説明

プロタンパク質およびその使用方法

本開示は、プロタンパク質および活性化可能プロタンパク質組成物を提供する。プロタンパク質は、機能性タンパク質のその標的または結合パートナーへの結合を阻害するペプチドマスクにカップリングされている機能性タンパク質(すなわち全長タンパク質またはその機能性フラグメント)を含有する。活性化可能プロタンパク質は、ペプチドマスクにカップリングされ、活性化可能リンカーにさらにカップリングされている機能性タンパク質を含有し、非活性化状態において、ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその標的または結合パートナーへの結合を阻害し、活性化状態において、ペプチドマスクは機能性タンパク質のその標的または結合パートナーへの結合を阻害しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年2月23日に出願された米国仮特許出願第61/154,730号の利益を主張し、この米国仮特許出願の全体は本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
タンパク質ベース療法は医療の様相を変え、多種多様の異なる疾患に用途を見出している。しかしいずれの療法とも同様に、標的に対する特異性および選択性の改善への要求および要望は、非常に興味を引くものである。
【0003】
小型分子薬の領域において、活性のある化学的実体のプロドラッグを提供する戦略が開発されてきた。このようなプロドラッグは、比較的不活性な(または著しく活性が低い)形で投与される。いったん投与されると、プロドラッグはインビボで活性化合物へと代謝される。このようなプロドラッグ戦略は、その目的とする標的に対する薬物の選択性の向上および有害作用の低減を提供することができる。低酸素癌細胞を標的とするために使用される薬剤は、酸化還元活性化の使用を介して、低酸素細胞中に存在する大量の還元酵素を利用して薬剤をその細胞傷害型に変換し、薬剤を本質的に活性化する。プロドラッグはこの活性化の前には低い細胞傷害性を有するため、非癌性細胞に対する損傷のリスクに顕著な低下があり、それにより薬剤に関連する副作用の低減がもたらされる。当分野において、とりわけ公知の標的を有する第2世代のタンパク質薬であって、それらが結合する公知の標的を有する第2世代のタンパク質薬の開発における、プロドラッグの特色をタンパク質ベースの治療薬に与える戦略への要求がある。疾患部位へのターゲティングの向上により、全身機構に基づく毒性を低減させて、より広い治療有用性をもたらすことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、プロタンパク質および活性化可能プロタンパク質組成物を提供する。
【0005】
一態様において、本開示は抗体または抗体フラグメントではない機能性タンパク質を含む組成物を提供し、該機能性タンパク質は、(i)機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害し、(ii)結合パートナーのアミノ酸配列を有さない、ペプチドマスク(peptide mask)にカップリングされている。1実施形態において、機能性タンパク質は、(i)未切断状態では、ペプチドマスクが機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害し、(ii)切断状態では、ペプチドマスクが機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害しないように、切断されることが可能である切断可能なリンカーにさらにカップリングされている。1実施形態において、切断可能なリンカーは、酵素によって特異的に切断されることが可能であり、還元剤によって還元されることが可能であり、または光分解されることが可能である。1実施形態において、切断可能なリンカーは酵素により、少なくとも5×10−1Sの速度にて特異的に切断されることができる。
【0006】
別の実施形態において、ペプチドマスクは組換え発現されている。1実施形態において、ペプチドマスクは、機能性タンパク質にとって固有のものである。
【0007】
別の実施形態において、ペプチドマスクは、機能性タンパク質からいったんアンカップリングされると、治療効果を有する。
【0008】
1実施形態において、ペプチドマスクは、長さが8〜15アミノ酸である。
【0009】
1実施形態において、ペプチドマスクは、その結合パートナーに対して50%未満のアミノ酸配列相同性を有する。
【0010】
1実施形態において、ペプチドマスクは、50%未満の遺伝的にコードされていないアミノ酸を含有する。関連する実施形態において、遺伝的にコードされていないアミノ酸は、D−アミノ酸、β−アミノ酸、またはγ−アミノ酸である。
【0011】
1実施形態において、機能性タンパク質は、全長タンパク質、全長タンパク質の機能性フラグメント、球状タンパク質、繊維状タンパク質、またはマルチマータンパク質である。詳細な実施形態において、機能性タンパク質はリガンドである。関連する実施形態において、リガンドはインターフェロンタンパク質であり、I型インターフェロン、II型インターフェロン、およびIII型インターフェロンから成る群より選択されるか、またはIFN−α、IFN−β、IFN−ωおよびIFN−γから成る群より選択される。詳細な実施形態において、インターフェロンタンパク質はIFN−αである。詳細な実施形態において、IFN−αタンパク質は2a、2b、およびcon1から成る群より選択される。関連する実施形態において、結合パートナーはインターフェロンタンパク質の受容体である。このような実施形態において、インターフェロンタンパク質の受容体は、IFNAR、IFNAR1、IFNAR2、IFNGR、およびIFNLR1から成る群より選択される。関連する実施形態において、ペプチドマスクは、表3に示す配列から選択された配列または少なくともその90%の相同性を有する配列を含有する。詳細な実施形態において、ペプチドマスクはコンセンサス配列TDVDYYREWXXXXXXXXを含有する。
【0012】
別の実施形態において、機能性タンパク質は可溶性膜タンパク質またはその機能性フラグメントである。別の実施形態において、機能性タンパク質は、可溶性受容体またはそのフラグメントである。関連する実施形態において、機能性タンパク質は、受容体タンパク質の細胞外ドメインまたはそのフラクションである。詳細な実施形態において、ペプチドマスクは可溶性受容体のそのリガンドへの結合を阻害し、またはペプチドマスクは受容体のリガンド結合ドメインを阻害する。さらに詳細な実施形態において、受容体はNotchであり、Notch1、Notch2、Notch3およびNotch4から成る群より選択することができる。関連する実施形態において、Notchリガンドは、DLL1、DLL3、DLL4、Jagged1、およびJagged2から成る群より選択される。詳細な実施形態において、ペプチドマスクは、表14に示す配列から選択された配列または少なくともその90%の相同性を有する配列を含有する。
【0013】
他の実施形態において、切断可能なリンカーは、表2の基質から選択された酵素の基質である。関連する実施形態において、切断可能なリンカーは、マトリプターゼ、プラスミン、MMP−9、uPA、HCV−NS3/4、PSA、およびレグマインから成る群より選択された酵素の基質であり、または特異的にはマトリプターゼもしくはHCV−NS3/4の基質である。1実施形態において、マトリプターゼ基質のコンセンサス配列はXXQAR(A/V)XまたはAGPRを含む。別の実施形態において、HCV−NS3/4基質のコンセンサス配列はDEXXXC(A/S)またはDLXXXT(A/S)を含む。別の実施形態において、MMP−9基質の配列はVHMPLGFLGPを含む。別の実施形態において、プラスミン基質の配列はQGPMFKSLWDを含む。
【0014】
別の実施形態において、組成物は免疫グロブリンのFc領域をさらに含有する。
【0015】
また別の実施形態において、ペプチドマスクの機能性タンパク質へのカップリングは非共有結合である。
【0016】
いくつかの実施形態において、ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合をアロステリックに阻害する。他の実施形態において、ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を立体的に阻害する。
【0017】
大半の実施形態において、ペプチドマスクの機能性タンパク質への結合親和性は、結合パートナーの機能性タンパク質への結合親和性よりも低い。詳細な実施形態において、ペプチドマスクの機能性タンパク質に対する解離定数(K)は、機能性タンパク質のその結合パートナーに対するKの少なくとも100倍高い。さらに詳細な実施形態において、ペプチドマスクの機能性タンパク質に対するKは、約5nMよりも低い。
【0018】
別の実施形態において、組成物が切断可能なリンカーを切断することができる酵素の存在下にないとき、組成物が切断可能なリンカーを切断することができる酵素の存在下にあり、ペプチドマスクが機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害しないときと比較した場合に、ペプチドマスクは機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を少なくとも90%阻害する。
【0019】
別の態様において、本開示は薬学的組成物を提供し、前記薬学的組成物は、抗体または抗体フラグメントでない機能性タンパク質であって、(i)機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害し、(ii)結合パートナーのアミノ酸配列を有さないペプチドマスクにカップリングされている機能性タンパク質を含む、治療的有効量の組成物および薬学的に許容され得る賦形剤を含む。本薬学的組成物の詳細な1実施形態において、機能性タンパク質は、(i)未切断状態では、ペプチドマスクが機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害し、(ii)切断状態では、ペプチドマスクが機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害しないように、切断されることが可能である切断可能なリンカーにさらにカップリングされる。
【0020】
別の態様において、本開示は、抗体または抗体フラグメントでない機能性タンパク質であって、(i)機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害し、(ii)結合パートナーのアミノ酸配列を有さないペプチドマスクにカップリングされている機能性タンパク質を含む、治療的有効量の組成物および薬学的に許容され得る賦形剤を含む薬学的組成物が投与される、疾患または障害を処置する方法も提供する。本方法の詳細な1実施形態において、機能性タンパク質は、(i)未切断状態では、ペプチドマスクが機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害し、(ii)切断状態において、ペプチドマスクが機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害しないように、切断されることが可能である切断可能なリンカーにさらにカップリングされる。詳細な実施形態において、疾患または障害は癌である。別の詳細な実施形態において、疾患または障害は、C型肝炎感染または肝細胞癌などの肝臓病態である。また別の詳細な実施形態において、疾患または障害は新脈管形成である。
【0021】
別の態様において、本開示は、複製可能な生物学的実体(biological entity)の表面に提示された、複数の活性化可能機能性タンパク質の候補を含むライブラリを提供する。1実施形態において、機能性タンパク質は、インターフェロンまたは可溶性Notch受容体タンパク質である。
【0022】
別の態様において、本開示は、複製可能な生物学的実体のゲノム中に、ペプチドマスクをそれぞれコードする組換えDNA構築物のコレクションを導入して、前記導入が複製可能な組換え生物学的実体を産生することと;前記複製可能な組換え生物学的実体を候補ペプチドマスクの発現および提示に好適な条件下で培養することとを含む、候補ペプチドマスクのライブラリを作製する方法を提供する。関連する実施形態において、候補ペプチドマスクは、インターフェロンタンパク質または可溶性Notch受容体を結合する能力についてスクリーニングされる。詳細な実施形態において、インターフェロンタンパク質はプロ−IFN−αである。
【0023】
別の態様において、本開示はペプチドマスクのスクリーニング方法を提供し、前記方法は、複数の候補ペプチドマスクを機能性タンパク質と接触させる工程と;メンバのうちの第1の集団を機能性タンパク質によってスクリーニングする工程とを含み;前記方法はペプチドマスクの選択を提供する。1実施形態において、候補ペプチドマスクは、インターフェロンタンパク質または可溶性Notch受容体を結合する能力についてスクリーニングされる。詳細な実施形態において、インターフェロンタンパク質はプロ−IFN−αである。
【0024】
別の態様において、本開示は、ペプチドマスクにカップリングされた活性化可能機能性タンパク質のスクリーニング方法を提供し、前記方法は、候補の活性化可能タンパク質の複数を、機能性タンパク質を結合することが可能な結合パートナーおよび活性化可能タンパク質の切断可能なリンカーを切断することが可能な酵素と接触させる工程と;酵素の存在下で前記結合パートナーに結合する前記複数のメンバのうちの第1の集団をスクリーニングする工程と;酵素の非存在下で前記第1の集団を結合パートナーと接触させる工程と;前記第1の集団を消耗させることによって、前記第1の集団から、メンバのうちの第2の集団を、酵素の非存在下で結合パートナーを結合するメンバについてスクリーニングする工程を含み、前記方法は、酵素の存在下で結合する結合パートナーと比較して、酵素の非存在下でその結合パートナーへの結合の低下を呈する活性化可能機能性タンパク質の候補の選択を提供する。1実施形態において、候補ペプチドマスクは、インターフェロンタンパク質または可溶性Notch受容体を結合する能力についてスクリーニングされる。詳細な1実施形態において、インターフェロンタンパク質はプロ−IFN−αである。
【0025】
別の態様において、本開示は、ペプチドマスクにそれぞれカップリングされた活性化可能機能性タンパク質の候補のライブラリを作製する方法を提供し、前記方法は、複製可能な生物学的実体のゲノム中に、複数の活性化可能機能性タンパク質の候補をコードする組換えDNA構築物のコレクションを導入して、前記導入が複製可能な組換え生物学的実体を産生する工程と;前記複製可能な組換え生物学的実体を、活性化可能機能性タンパク質の候補の発現および提示に好適な条件下で培養する工程とを含む。1実施形態において、活性化可能機能性タンパク質の候補はそのカップリングされたペプチドマスクの配列が異なる。詳細な実施形態において、機能性タンパク質はインターフェロンまたは可溶性Notch受容体タンパク質である。
【0026】
別の態様において、本開示は、ペプチドにカップリングされた活性化可能機能性タンパク質のスクリーニング方法を提供し、前記方法は、候補の活性化可能タンパク質の複数を、機能性タンパク質を結合することが可能な結合パートナーおよび活性化可能タンパク質の切断可能なリンカーを切断することが可能な酵素と接触させる工程と;酵素の存在下で前記結合パートナーに結合する前記複数のメンバのうちの第1の集団をスクリーニングする工程と;酵素の非存在下で前記第1の集団を結合パートナーと接触させる工程と;前記第1の集団を消耗させることによって、前記第1の集団から、メンバのうちの第2の集団を、酵素の非存在下で結合パートナーを結合するメンバについてスクリーニングする工程を含み;前記方法は、酵素の存在下で結合する結合パートナーと比較して、酵素の非存在下でその結合パートナーへの結合の低下を呈する活性化可能機能性タンパク質の候補の選択を提供する。1実施形態において、機能性タンパク質は、インターフェロンまたは可溶性Notch受容体タンパク質である。
【0027】
別の態様において,本開示は、機能性タンパク質およびペプチドマスクであって、機能性タンパク質の、その結合パートナーを結合する能力を阻害することができるペプチドマスクをコードするベクターを提供する。1実施形態において、機能性タンパク質は、インターフェロンタンパク質または可溶性Notch受容体タンパク質である。
【0028】
詳細な1態様において、本開示は、マトリプターゼによる切断が可能な基質を含む改変IFN−αタンパク質を提供する。
【0029】
別の詳細な態様において、本開示は、HCV−NS3/4による切断が可能な基質を含む改変IFN−αタンパク質を提供する。
【0030】
別の詳細な態様において、本開示は、マトリクスメタロプロテイナーゼによる切断が可能な基質を含む改変可溶性Notch受容体タンパク質を提供する。
【0031】
別の詳細な態様において、本開示は、プラスミンによる切断が可能な基質を含む改変可溶性Notch受容体タンパク質を提供する。
【0032】
別の詳細な態様において、本開示は、レグマインによる切断が可能な基質を含む改変可溶性Notch受容体タンパク質を提供する。
【0033】
別の詳細な態様において、本開示は、uPAによる切断が可能な基質を含む改変可溶性Notch受容体タンパク質を提供する。
【0034】
別の詳細な態様において、本開示は、PSAによる切断が可能な基質を含む改変可溶性Notch受容体タンパク質を提供する。
【0035】
別の態様において、本開示は、ペプチドマスクおよび切断可能なリンカーにカップリングされた機能性タンパク質を含む、改善された生物学的利用能を有するC型肝炎処置のためのタンパク質治療薬を提供し、該タンパク質治療薬のその標的に対する結合親和性は、非肝臓組織におけるタンパク質治療薬のその標的への結合と比較したときに、肝臓組織においてより高く、標的は両方の組織に存在する。1実施形態において、切断可能なリンカーは、マトリプターゼまたはHCV NS3/4酵素に特異的な基質を含む。
参照による組み入れ
本明細書で言及するすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願がそれぞれ特異的におよび個別に参照により組み入れられることが指摘されたのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み入れられている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の新規の特色は、添付請求項で詳細に述べられている。本発明の特色および利点は、本発明の原理が利用されている例証的な実施形態について述べる以下の詳細な説明、および以下の添付図面を参照することによって、より良く理解されるであろう。
【図1】図1は、例示的なマスクされた活性化可能折畳みプロタンパク質を図示する。この図は、特異的なおよび固有のペプチドマスクとの相互作用のために、パートナーを結合することができないタンパク質を提示する。
【図2】図2は、FACSによってアッセイされたような、マスクとして使用するためのIFN−α結合ペプチドの濃縮を表す。
【図3】図3は、MMP−9による処置前後の、2つのプロ−IFN−α分子であるプロ−IFN−α−47およびプロ−IFN−α−49CSの結合を表す。
【図4】図4は、ヒトNotch 1 EGF様ドメイン11−13への結合のための個々のクローンの試験を表す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
プロタンパク質:概説および一般的な特色
本開示はプロタンパク質を提供する。
【0038】
本明細書に記載するプロタンパク質組成物は、ペプチドマスクにカップリングされた全長タンパク質または全長タンパク質の機能性フラグメント(本明細書では集団的に「機能性タンパク質」と呼ばれる)を含有する。ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーまたは標的(結合パートナーおよび標的は本明細書では互換的に使用される)の結合を阻害することができる。ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を立体的にまたはアロステリックに阻害することができる。概して、機能性タンパク質は、ペプチドマスクの存在および/または位置に基づいて、その結合パートナーに対する2つの別個の結合レベルを表示する。
【0039】
機能性タンパク質がペプチドマスクにカップリングされていて、その結合パートナーの存在下にあるとき、機能性タンパク質のその結合パートナーへの特異的結合は、機能性タンパク質のペプチドマスクにカップリングされていないその結合パートナーへの特異的結合と比較して、低減または阻害することができる。
【0040】
機能性タンパク質は、全長タンパク質またはその機能性フラグメントであり、機能性活性または生理学的活性(たとえばインビボまたはインビトロ)、たとえば標的または結合パートナーへの結合親和性、シグナル伝達経路を生じる能力などを有し、酵素活性などを有する。機能性タンパク質フラグメントも機能性活性または生理学的活性(たとえばインビボまたはインビトロ)を有する。このような活性はたとえば、全長タンパク質の関連生物活性、すなわち結合、ターゲティング、シグナル伝達、特定のシグナル伝達カスケードの誘発、特定の経路の調節などの保持であることができる。
【0041】
1実施形態において、機能性タンパク質は、抗体または抗体フラグメントではない。
【0042】
本発明の機能性タンパク質は、天然型または非天然型であることができる。
【0043】
本発明のプロタンパク質または機能性タンパク質は、翻訳後修飾することができる。
【0044】
機能性タンパク質は、球状、繊維状、またはマルチマーであることができる。
【0045】
機能性タンパク質はリガンド、たとえば細胞外リガンド、たとえばインターフェロンタンパク質、またはさらに特異的にたとえばIFN−α全長タンパク質、IFN−β全長タンパク質、IFN−γ全長タンパク質、またはIFN−ω全長タンパク質などであることができる。
【0046】
機能性タンパク質は可溶性膜タンパク質、たとえば可溶性受容体、たとえば可溶性Notch受容体、たとえばNotch1、Notch2、Notch3、またはNotch4受容体であることができる。
【0047】
機能性タンパク質は細胞内に取り込まれることができるか、または細胞外にとどまることができる。
【0048】
本発明のプロタンパク質は、天然型アミノ酸もしくは非天然型アミノ酸、またはその両方を含有することができる。本発明のプロタンパク質は、L−アミノ酸、D−アミノ酸、または両方の混合物を含有することができる。詳細な実施形態において、本発明の機能性タンパク質は、天然型もしくは非天然型アミノ酸、または両方を含有するペプチドマスクにカップリングすることができる。
【0049】
本発明のプロタンパク質は、天然型全長タンパク質または機能性タンパク質フラグメントの突然変異体を含有することができる。すなわち、機能性タンパク質は天然型タンパク質のミュータントであることができる。
【0050】
本発明のプロタンパク質は合成的に産生することができる。
【0051】
本発明のプロタンパク質は組換え発現、および精製することができる。
【0052】
本開示は、活性化可能プロタンパク質もさらに提供する。
【0053】
活性化可能プロタンパク質は、ペプチドマスクにカップリングされ、活性化可能部分(または活性化可能リンカー、たとえば切断可能なリンカー)にさらにカップリングされた機能性タンパク質またはその機能性フラグメントを含み、未切断状態では、ペプチドマスクはタンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害し、切断された状況では、ペプチドマスクはタンパク質の結合パートナーへの結合を阻害しない。
【0054】
活性化可能プロタンパク質組成物の活性化可能部分または活性化可能リンカーは、活性化されると、機能性タンパク質に関連して、ペプチドマスクの配座を変更することができる。活性化可能リンカーを活性化することによって、機能性タンパク質はその結合パートナーまたは標的に対して異なる結合親和性を有することができる。
【0055】
いくつかの例において、活性化可能リンカーは、酵素、プロテアーゼ、またはぺプチダーゼによって特異的に切断することができる基質を含有する、切断可能なリンカーである。他の例において、活性化可能リンカーは還元剤によって還元可能である。また他の例において、活性化可能リンカーは、光分解によって活性化することができる、光感受性基質である。本明細書で使用する場合、切断は、酵素、還元剤、または光分解による活性化を示すために互換的に使用される。
【0056】
活性化可能プロタンパク質の概略図を図1に与える。例証されている通り、未切断状態(または比較的不活性な状態)において、ペプチドマスクによるタンパク質のマスキングのために、タンパク質のその標的結合パートナーへの結合が阻害されるように、活性化可能プロタンパク質の要素が配置される。
【0057】
活性化可能とは、プロタンパク質が未変性または非活性化状態にある場合の結合パートナーに対する第1の結合レベル(すなわち第1の配座)、および活性化状態における結合パートナーに対する第2の結合レベル(すなわち第2の配座)を呈して、第2の結合レベルが第1の結合レベルよりも高いことを意味する。概して、結合パートナーの機能性タンパク質へのアクセスは、活性化可能リンカーを活性化することができる酵素/還元剤/光の存在下で、このような酵素/還元剤/光の非存在下よりも良好である。それゆえ非活性化または未切断状態では、タンパク質は標的結合からマスクされ(すなわち第1の配座は、ペプチドマスクが結合パートナーのタンパク質へのアクセスを阻害するようである)、および活性化状態では、タンパク質は結合パートナーに対してアンマスクされる。
【0058】
機能性タンパク質がペプチドマスクおよび活性化可能部分の両方にカップリングされ、活性化可能部分を活性化するのに十分な酵素/還元酵素/光の存在下ではなく、その結合パートナーの存在下にあるとき、機能性タンパク質のその結合パートナーへの特異的結合は、活性化可能部分を活性化するのに十分な酵素/還元酵素/光の存在下での機能性タンパク質のその結合パートナーへの特異的結合と比較して、阻害される。
【0059】
プロタンパク質は、その結合パートナーとの結合が阻害されない場合、非処置部位における機能性タンパク質の結合からさもなければ生じることがある、毒性および/または有害副作用の低減を提供することができる。プロタンパク質は、改善された生体内分布特徴を提供することができる。マスクされたタンパク質を含有するプロタンパク質は、対応するアンマスクされたタンパク質よりも長い、インビボまたは血清半減期を提示することができる。
【0060】
概して、プロタンパク質は、興味のあるタンパク質の全長または機能性フラグメントを選択することと、プロタンパク質の残りを構築することとによって設計され得るので、配座的に制約されたときに、ペプチドマスクはタンパク質の結合部位のマスキングを立体的またはアロステリックに提供することができる。マスキング特色を提供するために、構造設計基準を考慮に入れることができる。好ましくは、プロタンパク質は遺伝的にコードされて組換え発現されるが、合成的に産生することもできる。
【0061】
切断対未切断配座において標的結合の所望のダイナミックレンジの活性化可能表現形を呈する、プロタンパク質が提供される。ダイナミックレンジは概して、(a)第1の条件セットの下で検出されたパラメータのレベルの、(b)第2の条件セットの下で検出されたそのパラメータの値に対する比を指す。たとえばプロタンパク質の状況では、ダイナミックレンジは、(a)プロタンパク質の切断可能なリンカーを切断することができるプロテアーゼなどの酵素の存在下での、プロタンパク質への標的タンパク質結合の検出レベルの、(b)そのプロテアーゼの非存在下でのプロタンパク質への標的タンパク質結合の検出レベルの比を指す。プロタンパク質のダイナミックレンジは、プロタンパク質切断剤(たとえば酵素)処置の平衡解離定数の、プロタンパク質切断剤処置の平衡解離定数に対する比として計算することができる。プロタンパク質のダイナミックレンジが大きくなればなるほど、プロタンパク質の活性化可能表現型が良好になる。比較的より高いダイナミックレンジ値(たとえば1、2、3、4、5を超えるまたはそれ以上)を有するプロタンパク質は、プロタンパク質による標的タンパク質結合が、プロタンパク質の切断可能なリンカーを切断することができる切断剤(たとえば酵素)の存在下で、切断剤の非存在下よりも高い程度まで発生する(たとえば主に発生する)ように、さらに所望の活性化表現型を呈する。
【0062】
活性化可能プロタンパク質は、多種多様の構造配置で提供することができる。プロタンパク質の例示的な式を下で与える。機能性タンパク質、ペプチドマスク、および切断可能なリンカーのN→C末端の順序がプロタンパク質内で反転され得ることは、特異的に熟慮される。また、たとえば切断可能なリンカーがペプチドマスク内に含有されるように、切断可能なリンカーおよびペプチドマスクがアミノ酸配列において重複され得ることは、特異的に熟慮される。
【0063】
たとえばプロタンパク質は、以下の式によって(アミノ(N)末端領域からカルボキシル(C)末端領域の順序で)表現することができる。
(ペプチドマスク)−(リンカー)−(機能性タンパク質)
(機能性タンパク質)−(リンカー)−(ペプチドマスク)
(ペプチドマスク)−(活性化可能リンカー)−(機能性タンパク質)
(機能性タンパク質)−(活性化可能リンカー)−(ペプチドマスク)
ペプチドマスクおよび切断可能なリンカーは上の式で別個の構成要素として指摘されないが、本明細書で開示されるすべての例示的な実施形態において、たとえば切断可能なリンカーがペプチドマスク内に完全にまたは部分的に含有されるように、ペプチドマスクおよび切断可能なリンカーのアミノ酸配列が重複可能であることが熟慮されることに注目すべきである。加えて上の式は、プロタンパク質要素のN末端側またはC末端側に位置決めされ得る追加のアミノ酸配列を提供する。
【0064】
多くの実施形態において、1個以上のリンカー、たとえば可撓性リンカーをプロタンパク質構築物中に挿入して、ペプチドマスク−活性化可能/切断可能なリンカー接合点、活性化可能/切断可能なリンカー−タンパク質接合点、または両方のうち1つ以上において可撓性を提供することが所望であり得る。たとえば機能性タンパク質、ペプチドマスク、および/または活性化可能/切断可能なリンカーは、所望の可撓性を提供するのに十分な数のアミノ酸残基(たとえばGly、Ser、Asp、Asn、とりわけGlyおよびSer、特にGly)を含有し得ない。リンカーは、天然型である、または天然型でないアミノ酸のストレッチを含み得る。そのため、このようなプロタンパク質構築物の活性化可能表現型は、可撓性リンカーを提供するための1つ以上のアミノ酸の導入から利益を得ることがある。
【0065】
例示的な可撓性リンカーは、グリシンポリマー(G)、グリシン−セリンポリマー(たとえば(GS)、(GSGGS)および(GGGS)を含む、式中、nは少なくとも1の整数である)、グリシン−アラニンポリマー、アラニン−セリンポリマー、および当分野で公知の他の可撓性リンカーを含む。グリシンおよびグリシン−セリンポリマーは比較的構造化されておらず、したがって構成要素間の中立的なテザーとしての役割を果たすことが可能であり得る。グリシンは、アラニンよりもなお著しく広いφ−ψ空間にアクセスし、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限されない(Scheraga,Rev.Computational Chem.11173−142(1992)を参照)。例示的な可撓性リンカーは、これに限定されるわけではないが、Gly−Gly−Ser−Gly、Gly−Gly−Ser−Gly−Gly、Gly−Ser−Gly−Ser−Gly、Gly−Ser−Gly−Gly−Gly、Gly−Gly−Gly−Ser−Gly、Gly−Ser−Ser−Ser−Glyなどを含む。望ましいプロタンパク質構造を提供するために、リンカーが可撓性リンカーならびにより可撓性の低い構造を与える1つ以上の部分(portion)を含むことができるように、プロタンパク質の設計が全部または部分的に可撓性であるリンカーを含むことができることが当業者によって認識されよう。
【0066】
プロタンパク質での使用に好適なリンカーは一般に、マスクされた配座を促進するためにプロタンパク質の可撓性を提供するリンカーである。このようなリンカーは一般に、可撓性リンカーと呼ばれる。好適なリンカーはただちに選択することができ、4アミノ酸〜10アミノ酸、5アミノ酸〜9アミノ酸、6アミノ酸〜8アミノ酸、または7アミノ酸〜8アミノ酸を含む、1アミノ酸(たとえばGly)〜20アミノ酸、2アミノ酸〜15アミノ酸、3アミノ酸〜12アミノ酸などの異なる長さであることができ、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20アミノ酸であり得る。
【0067】
たとえばこれらの任意の可撓性リンカーを含有するプロタンパク質は、以下の式によって表現することができる(アミノ(N)末端領域からカルボキシル(C)末端領域の順序で)
(ペプチドマスク)−(任意の可撓性リンカー)−(活性化可能リンカー)−(任意の可撓性リンカー)−(機能性タンパク質)
(機能性タンパク質)−(任意の可撓性リンカー)−(活性化可能リンカー)−(任意の可撓性リンカー)−(ペプチドマスク)
上記の要素に加えて、プロタンパク質は、追加の要素または特別の特色、たとえば追加の治療部分、興味のある細胞または組織への送達を容易にするターゲティング部分、プロタンパク質の局在化を促進する標的受容体へ直接結合する部分、たとえばプロタンパク質の血清半減期を延長する免疫グロブリンのFc領域などにカップリングすることができる。
【0068】
たとえばこれらの任意の追加の要素または特色を含有するプロタンパク質は、以下の式によって(アミノ(N)末端領域からカルボキシル(C)末端領域の順序で)表現することができる。
(細胞取り込みのターゲティング部分)−(ペプチドマスク)−(活性化可能リンカー)−(機能性タンパク質)
(機能性タンパク質)−(活性化可能リンカー)−(ペプチドマスク)−(細胞取り込みのターゲティング部分)
(Fc)−(ペプチドマスク)−(活性化可能リンカー)−(機能性タンパク質)(機能性タンパク質)−(活性化可能リンカー)−(ペプチドマスク)−(Fc)
ペプチドマスクにカップリングされているときの、機能性タンパク質のその結合パートナーに対する解離定数(K)は、ペプチドマスクにカップリングされていないときの、機能性タンパク質のその結合パートナーに対するKよりも大きい。反対に、ペプチドマスクにカップリングされているときの、機能性タンパク質のその結合パートナーに対する結合親和性は、ペプチドマスクにカップリングされていないときの、機能性タンパク質のその結合パートナーに対する結合親和性よりも低い。
【0069】
ペプチドマスクの機能性タンパク質に対するKは一般に、機能性タンパク質のその結合パートナーに対するKよりも大きい。反対に、ペプチドマスクの機能性タンパク質に対する結合親和性は一般に、機能性タンパク質のその結合パートナーに対する結合親和性よりも低い。
【0070】
ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害することができる。ペプチドマスクは、機能性タンパク質の結合ドメインを結合して、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害することができる。ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を立体的に妨害する。ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合をアロステリックに阻害することができる。これらの実施形態において、機能性タンパク質が改変されるか、またはペプチドマスクにカップリングされ、結合パートナーの存在下にあるとき、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合は、ペプチドマスクにカップリングされていない機能性タンパク質と比較して、全くないか、または実質的にない。これはインビボでまたは本明細書に記載するような免疫吸着(immunoabsorbant)アッセイである、マスク効率アッセイによりインビトロで測定することができる。
【0071】
機能性タンパク質がペプチドマスクにカップリングされているとき、ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの特異的結合を「マスク」もしくは低減、または阻害することができる。機能性タンパク質がペプチドマスクにカップリングされているとき、このようなカップリングまたは改変は、機能性タンパク質がその結合パートナーに特異的に結合する能力を低減または阻害する構造的変化を生じることができる。
【0072】
本開示はさらに、ペプチドマスクされた機能性タンパク質の使用方法、スクリーニング方法、および作製方法を提供する。
【0073】
本明細書で提供するプロタンパク質組成物の構成要素は、以下でより詳細に記載されている。
【0074】
機能性タンパク質および結合パートナー
本開示は、機能性タンパク質の結合パートナーまたは標的への相互作用を阻害するペプチドマスクにカップリングされた、全長タンパク質または機能性タンパク質フラグメントを提供する。本開示によって熟慮される使用のための機能性タンパク質は、いずれかの全長タンパク質またはその機能性フラグメント(互換的に「機能性タンパク質」と呼ばれる)であり得る。機能性タンパク質によって、全長タンパク質、またはその機能性フラグメントが関連する生物活性、すなわち結合、ターゲティング、シグナル伝達などを保持することが指摘される。いったんアンマスクされると、機能性タンパク質のその結合パートナーまたは標的への結合は、望ましい生物学的効果、たとえば標的タンパク質の活性の阻害および/または標的タンパク質の検出を提供することができる。いったんアンマスクされると、機能性タンパク質は1つの結合パートナーまたは複数の結合パートナーに結合することができる。
【0075】
機能性タンパク質は、天然型または非天然型タンパク質であることができる。
【0076】
機能性タンパク質は、組換え発現、遺伝的コード、および/または翻訳後修飾することができる。機能性タンパク質は合成により構築することができる。
【0077】
機能性タンパク質は、天然型タンパク質のミュータントであることができる。突然変異機能性タンパク質は、非突然変異機能性タンパク質に対して95%、90%、80%、75%、70%、60%、50%、40%、30%、25%、または20%を超えない核酸またはアミノ酸配列相同性を保持することができる。
【0078】
機能性タンパク質は、球状、繊維状、またはマルチマーであることができる。機能性タンパク質は、折畳みを呈することができ、1次、2次、または4次構造を呈することができる。
【0079】
機能性タンパク質はリガンド、たとえばインターフェロンタンパク質、たとえばIFN−αタンパク質(2a、2bまたはcon1型)、IFN−βタンパク質、IFN−γタンパク質、またはIFN−ωタンパク質であることができる。機能性タンパク質は可溶性膜タンパク質、たとえば可溶性受容体、たとえば可溶性Notch受容体(たとえばNotch1、Notch2、Notch3、またはNotch4受容体)であることができる。
【0080】
機能性タンパク質は、細胞外で残存するように設計できるか、またはそのアンマスク状態での細胞取り込みのために設計できる。
【0081】
本開示を通じて、結合パートナーおよび標的という用語は互換的に使用される。機能性タンパク質の結合パートナーは、細胞外、細胞内、または膜貫通タンパク質であることができる。1実施形態において、機能性タンパク質のその結合パートナーは、細胞外タンパク質、たとえばリガンドまたは可溶性受容体である。別の実施形態において、機能性タンパク質の結合パートナーは細胞内タンパク質であり、機能性タンパク質は細胞取り込みが可能であり、細胞内でアンマスクされるように設計されている。別の実施形態において、機能性タンパク質の結合パートナーは、膜結合型受容体である。
【0082】
例示的な結合パートナー/標的は、インターフェロンタンパク質受容体、または特異的にIFNAR、IFNAR1、IFNAR2、およびIFNLR1である。他の例示的な結合パートナー/標的は、Notchリガンド、たとえばDLL1、DLL3、DLL4、Jagged1、およびJagged2である。
【0083】
本発明の機能性タンパク質は、その標的または結合パートナーに1000nM、100nM、50nM、10nM、5nM、1nM、500pM、400pM、350pM、300pM、250pM、200pM、150pM、100pM、50pM、25pM、10pM、5pM、1pM、0.5pM、または0.1pMを超えない解離定数(K)で特異的に結合することができる。
【0084】
ある実施形態において、ペプチドマスクとカップリングされた機能性タンパク質は、抗体または抗体フラグメントでない。
【0085】
熟慮されるインターフェロン関連プロタンパク質を生成する機能性タンパク質の例示的な供給源を表1に与える。
【0086】
表1:インターフェロン関連プロタンパク質の例示的な供給源
【0087】
【表1】

ペプチドマスク
本開示は、機能性タンパク質が結合パートナーと相互作用するのを阻害するペプチドマスク(互換的にマスキングペプチドまたはマスキング部分とも呼ばれる)にカップリングされた、機能性タンパク質を提供する。ペプチドマスクは、機能性タンパク質と特異的に相互作用して、機能性タンパク質とその結合パートナーとの間の相互作用を低減または阻害することができる。
【0088】
機能性タンパク質が「マスクされた」状態にあるとき、機能性タンパク質の結合パートナーの存在下であっても、ペプチドマスクは機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を妨害または阻害する。しかし機能性タンパク質のアンマスク状態では、機能性タンパク質への標的結合のペプチドマスクによる妨害が低減され、これにより機能性タンパク質の標的のアクセスが増大され、標的結合が提供される。
【0089】
たとえばプロタンパク質が活性化可能部分を含むとき、酵素、好ましくは疾患特異性酵素の存在下での活性化可能部分の切断時に、機能性タンパク質をアンマスクすることができる。それゆえペプチドマスクは、プロタンパク質が切断されていないときに標的結合からの機能性タンパク質のマスキングを提供するペプチドマスクであるが、プロタンパク質が切断配座にあるときには、標的の機能性タンパク質への結合について、実質的または有意に妨害または競合しない。それゆえペプチドマスクおよび活性化可能部分の組合せは切換可能な/活性化可能な表現型を促進して、ペプチドマスクはプロタンパク質が切断されていないときに標的の結合を低減させ、プロテアーゼによる活性化可能部分の切断は標的の結合向上を提供する。
【0090】
ペプチドマスクの構造的特性は、多様な因子、たとえば標的へのタンパク質結合の妨害に必要な最小アミノ酸配列、興味のある標的タンパク質−タンパク質結合対、機能性タンパク質のサイズ、活性化可能部分の長さ、活性化可能部分がペプチドマスク内に位置して、未切断プロタンパク質中の機能性タンパク質をマスクするようにも作用するか否か、リンカーの有無、システイン−システインジスルフィド結合の活性化可能部分を提供するのに好適な機能性タンパク質内のまたは機能性タンパク質に隣接するシステインの有無などによって変化することができる。
【0091】
1実施形態において、ペプチドマスクは共有結合によって機能性タンパク質にカップリングすることができる。別の実施形態において、機能性タンパク質は、ペプチドマスクを機能性タンパク質のN末端に結合することによって、その標的への結合が防止される。また別の実施形態において、機能性タンパク質は、ペプチドマスクと機能性タンパク質との間のシステイン−システインジスルフィド架橋によって、ペプチドマスクにカップリングされる。
【0092】
ペプチドマスクは、多様な異なる形で提供することができる。標的−タンパク質結合におけるペプチドマスクの妨害を低減するために活性化可能部分の切断後に、機能性タンパク質が結合するように設計された標的タンパク質よりも低い親和性および/または結合活性でペプチドマスクが機能性タンパク質を結合するという条件で、ペプチドマスクは機能性タンパク質の公知の結合パートナーから選択することができる。別の言い方をすれば、上述のようにペプチドマスクは、プロタンパク質が切断されていないときに機能性タンパク質を標的結合からマスクするペプチドマスクであるが、プロタンパク質が切断配座にあるときには、標的への結合について、実質的または有意に妨害または競合しない。
【0093】
一般にペプチドマスクは、興味のある機能性タンパク質にとって固有のものである。プロタンパク質の機能性タンパク質と特異的に相互作用するペプチドマスクの例は、機能性タンパク質またはタンパク質フラグメントの結合ドメインを結合するために特異的にスクリーニングされたペプチドマスクを含む。ペプチドマスクをスクリーニングして、機能性タンパク質に固有のペプチドマスクならびに結合パートナー/標的の結合ドメインを特異的におよび/または選択的に結合するペプチドマスクを得る方法は、本明細書で提供され、タンパク質提示方法を含むことができる。
【0094】
本開示は、機能性タンパク質とその結合パートナーとの間の相互作用を特異的に阻害することができるペプチドマスクを提供する。各ペプチドマスクは、機能性タンパク質に対してある結合親和性を有する。結合親和性は一般に、機能性タンパク質とその結合パートナーとの間の結合親和性よりも低い。
【0095】
本開示のペプチドマスクは一般に、機能性タンパク質にカップリングされたアミノ酸配列を指し、機能性タンパク質がその結合パートナーを特異的に結合する能力を低減するように配置される。いくつかの場合では、ペプチドマスクは機能性タンパク質に、リンカーによってカップリングされる。
【0096】
機能性タンパク質がペプチドマスクにカップリングされていて、その結合パートナーの存在下にあるとき、機能性タンパク質のその結合パートナーへの特異的結合は、ペプチドマスクにカップリングされていない機能性タンパク質の特異的結合または親タンパク質のその結合パートナーへの特異的結合と比較して、低減または阻害することができる。機能性タンパク質が活性化可能部分およびペプチドマスクの両方にカップリングされていて、その結合パートナーの存在下にあるが、活性化可能部分を切断するのに十分な酵素または酵素活性がないとき、改変タンパク質のその結合パートナーへの特異的結合は、その結合パートナーおよび活性化可能部分を活性化するのに十分な酵素/酵素活性/還元剤/還元剤活性/光の存在下の、活性化可能部分およびペプチドマスクにカップリングされた機能性タンパク質の特異的結合と比較して、低減または阻害される。
【0097】
ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害することができる。ペプチドマスクは、機能性タンパク質の結合ドメインを結合して、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害することができる。ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を立体的に阻害することができる。ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合をアロステリックに阻害することができる。
【0098】
機能性タンパク質がペプチドマスクに結合されており、結合パートナーの存在下にあるとき、インビボでまたは本明細書に記載するようなインビトロ免疫吸着(immunoabsorbant)アッセイである、マスク効率アッセイにより測定されたときに、ペプチドマスクにカップリングされていない機能性タンパク質の結合、親タンパク質の結合、またはペプチドマスクにカップリングされていない機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合と比較して、少なくとも2、4、6、8、12、28、24、30、36、48、60、72、84、96時間、または5、10、15、30、45、60、90、120、150、180日、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月もしくはそれ以上にわたって、機能性タンパク質の結合パートナーへの結合が全くもしくは実質的にないか、または0.001%、0.01%、0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、もしくは50%を超えない、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合がある。
【0099】
ペプチドマスクは、機能性タンパク質とその結合パートナーとの相互作用を阻害することができる、合成により産生された一連のアミノ酸であることができる。ペプチドマスクは、リンカーまたは活性化可能部分の一部であることができる。関連する実施形態において、ペプチドマスクは、機能性タンパク質への特異的および選択的結合についてスクリーニングするときに、偏りのない方式で選択することができる。
【0100】
ある実施形態において、ペプチドマスクは、機能性タンパク質の天然型結合パートナーの少なくとも部分的なまたは完全なアミノ酸配列を有することができる。ペプチドマスクは、天然型結合パートナーのフラグメントであることができる。フラグメントは、天然型結合パートナーに対して95%、90%、80%、75%、70,%、60%、50%、40%、30%、25%、または20%を超えない核酸またはアミノ酸配列相同性を保持することができる。
【0101】
いくつかの例において、ペプチドマスクは、天然型でないアミノ酸配列を有するか、または天然型結合パートナーもしくは標的タンパク質のアミノ酸配列を含有しない。ある実施形態において、ペプチドマスクは、機能性タンパク質の天然結合パートナーでない。ペプチドマスクは、機能性タンパク質への結合の親和性および/または結合活性を少なくともわずかに低減するアミノ酸の変化を含有する機能性タンパク質のための改変結合パートナーであり得る。いくつかの実施形態において、ペプチドマスクは、機能性タンパク質の天然結合パートナーに相同性である核酸またはアミノ酸を全くまたは実質的に含有しない。他の実施形態において、ペプチドマスクは、機能性タンパク質の天然結合パートナーに対して5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%を超えない類似性がある。
【0102】
本開示は、所与のペプチドマスクの変異形も提供する。ペプチドマスクの配列は、ペプチドマスクに対して少なくとも95%、90%、80%、75%、70,%、60%、50%、40%、30%、25%、または20%の核酸またはアミノ酸配列相同性を保持するように変動させることができる。このような配列の変動は、改善されたマスキング能力をもたらし得る。
【0103】
カップリングされたときの、機能性タンパク質のその標的への結合を阻害するペプチドマスクの効率は、マスキング効率アッセイによって、本開示の実施例部で本明細書に記載するようにインビトロ免疫吸着(immunoabsorbant)アッセイを使用して測定することができる。ペプチドマスクのマスキング効率は、少なくとも2つのパラメータ:機能性タンパク質へのペプチドマスクの親和性および機能性タンパク質の標的との結合界面に対するペプチドマスクの空間的相互関係によって決定される。
【0104】
親和性に関して、1例として、ペプチドマスクは高い親和性を有し得るが、機能性タンパク質の結合部位を部分的に結合し得、一方で別のペプチドマスクは、機能性タンパク質に対する親和性がより低いが、標的結合を完全に阻害し得る。より低い親和性のペプチドマスクは短期間にわたって十分なマスキングを示し得る;対照的に、その同じペプチドマスクは長い間に、(機能性タンパク質に対する親和性が不十分なために)標的によって移動され得る。
【0105】
同様の様式で、同じ親和性を有する2つのペプチドマスクが示すマスキングの程度は、機能性タンパク質の結合部位の阻害または機能性タンパク質のその標的への結合の防止をどれほど助長するかに基づいて異なり得る。別の例において、高い親和性を有するペプチドマスクは、機能性タンパク質の構造を結合して変化させ得るので、その標的への結合が完全に阻害され、一方で高い親和性を有する別のペプチドマスクは、結合を部分的にのみ阻害し得る。結果として、有効なペプチドマスクの発見はしばしば、親和性のみに基づくものではないが、マスキング効率の経験的測定を含むことができる。機能性タンパク質におけるペプチドマスクの時間依存性の標的変位を測定して、ペプチドマスクを最適化および選択することができる。新規のマスキング効率アッセイは、この目的のために本明細書に記載される。
【0106】
ペプチドマスクは、可変のペプチドマスクを有する候補プロタンパク質のライブラリからスクリーニング手順を通じて同定され、さらに最適化することができる。たとえば機能性タンパク質および活性化可能部分を選択して望ましい酵素/標的の組合せを提供することができ、ペプチドマスクのアミノ酸配列を後述するスクリーニング手順によって同定して、切換可能な表現型を提供するペプチドマスクを同定することができる。たとえばランダムペプチドライブラリ(たとえば約2〜約40アミノ酸またはそれ以上)を本明細書で開示するスクリーニング方法で使用すると、好適なペプチドマスクが同定され得る。詳細な実施形態において、機能性タンパク質に対する特異的結合親和性を有するペプチドマスクは、ペプチドマスク候補から成る、膜貫通タンパク質および候補ペプチドマスクでそれぞれ構成されたペプチド骨格のライブラリを提供することを含むスクリーニング手順によって同定することができる。ライブラリを次にタンパク質、たとえば全長タンパク質、天然型タンパク質フラグメント、またはタンパク質を含有する非天然型フラグメント(興味のある結合パートナーを結合することもできる)の全部または一部と接触させて、タンパク質が検出可能に結合された1つ以上の候補ペプチドマスクを同定する。スクリーニングは、1ラウンド以上(one more rounds)の磁気活性化ソーティング(MACS)または蛍光活性化ソーティング(FACS)を含むことができる。スクリーニングは、ペプチドマスクの機能性タンパク質に対する解離定数(K)の決定および続いてのマスキング効率の決定も含む(included)ことができる。
【0107】
この方式において、非活性化状態において機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害し、活性化状態において機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を可能にするペプチドマスクを有するプロタンパク質を同定することができ、切換可能な表現型の最適ダイナミックレンジを有するプロタンパク質の選択をさらに提供することができる。所望の切換表現型を有するプロタンパク質を同定する方法は、本明細書でさらに詳細に記載する。代わりに、ペプチドマスクは機能性タンパク質を特異的に結合しないが、むしろタンパク質−結合パートナー結合を立体障害などの非特異的相互作用を通じて妨害し得る。たとえば、プロタンパク質の3次または4次構造によってペプチドマスクが電荷ベースの相互作用を通じて機能性タンパク質をマスクして、これによりペプチドマスクが所定の位置に保持され、機能性タンパク質への結合パートナーのアクセスを妨害できるように、ペプチドマスクが未切断プロタンパク質内に配置され得る。
【0108】
プロタンパク質は、配座的に制約された構造、たとえば環式構造でも提供されて、切換可能な表現型を促進することができる。これはシステインの対をプロタンパク質構築物に含めることによって達成できるので、システイン対間のジスルフィド結合の形成によってプロタンパク質がループまたは環式構造になる。それゆえプロタンパク質は、望ましいプロテアーゼによって切断可能なままであり、同時に機能性タンパク質への標的結合の阻害も提供する。活性化可能部分の活性化時に、環式構造が開環され、結合パートナーの機能性タンパク質へのアクセスが可能となる。
【0109】
システイン対はタンパク質内の、配座的に制約されたプロタンパク質を提供するが、活性化可能部分の還元後に、機能性タンパク質への標的結合を実質的または有意に妨害しないいずれかの位置に配置することができる。たとえばシステイン対のシステイン残基は、ペプチドマスクならびにペプチドマスクおよびタンパク質が隣接するリンカーの中に、ペプチドマスクおよびタンパク質が隣接するリンカー内に、または好適な配置で配置される。たとえばペプチドマスクまたはペプチドマスクに隣接するリンカーは、1個以上のシステイン残基を含むことができ、該システイン残基は、プロタンパク質が折畳まれた状態にあるときに、ペプチドマスクの反対側に配置されたシステイン残基とジスルフィド架橋を形成する。プロタンパク質の切断後の標的結合の妨害を回避するために、システイン対のシステイン残基が機能性タンパク質の外部に配置されることが一般に所望である。ジスルフィド結合されるシステイン対のシステインが機能性タンパク質内に配置されている場合、還元剤への曝露後にタンパク質−標的結合の妨害を回避するようにシステイン配置されることが所望である。
【0110】
ある実施形態において、活性化可能プロタンパク質がいったん活性化されると、ペプチドマスクが機能性タンパク質からアンカップリングされ、これにより機能性タンパク質をアンマスクする。いくつかの実施形態において、機能性タンパク質からいったんアンカップリングされた遊離状態において、ペプチドは生物活性または治療効果、たとえば結合能力を有する。たとえば遊離ペプチドは、同じまたは異なる結合パートナーを結合することができる。ある実施形態において、遊離ペプチドマスク(アンカップリングされたペプチドマスク)は治療効果を発揮して、本発明の組成物に2次機能を提供することができる。
【0111】
本開示に熟慮されるペプチドマスクは、1〜50アミノ酸に及ぶことができる;いくつかの例において、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、30、もしくは40アミノ酸超、または40、30、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、もしくは3アミノ酸を超えないことができる。詳細な実施形態において、本発明のペプチドマスクは、長さが8〜15アミノ酸である。
【0112】
本発明のペプチドマスクは、遺伝的にコードされたまたは遺伝的にコードされていないアミノ酸を含有することができる。遺伝的にコードされていないアミノ酸の例は、これに限定されるわけではないが、D−アミノ酸、β−アミノ酸、およびγ−アミノ酸である。詳細な実施形態において、ペプチドマスクは、50%、40%、30%、20%、15%、10%、5%または1%を超えない遺伝的にコードされていないアミノ酸を含有する。
【0113】
ペプチドマスクにカップリングされているときの、標的もしくは結合パートナーに対する機能性タンパク質の解離定数(K)は、少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000もしくはそれ以上であり、またはペプチドマスクもしくは親タンパク質にカップリングされていないときの機能性タンパク質のその結合パートナーに対するKの5〜10、10〜100、10〜1,000、10〜10,000、10〜100,000、10〜1,000,000、10〜10,000,000、100〜1,000、100〜10,000、100〜100,000、100〜1,000,000、100〜10,000,000、1,000〜10,000、1,000〜100,000、1,000〜1,000,000、1000〜10,000,000、10,000〜100,000、10,000〜1,000,000、10,000〜10,000,000、100,000〜1,000,000、もしくは100,000〜10,000,000倍高いことが可能である。反対にペプチドマスクにカップリングされているときの、機能性タンパク質のその結合パートナーに対する結合親和性は、少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000もしくはそれ以上であり、またはペプチドマスクにカップリングされていないときの機能性タンパク質のその結合パートナーの結合親和性より5〜10、10〜100、10〜1,000、10〜10,000、10〜100,000、10〜1,000,000、10〜10,000,000、100〜1,000、100〜10,000、100〜100,000、100〜1,000,000、100〜10,000,000、1,000〜10,000、1,000〜100,000、1,000〜1,000,000、1000〜10,000,000、10,000〜100,000、10,000〜1,000,000、10,000〜10,000,000、100,000〜1,000,000、もしくは100,000〜10,000,000倍低いことが可能である。
【0114】
ペプチドマスクの機能性タンパク質に対するKは一般に、機能性タンパク質のその結合パートナーに対するKよりも大きい。ペプチドマスクの機能性タンパク質に対するKは、機能性タンパク質のその結合パートナーに対するKよりも、少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、100,000、1,000,000倍、またはなお10,000,000倍高いことが可能である。反対に、ペプチドマスクの機能性タンパク質に対する結合親和性は一般に、機能性タンパク質のその結合パートナーに対する結合親和性よりも低い。ペプチドマスクの機能性タンパク質に対する結合親和性は、機能性タンパク質のその結合パートナーに対する結合親和性よりも、少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、100,000、1,000,000倍、またはなお10,000,000倍低いことが可能である。
【0115】
機能性タンパク質がペプチドマスクにカップリングされていて、結合パートナーの存在下にあるとき、機能性タンパク質のその結合パートナーへの特異的結合は、ペプチドマスクにカップリングされていない機能性タンパク質のその結合パートナーへの特異的結合と比較して、低減または阻害することができる。ペプチドマスクにカップリングされていない機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合と比較したときに、ペプチドマスクにカップリングされているときに機能性タンパク質が結合パートナーを結合する能力は、インビボでまたは本明細書に記載するようなインビトロ免疫吸着(immunoabsorbant)アッセイである、マスク効率アッセイにより測定されたときに、少なくとも2、4、6、8、12、28、24、30、36、48、60、72、84、96時間、または5、10、15、30、45、60、90、120、150、180日、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月もしくはそれ以上にわたって、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%およびさらには100%低減させることができる。
【0116】
ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害することができる。ペプチドマスクは、機能性タンパク質の結合ドメインを結合して、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害することができる。ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を立体的に妨害することができる。ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合をアロステリックに阻害することができる。これらの実施形態において、機能性タンパク質がペプチドマスクに結合されており、結合パートナーの存在下にあるとき、インビボでまたは本明細書に記載するようなマスクキング効率アッセイで測定されたときに、ペプチドマスクにカップリングされていない機能性タンパク質の、またはペプチドマスクにカップリングされていない機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合と比較して、少なくとも2、4、6、8、12、28、24、30、36、48、60、72、84、96時間、または5、10、15、30、45、60、90、120、150、180日、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月もしくはそれ以上にわたって、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合が全くもしくは実質的にないか、または0.001%、0.01%、0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、もしくは50%を超えない、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合がある。
【0117】
機能性タンパク質がペプチドマスクにカップリングまたはカップリングされている(is coupled to or coupled to)とき、ペプチドマスクは、機能性タンパク質のその結合パートナーへの特異的結合を「マスク」もしくは低減、または阻害することができる。機能性タンパク質がペプチドマスクにカップリングまたはカップリングされている(is coupled to or coupled to)とき、このようなカップリングまたは改変は、機能性タンパク質がその結合パートナーに特異的に結合する能力を低減または阻害する構造的変化を生じることができる。
【0118】
ぺプチドマスクにカップリングまたはカップリングされている(is coupled to or coupled to)機能性タンパク質は、以下の式によって(アミノ(N)末端領域からカルボキシル(C)末端領域の順序で 表現することができる。式に表すように、1個以上のリンカー、たとえば可撓性リンカーを組成物中に挿入して、可撓性の向上を提供することがさらに所望であり得る。
(ペプチドマスク)−(機能性タンパク質)
(機能性タンパク質)−(ペプチドマスク)
(ペプチドマスク)−(リンカー)−(機能性タンパク質)
(機能性タンパク質)−(リンカー)−(ペプチドマスク)
例示的なペプチドマスクは、表3および14に示すような配列を含有することができる。本発明のペプチドマスクは、表3に示す配列から選択される配列または少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは95%のその相同性を有する配列を含有することができる。本発明のペプチドマスクは、表14に示す配列から選択される配列または少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは95%のその相同性を有する配列を含有することができる。
【0119】
例示的なペプチドマスクは、コンセンサス配列TDVDYYREWXXXXXXXXを含有することができる。
【0120】
他の例示的なペプチドマスクは、インターフェロンタンパク質、たとえばIFN−αタンパク質(2a、2bまたはcon1型)、IFN−βタンパク質、IFN−γタンパク質、またはIFN−ωタンパク質に特異的であることができる。他の例示的なペプチドマスクは、Notch受容体、たとえばNotch1、Notch2、Notch3、またはNotch4受容体に特異的であることができる。
【0121】
活性化可能部分
本発明は、ペプチドマスクおよびプロタンパク質がその結合パートナーを結合する能力を調節する活性化可能部分またはドメインの両方を含有する活性化可能プロタンパク質を提供する。このような組成物は、活性化可能プロタンパク質と呼ばれる。
【0122】
活性化可能とは、プロタンパク質が、未変性(たとえば未切断状態)にあるときに結合パートナーに対する第1の結合レベル(すなわち第1の配座)を、および活性化(たとえば切断状態)にあるときにその結合パートナーに対する第2の結合レベル(すなわち第2の配座)を呈することを意味する。結合パートナーを結合する第2のレベルは、第1の結合レベルよりも高い。
【0123】
たとえばプロタンパク質は、全長タンパク質またはその機能性フラグメント、ペプチドマスクおよび機能性タンパク質がその標的または結合パートナーを結合する能力を調節する活性化可能部分を含むことができる。活性化可能部分は切断可能なリンカーであることができる。このような例において、未切断状態では、機能性タンパク質はペプチドマスクにカップリングされ、ペプチドマスクは機能性タンパク質がその結合パートナーを結合する能力を妨害するが、未切断状態では、機能性タンパク質はアンカップリングされ、機能性タンパク質はその結合パートナーと相互作用することができる。本発明に従って切断可能なリンカーとして利用できる酵素の基質をスクリーニングする方法は、本明細書に記載されている。
【0124】
本開示の切断可能なリンカーは、プロテアーゼ、還元酵素、または光分解の基質として作用できるアミノ酸配列を含み得る。リンカーが酵素またはプロテアーゼなどによって結合パートナーの存在下で切断されるときに、切断状態が生じ、機能性タンパク質が結合パートナーを結合して、未切断状態において、結合パートナーの存在下で、機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合はペプチドマスクによって阻害されるように、切断可能なリンカーはマスクされた機能性タンパク質中に配置される。プロタンパク質が未切断配座にあるときに切断可能なリンカーの全部または一部が機能性タンパク質の「マスキング」を促進するように、切断可能なリンカーのアミノ酸配列はペプチドマスクと重複し得るか、またはペプチドマスク内に含まれ得ることに注目すべきである。
【0125】
概して、結合パートナーの機能性タンパク質へのアクセスは、切断可能なリンカーを切断することができる酵素の存在下では、このような酵素の非存在下よりも良好である。それゆえプロタンパク質は、未変性または未切断状態ではそのパートナーへの結合が防止され(すなわち第1の配座は、結合パートナーのプロタンパク質へのアクセスを妨害するような配座である)、切断状態では、機能性タンパク質はアンマスクされてそのパートナーを結合する。
【0126】
活性化可能部分は、機能性タンパク質の望ましい結合パートナーと共に組織中に同時局在化しているプロテアーゼに基づいて選択され得る。興味のある結合パートナーがプロテアーゼと同時局在化される多様な異なる条件が公知であり、プロテアーゼの基質は当分野で公知である。癌の例において、結合パートナー組織は癌性組織、特に固形腫瘍の癌性組織であることができる。いくつかの癌、たとえば固形腫瘍において公知の基質を有するプロテアーゼのレベルの向上について、文献に報告がある。たとえばLa Roccaら(2004)British J.of Cancer 90(7):1414−1421を参照。疾患の非制限的な例は、あらゆる種類の癌(乳癌、肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、頭部頸部癌、膵臓癌など)、関節リウマチ、クローン病、黒色腫、SLE、心血管損傷、虚血などを含む。さらに抗新脈管形成標的、たとえばVEGFが公知である。そのため、Notch1などの抗新脈管形成標的を結合できるように機能性タンパク質が選択される場合、好適な活性化可能部分は、癌性処置部位に存在する、特に非癌性組織と比較して癌性処置部位に高いレベルで存在するプロテアーゼによって切断可能なペプチド基質を含む活性化可能部分となる。例示的な1実施形態において、機能性タンパク質はインターフェロン受容体を結合することができ、活性化可能部分はマトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)基質であることができ、それゆえMMPによって切断可能である。他の実施形態において、機能性タンパク質は興味のある標的を結合することができ、活性化可能部分はたとえば、レグマイン、プラスミン、マトリプターゼ、HCV−NS3/4、TMPRSS−3/4、MMP−9、MTl−MMP、カテプシン、カスパーゼ、ヒト好中球エラスターゼ、ベータ−セクレターゼ、uPA、またはPSAであることができる。他の実施形態において、プロタンパク質はC型肝炎などの癌以外の疾患において、他の疾患特異性プロテアーゼにより活性化される。
【0127】
未改変または未切断活性化可能部分は、ペプチドマスクを機能性タンパク質に係留(テザーリング)することによって、機能性タンパク質の効率の良い阻害またはマスキングを可能にすることができる。活性化可能部分が改変(切断、還元、光分解)されているとき、機能性タンパク質はもはや阻害またはアンマスクされず、その結合パートナーを結合することができる。
【0128】
活性化可能部分は、作用因子(すなわち酵素、還元剤、光)によって、約.001〜1500×10−1−1または少なくとも0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2.5、5、7.5、10、15、20、25、50、75、100、125、150、200、250、500、750、1000、1250、または1500×10−1−1の速度にて特異的に改変(切断、還元または光分解)されることができる。
【0129】
酵素による特異的切断の場合、酵素と活性化可能部分との間の接触が行われる。ペプチドマスクおよび活性化可能部分にカップリングされた機能性タンパク質を含むプロタンパク質が標的および十分な酵素活性の存在下にあるとき、活性化可能部分を切断することができる。十分な酵素活性は、酵素が活性化可能部分との接触を行い、切断を生じさせる能力を指すことができる。酵素は活性化可能部分の付近にあるが、他の細胞因子または酵素のタンパク質改変のために切断不能であり得ることを、ただちに想像することができる。
【0130】
例示的な基質は、これに限定されるわけではないが、以下の表2の酵素またはプロテアーゼの1つ以上によって切断可能な基質を含むことができる。
【0131】
表2−例示的な酵素/プロテアーゼ
【0132】
【表2】

特異的な酵素の例示的なコンセンサス配列を表11および12に示す。1実施形態において、マトリプターゼ基質のコンセンサス配列はXXQAR(A/V)XまたはAGPRを含む。別の実施形態において、HCV−NS3/4基質のコンセンサス配列はDEXXXC(A/S)またはDLXXXT(A/S)を含む。
【0133】
別の実施形態において、MMP−9基質の配列はVHMPLGFLGPである。別の実施形態において、プラスミン基質の配列はQGPMFKSLWDである。
【0134】
プロタンパク質およびその構成要素の同定および最適化
プロタンパク質およびその構成要素を同定および/または最適化する方法、ならびにこのような方法で有用な組成物を後述する。
候補プロタンパク質およびその構成要素のライブラリ、ならびに複製可能な生物学的実体での提示
概して、プロタンパク質、その構成要素、たとえばペプチドマスク/ペプチドおよび切断可能なリンカーを同定するおよび/またはプロタンパク質を活性化可能表現型に最適化するスクリーニング方法は、その表面上に複数の異なる候補プロタンパク質を提示する複製可能な生物学的実体(細胞によって例示される)のライブラリの産生を包含する。次にこれらのライブラリにスクリーニング方法を受けさせて、プロタンパク質およびその構成要素の1つ以上の望ましい特徴を有する、候補プロタンパク質および構成要素を同定することができる。
【0135】
候補プロタンパク質ライブラリは、ペプチドマスク、リンカー(ペプチドマスクの一部であり得る)、切断可能なリンカー(ペプチドマスクの一部であり得る)、およびタンパク質の1つ以上で異なる候補プロタンパク質を含有することができる。候補ペプチドマスクまたはペプチドを同定するために、ライブラリ内の候補プロタンパク質はペプチドマスクおよび/またはリンカーに対して可変である。
【0136】
好適な複製可能な生物学的実体は、細胞(たとえば細菌(たとえば大腸菌)、酵母(たとえばS.cerevisiae)、哺乳動物細胞)、バクテリオファージ、およびウイルスを含む。細菌宿主細胞およびバクテリオファージ、特に細菌宿主は興味深い。
【0137】
複製可能な生物学的実体を使用する多様な提示技術が当分野で公知である。これらの方法および実体は、これに限定されるわけではないが、たとえばmRNAおよびリボソーム提示、真核生物ウイルス提示、ならびにファージ、細菌、酵母、および哺乳動物細胞表面提示などの提示方法論を含む。Wilson,D.S.ら、2001 PNAS USA 98(7):3750−3755;Muller,O.J.ら(2003)Nat.Biotechnol.3:312;Bupp,K.and M.J.Roth(2002)Mol.Ther.5(3):329 3513;Georgiou,G.ら(1997)Nat.Biotechnol.15(1):29 3414;およびBoder,E.T.and K.D.Wittrup(1997)Nature Biotech.15(6):553 557を参照。表面提示方法が魅力的なのは、該方法によりライブラリの解析およびスクリーニングへの蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)の利用が可能となるためである。Daugherty,P.S.ら(2000)J.Immuunol.Methods 243(12):211 2716;Georgiou,G.(2000)Adv.Protein Chem.55:293 315;Daugherty,P.S.ら(2000)PNAS USA 97(5):2029 3418;Olsen,M.J.ら(2003)Methods Mol.Biol.230:329 342;Boder,E.T.ら(2000)PNAS USA 97(20):10701 10705;Mattheakis,L.C.ら(1994)PNAS USA 91(19):9022 9026;およびShusta,E.V.ら(1999)Curr.Opin.Biotech.10(2):117 122を参照。例示的なファージ提示および細胞提示組成物および方法は、U.S.Patent Nos.5,223,409;5,403,484;7,118,879;6,979,538;7,208,293;5571698;および5,837,500に記載されている。興味のある生物学的標的への結合が可能なペプチドを同定するために使用され得る追加の提示方法論は、U.S.Patent No.7,256,038に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み入れられている。
【0138】
場合により、提示骨格は、宿主細胞表面からのプロタンパク質および候補プロタンパク質の切断を可能にするプロテアーゼ切断部位(切断可能なリンカーのプロテアーゼ切断部位とは異なる)を含むことができる。
【0139】
プロタンパク質ライブラリおよび/または候補プロタンパク質ライブラリを作製する方法は、(a)複数のプロタンパク質および/または候補プロタンパク質をコードする後述のような組換えDNAベクターのセットを構築するステップと;(b)宿主細胞をステップ(a)のベクターによって形質転換するステップと;ならびに(c)融合ポリペプチドの発現および提示に好適な条件下で、ステップ(b)で形質転換させた宿主細胞を培養するステップと;を含む。
【0140】
候補プロタンパク質および候補プロタンパク質構成要素をコードする構築物
本開示は、プロタンパク質および/または候補プロタンパク質をコードする配列を含むベクターおよび核酸構築物をさらに提供する。好適な核酸構築物は、これに限定されるわけではないが、原核細胞および真核細胞にて発現可能である構築物を含む。発現構築物は一般に、該発現構築物が使用される宿主細胞と適合性であるように選択される。ある実施形態において、ベクターはタンパク質およびペプチドマスクまたはタンパク質、ペプチドマスク、および切断可能なリンカーをコードする。
【0141】
たとえば宿主細胞におけるプロタンパク質−または候補プロタンパク質−コードDNAの複製および/または発現を提供する、プラスミドを含む非ウイルスおよび/またはウイルス構築物ベクターが調製および使用され得る。ベクターの選出は、その中での繁殖が望ましい細胞の種類および繁殖の目的に依存するであろう。ある構築物は、大量の望ましいDNA配列を増幅および作製するのに有用である。他のベクターは培養中の細胞での発現に好適である。適切なベクターの選出は、十分に当分野の技術の範囲内である。多くのこのようなベクターは市販されている。構築物を生成する方法は、当分野で周知の方法を使用して達成することができる。
【0142】
宿主細胞で発現を生じさせるために、プロタンパク質または候補プロタンパク質をコードするポリヌクレオチドを必要に応じて調節配列に作動可能に連結させて、望ましい発現特性を促進する。これらの調節配列は、プロモータ、エンハンサ、ターミネータ、オペレータ、リプレッサ、およびインデューサを含むことができる。発現構築物は一般に、誘導性または構成的であり得る、必要とされ得るまたは望まれ得る転写および翻訳開始領域も提供し、コード領域は転写開始領域、ならびに転写および翻訳停止領域の転写制御下で作動可能に連結される。これらの制御領域は、核酸が得られる種に生来のものであり得るか、または外部源に由来し得る。
【0143】
発現構築物を含む構築物は、たとえば興味のある構築物を含有する宿主細胞の増殖を促進するために宿主において作動している選択可能なマーカーも含むことができる。このような選択可能なマーカー遺伝子は、真核細胞培養の場合に、形質転換宿主細胞の選択のための表現型形質、たとえばジヒドロ葉酸還元酵素またはネオマイシン耐性を提供することができる。
【0144】
候補プロタンパク質をコードする核酸配列の産生
スクリーニング方法で使用するための候補プロタンパク質の産生は、当分野で公知の方法を使用して達成することができる。ポリペプチド提示、単鎖抗体提示、抗体提示および抗体フラグメント提示は、当分野で周知の方法である。概して、候補プロタンパク質ライブラリにおいて変動されるプロタンパク質の要素、たとえばペプチドマスクがランダム化のために選択される。ライブラリ中の候補プロタンパク質は、完全にランダム化することができるか、部分的にランダム化することができるか、またはそのランダム化において、たとえば一般にヌクレオチド/残基頻度において、もしくは要素内の(複数の)アミノ酸の位置において偏らせることができる。たとえばプロタンパク質要素(たとえば候補ペプチドマスク)を部分的にランダム化して、アミノ酸のサブセットのみを選択された位置に提供して(たとえば可撓性リンカーをアミノ酸配列中の選択された位置に提供し 、望ましい特徴(たとえば疎水性、極性、正に荷電した、負に荷電したなど)のアミノ酸残基を提供することができる。別の例において、プロタンパク質要素(たとえば候補ペプチドマスク)を部分的にランダム化して、別の方法でランダム化されたアミノ酸配列内の1個以上の残基がプロタンパク質ライブラリメンバの集団またはサブ集団のうちで選択され、(たとえば候補ペプチドマスク内の望ましい位置にシステインを提供するために)不変のまま保持することができる。
【0145】
プロタンパク質およびその構成要素のスクリーニング方法
ペプチドマスクのスクリーニング方法
一般に、望ましいマスキング表現型を有するペプチドマスクおよびペプチドマスクのスクリーニング方法は、(機能性タンパク質を結合するメンバを同定するための)ポジティブ・スクリーニング・ステップおよび(機能性タンパク質を結合しないメンバを同定するための)ネガティブ・スクリーニング・ステップによって達成される。ネガティブ・スクリーニング・ステップは、ペプチドマスクの非存在下で機能性タンパク質を結合するメンバを集団から消耗させることによって達成することができる。本明細書に記載するライブラリスクリーニング方法は、最初にネガティブスクリーニングを行って機能性タンパク質を結合しない候補を選択して、次にポジティブスクリーニング(すなわち候補ペプチドマスクを提示する複製可能な生物学的実体のライブラリを機能性タンパク質に曝露して、機能性タンパク質を結合するメンバを選択する)を行うことによって開始できることに注目すべきである。
【0146】
ポジティブおよびネガティブ・スクリーニング・ステップは、フローサイトメトリーを使用して好都合に行われ、検出可能に標識された機能性タンパク質の結合に基づいて候補マスクをソートすることができる。スクリーニング手順の1「ラウンド」または「サイクル」は、ポジティブ選択ステップおよびネガティブ選択ステップの両方を包含する。該方法は、複数のサイクル(完全および部分サイクル、たとえば1.5サイクル、2.5サイクルなどを含む)が実行されるように、ライブラリに対して反復され得る。この方式において、興味のある機能性タンパク質への結合を呈する複数の候補マスクのメンバは、得られた集団にて濃縮され得る。
【0147】
プロタンパク質マスク効率アッセイ:有効なペプチドマスクの選出は必ずしも親和性のみに基づくものではないが、「マスキング効率」の経験的測定を含むことができる。2つの経験的アッセイを使用することができる。第1は、たとえばFACSによる、候補ペプチドマスクを提示する細胞表面へのプロタンパク質結合の親和性の測定である。第2のアッセイにおいて、治療上関連する濃度および時間において、プロタンパク質の結合パートナーへの結合をペプチドマスクが阻害する能力を測定することができる。この第2の方法の場合、プロタンパク質のその結合パートナーへの結合の時間依存性結合を測定する免疫吸着(immunoabsorbant)アッセイ(MEA、マスク効率アッセイ)が開発されている。
【0148】
有効なペプチドマスクの選出は親和性のみに基づくことはできないが、マスキング効率の経験的測定を含む必要がある。これを行うために、我々は2つのアッセイを使用している。第1は、FACSによる、細胞表面が提示したペプチドマスクへのタンパク質結合の親和性の測定である。第2のアッセイにおいて、我々は治療上関連する濃度および時間において、プロタンパク質のその標的への結合をペプチドマスクが阻害する能力を測定する。これを行うために、我々は免疫吸着(immunoabsorbant)アッセイ(MEA、マスキング効率アッセイ)を開発して、プロタンパク質の状況におけるペプチドマスクの時間依存性の結合パートナーの変位を測定した。
【0149】
概してスクリーニング方法は、最初に複数の候補マスクをコードする核酸ライブラリを提示骨格中で生成して、次にライブラリを複製可能な生物学的実体の表面での発現のために提示骨格中に導入することによって行われる。
【0150】
スクリーニング方法の前に、細胞表面に適切なペプチド提示骨格を発現する細胞を濃縮することが所望であり得る。任意の濃縮により、細胞ライブラリから(1)細胞外膜上にペプチド提示骨格を発現しない、または(2)細胞外膜上に非機能性ペプチド提示骨格を発現する細胞の除去が可能となる。「非機能性」とは、ペプチド提示骨格が、たとえば停止コドンまたは欠失突然変異の結果として、候補マスクを適正に提示しないことを意味する。
【0151】
細胞の濃縮は、細胞集団を増殖させることおよびペプチド提示骨格の発現を誘発することによって達成することができる。細胞は次にたとえば、骨格中に包含された検出可能なシグナルもしくは部分の検出に基づいて、または提示骨格もしくはプロタンパク質の共有部分(portion)に結合する検出可能に標識された抗体の使用によってソートされる。これらの方法は、U.S.Patent 7,256,038および2007年3月22日に公開されたU.S.Patent Application Publication No:2007/0065878により詳細に記載され、その全体が参照により組み入れられている。
【0152】
プロテアーゼ基質および切断可能なリンカーとしての使用のためのスクリーニング方法
概して、プロタンパク質の望ましい活性化可能表現型を得るための候補基質のスクリーニング方法は、(酵素への曝露後に基質を切断するメンバを同定するための)ポジティブ・スクリーニング・ステップおよび(酵素への曝露時に基質を切断しないメンバを同定するための)ネガティブ・スクリーニング・ステップによって達成される。ネガティブ・スクリーニング・ステップは、たとえば、プロテアーゼの非存在下で基質を切断するメンバを集団から消耗させることによって達成することができる。本明細書に記載するライブラリスクリーニング方法は、最初にネガティブスクリーニングを行って酵素処置の非存在下では基質を切断しない候補を選択して、次にポジティブスクリーニング(すなわち酵素によって処置して、基質を切断するメンバを選択する を行うことによって開始できることに注目すべきである。
【0153】
ポジティブおよびネガティブ・スクリーニング・ステップはフローサイトメトリーを使用して好都合に行われ、切断に基づいて候補基質をソートする。スクリーニング手順の1「ラウンド」または「サイクル」は、ポジティブ選択ステップおよびネガティブ選択ステップの両方を包含する。該方法は、複数のサイクル(完全および部分サイクル、たとえば1.5サイクル、2.5サイクルなどを含む)が実行されるように、ライブラリに対して反復され得る。この方式において、活性化特徴を呈する複数の候補基質のメンバは、得られた集団にて濃縮され得る。
【0154】
概して、スクリーニング方法は、最初に複数の候補基質をコードする核酸ライブラリを提示骨格中で生成して、次にライブラリを複製可能な生物学的実体の表面での発現のために提示骨格中に導入することによって行われる。
【0155】
スクリーニング方法の前に、細胞表面に適切なペプチド提示骨格を発現する細胞を濃縮することが所望であり得る。任意の濃縮により、細胞ライブラリから(1)細胞外膜上にペプチド提示骨格を発現しない、または(2)細胞外膜上に非機能性ペプチド提示骨格を発現する細胞の除去が可能となる。「非機能性」とは、ペプチド提示骨格が、たとえば停止コドンまたは欠失突然変異の結果として、候補基質を適正に提示しないことを意味する。
【0156】
細胞の濃縮は、細胞集団を増殖させることおよびペプチド提示骨格の発現を誘発することによって達成することができる。細胞は次にたとえば、骨格中に包含された検出可能なシグナルもしくは部分の検出に基づいて、または提示骨格もしくはプロタンパク質の共有部分(portion)に結合する検出可能に標識された抗体の使用によってソートされる。これらの方法は、U.S.Patent 7,256,038および2007年3月22日に公開されたU.S.Patent Application Publication No:2007/0065878により詳細に記載され、その全体が参照により組み入れられている。
【0157】
活性化可能プロタンパク質のスクリーニング方法
概して、望ましい活性化可能表現型を有する候補プロタンパク質のスクリーニング方法は、ポジティブ・スクリーニング・ステップ(酵素への曝露後に結合パートナーを結合するメンバを同定するための)およびネガティブ・スクリーニング・ステップ(酵素へ曝露されないときに結合パートナーを結合しないメンバを同定するための)によって達成される。ネガティブ・スクリーニング・ステップは、プロテアーゼの非存在下で結合パートナーを結合するメンバを集団から消耗させることによって達成することができる。本明細書に記載するライブラリスクリーニング方法は、最初にネガティブスクリーニングを行って酵素処置の非存在下では標識結合パートナーを結合しない(すなわち切断されていないときに標識結合パートナーを結合しない)候補を選択して、次にポジティブスクリーニング(すなわち酵素によって処置して、切断状態の標識結合パートナーを結合するメンバを選択する)を行うことによって開始できることに注目すべきである。
【0158】
ポジティブおよびネガティブ・スクリーニング・ステップは、フローサイトメトリーを使用して好都合に行われ、検出可能に標識された結合パートナーの結合に基づいて候補プロタンパク質をソートすることができる。スクリーニング手順の1「ラウンド」または「サイクル」は、ポジティブ選択ステップおよびネガティブ選択ステップの両方を包含する。該方法は、複数のサイクル(完全および部分サイクル、たとえば1.5サイクル、2.5サイクルなどを含む)が実行されるように、ライブラリに対して反復され得る。この方式において、プロタンパク質の活性化特徴を呈する複数の候補プロタンパク質のメンバは、得られた集団にて濃縮され得る。
【0159】
概してスクリーニング方法は、最初に複数の候補プロタンパク質をコードする核酸ライブラリを提示骨格中で生成して、次にライブラリを複製可能な生物学的実体の表面での発現のために提示骨格中に導入することによって行われる。
【0160】
スクリーニング方法の前に、細胞表面に適切なペプチド提示骨格を発現する細胞を濃縮することが所望であり得る。任意の濃縮により、細胞ライブラリから(1)細胞外膜上にペプチド提示骨格を発現しない、または(2)細胞外膜上に非機能性ペプチド提示骨格を発現する細胞の除去が可能となる。「非機能性」とは、ペプチド提示骨格が、たとえば停止コドンまたは欠失突然変異の結果として、候補プロタンパク質を適正に提示しないことを意味する。
【0161】
細胞の濃縮は、細胞集団を増殖させることおよびペプチド提示骨格の発現を誘発することによって達成することができる。細胞は次にたとえば、骨格中に包含された検出可能なシグナルもしくは部分の検出に基づいて、または提示骨格もしくはプロタンパク質の共有部分(portion)に結合する検出可能に標識された抗体の使用によってソートされる。これらの方法は、U.S.Patent 7,256,038および2007年3月22日に公開されたU.S.Patent Application Publication No:2007/0065878により詳細に記載され、その全体が参照により組み入れられている。
【0162】
検出可能な標識
本明細書で使用する場合、「標識」、「検出可能な標識」および「検出可能な部分」は互換的に使用されて、これに限定されるわけではないが、放射性同位元素、蛍光剤、化学発光剤、発色団、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、発色団、染料、金属イオン、金属ゾル、リガンド(たとえばビオチン、アビジン、ストレプトアビジンまたはハプテン)などを含む検出可能な分子を指す。「蛍光剤」という用語は、検出可能な範囲の蛍光を呈することが可能な物質またはその部分(portion)を指す。標識としての使用に好適な例示的な検出可能な部分は、親和性タグおよび蛍光タンパク質を含む。
【0163】
当分野で周知のいずれの蛍光ポリペプチド(本明細書では蛍光標識とも呼ばれる)も、検出可能な部分として、または本明細書に記載するペプチド提示骨格の親和性タグと共に使用するのに好適である。好適な蛍光ポリペプチドは、望ましい宿主細胞、たとえば細菌細胞または哺乳動物細胞中で発現することができるポリペプチドであり、定性的に(ポジティブ/ネガティブ)および定量的に(比較による蛍光度)評価することができる検出可能なシグナルをただちに提供するであろう。例示的な蛍光ポリペプチドは、これに限定されるわけではないが、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、GFP、mRFP、RFP(tdimer2)、HCREDなど、またはいずれかのミュータント(たとえば増強蛍光またはシフト発光スペクトルを提供するように改変された蛍光タンパク質)、類似体、もしくはその誘導体を含む。さらなる好適な蛍光ポリペプチド、ならびに本明細書で挙げたこれらの詳細な例は当分野で提供され、周知である。
【0164】
ビオチンベース標識も本明細書で開示する方法に用途が見出される。標的分子および基質のビオチン化は周知であり、たとえばタンパク質、核酸、炭水化物、カルボン酸のビオチン化のためのアミン反応剤およびチオール反応剤を含む、多数のビオチン化剤が公知である;たとえば参照によりここに組み入れられている、chapter 4,Molecular Probes Catalog,Haugland,6th Ed.1996を参照。ビオチン化基質は、検出可能に標識されたビオチン結合パートナー、たとえばアビジンまたはストレプトアビジンの結合によって検出することができる。同様に、多数のハプテン化試薬も公知である。
【0165】
スクリーニング方法
興味のあるプロタンパク質の分離および回収を提供するいずれの好適な方法も利用され得る。たとえば興味のあるプロタンパク質を提示する細胞は、FACS、免疫クロマトグラフィーによって、または検出可能な標識が磁性である場合には、磁気分離によって分離され得る。分離の結果として、集団は、望ましい特徴を呈する、たとえば切断後に結合パートナーへの結合を呈するまたは切断の非存在下で結合パートナーへの結合の低下を有するもしくは検出可能な結合を有さない細胞が濃縮される。
【0166】
たとえば検出可能に標識された結合パートナーが結合した候補プロタンパク質の選択は、当分野で公知の多様な技法を使用して達成することができる。たとえばフローサイトメトリー(たとえばFACS(登録商標))法を使用して、未標識候補プロタンパク質から検出可能に標識された候補プロタンパク質をソーティングすることができる。フローサイトメトリー法を実行して、さらなるスクリーニング用の第2の集団に分離するために、たとえば「調光機能(dimmer)」を与えるまたは「より明るい」細胞集団を必要とするゲーティングの改変によって、候補プロタンパク質の集団の分離における厳密性の高いまたは低い要件を提供することができる。
【0167】
別の例において、免疫親和性クロマトグラフィーを使用して、標的結合候補プロタンパク質を、標的を結合していないプロタンパク質から分離することができる。たとえば抗標的抗体が結合した支持体(たとえばカラム、磁気ビーズ)を、プロテアーゼおよび結合パートナーに曝露された候補プロタンパク質に接触させることができる。標的が結合された候補プロタンパク質は、抗標的抗体に結合して、それゆえ結合された標的を欠く候補プロタンパク質からの分離を促進する。スクリーニングステップが(たとえば他の候補プロタンパク質に対して)標的結合が比較的低下したまたは検出可能な標的結合を有さない未切断候補プロタンパク質が濃縮された集団を提供するはずである場合、興味のあるサブ集団は、結合した標的に対してシグナルを欠いた、または比較的低下したシグナルを有するメンバである。たとえば免疫親和性技法が結合した標的のこのような負の選択で使用される場合、興味のあるサブ集団は、抗標的支持体に結合されていないサブ集団である。
【0168】
タンパク質の治療的使用
本明細書に記載するプロタンパク質は、提供された切断可能なリンカー−タンパク質の併用による好適な被験体の処置方法での使用のために選択することができる。プロタンパク質の例示的な非制限的な使用は、C型肝炎、および新脈管形成のためである。たとえば(たとえば上記のような)病態に罹患している患者に、治療的有効量のプロタンパク質を投与することができる。
【0169】
プロタンパク質の使用は、未改変または親タンパク質と比較して投薬頻度の低下を可能にすることができる。
【0170】
プロタンパク質は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、および鼻内、ならびに望ましい場合、(たとえば固形腫瘍の部位への)局所注射を含む、いずれの好適な手段によっても投与することができる。非経口投与経路は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与を含む。
【0171】
プロタンパク質の適切な投薬量は、処置される疾患の種類、疾患の重症度および経過、患者の病歴およびプロタンパク質に対する応答、ならびに医師の裁量に依存するであろう。プロタンパク質は患者に、1回または一連の処置で好適に投与することができる。
【0172】
疾患の種類および重症度に応じて、約1ug/kg〜100mg/kg、または少なくとも1ug/kg、5ug/kg、10ug/kg、50ug/kg、100ug/kg、250ug/kg、500ug/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、50mg/kg、または100mg/kgのプロタンパク質は、たとえば1回以上の別個の投与、または連続輸液のどちらによっても、患者への投与のための初期候補投薬量として作用することができる。代表的な1日投薬量は、本明細書で言及するような因子に応じて、約1ug/kg〜100mg/kgまたはそれ以上に及ぶことがある。数日以上にわたる反復投与の場合、処置は病態に応じて、疾患症状の望ましい抑制が起こるまで継続される。しかし他の投薬レジメンは有用であり得る。
【0173】
プロタンパク質組成物は、適正診療規範(good medical practice)と一致する様式で製剤化、投薬および投与されるであろう。本状況における検討のための因子は、処置されている特定の障害、処置されている特定の哺乳動物、個々の患者の病態、障害の原因、プロタンパク質の送達部位、投与方法、投与のスケジューリング、および開業医に公知の他の因子を含む。投与されるプロタンパク質の「治療的有効量」は、このような検討に左右され、疾患または障害を防止、改善、または処置するのに必要な最小量である。
【0174】
一般に、疾患または障害の緩和または処置は、疾患または障害に関連する1つ以上の症状または医学的問題を減らすことを包含する。たとえば癌の場合、治療的有効量の薬剤は、以下:癌細胞の数の低減;腫瘍サイズの低減;周囲器官への癌細胞浸潤の阻害(すなわちある程度までの低下および/または停止);腫瘍転移の阻害;ある程度までの腫瘍増殖の阻害;および/またはある程度までの、癌に関連する症状の1つ以上の軽減;の1つまたは併用を達成することができる。いくつかの実施形態において、本発明の組成物を使用して、被験体または哺乳動物における疾患または障害の開始または再発を防止することができる。
【0175】
プロタンパク質は、公知の副作用を実質的に低減して、公知の薬剤、たとえば表1に挙げたこれらの公知の薬剤の有効性を改善することができる。
【0176】
プロタンパク質は、1つ以上の追加の治療剤または処置方法との併用で(たとえば同じ製剤中または別個の製剤中で)使用することができる(「併用療法」)。プロタンパク質は、別の治療剤と混合して投与することができるか、または別個の製剤として投与することができる。プロタンパク質と併用して投与することができ、処置される病態に従って選択される治療剤および/または治療方法は、外科手術(たとえば癌性組織の外科的除去)、放射線治療、骨髄移植、化学治療処置、前記の併用などを含む。
【0177】
例示的な実施形態
本明細書で提供される組成物およびプロタンパク質は、治療薬および診断薬を含む多様な目的に有用であることができる。
肝臓病態の処置におけるインターフェロンシグナル伝達経路を調節するプロタンパク質の使用
プロタンパク質がインターフェロンシグナル伝達を調節する機能性タンパク質を含有する場合、たとえば機能性タンパク質がIFN−αであるとき、プロタンパク質はC型肝炎ウイルス感染および肝癌(たとえば肝細胞癌に)などの病態の処置に用途が見出される。
【0178】
IFN−αプロタンパク質は、治療剤および/または診断剤として使用することができる。このようなプロタンパク質は、肝臓に同時局在化する切断剤(たとえば酵素、たとえばマトリプターゼ、HCV−NS3/4、プラスミンまたは本明細書で議論するような他の酵素)によって活性化可能であろう。C型肝炎感染の例示的なプロタンパク質は、マトリプターゼ活性化プロ−IFN−αおよびHCV−NS3/4−活性化プロ−IFN−αである。
【0179】
C型肝炎感染の処置および/または診断に有用な例示的なプロタンパク質は、PEG化プロ−インターフェロンアルファ−2aまたは酵素活性化可能のマスクされたPEG化インターフェロンアルファ−2a、たとえばペガシス(登録商標)のプロタンパク質形または酵素活性化可能のマスクされたペガシス(登録商標)であることができる。たとえばプロタンパク質は、活性化可能なマトリプターゼまたはHCV NS3/4であることができる。インターフェロン関連プロタンパク質組成物での使用に利用可能な他の例示的なタンパク質を表1に示す。
【0180】
癌阻害プロタンパク質
癌阻害プロタンパク質は、複数の種類の腫瘍の処置に用途が見出される。
【0181】
プロタンパク質がNotch経路を調節する機能性タンパク質を含有する場合、プロタンパク質は癌、たとえば乳癌および前立腺癌などの病態の処置に用途が見出される。1実施形態において、プロタンパク質は、酵素活性化可能可溶性Notch受容体またはNotch受容体フラグメントを含有することができる。各種の癌の処置のための例示的な酵素活性化可能Notch含有プロタンパク質は、これに限定されるわけではないが、結腸直腸癌の処置のためのレグマイン活性化可能プロ−Notch1、頭部頸部癌の処置のためのレグマイン活性化可能プロ−Notch1、膵臓癌の処置のためのレグマイン活性化可能プロ−Notch1、肺癌の処置のためのレグマイン活性化可能プロ−Notch1、卵巣癌の処置のためのレグマイン活性化可能プロ−Notch1、前立腺癌の処置のためのPSA活性化可能プロ−Notch1、トリプルネガティブ乳癌の処置のためのプラスミン活性化可能プロ−Notch1、結腸直腸癌の処置のためのプラスミン活性化可能プロ−Notch1、頭部頸部癌の処置のためのプラスミン活性化可能プロ−Notch1、膵臓癌の処置のためのプラスミン活性化可能プロ−Notch1、肺癌の処置のためのプラスミン活性化可能プロ−Notch1、卵巣癌の処置のためのプラスミン活性化可能プロ−Notch1、トリプルネガティブ乳癌の処置のためのuPA活性化可能プロ−Notch1、結腸直腸癌の処置のためのuPA活性化可能プロ−Notch1、頭部頸部癌の処置のためのuPA活性化可能プロ−Notch1、膵臓癌の処置のためのuPA活性化可能プロ−Notch1、肺癌の処置のためのuPA活性化可能プロ−Notch1、または卵巣癌の処置のためのuPA−活性化可能プロ−Notch1を含む。
【0182】
新脈管形成阻害プロタンパク質は、新脈管形成の阻害が腫瘍増殖の阻害を提供できるように、被験体(たとえばヒト)における固形腫瘍の、特に腫瘍に供給する関連血管床を有するこのような固形腫瘍の処置に用途が見出される。抗新脈管形成プロタンパク質は、異常新脈管形成の阻害による療法に影響を受けやすい1つ以上の症状を有する他の病態にも用途が見出される。
【0183】
概して、異常新脈管形成は、新たな血管が疾患状態において過剰に、不十分にまたは不適切にのいずれかで増殖するときに(たとえば新脈管形成の位置、タイミングまたは開始が医学的観点から望ましくない)、または異常新脈管形成が疾患状態を引き起こすように起こる。過剰な、不適切なまたは制御されない新脈管形成は、癌、とりわけ血管化固形腫瘍および転移性腫瘍(結腸癌、肺癌(とりわけ小細胞肺癌)、または前立腺癌を含む)、眼内新血管新生によって引き起こされた疾患、とりわけ糖尿病性失明、網膜症、1型糖尿病性網膜症または加齢黄斑変性およびルベオーシス;乾癬、乾癬性関節炎、血管芽細胞腫、たとえば血管腫;炎症性腎疾患、たとえば糸球体腎炎、とりわけメサンギウム増殖性糸球体腎炎、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性腎症または高血圧性腎硬化症;各種の炎症性疾患、たとえば関節炎、とりわけ関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬(psorsasis)、サルコイドーシス、動脈硬化症および移植後に起こる疾患、子宮内膜症または慢性喘息および当業者によってただちに認識される他の病態などの、疾患状態の悪化に寄与するまたは疾患状態を引き起こす新たな血管の増殖があるときに起こる。新たな血管は罹患組織に供給して、正常組織を破壊することができ、癌の場合には、新たな血管によって腫瘍細胞は循環中に流入して、他の器官にとどまることができる(腫瘍転移)。
【0184】
プロタンパク質ベースの抗新脈管形成療法は、移植片拒絶、肺炎、ネフローゼ症候群、子癇前症、心内膜液浸出、たとえば心膜炎に関連する心内膜液浸出、および胸水、望ましくない血管透過性を特徴とする疾患および障害、たとえば脳腫瘍に関連する浮腫、悪性腫瘍に関連する腹水、メーグス症候群、肺炎、ネフローゼ症候群、心内膜液浸出、胸水、心血管疾患、たとえば心筋梗塞および脳卒中後の病態に関連する透過性などの処置にも用途を見出すことができる。
【0185】
本明細書に記載するような抗新脈管形成プロタンパク質を使用して処置され得る他の新脈管形成依存性疾患は、血管線維腫(出血傾向がある異常血管)、新脈管形成緑内障(眼内での血管の増殖)、動静脈奇形(動脈と静脈と間の異常な連通)、癒着不能骨折(治癒しないであろう骨折)、動脈硬化プラーク(動脈の硬化)、化膿性肉芽腫(血管から成るよくある皮膚病変)、強皮症(結合組織疾患の形)、血管腫(血管から成る腫瘍)、トラコーマ(第3世界における失明の主要な原因)、血友病性関節、血管接着および過形成性瘢痕(異常瘢痕形成)を含む。
【0186】
望ましい治療効果を提供するためのプロタンパク質の投与量は、上述の因子などのいくつかの因子によって変化するであろう。概して、癌療法の状況において、治療的有効量のプロタンパク質は、好適な対照と比較したときに、被験体において、新脈管形成を阻害するのに有効であり、それによりたとえば腫瘍負荷であるアテローム性動脈硬化の低減を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、腫瘍の完全な根絶まで促進するのに有効である量である。実験動物系において、好適な対照は、薬剤によって処置されていない遺伝的に同一の動物であり得る。非実験系において、好適な対照は、薬剤投与前に存在した腫瘍負荷であり得る。他の好適な対照はプラセボ対照であり得る。
【0187】
腫瘍負荷が低下したか否かは、これに限定されるわけではないが、固形腫瘍塊の測定;細胞学的アッセイを使用する腫瘍細胞の数のカウント;所与の腫瘍抗原を持つ細胞数を決定するための蛍光活性化細胞ソーティング(たとえば腫瘍関連抗原に特異的な抗体を使用する);腫瘍サイズを推定および/または監視するための、腫瘍のコンピュータ断層撮影スキャン、磁気共鳴撮像、および/またはX線撮像;生体試料、たとえば血液または血清中の腫瘍関連抗原の量の測定などを含む、いずれかの公知の方法を使用して決定することができる。
【0188】
いくつかの実施形態において、方法は好適な対照と比較したときに、腫瘍の増殖速度を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、腫瘍増殖の完全の阻害まで低下させるのに有効である。それゆえこれらの実施形態において、「有効量」のプロタンパク質は、方法は好適な対照と比較したときに、腫瘍の増殖速度を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%、腫瘍増殖の完全阻害まで低下させるのに十分である量である。実験動物系において、好適な対照は、薬剤によって処置されていない遺伝的に同一の動物における腫瘍増殖速度であり得る。非実験系において、好適な対照は、薬剤投与前に存在した腫瘍負荷または腫瘍増殖速度であり得る。他の好適な対照はプラセボ対照であり得る。
【0189】
腫瘍の増殖が阻害されているか否かは、これに限定されるわけではないが、腫瘍増殖のインビボアッセイ;インビトロ増殖アッセイ;3H−チミジン取り込みアッセイなどを含む、いずれかの公知の方法を使用して決定することができる。
【0190】
生体分布の検討
本明細書に記載する組成物の治療能力は、改変機能性タンパク質のより高い生体内分布生体内分布および生物学的利用能を可能にする。本明細書に記載する組成物は、改善された生物学的利用能を有するタンパク質治療薬を提供し、該機能性タンパク質治療薬のその結合パートナーへの結合の親和性は、罹患組織と比較したときに健常組織において低い。ペプチドマスクにカップリングされた機能性タンパク質を含む薬学的組成物は、健常組織よりも罹患組織において、その結合パートナーに対するより高い親和性を提示することができる。好ましい実施形態において、罹患組織での親和性は、健常組織での親和性よりも5〜10,000,000倍高い。例示的な実施形態において、罹患組織における親和性は、健常組織における親和性よりも約10,000倍高い。
【0191】
概説すると、本開示は、改善された生物学的利用能を有するプロタンパク質治療薬を提供し、第1の組織における該治療薬のその結合パートナーへの結合の親和性は、第2の組織における治療薬のその結合パートナーへの結合と比較したときにより低い。各種の実施形態における一例として、第1の組織は健常組織であり、第2の組織は罹患組織である;第1の組織は早期腫瘍であり、第2の組織は後期腫瘍である;第1の組織は良性腫瘍であり、第2の組織は悪性腫瘍である;第1の組織は肝臓組織であり、第2の組織は非肝臓組織である;第1の組織は非感染肝臓組織であり、第2の組織はウイルス感染肝臓組織である;または第1の組織および第2の組織は空間的に隔離されている。第1の組織が健常組織であり、第2の組織が罹患組織である詳細な例において、罹患組織は、腫瘍含有組織、炎症組織、またはウイルス感染組織であることができる。別の詳細な例において、第1の組織は上皮組織であり、第2の組織は乳房、頭部、頸部、肺、膵臓、神経系、肝臓、前立腺、尿生殖器、または子宮組織である。
【0192】
例示的な1実施形態において、本発明は、改善された生物学的利用能を有する、C型肝炎の処置のためのプロタンパク質治療薬を提供する。このようなプロタンパク質はペプチドマスクおよび切断可能なリンカーにカップリングされた機能性タンパク質を含有し、肝臓組織での機能性タンパク質治療薬のその標的への結合の親和性は、非肝臓組織での機能性タンパク質治療薬のその標的への結合と比較したときにより高く、標的はどちらの組織にも存在する。さらにプロタンパク質は、C型肝炎または肝細胞癌に罹った組織においてアップレギュレートされる酵素に特異的な基質、たとえばマトリプターゼまたはHCV NS3/4酵素の基質を含む切断可能なリンカーを含有することができる。
【0193】
薬学的組成物
本開示のプロタンパク質はたとえば、治療的有効量の興味のある活性化可能のマスクされたタンパク質および担体である薬学的に許容され得る賦形剤(薬学的に許容され得る担体とも呼ばれる)を含有する薬学的組成物に組み入れることができる。多くの薬学的に許容され得る賦形剤は当分野で公知であり、一般に投与経路、処置される病態、および当分野で十分に理解されている他のこのような変数に従って選択される。薬学的に許容され得る賦形剤は、たとえばA.Gennaro(2000)“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,”20th edition,Lippincott,Williams,& Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C.Anselら、eds.,7th ed.,Lippincott,Williams,& Wilkins;およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H.Kibbeら、eds.,3rd ed.Amer.Pharmaceutical Assoc.を含む多様な刊行物に詳細に記載されている。薬学的組成物は、他の構成要素、たとえばpH調整剤および緩衝剤、等張化剤、安定剤、湿潤剤なども含むことができる。いくつかの実施形態において、ナノ粒子またはリポソームは、プロタンパク質を含む薬学的組成物を担持する。
【0194】
プロタンパク質の薬学的組成物の好適な構成要素は、マスクされる機能性タンパク質に利用可能であり得る薬学的組成物によって誘導することができる。
【0195】
概して、1つ以上のプロタンパク質の薬学的製剤は貯蔵のために、望ましい純度を有するプロタンパク質を場合により生理学的に許容され得る担体、賦形剤または安定剤を混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液の形で調製される(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))。許容され得る担体、賦形剤または安定剤は、使用される投薬量および濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、緩衝剤、たとえばリン酸、クエン酸、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(たとえばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンズアルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、たとえばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、たとえば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、たとえばポリビニルピロリドン;アミノ酸、たとえばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む、単糖、2糖、および他の炭水化物;キレート剤、たとえばEDTA;糖、たとえばスクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩形成対イオン、たとえばナトリウム;金属錯体(たとえばZn−タンパク質錯体);および/または非イオン性界面活性剤、たとえばツイーン(商標)、プルロニクス(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0196】
インビボ投与に使用される製剤は、滅菌されていなければならない。滅菌は、滅菌濾過膜を通じた濾過によってただちに達成される。薬学的製剤は、処置される特定の適応症のために必要に応じて1を超える活性化合物も含有し得て、該追加の活性化合物は一般に、プロタンパク質に相補的な活性を有する化合物である。
【0197】
薬学的製剤は、多様な投薬形、たとえば全身または局所注射用調製物として提供できる。構成要素は、担体、たとえばマイクロカプセル、たとえばコアセルベーション技法によってまたは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、たとえばそれぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセル剤およびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルの中に、コロイド状薬剤送達システム(たとえばリポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)中にまたはマクロエマルジョン中に提供することができる。このような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0198】
持続放出調製物もプロタンパク質含有製剤の範囲内である。例示的な持続放出調製物は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含むことができ、該マトリクスは成形品、たとえばフィルム、またはマイクロカプセルの形である。持続放出マトリクスの例は、ポリエステル、ハイドロゲル(たとえばポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(U.S.Pat.No.3,773,919)、L−グルタミン酸およびγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−ビニルアセテート、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、たとえばルプロンデポ(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよびロイプロリドアセテートから成る注射用ミクロスフェア)、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。ポリマー、たとえばエチレン−ビニルアセテートおよび乳酸−グリコール酸は分子の放出を100日にわたって可能にするが、あるハイドロゲルはタンパク質をより短期間にわたって放出する。
【0199】
プロタンパク質は、治療目的を果たす活性剤の標的化送達のための送達ビヒクルにコンジュゲートすることができる。たとえばプロタンパク質は、薬剤が中にカプセル化されたまたは薬剤が結合されたナノ粒子またはリポソームにコンジュゲートすることができる。この方式において、薬剤の特異的標的化送達を得ることができる。ポリペプチドのリポソームへの連結方法は当分野で周知であり、このような方法を利用して、リポソーム内容物の標的化およびまたは選択的送達のためにプロタンパク質をリポソームに連結することができる。1例として、ポリペプチドは、チオエーテル結合を介してリポソームに共有的に連結することができる。PEG化ゼラチンナノ粒子およびPEG化リポソームも、ポリペプチド、たとえば単鎖抗体の付着のための支持体として使用されてきた。ポリペプチド、たとえば抗体フラグメントのリポソームへのコンジュゲート方法のその開示のために、参照により本明細書に組み入れられている、たとえばImmordinoら(2006)Int J Nanomedicine.September;1(3):297−315を参照。
【0200】
ある実施形態において、本開示のプロタンパク質は、保護鎖、たとえばPEGもしくはmPEG、またはいずれかのアルキル−PEGにさらにコンジュゲートされる。これらのコンジュゲートは、非特異的インビボ加水分解切断に対する感受性がより低く、インビボ半減期の延長を有し、機能性タンパク質の免疫原性を低減すると同時に生物活性を維持するであろう。
【0201】
プロタンパク質の非治療的使用
プロタンパク質は、診断方法および/または撮像方法でも使用できる。たとえば、酵素的に切断可能なリンカーを有するプロタンパク質を使用して、切断可能なリンカーの切断が可能である酵素の存在または非存在を検出することができる。このようなプロタンパク質は診断に使用することができ、該診断は、所与の宿主生物の所与の組織における活性化プロタンパク質の蓄積の測定を通じた、興味のある結合パートナーの存在を伴う酵素活性のインビボ検出(たとえば定性的または定量的)を含む。
【0202】
たとえば切断可能なリンカーは、腫瘍部位にて、(たとえば膿瘍、器官などにおける)生物学的に閉鎖された部位でのウイルスまたは細菌感染部位にて見出される酵素の酵素基質として選択することができる。当業者が精通した方法を使用して、検出可能な標識(たとえば蛍光標識)を機能性タンパク質またはプロタンパク質の他の領域にコンジュゲートすることができる。疾患標的に特異的な機能性タンパク質を、興味のある疾患組織にて活性が上昇する酵素と共に使用して、プロタンパク質は、切断可能なリンカーに特異的な酵素が検出可能なレベルで存在しない、または罹患組織よりも低いレベルで存在する組織と比較して、罹患組織に対する結合速度の向上を呈することができる。非罹患組織では切断可能なリンカーに特異的な酵素が検出可能なレベルで存在しない(またはより低いレベルで存在する)ため、罹患組織での活性化プロタンパク質の蓄積は、非罹患組織と比較して増大している。
【0203】
診断剤として使用できる検出可能な標識の非制限的な例はインジウムまたはテクネチウムなどの放射性同位体を含有する撮像剤;ヨウ素、ガドリニウムまたは酸化鉄を含む、MRIおよび他の用途のための造影剤;酵素、たとえばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはβ−ガラクトシダーゼ;蛍光物質およびフルオロフォア、たとえばGFP、ユウロピウム誘導体;発光物質、たとえばN−メチルアクリジウム誘導体などを含む。
【実施例】
【0204】
(実施例1)
ペプチドライブラリのスクリーニングおよびIFN−αに特異的なペプチドマスクの同定
インターフェロン−α(IFN−α)のペプチドマスクを同定するために、ペプチドライブラリをスクリーニングした。IFN−αを使用してランダム15×ペプチドライブラリをスクリーニングした。ここでXは、総多様性は5×1010である、いずれかのアミノ酸である。スクリーニングは、最初のラウンドのMACS(磁気活性化細胞ソーティング)と、続いての4ラウンドのFACS(蛍光活性化細胞ソーティング)から成った。最初のMACSおよび3ラウンドのFACSは、500nMの濃度のビオチン化IFN−αによって行った。MACSの場合、約1×1011個の細胞の結合をスクリーニングして、3.4×10個の細胞を収集した。ニュートラアビジン−PEを最初のFACSラウンドの蛍光プローブとして使用した。FACS選択の4回目のラウンドは、500nMダイライト標識IFN−α(ダイライト−IFN−α)を用いて行った。FACSソーティングの3回目および4回目のラウンドを図2に、ダイライト−IFN−αで標識して示す。
【0205】
例示的な結合ペプチドを下の表3に示す。
【0206】
表3:IFN−α結合ペプチド
【0207】
【表3】

(実施例2)
プロ−IFN−αの構築および発現
PhoA制御の下でのインターフェロン−αの構築:ヒトインターフェロン−α遺伝子をOpen Biosystemsから購入した。IFN−αをファージミド(Phagmid)X(PhoA駆動細菌発現ベクター)中に以下の方式でクローニングした。IFN−αはプライマーCX0573およびCX0566を使用して増幅した。PhoAプロモータをファージミド(Phagmid)Xから、プライマーCX0571およびCX0572を使用して増幅した。これらの2つの重複生成物を1つのポリメラーゼ連鎖反応で合せて、プライマーCX0581およびCX0572を使用して増幅した。HindIIIおよびEcoRI制限部位を使用して、最終生成物をファージミド(Phagmid)X中にクローニングした。
【0208】
PhoA制御下でのマスクされたインターフェロン−αの構築:GGSリンカーを有し、プロテアーゼ基質を有さないマスク受容ベクターを以下のように構築した。重複フォワードプライマーCX0577、CX0579、およびCX0580をリバースプライマーCX0566と共に使用して、GGSリンカーおよびマスク受容部位を有するIFN−α cDNAを増幅した。BamHIおよびEcoRI制限部位を使用して、ファージミドXベクターを含有するSTII中に本生成物をクローニングした。本ベクターを次に、MMP−9基質含有ベクターの構築のためにテンプレートとして使用した。2つの重複PCR生成物を、プライマー対CX0573/CX0612およびCX0611/CX0566を使用して増幅した。これらの2つの生成物をPCR中で合せ、プライマーCX0573およびCX0566によって増幅して、HindIIIおよびEcoRI制限部位を使用してファージミドX中にクローニングした。
【0209】
SfiIおよびXhoI部位を使用して、IFN−αペプチドマスクをMMP−9プロタンパク質ベクター中にクローニングした。次に47および49ペプチドマスク(表3)をCX0289/CX0448およびCX0582/CX0583をそれぞれ使用して、指摘された細菌提示マスキングペプチドをコードするecpX3.0クローンを用いて増幅した。CX0582/CX0583プライマー対は、49マスキングペプチドのCysをSerに突然変異させて、マスキングペプチド49CSを作った(表3)。
【0210】
表4:マスクされたIFN−αの構築のためのプライマー配列
【0211】
【表4】

インターフェロン−αの発現および封入体の精製:インターフェロンおよびプロ−インターフェロン−α構築物は、PhoAプロモータの制御下で大腸菌の細胞質中で発現した。封入体は以下のように精製した:新たな一晩培養物1リットルからの細菌をリン酸制限培地(1リットル当り=(NHSO 3.57g、クエン酸Na−2HO 0.71g、KCl 1.07g、酵母抽出物5.36g、ハイケースSF−シェフィールド5.36g、KOHによってpHを7.3に調整、体積を872mlに調整、オートクレーブ処理。オートクレーブ後に110ペプチドマスクMOPS pH7.3、0.5%グルコース、7uM MgSOおよび50ug/mlカルベニシリンを補った)中で培養した。培養物をペレット化して、次にBPERII(Pierce)20mLによって溶解させた。溶解物を14,000×gにて遠心分離して、上清を廃棄した。次にペレットを1:10 BPERII対水の溶液に再懸濁させて、リソザイム720KuおよびDNAseI 40Kuを添加し、溶解物を室温にて1時間インキュベートした。溶解物を14,000×gにて遠心分離して、封入体(IB)を1:20 BPERII中で追加時間洗浄した。ペレット化された封入体をさらに使用するまで−20℃にて貯蔵した。
【0212】
インターフェロン−αの精製および再折畳み:培養物1リットルから単離した封入体をIB可溶化緩衝液(50ペプチドマスクTris、8M尿素、1ペプチドマスクTCEP、pH8.0)20mLに溶解させた。溶解したタンパク質をNi−NTAカラム(Qiagen)に添加する前に、不溶性タンパク質を遠心分離によって除去した。結合タンパク質をIB可溶化緩衝液5mL、続いてTCEPの代わりに5ペプチドマスクβ−メルカプトエタノールを含むIB可溶化緩衝液5mLによって洗浄した。精製されたタンパク質を溶離緩衝液(0.2Mグリシン、8M尿素、pH3.0)によって溶離して、撹拌されている冷却再折畳み緩衝液(0.75Mアルギニン、0.055%PEG(w/v)、2.2mM CaCl、2.2mM MgCl、55mMトリス、0.44mM KCL、10.56M NaCl、4mM還元グルタチオン、0.4mM酸化グルタチオン、pH7.5)100mLに滴加様式で添加した。一定の低速で撹拌しながら、再折畳みを4℃にて一晩進行させた。再折畳みの後、タンパク質をPBS中へ広範に透析してから、Ni−NTAカラムに加えた。結合タンパク質をPBSで洗浄し、イミダゾール(Imidizole)溶離緩衝液(50mMトリス、300mM NaCl、250mMイミダゾール(Imidizole))で溶離した。Amicon遠心濃縮装置を使用して、精製タンパク質を濃縮して、緩衝液をPBS、pH7.4に交換した。
【0213】
(実施例3)
プロ−IFN−αマスキングおよびアンマスキングの分析
プロ−IFN−αのマスキングを実証するために、再折畳みタンパク質の47−MMP−IFN−αまたは49−MMP−IFN−αをMMP−9消化緩衝液(50mMトリス、20mM NaCl、2mM CaCl、100μM ZnCl、pH6.82)中1:1で希釈して、試料の半分をMMP−9約35ユニットで37℃にて3時間消化した。続いて消化および非消化物質60、40、20、および6.6μLをPBS−T(PBS、0.05% ツイーン、pH7.4)中の2%脱脂粉乳400μLに添加して、記載するようにELISAで分析した:
インターフェロンELISA:組換えインターフェロン受容体1−Fc(IFNR1−Fc)融合タンパク質(R&D Systems)を使用してIFN−α結合を検出した。簡潔には、ELISAプレートに受容体をPBS中5μg/mLの濃度でRTにて1時間吸収させた。次にウェルをPBS−T中2%脱脂粉乳でRTにて1時間遮断した。3つの濃度60、40、20および6.6nMのインターフェロン−αをウェルのPBS−T中2%脱脂粉乳100μLに添加した。ウェルをPBS−Tで3回洗浄して、インターフェロンを、ウェル当りPBS−T中の2%脱脂粉乳100uL中の力価1:2000の抗muFc−HRPコンジュゲート(Fisher)と混合した力価1:1000の抗Hisモノクローナル抗体(Invitrogen)によって検出した。ELISAを製造者のプロトコルに従って、TMB(Pierce)100μLによって展開させた(図3)。図3は、MMP−9による処置前後の、2つのプロ−インターフェロン−α分子、プロ−インターフェロン−α−47(表7および8)およびプロ−インターフェロン−α−49CS(表8および9)の結合を示す。図3の最初の4本の棒(細かいチェック柄)は、処置前にプロ−インターフェロン−α−49CSはIFNRAに結合できないが、マスク49CSのMMP−9除去後には、得られたIFN−α(2組目の4本の棒、図、大きいチェック柄)分子がIFNRAに結合することを示す。対照的にマスク47は、プロ−インターフェロン−α−47中に包含されているときに、IFNRAへのIFN−α結合を弱く遮断して(図3、3組目の棒、水平線)、これはMMP9を用いた処置によって回復される(図3、最後の4本の棒、垂直線)。
【0214】
表5:インターフェロン−αのヌクレオチド配列
【0215】
【表5】

表6:インターフェロン−αのアミノ酸配列:
括弧は各種の配列ドメイン間の境界を表す:(IFN−α)−(親和性タグ)
【0216】
【表6】

表7:プロ−インターフェロン−α−47のヌクレオチド配列
【0217】
【表7】

表8:プロ−インターフェロン−α−47のアミノ酸配列
括弧は各種の配列ドメイン間の境界を表す:
(リンカー)−(マスキングペプチド)−(リンカー)−(MMP−9基質)−(リンカー)−(IFN−α)−(親和性タグ)
【0218】
【表8】

表9:プロ−インターフェロン−α−49CSのヌクレオチド配列
【0219】
【表9】

表10:プロ−インターフェロン−α−49CSのアミノ酸配列
括弧は各種の配列ドメイン間の境界を表す:
(リンカー)−(マスキングペプチド)−(リンカー)−(MMP−9基質)−(リンカー)−(IFN−α)−(親和性タグ)
【0220】
【表10】

【0221】
(実施例4)
候補基質およびペプチドマスクを提示するマトリプターゼまたはHCV NS3/4活性化可能IFN−αプロタンパク質ライブラリの構築および試験
望ましい活性化特徴(すなわち切断配座にあるときのIFNRA受容体結合と比べた、未切断配座にあるときのそのIFNRA受容体への結合の低下)を有するIFN−αプロタンパク質を同定するために、可変マトリプターゼまたはHCV NS3/4切断可能なリンカーおよびペプチドマスク中の異なる可変アミノ酸配列およびペプチドマスク中のシステインの各種位置を有する候補IFN−αプロタンパク質が生成された。
【0222】
マトリプターゼおよびHCV NS3/4のコンセンサス配列をここで表11〜12に与える。
【0223】
表11:マトリプターゼコンセンサス配列
【0224】
【表11】

表12:HCV NS3/4コンセンサス配列
【0225】
【表12】

インターフェロン−αの精製および再折畳み:培養物1リットルから単離した封入体をIB可溶化緩衝液(50ペプチドマスク トリス、8M尿素、1ペプチドマスクTCEP、pH8.0)20mLに溶解させた。溶解したタンパク質をNi−NTAカラム(Qiagen)に添加する前に、不溶性タンパク質を遠心分離によって除去した。結合タンパク質をIB可溶化緩衝液5mL、続いてTCEPの代わりに5ペプチドマスクβ−メルカプトエタノールを含むIB可溶化緩衝液5mLによって洗浄した。精製されたタンパク質を溶離緩衝液(0.2Mグリシン、8M尿素、pH3.0)によって溶離して、撹拌されている冷却再折畳み緩衝液(0.75Mアルギニン、0.055%PEG(w/v)、2.2mM CaCl、2.2mM MgCl、55mMトリス、0.44mM KCL、10.56M NaCl、4mM還元グルタチオン、0.4mM酸化グルタチオン、pH7.5)100mLに滴加様式で添加した。一定の低速で撹拌しながら、再折畳みを4℃にて一晩進行させた。再折畳みの後、タンパク質をPBS中へ広範に透析してから、Ni−NTAカラムに加えた。結合タンパク質をPBSで洗浄し、イミダゾール(Imidizole)溶離緩衝液(50mMトリス、300mM NaCl、250mMイミダゾール(Imidizole))で溶離した。Amicon遠心濃縮装置を使用して、精製タンパク質を濃縮して、緩衝液をPBS、pH7.4に交換した。
【0226】
プロ−IFN−αのマスキングを実証するために、再折畳みタンパク質のマスク−マトリプターゼ−IFN−αまたはマスク−HCV NS3/4−IFN−αを消化緩衝液(50mMトリス、20mM NaCl、2mM CaCl、pH7.2)中1:1で希釈して、試料の半分をマトリプターゼまたはHCV NS3/4約20nMで37℃にて3時間消化した。続いて消化および非消化物質60、40、20、および6.6μLをPBS−T(PBS、0.05%ツイーン、pH7.4)中の2%脱脂粉乳400μLに添加して、以下に記載するようにELISAで分析した。
【0227】
インターフェロンELISA:組換えインターフェロン受容体1−Fc(IFNR1−Fc)融合タンパク質(R&D Systems)を使用してIFN−α結合を検出した。簡潔には、ELISAプレートに受容体をPBS中5μg/mLの濃度でRTにて1時間吸収させた。次にウェルをPBS−T中2%脱脂粉乳でRTにて1時間遮断した。インターフェロン−αをウェルのPBS−T中の2%脱脂粉乳100μLに添加した。ウェルをPBS−Tで3回洗浄して、インターフェロンを、ウェル当りPBS−T中の2%脱脂粉乳100uL中の力価1:2000の抗muFc−HRPコンジュゲート(Fisher)と混合した力価1:1000の抗Hisモノクローナル抗体(Invitrogen)によって検出した。ELISAを製造者のプロトコルに従って、TMB(Pierce)100μLによって展開させた。
【0228】
IFN−αマスキング効率アッセイ:IFNR−αを、ELISAプレートのウェルに約4℃にて一晩吸収させる。プレートをPBS中の2%脱脂粉乳(NFDM)約150ul、約0.5%V/Vツイーン20(PBST)の添加によって遮断して、室温にて約1時間インキュベートする。プレートをPBSTで3回洗浄する。プロテアーゼ阻害薬(Complete,Roche)を補ったスーパーブロック(Thermo Scientific)約50ulを添加する。プロテアーゼ阻害薬(Complete、Roche)を含むスーパーブロックに溶解させたプロ−IFN−αの溶液約50ulを添加して、約37℃にて望ましい時間にわたってインキュベートする。プレートをPBSTで約3回洗浄する。2%NFDM/PBST中の抗His−HRP約100ulを添加して、室温にて約1時間インキュベートする。プレートをPBSTで約4回、PBSで約2回洗浄する。製造者の指示に従ってTMB(Thermo Scientific)を使用して、アッセイを展開させる。効率的にマスクされたプロ−IFN−αは、アンマスクされたIFN−αで観察された結合の10%未満を示すことが予想されるであろう。
【0229】
(実施例5)
マスクされた可溶性プラスミンまたはMMP−9活性化可能Notch受容体タンパク質の構築
マスクされたプラスミン−活性化可能可溶性Notch受容体フラグメントおよびマスクされたMMP9−活性化可能可溶性Notch受容体フラグメントを構築するための配列が本実施例で供給される。これらのプロタンパク質は、付着ペプチドマスクのために正常条件下で不活性である。細菌細胞表面提示を使用して、可溶性Notch受容体タンパク質の好適なペプチドマスクを見出す。本実施例において、選択されたペプチドマスクは、酵素媒介活性化の後の標的化結合に適するようになるプロタンパク質構築物を作るための誘因として使用されるプラスミンまたはMMP−9酵素基質のどちらかと併用される。
【0230】
ヒトNotch1 EGF様ドメイン11−13(hN111−13)をコードする遺伝子は、重複オリゴヌクレオチドCX509−CX528(表13)のPCRアセンブリで構築され、EcoRI/BglIIによって消化され、EcoRI/BglIIによって消化されたpINFUSE−hIgG1−Fc2(InvivoGen)にリゲーションされた。得られたプラスミドを、ヒトIgG1のFcドメインに融合されたhN111−13(hN111−13−hFc)のCHO−S発現に使用した。hN111−13−hFcを細胞培養上清からタンパク質Aクロマトグラフィーによって精製して、標準プロトコル後にPEG−ビオチンまたはダイライト488(Thermo Pierce)によって標識した。
【0231】
表13:hN111−13の構築に使用したオリゴヌクレオチド
【0232】
【表13】

大腸菌表面に提示された15ランダムアミノ酸を含有するペプチドのライブラリを、hN111−13−hFcを結合するペプチドをスクリーニングするために使用した。0.04%アラビノースによって37℃にて45分間誘導されたおおよそ1.5×1011個のライブラリ細胞は、2mM CaClおよび0.5%ウシ血清アルブミン(TBS−Ca−B)を含むトリス−緩衝食塩水(50mMトリス−HCl ph7.4、150mM NaCl)中の10個のSAコート磁気ビーズ(Invitrogen Dynabeads MyOne SA−C1)でインキュベートすることによって、ストレプトアビジン(SA)バインダを消耗させた。次に磁石を使用して磁気ビーズを除去して、残存する細胞集団をNHS−PEG−ビオチンによってビオチン化された300nM hN111−13−hFc(Thermo Pierce)(hN111−13−hFc−biot)および大腸菌結合抗体(hIgG)が消耗された5μMプールヒトIgGと混合した。細胞をTBS−Ca−Bで洗浄して、10個のSAコートビーズおよび5μM hIgGでインキュベートした。次にビーズを3回洗浄し、LB培地で1晩インキュベートして、hN111−13−hFc−結合集団を増幅させた。磁気選択の2回目のラウンドを、1回目のラウンドの濃縮集団から3×10個の細胞、600nM hN111−13−hFc−biot、10μM hIgG、および5×10個のSAコートビーズから開始して、1回目のラウンドと同様に行った。
【0233】
2ラウンドの磁気的選択の後、スクリーニングの残りのラウンドをBecton Dickinson FACSAriaフローサイトメータで行った。FACSの1回目のラウンドにおいて、誘導された細胞を500nM hN111−13−hFc−biot、TBS−Ca−B中の10μM hIgGでインキュベートして、洗浄し、10nMの蛍光2次標識ニュートラアビジン−フィコエリトリン(NAPE)(Invitrogen)によってインキュベートしてから、蛍光標識細胞をフローサイトメトリーによってソーティングした。一晩増殖させた1回目のラウンドのFACS集団から増幅された細胞を誘導して、1回目のラウンドと同じ標識条件を用いて、または代わりに50nM hN111−13hFc−biotを使用して、2回目のラウンドのソーティングを受けさせた。3回目のラウンドのソーティングは、2回目のラウンドと同様に、しかし100nM hN111−13−hFc−biotを用いて、2次標識ステップで27nM Ypet−Mona−SH3を添加して実行した。Mona−SH3は、N末端のランダムペプチドとは無関係に、提示骨格のC末端でエピトープを結合する。次に、個々の細胞での骨格提示レベルの相違を正規化するために、細胞を576nm蛍光(すなわちNAPE結合)の530nm蛍光(すなわちYpet−Mona結合)に対する比に基づいてソーティングした。
【0234】
代わりに、3回目のラウンドのソーティングを、誘導された細胞をTBS−Ca−B中の10nMまたは代わりに50nM非ビオチン化hN111−13−hFcによってインキュベートしてから洗浄し、蛍光2次20μg/ml抗hIgG−ダイライト−488によって標識して、530nm蛍光に基づいてソーティングすることによって実行した。3回目のラウンドのソーティングも、ダイライト−488(Thermo Pierce)によって蛍光標識された50nMまたは250nM hN111−13−hFc(hN111−13−hFc−Dy488)のどちらか、および10μM hIgGを用いて、2次標識をせずに実行した。エンコードされたペプチドの配列を発見するために、hN111−13−hFc結合が濃縮されたFACSの3回目のラウンドの集団に由来するコロニーをプラスミド配列決定に使用した。
【0235】
個々のクローンは、TBS−Ca−B中の誘導された細胞を(A.)50nM hN111−13−hFc−biotまたは(B.)100nM 50nM hN111−13−hFc−biot、続いて10nMストレプトアビジン−R−フィコエリトリン(SAPE)によって標識することによって、hN111−13−hFc結合についてフローサイトメトリーで試験を行った。細胞を27nM Ypet−Monaによって個別に標識して、ペプチド提示レベルを測定した。提示骨格のみ(ecpX3)を負の対照として使用した。クローンJag−ecpX3およびRJag−ecpX3は、Notch111−13を結合することが示されているJAG1のフラグメントおよび突然変異フラグメントをそれぞれ提示する。(表14および図4)。図4は、hN111−13−hFc結合についてフローサイトメトリーにより、TBS−Ca−B中の誘導された細胞に100nM hN111−13−hFc−biot、続いて10nMストレプトアビジン−R−フィコエリトリン(SAPE)によって標識することによって試験され、骨格の提示レベルに基づいて正規化された個々のクローンを示す。クローンecpX3は骨格のみを提示し、クローンJag−ecpX3はNotch1に結合することが公知であるJagged1(RVTCDDYYYGFGCNKFGRPA)に由来するペプチドを提示する。ライブラリスクリーニングから得られるクローンは、Jagged1由来ペプチドよりも良好にhN111−13−hFcを結合する。
【0236】
表14:2ラウンドの磁気選択および3ラウンドのFACSの後のhN111−13−hFcへのバインダ
【0237】
【表14】

表15:可溶性Notch受容体フラグメントのヌクレオチド配列
【0238】
【表15】

表16:可溶性Notch受容体フラグメントのアミノ酸配列
【0239】
【表16】

表17:ヌクレオチド配列プラスミン活性化可能マスクされた可溶性Notch受容体フラグメント
【0240】
【表17】

表18:アミノ酸配列プラスミン活性化可能マスクされた可溶性Notch受容体フラグメント
括弧は各種の配列ドメイン間の境界を表す:
(ペプチドマスク)−(リンカー)−(プラスミン基質)−(GGリンカー)−(可溶性Notch受容体フラグメント)
【0241】
【表18】

表19:ヌクレオチド酸配列MMP9活性化可能マスクされた可溶性Notch受容体フラグメント
【0242】
【表19】

表20:アミノ酸配列MMP9活性化可能マスクされた可溶性Notch受容体フラグメント
括弧は各種の配列ドメイン間の境界を表す:
(ペプチドマスク)−(リンカー)−(MMP9基質)−(GGリンカー)−(可溶性Notch受容体フラグメント)
【0243】
【表20】

本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されたが、このような実施形態が一例としてのみ提供されることは当業者に明らかになろう。当業者ならば本発明から逸脱することなく、多くの変形、変更、および置換をここで思いつくであろう。本明細書に記載する本発明の実施形態の各種の選択肢が本発明の実施で使用され得ることが理解されるべきである。以下の請求項が本発明の範囲を定義して、これらの請求項およびその均等物の範囲内の方法および構造物がそれに含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体でも抗体フラグメントでもない機能性タンパク質を含む組成物であって、該機能性タンパク質が、(i)該機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害し、(ii)該結合パートナーのアミノ酸配列を有さない、ペプチドマスクにカップリングされている、組成物。
【請求項2】
前記機能性タンパク質が、切断されることが可能である切断可能なリンカーにさらにカップリングされ、それにより、(i)未切断状態では、前記ペプチドマスクが該機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害し、(ii)切断状態では、該ペプチドマスクが該機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記切断可能なリンカーは、酵素によって特異的に切断することが可能であり、還元剤によって還元することが可能であり、または光分解することが可能である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ペプチドマスクにカップリングされた前記機能性タンパク質が組換え発現されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ペプチドマスクが前記機能性タンパク質にとって固有のものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ペプチドマスクが前記機能性タンパク質からいったんアンカップリングすると、治療効果を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ペプチドマスクの長さが8〜15アミノ酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ペプチドマスクがその結合パートナーに対して50%未満のアミノ酸配列相同性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ペプチドマスクが50%未満の遺伝的にコードされていないアミノ酸を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記遺伝的にコードされていないアミノ酸がD−アミノ酸、β−アミノ酸、またはγ−アミノ酸である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記機能性タンパク質が全長タンパク質、全長タンパク質の機能性フラグメント、球状タンパク質、繊維状タンパク質、またはマルチマータンパク質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記機能性タンパク質がリガンドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記リガンドがインターフェロンタンパク質である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記インターフェロンタンパク質がI型インターフェロン、II型インターフェロン、およびIII型インターフェロンから成る群より選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
インターフェロンタンパク質がIFN−α、IFN−β、IFN−ω、およびIFN−γから成る群より選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
インターフェロンタンパク質がIFN−αである、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記ペプチドマスクが表3に示す配列から選択された配列または少なくともその90%の相同性を有する配列を含有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記ペプチドマスクがコンセンサス配列TDVDYYREWXXXXXXXXを含有する、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
IFN−αタンパク質が2a、2b、およびcon1から成る群より選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記結合パートナーが前記インターフェロンタンパク質の受容体である、請求項13に記載の組成物。
【請求項21】
前記インターフェロンタンパク質の前記受容体がIFNAR、IFNAR1、IFNAR2、IFNGR、およびIFNLR1から成る群より選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記機能性タンパク質が可溶性膜タンパク質またはその機能性フラグメントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記機能性タンパク質が可溶性受容体またはそのフラグメントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記機能性タンパク質が受容体タンパク質の細胞外ドメインまたはそのフラクションである、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記ペプチドマスクが前記可溶性受容体のそのリガンドへの結合を阻害する、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記ペプチドマスクが前記受容体のリガンド結合ドメインを阻害する、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記受容体がNotchである、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
前記Notch受容体がNotch1、Notch2、Notch3およびNotch4から成る群より選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記リガンドがDLL1、DLL3、DLL4、Jagged1およびJagged2から成る群より選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項30】
前記ペプチドマスクが表14に示す配列から選択された配列または少なくともそれの90%相同性を有する配列を含有する、請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
前記切断可能なリンカーが表2の基質から選択された酵素の基質である、請求項2に記載の組成物。
【請求項32】
前記切断可能なリンカーがマトリプターゼ、プラスミン、MMP−9、uPA、HCV−NS3/4、PSA、およびレグマインから成る群より選択された酵素の基質である、請求項2に記載の組成物。
【請求項33】
前記切断可能なリンカーがマトリプターゼまたはHCV−NS3/4の基質である、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
マトリプターゼ基質のコンセンサス配列がXXQAR(A/V)XまたはAGPRを含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
HCV−NS3/4基質のコンセンサス配列がDEXXXC(A/S)またはDLXXXT(A/S)を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項36】
MMP−9基質の配列がVHMPLGFLGPを含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項37】
プラスミン基質の配列がQGPMFKSLWDを含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項38】
免疫グロブリンのFc領域をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項39】
前記ペプチドマスクの前記機能性タンパク質への前記カップリングが非共有結合である、請求項1に記載の組成物。
【請求項40】
前記ペプチドマスクが前記機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合をアロステリックに阻害する、請求項1に記載の組成物。
【請求項41】
前記ペプチドマスクが前記機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を立体的に阻害する、請求項1に記載の組成物。
【請求項42】
前記ペプチドマスクの前記機能性タンパク質への結合親和性が、前記結合パートナーの該機能性タンパク質への結合親和性よりも低い、請求項1に記載の組成物。
【請求項43】
前記ペプチドマスクの前記機能性タンパク質に対する解離定数(K)が、該機能性タンパク質のその結合パートナーに対するKの少なくとも100倍高い、請求項1に記載の組成物。
【請求項44】
前記ペプチドマスクの前記機能性タンパク質に対するKが約5nMよりも低い、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記組成物が前記切断可能なリンカーを切断することができる酵素の存在下にないとき、該組成物が該切断可能なリンカーを切断することができる該酵素の存在下にあり、該ペプチドマスクが該機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を阻害しないときと比較した場合に、該ペプチドマスクが該機能性タンパク質のその結合パートナーへの結合を少なくとも90%阻害する、請求項3に記載の組成物。
【請求項46】
前記切断可能なリンカーが酵素により、少なくとも5×10−1Sの速度にて特異的に切断されることができる、請求項3に記載の組成物。
【請求項47】
治療的有効量の請求項2に記載の組成物および薬学的に許容され得る賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項48】
疾患または障害を処置する方法であって、それを必要とする被験体に治療的有効量の請求項47に記載の薬学的組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項49】
前記疾患または障害が癌である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記疾患または障害が肝臓病態である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記肝臓病態がC型肝炎感染または肝細胞癌である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
哺乳動物被験体の新脈管形成を阻害する方法であって、それを必要とする被験体に治療的有効量の請求項47に記載の薬学的組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項53】
複製可能な生物学的実体の表面に提示された、複数の活性化可能機能性タンパク質の候補を含むライブラリ。
【請求項54】
前記機能性タンパク質がインターフェロンまたは可溶性Notch受容体タンパク質である、請求項53に記載のライブラリ。
【請求項55】
a.複製可能な生物学的実体のゲノム中にペプチドマスクをそれぞれコードする組換えDNA構築物のコレクションを導入して、該導入が複製可能な組換え生物学的実体を産生する工程と;
b.該複製可能な組換え生物学的実体を候補ペプチドマスクの発現および提示に好適な条件下で培養する工程と;
を含む、候補ペプチドマスクのライブラリを作製する方法。
【請求項56】
候補ペプチドマスクがインターフェロンタンパク質または可溶性Notch受容体を結合する能力についてスクリーニングされる、請求項64に記載の方法。
【請求項57】
前記インターフェロンタンパク質がプロ−IFN−αである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
ペプチドマスクのスクリーニング方法であって、
a.複数の候補ペプチドマスクを機能性タンパク質と接触させる工程と;
b.メンバのうちの第1の集団を機能性タンパク質によってスクリーニングする工程を含み;
該方法がペプチドマスクの選択を提供する、方法。
【請求項59】
候補ペプチドマスクがインターフェロンタンパク質または可溶性Notch受容体を結合する能力についてスクリーニングされる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記インターフェロンタンパク質がプロ−IFN−αである、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
ペプチドマスクにカップリングされた活性化可能機能性タンパク質のスクリーニング方法であって、
a.候補の活性化可能タンパク質の複数を、該機能性タンパク質を結合することが可能な結合パートナーおよび該活性化可能タンパク質の切断可能なリンカーを切断することが可能な酵素と接触させる工程と;
b.該酵素の存在下で該結合パートナーに結合する該複数のメンバのうちの第1の集団をスクリーニングする工程と;
c.該第1の集団を該結合パートナーと該酵素の非存在下で接触させる工程と;該第1の集団を消耗させることによって、該第1の集団から、メンバのうちの第2の集団を、該酵素の非存在下で該結合パートナーを結合するメンバについてスクリーニングする工程を含み;
該方法が、該酵素の存在下で結合する結合パートナーと比較して、該酵素の非存在下でその結合パートナーへの結合の低下を呈する活性化可能機能性タンパク質の候補の選択を提供する、方法。
【請求項62】
候補ペプチドマスクがインターフェロンタンパク質または可溶性Notch受容体を結合する能力についてスクリーニングされる、請求項64に記載の方法。
【請求項63】
前記インターフェロンタンパク質がプロ−IFN−αである、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
ペプチドマスクにそれぞれカップリングされた活性化可能機能性タンパク質の候補のライブラリを作製する方法であって、
a.複製可能な生物学的実体のゲノム中に、複数の活性化可能機能性タンパク質の候補をコードする組換えDNA構築物のコレクションを導入して、該導入が複製可能な組換え生物学的実体を産生する工程と;
b.該複製可能な組換え生物学的実体を、該活性化可能機能性タンパク質の候補の発現および提示に好適な条件下で培養する工程を含む方法。
【請求項65】
活性化可能機能性タンパク質の候補が、そのカップリングされたペプチドマスクの配列において異なる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記機能性タンパク質がインターフェロンまたは可溶性Notch受容体タンパク質である、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
ペプチドにカップリングされた活性化可能機能性タンパク質のスクリーニング方法であって、
a.候補の活性化可能タンパク質の複数を、該機能性タンパク質を結合することが可能な結合パートナーおよび該活性化可能タンパク質の切断可能なリンカーを切断することが可能な酵素と接触させる工程と;
b.該酵素の存在下で該結合パートナーに結合する該複数のメンバのうちの第1の集団をスクリーニングする工程と;
c.該第1の集団を該結合パートナーと、該酵素の非存在下で接触させる工程と;該第1の集団を消耗させることによって、該第1の集団から、メンバのうちの第2の集団を、該酵素の非存在下で該結合パートナーを結合するメンバについてスクリーニングする工程とを含み;
該方法が該酵素の存在下で結合する結合パートナーと比較して、該酵素の非存在下でその結合パートナーへの結合の低下を呈する活性化可能機能性タンパク質の候補の選択を提供する、方法。
【請求項68】
前記機能性タンパク質がインターフェロンまたは可溶性Notch受容体タンパク質である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
請求項2に記載の組成物をコードするベクター。
【請求項70】
前記機能性タンパク質がインターフェロンタンパク質または可溶性Notch受容体タンパク質である、請求項69に記載のベクター。
【請求項71】
マトリプターゼによる切断が可能な基質を含む改変IFN−αタンパク質。
【請求項72】
HCV−NS3/4による切断が可能な基質を含む改変IFN−αタンパク質。
【請求項73】
マトリクスメタロプロテイナーゼによる切断が可能な基質を含む改変可溶性Notch受容体タンパク質。
【請求項74】
プラスミンによる切断が可能な基質を含む改変可溶性Notch受容体タンパク質。
【請求項75】
レグマインによる切断が可能な基質を含む改変可溶性Notch受容体タンパク質。
【請求項76】
uPAによる切断が可能な基質を含む改変可溶性Notch受容体タンパク質。
【請求項77】
PSAによる切断が可能な基質を含む改変可溶性Notch受容体タンパク質。
【請求項78】
ペプチドマスクおよび切断可能なリンカーにカップリングされた機能性タンパク質を含む、改善された生物学的利用能を有するC型肝炎処置のためのタンパク質治療薬であって、該タンパク質治療薬のその標的に対する結合親和性が、非肝臓組織における該タンパク質治療薬のその標的への結合と比較したときに、肝臓組織においてより高く、標的が両方の組織に存在する、タンパク質治療薬。
【請求項79】
前記切断可能なリンカーがマトリプターゼまたはHCV NS3/4酵素に特異的な基質を含む、請求項78に記載のタンパク質治療薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−520059(P2012−520059A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551304(P2011−551304)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/025121
【国際公開番号】WO2010/096838
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511204740)サイトムエックス セラピューティクス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】