【0075】
1,11…プロジェクター、2…外装ケース、2a…調整用開口部、2b…光束通過用開口部、3…第1の遮蔽部材としてのシャッター、4…保持部材、6…第2の遮蔽部材としてのシャッター、32,62…付勢部、600…投写光学装置、610…調整部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズと前記複数のレンズの相対位置を変更する調整部とを有し、変調された光束を投写する投写光学装置と、
前記投写光学装置を内部に収納し、前記調整部を露出させる調整用開口部を有する外装ケースと、
前記外装ケースの内側に設けられ、前記調整用開口部を閉塞可能な第1の遮蔽部材と、
前記外装ケースとの間に前記第1の遮蔽部材を、前記調整用開口部を閉塞する位置と前記調整用開口部を開放する位置との間で移動可能に挟装し保持する保持部材と、を備え、
前記第1の遮蔽部材は、該第1の遮蔽部材を厚さ方向に付勢する付勢部を有することを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記付勢部は、前記第1の遮蔽部材の前記外装ケース側に付勢することを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプロジェクターであって、
前記付勢部は、前記第1の遮蔽部材の4隅に設けられていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記外装ケースは、前記投写光学装置から射出される前記光束を通過させるための光束通過用開口部と、
前記外装ケースの内側に設けられ、前記光束通過用開口部を閉塞可能な第2の遮蔽部材と、をさらに備え、
前記第2の遮蔽部材は、該第2の遮蔽部材を厚さ方向に付勢する付勢部を有することを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−68555(P2012−68555A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214840(P2010−214840)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】