プロジェクター
【課題】照明むらを低減することが可能なプロジェクターを提供する。
【解決手段】光源10と、光源10から射出された光を集光する集光光学系20と、集光光学系20で集光された光を変調する光変調パネル60と、を含み、集光光学系20には、光源10から射出された光を複数種類の色光に分離する色分離光学系40が含まれており、複数種類の色光のうち、少なくとも光源10と光変調パネル60との間の光路長が最も長い色光の光路中には反射曲面が設けられている。
【解決手段】光源10と、光源10から射出された光を集光する集光光学系20と、集光光学系20で集光された光を変調する光変調パネル60と、を含み、集光光学系20には、光源10から射出された光を複数種類の色光に分離する色分離光学系40が含まれており、複数種類の色光のうち、少なくとも光源10と光変調パネル60との間の光路長が最も長い色光の光路中には反射曲面が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターとして、1つの光変調装置を備えた単板式のプロジェクターが知られている。単板式のプロジェクターによれば、3つの光変調装置を備えた三板式のプロジェクターよりも装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0003】
単板式のプロジェクターとしては、例えば特許文献1に開示されているものが挙げられる。特許文献1のプロジェクターは、白色光を異なる複数の波長の光に分離して射出する照明系を有している。分離された複数の波長の光(例えば、赤色光、緑色光、青色光)は、互いの光軸が非平行になった状態で光変調装置に入射する。光変調装置に入射した複数の波長の光の各々は、マイクロレンズアレイによって各波長の光に対応した画素に分配されて変調される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−60538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、分離された複数の波長の光における光源と光変調装置との間の光路長に差が生じる。そのため、分離された複数の波長の光において、光変調装置に集光される領域がそれぞれ異なったり、光変調素子の表示領域における輝度分布が異なったりする。したがって、照明むらが生じてしまう。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、照明むらを低減することが可能なプロジェクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のプロジェクターは、光源と、前記光源から射出された光を集光する集光光学系と、前記集光光学系で集光された光を変調する光変調パネルと、を含み、前記集光光学系には、前記光源から射出された光を複数種類の色光に分離する色分離光学系が含まれており、前記複数種類の色光のうち、少なくとも前記光源と前記光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光の光路中には反射曲面が設けられていることを特徴とする。
【0008】
このプロジェクターによれば、所定の曲率を有する反射曲面により、光源と光変調パネルとの間の光路長が最長の色光についての集光光学系の焦点位置が調整される。反射曲面の曲率は、光変調パネルに照射される光路長が最も長い色光の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域の面積との差が小さくなるように設定される。このため、分離された複数種類の色光の間で、光変調パネルに集光される領域の面積を互いに等しくしたり、光変調パネルの表示領域における輝度分布を互いに等しくしたりすることが可能となる。よって、照明むらを低減することが可能なプロジェクターを提供することができる。
なお、「光の輝度分布の概ね均一となる部分」とは、例えば、光変調パネルにおける光の輝度分布がトップハット形状の場合には、当該トップハット形状の頂部の平坦部分が光の輝度分布の概ね均一となる部分である。また、「概ね均一」とは、観察者が認識できない程度の輝度差を含む。
【0009】
前記プロジェクターにおいて、前記色分離光学系は、前記光源から射出された光を第1の色光および第2の色光を含む第1の光線束と第3の色光および第4の色光を含む第2の光線束とに分離する第1の光線束分離光学系と、前記第1の光線束を前記第1の色光と前記第2の色光とに分離するとともに、前記第1の色光と前記第2の色光とを、前記光源から射出された光の光軸と前記第1の光線束の光軸とを含む平面と交差する方向に射出する第2の光線束分離光学系と、前記第2の光線束を前記第3の色光と前記第4の色光とに分離するとともに、前記第3の色光と前記第4の色光とを、前記平面と交差する方向に射出する第3の光線束分離光学系と、を含み、前記第1の色光ないし前記第4の色光のうち前記光源と前記光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光の光路中には前記反射曲面が設けられていてもよい。
【0010】
光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成においては、光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成に比べて、光路長が最短となる色光と光路長が最長となる色光との光路差が大きくなる。当該光路差の顕著な違いに起因して、例えば、光路長が最短となる色光についての集光光学系の焦点位置を基準にした場合、光路長が最長となる色光についての集光光学系の焦点位置が基準から大きくずれてしまう。そのため、反射曲面を含まない構成であると、光路長が最短となる色光の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域とほぼ一致するように、光路長が最短となる色光についての集光光学系の焦点位置を調整しても、光路長が最長となる色光については輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域に含まれてしまう。
これに対し、本発明のプロジェクターによれば、光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成において、照明むらの低減を実現することができる。例えば、第1の色光を光路長が最短となる色光とし、第4の色光を光路長が最長となる色光とした場合、光路長が最長となる第4の色光が反射曲面で反射される。当該第4の色光についての集光光学系の焦点位置の調整は、第1の色光についての集光光学系の焦点位置と異なるように調整される。これにより、光変調パネルに照射される光路長が最も長い色光の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域の面積との差が小さくなる。よって、照明むらを低減することができる。
【0011】
前記プロジェクターにおいて、前記第1の光線束分離光学系は、前記第1の光線束を反射させるとともに前記第2の光線束を透過させる第1のダイクロイックミラーと、前記第2の光線束を反射させる第1の反射ミラーと、を含み、前記第2の光線束分離光学系は、前記第1の色光を反射させるとともに前記第2の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、前記第2の色光を反射させる第2の反射ミラーと、を含み、前記第3の光線束分離光学系は、前記第3の色光を反射させるとともに前記第4の色光を透過させる第3のダイクロイックミラーと、前記第4の色光を反射させる第3の反射ミラーと、を含み、前記第1の反射ミラーないし前記第3の反射ミラーのうち少なくとも1つが前記反射曲面であってもよい。
【0012】
このプロジェクターによれば、第1〜第3の光線束分離光学系がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーを含む構成で、照明むらの低減を実現することができる。
【0013】
前記プロジェクターにおいて、前記色分離光学系は、前記光源から射出された光を第1の色光および第2の色光を含む第1の光線束と第3の色光および第4の色光を含む第2の光線束とに分離する第1の光線束分離光学系と、前記第1の光線束を前記第1の色光と前記第2の色光とに分離し、前記第2の光線束を前記第3の色光と前記第4の色光とに分離するとともに、前記第1の色光と前記第2の色光と前記第3の色光と前記第4の色光とを、前記光源から射出された光の光軸と前記第1の光線束の光軸とを含む平面と交差する方向に射出する第2の光線束分離光学系と、を含み、前記第1の色光ないし前記第4の色光のうち前記光源と前記光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光の光路中には前記反射曲面が設けられていてもよい。
【0014】
このプロジェクターによれば、光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成において、照明むらの低減を実現することができる。また、プロジェクターが2つの光線束分離光学系を含んで構成されるので、第1〜第3の光線束分離光学系を含む構成に比べて、光学系の構成が簡素となる。よって、プロジェクターの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0015】
前記プロジェクターにおいて、前記第1の光線束分離光学系は、前記第1の光線束を反射させるとともに前記第2の光線束を透過させる第1のダイクロイックミラーと、前記第2の光線束を反射させる第1の反射ミラーと、を含み、前記第2の光線束分離光学系は、前記第1の色光および前記第3の色光を反射させるとともに前記第2の色光および前記第4の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、前記第2の色光および前記第4の色光を反射させる第2の反射ミラーと、を含み、前記第1の反射ミラーと前記第2の反射ミラーのうち少なくとも1つが前記反射曲面であってもよい。
【0016】
このプロジェクターによれば、第1の光線束分離光学系及び第2の光線束分離光学系各々がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーを含む構成で、照明むらの低減を実現することができる。また、3つの光線束分離光学系がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーを含む構成に比べて、光学系の構成が簡素となる。よって、プロジェクターの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0017】
前記プロジェクターにおいて、前記第1の光線束分離光学系は、第1主面と当該第1主面に対向する第2主面とを有する光線束分離素子を含み、前記第1主面が前記第1の光線束を反射させるとともに前記第2の光線束を透過させ、前記第2主面が前記第2の光線束を反射させ、前記第2主面が前記反射曲面であってもよい。
【0018】
このプロジェクターによれば、第1の光線束分離光学系が1つの光線束分離素子で構成される。そのため、光学系の省スペース化を図り、これにより、プロジェクターの小型化を図ることができる。
これに対して、第1の光線束分離光学系がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーで構成された場合には、部品点数が増える。また、ダイクロイックミラーの厚みと反射ミラーの厚みに加え、ダイクロイックミラーと反射ミラーとが所定の距離だけ離間して配置される。そのため、広いスペースが必要となる。
【0019】
前記プロジェクターにおいて、前記反射曲面は、凸面の反射曲面であることが望ましい。
【0020】
このプロジェクターによれば、光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成において、例えば、第1の色光を光路長が最短となる色光とし、第4の色光を光路長が最長となる色光とした場合、光路長が最長となる第4の色光が凸面で反射される。第4の色光は、凸面で反射された後、凸面に入射する前に比べて光線束が拡がる。そのため、第4の色光が光変調パネルに集光される領域が大きくなる。よって、反射曲面を凸面とすることで、光変調パネルに照射される光路長が最も長い色光の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域の面積との差を小さくしやすくなる。
【0021】
前記プロジェクターにおいて、前記光変調パネルは複数のサブ画素からなる画素を有し、前記光変調パネルの前記複数種類の色光が入射する側にはマイクロレンズアレイが配置されており、前記マイクロレンズアレイは、2行2列の4つの前記サブ画素につき1つのマイクロレンズを備えて構成されていてもよい。
【0022】
このプロジェクターによれば、マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズと画素を構成する4つのサブ画素とが1対1で対応する。二次元的に4つの光に分離して射出された光は、二次元的に4つの光から所定のマイクロレンズに入射され、当該マイクロレンズで収束された後、光変調パネルの画素を通過し、画像信号に応じて変調される。よって、光の利用効率を向上させることができる。
また、サブ画素が2行2列であるため、マイクロレンズの光軸と当該マイクロレンズに入射する各色光とのなす角が小さくなる。よって、マイクロレンズの収差が低減される。
【0023】
前記プロジェクターにおいて、前記色分離光学系は、前記光源から射出された光のうち第1の色光を反射させるとともに第2の色光と第3の色光とを透過させる第1のダイクロイックミラーと、前記第2の色光を反射させるとともに前記第3の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、前記第3の色光を反射させる反射面と、を含み、前記反射面が前記反射曲面であってもよい。
【0024】
光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成においては、光路長が最短となる第1の色光についての集光光学系の焦点位置を基準にした場合、光路長が最長となる第3の色光についての集光光学系の焦点位置が基準からずれてしまう。そのため、反射曲面を含まない構成の場合には、第1の色光と第3の色光とで光変調パネルに集光される領域が互いに異なってしまう。これにより、第1の色光と第3の色光とで光変調パネルの表示領域における輝度分布が異なってしまう。
これに対し、本発明のプロジェクターによれば、光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成において、照明むらの低減を実現することができる。例えば、第1の色光を赤色光、第2の色光を緑色光、第3の色光を青色光とした場合、光路長が最長となる青色光が反射曲面で反射される。当該青色光についての集光光学系の焦点位置の調整は、光路長が最短となる赤色光についての集光光学系の焦点位置と概ね等しくなるように調整する。これにより、光変調パネルに照射される光路長が最も長い色光の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域の面積との差が小さくなる。このように、青色光と赤色光との間の光路長の差に起因する照明むらを低減することができる。
【0025】
前記プロジェクターにおいて、前記反射曲面は、凹面の反射曲面であることが望ましい。
【0026】
このプロジェクターによれば、光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成において、光路長が最長となる第3の色光が凹面で反射される。第3の色光は、凹面で反射された後、凹面に入射する前に比べて光線束が絞られる。そのため、第3の色光が光変調パネルに集光される領域が小さくなる。光路長が最短となる第1の色光についての集光光学系の焦点位置を基準にした場合、当該第1の色光が光変調パネルに集光される領域は小さく設定されるところ、第3の色光が光変調パネルに集光される領域も小さくされるので、第1の色光の集光領域と第3の色光の集光領域とは概ね等しくなる。よって、反射曲面を凹面とすることで、第3の色光についての集光光学系の焦点位置を、第1の色光についての集光光学系の焦点位置と概ね等しくなるよう調整しやすくなる。これにより、光変調パネルに照射される光路長が最も長い色光の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域の面積との差を小さくしやすくなる。
【0027】
前記プロジェクターにおいて、前記光変調パネルは複数のサブ画素からなる画素を有し、前記光変調パネルの前記複数種類の色光が入射する側にはマイクロレンズアレイが配置されており、前記マイクロレンズアレイは、3つの前記サブ画素につき1つのマイクロレンズを備えて構成されていることが望ましい。
【0028】
このプロジェクターによれば、マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズと画素を構成する3つのサブ画素とが1対1で対応する。一次元的に3つの光に分離して射出された光は、3方向から所定のマイクロレンズに入射され、当該マイクロレンズで収束された後、光変調パネルの画素を通過し、画像信号に応じて変調される。よって、光の利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロジェクターを示す模式図である。
【図2】同、色分離光学系を示す斜視図である。
【図3】同、色分離の様子を示す模式図である。
【図4】同、マイクロレンズとサブ画素との対応関係を説明するための図である。
【図5】同、色分離光学系を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。
【図6】同、色分離光学系から射出される光の光強度分布を示す図である。
【図7】比較例の色分離光学系を示す斜視図である。
【図8】同、色分離光学系を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。
【図9】同、色分離光学系から射出される光の光強度分布を示す図である。
【図10】同、第1の光線束分離光学系の第1変形例を示す模式図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る第1の光線束分離光学系を示す模式図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係るプロジェクターを示す模式図である。
【図13】同、色分離光学系を示す模式図である。
【図14】同、マイクロレンズとサブ画素との対応関係を説明するための図である。
【図15】同、色分離光学系を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。
【図16】同、色分離光学系から射出される光の光強度分布を示す図である。
【図17】比較例の色分離光学系を示す模式図である。
【図18】同、色分離光学系を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。
【図19】同、色分離光学系から射出される光の光強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0031】
[第1実施形態]
本発明のプロジェクターの一実施形態について、図1から図11を参照して説明する。
本実施形態においては、プロジェクター1として光変調パネルで生成された画像情報を含む色光を投写光学系を介してスクリーン(被投写面)上に投写する投写型のプロジェクターを例に挙げて説明する。
【0032】
なお、以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。本実施形態においては、光源10から射出される光の光軸に平行な方向をX方向としており、X方向に直交する2方向をY方向、Z方向としている。
【0033】
図1は本実施形態に係るプロジェクター1の概略構成を示す図である。図1(a)はプロジェクター1の側面図であり、図1(b)はプロジェクター1の平面図である。図1に示すように、プロジェクター1は、可視光を含む光Wを射出する光源10と、光源10から射出された光Wを集光する集光光学系20と、集光光学系20で集光された光を変調する光変調パネル60と、光変調パネル60で生成された画像情報を含む色光をスクリーン(図示略)に投写する投写光学系(投写レンズ)70と、を備えている。なお、光変調パネル60は、例えば液晶パネルである。
【0034】
光源10は、放射状に光線を射出する光源ランプ11と、光源ランプ11から放射された光線を一方向(+X方向)に向けて射出するリフレクター12とを備えている。なお、光源ランプ11としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等を、又、リフレクター12としては、方物面リフレクター、楕円面リフレクター、球面リフレクター等を使用することができる。
【0035】
集光光学系20は、光源10から射出された非偏光をひとつの偏光状態の光に変換するための偏光変換光学系30と、偏光変換光学系30から射出された光を複数種類の色光に分離する色分離光学系40と、色分離光学系40からの色光を略平行化して射出するフィールドレンズ50と、を備えている。
【0036】
偏光変換光学系30は、光源10から射出された光Wを略平行化して射出する凹レンズ31と、凹レンズ31から射出された光を複数の部分光線束に分割するための複数の第1小レンズを有する第1レンズアレイ32と、第1レンズアレイ32の複数の第1小レンズに対応する複数の第2小レンズを有する第2レンズアレイ33と、第2レンズアレイ33からの各部分光線束を第1偏光成分を有する光(例えばp偏光)に偏光変換して射出する偏光ビームスプリッタアレイ(偏光分離素子)34と、偏光ビームスプリッタアレイ34からの各部分光線束を光変調パネル60で重畳する重畳レンズ35と、を備えている。
【0037】
図2は、本実施形態の色分離光学系40を示す斜視図である。
図2に示すように、色分離光学系40は、第1の光線束分離光学系41と、第2の光線束分離光学系44とを備えている。第1の光線束分離光学系41は、光源10から射出された光W(白色光)を第1の光線束(G+B)と第2の光線束(R+Y)とに分離する。第1の光線束(G+B)は、第1の色光(緑色光G)と第2の色光(青色光B)とを含み、第2の光線束(R+Y)は、第3の色光(赤色光R)と第4の色光(黄色光Y)とを含む。ここで、光源10から射出された光Wの光軸方向をX軸方向とし、光源10から射出された光Wの光軸と第1の光線束(G+B)の光軸とを含む面がXZ面となるように、XYZ座標系を設定する。
第2の光線束分離光学系44は、第1の光線束(G+B)を第1の色光(緑色光G)と第2の色光(青色光B)とに分離し、第1の色光(緑色光G)と第2の色光(青色光B)とをXZ平面と交差する方向に射出する。さらに、第2の光線束分離光学系44は、第2の光線束(R+Y)を第3の色光(赤色光R)と第4の色光(黄色光Y)とに分離し、第3の色光(赤色光R)と第4の色光(黄色光Y)とをXZ平面と交差する方向に射出する。
【0038】
ここで、図2及び図3中の青色光Bとして概ね380nm〜520nmの波長域の光を、緑色光Gとして概ね520nm〜560nmの波長域の光を、黄色光Yとして概ね560nm〜600nmの波長域の光を、赤色光Rとして概ね600nm〜780nmの波長域の光を想定しているが、これに限定されない。
【0039】
一般に、緑色光に対する人間の視覚感度は高い。緑色光が鑑賞時の解像度感に大きな影響を及ぼすことを考慮すると、緑色光を2つの波長域に分離して、それぞれを独立に変調することが望ましい。本実施形態では、520nm〜560nmの波長域の光である短波長側の緑色光(青味がかった緑色光)を緑色光Gとし、560nm〜600nmの波長域の光である長波長側の緑色光(黄色味がかった緑色光)を黄色光Yとしている。緑色光G、黄色光Yを独立に変調することで、色表現域の拡大と視聴時における解像度感の向上を実現している。
【0040】
第1の光線束分離光学系41は、第1のダイクロイックミラー42と、第1の反射ミラー43とを備えている。第1のダイクロイックミラー42は、第1の光線束(G+B)を反射させるとともに第2の光線束(R+Y)を透過させるミラーである。第1の反射ミラー43は、第2の光線束(R+Y)を反射させるミラーである。
第2の光線束分離光学系44は、第2のダイクロイックミラー45と、第2の反射ミラー46とを備えている。第2のダイクロイックミラー45は、緑色光Gおよび赤色光Rを反射させるとともに青色光Bおよび黄色光Yを透過させるミラーである。第2の反射ミラー46は、青色光Bおよび黄色光Yを反射させるミラーである。
【0041】
第1のダイクロイックミラー42と第1の反射ミラー43とは、光源10から射出された光Wの第1のダイクロイックミラー42への入射角度が、光源10から射出された光Wの第1の反射ミラー43への入射角度と異なるように配置されている。例えば、図1(a)に示したようにXZ平面でX軸に対して45°をなすような仮想の軸Q1を設定したとき、軸Q1を対称軸として、第1のダイクロイックミラー42は第1の反射ミラー43に対して傾いている。図1(a)では、+X方向へいくほど、また−Z方向へいくほど第1のダイクロイックミラー42と第1の反射ミラー43との間隔が狭くなるように、ダイクロイックミラー42と第1の反射ミラー43が配置されている。
【0042】
したがって、第1のダイクロイックミラー42で反射された第1の光線束(G+B)と第1の反射ミラー43で反射された第2の光線束(R+Y)は、XZ平面上で互いに僅かに異なる2つの方向に射出される。例えば、第1のダイクロイックミラー42は、当該第1のダイクロイックミラー42で反射された第1の光線束(G+B)がZ軸に対して7°をなすように配置されている(図1(a)に示すθ1=7°)。第1の反射ミラー43は、当該第1の反射ミラー43で反射された第2の光線束(R+Y)がZ軸に対して7°をなすように配置されている(図1(a)に示すθ2=7°)。
【0043】
第2のダイクロイックミラー45と第2の反射ミラー46とは、第1の光線束(G+B)の第2のダイクロイックミラー45への入射角度が、第1の光線束(G+B)の第2の反射ミラー46への入射角度と異なるように配置されている。また、第2の光線束(R+Y)の第2のダイクロイックミラー45への入射角度は、第2の光線束(R+Y)の第2の反射ミラー46への入射角度と異なる。例えば、図示しない仮想軸Q2を設定したとき、軸Q2を対称軸として、第2のダイクロイックミラー45は第2の反射ミラー46に対して傾いている。
【0044】
したがって、緑色光Gと赤色光Rと青色光Bと黄色光Yとは、互いに僅かに異なる方向に射出される。例えば、第2のダイクロイックミラー45は、当該第2のダイクロイックミラー45で反射された緑色光Gおよび赤色光RがY軸に対して7°をなすように配置されている(図1(b)に示すθ3=7°)。第2の反射ミラー46は、当該第2の反射ミラー46で反射された青色光Bおよび黄色光YがY軸に対して7°をなすように配置されている(図1(b)に示すθ4=7°)。これにより、緑色光Gと赤色光Rと青色光Bと黄色光Yとは、互いに異なる角度で光変調パネル60に入射する。
【0045】
図3は、本実施形態の色分離光学系40における色分離の様子を示す模式図である。
図3においては、便宜上、マイクロレンズアレイを構成する複数のマイクロレンズのうち1つのマイクロレンズ61Aに対応した色分離の様子を示している。
【0046】
図3に示すように、光源10から射出された光W(白色光)は、第1の光線束分離光学系41により、第1の光線束G+Bと第2の光線束R+Yとに分離される。そして、当該第1の光線束G+Bと第2の光線束R+Yとは、第2の光線束分離光学系44により、緑色光G、青色光B、赤色光R、及び黄色光Yに分離される。
【0047】
ところで、光源からの光を、上記のような第1の光線束分離光学系41と第2の光線束分離光学系44とによって、二次元的に4つの光に分離して射出する構成においては、例えば特許文献1に示すように光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成に比べて、光路長が最短となる色光と光路長が最長となる色光との間で光路差が大きくなる。当該光路差の顕著な違いに起因して、例えば、光路長が最短となる色光についての集光光学系の焦点位置を基準位置にした場合、光路長が最長となる色光についての集光光学系の焦点位置が基準位置から大きくずれてしまう。
【0048】
図7は、図2に対応した、比較例の色分離光学系140を示す斜視図である。図7において、符号141は第1の光線束分離光学系、符号142は第1のダイクロイックミラー、符号143は第1の反射ミラー、符号144は第2の光線束分離光学系、符号145は第2のダイクロイックミラー、符号146は第2の反射ミラーである。
第1のダイクロイックミラー142は、第1の光線束(G+B)を反射させるとともに第2の光線束(R+Y)を透過させるミラーである。第1の反射ミラー143は、第2の光線束(R+Y)を反射させるミラーである。
第2のダイクロイックミラー145は、緑色光Gおよび赤色光Rを反射させるとともに青色光Bおよび黄色光Yを透過させるミラーである。第2の反射ミラー146は、青色光Bおよび黄色光Yを反射させるミラーである。
【0049】
光源(図示略)から射出された光Wは第1の光線束分離光学系141及び第2の光線束分離光学系144により4種類の色光(緑色光G、青色光B、赤色光R、黄色光Y)に分離されて光変調パネル(図示略)に向けて射出される。
【0050】
これら4種類の色光のうち、光源と光変調パネルとの間の光路長が最も短い色光は第1のダイクロイックミラー142及び第2のダイクロイックミラー145で反射された色光(第1のダイクロイックミラー142及び第2のダイクロイックミラー145を透過しない色光)である。一方、光源と光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光は第1の反射ミラー143及び第2の反射ミラー146で反射された色光(第1のダイクロイックミラー142及び第2のダイクロイックミラー145を透過した色光)である。
【0051】
図7に示した例では、光路長が最短となる色光は緑色光Gであり、光路長が最長となる色光は黄色光Yである。
【0052】
図8は、比較例の色分離光学系140を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。図8は光路長の違いによる照明マージンの差を示しており、図8(a)は光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の照明領域、図8(b)は光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の照明領域を示している。図8(a)及び(b)において、符号SAは光変調パネルの表示領域である。
図9は、比較例の色分離光学系140から射出される光の光強度分布を示す図である。図9(a)は光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の光強度分布であり、図9(b)は光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の光強度分布である。
【0053】
図8(a)に示すように、光変調パネルの表示領域SAが、光路長が最短の色光(緑色光G)の輝度分布にむらが生じていない部分に含まれるように、緑色光Gに対する集光光学系20の焦点位置を調整したとする。光の輝度分布にむらが生じていない部分とは、光の輝度分布が概ね均一な部分を意味する。例えば、光変調パネルにおける光の輝度分布がトップハット形状(フラットトップ形状ともいう)の場合には、当該トップハット形状の頂部の平坦部分が光の輝度分布の概ね均一となる部分である。また、「概ね均一」とは、観察者が認識できない程度の輝度差を含む。
【0054】
なお、当該トップハット形状の輝度分布を持つ光のうち所定の割合の光が表示領域SA内を照明する。例えば、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)のうち48.66%の光が表示領域SA内を照明する。
【0055】
図9(a)に示すように、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の輝度分布はトップハット形状となっている。当該トップハット形状の頂部の平坦部分は強度分布(輝度分布)が概ね均一となっている。光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)については、表示領域SAが輝度分布の概ね均一となる部分に含まれており、輝度分布の不均一な部分は表示領域SAに含まれない。
【0056】
一方、図8(b)に示すように、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については、輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれてしまう。
【0057】
ここで、本実施例のように光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成においては、色分離光学系が複数(2つ)の光線束分離光学系を含む。このため、光源からの光は、当該色分離光学系で導光される過程で、少なくとも2回反射される。
一方、特許文献1のように光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成においては、色分離光学系が2つのダイクロイックミラーと1つの反射ミラーとからなる。このため、光源からの光は、当該色分離光学系で導光される過程での反射回数は1回となる。
したがって、光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成の場合は、光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成に比べて、光路長が最短となる色光と光路長が最長となる色光との間での光路差が顕著となる。
【0058】
このように、光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成において、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれてしまうのは、光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成に比べて、光路長が最短となる色光と光路長が最長となる色光との間での光路差が顕著となることに起因する。
【0059】
なお、当該光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)のうち所定の割合の光が表示領域SA内を照明する。例えば、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)のうち40.31%の光が表示領域SA内を照明する。
【0060】
図9(b)に示すように、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布は図9(a)に示したトップハット形状に比べて頂部の平坦部分が小さく、エッジがよりなだらかな形状となっている。光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については、輝度分布の概ね均一となる部分だけでなく輝度分布の不均一な部分も表示領域SAに含まれている。
【0061】
このように、比較例の色分離光学系140を用いた場合、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致するように、緑色光Gに対する集光光学系20の焦点位置を調整しても、光路長の違いによる照明マージンの差に起因して、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれてしまう。そのため、光変調パネルの表示領域SAの中央部分は明るく、周辺部分は暗いといった輝度分布の差(照明むら)が生じてしまう。
【0062】
そこで、本実施形態では、複数種類の色光のうち、少なくとも光源と光変調パネルの間の光路長が最も長い色光の光路中に、反射曲面を設けている。反射曲面は、自身の曲率により当該色光についての集光光学系の焦点位置を調整する。
【0063】
具体的には、図2に示すように、色分離光学系40において、緑色光Gと赤色光Rと青色光Bと黄色光Yのうち光源10と光変調パネル60との間の光路長が最も長い色光(黄色光Y)の光路中には反射曲面43fと反射曲面46fとが設けられている。
反射曲面43fと反射曲面46fとは、光路長の違いによる集光光学系20の焦点位置の違いを緩和する機能を有する。
【0064】
本実施形態においては、第1の反射ミラー43に反射曲面43fが設けられており、第2の反射ミラー46にも反射曲面46fが設けられている。第1の反射ミラー43の反射曲面43f及び第2の反射ミラー46の反射曲面46fの双方の反射曲面は、光を反射する側の面が凸面の反射曲面となっている。
【0065】
図5は、本実施形態の色分離光学系40を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。図5は、図8(b)に対応した、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の照明領域を示している。図5において、符号SAは光変調パネルの表示領域である。
図6は、本実施形態の色分離光学系40から射出される光の光強度分布を示す図である。図6は、図9(b)に対応した、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の光強度分布である。
【0066】
本実施形態の色分離光学系40を用いた場合には、図5に示すように、光路長が最長となる色光(黄色光Y)についても、光変調パネルの表示領域SAが輝度分布の概ね均一となる部分に含まれるようにすることができる。本実施形態では、光路長が最長となる第4の色光Yが反射曲面43fと反射曲面46fとで反射される。反射曲面43fの曲率と反射曲面46fの曲率を調整することによって、当該黄色光Yについての集光光学系の焦点位置を緑色光Gについての集光光学系の焦点位置と異ならせることができる。具体的には、光線束は、凸面からなる反射曲面によって反射されることによって広げられる。従って、黄色光Yの光線束は、黄色光Yが反射曲面43fによって反射され、さらに反射曲面46fによって反射されることによって広げられる。そのため、黄色光Yが光変調パネルに集光される領域が大きくなる。これにより、光路長が最長となる色光(黄色光Y)についても、光変調パネルの表示領域SAが輝度分布の概ね均一となる部分に含まれるようにすることができる。
【0067】
なお、本実施形態においては、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)のうち37.31%が表示領域SA内を照明する。
【0068】
図6に示すように、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布は図9(b)に示した形状と同様にエッジがなだらかな形状となっているものの、頂部の平坦部分の面積は大きくなっている。光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については、表示領域SAが輝度分布の概ね均一となる部分に含まれており、輝度分布の不均一な部分は表示領域SAに含まれない。
【0069】
このように、本実施形態の色分離光学系40を用いた場合、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致するように、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)についての集光光学系20の焦点位置を調整しても、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれないようにすることが可能である。あるいは、輝度分布が不均一な部分のうち光変調パネルの表示領域SAに含まれる割合を低減することが可能である。このように、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくすることができる。そのため、光変調パネルの表示領域SA全体で明るい、輝度分布な均一な画像が得られる。
【0070】
図1(b)に戻り、色分離光学系40で色分離された色光はフィールドレンズ50により略平行化された状態で光変調パネル60に向けて射出される。
【0071】
図4は、本実施形態の光変調パネル60が備えるマイクロレンズとサブ画素との対応関係を説明するための図である。図4においては、便宜上、4種類の色光のうち緑色光G及び青色光Bが導光される様子を図4(a)で示し、赤色光R及び黄色光Yが導光される様子を図4(b)で示している。また、便宜上、光変調パネル60を構成する画素およびマイクロレンズアレイ61のみを図示し、その他の構成部品の図示を省略している。また、光変調パネル60を構成する複数の画素のうち1個の画素Pを図示してある。サブ画素Prとサブ画素Pgとサブ画素Pbとサブ画素Pyとが1個の画素Pを構成する。サブ画素Prとサブ画素Pgとサブ画素Pbとサブ画素Pyとは、2行2列に二次元的に配置されている。図4(a)において、符号Lgは緑色のサブ画素Pgへの緑色光Gの入射光軸、符号Lbは青色のサブ画素Pbへの青色光Bの入射光軸である。図4(b)において、符号Lrは赤色のサブ画素Prへの赤色光Rの入射光軸、符号Lyは黄色のサブ画素Pyへの黄色光Yの入射光軸である。
【0072】
図4(a)及び(b)に示すように、色光Lg、色光Lb、色光Lr、色光Lyの各々は、フィールドレンズ50により平行化されて光変調パネル60に入射する。光変調パネル60に入射する色光Lg、色光Lb、色光Lr、色光Lyは、光軸が互いに非平行になっている。
【0073】
サブ画素Pgは第1の色光Lgに対応しており、サブ画素Pbは第2の色光Lbに、サブ画素Prは第3の色光Lrに、サブ画素Pyは第4の色光Lyにそれぞれ対応している。光変調パネル60に入射した色光Lg、色光Lb、色光Lr、色光Lyの各々は、マイクロレンズアレイ61により集光され、対応するサブ画素に入射する。
【0074】
図3の右図に示すように、マイクロレンズアレイ61は、2行2列の4つのサブ画素につき1つのマイクロレンズ61Aを備えて構成されている。色光Lg、色光Lb、色光Lr、色光Lyは、独立して変調されて光変調パネル60から射出される。光変調パネル60から射出された光は、図1(b)に示す投射レンズ70によりスクリーン(図示略)に拡大投射される。
【0075】
本実施形態のプロジェクター1によれば、所定の曲率を有する反射曲面43fと所定の曲率を有する反射曲面46fにより、光源10と光変調パネル60との間の光路長が最長の色光についての集光光学系20の焦点位置が調整される。例えば、当該色光についての集光光学系20の焦点位置を、当該色光の輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれないように、あるいは、当該色光の輝度分布が不均一な部分のうち光変調パネルの表示領域SAに含まれる割合を小さくするように調整する。このため、分離された複数の色光の間で、光変調パネル60における光束の太さの差を小さくしたり、光変調パネル60の表示領域SAにおける輝度分布の差を小さくしたりすることが可能である。よって、照明むらを低減することが可能なプロジェクター1を提供することができる。
【0076】
また、この構成によれば、光源10からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成において、照明むらの低減を実現することができる。例えば、第1の色光Gを光路長が最短となる色光とし、第4の色光Yを光路長が最長となる色光とした場合、光路長が最長となる第4の色光Yが反射曲面43fと反射曲面46fで反射される。当該第4の色光Yについての集光光学系20の焦点位置の調整は、第1の色光Gについての集光光学系20の焦点位置と異なるように調整される。これにより、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致するように、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)についての集光光学系20の焦点位置を調整しても、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれないようにすることが可能である。あるいは、輝度分布が不均一な部分のうち光変調パネルの表示領域SAに含まれる割合を低減することが可能である。このように、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくすることができる。よって、照明むらを低減することができる。
【0077】
また、この構成によれば、プロジェクター1が2つの光線束分離光学系41,44を含んで構成されるので、第1〜第3の光線束分離光学系を含む構成に比べて、光学系の構成が簡素となる。よって、プロジェクター1の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0078】
また、この構成によれば、第1の光線束分離光学系41及び第2の光線束分離光学系44がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーを含む構成で、照明むらの低減を実現することができる。また、3つの光線束分離光学系がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーを含む構成に比べて、光学系の構成が簡素となる。よって、プロジェクター1の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0079】
また、この構成によれば、光源10からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成において、例えば、第1の色光Gを光路長が最短となる色光とし、第4の色光Yを光路長が最長となる色光とした場合、光路長が最長となる第4の色光Yが凸面で反射される。第4の色光Yは、凸面で反射された後、凸面に入射する前に比べて光線束が拡がる。そのため、第4の色光Yが光変調パネル60に集光される領域が大きくなる。よって、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致するように、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)についての集光光学系20の焦点位置を調整しても、凸面を有する反射曲面43fと反射曲面46fを用いることによって、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれないようにすることが可能である。あるいは、輝度分布が不均一な部分のうち光変調パネルの表示領域SAに含まれる割合を低減することが可能である。このように、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくすることができる。
【0080】
また、この構成によれば、マイクロレンズアレイ61を構成する一のマイクロレンズ61Aと4つのサブ画素Pg,Pb,Pr,Pyからなる一の画素Pとが1対1で対応する。色光Lg、色光Lb、色光Lr、色光Lyは、4方向から所定のマイクロレンズ61Aに入射され、当該マイクロレンズ61Aで収束された後、光変調パネル60の画素を通過し、画像信号に応じて変調される。よって、光の利用効率を向上させることができる。
また、サブ画素Pg,Pb,Pr,Pyが2行2列で配置されているため、マイクロレンズ61Aの光軸と当該マイクロレンズ61Aに入射する各色光とのなす角が小さくなる。よって、マイクロレンズ61Aの収差が低減される。
【0081】
なお、本実施形態に係るプロジェクター1では、プロジェクター1が2つの光線束分離光学系(第1の光線束分離光学系41及び第2の光線束分離光学系44)を含んで構成されているが、これに限らない。例えば、プロジェクターが第1〜第3の光線束分離光学系を含んで構成されていてもよい。
【0082】
この場合、第1の光線束分離光学系は、第1の光線束を反射させるとともに第2の光線束を透過させる第1のダイクロイックミラーと、第2の光線束を反射させる第1の反射ミラーと、を含む構成を採用することができる。第2の光線束分離光学系は、第1の色光を反射させるとともに第2の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、第2の色光を反射させる第2の反射ミラーと、を含む構成を採用することができる。第3の光線束分離光学系は、第3の色光を反射させるとともに第4の色光を透過させる第3のダイクロイックミラーと、第4の色光を反射させる第3の反射ミラーと、を含む構成を採用することができる。そして、第1の反射ミラーないし第3の反射ミラーのうち少なくとも1つに反射曲面が設けられる構成とされる。
このプロジェクターによれば、第1〜第3の光線束分離光学系がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーを含む構成で、照明むらの低減を実現することができる。
【0083】
また、本実施形態に係るプロジェクター1では、第1のダイクロイックミラー42が第1の光線束(G+B)を反射させるとともに第2の光線束(R+Y)を透過させるミラーであり、第2のダイクロイックミラー45が緑色光Gおよび赤色光Rを反射させるとともに青色光Bおよび黄色光Yを透過させるミラーであるが、これに限らない。各ダイクロイックミラーの分光特性はその配置状態や光変調パネルにおける色光の入射方向の設定状態に応じて適宜設定すればよい。例えば、第1のダイクロイックミラー42は第2の光線束(R+Y)を反射させるとともに第1の光線束(G+B)を透過させるミラーであっても良い。また、第2のダイクロイックミラー45は、青色光Bおよび黄色光Yを反射させるとともに緑色光Gおよび赤色光Rを透過させるミラーであっても良い。
【0084】
また、本実施形態に係るプロジェクター1では、第1の反射ミラー43及び第2の反射ミラー46の双方の反射ミラーに反射曲面が設けられているが、これに限らない。例えば、第1の反射ミラーのみに反射曲面が設けられていてもよいし、第2の反射ミラーのみに反射曲面が設けられていてもよい。すなわち、第1の反射ミラーと第2の反射ミラーのうち少なくとも一方に反射曲面が設けられていればよい。
【0085】
(第1実施形態に係る第1の光線束分離光学系の変形例1)
図10は、第1実施形態に係る第1の光線束分離光学系の第1変形例を示す模式図である。
図10に示すように、本変形例の第1の光線束分離光学系は、第1主面41Af1と当該第1主面41Af1に対向する第2主面41Af2とを有する光線束分離素子41Aからなる。第1の光線束分離光学系以外の構成については、図1で示した構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0086】
本変形例の光線束分離素子41Aは、光源10から射出された光W(白色光)を第1の色光(緑色光G)および第2の色光(青色光B)を含む第1の光線束(G+B)と第3の色光(赤色光R)および第4の色光(黄色光Y)を含む第2の光線束(R+Y)とに分離する。
【0087】
具体的には、光線束分離素子41Aの第1主面41Af1が、第1の光線束(G+B)を反射させるとともに第2の光線束(R+Y)を透過させる面となっている。第2主面41Af2が、第2の光線束(R+Y)を反射させる面となっている。本変形例の光線束分離素子41Aにおいては、第2主面41Af2が、自身の曲率により光源10と光変調パネル60との間の光路長が最も長い色光についての集光光学系の焦点位置を調整する反射曲面として機能する。第2主面41Af2は、第2の光線束(R+Y)が入射する側の面が凸面の反射曲面となっている。
【0088】
本変形例の構成によれば、第1の光線束分離光学系が1つの光線束分離素子41Aで構成される。そのため、光学系の省スペース化を図り、これにより、プロジェクターの小型化を図ることができる。
【0089】
これに対して、図11に示すように、第1の光線束分離光学系がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーで構成された場合には、部品点数が増える。また、ダイクロイックミラーの厚みと反射ミラーの厚みに加え、ダイクロイックミラーと反射ミラーとが所定の距離だけ離間して配置される。そのため、広いスペースが必要となる。
【0090】
[第2実施形態]
図12は、図1(b)に対応した、本発明の第2実施形態に係るプロジェクター2を示す模式図である。
図12に示すように、本実施形態に係るプロジェクター2は、光源10からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する色分離光学系40に替えて光源10からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する色分離光学系80が設けられている点、4分離に対応した光変調パネル60に替えて3分離に対応した光変調パネル90が設けられている点、で上述の第1実施形態に係るプロジェクター1と異なっている。その他の点は、上述の構成と同様であるので、図1(b)と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0091】
図12に示すように、プロジェクター2は、可視光を含む光を射出する光源10と、光源10から射出された光を集光する集光光学系21と、集光光学系21で集光された光を変調する光変調パネル90と、光変調パネル90で生成された画像情報を含む色光をスクリーン(図示略)に投写する投写光学系(投写レンズ)70と、を備えている。
【0092】
集光光学系21は、偏光変換光学系30と、偏光変換光学系30から射出された光を複数種類の色光に分離する色分離光学系80と、色分離光学系80からの色光を略平行化して射出するフィールドレンズ50と、を備えている。
【0093】
色分離光学系80は、第1のダイクロイックミラー81と、第2のダイクロイックミラー82と、反射ミラー83と、を備えている。第1のダイクロイックミラー81は、光源10から射出された光W(白色光)のうち第1の色光(赤色光R)を反射させるとともに第2の色光(緑色光G)及び第3の色光(青色光B)を透過させるミラーである。第2のダイクロイックミラー82は、第2の色光(緑色光G)を反射させるとともに第3の色光(青色光B)を透過させるミラーである。反射ミラー83は、第3の色光(青色光B)を反射させるミラーである。
【0094】
ここで、青色光Bとして概ね380nm〜520nmの波長域の光を、緑色光Gとして概ね520nm〜600nmの波長域の光を、赤色光Rとして概ね600nm〜780nmの波長域の光を想定しているが、これに限定されない。
【0095】
本変形例においては、色分離光学系80により、光源10からの光が一次元的に3つの光に分離される。光源10から射出された光(白色光)は、色分離光学系80により、第1の色光Rと第2の色光Gと第3の色光Bとに分離される。
【0096】
ところで、光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成においては、光路長が最短となる色光についての集光光学系の焦点位置を基準位置にした場合、光路長が最長となる色光についての集光光学系の焦点位置が基準位置からずれてしまう。
【0097】
図17は、比較例の色分離光学系180を示す模式図である。図17(a)は光路長が最短となる色光が導光される様子、図17(c)は光路長が最長となる色光が導光される様子、図17(b)は光路長が最短と最長の間となる色光が導光される様子、を示している。図17(a)〜(c)において、符号135は重畳レンズ、符号181は第1のダイクロイックミラー、符号182は第2のダイクロイックミラー、符号183は反射ミラー、符号190は光変調パネルである。
【0098】
図17(a)に示すように、第1のダイクロイックミラー181は、第1の色光(赤色光R)を反射させるとともに第2の色光(緑色光G)及び第3の色光(青色光B)を透過させるミラーである。図17(b)に示すように、第2のダイクロイックミラー182は、第2の色光(緑色光G)を反射させるとともに第3の色光(青色光B)を透過させるミラーである。図17(c)に示すように、反射ミラー183は、第2の色光(青色光B)を反射させるミラーである。
【0099】
図17(a)〜(c)に示すように、光源(図示略)から射出された光は色分離光学系180により3種類の色光(赤色光R、緑色光G、及び青色光B)に分離されて光変調パネル190に向けて射出される。
【0100】
これら3種類の色光のうち、光源と光変調パネルとの間の光路差が最も短い色光は第1のダイクロイックミラー181で反射された第1の色光R(第1のダイクロイックミラー181を透過しない色光)である。一方、光源と光変調パネルとの間の光路差が最も長い色光は反射ミラー183で反射された第3の色光B(第1のダイクロイックミラー181及び第2のダイクロイックミラー182を透過した色光)である。
【0101】
図18は、比較例の色分離光学系180を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。図18は光路長の違いによる照明マージンの差を示しており、図18(a)は光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)の照明領域、図18(b)は光路長が中となる色光(例えば第2の色光G)の照明領域、図18(c)は光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の照明領域を示している。図18(a)〜(c)において、符号SAは光変調パネルの表示領域である。
図19は、比較例の色分離光学系180から射出される光の光強度分布を示す図である。図19(a)は光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)の光強度分布であり、図19(b)は光路長が中となる色光(例えば第2の色光G)の光強度分布であり、図19(c)は光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の光強度分布である。
【0102】
図18(a)に示すように、光変調パネルの表示領域SAが、光路長が最短の色光例えば第1の色光R)の輝度分布にむらが生じていない部分とほぼ一致するように、第1の色光Rに対する集光光学系21の焦点位置を調整したとする。光の輝度分布にむらが生じていない部分とは、光の輝度分布が概ね均一な部分を意味する。
【0103】
図19(a)に示すように、光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)の輝度分布はトップハット形状となっている。当該トップハット形状の頂部の平坦部分は強度分布(輝度分布)が概ね均一となっている。光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)については、光変調パネルの表示領域SAが、光路長が最短の色光例えば第1の色光R)の輝度分布にむらが生じていない部分とほぼ一致しており、輝度分布の不均一な部分は表示領域SAに含まれない。
【0104】
図18(b)に示すように、光路長が中となる色光(例えば第2の色光G)については、輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれるところ、輝度分布の概ね均一となる部分の一部が表示領域SAからはみ出ている。
【0105】
図19(b)に示すように、光路長が中となる色光(例えば第2の色光G)の輝度分布は、図19(a)に示したトップハット形状に比べて頂部の平坦部分が大きい形状となっている。しかし、当該平坦部分の強度は、図19(a)に示したトップハット形状における平坦部分の強度に比べて小さくなっている。
また、光路長が中となる色光(例えば第2の色光G)については、輝度分布の概ね均一となる部分が表示領域SAに含まれているものの、輝度分布の概ね均一となる部分の一部が表示領域SAからはみ出ている。これにより、図19(a)に示したトップハット形状に比べて表示領域SAに含まれる輝度分布の概ね均一な部分の割合が小さくなっている。
【0106】
図18(c)に示すように、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)については、輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれるところ、輝度分布の概ね均一となる部分の一部が表示領域SAからはみ出している。なお、当該はみ出し部分の割合は、3種類の色光の中で最も大きい。
【0107】
図19(c)に示すように、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の輝度分布は図19(b)に示したトップハット形状に比べて頂部の平坦部分が大きい形状となっている。しかし、当該平坦部分の強度は、図19(b)に示したトップハット形状における平坦部分の強度に比べて小さくなっている。
また、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)については、輝度分布の概ね均一となる部分が表示領域SAに含まれているものの、輝度分布の概ね均一となる部分の一部が表示領域SAからはみ出ている。これにより、図19(b)に示したトップハット形状に比べて表示領域SAに含まれる輝度分布の概ね均一な部分の割合が小さくなっている。なお、当該はみ出し部分の割合は、3種類の色光の中で最も大きい。
【0108】
このように、比較例の色分離光学系180を用いた場合、光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致するように光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)についての集光光学系21の焦点位置を調整した場合、光路長の違いによる照明マージンの差に起因して、特に光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)については輝度分布が均一な部分が光変調パネルの表示領域SAから大きくはみ出てしまう。そのため、当該はみ出し部分が光取り出しのロスとなるばかりでなく、光変調パネルの表示領域SAの明るさが、第1の色光Rにおいては明るく、第3の色光Bについては暗いといった明暗の差(照明むら)が生じてしまう。
【0109】
そこで、本実施形態では、複数種類の色光のうち、少なくとも光源と光変調パネルの間の光路長が最も長い色光の光路中に、反射曲面を設けている。反射曲面は、自身の曲率により当該色光についての集光光学系の焦点位置を調整する。
【0110】
具体的には、図13に示すように、色分離光学系80において、第1の色光Rと第2の色光Gと第3の色光Bのうち光源10と光変調パネル90との間の光路長が最も長い色光(例えば第3の色光B)の光路中には反射曲面83fが設けられている。
反射曲面83fは、照明領域の面積を調整する機能を有する。つまり、反射曲面83fは、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくする機能を有する。これにより、色による明暗の差を緩和することができる。
【0111】
本実施形態においては、反射ミラー83に反射曲面83fが設けられている。反射ミラー83の反射曲面83fは、光を反射する側の面が凹面の反射曲面となっている。
【0112】
図15は、本実施形態の色分離光学系80を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。図15は、図18(c)に対応した、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の照明領域を示している。図15において、符号SAは光変調パネルの表示領域である。
図16は、本実施形態の色分離光学系80から射出される光の光強度分布を示す図である。図16は、図19(c)に対応した、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の光強度分布である。
【0113】
本実施形態の色分離光学系80を用いた場合には、図15に示すように、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の輝度分布の概ね均一となる部分を光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致させることが可能である。本実施形態では、光路長が最長となる第3の色光Bが反射曲面83fで反射される。当該第3の色光Bについての集光光学系の焦点位置の調整は、光路長が最短の第1の色光Rについての集光光学系の焦点位置と概ね一致するように調整される。具体的には、光線束は、凹面からなる反射曲面によって反射されることによって絞られる。従って、第3の色光Bの光線束は、第3の色光Bが反射曲面83fによって反射されることによって絞られる。そのため、第3の色光Bが光変調パネルに集光される領域が小さくなる。反射曲面83fの曲率を適宜調整すれば、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の輝度分布の概ね均一となる部分がすべて光変調パネルの表示領域SAに含まれるよう調整することができる。あるいは、光路長が最長となる色光(第3の色光B)の輝度分布の概ね均一となる部分のうち表示領域SAからはみ出す部分の割合を小さくすることができる。このように、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(第3の色光B)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくすることができる。
【0114】
図16に示すように、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の輝度分布は図19(a)に示した形状と同様のトップハット形状となっている。つまり、頂部の平坦部分については、図19(c)に示した形状に比べて小さくなっている。光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)については、輝度分布の概ね均一となる部分が表示領域SAとほぼ一致しており、輝度分布の不均一な部分は表示領域SAに含まれない。
【0115】
このように、本実施形態の色分離光学系80を用いた場合、光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致するように、光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)についての集光光学系21の焦点位置を設定した場合でも、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)については輝度分布の概ね均一となる部分が表示領域SAからはみ出さない。あるいは、光路長が最長となる色光(第3の色光B)の輝度分布の概ね均一となる部分のうち表示領域SAからはみ出す部分の割合を小さくすることができる。このように、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(第3の色光B)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくすることができる。そのため、光取り出しのロスを回避するとともに、光変調パネルの表示領域SAにおける第1の色光Rの明るさと第2の色光Gの明るさと第3の色光Bの明るさの差を小さくすることができる。
【0116】
図14は、本実施形態のマイクロレンズとサブ画素との対応関係を説明するための図である。図14においては、便宜上、3種類の色光のうち第1の色光Rが導光される様子を図14(a)で示し、第2の色光Gが導光される様子を図14(b)で示し、第3の色光Bが導光される様子を図14(c)で示している。図14(a)において、符号Lrは赤色のサブ画素Prへの第1の色光Rの入射光軸である。図14(b)において、符号Lgは緑色のサブ画素Pgへの第2の色光Gの入射光軸である。図14(c)において、符号Lbは青色のサブ画素Pbへの第3の色光Bの入射光軸である。なお、光変調パネル90は多数の画素を備えているが、図14(a)〜(c)には多数の画素のうちの1つを拡大して示している。光変調パネル90は、例えば液晶パネルである。
【0117】
図14(a)〜(c)に示すように、光変調パネル90の画素Pは、赤色光を射出するサブ画素Pr、緑色光を射出するサブ画素Pg、及び青色光を射出するサブ画素Pbからなっている。サブ画素Pr、Pg、Pbの各々と重なる領域には、画素電極97が設けられている。複数の画素Pと重なる領域に共通電極93が設けられている。
【0118】
画素電極97は島状のものであり、複数の画素電極97の間には遮光部BMが設けられている。複数の画素電極97の各々にスイッチング素子(図示略)が電気的に接続されており、スイッチング素子は信号源(図示略)と電気的に接続されている。スイッチング素子は、遮光部BMと重なる領域に配置されている。信号源は、スイッチング素子に映像信号及び制御信号を供給し、スイッチング素子は制御信号に基づいて映像信号をスイッチングして、画素電極97に映像信号を伝達するようになっている。
【0119】
画素電極97と共通電極93との間に液晶層95が設けられている。液晶層95と画素電極97との間には液晶層の配向状態を制御する配向膜96が設けられている。液晶層95と共通電極93との間には液晶層の配向状態を制御する配向膜94が設けられている。本実施形態の光変調パネル90は、液晶層95に対して共通電極93側から光が入射するようになっている。
【0120】
共通電極93の液晶層95と反対側には透明基板92が設けられている。透明基板92の液晶層95と反対側には、マイクロレンズアレイ91が設けられている。マイクロレンズアレイ91の液晶層95と反対側には、入射側の偏光素子(図示略)が設けられている。画素電極97の液晶層95と反対側には、射出側の偏光素子(図示略)が設けられている。入射側の偏光素子や射出側の偏光素子は、ワイヤーグリッド偏光素子や偏光板等により構成されている。
【0121】
光変調パネル90に入射した光は、所定方向の偏光成分が入射側の偏光素子を通ることにより直線偏光になって、マイクロレンズアレイ91に入射する。マイクロレンズアレイ91は、複数のマイクロレンズを有している。マイクロレンズアレイ91は、3つのサブ画素につき1つのマイクロレンズを備えて構成されている。つまり、複数のマイクロレンズの各々は、複数の画素Pの各々と重なり合うように配置されている。マイクロレンズに入射した波長光Lr、Lg、Lbは、波長ごとに光軸が非平行になっていることにより、波長ごとに異なる焦点に集光される。
【0122】
図14(a)に示すように、赤色光Lrは、サブ画素Prと重なる部分の液晶層95を通るように、マイクロレンズにより集光される。赤色光Lrは、マイクロレンズの中央部を通る成分、端部を通る成分のいずれにおいても拡散角が±3°程度になっている。同様に、緑色光Lgは、サブ画素Pgと重なる部分の液晶層95を通るように集光され(図14(b)参照)、青色光Lbは、サブ画素Pbと重なる部分の液晶層95を通るように集光される(図14(c)参照)。
【0123】
一方、複数の画素電極97の各々に映像信号が伝達されると、画素電極97と共通電極93との間にサブ画素ごとに電界が印加される。この電界により、液晶層95の液晶分子の方位角がサブ画素ごとに制御され、液晶層95を通る光の偏光状態がサブ画素ごとに変化する。サブ画素Prと重なる部分の液晶層95を通った赤色光Lrは偏光状態が変化した後に、赤色光Lrのうちの所定方向の偏光成分が射出側の偏光素子を通ることにより、映像信号に応じた階調の光になる。
【0124】
同様にして、サブ画素Pgと重なる部分の液晶層95を通った緑色光Lg、及びサブ画素Pbと重なる部分の液晶層95を通った青色光Lbも映像信号に応じた諧調の光になる。このように、変調された赤色光Lr、緑色光Lg及び青色光Lbが、光変調パネル90から射出される。光変調パネル90から射出された光は、図12に示す投射レンズ70によりスクリーン(図示略)に拡大投射される。
【0125】
本実施形態のプロジェクター2によれば、光源10からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成において、照明むらの低減を実現することができる。例えば、第1の色光を赤色光R、第2の色光を緑色光G、第3の色光を青色光Bとした場合、光路長が最長となる青色光Bが反射曲面83fで反射される。当該青色光Bについての集光光学系21の焦点位置の調整は、光路長が最短となる赤色光Rについての集光光学系21の焦点位置と概ね等しくなるように調整する。これにより、青色光Bと赤色光Rとの間の光路長の差に起因して起こる、青色光Bによる照明強度と赤色光Rによる照明強度との差を低減することができる。よって、色による照明むらを低減することができる。
【0126】
また、この構成によれば、光源10からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成において、光路長が最長となる第3の色光が凹面を有する反射曲面83fで反射される。第3の色光は、凹面を有する反射曲面83fで反射された後、凹面を有する反射曲面83fに入射する前に比べて光線束が絞られる。そのため、第3の色光が光変調パネル90に集光される領域が小さくなる。光路長が最短の第1の色光の輝度分布の概ね均一となる部分が表示領域SAとほぼ一致するように、第1の色光についての集光光学系21の焦点位置を調整した場合であっても、反射曲面83fの曲率を適宜設定することにより、光路長が最長の第3の色光の輝度分布の概ね均一となる部分を表示領域SAとほぼ一致させることが可能である。このように、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(第3の色光B)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくすることができる。このようにして、色による照明むらを低減することができる。
【0127】
また、この構成によれば、マイクロレンズアレイ91を構成するマイクロレンズと画素Pを構成する3つのサブ画素Pr,Pg,Pbとが1対1で対応する。一次元的に3つの光に分離して射出された光は、3方向から所定のマイクロレンズに入射され、当該マイクロレンズで収束された後、光変調パネル90の画素Pを通過し、画像信号に応じて変調される。よって、光の利用効率を向上させることができる。
【0128】
なお、上述の各実施形態においては、光変調パネルとして透過型の液晶パネル(ライトバルブ)を用いているが、反射型の液晶パネルを用いることもできる。また、例えばDMD(Digital Micromirror Device)等の反射型光変調装置(ミラー変調器)を用いてもよい。
【0129】
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも、適用することができる。
【符号の説明】
【0130】
1,2…プロジェクター、10…光源、20,21…集光光学系、40,80…色分離光学系、41…第1の光線束分離光学系、42…第1のダイクロイックミラー、43…第1の反射ミラー、43f,46f…凸面(反射曲面)、44…第2の光線束分離光学系、45…第2のダイクロイックミラー、46…第2の反射ミラー、60,90…液晶パネル(光変調パネル)、61,91…マイクロレンズアレイ、61A…マイクロレンズ、81…第1のダイクロイックミラー、82…第2のダイクロイックミラー、83…反射ミラー、83f…凹面(反射曲面)、Lg,Lb,Lr,Ly…色光
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターとして、1つの光変調装置を備えた単板式のプロジェクターが知られている。単板式のプロジェクターによれば、3つの光変調装置を備えた三板式のプロジェクターよりも装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0003】
単板式のプロジェクターとしては、例えば特許文献1に開示されているものが挙げられる。特許文献1のプロジェクターは、白色光を異なる複数の波長の光に分離して射出する照明系を有している。分離された複数の波長の光(例えば、赤色光、緑色光、青色光)は、互いの光軸が非平行になった状態で光変調装置に入射する。光変調装置に入射した複数の波長の光の各々は、マイクロレンズアレイによって各波長の光に対応した画素に分配されて変調される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−60538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、分離された複数の波長の光における光源と光変調装置との間の光路長に差が生じる。そのため、分離された複数の波長の光において、光変調装置に集光される領域がそれぞれ異なったり、光変調素子の表示領域における輝度分布が異なったりする。したがって、照明むらが生じてしまう。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、照明むらを低減することが可能なプロジェクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のプロジェクターは、光源と、前記光源から射出された光を集光する集光光学系と、前記集光光学系で集光された光を変調する光変調パネルと、を含み、前記集光光学系には、前記光源から射出された光を複数種類の色光に分離する色分離光学系が含まれており、前記複数種類の色光のうち、少なくとも前記光源と前記光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光の光路中には反射曲面が設けられていることを特徴とする。
【0008】
このプロジェクターによれば、所定の曲率を有する反射曲面により、光源と光変調パネルとの間の光路長が最長の色光についての集光光学系の焦点位置が調整される。反射曲面の曲率は、光変調パネルに照射される光路長が最も長い色光の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域の面積との差が小さくなるように設定される。このため、分離された複数種類の色光の間で、光変調パネルに集光される領域の面積を互いに等しくしたり、光変調パネルの表示領域における輝度分布を互いに等しくしたりすることが可能となる。よって、照明むらを低減することが可能なプロジェクターを提供することができる。
なお、「光の輝度分布の概ね均一となる部分」とは、例えば、光変調パネルにおける光の輝度分布がトップハット形状の場合には、当該トップハット形状の頂部の平坦部分が光の輝度分布の概ね均一となる部分である。また、「概ね均一」とは、観察者が認識できない程度の輝度差を含む。
【0009】
前記プロジェクターにおいて、前記色分離光学系は、前記光源から射出された光を第1の色光および第2の色光を含む第1の光線束と第3の色光および第4の色光を含む第2の光線束とに分離する第1の光線束分離光学系と、前記第1の光線束を前記第1の色光と前記第2の色光とに分離するとともに、前記第1の色光と前記第2の色光とを、前記光源から射出された光の光軸と前記第1の光線束の光軸とを含む平面と交差する方向に射出する第2の光線束分離光学系と、前記第2の光線束を前記第3の色光と前記第4の色光とに分離するとともに、前記第3の色光と前記第4の色光とを、前記平面と交差する方向に射出する第3の光線束分離光学系と、を含み、前記第1の色光ないし前記第4の色光のうち前記光源と前記光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光の光路中には前記反射曲面が設けられていてもよい。
【0010】
光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成においては、光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成に比べて、光路長が最短となる色光と光路長が最長となる色光との光路差が大きくなる。当該光路差の顕著な違いに起因して、例えば、光路長が最短となる色光についての集光光学系の焦点位置を基準にした場合、光路長が最長となる色光についての集光光学系の焦点位置が基準から大きくずれてしまう。そのため、反射曲面を含まない構成であると、光路長が最短となる色光の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域とほぼ一致するように、光路長が最短となる色光についての集光光学系の焦点位置を調整しても、光路長が最長となる色光については輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域に含まれてしまう。
これに対し、本発明のプロジェクターによれば、光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成において、照明むらの低減を実現することができる。例えば、第1の色光を光路長が最短となる色光とし、第4の色光を光路長が最長となる色光とした場合、光路長が最長となる第4の色光が反射曲面で反射される。当該第4の色光についての集光光学系の焦点位置の調整は、第1の色光についての集光光学系の焦点位置と異なるように調整される。これにより、光変調パネルに照射される光路長が最も長い色光の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域の面積との差が小さくなる。よって、照明むらを低減することができる。
【0011】
前記プロジェクターにおいて、前記第1の光線束分離光学系は、前記第1の光線束を反射させるとともに前記第2の光線束を透過させる第1のダイクロイックミラーと、前記第2の光線束を反射させる第1の反射ミラーと、を含み、前記第2の光線束分離光学系は、前記第1の色光を反射させるとともに前記第2の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、前記第2の色光を反射させる第2の反射ミラーと、を含み、前記第3の光線束分離光学系は、前記第3の色光を反射させるとともに前記第4の色光を透過させる第3のダイクロイックミラーと、前記第4の色光を反射させる第3の反射ミラーと、を含み、前記第1の反射ミラーないし前記第3の反射ミラーのうち少なくとも1つが前記反射曲面であってもよい。
【0012】
このプロジェクターによれば、第1〜第3の光線束分離光学系がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーを含む構成で、照明むらの低減を実現することができる。
【0013】
前記プロジェクターにおいて、前記色分離光学系は、前記光源から射出された光を第1の色光および第2の色光を含む第1の光線束と第3の色光および第4の色光を含む第2の光線束とに分離する第1の光線束分離光学系と、前記第1の光線束を前記第1の色光と前記第2の色光とに分離し、前記第2の光線束を前記第3の色光と前記第4の色光とに分離するとともに、前記第1の色光と前記第2の色光と前記第3の色光と前記第4の色光とを、前記光源から射出された光の光軸と前記第1の光線束の光軸とを含む平面と交差する方向に射出する第2の光線束分離光学系と、を含み、前記第1の色光ないし前記第4の色光のうち前記光源と前記光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光の光路中には前記反射曲面が設けられていてもよい。
【0014】
このプロジェクターによれば、光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成において、照明むらの低減を実現することができる。また、プロジェクターが2つの光線束分離光学系を含んで構成されるので、第1〜第3の光線束分離光学系を含む構成に比べて、光学系の構成が簡素となる。よって、プロジェクターの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0015】
前記プロジェクターにおいて、前記第1の光線束分離光学系は、前記第1の光線束を反射させるとともに前記第2の光線束を透過させる第1のダイクロイックミラーと、前記第2の光線束を反射させる第1の反射ミラーと、を含み、前記第2の光線束分離光学系は、前記第1の色光および前記第3の色光を反射させるとともに前記第2の色光および前記第4の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、前記第2の色光および前記第4の色光を反射させる第2の反射ミラーと、を含み、前記第1の反射ミラーと前記第2の反射ミラーのうち少なくとも1つが前記反射曲面であってもよい。
【0016】
このプロジェクターによれば、第1の光線束分離光学系及び第2の光線束分離光学系各々がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーを含む構成で、照明むらの低減を実現することができる。また、3つの光線束分離光学系がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーを含む構成に比べて、光学系の構成が簡素となる。よって、プロジェクターの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0017】
前記プロジェクターにおいて、前記第1の光線束分離光学系は、第1主面と当該第1主面に対向する第2主面とを有する光線束分離素子を含み、前記第1主面が前記第1の光線束を反射させるとともに前記第2の光線束を透過させ、前記第2主面が前記第2の光線束を反射させ、前記第2主面が前記反射曲面であってもよい。
【0018】
このプロジェクターによれば、第1の光線束分離光学系が1つの光線束分離素子で構成される。そのため、光学系の省スペース化を図り、これにより、プロジェクターの小型化を図ることができる。
これに対して、第1の光線束分離光学系がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーで構成された場合には、部品点数が増える。また、ダイクロイックミラーの厚みと反射ミラーの厚みに加え、ダイクロイックミラーと反射ミラーとが所定の距離だけ離間して配置される。そのため、広いスペースが必要となる。
【0019】
前記プロジェクターにおいて、前記反射曲面は、凸面の反射曲面であることが望ましい。
【0020】
このプロジェクターによれば、光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成において、例えば、第1の色光を光路長が最短となる色光とし、第4の色光を光路長が最長となる色光とした場合、光路長が最長となる第4の色光が凸面で反射される。第4の色光は、凸面で反射された後、凸面に入射する前に比べて光線束が拡がる。そのため、第4の色光が光変調パネルに集光される領域が大きくなる。よって、反射曲面を凸面とすることで、光変調パネルに照射される光路長が最も長い色光の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域の面積との差を小さくしやすくなる。
【0021】
前記プロジェクターにおいて、前記光変調パネルは複数のサブ画素からなる画素を有し、前記光変調パネルの前記複数種類の色光が入射する側にはマイクロレンズアレイが配置されており、前記マイクロレンズアレイは、2行2列の4つの前記サブ画素につき1つのマイクロレンズを備えて構成されていてもよい。
【0022】
このプロジェクターによれば、マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズと画素を構成する4つのサブ画素とが1対1で対応する。二次元的に4つの光に分離して射出された光は、二次元的に4つの光から所定のマイクロレンズに入射され、当該マイクロレンズで収束された後、光変調パネルの画素を通過し、画像信号に応じて変調される。よって、光の利用効率を向上させることができる。
また、サブ画素が2行2列であるため、マイクロレンズの光軸と当該マイクロレンズに入射する各色光とのなす角が小さくなる。よって、マイクロレンズの収差が低減される。
【0023】
前記プロジェクターにおいて、前記色分離光学系は、前記光源から射出された光のうち第1の色光を反射させるとともに第2の色光と第3の色光とを透過させる第1のダイクロイックミラーと、前記第2の色光を反射させるとともに前記第3の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、前記第3の色光を反射させる反射面と、を含み、前記反射面が前記反射曲面であってもよい。
【0024】
光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成においては、光路長が最短となる第1の色光についての集光光学系の焦点位置を基準にした場合、光路長が最長となる第3の色光についての集光光学系の焦点位置が基準からずれてしまう。そのため、反射曲面を含まない構成の場合には、第1の色光と第3の色光とで光変調パネルに集光される領域が互いに異なってしまう。これにより、第1の色光と第3の色光とで光変調パネルの表示領域における輝度分布が異なってしまう。
これに対し、本発明のプロジェクターによれば、光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成において、照明むらの低減を実現することができる。例えば、第1の色光を赤色光、第2の色光を緑色光、第3の色光を青色光とした場合、光路長が最長となる青色光が反射曲面で反射される。当該青色光についての集光光学系の焦点位置の調整は、光路長が最短となる赤色光についての集光光学系の焦点位置と概ね等しくなるように調整する。これにより、光変調パネルに照射される光路長が最も長い色光の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域の面積との差が小さくなる。このように、青色光と赤色光との間の光路長の差に起因する照明むらを低減することができる。
【0025】
前記プロジェクターにおいて、前記反射曲面は、凹面の反射曲面であることが望ましい。
【0026】
このプロジェクターによれば、光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成において、光路長が最長となる第3の色光が凹面で反射される。第3の色光は、凹面で反射された後、凹面に入射する前に比べて光線束が絞られる。そのため、第3の色光が光変調パネルに集光される領域が小さくなる。光路長が最短となる第1の色光についての集光光学系の焦点位置を基準にした場合、当該第1の色光が光変調パネルに集光される領域は小さく設定されるところ、第3の色光が光変調パネルに集光される領域も小さくされるので、第1の色光の集光領域と第3の色光の集光領域とは概ね等しくなる。よって、反射曲面を凹面とすることで、第3の色光についての集光光学系の焦点位置を、第1の色光についての集光光学系の焦点位置と概ね等しくなるよう調整しやすくなる。これにより、光変調パネルに照射される光路長が最も長い色光の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域の面積との差を小さくしやすくなる。
【0027】
前記プロジェクターにおいて、前記光変調パネルは複数のサブ画素からなる画素を有し、前記光変調パネルの前記複数種類の色光が入射する側にはマイクロレンズアレイが配置されており、前記マイクロレンズアレイは、3つの前記サブ画素につき1つのマイクロレンズを備えて構成されていることが望ましい。
【0028】
このプロジェクターによれば、マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズと画素を構成する3つのサブ画素とが1対1で対応する。一次元的に3つの光に分離して射出された光は、3方向から所定のマイクロレンズに入射され、当該マイクロレンズで収束された後、光変調パネルの画素を通過し、画像信号に応じて変調される。よって、光の利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプロジェクターを示す模式図である。
【図2】同、色分離光学系を示す斜視図である。
【図3】同、色分離の様子を示す模式図である。
【図4】同、マイクロレンズとサブ画素との対応関係を説明するための図である。
【図5】同、色分離光学系を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。
【図6】同、色分離光学系から射出される光の光強度分布を示す図である。
【図7】比較例の色分離光学系を示す斜視図である。
【図8】同、色分離光学系を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。
【図9】同、色分離光学系から射出される光の光強度分布を示す図である。
【図10】同、第1の光線束分離光学系の第1変形例を示す模式図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る第1の光線束分離光学系を示す模式図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係るプロジェクターを示す模式図である。
【図13】同、色分離光学系を示す模式図である。
【図14】同、マイクロレンズとサブ画素との対応関係を説明するための図である。
【図15】同、色分離光学系を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。
【図16】同、色分離光学系から射出される光の光強度分布を示す図である。
【図17】比較例の色分離光学系を示す模式図である。
【図18】同、色分離光学系を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。
【図19】同、色分離光学系から射出される光の光強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0031】
[第1実施形態]
本発明のプロジェクターの一実施形態について、図1から図11を参照して説明する。
本実施形態においては、プロジェクター1として光変調パネルで生成された画像情報を含む色光を投写光学系を介してスクリーン(被投写面)上に投写する投写型のプロジェクターを例に挙げて説明する。
【0032】
なお、以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。本実施形態においては、光源10から射出される光の光軸に平行な方向をX方向としており、X方向に直交する2方向をY方向、Z方向としている。
【0033】
図1は本実施形態に係るプロジェクター1の概略構成を示す図である。図1(a)はプロジェクター1の側面図であり、図1(b)はプロジェクター1の平面図である。図1に示すように、プロジェクター1は、可視光を含む光Wを射出する光源10と、光源10から射出された光Wを集光する集光光学系20と、集光光学系20で集光された光を変調する光変調パネル60と、光変調パネル60で生成された画像情報を含む色光をスクリーン(図示略)に投写する投写光学系(投写レンズ)70と、を備えている。なお、光変調パネル60は、例えば液晶パネルである。
【0034】
光源10は、放射状に光線を射出する光源ランプ11と、光源ランプ11から放射された光線を一方向(+X方向)に向けて射出するリフレクター12とを備えている。なお、光源ランプ11としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等を、又、リフレクター12としては、方物面リフレクター、楕円面リフレクター、球面リフレクター等を使用することができる。
【0035】
集光光学系20は、光源10から射出された非偏光をひとつの偏光状態の光に変換するための偏光変換光学系30と、偏光変換光学系30から射出された光を複数種類の色光に分離する色分離光学系40と、色分離光学系40からの色光を略平行化して射出するフィールドレンズ50と、を備えている。
【0036】
偏光変換光学系30は、光源10から射出された光Wを略平行化して射出する凹レンズ31と、凹レンズ31から射出された光を複数の部分光線束に分割するための複数の第1小レンズを有する第1レンズアレイ32と、第1レンズアレイ32の複数の第1小レンズに対応する複数の第2小レンズを有する第2レンズアレイ33と、第2レンズアレイ33からの各部分光線束を第1偏光成分を有する光(例えばp偏光)に偏光変換して射出する偏光ビームスプリッタアレイ(偏光分離素子)34と、偏光ビームスプリッタアレイ34からの各部分光線束を光変調パネル60で重畳する重畳レンズ35と、を備えている。
【0037】
図2は、本実施形態の色分離光学系40を示す斜視図である。
図2に示すように、色分離光学系40は、第1の光線束分離光学系41と、第2の光線束分離光学系44とを備えている。第1の光線束分離光学系41は、光源10から射出された光W(白色光)を第1の光線束(G+B)と第2の光線束(R+Y)とに分離する。第1の光線束(G+B)は、第1の色光(緑色光G)と第2の色光(青色光B)とを含み、第2の光線束(R+Y)は、第3の色光(赤色光R)と第4の色光(黄色光Y)とを含む。ここで、光源10から射出された光Wの光軸方向をX軸方向とし、光源10から射出された光Wの光軸と第1の光線束(G+B)の光軸とを含む面がXZ面となるように、XYZ座標系を設定する。
第2の光線束分離光学系44は、第1の光線束(G+B)を第1の色光(緑色光G)と第2の色光(青色光B)とに分離し、第1の色光(緑色光G)と第2の色光(青色光B)とをXZ平面と交差する方向に射出する。さらに、第2の光線束分離光学系44は、第2の光線束(R+Y)を第3の色光(赤色光R)と第4の色光(黄色光Y)とに分離し、第3の色光(赤色光R)と第4の色光(黄色光Y)とをXZ平面と交差する方向に射出する。
【0038】
ここで、図2及び図3中の青色光Bとして概ね380nm〜520nmの波長域の光を、緑色光Gとして概ね520nm〜560nmの波長域の光を、黄色光Yとして概ね560nm〜600nmの波長域の光を、赤色光Rとして概ね600nm〜780nmの波長域の光を想定しているが、これに限定されない。
【0039】
一般に、緑色光に対する人間の視覚感度は高い。緑色光が鑑賞時の解像度感に大きな影響を及ぼすことを考慮すると、緑色光を2つの波長域に分離して、それぞれを独立に変調することが望ましい。本実施形態では、520nm〜560nmの波長域の光である短波長側の緑色光(青味がかった緑色光)を緑色光Gとし、560nm〜600nmの波長域の光である長波長側の緑色光(黄色味がかった緑色光)を黄色光Yとしている。緑色光G、黄色光Yを独立に変調することで、色表現域の拡大と視聴時における解像度感の向上を実現している。
【0040】
第1の光線束分離光学系41は、第1のダイクロイックミラー42と、第1の反射ミラー43とを備えている。第1のダイクロイックミラー42は、第1の光線束(G+B)を反射させるとともに第2の光線束(R+Y)を透過させるミラーである。第1の反射ミラー43は、第2の光線束(R+Y)を反射させるミラーである。
第2の光線束分離光学系44は、第2のダイクロイックミラー45と、第2の反射ミラー46とを備えている。第2のダイクロイックミラー45は、緑色光Gおよび赤色光Rを反射させるとともに青色光Bおよび黄色光Yを透過させるミラーである。第2の反射ミラー46は、青色光Bおよび黄色光Yを反射させるミラーである。
【0041】
第1のダイクロイックミラー42と第1の反射ミラー43とは、光源10から射出された光Wの第1のダイクロイックミラー42への入射角度が、光源10から射出された光Wの第1の反射ミラー43への入射角度と異なるように配置されている。例えば、図1(a)に示したようにXZ平面でX軸に対して45°をなすような仮想の軸Q1を設定したとき、軸Q1を対称軸として、第1のダイクロイックミラー42は第1の反射ミラー43に対して傾いている。図1(a)では、+X方向へいくほど、また−Z方向へいくほど第1のダイクロイックミラー42と第1の反射ミラー43との間隔が狭くなるように、ダイクロイックミラー42と第1の反射ミラー43が配置されている。
【0042】
したがって、第1のダイクロイックミラー42で反射された第1の光線束(G+B)と第1の反射ミラー43で反射された第2の光線束(R+Y)は、XZ平面上で互いに僅かに異なる2つの方向に射出される。例えば、第1のダイクロイックミラー42は、当該第1のダイクロイックミラー42で反射された第1の光線束(G+B)がZ軸に対して7°をなすように配置されている(図1(a)に示すθ1=7°)。第1の反射ミラー43は、当該第1の反射ミラー43で反射された第2の光線束(R+Y)がZ軸に対して7°をなすように配置されている(図1(a)に示すθ2=7°)。
【0043】
第2のダイクロイックミラー45と第2の反射ミラー46とは、第1の光線束(G+B)の第2のダイクロイックミラー45への入射角度が、第1の光線束(G+B)の第2の反射ミラー46への入射角度と異なるように配置されている。また、第2の光線束(R+Y)の第2のダイクロイックミラー45への入射角度は、第2の光線束(R+Y)の第2の反射ミラー46への入射角度と異なる。例えば、図示しない仮想軸Q2を設定したとき、軸Q2を対称軸として、第2のダイクロイックミラー45は第2の反射ミラー46に対して傾いている。
【0044】
したがって、緑色光Gと赤色光Rと青色光Bと黄色光Yとは、互いに僅かに異なる方向に射出される。例えば、第2のダイクロイックミラー45は、当該第2のダイクロイックミラー45で反射された緑色光Gおよび赤色光RがY軸に対して7°をなすように配置されている(図1(b)に示すθ3=7°)。第2の反射ミラー46は、当該第2の反射ミラー46で反射された青色光Bおよび黄色光YがY軸に対して7°をなすように配置されている(図1(b)に示すθ4=7°)。これにより、緑色光Gと赤色光Rと青色光Bと黄色光Yとは、互いに異なる角度で光変調パネル60に入射する。
【0045】
図3は、本実施形態の色分離光学系40における色分離の様子を示す模式図である。
図3においては、便宜上、マイクロレンズアレイを構成する複数のマイクロレンズのうち1つのマイクロレンズ61Aに対応した色分離の様子を示している。
【0046】
図3に示すように、光源10から射出された光W(白色光)は、第1の光線束分離光学系41により、第1の光線束G+Bと第2の光線束R+Yとに分離される。そして、当該第1の光線束G+Bと第2の光線束R+Yとは、第2の光線束分離光学系44により、緑色光G、青色光B、赤色光R、及び黄色光Yに分離される。
【0047】
ところで、光源からの光を、上記のような第1の光線束分離光学系41と第2の光線束分離光学系44とによって、二次元的に4つの光に分離して射出する構成においては、例えば特許文献1に示すように光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成に比べて、光路長が最短となる色光と光路長が最長となる色光との間で光路差が大きくなる。当該光路差の顕著な違いに起因して、例えば、光路長が最短となる色光についての集光光学系の焦点位置を基準位置にした場合、光路長が最長となる色光についての集光光学系の焦点位置が基準位置から大きくずれてしまう。
【0048】
図7は、図2に対応した、比較例の色分離光学系140を示す斜視図である。図7において、符号141は第1の光線束分離光学系、符号142は第1のダイクロイックミラー、符号143は第1の反射ミラー、符号144は第2の光線束分離光学系、符号145は第2のダイクロイックミラー、符号146は第2の反射ミラーである。
第1のダイクロイックミラー142は、第1の光線束(G+B)を反射させるとともに第2の光線束(R+Y)を透過させるミラーである。第1の反射ミラー143は、第2の光線束(R+Y)を反射させるミラーである。
第2のダイクロイックミラー145は、緑色光Gおよび赤色光Rを反射させるとともに青色光Bおよび黄色光Yを透過させるミラーである。第2の反射ミラー146は、青色光Bおよび黄色光Yを反射させるミラーである。
【0049】
光源(図示略)から射出された光Wは第1の光線束分離光学系141及び第2の光線束分離光学系144により4種類の色光(緑色光G、青色光B、赤色光R、黄色光Y)に分離されて光変調パネル(図示略)に向けて射出される。
【0050】
これら4種類の色光のうち、光源と光変調パネルとの間の光路長が最も短い色光は第1のダイクロイックミラー142及び第2のダイクロイックミラー145で反射された色光(第1のダイクロイックミラー142及び第2のダイクロイックミラー145を透過しない色光)である。一方、光源と光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光は第1の反射ミラー143及び第2の反射ミラー146で反射された色光(第1のダイクロイックミラー142及び第2のダイクロイックミラー145を透過した色光)である。
【0051】
図7に示した例では、光路長が最短となる色光は緑色光Gであり、光路長が最長となる色光は黄色光Yである。
【0052】
図8は、比較例の色分離光学系140を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。図8は光路長の違いによる照明マージンの差を示しており、図8(a)は光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の照明領域、図8(b)は光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の照明領域を示している。図8(a)及び(b)において、符号SAは光変調パネルの表示領域である。
図9は、比較例の色分離光学系140から射出される光の光強度分布を示す図である。図9(a)は光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の光強度分布であり、図9(b)は光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の光強度分布である。
【0053】
図8(a)に示すように、光変調パネルの表示領域SAが、光路長が最短の色光(緑色光G)の輝度分布にむらが生じていない部分に含まれるように、緑色光Gに対する集光光学系20の焦点位置を調整したとする。光の輝度分布にむらが生じていない部分とは、光の輝度分布が概ね均一な部分を意味する。例えば、光変調パネルにおける光の輝度分布がトップハット形状(フラットトップ形状ともいう)の場合には、当該トップハット形状の頂部の平坦部分が光の輝度分布の概ね均一となる部分である。また、「概ね均一」とは、観察者が認識できない程度の輝度差を含む。
【0054】
なお、当該トップハット形状の輝度分布を持つ光のうち所定の割合の光が表示領域SA内を照明する。例えば、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)のうち48.66%の光が表示領域SA内を照明する。
【0055】
図9(a)に示すように、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の輝度分布はトップハット形状となっている。当該トップハット形状の頂部の平坦部分は強度分布(輝度分布)が概ね均一となっている。光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)については、表示領域SAが輝度分布の概ね均一となる部分に含まれており、輝度分布の不均一な部分は表示領域SAに含まれない。
【0056】
一方、図8(b)に示すように、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については、輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれてしまう。
【0057】
ここで、本実施例のように光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成においては、色分離光学系が複数(2つ)の光線束分離光学系を含む。このため、光源からの光は、当該色分離光学系で導光される過程で、少なくとも2回反射される。
一方、特許文献1のように光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成においては、色分離光学系が2つのダイクロイックミラーと1つの反射ミラーとからなる。このため、光源からの光は、当該色分離光学系で導光される過程での反射回数は1回となる。
したがって、光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成の場合は、光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成に比べて、光路長が最短となる色光と光路長が最長となる色光との間での光路差が顕著となる。
【0058】
このように、光源からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成において、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれてしまうのは、光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成に比べて、光路長が最短となる色光と光路長が最長となる色光との間での光路差が顕著となることに起因する。
【0059】
なお、当該光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)のうち所定の割合の光が表示領域SA内を照明する。例えば、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)のうち40.31%の光が表示領域SA内を照明する。
【0060】
図9(b)に示すように、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布は図9(a)に示したトップハット形状に比べて頂部の平坦部分が小さく、エッジがよりなだらかな形状となっている。光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については、輝度分布の概ね均一となる部分だけでなく輝度分布の不均一な部分も表示領域SAに含まれている。
【0061】
このように、比較例の色分離光学系140を用いた場合、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致するように、緑色光Gに対する集光光学系20の焦点位置を調整しても、光路長の違いによる照明マージンの差に起因して、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれてしまう。そのため、光変調パネルの表示領域SAの中央部分は明るく、周辺部分は暗いといった輝度分布の差(照明むら)が生じてしまう。
【0062】
そこで、本実施形態では、複数種類の色光のうち、少なくとも光源と光変調パネルの間の光路長が最も長い色光の光路中に、反射曲面を設けている。反射曲面は、自身の曲率により当該色光についての集光光学系の焦点位置を調整する。
【0063】
具体的には、図2に示すように、色分離光学系40において、緑色光Gと赤色光Rと青色光Bと黄色光Yのうち光源10と光変調パネル60との間の光路長が最も長い色光(黄色光Y)の光路中には反射曲面43fと反射曲面46fとが設けられている。
反射曲面43fと反射曲面46fとは、光路長の違いによる集光光学系20の焦点位置の違いを緩和する機能を有する。
【0064】
本実施形態においては、第1の反射ミラー43に反射曲面43fが設けられており、第2の反射ミラー46にも反射曲面46fが設けられている。第1の反射ミラー43の反射曲面43f及び第2の反射ミラー46の反射曲面46fの双方の反射曲面は、光を反射する側の面が凸面の反射曲面となっている。
【0065】
図5は、本実施形態の色分離光学系40を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。図5は、図8(b)に対応した、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の照明領域を示している。図5において、符号SAは光変調パネルの表示領域である。
図6は、本実施形態の色分離光学系40から射出される光の光強度分布を示す図である。図6は、図9(b)に対応した、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の光強度分布である。
【0066】
本実施形態の色分離光学系40を用いた場合には、図5に示すように、光路長が最長となる色光(黄色光Y)についても、光変調パネルの表示領域SAが輝度分布の概ね均一となる部分に含まれるようにすることができる。本実施形態では、光路長が最長となる第4の色光Yが反射曲面43fと反射曲面46fとで反射される。反射曲面43fの曲率と反射曲面46fの曲率を調整することによって、当該黄色光Yについての集光光学系の焦点位置を緑色光Gについての集光光学系の焦点位置と異ならせることができる。具体的には、光線束は、凸面からなる反射曲面によって反射されることによって広げられる。従って、黄色光Yの光線束は、黄色光Yが反射曲面43fによって反射され、さらに反射曲面46fによって反射されることによって広げられる。そのため、黄色光Yが光変調パネルに集光される領域が大きくなる。これにより、光路長が最長となる色光(黄色光Y)についても、光変調パネルの表示領域SAが輝度分布の概ね均一となる部分に含まれるようにすることができる。
【0067】
なお、本実施形態においては、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)のうち37.31%が表示領域SA内を照明する。
【0068】
図6に示すように、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布は図9(b)に示した形状と同様にエッジがなだらかな形状となっているものの、頂部の平坦部分の面積は大きくなっている。光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については、表示領域SAが輝度分布の概ね均一となる部分に含まれており、輝度分布の不均一な部分は表示領域SAに含まれない。
【0069】
このように、本実施形態の色分離光学系40を用いた場合、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致するように、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)についての集光光学系20の焦点位置を調整しても、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれないようにすることが可能である。あるいは、輝度分布が不均一な部分のうち光変調パネルの表示領域SAに含まれる割合を低減することが可能である。このように、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくすることができる。そのため、光変調パネルの表示領域SA全体で明るい、輝度分布な均一な画像が得られる。
【0070】
図1(b)に戻り、色分離光学系40で色分離された色光はフィールドレンズ50により略平行化された状態で光変調パネル60に向けて射出される。
【0071】
図4は、本実施形態の光変調パネル60が備えるマイクロレンズとサブ画素との対応関係を説明するための図である。図4においては、便宜上、4種類の色光のうち緑色光G及び青色光Bが導光される様子を図4(a)で示し、赤色光R及び黄色光Yが導光される様子を図4(b)で示している。また、便宜上、光変調パネル60を構成する画素およびマイクロレンズアレイ61のみを図示し、その他の構成部品の図示を省略している。また、光変調パネル60を構成する複数の画素のうち1個の画素Pを図示してある。サブ画素Prとサブ画素Pgとサブ画素Pbとサブ画素Pyとが1個の画素Pを構成する。サブ画素Prとサブ画素Pgとサブ画素Pbとサブ画素Pyとは、2行2列に二次元的に配置されている。図4(a)において、符号Lgは緑色のサブ画素Pgへの緑色光Gの入射光軸、符号Lbは青色のサブ画素Pbへの青色光Bの入射光軸である。図4(b)において、符号Lrは赤色のサブ画素Prへの赤色光Rの入射光軸、符号Lyは黄色のサブ画素Pyへの黄色光Yの入射光軸である。
【0072】
図4(a)及び(b)に示すように、色光Lg、色光Lb、色光Lr、色光Lyの各々は、フィールドレンズ50により平行化されて光変調パネル60に入射する。光変調パネル60に入射する色光Lg、色光Lb、色光Lr、色光Lyは、光軸が互いに非平行になっている。
【0073】
サブ画素Pgは第1の色光Lgに対応しており、サブ画素Pbは第2の色光Lbに、サブ画素Prは第3の色光Lrに、サブ画素Pyは第4の色光Lyにそれぞれ対応している。光変調パネル60に入射した色光Lg、色光Lb、色光Lr、色光Lyの各々は、マイクロレンズアレイ61により集光され、対応するサブ画素に入射する。
【0074】
図3の右図に示すように、マイクロレンズアレイ61は、2行2列の4つのサブ画素につき1つのマイクロレンズ61Aを備えて構成されている。色光Lg、色光Lb、色光Lr、色光Lyは、独立して変調されて光変調パネル60から射出される。光変調パネル60から射出された光は、図1(b)に示す投射レンズ70によりスクリーン(図示略)に拡大投射される。
【0075】
本実施形態のプロジェクター1によれば、所定の曲率を有する反射曲面43fと所定の曲率を有する反射曲面46fにより、光源10と光変調パネル60との間の光路長が最長の色光についての集光光学系20の焦点位置が調整される。例えば、当該色光についての集光光学系20の焦点位置を、当該色光の輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれないように、あるいは、当該色光の輝度分布が不均一な部分のうち光変調パネルの表示領域SAに含まれる割合を小さくするように調整する。このため、分離された複数の色光の間で、光変調パネル60における光束の太さの差を小さくしたり、光変調パネル60の表示領域SAにおける輝度分布の差を小さくしたりすることが可能である。よって、照明むらを低減することが可能なプロジェクター1を提供することができる。
【0076】
また、この構成によれば、光源10からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成において、照明むらの低減を実現することができる。例えば、第1の色光Gを光路長が最短となる色光とし、第4の色光Yを光路長が最長となる色光とした場合、光路長が最長となる第4の色光Yが反射曲面43fと反射曲面46fで反射される。当該第4の色光Yについての集光光学系20の焦点位置の調整は、第1の色光Gについての集光光学系20の焦点位置と異なるように調整される。これにより、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致するように、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)についての集光光学系20の焦点位置を調整しても、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれないようにすることが可能である。あるいは、輝度分布が不均一な部分のうち光変調パネルの表示領域SAに含まれる割合を低減することが可能である。このように、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくすることができる。よって、照明むらを低減することができる。
【0077】
また、この構成によれば、プロジェクター1が2つの光線束分離光学系41,44を含んで構成されるので、第1〜第3の光線束分離光学系を含む構成に比べて、光学系の構成が簡素となる。よって、プロジェクター1の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0078】
また、この構成によれば、第1の光線束分離光学系41及び第2の光線束分離光学系44がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーを含む構成で、照明むらの低減を実現することができる。また、3つの光線束分離光学系がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーを含む構成に比べて、光学系の構成が簡素となる。よって、プロジェクター1の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0079】
また、この構成によれば、光源10からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する構成において、例えば、第1の色光Gを光路長が最短となる色光とし、第4の色光Yを光路長が最長となる色光とした場合、光路長が最長となる第4の色光Yが凸面で反射される。第4の色光Yは、凸面で反射された後、凸面に入射する前に比べて光線束が拡がる。そのため、第4の色光Yが光変調パネル60に集光される領域が大きくなる。よって、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致するように、光路長が最短となる色光(例えば緑色光G)についての集光光学系20の焦点位置を調整しても、凸面を有する反射曲面43fと反射曲面46fを用いることによって、光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)については輝度分布が不均一な部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれないようにすることが可能である。あるいは、輝度分布が不均一な部分のうち光変調パネルの表示領域SAに含まれる割合を低減することが可能である。このように、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくすることができる。
【0080】
また、この構成によれば、マイクロレンズアレイ61を構成する一のマイクロレンズ61Aと4つのサブ画素Pg,Pb,Pr,Pyからなる一の画素Pとが1対1で対応する。色光Lg、色光Lb、色光Lr、色光Lyは、4方向から所定のマイクロレンズ61Aに入射され、当該マイクロレンズ61Aで収束された後、光変調パネル60の画素を通過し、画像信号に応じて変調される。よって、光の利用効率を向上させることができる。
また、サブ画素Pg,Pb,Pr,Pyが2行2列で配置されているため、マイクロレンズ61Aの光軸と当該マイクロレンズ61Aに入射する各色光とのなす角が小さくなる。よって、マイクロレンズ61Aの収差が低減される。
【0081】
なお、本実施形態に係るプロジェクター1では、プロジェクター1が2つの光線束分離光学系(第1の光線束分離光学系41及び第2の光線束分離光学系44)を含んで構成されているが、これに限らない。例えば、プロジェクターが第1〜第3の光線束分離光学系を含んで構成されていてもよい。
【0082】
この場合、第1の光線束分離光学系は、第1の光線束を反射させるとともに第2の光線束を透過させる第1のダイクロイックミラーと、第2の光線束を反射させる第1の反射ミラーと、を含む構成を採用することができる。第2の光線束分離光学系は、第1の色光を反射させるとともに第2の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、第2の色光を反射させる第2の反射ミラーと、を含む構成を採用することができる。第3の光線束分離光学系は、第3の色光を反射させるとともに第4の色光を透過させる第3のダイクロイックミラーと、第4の色光を反射させる第3の反射ミラーと、を含む構成を採用することができる。そして、第1の反射ミラーないし第3の反射ミラーのうち少なくとも1つに反射曲面が設けられる構成とされる。
このプロジェクターによれば、第1〜第3の光線束分離光学系がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーを含む構成で、照明むらの低減を実現することができる。
【0083】
また、本実施形態に係るプロジェクター1では、第1のダイクロイックミラー42が第1の光線束(G+B)を反射させるとともに第2の光線束(R+Y)を透過させるミラーであり、第2のダイクロイックミラー45が緑色光Gおよび赤色光Rを反射させるとともに青色光Bおよび黄色光Yを透過させるミラーであるが、これに限らない。各ダイクロイックミラーの分光特性はその配置状態や光変調パネルにおける色光の入射方向の設定状態に応じて適宜設定すればよい。例えば、第1のダイクロイックミラー42は第2の光線束(R+Y)を反射させるとともに第1の光線束(G+B)を透過させるミラーであっても良い。また、第2のダイクロイックミラー45は、青色光Bおよび黄色光Yを反射させるとともに緑色光Gおよび赤色光Rを透過させるミラーであっても良い。
【0084】
また、本実施形態に係るプロジェクター1では、第1の反射ミラー43及び第2の反射ミラー46の双方の反射ミラーに反射曲面が設けられているが、これに限らない。例えば、第1の反射ミラーのみに反射曲面が設けられていてもよいし、第2の反射ミラーのみに反射曲面が設けられていてもよい。すなわち、第1の反射ミラーと第2の反射ミラーのうち少なくとも一方に反射曲面が設けられていればよい。
【0085】
(第1実施形態に係る第1の光線束分離光学系の変形例1)
図10は、第1実施形態に係る第1の光線束分離光学系の第1変形例を示す模式図である。
図10に示すように、本変形例の第1の光線束分離光学系は、第1主面41Af1と当該第1主面41Af1に対向する第2主面41Af2とを有する光線束分離素子41Aからなる。第1の光線束分離光学系以外の構成については、図1で示した構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0086】
本変形例の光線束分離素子41Aは、光源10から射出された光W(白色光)を第1の色光(緑色光G)および第2の色光(青色光B)を含む第1の光線束(G+B)と第3の色光(赤色光R)および第4の色光(黄色光Y)を含む第2の光線束(R+Y)とに分離する。
【0087】
具体的には、光線束分離素子41Aの第1主面41Af1が、第1の光線束(G+B)を反射させるとともに第2の光線束(R+Y)を透過させる面となっている。第2主面41Af2が、第2の光線束(R+Y)を反射させる面となっている。本変形例の光線束分離素子41Aにおいては、第2主面41Af2が、自身の曲率により光源10と光変調パネル60との間の光路長が最も長い色光についての集光光学系の焦点位置を調整する反射曲面として機能する。第2主面41Af2は、第2の光線束(R+Y)が入射する側の面が凸面の反射曲面となっている。
【0088】
本変形例の構成によれば、第1の光線束分離光学系が1つの光線束分離素子41Aで構成される。そのため、光学系の省スペース化を図り、これにより、プロジェクターの小型化を図ることができる。
【0089】
これに対して、図11に示すように、第1の光線束分離光学系がダイクロイックミラーと反射ミラーの2種類のミラーで構成された場合には、部品点数が増える。また、ダイクロイックミラーの厚みと反射ミラーの厚みに加え、ダイクロイックミラーと反射ミラーとが所定の距離だけ離間して配置される。そのため、広いスペースが必要となる。
【0090】
[第2実施形態]
図12は、図1(b)に対応した、本発明の第2実施形態に係るプロジェクター2を示す模式図である。
図12に示すように、本実施形態に係るプロジェクター2は、光源10からの光を二次元的に4つの光に分離して射出する色分離光学系40に替えて光源10からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する色分離光学系80が設けられている点、4分離に対応した光変調パネル60に替えて3分離に対応した光変調パネル90が設けられている点、で上述の第1実施形態に係るプロジェクター1と異なっている。その他の点は、上述の構成と同様であるので、図1(b)と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0091】
図12に示すように、プロジェクター2は、可視光を含む光を射出する光源10と、光源10から射出された光を集光する集光光学系21と、集光光学系21で集光された光を変調する光変調パネル90と、光変調パネル90で生成された画像情報を含む色光をスクリーン(図示略)に投写する投写光学系(投写レンズ)70と、を備えている。
【0092】
集光光学系21は、偏光変換光学系30と、偏光変換光学系30から射出された光を複数種類の色光に分離する色分離光学系80と、色分離光学系80からの色光を略平行化して射出するフィールドレンズ50と、を備えている。
【0093】
色分離光学系80は、第1のダイクロイックミラー81と、第2のダイクロイックミラー82と、反射ミラー83と、を備えている。第1のダイクロイックミラー81は、光源10から射出された光W(白色光)のうち第1の色光(赤色光R)を反射させるとともに第2の色光(緑色光G)及び第3の色光(青色光B)を透過させるミラーである。第2のダイクロイックミラー82は、第2の色光(緑色光G)を反射させるとともに第3の色光(青色光B)を透過させるミラーである。反射ミラー83は、第3の色光(青色光B)を反射させるミラーである。
【0094】
ここで、青色光Bとして概ね380nm〜520nmの波長域の光を、緑色光Gとして概ね520nm〜600nmの波長域の光を、赤色光Rとして概ね600nm〜780nmの波長域の光を想定しているが、これに限定されない。
【0095】
本変形例においては、色分離光学系80により、光源10からの光が一次元的に3つの光に分離される。光源10から射出された光(白色光)は、色分離光学系80により、第1の色光Rと第2の色光Gと第3の色光Bとに分離される。
【0096】
ところで、光源からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成においては、光路長が最短となる色光についての集光光学系の焦点位置を基準位置にした場合、光路長が最長となる色光についての集光光学系の焦点位置が基準位置からずれてしまう。
【0097】
図17は、比較例の色分離光学系180を示す模式図である。図17(a)は光路長が最短となる色光が導光される様子、図17(c)は光路長が最長となる色光が導光される様子、図17(b)は光路長が最短と最長の間となる色光が導光される様子、を示している。図17(a)〜(c)において、符号135は重畳レンズ、符号181は第1のダイクロイックミラー、符号182は第2のダイクロイックミラー、符号183は反射ミラー、符号190は光変調パネルである。
【0098】
図17(a)に示すように、第1のダイクロイックミラー181は、第1の色光(赤色光R)を反射させるとともに第2の色光(緑色光G)及び第3の色光(青色光B)を透過させるミラーである。図17(b)に示すように、第2のダイクロイックミラー182は、第2の色光(緑色光G)を反射させるとともに第3の色光(青色光B)を透過させるミラーである。図17(c)に示すように、反射ミラー183は、第2の色光(青色光B)を反射させるミラーである。
【0099】
図17(a)〜(c)に示すように、光源(図示略)から射出された光は色分離光学系180により3種類の色光(赤色光R、緑色光G、及び青色光B)に分離されて光変調パネル190に向けて射出される。
【0100】
これら3種類の色光のうち、光源と光変調パネルとの間の光路差が最も短い色光は第1のダイクロイックミラー181で反射された第1の色光R(第1のダイクロイックミラー181を透過しない色光)である。一方、光源と光変調パネルとの間の光路差が最も長い色光は反射ミラー183で反射された第3の色光B(第1のダイクロイックミラー181及び第2のダイクロイックミラー182を透過した色光)である。
【0101】
図18は、比較例の色分離光学系180を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。図18は光路長の違いによる照明マージンの差を示しており、図18(a)は光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)の照明領域、図18(b)は光路長が中となる色光(例えば第2の色光G)の照明領域、図18(c)は光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の照明領域を示している。図18(a)〜(c)において、符号SAは光変調パネルの表示領域である。
図19は、比較例の色分離光学系180から射出される光の光強度分布を示す図である。図19(a)は光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)の光強度分布であり、図19(b)は光路長が中となる色光(例えば第2の色光G)の光強度分布であり、図19(c)は光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の光強度分布である。
【0102】
図18(a)に示すように、光変調パネルの表示領域SAが、光路長が最短の色光例えば第1の色光R)の輝度分布にむらが生じていない部分とほぼ一致するように、第1の色光Rに対する集光光学系21の焦点位置を調整したとする。光の輝度分布にむらが生じていない部分とは、光の輝度分布が概ね均一な部分を意味する。
【0103】
図19(a)に示すように、光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)の輝度分布はトップハット形状となっている。当該トップハット形状の頂部の平坦部分は強度分布(輝度分布)が概ね均一となっている。光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)については、光変調パネルの表示領域SAが、光路長が最短の色光例えば第1の色光R)の輝度分布にむらが生じていない部分とほぼ一致しており、輝度分布の不均一な部分は表示領域SAに含まれない。
【0104】
図18(b)に示すように、光路長が中となる色光(例えば第2の色光G)については、輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれるところ、輝度分布の概ね均一となる部分の一部が表示領域SAからはみ出ている。
【0105】
図19(b)に示すように、光路長が中となる色光(例えば第2の色光G)の輝度分布は、図19(a)に示したトップハット形状に比べて頂部の平坦部分が大きい形状となっている。しかし、当該平坦部分の強度は、図19(a)に示したトップハット形状における平坦部分の強度に比べて小さくなっている。
また、光路長が中となる色光(例えば第2の色光G)については、輝度分布の概ね均一となる部分が表示領域SAに含まれているものの、輝度分布の概ね均一となる部分の一部が表示領域SAからはみ出ている。これにより、図19(a)に示したトップハット形状に比べて表示領域SAに含まれる輝度分布の概ね均一な部分の割合が小さくなっている。
【0106】
図18(c)に示すように、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)については、輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAに含まれるところ、輝度分布の概ね均一となる部分の一部が表示領域SAからはみ出している。なお、当該はみ出し部分の割合は、3種類の色光の中で最も大きい。
【0107】
図19(c)に示すように、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の輝度分布は図19(b)に示したトップハット形状に比べて頂部の平坦部分が大きい形状となっている。しかし、当該平坦部分の強度は、図19(b)に示したトップハット形状における平坦部分の強度に比べて小さくなっている。
また、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)については、輝度分布の概ね均一となる部分が表示領域SAに含まれているものの、輝度分布の概ね均一となる部分の一部が表示領域SAからはみ出ている。これにより、図19(b)に示したトップハット形状に比べて表示領域SAに含まれる輝度分布の概ね均一な部分の割合が小さくなっている。なお、当該はみ出し部分の割合は、3種類の色光の中で最も大きい。
【0108】
このように、比較例の色分離光学系180を用いた場合、光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致するように光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)についての集光光学系21の焦点位置を調整した場合、光路長の違いによる照明マージンの差に起因して、特に光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)については輝度分布が均一な部分が光変調パネルの表示領域SAから大きくはみ出てしまう。そのため、当該はみ出し部分が光取り出しのロスとなるばかりでなく、光変調パネルの表示領域SAの明るさが、第1の色光Rにおいては明るく、第3の色光Bについては暗いといった明暗の差(照明むら)が生じてしまう。
【0109】
そこで、本実施形態では、複数種類の色光のうち、少なくとも光源と光変調パネルの間の光路長が最も長い色光の光路中に、反射曲面を設けている。反射曲面は、自身の曲率により当該色光についての集光光学系の焦点位置を調整する。
【0110】
具体的には、図13に示すように、色分離光学系80において、第1の色光Rと第2の色光Gと第3の色光Bのうち光源10と光変調パネル90との間の光路長が最も長い色光(例えば第3の色光B)の光路中には反射曲面83fが設けられている。
反射曲面83fは、照明領域の面積を調整する機能を有する。つまり、反射曲面83fは、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(例えば黄色光Y)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくする機能を有する。これにより、色による明暗の差を緩和することができる。
【0111】
本実施形態においては、反射ミラー83に反射曲面83fが設けられている。反射ミラー83の反射曲面83fは、光を反射する側の面が凹面の反射曲面となっている。
【0112】
図15は、本実施形態の色分離光学系80を用いたときの光変調パネルへの照明領域を示す図である。図15は、図18(c)に対応した、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の照明領域を示している。図15において、符号SAは光変調パネルの表示領域である。
図16は、本実施形態の色分離光学系80から射出される光の光強度分布を示す図である。図16は、図19(c)に対応した、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の光強度分布である。
【0113】
本実施形態の色分離光学系80を用いた場合には、図15に示すように、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の輝度分布の概ね均一となる部分を光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致させることが可能である。本実施形態では、光路長が最長となる第3の色光Bが反射曲面83fで反射される。当該第3の色光Bについての集光光学系の焦点位置の調整は、光路長が最短の第1の色光Rについての集光光学系の焦点位置と概ね一致するように調整される。具体的には、光線束は、凹面からなる反射曲面によって反射されることによって絞られる。従って、第3の色光Bの光線束は、第3の色光Bが反射曲面83fによって反射されることによって絞られる。そのため、第3の色光Bが光変調パネルに集光される領域が小さくなる。反射曲面83fの曲率を適宜調整すれば、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の輝度分布の概ね均一となる部分がすべて光変調パネルの表示領域SAに含まれるよう調整することができる。あるいは、光路長が最長となる色光(第3の色光B)の輝度分布の概ね均一となる部分のうち表示領域SAからはみ出す部分の割合を小さくすることができる。このように、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(第3の色光B)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくすることができる。
【0114】
図16に示すように、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)の輝度分布は図19(a)に示した形状と同様のトップハット形状となっている。つまり、頂部の平坦部分については、図19(c)に示した形状に比べて小さくなっている。光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)については、輝度分布の概ね均一となる部分が表示領域SAとほぼ一致しており、輝度分布の不均一な部分は表示領域SAに含まれない。
【0115】
このように、本実施形態の色分離光学系80を用いた場合、光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)の輝度分布の概ね均一となる部分が光変調パネルの表示領域SAとほぼ一致するように、光路長が最短となる色光(例えば第1の色光R)についての集光光学系21の焦点位置を設定した場合でも、光路長が最長となる色光(例えば第3の色光B)については輝度分布の概ね均一となる部分が表示領域SAからはみ出さない。あるいは、光路長が最長となる色光(第3の色光B)の輝度分布の概ね均一となる部分のうち表示領域SAからはみ出す部分の割合を小さくすることができる。このように、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(第3の色光B)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくすることができる。そのため、光取り出しのロスを回避するとともに、光変調パネルの表示領域SAにおける第1の色光Rの明るさと第2の色光Gの明るさと第3の色光Bの明るさの差を小さくすることができる。
【0116】
図14は、本実施形態のマイクロレンズとサブ画素との対応関係を説明するための図である。図14においては、便宜上、3種類の色光のうち第1の色光Rが導光される様子を図14(a)で示し、第2の色光Gが導光される様子を図14(b)で示し、第3の色光Bが導光される様子を図14(c)で示している。図14(a)において、符号Lrは赤色のサブ画素Prへの第1の色光Rの入射光軸である。図14(b)において、符号Lgは緑色のサブ画素Pgへの第2の色光Gの入射光軸である。図14(c)において、符号Lbは青色のサブ画素Pbへの第3の色光Bの入射光軸である。なお、光変調パネル90は多数の画素を備えているが、図14(a)〜(c)には多数の画素のうちの1つを拡大して示している。光変調パネル90は、例えば液晶パネルである。
【0117】
図14(a)〜(c)に示すように、光変調パネル90の画素Pは、赤色光を射出するサブ画素Pr、緑色光を射出するサブ画素Pg、及び青色光を射出するサブ画素Pbからなっている。サブ画素Pr、Pg、Pbの各々と重なる領域には、画素電極97が設けられている。複数の画素Pと重なる領域に共通電極93が設けられている。
【0118】
画素電極97は島状のものであり、複数の画素電極97の間には遮光部BMが設けられている。複数の画素電極97の各々にスイッチング素子(図示略)が電気的に接続されており、スイッチング素子は信号源(図示略)と電気的に接続されている。スイッチング素子は、遮光部BMと重なる領域に配置されている。信号源は、スイッチング素子に映像信号及び制御信号を供給し、スイッチング素子は制御信号に基づいて映像信号をスイッチングして、画素電極97に映像信号を伝達するようになっている。
【0119】
画素電極97と共通電極93との間に液晶層95が設けられている。液晶層95と画素電極97との間には液晶層の配向状態を制御する配向膜96が設けられている。液晶層95と共通電極93との間には液晶層の配向状態を制御する配向膜94が設けられている。本実施形態の光変調パネル90は、液晶層95に対して共通電極93側から光が入射するようになっている。
【0120】
共通電極93の液晶層95と反対側には透明基板92が設けられている。透明基板92の液晶層95と反対側には、マイクロレンズアレイ91が設けられている。マイクロレンズアレイ91の液晶層95と反対側には、入射側の偏光素子(図示略)が設けられている。画素電極97の液晶層95と反対側には、射出側の偏光素子(図示略)が設けられている。入射側の偏光素子や射出側の偏光素子は、ワイヤーグリッド偏光素子や偏光板等により構成されている。
【0121】
光変調パネル90に入射した光は、所定方向の偏光成分が入射側の偏光素子を通ることにより直線偏光になって、マイクロレンズアレイ91に入射する。マイクロレンズアレイ91は、複数のマイクロレンズを有している。マイクロレンズアレイ91は、3つのサブ画素につき1つのマイクロレンズを備えて構成されている。つまり、複数のマイクロレンズの各々は、複数の画素Pの各々と重なり合うように配置されている。マイクロレンズに入射した波長光Lr、Lg、Lbは、波長ごとに光軸が非平行になっていることにより、波長ごとに異なる焦点に集光される。
【0122】
図14(a)に示すように、赤色光Lrは、サブ画素Prと重なる部分の液晶層95を通るように、マイクロレンズにより集光される。赤色光Lrは、マイクロレンズの中央部を通る成分、端部を通る成分のいずれにおいても拡散角が±3°程度になっている。同様に、緑色光Lgは、サブ画素Pgと重なる部分の液晶層95を通るように集光され(図14(b)参照)、青色光Lbは、サブ画素Pbと重なる部分の液晶層95を通るように集光される(図14(c)参照)。
【0123】
一方、複数の画素電極97の各々に映像信号が伝達されると、画素電極97と共通電極93との間にサブ画素ごとに電界が印加される。この電界により、液晶層95の液晶分子の方位角がサブ画素ごとに制御され、液晶層95を通る光の偏光状態がサブ画素ごとに変化する。サブ画素Prと重なる部分の液晶層95を通った赤色光Lrは偏光状態が変化した後に、赤色光Lrのうちの所定方向の偏光成分が射出側の偏光素子を通ることにより、映像信号に応じた階調の光になる。
【0124】
同様にして、サブ画素Pgと重なる部分の液晶層95を通った緑色光Lg、及びサブ画素Pbと重なる部分の液晶層95を通った青色光Lbも映像信号に応じた諧調の光になる。このように、変調された赤色光Lr、緑色光Lg及び青色光Lbが、光変調パネル90から射出される。光変調パネル90から射出された光は、図12に示す投射レンズ70によりスクリーン(図示略)に拡大投射される。
【0125】
本実施形態のプロジェクター2によれば、光源10からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成において、照明むらの低減を実現することができる。例えば、第1の色光を赤色光R、第2の色光を緑色光G、第3の色光を青色光Bとした場合、光路長が最長となる青色光Bが反射曲面83fで反射される。当該青色光Bについての集光光学系21の焦点位置の調整は、光路長が最短となる赤色光Rについての集光光学系21の焦点位置と概ね等しくなるように調整する。これにより、青色光Bと赤色光Rとの間の光路長の差に起因して起こる、青色光Bによる照明強度と赤色光Rによる照明強度との差を低減することができる。よって、色による照明むらを低減することができる。
【0126】
また、この構成によれば、光源10からの光を一次元的に3つの光に分離して射出する構成において、光路長が最長となる第3の色光が凹面を有する反射曲面83fで反射される。第3の色光は、凹面を有する反射曲面83fで反射された後、凹面を有する反射曲面83fに入射する前に比べて光線束が絞られる。そのため、第3の色光が光変調パネル90に集光される領域が小さくなる。光路長が最短の第1の色光の輝度分布の概ね均一となる部分が表示領域SAとほぼ一致するように、第1の色光についての集光光学系21の焦点位置を調整した場合であっても、反射曲面83fの曲率を適宜設定することにより、光路長が最長の第3の色光の輝度分布の概ね均一となる部分を表示領域SAとほぼ一致させることが可能である。このように、光変調パネルに照射される光路長が最長となる色光(第3の色光B)の輝度分布が概ね均一となる領域の面積と光変調パネルの表示領域SAの面積との差を小さくすることができる。このようにして、色による照明むらを低減することができる。
【0127】
また、この構成によれば、マイクロレンズアレイ91を構成するマイクロレンズと画素Pを構成する3つのサブ画素Pr,Pg,Pbとが1対1で対応する。一次元的に3つの光に分離して射出された光は、3方向から所定のマイクロレンズに入射され、当該マイクロレンズで収束された後、光変調パネル90の画素Pを通過し、画像信号に応じて変調される。よって、光の利用効率を向上させることができる。
【0128】
なお、上述の各実施形態においては、光変調パネルとして透過型の液晶パネル(ライトバルブ)を用いているが、反射型の液晶パネルを用いることもできる。また、例えばDMD(Digital Micromirror Device)等の反射型光変調装置(ミラー変調器)を用いてもよい。
【0129】
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも、適用することができる。
【符号の説明】
【0130】
1,2…プロジェクター、10…光源、20,21…集光光学系、40,80…色分離光学系、41…第1の光線束分離光学系、42…第1のダイクロイックミラー、43…第1の反射ミラー、43f,46f…凸面(反射曲面)、44…第2の光線束分離光学系、45…第2のダイクロイックミラー、46…第2の反射ミラー、60,90…液晶パネル(光変調パネル)、61,91…マイクロレンズアレイ、61A…マイクロレンズ、81…第1のダイクロイックミラー、82…第2のダイクロイックミラー、83…反射ミラー、83f…凹面(反射曲面)、Lg,Lb,Lr,Ly…色光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から射出された光を集光する集光光学系と、
前記集光光学系で集光された光を変調する光変調パネルと、
を含み、
前記集光光学系には、前記光源から射出された光を複数種類の色光に分離する色分離光学系が含まれており、
前記複数種類の色光のうち、少なくとも前記光源と前記光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光の光路中には反射曲面が設けられていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記色分離光学系は、
前記光源から射出された光を第1の色光および第2の色光を含む第1の光線束と第3の色光および第4の色光を含む第2の光線束とに分離する第1の光線束分離光学系と、
前記第1の光線束を前記第1の色光と前記第2の色光とに分離するとともに、前記第1の色光と前記第2の色光とを、前記光源から射出された光の光軸と前記第1の光線束の光軸とを含む平面と交差する方向に射出する第2の光線束分離光学系と、
前記第2の光線束を前記第3の色光と前記第4の色光とに分離するとともに、前記第3の色光と前記第4の色光とを、前記平面と交差する方向に射出する第3の光線束分離光学系と、を含み、
前記第1の色光ないし前記第4の色光のうち前記光源と前記光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光の光路中には前記反射曲面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記第1の光線束分離光学系は、前記第1の光線束を反射させるとともに前記第2の光線束を透過させる第1のダイクロイックミラーと、前記第2の光線束を反射させる第1の反射ミラーと、を含み、
前記第2の光線束分離光学系は、前記第1の色光を反射させるとともに前記第2の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、前記第2の色光を反射させる第2の反射ミラーと、を含み、
前記第3の光線束分離光学系は、前記第3の色光を反射させるとともに前記第4の色光を透過させる第3のダイクロイックミラーと、前記第4の色光を反射させる第3の反射ミラーと、を含み、
前記第1の反射ミラーないし前記第3の反射ミラーのうち少なくとも1つが前記反射曲面であることを特徴とする請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記色分離光学系は、
前記光源から射出された光を第1の色光および第2の色光を含む第1の光線束と第3の色光および第4の色光を含む第2の光線束とに分離する第1の光線束分離光学系と、
前記第1の光線束を前記第1の色光と前記第2の色光とに分離し、前記第2の光線束を前記第3の色光と前記第4の色光とに分離するとともに、前記第1の色光と前記第2の色光と前記第3の色光と前記第4の色光とを、前記光源から射出された光の光軸と前記第1の光線束の光軸とを含む平面と交差する方向に射出する第2の光線束分離光学系と、を含み、
前記第1の色光ないし前記第4の色光のうち前記光源と前記光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光の光路中には前記反射曲面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第1の光線束分離光学系は、前記第1の光線束を反射させるとともに前記第2の光線束を透過させる第1のダイクロイックミラーと、前記第2の光線束を反射させる第1の反射ミラーと、を含み、
前記第2の光線束分離光学系は、前記第1の色光および前記第3の色光を反射させるとともに前記第2の色光および前記第4の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、前記第2の色光および前記第4の色光を反射させる第2の反射ミラーと、を含み、
前記第1の反射ミラーと前記第2の反射ミラーのうち少なくとも1つが前記反射曲面であることを特徴とする請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記第1の光線束分離光学系は、第1主面と当該第1主面に対向する第2主面とを有する光線束分離素子を含み、
前記第1主面が前記第1の光線束を反射させるとともに前記第2の光線束を透過させ、前記第2主面が前記第2の光線束を反射させ、
前記第2主面が前記反射曲面であることを特徴とする請求項2または4に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記反射曲面は、凸面の反射曲面であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記光変調パネルは複数のサブ画素からなる画素を有し、
前記光変調パネルの前記複数種類の色光が入射する側にはマイクロレンズアレイが配置されており、
前記マイクロレンズアレイは、2行2列の4つの前記サブ画素につき1つのマイクロレンズを備えて構成されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記色分離光学系は、
前記光源から射出された光のうち第1の色光を反射させるとともに第2の色光と第3の色光とを透過させる第1のダイクロイックミラーと、
前記第2の色光を反射させるとともに前記第3の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、
前記第3の色光を反射させる反射面と、を含み、
前記反射面が前記反射曲面であることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項10】
前記反射曲面は、凹面の反射曲面であることを特徴とする請求項9に記載のプロジェクター。
【請求項11】
前記光変調パネルは複数のサブ画素からなる画素を有し、
前記光変調パネルの前記複数種類の色光が入射する側にはマイクロレンズアレイが配置されており、
前記マイクロレンズアレイは、3つの前記サブ画素につき1つのマイクロレンズを備えて構成されていることを特徴とする請求項9または10に記載のプロジェクター。
【請求項1】
光源と、
前記光源から射出された光を集光する集光光学系と、
前記集光光学系で集光された光を変調する光変調パネルと、
を含み、
前記集光光学系には、前記光源から射出された光を複数種類の色光に分離する色分離光学系が含まれており、
前記複数種類の色光のうち、少なくとも前記光源と前記光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光の光路中には反射曲面が設けられていることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記色分離光学系は、
前記光源から射出された光を第1の色光および第2の色光を含む第1の光線束と第3の色光および第4の色光を含む第2の光線束とに分離する第1の光線束分離光学系と、
前記第1の光線束を前記第1の色光と前記第2の色光とに分離するとともに、前記第1の色光と前記第2の色光とを、前記光源から射出された光の光軸と前記第1の光線束の光軸とを含む平面と交差する方向に射出する第2の光線束分離光学系と、
前記第2の光線束を前記第3の色光と前記第4の色光とに分離するとともに、前記第3の色光と前記第4の色光とを、前記平面と交差する方向に射出する第3の光線束分離光学系と、を含み、
前記第1の色光ないし前記第4の色光のうち前記光源と前記光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光の光路中には前記反射曲面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記第1の光線束分離光学系は、前記第1の光線束を反射させるとともに前記第2の光線束を透過させる第1のダイクロイックミラーと、前記第2の光線束を反射させる第1の反射ミラーと、を含み、
前記第2の光線束分離光学系は、前記第1の色光を反射させるとともに前記第2の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、前記第2の色光を反射させる第2の反射ミラーと、を含み、
前記第3の光線束分離光学系は、前記第3の色光を反射させるとともに前記第4の色光を透過させる第3のダイクロイックミラーと、前記第4の色光を反射させる第3の反射ミラーと、を含み、
前記第1の反射ミラーないし前記第3の反射ミラーのうち少なくとも1つが前記反射曲面であることを特徴とする請求項2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記色分離光学系は、
前記光源から射出された光を第1の色光および第2の色光を含む第1の光線束と第3の色光および第4の色光を含む第2の光線束とに分離する第1の光線束分離光学系と、
前記第1の光線束を前記第1の色光と前記第2の色光とに分離し、前記第2の光線束を前記第3の色光と前記第4の色光とに分離するとともに、前記第1の色光と前記第2の色光と前記第3の色光と前記第4の色光とを、前記光源から射出された光の光軸と前記第1の光線束の光軸とを含む平面と交差する方向に射出する第2の光線束分離光学系と、を含み、
前記第1の色光ないし前記第4の色光のうち前記光源と前記光変調パネルとの間の光路長が最も長い色光の光路中には前記反射曲面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第1の光線束分離光学系は、前記第1の光線束を反射させるとともに前記第2の光線束を透過させる第1のダイクロイックミラーと、前記第2の光線束を反射させる第1の反射ミラーと、を含み、
前記第2の光線束分離光学系は、前記第1の色光および前記第3の色光を反射させるとともに前記第2の色光および前記第4の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、前記第2の色光および前記第4の色光を反射させる第2の反射ミラーと、を含み、
前記第1の反射ミラーと前記第2の反射ミラーのうち少なくとも1つが前記反射曲面であることを特徴とする請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記第1の光線束分離光学系は、第1主面と当該第1主面に対向する第2主面とを有する光線束分離素子を含み、
前記第1主面が前記第1の光線束を反射させるとともに前記第2の光線束を透過させ、前記第2主面が前記第2の光線束を反射させ、
前記第2主面が前記反射曲面であることを特徴とする請求項2または4に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記反射曲面は、凸面の反射曲面であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記光変調パネルは複数のサブ画素からなる画素を有し、
前記光変調パネルの前記複数種類の色光が入射する側にはマイクロレンズアレイが配置されており、
前記マイクロレンズアレイは、2行2列の4つの前記サブ画素につき1つのマイクロレンズを備えて構成されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載のプロジェクター。
【請求項9】
前記色分離光学系は、
前記光源から射出された光のうち第1の色光を反射させるとともに第2の色光と第3の色光とを透過させる第1のダイクロイックミラーと、
前記第2の色光を反射させるとともに前記第3の色光を透過させる第2のダイクロイックミラーと、
前記第3の色光を反射させる反射面と、を含み、
前記反射面が前記反射曲面であることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項10】
前記反射曲面は、凹面の反射曲面であることを特徴とする請求項9に記載のプロジェクター。
【請求項11】
前記光変調パネルは複数のサブ画素からなる画素を有し、
前記光変調パネルの前記複数種類の色光が入射する側にはマイクロレンズアレイが配置されており、
前記マイクロレンズアレイは、3つの前記サブ画素につき1つのマイクロレンズを備えて構成されていることを特徴とする請求項9または10に記載のプロジェクター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図19】
【図5】
【図8】
【図15】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図19】
【図5】
【図8】
【図15】
【図18】
【公開番号】特開2013−33135(P2013−33135A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169265(P2011−169265)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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