プロテーゼの経皮的送達のための送達ツール
【課題】改良されたプロテーゼの経皮的送達のための送達ツールを提供する。
【解決手段】患者内でプロテーゼデバイスの展開を補助するための拡張可能送達ツール。送達ツールは外側に直径が広がる選択的に拡張可能な遠位端領域とともに略細長形状を有する。患者の血管内に経皮的に前進されると、送達デバイスは標的領域の位置の特定を支援しプロテーゼの所望の位置への展開を補助し、展開後、プロテーゼをさらに拡張し得る。一実施形態において、プロテーゼを経皮的に送達するためのデバイスは、第1の部材136と開口140を有する第2の部材138と該部材のうちの一方の遠位端を閉位置から開位置に、他方から離すように回転させるために使用可能な制御機構と、該第1の部材に取付けられた係止ピン134とを含む、少なくとも1つの連結機構130を備え、該係止ピンは該閉位置では該開口内に延在し、該開位置では該開口から離間する。
【解決手段】患者内でプロテーゼデバイスの展開を補助するための拡張可能送達ツール。送達ツールは外側に直径が広がる選択的に拡張可能な遠位端領域とともに略細長形状を有する。患者の血管内に経皮的に前進されると、送達デバイスは標的領域の位置の特定を支援しプロテーゼの所望の位置への展開を補助し、展開後、プロテーゼをさらに拡張し得る。一実施形態において、プロテーゼを経皮的に送達するためのデバイスは、第1の部材136と開口140を有する第2の部材138と該部材のうちの一方の遠位端を閉位置から開位置に、他方から離すように回転させるために使用可能な制御機構と、該第1の部材に取付けられた係止ピン134とを含む、少なくとも1つの連結機構130を備え、該係止ピンは該閉位置では該開口内に延在し、該開位置では該開口から離間する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第60/827,373号(2006年9月28日出願、名称「Delivery Tool For Percutaneous Delivery Of A Prosthesis」)に基づく優先権を主張し、この内容は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
経皮的アプローチを使用した心血管手術の開発および施行において、著しい進展が見られる。例えば、大腿動脈を通して導入される1つ以上のカテーテルの使用によって、ツールおよびデバイスを心血管系内の所望の領域に送達し、任意の数の複雑な手技を行うことができる(そうでなければ、通常、侵襲的手術手技を必要とすることになる)。そのようなアプローチは、患者が耐えることになる外傷を大幅に軽減し、回復期間を有意に短縮することができる。経皮的アプローチは、開心術を行う代替として、特に魅力的である。
【0003】
弁置換術は、経皮的解決法が開発されている領域の一実施例を提供する。いくつかの疾患は、心弁尖の肥厚、およびその後の不動状態または可動性の低下をもたらす。また、そのような不動状態は、弁を通る通路の狭小または狭窄につながる場合がある。狭窄弁が存在する血流に対する抵抗の増加は、最終的に心不全につながり、究極的には死をもたらし得る。
【0004】
弁狭窄または逆流の治療は、開心手技を通して、既存の自然弁を完全除去後、人工弁の移植を伴っていた。必然的に、これは、非常に侵襲的手技であって、身体に多大な外傷を負わせることになり、通常、著しい不快感および相当な回復時間につながる。また、豊富な専門知識と施行能力を要する高度な手技でもある。
【0005】
歴史的には、そのような弁置換術は、従来の開心術を使用して行われており、開胸し、心臓を停止させ、患者を心肺バイパス装置に設置し、自然弁を切除し、置換弁を取着けていた。一方、提案される経皮的弁置換代替方法は、特許文献1に開示されており、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。本特許では、人工弁は、カテーテル内に適合するサイズに折り畳まれるステント内に装填される。カテーテルは、次いで、患者の脈管構造内に挿入され、折り畳まれたステントを自然弁の位置に位置付けるように移動される。展開機構を作動させ、置換弁を含むステントを弁尖に対し拡張する。拡張された構造は、自然弁の機能をともに担う弁尖支持部とともに、弁形状を有するように構成されたステントを含む。その結果、弁全置換が達成されるが、患者への物理的影響を有意に低減する。
【0006】
より最近の技術は、特許文献1に内在する欠点をさらに改良している。例えば、あるアプローチは、特許文献2(2006年5月26日出願、「Stentless Support Structure」)に見られ、その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる、ステンレス支持構造を採用する。ステンレス支持構造は、患者の血管内の新しい人工または生体弁を支持する管状メッシュ骨組を提供する。骨組は、典型的には、形状記憶特性を呈し、送達の際、少なくとも1回、場合によっては複数回、骨組の全長をそれ自体の上に折り重ねるように促進する。この点において、骨組は、比較的小径の標的領域に経皮的に送達可能であるが、血管内で拡張および折り重なり、実質的により厚い直径をとり、強度を増加させることができる。
【0007】
典型的には、ステンレス支持構造は、患者内の罹患または低機能弁の位置に送達される。構造は、自然弁の弁尖に対し拡張し、それらを血管の側面に対し押動する。自然弁が恒久的に開放されると、新しい弁は、自然弁に代わり機能を開始する。最適にステンレス支持構造を留置するステップは、経皮的に構造を、罹患弁を通過させるステップと、遠位端が外向きに広がるまで、構造の遠位端を展開するステップと、次いで、ユーザが、構造の広がった遠位端が罹患弁の遠位側に接触していると触知し得るまで、罹患弁を通して構造を引き戻すステップとを伴う。構造の広がった遠位端が、罹患弁の遠位側に当接していると確信が得られると、構造の残りの部分が罹患弁内で展開される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,168,614号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/443814号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の経皮的弁デバイス移植手技のいずれにおいても、デバイス機能に対する重要な課題は、移植片の正確な留置である。構造が、最適なデバイス位置よりも下方または上方に展開される場合、自然弁尖は、人工支持構造によって捕捉されない場合があり、移植片の動作をさらに干渉し得る。さらに、支持構造の誤った留置は、人工デバイスと、心臓の近傍構造との間の干渉をもたらす場合があるか、または構造周囲の血液の漏出を生じさせ、置換弁を迂回し得る。
【0010】
これらのデバイスの自然弁内への正確な留置は、相当の技術的熟練および訓練を必要とし、良好な成果は、技術依存性であると言える。必要とされるのは、標的展開領域をより確実に特定し、経皮的大動脈弁置換デバイス、もしくは移植の際のデバイス位置が重要となる他の人工デバイス(例えば、血管心房中隔欠損症、心室中隔欠損、卵円孔開存症、あるいは心臓または脈管構造の穿孔のための閉塞器)を位置付け、次いで、そのようなデバイスを展開し、より確実な移植成果を提供するための送達ツールである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態では、本発明は、患者内でプロテーゼデバイスを展開するための拡張可能送達ツールを提供する。送達ツールは、外側に直径が広がる拡張可能遠位端領域とともに、略細長形状を有する。
【0012】
一側面では、送達ツールは、弁等の所望の標的領域の触知性指標を提供する。例えば、患者の血管内で拡張すると、送達デバイスは、所望の標的弁と接触するまで、ユーザの方へ近位に引張られ得る。本接触は伝達され、それによって、患者外側のデバイスの近位端上のユーザによって触知され、所望の標的位置が特定された指標を提供する。
【0013】
別の側面では、送達ツールは、展開され得るプロテーゼに対し静止逆転防止装置を提供し、さらに、プロテーゼが患者内の所望の標的位置に送達されるのを確実にする。例えば、送達ツールの拡張された逆転防止装置は、患者内の自然弁の直遠位の位置に位置付けられる。プロテーゼは、自然弁内かつ拡張された逆転防止装置に対し展開され、プロテーゼが、自然弁内のその意図された標的位置に保持されるのを確実にする。
【0014】
さらに別の側面では、送達ツールを使用して、展開後、プロテーゼをさらに拡張させる。例えば、拡張可能逆転防止装置は、所望の拡張直径(すなわち、ユーザが所望するプロテーゼ拡張直径)にサイズを縮小され、次いで、展開されたプロテーゼを通して引張られ、プロテーゼの直径を拡張させる。さらに、本拡張は、プロテーゼを血管に対して係留し、その位置が保持され、プロテーゼ周縁を越えて生じる漏出が最小限となるようにする。代替として、送達ツールの遠位端は、プロテーゼ内で拡張され、プロテーゼを患者の血管内でさらに拡張することができる。
例えば、本発明は以下を提供する。
(項目1)
プロテーゼを経皮的に送達するためのデバイスであって、
第1の部材と、
開口を有する第2の部材と、
上記部材のうちの一方の遠位端を、閉位置から開位置に、他方から離すように回転させるために使用可能な制御機構と、
上記第1の部材に取付けられた係止ピンと
を含む、少なくとも1つの連結機構
を備え、上記係止ピンは、上記閉位置では、上記開口内に延在し、上記開位置では、上記開口から離間する、デバイス。
(項目2)
上記制御機構は、少なくとも1つの制御ワイヤを含む接続部材を備える、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
上記制御機構は、上記係止ピンの縦軸に垂直な縦軸を有する、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
上記少なくとも1つの連結機構は、3つの連結機構を備える、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
上記少なくとも1つの連結機構を囲繞するシースをさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
プロテーゼを経皮的に送達する方法であって、
送達ツールの遠位端を患者内の標的位置近傍に前進させるステップと、
上記送達ツールの上記遠位端の直径を増加させるステップと、
上記送達ツールの上記遠位端に隣接する上記標的位置にプロテーゼを展開するステップと、
上記プロテーゼが、上記送達ツールの上記遠位端の直径を越えて前進しないように防止するステップと
を包含する、方法。
(項目7)
上記送達ツールの上記遠位端の直径を、上記プロテーゼの所望の拡張直径に減少させるステップと、
上記プロテーゼが上記所望の拡張直径に拡張するように、上記プロテーゼを通して、上記送達ツールの上記遠位端を移動させるステップと
をさらに包含する、項目6に記載の方法。
(項目8)
上記送達ツールの上記遠位端の直径を減少させるステップと、
上記送達ツールの上記遠位端を上記プロテーゼ内に移動させるステップと、
上記送達ツールの上記遠位端の直径を増加させることによって、上記プロテーゼの直径を増加させるステップと
をさらに包含する、項目6に記載の方法。
(項目9)
上記送達ツールの上記遠位端の直径を増加させるステップは、上記遠位端のメッシュ部分の構成を修正するステップをさらに包含する、項目6に記載の方法。
(項目10)
上記患者内の標的位置近傍に送達ツールの遠位端を前進させるステップは、血管系内の弁を通して、上記送達ツールの遠位端を前進させるステップをさらに包含する、項目6に記載の方法。
(項目11)
血管系内にプロテーゼを送達するためのデバイスであって、
そこを通して配置される管腔を有する細長外側シースと、
上記管腔内に配置される制御ワイヤと、
第1の直径を有する第1の構成と、第2の直径を有する第2の構成とを有し、上記第2の直径は、上記第1の直径より大きい、メッシュ部材と
を備え、上記細長外側シースに対する上記制御ワイヤの相対運動は、上記第1の構成と上記第2の構成との間の上記メッシュ部材を変形させる、デバイス。
(項目12)
上記制御ワイヤの遠位端は、上記メッシュ部材の遠位端に固定され、上記細長外側シースの遠位端は、上記メッシュ部材の近位端に固定される、項目11に記載のデバイス。
(項目13)
上記メッシュ部材の上記第2の構成は、広がった形状を備える、項目11に記載のデバイス。
(項目14)
上記メッシュ部材の上記第2の構成は、中実円錐形状を備える、項目11に記載のデバイス。
(項目15)
上記メッシュ部材の上記第2の構成は、中空円錐形状を備える、項目11に記載のデバイス。
(項目16)
血管系内でプロテーゼを送達するためのデバイスであって、
そこを通して配置される管腔を有する細長外側シースと、
上記管腔内に配置される制御ワイヤと、
複数のアームを有する拡張可能領域であって、第1の直径を有する第1の構成と、第2の直径を有する第2の構成とを有し、上記第2の直径は、上記第1の直径より大きい、拡張可能領域と
を備え、上記細長外側シースに対する上記制御ワイヤの相対運動は、上記第1の構成と上記第2の構成との間で上記拡張可能領域を拡張または収縮させる、デバイス。
(項目17)
上記アームは、超弾性ワイヤをさらに備える、項目16に記載のデバイス。
(項目18)
上記アームは、超弾性ワイヤのループをさらに備える、項目17に記載のデバイス。
(項目19)
上記デバイスは、第2の外側シース内に摺動可能に配置される、項目16に記載のデバイス。
(項目20)
上記第2の外側シースの遠位端は、ピグテールをさらに備える、項目19に記載のデバイス。
(項目21)
血管系内でプロテーゼを送達するためのデバイスであって、
そこを通して配置される管腔を有する細長外側シースと、
上記外側シースの遠位端上に配置され、上記管腔と連通する複数のバルーンであって、第1の直径を有する第1の構成と、第2の直径を有する第2の構成とを有し、上記第2の直径は、上記第1の直径より大きい、複数のバルーンと
を備え、上記管腔を通しての膨張媒体の送達は、上記第1の構成と上記第2の構成との間で上記複数のバルーンを拡張または収縮させる、デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態による、送達ツールの側面図を示す。
【図2】図2は、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図3】図3は、図1の送達ツールの斜視図を示す。
【図4】図4は、本発明の好ましい実施形態による、弁プロテーゼの側面図を示す。
【図5】図5は、本発明の好ましい実施形態による、支持構造に接続される係止ピン機構の側面図を示す。
【図6】図6は、図5の係止ピン機構の拡大側面図を示す。
【図7】図7は、図5の係止ピン機構の側面斜視図を示す。
【図8】図8は、図5の係止ピン機構の裏面斜視図を示す。
【図9】図9は、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図10】図10は、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図11】図11は、展開の初期段階の弁プロテーゼとともに、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図12】図12は、さらに展開されたプロテーゼの初期部分とともに、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図13】図13は、さらに展開されたプロテーゼの初期部分とともに、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図14】図14は、図1の送達ツールと、模擬弁部位内に待避されたプロテーゼとの側面図を示す。
【図15】図15は、模擬弁部位内に展開されたプロテーゼとともに、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図16】図16は、その拡張構成から弛緩した、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図17】図17は、完全に展開されたプロテーゼとともに、図1の送達ツールの斜視図を示す。
【図18】図18は、人工弁内に引き込まれた、図1の送達ツールの斜視図を示す。
【図19】図19は、人工弁内に引き込まれ、拡張され、デバイスを自然弁内に完全に着座させるための手段を提供する、図1の送達ツールの斜視図を示す。
【図20】図20は、プロテーゼと、図1の送達ツールとの斜視図を示す。
【図21】図21は、プロテーゼと、人工弁から完全に引き出された状態の図1の送達ツールとの側面図を示す。
【図22】図22は、反転円錐形を構成する拡張形状に形成されたメッシュとともに、送達ツールの好ましい実施形態の側面図を示す。
【図23】図23は、メッシュ層の反転を伴わない円錐形カップ形状に形成されたメッシュとともに、送達ツールの好ましい実施形態の側面図を示す。
【図24】図24は、配置および留置のために、一連の超弾性ワイヤループで構築された送達ツールの好ましい実施形態の側面図を示す。
【図25】図25は、配置および留置のために、一連のバルーンで構築された送達ツールの好ましい実施形態の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明による、拡張可能送達ツール100の実施形態を示す。概して、拡張可能送達ツール100は、患者の血管内に除去可能に位置付けられ、標的領域へのプロテーゼの送達および位置付けを補助する。この点において、ユーザは、プロテーゼをより正確に展開可能である一方、望ましくない展開による合併症を最小限にする。
【0017】
拡張可能送達ツール100は、図1に見られる減少した直径構成から、図2および3に見られる広がった拡張直径構成に拡張する、変形可能メッシュ領域102を含む。メッシュ領域102の直径は、メッシュ領域102の近位端と遠位端との間の距離を加減することによって調節される。より具体的には、遠位係留部104は、メッシュ領域102の遠位端を、メッシュ領域102を通って、ユーザの方へ近位に延在する制御ワイヤ110を固定する。外側シース108は、制御ワイヤ110上を摺動し、近位係留点106に固定される。したがって、外側シース108は、ユーザによって、制御ワイヤ110に対し遠位に移動されると、メッシュ領域102の直径を増加させ、制御ワイヤ110に対し近位に移動されると、メッシュ領域102の直径を減少させることができる。
【0018】
メッシュ領域102のメッシュは、複数の細長フィラメントを一緒に編組し、略管状形状を形成することによって生成されてもよい。これらの細長フィラメントは、ニチノール等の形状記憶材料から成ってもよく、しかしながら、ステンレス鋼またはポリマー化合物等の非形状記憶材料もまた、使用可能である。メッシュ領域102の強度および形状は、フィラメントの特性を変更することによって修正することができることに留意されたい。例えば、使用されるフィラメントの材料、太さ、数、および編組パターンを変更し、メッシュ領域102の可撓性を調節することができる。
【0019】
より具体的実施例では、各フィラメントのメッシュ領域102は、直径0.008インチを有し、インチ当たり8乃至10本で編組されるニチノールワイヤから成る。これは、約75度の交差ワイヤ間の編組内角をもたらし得る。
【0020】
メッシュ領域102のためのメッシュが示されているが、本領域の選択的拡張を可能にする一方、多量の血液を送達デバイス100に通過させる他の材料または構成も可能である。
【0021】
メッシュ領域102の拡張構成の最大径は、メッシュ領域102の全長を増加させ、したがって、メッシュ領域102の両端をより離れた距離からともに引き寄せることによって、または編組ニチノール管の編組角を減少させることによって、増大されてもよい。同様に、最大径は、メッシュ領域102の全長を短縮することによって、または編組ニチノール管の編組角を増加させることによって、減少されてもよい。言い換えると、メッシュ領域102の全長および使用される編組角は、概して、メッシュ領域102が達成し得る最大拡張径を決定することになる。したがって、メッシュ領域102の最大径は、標的血管の直径に基づいて、手技に対し選択することができる。
【0022】
示される実施形態では、近位係留部106および遠位係留部104は、メッシュ領域102を、それぞれ外側シース108および制御ワイヤ110に締め付ける金属バンドである。しかしながら、接着剤、溶接、または係止機械的構成等の他の係留方法も使用することができる。
【0023】
メッシュ領域102の近位および遠位端は、放射線不透過性マーカバンド(図示せず)を含み、手技の際、蛍光透視下による視覚化を提供してもよい。例えば、これらの放射線不透過性バンドは、メッシュ領域102内に組み込まれてもよく、または近位および遠位係留部106および104とともに含まれてもよい。この点において、ユーザは、メッシュ領域102の位置および患者内のその拡張状態をより良く観察することができる。
【0024】
図4は、送達デバイス100によって送達および位置付け可能なプロテーゼの実施例を示す。具体的には、プロテーゼは、2006年5月26日出願米国特許出願第11/443,814号「Stentless Support Structure」に見られるようなステンレス支持構造120であって、その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0025】
前述で組み込まれた米国特許出願第11/443,814号に記載のように、支持構造120は、典型的には、送達の際、反転または内側に折り重ねられ、多層支持構造を生成する。支持構造120の所望の構造を達成する際に、ユーザを補助するために、送達カテーテルは、典型的には、支持構造120のはと目132に除去可能に連結する接続部材またはアームを含む。この点において、ユーザは、支持構造120を操作し、接続部材を分離し、最終的に、送達カテーテルを患者から除去することができる。
【0026】
図5−8は、送達カテーテルの接続部材124と支持構造120との間の除去可能な連結機構の好ましい実施形態を示す。具体的には、係止ピン機構130は、図7および8に最も良く見られるように、係止ピン134を有する第1の顎部材136と、係止ピン機構130が閉鎖すると、係止ピン134を捕捉するための開口140を有する第2の顎部材138とを含む。顎部材136および138は、接続部材124内に摺動可能に含まれる制御ワイヤ(または、代替としてロッド)を調節することによって、開閉位置(すなわち、非係止および係止位置)間を移動することができる。制御ワイヤの遠位端は、顎部材136および138に接続され、顎部材136および138を互いに近接または互いから離間するように移動させる。
【0027】
図5および6に最も良く見られるように、係止ピン機構130は、支持構造120のはと目132を通過する。係止ピン機構130が閉位置にある時、はと目132は、接続部材124の付近に係止される。ユーザが、支持構造120の解除を所望するとき、顎部材136および138は開放され、はと目132を係止ピン134から摺動させ外す。この点において、ユーザは、身体外側の近位位置から制御ワイヤを移動させることによって、支持構造120を選択的に解除することができる。
【0028】
好ましくは、係止ピン134は、接続部材124の縦軸に直角な縦軸を有する。係止ピン134は、機構130が閉位置にある時、顎部136および138両方によって支持され、係止ピン134上にかかる結果として生じる力は、係止ピン134の縦軸に垂直であるため、係止ピン機構130は、荷重を受けると、開位置の方へ促されない。故に、ユーザが、顎部136、138を開放することによって、係止ピン機構130をはと目132から係脱するまで、係止ピン機構130は、はと目132との強固かつ壊れない接続を提供する。
【0029】
接続部材130の構成およびはと目132の位置の利点の1つは、3つすべての接続部材130が、はと目132(例えば、図21参照)に取付けされる場合でも、接続部材130と弁尖125の動作との間に干渉が生じないことである。加えて、血液は、送達機構の周囲と、プロテーゼを通って流動し得る。したがって、プロテーゼの動作および位置は、解除前に、検証され得る。プロテーゼの位置が望ましくない場合、または弁尖125が動作していない場合、プロテーゼは、送達機構内に待避されてもよい。
【0030】
代替として、他の連結機構を使用して、支持構造120を保定および解除することができる。例えば、接続部材124は、フックまたは壊れやすいフィラメントをその遠位端に有し、ユーザに支持構造120を選択的に解除させてもよい。
【0031】
次に、デバイスの動作を詳述する。図9−21を参照すると、送達ツール100は、患者内の自然弁114(例えば、大動脈弁)を表す一片のクリアなチューブにプロテーゼを送達するように示される。本実施例では、プロテーゼは、前述のステンレス支持構造120である。しかしながら、本発明は、前述のAndersenの米国特許第6,168,614号に見られるステントデバイス、ならびに心臓または脈管構造の開口あるいは穿孔の閉塞のために使用される他のデバイスを含む、種々のプロテーゼデバイスの送達のために使用可能であることを理解されたい。
【0032】
ガイドワイヤおよび導入器(図示せず)の遠位端は、典型的には、患者の血管内の所望の標的領域に前進される。この場合、標的領域は、自然弁114である。次に、送達シース112は、その遠位端が送達シース112のおおよその位置に来るまで、ガイドカテーテル上を摺動し、そしてガイドワイヤおよび導入器が除去される。
【0033】
図9を参照すると、送達ツール100は、メッシュ領域102が、送達シース112の遠位端から脱出し、標的領域の遠位位置を通過する(すなわち、本実施例では、自然弁114である標的位置を越える)まで、送達シース112を通って前進される。
【0034】
次に図10を参照すると、ユーザは、制御ワイヤ110の近位端で外側シース108に対し引張ることによって、送達ツール100をその拡張構成に移行させる。これによって、制御ワイヤ108の遠位端を外側シース108の端部へ移動させ、メッシュ領域102の全長を圧縮する一方、その直径を増加するかまたは広げる。
【0035】
図11に見られるように、ステンレス支持構造120(置換弁を係留するため)は、送達ツール100のメッシュ領域102に接触するまで、送達シース112の遠位端から前進される。図12および13に見られるように、送達シース112からの前進に伴って、支持構造120は、直径を拡大する。この点において、支持構造120は、自然弁114に対し遠位に、少なくとも部分的または完全に展開される。
【0036】
次に、図18、20、および21に最も良く見られるように、ステンレス支持構造120は、複数の接続部材124によって、送達シース112から前進される。接続部材124のそれぞれは、その遠位端でステンレス支持構造120に除去可能に接続され、送達シース112内で縦方向に摺動可能である。この点において、ユーザは、構造120が部分的に展開された後でも、接続部材124の近位露出端を操作し、ステンレス支持構造120を前進させ、さらに先に位置付けることができる。ステンレス支持構造120が所望の位置を達成し、プロテーゼの動作が検証されると、接続部材124は、構造120から分離され、患者から除去することができる。
【0037】
図14を参照すると、送達ツール100およびステンレス支持構造120の両方が、自然弁114の方へ近位方向に待避される。送達ツール100が待避すると、メッシュ領域102の拡張直径は、自然弁114に接触し、ユーザに触知性指標を提供する。したがって、ユーザは、支持構造120が自然弁114内で所望の標的位置を達成すると、警告を受けることになる。
【0038】
本出願で前述のように、ステンレス支持構造120は、それ自体上で内側に折り重なり、二重層(または複数層)支持構造を生成する。本折り重なり構成によって、ステンレス支持構造120は、送達シース112内で比較的小送達断面を達成する一方、展開し、増大した壁厚を有する。本折り重なりは、概して、支持構造120の形状記憶材料の予め構成された特性によって自然に生じ得るが、遠位方向における追加力が、その最終構成を達成する際に、支持構造120を補助するために必要とされてもよい。典型的には、この追加力は、支持構造120に対し、送達シース112を前進させる(すなわち、送達シース112を押動するかまたは接続部材124を前進させる)ことによって生成されてもよい。しかしながら、送達シースによるこの追加の移動は、特に遠位方向に、自然弁114から支持構造120を遊離させ得る。
【0039】
支持構造120の前述の移動を防止するために、拡張されたメッシュ領域102は、自然弁114の縁部に対し定位置に保持され、支持構造120の遊離を防止する。言い換えると、送達デバイス100のメッシュ領域102は、静止逆転防止装置として作用し、自然弁114からの支持構造の遠位移動を防止し、したがって、ユーザは、患者内の支持構造120の展開された位置をより正確に判断することができる。
【0040】
ある状況では、ユーザは、単に、メッシュ領域102をその収縮構成に調節し、送達デバイスを患者から除去することを所望する場合がある。他の状況では、ユーザは、支持構造120をさらに拡張して、自然弁に対し追加係留力を提供し、支持構造120下、自然弁の弁尖が捕捉されたままとなるように確実にすることを所望する場合がある。
【0041】
支持構造120のさらなる拡張は、バルーンカテーテル同様に、送達ツール100のメッシュ領域102によって達成することができる。より具体的には、図15に見られるように、送達ツール100は、自然弁114から離れて遠位方向に前進される。図16および17に見られるように、メッシュ領域102の直径は、支持構造120の所望の標的直径に減少される(すなわち、ユーザが所望する支持構造120の拡張直径)。
【0042】
図18および19を参照すると、メッシュ領域102の所望の直径が達成されると、ユーザは、支持構造120を通して近位方向に送達デバイス100を待避し、自然弁114に対し、支持構造120をさらに拡張させる。支持構造120の結果として生じる拡張は、図17の斜視図と、図20に示される図とを比較することによって、より良く実証され得る。
【0043】
送達デバイスが、支持構造120および自然弁114を通して最後まで引張られると、図21に見られるように、メッシュ領域102は、さらに直径が減少し、患者から除去することができる。最終的に、接続部材124は、支持構造120から分離され、送達シース112とともに除去することができる。
【0044】
代替として、支持構造120のこの同一の拡張は、最初に、メッシュ領域102の直径を減少させ、メッシュ領域102を支持構造120内に位置付け、次いで、メッシュ領域102を所望の直径に拡張することによって、達成することができる。支持構造120の所望の拡張が達成されるとメッシュ領域102は、直径を減少させ、患者から引抜かれることができる。
【0045】
本発明の他の実施形態は、拡張断面において種々の形状を形成するメッシュ領域の構成を含んでもよく、他の用途(例えば、支持構造120と類似あるいは異なる形状または構造を有する植え込み型人工デバイス)のために使用することができる。例えば、図22は、概して、前述の送達デバイスに類似し、外側シース204に接続される反転円錐形状メッシュ領域202をさらに含む、送達デバイス200を示す。この点において、メッシュ領域202は、支持構造の送達のための円錐形状に選択的に拡張されてもよい。
【0046】
加えて、ピグテール206が、外側シース204の端部または送達デバイス200の遠位端に含まれ、緩衝器として作用し、それによって、送達の際、デバイス200の遠位端によって生じ得る損傷の可能性を最小限にすることができる。ピグテールは、可撓性ポリマーから成る短管から構成されてもよく、略曲面または円形形状を有する。
【0047】
別の実施例では、図23は、概して、前述の好ましい実施形態100および200に類似の円錐形カップ形状メッシュ領域302を含む、送達デバイス300を示す。同様に、デバイス300は、外側シース304と、デバイス300の遠位端にピグテール306とを含み、患者への損傷を防止する。しかしながら、送達デバイス200の比較的平坦遠位端と異なり、送達デバイス300は、反転し、開放遠位端を有するカップ形状を形成する。
【0048】
図24に見られるように、送達デバイス400の遠位端は、可撓性または超弾性ワイヤ402から構築される個々のアーム401によって構成されてもよい。これらのアーム401は、前述の実施形態と同様に、拡張または収縮可能であって、また、外側シース404または送達デバイス400の遠位端に配置されるピグテール406を含んでもよい。
【0049】
図25を参照すると、送達デバイス500の遠位端は、代替として、カテーテル504にともに連結される一連の拡張可能バルーン502を含み、前述の実施形態と同様に、送達および位置付け機能を提供する一方、バルーン間隔を通して血液を流動させてもよい。バルーン502は、膨張可能であってもよく、前述の実施形態と同様に、機構によって、互いに対しさらに拡張可能であってもよい。さらに、ピグテールが、送達デバイス500の遠位端に含まれてもよい。
【0050】
ステンレス支持構造120が、図に関連させて説明されたが、他のプロテーゼデバイスも同様に、本発明によって送達され得る。例えば、送達ツール100を使用して、機能低下した標的弁において、取付けされる置換弁を伴うステントを展開させてもよい。加えて、本デバイスを単独でツールとして使用して、例えば、手技の際に、バルーン大動脈弁形成術、またはデバイスの多孔性および血液貫流が所望される他のバルーン技術を施行してもよい。
【0051】
本発明は、特定の実施形態および用途に関して説明されたが、当業者は、本教示に照らして、請求される発明の範囲の精神から逸脱することなく、またはその範囲を超越することなく、追加実施形態および修正を成すことができる。故に、本明細書の図面および説明は、一例として、本発明の理解の促進を提供するものであって、その範囲を限定するものと解釈されるものではないことを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第60/827,373号(2006年9月28日出願、名称「Delivery Tool For Percutaneous Delivery Of A Prosthesis」)に基づく優先権を主張し、この内容は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
経皮的アプローチを使用した心血管手術の開発および施行において、著しい進展が見られる。例えば、大腿動脈を通して導入される1つ以上のカテーテルの使用によって、ツールおよびデバイスを心血管系内の所望の領域に送達し、任意の数の複雑な手技を行うことができる(そうでなければ、通常、侵襲的手術手技を必要とすることになる)。そのようなアプローチは、患者が耐えることになる外傷を大幅に軽減し、回復期間を有意に短縮することができる。経皮的アプローチは、開心術を行う代替として、特に魅力的である。
【0003】
弁置換術は、経皮的解決法が開発されている領域の一実施例を提供する。いくつかの疾患は、心弁尖の肥厚、およびその後の不動状態または可動性の低下をもたらす。また、そのような不動状態は、弁を通る通路の狭小または狭窄につながる場合がある。狭窄弁が存在する血流に対する抵抗の増加は、最終的に心不全につながり、究極的には死をもたらし得る。
【0004】
弁狭窄または逆流の治療は、開心手技を通して、既存の自然弁を完全除去後、人工弁の移植を伴っていた。必然的に、これは、非常に侵襲的手技であって、身体に多大な外傷を負わせることになり、通常、著しい不快感および相当な回復時間につながる。また、豊富な専門知識と施行能力を要する高度な手技でもある。
【0005】
歴史的には、そのような弁置換術は、従来の開心術を使用して行われており、開胸し、心臓を停止させ、患者を心肺バイパス装置に設置し、自然弁を切除し、置換弁を取着けていた。一方、提案される経皮的弁置換代替方法は、特許文献1に開示されており、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。本特許では、人工弁は、カテーテル内に適合するサイズに折り畳まれるステント内に装填される。カテーテルは、次いで、患者の脈管構造内に挿入され、折り畳まれたステントを自然弁の位置に位置付けるように移動される。展開機構を作動させ、置換弁を含むステントを弁尖に対し拡張する。拡張された構造は、自然弁の機能をともに担う弁尖支持部とともに、弁形状を有するように構成されたステントを含む。その結果、弁全置換が達成されるが、患者への物理的影響を有意に低減する。
【0006】
より最近の技術は、特許文献1に内在する欠点をさらに改良している。例えば、あるアプローチは、特許文献2(2006年5月26日出願、「Stentless Support Structure」)に見られ、その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる、ステンレス支持構造を採用する。ステンレス支持構造は、患者の血管内の新しい人工または生体弁を支持する管状メッシュ骨組を提供する。骨組は、典型的には、形状記憶特性を呈し、送達の際、少なくとも1回、場合によっては複数回、骨組の全長をそれ自体の上に折り重ねるように促進する。この点において、骨組は、比較的小径の標的領域に経皮的に送達可能であるが、血管内で拡張および折り重なり、実質的により厚い直径をとり、強度を増加させることができる。
【0007】
典型的には、ステンレス支持構造は、患者内の罹患または低機能弁の位置に送達される。構造は、自然弁の弁尖に対し拡張し、それらを血管の側面に対し押動する。自然弁が恒久的に開放されると、新しい弁は、自然弁に代わり機能を開始する。最適にステンレス支持構造を留置するステップは、経皮的に構造を、罹患弁を通過させるステップと、遠位端が外向きに広がるまで、構造の遠位端を展開するステップと、次いで、ユーザが、構造の広がった遠位端が罹患弁の遠位側に接触していると触知し得るまで、罹患弁を通して構造を引き戻すステップとを伴う。構造の広がった遠位端が、罹患弁の遠位側に当接していると確信が得られると、構造の残りの部分が罹患弁内で展開される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,168,614号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/443814号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の経皮的弁デバイス移植手技のいずれにおいても、デバイス機能に対する重要な課題は、移植片の正確な留置である。構造が、最適なデバイス位置よりも下方または上方に展開される場合、自然弁尖は、人工支持構造によって捕捉されない場合があり、移植片の動作をさらに干渉し得る。さらに、支持構造の誤った留置は、人工デバイスと、心臓の近傍構造との間の干渉をもたらす場合があるか、または構造周囲の血液の漏出を生じさせ、置換弁を迂回し得る。
【0010】
これらのデバイスの自然弁内への正確な留置は、相当の技術的熟練および訓練を必要とし、良好な成果は、技術依存性であると言える。必要とされるのは、標的展開領域をより確実に特定し、経皮的大動脈弁置換デバイス、もしくは移植の際のデバイス位置が重要となる他の人工デバイス(例えば、血管心房中隔欠損症、心室中隔欠損、卵円孔開存症、あるいは心臓または脈管構造の穿孔のための閉塞器)を位置付け、次いで、そのようなデバイスを展開し、より確実な移植成果を提供するための送達ツールである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態では、本発明は、患者内でプロテーゼデバイスを展開するための拡張可能送達ツールを提供する。送達ツールは、外側に直径が広がる拡張可能遠位端領域とともに、略細長形状を有する。
【0012】
一側面では、送達ツールは、弁等の所望の標的領域の触知性指標を提供する。例えば、患者の血管内で拡張すると、送達デバイスは、所望の標的弁と接触するまで、ユーザの方へ近位に引張られ得る。本接触は伝達され、それによって、患者外側のデバイスの近位端上のユーザによって触知され、所望の標的位置が特定された指標を提供する。
【0013】
別の側面では、送達ツールは、展開され得るプロテーゼに対し静止逆転防止装置を提供し、さらに、プロテーゼが患者内の所望の標的位置に送達されるのを確実にする。例えば、送達ツールの拡張された逆転防止装置は、患者内の自然弁の直遠位の位置に位置付けられる。プロテーゼは、自然弁内かつ拡張された逆転防止装置に対し展開され、プロテーゼが、自然弁内のその意図された標的位置に保持されるのを確実にする。
【0014】
さらに別の側面では、送達ツールを使用して、展開後、プロテーゼをさらに拡張させる。例えば、拡張可能逆転防止装置は、所望の拡張直径(すなわち、ユーザが所望するプロテーゼ拡張直径)にサイズを縮小され、次いで、展開されたプロテーゼを通して引張られ、プロテーゼの直径を拡張させる。さらに、本拡張は、プロテーゼを血管に対して係留し、その位置が保持され、プロテーゼ周縁を越えて生じる漏出が最小限となるようにする。代替として、送達ツールの遠位端は、プロテーゼ内で拡張され、プロテーゼを患者の血管内でさらに拡張することができる。
例えば、本発明は以下を提供する。
(項目1)
プロテーゼを経皮的に送達するためのデバイスであって、
第1の部材と、
開口を有する第2の部材と、
上記部材のうちの一方の遠位端を、閉位置から開位置に、他方から離すように回転させるために使用可能な制御機構と、
上記第1の部材に取付けられた係止ピンと
を含む、少なくとも1つの連結機構
を備え、上記係止ピンは、上記閉位置では、上記開口内に延在し、上記開位置では、上記開口から離間する、デバイス。
(項目2)
上記制御機構は、少なくとも1つの制御ワイヤを含む接続部材を備える、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
上記制御機構は、上記係止ピンの縦軸に垂直な縦軸を有する、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
上記少なくとも1つの連結機構は、3つの連結機構を備える、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
上記少なくとも1つの連結機構を囲繞するシースをさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
プロテーゼを経皮的に送達する方法であって、
送達ツールの遠位端を患者内の標的位置近傍に前進させるステップと、
上記送達ツールの上記遠位端の直径を増加させるステップと、
上記送達ツールの上記遠位端に隣接する上記標的位置にプロテーゼを展開するステップと、
上記プロテーゼが、上記送達ツールの上記遠位端の直径を越えて前進しないように防止するステップと
を包含する、方法。
(項目7)
上記送達ツールの上記遠位端の直径を、上記プロテーゼの所望の拡張直径に減少させるステップと、
上記プロテーゼが上記所望の拡張直径に拡張するように、上記プロテーゼを通して、上記送達ツールの上記遠位端を移動させるステップと
をさらに包含する、項目6に記載の方法。
(項目8)
上記送達ツールの上記遠位端の直径を減少させるステップと、
上記送達ツールの上記遠位端を上記プロテーゼ内に移動させるステップと、
上記送達ツールの上記遠位端の直径を増加させることによって、上記プロテーゼの直径を増加させるステップと
をさらに包含する、項目6に記載の方法。
(項目9)
上記送達ツールの上記遠位端の直径を増加させるステップは、上記遠位端のメッシュ部分の構成を修正するステップをさらに包含する、項目6に記載の方法。
(項目10)
上記患者内の標的位置近傍に送達ツールの遠位端を前進させるステップは、血管系内の弁を通して、上記送達ツールの遠位端を前進させるステップをさらに包含する、項目6に記載の方法。
(項目11)
血管系内にプロテーゼを送達するためのデバイスであって、
そこを通して配置される管腔を有する細長外側シースと、
上記管腔内に配置される制御ワイヤと、
第1の直径を有する第1の構成と、第2の直径を有する第2の構成とを有し、上記第2の直径は、上記第1の直径より大きい、メッシュ部材と
を備え、上記細長外側シースに対する上記制御ワイヤの相対運動は、上記第1の構成と上記第2の構成との間の上記メッシュ部材を変形させる、デバイス。
(項目12)
上記制御ワイヤの遠位端は、上記メッシュ部材の遠位端に固定され、上記細長外側シースの遠位端は、上記メッシュ部材の近位端に固定される、項目11に記載のデバイス。
(項目13)
上記メッシュ部材の上記第2の構成は、広がった形状を備える、項目11に記載のデバイス。
(項目14)
上記メッシュ部材の上記第2の構成は、中実円錐形状を備える、項目11に記載のデバイス。
(項目15)
上記メッシュ部材の上記第2の構成は、中空円錐形状を備える、項目11に記載のデバイス。
(項目16)
血管系内でプロテーゼを送達するためのデバイスであって、
そこを通して配置される管腔を有する細長外側シースと、
上記管腔内に配置される制御ワイヤと、
複数のアームを有する拡張可能領域であって、第1の直径を有する第1の構成と、第2の直径を有する第2の構成とを有し、上記第2の直径は、上記第1の直径より大きい、拡張可能領域と
を備え、上記細長外側シースに対する上記制御ワイヤの相対運動は、上記第1の構成と上記第2の構成との間で上記拡張可能領域を拡張または収縮させる、デバイス。
(項目17)
上記アームは、超弾性ワイヤをさらに備える、項目16に記載のデバイス。
(項目18)
上記アームは、超弾性ワイヤのループをさらに備える、項目17に記載のデバイス。
(項目19)
上記デバイスは、第2の外側シース内に摺動可能に配置される、項目16に記載のデバイス。
(項目20)
上記第2の外側シースの遠位端は、ピグテールをさらに備える、項目19に記載のデバイス。
(項目21)
血管系内でプロテーゼを送達するためのデバイスであって、
そこを通して配置される管腔を有する細長外側シースと、
上記外側シースの遠位端上に配置され、上記管腔と連通する複数のバルーンであって、第1の直径を有する第1の構成と、第2の直径を有する第2の構成とを有し、上記第2の直径は、上記第1の直径より大きい、複数のバルーンと
を備え、上記管腔を通しての膨張媒体の送達は、上記第1の構成と上記第2の構成との間で上記複数のバルーンを拡張または収縮させる、デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態による、送達ツールの側面図を示す。
【図2】図2は、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図3】図3は、図1の送達ツールの斜視図を示す。
【図4】図4は、本発明の好ましい実施形態による、弁プロテーゼの側面図を示す。
【図5】図5は、本発明の好ましい実施形態による、支持構造に接続される係止ピン機構の側面図を示す。
【図6】図6は、図5の係止ピン機構の拡大側面図を示す。
【図7】図7は、図5の係止ピン機構の側面斜視図を示す。
【図8】図8は、図5の係止ピン機構の裏面斜視図を示す。
【図9】図9は、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図10】図10は、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図11】図11は、展開の初期段階の弁プロテーゼとともに、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図12】図12は、さらに展開されたプロテーゼの初期部分とともに、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図13】図13は、さらに展開されたプロテーゼの初期部分とともに、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図14】図14は、図1の送達ツールと、模擬弁部位内に待避されたプロテーゼとの側面図を示す。
【図15】図15は、模擬弁部位内に展開されたプロテーゼとともに、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図16】図16は、その拡張構成から弛緩した、図1の送達ツールの側面図を示す。
【図17】図17は、完全に展開されたプロテーゼとともに、図1の送達ツールの斜視図を示す。
【図18】図18は、人工弁内に引き込まれた、図1の送達ツールの斜視図を示す。
【図19】図19は、人工弁内に引き込まれ、拡張され、デバイスを自然弁内に完全に着座させるための手段を提供する、図1の送達ツールの斜視図を示す。
【図20】図20は、プロテーゼと、図1の送達ツールとの斜視図を示す。
【図21】図21は、プロテーゼと、人工弁から完全に引き出された状態の図1の送達ツールとの側面図を示す。
【図22】図22は、反転円錐形を構成する拡張形状に形成されたメッシュとともに、送達ツールの好ましい実施形態の側面図を示す。
【図23】図23は、メッシュ層の反転を伴わない円錐形カップ形状に形成されたメッシュとともに、送達ツールの好ましい実施形態の側面図を示す。
【図24】図24は、配置および留置のために、一連の超弾性ワイヤループで構築された送達ツールの好ましい実施形態の側面図を示す。
【図25】図25は、配置および留置のために、一連のバルーンで構築された送達ツールの好ましい実施形態の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明による、拡張可能送達ツール100の実施形態を示す。概して、拡張可能送達ツール100は、患者の血管内に除去可能に位置付けられ、標的領域へのプロテーゼの送達および位置付けを補助する。この点において、ユーザは、プロテーゼをより正確に展開可能である一方、望ましくない展開による合併症を最小限にする。
【0017】
拡張可能送達ツール100は、図1に見られる減少した直径構成から、図2および3に見られる広がった拡張直径構成に拡張する、変形可能メッシュ領域102を含む。メッシュ領域102の直径は、メッシュ領域102の近位端と遠位端との間の距離を加減することによって調節される。より具体的には、遠位係留部104は、メッシュ領域102の遠位端を、メッシュ領域102を通って、ユーザの方へ近位に延在する制御ワイヤ110を固定する。外側シース108は、制御ワイヤ110上を摺動し、近位係留点106に固定される。したがって、外側シース108は、ユーザによって、制御ワイヤ110に対し遠位に移動されると、メッシュ領域102の直径を増加させ、制御ワイヤ110に対し近位に移動されると、メッシュ領域102の直径を減少させることができる。
【0018】
メッシュ領域102のメッシュは、複数の細長フィラメントを一緒に編組し、略管状形状を形成することによって生成されてもよい。これらの細長フィラメントは、ニチノール等の形状記憶材料から成ってもよく、しかしながら、ステンレス鋼またはポリマー化合物等の非形状記憶材料もまた、使用可能である。メッシュ領域102の強度および形状は、フィラメントの特性を変更することによって修正することができることに留意されたい。例えば、使用されるフィラメントの材料、太さ、数、および編組パターンを変更し、メッシュ領域102の可撓性を調節することができる。
【0019】
より具体的実施例では、各フィラメントのメッシュ領域102は、直径0.008インチを有し、インチ当たり8乃至10本で編組されるニチノールワイヤから成る。これは、約75度の交差ワイヤ間の編組内角をもたらし得る。
【0020】
メッシュ領域102のためのメッシュが示されているが、本領域の選択的拡張を可能にする一方、多量の血液を送達デバイス100に通過させる他の材料または構成も可能である。
【0021】
メッシュ領域102の拡張構成の最大径は、メッシュ領域102の全長を増加させ、したがって、メッシュ領域102の両端をより離れた距離からともに引き寄せることによって、または編組ニチノール管の編組角を減少させることによって、増大されてもよい。同様に、最大径は、メッシュ領域102の全長を短縮することによって、または編組ニチノール管の編組角を増加させることによって、減少されてもよい。言い換えると、メッシュ領域102の全長および使用される編組角は、概して、メッシュ領域102が達成し得る最大拡張径を決定することになる。したがって、メッシュ領域102の最大径は、標的血管の直径に基づいて、手技に対し選択することができる。
【0022】
示される実施形態では、近位係留部106および遠位係留部104は、メッシュ領域102を、それぞれ外側シース108および制御ワイヤ110に締め付ける金属バンドである。しかしながら、接着剤、溶接、または係止機械的構成等の他の係留方法も使用することができる。
【0023】
メッシュ領域102の近位および遠位端は、放射線不透過性マーカバンド(図示せず)を含み、手技の際、蛍光透視下による視覚化を提供してもよい。例えば、これらの放射線不透過性バンドは、メッシュ領域102内に組み込まれてもよく、または近位および遠位係留部106および104とともに含まれてもよい。この点において、ユーザは、メッシュ領域102の位置および患者内のその拡張状態をより良く観察することができる。
【0024】
図4は、送達デバイス100によって送達および位置付け可能なプロテーゼの実施例を示す。具体的には、プロテーゼは、2006年5月26日出願米国特許出願第11/443,814号「Stentless Support Structure」に見られるようなステンレス支持構造120であって、その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0025】
前述で組み込まれた米国特許出願第11/443,814号に記載のように、支持構造120は、典型的には、送達の際、反転または内側に折り重ねられ、多層支持構造を生成する。支持構造120の所望の構造を達成する際に、ユーザを補助するために、送達カテーテルは、典型的には、支持構造120のはと目132に除去可能に連結する接続部材またはアームを含む。この点において、ユーザは、支持構造120を操作し、接続部材を分離し、最終的に、送達カテーテルを患者から除去することができる。
【0026】
図5−8は、送達カテーテルの接続部材124と支持構造120との間の除去可能な連結機構の好ましい実施形態を示す。具体的には、係止ピン機構130は、図7および8に最も良く見られるように、係止ピン134を有する第1の顎部材136と、係止ピン機構130が閉鎖すると、係止ピン134を捕捉するための開口140を有する第2の顎部材138とを含む。顎部材136および138は、接続部材124内に摺動可能に含まれる制御ワイヤ(または、代替としてロッド)を調節することによって、開閉位置(すなわち、非係止および係止位置)間を移動することができる。制御ワイヤの遠位端は、顎部材136および138に接続され、顎部材136および138を互いに近接または互いから離間するように移動させる。
【0027】
図5および6に最も良く見られるように、係止ピン機構130は、支持構造120のはと目132を通過する。係止ピン機構130が閉位置にある時、はと目132は、接続部材124の付近に係止される。ユーザが、支持構造120の解除を所望するとき、顎部材136および138は開放され、はと目132を係止ピン134から摺動させ外す。この点において、ユーザは、身体外側の近位位置から制御ワイヤを移動させることによって、支持構造120を選択的に解除することができる。
【0028】
好ましくは、係止ピン134は、接続部材124の縦軸に直角な縦軸を有する。係止ピン134は、機構130が閉位置にある時、顎部136および138両方によって支持され、係止ピン134上にかかる結果として生じる力は、係止ピン134の縦軸に垂直であるため、係止ピン機構130は、荷重を受けると、開位置の方へ促されない。故に、ユーザが、顎部136、138を開放することによって、係止ピン機構130をはと目132から係脱するまで、係止ピン機構130は、はと目132との強固かつ壊れない接続を提供する。
【0029】
接続部材130の構成およびはと目132の位置の利点の1つは、3つすべての接続部材130が、はと目132(例えば、図21参照)に取付けされる場合でも、接続部材130と弁尖125の動作との間に干渉が生じないことである。加えて、血液は、送達機構の周囲と、プロテーゼを通って流動し得る。したがって、プロテーゼの動作および位置は、解除前に、検証され得る。プロテーゼの位置が望ましくない場合、または弁尖125が動作していない場合、プロテーゼは、送達機構内に待避されてもよい。
【0030】
代替として、他の連結機構を使用して、支持構造120を保定および解除することができる。例えば、接続部材124は、フックまたは壊れやすいフィラメントをその遠位端に有し、ユーザに支持構造120を選択的に解除させてもよい。
【0031】
次に、デバイスの動作を詳述する。図9−21を参照すると、送達ツール100は、患者内の自然弁114(例えば、大動脈弁)を表す一片のクリアなチューブにプロテーゼを送達するように示される。本実施例では、プロテーゼは、前述のステンレス支持構造120である。しかしながら、本発明は、前述のAndersenの米国特許第6,168,614号に見られるステントデバイス、ならびに心臓または脈管構造の開口あるいは穿孔の閉塞のために使用される他のデバイスを含む、種々のプロテーゼデバイスの送達のために使用可能であることを理解されたい。
【0032】
ガイドワイヤおよび導入器(図示せず)の遠位端は、典型的には、患者の血管内の所望の標的領域に前進される。この場合、標的領域は、自然弁114である。次に、送達シース112は、その遠位端が送達シース112のおおよその位置に来るまで、ガイドカテーテル上を摺動し、そしてガイドワイヤおよび導入器が除去される。
【0033】
図9を参照すると、送達ツール100は、メッシュ領域102が、送達シース112の遠位端から脱出し、標的領域の遠位位置を通過する(すなわち、本実施例では、自然弁114である標的位置を越える)まで、送達シース112を通って前進される。
【0034】
次に図10を参照すると、ユーザは、制御ワイヤ110の近位端で外側シース108に対し引張ることによって、送達ツール100をその拡張構成に移行させる。これによって、制御ワイヤ108の遠位端を外側シース108の端部へ移動させ、メッシュ領域102の全長を圧縮する一方、その直径を増加するかまたは広げる。
【0035】
図11に見られるように、ステンレス支持構造120(置換弁を係留するため)は、送達ツール100のメッシュ領域102に接触するまで、送達シース112の遠位端から前進される。図12および13に見られるように、送達シース112からの前進に伴って、支持構造120は、直径を拡大する。この点において、支持構造120は、自然弁114に対し遠位に、少なくとも部分的または完全に展開される。
【0036】
次に、図18、20、および21に最も良く見られるように、ステンレス支持構造120は、複数の接続部材124によって、送達シース112から前進される。接続部材124のそれぞれは、その遠位端でステンレス支持構造120に除去可能に接続され、送達シース112内で縦方向に摺動可能である。この点において、ユーザは、構造120が部分的に展開された後でも、接続部材124の近位露出端を操作し、ステンレス支持構造120を前進させ、さらに先に位置付けることができる。ステンレス支持構造120が所望の位置を達成し、プロテーゼの動作が検証されると、接続部材124は、構造120から分離され、患者から除去することができる。
【0037】
図14を参照すると、送達ツール100およびステンレス支持構造120の両方が、自然弁114の方へ近位方向に待避される。送達ツール100が待避すると、メッシュ領域102の拡張直径は、自然弁114に接触し、ユーザに触知性指標を提供する。したがって、ユーザは、支持構造120が自然弁114内で所望の標的位置を達成すると、警告を受けることになる。
【0038】
本出願で前述のように、ステンレス支持構造120は、それ自体上で内側に折り重なり、二重層(または複数層)支持構造を生成する。本折り重なり構成によって、ステンレス支持構造120は、送達シース112内で比較的小送達断面を達成する一方、展開し、増大した壁厚を有する。本折り重なりは、概して、支持構造120の形状記憶材料の予め構成された特性によって自然に生じ得るが、遠位方向における追加力が、その最終構成を達成する際に、支持構造120を補助するために必要とされてもよい。典型的には、この追加力は、支持構造120に対し、送達シース112を前進させる(すなわち、送達シース112を押動するかまたは接続部材124を前進させる)ことによって生成されてもよい。しかしながら、送達シースによるこの追加の移動は、特に遠位方向に、自然弁114から支持構造120を遊離させ得る。
【0039】
支持構造120の前述の移動を防止するために、拡張されたメッシュ領域102は、自然弁114の縁部に対し定位置に保持され、支持構造120の遊離を防止する。言い換えると、送達デバイス100のメッシュ領域102は、静止逆転防止装置として作用し、自然弁114からの支持構造の遠位移動を防止し、したがって、ユーザは、患者内の支持構造120の展開された位置をより正確に判断することができる。
【0040】
ある状況では、ユーザは、単に、メッシュ領域102をその収縮構成に調節し、送達デバイスを患者から除去することを所望する場合がある。他の状況では、ユーザは、支持構造120をさらに拡張して、自然弁に対し追加係留力を提供し、支持構造120下、自然弁の弁尖が捕捉されたままとなるように確実にすることを所望する場合がある。
【0041】
支持構造120のさらなる拡張は、バルーンカテーテル同様に、送達ツール100のメッシュ領域102によって達成することができる。より具体的には、図15に見られるように、送達ツール100は、自然弁114から離れて遠位方向に前進される。図16および17に見られるように、メッシュ領域102の直径は、支持構造120の所望の標的直径に減少される(すなわち、ユーザが所望する支持構造120の拡張直径)。
【0042】
図18および19を参照すると、メッシュ領域102の所望の直径が達成されると、ユーザは、支持構造120を通して近位方向に送達デバイス100を待避し、自然弁114に対し、支持構造120をさらに拡張させる。支持構造120の結果として生じる拡張は、図17の斜視図と、図20に示される図とを比較することによって、より良く実証され得る。
【0043】
送達デバイスが、支持構造120および自然弁114を通して最後まで引張られると、図21に見られるように、メッシュ領域102は、さらに直径が減少し、患者から除去することができる。最終的に、接続部材124は、支持構造120から分離され、送達シース112とともに除去することができる。
【0044】
代替として、支持構造120のこの同一の拡張は、最初に、メッシュ領域102の直径を減少させ、メッシュ領域102を支持構造120内に位置付け、次いで、メッシュ領域102を所望の直径に拡張することによって、達成することができる。支持構造120の所望の拡張が達成されるとメッシュ領域102は、直径を減少させ、患者から引抜かれることができる。
【0045】
本発明の他の実施形態は、拡張断面において種々の形状を形成するメッシュ領域の構成を含んでもよく、他の用途(例えば、支持構造120と類似あるいは異なる形状または構造を有する植え込み型人工デバイス)のために使用することができる。例えば、図22は、概して、前述の送達デバイスに類似し、外側シース204に接続される反転円錐形状メッシュ領域202をさらに含む、送達デバイス200を示す。この点において、メッシュ領域202は、支持構造の送達のための円錐形状に選択的に拡張されてもよい。
【0046】
加えて、ピグテール206が、外側シース204の端部または送達デバイス200の遠位端に含まれ、緩衝器として作用し、それによって、送達の際、デバイス200の遠位端によって生じ得る損傷の可能性を最小限にすることができる。ピグテールは、可撓性ポリマーから成る短管から構成されてもよく、略曲面または円形形状を有する。
【0047】
別の実施例では、図23は、概して、前述の好ましい実施形態100および200に類似の円錐形カップ形状メッシュ領域302を含む、送達デバイス300を示す。同様に、デバイス300は、外側シース304と、デバイス300の遠位端にピグテール306とを含み、患者への損傷を防止する。しかしながら、送達デバイス200の比較的平坦遠位端と異なり、送達デバイス300は、反転し、開放遠位端を有するカップ形状を形成する。
【0048】
図24に見られるように、送達デバイス400の遠位端は、可撓性または超弾性ワイヤ402から構築される個々のアーム401によって構成されてもよい。これらのアーム401は、前述の実施形態と同様に、拡張または収縮可能であって、また、外側シース404または送達デバイス400の遠位端に配置されるピグテール406を含んでもよい。
【0049】
図25を参照すると、送達デバイス500の遠位端は、代替として、カテーテル504にともに連結される一連の拡張可能バルーン502を含み、前述の実施形態と同様に、送達および位置付け機能を提供する一方、バルーン間隔を通して血液を流動させてもよい。バルーン502は、膨張可能であってもよく、前述の実施形態と同様に、機構によって、互いに対しさらに拡張可能であってもよい。さらに、ピグテールが、送達デバイス500の遠位端に含まれてもよい。
【0050】
ステンレス支持構造120が、図に関連させて説明されたが、他のプロテーゼデバイスも同様に、本発明によって送達され得る。例えば、送達ツール100を使用して、機能低下した標的弁において、取付けされる置換弁を伴うステントを展開させてもよい。加えて、本デバイスを単独でツールとして使用して、例えば、手技の際に、バルーン大動脈弁形成術、またはデバイスの多孔性および血液貫流が所望される他のバルーン技術を施行してもよい。
【0051】
本発明は、特定の実施形態および用途に関して説明されたが、当業者は、本教示に照らして、請求される発明の範囲の精神から逸脱することなく、またはその範囲を超越することなく、追加実施形態および修正を成すことができる。故に、本明細書の図面および説明は、一例として、本発明の理解の促進を提供するものであって、その範囲を限定するものと解釈されるものではないことを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−236075(P2012−236075A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−179508(P2012−179508)
【出願日】平成24年8月13日(2012.8.13)
【分割の表示】特願2009−530654(P2009−530654)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(507390561)ハート リーフレット テクノロジーズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179508(P2012−179508)
【出願日】平成24年8月13日(2012.8.13)
【分割の表示】特願2009−530654(P2009−530654)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(507390561)ハート リーフレット テクノロジーズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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