説明

プロスタサイクリンアナログの固形製剤

適度な水分レベル、例えば3%を超えるが7%以下である水分レベルは、ある特定のプロスタサイクリンアナログの固形製剤にとって有益であり得る。従って、プロスタサイクリンアナログを含有する固形製剤は、保存後にその固形製剤における水分レベルが適度であり得るような量の乾燥剤と共に医薬包装物内に包装し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2009年5月7日に出願した米国仮出願番号61/176,268に対して優先権を主張し、その全体を参照として援用する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、プロスタサイクリンアナログの医薬製剤及びその保存方法、特に、プロスタサイクリンアナログの固形製剤及びその保存方法に関する。
【発明の開示】
【0003】
(発明の要旨)
1つの実施形態によれば、医薬製品は、水分レベルが3%を超え、かつ7%以下であるように維持するように構成される医薬包装物;及び該包装物内の固形製剤を含み、該製剤は式I:
【化1】


を有する活性剤、もしくはそのエナンチオマー、またはその薬学的に許容可能な塩を含有し、ここで、Rは独立して、H、置換及び未置換ベンジル基、並びにORが置換または未置換グリコールアミドエステルである基から成る群から選択され;R及びRは、同一でも異なっていても良く、独立して、H、ホスフェート、並びにOR及びORがアミノ酸またはタンパク質のエステルを形成する基から成る群から選択される。
【0004】
別の実施形態によれば、医薬製品は、(a) 医薬包装物;(b)該包装物内の固形製剤であって、ここで、該製剤は式I:
【化2】


を有する活性剤、もしくはそのエナンチオマー、またはその薬学的に許容可能な塩を含有し、ここで、Rは独立して、H、置換及び未置換ベンジル基、並びにORが置換または未置換グリコールアミドエステルである基から成る群から選択され;R及びRは、同一でも異なっていても良く、独立して、H、ホスフェート、並びにOR及びORがアミノ酸またはタンパク質のエステルを形成する基から成る群から選択される、固形製剤;及び(c)該包装物中の乾燥剤であって、ここで該包装物中の乾燥剤の量が、製剤の保存時間の間に包装物内の相対湿度レベルを40%未満に維持するのに有効な量より少ない、乾燥剤、を含む。
【0005】
別の実施形態によれば、保存方法は、医薬包装物内に固形製剤を保存することを含み、ここで該製剤は、式I:
【化3】


を有する活性剤、もしくはそのエナンチオマー、またはその薬学的に許容可能な塩を含有し、ここで、Rは独立して、H、置換及び未置換ベンジル基、並びにORが置換または未置換グリコールアミドエステルである基から成る群から選択され;R及びRは、同一でも異なっていても良く、独立して、H、ホスフェート、並びにOR及びORがアミノ酸またはタンパク質のエステルを形成する基から成る群から選択され、ここで、保存後の固形製剤中の水分レベルは、3%を超え、かつ7%以下である。
【0006】
更に別の実施形態において、保存方法は、医薬包装物内に固形製剤及び乾燥剤を保存することを含み、ここで該製剤は、式I:
【化4】


を有する活性剤、もしくはそのエナンチオマー、またはその薬学的に許容可能な塩を含有し、ここで、Rは独立して、H、置換及び未置換ベンジル基、並びにORが置換または未置換グリコールアミドエステルである基から成る群から選択され;R及びRは、同一でも異なっていても良く、独立して、H、ホスフェート、並びにOR及びORがアミノ酸またはタンパク質のエステルを形成する基から成る群から選択され、ここで、乾燥剤の量は、包装物内の相対湿度レベルを保存の間に40%未満に維持するのに有効な量より少ない。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
特に断らない限り、「a」または「an」は1つまたは複数を意味する。
典型的には、固形製剤中の医薬化合物は、保存された固形製剤中の水分レベルが可能な限り低くなるように、可能な限り低い湿度レベルで保存した場合に、より安定的であると考えられる。よって、1つ以上の医薬化合物を含む固形製剤は、典型的には、有効な量の乾燥剤(drying agent or desiccant)と共に包装されるので、この乾燥剤が包装物内の湿度レベルを低レベルに維持し、これは、例えば、全保存期間の間の保存温度に対して40%未満の相対湿度であって良い。
【0008】
本発明者は、適度な水分レベルが、ある特定のプロスタサイクリンアナログの固形製剤に対して有用であり得ることを発見した。特に、このような製剤中の適度な水分レベルにより、3%未満の水分レベルであり得る最小含水率を有する製剤と比較して、分解がより少なくなり得、及び/または好ましくない不純物がより少なくなり得る。
【0009】
従って、いくつかの実施形態において、医薬製品は、包装物内で適度な水分レベルを維持するように構成された医薬包装物、及び活性剤としてプロスタサイクリンアナログを含有する固形製剤を含み得る。活性剤として使用し得る特定のプロスタサイクリンアナログは「活性剤」の項で開示する。
【0010】
ある場合において、適度な水分レベルは、3%を超え、かつ製剤の成分を溶解するのに有効な水分レベルより少ないレベルであり得る。例えば、適度な水分レベルは、3%を超え、かつ7%以下;または3%を超え、かつ6%以下;または3%を超え、かつ5.5%以下;または3%を超え、かつ5%以下;または3%を超え、かつ4.5%以下;または3.5%以上7%以下;または3.5%以上6%以下;または3.5%以上5%以下;または3.5%以上4.5%以下であり得る。固形製剤中の水分レベルを測定する手順は、当業者に公知である。
【0011】
本発明は、医薬包装物内に保存するための固形医薬製剤の使用を可能にし、該製剤は、以下に定義するようなプロスタサイクリンアナログ、及び、医薬製品の保存時間全体の間に相対湿度を40%未満に維持するのに必要な乾燥剤の量より少ない低減された量の乾燥剤を含み得る。乾燥剤の量を低減することにより、医薬製品のコストが下がり得る。例えば、保存時間の間に保存温度に対する相対湿度を医薬包装物内で40%未満のレベルに維持するために、Xグラムの乾燥剤が必要である場合、低減された量の乾燥剤は、0.9Xグラム以下、または0.85Xグラム以下、または0.8Xグラム以下、または0.75Xグラム以下、または0.7Xグラム以下、または0.65Xグラム以下、または0.6Xグラム以下、または0.55Xグラム以下、または0.5Xグラム以下、または0.45Xグラム以下、または0.4Xグラム以下、または0.35Xグラム以下、または0.3Xグラム以下、または0.25Xグラム以下、または0.2Xグラム以下であり得る。好ましくは、低減された量の乾燥剤により、保存期間の終わりにおける固形製剤は、先に定義したような適度な水分レベルを有する。実際の乾燥剤の低減された量は、多数の要因、例えば単位包装物の容積;包装物の種類;キャップ等の包装物に適用されるシール;乾燥剤の種類;保存期間;保存条件、例えば温度及び外部相対湿度;単位包装物中の医薬製剤の量等に依存し得る。
【0012】
製品の保存期間は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、30ヶ月、36ヶ月、42ヶ月または48ヶ月であり得る。保存条件は、10〜55℃、15〜50°Cまたは15〜45℃の範囲の保存温度あるいはこれらの範囲内の任意の温度;及び20〜100%、30〜90%または40〜85%の範囲の外部相対湿度(包装物の外部の湿度)あるいはこれらの範囲内の任意の整数を含み得る。保存条件は、例えば25℃/60%の相対湿度(RH)、30℃/75%RH、及び40℃/75%RHであり得る。
【0013】
包装物は、医薬技術分野において公知の任意の医薬包装物であり得る。いくつかの実施形態において、包装物は、ボトル包装物、例えばガラス瓶やプラスチック瓶であり得る。医薬包装物用のプラスチック瓶は、ポリマー材料、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)でできた瓶であり得る。
【0014】
他のいくつかの実施形態において、包装物はブリスター包装物であり得る。ブリスター包装物は、成形成分、及び、該成形成分に対してシールまたは結合され得るカバー成分または蓋成分を含み得る。ブリスター包装物の成形成分は、固形製剤、例えば錠剤やカプセル製剤を保持するように形づくられ得る。成形成分は、金属、例えばアルミニウム、あるいはブリスター包装物用のプラスチックまたはポリマー材料、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE、ACLAR(登録商標)として販売されている)、またはポリプロピレン(PP)から構成できる。カバー成分または蓋成分は、支持材料、例えばアルミニウムを含み得、片側に配置されるシール剤、例えばヒートシール剤を有し得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、包装物は、医薬製品の保存期間中、製剤中の適度な水分レベル(先に定義した通り)を維持し得るようであって良く、保存期間は、保存条件下で1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、30ヶ月、36ヶ月、42ヶ月または48ヶ月であり得、保存条件は、10〜55℃、15〜50°Cまたは15〜45℃の範囲の保存温度あるいはこれらの範囲内の任意の温度;及び20〜100%、30〜90%または40〜85%の範囲の外部相対湿度(包装物の外部の湿度)あるいはこれらの範囲内の任意の整数を含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、a)乾燥剤の量及びb)包装物の組合せは、医薬組成物が製品の保存時間の間、保存条件下、適度な水分レベル(先に定義した通り)を有するように包装物内の湿度レベルを維持し得るような量であって良く、保存期間は、保存条件下で1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、30ヶ月、36ヶ月、42ヶ月または48ヶ月であり得、保存条件は、10〜55℃、15〜50℃または15〜45℃の範囲の保存温度あるいはこれらの範囲内の任意の温度;及び20〜100%、30〜90%または40〜85%の範囲の外部相対湿度あるいはこれらの範囲内の任意の整数を含み得る。
【0017】
乾燥剤は、医薬技術分野において使用される任意の乾燥剤であって良い。例えば、乾燥剤は、ナトリウムベントナイトやカルシウムベントナイト等のベントナイト、モレキュラーシーブ、活性炭、シリカゲル、またはそれらの任意の組合せであって好い。
【0018】
いくつかの実施形態において、医薬製品は、乾燥剤を含まないようなものでも良い。乾燥剤を含めないことにより、医薬製品のコストが下がり得る。
【0019】
固形製剤は、例えば患者に直接投与され得る錠剤やカプセル等の固形投与製剤であって良い。固形製剤はまた、錠剤やカプセル等の固形投与製剤が形成され得る粉末等の中間の形状をしていても良い。
【0020】
いくつかの実施形態において、個々の固形投与製剤の質量は、例えば10mg〜1g、または20mg〜500mg、または50mg〜400mg、またはこれらの範囲内の任意の部分範囲であって良い。例えば、機能性コーティングやカラーコーティング等のコーティングを有さない錠剤またはカプセルのコアは、約200mgの質量を有し得る。
【0021】
個々の固形投与製剤中の活性剤、例えばプロスタサイクリンアナログの質量は、様々であって良い。例えば、活性剤がトレプロスチニルジエタノールアミンである場合、個々の固形投与製剤、例えば錠剤やカプセル当たりの質量は、0.01mg〜50mg、または0.02mg〜20mg、または0.05mg〜10mg、またはこれらの範囲内の任意の部分範囲で変動できる。個々の固形投与製剤当たりのトレプロスチニルの例示的な質量は、例えば0.125mg、0.25mg、0.5mg、1mg及び2.5mgであって良く、あるいはトレプロスチニルジエタノールアミンの質量で再計算する場合、それぞれ、0.125×1.27mg、0.25×1.27mg、0.5×1.27mg、1×1.27mg及び2.5×1.27mgであって良い。
【0022】
活性剤に加え、固形製剤はまた、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤も含み得る。固形製剤中の活性剤がトレプロスチニルジエタノールアミンである場合、コア賦形剤は、マルトデキストリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム及び/またはキシリトールを含み得る。
【0023】
医薬製品は、例えば、プラスチック製の医薬製品用ボトルに入ったトレプロスチニルジエタノールアミンを含有する100錠の錠剤を含み得、ボトルは、1g未満の乾燥剤、例えばベントナイトクレーやシリカゲルを一緒に入れた45ccのHDPEボトルであり得る。このような製品の乾燥剤の量は、0.5mg以下であっても良い。製品はまた、錠剤がボトル内で移動したり砕けたりするのを防ぎ得るストッパーやホルダーを含んでも良い。このようなストッパーやホルダーは、例えば、レーヨン製のコイル等のコイルであって良い。
【0024】
固形投与製剤は、以下の「活性剤」の項で開示する活性剤を含有する粉末を圧縮することにより調製しても良い。
【0025】
活性剤に加え、粉末は、1つ以上の賦形剤、例えばトレプロスチニルジエタノールアミン用のものとして先に開示したものを含めても良い。
【0026】
固形投与製剤を形成するための粉末の質量は、様々であって良い。例えば、固形投与製剤は、10mg〜1000mgの粉末、または20mg〜500mg、または50mg〜400mg、または100mg〜300mg、または150mg〜250mg、またはこれらの範囲内の任意の整数を必要とし得る。
【0027】
粉末中の活性剤の質量濃度もまた様々であって良い。例えば、粉末中の活性剤の質量濃度は、0.02%〜3%、または0.03%〜2.5%、または0.05%〜2%であって良い。
【0028】
固形投与製剤を形成するための粉末の質量は、例えば200mgであって良い。このような固形投与製剤を調製するために、製剤中のトレプロスチニルの用量が0.125mg(0.125×1.27mgのトレプロスチニルジエタノールアミン)の場合、粉末中の活性剤の質量濃度は約0.079%であり得、用量が0.25mg(0.25×1.27mgのトレプロスチニルジエタノールアミン)の場合は約0.159%、用量が約0.5mg(0.5×1.27mgのトレプロスチニルジエタノールアミン)の場合は0.317%、用量が1mg(1×1.27mgのトレプロスチニルジエタノールアミン)の場合は約0.63%、用量が2.5mg(2.5×1.27mgのトレプロスチニルジエタノールアミン)の場合は約1.59%であり得る。
【0029】
固形投与製剤は、プレス機を用いて粉末から調製しても良い。固形状態の製剤を調製するためのプレス機は、医薬産業において一般的である。プレスする前の粉末中の水分レベルは、3%以下であって良い。プレス後、固形投与製剤は、保存するためにボトル等の医薬包装物の中に入れても良い。固形投与製剤に加え、乾燥剤も医薬包装物内に入れて良い。いくつかの実施形態において、入れる乾燥剤の量は、製剤の保存時間の間に医薬包装物内で湿度レベルを40%未満に維持するのに必要な有効な量より少なくて良く、保存期間は1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、30ヶ月、36ヶ月、42ヶ月または48ヶ月であり得る。例えば、入れる乾燥剤の量は、製剤の保存時間の間に医薬包装物内で相対湿度レベルを40%未満に維持するのに必要である有効な量の最大で90%、または最大で85%、または最大で80%、または最大で75%、または最大で70%、または最大で65%、または最大で60%、または最大で55%、または最大で50%、または最大で45%、または最大で40%、または最大で35%、または最大で30%、または最大で25%、または最大で20%であって良い。いくつかの実施形態において、入れる乾燥剤の量は、保存期間の終了時点において、製剤が先に定義したような適度な水分レベルを有するような量であって良い。
【0030】
保存期間後、固形投与製剤は、包装物から出して被験体、例えばヒトに投与することができる。
【0031】
活性剤
いくつかの実施形態において、活性剤は、式I:
【化5】


の化合物、該化合物のエナンチオマー及び該化合物の薬学的に許容可能な塩であってよく、ここで、Rは独立して、H、置換及び未置換ベンジル基、並びにORが置換または未置換グリコールアミドエステルである基から成る群から選択され;R及びRは、同一でも異なっていても良く、独立して、H、ホスフェート、並びにOR及びORがアミノ酸またはタンパク質のエステルを形成する基から成る群から選択される。
【0032】
いくつかの実施形態において、ORは置換または未置換グリコールアミドエステルであり、Rは−CHCONRであり、R及びRは同一でも異なっていても良く、独立して、H、OH、置換及び未置換アルキル基、−(CHCH、−CHOH並びに−CH(CHOH(但し、mが0、1、2、3または4であり、かつnが0、1、2、3または4である)から成る群から選択される。
【0033】
当業者であれば容易に認識するであろうが、構成要素が、マーカッシュ・グループ等の一般的な様式において、あるいは上述のまたは後に述べる構造I及びIIのRについてのグループにおいて1つにまとめられる場合、本発明は、列挙されるグループを全体として包含するのみならず、そのグループ内の個々のメンバー及び主要なグループのうちの可能性ある全ての部分的グループをも包含する。従って、事実上、本発明はメイングループのみならず、グループのメンバーが1つ以上欠けているメイングループをも包含する。また、本発明は、特許請求される発明におけるグループのメンバーのうちの1つ以上の任意のものが明確に除外されることも想定している。例えば、Rは、H、置換及び未置換ベンジル基、またはORが置換または未置換グリコールアミドエステルである基を具体的に除外し得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、Rは置換または未置換ベンジル基、例えば−CH、−CHNO、−CHOCH、−CHCl、−CH(NO、または−CHFである。ベンジル基は、オルト置換、メタ置換、パラ置換、オルト/パラ置換、及びそれらの組合せで置換され得る。芳香環上の好適な置換基の例は、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、−NO基、R16がHまたはC−Cアルキル基である−OR16基、及びそれらの組合せを含む。
【0035】
あるいは、Rが−CHCONRである場合、R及びRは同一でも異なっていても良く、独立して、H、OH、−CH及び−CHCHOHから成る群から選択される。RがHではない化合物においては、一般的にR及びRのうちの一方または双方がHである。
【0036】
いくつかの実施形態においては、R及びRのうちの一方または双方がHであり、Rが−CHCONRであり、R及びRのうちの一方または双方がH、−OH、−CHまたは−CHCHOHである。
【0037】
及びRのうちの一方または双方がHではない化合物においては、R及びRは、独立してホスフェート、並びにOR及びORがアミノ酸のエステル、ジペプチド、トリペプチドのエステル、及びテトラペプチドのエステルである基から選択され得る。いくつかの実施形態においては、R及びRのうちの一方のみがホスフェート基である。R及びRのうちの少なくとも一方がHではない化合物においては、一般的にRはHである。更なる実施形態においては、R及びRのうちの一方がHであり、構造Iの化合物は、R及びRのうちの一方のみにおいて誘導体化される。特定の化合物においては、RはHであり、Rは上述のように定義される。更なる実施形態において、R及びRはHであり、RはORがアミノ酸またはジペプチドのエステルである基である。更なる実施形態において、R及びRはHであり、RはORがアミノ酸またはジペプチドのエステルである基である。
【0038】
OR及びOR基のうちの一方または双方が、アミノ酸のエステルあるいはペプチド、すなわちジペプチド、トリペプチドまたはテトラペプチドのエステルを形成する場合、これらは一般的に−COCHRNRと表され得、ここで、Rはアミノ酸側鎖から成る群から選択され、R及びRは同一でも異なっていても良く、独立して、H及び−COCHRNR1011から成る群から選択される。一般的に、アミノ酸またはペプチドに言及している場合、天然に存在するアミノ酸またはペプチド(すなわち、L−異性体)を指す。しかし、本発明の化合物及び方法はそれらに限定されず、L−アミノ酸のいくつかまたは全てがD−異性体アミノ酸残基と置き換わっても良い。同様に、D−異性体とL−異性体の混合物を使用しても良い。アミノ酸がプロリンである実施形態においては、RはRと共にピロリジン環構造を形成する。Rは任意の天然に存在するアミノ酸側鎖、例えば以下のものであって良い:−CH(アラニン)、−(CHNHCNHNH(アルギニン)、−CHCONH(アスパラギン)、−CHCOOH(アスパラギン酸)、−CHSH(システイン)、−(CHCONH(グルタミン)、−(CHCOOH(グルタミン酸)、−H(グリシン)、−CHCHCHCH(イソロイシン)、−CHCH(CH(ロイシン)、−(CHNH(リジン)、−(CHSCH(メチオニン)、−CHPh(フェニルアラニン)、−CHOH(セリン)、−CHOHCH(トレオニン)、−CH(CH(バリン)、
【化6】

−(CHNHCONH(シトルリン)または−(CHNH(オルニチン)。Phはフェニル基を示す。
【0039】
上記化合物において、R及びRは同一でも異なっていても良く、H及び−COCHRNR1011から成る群から選択され、ここで、Rはアミノ酸側鎖であり、R10及びR11は同一でも異なっていても良く、H及び−COCHR12NR1314から成る群から選択され、ここで、R12はアミノ酸側鎖であり、R13及びR14は同一でも異なっていても良く、独立して、H及び−COCHR15NHから成る群から選択される。当業者であれば気づくであろうが、ペプチド鎖は、以下のスキームにより所望の長さまで伸長でき、所望のアミノ酸残基を含む。
【0040】
OR及びOR基のうちの一方または双方が、ペプチド、例えばジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド等のエステルを形成する実施形態において、ペプチドは、ホモペプチド、すなわち同じアミノ酸の繰り返しであるもの、例えばアルギニル−アルギニンであっても、あるいはヘテロペプチド、すなわち異なるアミノ酸の組合せから成るものであっても良い。ヘテロジペプチドの例は、アラニル−グルタミン、グリシル−グルタミン、リシル−アルギニン等を含む。
【0041】
当業者であれば理解するであろうが、R及びRのうちの一方のみがジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド等における更なるアミノ酸へのペプチド結合を含む場合、得られるペプチド鎖は直鎖となる。R及びRの双方がペプチド結合を含む場合、ペプチドは分岐鎖となり得る。
【0042】
本発明の化合物の更なる別の実施形態において、RはHであり、R及びRのうちの一方はホスフェート基またはHであり、R及びRのうちの他方はORまたはORがアミノ酸のエステル、例えばグリシンまたはアラニンのエステルである基である。
【0043】
これらの化合物の薬学的に許容可能な塩及びこれらの化合物の医薬製剤も提供される。
【0044】
式Iの化合物、及びそうした化合物を製造するための方法が、例えば米国特許第7,384,978号、第7,417,070号及び第7,544,713号明細書並びに国際公開第2005/007081号に開示されている。
【0045】
いくつかの実施形態において、活性剤は、以下の構造を有する(+)トレプロスチニルであり得る:
【化7】

【0046】
トレプロスチニルは、プロスタサイクリンの化学的に安定したアナログであり、強力な血管拡張剤及び血小板凝集阻害剤である。トレプロスチニルのナトリウム塩、(1R,2R,3aS,9aS)−[[2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−[(3S)−3−ヒドロキシオクチル]−1H−ベンズ[f]インデン−5−イル]オキシ]酢酸モノナトリウム塩は、Remodulin(登録商標)(リモジュリン)の名で注射用溶液として販売されており、肺高血圧の治療用として食品医薬品局(FDA)の認可を受けている。
【0047】
トレプロスチニルは、米国特許第4,306,075号明細書に最初に記載された。米国特許第5,153,222号明細書は、肺高血圧の治療のためのトレプロスチニルの使用を開示している。米国特許第5,234,953号明細書は、トレプロスチニルを用いた鬱血性心不全の治療を開示している。米国特許第6,765,117号及び第6,809,223号明細書は、トレプロスチニルの合成のための立体選択的方法を開示している。米国特許第6,521,212号及び第6,756,033号明細書は、肺高血圧、末梢血管疾患及びその他の疾患又は状態を治療するための吸入によるトレプロスチニルの投与を記載している。米国特許第6,054,486号明細書は、トレプロスチニルを用いた末梢血管疾患の治療を開示している。米国特許第6,803,386号明細書は、癌、例えば肺癌、肝臓癌、脳腫瘍、膵臓癌、腎臓癌、前立腺癌、乳癌、結腸癌及び頭頸部癌を治療するためのトレプロスチニルの投与を開示している。米国特許出願公開第2005/0165111号明細書は、虚血性病変のトレプロスチニルによる治療を開示している。米国特許第7,199,157号明細書は、トレプロスチニルによる治療が腎臓機能を改善することを開示している。米国特許出願公開第2005/0282903号明細書は、糖尿病性神経障害に伴う足部潰瘍のトレプロスチニルによる治療を開示している。米国特許出願公開第2008/0280986号明細書は、トレプロスチニルを用いた間質性肺疾患の治療を開示している。米国特許出願公開第2008/0200449号明細書は、定量吸入器を通じたトレプロスチニルの投与を開示している。米国特許出願公開第2009/0163738号明細書は、トレプロスチニルを調製する代替的な方法を開示している。
【0048】
いくつかの実施形態において、活性剤は(−)−トレプロスチニル、(+)−トレプロスチニルのエナンチオマーであって良い。
【0049】
いくつかの実施形態において、活性剤はトレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩であって良い。
【0050】
好ましい実施形態において、活性剤はトレプロスチニルのジエタノールアミン塩であって良い。トレプロスチニルのジエタノールアミン塩は、非晶質状態または結晶状態にあって良い。結晶状態において、トレプロスチニルのジエタノールアミン塩は、2つの形態、A及びBを有する2つの多形体を有して良く、これは米国特許第7,384,978号、第7,417,070号及び第7,544,713号明細書に開示されている。2つの形態のうち、Bが好ましい。よって、本発明の特に好ましい実施形態は、トレプロスチニルジエタノールアミンの形態Bであり得る。
【0051】
プロスタサイクリンアナログ、例えば式Iの化合物は、血管拡張の促進、血小板凝集及び血栓形成の阻害、血栓溶解の促進、細胞増殖(血管リモデリングを含む)の阻害、細胞保護作用の提供、アテローム発生の予防並びに血管形成の誘導において使用できる。このようなプロスタサイクリン様メカニズムを通じ、式Iの化合物は、肺高血圧、虚血性疾患(例えば末梢血管疾患、レイノー現象、強皮症、心筋虚血、虚血性脳梗塞、腎不全)、心不全(鬱血性心不全を含む)、抗凝血が必要な疾患(例えば心筋梗塞後、心臓手術後)、血栓性微小血管症、体外循環、網膜中心静脈閉塞症、アテローム性動脈硬化症、炎症性疾患(例えば慢性閉塞性肺疾患、乾癬)、高血圧(例えば子癇前症)、生殖及び出産、癌またはその他の細胞増殖が調節されない疾患、細胞/組織保存、並びにプロスタサイクリンによる治療が有益な役割を有すると思われるその他の新たな治療領域における治療/処置において使用できる。これらの化合物はまた、その他の心血管作動薬(例えばカルシウムチャネル遮断薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、内皮拮抗薬、抗血小板薬)との組み合わせにより相加的または相乗的な利益を実証し得る。
【0052】
本発明は、以下の実施例によってより詳しく説明され得るが、本発明はそれらに限定されないことを理解するべきである。
【実施例】
【0053】
トレプロスチニルジエタノールアミンの1mgの錠剤について安定性試験を行った。錠剤を、45ccの白色のHDPEボトルに乾燥剤と共に入れるか、またはACLAR(登録商標)UltRx3000(3.00ミルのクロロトリフルオロエチレン(CTFE)ホモポリマー)のフィルムを用いてブリスター包装した。温度40℃及び相対湿度75%(40C/75%RH)の環境下で、乾燥剤入りボトルまたはブリスター包装物内で錠剤を保存した。乾燥剤入りボトルで保存した錠剤及びブリスター包装物で保存した錠剤の双方における不純物のレベルを、3ヶ月及び6ヶ月で測定した。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
表1中の同定された不純物は以下の通りである:RRT 0.29はベンジルヒドロキシトレプロスチニル;RRT 0.37は現在のところ不明;RRT 0.48はトレプロスチニルのキシリトールエステル;RRT 0.55はトレプロスチニルのキシリトールエステル;UT-15 BHEAは対イオンを有するトレプロスチニルのアミド;RRT 0.70はトレプロスチニルのキシリトールエステル;RRT 0.72はトレプロスチニルのキシリトールエステル;3AU90はトレプロスチニルの異性体;UT-15 CPKはトレプロスチニルのシクロペンチルケトン;UT-15 SCKはトレプロスチニルの側鎖ケトン;750W93はトレプロスチニルのエステル二量体;及び751W93はトレプロスチニルの3−ヒドロキシ二量体。
【0056】
ブリスターフィルムの方がボトルよりも水分に対して透過性があったが、驚いたことに、ブリスター包装物内に保存した錠剤の方が、ボトルに保存した錠剤よりも不純物のレベルが低かったことがわかった。この結果は驚くべきものである。何故ならば、水分への暴露を最小限にして固形製剤中の活性成分の分解を最小限にするために製剤科学者が利用する従来の手法に反するものであるからである。
【0057】
トレプロスチニルジエタノールアミンの1mgの錠剤について更なる安定性試験を行った。錠剤は、45ccの白色のHDPEボトルに乾燥剤と共に、または乾燥剤無しで入れるか、あるいはACLAR(登録商標)UltRx3000(3.00ミルのクロロトリフルオロエチレン(CTFE)ホモポリマー)のフィルムを用いてブリスター包装した。温度40℃及び相対湿度75%(40C/75%RH)の環境下で、乾燥剤入りまたは乾燥剤無しのボトルあるいはブリスター包装物内で錠剤を保存した。乾燥剤入りボトルが、錠剤の水分への暴露の量が最も少なく、次いで乾燥剤無しのボトルが少なく、錠剤にとって最も水分の多い環境はブリスター包装物である。各包装条件における1ヶ月及び3ヶ月での錠剤の水分レベルを測定した。水分レベルが増加するにつれ、特に3%を超えると、不純物レベルが個別でも全体でも減少している。表2を参照されたい。この結果は驚くべきものであり、直観的なことに反している。何故ならば、典型的には、固形の剤型では、水分レベルを最小限にすることが推奨されているからである。
【0058】
【表2−1】

【表2−2】

【0059】
表3は、40C/75%RHで1gの乾燥剤を含めた安定性について静置した1mgのロットの安定性のデータを示す。表3は水分レベルも示す。表4は、40C/75%RHで乾燥剤を含まずに安定性について静置した1mgのロットの安定性のデータを示す。各時点での水分レベルも示す。水分レベルが、乾燥剤無しでは時間と共にゆっくりと増加し、乾燥剤有りではずっと少ない程度であることがわかる。不純物プロファイルは、乾燥剤無しの方が良いようである。方法及び臨床ロット番号の欄は除外しても良い。
【0060】
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【0061】
【表4−1】

【表4−2】

【0062】
以上では、特に好ましい実施形態について言及しているが、本発明はそれに限定されないことが理解されるであろう。開示された実施形態に多様な変更を加えることができること、そしてそのような変更が本発明の範囲内であることが意図されることに、当業者は気づくであろう。
【0063】
本明細書において引用された全ての刊行物、特許出願及び特許は、その全体を引用することにより本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬包装物、及び該包装物内の固形製剤を含む医薬製品であって、該製剤は式I:
【化8】


を有する活性剤、もしくはそのエナンチオマー、またはその薬学的に許容可能な塩を含有し、ここで、
は独立して、H、置換及び未置換ベンジル基、並びにORが置換または未置換グリコールアミドエステルである基から成る群から選択され;
及びRは、同一でも異なっていても良く、独立して、H、ホスフェート、並びにOR及びORがアミノ酸またはタンパク質のエステルを形成する基から成る群から選択され、
ここで、該包装物は、固形製剤中の水分レベルが3%を超え、かつ7%以下であるように維持するように構成される、医薬製品。
【請求項2】
前記活性剤がトレプロスチニル、またはトレプロスチニルのエナンチオマー、またはトレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の医薬製品。
【請求項3】
前記活性剤がトレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩である、請求項2に記載の医薬製品。
【請求項4】
前記活性剤がトレプロスチニルジエタノールアミンである、請求項3に記載の医薬製品。
【請求項5】
前記製剤が少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を更に含有する、請求項1に記載の医薬製品。
【請求項6】
前記少なくとも1つの賦形剤がマルトデキストリン及びキシリトールのうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の医薬製品。
【請求項7】
前記包装物が、3.5%以上6%以下の水分レベルを維持するように構成される、請求項1に記載の医薬製品。
【請求項8】
前記包装物が、3.5%以上4.5%以下の水分レベルを維持するように構成される、請求項1に記載の医薬製品。
【請求項9】
前記包装物がボトル包装物である、請求項1に記載の医薬製品。
【請求項10】
前記包装物がブリスター包装物である、請求項1に記載の医薬製品。
【請求項11】
前記包装物が乾燥剤を含まない、請求項1に記載の医薬製品。
【請求項12】
(a) 医薬包装物;
(b) 該包装物内の固形製剤であって、ここで、該製剤は式I:
【化9】


を有する活性剤、もしくはそのエナンチオマー、またはその薬学的に許容可能な塩を含有し、ここで、
は独立して、H、置換及び未置換ベンジル基、並びにORが置換または未置換グリコールアミドエステルである基から成る群から選択され、
及びRは、同一でも異なっていても良く、独立して、H、ホスフェート、並びにOR及びORがアミノ酸またはタンパク質のエステルを形成する基から成る群から選択される、固形製剤;及び
(c) 該包装物内の乾燥剤であって、ここで該包装物中の乾燥剤の量が、製剤の保存時間の間に包装物内で相対湿度レベルを40%未満に維持するのに有効な量より少ない、乾燥剤、
を含む医薬製品。
【請求項13】
前記活性剤がトレプロスチニル、トレプロスチニルのエナンチオマー、またはトレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩である、請求項12に記載の医薬製品。
【請求項14】
前記活性剤がトレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩である、請求項13に記載の医薬製品。
【請求項15】
前記活性剤がトレプロスチニルジエタノールアミンである、請求項14に記載の医薬製品。
【請求項16】
前記製剤が少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を更に含有する、請求項12に記載の医薬製品。
【請求項17】
前記少なくとも1つの賦形剤がマルトデキストリン及びキシリトールのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の医薬製品。
【請求項18】
容器がボトルである、請求項12に記載の医薬製品。
【請求項19】
前記容器中の乾燥剤の量が、容器中の湿度のレベルを24ヶ月間40%未満に維持するのに有効な量より少ない、請求項12に記載の医薬製品。
【請求項20】
前記容器中の乾燥剤の量が、容器中の湿度のレベルを24ヶ月間40%未満に維持するのに有効な量の1/2以下の量である、請求項19に記載の医薬製品。
【請求項21】
医薬包装物内に固形製剤を保存することを含む保存方法であって、ここで該製剤は、式I:
【化10】


を有する活性剤、もしくはそのエナンチオマー、またはその薬学的に許容可能な塩を含有し、ここで、
は独立して、H、置換及び未置換ベンジル基、並びにORが置換または未置換グリコールアミドエステルである基から成る群から選択され;
及びRは、同一でも異なっていても良く、独立して、H、ホスフェート、並びにOR及びORがアミノ酸またはタンパク質のエステルを形成する基から成る群から選択され、
ここで、保存後の固形製剤中の水分レベルが3%を超え、かつ7%以下である、保存方法。
【請求項22】
前記活性剤がトレプロスチニル、トレプロスチニルのエナンチオマー、またはトレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩である、請求項21に記載の保存方法。
【請求項23】
前記活性剤がトレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩である、請求項22に記載の保存方法。
【請求項24】
前記活性剤がトレプロスチニルジエタノールアミンである、請求項23に記載の保存方法。
【請求項25】
前記製剤が少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を更に含有する、請求項21に記載の保存方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つの賦形剤がマルトデキストリン及びキシリトールのうちの少なくとも1つを含む、請求項25に記載の保存方法。
【請求項27】
保存後の固形製剤中の水分レベルが3.5%以上6%以下である、請求項21に記載の保存方法。
【請求項28】
保存後の固形製剤中の水分レベルが3.5%以上4.5%以下である、請求項21に記載の保存方法。
【請求項29】
保存が少なくとも12ヶ月続く、請求項21に記載の保存方法。
【請求項30】
保存が少なくとも24ヶ月続く、請求項21に記載の保存方法。
【請求項31】
前記固形製剤が乾燥剤と共に前記包装物内に保存され、ここで、乾燥剤の量が、保存の間に包装物内で湿度レベルを40%未満に維持するのに有効な量より少ない、請求項21に記載の保存方法。
【請求項32】
前記包装物がボトル包装物である、請求項21に記載の保存方法。
【請求項33】
前記包装物がブリスター包装物である、請求項21に記載の保存方法。
【請求項34】
医薬包装物内に固形製剤及び乾燥剤を保存することを含む保存方法であって、ここで該製剤は、式I:
【化11】


を有する活性剤、もしくはそのエナンチオマー、またはその薬学的に許容可能な塩を含有し、ここで、
は独立して、H、置換及び未置換ベンジル基、並びにORが置換または未置換グリコールアミドエステルである基から成る群から選択され;
及びRは、同一でも異なっていても良く、独立して、H、ホスフェート、並びにOR及びORがアミノ酸またはタンパク質のエステルを形成する基から成る群から選択され、
ここで、乾燥剤の量が、保存の間に包装物内で相対湿度レベルを40%未満に維持するのに有効な量より少ない、保存方法。
【請求項35】
前記活性剤がトレプロスチニル、トレプロスチニルのエナンチオマー、またはトレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩である、請求項34に記載の保存方法。
【請求項36】
前記活性剤がトレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩である、請求項35に記載の保存方法。
【請求項37】
前記活性剤がトレプロスチニルジエタノールアミンである、請求項36に記載の保存方法。
【請求項38】
前記製剤が少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を更に含有する、請求項34に記載の保存方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの賦形剤がマルトデキストリン及びキシリトールのうちの少なくとも1つを含む、請求項38に記載の保存方法。
【請求項40】
保存後の固形製剤中の水分レベルが3.5%以上6%以下である、請求項34に記載の保存方法。
【請求項41】
保存後の固形製剤中の水分レベルが3.5%以上4.5%以下である、請求項34に記載の保存方法。
【請求項42】
保存が少なくとも12ヶ月続く、請求項34に記載の保存方法。
【請求項43】
保存が少なくとも24ヶ月続く、請求項34に記載の保存方法。
【請求項44】
前記包装物がボトル包装物である、請求項34に記載の保存方法。
【請求項45】
前記包装物がブリスター包装物である、請求項34に記載の保存方法。

【公表番号】特表2012−526140(P2012−526140A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509968(P2012−509968)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/033852
【国際公開番号】WO2010/129757
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511266520)ユナイテッド セラピューティクス コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】