説明

プロジェクタ装置及びその制御方法

【課題】 メニューやエラーなどのGUI画面による表示が行われた場合に、ユーザが一意に表示しているプロジェクタを特定するための技術を提供すること。
【解決手段】 幾可変形パラメータを用いてプロジェクタ装置の設置位置を計算する。プロジェクタ装置以外の他のプロジェクタ装置の設置位置を取得する。それぞれの設置位置を用いて、他のプロジェクタ装置に対するプロジェクタ装置の相対位置を特定し、投影領域において該相対位置に応じた部分領域をGUI表示領域として決定する。原画像中のGUI表示領域に対応する領域内にGUIを合成する。合成画像に対して幾可変形パラメータを用いて幾可変形処理を行い、該幾可変形処理を施した画像を投影領域に対して投影する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GUIを表示する為の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大画面、高輝度、高解像度の映像を表示するために、複数のプロジェクタを組み合わせて利用するマルチプロジェクションシステムが使用されている。マルチプロジェクションシステムには、1つの画面を複数のプロジェクタに分割して表示することで大画面化、高解像度化したマルチ投影システムと、複数のプロジェクタが同じ画面を同じ場所に表示することで高輝度化したスタック投影システムが一般的である。
【0003】
このマルチプロジェクションシステムにおけるGUI画面の表示制御について、特許文献1が提案されている。これは、マルチプロジェクションシステムを構成する各プロジェクタに画像を送信する画像表示部分が、プロジェクタごとのGUI画面を管理する。そして、表示の際に画像表示部分が各プロジェクタへ対応するGUI画面を送り、表示を合成させることで、複数のプロジェクタから異常なプロジェクタの特定を容易にすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−079670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術は、GUI画面での数字によりプロジェクタを識別させているため、ユーザがプロジェクタの識別数字を覚えておかなければならないという課題がある。そのため、マルチプロジェクションシステムでの投影時に、特定のプロジェクタでエラーなどによりGUI画面を表示すると、どのプロジェクタが表示しているか、ユーザが一意に判別できないという課題がある。
【0006】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、メニューやエラーなどのGUI画面による表示が行われた場合に、ユーザが一意に表示しているプロジェクタを特定するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明のプロジェクタ装置は、入力された原画像を投影するプロジェクタ装置を複数台有するマルチプロジェクションシステムであって、複数台のプロジェクタ装置が投影領域上に画像投影を行うことで、該投影領域上に1つの画面を形成する前記マルチプロジェクションシステムにおけるプロジェクタ装置であって、該プロジェクタ装置に入力された原画像を該プロジェクタ装置の設置位置に基づいて幾可変形させる場合に用いる幾可変形パラメータを用いて、前記プロジェクタ装置の設置位置を計算する計算手段と、前記着目プロジェクタ装置以外の他のプロジェクタ装置の設置位置を取得する取得手段と、前記計算手段が計算した設置位置、前記取得手段が取得した設置位置、を用いて、前記他のプロジェクタ装置に対する前記プロジェクタ装置の相対位置を特定し、前記投影領域において該相対位置に応じた部分領域をGUI表示領域として決定する決定手段と、前記プロジェクタ装置に入力された原画像において前記GUI表示領域に対応する領域内にGUIを合成する合成手段と、前記合成手段により得られる画像に対して前記幾可変形パラメータを用いて幾可変形処理を行い、該幾可変形処理を施した画像を前記投影領域に対して投影する手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
プロジェクタの位置に応じてGUI画面を表示させることで、メニューやエラーなどのGUI画面による表示が行われた場合に、ユーザが一意に表示しているプロジェクタを特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】プロジェクタ装置の機能構成例を示すブロック図。
【図2】マルチプロジェクションシステムの外観例を示す図。
【図3】原画像と投影画像の一例を示す図。
【図4】リストの構成例を示す図。
【図5】投影領域の分割例を示す図。
【図6】補正パラメータを管理するために行う処理のフローチャート。
【図7】GUIが合成された原画像を投影する為に行う処理のフローチャート。
【図8】原画像と投影対象画像の一例を示す図。
【図9】マルチプロジェクションシステムの外観例を示す図。
【図10】リストの構成例を示す図。
【図11】投影領域の分割例を示す図。
【図12】GUIが合成された原画像を投影する為に行う処理のフローチャート。
【図13】原画像と投影対象画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載した構成の具体的な実施例の一つである。
【0011】
[第1の実施形態]
先ず、本実施形態に係るマルチプロジェクションシステムについて説明する。本実施形態に係るマルチプロジェクションシステムは、入力された原画像を適当な投影面上に投影するプロジェクタ装置を複数台有する。そしてこの複数台のプロジェクタ装置が同じ投影領域上に重ねて画像投影を行うことで、該投影領域上に1つの画面を形成する。以下では、このマルチプロジェクションシステムに含まれるある1台のプロジェクタ装置について説明するが、その他のプロジェクタ装置も同様の動作を行うものとする。
【0012】
なお、本実施形態では、複数のプロジェクタ装置が同じ投影領域上に重ねて画像投影を行うことで、該投影領域上に1つの画面を形成するスタック投影システムについて説明する。しかし、該投影領域上に画像投影を並べて1つの画面を形成するマルチ投影システムにおいても同様の動作を行う。
【0013】
本実施形態に係るプロジェクタ装置の機能構成例について、図1のブロック図を用いて説明する。ネットワーク通信部118は、ネットワーク123を介して外部の機器とのデータ通信を行う。ネットワーク通信部118がどのようなデータ通信を行うのかについては後述する。
【0014】
画像入力部110は、USBメモリやハードディスクドライブ装置、PC(パーソナルコンピュータ)等の、画像を供給可能な装置である外部機器121から原画像を読み出し、読み出した原画像を画像合成部111に供給する。なお、ネットワーク通信部118がネットワーク123を介して外部から原画像を受信した場合には、画像入力部110は、この受信した原画像を制御部119を介して取得し、取得した原画像を画像合成部111に送出する。画像入力部110は、取得した原画像が所定のフォーマットに従って圧縮されている場合には、これを伸張して画像合成部111に供給する。なお、原画像の取得方法はこれに限るものではなく、様々な取得方法が考え得る。
【0015】
リモコン122は、ユーザが操作することで様々な指示を入力することができるユーザインターフェースであり、入力された指示に応じたリモコン信号を発する。リモコン受光部117は、この発せられたリモコン信号を受信すると、このリモコン信号をリモコンコードに変換し、変換したリモコンコードを制御部119に送出する。
【0016】
GUI表示制御部115は、GUIを描画するために必要なデータ、各プロジェクタ装置の設置位置、を制御部119を介してメモリ120から取得する。そしてGUI表示制御部115は、各プロジェクタ装置の設置位置を用いて、原画像上におけるGUIの配置位置を決定すると共に、GUIを描画するために必要なデータを用いてGUIの画像を生成する。そしてGUI表示制御部115は、生成したGUIの画像と、このGUIの画像の配置位置と、を画像合成部111に送出する。
【0017】
画像合成部111は、GUIの画像とこのGUIの配置位置とをGUI表示制御部115から受けると、このGUIの画像を、画像入力部110からの原画像上の、GUI表示制御部115が決定した配置位置に合成する。そして画像合成部111は、GUIを合成した原画像を画像補正部112に送出する。
【0018】
画像補正部112は、補正パラメータ管理部114から補正パラメータを取得し、取得した補正パラメータを用いて、画像合成部111からの画像に対し、フォーカスやキーストーン等の必要な画像補正を施して、画像投影部113に送出する。
【0019】
画像投影部113は、補正パラメータ管理部114から補正パラメータを取得し、取得した補正パラメータを用いて、画像補正部112からの画像に対して、レンズシフトなどのレンズ補正を行い、レンズ補正後の画像を上記の投影領域に対して投影する。
【0020】
補正パラメータ管理部114は、プロジェクタ装置100に入力された原画像を該プロジェクタ装置100の設置位置に基づいて幾可変形させる場合に用いる幾可変形パラメータを上記の補正パラメータとして管理している。より詳しくは、この補正パラメータは、プロジェクタ装置100の設置位置に伴うフォーカスやキーストーンなどの画像表示の際に施す補正の為のパラメータである。この補正パラメータには、あおり角、投影距離、レンズシフト値が含まれており、初期セッティングやユーザ操作により確定する。また、補正パラメータ管理部114には、ネットワーク通信部118が他の各プロジェクタ装置から受信した補正パラメータも管理されている。
【0021】
位置情報検出部116は、補正パラメータ管理部114から各プロジェクタ装置の補正パラメータを取得し、取得した各プロジェクタ装置の補正パラメータを用いて後述する計算処理を行うことで、各プロジェクタ装置の設置位置を計算する。補正パラメータ管理部114から取得した各補正パラメータと、該補正パラメータから計算した設置位置と、は制御部119を介してメモリ120に格納される。
【0022】
制御部119は、メモリ120に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて処理を実行することで、プロジェクタ装置100を構成する各部の動作制御を行う。然るにメモリ120には、本装置で管理するものとして説明する情報や、既知の情報として説明する情報が格納されていることになる。
【0023】
本実施形態に係るマルチプロジェクションシステムの外観例を図2に示す、図2では、4台のプロジェクタ装置を有するマルチプロジェクションシステムの外観例を示している。
【0024】
4台のプロジェクタ装置201、202、203、204はスクリーン上の投影領域205に画像を投影している。4台のプロジェクタ装置201、202、203、204はそれぞれネットワーク123につながっており、それぞれ図1に示す構成を有するプロジェクタ装置100である。
【0025】
原画像を供給する機器は、4台のプロジェクタ装置のどれかにつながっていてもよいし、ネットワーク123を介してつながっていても良い。4台のプロジェクタ装置のいずれかにつながっている場合は、つながっているプロジェクタ装置から該プロジェクタ装置以外の他のプロジェクタ装置へネットワーク123を介して原画像を送信する。
【0026】
次に、原画像と、上記の4台のプロジェクタ装置201、202、203、204のそれぞれが投影する画像の一例を図3に示す。図3(a)は、それぞれのプロジェクタ装置に入力される原画像の一例を示している。図3(b)は、プロジェクタ装置201において、画像補正部112が補正パラメータ管理部114からの補正パラメータを用いて図3(a)の原画像を補正することで得られる、投影対象画像を示している。図3(c)〜(e)はそれぞれ、プロジェクタ装置202〜204の画像補正部112が補正パラメータ管理部114からの補正パラメータを用いて図3(a)の原画像を補正して得られる投影対象画像を示している。
【0027】
図3(a)の原画像における4頂点Ao、Bo、Co、Doは、補正パラメータを用いた幾可変形処理により、図3(b)のAr1、Br1、Cr1、Dr1に写像される。図3(b)、図3(c)、図3(d)、図3(e)のArX、BrX、CrX、DrX(X=1,2,3,4)に示すように、補正パラメータの違いにより、表示する画像の形が一意に決まる。然るに、補正パラメータから、プロジェクタ装置の設置位置が特定できる。
【0028】
ここで、マルチプロジェクションシステムを構成する各プロジェクタ装置は、自装置の補正パラメータだけでなく、他装置の補正パラメータも取得して管理している。そこで、プロジェクタ装置100が、自装置及び他装置の補正パラメータを管理するために行う処理について、同処理のフローチャートを示す図6を用いて説明する。もちろん、図6のフローチャートに従った処理は、マルチプロジェクションシステムを構成する各プロジェクタ装置が行う。
【0029】
プロジェクタ装置100の電源がオンになったことを検知すると、制御部119はプロジェクタ装置100のセッティング処理を開始するのであるが、ステップS601では制御部119は、このセッティング処理が完了したか否かを判断する。この判断の結果、まだ完了していない場合は処理はステップS602に進み、完了している場合は、処理はステップS603に進む。
【0030】
ステップS602では制御部119は、セッティング処理を行い、あおり角、投影距離、レンズシフト値、を含む補正パラメータを設定する。この補正パラメータの設定は、リモコン122からの操作(リモコンコード)に応じて行うようにしてもよいし、何らかの処理によって制御部119が設定してもよい。そして制御部119は、この設定した補正パラメータを、補正パラメータ管理部114に送る。
【0031】
ステップS603では補正パラメータ管理部114は、ステップS602で制御部119から送られてきた補正パラメータが、すでに管理しているプロジェクタ装置100の補正パラメータと異なるか否かを判断する。即ち、補正パラメータが従前のものから変更されているか否かを判断する。この判断の結果、変更されている場合は、処理はステップS604に進み、変更されていない場合は、処理はステップS605に進む。
【0032】
ステップS604では、補正パラメータ管理部114は、ステップS602で制御部119から送られてきた補正パラメータを、自身が管理するリストに登録する。その際、リストにすでに登録済みのプロジェクタ装置100の補正パラメータに上書きして登録する。
【0033】
ステップS605ではネットワーク通信部118は、ステップS602で制御部119が設定した補正パラメータを、ネットワーク123を介して他の各プロジェクタ装置に対して送信する。
【0034】
ステップS606では制御部119は、ネットワーク通信部118が、他の各プロジェクタ装置から、該プロジェクタ装置がプロジェクタ装置100と同様にして設定した補正パラメータを受信したか否かを判断する。この判断の結果、受信している場合には、処理はステップS607に進み、受信していない場合は、この受信を待機すべく、処理はステップS606に戻る。
【0035】
ステップS607では、補正パラメータ管理部114は、ネットワーク通信部118が受信した各プロジェクタ装置の補正パラメータを、上記のリストに登録する。これによりこのリストには、プロジェクタ装置100の補正パラメータだけでなく、他の各プロジェクタ装置の補正パラメータも登録することができる。
【0036】
ステップS607において着目プロジェクタ装置の補正パラメータをリストに登録する際、この着目プロジェクタ装置の補正パラメータがすでにリストに登録されており且つ登録しようとする補正パラメータが登録済みの補正パラメータと同一であったとする。この場合、登録しようとする補正パラメータを登録済みの補正パラメータに上書きして登録してもよいし、登録をキャンセルしてもよい。一方、同一ではない場合は、登録しようとしている補正パラメータを、新規のプロジェクタ装置の補正パラメータとしてリストに登録する。
【0037】
このように、図6のフローチャートに従った処理を行うことで、マルチプロジェクションシステムを構成する各プロジェクタ装置は、自装置の補正パラメータだけでなく、他の各プロジェクタ装置の補正パラメータも管理することができる。
【0038】
ここで、図6のフローチャートによる処理を実行することで生成されるリストの構成例を図4に示す。図4のリスト400は、マルチプロジェクションシステムが図2に示す如く、プロジェクタ装置201〜204を有している場合に、各プロジェクタ装置が作成するものである、ここでは、プロジェクタ装置201により作成されたリスト400について説明する。もちろん、他のプロジェクタ装置が作成したリストについても同様の説明が適用できる。
【0039】
リスト400は、プロジェクタ番号毎に補正パラメータを管理するためのもので、リスト400の列401にはプロジェクタ番号が登録され、列402にはあおり角が登録され、列403には投影距離が登録され、列404にはレンズシフト値が登録される。
【0040】
列402に登録されるあおり角とは、プロジェクタ装置の設置面における傾きである。例えば、行405に登録されているあおり角は、上下方向(垂直方向)θが−30°、左右方向(水平方向)φが30°である。このあおり角は中心を0としているため、プロジェクタ装置の設置位置によっては行407に登録されているあおり角のように、プラスを示す場合もある。
【0041】
列403に登録されている投影距離とは、プロジェクタ装置とスクリーン面との間の距離である。例えば、行405に登録されている投影距離は、300cmである。
【0042】
列404に登録されているレンズシフト値とは、プロジェクタ装置での投影時のレンズによる画面の投影位置である。例えば、行405に登録されているレンズシフト値は、垂直方向10%、水平方向15%である。このレンズシフト値は中心を0としているため、プロジェクタ装置の設置位置によっては行406に登録されているレンズシフト値のように、マイナスを示す場合もある。
【0043】
各プロジェクタ装置の補正パラメータ管理部114は変数jを保持しており、図4の場合、まだ補正パラメータを受け取っていない状態では、j=1となっている。そして補正パラメータ管理部114は、補正パラメータを受け取ると、この受け取った補正パラメータを変数jの値と共にリストに登録する。そして登録後、この変数jの値を1つインクリメントし、次の補正パラメータの受け取りを待機する。即ち、変数jの値はプロジェクタ番号として用いられる。
【0044】
プロジェクタ装置201が図6のフローチャートに従ってリスト400を作成する場合、プロジェクタ装置201の補正パラメータと変数jの値「1」が行405に登録される。また、プロジェクタ装置202から受信した補正パラメータは、変数jの値「2」と共に行406に登録される。また、プロジェクタ装置203から受信した補正パラメータは、変数jの値「3」と共に行407に登録される。また、プロジェクタ装置204から受信した補正パラメータは、変数jの値「4」と共に行408に登録される。なお、プロジェクタ番号とプロジェクタ装置との対応関係はこれに限るものではない。
【0045】
このようにして、各プロジェクタ装置の補正パラメータは、該プロジェクタ装置に固有の番号と共にリストに登録されることになる。なお、図4に示した各数値は一例であり、本実施形態はこの各数値に特化したものではない。また、リスト400の作成後、このリスト400に登録されている各数値は、ユーザ操作やマルチプロジェクションシステムを取り巻く様々な環境に応じて適宜編集してもよい。
【0046】
各プロジェクタ装置は上記のリストを作成した後、入力された原画像を適宜補正して投影領域に投影するが、プロジェクタ装置100においてエラーが生じたり、GUIを投影する旨の指示が入力されると、プロジェクタ装置100は次のような処理を行う。プロジェクタ装置100がGUIが合成された原画像を投影する為に行う処理について、同処理のフローチャートを示す図7を用いて説明する。
【0047】
ステップS701では、制御部119は、リモコン受光部117から受けたリモコンコードが、GUIを新たに表示する若しくはすでに表示しているGUIを更新することを示すリモコンコードであるか否かを判断する。この判断の結果、リモコン受光部117から受けたリモコンコードがGUIを新たに表示する若しくはすでに表示しているGUIを更新することを示す場合には、処理はステップS702に進む。一方、リモコン受光部117から受けたリモコンコードがGUIを新たに表示することを示すものでもなく且つすでに表示しているGUIを更新することを示すものでもない場合には、処理はステップS701に戻る。
【0048】
ステップS702では、制御部119は、リモコン受光部117から受けたリモコンコードが、プロジェクタ装置100のみに対するものであるのか、マルチプロジェクションシステムを構成する各プロジェクタ装置に対するものであるのかを判断する。即ち、リモコン受光部117から受けたリモコンコードが、プロジェクタ装置100のみにGUIを新たに表示させる若しくはすでに表示しているGUIを更新させるものであるか否かを判断する。この判断の結果、プロジェクタ装置100のみに対するものである場合には、処理はステップS703に進み、プロジェクタ装置100だけでなく各プロジェクタ装置に対するものである場合には、処理はステップS706に進む。
【0049】
ステップS703では、GUI表示制御部115は先ず、投影領域のサイズの矩形をマルチプロジェクションシステムが有するプロジェクタ装置の数で均等に分割する。例えば、マルチプロジェクションシステムが図2に示す如く構成されている場合、ステップS703では、投影領域のサイズの矩形を縦2分割、横2分割することで、2×2個の分割矩形を生成する。プロジェクタ装置の数は、補正パラメータ管理部114が管理するリスト中のプロジェクタ番号の最大数に等しいため、これを取得すればよい。なお、投影領域の分割方法はこれに限るものではない。
【0050】
ステップS704では先ず、位置情報検出部116は、補正パラメータ管理部114から各プロジェクタ装置の補正パラメータを取得し、取得した各プロジェクタ装置の補正パラメータを用いて、各プロジェクタ装置の設置位置を求める。そして位置情報検出部116は、補正パラメータ管理部114から取得した各プロジェクタ装置の補正パラメータと、該補正パラメータから計算した設置位置と、をメモリ120に格納する。この位置情報検出部116による一連の処理は本ステップではなく、上記のリストの作成後に行うようにしてもよい。プロジェクタ装置の補正パラメータから該プロジェクタ装置の設置位置を求める方法については後述する。
【0051】
次に、GUI表示制御部115は、制御部119を介してメモリ120から各プロジェクタ装置の設置位置を読み出し、読み出したそれぞれの設置位置から、プロジェクタ装置100の他の各プロジェクタ装置に対する相対位置を特定する。例えば、マルチプロジェクションシステムが図2に示す如く構成されており、プロジェクタ装置201がプロジェクタ装置100に相当する場合、ステップS704では、プロジェクタ装置100の相対位置は次のように決定される。即ち、プロジェクタ装置100の相対位置は、プロジェクタ装置202の左側且つプロジェクタ装置203の直上且つプロジェクタ装置204の左上側であると特定する。
【0052】
そしてGUI表示制御部115は、ステップS703で分割した分割領域のうち、ステップS704で特定された相対位置における分割領域を、プロジェクタ装置100に対応する分割領域として特定する。
【0053】
上記の通り、マルチプロジェクションシステムが図2に示す如く構成されている場合、図5に示す如く、投影領域501は2×2個の分割矩形502〜505に分割される。そしてこの2×2個の分割矩形502〜505のうち、プロジェクタ装置100の相対位置に対応する分割矩形は、分割矩形502であることが分かる。然るに、プロジェクタ装置202に対応する分割矩形は分割矩形503、プロジェクタ装置203に対応する分割矩形は分割矩形504、プロジェクタ装置204に対応する分割矩形は分割矩形505、であることが分かる。
【0054】
ステップS705では、GUI表示制御部115は、GUIを描画するために必要なデータを制御部119を介してメモリ120から取得し、GUIを描画するために必要なデータを用いてGUIの画像を生成する。そしてGUI表示制御部115は、生成したGUIの画像と、ステップS704で特定した分割矩形に相当する原画像内の部分領域内の適当な位置(GUIの画像の配置位置)と、を画像合成部111に送出する。『ステップS704で特定した分割矩形に相当する原画像内の領域』とは、換言すれば、次ようなものに等価である。即ち、原画像をステップS703での分割処理のように、マルチプロジェクションシステムが有するプロジェクタ装置の数で均等に分割した場合に、それぞれの分割領域のうち、プロジェクタ装置100の相対位置に対応する分割領域(GUI表示領域)、である。
【0055】
画像合成部111は、GUIの画像とこのGUIの配置位置とをGUI表示制御部115から受けると、このGUIの画像を、画像入力部110からの原画像上の、GUI表示制御部115が決定した配置位置に合成する。そして画像合成部111は、GUIを合成した原画像を画像補正部112に送出する。そして処理はステップS701に戻る。
【0056】
一方、ステップS706では、画像合成部111は、原画像上において、プロジェクタ装置間で共通の表示位置にGUIの画像を合成し、GUIを合成した原画像を画像補正部112に送出する。
【0057】
次に、補正パラメータから設置位置を求める計算処理について説明する。先ず、プロジェクタ装置の高さ位置での並び順を、上下方向あおり角θ、垂直方向のレンズシフト値、投影距離から計算する。計算式は、レンズシフト値に重みA(定数)を付加した以下の式となる。
【0058】
高さ位置 =(θ+垂直方向のレンズシフト値×A)×投影距離
プロジェクタ番号1に対応するプロジェクタ装置の補正パラメータを用いてこの式を計算すると、(−30+0.1A)×300となり、A=3とした場合、(−30+(0.1×3))×300=−8910となる。プロジェクタ番号2〜4のそれぞれのプロジェクタ装置について同様に計算すると、式の値は−10517、7575、4242となる。
【0059】
垂直方向のあおり角、レンズシフト値から、マイナスはセンターより上の位置、プラスは下の位置であり、値が大きい方がよりセンター位置から離れていることを意味する。そのため、高さ位置については、上からプロジェクタ番号2のプロジェクタ装置、プロジェクタ番号1のプロジェクタ装置、プロジェクタ番号4のプロジェクタ装置、プロジェクタ番号3のプロジェクタ装置となる。このようにして、垂直方向について、各プロジェクタ装置の相対位置が確定される。
【0060】
横位置での並び順も、水平方向あおり角φ、水平方向のレンズシフト値、投影距離から計算する。計算式は、レンズシフト値に重みB(定数)を付加した以下の式となる。
【0061】
横位置=(φ+水平方向のレンズシフト値×B)×投影距離
プロジェクタ番号1に対応するプロジェクタ装置の補正パラメータを用いてこの式を計算すると、(30+0.15B)×300となり、B=4とした場合、(30+(0.15×4))×300=9180となる。プロジェクタ番号2〜4のそれぞれのプロジェクタ装置について同様に計算すると、式の値は−5304、2550、−4289.6となる。
【0062】
水平方向のあおり角、レンズシフト値から、マイナスはセンターより右の位置、プラスは左の位置であり、値が大きい方がよりセンター位置から離れていることを意味する。そのため、横位置については、左からプロジェクタ番号1のプロジェクタ装置、プロジェクタ番号3のプロジェクタ装置、プロジェクタ番号4のプロジェクタ装置、プロジェクタ番号2のプロジェクタ装置となる。このようにして、水平方向についても、各プロジェクタ装置の相対位置が確定される。
【0063】
以上の高さ位置、横位置におけるプロジェクタ装置の相対位置から、各プロジェクタ装置の相対位置が決定する。即ち、プロジェクタ番号1のプロジェクタ装置は左上、プロジェクタ2のプロジェクタ装置は右上、プロジェクタ3のプロジェクタ装置は左下、プロジェクタ4のプロジェクタ装置は右下、に位置することが特定できる。上記計算式とレンズシフト値の重みA、Bの値は一例であり、これらについては適宜変形例が考え得る。
【0064】
各プロジェクタ装置の補正パラメータは、設置したプロジェクタ装置の横位置、高さ位置、スクリーンからの距離などにより値が変化するため、同一位置に設置しない限り必ず値が異なる。複数のプロジェクタ装置を同一位置に設置することはできないため、補正パラメータはプロジェクタ装置ごとに異なる値となる。そのため、各プロジェクタ装置の補正パラメータから、マルチプロジェクションシステムを構成する各プロジェクタ装置の設置位置が一意に特定することができる。
【0065】
なお、本実施形態では、複数のプロジェクタ装置で構成されるマルチプロジェクションシステムにおいて、各プロジェクタ装置の補正パラメータから高さ位置、横位置を特定しているが、単独での高さ位置、横位置の判定も可能である。
【0066】
このように、補正パラメータ管理部114が管理するリストは、プロジェクタ装置間の相対位置を求めるために使用されるため、リストには補正パラメータではなく、プロジェクタ装置間の相対位置を求めるために使用される他の情報を登録してもよい。
【0067】
ここで、マルチプロジェクションシステムが図2に示す如く構成されており、且つどのプロジェクタ装置でもGUIを合成していないとする。この場合、プロジェクタ装置201に図8(a)に示す原画像801が入力されると、プロジェクタ装置201では原画像801が投影対象画像として生成される。なお、図8では、説明上、幾可変形は省略している。
【0068】
プロジェクタ装置201のみにGUIを新たに表示させる若しくはすでに表示しているGUIを更新させる場合、プロジェクタ装置201に原画像801が入力されると、プロジェクタ装置201では図8(b)に示す画像が投影対象画像として生成される。図8(b)に示す如く、入力された原画像上において、プロジェクタ装置201の相対位置(左上)に対応する分割矩形内にGUI802が合成されている。
【0069】
プロジェクタ装置202のみにGUIを新たに表示させる若しくはすでに表示しているGUIを更新させる場合、プロジェクタ装置202に原画像801が入力されると、プロジェクタ装置202では図8(c)に示す画像が投影対象画像として生成される。図8(c)に示す如く、入力された原画像上において、プロジェクタ装置202の相対位置(右上)に対応する分割矩形内にGUIが合成されている。
【0070】
プロジェクタ装置203のみにGUIを新たに表示させる若しくはすでに表示しているGUIを更新させる場合、プロジェクタ装置203に原画像801が入力されると、プロジェクタ装置203では図8(d)に示す画像が投影対象画像として生成される。図8(d)に示す如く、入力された原画像上において、プロジェクタ装置203の相対位置(左下)に対応する分割矩形内にGUIが合成されている。
【0071】
プロジェクタ装置204のみにGUIを新たに表示させる若しくはすでに表示しているGUIを更新させる場合、プロジェクタ装置204に原画像801が入力されると、プロジェクタ装置204では図8(e)に示す画像が投影対象画像として生成される。図8(e)に示す如く、入力された原画像上において、プロジェクタ装置204の相対位置(右下)に対応する分割矩形内にGUIが合成されている。
【0072】
図8(f)は、プロジェクタ装置201、202、203、204のそれぞれが独自のGUIを投影した場合における投影領域を示す。
【0073】
以上の説明により、本実施形態によれば、原画像において、プロジェクタ装置の相対位置に応じた領域内にGUIを合成することで、ユーザは、GUIを表示しているプロジェクタ装置を一意に判断することが可能となる。
【0074】
[第2の実施形態]
以下では、第1の実施形態との差異のみについて説明する。本実施形態では、補正パラメータに含まれている投影距離に応じてGUIの表示サイズを制御する。
【0075】
本実施形態に係るマルチプロジェクションシステムの構成例を図9に示す。本実施形態に係るマルチプロジェクションシステムでは、2台のプロジェクタ装置901,902がスクリーン上の投影領域903内に画像投影を行っている。プロジェクタ装置901,902のそれぞれは、第1の実施形態で説明したプロジェクタ装置100である。
【0076】
なお、本実施形態でも、2台のプロジェクタ装置901,902が同じ投影領域上に重ねて画像投影を行うことで、該投影領域上に1つの画面を形成するスタック投影システムについて説明する。しかし、該投影領域上に画像投影を並べて1つの画面を形成するマルチ投影システムにおいても同様の動作を行う。
【0077】
画像を供給する外部機器は、プロジェクタ装置901,902の何れかに接続されていてもよいし、ネットワーク123を介して接続されいていてもよい。以下では、本実施形態に係るマルチプロジェクションシステムは図9に示す如く、2台のプロジェクタ装置901,902を有するものとして説明する。しかし、以下の説明の本質はプロジェクタ装置の台数に関係なく、2台以上のプロジェクタ装置を有するマルチプロジェクションシステムにも適用可能であることをは、以下の説明から自明である。
【0078】
プロジェクタ装置901,902のそれぞれの補正パラメータ管理部114が管理しているリストの一例を図10に示す。プロジェクタ装置901,902のそれぞれによるリスト1000の生成方法は第1の実施形態で説明したとおりである。また、プロジェクタ装置901,902のそれぞれは、このリストから、それぞれのプロジェクタ装置901,902の相対位置を特定するのであるが、この特定処理も第1の実施形態で説明した通りである。その結果、プロジェクタ番号1のプロジェクタ装置(901)は右上、プロジェクタ番号2のプロジェクタ装置(902)は左下に位置することがわかる。なお、1001〜1004はそれぞれ上記の401〜404と同じである。
【0079】
次に、プロジェクタ装置901,902のそれぞれの位置情報検出部116が、補正パラメータに含まれている投影距離から、それぞれのプロジェクタ装置901,902の奥行き位置を特定する方法について説明する。それぞれのプロジェクタ装置901,902の奥行き位置は、それぞれのプロジェクタ装置901,902の補正パラメータ中の投影距離を比較することで特定可能である。もちろん、この特定方法には、様々な方法が考え得る。
【0080】
プロジェクタ番号1のプロジェクタ装置901の場合、投影距離は列1003における行1005で示しており、1000cmとなる。プロジェクタ番号2のプロジェクタ装置902の場合、投影距離は列1003における行1006で示しており、260cmである。投影距離が大きい方がスクリーンからの奥行き位置が遠いことを意味する。そのため、奥行き位置については、スクリーンの近くからプロジェクタ装置902、プロジェクタ装置901、となる。
【0081】
各プロジェクタ装置の補正パラメータは、設置したプロジェクタ装置の横位置、高さ位置、スクリーンからの奥行き位置で値が変化するため、同一位置に設置しない限り必ず値が異なる。複数のプロジェクタ装置を同一位置に設置することはできないため、補正パラメータはプロジェクタ装置ごとに異なる値となる。そのため、各プロジェクタ装置の補正パラメータから、マルチプロジェクションシステムを構成する各プロジェクタ装置の設置位置が一意に特定することができる。本実施形態では、各プロジェクタ装置の補正パラメータから奥行き位置を特定しているが、単独での奥行き位置の判定も可能である。
【0082】
本実施形態においても、リスト1000は、プロジェクタ装置間の相対位置を求めるために使用されるため、リストには補正パラメータではなく、プロジェクタ装置間の相対位置を求めるために使用される他の情報を登録してもよい。
【0083】
プロジェクタ装置901がGUIが合成された原画像を投影する為に行う処理について、同処理のフローチャートを示す図12を用いて説明する。なお、図12のフローチャートに従った処理は、プロジェクタ装置902も行う。
【0084】
ステップS1201では、制御部119は、リモコン受光部117から受けたリモコンコードが、GUIを新たに表示する若しくはすでに表示しているGUIを更新することを示すリモコンコードであるか否かを判断する。この判断の結果、リモコン受光部117から受けたリモコンコードがGUIを新たに表示する若しくはすでに表示しているGUIを更新することを示す場合には、処理はステップS1202に進む。一方、リモコン受光部117から受けたリモコンコードがGUIを新たに表示することを示すものでもなく且つすでに表示しているGUIを更新することを示すものでもない場合には、処理はステップS1201に戻る。
【0085】
ステップS1202では、制御部119は、リモコン受光部117から受けたリモコンコードが、プロジェクタ装置901のみに対するものであるのか、マルチプロジェクションシステムを構成する各プロジェクタ装置に対するものであるのかを判断する。即ち、リモコン受光部117から受けたリモコンコードが、プロジェクタ装置901のみにGUIを新たに表示させる若しくはすでに表示しているGUIを更新させるものであるか否かを判断する。この判断の結果、プロジェクタ装置901のみに対するものである場合には、処理はステップS1203に進み、プロジェクタ装置901だけでなく各プロジェクタ装置に対するものである場合には、処理はステップS1207に進む。
【0086】
ステップS1203では、GUI表示制御部115は第1の実施形態と同様にして、投影領域のサイズの矩形をマルチプロジェクションシステムが有するプロジェクタ装置の数で均等に分割する。
【0087】
ステップS1204では、位置情報検出部116は、上記の通り、補正パラメータ管理部114から各プロジェクタ装置の補正パラメータを取得し、取得した補正パラメータ中の投影距離を比較する。これにより、各プロジェクタ装置の奥行き関係(どの装置がどの装置より手前(奥)に位置しているか)を特定する。そして、スクリーンからより遠い位置にあるプロジェクタ装置が表示するGUIのサイズを、スクリーンからより近い位置にあるプロジェクタ装置が表示するGUIのサイズよりも小さく設定する。
【0088】
即ち、プロジェクタ装置901で用いる補正パラメータ中の投影距離をd1、プロジェクタ装置902で用いる補正パラメータ中の投影距離をd2とし、d1>d2の場合、GUIのサイズを規定のサイズよりも小さく変倍する。一方、d1<d2の場合には、GUIのサイズを規定のサイズよりも大きく変倍する。
【0089】
図9の場合、プロジェクタ装置901はプロジェクタ装置902よりもスクリーンから遠いので、プロジェクタ装置901が表示するGUIのサイズを、プロジェクタ装置902が表示するGUIのサイズよりも小さく設定する。例えば、通常サイズとして規定されているサイズを1とすると、プロジェクタ装置901が表示するGUIのサイズを0.8、プロジェクタ装置902が表示するGUIのサイズを1.2とする。もちろん、どのようなサイズにするのかについてはこれに限るものではない。
【0090】
ステップS1205では、位置情報検出部116は第1の実施形態と同様にして、各プロジェクタ装置の設置位置を求め、各プロジェクタ装置の補正パラメータと、該補正パラメータから計算した設置位置と、をメモリ120に格納する。本実施形態においても、この位置情報検出部116による一連の処理は本ステップではなく、上記のリストの作成後に行うようにしてもよい。
【0091】
次に、GUI表示制御部115は、第1の実施形態と同様にして、プロジェクタ装置902に対するプロジェクタ装置901の相対位置を特定する。そしてGUI表示制御部115は、ステップS1203で分割した分割領域のうち、ステップS1205で特定された相対位置における分割領域を、プロジェクタ装置901に対応する分割領域として特定する。
【0092】
マルチプロジェクションシステムが図9に示す如く構成されている場合、図11に示す如く、投影領域1101は2個の分割矩形1102,1103に分割される。そしてこの2個の分割矩形1102,1103のうち、プロジェクタ装置901の相対位置に対応する分割矩形は分割矩形1103、プロジェクタ装置902の相対位置に対応する分割矩形は分割矩形1102、であることが分かる。もちろん、領域の分割方法はこれに限るものではない。
【0093】
ステップS1206では、GUI表示制御部115は、GUIを描画するために必要なデータを制御部119を介してメモリ120から取得し、GUIを描画するために必要なデータを用いてGUIの画像を生成する。その際、GUI表示制御部115は、この生成したGUIの画像のサイズをステップS1204で設定したサイズに変倍する。そしてGUI表示制御部115は、変倍後のGUIの画像と、ステップS1205で特定した分割矩形に相当する原画像内の領域内の適当な位置(GUIの画像の配置位置)と、を画像合成部111に送出する。
【0094】
画像合成部111は、GUIの画像とこのGUIの配置位置とをGUI表示制御部115から受けると、このGUIの画像を、画像入力部110からの原画像上の、GUI表示制御部115が決定した配置位置に合成する。そして画像合成部111は、GUIを合成した原画像を画像補正部112に送出する。そして処理はステップS1201に戻る。
【0095】
一方、ステップS1207では、画像合成部111は第1の実施形態と同様、原画像上において、プロジェクタ装置間で共通の表示位置にGUIの画像を合成し、GUIを合成した原画像を画像補正部112に送出する。
【0096】
ここで、マルチプロジェクションシステムが図9に示す如く構成されており、且つどのプロジェクタ装置でもGUIを合成していないとする。この場合、プロジェクタ装置901に図13(a)に示す原画像1301が入力されると、プロジェクタ装置901では原画像1301が投影対象画像として生成される。なお、図13では、説明上、幾可変形は省略している。
【0097】
プロジェクタ装置901のみにGUIを新たに表示させる若しくはすでに表示しているGUIを更新させる場合、プロジェクタ装置901に原画像1301が入力されると、プロジェクタ装置901では図13(b)に示す画像が投影対象画像として生成される。図13(b)に示す如く、入力された原画像上において、プロジェクタ装置901の相対位置(右上)に対応する分割矩形内にGUI1302が合成されている。上記の通り、プロジェクタ装置901はプロジェクタ装置902よりも投影領域から離れているため、プロジェクタ装置901が表示するGUIのサイズは、通常サイズよりも小さくなっている。
【0098】
プロジェクタ装置902のみにGUIを新たに表示させる若しくはすでに表示しているGUIを更新させる場合、プロジェクタ装置902に原画像1301が入力されると、プロジェクタ装置902では図13(c)に示す画像が投影対象画像として生成される。図13(c)に示す如く、入力された原画像上において、プロジェクタ装置902の相対位置(左下)に対応する分割矩形内にGUI1303が合成されている。上記の通り、プロジェクタ装置902はプロジェクタ装置901よりも投影領域から近いため、プロジェクタ装置902が表示するGUIのサイズは、通常サイズよりも大きくなっている。
【0099】
図13(d)は、プロジェクタ装置901、902のそれぞれが独自のGUIを投影した場合における投影領域を示す。上記の通り、プロジェクタ装置901はプロジェクタ装置902よりも投影領域から離れているため、プロジェクタ装置901が表示するGUIのサイズは、プロジェクタ装置902が表示するGUIのサイズよりも小さくなっている。
【0100】
以上の説明により、本実施形態によれば、新たに補正パラメータ中の投影距離を反映したGUIのサイズを確定して表示することが可能となる。
【0101】
[第3の実施形態]
図1に示した制御部119及びメモリ120以外の各部のうち1以上は、ハードウェアで構成してもよいが、ソフトウェア(コンピュータプログラム)で実装してもよい。この場合、このソフトウェアはメモリ120に格納され、制御部119により実行されることになる。
【0102】
また、以上の各実施形態は適宜組み合わせてもよい。また、上記の実施形態では、プロジェクタ装置間で送受信する情報は、補正パラメータであった。しかし、自装置が計算した自装置の設置位置(第2の実施形態ではこれに加えて奥行き値)を他装置に送信するようにしてもよい。この場合、当然ながら、他装置の設置位置を受信したプロジェクタ装置は、他装置の設置位置を計算する必要はない。また、上記の各実施形態で用いた補正パラメータの代わりに、該補正パラメータから計算される上記の写像後の頂点の位置データを用いてもよい。
【0103】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された原画像を投影するプロジェクタ装置を複数台有するマルチプロジェクションシステムであって、複数台のプロジェクタ装置が投影領域上に画像投影を行うことで、該投影領域上に1つの画面を形成する前記マルチプロジェクションシステムにおけるプロジェクタ装置であって、
該プロジェクタ装置に入力された原画像を該プロジェクタ装置の設置位置に基づいて幾可変形させる場合に用いる幾可変形パラメータを用いて、前記プロジェクタ装置の設置位置を計算する計算手段と、
前記プロジェクタ装置以外の他のプロジェクタ装置の設置位置を取得する取得手段と、
前記計算手段が計算した設置位置、前記取得手段が取得した設置位置、を用いて、前記他のプロジェクタ装置に対する前記プロジェクタ装置の相対位置を特定し、前記投影領域において該相対位置に応じた部分領域をGUI表示領域として決定する決定手段と、
前記プロジェクタ装置に入力された原画像において前記GUI表示領域に対応する領域内にGUIを合成する合成手段と、
前記合成手段により得られる画像に対して前記幾可変形パラメータを用いて幾可変形処理を行い、該幾可変形処理を施した画像を前記投影領域に対して投影する手段と
を備えることを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記他のプロジェクタ装置から送信された、該他のプロジェクタ装置の計算手段が計算した該他のプロジェクタ装置の設置位置を取得することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記他のプロジェクタ装置から送信された幾可変形パラメータを用いて該他のプロジェクタ装置の設置位置を計算することで該設置位置を取得することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ装置。
【請求項4】
前記計算手段は、前記プロジェクタ装置で用いる幾可変形パラメータに含まれている、前記プロジェクタ装置の垂直方向あおり角θ、垂直方向のレンズシフト値、前記プロジェクタ装置から前記投影領域までの投影距離、を用いて(θ+垂直方向のレンズシフト値×定数)×投影距離、を前記プロジェクタ装置の高さ位置として計算し、
前記取得手段は、前記他のプロジェクタ装置で用いる幾可変形パラメータに含まれている、前記他のプロジェクタ装置の垂直方向あおり角θ、垂直方向のレンズシフト値、前記他のプロジェクタ装置から前記投影領域までの投影距離、を用いて(θ+垂直方向のレンズシフト値×定数)×投影距離、を前記他のプロジェクタ装置の高さ位置として計算し、
前記決定手段は、前記プロジェクタ装置の高さ位置、前記他のプロジェクタ装置の高さ位置、を用いて、前記他のプロジェクタ装置に対する前記プロジェクタ装置の垂直方向における相対位置を特定し、
前記計算手段は、前記プロジェクタ装置で用いる幾可変形パラメータに含まれている、前記プロジェクタ装置の水平方向あおり角φ、水平方向のレンズシフト値、前記プロジェクタ装置から前記投影領域までの投影距離、を用いて(φ+水平方向のレンズシフト値×定数)×投影距離、を前記プロジェクタ装置の横位置として計算し、
前記取得手段は、前記他のプロジェクタ装置で用いる幾可変形パラメータに含まれている、前記他のプロジェクタ装置の水平方向あおり角φ、水平方向のレンズシフト値、前記他のプロジェクタ装置から前記投影領域までの投影距離、を用いて(φ+水平方向のレンズシフト値×定数)×投影距離、を前記他のプロジェクタ装置の横位置として計算し、
前記決定手段は、前記プロジェクタ装置の横位置、前記他のプロジェクタ装置の横位置、を用いて、前記他のプロジェクタ装置に対する前記プロジェクタ装置の水平方向における相対位置を特定する
ことを特徴とする請求項3に記載のプロジェクタ装置。
【請求項5】
前記合成手段は、
前記プロジェクタ装置で用いる幾可変形パラメータに含まれている前記プロジェクタ装置から前記投影領域までの投影距離をd1、前記他のプロジェクタ装置で用いる幾可変形パラメータに含まれている前記他のプロジェクタ装置から前記投影領域までの投影距離をd2とし、
d1>d2の場合には、GUIのサイズを規定のサイズよりも小さく変倍し、該変倍後のGUIを、前記プロジェクタ装置に入力された原画像において前記GUI表示領域に対応する領域内に合成し、
d1<d2の場合には、GUIのサイズを規定のサイズよりも大きく変倍し、該変倍後のGUIを、前記プロジェクタ装置に入力された原画像において前記GUI表示領域に対応する領域内に合成する
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のプロジェクタ装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記投影領域を前記マルチプロジェクションシステムが有するプロジェクタ装置の数の分割領域に分割し、それぞれの分割領域のうち、前記他のプロジェクタ装置に対する前記プロジェクタ装置の相対位置に応じた位置の分割領域を、前記GUI表示領域として決定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のプロジェクタ装置。
【請求項7】
入力された原画像を投影するプロジェクタ装置を複数台有するマルチプロジェクションシステムであって、複数台のプロジェクタ装置が投影領域上に画像投影を行うことで、該投影領域上に1つの画面を形成する前記マルチプロジェクションシステムにおけるプロジェクタ装置の制御方法であって、
前記プロジェクタ装置の計算手段が、該プロジェクタ装置に入力された原画像を該プロジェクタ装置の設置位置に基づいて幾可変形させる場合に用いる幾可変形パラメータを用いて、前記プロジェクタ装置の設置位置を計算する計算工程と、
前記プロジェクタ装置の取得手段が、前記プロジェクタ装置以外の他のプロジェクタ装置の設置位置を取得する取得工程と、
前記プロジェクタ装置の決定手段が、前記計算工程で計算した設置位置、前記取得工程で取得した設置位置、を用いて、前記他のプロジェクタ装置に対する前記プロジェクタ装置の相対位置を特定し、前記投影領域において該相対位置に応じた部分領域をGUI表示領域として決定する決定工程と、
前記プロジェクタ装置の合成手段が、前記プロジェクタ装置に入力された原画像において前記GUI表示領域に対応する領域内にGUIを合成する合成工程と、
前記プロジェクタ装置の投影手段が、前記合成工程で得られる画像に対して前記幾可変形パラメータを用いて幾可変形処理を行い、該幾可変形処理を施した画像を前記投影領域に対して投影する工程と
を備えることを特徴とするプロジェクタ装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−76949(P2013−76949A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218319(P2011−218319)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】