説明

プロジェクタ制御装置及びプログラム

【課題】台形補正して画面を表示するにあたって、表示可能領域を有効利用することが出来るプロジェクタ制御装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像取得部310が取得したメイン画像を、補正設定取得部320が取得した補正設定に基づき、補正部330が補正して、バッファ340に記憶する。不使用領域検出部360は、バッファ340で補正後のメイン画像を記憶していない領域を検出し、サブ画像選択部370に伝達する。サブ画像選択部370は、サブ画像情報記憶部3920に登録されているサブ画像候補のうち、不使用領域に表示可能である最も優先度の高い候補をサブ画像として選択する。サブ画像制御部380は、サブ画像表示プログラム記憶部3930に記憶されたプログラムを実行して、選択されたサブ画像を不使用領域に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーンにPC等から取得した画面を投映するプロジェクタ装置が知られている。プロジェクタ装置を用いてスクリーン上に画面を投映するにあたって、投映角度によっては投映された画面がスクリーン上で台形に歪んでしまう場合がある。
【0003】
この台形歪みを解消するため、特許文献1及び特許文献2は、画像を予め補正することにより、スクリーン上に歪みのない画面を投映する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−97629号公報
【特許文献2】特開2003−283963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1又は特許文献2に記載の技術では、台形補正を実行するにあたって、本来なら画面を表示することが出来る部分を黒く塗りつぶして表示する。そのため、表示可能な部分であっても何も表示されない部分ができてしまい、プロジェクタの表示可能領域を無駄にしてしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、台形補正して画面を表示するにあたって、表示可能領域を有効に利用することが出来るプロジェクタ制御装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願発明に係るプロジェクタ制御装置は、
投映面に投映表示する主な画像であるメイン画像を、台形補正して投映部に投映させる投映制御部と、
前記投映部が投映可能であり、かつ前記台形補正したメイン画像を表示しない領域である不使用領域を検出する検出部と、
前記検出部が検出した不使用領域の少なくとも一部に表示すべきサブ画像を取得するサブ画像取得部と、
を備え、
前記投映制御部は、前記サブ画像を前記不使用領域の少なくとも一部に投映するように前記投映部を制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、台形補正して画面を表示するにあたって、表示可能領域を有効利用することが出来るプロジェクタ制御装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態1に係る画像投映システムを説明するための図面であり、(a)は画像投映システムの構成を示すブロック図、(b)は画像投映システムによって投映される画面の例を示す図である。
【図2】実施形態1に係るプロジェクタ及びプロジェクタ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態1に係るサブ画像情報の例を示す図である。
【図4】実施形態1に係るプロジェクタ制御装置のバッファと投映画面とを示す図であり、(a)はメイン画像補正前のバッファと投映画面を示す図、(b)はメイン画像補正後のバッファと投映画面を示す図、(c)はサブ画像表示状態中のバッファと投映画面を示す図である。
【図5】実施形態1に係るプロジェクタ制御装置が実行する画面投映処理のフローチャートである。
【図6】実施形態1に係るプロジェクタ制御装置が実行するサブ画像選択処理のフローチャートである。
【図7】実施形態1に係るプロジェクタ制御装置が実行するサブ画像表示処理のフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態2に係る画像投映システムを説明するための図面であり、(a)は画像投映システムの構成を示すブロック図、(b)は画像投映システムによって投映される画面の例を示す図である。
【図9】実施形態2に係るプロジェクタ及びプロジェクタ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施形態2に係るサブ画像情報の例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係るプロジェクタ制御装置の物理構成を示す図である。
【図12】本発明のその他の実施形態に係るサブ画像選択処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態に係る画像投映システムを、図を参照しながら説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0011】
(実施形態1)
本願の実施形態1に係る画像投映システム1を、図1を参照して説明する。画像投映システム1は、図1(a)に示すように、コンピュータ(PC10)と、プロジェクタ制御装置30を含むプロジェクタ20と、スクリーン40と、から構成される。
【0012】
PC10は、プロジェクタ20がスクリーン40上に投映すべき画像をプロジェクタ20に順次出力する計算機である。PC10は、アナログRGB端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)端子、等の画像出力端子や、LAN(Local Area Network)インターフェース等の情報伝達機能を用いて画像を外部出力する機能を備える。
【0013】
プロジェクタ20は、PC10が出力する画像(メイン画像)を光線として出力してスクリーン40に投映する画像投映装置である。プロジェクタ20は、スクリーン40上に投映する画像の台形歪みを補正する台形補正機能を備える。プロジェクタ20は、内部のプロジェクタ制御装置30が後述する処理を実行することにより、PC10が出力する画像を台形補正し、さらに後述する処理によってサブ画像を付して、スクリーン40上に投映する。
【0014】
スクリーン40は、プロジェクタ20が投映する光線を受け止めて画像を形成するための投映面として機能する幕である。
【0015】
スクリーン40に投映される画面の例を、図1(b)を参照して説明する。図1(b)では、スクリーン40の成す面に対して、プロジェクタ20が画面を下から投映している。図1(b)では、プロジェクタ20はメイン画像を垂直方向に台形補正して投映しているため、メイン画像の左右に表示可能だがメイン画像をしていない領域(不使用領域、点線で示された部分)が存在する。以下、理解を容易にするために、垂直方向のみ台形補正した場合について説明する。
不使用領域の一部には、サブ画像1とサブ画像2とが表示されている。
サブ画像として表示される画像は、例えば現在表示しているメイン画像の入力端子の名称を表示する画面、現在時刻を表示する画面、現在のプロジェクタのプロパティを表示する画面、等の、従来のプロジェクタにおいてメイン画面に重ねてウインドウ表示される画面である。
【0016】
次に、プロジェクタ20の構成を、図2を参照して説明する。プロジェクタ20は、入力部200と、操作部210と、歪みセンサ220と、投映部230と、プロジェクタ制御装置30と、から構成される。
【0017】
入力部200は、アナログRGB端子、S端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)端子、等の画像入力端子と、入力制御部と、から構成され、PC10が出力する画像(メイン画像)を順次受け付ける。
入力部200は、受け付けた画像を順次プロジェクタ制御装置30に伝達する。なお、入力部200は、LAN(Local Area Network)インターフェース、USB(Universal Serial Bus)インターフェース、等から構成される情報受信部であってもよい。この場合は、入力部200は画像をPC10が出力する情報として受信し、受信した情報から画像を抽出してプロジェクタ制御装置30に伝達する。
【0018】
操作部210は、各種ボタンやリモートコントローラからの操作情報を受信する受信部等から構成され、プロジェクタ20に対するユーザの操作を受け付けるユーザインターフェース部として機能する。操作部210は、手動で歪み補正のパラメータを設定するユーザの操作を受け付ける歪み補正操作受け付け部と、プロジェクタの動作設定を更新するユーザの操作を受け付ける設定操作受け付け部と、を含む。
操作部210は、受け付けたユーザの操作についての情報を、プロジェクタ制御装置30に伝達する。
【0019】
歪みセンサ220は、加速度センサから構成され、プロジェクタの角度を測定し、測定した角度を歪み情報としてプロジェクタ制御装置30に伝達する。
【0020】
投映部230は、DMD(Digital Micromirror Device)、DMDコントローラ、レンズ、レンズ駆動モータ、光源、等から構成されるプロジェクタの投映機能を担う装置であり、プロジェクタ制御装置30の制御に基づき、プロジェクタ制御装置30のバッファ340に記憶された画像を投映する。投映部230は、最大M×Nピクセルの画像を投影することができる。
【0021】
プロジェクタ制御装置30は、入力部200からPC10が出力する画像情報を取得し、操作部210、入力部200、歪みセンサ220、から伝達された情報と予め記憶した設定情報に基づき取得した画像(メイン画像)を変換し、さらにサブ画像を付して、投映部230に投映させる制御装置である。
プロジェクタ制御装置30は、機能的には画像取得部310と、補正設定取得部320と、補正部330と、バッファ340と、投映制御部350と、不使用領域検出部360と、サブ画像選択部370と、サブ画像制御部380と、記憶部390と、から構成される。プロジェクタ制御装置30の物理構成については後述する。
【0022】
画像取得部310は、入力部200から画像を順次取得し、取得した画像を補正部330に順次伝達する。画像取得部310は、入力部200からPC10が出力する画像を取得できない場合は、記憶部390が記憶するデフォルト画面を補正部330に伝達する。
【0023】
補正設定取得部320は、操作部210の歪み補正操作受け付け部が受け付けた歪み補正操作の情報と、歪みセンサ220から伝達された歪み情報と、に基づいて、歪み補正パラメータを決定する。歪みセンサ220が伝達する歪み情報(例えばプロジェクタの角度の情報)とユーザの操作とから歪み補正のパラメータを決定する方法は既知の任意の方法であってよいが、例えば特許文献2に記載の方法を用いることができる。
【0024】
補正部330は、補正設定取得部320が決定した補正パラメータを用いて、画像取得部310及びサブ画像制御部380から伝達された画像を台形補正する。補正部330は、補正後の画像をバッファ340に記憶する。台形補正の方法は既知の任意の方法であってよいが、例えば特許文献1に記載の方法、あるいは特許文献2に記載の方法を用いることが出来る。
【0025】
バッファ340は、投映部230が投映可能な画素のそれぞれに対応する画素値を記憶するM×N個の記憶領域から構成される、投映部230が投映する画像を一時記憶する記憶装置である。
バッファ340は、補正部330が補正した画像を記憶する。さらに、記憶した画像を投映制御部350の指令に基づき投映制御部350に、不使用領域検出部360の指令に基づき不使用領域検出部360に、それぞれ伝達する。
【0026】
投映制御部350は、バッファ340に記憶された画像を、投映部230に投映させる制御装置である。投映制御部350は、バッファ340上で画素値が記憶されていない記憶領域に対応する部分を、黒く塗りつぶして(画素値が黒であるとして)、投映部230に投影させる。投映制御部350は、記憶部390の設定記憶部3910に記憶された投映設定に基づいて、投映部230を制御する。
【0027】
不使用領域検出部360は、バッファ340のM×N個の各記憶領域のうち、画素値が記憶されていない記憶領域を検出する。具体的には、バッファ340のなかで、画素値が記憶されていない記憶領域が連続する部分(不使用領域)を抽出する。台形補正を行った場合、不使用領域は複数の略三角形の領域から構成される(図1(b))。不使用領域検出部360は、不使用領域を構成する略三角形の領域のそれぞれについて、3つの頂点の座標をサブ画像選択部370に伝達する。
【0028】
サブ画像選択部370は、不使用領域検出部360が検出した不使用領域の形状及び大きさに基づき、不使用領域に表示するサブ画像(メイン画像とは異なる画像)を選択する。
即ち、サブ画像選択部370は不使用領域検出部360から不使用領域を示す情報(略三角形の頂点の座標)を受け取ると、記憶部390のサブ画像情報記憶部3920に登録されているサブ画像のうち、当該不使用領域に表示しうるサブ画像であってもっとも優先度の高いサブ画像を選択する。サブ画像選択部370が実行する具体的な処理については後述する。
そして、サブ画像選択部370は、選択したサブ画像の情報をサブ画像制御部380に伝達する。
【0029】
サブ画像制御部380は、サブ画像表示プログラム記憶部3930から、サブ画像選択部370が選択したサブ画像に対応する実行プログラムを読み込み、当該プログラムを実行してサブ画像を生成する。
サブ画像制御部380は、生成したサブ画像を補正部330に伝達する。このとき、サブ画像制御部380は補正部330に補正後のサブ画像を配置する位置を合わせて伝達する。補正部330は補正後のサブ画像をバッファ340に記憶するにあたって、当該伝達された位置に記憶する。
【0030】
記憶部390は、物理的にはRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、等から構成され、入力部200、操作部210、プロジェクタ制御装置30の記憶部390を除く各部、から伝達された情報を記憶し、またプロジェクタ制御装置30が下記処理を実行するためのプログラム及び情報を予め記憶する。記憶部390は、プロジェクタ制御装置30の記憶部390を除く各部からの指令に基づき、要求された情報を各部に伝達する。
記憶部390は、設定記憶部3910と、サブ画像情報記憶部3920と、サブ画像表示プログラム記憶部3930と、を含む。
【0031】
設定記憶部3910は、投映制御部350が投映部230を用いて画像を投映するために用いるパラメータ、補正部330が補正を実行するパラメータ、サブ画像の最大表示数、等の各種設定情報を記憶する。設定情報は、操作部210及び入力部200から伝達された、設定を更新する旨の情報に基づいて更新される。
【0032】
サブ画像情報記憶部3920は、サブ画像として表示する画面の候補を登録したサブ画像情報を記憶している。
【0033】
サブ画像情報記憶部3920が記憶するサブ画像情報の例を、図3を参照して説明する。
サブ画像情報は、サブ画像IDと、内容と、実行プログラムと、必要最低高さと、必要最低幅と、優先度と、を対応付けて記憶する表である。
【0034】
サブ画像情報のサブ画像IDとは、サブ画像候補を一意に現す識別子である。
【0035】
サブ画像情報の内容とは、そのサブ画像候補がどのような内容を表示するものかを表す情報である。
【0036】
サブ画像情報のプログラムとは、そのサブ画像候補を表示するための、サブ画像表示プログラム記憶部3930に記憶されたプログラムを示す情報である。
【0037】
サブ画像情報の必要最低高さと必要最低幅は、そのサブ画像候補を表示するために縦・横何ピクセル分の領域が必要であるかを示す数値である。
【0038】
サブ画像情報の優先度は、そのサブ画像候補を表示すべき優先度を示す数値であり、この数値が低いほどそのサブ画像候補を表示する優先度が高い。サブ画像情報は、工場出荷時に予めサブ画像情報記憶部3920に記憶された情報である。サブ画像情報はユーザの設定操作に基づいて定義された情報であっても良い。
【0039】
サブ画像表示プログラム記憶部3930は、サブ画像情報記憶部3920に登録された各サブ画像候補を表示するためのプログラムをそれぞれ記憶する。
【0040】
上記構成により、バッファ340に記憶されるメイン画像及びサブ画像と、スクリーン40に投映される画面について、図4を参照して説明する。
【0041】
台形補正前は、バッファ340の、横(図4のx軸方向)にN個、縦(y軸方向)にM個の記憶領域からなる全領域が、メイン画像を記憶する領域(メイン領域)となる。この状態でメイン画像が投映部230によりスクリーン40に投映されると、画面の上辺が下辺よりも長い台形に画像が歪んで投映される。(図4(a))。
【0042】
そこで、バッファ340上でメイン画像を台形に補正し、不使用領域を黒く表示すると、スクリーン40上では台形歪みが解消する(図4(b))。この結果スクリーン上に何も表示されない領域(不使用領域)が発生する。
バッファ340ではこの不使用領域は、(x、M)、(0、M)、(0、0)の三点を頂点とする略三角形の不使用領域(メイン領域の左側)と、(x、M)、(N、M)、(N、0)の三点を頂点とする略三角形の不使用領域(メイン領域の右側)として現れる。
【0043】
本実施形態のプロジェクタ制御装置30は、バッファ340の不使用領域に、サブ画像制御部380が作成した画像を、補正部330によって補正した上で配置する(サブ領域S及びサブ領域S、図4(c)左)。その結果、スクリーン40上のメイン画像の横にサブ画像が補正されて表示される(図4(c)右)。このため、従来は使用されていなかった不使用領域の一部を、サブ画像1及びサブ画像2を表示する領域として活用することが出来る。
【0044】
ここで、図4のようにサブ画像を表示するためにプロジェクタ制御装置30が実行する処理を、図5〜図7を参照して説明する。
プロジェクタ制御装置30は、プロジェクタ20の電源が投入されると、図5に示す画像投映処理1を開始する。
【0045】
画像投映処理1では、まずメイン画像が補正されずにスクリーン40上に投映される。即ち、補正部330は画像取得部310が取得した画像を補正せずバッファ340に記憶し、投映制御部350がそのまま投映部230に投影させる(ステップS101)。スクリーン40とプロジェクタ20の角度によっては、図4(a)に示すようにスクリーン40上に台形に歪んだメイン画像が表示される。
【0046】
次に、ステップS101で表示された画面を見てユーザが歪み補正設定を有効にし、歪みセンサ220が取得した歪み情報に基づいて補正設定取得部320が補正パラメータを算出する(ステップS102)。ステップS102では、さらに算出したパラメータを用いて補正部330がメイン画像を順次補正してバッファ340に記憶する処理が開始される。その結果、図4(b)に示すようにスクリーン40上に台形歪みが補正されたメイン画面が投影される。このとき、歪みセンサ220からの情報による補正だけでは補正しきれない場合は、ユーザが操作部210を操作して補正パラメータを調整する。
【0047】
そして、次に不使用領域検出部360が、補正が実行されてバッファ340上に画像を記憶していない不使用領域が存在するか否か判別する(ステップS103)。不使用領域が存在しないと判別すると(ステップS103;NO)、後述するステップS108に処理をスキップする。
【0048】
一方、補正が実行され、バッファ340に不使用領域が存在すると判別すると(ステップS103;YES)、不使用領域検出部360はサブ画像選択処理を開始する(ステップS104)。
【0049】
ステップS104で実行されるサブ画像選択処理を、図6を参照して説明する。サブ画像選択処理では、まず不使用領域検出部360が、バッファ340上の不使用領域を略三角形に分解し、各略三角形の頂点の値を取得する(ステップS201)。図4(b)の例では、左側の不使用領域の頂点として(x、M)、(0、M)、(0、0)の三点を、右側の不使用領域の頂点として(x、M)、(N、M)、(N、0)の三点を、それぞれ取得する。ステップS201では、さらに不使用領域検出部360が取得した頂点の情報をサブ画像選択部370に伝達する。
【0050】
サブ画像選択部370は、不使用領域検出部360から不使用領域の頂点の情報を伝達されると、不使用領域に表示可能なサブ画像であって最も優先度が高い(優先度の数値が小さい)画像を選択する処理を実行する。選択にあたって、まずカウンタ変数iに0を代入する(ステップS202)。
【0051】
次に、サブ画像選択部370はサブ画像情報記憶部3920に記憶されているサブ画像情報から、優先度がiと等しいサブ画像候補の情報を取得する。そして、不使用領域の三点と、取得したサブ画像候補の必要最大高さ及び必要最低幅を比較して、不使用領域に取得したサブ画像が表示可能か判別する(ステップS203)。具体的には、不使用領域を構成する略三角形であって、必要最大高さ以上の高さを持ち、かつ必要最低幅以上の幅を持つ略三角形が存在する場合にはそのサブ画像候補は表示可能であると判別し、そのような条件を満たす略三角形がない場合には表示可能でないと判別する。なお、図4(b)の例では、左の不使用領域の高さはM、幅はxであり、右の不使用領域の不使用領域の高さはM、幅はN−xである。
【0052】
取得したサブ画像候補が表示可能であると判別すると(S203;YES)、サブ画像選択部370はそのサブ画像候補をサブ画像として選択する(ステップS204)。そして、サブ画像選択処理を終了する。
【0053】
一方、取得したサブ画像候補が表示可能でないと判別すると(S203;NO)、サブ画像選択部370はサブ画像情報に未処理のサブ画像候補が登録されているか判別する(ステップS205)。未処理のサブ画像候補があると判別すると(ステップS205;YES)、iをインクリメントし(ステップS206)、次の優先度のサブ画像候補について同様に処理を実行する。
【0054】
未処理のサブ画像候補がないと判別すると(ステップS205;NO)、表示可能なサブ画像が無いと判断できるので、サブ画像選択部370はサブ画像を選択せず(ステップS207)、サブ画像選択処理を終了する。
【0055】
サブ画像選択処理が終わると、選択結果がサブ画像制御部380に伝達される。サブ画像制御部380は、サブ画像選択処理においてサブ画像が選択されたか否か判別する(図5、ステップS105)。サブ画像が選択されていない場合は(ステップS105;NO)、表示するサブ画像がないため、ステップS106とステップS107をスキップする。
【0056】
一方、サブ画像が選択されている場合は(ステップS105;YES)、サブ画像制御部380はサブ画像表示処理を開始する(ステップS106)。
【0057】
ステップS106で実行されるサブ画像表示処理について、図7を参照して説明する。サブ画像表示処理では、まず選択されたサブ画像情報を参照し、選択されたサブ画像を表示するためのプログラムが記憶されているアドレスを取得する。そして、サブ画像表示プログラム記憶部3930の当該位置を読み出して、サブ画像を表示するためのプログラム(サブ画像表示プログラム)を開始する(ステップS301)。
【0058】
サブ画像表示プログラムを開始すると、当該プログラムの処理結果として、サブ画像が順次取得できる(ステップS302)。サブ画像の大きさ及び形状は、不使用領域の形状及び大きさに基づいてサブ画像表示プログラムが決定する。
【0059】
サブ画像制御部380は、サブ画像表示プログラムが、サブ画像の大きさ及び形状と、不使用領域の大きさ、形状、座標、とに基づいて算出するサブ画像表示位置を取得する(ステップS303)。
【0060】
そして、サブ画像制御部380は、取得したサブ画像を、サブ画像表示位置と共に順次補正部330に伝達して、サブ画像を変換してバッファ340に記憶する処理を開始する(ステップS304)。補正部330は、メイン画像を補正したパラメータを用いてサブ画像順次補正し、補正したサブ画像をバッファ340の伝達されたサブ画像表示位置に記憶する。そのサブ画像を表示した略三角形の領域は、そのサブ画像表示のための領域として予約され、リセットされるまで、以後の処理では不使用領域とは扱われない。
【0061】
ステップS304が終わると、サブ画像表示処理は終了し、処理は図5のステップS107に移行する。ステップS107では、現在表示中のサブ画像の数が、設定記憶部3910に記憶された最大表示数未満であるか判別される。最大表示数未満であると判別すると(ステップS107;YES)、現在の不使用領域を用いてさらにサブ画像を表示するために、処理はステップS104に戻る。
【0062】
現在表示されているサブ画像の数が最大表示数以上である場合は(ステップS107;NO)、これ以上の数のサブ画像を表示する必要がないとの判断に基づき、処理はステップS108に移行する。
【0063】
ステップS108では、不使用領域検出部360が、台形補正の補正設定が変更され、不使用領域の形状・大きさが変化したか否か判別する。補正設定が変更されていない場合(ステップS108;NO)、現在の状態で、補正設定の変更があるまで待機する。
【0064】
一方、補正設定が変更された場合(ステップS108;YES)、選択されたサブ画像をリセットし、処理をステップS104に戻して変更後の補正設定に基づいてサブ画像の選択・表示処理を再度実行する。
【0065】
本実施形態のプロジェクタ制御装置30によれば、台形補正を行った場合の不使用領域に、サブ画像を表示することが出来る。そのため、従来のプロジェクタでは有効に利用できていなかった台形補正後の不使用領域を有効に活用できる。
また、優先度を定め、不使用領域を用いて表示可能なサブ画像のうち優先度が高い画像を選択して表示するため、ユーザが望む情報を表示するサブ画像を優先的に表示することが出来る。
従来、プロジェクタのプロパティや設定画面を表示するにあたって、メイン画像の上に重ねて表示していたため、これらの画像は、メイン画像を表示する邪魔にならないように小さく表示していた。一方、本実施形態に係るプロジェクタ制御装置30によれば、表示可能な範囲でこれらの画像を大きく表示しても、メイン画像に重なることが無いため邪魔になることがない。そのため、サブ画像を無理に小さくして表示する必要が無く、ユーザが視認しやすい。
【0066】
また、本実施形態のプロジェクタ制御装置30によれば、バッファ340の記憶領域上で、画像データが記憶されていない部位を不使用領域として検出する構成により、補正パラメータから不使用領域を算出する構成を省略できる。
【0067】
本実施形態のプロジェクタ制御装置30は、選択したサブ画像を補正部330で補正して表示する構成により、サブ画像も台形補正して表示することができる。このため、サブ画像がスクリーン上で歪む事がない。
また、不使用領域の形状・大きさに合わせて、最低表示領域を満たす中で最も優先度の高いサブ画像を選択し、選択したサブ画像を補正部330で補正して表示する構成により、サブ画像にも台形補正して表示することができる。このため、サブ画像がスクリーン上で歪む事がない。
【0068】
(実施形態2)
次に、本願の実施形態2に係る画像投映システム2を、図8を参照して説明する。画像投映システム2は、図8(a)に示すように、実施形態1に係る画像投映システム1の構成に加え、スクリーン40上に投影された画面を用いてマウス操作が可能なポインタデバイス50をさらに含む。また、画像投影システム2のプロジェクタ21は、PC10にポインタデバイス50を用いてユーザが操作した操作情報と、不使用領域の情報を伝達する。PC10は、メイン画面に加えて、伝達された情報に基づいて、サブ画像候補となる画面をプロジェクタ21にさらに伝達する。
【0069】
ポインタデバイス50は、スクリーン40上の投映画像上の点をポイントして、その位置情報を取得する。ポインタデバイス50はマウスと同様にボタンを備え、ボタンが受け付けた操作と、位置情報と、をプロジェクタ21に伝達する。
ポインタデバイス50が位置情報を取得する方法は、既知の任意の位置情報取得方法であってよいが、ここではポインタデバイス50が赤外線カメラを備え、プロジェクタ21が所定の間隔で投映する赤外線のグラジエーションを撮影し、その強さから画像上の座標を取得するものとする。
【0070】
スクリーン40に投映される画面の例を、図8(b)を参照して説明する。図8(b)では、プロジェクタの設定(明るさ設定)を行うサブ画像3の上に、ポインタデバイス50によって指示されたポインタが配置されている。実施形態2に係る画像投影システム2によれば、ポインタデバイス50を用いて、サブ画像3のような設定画面を操作することにより、プロジェクタ21の設定を変更することが出来る。
【0071】
次に、プロジェクタ21の構成を、図9を参照して説明する。プロジェクタ21は、実施形態1のプロジェクタ20と比べて、出力部240をさらに備え、入力部がPC10からの情報を受信する入力部201であり、プロジェクタ制御装置がポインタデバイス50の操作を感知し、さらにPC10にポインタデバイス50の操作情報と、不使用領域の情報と、を出力する機能を備えたプロジェクタ制御装置31であることを特徴とする。
プロジェクタ制御装置31は、実施形態1のプロジェクタ制御装置30と比べ、ポインタ検出部400と、ポインタ位置判別部410と、をさらに備え、不使用領域検出部361とサブ画像制御部381の機能がプロジェクタ制御装置の対応する部位と異なることを特徴とする。
【0072】
入力部201は、実施形態1の入力部200の機能に加え、PC10が出力するサブ画像の情報を受信する機能を備えることを特徴とする。
出力部240は、LAN(Local Area Network)インターフェース、USB(Universal Serial Bus)インターフェース、等から構成される情報送信装置である。なお、出力部240は、入力部201と共通の物理構成によって構成される情報送受信部によって実現されても良い。
出力部240は、プロジェクタ制御装置31の制御に基づき、不使用領域検出部361、ポインタ位置判別部410、等から伝達された情報をPC10に送信する。
【0073】
PC10は、送信された不使用領域の情報を基に、不使用領域に表示すべき画像(サブ画像候補)と、その優先度とを決定し、入力部201に送信する。
入力部201は、受信したサブ画像候補とその優先度を、サブ画像情報記憶部3920のサブ画像情報に登録する。
【0074】
不使用領域検出部361は、実施形態1の不使用領域検出360の機能に加え、検出した不使用領域の情報を出力部240に伝達し、PC10に送信させる機能を持つ。不使用領域検出部361は、さらにバッファ340上のメイン画像が占める部位と、サブ画像が占める部位と、不使用領域と、を示す領域情報を取得して、ポインタ位置判別部410に伝達する。
【0075】
ポインタ検出部400は、ポインタデバイス50と通信して、スクリーン上のポインタの位置情報と、ポインタデバイス50に対して行われたユーザの操作(右クリック、左クリック、等の操作)を示す情報と、を取得する。
【0076】
ポインタ位置判別部410は、ポインタ検出部400が取得した位置情報と、不使用領域検出361から伝達された領域情報と、を比較し、ポインタデバイス50が示すポインタが、メイン画面上にあるか否かを判別する。
ポインタがメイン画面上にあると判別すると、そのユーザの操作はPC10の画面上に対して行われた操作であると推測できるため、ポインタ位置判別部410は、現在のポインタの位置情報と操作情報とを、補正部330で行われた補正を加味して修正した上で、出力部240を用いてPC10に送信する。具体的には、ポインタの位置座標を補正部330の補正パラメータで変換して、メイン画像上の位置座標と整合させた上でPC10に送信する。PC10は、受信したポインタの位置情報と操作情報とを、マウスが受け付けた操作情報として、実行中のアプリケーションに伝達する。
【0077】
一方、ポインタが、サブ画像上又は不使用領域上にあると判別すると、ユーザはPC10を操作しているのではないとの推測のもと、現在のポインタの位置情報と操作情報とをサブ画像制御部381に伝達する。
【0078】
サブ画像制御部381は、実施形態1のサブ画像制御部380の機能に加え、ポインタ位置判別部410から伝達された、不使用領域及びサブ領域上のポインタの位置情報と操作情報とを用いて、対応するサブ画像実行プログラムの実行内容を変更する機能を備えることを特徴とする。
【0079】
サブ画像制御部381は、ポインタがサブ画像上にある場合は、その位置情報と操作情報とを、補正部330で行われた補正を加味して修正し、サブ画像表示プログラムを実行している回路に伝達する。即ち、ポインタの位置を補正部330の補正パラメータで変換して、サブ画像上の位置座標と整合させた上で、サブ画像表示プログラムに伝達する。例えば、サブ画像がプロジェクタの設定操作画面であり、ポインタがそのサブ画像上にある場合を考える。設定画面操作のサブ画像表示プログラムは、ポインタデバイス50の操作を、マウスを用いた設定操作として処理し、当該操作によってユーザが入力する設定に基づき、設定記憶部3910の設定情報を更新する。
【0080】
なお、ポインタがメイン画像上に無い場合に、プロジェクタ制御装置31はポインタデバイス50から伝達された操作情報に基づいて、任意の処理を実行してすることができる。例えば、不使用領域上でポインタが所定の動きを示した場合に、マウスジェスチャとして感知し、所定のサブ画像を呼び出す、等の処理を実行しても良い。
【0081】
実施形態2において、サブ画像情報記憶部3920に記憶されるサブ画像情報の例を、図10を参照して説明する。図10のサブ画像情報には、実施形態1のサブ画像情報の例(図3)に登録されているサブ画像候補に加え、PC指定画面(サブ画像ID5)と、明るさ設定画面(サブ画像ID6)と、がさらに登録されている。
【0082】
PC指定画面(ID5)は、PC10が不使用領域の大きさに基づき作成したサブ画像であり、入力部201が取得して記憶部390に記憶する。PC指定画面の実行プログラム(#05)は、サブ画像表示プログラム記憶部3930に記憶された、PC10から取得したサブ画像を再生するプログラムである。PC指定画面の優先度(1)は、PC10が定義して入力部201に対して送信したPC指定画面の優先度である。PC10指定画面は、例えば、プレゼンテーション資料のページ番号や、ファイル名等のPC10が所有するデータを表示する画像が考えられる。
【0083】
明るさ設定画面は、設定記憶部3910に記憶された、出力制御部350が投映部230を制御して出力させる光線の強さを示す明るさの設定を操作するための画面(図8(b)のサブ画像3)である。明るさ設定画面の実行プログラム(#06)は、明るさの設定値を変更すためのスライドバー等を表示させるプログラムであり、サブ画像3上のポインタの相対位置及びポインタ50の操作情報に基づき、新たな明るさを設定する。
【0084】
実施形態2に係る画像投映システム2によれば、ユーザはメイン画像をPC10のデスクトップとして用い、不使用領域及びサブ画像をプロジェクタを操作するための設定画面として用いることができる。
また、PC10とプロジェクタ21とが通信して、サブ画像として表示すべき内容をPC10が指定することが出来るため、ユーザは所望のサブ画像を柔軟に指定することが出来る。そのため、不使用領域をより有効に使用することが出来る。
【0085】
次に、実施形態1に係るプロジェクタ制御装置30及び実施形態2に係るプロジェクタ制御装置31のハードウェア構成を、図11を参照して説明する。
プロジェクタ制御装置30及びプロジェクタ制御装置31は、情報処理部301と、データ記憶部302と、プログラム記憶部303と、入出力部304と、内部パス307と、から構成される。
【0086】
情報処理部301は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processing)、等から構成され、プログラム記憶部303に記憶されている制御プログラム308に従って、画像補正処理を含む画像投映処理の各種の処理を実行する。
【0087】
データ記憶部302は、RAM(Random−Access Memory)等から構成され、情報処理部301の作業領域として用いられる。
【0088】
プログラム記憶部303は、フラッシュメモリ、ハードディスク、等の不揮発性メモリから構成され、情報処理部301の動作を制御する制御プログラム308を記憶する。また、プログラム記憶部303は、サブ画像表示プログラム記憶部3930に記憶されている、サブ画像表示プログラムを記憶する。
なお、情報処理部301と、データ記憶部302と、プログラム記憶部303と、入出力部304と、は内部パス307によってそれぞれ接続され、情報の送信が可能である。
【0089】
入出力部304は外部機器との情報の入出力を制御するI/O部である。
入出力部304は、プロジェクタ20あるいはプロジェクタ21の入力部200(入力部201)、操作部210、歪みセンサ220、等から入力されるデータを取得して情報処理部301に伝達する。また、入出力部304は出力部240、投映部230、等に情報処理部301の演算結果を出力する。
【0090】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されず、さまざまな変形が可能である。
例えば、実施形態1及び2では、歪みセンサ220はプロジェクタの傾きを計測する加速度センサであるが、歪みセンサの実装形態はこれに限られない。歪みセンサは、スクリーン40に投映された画面の形状を撮影するカメラと、カメラが撮影した画面の形状からスクリーン上の画面がどの程度ゆがんでいるかを計測する装置であっても良い。このとき、歪みセンサは撮影により取得した歪みを歪み情報としてプロジェクタ制御装置30に伝達する。
【0091】
また、実施形態1及び2では、現在時刻や画像入力先の表示等の情報をサブ画像として表示する場合について主に説明したが、サブ画像はその他の様々な情報を表示する画像であってよい。例えば、プロジェクタ制御装置30(プロジェクタ制御装置31)は、以前にメイン画像として投映した画像を履歴として記憶しておき、メイン画像が変化した後に、当該記憶した以前のメイン画像をサブ画像として表示してもよい。このとき、プロジェクタ制御装置はメイン画像として投映した画像を記憶するメイン画像履歴記憶部と、メイン画像が変化したか否かを判別する変化判別部をさらに備える。なお、メイン画像履歴記憶部は、直前の一画面のみを記憶してもよい。
このような構成によって、以前のメイン画像と現在のメイン画像を比較対象することができ、特にスライドショー等において観者が前後の画面の関連性・相違点を容易に対比できるという効果を奏することが出来る。
【0092】
また、実施形態1及び2では、不使用領域検出部360(不使用領域検出部361)は、バッファ340の不使用領域の形状を略三角形の頂点として検出した。不使用領域の検出方法はこれに限られず、不使用領域検出部は既知の任意の方法で不使用領域を検出して良い。例えば、バッファ340の大きさに対応するマトリクス(領域マトリクス、大きさN×M)を作成し、領域マトリクスの数値を不使用領域に対応するフラグ(例えば−1)、メイン画像に対応するフラグ(例えば0)、サブ画像に対応するフラグ(例えば+1、+2等のサブ画像の番号)とし、当該マトリクスの−1の部分を不使用領域として定義しても良い。
【0093】
あるいは、不使用領域検出部は、補正設定取得部が取得した補正設定に基づき、不使用領域を検出してもよい。この場合に、不使用領域検出部は、補正設定取得部から補正パラメータを取得し、記憶部390に記憶された補正パラメータと不使用領域との対応を記憶したリストを参照して不使用領域を検出する。
【0094】
サブ画像候補が不使用領域に表示可能であるか判別する処理も、上記実施形態に限定されない。この処理は、2次元バッファ上の未使用領域に、任意の2次元形状のデータを配置できるか否か判別する任意の処理が適用可能である。例えば、上記の領域マトリクスを用いて不使用領域を検出した場合は、図12のような判別処理が可能である。
【0095】
図12の処理では、あらかじめ、サブ画像情報記憶部3920に、サブ画像を表示するための最低限必要な領域を定義する情報を記憶しておく。判別にあたって、上記最低表示領域をメイン画像と同じ補正パラメータで補正する(図12(a)左)。そして、該補正後の最低表示領域を、領域マトリクス上に当てはめ、不使用領域以外の領域に重ならずに上記最低表示領域を定義可能であるか判別する。判別は、領域マトリクス上に補正後の最低表示領域を重ね、図12で斜線で表されたメイン領域及び縦横罫線で表されたサブ画像表示領域と、最低表示領域が重なっているか判別する。重なっている場合は、最低表示領域をひとつずつ横にずらしながら当てはめ、重ならないで配置できる場所が無いか判別する(図12(b))。そして、横の一列が終われば縦に一つずらし、次の行の当てはめを行う。このようにして、領域マトリクスのどこかに、不使用領域のみを用いて最低表示領域を定義できる部位があれば(図12(c))、そのサブ画像は表示可能であると判別する。そして、サブ画像制御部は、領域マトリクス上の表示可能位置のいずれかに、サブ画像を表示させる。
【0096】
また、実施形態1及び実施形態2では、サブ画像を表示している領域は不使用領域として扱わず、サブ画像同士が重なり合わないように処理したが、本発明の変形例として、サブ画像表示領域を、次のサブ画像を表示する場合の不使用領域として判別し、サブ画像同士が重なり合うような構成としても良い。この場合、優先度が高いサブ画像をより上層に表示する。
【0097】
また、上記処理では、サブ画像がメイン画像に重ならないように表示したが、本発明の別の変形例として、不使用領域とメイン画像上の所定領域とを、サブ画像を表示可能な部位とすることも可能である。この場合は、PC10から、メイン画像上の重要でない位置を指定する情報を受け取り、不使用領域検出部がその領域を不使用領域として検出する。このような構成によれば、サブ画像を台形補正によって表示しない部分だけでなく、メイン画像上の重要で無い部分に重ねて表示することが出来るため、よりサブ画像を表示する領域を大きく出来る。
【0098】
また、上記実施形態では、右と左の不使用領域を分離された領域としてそれぞれ処理したが、本発明の変形として、複数の不使用領域を統合して一つの領域とみなし、一つのサブ画像を複数の不使用領域にまたがって表示する構成も可能である。この場合は、サブ画像制御部が、不使用領域検出部が検出した複数の不使用領域をつなげたメモリ空間を仮想的に作成し、該メモリ空間上を一つの不使用領域としてサブ画像を表示させ、バッファ340上にサブ画像を分割して記憶させる構成を持つ。
【0099】
また、実施形態1及び実施形態2では、サブ画像をメイン画像と同様に補正して投映したが、サブ画像を変換しない処理も可能である。このような構成によれば、画像投映処理に必要な計算量を低減することが可能となる。
【0100】
さらに、実施形態1及び実施形態2では、垂直方向に台形補正される場合について説明したが、本願発明はこれに限定されず、水平方向の台形補正を実行した場合、垂直方向・水平方向の両方の台形補正を実行した場合でも応用可能である。
【0101】
その他、前記のハードウェア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0102】
情報処理部301と、データ記憶部302と、プログラム記憶部303と、入出力部304と、内部パス307と、などから構成される制御処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROMなど)に格納して配布し、前記コンピュータプログラムをコンピュータにインストールし、さらに投映機能を持つ投映部と接続することにより、前記の処理を実行するプロジェクタ制御装置30(プロジェクタ制御装置31)を構成してもよい。また、インターネットなどの通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に前記コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロードなどすることでプロジェクタ制御装置30(プロジェクタ制御装置31)を構成してもよい。
【0103】
プロジェクタ制御装置30(プロジェクタ制御装置31)の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0104】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0105】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0106】
(付記1)
投映面に投映表示する主な画像であるメイン画像を、台形補正して投映部に投映させる投映制御部と、
前記投映部が投映可能であり、かつ前記台形補正したメイン画像を表示しない領域である不使用領域を検出する検出部と、
前記検出部が検出した不使用領域の少なくとも一部に表示すべきサブ画像を取得するサブ画像取得部と、
を備え、
前記投映制御部は、前記サブ画像を前記不使用領域の少なくとも一部に投映するように前記投映部を制御する、
ことを特徴とするプロジェクタ制御装置。
【0107】
(付記2)
前記投映部が投映可能な領域に対応する記憶領域を備え、前記投映部が投映する画像を蓄えるバッファと、
画像の歪みを補正する補正部と、
をさらに備え、
前記投映制御部は、前記メイン画像を前記補正部に補正させ、当該補正後のメイン画像を前記バッファに記憶することにより、前記メイン画像を台形補正して前記投映部に投映させ、
前記検出部は、前記バッファの記憶領域であってメイン画像を記憶していない領域を前記不使用領域として検出し、
前記サブ画像取得部は、取得したサブ画像を前記バッファの不使用領域の少なくとも一部に記憶させる、
ことを特徴とする付記1に記載のプロジェクタ制御装置。
【0108】
(付記3)
前記サブ画像取得部は、前記取得したサブ画像を前記補正部で前記メイン画像を補正したパラメータで補正して、当該補正後のサブ画像を前記バッファに記憶する、
ことを特徴とする付記2に記載のプロジェクタ制御装置。
【0109】
(付記4)
前記サブ画像取得部は、前記検出部が検出した不使用領域の、大きさ、形状、の少なくとも一つに基づき、複数のサブ画像の候補から選択して前記サブ画像を取得する、
ことを特徴とする付記1乃至3の何れか1つに記載のプロジェクタ制御装置。
【0110】
(付記5)
ポインタ装置が指し示す、前記投映部が投映した画面上の位置であるポインタ位置を取得する位置取得部と、
前記位置取得部が取得したポインタ位置が、前記メイン画像上であるか否かを判別する位置判別部と、
前記位置判別部が、前記ポインタ位置がメイン画像上にあると判別すると、当該ポインタ位置を外部機器に送信する送信部と、
を備えることを特徴とする付記1乃至4の何れか1つに記載のプロジェクタ制御装置。
【0111】
(付記6)
前記位置判別部が、前記ポインタ位置がメイン画像上に無いと判別し、さらに当該ポインタ位置が前記サブ画像上にある場合に、当該ポインタ位置と、前記ポインタ装置から取得した操作情報と、の少なくとも一方に基づいて前記サブ画像を変化させる、
ことを特徴とする付記5に記載のプロジェクタ制御装置。
【0112】
(付記7)
前記サブ画像はプロジェクタを設定操作する設定画面であり、
前記ポインタ位置が前記サブ画像上にあると判別すると、当該ポインタ位置と、前記ポインタ装置から取得した操作情報と、の少なくとも一方に基づいて前記プロジェクタの設定情報を更新して記憶する設定情報記憶部をさらに備える、
ことを特徴とする付記6に記載のプロジェクタ制御装置。
【0113】
(付記8)
コンピュータに、
投映面に画像を投映表示するにあたって表示する主な画像であるメイン画像を、台形補正して投映部に投映させる処理、
前記投映部が投映可能であり、かつ台形補正したメイン画像を表示しない領域である不使用領域を検出する検出処理、
前記検出処理により検出した不使用領域の少なくとも一部に表示すべきサブ画像を取得する処理、
前記投映部に、前記サブ画像を前記不使用領域の少なくとも一部に投映させる処理、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0114】
1…画像投映システム、2…画像投映システム、10…PC、20…プロジェクタ、21…プロジェクタ、30…プロジェクタ制御装置、31…プロジェクタ制御装置、40…スクリーン、50…ポインタデバイス、200…入力部、201…入力部、210…操作部、220…歪みセンサ、230…投映部、240…出力部、301…情報処理部、302…データ記憶部、303…プログラム記憶部、304…入出力部、307…内部バス308…制御プログラム、310…画像取得部、320…補正設定取得部、330…補正部、340…バッファ、350…投映制御部、360…不使用領域検出部、361…不使用領域検出部、370…サブ画像選択部、380…サブ画像制御部、380…サブ画像制御部、390…記憶部、3910…設定記憶部、3920…サブ画像情報記憶部、3930…サブ画像表示プログラム記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投映面に投映表示する主な画像であるメイン画像を、台形補正して投映部に投映させる投映制御部と、
前記投映部が投映可能であり、かつ前記台形補正したメイン画像を表示しない領域である不使用領域を検出する検出部と、
前記検出部が検出した不使用領域の少なくとも一部に表示すべきサブ画像を取得するサブ画像取得部と、
を備え、
前記投映制御部は、前記サブ画像を前記不使用領域の少なくとも一部に投映するように前記投映部を制御する、
ことを特徴とするプロジェクタ制御装置。
【請求項2】
前記投映部が投映可能な領域に対応する記憶領域を備え、前記投映部が投映する画像を蓄えるバッファと、
画像の歪みを補正する補正部と、
をさらに備え、
前記投映制御部は、前記メイン画像を前記補正部に補正させ、当該補正後のメイン画像を前記バッファに記憶することにより、前記メイン画像を台形補正して前記投映部に投映させ、
前記検出部は、前記バッファの記憶領域であってメイン画像を記憶していない領域を前記不使用領域として検出し、
前記サブ画像取得部は、取得したサブ画像を前記バッファの不使用領域の少なくとも一部に記憶させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ制御装置。
【請求項3】
前記サブ画像取得部は、前記取得したサブ画像を前記補正部で前記メイン画像を補正したパラメータで補正して、当該補正後のサブ画像を前記バッファに記憶する、
ことを特徴とする請求項2に記載のプロジェクタ制御装置。
【請求項4】
前記サブ画像取得部は、前記検出部が検出した不使用領域の、大きさ、形状、の少なくとも一つに基づき、複数のサブ画像の候補から選択して前記サブ画像を取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のプロジェクタ制御装置。
【請求項5】
ポインタ装置が指し示す、前記投映部が投映した画面上の位置であるポインタ位置を取得する位置取得部と、
前記位置取得部が取得したポインタ位置が、前記メイン画像上であるか否かを判別する位置判別部と、
前記位置判別部が、前記ポインタ位置がメイン画像上にあると判別すると、当該ポインタ位置を外部機器に送信する送信部と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のプロジェクタ制御装置。
【請求項6】
前記位置判別部が、前記ポインタ位置がメイン画像上に無いと判別し、さらに当該ポインタ位置が前記サブ画像上にある場合に、当該ポインタ位置と、前記ポインタ装置から取得した操作情報と、の少なくとも一方に基づいて前記サブ画像を変化させる、
ことを特徴とする請求項5に記載のプロジェクタ制御装置。
【請求項7】
前記サブ画像はプロジェクタを設定操作する設定画面であり、
前記ポインタ位置が前記サブ画像上にあると判別すると、当該ポインタ位置と、前記ポインタ装置から取得した操作情報と、の少なくとも一方に基づいて前記プロジェクタの設定情報を更新して記憶する設定情報記憶部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のプロジェクタ制御装置。
【請求項8】
コンピュータに、
投映面に画像を投映表示するにあたって表示する主な画像であるメイン画像を、台形補正して投映部に投映させる処理、
前記投映部が投映可能であり、かつ台形補正したメイン画像を表示しない領域である不使用領域を検出する検出処理、
前記検出処理により検出した不使用領域の少なくとも一部に表示すべきサブ画像を取得する処理、
前記投映部に、前記サブ画像を前記不使用領域の少なくとも一部に投映させる処理、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−74525(P2013−74525A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213051(P2011−213051)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】