説明

プロテインA選択性を有する抗体

黄色ブドウ球菌のプロテインAに結合するモノクローナル抗体、及びその抗原結合性フラグメントが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許出願第11/562,759号(2006年11月22日出願)の利益を主張し、この開示内容全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
黄色ブドウ球菌は、ヒトにおいて様々な化膿性(膿形成性)感染症及び中毒症の原因となるグラム陽性菌である。この菌は、表皮の病変(おでき、ものもらい及びせつ腫症)、より重篤な感染症(肺炎、乳腺炎、静脈炎、髄膜炎、及び尿路感染症など)、及び深在性の感染症(骨髄炎及び心内膜炎など)の原因となる。黄色ブドウ球菌は、手術創の院内(病院で起こる)感染及び体内に留置する医療機器に関連する感染症の主な原因である。黄色ブドウ球菌は、食品内へのエンテロトキシン放出による食中毒、及び血流中へのスーパー抗原放出による毒素性ショック症候群を引き起こす。
【0003】
黄色ブドウ球菌は、宿主防御機能を妨げる多くの因子を産生する。そのような因子の1つがプロテインAである。プロテインAは、免疫グロブリンのFc領域に結合する黄色ブドウ球菌表面タンパク質である。血清中で、黄色ブドウ球菌は、菌体表面がオプソニン作用及び食作用を阻害し、その表面上において、ある方向でIgG分子に結合する。プロテインAを欠く黄色ブドウ球菌の変異体は、インビトロでより効率よく食菌され、感染モデルにおいて病原性が減弱している。プロテインAは、ヒトIgG1、IgG2、及びIgG4、並びにマウスIgG2a、IgG2b、及びIgG3に高い親和性で結合する。プロテインAは、ヒトIgM、IgA及びIgEに中程度の親和性で結合する。それは、ヒトIgG3又はIgDには結合せず、マウスIgM、IgA又はIgEにも結合しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、モノクローナル抗体、及びその抗原結合性フラグメントを包含し、そのモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体76の黄色ブドウ球菌由来のプロテインAへの結合を阻害し、モノクローナル抗体76が、米国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生される。
【0005】
本発明はまた、モノクローナル抗体、及びその抗原結合性フラグメントも包含し、そのモノクローナル抗体は、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1により産生されるモノクローナル抗体76により認識される黄色ブドウ球菌由来のプロテインAの同一エピトープに結合する。
【0006】
更に本発明に包含されるのは、モノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメントであり、そのモノクローナル抗体は、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体76の重鎖可変領域のポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメントは更に、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体76の軽鎖可変領域のポリペプチド配列を更に含む。
【0007】
本発明はまた、モノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメントも包含し、そのモノクローナル抗体は、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体76の軽鎖可変領域ポリペプチド配列を含む。
【0008】
本発明はまた、モノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメントも包含し、そのモノクローナル抗体は、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生される、モノクローナル抗体76の重鎖の相補的決定領域(CDR)を有する重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメントは更に、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体76の軽鎖の相補的決定領域(CDR)を有する軽鎖可変領域を更に含む。
【0009】
本発明はまた、モノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメントも包含し、そのモノクローナル抗体は、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体76の軽鎖の相補的決定領域(CDR)を有する軽鎖可変領域を含む。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、その抗原結合性フラグメントは、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)フラグメント、又はFvフラグメントである。
【0011】
本発明はまた、1つ以上の本発明のモノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメントを有する組成物も包含する。
【0012】
本発明はまた、1つ以上の本発明のモノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメントを有するキットも包含する。
【0013】
更に本発明に含まれるのは、本発明のモノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメントを産生する形質転換B細胞株である。
【0014】
本発明はまた、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体、及びその抗原結合性フラグメントも包含する。
【0015】
本発明はまた、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体、及びその抗原結合性フラグメントを含む組成物も包含する。
【0016】
本発明はまた、培養細胞系統保存機関(the Type Culture Collection)に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1、及びその子孫も包含する。
【0017】
本発明はまた、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体の重鎖可変領域のコード配列を含む単離されたポリヌクレオチドも包含する。いくつかの実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生される抗体の重鎖のコード配列を含む。
【0018】
本発明はまた、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のコード配列を含む単離されたポリヌクレオチドも包含する。いくつかの実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のコード配列を含む。
【0019】
本発明は、本発明のモノクローナル抗体の重鎖、軽鎖、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、又は1つ以上の相補的決定領域をコードする核酸配列を有する単離されたポリヌクレオチドを包含する。
【0020】
本発明はまた、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含む発現ベクターも包含する。
【0021】
更に本発明に含まれるのは、本発明の発現ベクターを有する宿主細胞である。
【0022】
本発明はまた、実質的に精製された抗体、又はその抗原結合性フラグメントを産生する方法も包含し、その方法は、抗体ポリペプチド、又はその抗原結合性フラグメントが発現される条件下で、本発明の形質転換B細胞株を増殖させる工程と、発現した抗体ポリペプチド、又はその抗原結合性フラグメントを収集する工程とを含む。
【0023】
本発明はまた、実質的に精製された抗体、又はその抗原結合性フラグメントを産生する方法も包含し、その方法は、抗体、又はその抗原結合性フラグメントが発現される条件下で、本発明の宿主細胞を増殖させる工程と、発現した抗体、又はその抗原結合性フラグメントを収集する工程とを含む。
【0024】
本発明はまた、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体のスクリーニング方法も包含し、その方法は、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体を選択する工程と、無傷の黄色ブドウ球菌に結合する抗体を更に選択する工程とを含む。いくつかの実施形態では、単離された黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体を選択する工程は、約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを有する約pH4の緩衝液の存在下で、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合し続ける抗体を選択する工程を含む。いくつかの実施形態では、無傷の黄色ブドウ球菌に結合する抗体を選択する工程は、約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを有する約pH4の緩衝液の存在下で、無傷の黄色ブドウ球菌に結合し続ける抗体を選択する工程を含む。いくつかの実施形態では、単離された黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体を選択する工程には、約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを有する約pH4の緩衝液の存在下で、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合し続ける抗体を選択する工程を含み、無傷の黄色ブドウ球菌に結合する抗体を選択する工程には、約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを有する約pH4の緩衝液の存在下で、無傷の黄色ブドウ球菌に結合し続ける抗体を選択する工程を含む。本発明はまた、これらの黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体のスクリーニング方法により選択される、抗体、又はその抗体由来の抗原結合性フラグメントも包含する。
【0025】
本発明はまた、高い比活性で標的抗原に結合する抗体のスクリーニング方法も包含し、その方法は、約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを有する約pH4の緩衝液の存在下で標的抗原を持つ候補抗体に接触する工程を含み、約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを有する約pH4の緩衝液の存在下で標的抗原に結合し続ける候補抗体は、高い比活性で標的抗原に結合する。いくつかの実施形態では、標的抗原は受容体結合分子である。いくつかの実施形態では、標的抗原は、免疫グロブリンの抗体結合部位以外の場所で免疫グロブリンに結合する分子である。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンの抗体結合部位以外の場所で免疫グロブリンに結合する分子は、プロテインA、プロテインG、又はFc受容体である。本発明はまた、これらの高い比活性で標的抗原に結合する抗体のスクリーニング方法により選択される、抗体、又はその抗体由来の抗原結合性フラグメントも包含する。
【0026】
特に指定されない限り、「a」、「an」、「the」、及び「at least one」は、同じ意味で使用され、「1つ以上」を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、黄色ブドウ球菌(本明細書では、「S.aureus」又は「Staph A」とも呼ぶ)のプロテインAに結合するモノクローナル抗体に関する。このような抗体は、例えば、生体サンプルにおける黄色ブドウ球菌の検出に有用である。更に具体的には、本発明は、モノクローナル抗体、及びその抗原結合性フラグメントに関し、ハイブリドーマ細胞株358A76.1により産生されるモノクローナル抗体76の免疫学的結合特性を示す。マウスモノクローナル抗体76は、プロテインAで免疫されたマウスから単離されたマウスIgG2A、κ抗体である。ブダペスト条約に従い、モノクローナル抗体76を産生するハイブリドーマ358A76.1は、2006年10月18日、米国培養細胞系統保存機関(ATCC)の保管所(10801、ユニバーシティー・ブルヴァード(University Boulevard)、マナッサス(Manassas)、バージニア州20110−2209)に寄託され、特許寄託番号PTA−7938(本明細書では、受入番号PTA−7938とも呼ぶ)が付与された。ハイブリドーマ358A76.1は、本明細書は「Mab 76」と呼ばれる抗体を産生し、Mab 76は、本明細書は「Mab76」、「Mab−76」、「MAb−76」、「モノクローナル76」、「モノクローナル抗体76」、「76」、「M76」、又は「M 76」とも呼ばれ、本明細書では全て米国培養細胞系統保存機関(ATCC)に2006年10月18日に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株より産生される免疫グロブリンを意味し、同じ意味で使用される。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」は、黄色ブドウ球菌のプロテインAの特定のエピトープと免疫反応又は結合することができる1種類の抗原結合部位のみを含む抗体分子の集団を意味する。したがって、本発明のモノクローナル抗体は、典型的に黄色ブドウ球菌のプロテインAの特定のエピトープに対して単一の結合親和性を示す。本明細書で使用するとき、用語「モノクローナル抗体(monoclonal antibody)」又は「モノクローナル抗体(monoclonal antibodies)」は、同じ意味で使用される。
【0029】
本発明は、ハイブリドーマ細胞株358A76.1により産生されるモノクローナル抗体を包含する。更に本発明に含まれるのは、このハイブリドーマの子孫又は類縁細胞から産生されるモノクローナル抗体及びこのハイブリドーマと同じ又は類似する細胞より産生されるモノクローナル抗体である。
【0030】
本発明は、モノクローナル抗体Mab 76の黄色ブドウ球菌のプロテインAへの結合を阻害するモノクローナル抗体を包含する。本発明は、モノクローナル抗体Mab 76に認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAのエピトープと同一のエピトープに結合するモノクローナル抗体を包含する。モノクローナル抗体による、黄色ブドウ球菌のプロテインAへのモノクローナル抗体Mab 76の結合阻害を判定する方法、及びモノクローナル抗体による、モノクローナル抗体Mab 76に認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAのエピトープと同一のエピトープへの結合を判定する方法は、免疫学の当業者には周知である。例えば、実施例5に記載されるような方法を用いてもよいが、これらには限定されない。本発明のモノクローナル抗体は、既存の種々ポリクローナル抗プロテインA抗血清と比べて、プロテインAへの結合が改善されていることを示すことができる。
【0031】
完全な抗体分子は、2つの重(H)鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)及び2つの軽(L)鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)を有する。VH及びVL領域は「相補的決定領域」(「CDR」)と呼ばれる超可変領域に更に細分することができ、「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在している。フレームワーク領域及びCDRの範囲は、明確に定義されている(カバット(Kabat)、E.A.ら著、「免疫学的関心のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)」、第5版、米国保健社会福祉省(U.S. Department of Health and Human Services)、NIH出版(NIH Publication)、番号91−3242、1991年、及びショティア(Chothia)ら著、分子細胞学雑誌(J. Mol. Biol.)1987年、第196号、901〜917頁参照)。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へ、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置される3つのCDR及び4つのFRからなる。
【0032】
本発明のモノクローナル抗体は、Mab 76と同一の重鎖を有するモノクローナル抗体を含む。本発明のモノクローナル抗体は、Mab 76と同一の軽鎖を有するモノクローナル抗体を含む。本発明のモノクローナル抗体は、Mab 76と同一の重鎖及び同一の軽鎖を有するモノクローナル抗体を含む。このようなモノクローナル抗体は、黄色ブドウ球菌のプロテインAに結合できる。このようなモノクローナル抗体は、黄色ブドウ球菌のプロテインAに対するMab 76の結合を阻害できる。このようなモノクローナル抗体は、Mab 76により認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAの同一のエピトープに結合できる。本発明はまた、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAへの結合には実質的に影響しない重鎖及び/又は軽鎖中の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、若しくはそれ以上のアミノ酸置換を含む、このようなモノクローナル抗体も包含する。
【0033】
本発明のモノクローナル抗体は、Mab 76と同一のVHドメインを有するモノクローナル抗体を含む。本発明のモノクローナル抗体は、Mab 76と同一のVLドメインを有するモノクローナル抗体を含む。本発明のモノクローナル抗体は、Mab 76と同一のVHドメイン及び同一のVLドメインを有するモノクローナル抗体を含む。このようなモノクローナル抗体は、黄色ブドウ球菌のプロテインAに結合できる。このようなモノクローナル抗体は、黄色ブドウ球菌のプロテインAに対するMab 76の結合を阻害できる。このようなモノクローナル抗体は、Mab 76により認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAの同一のエピトープに結合できる。本発明はまた、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAへの結合には実質的に影響しないVHドメイン及び/又はVLドメイン中の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上のアミノ酸置換を含む、このようなモノクローナル抗体も包含する。
【0034】
本発明のモノクローナル抗体は、Mab 76のVHドメインの少なくとも1つのCDR領域、Mab 76のVHドメインの少なくとも2つのCDR領域、若しくはMab 76のVHドメインの少なくとも3つのCDR領域、及び/又はMab 76のVLドメインの少なくとも1つのCDR領域、Mab 76のVLドメインの少なくとも2つのCDR領域、若しくはMab 76のVLドメインの少なくとも3つのCDR領域を有するモノクローナル抗体を含む。このようなモノクローナル抗体は、黄色ブドウ球菌のプロテインAに結合できる。このようなモノクローナル抗体は、黄色ブドウ球菌のプロテインAに対するMab 76の結合を阻害できる。このようなモノクローナル抗体は、モノクローナル抗体Mab 76により認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAの同一のエピトープに結合できる。本発明のモノクローナル抗体は、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAへの結合には実質的に影響しない1つ以上のCDR領域中の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上のアミノ酸置換を含む、このようなモノクローナル抗体を更に含む。
【0035】
本発明のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞株358A76.1によって発現される抗体のVHドメインの少なくとも1つのCDR領域、ハイブリドーマ細胞株358A76.1によって発現される抗体のVHドメインの少なくとも2つのCDR領域、又はハイブリドーマ細胞株358A76.1によって発現される抗体のVHドメインの少なくとも3つのCDR領域ののアミノ酸配列と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、若しくは少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体を含む。このようなモノクローナル抗体は、黄色ブドウ球菌のプロテインAに結合できる。このようなモノクローナル抗体は、黄色ブドウ球菌のプロテインAに対するMab 76の結合を阻害できる。このようなモノクローナル抗体は、Mab 76により認識される黄色ブドウ球菌のプロテインAの同一のエピトープに結合できる。
【0036】
本発明のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞株358A76.1によって発現される抗体のVLドメインの少なくとも1つのCDR領域、ハイブリドーマ細胞株358A76.1によって発現される抗体のVLドメインの少なくとも2つのCDR領域、又はハイブリドーマ細胞株358A76.1によって発現される抗体のVLドメインの少なくとも3つのCDR領域と、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%同一のアミノ酸配列を有する抗体を含む。このような抗体は、黄色ブドウ球菌のプロテインAに結合できる。このような抗体は、モノクローナル抗体76に認識される黄色ブドウ球菌由来のプロテインAの同一のエピトープに結合する通りに、黄色ブドウ球菌のプロテインAの同一のエピトープに結合できる。
【0037】
本明細書で使用するとき、2つのポリペプチド間の「配列の同一性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列を、第2のポリペプチドの配列と比較することによって決定される。本明細書で扱うとき、任意の特定のポリペプチドは、別のポリペプチドと少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%同一かどうかにはかかわらず、当該技術分野において既知の方法、及びこれには限定されないがベストフィット(BESTFIT)プログラム(ウィスコンシン・シークエンス・アナリシス・パッケージ(Wisconsin Sequence Analysis Package)、ユニックス用バージョン8、ジェネティクス・コンピュータ・グループ社(Genetics Computer Group)、ユニバーシティ・リサーチ・パーク(University Research Park)、575、サイエンスドライブ(Science Drive)、マディソン(Madison)、ウィスコンシン州53711)などのコンピュータプログラム/ソフトウェアを用いて決定できる。ベストフィット(BESTFIT)は、スミス(Smith)及びウォーターマン(Waterman)著、「応用数学の進歩(Advances in Applied Mathematics)」、第2巻、482〜489頁、1981年、の局所的相同性アルゴリズムを用い、2配列間で最も相同するセグメントを発見する。ベストフィット(BESTFIT)又は任意のその他の配列比較プログラムを用い、特定の配列が、例えば、本発明による参照配列と95%同一かどうかを決定するとき、当然のことながら、同一性の割合が参照ポリペプチド配列の全長にわたって計算されるように、及び相同性の相違が参照配列中の全アミノ酸数の5%まで可能となるように、パラメーターを設定する。
【0038】
「結合親和性」又は「親和結合」は、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合相手(例えば、抗原又は抗原性エピトープ)との間の非共有結合性相互作用の強さの総和を意味する。分子Xのその相手Yに対する親和性は解離定数(Kd)で示され、この定数は一般に、例えば、ビアコア社(BIAcore Inc.)(ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway))から市販されるビアコア・バイオセンサー(BIAcore biosensor)を用いて、当該技術分野において既知の方法で決定できる。本発明の抗体を、黄色ブドウ球菌のプロテインAに対する結合親和性という点で述べることができる。本発明の抗体は、解離定数Kが、5×10−6M以下、10−6M以下、5×10−7M以下、10−7M以下、5×10−8M以下、10−8M以下、5×10−9M以下、10−9M以下、5×10−10M以下、10−10M以下、5×10−11M以下、10−11M以下、5×10−12M以下、10−12M以下、5×10−13M以下、10−13M以下、5×10−14M以下、10−14M以下、5×10−15M以下、又は10−15M以下である結合親和性を有する抗体を含む。
【0039】
本発明に更に含まれるものとして、抗原結合性フラグメントとも呼ばれる様々な抗体フラグメントが挙げられ、これらは、一般的には無傷の抗体の抗原結合部位を含む、完全な抗体の一部のみを含み、それにより抗原結合能が保持される。無傷の又は完全な抗体又は抗体鎖の化学的又は酵素的処理によって、フラグメントを得ることができる。組換え手段によって、フラグメントを得ることもできる。抗体フラグメントの例として、例えば、タンパク質分解及び/又はジスルフィド架橋の還元により産生されるFab、Fab’、Fd、Fd’、Fv、dAB、及びF(ab’)フラグメント並びにFab発現ライブラリーから産生されるフラグメントが挙げられる。このような抗体フラグメントを、当該技術分野において周知の技術によって生成することができる。本発明の抗体は、可変領域(1つ又は複数)を単独で又はヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及び/又はFcドメインの全て又は一部と組合わせて含むことができる。用語「抗原結合性フラグメント」は、抗原に結合する、又は抗原結合(すなわち、特異結合)において無傷な抗体(すなわち、そのフラグメントを派生した無傷な抗体)と競合する、免疫グロブリン又は抗体のポリペプチドフラグメントを意味する。
【0040】
本発明のモノクローナル抗体として、ヒト化抗体、キメラ抗体、1本鎖抗体、1本鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、ダイアボディ、Fab発現ライブラリーから産生される直鎖抗体フラグメント、VLドメイン又はVHドメイン全体を含むフラグメント、細胞内で産生された抗体(すなわち、細胞内抗体)、及びこれらの抗原結合抗体フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本発明のモノクローナル抗体は、任意のアイソタイプであることができる。本発明のモノクローナル抗体は、例えば、マウスIgM、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgA、IgD、又はIgEであってもよい。本発明のモノクローナル抗体は、例えば、ヒトIgM、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、又はIgEであってもよい。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、マウスIgG2a、IgG1、又はIgG3であってもよい。本発明において、任意の重鎖は、κ又はλ型の軽鎖と対形成してもよい。
【0042】
モノクローナル抗体は、当業者には精通される様々な手法で得ることができる。例えば、所望の抗原で免疫された動物由来の脾臓細胞を、一般に骨髄腫細胞と融合することにより不死化させる(例えば、ケーラー(Kohler)及びミルスタイン(Milstein)著、欧州免疫学雑誌(Eur. J. Immunol.)、第6号、511〜519頁、1976年、J.ゴッディング(J. Goding)著「モノクローナル抗体:原理と実践(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice)」、アカデミックプレス(Academic Press)、59〜103頁、1986年、及びハーロー(Harlow)ら著、「抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)」、726頁、コールド・スプリング・ハーバー出版(Cold Spring Harbor Pub.)、1988年を参照)。モノクローナル抗体は、当該技術分野において周知の手法で、ハイブリドーマから単離及び精製することができる。モノクローナル抗体を産生する形質転換B細胞株を作るその他既知の方法を利用してもよい。本発明のモノクローナル抗体を、組み換えDNA技術により生成、例えば、ファージディスプレイ法又はコンビナトリアルな方法で生成してもよい。例えば、米国特許第5,223,409号、国際公開第92/18619号、国際公開第91/17271号、国際公開第92/20791号、国際公開第92/15679号、国際公開第93/01288号、国際公開第92/01047号、国際公開第92/09690号、又は国際公開第90/02809号を参照のこと。このような方法を、ヒトモノクローナル抗体の産生に使用できる。
【0043】
本明細書で使用するとき、「単離物」は、その本来の環境(例えば、天然物の場合は自然環境)から取り出され、それにより、その自然状態から「人の手で」変更された物質を意味する。
【0044】
治療的に有用な抗体は、「ヒト化」モノクローナル抗体由来であってもよい。ヒト化モノクローナル抗体は、マウス(又は他の種の)免疫グロブリンの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域から1つ以上のCDRをヒト可変ドメイン内に導入し、ヒト残基をマウスの相当するフレームワーク領域に置換することにより産生される。ヒト化モノクローナル抗体由来の抗体成分の使用により、マウス定常部の免疫原性に付随する問題の可能性を排除する。ヒト化モノクローナル抗体の作製技術は、例えば、ジョーンズ(Jones)ら著、ネイチャー(Nature)、第321号、522頁、1986年及びシンガー(Singer)ら著、免疫学雑誌(J. Immunol.)、第150号、2844頁、1993年に見られる。本発明のヒト化モノクローナル抗体の定常部は、任意のアイソタイプに属するヒト免疫グロブリンの定常部とすることができる。例えば、ヒトIgGの定常部としてもよい。ヒト免疫グロブリン由来の定常部のフレームワーク領域は、特に限定されない。
【0045】
本発明のモノクローナル抗体にはキメラ抗体を含む。キメラ抗体は、異なる動物種由来の異なる部分を持つ。例えば、キメラ抗体は、適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子の遺伝子を、適切な生物学的特異性を有するヒト抗体分子の遺伝子と継ぎ合わせることにより得られる。例えば、タケダ(Takeda)ら著、ネイチャー(Nature)、第314号、544〜546頁、1985年を参照のこと。
【0046】
本発明は、二重特異性又は二機能性抗体を包含する。二重特異性又は二機能性抗体は、2本の異なる重鎖/軽鎖対と2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合又はF(ab’)フラグメントの連結などの様々な方法で産生できる。例えば、ソンシビライ(Songsivilai)及びラハマン(Lachmann)著、臨床及び実験免疫学(Clin. Exp. Immunol.)、第79号、315〜321頁、1990年、及びコステルニー(Kostelny)ら著、免疫学雑誌(J. Immunol.)、第148号、1547〜1553頁、1992年を参照のこと。更に、二重特異性抗体を「ダイアボディ」(ホリガー(Holliger)ら著、米国科学アカデミー紀要(PNAS USA)、第90号、6444〜6448頁、1993年)、又は「ヤヌシンズ(Janusins)」(トラウネッカー(Traunecker)ら著、欧州分子生物学機構雑誌(EMBO J.)、第10号、p.3655〜3659頁、1991年、及びトラウネッカー(Traunecker)ら著、国際癌雑誌増刊(Int. J. Cancer Suppl.)、第7号、51〜52頁、1992年)のように作製することもできる。
【0047】
本発明のモノクローナル抗体を、動物(ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ヤギ、ウマ、ニワトリ、又はターキーを含むが、これらに限定されない)による産生、化学合成、又は組換え発現させることができる。本発明のモノクローナル抗体を、当該技術分野において既知の免疫グロブリン分子の精製法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、サイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、又は任意のその他の標準的なタンパク質精製技術により精製することができる。更に、本発明の抗体又はそのフラグメントを、本明細書に記載する異種ポリペプチド配列と融合し、ないしは当該技術分野において既知の別の方法で、精製を容易にすることができる。
【0048】
本発明のモノクローナル抗体の免疫特異的結合について、本明細書に記載する方法、及び任意の好適な当該技術分野において既知の方法により評価することができる。利用可能なイムノアッセイとして、ビアコア(BIAcore)分析、蛍光活性化セルソーター(FACS)分析、免疫蛍光法、免疫細胞化学法、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線アッセイ、蛍光イムノアッセイ、及びプロテインAイムノアッセイなどの手法を用いた、競合的及び非競合的アッセイ系が挙げられるが、これらには限定されない。このようなアッセイは慣行法であり、当該技術分野において周知である(例えば、アウスベル(Ausubel)ら編、「分子生物学カレントプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、1巻、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, Inc.)、ニューヨーク、1994年、参照)。
【0049】
本発明のモノクローナル抗体は、任意の種類の分子と抗体との共有結合により修飾又は複合化された、抗体誘導体を包含する。このような抗体誘導体として、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解的開裂、又は細胞内配位子又は他のタンパク質への結合により修飾されている抗体が挙げられる。特異的な化学開裂、アセチル化、ホルミル化、及びツニカマイシンの代謝合成などを含むが、これらに限定されない、既知の手法により任意の多くの化学修飾を実施可能である。更に、誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含有できる。
【0050】
更に本発明に包含されるのは、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株、形質転換B細胞株、及び宿主細胞、これらハイブリドーマ、形質転換B細胞株、及び宿主細胞の子孫又は類縁細胞、並びに同じ又は類似するハイブリドーマ、形質転換B細胞株、及び宿主細胞である。
【0051】
本発明は更に、本発明のモノクローナル抗体をコードするヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。本発明は更に、本発明のモノクローナル抗体をコードするヌクレオチド配列に対し、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を持つヌクレオチド配列を有する、単離されたポリヌクレオチド分子に関する。本発明はまた、本発明の抗体、又はその補体をコードするヌクレオチド配列と高い厳密性でハイブリッド形成するポリヌクレオチドも含む。本明細書で使用するとき、「厳密な条件」とは、第1のポリヌクレオチド分子が、フィルターに結合した第2のポリヌクレオチド分子と、65℃で、0.5M NaHPO、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、及び1mM EDTA中、ハイブリッド形成し、その後、42℃で、0.2XSSC/0.1%SDS中で洗浄しても結合し続ける性能を指す(アウスベル(Ausubel)ら編、「分子生物学カレントプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、1巻、グリーン・パブリッシング・アソシエイツ社(Green Publishing Associates, Inc.)及びジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, Inc.)、ニューヨーク、p.2.10.3、1989年、参照)。更に本発明に包含されるのは、本発明のモノクローナル抗体の1つ以上のCDR領域又は重鎖及び/若しくは軽鎖をコードするポリヌクレオチドである。免疫グロブリン可変ドメイン及び定常部のクローニングと配列決定の一般的手法はよく知られている。例えば、オーランディ(Orlandi)ら著、米国科学アカデミー紀要(Proc. Nat’l Acad. Sci. USA)、第86号、3833頁、1989年、を参照のこと。
【0052】
本発明はまた、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含む組み換えベクターも包含する。ベクターを、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、又はファージ形状とすることができる。適切なDNA配列を、様々な方法でベクター内に挿入できる。一般的には、ベクター内の適切な制限エンドヌクレアーゼ部位(1個所又は複数個所)に、当該技術分野において既知の方法でDNA配列を挿入する。このような方法は、当業者の目的の範囲内とみなされる。多くの好適なベクター及びプロモーターが当業者に周知であり、市販されている。一例として、以下のベクターを示す。細菌ベクターとして、例えば、pQE70、pQE60、pQE−9、pBS、pD10、phasescript、psiX174、pbluescriptSK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、及びpRIT5が挙げられる。真核生物ベクターとして、例えば、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSG、及びpSVLが挙げられる。しかし、その他の任意のプラスミド又はベクターを使用できる。
【0053】
本発明は、上述のベクターを含む宿主細胞も包含する。宿主細胞を、哺乳類若しくは昆虫類の細胞などの高等真核細胞、又は酵母細胞などの下等真核細胞とすることができる。あるいは、宿主細胞を、細菌細胞、又は植物細胞などの原核細胞とすることができる。宿主細胞内へのベクター構造の導入を、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストランを介するトランスフェクション、又は電気穿孔法などの任意の好適な手法で行うことができる。(デーヴィス(Davis, L.)ら著、「分子生物学基礎的実験法(Basic Methods in Molecular Biology)」、1986年)。
【0054】
本発明のモノクローナル抗体は、適切なプロモーターの制御下において、哺乳類細胞、酵母、細菌、又はその他の細胞内で発現させることができる。無細胞翻訳系を、本発明のDNA構築物由来のRNAを用いるこれらタンパク質の産生に利用することもできる。原核生物宿主及び真核生物宿主と用いるのに適切なクローニングベクター及び発現ベクターは、サムブルック(Sambrook)ら著、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、第2版、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク、1989年、に記載されている。
【0055】
更に本発明に包含されるのは、本発明のモノクローナル抗体由来の1つ以上の超可変領域を発現するファージディスプレイライブラリー、及びこのようなファージディスプレイライブラリーから得られるクローンである。ファージディスプレイライブラリーは、抗体由来分子の産生に用いられる。抗体の抗原結合可変ドメインをコードする遺伝子部分を、バクテリオファージのコートタンパク質をコードする遺伝子に融合する。このような遺伝子融合体を含むバクテリオファージを用いて細菌に感染させると、生じたファージ粒子は、抗原結合ドメインがバクテリオファージ外部に提示される状態で、抗体融合タンパク質を発現する外殻を有する。ファージディスプレイライブラリーを、例えば、ニューイングランド・バイオラボ社(New England Biolabs Inc.)(マサチューセッツ州イプスウィッチ(Ipswich))から市販されるPh.D.(商標)−7ファージディスプレイペプチドライブラリーキット(カタログ番号E8100S)又はPh.D.(商標)−12ファージディスプレイペプチドライブラリーキット(カタログ番号E8110S)を用いて調製できる。スミス(Smith)及びペトレンコ(Petrenko)著、「化学総説(Chem. Rev.)」、97、391〜410頁、1997年も参照のこと。
【0056】
本発明のモノクローナル抗体を、当該技術分野において周知の手法により、直接的又は間接的に検出可能なマーカーに結合してもよい。検出可能なマーカーは、例えば、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、又は化学的手段により検出可能な剤である。有用な検出可能なマーカーとして、蛍光染料、化学発光化合物、放射性同位元素、高電子密度試薬、酵素、着色粒子、ビオチン、又はジゴキシゲニン(dioxigenin)が挙げられるがこれらには限定されない。多くの場合、検出可能なマーカーは、放射活性、蛍光、色、又は酵素活性などの測定可能な信号を発する。検出可能な剤を結合した抗体を、診断又は治療目的で用いてもよい。検出可能な剤の例として、様々な酵素、補欠分子族、蛍光性物質、発光性物質、生物発光性物質、放射性物質、様々な陽電子放出断層撮影法を用いる陽電子放出金属、及び非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。検出可能な物質は、直接的に、又は例えば、当該技術分野において既知のリンカーなどの仲介物を介して間接的に、当該技術分野において既知の手法を用いて抗体に共役又は結合できる。例えば、診断利用のための抗体への金属イオンの結合について記載される、米国特許第4,741,900号を参照のこと。好適な酵素の例として、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、及びアセチルコリンエステラーゼが挙げられ、好適な補欠分子族複合体の例として、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが挙げられ、好適な蛍光性物質の例として、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライド及びフィリコエリトリンが挙げられ、発光性物質の例として、ルミノールが挙げられる。生物発光性物質の例として、ルシフェリン、及びエクオリンが挙げられ、及び好適な放射性物質の例として、ヨウ素(121I、123I、125I、131I)、炭素(14C)、イオウ(35S)、トリチウム(H)、インジウム(111In、112In、113mIn、115mIn)、テクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、及び97Ruが挙げられる。このような治療用部分を抗体に結合する手法は周知である。
【0057】
更に本発明に包含されるのは、本明細書に記載される1つ以上の単離されたモノクローナル抗体を含む組成物である。組成物はまた、例えば、pHを許容範囲に保つのに役立つ緩衝剤、又は微生物の増殖を抑制する防腐剤を含んでもよい。組成物は、例えば、キャリア、賦形剤、安定剤、キレート化剤、塩、又は抗菌剤を含んでもよい。許容可能なキャリア、賦形剤、安定剤、キレート化剤、塩、防腐剤、緩衝剤、若しくは抗菌剤として、リン酸、クエン酸、及びその他の有機酸などの緩衝剤、アスコルビン酸及びメチオニンなどの酸化防止剤、アジ化ナトリウム、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール、メチル若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、及びm−クレゾールなどの防腐剤、ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、若しくは非特異的免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドン(olyvinylpyrrolidone)などの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸、グルコース、マンノース、若しくはデキストリンなどの単糖類、二糖類、及びその他の炭水化物、EDTAなどのキレート化剤、スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖類、ナトリウムなどの塩形成対イオン、金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体)、並びに/又はツイン(TWEEN)、プルロニック(PLURONICS)、若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらには限定されない。本明細書で使用するとき、組成物は、動物をプロテインA又は黄色ブドウ球菌で免疫することにより得られるポリクローナル抗血清ではない。
【0058】
本発明のモノクローナル抗体を、インビトロ及びインビボにおける診断的及び治療的方法の両方で用いることができる。更に本発明に包含されるのは、そのようなインビトロ及びインビボの診断的及び治療的方法である。
【0059】
本発明はまた、本発明のモノクローナル抗体を含むキットも提供する。キットは、1つ以上の本発明のモノクローナル抗体で満たされる、1つ以上の容器を含むことができる。更に、緩衝液及び溶液など、本発明の実施に必要なその他の試薬を含むことができるキットを含んでもよい。このような容器(1つ又は複数)に任意に付属するものとして、注意事項や説明書が挙げられる。本明細書で使用するとき、「梱包材料」という用語は、キットの内容物を収容するのに用いる1つ以上の物理的構造体を意味する。梱包材料は、周知の方法で組み立てられ、好ましくは、無菌の、汚染物質を含まない環境を提供する。本明細書で使用するとき、「包装」という用語は、ポリペプチドを定められた期限内維持することができる、ガラス、プラスチック、紙、金属箔などの固体マトリックス又は固体材料を意味する。
【0060】
本発明は、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体を選択する工程と、無傷の黄色ブドウ球菌に結合する抗体を選択する工程の両方により、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体のスクリーニング方法を包含する。これらの選択工程を、任意の順序で行ってもよい。例えば、1つの方法として、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体を選択し、その後に無傷の黄色ブドウ球菌に結合する抗体を選択してもよい。あるいは、1つの方法として、無傷の黄色ブドウ球菌に結合する抗体を選択し、その後に黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体を選択してもよい。追加的な選択又はスクリーニング工程を含んでもよい。単離された黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体の選択工程及び無傷の黄色ブドウ球菌に結合する抗体の選択工程を、免疫学の技術分野における当業者が利用可能な様々な任意の条件下で行ってもよい。例えば、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合し続ける抗体の選択工程及び/又は無傷の黄色ブドウ球菌に結合する抗体の選択工程を、約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを有する約pH4の緩衝液の存在下で行ってもよい。約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを有する約pH4の緩衝液と同様のpH及びイオン強度を有するその他の緩衝液を使用してもよい。
【0061】
本発明は、高い比活性で標的抗原に結合する抗体のスクリーニング方法を包含し、その方法は、約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを有する約pH4の緩衝液の存在下で標的抗原を持つ候補抗体に接触する工程を含み、約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを有する約pH4の緩衝液の存在下で標的抗原に結合し続ける候補抗体は、高い比活性で標的抗原に結合する。約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを有する約pH4の緩衝液と同様のpH及びイオン強度を有するその他の緩衝液を使用してもよい。追加的な選択又はスクリーニング工程を含んでよい。場合によっては、標的抗原は受容体結合分子であってもよい。場合によっては、標的抗原は、免疫グロブリンの抗体結合部位以外の場所で免疫グロブリンに結合する分子であってもよい。そのような、免疫グロブリンの抗体結合部位以外の場所で免疫グロブリンに結合する分子の例として、プロテインA、プロテインG、並びに免疫グロブリンFc部分及びFc受容体に結合するその他の細菌タンパク質が挙げられるが、これらには限定されない。Fc受容体は、マクロファージ、好中球、肥満細胞等の造血細胞上の受容体であり、免疫グロブリンのFc部分に結合する。Fc受容体の例として、FcγRI(CD64)、FcγRII−A(CD32)、FcγRII−B2(CD32)、FcγRII−B1(CD32)、FcεRIII(CD16)、及びFcαRIFcaRIが挙げられる。
【0062】
本発明を以下の実施例によって例示する。特定の実施例、材料、量、及び手順が本明細書で記載された本発明の範囲及び趣旨により広く解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【実施例】
【0063】
(実施例1)
抗プロテインAモノクローナル抗体の産生
免疫手順
この手順では、5匹の雌のスイス・ウェブスター(Swiss Webster)マウス(2.6月齢)を用いた。免疫抗原として用いたプロテインA抗原は、インビトロジェン社(Invitrogen, Inc.)(カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad))の関連会社であるザイメッド・ラボラトリーズ(Zymed Laboratories)から入手した。スクリーニングプロセスでは、各追加免疫2週間後にマウスから採血し、以下に記載する手順に従って、非プール試料の抗プロテインA抗体を確認した。表1に免疫処理手順を示す。
【0064】
【表1】

【0065】
融合手順
融合用に選択されたマウスを、上記免疫で用いた抗原と同用量で追加免疫した。上記表1に示されるように、脾臓摘出及び細胞融合の前4日間にわたり、追加免疫を行った。
【0066】
融合日に、選択したマウスを屠殺し、脾臓を無菌的に摘出した。ピンセットを用いて脾臓を細分化し、ふるいで漉した。細胞を、IMDM培地(L−グルタミン及び25mM HEPESを含むイスコフ(Iscove)改変DMEM、セルグロ(Cellgro)カタログ番号10−016−CM、メディアテック社(Mediatech, Inc.)(バージニア州ハーンドン(Herndon)))を用いて2回洗浄し、血球計数器を用いてカウントした。マウス骨髄腫細胞株P3x63Ag8.653を、対数増殖期で静置培養から取り出した。細胞をIMDMで2回洗浄し、血球計数器を用いてカウントした。骨髄腫細胞及び脾臓細胞を1:5の割合で混合し、遠心分離した。上清を捨てた。試験管の底部を軽くたたいて、細胞沈殿物を穏やかに再懸濁した。1mLのPEG(MW 1500)50%溶液を、30秒間かけて(1滴ずつ)加えた。ピペットを用いて、沈殿物を30秒間穏やかに混合した。生じた細胞懸濁液を、更に30秒間静置した。1ミリリットル(mL)のIMDMを1分間かけて加え、続いて、2mLのIMDMを2分間かけて1滴ずつ加えた。2分間の直後に、更に5mLのIMDMを加えた。生じた細胞懸濁液を5分間静置した。
【0067】
細胞懸濁液を室温、1200rpmで10分間遠心分離した。沈殿物をHAT培地(10%FBS、2mM L−グルタミン、0.6%2−メルカプトエタノール(0.04%溶液)、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン、及び10%オリジェン(Origen)成長因子を含有するIMDM)に再懸濁した。細胞を、ミリリットルあたり1×10個となるように再懸濁した。細胞懸濁液を、96穴プレートにプレーティングした。200マイクロリットル(又は約2×10個)を各ウェルに添加した。96穴プレートを、100%湿度7%CO雰囲気下37℃でインキュベートした。
【0068】
融合7日後、培地を除去し、10%FBS、2mM L−グルタミン、0.6%2−メルカプトエタノール保存液(0.04%)、ヒポキサンチン、及びチミジンを含有するIMDMと交換した。
【0069】
ハイブリドーマ増殖手順
融合14日後、生育中のハイブリドーマコロニーを有するウェルより上清を採取した。各ウェルの上清の容量は約150〜200マイクロリットルであった。この上清を、血清のスクリーニングに用いたものと同様の試験法(以下に記載)を用いて特異抗体に関して試験した。
【0070】
陽性のハイブリドーマコロニーを96穴プレートから24穴プレートに移し、20%FBS、10%オリジェン(Origen)クローニング因子、2mM L−グルタミン、及び0.6%2−メルカプトエタノール保存液(0.04%)を含有するIMDM 1.8mLを各ウェルに添加した。96穴プレートについて上述した方法で、24穴プレートをインキュベートした。5日後、24穴プレートの上清について特異抗体の存在確認試験を行った。
【0071】
陽性のウェルの細胞を、T−25及びT−75フラスコ(コーニングフラスコ(Corning Flask)、コーニング(Corning)社、ニューヨーク)内で増殖させた。T−75フラスコの細胞を5本のバイアル瓶(各1mL)にとり、液体窒素で凍結した。陽性のウェルの細胞を限界希釈によりクローニング、すなわち、ハイブリドーマ細胞をウェルあたり0.25個の細胞密度で96穴プレートにプレーティングした。生育中のコロニーを、ハイブリドーマの最初の選択に用いたものと同様の試験法を用いて10〜14日後に試験した。サブクローン細胞を24穴プレートで増殖させ、続いてT−25、T−75及びT−162フラスコで増殖させた。サブクローン細胞のバイアル瓶を上記方法で凍結した。
【0072】
(実施例2)
抗プロテインA抗体のスクリーニングアッセイ
第1段階−プロテインAへの結合
特に明記しない限り全ての手順を室温で行った。プロテインA及びヤギ抗マウス抗体(γ鎖特異的、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合)は、ザイメッド・ラボラトリーズ(Zymed Laboratories)(インビトロジェン社(Invitrogen, Inc.)(カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad)))から入手した。西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素活性の基質色素であるTMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(tetramethylbenzidene))は、ネオジェン社(Neogen Corporation)(ミシガン州ランシング(Lansing))から入手した。
【0073】
特に記載のない限り、ELISAアッセイにおける洗浄手順は全て、1回あたりの洗浄あたり200マイクロリットル(μL)の3回の連続洗浄を含み、洗浄は全てPBST(0.05%w/vツイン(Tween)20を含むリン酸緩衝生理食塩水(10mMリン酸ナトリウム緩衝液中150mM NaCl、pH7.4))で行った。
【0074】
標的抗原(プロテインA1μg/mL炭酸緩衝液(pH9.2)懸濁液、100μL)で、ELISAプレート(イムロン(Immulon)2、ダイネックス・テクノロジーズ社(Dynex Technologies, Inc.)(バージニア州シャンティリー(Chantilly)))の各ウェルを、37℃で1時間コーティングした。コーティング工程後、ウェルをPBST(0.05%w/vツイン(TWEEN)20を含有するリン酸緩衝生理食塩液(10mMリン酸ナトリウム緩衝液中150mM NaCl、pH7.4))で2回洗浄した。
【0075】
標的抗原によるウェルコーティングの最後の洗浄液を捨てた後、ELISAプレートの非特異的タンパク質結合部位がブロックされた。2%(w/v)脱脂粉乳を含有するPBST(ブロット(blotto)溶液)200マイクロリットルを各ウェルに添加した。プレートを37℃で1時間インキュベートした。ブロット溶液を捨てた。抗体溶液(100μL/ウェル、酢酸緩衝液(0.1M酢酸及び0.5M NaCl、pH4.0)で希釈)を各ウェルに添加した。プレートを37℃で1〜2時間インキュベートした。インキュベート後、ウェルをPBSTで3回洗浄した。
【0076】
ヤギ抗マウス抗体−HRP複合体をブロット溶液で適当に希釈した溶液100マイクロリットルを各ウェルに添加し、37℃で1〜2時間インキュベートした。インキュベート後、複合体溶液を除去し、ウェルをPBSTで3回洗浄した。最後の洗浄液を除去した後、100μLのTMB(Kブルー(Kblue)、ネオジェン(Neogen)カタログ番号300199)を各ウェルに添加し、プレートを室温で1〜10分間放置して青色の発色を観察した。各ウェルの比HRP酵素活性を、650nmの光源波長の吸光度によりプレートリーダーで測定した。スクリーニングした1000個超のハイブリドーマ細胞株のうち、プロテインA結合活性が最も高い抗体を産生する8個の細胞株を、更なるスクリーニング用に選択した。
【0077】
第2段階−黄色ブドウ球菌細胞への結合
より高い親和性のプロテインA結合抗体を産生するハイブリドーマ細胞株の、黄色ブドウ球菌及び表皮ブドウ球菌の無傷細胞への結合能を試験した。本実施例で用いた菌株、黄色ブドウ球菌(ATCC 25923)及び表皮ブドウ球菌(ATCC 12228)は、米国培養細胞系統保存機関(バージニア州マナッサス(Manassass))から入手した。抗原の結合、ウェルの洗浄、非特異性タンパク質結合部位のブロッキング、及び抗原結合モノクローナル抗体の検出に用いた試薬と手順は、本実施例で用いた抗原が洗浄され、実施例5で用いたプロテインA抗原ではなく、黄色ブドウ球菌又は表皮ブドウ球菌の無傷細胞全体を用いた以外は、実施例5で記載する方法であった。
【0078】
抗原調製に用いる細菌培養液を、トリプティックソイ培地中、37℃で一晩増殖させた。細胞懸濁液を、4℃で10分間、10,600kxgで懸濁液を遠心分離することによって、3回洗浄し、上清をデカントし、100mM重炭酸ナトリウム、pH9.5にペレットを再懸濁した。最後の洗浄後、10、10、及び10コロニー形成単位/mLの適切な細胞密度となるよう、重炭酸ナトリウム緩衝液で細胞を懸濁した。これらの懸濁液を96穴プレートのコーティング用抗原として用いた。それぞれ1.0、0.1、及び0.01mg/mLの精製プロテインAを含有する対照液で、各プレートの別々のウェルをコーティングした。
【0079】
ストレプトアビジン結合アルカリホスファターゼは、ジャクソン・イムノリサーチ(Jackson Immunoresearch)(ペンシルバニア州ウェストグルーブ(West Grove))から入手し、使用前に0.5μg/mLの使用濃度に希釈した。アルカリホスファターゼの基質色素であるpNPPは、KPL(メリーランド州ゲーサーズバーグ(Gaithersberg))から入手した。抗プロテインAモノクローナル抗体SPA−27及び対応するビオチン結合誘導体は、シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis))から入手した。
【0080】
細菌懸濁液及びプロテインA対照液を96ウェルプレートに添加し(100μL/ウェル)、プレートを37℃で1時間インキュベートした。ウェルをPBSで5回洗浄した。非特異性タンパク質結合部位を、200μLのブロット溶液(2%w/v脱脂粉乳を含むPBST)を添加することによりブロッキングし、プレートを4℃で一晩放置した。続いてプレートをPBSTで洗浄した。
【0081】
未標識のモノクローナル抗体溶液を、50μgタンパク質/mL酢酸緩衝液(500μM NaCl/100μM酢酸ナトリウム、pH3.5)まで希釈した。これらの溶液を用い、2倍ずつの段階希釈(0.78μgタンパク質/mLまで)で抗体の酢酸緩衝液溶液を調製した。陽性対照として用いるため、ビオチン結合SPA−27抗体を酢酸緩衝液で6.25mg/mLに希釈した。
【0082】
未標識抗体の各希釈液100マイクロリットルを2つのウェル(ウェルあたり未標識抗体が1つのみ)に移し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。続いてプレートを5回洗浄した。希釈したビオチン結合抗体100マイクロリットルをウェルに添加し、プレートを37℃でインキュベートした。プレートをPBSTで洗浄した。
【0083】
ウェルの洗浄後、ブロット溶液で希釈したストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ複合体100μLを各ウェルに添加し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。ウェルの洗浄後、100μLの5%(w/v)EDTA二ナトリウム及びプレートをプレートリーダーに定置し、波長405nmにおける吸光度を読み取った。
【0084】
結合アッセイのため、ハイブリドーマの上清を酢酸ナトリウム緩衝液(500μM NaCl/100μM酢酸ナトリウム、pH3.5)で1:50、1:500、及び1:5000に希釈した。結合反応の後、固定化細菌に結合した抗体の量を、アルカリホスファターゼ結合抗体と、実施例5に記載した検出試薬を用いて測定した。この結果、Mab 76は、このスクリーニングにおける他のクローンの平均結合親和性よりも、約3倍高い黄色ブドウ球菌細胞への結合親和性を有することが示された。
【0085】
(実施例3)
モノクローナル抗体アイソタイプの決定
市販のキットを用い、抗体アイソタイプとサブクラスを同定した。アイソストリップ(ISOSTRIP)マウスモノクローナル抗体アイソタイピングキット(ロシュ・ダイアグノスティクス(Roche Diagnostics)(インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis)))を製造業者の説明書に従って使用した。その結果、Mab 76がIgG2a抗体に分類されることが示された。更に、モノクローナル抗体の軽鎖アイソタイプがκアイソタイプであることが示された。
【0086】
(実施例4)
ウエスタンブロット分析
本実施例では、実質的に精製されたプロテインAをSDS/ポリアクリルアミドゲル電気泳動し、続いてモノクローナル抗体76でウエスタンブロッティングを行い、モノクローナル抗体のプロテインAへの結合を証明した。プロテインAは、ザイメッド・ラボラトリーズ(Zymed Laboratories)から入手し、0.1μg/レーンの量でゲルに注入した。既知のタンパク質分子量マーカー混合液をゲル中の1つのレーンで泳動させた。ノベックス・ニューページ(Novex NuPage)4〜12%プレキャストSDS/ポリアクリルアミドゲルは、インビトロジェン社(Invitrogen, Inc.)から入手し、電気泳動及びウエスタンブロッティングの手順は、製造業者の説明書に従った。二次プローブとしてのアフィニティ精製済みアルカリホスファターゼ結合抗マウスIgG抗体、及びアルカリホスファターゼ活性検出の基質色素を含有するウエスタンブリーズ(WesternBreeze)色素生産性ウエスタンブロット免疫検出キット(インビトロジェン社(Invitrogen, Inc.))を用い、製造業者の説明書に従ってウエスタンブロットを行った。ゲルから膜にタンパク質を転写した後、膜の個々のレーンを、モノクローナル抗体Mab 76及びモノクローナル抗体SPA−27(シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis)))でプローブした。続いて、二次プローブを用い、膜に結合したプロテインAへの一次抗体の結合を検出した。これらの結果より、両モノクローナル抗体が、約50キロダルトン(kD)の大きさの類似するタンパク質を検出することが示された。
【0087】
(実施例5)
エピトープブロッキング分析
本実施例では、Mab 76のプロテインA結合エピトープがMab SPA−27の結合エピトープと異なることを示す。プロテインAは、ザイメッド・ラボラトリーズ(Zymed Laboratories)から入手した。抗プロテインAモノクローナル抗体SPA−27及び対応するビオチン結合誘導体は、シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis))から入手した。ストレプトアビジン結合アルカリホスファターゼは、ジャクソン・イムノリサーチ(Jackson Immunoresearch)(ペンシルバニア州ウェストグルーブ(West Grove))から入手し、使用前に0.5μg/mLの使用時濃度に希釈した。アルカリホスファターゼの基質色素であるpNPPは、KPL(メリーランド州ゲーサーズバーグ(Gaithersberg))から入手した。
【0088】
特に記載しない限り、ELISAアッセイにおける洗浄手順は全て、1回あたり200マイクロリットルの容量で3回連続洗浄し、洗浄は全てPBST(0.05%w/vツイン(TWEEN)20を含有するリン酸緩衝生理食塩液(10mMリン酸ナトリウム緩衝液中150mM NaCl、pH7.4))で行った。
【0089】
プロテインAを0.016μg/mL PBS、pH7.2に希釈し、96穴プレートに添加し(100μL/ウェル)、プレートを37℃で1時間インキュベートした。ウェルをPBSで5回(1回あたり200μL)洗浄した。非特異的タンパク質結合部位を、200μLのブロット溶液(実施例2参照)(0.05%w/vツイン(Tween)20、2%w/v脱脂粉乳を含むPBS)を添加することによりブロッキングし、プレートを4℃で一晩放置した。続いてプレートを上記のように洗浄した。
【0090】
未標識のモノクローナル抗体溶液を、50μgタンパク質/mL酢酸緩衝液(500μM NaCl/100μM酢酸ナトリウム、pH3.5)まで希釈した。これらの溶液を用い、2倍ずつの段階希釈(0.78μgタンパク質/mLまで)で抗体の酢酸緩衝液溶液を調製した。ビオチン結合SPA−27抗体を酢酸緩衝液で6.25μg/mLまで希釈した。
【0091】
未標識抗体の各希釈液100マイクロリットルを2つのウェル(ウェルあたり未標識抗体、すなわちMab76又はSPA−27のいずれかが1つのみ)に移し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。続いてプレートを上記のように5回洗浄した。希釈したビオチン結合抗体100マイクロリットルをウェルに添加し、プレートを37℃でインキュベートした。
【0092】
ウェルの洗浄後、ブロット溶液で希釈したストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ複合体100μLを各ウェルに添加し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。ウェルの洗浄後、pNPP基質溶液100μLを各ウェルに添加し、プレートを室温で10分間放置した。5%(w/v)EDTA二ナトリウム100μLを添加することによりアルカリホスファターゼ反応を停止させ、プレートをプレートリーダーに置き、波長405nmにおける吸光度を読み取った。
【0093】
結果より、未標識のSPA−27抗体濃度が約12.5μg/mLを超えるとき、標識SPA−27抗体の結合が顕著に低下することが示された。ビオチン結合SPA−27モノクローナル抗体のプロテインAへの結合は、未標識SPA−27モノクローナル抗体の結合により阻害されることを示す。
【0094】
対照的に、50μg/mLまでの濃度のMab 76は、標識SPA−27抗体のプロテインAでコーティングしたウェルへの結合を顕著に低下させなかった。これらの結果は、ビオチン結合SPA−27モノクローナル抗体のプロテインAへの結合は、Mab 76の結合により阻害されないことを示す。したがって、これらの結果は、Mab 76モノクローナル抗体は、SPA−27モノクローナル抗体が認識するエピトープとは異なるプロテインA分子上の結合エピトープを認識することを示す。
【0095】
本明細書で引用される全ての特許、特許出願、及び出版物、並びに電子的に存在するもの(例えば、ジェンバンク(GenBank)及びリファレンス・シーケンス(RefSeq)などに登録されているヌクレオチド配列、並びにスイスポート(SwissProt)、PIR、PRF、PDBなどに登録されているアミノ酸配列、並びにジェンバンク(GenBank)及びリファレンス・シーケンス(RefSeq)の注釈つきコード領域からの翻訳物を含む)の完全な開示は、参考として組み込まれる。前述の説明及び実施例は理解を明確化するためにのみ提示した。それらから無用の限定を解するべきでない。本発明は、示され記載された厳密な詳細事項に限定されるべきでない。当業者に対して明らかな変形が特許請求の範囲において規定された本発明の範囲に含まれるからである。
【0096】
全ての見出しは読者の利便性のためであって、特記しない場合は、見出しの後に続く文面の意味を制限するために用いているのではない。
【0097】
本明細書に開示される、別個の工程を含む任意の方法において、任意の可能な順序で工程を実施してもよい。更に、2つ以上の工程の任意の組合わせを適宜同時に実施してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノクローナル抗体、及びその抗原結合性フラグメントであって、前記モノクローナル抗体が、モノクローナル抗体76の黄色ブドウ球菌由来のプロテインAへの結合を阻害し、モノクローナル抗体76が米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生される、モノクローナル抗体、及びその抗原結合性フラグメント。
【請求項2】
前記モノクローナル抗体が、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体76によって認識される黄色ブドウ球菌由来のプロテインAの同一エピトープに結合する、モノクローナル抗体、及びその抗原結合性フラグメント。
【請求項3】
前記モノクローナル抗体が、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体76の重鎖可変領域のポリペプチド配列を含む、モノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメント。
【請求項4】
前記モノクローナル抗体が、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体76の軽鎖可変領域のポリペプチド配列を更に含む、請求項4に記載のモノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメント。
【請求項5】
前記モノクローナル抗体が、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体76の軽鎖可変領域のポリペプチド配列を含む、モノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメント。
【請求項6】
前記モノクローナル抗体が、
米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体76の重鎖の相補的決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域を含む、モノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメント。
【請求項7】
前記モノクローナル抗体が、
米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体76の軽鎖の相補的決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域を更に含む、請求項7に記載のモノクローナル抗体、及びその抗原結合性フラグメント。
【請求項8】
前記モノクローナル抗体が、
米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体76の軽鎖の相補的決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域を含む、モノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメント。
【請求項9】
前記抗体の抗原結合性フラグメントが、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)フラグメント、及びFvフラグメントからなる群から選択される、請求項1に記載の抗体の抗原結合性フラグメント。
【請求項10】
請求項1に記載のモノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメントを含む、組成物。
【請求項11】
請求項1に記載のモノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメントを含む、キット。
【請求項12】
請求項1に記載のモノクローナル抗体、又はその抗原結合性フラグメントを産生する、形質転換B細胞株。
【請求項13】
米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生されるモノクローナル抗体、及びその抗原結合性フラグメント。
【請求項14】
請求項14に記載のモノクローナル抗体を含む、組成物。
【請求項15】
米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株、及びその継代株。
【請求項16】
米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生される抗体の重鎖可変領域のコード配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項17】
前記単離されたポリヌクレオチドが、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生される抗体の重鎖のコード配列を含む、請求項17に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項18】
米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生される抗体の軽鎖可変領域のコード配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項19】
前記単離されたポリヌクレオチドが、米国培養細胞系統保存機関に寄託され、受入番号PTA−7938が付与されたハイブリドーマ細胞株358A76.1より産生される抗体の軽鎖可変領域のコード配列を含む、請求項19に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項20】
請求項1に記載のモノクローナル抗体の重鎖、軽鎖、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、又は1つ以上の相補的決定領域をコードする核酸配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項21】
請求項17に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【請求項22】
請求項22に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項23】
実質的に精製された抗体、又はその抗原結合性フラグメントを産生する方法であって、抗体ポリペプチド、又はその抗原結合性フラグメントが発現される条件下で請求項12に記載の形質転換B細胞株を増殖させる工程と、発現した抗体ポリペプチド、又はその抗原結合性フラグメントを収集する工程とを含む、方法。
【請求項24】
実質的に精製された抗体、又はその抗原結合性フラグメントを産生する方法であって、抗体、又はその抗原結合性フラグメントが発現される条件下で請求項12に記載の宿主細胞を増殖させる工程と、発現した抗体、又はその抗原結合性フラグメントを収集する工程とを含む、方法。
【請求項25】
黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体のスクリーニング方法であって、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体を選択する工程と、無傷の黄色ブドウ球菌に結合する抗体を更に選択する工程とを含む、方法。
【請求項26】
単離された黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合する抗体を選択する工程が、約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを含有する約pH4の緩衝液の存在下で、黄色ブドウ球菌由来のプロテインAに結合し続ける抗体を選択する工程を含み、及び/又は、
無傷の黄色ブドウ球菌に結合する抗体を選択する工程が、約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを含有する約pH4の緩衝液の存在下で、無傷の黄色ブドウ球菌に結合し続ける抗体を選択する工程を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項25又は請求項26に記載の方法に従って選択される抗体。
【請求項28】
前記抗体が、モノクローナル抗体を含む、請求項27に記載の抗体。
【請求項29】
請求項27又は請求項28に記載の抗体由来の抗原結合性フラグメント。
【請求項30】
請求項27又は請求項28に記載の抗体、又はその抗原結合性フラグメントを含む、組成物。
【請求項31】
請求項27又は請求項28に記載の抗体、又はその抗原結合性フラグメントを含む、キット。
【請求項32】
高い比活性で標的抗原に結合する抗体のスクリーニング方法であって、
約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを含有する約pH4の緩衝液の存在下で、標的抗原と候補抗体を接触させる工程を含み、
約0.1Mの酢酸及び約0.5MのNaClを含有する約pH4の緩衝液の存在下で、前記標的抗原に結合し続ける候補抗体が、高い比活性で前記標的抗原に結合する、方法。
【請求項33】
前記標的抗原が、受容体結合分子である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記標的抗原が、免疫グロブリンの抗体結合部位以外の位置で免疫グロブリンに結合する分子である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記免疫グロブリンの抗体結合部位以外の場所で免疫グロブリンに結合する分子が、プロテインA、プロテインG、及びFc受容体からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
請求項32〜35のいずれか一項に記載の方法に従って選択される、高い比活性の抗体。
【請求項37】
前記抗体が、モノクローナル抗体を含む、請求項36に記載の高い比活性の抗体。
【請求項38】
請求項36又は請求項37に記載の抗体由来の抗原結合性フラグメント。
【請求項39】
請求項36又は請求項37に記載の抗体、又はその抗原結合性フラグメントを含む、組成物。
【請求項40】
請求項36又は請求項37に記載の抗体、又はその抗原結合性フラグメントを含む、キット。

【公表番号】特表2010−509937(P2010−509937A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538451(P2009−538451)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/084736
【国際公開番号】WO2008/140570
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】