プロテアーゼ酵素の検出
生体分子、例えば、プロテアーゼの検出のための方法および組成物を提供する。本発明の新規な組成物、方法およびキットはプロテアーゼの検出に広汎な応用可能性を有し、プロテアーゼの検出における特異性を高める。組成物および方法を用いて、複数のプロテアーゼの活性を同時にまたはマルチプレックス化フォーマット、特に平坦且つ液状アレイフォーマットで測定することができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、生体分子を検出するための方法および組成物を提供する。特に、本発明は、プロテアーゼの活性を測定するための組成物および方法に関する。本発明の新規な組成物、方法およびキットはプロテアーゼの検出に広汎な応用可能性を有し、プロテアーゼの検出における特異性を高めてきた。更に、本発明の組成物および方法は、複数のプロテアーゼの活性を同時にまたはマルチプレックス化フォーマット(multiplexed format)で、特に平坦および液状配列フォーマットでの測定に広汎な用途を見出すであろう。
【0002】
背景および関連技術
正常および疾患状態における組織ホメオスタシスは、重複しているパターンの遺伝子発現およびタンパク質活性が寄与している複雑な生物学的応答によって調節されている。このため、疾患状態または特異的生物学的応答は単一遺伝子またはタンパク質の発現または活性の差によって特定することはできないが、複数の遺伝子またはタンパク質の発現または活性の変化を検討するプロフィールによって特定することができる。それ故、多くの遺伝子またはタンパク質の活性を同時に測定するのに用いることができる手段を開発することが重要である。
【0003】
プロテアーゼは、他のタンパク質を特異的ペプチド配列で開裂する酵素である。カスパーゼは、少なくとも14種類のシステインプロテアーゼの構造的に関連した群に属するプロテアーゼの1クラスである。カスパーゼ活性は、プログラムに組込まれた細胞死の高度に組織化された工程であるアポトーシスの態様に特徴がある。細胞タンパク質のカスパーゼ依存性タンパク質分解は、アポトーシスの際の重要な事象である。アポトーシス応答は正常および疾患状態の組織ホメオスタシスの維持に重要であり、治療的介入の重要なターゲットである。アポトーシスの重要なレギュレーターとして、カスパーゼ酵素は実質的な臨床的および薬学的重要性を有することが明らかにされており、医薬産業や学術的実験室で現在広く研究されている(1,2,3)。これらのタンパク質の7つ(カスパーゼ−2、−3、−6、−7、−8、−9、および−10)はアポトーシスの伝達に中心的役割を有し、機能に基づいてイニシエーターカスパーゼとエフェクターまたはエクシキューショナーカスパーゼの2つのクラスに分けられる。−2、−8、−9および−10を包含するイニシエーターカスパーゼは細胞死シグナルに応答して活性化され、特異的細胞タンパク質を開裂して細胞分解に寄与するエフェクターカスパーゼ(カスパーゼ−3、−6および−7)の1個以上を活性化する。細胞に対する感染、疾患、損傷または薬理学的因子の効果の研究において、特異的死刺激を受け取った時点でどのカスパーゼが活性化され且つ活性化が起こる場所および時間を決定することが重要である。このような情報は、アポトーシスの際にカスパーゼの活性化を調節する方法のデザインに有用となる。
【0004】
アポトーシス応答を開始するシグナルおよび個々のカスパーゼに特異的な阻害剤の存在によっては、様々な組合せのカスパーゼ活性がアポトーシスに寄与し且つ特定の疾患または生理学的および薬理学的因子と関連している可能性があるシグネチャーを提供する(4,5,6)。例えば、カスパーゼ−8は死誘導表面シグナリング複合体の形成に応答して活性化されるが、カスパーゼ−9はDNA損傷などの細胞ストレスによって誘発される(7)。
【0005】
試料の特異的プロテアーゼの活性を検出し、定量することができる分析法は、生物学的および生化学的研究、医学、薬剤発見、薬理学、および診断学においてかなり重要である。これらの分析法は生化学的経路を解明し、病理学的素因を同定し、可能性のある治療薬をスクリーニングし、疾患を診断し、分類し、段階付けて、薬剤治療の有効性を決定するのに用いることができる。このような分析法の有用性と応用可能性を増加させる努力は、分析法の感度、特異性および処理量の制限によって挫折することが多い。プロテアーゼを伴う複雑な生物学的過程の理解も、複数のプロテアーゼの活性を同時にまたはほぼ同時に測定することができないため阻害されている。
【0006】
プロテアーゼ活性を検出し、定量する方法は、通常はプロテアーゼを標識した天然または合成プロテアーゼ基質と混合することによって行う。プロテアーゼは基質を開裂して標識を放出させることによって、測定可能な色または蛍光シグナルを生成する(8,9)。しかしながら、精製プロテアーゼよりはむしろ粗製ホモジェネートおよび亜細胞断片におけるプロテアーゼについての研究が、特異的プロテアーゼの活性のみを測定する特異的基質を欠いていることによって阻害され、更に一層特異的な基質を見出すことにかなりの時間と努力が費やされてきた。特定の種類の試料における特定のプロテアーゼに特異的であると思われる基質を見出したとしても、異なるプロテアーゼがその基質をも開裂する異なる試料の種類には見出されないという保証はない。例えば、カスパーゼファミリーのプロテアーゼの多くは同様な基質と結合して、これを開裂し、特定のプロテアーゼ活性を特異的カスパーゼとイン・ビトロで関連付けることを困難にしている。それにもかかわらず、カスパーゼ活性に対する数種類の異なる分析法が開発され、商業化されてきた(10)。これらの分析法は蛍光性残基で標識した合成テトラペプチドAsp−Glu−Val−Asp(DEVD)、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(AFC)、または比色法による標識であるp−ニトロアニリド(pNA)を基質として用いている。DEVD依存性のプロテアーゼ活性は、基質から開裂された遊離AFCまたはpNAの検出によって評価される。様々なペプチド配列を用いて様々なカスパーゼ酵素を検出することができるが、一般的にはカスパーゼはこれらの基質には余り特異的でないので、任意の特定のペプチド基質が結合して、複数のカスパーゼによって同時に開裂することができる(11,12)。
【0007】
従って、プロテアーゼ活性を検出して測定するための、特にカスパーゼ活性を測定するための改良法および組成物が強く求められることになると思われる。
【発明の概要】
【0008】
従って、本発明の目的は、プロテアーゼ活性を検出して分析するための、特にカスパーゼ活性を検出して分析するための新規な方法、系、および組成物を提供することである。
【0009】
この目的により、個々のプロテアーゼに対する特異性が極めて高く且つマルチプレックスまたはアレイフォーマットでの複数のプロテアーゼ活性を同時に検出することができる分析法を提供する本発明の新規な組成物および方法が提供された。本発明は、1種類以上の非特異的基質または阻害剤(プロテアーゼに結合するが開裂されない基質)を用いて特異的プロテアーゼを検出することができるという点において、且つ複数のプロテアーゼの活性を同時にまたはマルチプレックスまたはアレイフォーマットで分析することができるので、従来技術と比較して実質的に改良される。更に、本発明は可溶性のシグナリング分子を放出しないので、プロテアーゼ活性の検出を固体または液体アレイフォーマットで行うことができ、その結果可溶性のシグナルが生成するときには用いることができないシグナル増幅法の使用が容易になる。
【0010】
一つの態様では、捕捉表面(capture surface)上に検出可能な複合体を固定し、検出可能な複合体が標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなる検出可能な組成物が提供される。捕捉表面は特異的認識要素であって、プロテアーゼが特異的認識要素に結合することによって捕捉表面上に固定されているものを含んでなることがある。特異的認識要素は、例えば、モノクローナルまたはポリクローナル抗体または抗体断片のような免疫グロブリン、プロテインG、プロテインA、プロテインA/G、ペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、または金属キレートでよい。捕捉表面は、例えば、ウェル、実質的に平坦な表面、または個々にアドレス可能な粒子、ビーズまたは微小球のような粒子、ビーズまたは微小球であることがある。
【0011】
もう一つの態様では、上記のような複数の検出可能な組成物を有するマルチプレックス検出系(multiplex detection system)が提供される。この系は、例えば、複数の別個の座に再分された基質であって、それぞれの座がその座の表面に固定された検出可能な複合体を含んでなり且つこの検出可能な複合体が標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなるものを有することがある。基質は、例えば、マルチウェルプレートまたは実質的に平坦な表面であってもよく、または個々にアドレス可能な粒子、ビーズまたは微小球であってもよい。粒子、ビーズまたは微小球は、磁性を有するか、および/または無線周波数標識(radio-frequency tagged)されていてもよい。
【0012】
これらの組成物および/または系のいずれかにおいて、標識した阻害剤は、例えば、比色ラベル、蛍光ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、ビオチン、ジゴキシゲニン、検出可能な炭水化物、オリゴヌクレオチド、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、および糖タンパク質からなる群から選択される残基で標識されていてもよい。標識した阻害剤は、更に結合性残基、例えば、フルオロメチルケトン、クロロメチルケトン、アルデヒド、ジフルオロメチルケトン、ジアゾメチルケトン、OPHまたはDAPを含んでなることもある。
【0013】
もう一つの態様では、捕捉表面上での標識した複合体の存在を検出するなどの試料中のプロテアーゼを検出する方法であって、標識した複合体が試料から誘導され且つ標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなる方法が提供される。検出可能な複合体は、特異的認識要素に結合することによって捕捉表面上に固定されていてもよく、特異的認識要素はプロテアーゼに結合している。特異的認識要素、捕捉表面および阻害剤は、上記した通りであることがある。この方法は、複数の捕捉表面上に複数の標識した複合体組成物であって、それぞれの標識した複合体が標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなるものを検出することによってマルチプレックス化することができる。
【0014】
これらの方法のいずれにおいても、標識した複合体は、捕捉表面上への固定前に、それと同時に、またはその後に、プロテアーゼを含むと推測される試料を標識した阻害剤と接触させることによって調製することができる。
【0015】
これらの方法、系および組成物のいずれにおいても、プロテアーゼはカスパーゼであることができる。
【0016】
これらの方法、系および組成物のいずれにおいても、1種類以上の試薬を用いて、検出可能な標識からのシグナルを増幅することができる。検出可能な標識は、2個以上の標識を含んでなり、標識同士が相互作用して、それらが接近しているときにはシグナルを生成するが、それらが接近していないときにはシグナルを生成できないようにするか、または標識同士が相互作用して、それらが接近しているときにはシグナルを抑制するが、それらが接近していないときにはシグナルを生成するようにすることができる。
【0017】
任意のマルチプレックス系では、支持体および捕捉分子を含んでなるアレイを用いて、2種類以上のプロテアーゼ−阻害剤複合体を同時にまたはほぼ同時に捕捉することができるようにすることができる。
【0018】
もう一つの態様では、1種類以上の標識した阻害剤と1個の支持体および1種類以上の捕捉分子を有するアレイを有する試料中のプロテアーゼ活性を検出しおよび/または定量するためのキットが提供される。このキットは、追加成分、例えば、1種類以上の精製プロテアーゼ、1種類以上の細胞溶解物または抽出物、1種類以上の定量された標準品またはコントロール、1種類以上の標識した二次試薬、1種類以上のシグナル増幅用試薬、1種類以上の分析試料調製用緩衝液、ある試料中でプロテアーゼ活性を誘導しまたは阻害すると考えられている1種類以上の既知物質、および/または1種類以上の未知試料を有することがある。
【0019】
もう一つの態様では、第一の標識したおよび第二の標識した阻害剤であって、第一の標識したおよび第二の標識した阻害剤上の標識が異なるものを試料に加え、阻害剤が試料中でプロテアーゼに結合する条件下で混合物をインキュベーションし、プロテアーゼ−阻害剤複合体を支持体に捕捉分子をコーティングしたアレイ上に捕捉し、存在または非存在を検出し、および/または支持体に結合した第一の標識したおよび第二の標識した阻害剤の量を定量することを含んでなる、試料中の2種類以上の阻害剤の1種類以上のプロテアーゼへの結合を測定する方法が提供される。少なくとも10個までの識別可能な標識した阻害剤を用いることができる。
【0020】
本発明の他の目的、特徴および利点は、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体的実施例は、本発明の好ましい態様を示しているが、本発明の精神および範囲内での様々な変更や修正はこの詳細な説明から当業者には明らかになるので、単に例示の目的で挙げられていることを理解すべきである。
【発明の具体的説明】
【0021】
本発明は、試料中のプロテアーゼの存在および/または活性を分析するための組成物および方法を提供する。特に、本発明は、1種類以上の試料中の複数のプロテアーゼを同時に分析するための組成物および方法を提供する。
【0022】
具体的にいえば、プロテアーゼは、標識した阻害剤分子への結合の前に、それと同時に、またはその後に、捕捉表面に固定することによって検出される。阻害剤は、欠きにおいて更に定義されるように、プロテアーゼ−阻害剤複合体を検出できるほど十分に安定な方法でプロテアーゼに結合する残基である。プロテアーゼは、共有的にまたは非共有的に阻害剤に結合することができる。阻害剤はプロテアーゼによって開裂されることもまたは開裂されないこともあるが、開裂が起きるときには、阻害剤の標識した部分はプロテアーゼに結合したままである。阻害剤は、例えば色素で直接標識することができ、または間接的に検出可能な残基、例えばビオチンで標識することができる。阻害剤を間接的に検出可能な残基で標識するときには、阻害剤/プロテアーゼ複合体をその残基に結合する標識した試薬で後で検出することができる。例えば、阻害剤をビオチンで標識するときには、複合体を、色素などで直接標識されるまたは例えば、酵素基質と更に化学反応を行った後に検出することができる酵素のような分子に接合するストレプトアビジンを用いて後で検出することができる。
【0023】
捕捉表面は、プロテアーゼまたはプロテアーゼ−阻害剤複合体に特異的に結合する捕捉分子を含んでなる。適当な捕捉分子としては、モノクローナルまたはポリクローナル抗体および抗体断片のような免疫グロブリンが挙げられる。他の適当な捕捉分子は、当該技術分野で知られている。プロテアーゼが捕捉表面に結合した後に阻害剤と結合する態様では、捕捉分子は阻害剤の結合を妨げない方法でプロテアーゼに結合する。プロテアーゼが捕捉表面に結合する前に阻害剤と結合する態様では、捕捉分子はプロテアーゼ−阻害剤複合体を分裂させない方法でプロテアーゼに結合する。この場合には、プロテアーゼまたはプロテアーゼ−阻害剤複合体に結合することがある。
【0024】
捕捉表面は連続的表面、例えば、実質的に平坦な表面であって、所望ならば、別個の領域に再分して複数の捕捉分子のアレイを調製することができるものであることがある。これらの領域はプロテアーゼ阻害剤複合体の検出に適当な任意の物理的形態のものであることができ、平坦な表面上のスポットまたはプレート上のウェルを挙げることができるが、これらに限定されない。複数のプロテアーゼのマルチプレックス化検出には、別個の領域のそれぞれは特定のプロテアーゼまたはプロテアーゼ−阻害剤複合体に特異的な捕捉分子を含むことができる。所望ならば、アレイはコントロール用の領域との間で比較することができる同一捕捉分子を有する複数の領域を含むことができる。
【0025】
捕捉表面は、粒子、ビーズ、微小球または類似の残基であることもできる。捕捉表面がこの様式の粒状であるときには、構造を同定して分離することができる個々にアドレス可能な粒状構造を用いるのが好都合である。個々にアドレス可能な構造は当該技術分野で知られており、磁性ビーズ、無線周波数標識した粒子、蛍光標識した微小球などが挙げられる。このような場合には、結合した検出複合体(プロテアーゼに結合した阻害剤を含んでなる)の存在を阻害剤上に存在する標識と構造体上に存在するアドレス可能な残基によって検出することができる。例えば、蛍光標識したビーズは、以下において更に詳細に説明されるフローサイトメトリーを用いて検出することができる。
【0026】
本発明の一つの態様では、目的とする(複数の)プロテアーゼを含む試料を、(複数の)プロテアーゼに結合するがプロテアーゼによっては開裂されない標識したプロテアーゼ阻害剤と混合する。次に、プロテアーゼ−阻害剤複合体を、モノクローナルまたはポリクローナル抗体または抗体断片のような特異的捕捉分子をコーティングした支持体上に捕捉する。捕捉分子はプロテアーゼ−阻害剤複合体のプロテアーゼ成分に特異的に結合することができ、またはこれはプロテアーゼ−阻害剤複合体に特異的に結合することができるのであり、すなわち、これは複合体にのみ存在する1種類以上の分子構造にのみ特異的に結合することができる。この後者の場合には、捕捉分子は複合体を形成していないプロテアーゼまたは複合体を形成していない阻害剤のいずれも認識しない。捕捉分子は個々にアドレス可能なビーズに結合することができ、またはアレイフォーマットにおける支持体に結合することができる。次に、結合した基質または阻害剤からのシグナルを測定して、プロテアーゼ結合活性を定量する。
【0027】
本発明のもう一つの態様では、プロテアーゼを含む試料をプロテアーゼに結合する標識したプロテアーゼ基質と混合する。標識した基質は2種類の相互作用する標識を含み、標識の一方を用いて生成したシグナルがプロテアーゼの作用によって開裂するようにする。あるいは、標識同士が相互作用して、それらが接近しているときにはシグナルを生成するが、標識の一方がプロテアーゼから開裂するときにはシグナルを生成できないようにすることができる。次に、プロテアーゼ−基質複合体をモノクローナルまたはポリクローナル抗体または抗体断片のような特異的捕捉分子をコーティングした固相上に捕捉する。捕捉分子は、個々にアドレス可能なビーズに結合させることができ、またはアレイフォーマットにおける支持体に結合することができる。次に、結合した基質からのシグナルを測定して、プロテアーゼ結合活性を定量する。
【0028】
本発明のもう一つの態様では、捕捉したプロテアーゼ−阻害剤またはプロテアーゼ−基質複合体上の標識からのシグナルを、チラミドシグナル増幅または標識したオリゴヌクレオチドデンドリマーによる増幅のような当該技術分野で知られている方法によって増幅する(13,14)。
【0029】
本発明のもう一つの態様では、プロテアーゼ−基質またはプロテアーゼ−阻害剤複合体を最初にポリまたはモノクローナル抗体のような遊離捕捉分子に結合させた後、これらの抗体−プロテアーゼ−阻害剤または抗体−プロテアーゼ−基質複合体を続いて支持体上に捕捉する。
【0030】
定義および略語
以下の説明において、一般に生化学分析法の分野で用いられる多数の用語、および特にプロテアーゼが利用される。
【0031】
プロテアーゼ
本明細書で用いられる「プロテアーゼ」は、タンパク質またはペプチドの加水分解を触媒する任意のペプチド、ポリペプチド、またはペプチドまたはポリペプチド含有基質を表す。プロテアーゼは天然に存在するものでもまたは天然に存在しないものでもよく、天然供給源から単離することができ、組換え体または合成品でよく、いずれか特定の形態である必要はない。周知のプロテアーゼの例としては、ブロメライン、カテプシンB、カテプシンD、カテプシンG、キモトリプシン、クロストリパイン、コラゲナーゼ、ジスパーセ、エンドプロテイナーゼArg−C、エンドプロテイナーゼAsp−N、エンドプロテイナーゼGlu−C、エンドプロテイナーゼlys−C、Xa因子、カリクレイン、パパイン、ペプシン、プラスミン、プロテイナーゼK、ズブチリシン、テルモリシン、トロンビン、トリプシン、アシルアミノ酸放出酵素、アミノペプチダーゼM、カルボキシペプチダーゼA、カルボキシペプチダーゼB、カルボキシペプチダーゼP、カルボキシペプチダーゼY、カテプシンC、ロイシンアミノペプチダーゼ、およびピログルタメートアミノペプチダーゼが挙げられる。
【0032】
試料
本明細書で用いられる「試料」とは、プロテアーゼを含むことがある任意の組成物または材料を表し、ヒトおよび動物組織、培養細胞、培養したまたは天然に存在する微生物、体液、血液、血清などを挙げることができるがこれらに限定されない。試料は、生物学的材料のみを含む必要はない。試料は、物理的マトリックス上または中のプロテアーゼ含有材料からなることもできる。
【0033】
リーシス試薬
本明細書で用いられる「リーシス試薬」(lysis reagent)とは、細胞および組織を破壊してタンパク質分解酵素を放出し且つ検出および/または捕捉に利用することができるのに用いられる任意の組成物を表す。組成物は、分析用試料を調製するのに当該技術分野で一般に知られており且つ用いられる化学物質、塩、緩衝液および洗剤を含むことができるが、これらに限定されない。組成物は防腐剤および安定剤を含み、保管、取扱いおよび試験中に試料を安定化して、分解を防止することもできる。
【0034】
阻害剤
本明細書で用いられる「阻害剤」とは、プロテアーゼの活性部位に結合するがプロテアーゼによって開裂されない残基である。阻害剤は、シグナル残基または結合残基のような1種類以上の追加残基で標識することができる。
【0035】
基質
本明細書で用いられる「基質」とは、プロテアーゼの活性部位に結合するがプロテアーゼによって開裂されない分子である。開裂後に、基質の一部はプロテアーゼに結合したままであってもよい。
【0036】
結合残基
本明細書で用いられる「結合残基」とは、プロテアーゼ阻害剤または基質に結合して、プロテアーゼに対する阻害剤の結合親和性を増加させる化学的残基である。結合残基は、阻害剤または基質とプロテアーゼとの間で非共有結合、可逆性共有結合、または不可逆性共有結合を形成することができる。結合残基の例は、アルデヒド残基(CHO)、フルオロメチルケトン(FMK)、およびクロロメチルケトン(CMK)である。プロテアーゼ基質および阻害剤は、結合残基で標識したものが市販されている。
【0037】
シグナル残基
本明細書で用いられる「シグナル残基」とは、検出可能な標識である。本発明において、多種多様なシグナル残基、例えば、放射性同位体、蛍光ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、および酵素ラベルなどを挙げることができる。シグナル残基は、抗体、ペプチドのような二次試薬、直接的化学的相互作用、および当該技術分野で周知の他の方法によって認識されるハプテンであることもできる。シグナル残基は、当該技術分野で周知の方法によるハイブリダイゼーション、重合、連結反応および/または増幅によって検出することができるオリゴヌクレオチドまたは核酸であってもよい。シグナル残基は、蛍光共鳴エネルギー転移(PRET)と呼ばれる現象を利用するために、接近して結合した2種類の発色体を含んでなることもできる。適当な波長の光線を照射すると、一方の発色体は光子を吸収した後、励起状態に存在する。励起した発色体からのエネルギーは、2種類の分子が互いに接近したときに受容体分子に転移する。この転移は、励起した発色体が光線の光子の形態でエネルギーを放出することにより発色体の蛍光が消光するのを防止する。受容体分子が十分接近していないときには、転移は起こらず、励起した発色体が次に蛍光を発することがある。このような相互作用するシグナル残基の対は、当該技術分野で周知である(15,16)。発光共鳴エネルギー転移(LRET)として知られている同様な現象は、増感したランタニド金属と受容体色素との間で起こり、本発明で用いることができる。
【0038】
捕捉分子
本発明において、「捕捉分子」とは、1種類以上の生物学的分子を含む溶液からプロテアーゼを特異的に捕捉する任意の分子であることができる。捕捉分子の例は、ポリおよびモノクローナル抗体、合成、ヒト化またはファージ展示抗体および抗体断片である。本明細書で用いられる「抗体」という用語は、抗原上の特異的エピトープに特異的に結合することができる免疫グロブリン分子を表す。抗体は天然供給源または組換え体供給源から誘導された完全な免疫グロブリンであることができ、完全な免疫グロブリンの免疫反応性部分であることができる。本発明における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabおよびF(ab)2、並びに一本鎖抗体およびヒト化抗体などの様々な形態で存在することができる(Harlow et al., 1988, 「抗体: 実験室便覧(Antibodies: A Laboratory Manual)」, Cold Spring Harbor, N.Y.; Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5879-5883; Bird et al., 1988, Science 242: 423-426)。本明細書で用いられる「合成抗体」という用語は、組換えDNA法を用いて生成する抗体、例えば、本明細書に記載のバクテリオファージによって発現される抗体を表す。この用語は、抗体をコードするDNA分子の合成によって生成された抗体であって、DNA分子が抗体タンパク質またはこの抗体を特徴づけるアミノ酸配列を発現するものであって、DNAまたはアミノ酸配列が、利用することができ且つ当該技術分野で周知の合成DNAまたはアミノ酸配列法を用いて得られたことを特徴とする、抗体を意味するものとも解釈すべきである。特異的プロテアーゼに対して自然の親和性を有するタンパク質、および遺伝子工学処理を施して特異的にプロテアーゼに結合するタンパク質も、本発明に包含される。捕捉分子は、プロテアーゼと結合する別の分子に結合する分子であってもよい。例えば、抗ウサギIgGを用いて、ウサギ抗体−プロテアーゼ複合体を捕捉することができる。同様に、プロテインGを用いて、ヤギ抗体−プロテアーゼ複合体を捕捉することができる。
【0039】
支持体
本明細書で用いられる「支持体」とは、タンパク質、ペプチド、核酸などのような捕捉分子を結合するのに適当な任意の多孔性または非多孔性材料またはマトリックスでよい。捕捉分子は、当該技術分野で周知の任意の手法または手法の組合せによって支持体に共有的または非共有的に結合させることができる。本発明の支持体は、ナイロン、ニトロセルロース、ジアゾニトロセルロース、ガラス、ケイ素、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、セファロース、寒天、澱粉、または生体分子を固定することができる任意の他の材料を含んでなることができる。この材料は、フィルター、膜、平らな表面、チューブ、チャンネル、ウェル、シート、ビーズ、微小球、カラム、繊維(例えば、光学繊維)などに成形することができる。支持体は、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェル、384ウェル、および1537ウェルのようなマルチウェルチューブ(例えば、マイクロタイタープレート)を含んでなることもできる。好ましいビーズは、ガラス、ラテックスまたは磁性材料(磁性、常磁性または超磁性ビーズ)から作られる。本発明において、支持体は、好ましくはLuminex Corporation (Austin, TX)によって製造販売されているような一組のカラーコードした微小球である(17)。
【0040】
アレイ
本明細書で用いられる「アレイ」(または整列)(array)という用語は、支持体上の捕捉分子の規則的配列を表す。このようなアレイは、このようなアレイは、マイクロプレート、ガラススライド、ビーズ、微小球、微小流動性装置(microfluidic devices)または標準的ブロッティング膜上に形成させることができ、「アレイ」、マイクロアレイまたはチップと表すことができる。捕捉分子は、支持体に共有的または非共有的相互作用を介して結合することができる。平坦な表面に結合するときには、捕捉分子は規則的に結合して、任意の特定の捕捉分子の同一性をアレイ上のその位置によって確認することができる。このようなアレイは、ガラスまたはプラスチック製顕微鏡スライドのような平坦な物体上に構築することができる。このようなアレイはチューブまたはマイクロプレートウェルの内面上に構築することもでき、または微小流動性装置のチャンネル内部に構築することもできる。一般に、捕捉分子が結合する個々の部位を同定することができる限りは、アレイの種類またはフォーマットに制限はない。支持体がビーズまたは微小球の組であるときには、異なる捕捉分子に結合したビーズまたは微小球の組は何らかの方法で識別し得るものでなければならない。Luminex Corporation製ビーズ(Austin, Texas)を、10段階の濃度の2種類の色素を添加することによってカラーコードし、100種類のカラービーズを生成する。捕捉分子を特異的なビーズカラーに結合させることができ、それぞれのビーズの色をフローサイトメトリーによって同定することができる。ビーズアレイは、特異的な捕捉分子を特異的カラーのビーズの組に結合させた後、異なる組の着色ビーズを混合してアレイを作製することによって調製される。同様に、Pharmaseq製微小粒子(Princeton, NJ)は、それぞれ特異的な微小粒子を同定するのに用いることができる独特な無線周波数標識を有する。他の方法を用いて、核酸およびペプチド標識のような同定のために、個々のビーズを標識することができる。アレイは、およそ2−100,000個の要素、好ましくは3−5000個の要素を含むことができる。
【0041】
シグナル増幅
本明細書で用いられる「シグナル増幅」とは、「一標識」検出法で達成することができる以上に生物学的分析法のシグナルを増加させる目的で用いられる任意の方法を表す。シグナル増幅は、チラミドシグナル増幅のような酵素触媒レポーター沈着に基づくことがあり、または酵素増幅に基づくことがある(18,19)。あるいは、標識の数を増加させる方法を用いてもよい。このような方法としては、デンドリマー、分岐ポリマー、および二次的検出可能な試薬のための複数の結合部位を有する長い線状ポリマーの結合が挙げられる。これらの方法の例としては、オリゴヌクレオチドデンドリマー、分岐DNA、およびハイブリッドキャプチャー(Hybrid Capture)が挙げられる(20,21,22)。ポリメラーゼ連鎖反応およびローリングサークル増幅のような核酸増幅法を用いて、得られたシグナルを増幅することもできる(23,24)。これらの方法の多くは核酸の検出感度を増加させる目的でデザインされたものであるが、それらは、単に核酸の適当な断片を抗体、ペプチドアビジンまたはストレプトアビジンのような検出試薬に結合させることによって、他の分子の検出に容易に適応させることができる。本発明では、シグナル増幅の任意の方法を用いて、分析法によって生成したシグナルを増加させることができる。
【0042】
一般的手順
アレイの調製
本発明のアレイは、核酸、ペプチドおよびタンパク質を支持体に結合させる当該技術分野周知の方法によって調製される(25,26,27)。抗体のような捕捉分子は、γ線で処理したガラスまたはポリスチレンに受動的に結合させることができる。捕捉分子を、強力な疎水性相互作用を介して表面に固定する。捕捉分子は、表面のカルボキシレート官能基を有するラテックスビーズをカルボジイミドEDCおよびn−ヒドロキシスクシンイミドと結合させることもできる。平坦な表面に対しては、捕捉分子を、DNAマイクロアレイ(遺伝子チップ)の調製に一般に用いられるような自動スポッティング装置を用いて表面にスポットすることができる。微小球へのカップリングには、捕捉分子へのカップリングを溶液で行うことができる。捕捉分子を結合した後、異なる捕捉分子に結合した微小球を混合して、アレイを作製する。
【0043】
阻害剤および基質
本発明の好ましい阻害剤は、プロテアーゼに強力に結合し且つシグナル残基を有するペプチドである。結合残基を用いることの必要性は、阻害剤または基質のプロテアーゼへの結合の強さによって決定される。自然の結合親和性が十分強いときには、結合残基は必要ない。自然の結合親和性が強くなければ、結合残基を阻害剤または基質上に有する必要がある。好ましい阻害剤の略図を、図1に示す。好ましい阻害剤の一例は、ビオチン−DEVD−FMKである。ビオチン−DEVD−FMKは、プロテアーゼであるカスパーゼ3に結合する阻害剤である。FMKは、結合後にプロテアーゼと共有的に反応する結合残基である。ビオチンは、標識したアビジンまたはストレプトアビジンを用いて検視することができる検出残基である。
【0044】
本発明の一種類の好ましい基質は、プロテアーゼに共有結合し且つシグナル残基を有するペプチドである。好ましい基質の略図を、図2に示す。
【0045】
本発明のもう一つの種類の好ましい基質は、不可逆的にプロテアーゼに結合し、2個の相互作用する検出残基を有するペプチドである。これらの好ましい基質の略図を、図3に示す。
【0046】
本発明の好ましい捕捉分子は、特定のプロテアーゼに特異的であり且つ関連プロテアーゼと交差反応しないポリまたはモノクローナル抗体である。このような抗体は、Santa Cruz Biotechnology (Santa Cruz, CA)のような供給業者から市販されている。抗体は、平坦な支持体に結合させて、図4に示されるような捕捉分子のアレイを作製することができる。
【0047】
本発明の好ましい支持体は、Luminex Corporation (Austin, TX)から製造販売されているもののようなカラーコード微小球の組である。抗体は、カルボジイミドEDCおよびn−ヒドロキシスクシンイミドを用いて微小球に結合させることができる。ビーズアレイの図を図5に示す。
【0048】
本発明の好ましい様式では、標識した阻害剤を1種類以上の細胞培養物に加える。典型的には、阻害剤を、1種類のコントロール培養物と、コントロール培養物中で成長させたものとは異なる条件下で成長させている1種類以上の試験培養物に加える。阻害剤を細胞毎に採取して、細胞中の活性プロテアーゼに結合させる。次に、細胞をリーシス試薬で溶解し、細胞溶解物をアレイと接触させる。プロテアーゼ−阻害剤複合体を、好ましくはアレイの要素に関して溶解物を移動させておくやり方でアレイ上の抗体によって捕捉させる。これらの段階を、図6−8に示す。
【0049】
溶解物がアレイに関して移動しない静的捕捉も可能であるが、同量のプロテアーゼ−阻害剤複合体を捕捉するにはずっと長い時間かかる。アレイがカラーコードしたビーズの組から構成されているときには、ビーズアレイと細胞溶解物の全部または一部を捕捉段階中に混合して、プロテアーゼ−阻害剤複合体の捕捉を最も効率的にすることができる。捕捉が完了したならば、過剰の細胞溶解物をアレイから洗浄する。ビーズアレイの場合には、洗浄を遠心分離または濾過によって行うことができる。洗浄後に、平坦なアレイを、遺伝子チップ分析に普通に用いられるスキャナーを用いてスキャンニングを行うことができる。カラーコードしたビーズアレイについては、アレイを2または3チャンネルのフローサイトメーターによって読み取る。1または2チャンネルによってそれぞれのビーズのカラーを決定し、それによってそのビーズに結合した捕捉分子の同一性を決定する。残りのチャンネルは、それぞれのビーズ上の阻害剤に結合した標識の蛍光強度の測定に用いられる。全アレイまたはビーズの全組を読み取ったならば、プロテアーゼ活性プロフィールを、それぞれの試料におけるそれぞれのプロテアーゼの活性を測定して記録することによってそれぞれの試料について生成させることができる。本発明のこの様式では、阻害剤を蛍光標識またはペプチド、ビオチンまたはジゴキシゲニンのようなハプテンを用いて直接標識することができ、標識抗体、ストレプトアビジン−フィコエリトリンまたは抗ジゴキシゲニン−フルオレセインのような標識した二次試薬を用いて検出を行うことができる。
【0050】
本発明のもう一つの態様では、FRETで標識した基質を1種類以上の細胞培養物に加える。典型的には、基質は、コントロール培養物中で成長させたものとは異なる条件下で成長させている1種類以上の試験培養物に加える。基質を細胞毎に採取して、細胞中の活性プロテアーゼに結合させる。次に、基質を開裂し、図9に示されるプロテアーゼに結合した基質の残りの部分に結合した蛍光シグナルを生成させる。次に、細胞をリーシス試薬で溶解し、細胞溶解物をアレイと接触させる。プロテアーゼ−基質複合体を、好ましくはアレイの要素に関して溶解物を移動させておくやり方でアレイ上の抗体によって捕捉させる。溶解物がアレイに関して移動しない静的捕捉も可能であるが、同量のプロテアーゼ−基質複合体を捕捉するにはずっと長い時間かかる。アレイがカラーコードしたビーズの組から構成されているときには、ビーズアレイと細胞溶解物の全部または一部を捕捉段階中に混合して、プロテアーゼ−基質複合体の捕捉を最も効率的にすることができる。捕捉が完了したならば、過剰の細胞溶解物をアレイから洗浄する。ビーズアレイの場合には、洗浄を遠心分離または濾過によって行うことができる。洗浄後に、平坦なアレイを、遺伝子チップ分析に普通に用いられるスキャナーを用いてスキャンニングを行うことができる。カラーコードしたビーズアレイについては、アレイを2または3チャンネルのフローサイトメーターによって読み取る。1または2チャンネルによってそれぞれのビーズのカラーを決定し、それによってそのビーズに結合した捕捉分子の同一性を決定する。残りのチャンネルは、それぞれのビーズ上の基質に結合した標識の蛍光強度の測定に用いられる。全アレイまたはビーズの全組を読み取ったならば、プロテアーゼ活性プロフィールを、それぞれの試料におけるそれぞれのプロテアーゼの活性を測定して記録することによってそれぞれの試料について生成させることができる。
【0051】
本発明のもう一つの態様では、標識した阻害剤と標識していない阻害剤を両方とも試料に加える。標識していない阻害剤は、プロテアーゼへの結合に対して標識した阻害剤と競合する。本発明のこの様式を用いて、新規な阻害剤を特異性についてスクリーニングすることができ、標識した阻害剤の結合をある量だけ減少させるのに必要な標識していない阻害剤の量を決定することによって新規な阻害剤の結合定数を決定することができる。
【0052】
本発明のもう一つの態様では、第一の標識した阻害剤と第二の標識した阻害剤であって、2種類の阻害剤上の標識が異なり且つ独立して検出することができるものを、両方とも試料に加える。第一および第二の標識した阻害剤は同一プロテアーゼへの結合について競合することがあり、または異なるプロテアーゼまたは二種類の組合せに結合することがある。次に、標識をそれぞれの標識を独立して測定することができる方法で検出する。例えば、アレイがガラススライドであって、このガラススライドの1以上の領域に特異的な抗プロテアーゼ抗体をスポットしたものであり且つ第一の阻害剤を蛍光色素Cy3で標識し、第二の標識した阻害剤をCy5で標識したときには、両阻害剤を試料に加えてインキュベーションし、プロテアーゼに特異的に結合させることができる。インキュベーションの後、試料中のプロテアーゼ−阻害剤複合体をアレイに捕捉して、アレイを洗浄して、結合していない試料と阻害剤を除去する。次に、アレイを、DNAマイクロアレイ分析で普通に用いられるようなデュアルカラー蛍光スキャナーでスキャンニングする。本発明のこの様式では、複数の阻害剤を複数のプロテアーゼに対して同時にスクリーニングすることができ、唯一の制限は検出することができる様々な標識の数である。最新の蛍光スキャンニング法では、4個までの標識を単一装置でスキャンニングすることができる。
【0053】
本発明のもう一つの態様では、試料の幾つかをプロテアーゼ活性の既知の活性剤で処理し、実験化合物はプロテアーゼ活性を阻害するようにデザインされる。本発明のこの様式を用いて、化合物ライブラリーをスクリーニングして、プロテアーゼ活性を阻害することがある化合物を見出すことができる。
【0054】
本発明のもう一つの態様では、プロテアーゼ−阻害剤またはタンパク質−基質複合体をアレイ上に捕捉し、検出残基はシグナルを増幅する1種類以上の試薬で検出する。例えば、検出残基がビオチンであるときには、ビオチンはストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ接合体で検出することができる。続いて、ペルオキシダーゼは、チラミドシグナル増幅によって検出することができる(18)。あるいは、ビオチンを検出するのに用いられるストレプトアビジンを、長いRNA:DNAハイブリッド、または一本鎖またはDNAであって、RNAの鎖を続いて結合させることができるもので標識することができる。次に、RNA:DNAハイブリッドは、蛍光標識した抗RNA:DNA抗体で検出することができる。複数の抗体を一本のRNA:DNAハイブリッドに結合させることができるので、シグナルはストレプトアビジンを蛍光色素で標識したときよりかなり大きい。シグナル増幅のいずれの方法も本発明と共に用いるのに適合させることができることは、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0055】
本発明は、1種類以上の試料におけるプロテアーゼ活性を検出して測定するための、特に2種類以上のプロテアーゼの活性をマルチプレックスまたはアレイフォーマットで測定することを特徴とするプロテアーゼ活性プロフィールの作製のためのキットにも関する。このようなキットは、プロテアーゼまたは複数のプロテアーゼの存在または非存在、またはレベルを疾患または障害の存在または非存在と相関させることを特徴とする、診断キットであることができる。本発明は、本発明の組成物を作製するためのキットにも関する。
【0056】
具体的態様では、このキットはアレイと、1種類以上のプロテアーゼ基質または阻害剤を含んでなる。キットは、更に本発明の検出/定量分析法を行うための追加成分を含んでなることができる。このようなキットは、1種類以上の精製プロテアーゼ、1種類以上の細胞溶解物または抽出物、1種類以上の定量標準品またはコントロール、1種類以上の標識した二次試薬、1種類以上のシグナル増幅試薬、1種類以上の分析試料調製用緩衝液、1種類以上の分析試料調製用試薬、ある試料中でプロテアーゼ活性を誘導しまたは阻害する1種類以上の化学物質、および1種類以上の未知試料からなる群から選択される1種類以上の追加成分を含んでなることができる。本発明のキットは、好ましくは容器(箱、ボール箱または包装であって、近接制限中に1個、好ましくは2個以上の容器(チューブ、バイアルなど)を有するものを含んでなり、本発明の方法を行うための様々な試薬を含んでなる。試薬は別々の容器に入れていてもよく、または単一容器に様々な組合せで組み合わせてもよい。本発明のこのようなキットは、更に本発明の方法を行うための使用説明書またはプロトコールを含んでいてもよく、場合によっては、本発明の阻害剤または基質と会合した検出可能な標識を検出するための装置または設備を含んでなることができる。キットは、プロテアーゼ活性のデータ入手および分析、およびプロテアーゼ活性プロフィールの生成および分析のためのコンピュータープログラムに対するコンピュータープログラムまたはインターネットアクセスを包含することができる。
【0057】
本明細書に記載の方法および応用に対する他の適当な修正および適合は、本発明またはその任意の態様の範囲から離反することなく行うことができることは当業者には容易に明らかになるであろう。本発明を詳細に説明してきたが、同じことは、下記の実施例を参照することによって一層明瞭に理解されるであろうし、これらの実施例は例示のためにのみ包含され、本発明の制限を意図するものではない。従って、本発明は、下記の実施例に限定されると解釈すべきではなく、本明細書で提供される教示の結果として明らかになる任意のおよび総ての変更を包含するものと解釈すべきである。
【0058】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる単数表現には、複数の場合を内包することができる。
【0059】
本明細書で参照される総ての文書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
従って、本発明は、下記の実施例を参照することによって一層容易に理解されるであろうが、これらは例示のために提供されるものであり、本発明の制限のためのものではない。
【実施例】
【0060】
実施例1: プロテアーゼ活性を検出するためのアレイの一般的例
抗体、またはペプチド、ポリペプチド、天然または遺伝子工学処理したタンパク質、核酸、炭水化物、および1種類以上のプロテアーゼに結合するレクチンのようなこれらに限定されない他の分子を、標準的カップリング化学を用いるアミン、チオール、カルボン酸、炭水化物基を介して、または非共有結合を介して支持体にカップリングさせる。この分析法は、UVまたは可視色素または蛍光団で標識されているプロテアーゼの阻害剤または基質を利用する、または標識抗体、ペプチド、アビジンの諸形態、化学物質、核酸、ペプチドまたはタンパク質と共に用いるビオチン分子、化学物質、ペプチド核酸または炭水化物のような検出可能な標識を提供する標識を含む検出計画を用いる。基質または酵素阻害剤は、酵素のクラス内または全域の1種類以上のプロテアーゼに対して特異性を有することがあり、活性酵素に結合する。真核生物または原核生物起源の細胞または組織抽出物、培養細胞または組織、または透過性化(permeabilized)細胞および組織を、検出分子として用いられるプロテアーゼの阻害剤または基質で処理する。細胞または組織からの抽出物、またはプロテアーゼ基質または阻害剤で標識した透過性化細胞または組織を、1種類以上のプロテアーゼに結合特異性を有する分子にカップリングした支持体とインキュベーションする。支持体表面上に捕捉されたプロテアーゼを、プロテアーゼと結合した検出分子について分析することによって提供する。分析法は、同種、異種および他のフォーマットで行うことができる。
【0061】
実施例2: 活性カスパーゼ3に対するシングル−プレックス分析法
アミン反応性ビーズの調製
Luminexビーズを、15秒間渦流攪拌した後、水槽中で2分間超音波処理することによって分散させた。洗浄のため、ビーズをミクロ遠心分離機で12,000 x gで2分間遠心分離してペレット化した後、水100μlに再懸濁した。ビーズを再度ペレット化して、活性化緩衝液(100mMリン酸ナトリウム、一塩基性pH6.3)80μlに再懸濁し、短時間渦流攪拌し、30秒間超音波処理した。ビーズ表面上の反応性のn−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルは、50mg/mlのSulfo−NHS溶液(Pierce, Rockland, IL)10μlおよび50mg/mlの1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸(EDC)10μlをビーズ懸濁液に加え、短時間渦流攪拌し、暗所で20分間回転させることによって調製した。NHS改質ビーズを50mM MES緩衝液(pH5.0−6.0)100μlで2回洗浄した後、150μlのMES緩衝液(pH5.0−6.0)に再懸濁した。
【0062】
抗体のビーズ表面へのカップリング
PBS緩衝液pH7.4に供給したカスパーゼ−3(Santa-CruzBiotechnology Inc.)に特異的な精製抗体5μgをMES緩衝液pH5.5で350μlの容積とした後、150μlのNHS−ビーズ懸濁液に加えた。抗体−ビーズ懸濁液を攪拌しながら暗所で2時間室温にて反応させ、その間に抗体上のアミン基をビーズ表面上のNHSエステルと反応させて安定なアミド結合を形成させた。カップリング反応の後、ビーズを250μlのPBS−TBN(0.1%BSA 0.02%tween−20を含むリン酸緩衝食塩水)で2回洗浄し、200μlの最終容積のPBS−TBNに再懸濁し、4度で保管した。
【0063】
標識カスパーゼ酵素を含む溶解物の生成
ヒト骨髄腫細胞系KASを、5%CO2の存在下37℃にてRPMI+10%FBS中で培養した。対数増殖期の細胞を、1μMのビオチン化カスパーゼ阻害剤の存在下または非存在下でアポトーシスの既知の誘導物質である5μMカンプトテシンで8時間処理した。標識した阻害剤を含むが、カンプトテシンで処理しなかったコントロール培養物も、調製した。カスパーゼ阻害剤であるビオチン−DEVD−FMK(Enzyme Systems Products)は、カスパーゼ1、2、3、6、7および9に不可逆的に結合する。次に、細胞を卓上遠心分離機で700 x gで5分間遠心分離することによって洗浄し、冷PBS pH7.4に再懸濁した。3回洗浄した後、細胞ペレットを、50mM Tris−HCI pH7.5、150mM NaCl、1mM EDTA、0.5% NP40、0.5% Triton X−100およびプロテアーゼ阻害剤(5μg/mlロイペプチン、2μg/mlペプスタチンA、1mM PMSF(フェニルメチルスルホニルクロリド))を含むリーシス緩衝液中で渦流攪拌した。溶解物を−80℃で一晩保管し、氷上で融解し、ミクロ遠心分離機で12,000 x gで4℃で1時間遠心分離した。透明になった上清中のタンパク質濃度をBradford試薬を用いて分光光度法により決定した後、−80℃で保管した。
【0064】
抗体とカップリングしたLuminexビーズ上での活性カスパーゼ−3−阻害剤複合体の捕捉
コントロールビーズと抗カスパーゼ3抗体にカップリングしたビーズを30秒間渦流攪拌し、水槽超音波処理装置中で2分間超音波処理を行い、ビーズを分散させた。カンプトテシンのみ、カンプトテシンとビオチン化カスパーゼ阻害剤、またはビオチン化カスパーゼ阻害剤のみで処理した細胞からの溶解物を分析緩衝液(50mM Tris pH7.5、100mM NaCl、0.05% tween−20および0.1% BSA)で希釈して、最終タンパク質濃度10μg/mlを得た。ビーズ懸濁液(1000個のビーズ/μl)をそれぞれの試料50μlに加え、暗所で緩やかに振盪しながら1時間インキュベーションした。次に、ビーズを、1.2μm PVDF膜(Millipore)を含んでなるフィルタープレートを用いて分析緩衝液100μlで洗浄した。ビーズを2μg/mlストレプトアビジン−PE接合体(Pierce)を含む分析緩衝液50μlに再懸濁し、更に30分間暗所で浸透した。PE−接合体を結合した後、ビーズを分析緩衝液100μlで洗浄し、50mM Tris pH7.5、100mM NaCl、0.02% tween−20に再懸濁した。ビーズ表面上のカスパーゼ3に結合したビオチン化阻害剤の存在を、Luminex 100装置を用いて検出した。
【0065】
ビーズ上に検出されたシグナルを、図10に示す。カンプトテシンで処理したが、阻害剤では処理しなかった試料は、ビオチン標識阻害剤はビーズ上に捕捉されたカスパーゼに結合しなかったので、予想されたようにバックグラウンドのみのビーズに同等なシグナルを与えた。阻害剤を含むがカンプトテシンで処理しなかった試料は、細胞中の基礎カスパーゼ活性が低水準であることを反映している低いシグナルを生じた。カンプトテシンで処理しビオチン標識阻害剤を含む試料は高いシグナルを示し、これによりカスパーゼ3がカンプトテシンで処理することによって誘導されることを示していた。
【0066】
実施例3: マルチプレックスカスパーゼ分析法
上記実施例1に記載の方法を用いて、Luminexビーズの組(色)27、29および31をそれぞれカスパーゼ−3、カスパーゼ−7およびカスパーゼ−9についての抗体にカップリングする。使用直前に、ビーズを30秒間渦流攪拌し、2分間超音波処理を行い、分散させた。次に、ビーズを混合して、それぞれのビーズの組の同等な表示を有する1000個のビーズ/μl(それぞれの色)の懸濁液を提供する。細胞溶解物は、実施例1に記載の骨髄腫細胞系から調製した。一つの培養物はビオチン化カスパーゼ阻害剤であるビオチン−DEVD−FMKで8時間処理し、第二の培養物はアポトーシス誘導物質であるカンプトテシンとビオチン化カスパーゼ阻害剤であるビオチン−DEVD−FMKで8時間処理した。マルチプレックスビーズ懸濁液(2μl)の一部を、分析緩衝液(50mM Tris pH7.5、100mM NaCl、0.05% tween−20および0.1% BSA)中で10μg/mlまで希釈した細胞抽出物のそれぞれの試料50μlと共にインキュベーションした。暗所で振盪しながら1時間インキュベーションした後、ビーズを1.2μmのPVDF膜(Millipore)を含んでなるフィルタープレートを用いて分析緩衝液100μlで洗浄する。ビーズを、2μg/mlのストレプトアビジン−PE接合体(Pierce)を含む分析緩衝液50μlに再懸濁し、暗所で更に30分間振盪する。PE−接合体が結合した後、ビーズを分析緩衝液100μlで洗浄し、50mM Tris pH7.5、100mM NaCl、0.02% tween−20に再懸濁する。ビーズ表面上の標識したカスパーゼ酵素の存在を、Luminex 100装置を用いて検出した。総数が100の事象をそれぞれのビーズの組について集め、メジアン蛍光強度を図11にプロットした。図11に示されるように、総ての3種類のカスパーゼが誘導されるが、誘導のレベルはそれぞれの特異的カスパーゼについて異なった。カスパーゼ9の誘導は最低であったが、カスパーゼ3の誘導は最大となった。
【0067】
実施例4: 競合的マルチプレックス阻害剤分析法
上記実施例2に記載の方法を用いて、Luminexビーズの組(色)27、29および31をそれぞれカスパーゼ−3、カスパーゼ−7およびカスパーゼ−9についての抗体にカップリングする。使用直前に、ビーズを30秒間渦流攪拌し、2分間超音波処理を行い、分散させた。次に、ビーズを混合して、それぞれのビーズの組の同等な表示を有する1000個のビーズ/μl(それぞれの色)の懸濁液を提供する。細胞溶解物は、細胞の追加部分をカンプトテシン、ビオチン化カスパーゼ阻害剤ビオチン−DEVD−FMK、および等量のMX435と呼ばれる実験的カスパーゼ阻害剤で8時間処理することを除き、実施例1に記載した通りに骨髄腫細胞系Kasから調製する。MX435阻害剤はビオチンで標識せず、従って、これはそれぞれのカスパーゼへの結合について標識阻害剤と競合する。マルチプレックスビーズ懸濁液(2μl)の一部を、分析緩衝液(50mM Tris pH7.5、100mM NaCl、0.05% tween−20および0.1% BSA)中で10μg/mlまで希釈した細胞抽出物のそれぞれの試料50μlと共にインキュベーションした。暗所で振盪しながら1時間インキュベーションした後、ビーズを1.2μmのPVDF膜(Millipore)を含んでなるフィルタープレートを用いて分析緩衝液100μlで洗浄する。ビーズを、2μg/mlのストレプトアビジン−PE接合体(Pierce)を含む分析緩衝液50μlに再懸濁し、暗所で更に30分間振盪する。PE−接合体が結合した後、ビーズを分析緩衝液100μlで洗浄し、50mM Tris pH7.5、100mM NaCl、0.02% tween−20に再懸濁する。ビーズ表面上の標識したカスパーゼ酵素の存在を、Luminex 100装置を用いて検出する。総数が100の事象をそれぞれのビーズの組について集め、メジアン蛍光強度を図11にプロットする。図12に示されるように、総ての3種類のカスパーゼが培養物へのカンプトテシンの添加によって誘導される。しかしながら、実験的カスパーゼ阻害剤MX435の存在下では、カスパーゼ3およびカスパーゼ9の活性の誘導は変化しないが、カスパーゼ7の活性は大幅に減少する。この結果は、MX435がカスパーゼ7に特異的に結合するが、カスパーゼ3または9へは特異的に結合しないことを示している。
【0068】
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【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】1個の結合残基と1個のシグナル残基を含む標識阻害剤の略図。
【図2】1個の結合残基と1個のシグナリング残基を含む標識した基質の略図。
【図3】1個の結合残基と2個の相互作用するシグナル残基を含む標識した基質の略図。標識同士は、それらが接近しているときには相互作用して、シグナルを増加させまたはシグナルを減少させることがある。
【図4】本発明で用いられる捕捉分子のアレイの図。アレイのそれぞれの要素は、特定のプロテアーゼに特異的な捕捉分子と結合するアレイの領域を表す。
【図5】ビーズを基材とするアレイの略図。それぞれの着色したビーズは、異なるプロテアーゼに特異的な抗体と結合する。2種類以上のビーズを混合して、アレイを形成することができる。
【図6】標識阻害剤の試料への付加、および阻害剤のプロテアーゼへの結合により、阻害剤−プロテアーゼ複合体を形成することを示す。
【図7】阻害剤−プロテアーゼ複合体が平坦なアレイ上に捕捉され、アレイのそれぞれの要素のシグナルをマイクロアレイスキャナーで測定することができる一つの方法。
【図8】プロテアーゼ−阻害剤複合体のカラーコードビーズアレイへの結合。ビーズカラーの同定およびそれぞれのビーズに結合したシグナルの測定はフローサイトメーターで行う。
【図9】FRET標識基質の試料への付加、およびプロテアーゼへ結合して基質−阻害剤複合体を形成することを示す。プロテアーゼは続いて2種類のFRET標識を開裂し、FRET標識の消光は蛍光FRET標識が最早接近していない。結合残基により、蛍光FRET標識を含む基質の部分はプロテアーゼに結合したままであり、蛍光シグナルを生成する。この複合体は、アレイ上に捕捉することができる。
【図10】アポトーシス誘導物質であるカンプトテシンとビオチン標識カスパーゼ3阻害剤で処理したおよび処理しない異なる試料によって生成したメジアン蛍光単位。
【図11】抗体をコーティングしたビーズアレイを用いて3種類の異なるプロテアーゼ−阻害剤複合体を捕捉するための単一反応での3種類の異なるプロテアーゼ活性のマルチプレックス測定。
【図12】マルチプレックス、競合分析フォーマットにおけるプロテアーゼ活性のマルチプレックス測定。3種類のカスパーゼ酵素の活性を、アポトーシス誘導物質であるカンプトテシンと標識した阻害剤の存在下または非存在下で測定した。実験的アポトーシス阻害剤であるMX435を含む別の組の試料を行った。
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、生体分子を検出するための方法および組成物を提供する。特に、本発明は、プロテアーゼの活性を測定するための組成物および方法に関する。本発明の新規な組成物、方法およびキットはプロテアーゼの検出に広汎な応用可能性を有し、プロテアーゼの検出における特異性を高めてきた。更に、本発明の組成物および方法は、複数のプロテアーゼの活性を同時にまたはマルチプレックス化フォーマット(multiplexed format)で、特に平坦および液状配列フォーマットでの測定に広汎な用途を見出すであろう。
【0002】
背景および関連技術
正常および疾患状態における組織ホメオスタシスは、重複しているパターンの遺伝子発現およびタンパク質活性が寄与している複雑な生物学的応答によって調節されている。このため、疾患状態または特異的生物学的応答は単一遺伝子またはタンパク質の発現または活性の差によって特定することはできないが、複数の遺伝子またはタンパク質の発現または活性の変化を検討するプロフィールによって特定することができる。それ故、多くの遺伝子またはタンパク質の活性を同時に測定するのに用いることができる手段を開発することが重要である。
【0003】
プロテアーゼは、他のタンパク質を特異的ペプチド配列で開裂する酵素である。カスパーゼは、少なくとも14種類のシステインプロテアーゼの構造的に関連した群に属するプロテアーゼの1クラスである。カスパーゼ活性は、プログラムに組込まれた細胞死の高度に組織化された工程であるアポトーシスの態様に特徴がある。細胞タンパク質のカスパーゼ依存性タンパク質分解は、アポトーシスの際の重要な事象である。アポトーシス応答は正常および疾患状態の組織ホメオスタシスの維持に重要であり、治療的介入の重要なターゲットである。アポトーシスの重要なレギュレーターとして、カスパーゼ酵素は実質的な臨床的および薬学的重要性を有することが明らかにされており、医薬産業や学術的実験室で現在広く研究されている(1,2,3)。これらのタンパク質の7つ(カスパーゼ−2、−3、−6、−7、−8、−9、および−10)はアポトーシスの伝達に中心的役割を有し、機能に基づいてイニシエーターカスパーゼとエフェクターまたはエクシキューショナーカスパーゼの2つのクラスに分けられる。−2、−8、−9および−10を包含するイニシエーターカスパーゼは細胞死シグナルに応答して活性化され、特異的細胞タンパク質を開裂して細胞分解に寄与するエフェクターカスパーゼ(カスパーゼ−3、−6および−7)の1個以上を活性化する。細胞に対する感染、疾患、損傷または薬理学的因子の効果の研究において、特異的死刺激を受け取った時点でどのカスパーゼが活性化され且つ活性化が起こる場所および時間を決定することが重要である。このような情報は、アポトーシスの際にカスパーゼの活性化を調節する方法のデザインに有用となる。
【0004】
アポトーシス応答を開始するシグナルおよび個々のカスパーゼに特異的な阻害剤の存在によっては、様々な組合せのカスパーゼ活性がアポトーシスに寄与し且つ特定の疾患または生理学的および薬理学的因子と関連している可能性があるシグネチャーを提供する(4,5,6)。例えば、カスパーゼ−8は死誘導表面シグナリング複合体の形成に応答して活性化されるが、カスパーゼ−9はDNA損傷などの細胞ストレスによって誘発される(7)。
【0005】
試料の特異的プロテアーゼの活性を検出し、定量することができる分析法は、生物学的および生化学的研究、医学、薬剤発見、薬理学、および診断学においてかなり重要である。これらの分析法は生化学的経路を解明し、病理学的素因を同定し、可能性のある治療薬をスクリーニングし、疾患を診断し、分類し、段階付けて、薬剤治療の有効性を決定するのに用いることができる。このような分析法の有用性と応用可能性を増加させる努力は、分析法の感度、特異性および処理量の制限によって挫折することが多い。プロテアーゼを伴う複雑な生物学的過程の理解も、複数のプロテアーゼの活性を同時にまたはほぼ同時に測定することができないため阻害されている。
【0006】
プロテアーゼ活性を検出し、定量する方法は、通常はプロテアーゼを標識した天然または合成プロテアーゼ基質と混合することによって行う。プロテアーゼは基質を開裂して標識を放出させることによって、測定可能な色または蛍光シグナルを生成する(8,9)。しかしながら、精製プロテアーゼよりはむしろ粗製ホモジェネートおよび亜細胞断片におけるプロテアーゼについての研究が、特異的プロテアーゼの活性のみを測定する特異的基質を欠いていることによって阻害され、更に一層特異的な基質を見出すことにかなりの時間と努力が費やされてきた。特定の種類の試料における特定のプロテアーゼに特異的であると思われる基質を見出したとしても、異なるプロテアーゼがその基質をも開裂する異なる試料の種類には見出されないという保証はない。例えば、カスパーゼファミリーのプロテアーゼの多くは同様な基質と結合して、これを開裂し、特定のプロテアーゼ活性を特異的カスパーゼとイン・ビトロで関連付けることを困難にしている。それにもかかわらず、カスパーゼ活性に対する数種類の異なる分析法が開発され、商業化されてきた(10)。これらの分析法は蛍光性残基で標識した合成テトラペプチドAsp−Glu−Val−Asp(DEVD)、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(AFC)、または比色法による標識であるp−ニトロアニリド(pNA)を基質として用いている。DEVD依存性のプロテアーゼ活性は、基質から開裂された遊離AFCまたはpNAの検出によって評価される。様々なペプチド配列を用いて様々なカスパーゼ酵素を検出することができるが、一般的にはカスパーゼはこれらの基質には余り特異的でないので、任意の特定のペプチド基質が結合して、複数のカスパーゼによって同時に開裂することができる(11,12)。
【0007】
従って、プロテアーゼ活性を検出して測定するための、特にカスパーゼ活性を測定するための改良法および組成物が強く求められることになると思われる。
【発明の概要】
【0008】
従って、本発明の目的は、プロテアーゼ活性を検出して分析するための、特にカスパーゼ活性を検出して分析するための新規な方法、系、および組成物を提供することである。
【0009】
この目的により、個々のプロテアーゼに対する特異性が極めて高く且つマルチプレックスまたはアレイフォーマットでの複数のプロテアーゼ活性を同時に検出することができる分析法を提供する本発明の新規な組成物および方法が提供された。本発明は、1種類以上の非特異的基質または阻害剤(プロテアーゼに結合するが開裂されない基質)を用いて特異的プロテアーゼを検出することができるという点において、且つ複数のプロテアーゼの活性を同時にまたはマルチプレックスまたはアレイフォーマットで分析することができるので、従来技術と比較して実質的に改良される。更に、本発明は可溶性のシグナリング分子を放出しないので、プロテアーゼ活性の検出を固体または液体アレイフォーマットで行うことができ、その結果可溶性のシグナルが生成するときには用いることができないシグナル増幅法の使用が容易になる。
【0010】
一つの態様では、捕捉表面(capture surface)上に検出可能な複合体を固定し、検出可能な複合体が標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなる検出可能な組成物が提供される。捕捉表面は特異的認識要素であって、プロテアーゼが特異的認識要素に結合することによって捕捉表面上に固定されているものを含んでなることがある。特異的認識要素は、例えば、モノクローナルまたはポリクローナル抗体または抗体断片のような免疫グロブリン、プロテインG、プロテインA、プロテインA/G、ペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、または金属キレートでよい。捕捉表面は、例えば、ウェル、実質的に平坦な表面、または個々にアドレス可能な粒子、ビーズまたは微小球のような粒子、ビーズまたは微小球であることがある。
【0011】
もう一つの態様では、上記のような複数の検出可能な組成物を有するマルチプレックス検出系(multiplex detection system)が提供される。この系は、例えば、複数の別個の座に再分された基質であって、それぞれの座がその座の表面に固定された検出可能な複合体を含んでなり且つこの検出可能な複合体が標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなるものを有することがある。基質は、例えば、マルチウェルプレートまたは実質的に平坦な表面であってもよく、または個々にアドレス可能な粒子、ビーズまたは微小球であってもよい。粒子、ビーズまたは微小球は、磁性を有するか、および/または無線周波数標識(radio-frequency tagged)されていてもよい。
【0012】
これらの組成物および/または系のいずれかにおいて、標識した阻害剤は、例えば、比色ラベル、蛍光ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、ビオチン、ジゴキシゲニン、検出可能な炭水化物、オリゴヌクレオチド、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、および糖タンパク質からなる群から選択される残基で標識されていてもよい。標識した阻害剤は、更に結合性残基、例えば、フルオロメチルケトン、クロロメチルケトン、アルデヒド、ジフルオロメチルケトン、ジアゾメチルケトン、OPHまたはDAPを含んでなることもある。
【0013】
もう一つの態様では、捕捉表面上での標識した複合体の存在を検出するなどの試料中のプロテアーゼを検出する方法であって、標識した複合体が試料から誘導され且つ標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなる方法が提供される。検出可能な複合体は、特異的認識要素に結合することによって捕捉表面上に固定されていてもよく、特異的認識要素はプロテアーゼに結合している。特異的認識要素、捕捉表面および阻害剤は、上記した通りであることがある。この方法は、複数の捕捉表面上に複数の標識した複合体組成物であって、それぞれの標識した複合体が標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなるものを検出することによってマルチプレックス化することができる。
【0014】
これらの方法のいずれにおいても、標識した複合体は、捕捉表面上への固定前に、それと同時に、またはその後に、プロテアーゼを含むと推測される試料を標識した阻害剤と接触させることによって調製することができる。
【0015】
これらの方法、系および組成物のいずれにおいても、プロテアーゼはカスパーゼであることができる。
【0016】
これらの方法、系および組成物のいずれにおいても、1種類以上の試薬を用いて、検出可能な標識からのシグナルを増幅することができる。検出可能な標識は、2個以上の標識を含んでなり、標識同士が相互作用して、それらが接近しているときにはシグナルを生成するが、それらが接近していないときにはシグナルを生成できないようにするか、または標識同士が相互作用して、それらが接近しているときにはシグナルを抑制するが、それらが接近していないときにはシグナルを生成するようにすることができる。
【0017】
任意のマルチプレックス系では、支持体および捕捉分子を含んでなるアレイを用いて、2種類以上のプロテアーゼ−阻害剤複合体を同時にまたはほぼ同時に捕捉することができるようにすることができる。
【0018】
もう一つの態様では、1種類以上の標識した阻害剤と1個の支持体および1種類以上の捕捉分子を有するアレイを有する試料中のプロテアーゼ活性を検出しおよび/または定量するためのキットが提供される。このキットは、追加成分、例えば、1種類以上の精製プロテアーゼ、1種類以上の細胞溶解物または抽出物、1種類以上の定量された標準品またはコントロール、1種類以上の標識した二次試薬、1種類以上のシグナル増幅用試薬、1種類以上の分析試料調製用緩衝液、ある試料中でプロテアーゼ活性を誘導しまたは阻害すると考えられている1種類以上の既知物質、および/または1種類以上の未知試料を有することがある。
【0019】
もう一つの態様では、第一の標識したおよび第二の標識した阻害剤であって、第一の標識したおよび第二の標識した阻害剤上の標識が異なるものを試料に加え、阻害剤が試料中でプロテアーゼに結合する条件下で混合物をインキュベーションし、プロテアーゼ−阻害剤複合体を支持体に捕捉分子をコーティングしたアレイ上に捕捉し、存在または非存在を検出し、および/または支持体に結合した第一の標識したおよび第二の標識した阻害剤の量を定量することを含んでなる、試料中の2種類以上の阻害剤の1種類以上のプロテアーゼへの結合を測定する方法が提供される。少なくとも10個までの識別可能な標識した阻害剤を用いることができる。
【0020】
本発明の他の目的、特徴および利点は、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体的実施例は、本発明の好ましい態様を示しているが、本発明の精神および範囲内での様々な変更や修正はこの詳細な説明から当業者には明らかになるので、単に例示の目的で挙げられていることを理解すべきである。
【発明の具体的説明】
【0021】
本発明は、試料中のプロテアーゼの存在および/または活性を分析するための組成物および方法を提供する。特に、本発明は、1種類以上の試料中の複数のプロテアーゼを同時に分析するための組成物および方法を提供する。
【0022】
具体的にいえば、プロテアーゼは、標識した阻害剤分子への結合の前に、それと同時に、またはその後に、捕捉表面に固定することによって検出される。阻害剤は、欠きにおいて更に定義されるように、プロテアーゼ−阻害剤複合体を検出できるほど十分に安定な方法でプロテアーゼに結合する残基である。プロテアーゼは、共有的にまたは非共有的に阻害剤に結合することができる。阻害剤はプロテアーゼによって開裂されることもまたは開裂されないこともあるが、開裂が起きるときには、阻害剤の標識した部分はプロテアーゼに結合したままである。阻害剤は、例えば色素で直接標識することができ、または間接的に検出可能な残基、例えばビオチンで標識することができる。阻害剤を間接的に検出可能な残基で標識するときには、阻害剤/プロテアーゼ複合体をその残基に結合する標識した試薬で後で検出することができる。例えば、阻害剤をビオチンで標識するときには、複合体を、色素などで直接標識されるまたは例えば、酵素基質と更に化学反応を行った後に検出することができる酵素のような分子に接合するストレプトアビジンを用いて後で検出することができる。
【0023】
捕捉表面は、プロテアーゼまたはプロテアーゼ−阻害剤複合体に特異的に結合する捕捉分子を含んでなる。適当な捕捉分子としては、モノクローナルまたはポリクローナル抗体および抗体断片のような免疫グロブリンが挙げられる。他の適当な捕捉分子は、当該技術分野で知られている。プロテアーゼが捕捉表面に結合した後に阻害剤と結合する態様では、捕捉分子は阻害剤の結合を妨げない方法でプロテアーゼに結合する。プロテアーゼが捕捉表面に結合する前に阻害剤と結合する態様では、捕捉分子はプロテアーゼ−阻害剤複合体を分裂させない方法でプロテアーゼに結合する。この場合には、プロテアーゼまたはプロテアーゼ−阻害剤複合体に結合することがある。
【0024】
捕捉表面は連続的表面、例えば、実質的に平坦な表面であって、所望ならば、別個の領域に再分して複数の捕捉分子のアレイを調製することができるものであることがある。これらの領域はプロテアーゼ阻害剤複合体の検出に適当な任意の物理的形態のものであることができ、平坦な表面上のスポットまたはプレート上のウェルを挙げることができるが、これらに限定されない。複数のプロテアーゼのマルチプレックス化検出には、別個の領域のそれぞれは特定のプロテアーゼまたはプロテアーゼ−阻害剤複合体に特異的な捕捉分子を含むことができる。所望ならば、アレイはコントロール用の領域との間で比較することができる同一捕捉分子を有する複数の領域を含むことができる。
【0025】
捕捉表面は、粒子、ビーズ、微小球または類似の残基であることもできる。捕捉表面がこの様式の粒状であるときには、構造を同定して分離することができる個々にアドレス可能な粒状構造を用いるのが好都合である。個々にアドレス可能な構造は当該技術分野で知られており、磁性ビーズ、無線周波数標識した粒子、蛍光標識した微小球などが挙げられる。このような場合には、結合した検出複合体(プロテアーゼに結合した阻害剤を含んでなる)の存在を阻害剤上に存在する標識と構造体上に存在するアドレス可能な残基によって検出することができる。例えば、蛍光標識したビーズは、以下において更に詳細に説明されるフローサイトメトリーを用いて検出することができる。
【0026】
本発明の一つの態様では、目的とする(複数の)プロテアーゼを含む試料を、(複数の)プロテアーゼに結合するがプロテアーゼによっては開裂されない標識したプロテアーゼ阻害剤と混合する。次に、プロテアーゼ−阻害剤複合体を、モノクローナルまたはポリクローナル抗体または抗体断片のような特異的捕捉分子をコーティングした支持体上に捕捉する。捕捉分子はプロテアーゼ−阻害剤複合体のプロテアーゼ成分に特異的に結合することができ、またはこれはプロテアーゼ−阻害剤複合体に特異的に結合することができるのであり、すなわち、これは複合体にのみ存在する1種類以上の分子構造にのみ特異的に結合することができる。この後者の場合には、捕捉分子は複合体を形成していないプロテアーゼまたは複合体を形成していない阻害剤のいずれも認識しない。捕捉分子は個々にアドレス可能なビーズに結合することができ、またはアレイフォーマットにおける支持体に結合することができる。次に、結合した基質または阻害剤からのシグナルを測定して、プロテアーゼ結合活性を定量する。
【0027】
本発明のもう一つの態様では、プロテアーゼを含む試料をプロテアーゼに結合する標識したプロテアーゼ基質と混合する。標識した基質は2種類の相互作用する標識を含み、標識の一方を用いて生成したシグナルがプロテアーゼの作用によって開裂するようにする。あるいは、標識同士が相互作用して、それらが接近しているときにはシグナルを生成するが、標識の一方がプロテアーゼから開裂するときにはシグナルを生成できないようにすることができる。次に、プロテアーゼ−基質複合体をモノクローナルまたはポリクローナル抗体または抗体断片のような特異的捕捉分子をコーティングした固相上に捕捉する。捕捉分子は、個々にアドレス可能なビーズに結合させることができ、またはアレイフォーマットにおける支持体に結合することができる。次に、結合した基質からのシグナルを測定して、プロテアーゼ結合活性を定量する。
【0028】
本発明のもう一つの態様では、捕捉したプロテアーゼ−阻害剤またはプロテアーゼ−基質複合体上の標識からのシグナルを、チラミドシグナル増幅または標識したオリゴヌクレオチドデンドリマーによる増幅のような当該技術分野で知られている方法によって増幅する(13,14)。
【0029】
本発明のもう一つの態様では、プロテアーゼ−基質またはプロテアーゼ−阻害剤複合体を最初にポリまたはモノクローナル抗体のような遊離捕捉分子に結合させた後、これらの抗体−プロテアーゼ−阻害剤または抗体−プロテアーゼ−基質複合体を続いて支持体上に捕捉する。
【0030】
定義および略語
以下の説明において、一般に生化学分析法の分野で用いられる多数の用語、および特にプロテアーゼが利用される。
【0031】
プロテアーゼ
本明細書で用いられる「プロテアーゼ」は、タンパク質またはペプチドの加水分解を触媒する任意のペプチド、ポリペプチド、またはペプチドまたはポリペプチド含有基質を表す。プロテアーゼは天然に存在するものでもまたは天然に存在しないものでもよく、天然供給源から単離することができ、組換え体または合成品でよく、いずれか特定の形態である必要はない。周知のプロテアーゼの例としては、ブロメライン、カテプシンB、カテプシンD、カテプシンG、キモトリプシン、クロストリパイン、コラゲナーゼ、ジスパーセ、エンドプロテイナーゼArg−C、エンドプロテイナーゼAsp−N、エンドプロテイナーゼGlu−C、エンドプロテイナーゼlys−C、Xa因子、カリクレイン、パパイン、ペプシン、プラスミン、プロテイナーゼK、ズブチリシン、テルモリシン、トロンビン、トリプシン、アシルアミノ酸放出酵素、アミノペプチダーゼM、カルボキシペプチダーゼA、カルボキシペプチダーゼB、カルボキシペプチダーゼP、カルボキシペプチダーゼY、カテプシンC、ロイシンアミノペプチダーゼ、およびピログルタメートアミノペプチダーゼが挙げられる。
【0032】
試料
本明細書で用いられる「試料」とは、プロテアーゼを含むことがある任意の組成物または材料を表し、ヒトおよび動物組織、培養細胞、培養したまたは天然に存在する微生物、体液、血液、血清などを挙げることができるがこれらに限定されない。試料は、生物学的材料のみを含む必要はない。試料は、物理的マトリックス上または中のプロテアーゼ含有材料からなることもできる。
【0033】
リーシス試薬
本明細書で用いられる「リーシス試薬」(lysis reagent)とは、細胞および組織を破壊してタンパク質分解酵素を放出し且つ検出および/または捕捉に利用することができるのに用いられる任意の組成物を表す。組成物は、分析用試料を調製するのに当該技術分野で一般に知られており且つ用いられる化学物質、塩、緩衝液および洗剤を含むことができるが、これらに限定されない。組成物は防腐剤および安定剤を含み、保管、取扱いおよび試験中に試料を安定化して、分解を防止することもできる。
【0034】
阻害剤
本明細書で用いられる「阻害剤」とは、プロテアーゼの活性部位に結合するがプロテアーゼによって開裂されない残基である。阻害剤は、シグナル残基または結合残基のような1種類以上の追加残基で標識することができる。
【0035】
基質
本明細書で用いられる「基質」とは、プロテアーゼの活性部位に結合するがプロテアーゼによって開裂されない分子である。開裂後に、基質の一部はプロテアーゼに結合したままであってもよい。
【0036】
結合残基
本明細書で用いられる「結合残基」とは、プロテアーゼ阻害剤または基質に結合して、プロテアーゼに対する阻害剤の結合親和性を増加させる化学的残基である。結合残基は、阻害剤または基質とプロテアーゼとの間で非共有結合、可逆性共有結合、または不可逆性共有結合を形成することができる。結合残基の例は、アルデヒド残基(CHO)、フルオロメチルケトン(FMK)、およびクロロメチルケトン(CMK)である。プロテアーゼ基質および阻害剤は、結合残基で標識したものが市販されている。
【0037】
シグナル残基
本明細書で用いられる「シグナル残基」とは、検出可能な標識である。本発明において、多種多様なシグナル残基、例えば、放射性同位体、蛍光ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、および酵素ラベルなどを挙げることができる。シグナル残基は、抗体、ペプチドのような二次試薬、直接的化学的相互作用、および当該技術分野で周知の他の方法によって認識されるハプテンであることもできる。シグナル残基は、当該技術分野で周知の方法によるハイブリダイゼーション、重合、連結反応および/または増幅によって検出することができるオリゴヌクレオチドまたは核酸であってもよい。シグナル残基は、蛍光共鳴エネルギー転移(PRET)と呼ばれる現象を利用するために、接近して結合した2種類の発色体を含んでなることもできる。適当な波長の光線を照射すると、一方の発色体は光子を吸収した後、励起状態に存在する。励起した発色体からのエネルギーは、2種類の分子が互いに接近したときに受容体分子に転移する。この転移は、励起した発色体が光線の光子の形態でエネルギーを放出することにより発色体の蛍光が消光するのを防止する。受容体分子が十分接近していないときには、転移は起こらず、励起した発色体が次に蛍光を発することがある。このような相互作用するシグナル残基の対は、当該技術分野で周知である(15,16)。発光共鳴エネルギー転移(LRET)として知られている同様な現象は、増感したランタニド金属と受容体色素との間で起こり、本発明で用いることができる。
【0038】
捕捉分子
本発明において、「捕捉分子」とは、1種類以上の生物学的分子を含む溶液からプロテアーゼを特異的に捕捉する任意の分子であることができる。捕捉分子の例は、ポリおよびモノクローナル抗体、合成、ヒト化またはファージ展示抗体および抗体断片である。本明細書で用いられる「抗体」という用語は、抗原上の特異的エピトープに特異的に結合することができる免疫グロブリン分子を表す。抗体は天然供給源または組換え体供給源から誘導された完全な免疫グロブリンであることができ、完全な免疫グロブリンの免疫反応性部分であることができる。本発明における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabおよびF(ab)2、並びに一本鎖抗体およびヒト化抗体などの様々な形態で存在することができる(Harlow et al., 1988, 「抗体: 実験室便覧(Antibodies: A Laboratory Manual)」, Cold Spring Harbor, N.Y.; Houston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5879-5883; Bird et al., 1988, Science 242: 423-426)。本明細書で用いられる「合成抗体」という用語は、組換えDNA法を用いて生成する抗体、例えば、本明細書に記載のバクテリオファージによって発現される抗体を表す。この用語は、抗体をコードするDNA分子の合成によって生成された抗体であって、DNA分子が抗体タンパク質またはこの抗体を特徴づけるアミノ酸配列を発現するものであって、DNAまたはアミノ酸配列が、利用することができ且つ当該技術分野で周知の合成DNAまたはアミノ酸配列法を用いて得られたことを特徴とする、抗体を意味するものとも解釈すべきである。特異的プロテアーゼに対して自然の親和性を有するタンパク質、および遺伝子工学処理を施して特異的にプロテアーゼに結合するタンパク質も、本発明に包含される。捕捉分子は、プロテアーゼと結合する別の分子に結合する分子であってもよい。例えば、抗ウサギIgGを用いて、ウサギ抗体−プロテアーゼ複合体を捕捉することができる。同様に、プロテインGを用いて、ヤギ抗体−プロテアーゼ複合体を捕捉することができる。
【0039】
支持体
本明細書で用いられる「支持体」とは、タンパク質、ペプチド、核酸などのような捕捉分子を結合するのに適当な任意の多孔性または非多孔性材料またはマトリックスでよい。捕捉分子は、当該技術分野で周知の任意の手法または手法の組合せによって支持体に共有的または非共有的に結合させることができる。本発明の支持体は、ナイロン、ニトロセルロース、ジアゾニトロセルロース、ガラス、ケイ素、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、セファロース、寒天、澱粉、または生体分子を固定することができる任意の他の材料を含んでなることができる。この材料は、フィルター、膜、平らな表面、チューブ、チャンネル、ウェル、シート、ビーズ、微小球、カラム、繊維(例えば、光学繊維)などに成形することができる。支持体は、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェル、384ウェル、および1537ウェルのようなマルチウェルチューブ(例えば、マイクロタイタープレート)を含んでなることもできる。好ましいビーズは、ガラス、ラテックスまたは磁性材料(磁性、常磁性または超磁性ビーズ)から作られる。本発明において、支持体は、好ましくはLuminex Corporation (Austin, TX)によって製造販売されているような一組のカラーコードした微小球である(17)。
【0040】
アレイ
本明細書で用いられる「アレイ」(または整列)(array)という用語は、支持体上の捕捉分子の規則的配列を表す。このようなアレイは、このようなアレイは、マイクロプレート、ガラススライド、ビーズ、微小球、微小流動性装置(microfluidic devices)または標準的ブロッティング膜上に形成させることができ、「アレイ」、マイクロアレイまたはチップと表すことができる。捕捉分子は、支持体に共有的または非共有的相互作用を介して結合することができる。平坦な表面に結合するときには、捕捉分子は規則的に結合して、任意の特定の捕捉分子の同一性をアレイ上のその位置によって確認することができる。このようなアレイは、ガラスまたはプラスチック製顕微鏡スライドのような平坦な物体上に構築することができる。このようなアレイはチューブまたはマイクロプレートウェルの内面上に構築することもでき、または微小流動性装置のチャンネル内部に構築することもできる。一般に、捕捉分子が結合する個々の部位を同定することができる限りは、アレイの種類またはフォーマットに制限はない。支持体がビーズまたは微小球の組であるときには、異なる捕捉分子に結合したビーズまたは微小球の組は何らかの方法で識別し得るものでなければならない。Luminex Corporation製ビーズ(Austin, Texas)を、10段階の濃度の2種類の色素を添加することによってカラーコードし、100種類のカラービーズを生成する。捕捉分子を特異的なビーズカラーに結合させることができ、それぞれのビーズの色をフローサイトメトリーによって同定することができる。ビーズアレイは、特異的な捕捉分子を特異的カラーのビーズの組に結合させた後、異なる組の着色ビーズを混合してアレイを作製することによって調製される。同様に、Pharmaseq製微小粒子(Princeton, NJ)は、それぞれ特異的な微小粒子を同定するのに用いることができる独特な無線周波数標識を有する。他の方法を用いて、核酸およびペプチド標識のような同定のために、個々のビーズを標識することができる。アレイは、およそ2−100,000個の要素、好ましくは3−5000個の要素を含むことができる。
【0041】
シグナル増幅
本明細書で用いられる「シグナル増幅」とは、「一標識」検出法で達成することができる以上に生物学的分析法のシグナルを増加させる目的で用いられる任意の方法を表す。シグナル増幅は、チラミドシグナル増幅のような酵素触媒レポーター沈着に基づくことがあり、または酵素増幅に基づくことがある(18,19)。あるいは、標識の数を増加させる方法を用いてもよい。このような方法としては、デンドリマー、分岐ポリマー、および二次的検出可能な試薬のための複数の結合部位を有する長い線状ポリマーの結合が挙げられる。これらの方法の例としては、オリゴヌクレオチドデンドリマー、分岐DNA、およびハイブリッドキャプチャー(Hybrid Capture)が挙げられる(20,21,22)。ポリメラーゼ連鎖反応およびローリングサークル増幅のような核酸増幅法を用いて、得られたシグナルを増幅することもできる(23,24)。これらの方法の多くは核酸の検出感度を増加させる目的でデザインされたものであるが、それらは、単に核酸の適当な断片を抗体、ペプチドアビジンまたはストレプトアビジンのような検出試薬に結合させることによって、他の分子の検出に容易に適応させることができる。本発明では、シグナル増幅の任意の方法を用いて、分析法によって生成したシグナルを増加させることができる。
【0042】
一般的手順
アレイの調製
本発明のアレイは、核酸、ペプチドおよびタンパク質を支持体に結合させる当該技術分野周知の方法によって調製される(25,26,27)。抗体のような捕捉分子は、γ線で処理したガラスまたはポリスチレンに受動的に結合させることができる。捕捉分子を、強力な疎水性相互作用を介して表面に固定する。捕捉分子は、表面のカルボキシレート官能基を有するラテックスビーズをカルボジイミドEDCおよびn−ヒドロキシスクシンイミドと結合させることもできる。平坦な表面に対しては、捕捉分子を、DNAマイクロアレイ(遺伝子チップ)の調製に一般に用いられるような自動スポッティング装置を用いて表面にスポットすることができる。微小球へのカップリングには、捕捉分子へのカップリングを溶液で行うことができる。捕捉分子を結合した後、異なる捕捉分子に結合した微小球を混合して、アレイを作製する。
【0043】
阻害剤および基質
本発明の好ましい阻害剤は、プロテアーゼに強力に結合し且つシグナル残基を有するペプチドである。結合残基を用いることの必要性は、阻害剤または基質のプロテアーゼへの結合の強さによって決定される。自然の結合親和性が十分強いときには、結合残基は必要ない。自然の結合親和性が強くなければ、結合残基を阻害剤または基質上に有する必要がある。好ましい阻害剤の略図を、図1に示す。好ましい阻害剤の一例は、ビオチン−DEVD−FMKである。ビオチン−DEVD−FMKは、プロテアーゼであるカスパーゼ3に結合する阻害剤である。FMKは、結合後にプロテアーゼと共有的に反応する結合残基である。ビオチンは、標識したアビジンまたはストレプトアビジンを用いて検視することができる検出残基である。
【0044】
本発明の一種類の好ましい基質は、プロテアーゼに共有結合し且つシグナル残基を有するペプチドである。好ましい基質の略図を、図2に示す。
【0045】
本発明のもう一つの種類の好ましい基質は、不可逆的にプロテアーゼに結合し、2個の相互作用する検出残基を有するペプチドである。これらの好ましい基質の略図を、図3に示す。
【0046】
本発明の好ましい捕捉分子は、特定のプロテアーゼに特異的であり且つ関連プロテアーゼと交差反応しないポリまたはモノクローナル抗体である。このような抗体は、Santa Cruz Biotechnology (Santa Cruz, CA)のような供給業者から市販されている。抗体は、平坦な支持体に結合させて、図4に示されるような捕捉分子のアレイを作製することができる。
【0047】
本発明の好ましい支持体は、Luminex Corporation (Austin, TX)から製造販売されているもののようなカラーコード微小球の組である。抗体は、カルボジイミドEDCおよびn−ヒドロキシスクシンイミドを用いて微小球に結合させることができる。ビーズアレイの図を図5に示す。
【0048】
本発明の好ましい様式では、標識した阻害剤を1種類以上の細胞培養物に加える。典型的には、阻害剤を、1種類のコントロール培養物と、コントロール培養物中で成長させたものとは異なる条件下で成長させている1種類以上の試験培養物に加える。阻害剤を細胞毎に採取して、細胞中の活性プロテアーゼに結合させる。次に、細胞をリーシス試薬で溶解し、細胞溶解物をアレイと接触させる。プロテアーゼ−阻害剤複合体を、好ましくはアレイの要素に関して溶解物を移動させておくやり方でアレイ上の抗体によって捕捉させる。これらの段階を、図6−8に示す。
【0049】
溶解物がアレイに関して移動しない静的捕捉も可能であるが、同量のプロテアーゼ−阻害剤複合体を捕捉するにはずっと長い時間かかる。アレイがカラーコードしたビーズの組から構成されているときには、ビーズアレイと細胞溶解物の全部または一部を捕捉段階中に混合して、プロテアーゼ−阻害剤複合体の捕捉を最も効率的にすることができる。捕捉が完了したならば、過剰の細胞溶解物をアレイから洗浄する。ビーズアレイの場合には、洗浄を遠心分離または濾過によって行うことができる。洗浄後に、平坦なアレイを、遺伝子チップ分析に普通に用いられるスキャナーを用いてスキャンニングを行うことができる。カラーコードしたビーズアレイについては、アレイを2または3チャンネルのフローサイトメーターによって読み取る。1または2チャンネルによってそれぞれのビーズのカラーを決定し、それによってそのビーズに結合した捕捉分子の同一性を決定する。残りのチャンネルは、それぞれのビーズ上の阻害剤に結合した標識の蛍光強度の測定に用いられる。全アレイまたはビーズの全組を読み取ったならば、プロテアーゼ活性プロフィールを、それぞれの試料におけるそれぞれのプロテアーゼの活性を測定して記録することによってそれぞれの試料について生成させることができる。本発明のこの様式では、阻害剤を蛍光標識またはペプチド、ビオチンまたはジゴキシゲニンのようなハプテンを用いて直接標識することができ、標識抗体、ストレプトアビジン−フィコエリトリンまたは抗ジゴキシゲニン−フルオレセインのような標識した二次試薬を用いて検出を行うことができる。
【0050】
本発明のもう一つの態様では、FRETで標識した基質を1種類以上の細胞培養物に加える。典型的には、基質は、コントロール培養物中で成長させたものとは異なる条件下で成長させている1種類以上の試験培養物に加える。基質を細胞毎に採取して、細胞中の活性プロテアーゼに結合させる。次に、基質を開裂し、図9に示されるプロテアーゼに結合した基質の残りの部分に結合した蛍光シグナルを生成させる。次に、細胞をリーシス試薬で溶解し、細胞溶解物をアレイと接触させる。プロテアーゼ−基質複合体を、好ましくはアレイの要素に関して溶解物を移動させておくやり方でアレイ上の抗体によって捕捉させる。溶解物がアレイに関して移動しない静的捕捉も可能であるが、同量のプロテアーゼ−基質複合体を捕捉するにはずっと長い時間かかる。アレイがカラーコードしたビーズの組から構成されているときには、ビーズアレイと細胞溶解物の全部または一部を捕捉段階中に混合して、プロテアーゼ−基質複合体の捕捉を最も効率的にすることができる。捕捉が完了したならば、過剰の細胞溶解物をアレイから洗浄する。ビーズアレイの場合には、洗浄を遠心分離または濾過によって行うことができる。洗浄後に、平坦なアレイを、遺伝子チップ分析に普通に用いられるスキャナーを用いてスキャンニングを行うことができる。カラーコードしたビーズアレイについては、アレイを2または3チャンネルのフローサイトメーターによって読み取る。1または2チャンネルによってそれぞれのビーズのカラーを決定し、それによってそのビーズに結合した捕捉分子の同一性を決定する。残りのチャンネルは、それぞれのビーズ上の基質に結合した標識の蛍光強度の測定に用いられる。全アレイまたはビーズの全組を読み取ったならば、プロテアーゼ活性プロフィールを、それぞれの試料におけるそれぞれのプロテアーゼの活性を測定して記録することによってそれぞれの試料について生成させることができる。
【0051】
本発明のもう一つの態様では、標識した阻害剤と標識していない阻害剤を両方とも試料に加える。標識していない阻害剤は、プロテアーゼへの結合に対して標識した阻害剤と競合する。本発明のこの様式を用いて、新規な阻害剤を特異性についてスクリーニングすることができ、標識した阻害剤の結合をある量だけ減少させるのに必要な標識していない阻害剤の量を決定することによって新規な阻害剤の結合定数を決定することができる。
【0052】
本発明のもう一つの態様では、第一の標識した阻害剤と第二の標識した阻害剤であって、2種類の阻害剤上の標識が異なり且つ独立して検出することができるものを、両方とも試料に加える。第一および第二の標識した阻害剤は同一プロテアーゼへの結合について競合することがあり、または異なるプロテアーゼまたは二種類の組合せに結合することがある。次に、標識をそれぞれの標識を独立して測定することができる方法で検出する。例えば、アレイがガラススライドであって、このガラススライドの1以上の領域に特異的な抗プロテアーゼ抗体をスポットしたものであり且つ第一の阻害剤を蛍光色素Cy3で標識し、第二の標識した阻害剤をCy5で標識したときには、両阻害剤を試料に加えてインキュベーションし、プロテアーゼに特異的に結合させることができる。インキュベーションの後、試料中のプロテアーゼ−阻害剤複合体をアレイに捕捉して、アレイを洗浄して、結合していない試料と阻害剤を除去する。次に、アレイを、DNAマイクロアレイ分析で普通に用いられるようなデュアルカラー蛍光スキャナーでスキャンニングする。本発明のこの様式では、複数の阻害剤を複数のプロテアーゼに対して同時にスクリーニングすることができ、唯一の制限は検出することができる様々な標識の数である。最新の蛍光スキャンニング法では、4個までの標識を単一装置でスキャンニングすることができる。
【0053】
本発明のもう一つの態様では、試料の幾つかをプロテアーゼ活性の既知の活性剤で処理し、実験化合物はプロテアーゼ活性を阻害するようにデザインされる。本発明のこの様式を用いて、化合物ライブラリーをスクリーニングして、プロテアーゼ活性を阻害することがある化合物を見出すことができる。
【0054】
本発明のもう一つの態様では、プロテアーゼ−阻害剤またはタンパク質−基質複合体をアレイ上に捕捉し、検出残基はシグナルを増幅する1種類以上の試薬で検出する。例えば、検出残基がビオチンであるときには、ビオチンはストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ接合体で検出することができる。続いて、ペルオキシダーゼは、チラミドシグナル増幅によって検出することができる(18)。あるいは、ビオチンを検出するのに用いられるストレプトアビジンを、長いRNA:DNAハイブリッド、または一本鎖またはDNAであって、RNAの鎖を続いて結合させることができるもので標識することができる。次に、RNA:DNAハイブリッドは、蛍光標識した抗RNA:DNA抗体で検出することができる。複数の抗体を一本のRNA:DNAハイブリッドに結合させることができるので、シグナルはストレプトアビジンを蛍光色素で標識したときよりかなり大きい。シグナル増幅のいずれの方法も本発明と共に用いるのに適合させることができることは、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0055】
本発明は、1種類以上の試料におけるプロテアーゼ活性を検出して測定するための、特に2種類以上のプロテアーゼの活性をマルチプレックスまたはアレイフォーマットで測定することを特徴とするプロテアーゼ活性プロフィールの作製のためのキットにも関する。このようなキットは、プロテアーゼまたは複数のプロテアーゼの存在または非存在、またはレベルを疾患または障害の存在または非存在と相関させることを特徴とする、診断キットであることができる。本発明は、本発明の組成物を作製するためのキットにも関する。
【0056】
具体的態様では、このキットはアレイと、1種類以上のプロテアーゼ基質または阻害剤を含んでなる。キットは、更に本発明の検出/定量分析法を行うための追加成分を含んでなることができる。このようなキットは、1種類以上の精製プロテアーゼ、1種類以上の細胞溶解物または抽出物、1種類以上の定量標準品またはコントロール、1種類以上の標識した二次試薬、1種類以上のシグナル増幅試薬、1種類以上の分析試料調製用緩衝液、1種類以上の分析試料調製用試薬、ある試料中でプロテアーゼ活性を誘導しまたは阻害する1種類以上の化学物質、および1種類以上の未知試料からなる群から選択される1種類以上の追加成分を含んでなることができる。本発明のキットは、好ましくは容器(箱、ボール箱または包装であって、近接制限中に1個、好ましくは2個以上の容器(チューブ、バイアルなど)を有するものを含んでなり、本発明の方法を行うための様々な試薬を含んでなる。試薬は別々の容器に入れていてもよく、または単一容器に様々な組合せで組み合わせてもよい。本発明のこのようなキットは、更に本発明の方法を行うための使用説明書またはプロトコールを含んでいてもよく、場合によっては、本発明の阻害剤または基質と会合した検出可能な標識を検出するための装置または設備を含んでなることができる。キットは、プロテアーゼ活性のデータ入手および分析、およびプロテアーゼ活性プロフィールの生成および分析のためのコンピュータープログラムに対するコンピュータープログラムまたはインターネットアクセスを包含することができる。
【0057】
本明細書に記載の方法および応用に対する他の適当な修正および適合は、本発明またはその任意の態様の範囲から離反することなく行うことができることは当業者には容易に明らかになるであろう。本発明を詳細に説明してきたが、同じことは、下記の実施例を参照することによって一層明瞭に理解されるであろうし、これらの実施例は例示のためにのみ包含され、本発明の制限を意図するものではない。従って、本発明は、下記の実施例に限定されると解釈すべきではなく、本明細書で提供される教示の結果として明らかになる任意のおよび総ての変更を包含するものと解釈すべきである。
【0058】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる単数表現には、複数の場合を内包することができる。
【0059】
本明細書で参照される総ての文書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
従って、本発明は、下記の実施例を参照することによって一層容易に理解されるであろうが、これらは例示のために提供されるものであり、本発明の制限のためのものではない。
【実施例】
【0060】
実施例1: プロテアーゼ活性を検出するためのアレイの一般的例
抗体、またはペプチド、ポリペプチド、天然または遺伝子工学処理したタンパク質、核酸、炭水化物、および1種類以上のプロテアーゼに結合するレクチンのようなこれらに限定されない他の分子を、標準的カップリング化学を用いるアミン、チオール、カルボン酸、炭水化物基を介して、または非共有結合を介して支持体にカップリングさせる。この分析法は、UVまたは可視色素または蛍光団で標識されているプロテアーゼの阻害剤または基質を利用する、または標識抗体、ペプチド、アビジンの諸形態、化学物質、核酸、ペプチドまたはタンパク質と共に用いるビオチン分子、化学物質、ペプチド核酸または炭水化物のような検出可能な標識を提供する標識を含む検出計画を用いる。基質または酵素阻害剤は、酵素のクラス内または全域の1種類以上のプロテアーゼに対して特異性を有することがあり、活性酵素に結合する。真核生物または原核生物起源の細胞または組織抽出物、培養細胞または組織、または透過性化(permeabilized)細胞および組織を、検出分子として用いられるプロテアーゼの阻害剤または基質で処理する。細胞または組織からの抽出物、またはプロテアーゼ基質または阻害剤で標識した透過性化細胞または組織を、1種類以上のプロテアーゼに結合特異性を有する分子にカップリングした支持体とインキュベーションする。支持体表面上に捕捉されたプロテアーゼを、プロテアーゼと結合した検出分子について分析することによって提供する。分析法は、同種、異種および他のフォーマットで行うことができる。
【0061】
実施例2: 活性カスパーゼ3に対するシングル−プレックス分析法
アミン反応性ビーズの調製
Luminexビーズを、15秒間渦流攪拌した後、水槽中で2分間超音波処理することによって分散させた。洗浄のため、ビーズをミクロ遠心分離機で12,000 x gで2分間遠心分離してペレット化した後、水100μlに再懸濁した。ビーズを再度ペレット化して、活性化緩衝液(100mMリン酸ナトリウム、一塩基性pH6.3)80μlに再懸濁し、短時間渦流攪拌し、30秒間超音波処理した。ビーズ表面上の反応性のn−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルは、50mg/mlのSulfo−NHS溶液(Pierce, Rockland, IL)10μlおよび50mg/mlの1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸(EDC)10μlをビーズ懸濁液に加え、短時間渦流攪拌し、暗所で20分間回転させることによって調製した。NHS改質ビーズを50mM MES緩衝液(pH5.0−6.0)100μlで2回洗浄した後、150μlのMES緩衝液(pH5.0−6.0)に再懸濁した。
【0062】
抗体のビーズ表面へのカップリング
PBS緩衝液pH7.4に供給したカスパーゼ−3(Santa-CruzBiotechnology Inc.)に特異的な精製抗体5μgをMES緩衝液pH5.5で350μlの容積とした後、150μlのNHS−ビーズ懸濁液に加えた。抗体−ビーズ懸濁液を攪拌しながら暗所で2時間室温にて反応させ、その間に抗体上のアミン基をビーズ表面上のNHSエステルと反応させて安定なアミド結合を形成させた。カップリング反応の後、ビーズを250μlのPBS−TBN(0.1%BSA 0.02%tween−20を含むリン酸緩衝食塩水)で2回洗浄し、200μlの最終容積のPBS−TBNに再懸濁し、4度で保管した。
【0063】
標識カスパーゼ酵素を含む溶解物の生成
ヒト骨髄腫細胞系KASを、5%CO2の存在下37℃にてRPMI+10%FBS中で培養した。対数増殖期の細胞を、1μMのビオチン化カスパーゼ阻害剤の存在下または非存在下でアポトーシスの既知の誘導物質である5μMカンプトテシンで8時間処理した。標識した阻害剤を含むが、カンプトテシンで処理しなかったコントロール培養物も、調製した。カスパーゼ阻害剤であるビオチン−DEVD−FMK(Enzyme Systems Products)は、カスパーゼ1、2、3、6、7および9に不可逆的に結合する。次に、細胞を卓上遠心分離機で700 x gで5分間遠心分離することによって洗浄し、冷PBS pH7.4に再懸濁した。3回洗浄した後、細胞ペレットを、50mM Tris−HCI pH7.5、150mM NaCl、1mM EDTA、0.5% NP40、0.5% Triton X−100およびプロテアーゼ阻害剤(5μg/mlロイペプチン、2μg/mlペプスタチンA、1mM PMSF(フェニルメチルスルホニルクロリド))を含むリーシス緩衝液中で渦流攪拌した。溶解物を−80℃で一晩保管し、氷上で融解し、ミクロ遠心分離機で12,000 x gで4℃で1時間遠心分離した。透明になった上清中のタンパク質濃度をBradford試薬を用いて分光光度法により決定した後、−80℃で保管した。
【0064】
抗体とカップリングしたLuminexビーズ上での活性カスパーゼ−3−阻害剤複合体の捕捉
コントロールビーズと抗カスパーゼ3抗体にカップリングしたビーズを30秒間渦流攪拌し、水槽超音波処理装置中で2分間超音波処理を行い、ビーズを分散させた。カンプトテシンのみ、カンプトテシンとビオチン化カスパーゼ阻害剤、またはビオチン化カスパーゼ阻害剤のみで処理した細胞からの溶解物を分析緩衝液(50mM Tris pH7.5、100mM NaCl、0.05% tween−20および0.1% BSA)で希釈して、最終タンパク質濃度10μg/mlを得た。ビーズ懸濁液(1000個のビーズ/μl)をそれぞれの試料50μlに加え、暗所で緩やかに振盪しながら1時間インキュベーションした。次に、ビーズを、1.2μm PVDF膜(Millipore)を含んでなるフィルタープレートを用いて分析緩衝液100μlで洗浄した。ビーズを2μg/mlストレプトアビジン−PE接合体(Pierce)を含む分析緩衝液50μlに再懸濁し、更に30分間暗所で浸透した。PE−接合体を結合した後、ビーズを分析緩衝液100μlで洗浄し、50mM Tris pH7.5、100mM NaCl、0.02% tween−20に再懸濁した。ビーズ表面上のカスパーゼ3に結合したビオチン化阻害剤の存在を、Luminex 100装置を用いて検出した。
【0065】
ビーズ上に検出されたシグナルを、図10に示す。カンプトテシンで処理したが、阻害剤では処理しなかった試料は、ビオチン標識阻害剤はビーズ上に捕捉されたカスパーゼに結合しなかったので、予想されたようにバックグラウンドのみのビーズに同等なシグナルを与えた。阻害剤を含むがカンプトテシンで処理しなかった試料は、細胞中の基礎カスパーゼ活性が低水準であることを反映している低いシグナルを生じた。カンプトテシンで処理しビオチン標識阻害剤を含む試料は高いシグナルを示し、これによりカスパーゼ3がカンプトテシンで処理することによって誘導されることを示していた。
【0066】
実施例3: マルチプレックスカスパーゼ分析法
上記実施例1に記載の方法を用いて、Luminexビーズの組(色)27、29および31をそれぞれカスパーゼ−3、カスパーゼ−7およびカスパーゼ−9についての抗体にカップリングする。使用直前に、ビーズを30秒間渦流攪拌し、2分間超音波処理を行い、分散させた。次に、ビーズを混合して、それぞれのビーズの組の同等な表示を有する1000個のビーズ/μl(それぞれの色)の懸濁液を提供する。細胞溶解物は、実施例1に記載の骨髄腫細胞系から調製した。一つの培養物はビオチン化カスパーゼ阻害剤であるビオチン−DEVD−FMKで8時間処理し、第二の培養物はアポトーシス誘導物質であるカンプトテシンとビオチン化カスパーゼ阻害剤であるビオチン−DEVD−FMKで8時間処理した。マルチプレックスビーズ懸濁液(2μl)の一部を、分析緩衝液(50mM Tris pH7.5、100mM NaCl、0.05% tween−20および0.1% BSA)中で10μg/mlまで希釈した細胞抽出物のそれぞれの試料50μlと共にインキュベーションした。暗所で振盪しながら1時間インキュベーションした後、ビーズを1.2μmのPVDF膜(Millipore)を含んでなるフィルタープレートを用いて分析緩衝液100μlで洗浄する。ビーズを、2μg/mlのストレプトアビジン−PE接合体(Pierce)を含む分析緩衝液50μlに再懸濁し、暗所で更に30分間振盪する。PE−接合体が結合した後、ビーズを分析緩衝液100μlで洗浄し、50mM Tris pH7.5、100mM NaCl、0.02% tween−20に再懸濁する。ビーズ表面上の標識したカスパーゼ酵素の存在を、Luminex 100装置を用いて検出した。総数が100の事象をそれぞれのビーズの組について集め、メジアン蛍光強度を図11にプロットした。図11に示されるように、総ての3種類のカスパーゼが誘導されるが、誘導のレベルはそれぞれの特異的カスパーゼについて異なった。カスパーゼ9の誘導は最低であったが、カスパーゼ3の誘導は最大となった。
【0067】
実施例4: 競合的マルチプレックス阻害剤分析法
上記実施例2に記載の方法を用いて、Luminexビーズの組(色)27、29および31をそれぞれカスパーゼ−3、カスパーゼ−7およびカスパーゼ−9についての抗体にカップリングする。使用直前に、ビーズを30秒間渦流攪拌し、2分間超音波処理を行い、分散させた。次に、ビーズを混合して、それぞれのビーズの組の同等な表示を有する1000個のビーズ/μl(それぞれの色)の懸濁液を提供する。細胞溶解物は、細胞の追加部分をカンプトテシン、ビオチン化カスパーゼ阻害剤ビオチン−DEVD−FMK、および等量のMX435と呼ばれる実験的カスパーゼ阻害剤で8時間処理することを除き、実施例1に記載した通りに骨髄腫細胞系Kasから調製する。MX435阻害剤はビオチンで標識せず、従って、これはそれぞれのカスパーゼへの結合について標識阻害剤と競合する。マルチプレックスビーズ懸濁液(2μl)の一部を、分析緩衝液(50mM Tris pH7.5、100mM NaCl、0.05% tween−20および0.1% BSA)中で10μg/mlまで希釈した細胞抽出物のそれぞれの試料50μlと共にインキュベーションした。暗所で振盪しながら1時間インキュベーションした後、ビーズを1.2μmのPVDF膜(Millipore)を含んでなるフィルタープレートを用いて分析緩衝液100μlで洗浄する。ビーズを、2μg/mlのストレプトアビジン−PE接合体(Pierce)を含む分析緩衝液50μlに再懸濁し、暗所で更に30分間振盪する。PE−接合体が結合した後、ビーズを分析緩衝液100μlで洗浄し、50mM Tris pH7.5、100mM NaCl、0.02% tween−20に再懸濁する。ビーズ表面上の標識したカスパーゼ酵素の存在を、Luminex 100装置を用いて検出する。総数が100の事象をそれぞれのビーズの組について集め、メジアン蛍光強度を図11にプロットする。図12に示されるように、総ての3種類のカスパーゼが培養物へのカンプトテシンの添加によって誘導される。しかしながら、実験的カスパーゼ阻害剤MX435の存在下では、カスパーゼ3およびカスパーゼ9の活性の誘導は変化しないが、カスパーゼ7の活性は大幅に減少する。この結果は、MX435がカスパーゼ7に特異的に結合するが、カスパーゼ3または9へは特異的に結合しないことを示している。
【0068】
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18. Hunyady et al., J Histochem Cytochem. (1996) 44(12):1353-62.
19. Johannsson et al., Clin Chim Acta (1985) 148(2):119-24.
20. Nilsen et al., Theor Biol (1997) 187(2):273-84.
21. Urdea et al., Clin Chem. (1989) 35(8):1571-5.
22. Lazar et al., J. Clin. Ligand Assay 1999 ; 22(2):139-151.
23. Gusev et al., Am J Pathol. (2001) 159(1):63-9.
24. Joerger et al., Clin Chem. (1995) 41(9):1371-7.
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26. Wegner et al., Anal Chem. 2002.74(20):5161-8.
27. Angenendt et al., Anal Biochem. 2002. 309(2):253-60.
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】1個の結合残基と1個のシグナル残基を含む標識阻害剤の略図。
【図2】1個の結合残基と1個のシグナリング残基を含む標識した基質の略図。
【図3】1個の結合残基と2個の相互作用するシグナル残基を含む標識した基質の略図。標識同士は、それらが接近しているときには相互作用して、シグナルを増加させまたはシグナルを減少させることがある。
【図4】本発明で用いられる捕捉分子のアレイの図。アレイのそれぞれの要素は、特定のプロテアーゼに特異的な捕捉分子と結合するアレイの領域を表す。
【図5】ビーズを基材とするアレイの略図。それぞれの着色したビーズは、異なるプロテアーゼに特異的な抗体と結合する。2種類以上のビーズを混合して、アレイを形成することができる。
【図6】標識阻害剤の試料への付加、および阻害剤のプロテアーゼへの結合により、阻害剤−プロテアーゼ複合体を形成することを示す。
【図7】阻害剤−プロテアーゼ複合体が平坦なアレイ上に捕捉され、アレイのそれぞれの要素のシグナルをマイクロアレイスキャナーで測定することができる一つの方法。
【図8】プロテアーゼ−阻害剤複合体のカラーコードビーズアレイへの結合。ビーズカラーの同定およびそれぞれのビーズに結合したシグナルの測定はフローサイトメーターで行う。
【図9】FRET標識基質の試料への付加、およびプロテアーゼへ結合して基質−阻害剤複合体を形成することを示す。プロテアーゼは続いて2種類のFRET標識を開裂し、FRET標識の消光は蛍光FRET標識が最早接近していない。結合残基により、蛍光FRET標識を含む基質の部分はプロテアーゼに結合したままであり、蛍光シグナルを生成する。この複合体は、アレイ上に捕捉することができる。
【図10】アポトーシス誘導物質であるカンプトテシンとビオチン標識カスパーゼ3阻害剤で処理したおよび処理しない異なる試料によって生成したメジアン蛍光単位。
【図11】抗体をコーティングしたビーズアレイを用いて3種類の異なるプロテアーゼ−阻害剤複合体を捕捉するための単一反応での3種類の異なるプロテアーゼ活性のマルチプレックス測定。
【図12】マルチプレックス、競合分析フォーマットにおけるプロテアーゼ活性のマルチプレックス測定。3種類のカスパーゼ酵素の活性を、アポトーシス誘導物質であるカンプトテシンと標識した阻害剤の存在下または非存在下で測定した。実験的アポトーシス阻害剤であるMX435を含む別の組の試料を行った。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕捉表面上に固定された検出可能な複合体を含んでなる、検出可能な組成物であって、
検出可能な複合体が標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなる、組成物。
【請求項2】
捕捉表面が特異的認識要素を含んでなり、プロテアーゼが上記の特異的認識要素に結合することによって捕捉表面上に固定されてなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
特異的認識要素が、免疫グロブリン、プロテインG、プロテインA、プロテインA/G、ペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、および金属キレートからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
特異的認識要素が、モノクローナル抗体および抗体断片、およびポリクローナル抗体および抗体断片からなる群から選択される免疫グロブリンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
捕捉表面が、ウェル、実質的に平坦な表面、または粒子、ビーズもしくは微小球である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
捕捉表面が、個々にアドレス可能な粒子、ビーズまたは微小球である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の検出可能な組成物を複数含んでなる、マルチプレックス検出系。
【請求項8】
請求項5に記載の検出可能な組成物を複数含んでなる、マルチプレックス検出系。
【請求項9】
複数の別個な座に再分された基質を含んでなり、それぞれの座がその座の表面に固定された検出可能な複合体を含んでなり、かつ、検出可能な複合体が標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなる、マルチプレックス検出系。
【請求項10】
前記基質が、マルチウェルプレートまたは実質的に平坦な表面である、請求項9に記載の系。
【請求項11】
前記基質が、個々にアドレス可能な粒子、ビーズまたは微小球である、請求項9に記載の系。
【請求項12】
粒子、ビーズまたは微小球が、磁性を有するか、および/または無線周波数標識されてなる、請求項11に記載の系。
【請求項13】
標識した阻害剤が、比色ラベル、蛍光ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、ビオチン、ジゴキシゲニン、検出可能な炭水化物、オリゴヌクレオチド、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、および糖タンパク質からなる群から選択される成分で標識されてなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
標識した阻害剤が、比色ラベル、蛍光ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、ビオチン、ジゴキシゲニン、検出可能な炭水化物、オリゴヌクレオチド、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、および糖タンパク質からなる群から選択される、成分で標識されてなる、請求項7〜12のいずれか一項に記載の系。
【請求項15】
標識した阻害剤が結合成分をさらに含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
結合成分が、フルオロメチルケトン、クロロメチルケトン、アルデヒド、ジフルオロメチルケトン、ジアゾメチルケトン、OPHおよびDAPからなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
捕捉表面上の標識した複合体の存在を検出することを含んでなる、試料中のプロテアーゼの検出方法であって、
標識した複合体が、試料から誘導され、且つ標識された阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなる、方法。
【請求項18】
検出可能な複合体が、特異的認識要素に結合することによって捕捉表面上に固定されており、特異的認識要素がプロテアーゼに結合してなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
特異的認識要素免疫が、グロブリン、プロテインG、プロテインA、プロテインA/G、ペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、および金属キレートからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
特異的認識要素が、モノクローナル抗体および抗体断片、およびポリクローナル抗体および抗体断片からなる群から選択される免疫グロブリンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
捕捉表面が、ウェル、実質的に平坦な表面または粒子、ビーズもしくは微小球である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
捕捉表面が、個々にアドレス可能な粒子、ビーズまたは微小球である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
複数の捕捉表面上の複数の標識した複合体組成物を検出することを含んでなる、複数のプロテアーゼの検出方法であって、
それぞれの標識した複合体が標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなる、方法。
【請求項24】
標識した複合体が、マルチウェルプレートまたは実質的に平坦な表面の別個の範囲に整列されている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
捕捉表面のそれぞれが、個々にアドレス可能な粒子、ビーズまたは微小球である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
粒子、ビーズまたは微小球が、磁性を有するか、および/または無線周波数標識されてなる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
標識した阻害剤が、比色ラベル、蛍光ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、ビオチン、ジゴキシゲニン、検出可能な炭水化物、オリゴヌクレオチド、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、および糖タンパク質からなる群から選択される成分で標識されてなる、請求項21〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
プロテアーゼを含むと推測される試料を、標識した阻害剤と接触させて、標識した複合体を調製した後、捕捉表面上に固定する、請求項21〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
標識した複合体が、プロテアーゼを含むと推測される試料を、捕捉表面と接触させた後、捕捉表面を標識した阻害剤と接触させることによって調製される、請求項21〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
プロテアーゼがカスパーゼである、請求項1〜29のいずれか一項に記載の組成物、系または方法。
【請求項1】
捕捉表面上に固定された検出可能な複合体を含んでなる、検出可能な組成物であって、
検出可能な複合体が標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなる、組成物。
【請求項2】
捕捉表面が特異的認識要素を含んでなり、プロテアーゼが上記の特異的認識要素に結合することによって捕捉表面上に固定されてなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
特異的認識要素が、免疫グロブリン、プロテインG、プロテインA、プロテインA/G、ペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、および金属キレートからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
特異的認識要素が、モノクローナル抗体および抗体断片、およびポリクローナル抗体および抗体断片からなる群から選択される免疫グロブリンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
捕捉表面が、ウェル、実質的に平坦な表面、または粒子、ビーズもしくは微小球である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
捕捉表面が、個々にアドレス可能な粒子、ビーズまたは微小球である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の検出可能な組成物を複数含んでなる、マルチプレックス検出系。
【請求項8】
請求項5に記載の検出可能な組成物を複数含んでなる、マルチプレックス検出系。
【請求項9】
複数の別個な座に再分された基質を含んでなり、それぞれの座がその座の表面に固定された検出可能な複合体を含んでなり、かつ、検出可能な複合体が標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなる、マルチプレックス検出系。
【請求項10】
前記基質が、マルチウェルプレートまたは実質的に平坦な表面である、請求項9に記載の系。
【請求項11】
前記基質が、個々にアドレス可能な粒子、ビーズまたは微小球である、請求項9に記載の系。
【請求項12】
粒子、ビーズまたは微小球が、磁性を有するか、および/または無線周波数標識されてなる、請求項11に記載の系。
【請求項13】
標識した阻害剤が、比色ラベル、蛍光ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、ビオチン、ジゴキシゲニン、検出可能な炭水化物、オリゴヌクレオチド、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、および糖タンパク質からなる群から選択される成分で標識されてなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
標識した阻害剤が、比色ラベル、蛍光ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、ビオチン、ジゴキシゲニン、検出可能な炭水化物、オリゴヌクレオチド、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、および糖タンパク質からなる群から選択される、成分で標識されてなる、請求項7〜12のいずれか一項に記載の系。
【請求項15】
標識した阻害剤が結合成分をさらに含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
結合成分が、フルオロメチルケトン、クロロメチルケトン、アルデヒド、ジフルオロメチルケトン、ジアゾメチルケトン、OPHおよびDAPからなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
捕捉表面上の標識した複合体の存在を検出することを含んでなる、試料中のプロテアーゼの検出方法であって、
標識した複合体が、試料から誘導され、且つ標識された阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなる、方法。
【請求項18】
検出可能な複合体が、特異的認識要素に結合することによって捕捉表面上に固定されており、特異的認識要素がプロテアーゼに結合してなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
特異的認識要素免疫が、グロブリン、プロテインG、プロテインA、プロテインA/G、ペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、および金属キレートからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
特異的認識要素が、モノクローナル抗体および抗体断片、およびポリクローナル抗体および抗体断片からなる群から選択される免疫グロブリンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
捕捉表面が、ウェル、実質的に平坦な表面または粒子、ビーズもしくは微小球である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
捕捉表面が、個々にアドレス可能な粒子、ビーズまたは微小球である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
複数の捕捉表面上の複数の標識した複合体組成物を検出することを含んでなる、複数のプロテアーゼの検出方法であって、
それぞれの標識した複合体が標識した阻害剤に結合したプロテアーゼを含んでなる、方法。
【請求項24】
標識した複合体が、マルチウェルプレートまたは実質的に平坦な表面の別個の範囲に整列されている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
捕捉表面のそれぞれが、個々にアドレス可能な粒子、ビーズまたは微小球である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
粒子、ビーズまたは微小球が、磁性を有するか、および/または無線周波数標識されてなる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
標識した阻害剤が、比色ラベル、蛍光ラベル、化学発光ラベル、生物発光ラベル、ビオチン、ジゴキシゲニン、検出可能な炭水化物、オリゴヌクレオチド、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、および糖タンパク質からなる群から選択される成分で標識されてなる、請求項21〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
プロテアーゼを含むと推測される試料を、標識した阻害剤と接触させて、標識した複合体を調製した後、捕捉表面上に固定する、請求項21〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
標識した複合体が、プロテアーゼを含むと推測される試料を、捕捉表面と接触させた後、捕捉表面を標識した阻害剤と接触させることによって調製される、請求項21〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
プロテアーゼがカスパーゼである、請求項1〜29のいずれか一項に記載の組成物、系または方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2006−507004(P2006−507004A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555661(P2004−555661)
【出願日】平成15年11月24日(2003.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/037514
【国際公開番号】WO2004/048935
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(504363968)マーリゲン、バイオサイエンシーズ、インコーポレーテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】MARLIGEN BIOSCIENCES, INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月24日(2003.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/037514
【国際公開番号】WO2004/048935
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(504363968)マーリゲン、バイオサイエンシーズ、インコーポレーテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】MARLIGEN BIOSCIENCES, INC.
【Fターム(参考)】
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