説明

プロジェクタ装置

【課題】放電ランプのランプバルブを回転させる際に、保持手段等により出射光を遮ることがなく、かつ放電ランプの交換を容易とすること。
【解決手段】ランプユニット1は、照明光を出射する放電ランプ10と放電ランプを収納するランプハウジング20を含む。ランプユニット1の光出射側に配置される回動ホルダ30は、ランプユニット1からの出射光を遮ることなく通過し、ランプハウジング20の外周部と凹凸部22,32により係合しランプハウジング20に回転駆動力を伝達する。駆動ユニット4は、回動ホルダ30に回転伝達部31を介して回転駆動力を供給し、回動ホルダ30の回転により、放電ランプ10はその光軸を中心にランプユニット1ごと回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ランプを光源として映像を投写表示するプロジェクタ装置に係り、特に放電ランプの照度低下を抑制するプロジェクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ装置の光源としては、一般に高圧水銀ランプ等の放電ランプが用いられる。放電ランプは点灯時に高温になるため、ランプバルブ発光部に封止された気体の対流が起こり、同発光部の上部側が下部側に比べて高温になる。このため、長時間使用すると、ランプバルブの発光部の上部側の石英ガラスが結晶化して失透し、照度が低下していくという問題があった。
【0003】
これを解決するため特許文献1には、放電ランプのランプバルブ(発光管)の両端封止部を保持手段により回転自在に保持し、一方の封止部と連結する回転手段によりランプバルブを周期的に回転させる構成が提案されている。これにより、対流現象によるランプバルブ上下の温度差がなくなり、石英ガラスの部分的な失透現象をなくしてランプバルブ上下における明るさを均一にすることが述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−48836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の構造においては、ランプバルブの光の出射側に回転のための軸受や保持手段が配置されるため、軸受や保持手段で出射光が遮られてしまう。その結果、照度低下や照度分布の不均一、ならびに軸受や保持手段の発熱が生じるという問題がある。さらには、特許文献1に記載の構造では、放電ランプの交換について特に考慮されておらず、交換作業が困難になると予想される。
【0006】
本発明の目的は、放電ランプのランプバルブを回転させる際に、保持手段等により出射光を遮ることがなく、かつ放電ランプの交換を容易としたプロジェクタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、放電ランプを光源として映像を投写表示するプロジェクタ装置であって、照明光を出射する放電ランプと該放電ランプを収納するランプハウジングとを含むランプユニットと、該ランプユニットの光出射側に配置され、該ランプユニットからの出射光を遮ることなく通過し、前記ランプハウジングの外周部と係合し該ランプハウジングに回転駆動力を伝達する回動ホルダと、該回動ホルダに回転駆動力を供給する駆動ユニットを備え、前記回動ホルダの回転により、前記放電ランプはその光軸を中心に前記ランプユニットごと回転する構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、放電ランプを回転させることにより、ランプバルブの石英ガラスの部分的な結晶化を防止し、放電ランプの長寿命化が実現できる。その際、ランプからの出射光は回転機構により遮られることがなく、投写表示される映像の照度の低下や照度分布の不均一は生じない。また、放電ランプはランプユニットごと回転機構から簡単に取り外すことができるので、放電ランプの交換が容易なプロジェクタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るプロジェクタ装置の一実施例で装置全体の内部構成図。
【図2】ランプユニット1と駆動ユニット4の周辺の構成図。
【図3】放電ランプ10の概略断面図。
【図4】ランプユニット1とその近傍の実装状態を示す斜視図。
【図5】ランプユニット1とその近傍の分解した状態を示す斜視図。
【図6】ランプユニット1とその近傍の断面図。
【図7】図6のA部の拡大断面図。
【図8】駆動ユニット4の内部構成を示す図。
【図9】回転センサ80近傍の拡大図。
【図10A】回転センサ80の動作を説明する図。
【図10B】回転センサ80の動作を説明する図。
【図10C】回転センサ80の動作を説明する図。
【図11】回転センサ80とモータの制御回路85の回路接続を示す図。
【図12】ランプユニット1を取り外した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明に係るプロジェクタ装置の一実施例で装置全体の内部構成図を示す。主な構成要素として、光源となる放電ランプ10を収納するランプユニット1、ランプユニット1へ冷却風を導く冷却ダクト2、冷却風を発生する冷却ファン3、ランプユニット1を回転させる駆動ユニット4、光学像(映像)を形成する表示素子としての液晶パネル5、映像を外部のスクリーン等に投写表示する投写レンズ6、受熱した冷却風を装置外部へ排出する排気ファン7を備える。上記光学部品や冷却部品を収納するための筐体は、外蓋9、下側ケース8、上側ケース(図示せず)にて構成する。
【0011】
放電ランプ10はランプユニット1ごと駆動ユニット4により回転させる構成とし、ランプバルブの石英ガラスの部分的な結晶化による失透現象をなくすようにしている。また外蓋9は、下側ケース8、上側ケースに対して取り外し自在に保持されており、外蓋9を外すことで、放電ランプ10(ランプユニット1)の交換を容易にしている。
【0012】
図2は、ランプユニット1と駆動ユニット4の周辺の構成図を示す。ランプユニット1は、放電ランプ10とランプハウジング20を含み、放電ランプ10はランプハウジング20に収納されている。ランプハウジング20にはこれに回転力を伝達する回動ホルダ30が一体で回転可能に取り付けられている。回動ホルダ30は非回転の固定ホルダ40により回転自在に保持されている。回動ホルダ30は駆動ユニット4により回転駆動され、回動ホルダ30が回転することで、ランプユニット1すなわち放電ランプ10が同時に回転するようになっている。
【0013】
固定ホルダ40の中央部には、放電ランプ10から出射された光を略平行光に変換して光学系へ出射する整光レンズ49が取り付けられている。冷却ファン3で発生した冷却風は冷却ダクト2を通り、固定ホルダ40の冷却風取り込み口(後述、図4の符号41)から放電ランプ10に供給され、ランプバルブ(後述、図3の符号11)を冷却する。ランプバルブ11を冷却した冷却風は、冷却風取り出し口43から排気される。
【0014】
図3は、放電ランプ10の概略断面図を示す。放電ランプ10は、光源となるランプバルブ11(以下、単にバルブとも呼ぶ)とランプチップ12、バルブ11を背後から覆うリフレクタ13で構成され、封止部17によりバルブ11はリフレクタ13に固定保持されている。バルブ11内にはタングステン等で製造された2つの対向電極14が所定距離離れた状態で配されており、この対向電極14間にてアーク放電を行い発光させることで点灯する。放電ランプ10を点灯させると、その発生熱にてバルブ11内に封止された金属ハロゲン化物等の気体が対流し、放電されたアーク15は反重力方向(すなわち上部側11a)に湾曲する。したがって、バルブ11の発光部となる上部側11aが下部側11bよりも常に高温となり、石英ガラス等を組成とするバルブ11の上部側11aの結晶化の進行を早める。結晶化による失透は投写表示する際の照度低下の要因となる。
【0015】
そこで本実施例では、放電ランプ10を駆動ユニット4により周期的に回転させる構成とし、バルブ11の上部側11aと下部側11bとが周期的に入れ替わるようにして、石英ガラスの部分的な結晶化をなくすようにした。以下、ランプユニット1の回転機構について詳細に説明する。
【0016】
図4は、ランプユニット1とその近傍の実装状態を示す斜視図である。
また図5は、ランプユニット1とその近傍の分解した状態を示す斜視図である。
【0017】
ランプユニット1は、放電ランプ10とこれを固定して収納するランプハウジング20を含む。ランプユニット1の光出射側には回動ホルダ30を配し、回動ホルダ30とランプハウジング20とを一体的に回転させるために、両者の係合面には複数の凹凸部を設けている。図5では、ランプハウジング20に設けた複数の凹部22を示している。なお、回動ホルダ30にもこれに係合する複数の凸部(後述、図12の符号32)を設けている。また、ランプハウジング20の光出射側には、放電ランプ10のリフレクタ13の外周形状と略等しい穴23を設け、放電ランプ10から出射された光を遮らないようにしている。
【0018】
さらにランプハウジング20の光出射側の反対側には、回動軸21を設けている。回動軸21に対応する位置には、回動軸21を保持する軸支持板71を配置し、この軸支持板71は装置の外蓋9にネジ等で固定している。軸支持板71には回動軸21と係合する軸受70を設け、回動軸21を回転自在に支持する。このとき回動軸21にコイルスプリング75を装着することで、ランプハウジング20に対し矢印76方向に所定の付勢力を与え、ランプハウジング20と回動ホルダ30との係合を確実に保つようにしている。なお、ランプケーブル18は、図示しない電源から放電ランプ10に電力を供給するものであり、放電ランプ10に接続されるケーブル端は放電ランプ10と一緒に回転することになる。
【0019】
回動ホルダ30は略円環形状とし、固定ホルダ40側の外周部には、駆動ユニット4からの回転駆動力を受ける歯車形状の回転伝達部31を有する。さらに回転伝達部31の内側には円筒状の円周外面35を有し、回動ホルダ30は円周外面35を介して、固定ホルダ40に対して回転自在に取り付けられている(後述、図6,7)。回動ホルダ30においても、その中央部には放電ランプ10のリフレクタ13の外周形状と略等しい穴33を設け、放電ランプ10から出射された光を遮らないようにしている。
【0020】
固定ホルダ40は回動ホルダ30を保持するとともに、回動ホルダ30の回転位置を検出するための回転センサ80を取り付けている。固定ホルダ40には、冷却風取り込み口41と冷却風取り出し口43を有し、冷却ダクト2と接続することで、放電ランプ10内に冷却風を送りバルブ11を冷却する。固定ホルダ40の出射側には、整光レンズ49を取り付けている。固定ホルダ40は、装置の筐体である底板、あるいは照明光を送り込む照明光学ユニットの基台に固定される。
【0021】
図6は、ランプユニット1とその近傍の断面図である。冷却風取り込み口41より流入した冷却風100は、ほぼ密閉されたリフレクタ13内部の空間内を通り、バルブ11を冷却した後、冷却風取り出し口43よりランプユニット1外へと排出される。ランプユニット1外へ排気された冷却後の空気は、排気ファン7などにより装置外へ排出される。また、ランプユニット1から出射された光は、回動ホルダ30や固定ホルダ40にて遮られることなく整光レンズ49を介して投写用の照明光となる。
【0022】
図7は、図6のA部(点線部)の拡大断面図である。回動ホルダ30の円周外面35は、固定ホルダ40の円周内面45により、所定の嵌め合いにて支持される。その際の摺動性を配慮して、固定ホルダ40の円周内面45側をベアリングなどの軸受けにて支持しても良い。
【0023】
図8は、駆動ユニット4の内部構成を示す図である。内部が見えるようハウジング(外装)67の一部を除去している。
【0024】
駆動ユニット4は、駆動源であるモータ60と複数の歯車列により構成し、多段減速を行う。本例では、モータ60の先にウォームギア51を配し、歯車52に係合させる。歯車52は歯車53との間で減速を行い、歯車53は最終段の歯車54にてさらに減速させる。その結果、回動ホルダ30の回転数はモータ60の回転数より十分に低く減速し、例えば1rpm以下に設定する。各々の歯車列の中心にはシャフト65を貫通させ、駆動ユニット4のハウジング67にてこれらのシャフト65を支持する。モータ60も同様にハウジング67に納められ、駆動ユニット4としてプロジェクタ装置内に固定する。
【0025】
回動ホルダ30の外周には歯車形状の回転伝達部31が設けられ、回転伝達部31は、駆動ユニット4の歯車列の最終段となる歯車54と係合されている。モータ60を回転させることにより、回動ホルダ30およびランプユニット1を一体的に所定の速度で回転させることができる。
【0026】
固定ホルダ40上に設けた回転センサ80は、回動ホルダ30の回転位置を検出し、検出信号を制御回路85に送る。制御回路85は、回転センサ80から受けた検出信号に基づき、モータ60に対して回転制御信号を送る。具体的には以下に説明するように、回動ホルダ30に対し所定の角度範囲で反復回転動作を行なわせるようにする。
【0027】
本実施例の構成では、ランプユニット1の回転動作において、放電ランプ10への電力供給を行うランプケーブル18の接続部も一緒に回転するための、ケーブル18に捩れが伴う。捩れ量が増加することによるケーブルの混線を避けるため、回転範囲を所定の角度範囲に制限し、その範囲内で反復回転させるようにした。例えば、所定の角度範囲を180度とし、ケーブル18の長さには回転角度分の長さの余裕を持たせて混線によるトラブルを回避している。
【0028】
図9は、回転センサ80近傍の拡大図である。固定ホルダ40には、回転センサ80とアーム90が取り付けられている。また、回動ホルダ30の外周には、回転伝達部31のほかに外周上の180度対角位置に2個の突起38a,38bを設けている。これらの突起38a,38bは、回転方向を反転させる位置に設ける。固定ホルダ40上のアーム90は回転軸91を中心に左右に振れる構成であり、回転センサ80側に突き出した二股状の先端部90aと回動ホルダ30側に突き出した先端部90bを有している。アーム90の先端部90bが回動ホルダ30の突起38a(38b)に接して傾倒すると、反対側の先端部90aは回転センサ80の可動部(可動スイッチ)81を傾倒し、回転センサ80から検出信号が出力される。なお、アーム90の先端部90a,90bと回転センサ80の可動部81は、外力を受けると左右いずれかの方向に傾倒するが、外力が除去されると復帰機構により中立位置に戻る。回転センサ80は、可動部81が左右いずれかの方向に傾倒したとき検出信号を出力するが、中立位置では検出信号を出力しない。制御回路85は、回転センサ80から検出信号を受ける毎に、モータ60の回転を反転させる制御を行う。
【0029】
図10A、図10B、図10Cは、回転センサ80の動作を説明する図である。また図11は、回転センサ80とモータの制御回路85の回路接続を示す図である。
図10Aは、回動ホルダ30が矢印36の方向に回転を行う状態を示す。回動ホルダ30に設けた一方の突起38aがアーム90の位置に達すると、アーム先端部90bに接触しアーム90を中心軸91の回りに右回り方向に傾倒させる。これに連動して、アーム90の反対側の先端部90aは回転センサ80の可動部(可動スイッチ)81を矢印86の方向に傾倒させ、回転センサ80から検出信号(ON)を出力する。回転センサ80から出力された検出信号(ON)が制御回路85に送られると、制御回路85の制御部は、モータドライバを制御してモータ60の回転方向を反転させる。
【0030】
図10Bは、モータ60の回転を反転させた後の状態を示す。回動ホルダ30は矢印37の方向に回転し、突起38aはアーム先端部90bから離れている。このとき、アーム90およびアーム先端部90aは中立位置88に戻ることから、回転センサ80の可動部81も中立位置88に復帰する。その結果、回転センサ80からの検出信号はOFFとなる。
【0031】
図10Cは、回動ホルダ30が矢印37の方向にさらに回転を続けた状態を示す。回動ホルダ30に設けた他方の突起38bがアーム90の位置に達すると、アーム先端部90bに接触しアーム90を中心軸91の回りに左回り方向に傾倒させる。これに連動して、アーム90の反対側の先端部90aは回転センサ80の可動部81を矢印87方向に傾倒させ、回転センサ80から検出信号(ON)を出力する。回転センサ80から出力された検出信号(ON)が制御回路85に送られると、制御回路85の制御部は、モータドライバを制御してモータ60の回転方向を反転させる。
【0032】
これによりモータ60は逆回転し、回動ホルダ30は矢印36方向に回転する。以下、上記の動作をサイクルとして繰り返し、放電ランプ10の点灯中は反復回転を継続する。なお、上記例では回転センサ80の可動部81は、中継部材であるアーム90を介して回動ホルダ30の突起38a,38bと接触するようにしたが、アーム90を省略して可動部81が直接突起38a,38bと接触する構成としても良い。
【0033】
次に、ランプユニット1の着脱方法について説明する。
図12は、ランプユニット1を取り外した状態を示す斜視図である。ランプユニット1のランプハウジング20には凹部22を設け、また回動ホルダ30には凸部32を設けている。そして、凹部22と凸部32を係合させることでランプユニット1を回動ホルダ30に装着し、回動ホルダ30からの回転力をランプユニット1に伝達するようにしている。両者は凹部と凸部の係合構造であるので、ランプユニット1(ランプハウジング20)を回動ホルダ30から容易に取り外すことができる。また、ランプユニット1を光軸方向76から取り付ける際、ランプユニット1の姿勢が光軸中心に対して傾斜していても容易に挿入でき、所定位置へ誘導することができる。
【0034】
また、ランプハウジング20の回動軸21は軸支持板71で回転自在に支持され、軸支持板71はプロジェクタ装置の外蓋9(図1)にネジ止め固定されている。ここに外蓋9は装置から取り外し自在であり、外蓋9を取り外すことで軸支持板71を露出させ、外蓋9から軸支持板71を外すことができる。軸支持板71を外すことで、コイルスプリング75を介したランプハウジング20への矢印76方向の付勢力が解除され、ランプユニット1と軸支持板71とが分離される。
【0035】
以上の手順により、今まで使用したランプユニット1を、新しい放電ランプ10が搭載されたランプユニット1と容易に交換することができる。このとき、回動ホルダ30と固定ホルダ40はプロジェクタ装置側に残るため、交換するランプユニット1は、放電ランプ10とランプハウジング20のみという最小限の部品点数で済み、交換用ランプユニット1を安価にすることが可能となる。
【0036】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではない。本発明の目的を達成する回転機構とその動作制御・保持手段において、下記に述べる変形例は本発明の範疇である。
【0037】
(1)駆動ユニット4から回動ホルダ30に対して回転駆動力を伝達する機構は、歯車に限定されるものではなく、例えばプーリとベルトによる構成であってもよい。
【0038】
(2)ランプハウジング20の回動軸21を保持する軸支持板71は、外蓋9と一体の構造であってもよい。外蓋9と軸支持板71を一体化することで、ランプユニット1の着脱時の作業がさらに容易になり、ランプ使用時に外蓋9が必ず閉まることにより安全性が向上する。
【0039】
(3)ランプユニット1の着脱方向は矢印76の軸方向に限定せず、装置天面、または装置底面からランプユニット1を着脱する構成でもよい。その場合は、ランプユニット交換時の着脱方向にランプの取り出し側が揃うように、ランプユニットの回転位置を調整する(取手などがある場合は取手が取り出し側を向くよう調整する)。例えばプロジェクタ装置を消灯する際に、ランプユニット1の取り出し側が常に取り出し方向になるよう回転させて停止させる。あるいは、操作部にランプ交換ボタンを配し、交換時にユーザが交換ボタンを押下することでモータ60を駆動し、所定の取り出し方向にランプユニット1を回転させる構成でもよい。ただし前者の場合は、消灯時に必ずしもランプ交換を行うものではないので、消灯時にその時点の位置を内部メモリに記憶し、次の点灯時は前回点灯時の回転角度位置への復元した上での動作再開を行う構成を伴うことが望ましい。
【0040】
(4)ランプユニット1を反復回転させる場合の回転角度の範囲は、放電ランプ10の特性などに合わせて任意に設定すればよい。すなわち、回転角度の範囲は2個の突起38a,38bの間隔で調整すればよく、回転範囲を1回転(360度)とする場合は突起38を1個だけ設ければよい。
【0041】
(5)ランプユニット1の回転速度については、ユーザが任意に設定できる。また、ランプからの照度等を検知して、最適な性能を得られるように速度制御を行う構成でもよい。これにより、例えば照度低下の進行している回転位置付近ではランプユニット1の回転速度を速めることができる。
【0042】
(6)回転センサ80については、機械的接触により検出する方式のほかに、光学的な非接触検出方式でもよい。また、回転角度位置の検出に代えて、モータ60への電力供給時間を計測して所定の時間間隔ごとに回転動作を反転させてもよい。
【0043】
以上のように本実施例によれば、放電ランプの回転機構によりランプバルブ上下の温度差をなくし、ランプバルブの石英ガラスの部分的な結晶化を防止するようにした。その際、ランプからの出射光は回転機構により遮られることがなく、投写表示される映像の照度の低下や照度分布の不均一は生じない。また、放電ランプはランプユニットごと回転機構から簡単に取り外すことができるので、放電ランプの交換が容易なプロジェクタ装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…ランプユニット、
2…冷却ダクト、
3…冷却ファン、
4…駆動ユニット
5…液晶パネル、
6…投写レンズ、
7…排気ファン、
9…外蓋、
10…放電ランプ、
11…ランプバルブ、
13…リフレクタ、
18…ランプケーブル、
20…ランプハウジング、
21…回動軸、
22…凹部、
30…回動ホルダ、
31…回転伝達部、
32…凸部、
35…円周外面、
38a,38b…突起、
40…固定ホルダ、
41…冷却風取り込み口、
43…冷却風取り出し口、
45…円周内面、
49…整光レンズ、
52,53,54…歯車、
60…モータ、
70…軸受、
71…軸支持板、
75…コイルスプリング、
80…回転センサ、
81…可動部(可動スイッチ)、
85…制御回路、
90…アーム、
90a,90b…先端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ランプを光源として映像を投写表示するプロジェクタ装置において、
照明光を出射する放電ランプと該放電ランプを収納するランプハウジングとを含むランプユニットと、
該ランプユニットの光出射側に配置され、該ランプユニットからの出射光を遮ることなく通過し、前記ランプハウジングの外周部と係合し該ランプハウジングに回転駆動力を伝達する回動ホルダと、
該回動ホルダに回転駆動力を供給する駆動ユニットを備え、
前記回動ホルダの回転により、前記放電ランプはその光軸を中心に前記ランプユニットごと回転することを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタ装置において、
前記回動ホルダの光出射側には、前記ランプユニットからの出射光を遮ることなく通過し、前記回動ホルダを回転可能に保持する固定ホルダを備えることを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプロジェクタ装置において、
前記回動ホルダと前記ランプハウジングの外周部は、円周方向に形成した凹凸部にて係合する構成としたことを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のプロジェクタ装置において、
前記ランプユニットの光出射側と反対側には前記ランプハウジングの回動軸を設け、
該回動軸を、当該装置の取り外し可能な外蓋に取り付けた軸支持板にて回転可能に保持することを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクタ装置において、
当該装置から前記外蓋を取り外し、前記軸支持板から前記ランプハウジングの前記回動軸を外し、前記回動ホルダとの凹凸部の係合を外すことにより、前記放電ランプを前記ランプユニットごと当該装置から取り外すことを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプロジェクタ装置において、
前記駆動ユニットはモータを駆動源として歯車列にて駆動力を伝達する構成とし、
前記回動ホルダの円周部には、前記駆動ユニットからの駆動力を受ける歯車形状の回転伝達部を設けたことを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のプロジェクタ装置において、
前記回動ホルダの回転位置を検出する回転センサと、
該回転センサの検出信号により前記駆動ユニットの回転駆動力を制御する制御回路を備え、
前記回動ホルダを所定の角度範囲で反復して回転させることを特徴とするプロジェクタ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のプロジェクタ装置において、
前記回動ホルダの外周には、回転方向を反転させる位置に突起を設け、
前記回転センサは可動スイッチを有し、該可動スイッチが前記突起と直接、あるいは中継部材を介して接触することで検出信号を出力することを特徴とするプロジェクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−25083(P2013−25083A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159757(P2011−159757)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】