説明

プロジェクタ用絞り装置

【課題】二つの駆動部材を相反する方向へ回転させ、二つの遮光手段の相対的な作動によって絞り開口を制御する絞り装置において、双方のギア部を噛合させている合成樹脂製の二つの部材が熱膨張しても、二つの遮光手段を安定して作動させ得るようにしたプロジェクタ用絞り装置を提供すること。
【解決手段】第1遮光板18を取り付けていて、モータ6によって回転させられる合成樹脂製の第1駆動部材9は、地板1に固定の軸部材8に回転可能に取り付けられている。第2遮光板19を取り付けていて、第1駆動部材9によって相反する方向へ回転させられる合成樹脂製の第2駆動部材15は、軸部材8との距離を変化させ得る軸部材14に対して回転可能に取り付けられている。コイルばね17は、第1駆動部材9のギア部9cに第2駆動部材15のギア部15cを押し付けるように第2駆動部材15を付勢している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型又は反射型のスクリーンに画像や文字を投影するようにしたプロジェクタ用の絞り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、液晶パネルを備えている液晶プロジェクタや、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を備えているDMDプロジェクタなどが出現し、営業上でのプレゼンテーションや種々の講演会・発表会などに用いられているほか、ホームシアター用の機材としても採用されている。そして、特に液晶プロジェクタの場合には、液晶パネルに当たる光源ランプからの照明光量を、何も投影していないときには、絞り装置によって、一時的に弱くしたり全く当てないようにすると、液晶パネルの劣化を防止できることが知られている。
【0003】
また、下記の特許文献1には、そのようなプロジェクタにおいて、投影する室内の明るさに対応させて光源ランプからの照明光量を変化させたり、何も投影していないときには一時的に照明光を弱くできるようにするために、光源ランプの発光光量自体を変えるのではなく、光源ランプの近傍位置に、二つの遮光部材を観音開きのように回転させるように構成した絞り装置を配置し、光源光の光路面積を変化させるようにしたものが記載されている。そして、そのように絞り装置を配置することによって、高コントラストの画像を得ることが可能になるということも記載されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、投影光学系を変倍光学系としたオーバーヘッドプロジェクタにおいて、原稿を載せるためのステージと光源との間に、L状をした二つの枠部材を、方形をした光路開口部の対角線に沿って相対的にスライドさせるように構成した絞り装置を配置し、光路面積を変化させるようにしたものが記載されている。そして、そのように絞り装置を配置することによって、高倍率時における投影画像を好適に得られるということも記載されている。
【0005】
また、下記の特許文献3には、上記のような液晶プロジェクタ,DMDプロジェクタ,オーバーヘッドプロジェクタなどに用いることの可能な絞り装置が記載されている。そして、その絞り装置は、各々が、二つのアームとそれらの両方に枢支した2枚の羽根部材とで構成された絞り羽根を二つ備えていて、それらの絞り羽根を、方形をした光路開口部に対して相対的にスライドさせ、光路の大きさを変化させるように構成されている。
【0006】
上記のような各種の絞り装置は、種々の駆動機構によって作動させられるが、特許文献1には、モータを回転させて上記の二つの遮光部材の一方を作動させると、他方の遮光部材が歯車機構を介して相対的に作動させられるようにした絞り装置が記載されている。また、特許文献3にも、モータを回転させて上記の二つの絞り羽根の一方を作動させると、他方の絞り羽根が歯車機構を介して相対的に作動させられるようにした絞り装置が記載されている。そして、そのような構成を採用した場合には、駆動手段としてのモータが一つで済みコスト上で有利であるほか、それらの二つの遮光手段の相対的な作動が安定して得られるというメリットがある。本発明は、そのように、歯車機構を介することによって、二つの遮光手段を、一つの駆動手段によって相対的に作動させるようにした各種プロジェクタ用の絞り装置に関するものである。
【0007】
【特許文献1】特開2004−69966号公報
【特許文献2】特開平8−227102号公報
【特許文献3】特開2005−157162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、歯車機構を介して、二つの遮光手段を一つの駆動手段で相対的に作動させるように構成した絞り装置は、歯車機構を構成している部材を金属製にすると、ギア部の噛み合いによって音を発生させてしまうので、静かな室内での投影中などにはその作動音が非常に気になってしまうことになる。そのため、従来は、ギア部を有している部材を合成樹脂製にするのが普通であった。ところが、周知のように、プロジェクタの内部は光源ランプなどの発熱によって非常に高温になる。そのため、そのような絞り装置を、光源ランプの近傍位置など極めて高温になる位置に配置すると、それらの部材が熱膨張してバックラッシが少なくなり、作動が不安定になったり作動しなくなったりすることがあった。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、一つの駆動手段により、歯車機構を介することによって、二つの駆動部材を相反する方向へ回転させるようにし、それらの駆動部材によって二つの遮光手段を相対的に作動させ、絞り開口を制御するようにした絞り装置において、互いのギア部を噛合させている合成樹脂製の二つの部材が、プロジェクタ内の温度によって熱膨張しても、二つの遮光手段が安定して相対的に作動し得るようにしたプロジェクタ用絞り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明のプロジェクタ用絞り装置は、外周部にギア部を有していて地板に対して回転可能に取り付けられており駆動手段によって往復回転させられる合成樹脂製の第1駆動部材と、前記第1駆動部材の回転によって光路の中央方向に進退させられる第1遮光手段と、外周部に前記第1駆動部材のギア部に噛合するギア部を有していて前記第1駆動部材の回転軸とは略平行な回転軸を前記第1駆動部材の回転軸との距離を変化させ得るようにして前記地板に取り付けられており前記第1駆動部材の回転によって前記第1駆動部材とは反対方向に回転させられる合成樹脂製の第2駆動部材と、前記第2駆動部材の回転によって前記第1遮光手段とは相対的に作動させられ前記第1遮光手段とは反対方向から前記光路の中央方向に向けて進退させられ前記第1遮光手段と協働して通過光量を制御する第2遮光手段と、前記第2駆動部材の回転軸を前記第1駆動部材の回転軸方向へ付勢し前記第2駆動部材のギア部を前記第1駆動部材のギア部に押圧している付勢手段と、を備えているようにする。
【0011】
また、上記の目的を達成するために、本発明のプロジェクタ用絞り装置は、外周部にギア部を有していて地板に対して回転可能に取り付けられており駆動手段によって往復回転させられる合成樹脂製の第1駆動部材と、前記第1駆動部材の回転によって光路の中央方向に進退させられる第1遮光手段と、回転軸を前記第1駆動部材の回転軸と平行にして前記地板に取り付けられている第2駆動部材と、前記第1駆動部材のギア部に噛合するギア部を有していて前記第2駆動部材の外周部に前記第2駆動部材の径方向にだけ移動可能に取り付けられており前記第1駆動部材の回転によって前記第2駆動部材が前記第1駆動部材とは反対方向に回転させられるようにしている合成樹脂製のセグメント部材と、前記第2駆動部材の回転によって前記第1遮光手段とは相対的に作動させられて前記第1遮光手段とは反対方向から前記光路の中央方向に進退させられ前記第1遮光手段と協働して通過光量を制御する第2遮光手段と、前記セグメント部材を前記第2駆動部材の径方向へ付勢し前記セグメント部材のギア部を前記第1駆動部材のギア部に押圧している付勢手段と、を備えているようにする。
【0012】
そして、それらの場合、前記第1遮光手段及び前記第2遮光手段は、板面が前記第1駆動部材の回転軸及び前記第2駆動部材の回転軸と平行になるようにして前記第1駆動部材及び前記第2駆動部材に固定されているようにしてもよいし、また、前記第1遮光手段及び前記第2遮光手段の各々が、前記地板に対して回転可能に取り付けられた二つのアームと、該アームの両方に枢支された少なくとも1枚の羽根部材とで構成されていて、該アームの一方が前記第1駆動部材又は前記第2駆動部材に連結されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、歯車機構を介し、一つの駆動手段で二つの駆動部材を相反する方向へ回転させ、二つの遮光手段を相対的に作動させて絞り開口を制御するようにした絞り装置において、互いに噛合している合成樹脂製の二つの部材のうち、一方の部材に形成されているギア部に対し、他方の部材に形成されているギア部を、付勢手段によって押し付けるようにしているため、それらの部材が熱膨張したとしても、一方の部材が回転させられるときには、他方の部材を付勢手段の付勢力に抗して一方の部材から離れる方向へ移動させつつ回転することが可能になり、二つの遮光手段を相対的に安定して作動させることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を、図示した二つの実施例によって説明する。それらの実施例は、いずれも、特許文献1に記載されているタイプの絞り装置として構成したものである。しかしながら、本発明は、特許文献3に記載されているタイプの絞り装置のように、二つの遮光手段を、略同一平面上で相対的に作動させようにした絞り装置として構成することも可能である。尚、図1〜図4は、実施例1を説明するためのものであり、図5及び図6は、実施例2を説明するためのものである。
【実施例1】
【0015】
先ず、本実施例の構成を説明する。尚、図1は、図2に示されているカバー板とその取付け構成を省略して示した斜視図であり、図2は、図1の上方から見た平面図である。また、図3は、図2の要部を拡大し、且つカバー板を二点鎖線で示した平面図であり、図4は、図3のA―A線断面図である。本実施例の地板1は、金属製であって、対称的に形成された大きな二つの長孔1a,1bと、円形に形成された四つの孔1c,1d,1e,1fと、小さな二つの長孔1g,1hと、円形に形成された凹部1iを有している。それらのうち、円形をした四つの孔1c,1d,1e,1fは、プロジェクタ本体への取り付け用の孔である。また、長孔1gは、図1においては見にくいので符号を付けておらず、図2〜図4において分かり易くしてある。
【0016】
図2において、地板1の左上方位置には、二つの柱2,3が立設されていて、それらの頂面には、二つのビス4,5によってモータ6が取り付けられている。このモータ6は、ステップモータであり、図1において分かり易く示してあるように、その出力軸の先端に合成樹脂製の歯車7を取り付けている。また、地板1に立設されている金属製の軸部材8には、合成樹脂製の第1駆動部材9が回転可能に取り付けられている。この第1駆動部材9は、板状をしていて、略中央部には軸部材8に嵌合させる筒部9aを有しており、外周部には取付部9bと、二つのギア部9c,9dを有している。そして、それらのうち、簡略的に示してあるギア部9dは、上記の歯車7に噛合している。また、図1に示されているように筒部9aの先端面には、リング状の突条9a−1が形成されている。
【0017】
地板1には、カバー板10が、三つのビス11,12,13によって、地板1との間に所定の間隔を空けて取り付けられている。そして、このカバー板10は、上記した軸部材8の先端部に形成されている小径部を嵌合させた円形の孔(符号なし)のほか、図3及び図4において符号を付けて示した長孔10aを有している。そして、このカバー板10の取付け状態においては、第1駆動部材9の筒部9aに形成されたリング状の突条9a−1が摺接するようになっている。尚、図1においては、このカバー板10とその取付け構成の図示が省略されており、図3においては、カバー板10と、長孔10aと、ビス12とが二点鎖線で示されている。
【0018】
地板1とカバー板10との間に、上記の軸部材8と平行になるようにして配置された金属製の軸部材14は、図4に示されているように、軸部14aを形成している部品と、抜け止め部14bを形成している部品とを螺合することによって構成されており、地板1の長孔1gとカバー板10の長孔10aとに案内され、軸部材8との距離を変え得るようにして地板1に取り付けられている。また、軸部材8については、具体的な構成が示されていないが、実質的にはこの軸部材14と同様に構成されており、両者の違いは、地板1に対して固定されているかいないかの違いである。そして、軸部材14の方には、合成樹脂製の第2駆動部材15が回転可能に取り付けられているが、その第2駆動部材15は、板状をしていて、略中央部には軸部材14に嵌合させる筒部15aを有しており、外周部には取付部15bと、第1駆動部材9のギア部9cに噛合するギア部15cを有している。また、筒部15の先端面には、リング状の突条15a−1が形成されていて、カバー板10に摺接するようになっている。
【0019】
上記した地板1の凹部1iには、先端部がフランジ状に形成されている金属製の軸部材16が立設されている。そして、その軸部材16にはコイルばね17が巻回されていて、その一端を地板1の長孔1hに掛け、他端を第2駆動部材15の筒部15aに掛けることによって、軸部材14を間接的に軸部材8の方向へ付勢し、第2駆動部材15のギア部15cを第1駆動部材9のギア部9cに弾性的に押し付けている。尚、本実施例の場合には、このように構成されているが、コイルばね17を備える代わりに、たとえば、軸部材8と軸部材14の先端を長くして、それらの間に引張りばねを掛けるようにしても、本実施例の場合と同じ作用が得られる。
【0020】
図1に示されているように、地板1を間にして、第1駆動部材9や第2駆動部材15とは反対側に、第1遮光板18と第2遮光板19が配置されている。そして、それらの一部は、地板1の長孔1a,1bを貫通し、第1駆動部材9の取付部9bと第2取付部15の取付部15bに対して、夫々二つのビス20,21、22,23によって取り付けられている。そのため、第1遮光板18と第2遮光板19とは、それらの板面が第1駆動部材9の回転軸や第2駆動部材15の回転軸に対して平行になるようにして、即ち第1駆動部材9や第2駆動部材15の板面に対して垂直になるようにして取り付けられていることになる。そして、それらの第1遮光板18と第2遮光板19には、協働して小さな開口部を形成するための切欠き部18a,19aが形成されている。
【0021】
次に、本実施例の作動を説明する。本実施例の場合、光は、図1において、左下方向から右上方向へ向けて進行するようになっている。そのため、図2において、光は、下方から上方に向けて進行することになる。また、遮光板18,19の位置まで到達する光路の断面形状は図示していない他の構成によって規制されるが、遮光板18,19の位置を通過する光路の断面形状、即ち最大絞り開口の形状は略方形をしていて、二つの遮光板18,19を合わせた面積よりも一回り小さいだけである。そこで、その大きさを理解することができるようにするために、図2においては、光路幅の両端位置を矢印付きの二つの平行な二点鎖線で示してある。
【0022】
そして、図1及び図2に示された状態は、二つの遮光板18,19が、夫々地板1の長孔1a,1bの光路中央側の一端に接近していて、互いに一番近づいた位置にあるため、それらの切欠き部18a,19aの協働によって、光路の中心近傍部だけの光を通過させるようにした最小絞り開口を制御している状態である。尚、本実施例の場合には、このように、完全には光路を閉鎖しない構成になっている。しかしながら、画像や文字を投影していないときや、液晶プロジェクタであれば、液晶パネルの性能の劣化を本実施例の場合よりも一層好適に防止したいという理由などによって、光路を完全に閉鎖させるようにしたい場合には、二つの遮光板18,19に切欠き部18a,19aを形成しないようにすればよいことになる。
【0023】
このような図1及び図2の状態において、通過光量を大きくしたい場合には、モータ6に通電し、その出力軸を図2において反時計方向へ回転させる。それによって、第1駆動部材9は、歯車7によって時計方向へ回転させられ、第2駆動部材15は、第1駆動部材9によって反時計方向へ回転させられる。そのため、二つの遮光板18,19は、相対的に移動させられ光路外方向へ退いてゆき、所定の位置で停止させられ通過光量を所望量に制御する。また、その状態から、通過光量をもっと大きくしたいときには、モータ6の出力軸をさらに反時計方向へ回転させて二つの遮光板18,19を光路外方向へ移動させるし、小さくしたいときには時計方向へ回転させて二つの遮光板18,19を光路の中央方向へ移動させるようにする。そして、第1遮光板18が長孔1aの左端の近接位置で停止し、第2遮光板19が長孔1bの右端の近傍位置で停止したときが、最大絞り開口の制御状態ということになる。
【0024】
本実施例の場合は、二つの駆動部材9,15が合成樹脂製であるため、どのように作動させられても、それらのギア部9c,15c間から発生する作動音は、最小限に抑制されるようになっている。ところが、従来のように、二つの駆動部材9,15を単に耐熱性の合成樹脂製にしたとしても、光源ランプなどの電気部品の発熱や光の照射を受けた部材の発熱などによる温度環境の影響によって、二つの駆動部材9,15が熱膨張してしまうことがあるため、ギア部9c,15c間のバックラッシが少なくなって、二つの駆動部材9,15の回転が円滑に行われず、不安定になったり回転しなくなったりすることがあったが、本実施例の場合には、そのような問題が生じないようになっている。
【0025】
その理由は、第2駆動部材15の回転軸となる軸部材14が移動可能であって、第1駆動部材9の回転軸である軸部材8との距離を変化させ得るようにしているからである。そのため、熱膨張によってギア部9c,15c間のバックラッシが少なくなっても、第1駆動部材9は、ギア部9cがギア部15cを押し、コイルばね17の付勢力に抗して、第2駆動部材15を軸部材14と共に第1駆動部材9から離れる方向へ移動させて回転するので、所定のバックラッシを得たのと同様にして円滑に回転することができるようになる。また、その後、熱収縮すると、コイルばね17の付勢力によって、軸部材14と共に第2駆動部材15が第1駆動部材9に近づくようになるので、所定のバックラッシを得たのと同様にして円滑に回転することが可能になる。
【0026】
尚、本実施例の場合には、第1駆動部材9が熱膨張させられると、他方のギア部9dと歯車7との噛合関係にも似たような事態が生じることになる。しかしながら、ギア部9cの方がギア部9dよりも、軸部材8までの距離が大きいため、熱膨張による変形は、通常の場合、ギア部9cの方が大きくなる。また、ギア部9cは、同じ程度に変形する第2駆動部材15のギア部15cと噛合しているため、ギア部9cとギア部15cとの噛合位置では、膨張による影響を2倍受けることになる。それに比較して、ギア部9dの変化は、上記の理由によって小さく、熱膨張による影響を無視することが可能なので、本実施例の場合には、ギア部9dと歯車7の噛合関係に何らの対策も講じていない。このことは、歯車7を金属製にしても言える場合がある。しかしながら、どうしても熱膨張による影響を無視できないような場合には、モータ6の出力軸によって、第1駆動部材9を直接回転させるようにすればよい。
【実施例2】
【0027】
次に、実施例2を説明するが、図5は、上記の図2と同様にして示した本実施例の平面図であり、図6は、図5に示されている本実施例の要部を拡大して示した平面図である。尚、本実施例を示した図5を、上記の図2と比較してみれば分かるように、本実施例の構成は、実施例1の構成とかなりの点で同じであるため、図5においては、実施例1の場合と実質的に同じ部材,同じ部位には同じ符号を付けてある。そのため、以下においては、重複を避けるために、実施例1の場合とは異なる点だけを説明することにする。
【0028】
本実施例の地板1は、実施例1の場合と実質的に同じであるが、実施例1で形成されていた小さな二つの長孔1g,1hと、円形に形成されていた凹部1iを有していない。そのため、本実施例の場合には、上記の軸部材16を立設していないし、コイルばね17も備えていない。また、本実施例においては、第1駆動部材9を回転可能に取り付けている軸部材8と全く同じ構成をした軸部材24が、軸部材8と全く同じようにして地板1に立設されている。そして、その軸部材24に対して回転可能に取り付けられている本実施例の第2駆動部材15は、実施例1における第2駆動部材15と同様に合成樹脂製であって、全く同じ形状の筒部15a,取付部15bを有しているが、実施例1におけるギア部15cを有していない。
【0029】
図6に示されているように、本実施例の第2駆動部材15には、その外周面に二つの孔15d,15eが穿設されている。また、本実施例の場合には、合成樹脂製の円弧状をしたセグメント部材25が備えられていて、その外周部には、第1駆動部材9のギア部9cに噛合するギア部25aが形成され、内周部には、第2駆動部材15の孔15d,15eに挿入する二つの軸部25b,25cが設けられている。更に、それらの軸部25b,25cには、圧縮ばね26,27が嵌装されていて、セグメント部材25を、軸部25b,25cが孔15d,15eから抜け出す方向に付勢している。そして、セグメント部材25の組み付け方は、圧縮ばね26,27の付勢力に抗して、セグメント部材25の軸部25b,25cを孔15d,15eに深く押し込んだ状態にし、ギア部9c,25a同士を所定の対向関係に位置合わせした後、その押圧力を解くようにする。従って、その噛合状態においては、圧縮ばね26,27の付勢力によってギア部25aがギア部9cに押し付けられた状態になっている。その他の構成は、実施例1の場合と全く同じである。尚、本実施例の場合には、第2駆動部材15を金属製にしてもよいことは言うまでもない。
【0030】
本実施例は、このように、第1駆動部材9とセグメント部材25が合成樹脂製であるため、それらのギア部9c,25a間から発生する作動音は、最小限に抑制される。また、第1駆動部材9とセグメント部材25が熱膨張しても、第1駆動部材9は、ギア部9cがギア部25aを押し、セグメント部材25の軸部25b,25cを、圧縮ばね26,27の付勢力に抗して孔15d,15eに通常よりも深く押し込むようにして第2駆動部材15を回転させるので、二つの駆動部材9,15は円滑に回転し、所望の絞り開口を好適に制御するがことが可能になる。尚、絞り開口の制御作動は、実施例1の場合と同様にして行われるので、説明を省略する。また、実施例1の説明において、本実施例と共通する構成について述べたことは、本実施例にも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図2に示されているカバー板とその取付け構成を省略して示した実施例1の斜視図である。
【図2】実施例1の平面図である。
【図3】図2の要部を拡大し、且つカバー板を二点鎖線で示した平面図である。
【図4】図3のA―A線断面図である。
【図5】実施例2の平面図である。
【図6】図2の要部を拡大して示した平面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 地板
1a,1b,1g,1h,10a 長孔
1c,1d,1e,1f,15d,15e 孔
1i 凹部
2,3 柱
4,5,11,12,13,20,21,22,23 ビス
6 モータ
7 歯車
8,14,16,24 軸部材
9 第1駆動部材
9a,15a 筒部
9a−1,15a−1 突条
9b,15b 取付部
9c,9d,15c,25a ギア部
10 カバー板
14a,25b,25c 軸部
14b 抜け止め部
15 第2駆動部材
17 コイルばね
18 第1遮光板
19 第2遮光板
18a,19a 切欠き部
25 セグメント部材
26,27 圧縮ばね


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部にギア部を有していて地板に対して回転可能に取り付けられており駆動手段によって往復回転させられる合成樹脂製の第1駆動部材と、前記第1駆動部材の回転によって光路の中央方向に進退させられる第1遮光手段と、外周部に前記第1駆動部材のギア部に噛合するギア部を有していて前記第1駆動部材の回転軸とは略平行な回転軸を前記第1駆動部材の回転軸との距離を変化させ得るようにして前記地板に取り付けられており前記第1駆動部材の回転によって前記第1駆動部材とは反対方向に回転させられる合成樹脂製の第2駆動部材と、前記第2駆動部材の回転によって前記第1遮光手段とは相対的に作動させられ前記第1遮光手段とは反対方向から前記光路の中央方向に進退させられ前記第1遮光手段と協働して通過光量を制御する第2遮光手段と、前記第2駆動部材の回転軸を前記第1駆動部材の回転軸方向へ付勢し前記第2駆動部材のギア部を前記第1駆動部材のギア部に押圧している付勢手段と、を備えていることを特徴とするプロジェクタ用絞り装置。
【請求項2】
外周部にギア部を有していて地板に対して回転可能に取り付けられており駆動手段によって往復回転させられる合成樹脂製の第1駆動部材と、前記第1駆動部材の回転によって光路の中央方向に進退させられる第1遮光手段と、回転軸を前記第1駆動部材の回転軸と平行にして前記地板に取り付けられている第2駆動部材と、前記第1駆動部材のギア部に噛合するギア部を有していて前記第2駆動部材の外周部に前記第2駆動部材の径方向にだけ移動可能に取り付けられており前記第1駆動部材の回転によって前記第2駆動部材が前記第1駆動部材とは反対方向に回転させられるようにしている合成樹脂製のセグメント部材と、前記第2駆動部材の回転によって前記第1遮光手段とは相対的に作動させられて前記第1遮光手段とは反対方向から前記光路の中央方向に進退させられ前記第1遮光手段と協働して通過光量を制御する第2遮光手段と、前記セグメント部材を前記第2駆動部材の径方向へ付勢し前記セグメント部材のギア部を前記第1駆動部材のギア部に押圧している付勢手段と、を備えていることを特徴とするプロジェクタ用絞り装置。
【請求項3】
前記第1遮光手段及び前記第2遮光手段は、板面が前記第1駆動部材の回転軸及び前記第2駆動部材の回転軸と平行になるようにして前記第1駆動部材及び前記第2駆動部材に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロジェクタ用絞り装置。
【請求項4】
前記第1遮光手段及び前記第2遮光手段の各々が、前記地板に対して回転可能に取り付けられた二つのアームと、該アームの両方に枢支された少なくとも1枚の羽根部材とで構成されていて、該アームの一方が前記第1駆動部材又は前記第2駆動部材に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロジェクタ用絞り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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