説明

プロスタグランジン組成物および男性勃起機能障害の処置法

【課題】勃起機能障害の処置のための組成物および方法、より特定すると、患者の舟状窩に血管拡張医薬を舟状窩内投与するための方法および医薬組成物の提供。
【解決手段】患者の舟状窩内に、勃起誘導に有効な量の半固体粘稠度のプロスタグランジンE組成物を配置する段階を含む、勃起機能障害を処置する方法を提供する。組成物は、プロスタグランジンE、浸透増強剤、多糖ガム、親油性化合物、および酸性緩衝液系を含む。浸透増強剤は、アルキル−2−(N,N−二置換アミノ)−アルカノエートエステル、(N,N−二置換アミノ)アルカノールアルカノエート、またはこれらの混合物である。親油性化合物は、脂肪族C−Cアルコール、脂肪族C−C30エステル、脂肪族C−C30エステルまたはこれらの混合物であり得る。組成物は、前記組成物に、約3から約7.4の範囲の緩衝化pH値を提供できる緩衝液系を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、勃起機能障害の処置のための組成物および方法、より特定すると、患者の舟状窩に血管拡張医薬を舟状窩内投与するための方法および医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
「インポテンス」なる語は、男性が、満足な性交を可能とするに十分な陰茎の勃起を達成および維持できないことを意味する。「勃起機能障害」なる語は、「男性が、男性の性機能の全体の多面的な過程の一部として、勃起した陰茎を達成できないことを意味すること」という、より正確な語として示唆されている。Droller,M.J.ら、インポテンス、コンセンサス開発会議のステートメント、国立衛生研究所(1993)。
【0003】
勃起機能障害は、心理的原因(心理的勃起機能障害)または器質的原因またはその両方の組合せから生じ得る。器質的原因は、生理的、神経的、血管的およびホルモン的病理またはその組合せを含む。
【0004】
勃起の正常な生理機能は、特定の筋肉を弛緩するようにシグナルを出す神経インパルスを含む。これらの筋肉は、収縮すると、陰茎の動脈中の血流を制限する。筋肉が弛緩すると、有意な血流の増加が可能となる。血流の増加は、陰茎内の3つの群の勃起組織を血液で充血し、陰茎はより縮みが少なくなる。充血した勃起組織および陰茎の筋肉構造は、隣接の静脈を抑制し、陰茎から出る血流を制限する。陰茎から出る血流の制限により、勃起は増加および持続する。
【0005】
テストステロンなどのいくつかのホルモンの欠乏、またはプロラクチンなどのその他の上昇は、勃起機能障害を引き起こし得る。多くの薬物、例えば利尿薬、抗高血圧薬、抗痙攣薬、麻酔薬、アルコール、および向精神薬は、副作用として勃起機能障害を引き起こし得る。Murray,F.T.ら、Amer.J.Medical.Sci.309:99−109(1995);非特許文献1。
【0006】
神経および血管への傷害も、勃起機能障害の器質的原因を提供し得る。疾病過程は、数個の態様を含み得る。例えば、糖尿病(これは、神経および血管の両方に傷害を引き起こす)は、勃起機能障害を引き起こし得る。全ての糖尿病男性の中のかなりの比率が、勃起機能不全に罹患しているだろう。
【0007】
勃起機能障害の処置に提案された方法は、外的装置、性的療法、内部プロテーゼの外科的インプラント、陰茎への薬物の直接的な注入、および、局所適用医薬を含んだ。これらのアプローチはどれも完全に効果がないわけではない。
【0008】
外的装置は、ターニケット(米国特許第2,818,855号;特許文献1参照)および外的に適用する真空勃起補助を含む。外的に適用する勃起補助を処置の第一選択肢と考える臨床医もいるが、該装置を使用したがらない患者もいる。O’Keefe,M.ら、Medical Clinics of North America 79:415−434(1995);非特許文献2。
【0009】
対症的な性的療法が、MastersおよびJohnsonにより初めて効果的であることが判明したが、その後の研究により、印象的な結果として示されなかった。フロイト療法は、患者には、魅力的な代替法には見えないようである。Vickers,M.A.ら、J.Urology 149:1258−1261(1993);非特許文献3。
【0010】
外科的にインプラントする機械的装置、例えば蝶番または実線の棒および膨張式でばねで駆動するか、または水圧のプロテーゼが、使用された時もあった。
【0011】
勃起を奏効および増強する薬物の投与は、LaTorreの米国特許第4,127,118号;特許文献2に教義されている。この特許は、適切な血管拡張剤、特に、アドレナリン作用遮断剤または平滑筋弛緩剤を陰茎に注射して、勃起を奏効および増強することにより、男性のインポテンスを処置する方法を教義する。
【0012】
より近年には、Vossらの米国特許第4,801,587号;特許文献3 は、インポテンスを軽減するための軟膏の適用を教義する。軟膏は、血管拡張剤のパパベリン、ヒドララジン、ニトロプルシドナトリウム、フェノキシベンザミン、またはフェントラミン、並びに、皮膚を通る主成分の吸収を支持する担体からなる。El−Rashidyの米国特許第5,256,652号;特許文献4 は、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンと共に、パパベリンなどの血管拡張剤の水性局所組成物の使用を教義する。
【0013】
プロスタグランジンEは、式:
【化3】

により示される20炭素原子の脂質酸である、プロスタン酸の誘導体であり、例えば、チノイン・ファーマソイティカル・アンド・ケミカル・ワークス社(ハンガリーのブダペスト)から「アルプロスタジルUSP」の名称で、ファルマシア&アップジョンから「カバージェクト」の名称で、および、アップジョン社(ミシガン州カラマズー)から「プロスチンVR」の名称で市販されている。
【0014】
プロスタグランジンEは、開放血管の維持に有用であり、それ故、他の病気の中でもとりわけ末梢血管疾患の処置に有用な血管拡張剤である。プロスタグランジンEを経皮送達する利点の可能性は、昔から認識されていたが、プロスタグランジン送達用の局所組成物を開発する以前の試みは、完全に成功しているわけではなかった。
【0015】
1つの市販で入手可能な形(MUSE(登録商標)、カリフォルニア州メンロパーク所在Vivus)では、アルプロスタジルを、長さが3.2cmで直径3.5mmの中空の幹を有するアプリケーターを使用して、尿道に沈着させたペレットで投与する(Padma−Nathan,H.ら、N.Engl.J.Med.336:1−7(1997);非特許文献4、特に図1参照)。Padma−Nathanらの研究の、家庭での処置部分では、MUSE(登録商標)を受けた患者の32.7%(投与の10.8%)が陰茎疼痛の不満をもち、5.1%が軽度の尿道外傷を受け、これに対し、プラセボを受けた患者ではそれぞれ3.3%および1.0%であった。これらの副作用の報告頻度は、その後の試験で変化した:MUSE(登録商標)は、投与の17−23.6%において陰茎疼痛を生じ、これに対し、プラセボでは1.7%であり、軽度の尿道出血が患者の4.8%に報告された(Peterson,C.A.ら、J.Urol.159:1523−1528(1998);非特許文献5)。欧州個体群に関する研究では、31%のMUSE(登録商標)の患者が、陰茎疼痛または灼熱感を報告し、4.8%が尿道出血を報告し、2.9%が重度の精巣疼痛を報告した(Porst,H.、Int.J.Impot.Res.9:187−192(1997);非特許文献6)。性交に十分であると考えられる少なくとも1回の勃起を有するとして定義された、MUSE(登録商標)処置に応答した患者の比率は、43%(Porst、1997;非特許文献6)、65.9%(Padma−Nathanら、1997;非特許文献4)および70.5%(Petersonら、1998;非特許文献5)であると報告されたが、刊行された編集者のコメントにより、後者の2つの試験で応答した患者の比率は、より適切には30−40%と報告されることが示唆される(Benson,G.、J.Urol.159:1527−1528(1998);非特許文献7。
【0016】
特に、パッチ、粘着片等の支持装置を用いなくても有用である、局所的な半固体の製剤を市販する業者は現在全くない。例えば、Wendelらの米国特許第5,380,760号;特許文献5 は、圧力に感受性の、ポリイソブチレンの粘着シートを含む、局所プロスタグランジン製剤に関する。
【0017】
単独では、プロスタグランジン製剤を含む、大半の薬物は、皮膚に十分に浸透せず、他の薬物送達経路から得られるのと同等な薬物濃度レベルを提供しない。この問題を克服するために、局所薬物製剤は、典型的には、皮膚浸透増強剤を含む。皮膚浸透増強剤はまた、吸収増強剤、加速剤、補助剤、溶解補助剤、吸収促進剤等とも呼ばれ得る。名称がどうであれ、該物質は、皮膚を横切る薬物の吸収を向上するように作用する。理想的な浸透増強剤は、皮膚を横切る薬物流入を増加するだけでなく、皮膚を刺激、感作、または傷つけることなく増加する。さらに、理想的な浸透増強剤は、入手可能な投与形(例えばクリームまたはゲル)の物理的品質、または、局所組成物の美容的品質にも有害な影響を及ぼさないべきである。
【0018】
多種多様の化合物が、皮膚を通る薬物の浸透速度の増強における、その効力について評価されている。例えば、経皮的浸透増強剤、Maibach H.I.およびSmith H.E.(編)、フロリダ州ボーカラトーン所在CRCプレス社(1995);非特許文献8(これは、種々の皮膚浸透増強剤の使用および試験を伝える)およびBuyuktimkinら、経皮的および局所的薬物送達システムにおける、経皮的薬物浸透増強の化学的手段、Gosh T.K.、Pfister W.R.、Yum S.I.(編)、イリノイ州バッファーロー・グローブ所在インターファームプレス社(1997);非特許文献9 参照。
【0019】
プロスタグランジンEの完全に成功した局所または経粘膜製剤は、依然として同定されておらず、市販で入手できない。残念なことに、プロスタグランジンEは、転位および他の反応により容易に変換される。この相対的な不安定性が、舟状窩内送達用の組成物を製剤化する努力を複雑化する傾向がある。
【0020】
本発明は、これらの問題に、血管拡張剤、好ましくはプロスタグランジンEを比較的迅速に持続して送達するための、半固体で、分離抵抗性で、化学的に安定な組成物を舟状窩内送達するための方法および組成物を提供することにより対処する。
【特許文献1】米国特許第2,818,855号
【特許文献2】LaTorreの米国特許第4,127,118号
【特許文献3】Vossらの米国特許第4,801,587号
【特許文献4】El−Rashidyの米国特許第5,256,652号
【特許文献5】Wendelらの米国特許第5,380,760号
【非特許文献1】Murray,F.T.ら、Amer.J.Medical.Sci.309:99−109(1995)
【非特許文献2】O’Keefe,M.ら、Medical Clinics of North America 79:415−434(1995)
【非特許文献3】Vickers,M.A.ら、J.Urology 149:1258−1261(1993)
【非特許文献4】Padma−Nathan,H.ら、N.Engl.J.Med.336:1−7(1997)
【非特許文献5】Peterson,C.A.ら、J.Urol.159:1523−1528(1998)
【非特許文献6】Porst,H.、Int.J.Impot.Res.9:187−192(1997)
【非特許文献7】Benson,G.、J.Urol.159:1527−1528(1998)
【非特許文献8】経皮的浸透増強剤、Maibach H.I.およびSmith H.E.(編)、フロリダ州ボーカラトーン所在CRCプレス社(1995)
【非特許文献9】Buyuktimkinら、経皮的および局所的薬物送達システムにおける、経皮的薬物浸透増強の化学的手段、Gosh T.K.、Pfister W.R.、Yum S.I.(編)、イリノイ州バッファーロー・グローブ所在 インターファームプレス社(1997)
【発明の開示】
【0021】
(発明の要約)
本発明は、医薬組成物を、哺乳動物の陰茎に舟状窩内適用することによる、勃
起機能障害の処置のための方法および組成物を提供する。
【0022】
本発明は、患者の舟状窩内に、勃起誘導に有効な量の半固体粘稠度のプロスタ
グランジンE組成物を配置する段階を含む、勃起機能障害を処置する方法を提
供する。組成物は、血管拡張剤、好ましくはプロスタグランジンE、浸透増強
剤、多糖ガム、親油性化合物、および酸性緩衝液系を含む。浸透増強剤は、アル
キル−2−(N,N−二置換アミノ)−アルカノエートエステル、(N,N−二
置換アミノ)アルカノールアルカノエート、またはこれらの混合物である。親油
性化合物は、脂肪族C−Cアルコール、脂肪族C−C30エステル、脂肪
族C−C30エステルまたはこれらの混合物であり得る。組成物は、前記組成
物に、約3から約7.4の範囲の緩衝化pH値を提供できる緩衝液系を含む。
【0023】
本発明の血管拡張組成物の舟状窩内、すなわち、舟状窩内配置は、陰茎の皮膚
表面上に該組成物を配置することよりも、または、尿道のより近位の「海綿体部
」部分に組成物を沈着することよりも、多くの利点を提供する。舟状窩は、半固
体医薬を受けとり保持するのに適切に適合した、自然に拡大したチャンバーであ
る。半固体医薬、例えば本発明の組成物は、窩内に配置されると、この空間の狭
い出口である道および尿道において、流れに対するより高い抵抗を有する。流れ
に対する抵抗は、経路の断面積と経路長の積に比例する。
【0024】
舟状窩の裏打ちは、ケラチン化していない層状の扁平上皮であり、よって、陰
茎の外の表面皮膚のケラチン化した上皮に比べて、増強した浸透性を与える。
【0025】
舟状窩の解剖学的限界内で終わる先端を有する短いアプリケーターの使用は、
陰茎尿道本体に数cm上に(すなわち近位)により長いアプリケーターを貫通す
るよりも、より侵襲性が低い。好ましくは、アプリケーターは、励起誘導量の半
固体プロスタグランジンE1組成物を含むリザーバーを含む。より好ましくは、
アプリケーターは1回使用の装置であり、1回投与量の半固体のプロスタグラン
ジンE組成物を含む。アプリケーターは、典型的には、以下の全部またはいく
つかの上に置かれた使用説明書と共に梱包されている;アプリケーターを含むパ
ッケージ上、パッケージ折込中、およびアプリケーター自体の外側表面上。
【0026】
舟状窩内の高いグリコーゲン含量および細菌叢は、空間内に天然により低いp
Hを提供し、よって、プロスタグランジンE1の高い溶解度を提供するより低い
pH組成物は、組織を過度に刺激することなく、より容易に耐容性を示すことが
できる。
【0027】
舟状窩また、陰茎尿道本体の隣接する海綿体部領域よりも、免疫学的に保護さ
れた部位である。従って、舟状窩の解剖学的限界内にアプリケーターの先端を配
置することにより、汚染物を、例えば、陰茎の表面から陰茎尿道本体に直接人工
的に輸送することによる、疾病に対する天然障壁を回避する危険性の減少を示す

【0028】
舟状窩内適用に適した医薬組成物は、プロスタグランジンE、浸透増強剤、
多糖ガム、親油性化合物、および酸性緩衝液系を含む。浸透増強剤は、アルキル
−2−(N,N−二置換アミノ)−アルカノエートエステル、(N,N−二置換
アミノ)アルカノールアルカノエート、またはこれらの混合物である。親油性化
合物は、脂肪族C−Cアルコール、脂肪族C−C30エステル、またはこ
れらの混合物であり得る。組成物は、前記組成物に、約3から約7.4の範囲の
緩衝化pH値を提供できる、緩衝液系を含む。所望であれば、安定化剤、保存剤
および乳化剤を含め得る。
【0029】
本発明の組成物は、舟状窩内適用に適した半固体の形をとることができる。舟
状窩内薬剤としての使用では、これらの組成物は、浪費的な過剰添加のプロスタ
グランジン濃度を必要とすることなく、比較的高いプロスタグランジン浸透およ
びバイオアベイラビリティーを示す。該組成物はさらに、局所組織の刺激、過敏
症および傷害の減少を示す。好ましい実施形態において、該組成物は、適切な1
回投与アプリケーターを使用して舟状窩に送達する。
【0030】
その他およびさらなる目標、目的、特徴、利点、実施形態等は、本明細書およ
び添付の特許請求の範囲から当業者には明らかとなろう。
【0031】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
意外にも、勃起機能障害の処置に適した半固体プロスタグランジンE組成物
を、陰茎道にすぐ近い天然の拡大空間である舟状窩に有利に配置できることが判
明した。
【0032】
舟状窩は、医薬組成物の適用に理想的に適した、限定部位を提供する。該空間
は、ケラチン化していない層状の扁平上皮により裏打ちされ、これにより、腺お
よび残りの陰茎を覆っている表面皮膚から、および、尿道本体の裏打ちの層状円
状上皮から識別される。本発明の組成物の舟状窩への投与は、意外にも、効力が
高く、局所的副作用の発生の少ないことが判明した。
【0033】
舟状窩は、医薬組成物の適用および保持に適合可能な天然空間を提供する。半
固体医薬、例えば本発明の組成物は、窩に配置された場合に、この空間の狭い出
口である道口および尿道において、流れに対するより高い抵抗を有する。従って
、適切に選択した粘度をもつ半固体医薬は、自然に窩内に保持され、血管拡張剤
などの活性物質の吸収を容易にする。
【0034】
舟状窩は、生体を感染から防御する天然防御システムの一部である。舟状窩は
、陰茎尿道本体の隣接する海綿体部領域よりも免疫学的に保護された部位である
。従って、舟状窩の解剖学的限界内に半固体医薬を沈着することは、汚染物を、
例えば、陰茎の表面から陰茎尿道本体に直接人工的に輸送することによる、疾病
に対する天然障壁を回避しない。上記したように、舟状窩は、自然に、酸性pH
を維持する細菌叢を支持する。
【0035】
図1を参照すると、ヒト陰茎の基本構造を示す。舟状窩110は、尿道口12
8へと遠位に伸び、海綿体134を通り通過する尿道部分である、尿道112の
下垂領域(尿道の「海綿体部」領域とも呼ばれる)へと近位に伸びる、男性の尿
道の管腔の天然拡大である。球部尿道114は、尿道の下垂領域に近位であり、
球海綿体筋140を通って通過する。より近位には、尿道球腺(カウパー腺)の
尿道壁の開口148を見ることができる。より近位には、尿道は、前立腺160
を通って通過し、射精管156および前立腺小室158の開口を、尿道壁に見る
ことができる。
【0036】
図2を参照すると、舟状窩110の詳細な構造を示す。外尿道口128は、舟
状窩の遠位限界である。腺の外皮膚は、近くの、遠位舟状窩の裏打ちに特徴的で
ある、グリコーゲンを含まない非ケラチン化の層状の扁平上皮184への鋭い転
移(点線)により特徴づけられる、ケラチン化した層状の扁平上皮186により
覆われている(Pudney,J.およびAnderson,D.J.(199
5)ヒト陰茎尿道の免疫生物学、Amer.J.Path.147:155−1
65)。
【0037】
舟状窩は近位で幅広く、裏打ちは、グリコーゲンを有する非ケラチン化層状扁
平上皮182に変化する。この領域のグリコーゲンは、領域のpHを下げ、感染
に対する天然防御に寄与する細菌叢を支持すると考えられている。Holste
in,A.F.ら(1991)、遠位ヒト男性尿道における異なる上皮、Cel
l Tiss.Res.264:23−32。グリコーゲンを有するこの非ケラ
チン化層状扁平上皮は、ホルモン制御下にあり、大きさはエストロゲンレベルの
増加で増加する(Holsteinら、1991、近位舟状窩は幅が狭くなり、
層状円柱上皮180により裏打ちされる。
【0038】
本発明の方法は、比較的非侵襲性のアプリケーターも提供する。勃起誘導に有
効な量のプロスタグランジンE1組成物を舟状窩内に配置するのに使用する場合
、アプリケーターの先端は、舟状窩の解剖学的限界を超えて伸長しない。好まし
くは、アプリケーターの先端は、尿道口を超えて、陰茎に、約2cm以上、より
好ましくは約2cm以上、最も好ましくは約0.5cm以上伸長しない。好まし
くは、アプリケーターは、少なくとも1つの血管拡張剤、好ましくはプロスタグ
ランジンE1組成物を含む、勃起誘導量の半固体組成物を含むリザーバーを含む
。より好ましくは、アプリケーターは、1回使用の装置であり、1回投与量の半
固体血管拡張組成物を含む。アプリケーターは、典型的には、以下の全部または
いくつかの上に置かれた使用説明書と共に梱包されている;アプリケーターを含
むパッケージ上、パッケージ折込中、およびアプリケーター自体の外側表面上。
【0039】
本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの血管拡張剤、好ましくはプロスタグ
ランジンE、アルキル(N,N−二置換アミノ)エステル、多糖ガム、親油性
化合物、および酸緩衝液系を含む。
【0040】
適切な血管作用性物質は、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、四硝酸エリ
スリチル、亜硝酸アミル、ニトロプルシドナトリウム、モルシドミン、リンシド
ミン・クロルヒドレート(「SIN−1」)、およびS−ニトロソ−N−アセチ
ル−d,l−ペニシラミン(「SNAP」)などの硝酸塩;L−アルギニンなど
のアミノ酸;フェノキシベンザミン、ジベナミン、ドキサゾシン、テラゾシン、
フェントラミン、トラゾリン、プラゾシン、トリマゾシン、アルフゾシン、タム
スロシンおよびインドラミンなどの長時間および短時間作用のα−遮断薬;血管
拡張性天然薬草組成物およびその生物活性抽出物、例えばゴシャジンキ−ガン、
Satureja ovobata、bai−hua qian−hu、lip
otab、柴朴湯、ヴィンポセチン、Gingko biloba、バコパ、G
ynostemma pentaphyllum、ジペノシド、Evodia
rutaecarpa、ルタエカルピン、デヒドロエボジアミン、タンジン、s
alviae miltiorrhizae radix、小柴胡湯、タイソウ
、ニンジン、およびその混合物(米国特許第6、007,824号);麦角アル
カロイド、例えばエルゴタミンおよびエルゴタミン類似体、例えばアセテルガミ
ン、ブラゼルゴリン、ブロメルグリド、シアネルゴリン、デロルゴトリル、ジス
レルギン、マレイン酸エルゴノビン、酒石酸エルゴタミン、エチスレルギン、レ
ルゴトリル、リセルギド、メスレルギン、メテルゴリン、メテルゴタミン、ニセ
ルゴリン、ペルゴリド、プロピセルギド、プロテルグリドおよびテルグリド;抗
高血圧剤、例えばジアゾキシド、ヒドララジンおよびミノキシジル;血管拡張剤
、例えばニモデピン、ピナシジル、シクランデレート、ジピリダモールおよびイ
ソクスプリン;クロルプロマジン;ハロペリドール;ヨヒンビン;トラゾドン;
天然プロスタグランジン、例えばPGE、PGA、PGB、PGF1α
19−ヒドロキシ−PGA、19−ヒドロキシ−PGB、PGE、PGA
、PGB、19−ヒドロキシ−PGA、19−ヒドロキシ−PGB、P
GE、PGF3α;カルボプロストトロメタミン、ジノプロストトロメタミン
、ジノプロストン、リポプロスト、ゲメプロスト、メテノプロスト、スルプロス
トンおよびチアプロストを含む、天然プロスタグランジンの半合成または合成誘
導体;および血管作用性腸ペプチドを含むがこれに限定されない。プラゾシン、
プロスタグランジンEおよびプロスタグランジンEが、本発明の方法と合わ
せて使用する特に好ましい血管作用性物質である。さらに、2つ以上の血管作用
性物質の同時投与が望ましく、いくつかの場合では、相乗作用を示し得る。プラ
ゾシンとプロスタグランジンEの組合せが、これに関して特に有益であること
が判明し;後者の薬物は、プラゾシンの浸透増強剤として作用するようであり、
すなわち、それはプラゾシンが、皮膚または粘膜組織を通り浸透し、血流に入る
速度を増加する。
【0041】
プロスタグランジンEは、当業者には公知である。その薬理活性、副作用お
よび通常の投与量範囲に関して、種々の文献を参照するだろう。例えば、米医薬
品便覧、第51版(1997)、メルクインデックス、第12版、メルク&Co
.N.J.(1996)および英薬剤師会作製の各国の医薬品集、第28版、ロ
ンドン、ファーマソイティカル・プレス(1982)参照。プロスタグランジン
並びに本明細書に参照した他の化合物は、生理的に適合性の塩およびそのエ
ステル誘導体を含む、医薬的に許容される誘導体も包含するものとする。
【0042】
本発明の医薬組成物中のプロスタグランジンEの品質は、治療有効量であり
、所望の投与量、投与形(例えば坐剤または局所)、および使用する具体的なプ
ロスタグランジンE形に応じて必然的に変化する。本明細書で総称的に使用し
たような「プロスタグランジン」なる語は、PGE、医薬的に許容される塩お
よびその低級アルキルエステルを含む、プロスタグランジン遊離酸およびその医
薬的に許容される誘導体を意味する(本明細書に使用したような「低級アルキル
」なる語は、1から4個の炭素原子を含む、直鎖または分岐鎖アルキルを意味す
る)。組成物は一般に、組成物の全重量に基づいて、0.001%から1%のプ
ロスタグランジンE、典型的には0.05%から1%のプロスタグランジンE
、好ましくは0.1%から0.5%を含む。
【0043】
本発明の重要な成分は、浸透増強剤である。浸透増強剤は、アルキル−2−(
N,N−二置換アミノ)−アルカノエート、(N,N−二置換アミノ)−アルカ
ノールアルカノエート、またはこれらの混合物である。簡便に参照すると、アル
キル−2−(N,N−二置換アミノ)−アルカノエートおよび(N,N−二置換
アミノ)−アルカノールアルカノエートを、共に、アルキル(N,N−二置換ア
ミノ)エステルのラベル下に分類できる。
【0044】
本発明に適したアルキル−2−(N,N−二置換アミノ)−アルカノエートは
、以下のように示すことができる:
【化4】

ここで、nは、約4から約18までの範囲の数値を有する整数であり;Rは、水
素、C−Cアルキル、ベンジルおよびフェニルからなる群のメンバーであり
;RおよびRは、水素およびC−Cアルキルからなる群のメンバーであ
り;そして、RおよびRは、水素、メチルおよびエチルからなる群のメンバ
ーである。
【0045】
好ましいアルキル(N,N−二置換アミノ)−アルカノエートは、C−C
アルキル(N,N−二置換アミノ)−アセテートおよびC−C18アルキル
(N,N−二置換アミノ)−プロピオネートおよび医薬的に許容される塩および
その誘導体である。具体例として、アルキル−2−(N,N−二置換アミノ)−
アルカノエートは、2−(N,Nジメチルアミノ)−プロピオン酸ドデシル(D
DAIP);
【化5】

および2−(N,N−ジメチルアミノ)−酢酸ドデシル(DDAA);
【化6】

を含む。
【0046】
アルキル−2−(N,N−二置換アミノ)−アルカノエートは既知である。例
えば、2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピオン酸ドデシル(DDAIP)
は、ステロイズ社(イリノイ州シカゴ)から入手できる。さらに、アルキル−2
−(N,N−二置換アミノ)−アルカノエートは、Wongらの米国特許第4,
980,378号(これは本明細書に参考として矛盾しない程度に取込む)に記
載のようなより容易に入手できる化合物から合成できる。それに記載のように、
アルキル−2−(N,N−二置換アミノ)−アルカノエートは、2段階合成を介
して容易に調製される。第一段階では、長鎖アルキルクロロアセテートを、トリ
エチルアミンなどの適切な塩基の存在下で、典型的にはクロロホルムなどの適切
な溶媒中、対応する長鎖アルカノールと、クロロメチルクロロホルメートまたは
その他との反応により調製する。反応は、以下のように示すことができる:
【化7】

ここで、R、R、Rおよびnは、上記のように定義する。反応温度は、摂氏
約10℃から摂氏約200℃または還流から選択し得、室温が好ましい。溶媒の
使用は任意選択である。溶媒を使用する場合、多種多様の有機溶媒を選択し得る
。塩基の選択は、同様に重要ではない。好ましい塩基は、3級アミン、例えばト
リエチルアミン、ピリジン等を踏む。反応時間は、一般に、約1時間から3日間
におよぶ。
【0047】
第二段階では、長鎖アルキルクロロアセテートを、適切なアミンと、スキーム
に従って縮合する:
【化8】

ここで、n、R、R、R、RおよびRは、前記のように定義する。過剰
のアミン反応物を、典型的には、塩基として使用し、反応を、エーテルなどの適
切な溶媒中で簡便に実施する。この第二段階は、好ましくは室温で実施するが、
温度は変更し得る。反応時間は通常、約1時間から数日間まで変化する。簡便な
精製技術を適用して、医薬化合物に使用する生じるエステルを準備できる。
【0048】
適切な(N,N−二置換アミノ)−アルカノールアルカノエートは、下記の式
により示すことができる:
【化9】

ここで、nは、約5から約18までの範囲の数値を有する整数であり;yは、0
から約5までの範囲の数値を有する整数であり;そして、R、R、R、R
、R、R、およびRは、水素、C−CアルキルおよびC−C
リールからなる群のメンバーであり;そして、Rは、水素、ヒドロキシル、C
−Cアルキル、およびC−Cアリールからなる群のメンバーである。
【0049】
好ましい(N,N−二置換アミノ)−アルカノールアルカノエートは、C
18カルボン酸エステルおよび医薬的に許容されるその塩である。例示的な具
体的な(N,N−二置換アミノ)−アルカノールアルカノエートは、1−(N,
N−ジメチルアミノ)−2−プロパノールドデカノエート(DAIPD);
【化10】

1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−プロパノールミリステート(DAIP
M);
【化11】

1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−プロパノールオレエート(DAIPO
);
【化12】

を含む。
【0050】
(N,N−二置換アミノ)−アルカノールアルカノエートは、対応するアミノ
アルキノールを、塩化ラウロイルと、トリエチルアミンの存在下で反応すること
により容易に調製される。クロロホルムなどの溶媒は任意選択であるが、好まし
い。例えば、1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−プロパノールを、塩化ラウ
ロイルと、クロロホルム中、トリエチルアミンの存在下で反応させて、1−(N
,N−ジメチルアミノ)−2−プロパノールドデカノエート(DAIPD)を形
成できる。
【0051】
本発明に適切な浸透増強剤の中で、DDAIPが一般に好ましい。
【0052】
浸透増強剤は、プロスタグランジンEの浸透を増強するに十分な量で存在す
る。具体的な量は、所望の放出速度および使用するプロスタグランジンEの具
体的な形に応じて必然的に変化する。一般に、この量は、組成物の全重量に基づ
いて、約0.5%から約10%の範囲である。好ましくは、浸透増強剤は、組成
物の約5重量%である。
【0053】
天然および修飾多糖ガムも、本発明の組成物に重要な成分である。適切な代表
的なガムは、天然および修飾ガラクトマンナンガム範疇のものである。ガラクト
マンナンガムは、D−ガラクトースおよびD−マンノース単位を含む炭水化物ポ
リマー、または該ポリマーの他の誘導体である。比較的多くのガラクトマンナン
が存在し、これは、その起源に応じてその組成が変化する。ガラクトマンナンガ
ムは、連結した(1→4)β−D−マンノピラノシル単位の線形構造により特徴
づけられる。主鎖と連結した(1→6)1つのメンバーのα−D−マンノピラノ
シル単位は、側鎖分岐として存在する。ガラクトマンナンガムは、2つのマメ科
植物(Cyamposis tetragonalobusおよびpsoral
oids)のいずれかの種子の粉砕した内胚乳であるグアールガム、および、イ
ナゴマメ木(ceratonia siliqua)の種子の内胚乳に見られる
イナゴマメガムを含む。イナゴマメガムが本発明に好ましい。
【0054】
適切な修飾多糖ガムは、天然または置換多糖ガムのエーテル、例えばカルボキ
シメチルエーテル、エチレングリコールエーテルおよびプロピレングリコールエ
ーテルを含む。例示的な置換多糖ガムはメチルセルロースである。
【0055】
他の適切な代表的なガムは、アガールガム、カラゲナンガム、ガティガム、カ
ラヤガム、ラムサンガムおよびキサンタンガムを含む。本発明の組成物は、種々
のガムの混合物、またはガムと酸性ポリマーの混合物を含み得る。
【0056】
ガムおよび特にガラクトマンナンガムは、公知の材料である。例えば、工業的
ガム:多糖およびその誘導体、Whistler R.L.およびBeMill
er J.N.(編)第3版、アカデミックプレス(1992)およびDavi
dson R.L.、水溶性ガムおよびレジンのハンドブック、McGraw−
Hill社、N.Y.(1980)参照。大半のガムは、種々の形で、一般に粉
末で入手でき、食物および局所組成物にすぐに使用できる。例えば、粉末形のイ
ナゴマメガムはTic Gum社(メリーランド州ベルカム)から入手できる。
【0057】
存在する場合、多糖ガムは、組成物の全重量に基づいて、約0.1%から約5
%の範囲で存在し、好ましい範囲は0.5%から3%である。1つの好ましい実
施形態において、2.5重量%の多糖ガムが存在する。例示的組成物は、以下の
実施例に示す。
【0058】
多糖ガムの任意選択の代替物は、ポリアクリル酸ポリマーである。ポリアクリ
ル酸ポリマーの一般的な種類は、総称的に「カルボマー」として知られている。
カルボマーは、ポリアルケニルポリエーテルと軽く架橋した、ポリアクリル酸ポ
リマーである。「カルボポール(商標)」の名称でB.F.Goodrich社
(オハイオ州アクロン)から市販で入手できる。特に好ましい種類のカルボマー
は、「カルボポール940」と称されるものである。
【0059】
本発明の実践に使用するに適した他のポリアクリル酸ポリマーは、「ペヌレン
(商標)」(B.F.Goodrich社)および「ポリカルボフィル(商標)
」(A.H.Robbins、ヴァージニア州リッチモンド所在)の名称で市販
で入手できるものである。ペヌレン(商標)ポリマーは、C10−C30アルキ
ルアクリレートのコポリマー、および、アクリル酸、メタクリル酸、またはスク
ロースのアリルエーテルまたはペンタエリトリトールのアリルエーテルと架橋し
たその簡単なエステルの1つの1つ以上のモノマーである。ポリカルボフィル(
商標)増強剤は、ジビニルアルコールと架橋したポリアクリル酸である。
【0060】
ポリアクリル酸ポリマーが存在する場合、それらは、その全重量に基づいて、
組成物の約0.5%から約5%を示す。
【0061】
本発明の別の重要な成分は、親油性化合物である。1つの実施形態において、
本明細書に使用したような親油性化合物は、親油性および親水性の両方である物
質を意味する。C−C脂肪族アルコール、C−C30脂肪族エステル、お
よびその混合物は親油性化合物として作用できる。例示的な適切なアルコールは
、エタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノールであり、一方、適切な
エステルは、酢酸エチル、酢酸ブチル、ラウリン酸エチル、プロピオン酸メチル
、ミリスチン酸イソプロピル、およびパルミチン酸イソプロピルである。本明細
書に使用したような、「脂肪族アルコール」なる語は、グリセロール、プロピレ
ングリコールおよびポリエチレングリコールなどのポリオールを含む。アルコー
ルとエステルの混合物が好ましく、特に、エタノールとラウリン酸ミリスチン酸
エチルの混合物が好ましい。
【0062】
1つの実施形態において、C−C30脂肪族エステル、および、親油性化合
物を含むその混合物は、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドおよび
その混合物からなる群から選択されたグリセロールのC−C30脂肪族エステ
ルを含む。適切な脂肪族エステルは、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸およびその混合
物のグリセリルエステルを含む。適切な飽和脂肪酸は、カプロン酸、カプリル酸
、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラ
キドン酸、ベヘン酸およびリグノセリン酸を含む。適切な不飽和脂肪酸は、オレ
イン酸、リノール酸、およびリノレン酸を含む。適切なグリセリルエステルは、
モノオレイン酸、トリオレイン酸、トリミリスチン酸、およびトリステアリン酸
グリセリル、好ましくはトリミリスチン酸グリセリルを含む。
【0063】
必要な親油性化合物の濃度は、所望の半固体粘稠度および所望の皮膚浸透促進
効果などの、他の因子に応じて変化する。適切には、親油性化合物の濃度は、組
成物の全重量に基づいて、約0.5から40重量%の範囲である。好ましい局所
組成物は、組成物の全重量に基づいて、7%から40重量%の範囲の親油性組成
物を含む。脂肪族アルコールと脂肪族エステルの混合物を使用する場合、適切な
アルコール量は、0.5%から10%の範囲である。1つの好ましい実施形態に
おいて、アルコールの量は、5%から15%の範囲であるが、脂肪族エステルの
量は、2%から15%(ここでも組成物の全重量に基づく)の範囲である。別の
好ましい実施形態において、アルコールの量は、0.5%から10%の範囲であ
り、一方、脂肪族エステルの量は、0%から10%の範囲である(ここでも組成
物の全重量に基づく)。
【0064】
任意選択ではあるが、好ましい本発明の成分は、乳化剤である。重要な因子で
はないが、適切な乳化剤は一般に、10より高い、親水性−親油性平衡を示す。
スクロースエステル、および特にステアリン酸スクロースは、本発明の局所組成
物の乳化剤として作用できる。ステアリン酸スクロースは、種々の市販の業者か
ら入手できる公知の乳化剤である。乳化剤を使用する場合、組成物の全重量に基
づいて、約2%までのステアリン酸スクロースが好ましい。好ましいステアリン
酸スクロースの乳化剤の量はまた、乳化剤と多糖ガムの重量比としても表現でき
、1:6の比が好ましく、1:4の比が、所望の半固体粘稠度および分離抵抗性
を生じるのに最も好ましい。
【0065】
ポリオキシエチレンソルビタンエステル、長鎖アルコール、好ましくはセトス
テアリルアルコール、および脂肪酸グリセリドを含む、他の乳化剤も適切である
。適切なポリオキシエチレンソルビタンエステルは、モノラウレート(Twee
n20、Span20)、モノパルミテート(Tween40)、モノステアレ
ート(Tween60)、およびモノオレエート(Tween80)およびその
混合物を含む。好ましい脂肪酸グリセリドは、モノオレイン酸、トリオレイン酸
、トリミリスチン酸およびトリステアリン酸グリセリルを含む。
【0066】
本発明は、酸緩衝液系を含む。酸緩衝液系は、組成物のpHを所望の範囲内に
維持または緩衝化するように作用する。本明細書に使用したような「緩衝液系」
または「緩衝液」なる語は、水溶液中で、pH(または水素イオン濃度または活
性)の大きな変化に対して該溶液を安定化する、溶質物質または物質群を意味す
る。上記に示した範囲における開始緩衝化pH値からのpHの変化に対する抵抗
性に関与する、溶質物質または物質群は公知である。適切な緩衝剤は数え切れな
いほどあるが、リン酸カルシウム一水和物が、本発明の組成物に効果的であるこ
とが判明した。
【0067】
本発明の医薬組成物の最終pH値は、生理的に適合性の範囲内で変化し得る。
必然的に、最終pH値は、ヒトの皮膚に刺激性ではない。この制約に違反するこ
となく、プロスタグランジンEの安定性を向上し、必要であれば稠度を調整す
るようにpHを選択し得る。1つの実施形態において、好ましいpH値は約3.
0から約7.4、より好ましくは約3.0から約6.5、最も好ましくは約3.
5から約6.0である。
【0068】
組成物の残りの成分は水であり、これは、必ず精製されている。組成物は、組
成物の全重量に基づいて、約50から約90%の範囲の水を含む。存在する水の
具体的な量は重要ではないが、他の成分の所望の稠度および/または濃度を得る
ために調整可能である。
【0069】
さらに、既知の経皮浸透増強剤も所望であれば添加できる。例は、ジメチルス
ルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMA)、2−ピロリドン、
N,N−ジエチル−m−トルアミド(DEET)、1−ドデシルアザシクロヘプ
タン−2−オン(Azone(商標)、ネルソン・リサーチの商標名)、N,N
−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、トリグリコール酸カル
シウム、オキサゾリジノン、ジオキソラン誘導体、ラウロカプラム誘導体、およ
び大環状増強剤、例えば大環状ケトンである。
【0070】
プロスタグランジンE安定化剤、着色剤、レオロジー剤、および保存剤を、
プロスタグランジンEの皮膚浸透を過度に制限しないか、または、所望の半固
体粘稠度を妨げない程度に添加できる。
【0071】
本発明の半固体医薬組成物の考えられる投与形は、クリーム、ゲル、軟膏、コ
ロイド状懸濁液等であり、また、経皮パッチおよび類似の装置に使用するに適し
た組成物も含むがこれに限定されない。
【0072】
上記に列挙した成分は、半固体製剤中に均一に分散された、プロスタグランジ
ンEを含む、安定な組成物を生じる、任意の順序および様式で配合し得る。該
組成物を調製するための1つの利用可能なアプローチは、予め混合した水/緩衝
溶液中に多糖ガム(またはポリアクリル酸)を均一に分散し、その後、得られた
混合物を十分にホモジナイズ(すなわち混合)することを含み、これを「A部」
とラベルする。存在する場合には、乳化剤を、水/緩衝溶液に加え、その後、多
糖ガムを分散する。例えば、濃縮リン酸または水酸化ナトリウムの添加によるな
どの、A部のpH値を所望のレベルまで調整する任意の適切な方法を使用し得る

【0073】
別々に、プロスタグランジンEを、撹拌しながら、親油性化合物(これ自体
、アルコール、エステル、またはエステルを含むアルコールの混合物であり得る
)に溶かす。次に、浸透増強剤を添加する。別に、親油性化合物が、アルコール
およびエステルの両方を含む場合、プロスタグランジンEを、アルコールに溶
かし、その後、浸透増強剤を添加し、その後エステルを添加できる。どちらの場
合でも、得られた混合物は、「B部」とラベルする。最終段階は、常に混合しな
がら、B部をA部にゆっくりと添加(例えば滴下)することを含む。
【0074】
得られた局所組成物は、比較した場合に、薬物を過剰添加することなくプロス
タグランジンEの浸透およびバイオアベイラビリティーの向上、皮膚傷害およ
び関連した炎症の減少、および、剤形の設計における柔軟性の向上を含む、上記
した有利な特性を示す。これらの組成物は、他の送達法に付随する低いバイオア
ベイラビリティーおよび急速な化学的分解を回避しながら、末梢血管疾患、男性
インポテンスおよびプロスタグランジンEにより処置される他の疾患の長期間
の処置に使用できる。患者の皮膚への本発明の局所組成物のプロスタグランジン
の適用により、予め決定した量のプロスタグランジンEを、連続的に患者
に投与でき、注入による、より多量の投与量の1回または複数回投与に存する望
ましくない作用を回避できる。持続した投与速度を維持することにより、患者の
標的組織でのプロスタグランジンEレベルは、最適治療範囲内に、より良好に
維持できる。
【0075】
1つの実施形態において、本発明は、組成物の重量に基づいて、約0.01%
から約5%の修飾多糖ガム;約0.001%から約1%の、PGE、医薬的に
許容されるその塩、その低級アルキルエステルおよびその混合物からなる群から
選択されたプロスタグランジン;約0.5%から約10%のDDAIPまたはそ
の塩;約0.5%から約10%の、エタノール、プロパノール、イソプロパノー
ル、およびその混合物からなる群から選択された低級アルコール;約0.5%か
ら約10%の、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸イソ
プロピルおよびその混合物からなる群から選択されたエステル;および酸緩衝液
系を含む組成物を提供する。
【0076】
所望により、組成物はまた、約5%までの乳化剤を含む。好ましくは、組成物
はまた、約2%までの乳化剤を含む。適切な乳化剤は、モノオレイン酸、トリオ
レイン酸、トリミリスチン酸およびトリステアリン酸グリセリルを含む。好まし
い乳化剤はトリミリスチンである。
【0077】
本発明の実践は、以下の実施例に実証される。これらの実施例は、本発明の範
囲を制限するものではなく、本発明を説明するものである。プロスタグランジン
の効力に有害な影響を及ぼさない処置組成物の多様性は、当業者には明らか
であり、本発明の範囲内である。例えば、着色剤、抗微生物保存剤、乳化剤、香
料、プロスタグランジンE安定化剤等などの追加の成分を、得られる組成物が
上記したような望ましい特性を保持する限り、組成物に含め得る。保存剤が、存
在する場合、通常、約0.05%から約0.30%の量で添加する。適切な保存
剤は、メチルパラベン(メチルPABA)、プロピルパラベン(プロピルPAB
A)およびブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含む。適切な香料および芳香
剤は当分野で公知であり;適切な芳香剤は、組成物の全重量に基づいて、約5%
までのミルテノール、好ましくは2%までのミルテノールである。本発明の組成
物はまた、所望であれば、少量、約0.01から約4重量%の局所麻酔薬を含む
。典型的な局所麻酔薬は、リドカイン、ジクロニン、ジブカイン、その医薬的に
許容される塩および混合物を含む。1つの好ましい実施形態において、局所麻酔
薬は、組成物の重量に基づいて、約0.5%のジクロニンを含む。
【0078】
特記しない限り、各組成物は、それぞれの指定した成分を共に簡便に混合する
ことにより調製する。
【0079】
(実施例1):局所的プロスタグランジンE組成物A
組成物Aは、以下のように調製する。A部は、0.4部のプロスタグランジン
(アルプロスタジルUSP)を、5部のエチルアルコールに溶かすことによ
り形成した。次に、5部の2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピオン酸ドデ
シルを、アルコール−プロスタグランジンE溶液に混合し、その後、5部のラ
ウリン酸エチルを混合した。
【0080】
B部は、pH5.5の水/緩衝溶液から開始して調製した。水/緩衝溶液は、
十分なリン酸カリウム一水和物を、精製水に加え、0.1Mの溶液を作製するこ
とにより調製した。水/緩衝溶液のpHは、強力な塩基性溶液(1N水酸化ナト
リウム)および強力な酸(1Nリン酸)を用いて調整した。緩衝溶液は、全組成
物の約80部を示した。
【0081】
緩衝溶液に、0.5部のラウリン酸エチルを加えた。次に、イナゴマメガム(
粉末形)を、緩衝溶液に分散し、ホモジナイザーを使用してホモジナイズした。
以下の表1は、成分のリストを含む。
【0082】
得られた組成物は、パッチおよび粘着片などの支持装置を必要することなく、
皮膚への適用に適した延ばすことの可能な半固体であった。組成物は両方共、外
見が均一であり、分離抵抗性であった。
【0083】
組成物Aは、モデル障壁として剥いだヘビの皮膚を使用して皮膚浸透について
評価した。剥いだヘビの皮膚は、カンザス大学の動物保護施設から得た。頭およ
び尾の切片を取り出し、皮膚を、無作為に、試験切片に分割し、その後、浸漬に
より水和した。
【0084】
その後、試料を、フランツ型の拡散セル(表面は1.8cm)を使用して評
価した。特に、皮膚片は、小さな磁気棒が挿入され等張緩衝液で充填された、垂
直拡散セルアセンブリの受容セルの上にのせた。シールを皮膚切片の上に置き、
その後、ドナーセルを置いた。2つのセルを共にクランプした。既知量の製剤を
、ドナーセルに正確に適合し確実に均一に分布した小さなキャップをしたバイア
ル(重量0.5g)の底に適用した。バイアルを、ドナーセルの皮膚上に置いた
。成分の蒸発を減少するために、ドナーセルおよびバイアルを、穏やかに水抵抗
性粘着バンドで共にテープでとめた。セルを、撹拌水浴(摂氏32℃)に移した
。試料を、4時間、1時間毎にセルから取り出し、プロスタグランジンE濃度
について解析し、濃度変化は、浸透した量を示す。複数の皮膚試料を用いた試験
により、平均化されたデータが得られた。
【0085】
薬物浸透の評価における剥いだヘビの皮膚の使用の考察については、Higu
chiの米国特許第4,771,004号を参照し、これは矛盾しない程度にお
いて本明細書に参考として取込む。
【0086】
プロスタグランジンEは、4時間、比較的持続した速度で素早く浸透した。
浸透試験の結果を、以下の表2および図3に提示する。
【0087】
(実施例2):局所的プロスタグランジンE組成物B
組成物Bは、以下の表1に列挙した成分を使用して調製した。組成物Bは、組
成物Aよりも多くのプロスタグランジンEを含んだ。この薬物添加の増加にも
関わらず、組成物Bは、類似した半固体粘稠度および均一な外見を示した。プロ
スタグランジンEの浸透は、実施例1に記載の技術に従って測定した。組成物
Bは、比較的速く持続したプロスタグランジンEの送達を与えた。結果を、以
下の表2および図3に提示する。
【0088】
(実施例3):局所的プロスタグランジンE組成物C
組成物Cは、以下の表1に列挙した成分を使用して調製した。組成物Bは、組
成物AまたはBよりも多くのプロスタグランジンEを含んだ。薬物添加の増加
は、稠度または外見にほとんどまたは全く影響を及ぼさず、これは、組成物Aお
よびBの稠度または外見と実質的に一致した。プロスタグランジンEの浸透は
ここでも、実施例1に記載の技術に従って測定した。この試験によると、組成物
Cも、比較的速く持続したプロスタグランジンEの送達を与えた。結果を以下
の表2および図3に提示する。
【0089】
(実施例4):局所的プロスタグランジンE組成物D
組成物Dは、以下の表1に列挙した成分を使用して調製した。プロスタグラン
ジンEのレベルはここでも、好ましい稠度および分離抵抗性に実質的に影響を
及ぼすことなく増加できる。プロスタグランジンEの浸透はここでも、実施例
1に記載の技術に従って測定した。結果を以下の表2および図3に提示する。
【0090】
(実施例5):局所的プロスタグランジンE組成物E
組成物Eは、以下の表1に列挙した成分を使用して調製した。本発明に記載の
組成物の再現性を評価するために、組成物Dのレシピをここでも、組成物Eに適
用した。再現性は、組成物Eの好ましい半固体粘稠度および分離抵抗性により実
質的に確認された。プロスタグランジンEの浸透はここでも、実施例1に記載
の技術に従って測定した。組成物EからのプロスタグランジンEの送達はここ
でも、比較的速く持続していた。結果を以下の表2および図3に提示する。
【0091】
(実施例6):局所的プロスタグランジンE組成物F
プロスタグランジンEのレベルはここでも、組成物Fでは増加した。具体的
な成分を表1に列挙する。好ましい稠度および分離抵抗性は減じていない。浸透
解析の結果を、以下の表2および図3に提示する。
【0092】
(実施例7):局所的プロスタグランジンE組成物G
組成物Gは、表1に列挙した成分を使用して調製した。組成物Gでは、組成物
Fのレシピを、エステル成分(ラウリン酸エステル)を省略し、エタノールのレ
ベルを対応する量まで増加した以外は、繰返した。得られた組成物はまた、均一
な外見および分離抵抗性を有する、延ばすことのできる半固体であった。浸透解
析の結果を以下の表2および図3に提示する。依然として好ましいが、これらの
結果は、エステル成分およびアルコール成分の両方を含む親油性化合物からの、
本発明の組成物の相対的利点を反映する。
【0093】
【表1】

(実施例8):浸透プロファイルの比較
表2は、本発明に記載の各実施例の組成物について、4時間の間、1時間毎に
浸透するプロスタグランジンEの累積量を示す。これらのデータは、本発明が
、プロスタグランジンE薬物を経皮的に送達できることを実証する。
【0094】
図3は、表1に提示したデータから作成したグラフである。グラフの形で有意
かつ十分に示されていることには、本発明に記載の組成物は、比較的速く持続し
た速度で効果的な皮膚浸透を送達する。期待されるように、累積浸透は、その起
源となる組成物へのプロスタグランジンE添加量が増加につれて増加する。
【0095】
【表2】

本発明に記載の組成物の効力をさらに評価するために、比較例の組成物を調製
した。第一の比較例(比較例1)は、DDAIP浸透増強剤を省略した以外は、
組成物DおよびEと同じレシピで調製した。第二の比較例(比較例2)では、D
DAIPをここでも省略したが、エタノールレベルは、対応する量まで増加した
。使用した具体的な成分を、以下の表3に列挙する。
【0096】
【表3】

プロスタグランジンEの浸透を、実施例1に記載の技術に従って評価した。
結果を、以下の表4に提示する。
【0097】
【表4】

表4のデータを、同じプロスタグランジンEを添加する例である組成物Dお
よびEとグラフで比較した。浸透データにより、本発明に記載の組成物は、DD
AIP浸透増強剤の存在により大きな利点が得られることが実証される。
【0098】
(実施例9)
単回使用二重盲検およびオープンラベル臨床試験
0.4%プロスタグランジンE(プロスタグランジンEまたはアルプロス
タジル)局所組成物(上記の実施例4および表1の組成物D)の安全性および効
力を、3つの試験部位で計143名の男性で評価した。この試験は、二重盲検、
プラセボ比較および交差部分およびオープンラベル部分から構成された。
【0099】
二重盲検プラセボ比較部分の試験は、64名の男性が参加し完了した(以下の
表5)。79名の男性が、オープンラベル部分の試験に参加し完了した(以下の
表5)。この試験に関する詳細な統計学的解析の結果と共に、添付の報告書に概
略を示し、臨床試験の結果の考察について以下に要約する。
【0100】
包含基準
1.21−70歳の年齢の男性を含める。
【0101】
2.以前6ヶ月の間に、心因性、神経性、または脈管形成の原因のために、性
交に十分な硬さをもつ勃起を達成および維持できないとして定義された、勃起機
能障害の病歴の報告。これは、性交に十分ないくらかの勃起は依然として有し得
るが、一貫してではない患者を含み、これは、発病年齢の軽度から中程度おイン
ポテンスの男性の典型的な訴えである。勃起機能障害の診断は、病歴および身体
検査に基づく。
【0102】
排除基準
1.尿道狭窄または閉塞の病歴
2.治験者の見解では、試験の結果に影響を及ぼし得る、心臓、肝臓および/
または腎臓機能の既存の障害(例えば、ホルモン起源の勃起機能障害における、
うっ血性心不全、不安定性狭心症または最近の急性心筋梗塞、制御されていない
糖尿病)を示す、病歴、身体検査またはスクリーニング試験からの知見の任意の
組合せ。
【0103】
3.陰茎インプラント、前立腺切除または前立腺癌、対麻痺または四肢麻痺を
含む陰茎外傷を含む、陰茎手術の病歴。
【0104】
4.鎌状赤血球貧血、多発性骨髄腫、または白血病などの、持続勃起症の素因
となり得る任意の容態。
【0105】
5.アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)以外の処置を必要とす
る、高血圧(座位の拡張期圧>90または収縮期圧>150)。
【0106】
6.身体検査により決定されるような性感染病の存在。
【0107】
7.この試験に入る以前の4週間以内の海綿体への注入または外的勃起装置の
使用。
【0108】
8.ペイロニー病または陰茎上の任意の明白な繊維性瘢痕または斑、腫脹中の
湾曲および硬直刺激の証拠、または陰茎皮膚または腺の粘膜の異常。
【0109】
9.抗うつ薬、いくつかの抗高血圧薬、鎮静剤、ホルモンおよびいくつかのア
レルギー医薬などの、性的活動を妨害することが知られる任意の併用医薬。
【0110】
10.この試験に入る30日以内に任意の調査処置を受けている。
【0111】
11.インフォームドコンセントを受けられないまたは受ける意志がない。
【0112】
この試験の患者個体群は、49−70歳の年齢範囲の男性から構成された。
【0113】
【表5】

臨床効力は、6点の分類尺度(表6)を使用して投薬前および後の両方に、患
者の病歴および患者の評価質問書から評価した。各患者は、二重盲検部分の試験
において、5から7日間の洗浄除去期間で、1回の(1)プラセボおよび1回の
(1)活性投与量を、交差様式で投与された。オープンラベル部分では、患者は
、僅か1回の(1)活性投与量を投与された。臨床的供給物は、1回投与量の容
器に梱包し、これは、各々、250mg(正味重量)のクリームおよび1.0m
gのプロスタグランジンEを含む。
【0114】
効力応答速度は、男性の合計人数の中で性交に十分な勃起を示した男性の数と
して決定した。成功と考えるには、10中8のスコアを、投与後に達成しなけれ
ばならないか、または、患者は性交を有していなければならない。
【0115】
統計学的解析を、対応t検定を使用して、応答スコアの前と後で比較した。投
与前および後の全てのスコアの間の統計学的有意差(P<0.001)が、二重
盲検部分の試験であれオープンラベル部分の試験であれ、活性な医薬を受けた患
者の各群について判明した。また、統計学的有意が、1つの試験部位あたり、活
性群およびプラセボ群の間に見られた。
【0116】
【表6】

【0117】
【表7】

局所プロスタグランジンE組成物は、中程度から重度のインポテンスを有す
るインポテンスの男性において安全かつ効力のあることが判明した。効力率は、
重度にインポテンスな男性において64.7%(102中66名の患者)であり
、軽度から中程度のインポテンスな男性において100%(41中41名の患者
)であった。試験の全体的な臨床効率は、以下の表8に示したように74.8%
(143中107名の患者)である。
【0118】
【表8】

プロスタグランジンE局所組成物は、軽度から中程度のインポテンスな患者
個体群において、極めて効果的(100%)であった。軽度から中程度のインポ
テンスの分類が最も多い分類であり、全ての勃起機能障害の訴えの70%を示す
と推定されている。製品はまた、重度にインポテンスな試験個体群でも非常に効
果的(64.7%)であった。
【0119】
プラセボ効力応答は、二重盲検部分の試験で試験した64中3名(4.7%)
の患者にのみ見られた。これは、他の臨床試験に報告されたように、約10%と
いう期待される率よりもはるかに低い。この低い率は、おそらく、二重盲検部分
の試験に登録した患者の大半(63%)が、重度のインポテンスに分類されたと
いう事実によるのだろう。64中17名(26.6%)の患者が、プラセボで改
善を示し、それらの患者の僅か3名が、効力があると評価される(分類尺度で8
または10)十分な改善を示した。
【0120】
【表9】

オープンラベル効率は、二重盲検効率よりも低かった(表9)。これは、主に
、二重盲検部分に比べて、オープンラベル部分の試験において、重度にインポテ
ンスな男性が比較的多数登録したことによるものであった。(表8)。オープン
ラベル部分の試験に登録した男性の中で、79.7%(79中63名)が、重度
にインポテンスと評価されたが、僅か60.9%(64中39名)が、二重盲検
部分に参加する時に重度にインポテンスと評価された。重度にインポテンスな個
体群の中の効率は、これらの男性がほとんどまたは全く機能を有さないという定
義により、より低いと期待される。実践的には、0、2または4から8または1
0までのインポテンス分類を移動することはより困難であると期待される。大半
の重度にインポテンスな男性は、有意な改善を示したが、36名の男性(102
中36名、35.3%)は、効力があるとして分類されるに十分な改善は示さな
かった。
【0121】
この試験で観察された副作用は、適用部位での軽度の一過性の熱傷または刺痛
であった。全身的な毒性副作用は観察されなかった。また、試験に関与したどの
配偶者も副作用を報告しなかった。どの患者も試験から逸脱しなかったか、また
は追跡し損ねることはなかった。
【0122】
(実施例10)
複数回の使用のオープンラベル臨床試験
0.4%のプロスタグランジンE局所組成物(上記の実施例4および表1の
組成物D)の安全性および効力を、3つの試験部位で、計56名の男性の追加の
試験で評価した。器質的勃起機能障害をもつ56名の男性患者が、試験に参加し
完了した。患者を、国際的な勃起機能障害係数(IIEF)および投与前性的接
触プロファイル(SEP)の対応に基づいて群に分類した。49名の患者を、軽
度から中程度の勃起機能障害を有するとして分類し、7名の患者を、重度の勃起
機能障害を有するとして分類した。各患者は、家での試験で、複数回の使用で4
週間の期間におよび、3から10回の投与量の医薬の使用を頼まれた。軽度から
中程度の群の全体的な効率は、75%であった。この試験の結果は、実施例9に
上記で報告した合わせた全体的な効率に一致した。どの患者のこの複数回使用の
試験から逸脱せず、重度の副作用も認められなかった。
【0123】
包含基準
1.21−70歳の男性を含める。
【0124】
2.以前6ヶ月の間に、心因性、神経性、または脈管形成の原因のために、性
交に十分な硬さをもつ勃起を達成および維持できないとして定義された、勃起機
能障害の病歴の報告。これは、性交に十分ないくらかの勃起は依然として有し得
るが、一貫してではない患者を含み、これは、発病年齢の軽度から中程度おイン
ポテンスの男性の典型的な訴えである。勃起機能障害の診断は、病歴および身体
検査に基づく。
【0125】
排除基準
1.尿道狭窄または閉塞の病歴
2.治験者の見解では、試験の結果に影響を及ぼし得る、心臓、肝臓および/
または腎臓機能の既存の障害(例えば、ホルモン起源の勃起機能障害における、
うっ血性心不全、不安定性狭心症または最近の急性心筋梗塞、制御されていない
糖尿病)を示す、病歴、身体検査またはスクリーニング試験からの知見の任意の
組合せ。
【0126】
3.陰茎インプラント、前立腺切除または前立腺癌、対麻痺または四肢麻痺を
含む陰茎外傷を含む、陰茎手術の病歴。
【0127】
4.鎌状赤血球貧血、多発性骨髄腫、または白血病などの、持続勃起症の素因
となり得る任意の容態。
【0128】
5.アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)以外の処置を必要とす
る、高血圧(座位の拡張期圧>90または収縮期圧>150)。
【0129】
6.身体検査により決定されるような性感染病の存在。
【0130】
7.この試験に入る以前の4週間以内の海綿体への注入または外的勃起装置の
使用。
【0131】
8.ペイロニー病または陰茎上の任意の明白な繊維性瘢痕または斑、腫脹中の
湾曲および硬直刺激の証拠、または陰茎皮膚または腺の粘膜の異常。
【0132】
9.抗うつ薬、いくつかの抗高血圧薬、鎮静剤、ホルモンおよびいくつかのア
レルギー医薬などの、性的活動を妨害することが知られる任意の併用医薬。
【0133】
10.この試験に入る30日以内に任意の調査処置を受けている。
【0134】
11.インフォームドコンセントを受けられないまたは受ける意志がない。
【0135】
この試験の患者個体群は、49−70歳の年齢範囲の男性から構成された。
【0136】
【表10】

臨床効力は、国際勃起機能係数(表11)および性的接触プロファイル(SE
P)6点分類尺度(表12)を使用して、投薬前および後の両方に、患者の病歴
および患者の評価質問表から評価した。各患者は、10回の活性投与量を受け、
家で医薬を服用し、4週間の期間におよびできるだけ多くの性交を試みることを
頼まれた。医薬は、特別に設計された1回投与量アプリケーターに梱包した。
【0137】
【表11】

【0138】
【表12】

効力応答率は、試みた性交の総数の中の、成功した性交の数として決定した。
成功と考えるには、10中8のスコアを、投与後に達成しなければならないか、
または、患者は満足な性交を有していなければならない。統計学的解析を、カイ
二乗統計を使用して、応答の前と後のスコアを比較した。投与前および後のスコ
アの間の統計学的有意差(P<0.001)が、活性な医薬を受けた患者の各群
について判明した。
【0139】
【表13】

【0140】
【表14】

以前に考察したように、プロスタグランジンE組成物は、軽度から中程度の
インポテンスの患者個体群において極めて効果的(75%)であった。軽度から
中程度のインポテンス分類が最も多い分類であり、全ての勃起機能障害の訴えの
70%を示すと推定されている。製品は、重度にインポテンスな試験個体群では
効力がより低かったが(44%)、この群における処置の前および後のスコアの
間には統計学的に有意な差があった。重度の群の全ての男性が皆、試験前に勃起
機能障害を有さないわけではなかったが、7中4名の男性(57%)は、10回
の投与中少なくとも3回により成功裡の性交を示した。
【0141】
この試験で観察された副作用は、適用部位での軽度で一過性の熱傷または刺痛
であった。全身的な毒性副作用は観察されなかった。また、試験に関与したどの
配偶者も副作用を報告しなかった。どの患者も試験から逸脱しなかったか、また
は追跡し損ねることはなかった。この臨床結果により、軽度、中程度から重度の
インポテンスの処置のための、本発明のプロスタグランジンE0.4%局所組
成物の使用が、安全かつ効果的であることが示される。
【0142】
前記の明細書は説明するものであり、制限するものとは捉えない。本発明の精
神および範囲内のさらに他の変形も可能であり、当業者は容易に考え付くだろう

【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】図1は、ヒト陰茎の縦断面図の解剖学的構造の図である。
【図2】図2は、ヒト陰茎の遠位部分の縦断面図の解剖学的詳細の図である。
【図3】図3は、本発明に従って調製した7つのプロスタグランジンE組成物の、剥いだヘビの皮膚を通る、累積的なプロスタグランジンE浸透量のグラフである。
【図4】図4は、本発明に従って調製した2つのプロスタグランジンE組成物および2つの比較組成物の、剥いだヘビの皮膚を通る、累積的なプロスタグランジンE浸透量の比較グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
勃起機能障害を、該処置の必要な患者において処置する方法であって、患者の舟状窩に、勃起誘導に有効な量のプロスタグランジンE含有プロスタグランジンE1組成物;
アルキル−2−(N,N−二置換アミノ)−アルカノエート、(N,N−二置換)アルカノールアルカノエート、医薬的に許容されるその塩およびその混合物からなる群のメンバーである皮膚浸透増強剤;
多糖ガム;
脂肪族C−Cアルコール、脂肪族C−C30エステル、およびその混合物からなる群のメンバーである、親油性化合物;
および酸性緩衝液系を適用することを含む、前記方法。
【請求項2】
適用したプロスタグランジンE1組成物の量の少なくとも50%が、舟状窩に保持されている、請求項1の方法。
【請求項3】
適用したプロスタグランジンE1組成物の量の少なくとも80%が、舟状窩に保持されている、請求項1の方法。
【請求項4】
プロスタグランジンE1組成物は、該組成物を配置する場合に、舟状窩の限界内で終わるアプリケーターを使用して舟状窩に適用する、請求項1の方法。
【請求項5】
アプリケーターは、陰茎中に1cm未満伸びている、請求項4の方法。
【請求項6】
前記浸透増強剤は、式:
【化1】

[式中、
nは、約4から約18までの範囲の数値を有する整数であり;Rは、水素、C−Cアルキル、ベンジルおよびフェニルからなる群のメンバーであり;RおよびRは、水素およびC−Cアルキルからなる群のメンバーであり;そして、RおよびRは、水素、メチルおよびエチルからなる群のメンバーである]
により示される、アルキル−2−(N,N−二置換アミノ)−アルカノエートである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記浸透増強剤は、C−C18アルキル(N,N−二置換アミノ)−アセテート、(N,N−ジメチルアミノ)−酢酸ドデシルおよび2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピオン酸ドデシルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記浸透増強剤は、式:
【化2】

[式中、
nは、約5から約18までの範囲の数値を有する整数であり;yは、0から約5までの範囲の数値を有する整数であり;そして、R、R、R、R、R、R、およびRは、水素、C−CアルキルおよびC−Cアリールからなる群のメンバーであり;そして、Rは、水素、ヒドロキシル、C−Cアルキル、およびC−Cアリールからなる群のメンバーである]
で示される、(N,N−二置換アミノ)−アルカノールアルカノエートである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記浸透増強剤は、C−C18カルボン酸エステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記浸透増強剤は、1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−プロパノールドデカノエート;
1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−プロパノールミリステート、および
1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−プロパノールオレエートから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記多糖ガムは、ガラクトマンナンガムおよび修飾ガラクトマンナンガムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ガラクトマンナンガムはイナゴマメガムである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ガラクトマンナンガムはグアールガムである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記修飾ガラクトマンナンガムは修飾グアールガムである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記親油性化合物はエタノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記親油性化合物はポリオール脂肪族アルコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記親油性化合物はミリスチン酸イソプロピルである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記親油性化合物はラウリン酸エチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記親油性化合物は、エタノールとミリスチン酸イソプロピルの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記親油性化合物は、エタノールとラウリン酸エチルの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記親油性化合物は、少なくとも1つの脂肪族C−C30エステルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記親油性化合物は、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、およびその混合物からなる群から選択された少なくとも1つのグリセリルエステルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記親油性化合物は、モノオレイン酸、トリオレイン酸、トリミリスチン酸、トリステアリン酸グリセリル、およびその混合物からなる群から選択された少なくとも1つのグリセリルエステルを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記の酸性緩衝液系は、前記組成物に、約3から約6.5の範囲の緩衝化pH値を提供できる、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記浸透増強剤は2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピオン酸ドデシルであり、前記多糖ガムはイナゴマメガムであり、前記親油性化合物は、エタノールとラウリン酸エチルの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
組成物は、組成物の全重量に基づいて、0.5から5重量%のイナゴマメガム、0.5から25重量%の2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピオン酸ドデシル、0.5から80重量%のエタノール、および0.5から80重量%のミリスチン酸イソプロピルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
組成物は、組成物の全重量に基づいて、0.5から5重量%のイナゴマメガム、0.5から5重量%の2−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピオン酸ドデシル、0.5から25重量%のエタノール、および0.5から25重量%のラウリン酸エチルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
組成物はさらに、スクロースエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、長鎖アルコール、およびグリセリルエステルからなる群から選択された乳化剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記乳化剤はステアリン酸スクロースである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記乳化剤は、モノオレイン酸、トリオレイン酸、トリミリスチン酸グリセリル、およびその混合物からなる群から選択された少なくとも1つのグリセリルエステルを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
組成物はさらに芳香剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
組成物はさらに、組成物の全重量に基づいて、約5%までのミルテノールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
組成物はさらに保存剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
組成物はさらに局所麻酔薬を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
勃起機能障害を、該処置の必要な患者において処置する方法であって、患者の舟状窩に、勃起誘導に有効な量のプロスタグランジンE含有プロスタグランジンE1組成物;
アルキル−2−(N,N−二置換アミノ)−アルカノエート、(N,N−二置換)アルカノールアルカノエート、およびその混合物からなる群のメンバーである皮膚浸透増強剤;
ポリアクリル酸ポリマー;
脂肪族C−Cアルコール、脂肪族C−C30エステル、およびその混合物からなる群のメンバーである、親油性化合物;
および酸性緩衝液系を配置することを含む、前記方法。
【請求項36】
前記ポリアクリル酸ポリマーはカルボマーである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
勃起誘導に有効な量の半固体組成物を、処置を必要とする患者の舟状窩に配置するに適したアプリケーターであって、該組成物は、
プロスタグランジンE
アルキル−2−(N,N−二置換アミノ)−アルカノエート、(N,N−二置換)アルカノールアルカノエート、医薬的に許容されるその塩およびその混合物からなる群のメンバーである皮膚浸透増強剤;
多糖ガム;
脂肪族C−Cアルコール、脂肪族C−C30エステル、およびその混合物からなる群のメンバーである、親油性化合物;
および酸性緩衝液系を含む、前記アプリケーター。
【請求項38】
組成物はさらに、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、四硝酸エリスリチル、亜硝酸アミル、ニトロプルシドナトリウム、モルシドミン、リンシドミン・クロルヒドレート、S−ニトロソ−N−アセチル−d,l−ペニシラミン、フェノキシベンザミン、ジベナミン、ドキサゾシン、テラゾシン、フェントラミン、トラゾリン、プラゾシン、トリマゾシン、アルフゾシン、タムスロシン、インドラミン、アセテルガミン、ブラゼルゴリン、ブロメルグリド、シアネルゴリン、デロルゴトリル、ジスレルギン、マレイン酸エルゴノビン、酒石酸エルゴタミン、エチスレルギン、レルゴトリル、リセルギド、メスレルギン、メテルゴリン、メテルゴタミン、ニセルゴリン、ペルゴリド、プロピセルギド、プロテルグリド、テルグリド、ジアゾキシド、ヒドララジン、ミノキシジル、ニモデピン、ピナシジル、シクランデレート、ジピリダモール、イソクスプリン、クロルプロマジン、ハロペリドール、ヨヒンビン、トラゾドン、および混合物、およびその混合物からなる群から選択された血管作用性物質を含む、請求項37のアプリケーター。
【請求項39】
修飾多糖ガム;
PGE、その医薬的に許容される塩、その低級アルキルエステルおよびその混合物からなる群から選択されるプロスタグランジン;
組成物の全重量に基づいて、約0.5%から約10%のDDAIPまたはその塩;
組成物の全重量に基づいて、約0.5%から約10%の、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびその混合物からなる群から選択される低級アルコール;
組成物の全重量に基づいて、約0.5%から約10%の、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸イソプロピルおよびその混合物からなる群から選択されるエステル;および
酸性緩衝液系を含む、舟状窩への投与に適したプロスタグランジンEを含む、プロスタグランジンE1組成物。
【請求項40】
スクロースエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、長鎖アルコール、およびグリセリルエステルからなる群から選択される乳化剤をさらに含む、請求項39の組成物。
【請求項41】
前記乳化剤はステアリン酸スクロースである、請求項40の組成物。
【請求項42】
前記乳化剤は、モノオレイン酸、トリオレイン酸、トリミリスチン酸、トリステアリン酸グリセリルおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つのグリセリルエステルを含む、請求項40の組成物。
【請求項43】
前記組成物はさらに芳香剤を含む、請求項39の組成物。
【請求項44】
前記組成物はさらに、組成物の全重量に基づいて、約5%までのミルテノールを含む、請求項39の組成物。
【請求項45】
前記組成物はさらに保存剤を含む、請求項39の組成物。
【請求項46】
前記組成物はさらに局所麻酔薬を含む、請求項39の組成物。
【請求項47】
経皮または経粘膜投与用の医薬組成物の調製における、請求項39から46のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項48】
舟状窩内投与用の医薬組成物の調製における、請求項39から46のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−302690(P2007−302690A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186380(P2007−186380)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【分割の表示】特願2001−551477(P2001−551477)の分割
【原出願日】平成13年1月10日(2001.1.10)
【出願人】(501233743)ネックスメド ホールディングス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】