説明

プロテオーム解析

メタロプロテアーゼを解析するための活性ベース組成物が開示される。この組成物は、ヒドロキサマート部分およびベンゾフェノン部分を含む化合物を含む。これらの化合物を合成するための方法、ならびにメタロプロテアーゼに対する、活性化合物を含む組成物の生物活性を求めるために、およびメタロプロテアーゼに対する阻害剤の効力を求めるために、これらの化合物を使用する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)により、2004年1月1日に出願された特許出願米国特許出願第60/576,333号の優先権の恩典を主張する。米国特許出願第60/576,333号の全ての内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
政府の支援
本発明は、一部、米国立衛生研究所による契約番号CA87660に従って政府支援によりなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本発明は、プロテオーム解析、特に、ある特定の酵素(例えば、メタロプロテアーゼ)を含むプロテオーム部分の解析に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
従来からある現行のほとんどのプロテオーム解析法は、タンパク質レベルの変動の測定および記録に焦点をあてている。これらのアプローチは通称「プロテオミクス」と呼ばれている。一般的に、プロテオミクスは、複雑な生物学的混合物に存在している広範囲のタンパク質プロファイルの量を測定しようとする。プロテオミクスの主な目的は、生物学的複雑性の高い試料におけるタンパク質機能を解析するための包括的な方法を開発することである。
【0005】
典型的なプロテオミクス実験では、二次元電気泳動または同位体コードアフィニティタグ(isotope-coded affinity tagging)などの技法を用いて、細胞、組織、および/または体液におけるタンパク質の発現レベルが比較される。この場合、タンパク質活性の変化を推測するためにタンパク質量の変動が用いられる。しかしながら、多くのタンパク質は、複雑に並んだ翻訳後機構によって調節される。このようなタンパク質の場合、その量の変化は活性の変化と相関しないことがある。例えば、メタロプロテアーゼ(MP)酵素などの一部のタンパク質は、インビボで、非常に多くの形の翻訳後調節(不活性酵素前駆体としての生成および内因性タンパク質による阻害を含む)を受ける。これらの翻訳後事象は、従来の量ベースのゲノミクス法およびプロテオミクス法を用いたMPの機能解析を妨げる。
【0006】
翻訳後事象によって引き起こされ得る問題に対処するために、活性ベースタンパク質プロファイリング(activity-based protein profiling: ABPP)として知られる化学的手法が導入されている。ABPP法によれば、全プロテオーム中のタンパク質の活性の変動を記録するために活性部位特異的プローブが用いられる。
【0007】
ABPPプローブは、典型的に、3つの部分:特定のクラスの酵素の複数の活性部位との相互作用を促進する結合基、これらの活性部位を共有結合により標識する反応基、およびプローブで標識された酵素を視覚化およびアフィニティ精製するためのレポーター基(例えば、フルオロフォア、ビオチン)を含む。ABPPプローブは、発現レベルのみではなく機能特性に基づいて特定のタンパク質グループをタグ化するのに用いられ、従って、複雑なプロテオームの中の量が少ないタンパク質に容易に接近することができる。
【0008】
量と相対するものとしてタンパク質活性を測定する方法を考案する必要性は、タンパク質の重要なサブセットである酵素の場合で最もよく説明される。酵素は、血液凝固、炎症、血管形成、神経可塑性、ペプチドホルモンプロセシング、およびTリンパ球を介した細胞傷害性を含む、ほとんど全ての生物学的プロセスの鍵であることが知られている。いくつかのヒト疾患は酵素の機能不全に関連することが知られている。これは、出血障害、気腫、関節炎、さらには癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0009】
現在までに、生物医学的に関連する多くの酵素クラス(セリンヒドロラーゼ、システインプロテアーゼ、および酸化還元酵素を含む)について、ならびに生細胞および動物における酵素活性のプロファイリングのために、ABPPプローブが開発されている。従来のプロテオミクス法を上回るABPPのこれらの利点および他の利点にもかかわらず、いくつかの重要な酵素クラスはこのアプローチによる対処が依然としてなされていない。ABPP法が開発されていない酵素クラスの1つには、多くの生理学的および病理学的なプロセス(例えば、組織リモデリング、ペプチドホルモンシグナル伝達、および癌)において重要な役割を果たしている大きくかつ多種多様な酵素グループを含むメタロプロテアーゼ(MP)が含まれる。
【0010】
使用されている活性ベースタンパク質プロファイリング法の1つが、タンパク質活性部位にある保存された求核剤を標的とするように設計されたABPPプローブの作製である。例えば、この方法は、セリンプロテアーゼまたはシステインプロテアーゼなどの一部のプロテアーゼクラスに用いられている。しかしながら、この技法は、触媒のために(タンパク質に結合している求核剤ではなく)亜鉛で活性化された水分子を使用するMPには直接適用することができない。従って、全プロテオーム中のこれらの酵素の機能的プロファイリングを可能にするために、十分な効力および特異性を持った、MP活性部位を標識する化学プローブを作製するための代替法が必要とされている。
【0011】
前記を考慮して、メタロプロテアーゼ用の活性ベースタンパク質プロファイリング法を開発する深刻な必要性が存在する。本発明の態様は、このような方法を提供する。
【発明の開示】
【0012】
概要
本発明の1つの態様によれば、メタロプロテアーゼを解析するための活性ベース組成物が提供される。この組成物は、ヒドロキサマート部分およびベンゾフェノン部分を含む化合物を含む。この化合物は、少なくとも1つのさらなる官能基部分(例えば、ローダミン基および/またはビオチン基)を含んでもよい。
【0013】
本発明の別の態様によれば、メタロプロテアーゼを解析するための活性ベース組成物が提供される。この組成物は、式(A):

を有し、式中、Xが官能基部分である、化合物を含む。使用することができる官能基Xの例はローダミン基を含み、ビオチン基をさらに含む。使用することができる特定の化合物の例は、化合物(B)または(C):

を含む。
【0014】
本発明のさらに別の態様によれば、活性部位を有するメタロプロテアーゼに対する、活性化合物を含む組成物の生物活性を求めるための方法が提供される。この方法は、活性化合物と活性部位の結合反応に適した条件下で、組成物とメタロプロテアーゼを組み合わせて、活性化合物-メタロプロテアーゼ付加物を形成する工程、付加物を架橋する工程、および付加物を特徴付ける工程を含み、活性化合物は、ヒドロキサマート部分およびベンゾフェノン光架橋部分を含む。
【0015】
本発明の別の態様によれば、メタロプロテアーゼに対する阻害剤の効力を求めるための方法が提供される。この方法は、活性化合物-メタロヒドロラーゼ付加物の形成に適した条件下で、阻害剤および活性化合物とメタロプロテアーゼを組み合わせて、第1の試料を作る工程、第1の試料において形成された付加物の量を測定する工程、対照試料を作るための活性化合物-メタロプロテアーゼ付加物の形成に適した条件下で、活性化合物とメタロプロテアーゼを組み合わせて、対照試料を作る工程、および対照試料において形成された付加物の量と比較して、第1の試料において形成された付加物の量が減少した程度として阻害剤の効力を求める工程(減少の程度は、使用した阻害剤の量と比例する)を含む。
【0016】
発明の詳細な説明
本発明の目的のために、以下の用語、定義、および略語が適用される。
【0017】
用語「活性ベースプローブ」は時として「ABP」と略され、標的タンパク質への非競合的な結合または実質的に不可逆的な結合のための、および標的タンパク質の働きを阻害するための多官能性分子である化学試薬と定義される。
【0018】
用語「活性タンパク質」は、不活性な状態と相対するものとして正常な野生型コンホメーション(例えば、触媒的に活性な状態)にある任意のタンパク質(任意の酵素を含む)と定義される。活性な状態にあると、タンパク質は正常に機能することができる。不活性な状態は、任意の1つまたは複数の化学プロセスまたは生物学的プロセス(例えば、変性、阻害剤の結合(共有結合または非共有結合)、変異、二次プロセシング(例えば、リン酸化もしくは脱リン酸)など)の結果として存在し得る。本明細書に記載のタンパク質または酵素の機能状態は、同じタンパク質または酵素の豊富なレベルとは異なるかもしれない。
【0019】
タンパク質に関する用語「活性部位」は、ある分子が結合して結合体を形成することができる、タンパク質(例えば、酵素分子)の表面上にある特定の領域と定義される。活性部位は、生物学的活性を有する部位(例えば、酵素の触媒部位、補因子結合部位、リガンドの受容体結合部位、およびタンパク質複合体の結合部位)にある使用可能な野生型コンホメーションである。
【0020】
用語「タンパク質」は、ペプチド結合によって連結された、アミノ酸に由来する単位を含む生物学的ポリマーと定義される。タンパク質が2本以上の鎖からなってもよい。
【0021】
用語「酵素」は、特定の化学反応の方向または性質を変えることなく化学反応を促進することができ、それ自体はプロセスにおいて変化しない生物学的触媒として働くタンパク質と定義される。
【0022】
用語「メタロプロテアーゼ」は時として「MP」と略され、タンパク質またはポリペプチドからより小さなアミノ酸ポリマーへの加水分解を触媒するために、金属で活性化された水(例えば、亜鉛で活性化された水)を使用する酵素と定義される。
【0023】
用語「プロテオーム」は、ある特定の時間に、ある特定の条件下で、ある特定の生物、生物系、組織、または細胞によって発現された全てのタンパク質の組み合わせまたは集まりと定義される。
【0024】
用語「ヒドロキサマート部分」は、ヒドロキシルアミンから得られ、構造(I)を有する化学部分と定義され、「Hx」と略される。

【0025】
用語「ベンゾフェノン部分」は、ジフェニルケトンから得られ、構造(II)を有する部分と定義され、「BP」と略される。

【0026】
用語「架橋部分」は、タンパク質の隣接する鎖と結合を形成する部分と定義される。
【0027】
用語「光架橋部分」は、放射線によって活性化されて、タンパク質の隣接する鎖と結合を形成する架橋部分と定義される。
【0028】
用語「ローダミン部分」は、構造(III)を有する部分と定義され、「Rh」と略される。

【0029】
用語「ビオチン部分」は、構造(IV)を有する部分と定義され、「Bio」と略される。

【0030】
略語「IC」は「阻害濃度」を意味し、「IC50」と略される用語は、試料中の酵素の50%の活性を阻害するのに必要な化合物の濃度と定義される。
【0031】
以下の略語は、本願において以下で説明するNMRスペクトルの多重度を説明するのに用いられる。s=singlet、d=doublet、t=triplet、q=quartet、m=multiplet、b=broad。
【0032】
略語「HBTU」は、O-ベノトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを表す。
【0033】
略語「DIEA」は、ジイソプロピルエチルアミンを表す。
【0034】
略語「BOC」は、N-tert-ブトキシカルボニルを表す。
【0035】
略語「Bpa」は、4-ベンゾイル-フェニルアラニンを表す。
【0036】
略語「EDC」は、塩酸1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドを表す。
【0037】
略語「RhN3」は、ローダミン-アジドを表す。
【0038】
略語「TriN3」は、ローダミン-ビオチン-アジドを表す。
【0039】
略語「EtOAc」は、酢酸エチルを表す。
【0040】
略語「Hex」は、任意のヘキサンを表す。
【0041】
略語「Aq」は、水溶液を表す。
【0042】
略語「HxBP-Rh」は、次の3つの部分:ヒドロキサマート部分(I)、ベンゾフェノン部分(II)、およびローダミン部分(III)を含む、任意の化合物を表す。略語「HxBP-Rh-Bio」は、次の4つの部分:ヒドロキサマート部分(I)、ベンゾフェノン部分(II)、ローダミン部分(III)、およびビオチン部分(IV)を含む、任意の化合物を表す。
【0043】
本発明の1つの態様によれば、亜鉛依存酵素のプロファイリングを行うための活性ベースプローブ(ABP)が提供される。プロファイリングのために本発明のABPを使用することができる亜鉛依存酵素のタイプの1つは、メタロプロテアーゼ(MP)を含む。1つまたは複数の標的MPの活性部位との特異的反応のために活性ベースプローブが提供される。ABPは、少なくとも、反応性官能基およびリガンドを含んでもよく、関連するタンパク質グループに対して親和性を有する。これによって、ABPは標的タンパク質に結合し、タンパク質を実質的に不活化することができ、リガンドは検出および/または単離を可能にすることができる。
【0044】
プローブは、ヒドロキサマート部分(I)(例えば、亜鉛キレートヒドロキサマート部分)およびベンゾフェノン光架橋部分(II)を含む化合物でもよい。ヒドロキサマート部分は、MP活性部位へのプローブの選択的結合を促進することができる。ベンゾフェノン光架橋部分はMP活性部位の修飾に関与する。プローブとして使用することができる化合物の一般式は、式(V):

によって示すことができる。式中、Xは官能基である。
【0045】
前記のABPを用いて、任意のMPのプロファイリングを行うことができる。このようにプロファイリングを行うことができるメタロヒドロラーゼの例には、マトリックスメタロプロテイナーゼ(「MMP」)(例えば、MMP1-13)、膜型メタロプロテイナーゼ、アミノペプチダーゼ、およびメタロペプチダーゼが含まれる。プロファイリングを行うことができるメタロペプチダーゼの一例には、プロテイナーゼII(亜鉛エンドペプチダーゼまたはアダマリシン(adamalysin)としても知られる)が含まれる。
【0046】
本発明の態様によれば、ABPは、細胞プロテオームおよび組織プロテオームの中のMPの活性および阻害剤感受性のプロファイリングを行って、浸潤癌細胞において高度にアップレギュレートされているMPを特定するのに使用することができる。プローブはまた、現在、臨床開発されているMP阻害剤の新規の標的を発見するのにも使用することができる。
【0047】
ヒドロキサマート部分およびベンゾフェノン部分に加えて、ABPとして用いられる化合物は、少なくとも1つの他の官能基も含んでよい。使用することができる官能基X(式Vで示される)の例には、ローダミン基(III)およびビオチン基(IV)が含まれる。使用することができる他の官能基部分Xには、オリゴヌクレオチド、アジド/アルキン(付加環化化学を用いて様々な支持体への後の結合を可能にする)、ならびにp-ニトロフェニルが含まれる。
【0048】
使用することができる特定の化合物の例には、HxBP-Rh基の化合物(例えば、以下に示すような式(VI)(HxBP-Rh、ローダミン基を有する)、(VII)(これもローダミン基を有する)、および(VIII)(HxBP-Rh-Bio、ローダミン基およびビオチン基の両方を有する)のいずれかの化合物)が含まれる。

【0049】
本発明のプローブ(すなわち、ヒドロキサマート部分(I)およびベンゾフェノン部分(II)を含む化合物)を調製するために、様々な合成方法を使用することができる。HxBP-Rh(VII)およびHxBP-Rh-Bio(VIII)を合成するために使用することができる方法の1つは、反応スキームAによって模式的に示すことができる。

【0050】
スキームAによって示したように、EDCの存在下で、ベンゾフェノン部分を有する保護アミノ酸を、アセチレン化アミンに結合することができる。適切な保護基は当業者によって選択することができる。例えば、BOC基を使用することができる。次いで、(例えば、塩酸を用いて)BOC基を除去することによって、結合1の生成物を脱保護して、生成物2を得ることができる。次いで、HBTUおよびDIEAの存在下で、生成物2とカルボン酸を反応させて、生成物3を得ることができる。例えば、ペンタン酸の誘導体(例えば、2R-(2,2-ジメチル-4-オキソ-1,3-ジオキサラン-5S-イル)-4-メチルペンタン酸)をカルボン酸として使用することができる。
【0051】
次いで、生成物3とヒドロキシルアミン水溶液を反応させて、ヒドロキサマート部分(I)およびベンゾフェノン部分(II)を有する生成物4を得ることができる。次いで、硫酸銅およびアスコルビン酸ナトリウムの存在下で、生成物4とRhN3を反応させて、RxBP-Rh生成物(VII)を得ることができる。または、RhN3の代わりにTriN3を生成物4と反応させて(これも、硫酸銅およびアスコルビン酸ナトリウムの存在下で行う)、RxBP-Rh-Bio生成物(VIII)を得ることができる。
【0052】
または、HxBP-Rh(VII)およびHxBP-Rh-Bio(VIII)を合成するのに使用することができる方法を、反応スキームBによっても模式的に示すことができる。

【0053】
最終化合物をスキームBで示す。ここで、RxBP-Rh化合物(VII)は生成物5であり、RxBP-Rh-Bio化合物(VIII)は生成物6である。反応スキームAおよびBを実施することができる特定の条件は、本願の「実施例」部分において以下で説明する。当業者であれば、反応スキームAおよびBは例示的な合成の1つを示しているのにすぎないことを理解することができる。所望であれば、同じ最終化合物を得るために、他の合成スキームを考案し、実施することができる。
【0054】
次いで、前記のように合成されたプローブ化合物をメタロプロテアーゼと組み合わせて、付加物を形成することができる。まず最初に、メタロプロテアーゼを単離してもよく、所望であれば、プローブを、解析およびプロファイリングの対象であるメタロプロテアーゼを含む全プロテオーム試料と組み合わせてもよい。
【0055】
次いで、付加物の形成後に、プローブ化合物のベンゾフェノン架橋部分を用いて付加物を架橋することができる。架橋後に、付加物を解析し、メタロプロテアーゼのプロファイリングを行うことができる。付加物の形成およびその架橋に適した条件は当業者によって選択することができる。例えば、本願の「実施例」部分においてさらに詳細に説明される条件を使用することができる。
【0056】
プロファイリングおよび解析のために任意の適切な方法を使用することができる。使用される特定の方法は当業者によって選択することができる。使用することができる解析法またはプロファイリング法の例には、蛍光、標識およびスキャニング、インゲル視覚化、IC50値の測定、ならびに質量分析が含まれる。質量分析は、ミクロキャピラリー液体クロマトグラフィー-エレクトロスプレーと連携して使用することができる。
【0057】
例えば、HxBP-Rhを用いてマトリックスメタロプロテイナーゼの阻害を解析するために、以下の技法を使用することができる。基質DABCYL-Gaba-ProAsnGlyLeuGlu-EDANSおよび精製MMP(MMP-2、MMP-7、MMP-9)はEMD Biosciencesから入手することができる。pH7.5を有し、100mM Tricine、100mM NaCl、10mM CaCl2、50mM ZnCl2、および0.005%Brij 35を含む、アッセイ用緩衝液を使用することができる。アッセイ用緩衝液中の成分の最終濃度は、0.5ng MMP、12.5mM基質、および0〜5000nM HxBP-Rhでもよい。蛍光測定(励起340nmおよび発光465nm)は、GENios蛍光プレートリーダー(Tecan instruments)を用いて行うことができる。反応は、基質を最後に混合物に添加し、1時間にわたって2分毎に蛍光の増加を測定することによって開始することができる。
【0058】
HxBP-Rhを用いたMPの標識および検出のために、以下の技法を使用することができる。精製MMP-2を緩衝液1(酵素30ng)に希釈し、5μM GM6001またはTIMP-I(80ng)の存在下または非存在下で100nM HxBP-Rhと混合することができる。これらの混合物を氷上で15分間プレインキュベートした後に、(氷上で)365nmで1時間照射し、その後に、1体積の標準2xSDS/PAGEローディング緩衝液(還元)でクエンチングすることができる。当業者に公知のように調製された腎臓プロテオームおよび癌細胞プロテオームは、標識前に50mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)で1mg/mlに調節することができる。当業者に公知のように、脱グリコシルプロテオームを作るために、それぞれの癌細胞株プロテオーム試料の一部をPNGaseF(New England Biolabs)で処理することができる。標識された試料はSDS-PAGEで分離し、Hitachi FMBio IIe平面スキャナー(Mirabio)でゲル内で視覚化することができる。取り込まれたバンド強度はいくつかの独立した標識反応から計算し、各試料の各酵素活性のレベルを得るために平均することができる。
【0059】
HxBP-Rh標識タンパク質の単離および分子的特徴付けのために、以下の技法を使用することができる。三官能性HxBP-Rh-Bioプローブ(ビオチンおよびローダミンが結合している)を使用することができる。アビジンに基づくアフィニティ精製法は、当業者に公知のように使用することができる。アビジンによって濃縮されたプローブ標識タンパク質はSDS-PAGEによって分離することができ、タンパク質バンドを切り出し、トリプシン(Promega)で消化することができる。次いで、結果として生じたペプチド混合物は、Deca質量分析計と組み合わされたミクロキャピラリー液体クロマトグラフィー-エレクトロスプレータンデム質量分析によって分析することができる。MSデータは、公的データベースを検索して、HxBPで標識されたタンパク質を特定するのに使用することができる。
【0060】
HxBP-Rhを用いてMP阻害剤のIC50値を測定するために、以下の技法を使用することができる。ネプリライシン、ジペプチジルペプチダーゼIII(DPPIII)、およびロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)の場合のIC50値は、Prism Software(Graph Pad)を用いて、0.001〜20μMのGM6001および50nM HxBP-Rhプローブでの3回の試験の用量応答曲線から求めることができる。ネプリライシン、DPPIII、およびLAPアッセイ法は、それぞれ、MUM-2B膜プロテオーム、MCF7可溶性プロテオーム、およびマウス腎臓可溶性プロテオームを用いて行うことができる。
【0061】
使用することができる分析法の1つは、ある特定のメタロプロテアーゼに対する阻害剤の効力の決定に向けられてもよい。この方法によれば、本発明の活性ベースプローブ化合物と、メタロプロテアーゼプロテオームおよび阻害剤を、活性化合物/メタロプロテアーゼ付加物の形成に適した条件下で組み合わせて、第1の試料を作ることができる。特定のメタロプロテアーゼを阻害することが知られている、当業者に選択されるような任意の阻害剤を使用することができる。第1の試料に存在する付加物の量を測定することができる。
【0062】
次いで、阻害剤の非存在下で、メタロプロテアーゼプロテオームと活性ベースプローブ化合物を、活性化合物/メタロプロテアーゼ付加物の形成に適した条件下で組み合わせることによって、対照試料を作ることができる。対照試料において得られた付加物の量も測定することができる。次いで、第1の試料において得られた付加物の量および対照試料において得られた付加物の量を比較することができる。
【0063】
第1の試料において、阻害剤はメタロプロテアーゼの一部に結合して、この部分をプローブの活性化合物と反応できないようにすると予想される。従って、第1の試料におけるレポーター基からのシグナル強度は、対照試料におけるシグナル強度と比較して低下すると予想される。阻害剤が強力であればあるほど、低下の程度は大きくなると予想される。従って、阻害剤の効力は、シグナル強度(得られた活性化合物/メタロプロテアーゼ付加物の量を示す)の低下によって求めることができ、シグナル強度の低下は、使用した阻害剤の量と比例する。
【0064】
阻害剤を研究する概念は、図1によって、さらに説明することができる。図1は、HxBP-Rhを用いて、ジペプチジルペプチダーゼIII(DPPIII)が、ヒト乳癌細胞株MCF7に存在するGM6001感受性メタロプロテアーゼと特定されたことを示している。MCF-7細胞に由来する可溶性プロテオームの代表的なHxBP-Rh標識(100nM)プロファイルが示されている。約80kDaタンパク質の標識がGM6001(5μM)によってブロックされ、三官能性HxBPプローブを用いて、この標的がジペプチジルペプチダーゼIII(DPPIII)(矢印)と特定された。
【0065】
今から、以下の限定しない実施例を参照することによって、本発明をさらに詳細に説明する。
【0066】
実施例
実施例1. RxBP-Rh化合物およびRxBP-Rh-Bio化合物の合成
本実施例は、RxBP-Rh化合物およびRxBP-Rh-Bio化合物を調製する手法の1つを例示する。
【0067】
一般的な合成法
化学物質は全て商業的供給業者(Aldrich、Acros、Novabiochem、Molecular Probes)から購入し、さらに精製することなく使用した。乾燥したテトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、および塩化メチレン(CH2Cl2)は、市販の予め乾燥させた無酸素製剤を活性アルミナカラムに通すことによって得た。反応は、視覚化剤として紫外光を用いるWhatmanシリカゲルプレート(カタログ番号4861-820)において行われた薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニタリングした。TLC解析を受け入れられない反応をモニタリングするために、Agilent 1100 MSDを用いたLC/MSを使用した。シリカゲルクロマトグラフィーは、EMDシリカゲル60(カタログ番号11567-1)を用いて行った。HPLCは、Higgins Analytical C18, 5μm, 150x10 mm逆相カラムを備えるHitachi L-7150ポンプを用いて行った。精製は、流速5 mL/minで、A:95/5 H2O/ACN 0.05%TFAおよびB:95/5 ACN/H2O 0.05% TFAのバイナリー勾配(binary gradient)を用いて行った。1H NMRスペクトルはBruker AMX500MHzスペクトロメーターで記録した。化学シフトは、DMSO(2.49 ppm)を基準としてδppm値で報告し、結合定数(J)はHzで報告する。特定の化合物を特定する以下の数は全て反応スキームAおよびBに関するものである。
【0068】
N1-Boc-Bpa-N2-ヘキシンアミド(ヘキシンアミド)(1)の調製
N-Boc-Bpa-OH(120 mg,0.325 mmole,1eq.)および1-アミノ-hex-5-yne(38 mg,0.395 mmole,1.2eq.)を含むバイアルに、塩化メチレン5mLを添加し、その後に、EDC(124 mg,0.650 mmole,2 eq.)を添加した。一晩攪拌した後に、反応物を塩化メチレン20mLで希釈し、10%HClで1回、鹹水で1回洗浄した。Na2SO4を用いて有機層を乾燥させ、減圧下でロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)によって、1を白色固体(92 mg,63%)として得た。

(C27H32N2O4+Naは471.2254を必要とする)。
【0069】
N1-4-Bpa-N2-ヘキシンアミド(2)の調製
ジオキサン(2mL)に溶解した4.0 N HClを、1(56mg,0.124mg,1eq.)を含むバイアルに添加した。4時間後、溶媒を、減圧下でロータリーエバポレーターを用いて蒸発させ、減圧下に一晩置いて、2(43mg,定量的)を得た。

(C22H25N2O2+は349.1911を必要とする)。
【0070】
N2-[2R-(2,2-ジメチル-4-オキソ-1,3-ジオキサラン-5S-イル)-4-メチルペンタノイル]-L-4-Bpa-N1-ヘキシンアミド(3)の調製
2R-(2,2-ジメチル-4-オキソ-1,3,-ジオキサラン-5S-イル)-4-メチルペンタン酸(40mg,0.173mmole,1eq.)を無水DMFに溶解した。この後に、2(67mg,0.2mmole,1.1eq.)、HBTU(66mg,0.173mmole,1eq.)、およびDIEA(100μL)を添加した。1時間後、反応物を酢酸エチル(25mL)で希釈し、10%HClで2回洗浄した。次いで、Na2SO4を用いて有機層を乾燥させ、減圧下でロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。クロマトグラフィー前に残存DMFを全て除去するために、残渣を減圧下に置いた。カラムクロマトグラフィー(50/50 EtOAc:Hex)によって、3を粘着性の白色固体(69mg, 71%)として得た。

(C27H32N2O4+Hは561.2959を必要とする)。
【0071】
N1-[3S-ヒドロキシ-4-(N-ヒドロキシアミノ)-2R-イソブチルスクシニル-L-4-ベンゾイル-フェニルアラニン-N1-ヘキシンアミド(4)の調製
3(29.5mg,0.05mmole)を含む丸底フラスコにTHF(7mL)を添加した後に、ヒドロキシルアミン(50%水溶液1.5mL)を添加した。次いで、この溶液を80℃で1時間還流させた。この時、出発物質はTLC(EtOAc)によって見えなかった。次いで、反応物を、減圧下でロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。次いで、この残渣をHPLC(60分間にわたって勾配10〜40%B。生成物は39.5分で溶出する)で精製して、4(12mg,43%)を白色の薄膜として得た。

(C30H37N3O6+Hは536.2755を必要とする)。
【0072】
HxBP-Rh(5)の調製
アスコルビン酸ナトリウム(200mg/mL,100μL)および硫酸銅(II)(85mg/mL,30μL)の新鮮な溶液を、メタノール300μLおよび水70μLに溶解した4(9.5mg,0.02mmole,1eq.)およびRhN3 (5mg,0.01mg,0.5eq.)の混合物に添加した。反応物を1時間勢いよく攪拌し、減圧下でロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。次いで、残渣をDMFに溶解し、HPLC(60分間にわたって勾配10〜80%B。生成物は30〜38分の間で非常に広いピークとして溶出する。生成物を含む画分を特定するのにLC/MSを使用した)で精製して、暗赤色の薄膜として5(3.5mg,35%)を得た。MALDI-FTMS m/z 1048.4886(C30H37N3O6+は1048.4927を必要とする)。
【0073】
三官能性生成物HxBP-Rh-Bio(6)の調製
アスコルビン酸ナトリウム(200mg/mL,100μL)および硫酸銅(II)(85mg/mL,30μL)の新鮮な溶液を、メタノール300μLおよび水70μLに溶解した4(4mg,0.008mmole,1eq.)およびTriN3 (4mg,0.004mg,0.5eq.)の混合物に添加した。反応物を1時間勢いよく攪拌し、減圧下でロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。次いで、残渣をDMFに溶解し、HPLC(35分間にわたって勾配10〜75%B。生成物は15分で溶出する。生成物を含む画分を特定するのにLC/MSを使用した)で精製して、暗赤色の薄膜として6(3mg,48%)を得た。MALDI-FTMS m/z 1463.6978(C30H37N3O6+は1473.7024を必要とする)。
【0074】
実施例2. 本発明の化合物を用いた精製MMP-2の活性ベース標識
本実施例は、RxBP-Rh化合物を用いてメタロプロテアーゼを標識する手法の1つを例示する。
【0075】
図2Aに関連して、阻害剤[GM6001(5μM)またはTIMP-I(80 ng)]の存在下または非存在下で、50 nM HxBP-Rhを、プロ-MMP-2(30 ng)またはMMP-2(30 ng)の精製試料と15分間インキュベートした後に、紫外光への曝露による光架橋を行った。次いで、試料を、SDS-PAGEおよびインゲル蛍光スキャニングによって解析した。HxBP-Rhは活性MMP-2を標識したが、プロ-MMP-2も阻害剤が結合したMMP-2も標識しなかった。
【0076】
図2Bは、HxBP-RhによるMMP-2標識の濃度依存性を示している。MMP-2の標識は約100 nM HxBP-Rhで飽和した。標識はインゲル蛍光スキャニングによって測定した(取り込まれたバンド強度は任意単位で示す)。それぞれのデータ点は、2回の独立した試験の平均に対応する。
【0077】
実施例3. 本発明の化合物を用いた全プロテオーム中の精製MMP-2の活性ベース標識
本実施例は、RxBP-Rh化合物を用いてメタロプロテアーゼを標識する別の手法を例示する。
【0078】
図3Aに関して、精製MMP-2(100 ng)またはプロ-MMP-2(100 ng)をマウス腎臓プロテオーム(15μL, 1μgタンパク質/μL)に添加し、HxBP-Rh(100 nM)で15分間処理した後に、光架橋を行い、SDS-PAGEおよびインゲル蛍光スキャニングによる解析を行った。MMP-2だけがHxBP-Rhによって標識され、この標識は、GM6001(5μM)およびTIMP-I(200 ng)によってブロックされた。紫外光への曝露の非存在下で、タンパク質標識は観察されなかった。HxBP-Rhによって標識された内因性GM6001感受性酵素活性も、このプロファイルにおいて強調した。この活性は、三官能性HxBPプローブを用いてロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)と特定された。
【0079】
図3Bは、マウス腎臓プロテオームに添加された精製MMP-2の段階希釈液のHxBP-Rh標識を示す。HxBP-Rhは、3 ngと少ない活性MMP-2(1μg/μLプロテオームの15μLバックグラウンド中の3 nM酵素に相当する)を検出することができた。HxBP-Rhはプロ-MMP-2(150 ng)を標識しなかった。
【0080】
図3Cは、プロテオーム中のMMP-7およびMMP-9のHxBP-Rh標識を証明する。MMP-7およびMMP-9(30 ng)をマウス腎臓プロテオーム(15μL, 1μg/μL)に添加し、試料をHxBP-Rh(100 nM)で処理し、前記のように解析した。HxBP-Rhは活性MMP-7およびMMP-9を標識したが、GM6001によって阻害されたMMP-7およびMMP-9を標識しなかった。
【0081】
実施例4. 本発明の化合物を用いたメタロプロテアーゼの特定
本実施例は、RxBP-Rh化合物を用いてメタロプロテアーゼを特定する手法の1つを例示し、HxBP-Rhを用いて、ネプリライシンが、浸潤性ヒト黒色腫細胞株において劇的にアップレギュレートされるMP活性として特定されることを証明する。
【0082】
図4Aに関して、1パネルのヒト黒色腫細胞株に由来する膜プロテオームのHxBP-Rh標識プロファイルを示す。非浸潤性黒色腫株(UACC62、M14-MEL、およびMUM-2C)と比較して、浸潤性黒色腫株(MUM-2BおよびC-8161)において高度にアップレギュレートされているHxBP-Rh標識糖タンパク質が、三官能性HxBPプローブを用いて、ネプリライシンと特定された。脱グリコシル(deglycoslyation)は、それぞれのHxBP-Rh標識プロテオームの一部を解析前にPNGaseFで処理することによって行った。
【0083】
図(Bは、インゲル蛍光スキャニングによる黒色腫膜プロテオームにおけるネプリライシン活性の量子化(quantization)を示す(n=3/群)。
【0084】
実施例5. 本発明の化合物を用いたメタロプロテアーゼの特定
本実施例は、RxBP-Rh化合物を用いてメタロプロテアーゼを特定する別の手法を例示する。
【0085】
図5に関連して、GM6001によって阻害される、MMPファミリー外のいくつかのMP(ネプリライシン(A)、ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)(B)、およびジペプチジルペプチダーゼIII(DPPIII)(C)を含む)がHxBP-Rhによって特定されることが示される。左パネルは、HxBP-Rh(100nM)による全プロテオームの中にあるMPの代表的な標識およびGM6001(5μM)による阻害を示す。LAPおよびDPPIIIについては、PNGaseFレーンは示していない。なぜなら、このグリコシダーゼを用いた処理は、SDS-PAGEによる、これらのMPの移動を変えなかったためである。ネプリライシンは、浸潤性ヒト黒色腫細胞株の分泌プロテオームにおいて特定されたのに対して(図4を参照されたい)、LAPおよびDPPIIIは、それぞれ、マウス腎臓に由来する可溶性プロテオーム(図3(A)に示した)、およびヒト乳癌細胞株MCF7に由来する可溶性プロテオームにおいて特定された。右パネルは、GM6001によるHxBP-Rh標識阻害の濃度依存性を示している(それぞれのデータ点は3回の独立した試験の平均に対応し、GM6001の非存在下で行われた対照反応のパーセントとして表した)。これらの曲線から、GM6001によるネプリライシン、LAP、およびDPPIIIの阻害についてのIC50値(それぞれ、17nM(12〜23nM,95%信頼限界)、111nM(83〜149nM,95%信頼限界)、および76nM(53〜109nM,95%信頼限界))が計算された。
【0086】
本発明が前記の実施例に関して説明されたが、変更および変化が本発明の精神および範囲内に含まれることが理解されるだろう。従って、本発明は以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】ローダミンタグ化ヒドロキサマート-ベンゾフェノンプローブの存在下でのメタロプロテアーゼ阻害剤の活性を示す。
【図2】ローダミンタグ化ヒドロキサマート-ベンゾフェノンプローブによる精製メタロプロテアーゼの活性ベース標識を示す。
【図3】プローブによる全プロテオームの中の精製メタロプロテアーゼの活性ベース標識を示す。
【図4】様々なメタロプロテアーゼの活性ベース標識を示す。
【図5】様々なメタロプロテアーゼの活性ベース標識を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキサマート部分およびベンゾフェノン部分を含む化合物を含む、メタロプロテアーゼを解析するための組成物。
【請求項2】
ヒドロキサマート部分が亜鉛キレートヒドロキサマート部分である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
メタロプロテアーゼが、マトリックスメタロプロテイナーゼ、膜型メタロプロテイナーゼ、アミノペプチダーゼ、またはメタロペプチダーゼを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
化合物が、少なくとも1つのさらなる官能基部分をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
さらなる官能基部分がローダミン基を含む、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
化合物がビオチン基をさらに含む、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
さらなる官能基部分が、オリゴヌクレオチド、アジド、アルキン、およびp-ニトロフェニルからなる群より選択される、請求項4記載の組成物。
【請求項8】
メタロプロテアーゼが、細胞に由来するタンパク質のプロテオーム混合物に含まれる、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
式(I):

を有し、式中、Xが官能基部分である化合物を含む、メタロプロテアーゼを解析するための組成物。
【請求項10】
メタロプロテアーゼが、マトリックスメタロプロテイナーゼ、膜型メタロプロテイナーゼ、アミノペプチダーゼ、またはメタロペプチダーゼを含む、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
Xがローダミン基を含む、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
Xがビオチン基をさらに含む、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
Xが、オリゴヌクレオチド、アジド、アルキン、およびp-ニトロフェニルからなる群より選択される、請求項9記載の組成物。
【請求項14】
化合物が、式(II)および(III):

からなる群より選択される式を有する、請求項9記載の組成物。
【請求項15】
メタロプロテアーゼが、細胞に由来するタンパク質のプロテオーム混合物に含まれる、請求項9記載の組成物。
【請求項16】
活性部位を有するメタロプロテアーゼに対する、ヒドロキサマート部分およびベンゾフェノン光架橋部分を含む活性化合物を含む組成物の生物活性を求めるための方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)活性化合物と活性部位の結合反応に適した条件下で、組成物とメタロプロテアーゼを組み合わせて、活性化合物-メタロプロテアーゼ付加物を形成する工程;
(b)付加物を架橋する工程;および
(c)付加物を特徴付ける工程。
【請求項17】
メタロプロテアーゼが、細胞に由来するタンパク質のプロテオーム混合物に含まれる、請求項16記載の方法。
【請求項18】
ヒドロキサマート部分が亜鉛キレートヒドロキサマート部分である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
メタロプロテアーゼが、マトリックスメタロプロテイナーゼ、膜型メタロプロテイナーゼ、アミノペプチダーゼ、またはメタロペプチダーゼを含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
活性化合物が少なくとも1つのさらなる官能基部分をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】
さらなる官能基部分がローダミン基を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
化合物がビオチン基をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項23】
さらなる官能基部分が、オリゴヌクレオチド、アジド、アルキン、およびp-ニトロフェニルからなる群より選択される、請求項20記載の方法。
【請求項24】
活性化合物が、式(I):

を有し、式中、Xが官能基部分である、請求項16記載の方法。
【請求項25】
Xがローダミン基を含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
Xがビオチン基をさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
Xが、オリゴヌクレオチド、アジド、アルキン、およびp-ニトロフェニルからなる群より選択される、請求項24記載の方法。
【請求項28】
活性化合物が、式(II)および(III):

からなる群より選択される式を有する、請求項16記載の方法。
【請求項29】
特徴付けの前に付加物を単離する工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項30】
ベンゾフェノン部分を含む第1の物質とヒドロキシルアミンを反応させる工程を含む、メタロプロテアーゼの活性ベース解析のための化合物を合成するための方法。
【請求項31】
第1の物質がアミノ酸から得られる、請求項30記載の方法。
【請求項32】
第1の物質がアミド官能基およびジオキサラン官能基を含む、請求項30記載の方法。
【請求項33】
ローダミンアジドと、第1の物質とヒドロキシルアミンの反応生成物を反応させる工程をさらに含む、請求項31記載の方法。
【請求項34】
ローダミン-ビオチン-アジドと、第1の物質とヒドロキシルアミンの反応生成物を反応させる工程をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項35】
メタロプロテアーゼに対する阻害剤の効力を求めるための方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)活性化合物-メタロヒドロラーゼ付加物の形成に適した条件下で、阻害剤および活性化合物とメタロプロテアーゼを組み合わせて、第1の試料を作る工程;
(b)第1の試料において形成された付加物の量を測定する工程;
(c)対照試料を作るための活性化合物-メタロプロテアーゼ付加物の形成に適した条件下で、活性化合物とメタロプロテアーゼを組み合わせて、対照試料を作る工程;および
(d)第1の試料において形成された付加物の量が阻害剤の使用量に比例して減少した程度を、対照試料中の形成された付加物の量と比較して、該阻害剤の効力を求める工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−501341(P2008−501341A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515569(P2007−515569)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/019378
【国際公開番号】WO2006/004598
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(399038620)ザ スクリプス リサーチ インスティチュート (51)
【Fターム(参考)】