説明

プロジェクタ

【課題】プロジェクタにおいて、耐光性を高め、信頼性を向上させる。
【解決手段】プロジェクタは、赤色光、緑色光及び青色光を出射する光源部(1112)と、第1液晶層を有し、赤色光を変調する赤色用液晶パネル(100R)と、第2液晶層を有し、緑色光を変調する緑色用液晶パネル(100G)と、第3液晶層を有し、青色光を変調する青色用液晶パネル(100B)と、赤色用液晶パネル、緑色用液晶パネル及び青色用液晶パネルの各々から出射された変調光を合成する光合成光学系(1119)とを備える。赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルは、互いに同一の構造を有しており、青色用液晶パネルは、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルと互いに異なる構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば赤色光、緑色光及び青色光の各々を変調する3枚の液晶ライトバルブが用いられてなる3板式カラー液晶プロジェクタ等のプロジェクタの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のプロジェクタの一例である3板式カラー液晶プロジェクタでは、例えば赤色光、緑色光及び青色光の各々を変調する3枚の液晶ライトバルブを備えており、各液晶ライトバルブで変調された光を光学系で合成することによって、カラー画像がスクリーン等の投射面に投影される。各液晶ライトバルブは、一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶パネルとして構成され、液晶層を駆動することによって入射光を変調する。
【0003】
このような液晶パネルに関して、例えば特許文献1には、液晶層の配向状態を規制する配向膜を、所定条件で無機材料から形成することで、耐光性を高める技術が開示されている。また、例えば特許文献2には、配向膜を所定条件で形成された斜方蒸着膜上に所定の膜厚で形成することで、コントラストを高める技術が開示されている。また、例えば特許文献3には、液晶パネルの耐久性を短時間で適正に評価する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3838512号公報
【特許文献2】特許第3840922号公報
【特許文献3】特開2004−341423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のプロジェクタでは、通常、各色光を変調する3枚の液晶ライトバルブは、構成部品の汎用性のため互いに同種の液晶を用いた同一のパネル構造を有している。しかしながら、同種の液晶を用いた同一パネル構造を有する液晶ライトバルブに赤色光、緑色光及び青色光の互いに異なる波長を有する光の各々を入射させた場合、これら光の波長の違いに起因して、青色光を変調する液晶ライトバルブでは、赤色光及び緑色光の各々を変調する液晶ライトバルブよりも、液晶ライトバルブを構成する配向膜、液晶層等の構成材料が光よって劣化してしまいやすいという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、例えば、耐光性に優れ、信頼性の高いプロジェクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1のプロジェクタは上記課題を解決するために、赤色光、緑色光及び青色光を出射する光源部と、第1液晶層を有し、前記赤色光を変調する赤色用液晶パネルと、第2液晶層を有し、前記緑色光を変調する緑色用液晶パネルと、第3液晶層を有し、前記青色光を変調する青色用液晶パネルと、前記赤色用液晶パネル、前記緑色用液晶パネル及び前記青色用液晶パネルの各々から出射された変調光を合成する光合成光学系とを備え、前記赤色用液晶パネル及び前記緑色用液晶パネルは、互いに同一の構造を有しており、前記青色用液晶パネルは、前記赤色用液晶パネル及び前記緑色用液晶パネルと互いに異なる構造を有する。
【0008】
本発明に係る第1のプロジェクタによれば、赤色用液晶パネル、緑色用液晶パネル及び青色用パネルからなる3枚の液晶パネルを液晶ライトバルブとして用いた3板式カラープロジェクタを構築できる。光源部は、典型的には、例えば超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ等の白色光源と該白色光源から出射された白色光を赤色光、緑色光及び青色光に分離する色分離手段とを含んで構成され、赤色光、緑色光及び青色光を出射する。尚、光源部は、赤色光、緑色光及び青色光の各々を単色光として出射する3つの光源を含んで構成されてもよい。液晶ライトバルブとして用いられる赤色用液晶パネル、緑色用液晶パネル及び青色用液晶パネルの各々は、光源部から出射される赤色光、緑色光及び青色光の各色光を変調する。光合成光学系は、ダイクロイックプリズム及び投射レンズを含んで構成されている。各液晶パネルで変調された変調光が合成光学系によって合成された後、例えば、スクリーン等の投射面に投射されることにより、投射面に画像が表示される。
【0009】
本発明では特に、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルは、互いに同一の構造を有しており、青色用液晶パネルは、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルと互いに異なる構造を有している。
【0010】
即ち、例えば、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルは、互いに同一のパネルサイズを有し、青色用液晶パネルは、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルよりも大きなパネルサイズを有する。よって、青色用液晶パネルにおける青色光の集光密度を、赤色用液晶パネルにおける赤色光の集光密度及び緑色用液晶パネルにおける緑色光の集光密度よりも低減することができる。従って、青色光の波長が、赤色光及び緑色光の波長よりも短いことに起因して、例えば、青色光が入射される青色用液晶パネルの第3液晶層が、赤色光が入射される赤色用液晶パネルの第1液晶層及び緑色光が入射される緑色用液晶パネルの第2液晶層よりも、劣化しやすくなってしまうのを低減或いは防止できる。つまり、青色用液晶パネルは、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルと互いに異なる構造を有することにより、当該青色用液晶パネルを構成する例えば配向膜、液晶等の構成材料が青色光よって劣化しにくくなっている、即ち、耐光性が高められている。この結果、プロジェクタの信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0011】
更に、例えば、青色用液晶パネルが、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルよりも大きなパネルサイズを有することによって、例えば、赤色用液晶パネル、緑色用液晶パネル及び青色用液晶パネルの全てのパネルサイズを大きくすることで全ての液晶パネルの耐光性を向上させる場合と比較して、プロジェクタの生産性の低減或いはコスト増大を抑制できる。つまり、青色用液晶パネルが、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルと互いに異なる構造を有することによって、耐光性を向上させるために全ての液晶パネルの構造を変更或いは追加する場合と比較して、プロジェクタの生産性の低減或いはコスト増大を抑制できる。
【0012】
尚、本発明に係る「互いに同一」とは、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルの生産性(言い換えれば、プロジェクタの生産性)を、製品仕様上で許容される程度に高めるのに十分な範囲で互いに共通な部材或いは形状を有していればよい趣旨であり、文字通りの同一の他、実質的に同一である場合を含む意味である。従って、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルは、互いに異なる部材或いは形状を有していてもよい。
【0013】
以上説明したように、本発明に係る第1のプロジェクタによれば、例えば、青色用液晶パネルが、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルよりも大きなパネルサイズを有するなど、青色用液晶パネルが、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルと互いに異なる構造を有しているので、当該青色用液晶パネルの耐光性を高めることができる。この結果、プロジェクタの信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0014】
本発明に係る第1のプロジェクタの一態様では、前記赤色用液晶パネル及び前記緑色用液晶パネルは、互いに同一のパネルサイズを有し、前記青色用液晶パネルは、前記赤色用液晶パネル及び前記緑色用液晶パネルよりも大きなパネルサイズを有する。
【0015】
この態様によれば、青色用液晶パネルにおける青色光の集光密度を、赤色用液晶パネルにおける赤色光の集光密度及び緑色用液晶パネルにおける緑色光の集光密度よりも低減することができる。従って、青色光の波長が、赤色光及び緑色光の波長よりも短いことに起因して、例えば、青色光が入射される青色用液晶パネルの第3液晶層が、赤色光が入射される赤色用液晶パネルの第1液晶層及び緑色光が入射される緑色用液晶パネルの第2液晶層よりも、劣化しやすくなってしまうのを低減或いは防止できる。即ち、青色用液晶パネルの耐光性を向上させることができる。この結果、プロジェクタの信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0016】
更に、青色用液晶パネルが、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルよりも大きなパネルサイズを有することによって、例えば、赤色用液晶パネル、緑色用液晶パネル及び青色用液晶パネルの全てのパネルサイズを大きくすることで全ての液晶パネルの耐光性を向上させる場合と比較して、プロジェクタの生産性の低減或いはコスト増大を抑制できる。
【0017】
本発明に係る第1のプロジェクタの他の態様では、前記赤色用液晶パネルは、複数の第1マイクロレンズが形成された第1マイクロレンズアレイ板を有し、前記緑色用液晶パネルは、複数の第2マイクロレンズが形成された第2マイクロレンズアレイ板を有し、前記青色用液晶パネルは、複数の第3マイクロレンズが形成された第3マイクロレンズアレイ板を有し、前記第1マイクロレンズの集光度と前記第2マイクロレンズの集光度とは互いに同一であり、前記第3マイクロレンズの集光度は、前記第1及び第2マイクロレンズの集光度よりも低い。
【0018】
この態様によれば、赤色用液晶パネルは、第1液晶層に対して赤色光が入射される側に、第1マイクロレンズアレイ板を有する。即ち、赤色用液晶パネルは、例えば一対の第1基板間に第1液晶層が挟持されてなり、一対の第1基板のうち赤色光が入射される側の一方の第1基板は、所定画素ピッチで複数の第1マイクロレンズが形成された第1マイクロレンズアレイ板として形成される。或いは、該一方の第1基板に、各画素に対応する第1マイクロレンズが形成された第1マイクロレンズアレイ板が貼り付けられる。これにより、赤色用液晶パネルに入射される赤色光は、第1マイクロレンズアレイ板によって画素単位に集光される。赤色用液晶パネルにおける第1マイクロレンズアレイ板と概ね同様に、緑色用液晶パネルに入射される緑色光は、第2マイクロレンズアレイ板によって画素単位に集光され、青色用液晶パネルに入射される青色光は、第3マイクロレンズアレイ板によって画素毎に集光される。
【0019】
この態様では特に、第1マイクロレンズの集光度と第2マイクロレンズの集光度とは互いに同一であり、第3マイクロレンズの集光度は、第1及び第2マイクロレンズの集光度よりも低い。即ち、青色用液晶パネルに対する集光度は、赤色用液晶パネルに対する集光度及び緑色用液晶パネルに対する集光度よりも低減されている。従って、青色光の波長が、赤色光及び緑色光の波長よりも短いことに起因して、例えば、青色光が入射される青色用液晶パネルの第3液晶層が、赤色光が入射される赤色用液晶パネルの第1液晶層及び緑色光が入射される緑色用液晶パネルの第2液晶層よりも、劣化しやすくなってしまうのを低減或いは防止できる。即ち、青色用液晶パネルの耐光性を高めることができる。この結果、プロジェクタの信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0020】
本発明のプロジェクタの他の態様では、前記赤色用液晶パネル及び前記緑色用液晶パネルの各々は、有機材料からなる有機配向膜を有し、前記青色用液晶パネルは、無機材料からなる無機配向膜を有する。
【0021】
この態様によれば、赤色用液晶パネルは、第1液晶層の配向方向を規制するために、例えばポリイミド等の有機材料からなる第1配向膜を有する。緑色用液晶パネルは、第2液晶層の配向方向を規制するために、例えばポリイミド等の有機材料からなる第2配向膜を有する。青色用液晶パネルは、例えば斜方蒸着法又はイオンビームスパッタ法により例えばシリカ(SiO2)等の無機材料から形成された第3配向膜を有する。即ち、赤色用液晶パネルの第1配向膜及び緑色用液晶パネルの第2配向膜の各々は、有機配向膜であり、青色用液晶パネルの第3配向膜は、無機配向膜である。よって、第3配向膜は、第1及び第2配向膜よりも光によって劣化しにくい即ち耐光性が高い。従って、青色用液晶パネルの耐光性を高めることができる。この結果、プロジェクタの信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0022】
本発明のプロジェクタの他の態様では、前記第1、第2及び第3液晶層の各々は、ターフェニル誘導体を含み、前記第3液晶層におけるターフェニル誘導体の濃度は、前記第1及び第2液晶層の各々におけるターフェニル誘導体の濃度よりも低い。
【0023】
この態様によれば、青色用液晶パネルの第3液晶層は、赤色用液晶パネルの第1液晶層及び緑色用液晶パネルの第2液晶層よりも光によって劣化しにくい即ち耐光性が高い。従って、青色用液晶パネルの耐光性を高めることができる。この結果、プロジェクタの信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0024】
本発明のプロジェクタの他の態様では、前記第3液晶層は、紫外から青色領域の光の少なくとも一部を吸収する紫外線吸収剤が添加されている。
【0025】
この態様によれば、第3液晶層は、紫外から青色領域の光(即ち、波長が350nmから435nmまでの光)の少なくとも一部を吸収する紫外線吸収剤が添加されている。よって、例えば青色用液晶パネルに対して入射される青色光に紫外から青色領域の光が含まれる場合であっても、第3液晶層が紫外から青色領域の光によって劣化してしまうことを低減或いは防止できる。
【0026】
尚、第1及び第2液晶層には、紫外線吸収剤は添加されていない。
【0027】
本発明のプロジェクタの他の態様では、前記赤色用液晶パネルを収容する第1フレームと、前記緑色用液晶パネルを収容する第2フレームと、前記青色用液晶パネルを収容する第3フレームとを備え、前記第1及び第2フレームは、樹脂から形成されており、前記第3フレームの少なくとも一部分は、金属から形成されている。
【0028】
この態様によれば、赤色用液晶パネルは、第1フレームに収容された状態で、該第1フレームがプロジェクタ内に例えばネジで固定されることで、プロジェクタに取り付けられる。緑色用液晶パネル及び青色用液晶パネルも、赤色用液晶パネルと概ね同様に、各フレームに収容された状態で、プロジェクタに取り付けられる。即ち、第1、第2及び第3フレームは、各液晶パネルをプロジェクタに実装するための実装ケースを構成する。
【0029】
この態様では特に、第1及び第2フレームは、樹脂から形成されており、第3フレームの少なくとも一部は、金属から形成されている。よって、第3フレームは、第1及び第2フレームよりも放熱性が高い。従って、青色用液晶パネルに対して青色光が入射されることにより該青色用液晶パネル内において発生する熱を、第3フレームによって効率的に外部へ放散することができる。これにより、青色用液晶パネルから発生する熱に起因する青色用液晶パネルの不具合の発生が、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルの各々から発生する熱に起因する赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルの不具合の発生よりも多くなってしまうのを抑制或いは防止できる。この結果、プロジェクタの信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0030】
尚、第1フレームは、赤色用液晶パネルの表示領域に対応する開口部を有しており、赤色用液晶パネルは、第1フレームによって、その周縁部側から包囲される状態となる。即ち、第1フレーム内に赤色液晶パネルが収容された状態で、赤色用液晶パネルにおける、表示領域の周辺に位置する周辺領域は、第1フレームによって覆われる。第2フレームは、緑色用液晶パネルの表示領域に対応する開口部を有しており、緑色用液晶パネルは、第2フレームによって、その周縁部側から包囲される状態となる。第3フレームは、青色用液晶パネルの表示領域に対応する開口部を有しており、青色用液晶パネルは、第3フレームによって、その周縁部側から包囲される状態となる。
【0031】
本発明のプロジェクタの他の態様では、前記赤色用液晶パネルは、前記第1液晶層を挟持する一対の第1基板と、前記一対の第1基板の少なくとも一方の第1基板における前記第1液晶層に対向しない側に設けられ、ガラスからなる第1防塵用基板とを有し、前記緑色用液晶パネルは、前記第2液晶層を挟持する一対の第2基板と、前記一対の第2基板の少なくとも一方の第2基板における前記第2液晶層に対向しない側に設けられ、ガラスからなる第2防塵用基板とを有し、前記青色用液晶パネルは、前記第3液晶層を挟持する一対の第3基板と、前記一対の第3基板の少なくとも一方の第3基板における前記第3液晶層に対向しない側に設けられ、サファイア又は水晶からなる第3防塵用基板とを有する。
【0032】
この態様によれば、第1及び第2防塵用基板は、ガラスからなり、第3防塵用基板は、サファイア又は水晶からなる。よって、第3防塵用基板は、第1及び第2防塵用基板よりも放熱性が高い。従って、青色用液晶パネルに対して青色光が入射されることにより該青色用液晶パネル内において発生する熱を、第3防塵用基板によって効率的に外部へ放散することができる。これにより、青色用液晶パネルから発生する熱に起因する青色用液晶パネルの不具合の発生が、赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルの各々から発生する熱に起因する赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルの不具合の発生よりも多くなってしまうのを抑制或いは防止できる。この結果、プロジェクタの信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0033】
尚、赤色用液晶パネルは、第1防塵用基板を有しているので、少なくとも一方の第1基板の外側表面(即ち、該少なくとも一方の第1基板における第1液晶層に対向しない側の面)に直接に粉塵が付着するのを防止できると共に、第1防塵用基板上に仮に粉塵が付着したとしても、該第1防塵用基板が所定の厚さを有することにより、画像上に粉塵の像が投影されるというような事態を未然に回避することができる。緑色用液晶パネルは、第2防塵用基板を有しているので、少なくとも一方の第2基板の外側表面に直接に粉塵が付着するのを防止できると共に、第2防塵用基板上に仮に粉塵が付着したとしても、画像上に粉塵の像が投影されるというような事態を未然に回避することができる。青色用液晶パネルは、第3防塵用基板を有しているので、少なくとも一方の第3基板の外側表面に直接に粉塵が付着するのを防止できると共に、第3防塵用基板上に仮に粉塵が付着したとしても、画像上に粉塵の像が投影されるというような事態を未然に回避することができる。
【0034】
本発明に係る第2のプロジェクタは上記課題を解決するために、白色光を出射する白色光源と、前記白色光を赤色光、緑色光及び青色光に色分離する色分離手段とを有し、前記赤色光及び前記緑色光を出射する第1光源部と、450nm以上且つ470nm以下の範囲内の所定波長を有する青色レーザー光を出射する第2光源部と、第1液晶層を有し、前記赤色光を変調する赤色用液晶パネルと、第2液晶層を有し、前記緑色光を変調する緑色用液晶パネルと、第3液晶層を有し、前記青色レーザー光を変調する青色用液晶パネルと、前記赤色用液晶パネル、前記緑色用液晶パネル及び前記青色用液晶パネルの各々から出射された変調光を合成する光合成光学系とを備える。
【0035】
本発明に係る第2のプロジェクタによれば、赤色用液晶パネル、緑色用液晶パネル及び青色用パネルからなる3枚の液晶パネルを液晶ライトバルブとして用いた3板式カラープロジェクタを構築できる。第1光源部は、典型的には、例えば超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ等の白色光源と該白色光源から出射された白色光を赤色光、緑色光及び青色光に分離する色分離手段とを含んで構成される。第1光源部は、赤色光を赤色用液晶パネルに対して出射し、緑色光を緑色用液晶パネルに対して出射する。第1光源部は、青色光を例えば当該第1光源部が有する或いは当該第1光源部の外部に設けられた光吸収板に対して出射することにより、該光吸収板によって青色光を吸収させる。即ち、第1光源部は、青色光を青色用液晶パネルに対して出射しない。第2光源部は、例えば半導体レーザー光源を有しており、450nm以上且つ470nm以下の範囲内の所定波長(例えば、460nmの波長)を有する青色レーザー光を青色用液晶パネルに対して出射する。赤色用液晶パネル及び緑色用液晶パネルの各々は、第1光源部から出射される赤色光及び緑色光の各色光を変調する。青色用液晶パネルは、第2光源から出射される青色レーザー光を変調する。光合成光学系は、ダイクロイックプリズム及び投射レンズを含んで構成されている。各液晶パネルで変調された変調光が合成光学系によって合成された後、例えば、スクリーン等の投射面に投射されることにより、投射面に画像が表示される。
【0036】
本発明では特に、青色用液晶パネルは、第2光源部から出射される、450nm以上且つ470nm以下の範囲内の所定波長を有する青色レーザー光を変調する。よって、450nm未満の波長を有する光は、青色用液晶パネルに入射されない。このため、仮に、青色用液晶パネルが、白色光から分離されてなり、450nm未満の波長を有する光成分を含む青色光を変調する場合と比較して、青色用液晶パネルを構成する例えば配向膜、液晶等の構成材料が当該青色用液晶パネルに入射される光によって劣化してしまうのを低減或いは防止できる。言い換えれば、青色用液晶パネルの耐光性を高めることができる。この結果、プロジェクタの信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態に係るプロジェクタについて、図1から図4を参照して説明する。
【0038】
先ず、本実施形態に係るプロジェクタの全体構成について、図1を参照して説明する。ここでは、プロジェクタの光学ユニットに組み込まれている光学系を中心に説明する。
【0039】
図1は、本実施形態に係るプロジェクタの図式的断面図である。
【0040】
図1において、本実施形態に係るプロジェクタ1100は、前方に設けられたスクリーン1111に画像を投射する前方投影型のプロジェクタである。プロジェクタ1100は、光源1112と、ダイクロイックミラー1113及び1114と、液晶ライトバルブ500R、500G及び500Bと、投射光学系1118と、クロスダイクロイックプリズム1119と、リレー光学系1120とを備えている。
【0041】
光源1112は、赤色光、緑色光及び青色光を含む光を供給する超高圧水銀ランプで構成されている。ダイクロイックミラー1113は、光源1112からの赤色光LRを透過させると共に緑色光LG及び青色光LBを反射する。ダイクロイックミラー1114は、ダイクロイックミラー1113で反射された緑色光LG及び青色光LBのうち青色光LBを透過させると共に緑色光LGを反射する。このように、ダイクロイックミラー1113及び1114は、光源1112から出射された光を赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離する色分離光学系を構成する。
【0042】
液晶ライトバルブ500R、500G及び500Bの各々は、後述する実装ケースに収容された透過型の液晶パネルとして構成されている。
【0043】
液晶ライトバルブ500Rは、赤色光LRを変調する赤色用液晶ライトバルブである。液晶ライトバルブ500Rは、ダイクロイックミラー1113を透過して反射ミラー1123で反射した赤色光LRを、画像信号に応じて変調し、変調した赤色光LRをクロスダイクロイックプリズム1119に向けて出射する。
【0044】
液晶ライトバルブ500Gは、緑色光LGを変調する緑色用液晶ライトバルブである。液晶ライトバルブ500Gは、ダイクロイックミラー1113で反射した後にダイクロイックミラー1114で反射した緑色光LGを、画像信号に応じて変調し、変調した緑色光LGをクロスダイクロイックプリズム1119に向けて出射する。
【0045】
液晶ライトバルブ500Bは、青色光LBを変調する青色用液晶ライトバルブである。液晶ライトバルブ500Bは、ダイクロイックミラー1113で反射し、ダイクロイックミラー1114を透過した後でリレー光学系1120を経た青色光LBを画像信号に応じて変調し、変調した青色光LBをクロスダイクロイックプリズム1119に向けて出射する。後に詳細に説明するが、液晶ライトバルブ500Bは、液晶ライトバルブ500R及び500Gの各々を構成する液晶パネルよりもパネルサイズの大きな液晶パネルとして構成されている。
【0046】
リレー光学系1120は、リレーレンズ1124a及び1124bと反射ミラー1125a及び1125bとを備えている。リレーレンズ1124a及び1124bは、青色光LBの光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。リレーレンズ1124aは、ダイクロイックミラー1114と反射ミラー1125aとの間に配置されている。リレーレンズ1124bは、反射ミラー1125a及び1125bの間に配置されている。反射ミラー1125aは、ダイクロイックミラー1114を透過してリレーレンズ1124aから出射した青色光LBをリレーレンズ1124bに向けて反射するように配置されている。反射ミラー1125bは、リレーレンズ1124bから出射した青色光LBを液晶ライトバルブ500Bに向けて反射するように配置されている。
【0047】
クロスダイクロイックプリズム1119は、2つのダイクロイック膜1119a及び1119bをX字型に直交配置した色合成光学系である。ダイクロイック膜1119aは青色光LBを反射して緑色光LGを透過する。ダイクロイック膜1119bは赤色光LRを反射して緑色光LGを透過する。従って、クロスダイクロイックプリズム1119は、液晶ライトバルブ500R、500G及び500Rの各々で変調された赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとを合成し、投射光学系1118に向けて出射する。投射光学系1118は、投影レンズ(図示省略)を有しており、クロスダイクロイックプリズム1119で合成された光をスクリーン1111にカラー画像として投射する。
【0048】
次に、本実施形態に係るプロジェクタが備える液晶ライトバルブの構成について、図2から図4を参照して説明する。
【0049】
先ず、本実施形態に係る液晶ライトバルブを構成する液晶パネルの全体構成について、図2及び図3を参照して説明する。ここに図2は、本実施形態に係る液晶パネルの全体構成を示す平面図であり、図3は、図2のIII−III’線断面図である。尚、図3においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0050】
以下では、液晶ライトバルブ500Rを構成する液晶パネル100Rを例に挙げて液晶パネルの具体的な構成を説明する。液晶ライトバルブ500R及び500Gは、変調する光の波長領域が異なるだけであって、その基本的構成は同一である。液晶ライトバルブ500Bは、液晶ライトバルブ500R及び500Gとは、その基本的構成は同一であるが、構成上の相違点を有している。液晶ライトバルブ500Bと液晶ライトバルブ500R及び500Gとの構成上の相違点については後に詳細に説明する。
【0051】
尚、液晶ライトバルブ500Rは、本発明に係る「赤色用液晶パネル」の一例としての液晶パネル100Rを備え、液晶ライトバルブ500Gは、本発明に係る「緑色用液晶パネル」の一例としての液晶パネル100Gを備え、液晶ライトバルブ500Bは、本発明に係る「青色用液晶パネル」の一例としての液晶パネル100Bを備えている。
【0052】
図2及び図3において、本実施形態に係る液晶パネル100Rでは、素子基板10と対向基板20とが対向配置されている。素子基板10と対向基板20との間に液晶層50Rが封入されており、素子基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。シール材52は、両基板を貼り合わせるための、紫外線硬化樹脂からなり、製造プロセスにおいて素子基板10上に塗布された後、紫外線照射により硬化させられたものである。シール材52中には、素子基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0053】
更に、素子基板10及び対向基板20における液晶層50Rに対向しない側には、防塵用基板410R及び420Rがそれぞれ設けられている。防塵用基板410R及び420Rは、透明なガラス基板からなり、素子基板10及び対向基板20にそれぞれ接着されている。尚、液晶ライトバルブ500Bに設けられる防塵用基板410B及び420Bは、サファイア基板からなる。防塵用基板410R及び420Rによって、素子基板10及び対向基板20の外側表面(即ち、各基板における液晶層50Rに対向しない側の面)に直接に粉塵が付着するのを防止できると共に、防塵用基板410R及び420R上に仮に粉塵が付着したとしても、防塵用基板410R及び420Rが所定の厚さを有することにより、画像上に粉塵の像が投影されるというような事態を未然に回避することができる。
【0054】
図2において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102が素子基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。素子基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、素子基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0055】
素子基板10上には、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0056】
図3において、素子基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。画像表示領域10aには、画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線の上層に複数の画素電極9aがマトリクス状に設けられている。画素電極9a上には、配向膜16Rが形成されている。
【0057】
他方、対向基板20は、平面的に配列された複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズ板(集光板)として構成されている。対向基板20は、基板92と、樹脂層93と、カバーガラス94とを備えている。
【0058】
基板92及びカバーガラス94は、ガラス等からなる透明基板であり、石英やホウ珪酸ガラス、ソーダライムガラス(青板ガラス)、クラウンガラス(白板ガラス)等からなる基板を用いることもできる。基板92の液晶層50R側(図中、下面側)には、複数の凹部(マイクロレンズ)95Rが形成されている。マイクロレンズ95Rは、液晶層50Rと反対側から基板92に入射する光を集光して液晶層50R側に出射する。
【0059】
樹脂層93は、基板92のマイクロレンズ95R上に充填された樹脂材料からなる層であり、光を透過可能な樹脂材料、例えばアクリル系樹脂等を用いて形成されている。樹脂層93は、基板92の一面側を覆い、マイクロレンズ95Rの凹状の内部を充填するように設けられている。樹脂層93の上面は平坦面とされ、かかる平坦面にカバーガラス94が貼り付けられている。
【0060】
対向基板20における素子基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。即ち、遮光膜23は、画像表示領域10aにおける表示に寄与する光が出射される開口領域を規定する、ブラックマトリクスとして機能する。そして、遮光膜23上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向してベタ状に形成されている。対向電極21上には配向膜22Rが形成されている。液晶層50Rは、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0061】
尚、ここでは図示しないが、素子基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0062】
上述のように構成された液晶パネル100Rは、実装ケースに収容されて、液晶ライトバルブ500Rとして図1を参照して上述したプロジェクタに実装される。
【0063】
次に、本実施形態に係る実装ケースの全体構成について、図4を参照して説明する。
【0064】
図4は、実装ケースを液晶パネルと共に示す分解斜視図である。
【0065】
図4において、上述のように構成された液晶パネル100Rは、実装ケース601Rに収容されて、液晶ライトバルブ500Rとして図1を参照して上述したプロジェクタ1100に実装される。液晶パネル100Rの外部回路接続端子102(図3参照)には、フレキシブルプリント配線板501が接続されている。尚、液晶パネル100Rの外表面に偏光板や位相差板等が付設されてもよい。偏光板や位相差板等は、プロジェクタ1100の光学系が備えていてもよい。
【0066】
図4に示すように、実装ケース601Rは、液晶パネル100Rを収容するフレーム610Rと、フレーム610Rに被さるカバー部材620Rとからなる。カバー部材620Rは、両側縁のフック627をフレーム610Rの側面に形成された爪部617に引っ掛けることによって、フレーム610Rと組み合せられている。
【0067】
液晶パネル100Rは、フレーム610Rに対向基板20側が面する向きに収容され、素子基板10側の外表面をカバー部材620Rで覆われている。即ち、液晶パネル100Rが実装ケース601Rに収容されてプロジェクタ1100に実装されて液晶ライトバルブ500Rとして用いられる際には、フレーム610Rの側から光が入射し、液晶パネル100Rを透過して、カバー部材620Rの側から出射する。液晶パネル100Rは、その周縁部側からフレーム610Rによって包囲された状態で、該フレーム610Rに接着剤によって接着されることによって固定されて、該フレーム610R内に収容される。よって、液晶パネル100Rは、フレーム610Rによって、その周縁部側から包囲される状態となる。尚、このように実装ケース601R内に収容された状態で、液晶パネル100Rにおける、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域は、フレーム610Rによって覆われている。このため、フレーム610Rは、当該周辺領域における光抜けを防止したり或いは周辺領域から画像表示領域10a内に迷光が進入したりするのを防止する遮光機能を有している。
【0068】
カバー部材620Rは、開口部として窓部625が設けられた額縁状の本体と、本体の両脇に、フック627とを備えている。窓部625は、液晶パネル100Rの画像表示領域10a(図1参照)から出射される光を取り出すために、画像表示領域10aと対向するように開口されている。
【0069】
次に、青色用液晶ライトバルブと赤色用ライトバルブ及び緑色用ライトバルブとの構成上の相違点について、図1から図4を参照して説明する。
【0070】
図1及び図2において、本実施形態では特に、液晶ライトバルブ500R及び500Gの各々を構成する液晶パネル100R及び100Gは、互いに同一のパネルサイズを有し、液晶ライトバルブ500Bを構成する液晶パネル100Bは、液晶パネル100R及び100Gよりも大きなパネルサイズを有している。よって、液晶パネル100Bにおける青色光LBの集光密度を、液晶パネル100Rにおける赤色光LRの集光密度及び液晶パネル100Gにおける緑色光LGの集光密度よりも低減することができる。即ち、液晶パネル100Bにおける画像表示領域10aを通過する光の単位面積当たりの量を、液晶パネル100R及び100Gの各々における画像表示領域10aを通過する光の単位面積当たりの量よりも少なくすることができる。従って、青色光LBの波長が、赤色光LR及び緑色光LGの波長よりも短いことに起因して、例えば、青色光LBが入射される液晶パネル100Bの液晶層50Bが、赤色光LRが入射される液晶パネル100Rの液晶層50R及び緑色光LGが入射される液晶パネル100Gの液晶層50Gよりも、劣化しやすくなってしまうのを低減できる。即ち、波長が比較的短い光が入射される液晶パネル500Bの耐光性を向上させることができる。この結果、プロジェクタ1100の信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0071】
更に、液晶パネル100Bが、液晶パネル100R及び100Bよりも大きなパネルサイズを有することによって、例えば、液晶パネル100R、100G及び100Bの全てのパネルサイズを大きくすることで全ての液晶パネル100R、100G及び100Bの耐光性を向上させる場合と比較して、プロジェクタ1100の生産性の低減を抑制できる。更には、プロジェクタ1100を製造する製造コストの増大も抑制できる。
【0072】
図3において、本実施形態では特に、液晶パネル100Rが有するマイクロレンズ95Rの集光度と液晶パネル100Gが有するマイクロレンズ95Gの集光度とは互いに同一であり、液晶パネル100Bが有するマイクロレンズ95Bの集光度は、マイクロレンズ95R及び95Gの集光度よりも低くなっている。即ち、液晶パネル100Bの各画素に対する集光度は、液晶パネル100Rの各画素に対する集光度及び液晶パネル100Gの各画素に対する集光度よりも低減されている。つまり、液晶パネル100Bの各画素を通過する光の単位面積当たりの量を、液晶パネル100R及び100Gの各々の各画素を通過する光の単位面積当たりの量よりも少なくすることができる。従って、青色光LBの波長が、赤色光LR及び緑色光LGの波長よりも短いことに起因して、例えば、青色光LBが入射される液晶パネル100Bの液晶層50Bが、赤色光LRが入射される液晶パネル100Rの液晶層50R及び緑色光LGが入射される液晶パネル100Gの液晶層50Gよりも、劣化しやすくなってしまうのを低減或いは防止できる。即ち、青色光LBを変調する液晶ライトバルブ500Bを構成する液晶パネル100Bの耐光性を高めることができる。この結果、プロジェクタ1100の信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0073】
更に、図3において、本実施形態では特に、液晶パネル100Rが有する配向膜16R及び22Rと液晶パネル100Gが有する配向膜16G及び22Gとは、いずれも例えばポリイミド等の有機材料からなる有機配向膜であり、液晶パネル100Bが有する配向膜16B及び22Bは、例えば斜方蒸着法又はイオンビームスパッタ法により例えばシリカ等の無機材料から形成された無機配向膜である。よって、無機配向膜である配向膜16B及び22Bは、有機配向膜である配向膜16R、22R、16G及び22Gよりも光によって劣化しにくい。従って、青色光LBを変調する液晶ライトバルブ500Bを構成する液晶パネル100Bの耐光性を高めることができる。この結果、プロジェクタ1100の信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0074】
加えて、図3において、本実施形態では特に、液晶パネル100Rが有する液晶層50Rと、液晶パネル100Gが有する液晶層50Gと、液晶パネル100Bが有する液晶層50Bとは、いずれもターフェニル誘導体を含んでおり、液晶層50Bにおけるターフェニル誘導体の濃度は、液晶層50R及び50Gの各々におけるターフェニル誘導体の濃度よりも低くなっている。よって、液晶層50Bは、液晶層50R及び50Gよりも光によって劣化しにくい。従って、青色光LBを変調する液晶ライトバルブ500Bを構成する液晶パネル100Bの耐光性を高めることができる。この結果、プロジェクタ1100の信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0075】
更に加えて、図3において、本実施形態では特に、液晶パネル100Bが有する液晶層50Bは、紫外から青色領域の光(即ち、波長が350nmから435nmまでの光)を吸収する紫外線吸収剤が添加されている。よって、青色光LBに含まれる紫外から青色領域の光によって、液晶層50Bが劣化してしまうことを低減できる。尚、液晶パネル100Rが有する液晶層50Rと液晶パネル100Gが有する液晶層50Gとのいずれにも、紫外線吸収剤は添加されていない。
【0076】
図3において、本実施形態では特に、液晶パネル100Rが有する防塵用基板410R及び420Rと液晶パネル100Gが有する防塵用基板410G及び420Gとは、いずれもガラス基板からなり、液晶パネル100Bが有する防塵用基板410B及び420Bは、サファイア基板からなる。よって、防塵用基板410B及び420Bは、防塵用基板410R、420R、410G及び420Gよりも放熱性が高い。従って、液晶パネル100Bに対して青色光LBが入射されることにより液晶パネル100B内において発生する熱を、防塵用基板410B及び420Bによって効率的に外部へ放散することができる。これにより、液晶パネル100Bから発生する熱に起因する液晶パネル100Bの不具合の発生が、液晶パネル100R及び100Gの各々から発生する熱に起因する液晶パネル100R及び100Gの不具合の発生よりも多くなってしまうのを抑制できる。この結果、プロジェクタ1100の信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0077】
尚、液晶パネル100Bが有する防塵用基板410B及び420Bは、水晶基板からなるようにしてもよい。この場合にも、液晶パネル100Bに対して青色光LBが入射されることにより液晶パネル100B内において発生する熱を、防塵用基板410B及び420Bによって効率的に外部へ放散することができる。
【0078】
尚、液晶パネル100Bが有する防塵用基板410B及び420Bのいずれか一方のみをサファイア基板或いは水晶基板からなるようにし、他方を例えばガラス基板からなるようにしてもよい。この場合にも、液晶パネル100Bに対して青色光LBが入射されることにより液晶パネル100B内において発生する熱を、防塵用基板410B及び420Bのうちサファイア基板或いは水晶基板からなる一方の防塵用基板によって効率的に外部へ放散する効果を相応に得ることができる。
【0079】
更に、図1及び図4において、本実施形態では特に、液晶パネル100Rを収容するフレーム610Rと、液晶パネル100Gを収容するフレーム610Gとは、いずれも例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)系の樹脂から形成され、更に、液晶パネル100Bを収容するフレーム610Bは例えばアルミダイカスト等の金属から形成されている。即ち、フレーム610R及び610Gは、樹脂から形成されているのに対して、フレーム610Bは、金属から形成されている。尚、カバー部材620R、620G及び620Bは、いずれも金属から形成されている。
【0080】
よって、フレーム610Bは、フレーム610R及び610Gよりも放熱性が高い(即ち、実装ケース601Bは、実装ケース601R及び601Gよりも放熱性が高い)。従って、液晶パネル100Bに対して青色光LBが入射されることにより液晶パネル100B内において発生する熱を、金属から形成されたフレーム610Bによって効率的に外部へ放散することができる。これにより、液晶パネル100Bから発生する熱に起因する液晶パネル100Bの不具合の発生が、液晶パネル100R及び100Gの各々から発生する熱に起因する液晶パネル100R及び100Gの不具合の発生よりも多くなってしまうのを抑制できる。この結果、プロジェクタ1100の信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態に係るプロジェクタによれば、例えば、液晶ライトバルブ500Bを構成する液晶パネル100Bが、液晶ライトバルブ500Rを構成する液晶パネル100Rび液晶ライトバルブ500Gを構成する液晶パネル100Gよりも大きなパネルサイズを有するなど、液晶ライトバルブ500Bが、液晶ライトバルブ500R及び液晶ライトバルブ500Gと互いに異なる構造を有しているので、液晶ライトバルブ500Bの耐光性を高めることができる。この結果、プロジェクタ1100の信頼性或いは寿命を向上させることができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るプロジェクタについて、図5を参照して説明する。
【0082】
図5は、第2実施形態に係るプロジェクタの図式的断面図である。尚、図5において、図1から図4に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0083】
図5において、第2実施形態に係るプロジェクタ1200は、上述した第1実施形態における液晶ライトバルブ500Bに代えて液晶ライトバルブ502Bを備える点、及び上述した第1実施形態におけるリレー光学系1120に代えて光吸収体1140及びレーザー光源部1150を備える点で、上述した第1実施形態に係るプロジェクタ1100と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係るプロジェクタ1100と概ね同様に構成されている。
【0084】
レーザ光源部1150は、例えば半導体レーザー光源を有しており、450〜470nmの範囲内の所定波長、例えば460nmの波長を有する青色レーザー光を液晶ライトバルブ502Bに対して出射する。
【0085】
液晶ライトバルブ502Bは、レーザー光源部1150から出射された青色レーザ光を変調する青色用液晶ライトバルブである。液晶ライトバルブ502Bの基本的構成は、液晶ライトバルブ500R及び500Gの基本的構成と同一である。
【0086】
光吸収体1140は、ダイクロイックミラー1114を透過した青色光LBを吸収するように配置されている。
【0087】
本実施形態では特に、液晶ライトバルブ502Bは、レーザー光源部1150から出射される、450〜470nmの範囲内の所定波長を有する青色レーザー光を変調するように構成されている。よって、450nmよりも短い波長を有する光は、液晶ライトバルブ502Bに入射されない。このため、仮に、液晶ライトバルブ502Bが、450nmよりも短い波長を有する光成分を含む青色光LBを変調する場合と比較して、液晶ライトバルブ502Bを構成する液晶パネルの例えば配向膜、液晶等の構成材料が当該液晶ライトバルブ502Bに入射される光によって劣化してしまうのを低減できる。言い換えれば、液晶ライトバルブ502Bの耐光性を高めることができる。この結果、プロジェクタ1200の信頼性或いは寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】第1実施形態に係るプロジェクタの図式的断面図である。
【図2】第1実施形態に係る液晶パネルの全体構成を示す平面図である。
【図3】図2のIII−III’線断面図である。
【図4】実装ケースを液晶パネルと共に示す分解斜視図である。
【図5】第2実施形態に係るプロジェクタの図式的断面図である。
【符号の説明】
【0089】
10…素子基板、20…対向基板、16R、16G、16B、22R、22G、22B…配向膜、50R、50G、50B…液晶層、95R、95G、95B…マイクロレンズ、100R、100G、100B…液晶パネル、410R、410G、410B、420R、420G、420B…防塵用基板、500R、500G、500B…液晶ライトバルブ、601R、601G、601B…実装ケース、1110、1200…プロジェクタ、1111…スクリーン、1112…光源、1150…レーザー光源部、LB…青色光、LG…緑色光、LR…赤色光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色光、緑色光及び青色光を出射する光源部と、
第1液晶層を有し、前記赤色光を変調する赤色用液晶パネルと、
第2液晶層を有し、前記緑色光を変調する緑色用液晶パネルと、
第3液晶層を有し、前記青色光を変調する青色用液晶パネルと、
前記赤色用液晶パネル、前記緑色用液晶パネル及び前記青色用液晶パネルの各々から出射された変調光を合成する光合成光学系と
を備え、
前記赤色用液晶パネル及び前記緑色用液晶パネルは、互いに同一の構造を有しており、
前記青色用液晶パネルは、前記赤色用液晶パネル及び前記緑色用液晶パネルと互いに異なる構造を有する
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
前記赤色用液晶パネル及び前記緑色用液晶パネルは、互いに同一のパネルサイズを有し、
前記青色用液晶パネルは、前記赤色用液晶パネル及び前記緑色用液晶パネルよりも大きなパネルサイズを有することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記赤色用液晶パネルは、複数の第1マイクロレンズが形成された第1マイクロレンズアレイ板を有し、
前記緑色用液晶パネルは、複数の第2マイクロレンズが形成された第2マイクロレンズアレイ板を有し、
前記青色用液晶パネルは、複数の第3マイクロレンズが形成された第3マイクロレンズアレイ板を有し、
前記第1マイクロレンズの集光度と前記第2マイクロレンズの集光度とは互いに同一であり、
前記第3マイクロレンズの集光度は、前記第1及び第2マイクロレンズの集光度よりも低い
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記赤色用液晶パネルは、有機材料からなる第1配向膜を有し、
前記緑色用液晶パネルは、前記有機材料と同一材料からなる第2配向膜を有し、
前記青色用液晶パネルは、無機材料からなる第3配向膜を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記第1、第2及び第3液晶層の各々は、ターフェニル誘導体を含み、
前記第3液晶層におけるターフェニル誘導体の濃度は、前記第1及び第2液晶層の各々におけるターフェニル誘導体の濃度よりも低い
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記第3液晶層は、紫外から青色領域の光の少なくとも一部を吸収する紫外線吸収剤が添加されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項7】
前記赤色用液晶パネルを収容する第1フレームと、
前記緑色用液晶パネルを収容する第2フレームと、
前記青色用液晶パネルを収容する第3フレームと
を備え、
前記第1及び第2フレームは、樹脂から形成されており、
前記第3フレームの少なくとも一部は、金属から形成されている
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項8】
前記赤色用液晶パネルは、前記第1液晶層を挟持する一対の第1基板と、前記一対の第1基板の少なくとも一方の第1基板における前記第1液晶層に対向しない側に設けられ、ガラスからなる第1防塵用基板とを有し、
前記緑色用液晶パネルは、前記第2液晶層を挟持する一対の第2基板と、前記一対の第2基板の少なくとも一方の第2基板における前記第2液晶層に対向しない側に設けられ、ガラスからなる第2防塵用基板とを有し、
前記青色用液晶パネルは、前記第3液晶層を挟持する一対の第3基板と、前記一対の第3基板の少なくとも一方の第3基板における前記第3液晶層に対向しない側に設けられ、サファイア又は水晶からなる第3防塵用基板とを有する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項9】
白色光を出射する白色光源と、前記白色光を赤色光、緑色光及び青色光に色分離する色分離手段とを有し、前記赤色光及び前記緑色光を出射する第1光源部と、
450nm以上且つ470nm以下の範囲内の所定波長を有する青色レーザー光を出射する第2光源部と、
第1液晶層を有し、前記赤色光を変調する赤色用液晶パネルと、
第2液晶層を有し、前記緑色光を変調する緑色用液晶パネルと、
第3液晶層を有し、前記青色レーザー光を変調する青色用液晶パネルと、
前記赤色用液晶パネル、前記緑色用液晶パネル及び前記青色用液晶パネルの各々から出射された変調光を合成する光合成光学系と
を備えたことを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−31545(P2009−31545A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195592(P2007−195592)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】