説明

プロトン伝導性電解質膜、及びそれを用いた触媒層−電解質膜積層体、膜−電極接合体と燃料電池、並びにその製造方法

【課題】再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、機械強度に優れ、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質膜、及びそれを用いた触媒層−電解質膜積層体、膜−電極接合体と燃料電池、並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】プロトン伝導性電解質膜1は、固体酸3と多孔質支持体2とを備え、固体酸3が溶融されて溶融体を形成し、多孔質支持体2が固体酸3の溶融体中に配置されている。また、プロトン伝導性電解質膜1の製造方法は、固体酸3を多孔質支持体2上に配置する工程と、固体酸3を多孔質支持体2の溶融する温度未満、かつ固体酸3が溶融する温度以上の温度で熱処理して溶融させ、多孔質支持体2に浸透させる工程と、固体酸3を浸透させた多孔質支持体2を冷却して固体酸3を固化する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトン伝導性電解質膜、及びそれを用いた触媒層−電解質膜積層体、膜−電極接合体と燃料電池、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりとともに、CO2や汚染物質を排出しないクリーンエネルギーとして燃料電池が注目されている。その中でも、エネルギー効率が高く、温度領域が100℃前後と一般用に取り扱いやすい固体高分子電解質を用いた固体高分子形燃料電池(PEFC)の開発に注力がなされている。
【0003】
プロトンを伝導する高分子電解質としては、一般的にNafion(登録商標)で知られているパーフルオロスルホン酸等が用いられているが、プロトン伝導機構がH3+の状態でプロトンを伝導する運搬(Vehicle)機構であるため、加湿機構を備える必要があり、このためシステムが煩雑になるという問題点がある。
【0004】
そこで、無加湿状態でプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質として金属リン酸塩が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、金属リン酸塩の一部に別種の金属をドープしたものも提案されている(例えば、特許文献2,3参照。)。
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に提案されている金属リン酸塩は、粉体であるため、成形性が困難であり、バインダーを添加しないとフィルム化しないといった問題点がある。そして、バインダーを添加すると電解質本来のプロトン伝導性を阻害するため、電解質膜のプロトン伝導性と機械的性能がトレードオフの関係となり、電解質膜のプロトン伝導性と膜強度の両立が困難であるという問題がある。さらに、バインダーのみでは十分な膜強度が得られず、膜-電極接合体形成の際、破損等の可能性が高くなる等、機械的性能を満足することはできないと問題がある。
【0006】
一方、膜強度を高め、機械的性能を改善した電解質膜として、多孔質材料に電解質を含浸させた複合膜が提案されている(例えば、特許文献4〜6参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−294245号公報
【特許文献2】特開2008−53224号公報
【特許文献3】特開2008−53225号公報
【特許文献4】特開2002−8680号公報
【特許文献5】特表平11−501964号公報
【特許文献6】特開平10−92444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1〜3に提案されている金属リン酸塩は、粉体であるため、特許文献4〜6に提案されているように、多孔質材料に含浸させることが困難であるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決するため、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、機械強度に優れ、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質膜、及びそれを用いた触媒層−電解質膜積層体、膜−電極接合体と燃料電池、並びにその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプロトン伝導性電解質膜は、固体酸と多孔質支持体とを備え、上記固体酸が溶融されて溶融体を形成し、上記多孔質支持体が上記固体酸の溶融体中に配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の触媒層−電解質膜積層体は、本発明のプロトン伝導性電解質膜と、一対の触媒層とを備え、上記プロトン伝導性電解質膜の両面に上記触媒層がそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の膜−電極接合体は、本発明のプロトン伝導性電解質膜と、一対の触媒電極とを備え、上記プロトン伝導性電解質膜の両面に上記触媒電極がそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の燃料電池は、本発明のプロトン伝導性電解質膜と、一対の触媒電極と、一対のセパレータとを備え、上記プロトン伝導性電解質膜の両面に上記触媒電極と上記セパレータとがそれぞれ順次積層されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のプロトン伝導性電解質膜の製造方法は、固体酸を多孔質支持体上に配置する工程と、上記固体酸を上記多孔質支持体の溶融する温度未満、かつ上記固体酸が溶融する温度以上の温度で熱処理して溶融させ、上記多孔質支持体に浸透させる工程と、上記固体酸を浸透させた多孔質支持体を冷却して固体酸を固化する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記固体酸が溶融されて溶融体を形成し、上記多孔質支持体が上記固体酸の溶融体中に配置されることで、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、機械強度に優れ、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質膜、及びそれを用いた触媒層−電解質膜積層体、膜−電極接合体と燃料電池を提供できる。また、本発明の製造方法によれば、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、機械強度に優れ、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質膜が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係るプロトン伝導性電解質膜の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態2に係る触媒層−電解質膜積層体の一例を示す概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態3に係る膜−電極接合体の一例を示す概略断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態4に係る燃料電池の一例を示す概略断面図である。
【図5】図5は、固体酸が溶融されていない場合のプロトン伝導性電解質膜の表面SEM写真(倍率1500倍)である。
【図6】図6は、固体酸が溶融されている場合のプロトン伝導性電解質膜の表面SEM写真(倍率1500倍)である。
【図7】図7は、固体酸が溶融されていない場合のプロトン伝導性電解質膜の断面SEM写真(倍率1500倍)である。
【図8】図8は、固体酸が溶融されている場合のプロトン伝導性電解質膜の断面SEM写真(倍率1500倍)である。
【図9】図9は、本発明の一実施例における多孔質支持体単体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(10000倍)である。
【図10】図10は、本発明の一実施例におけるプロトン伝導性電解質膜の断面のSEM写真(10000倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面等に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための材料や製造方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、材料や製造方法等を下記のものに限定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
本発明において、「固体酸」とは、固体でありながら、酸の特性を示すものを意味する。
【0019】
[実施形態1]
まず、本発明の実施形態1として、プロトン伝導性電解質膜について説明する。
【0020】
(プロトン伝導性電解質膜)
図1は、本発明の実施形態1に係るプロトン伝導性電解質膜の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、プロトン伝導性電解質膜1は、固体酸3と多孔質支持体2とを備え、固体酸3が溶融されて溶融体を形成し、多孔質支持体2が上記固体酸3の溶融体中に配置されている。すなわち、本発明において、プロトン伝導性電解質膜は、固体酸が溶融する性質を利用し、溶融された固体酸と多孔質支持体とで膜を構成しているものであり、電解質である固体酸が溶融されて形成した溶融体中に補強材としての多孔質支持体が配置された構成をなし、多孔質支持体の細孔の内表面を含む露出表面に溶融された固体酸が被覆されてプロトン伝導性電解質膜を構成している。そして、本発明においては、膜の機械強度及び緻密性という観点から、多孔質支持体の全ての細孔の細孔内表面を含む露出表面に溶融された固体酸が被覆されてプロトン伝導性電解質膜を構成していることが好ましい。
【0021】
プロトン伝導性電解質膜1は、その厚みは特に限定されず、通常約20〜1000μm程度であり、強度の観点から、約30〜300μm程度であることが好ましい。
【0022】
プロトン伝導性電解質膜1において、固体酸3は溶融されて溶融体を形成している。固体酸3が溶融されて形成した溶融体は、例えばSEM写真によって判断することができる。例えば、図5の固体酸が溶融されていない場合のプロトン伝導性電解質膜1の表面SEM写真と図6の固体酸が溶融されている場合のプロトン伝導性電解質膜1の表面SEM写真との比較から分かるように、図5では固体酸3が粒子の形状を維持しているのに対し、図6では固体酸3は粒子の形状を維持しておらず、図5と比べると鏡面状になっている。また、図7の固体酸が溶融されていない場合のプロトン伝導性電解質膜1の断面SEM写真と図8の固体酸が溶融されている場合のプロトン伝導性電解質膜1の断面SEM写真との比較から分かるように、図7では固体酸3が塊となっており、空隙が目立っているが、図8では固体酸が互いに繋がって棒状の結晶になっている。
【0023】
<固体酸>
固体酸3としては、融点が多孔質支持体2の溶融する温度より低いものであればよく、特に限定されない。組合せて用いる多孔質支持体2によるが、操作の簡便性の観点から、固体酸3は、融点が300℃以下であることが好ましい。また、プロトン伝導性の観点から、室温から200℃までの温度範囲かつ無加湿雰囲気下において、固体酸の溶融温度以下の温度でもプロトン伝導性を有する固体酸を用いることが好ましい。本明細書において、無加湿雰囲気下とは、固体酸3が置かれた雰囲気中に意図的な加湿を行わないことを意味する。
【0024】
固体酸3は、膜の耐熱性及び耐久性の観点から、無機固体酸であることが好ましく、プロトン伝導性を有する無機塩であることがより好ましい。
【0025】
上記プロトン伝導性を有する無機塩としては、金属リン酸塩、金属硫酸塩等が挙げられる。上記金属リン酸塩としては、オルトリン酸塩、ピロリン酸塩等の化合物を挙げることができる。具体的には、リン酸スズ、リン酸ジルコニウム、リン酸セシウム、リン酸ケイ素、リン酸チタニウム、リン酸ゲルマニウム、リン酸リード、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、タングステンリン酸塩等を挙げることができる。好ましくは、スズやセシウム等の金属の一部がインジウム、アルミニウム、ボロン、ガリウム、スカンジウム、イットリウム、セリウム、ランタンやアンチモン等のドーピング金属元素で置換されたピロリン酸塩である。これらは、単独又は一種以上を混合して用いてもよい。
【0026】
中でも、融点の温度領域及びプロトン伝導性の観点から、リン酸セシウムが好ましい。上記リン酸セシウムとしては、リン酸二水素セシウム(CsH2PO4)、二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)等が挙げられ、これらとリン酸ケイ素(SiP27)の複合体、例えばリン酸二水素セシウムとリン酸ケイ素の複合体(CsH2PO4−SiP27)、二リン酸五水素セシウムとリン酸ケイ素の複合体(CsH5(PO42−SiP27)等を用いてもよい。中でも、比較的低温領域で溶融可能であることから、150〜160℃付近で融点を示す二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)を用いることが好ましい。
【0027】
また、上記プロトン伝導性を有する無機塩としては、ヘテロポリ酸と無機塩の複合体を用いてもよい。上記無機塩としては、硫酸水素塩、リン酸水素塩等が挙げられる。上記硫酸水素塩としては、硫酸水素セシウム、硫酸水素カリウム等を挙げることができる。上記リン酸水素塩としては、リン酸水素セシウム等を挙げることができる。上記ヘテロポリ酸としては、リンタングステン酸(H3PW1240:WPA)等が挙げられる。また、硫酸水素塩やリン酸水素塩の替わりに炭酸セシウム(Cs2CO3)、硫酸セシウム(Cs2SO4)等を用いてもよい。
【0028】
また、固体酸3としては、有機固体酸を用いてもよい。上記有機固体酸としては、スルホン酸基を有する有機酸であればよく、特に限定されない。例えば、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、1,3,5,7−ナフタレンテトラスルホン酸等が挙げられる。上記スルホン酸基を有する有機酸を単独又は一種以上混合して用いてもよい。
【0029】
プロトン伝導性電解質膜1は、溶融された固体酸3以外に、本発明の効果を阻害しない範囲内で、溶融されていない固体酸を含んでもよい。この場合、溶融されていない固体酸は、固体酸粒子であることが好ましく、平均粒径が約0.1〜200μm程度であることがより好ましく、約0.1〜150μm程度であることがさらに好ましい。本発明において、固体酸粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて測定することができる。また、プロトン伝導性電解質膜1において、溶融されていない固体酸の含有量は、溶融された固体酸3に対して0〜40重量%であることが好ましい。なお、溶融されていない固体酸としても、上述の固体酸を用いればよい。
【0030】
<多孔質支持体>
多孔質支持体2としては、細孔を有する多孔質なものであればよく、特に限定されない。例えば、有機繊維、無機繊維等で構成される多孔質支持体を用いることができる。また、多孔質支持体2の形態は、特に限定されず、例えば不織布、織布等のシート状、メンブレンフィルター等の薄膜状が挙げられる。また、多孔質支持体2としては、例えば、pH1〜3における耐酸性、温度が約50〜300℃程度における耐熱性を有するものが好ましい。また、プロトン伝導性を有するものであってもよい。
【0031】
多孔質支持体2は、厚さが10〜500μmであることが好ましく、より好ましくは20〜300μmである。10μm未満では、多孔質支持体2の強度が著しく低下して電解質膜の補強材としての強度が得られない恐れがある。一方、500μmを超えると、電解質膜の補強材としては厚くなりすぎ、プロトン伝導性が低下する恐れがある。
【0032】
また、多孔質支持体2は、空隙率が40〜98体積%であることが好ましい。より好ましくは、60〜96体積%である。空隙率が98体積%を超えると、強度が著しく低くなり、補強材としての役割を果たしにくい恐れがある。一方、40体積%未満では、プロトン伝導性が低くなる恐れがある。
【0033】
なお、本発明において、「空隙率」は、例えば、以下のように測定したものである。所定の面積の多孔質支持体の厚みをマイクロメーターで測定し、見かけの体積を算出し、その後、重量と比重により実体積を算出し、見かけの体積から実体積を引くことにより算出した空隙率を多孔質支持体の空隙率とする。
【0034】
また、多孔質支持体2は、細孔径が500μm以下であることが好ましく、0.1〜400μmであることがより好ましく、0.1〜370μmであることが特に好ましい。細孔径が0.1μm未満では、細孔径が小さく電解質(固体酸)が多孔質支持体中へ浸透しにくく、均一な膜が得られない恐れがある。一方、細孔径が500μmを超えると、多孔質支持体の強度が著しく低下して電解質膜の補強材としての強度が得られない恐れがある。
【0035】
なお、本発明において、「細孔径」は、例えば、以下のように測定したものである。多孔質支持体の表面のSEM写真を倍率100倍で5枚撮り、多孔質支持体の細孔径を各N5で測定し、合計N20の平均細孔径を多孔質支持体の細孔径とする。
【0036】
また、多孔質支持体2は、繊維径(平均直径)が30μm以下であることが好ましく、0.2〜30μmであることがより好ましい。繊維経が0.2μm未満では、多孔質支持体2の強度が著しく低下して電解質膜の補強材としての強度が得られない恐れがある。一方、30μmを超えると電解質膜の補強材としては太くなり過ぎ、プロトン伝導性が低下する恐れがある。
【0037】
上記有機繊維としては、特に限定されず、溶融される固体酸の溶融温度(融点)に耐えるものを適宜選択すればよい。例えば、繊維状のポリプロピレン,ポリエステル,ポリエチレン,ポリアミド,ポリアクリルニトリル,ポリエーテルスルホン, ポリビニルアルコール,ポリ塩化ビニル,ポリフェニレンスルホン,ポリウレタン,ポリテトラフルオロエチレン,ポリテトラフロロエチレン, ポリフェニレンサルファイド,アラミド,セルロース,セルローストリアセテート、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリオキシメチレン等が挙げられる。そして、有機繊維は、より細孔径の細かいものが安価に得ることが可能となる利点がある。
【0038】
上記無機繊維としては、ガラス繊維,炭素ファイバー,黒鉛ファイバー,炭化珪素ファイバー,アルミナファイバー,タングステンカーバイファイバート,アルミナウィスカー、シリカウィスカー、セラミックファイバー、金属ファイバー等が挙げられる。このうち、耐酸性及び耐熱性の点から、無機繊維ではガラス繊維、有機繊維ではポリアクリルニトリル繊維を用いることが好ましく、より好ましいのはガラス繊維である。
【0039】
ガラス繊維で構成される多孔質支持体(以下で、ガラス繊維支持体という。)の場合、ガラス繊維の繊維径(平均直径)は、20μm以下であることが好ましく、0.3〜20μmであることがより好ましい。繊維経が0.3μm未満では、ガラス繊維支持体の強度が著しく低下して電解質膜の補強材としての強度が得られない恐れがある。一方、20μmを超えると電解質膜の補強材としては太くなり過ぎ、プロトン伝導性が低下する恐れがある。上記ガラス繊維支持体は、繊維径が異なる2種以上のガラス繊維で構成されてもよい。また、入手が容易という観点から、ガラス繊維支持体としては、ガラスクロスやガラス繊維不織布を用いることが好ましい。
【0040】
また、上記ガラス繊維支持体において、ガラス繊維同士を結着させる結着成分として樹脂成分を含む場合、ガラス繊維支持体におけるガラス繊維の含有割合は、50〜98重量%であることが好ましい。ガラス繊維支持体におけるガラス繊維の含有割合が、50〜98重量%であることにより、電解質膜の補強材としての役割を果たせることができる強度を有するガラス繊維支持体が得られる。
【0041】
上記結着成分としては、ガラス繊維同士を結着させるものであればよく、特に限定されないが、耐熱性、耐酸性に優れたものが好ましい。例えば、叩解セルロース、アクリル繊維、アクリル樹脂エマルジョン、フッ素樹脂ディスパージョン、コロイダルシリカ、エポキシ樹脂等を用いることができる。上記ガラス繊維支持体に結着成分を含ませてガラス繊維同士を結着させることにより、多孔質支持体の機械的特性が向上する。
【0042】
上記ガラス繊維支持体は、厚さが10〜200μmであることが好ましく、より好ましくは20〜150μmである。10μm未満では、ガラス繊維支持体の強度が著しく低下して電解質膜の補強材として強度を得られない恐れがある。一方、200μmを超えると電解質膜の補強材としては厚くなりすぎ、プロトン伝導性が低下する恐れがある。
【0043】
また、上記ガラス繊維支持体は、空隙率が40〜98体積%であることが好ましい。より好ましくは、60〜96体積%である。空隙率が98体積%を超えると、強度が著しく低くなり、補強材としての役割を果たしにくい恐れがある。一方、40体積%未満では、プロトン伝導性が低くなる恐れがある。
【0044】
また、上記ガラス繊維支持体は、細孔径が500μm以下であることが好ましく、0.1〜400μmであることがより好ましく、0.1〜370μmであることが特に好ましい。細孔径が0.1μm未満では、細孔径が小さく電解質(固体酸)が多孔質支持体中へ浸透しにくく、均一な膜が得られにくい恐れがある。一方、細孔径が500μmを超えると、多孔質支持体の強度が著しく低下して電解質膜の補強材としての強度が得られない恐れがある。
【0045】
プロトン伝導性電解質膜1は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、さらに補強材、添加剤等を必要に応じて含んでもよい。
【0046】
上記補強材は、球状、針状、チップ状の粒子状態で添加されることが好ましく、例えば、アラミド不織布、液晶ポリマー、ガラスクロス、ガラス不織布、ポリテトラフロロエチレン不織布、ポリテトラフロロエチレン多孔質材料、ポリフェニレンサルファイドレジン、ガラスフレーク、ガラス粒子、燐片状ガラス等が挙げられる。これらを単独、又は二種以上含んでもよい。上記補強材を含ませることにより、機械的特性が向上する。
【0047】
上記添加剤としては、例えば、フッ素系ポリマー、炭化水素系ポリマー、フッ素系イオノマー、炭化水素系イオノマー、イオン性液体、セルロース系ポリマー等を用いることができる。
【0048】
上記フッ素系ポリマーとしては、テトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、四フッ化エチレン―六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂等を用いることができる。
【0049】
上記炭化水素系ポリマーとしては、炭化水素系化合物を主骨格とする高分子であって、ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリスチレンスルファイド,ポリベンズイミダゾール,ポリピリジン,ポリピリミジン,ポリイミダゾ−ル,ポリベンゾチアゾール,ポリベンゾオキザゾール,ポリオキサジアゾ−ル,ポリキリノン,ポリキノキサリン,ポリチアジアゾ−ル,ポリテトラザビレン,ポリオキサゾ−ル,ポリチアゾール,ポリビニールピリジン及びポリビニールイミダゾール等が挙げられる。
【0050】
上記フッ素系イオノマーとしては、デュポン社のNafion(登録商標)、旭硝子社のフレミオン(登録商標)、旭化成社のアシプレックス(登録商標)のようなパーフルオロスルホン酸系,アクイヴィオ(登録商標)のようなスルホニルフロリドビニルエーテル(SFVE)−テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。
【0051】
上記炭化水素系イオノマーとしては、ポリアリーレンエーテルスルホン酸,ポリスチレンスルホン酸,シンジオタクチックポリスチレンスルホン酸,ポリフェニレンエーテルスルホン酸,変性ポリフェニレンエーテルスルホン酸,ポリエーテルスルホンスルホン酸,ポリエーテルエーテルケトンスルホン酸,及びポリフェニレンサルファイドスルホン酸等が挙げられる。
【0052】
上記イオン性液体としては、プロトン伝導性を妨げないものであればよく、特に限定されないが、例えば、フルオロハイドイロジェネート型イオン液体,ジエチルメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸系イオン液体等が挙げられる。
【0053】
上記セルロース系ポリマーとしては、メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,酢酸セルロース等が挙げられる。
【0054】
プロトン伝導性電解質膜1は、固体酸3が溶融されて溶融体を形成し、多孔質支持体2が上記固体酸3の溶融体中に配置されていることにより、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、機械強度に優れ、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有する。
【0055】
(プロトン伝導性電解質膜の製造方法)
プロトン伝導性電解質膜1は、特に限定されないが、例えば、以下のように製造することが好ましい。具体的には、本発明のプロトン伝導性電解質膜1の製造方法は、固体酸を多孔質支持体上に配置する工程と、上記固体酸を上記多孔質支持体の溶融する温度未満、かつ上記固体酸が溶融する温度以上の温度で熱処理して溶融させ、上記多孔質支持体に浸透(含浸)させる工程と、上記固体酸を浸透させた多孔質支持体を冷却して固体酸を固化する工程とを含む。本発明において、「浸透(含浸)」は、多孔質支持体の細孔内表面を含む露出表面に溶融された固体酸が含浸されている、すなわち多孔質支持体の細孔内表面を含む露出表面が溶融された固体酸で被覆されていることをいう。そして、本発明においては、膜の機械強度及び緻密性という観点から、多孔質支持体の全ての細孔の細孔内表面を含む露出表面に溶融された固体酸を含浸させる、すなわち多孔質支持体の全ての細孔の細孔内表面を含む露出表面が溶融された固体酸で被覆されていることが好ましい。
【0056】
固体酸及び多孔質支持体としては、上述したものを用いることができる。
【0057】
また、上記固体酸は、溶融されて多孔質支持体に浸透しやすいと観点から、固体酸粒子であることが好ましい。上記固体酸粒子は、平均粒径が約0.1〜350μm程度であることが好ましく、約0.1〜150μm程度であることがより好ましい。なお、本発明では、固体酸を溶融させて、多孔質支持体に浸透させるため、溶融させていない状態の固体酸粒子の粒子径より小さな細孔径を有する孔質支持体も使用できる。
【0058】
また、上記固体酸が、用いる多孔質支持体の溶融する温度未満の温度で溶融する固体酸(以下において、単に溶融する固体酸とも記す。)に加えて、用いる多孔質支持体の溶融する温度未満の温度で溶融しない固体酸(以下において、単に溶融しない固体酸とも記す。)を含む場合、溶融しない固体酸の含有量は、溶融する固体酸に対して0〜40重量%であることが好ましい。また、溶融しない固体酸粒子は、平均粒径が約0.1〜200μm程度であることが好ましく、約0.1〜150μm程度であることがより好ましい。平均粒径が0.1μmであると、凝縮しやすくそれにより二次粒子径が大きくなりやすいため、好ましくない。一方、平均粒径が200μmを超えると、電解質膜の作製時に空隙が大きくなりやすいため、好ましくない。
【0059】
上記において、熱処理温度は、溶融する固体酸及び多孔質支持体の溶融温度に基づいて、多孔質支持体の溶融する温度未満であり、かつ固体酸の溶融する温度以上の範囲内で、適宜決めればよい。例えば、溶融する固体酸として、リン酸セシウムを用いる場合、熱処理温度は、約140℃〜300℃程度、好ましくは約150〜180℃である。熱処理温度が、140℃程度より低いとリン酸セシウムが溶融しない恐れがあり、300℃程度を超えると多孔質支持体が熱劣化する恐れがある。また、熱処理時間は、約5分〜5時間程度、好ましくは約10分〜3時間程度である。また、固体酸を浸透させた多孔質支持体の冷却温度は、固体酸の溶融する温度未満の範囲内で、適宜決めればよい。例えば、溶融する固体酸として、リン酸セシウムを用いる場合、冷却温度は、約140℃未満程度、好ましくは室温〜約100℃程度である。また、冷却時間は、約5分〜5時間程度、好ましくは約10分〜3時間程度である。
【0060】
また、固体酸を多孔質支持体上に配置し、その上からガラス板等押さえ板を備え付けた後、熱処理を行ってもよい。押さえ板を備え付けることにより、溶融した固体酸が、より多孔質支持体中へ浸透しやすくなるといった利点がある。
【0061】
以下、固体酸として、リン酸セシウムの一種である二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)を用いる場合について、具体的に説明する。
【0062】
固体酸粒子として、例えば、二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)を用いる場合、特に限定されないが、公開文献(例えば、“Toshiaki Matsui, Tomokazu Kukino, Ryuji Kikuchi, and koichi Eguchi, The Electrochemical Society 153 (2) A339-A342(2006)”、或いは、“Toshiaki Matsui, Tomokazu Kukino, Ryuji Kikuchi, and koichi Eguchi, Electrochemical Acta 51 (2006) 3719-3723”等を参照。)等を参照して、二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)を製造することができる。
【0063】
具体的には、二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)は、例えば、以下のようにして作製することができる。炭酸セシウム(Cs2CO3)及び水を所定の割合で混合し、スターラー等を用いて撹拌子で撹拌しながら、所定のモル数の液体リン酸を少量ずつ滴下し、約100〜150℃程度の温度で、約1〜3時間程度、撹拌して水を蒸発させる。その後、オーブンに入れて、例えば、約100〜150℃程度の温度で乾燥させる。乾燥時間は、例えば、約1日〜数日程度である。乾燥後、得られた生成物をめのう鉢で粉砕して粉末状にし、所望の二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)を得ることができる。上記二リン酸五水素セシウムの平均粒径は、約0.1〜200μm程度であることがより好ましく、約0.1〜150μm程度であることがさらに好ましい。
【0064】
次いで、上記二リン酸五水素セシウム粒子を多孔質支持体上に配置した後、両面にガラス板等押さえ板を備え付けた上から熱処理を行い、上記二リン酸五水素セシウム粒子を溶融させて、上記多孔質支持体に浸透(含浸)させた後、上記二リン酸五水素セシウムを浸透させた多孔質支持体を冷却して二リン酸五水素セシウムを固化することで、プロトン伝導性電解質膜1を得ることができる。熱処理温度は、約140℃〜300℃程度、好ましくは約150〜180℃である。また、熱処理時間は、約5分〜5時間程度、好ましくは約10分〜3時間程度である。また、二リン酸五水素セシウムを浸透させた多孔質支持体の冷却温度は、二リン酸五水素セシウムの溶融する温度未満の範囲内で、適宜決めればよい。例えば、冷却温度は、約140℃未満程度、好ましくは室温〜約100℃程度である。また、冷却時間は、約5分〜5時間程度、好ましくは約10分〜3時間程度である。
【0065】
以下、固体酸として、二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体を用いる場合について、具体的に説明する。
【0066】
二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体は、特に限定されないが、上記同様の公開文献(例えば、“Toshiaki Matsui, Tomokazu Kukino, Ryuji Kikuchi, and koichi Eguchi, The Electrochemical Society 153 (2) A339-A342(2006)”、或いは、“Toshiaki Matsui, Tomokazu Kukino, Ryuji Kikuchi, and koichi Eguchi, Electrochemical Acta 51 (2006) 3719-3723”等を参照。)等を参照して製造することができる。二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)は、上記の作製方法と同様に作製することができる。
【0067】
リン酸ケイ素(SiP27)は、例えば、以下のようにして、作製することができる。二酸化ケイ素(SiO2)と液体リン酸を所定のモル数で配合して得られた混合物をめのう鉢に入れ、水あめ状になるまで混ぜる。その後、アルミナ坩堝に入れて、約100〜700℃程度の温度で焼成する。焼成する時間は、例えば、約30〜80時間程度である。焼成後、得られた生成物をめのう鉢で粉砕して、所望のリン酸ケイ素(SiP27)を得ることができる。上記リン酸ケイ素(SiP27)の平均粒径は、約0.1〜200μm程度であることがより好ましく、約0.1〜150μm程度であることがさらに好ましい。
【0068】
次に、二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)とリン酸ケイ素(SiP27)の複合体は、以下のようにして、作製することができる。上記のようにして得られた二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)とリン酸ケイ素(SiP27)を所定のモル数で配合する。得られた混合物をポッドミル等で分散させる。分散時間は、例えば、約1時間〜30時間程度である。なお、二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)とリン酸ケイ素(SiP27)の配合量は、モル比で1:4〜2:1であることが好ましい。
【0069】
上記において、二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)とリン酸ケイ素(SiP27)の混合物を分散する分散機としては、遊星ボールミル,ボールミル等を用いてもよい。
【0070】
次いで、二リン酸五水素セシウムとリン酸ケイ素の複合体(CsH5(PO42−SiP27)を多孔質支持体上に配置した後、両面にガラス板等の押さえ板を備え付け、その上から熱処理を行い、上記二リン酸五水素セシウム粒子を溶融させて、上記多孔質支持体に浸透(含浸)させた後、上記二リン酸五水素セシウムを浸透させた多孔質支持体を冷却して二リン酸五水素セシウムを固化することで、プロトン伝導性電解質膜1を得ることができる。熱処理温度は、約140℃〜300℃程度、好ましくは約150〜180℃である。また、熱処理時間は、約5分〜5時間程度、好ましくは約10分〜3時間程度である。なお、上記の熱処理では、リン酸ケイ素(SiP27)は、溶融しないことになる。また、二リン酸五水素セシウムを浸透させた多孔質支持体の冷却温度は、二リン酸五水素セシウムの溶融する温度未満の範囲内で、適宜決めればよい。例えば、冷却温度は、約140℃未満程度、好ましくは室温〜約100℃程度である。また、冷却時間は、約5分〜5時間程度、好ましくは約10分〜3時間程度である。
【0071】
上記において、固体酸が溶融する固体酸と溶融しない固体酸とを含む場合、溶融しない固体酸粒子の種類に応じて細孔径の異なる多孔質支持体を適宜用いることができる。
【0072】
上記のプロトン伝導性電解質膜の製造方法によれば、固体酸を多孔質支持体の溶融する温度未満の温度で熱処理して溶融させ、多孔質支持体に浸透させることで、溶融された固体酸と多孔質支持体とで構成されており、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、機械強度に優れ、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質膜を容易に提供することができる。
【0073】
[実施形態2]
以下、本発明の実施形態2として、触媒層−電解質膜積層体について説明する。
【0074】
(触媒層−電解質膜積層体)
図2は、本発明の実施形態2に係る触媒層−電解質膜積層体の一例を示す概略断面図である。図2に示すように、本発明の実施形態2に係る触媒層−電解質膜積層体10は、実施形態1で示したプロトン伝導性電解質膜1と、一対の触媒層6,7とを備え、プロトン伝導性電解質膜1の両面に触媒層6,7がそれぞれ配置されている。図2では、図1と同一の部分には同一の符合を付け、重複する説明は省略する。また、図2と図1において同一の部分は、同様の機能を有する。
【0075】
<触媒層>
本実施形態における触媒層6,7は、触媒を含有した層であればよく、特に限定されない。また、触媒層6及び触媒層7のいずれか一方がカソード側触媒層となり、他の一方がアノード側触媒層となる。
【0076】
上記触媒としては、燃料電池におけるアノード及び/又はカソード反応を促進する物質であれば、特に限定されない。例えば、白金担持カーボン,白金−ルテニウム担持カーボン,白金−コバルト担持カーボン,金担持カーボン,銀担持カーボン,鉄−コバルト−ニッケル担持カーボン等の金属担持カーボンや、白金ブラック,白金−ルテニウムブラック,白金−コバルトブラック,金ブラック,銀ブラック等の金属微粒子、或いはモリブデンカーバイド等の無機物質が挙げられる。このうち触媒活性の高い白金担持カーボン,リン酸被毒の少ないモリブデンカーバイド等が好適である。
【0077】
触媒層6,7は、触媒に加えて固体酸を含むことが好ましい。固体酸としては、上述のものを用いることができる。また、触媒層6,7は、バインダーを含有してもよい。触媒層6,7は、金属リン酸塩などの固体酸と触媒のみでも成形可能であるが、これらにバインダーを添加してペースト化したものを塗布・成形することにより、機械強度にすぐれた触媒層を得ることができる。バインダーとしては、結着性を有するものであればよく、特に限定されない。例えば、実施形態1で示した添加剤、例えば、フッ素系ポリマー、炭化水素系ポリマー、フッ素系イオノマー、炭化水素系イオノマー、イオン性液体、セルロース系ポリマー等を用いることができる。
【0078】
触媒層6,7の厚みは、電極基材の種類、電解質膜の厚み等を考慮して適宜決定すればよい。その厚みは、例えば、約20〜3000μm程度、好ましくは、約30〜2000μm程度である。
【0079】
本実施形態に係る触媒層−電解質膜積層体10は、ペースト状にした触媒をプロトン伝導性電解質膜1上の両面に塗布し、熱処理することにより触媒層6,7を形成して製造することができる。
【0080】
触媒ペーストの塗布量としては、例えば、白金担持カーボンを用いる場合、白金担持量として約0.1〜1.0mg/cm2程度、好ましくは、約0.3〜0.6mg/cm2程度である。
【0081】
プロトン伝導性電解質膜1上への触媒ペーストの塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷,ブレードコート,ダイコート,スプレー塗工,ディスペンサー塗工,インクジェット塗工等を用いることができる。このうち、触媒ペーストの作製の簡便さより、スクリーン印刷,ブレードコートを用いることが好ましい。
【0082】
熱処理温度は、例えば、約50〜300℃程度、好ましくは約100〜250℃である。熱処理温度が約50℃程度より低いと、触媒ペーストに含まれる溶剤が除去できず、リン酸を含む場合はリン酸中に含まれる水が除去できない。一方、熱処理温度が約300℃を超えると、バインダーが熱分解する恐れがあり、またリン酸を含む場合はリン酸が揮発するため好ましくない。また、熱処理時間は、例えば、約10分〜5時間程度、好ましくは約10分〜3時間程度である。
【0083】
本実施形態によれば、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、機械強度に優れ、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有する触媒層−電解質膜積層体を提供することができる。
【0084】
[実施形態3]
以下、本発明の実施形態3として、膜−電極接合体について説明する。
【0085】
(膜−電極接合体)
図3は、本発明の実施形態3に係る膜−電極接合体の一例を示す概略断面図である。図3に示すように、本発明の実施形態3に係る膜−電極接合体20は、実施形態1で示したプロトン伝導性電解質膜1と、一対の触媒電極16,17とを備えており、プロトン伝導性電解質膜1の両面に触媒電極16,17がそれぞれ配置されている。図3では、図1と同一の部分には同一の符合を付け、重複する説明は省略する。また、図3と図1において同一の部分は、同様の機能を有する。
【0086】
触媒電極16,17は、触媒と、多孔質体等ガス拡散性を有する導電材料で構成されており、燃料ガス、又は酸化剤ガスが流通できるようになっている。アノード極側触媒電極17は、燃料極であり、カソード極側触媒電極16は、酸化剤極である。燃料極には水素の酸化反応を促進する触媒金属が付着されており、酸化剤極には酸素の還元反応を促進する触媒金属が付着している。
【0087】
触媒電極16,17の厚みは、電極基材の種類、電解質膜の厚み等を考慮して適宜決定すればよい。その厚みは、例えば、約20〜3000μm程度、好ましくは、約30〜2000μm程度である。
【0088】
触媒電極16,17は、ガス拡散層と触媒層の2層から構成されていてもよい。ガス拡散層としては、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の公知の材料を用いればよい。また、上記の公知の材料に撥水処理を行ったものを用いてもよい。また、ガス拡散層に触媒ペーストを塗工した場合のしみこみを防ぐため平坦化層を設けたガス拡散層を用いてもよい。
【0089】
本実施形態に係る膜−電極接合体20は、上記の実施形態1で示したプロトン伝導性電解質膜1を用い、その両面に触媒電極16,17を圧着等により形成して製造することができる。
【0090】
本実施形態によれば、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、機械強度に優れ、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有する膜−電極接合体を提供することができる。
【0091】
[実施形態4]
以下、本発明の実施形態4として、燃料電池について説明する。
【0092】
(燃料電池)
図4は、本発明の実施形態4に係る燃料電池の一例を示す概略断面図である。図4に示すように、本発明の実施形態4に係る燃料電池30は、実施形態1で示したプロトン伝導性電解質膜1と、実施形態3で示した一対の触媒電極16,17と、一対のセパレータ28,29とを備えており、プロトン伝導性電解質膜1の両面に触媒電極16,17及びセパレータ28,29がそれぞれ順次積層されて構成されている。図4では、図1及び図3と同一の部分には同一の符合を付け、重複する説明は省略する。また、図4と図1及び図3において同一の部分は、同様の機能を有する。
【0093】
セパレータ29は、燃料をアノード側触媒電極17に供給するためのものであり、燃料を流通するための燃料流路21を有する。一方、セパレータ28は、酸化剤ガスをカソード側触媒電極16に供給するためのものであり、酸化剤ガスを流通するための酸化剤ガス流路22を有する。
【0094】
セパレータ28,29の材質としては、燃料電池30内の環境においても安定な導電性を有するものであればよい。一般的には、カーボン板に流路を形成したものが用いられる。また、セパレータ28,29は、ステンレススチール等の金属で構成し、その金属の表面にクロム、白金族金属又はその酸化物、導電性ポリマー等の導電性材料からなる被膜を形成したものであってもよい。
【0095】
なお、セパレータ28,29は、燃料電池30を複数個積層して構成した燃料電池に用いる場合、集電体としての機能を有することができる。
【0096】
<燃料電池の動作原理>
燃料流路21により、水素ガス又はメタノール等の水素供給可能な燃料が、アノード側触媒電極17に供給され、この燃料からプロトン(H+)と電子(e-)が生成される。生成されたプロトンはプロトン伝導性電解質膜1によってカソード側触媒電極16へと搬送される。一方、酸化剤ガス流路22により、空気又は酸素ガス等の酸化剤ガスが、カソード側触媒電極16に供給され、プロトン伝導性電解質膜1によって搬送されてきたプロトンと外部回路23からくる電子及び酸化剤ガスとが反応して水が生成される。このようにして燃料電池として機能する。
【0097】
本実施形態に係る燃料電池30は、燃料電池の作製に用いられる公知の技術を用いて、プロトン伝導性電解質膜1の両面に触媒電極16,17及びセパレータ28,29を順次積層することにより、製造することができる。
【0098】
本実施形態によれば、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、機械強度に優れ、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有するプロトン伝導性電解質膜1を用いることにより、安定性に優れ、高性能な燃料電池30を提供することができる。
【実施例】
【0099】
以下において、実施例に基づいて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更実施可能である。
【0100】
[実施例1]
<固体酸の作製>
固体酸として、セシウムリン酸(CsH5(PO42)を以下のようにして作製した。まず、炭酸セシウム(Cs2CO3:Aldrich社製)15.6g(0.048モル)及び水10gをビーカーに撹拌子と共に入れ、スターラーにて撹拌した。次いで、スターラーにて撹拌しながら85%リン酸水溶液22.1g(0.192モル)を少量ずつ滴下した。その後、ホットプレート上で、約120℃で、約2時間乾燥し、水を蒸発させた。その後、得られた生成物を坩堝に投入し、約120℃で、約3日間乾燥し、乾燥後得られた生成物をめのう鉢で粉砕し、平均粒径が125μmであるセシウムリン酸(CsH5(PO42)を得た。
【0101】
<プロトン伝導性電解質膜の形成>
上記で得られたセシウムリン酸(CsH5(PO42)0.5gを、厚み110μm、空隙率95%、繊維径10μm、細孔径100μmのガラス繊維支持体上に均一に配置し、約170℃、約90分程度、溶融させ、溶融されたセシウムリン酸とガラス繊維支持体で構成され、厚みが180μmのプロトン伝導性電解質膜を得た。
【0102】
[実施例2]
実施例1と同様にして得られたセシウムリン酸(CsH5(PO42)0.5gを、厚み60μm、空隙率96%、繊維径10μm、細孔径200μmのガラス繊維支持体上に均一に配置し、約170℃、約90分程度、溶融させ、溶融されたセシウムリン酸とガラス繊維支持体で構成され、厚みが230μmのプロトン伝導性電解質膜を得た。
【0103】
[実施例3]
実施例1と同様にして得られたセシウムリン酸(CsH5(PO42)0.5gを、厚み42μm、空隙率85%、繊維径2μm、細孔径15μmのガラス繊維支持体上に均一に配置し、約170℃、約90分程度、溶融させ、溶融されたセシウムリン酸とガラス繊維支持体で構成され、厚みが120μmのプロトン伝導性電解質膜を得た。
【0104】
[実施例4]
実施例1と同様にして得られたセシウムリン酸(CsH5(PO42)0.5gを、厚み28μm、空隙率82%、繊維径0.3μm、細孔径2.0μmのポリアクリルニトリル繊維(PAN)支持体上に均一に配置し、約170℃、約90分程度、溶融させ、溶融されたセシウムリン酸とポリアクリルニトリル繊維支持体で構成され、厚みが127μmのプロトン伝導性電解質膜を得た。
【0105】
[実施例5]
<固体酸の作製>
固体酸として、二リン酸五水素セシウムとリン酸ケイ素の複合体(CsH5(PO42−SiP27))を以下のようにして作製した。
【0106】
まず、実施例1と同様にして、平均粒径が125μmである二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)を得た。
【0107】
次に、リン酸ケイ素(SiP27)を以下のようにして作製した。二酸化ケイ素(SiO2:東ソーシリカ社製)8.0g(0.13モル)及び85%リン酸水溶液38.4g(0.33モル)をめのう鉢に入れ、水あめ状になるまで混合した。その後、混合物をアルミナ坩堝に投入し、約100〜200℃、約60時間程度の仮焼成後、約700℃、約4時間程度焼成し、焼成後得られた生成物をめのう鉢で粉砕し、平均粒径が39μmであるリン酸ケイ素(SiP27)を得た。
【0108】
最後に、二リン酸五水素セシウム(CsH5(PO42)4.0g(0.01モル)とリン酸ケイ素(SiP27)1.2g(0.006モル)をポットミルで分散し、二リン酸五水素セシウムとリン酸ケイ素の複合体(CsH5(PO42−SiP27)を得た。
【0109】
<プロトン伝導性電解質膜の形成>
上記で得られた二リン酸五水素セシウムとリン酸ケイ素の複合体(CsH5(PO42−SiP27)0.5gを、厚み110μm、空隙率95%、繊維径10μm、細孔径100μmのガラス繊維支持体上に均一に配置し、約170℃、約90分程度、溶融させ、溶融された二リン酸五水素セシウムと溶融されていないリン酸ケイ素とガラス繊維支持体で構成され、厚みが190μmのプロトン伝導性電解質膜を得た。
【0110】
[実施例6]
実施例5と同様にして得られた二リン酸五水素セシウムとリン酸ケイ素の複合体(CsH5(PO42−SiP27)0.5gを、厚み60μm、空隙率96%、繊維径10μm、細孔径200μmのガラス繊維支持体上に均一に配置し、約170℃、約90分程度、溶融させ、溶融された二リン酸五水素セシウムと溶融されていないリン酸ケイ素とガラス繊維支持体で構成され、厚みが140μmのプロトン伝導性電解質膜を得た。
【0111】
[比較例1]
まず、実施例1と同様にして、セシウムリン酸(CsH5(PO42)を得た。次に、得られたセシウムリン酸(CsH5(PO42)5gに、バインダーとして10重量%酢酸セルロース溶液(ダイセル化学工業社製「LT−35」、溶媒:アセトン)5gを加えて、分散機で分散して電解質ペーストを作製した。この電解質ペーストを基材フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)、厚み50μm)上にブレードコーターで塗布し、約170℃、約30分程度、乾燥し、厚みが120μmの電解質膜を得た。
【0112】
実施例で用いた多孔質支持体の細孔径及び空隙率は、以下のように測定した。
【0113】
(多孔質支持体の細孔径測定)
多孔質支持体単体の表面のSEM写真を倍率100倍で5枚撮り、多孔質支持体の細孔径を各N5で測定し、合計N20の平均細孔径を多孔質支持体の細孔径とした。
【0114】
(多孔質支持体の空隙率測定)
所定の面積の多孔質支持体単体の厚みをマイクロメーターで測定し、見かけの体積を算出した。その後、重量と比重により実体積を算出し、見かけの体積から実体積を引くことにより算出した空隙率を多孔質支持体の空隙率とした。
【0115】
実施例の電解質膜における電解質(固体酸)の浸透性、実施例と比較例の電解質膜の引張破断強度、及びプロトン伝導性を以下のように測定・評価し、その結果を下記表1に示した。
【0116】
(電解質膜における電解質の浸透性)
多孔質支持体単体と、電解質膜の断面のSEM写真を倍率10000倍で撮り、電解質膜中の電解質の浸透性を確認した。
【0117】
(引張破断強度測定)
測定サンプルとして、電解質膜の縦方向(MD方向)に、幅10mm、長さ30mmの試験片を作製した。得られた測定サンプルを小型卓上試験機EZ Test(島津製作所製)を用いて、つかみ間隔10mmで、約1mm/分の速度で引っ張り、破断時の荷重(MPa)の測定を2回行い、その平均値を引張破断強度とした。
【0118】
(引張破断強度の評価)
上記で得られた引張破断強度の結果に基づいて、引張破断強度を以下のような3段階で評価した。
A:引張破断強度が3.0MPa以上であり、電解質膜として使用可能な性能をもつ。
B:引張破断強度が0.5MPa以上3.0MPa未満であり、電解質膜として使用可能な性能をもつ。
C:引張破断強度が0.5MPa未満、又はは自立性がなく電解質膜として使用するには強度不足である。
【0119】
(プロトン伝導度測定)
電解質膜を幅10mm、長さ30mmに切り抜き、電気化学測定装置(Solartron社製12528WB型)で交流インピーダンス負荷を行い、温度が室温から160℃の範囲であり、かつ無加湿雰囲気下でのプロトン伝導度を測定した。なお、下記表1には、温度が150℃の場合の結果を示した。
【0120】
(プロトン伝導度の評価)
上記で得られたプロトン伝導度の結果に基づいて、プロトン伝導度を以下のような2段階で評価した。
A:150℃かつ無加湿雰囲気下におけるプロトン伝導度が1.00×10-3S/cm以上であり、電解質膜として使用可能な性能をもつ。
B:150℃かつ無加湿雰囲気下におけるプロトン伝導度が1.00×10-3S/cm未満、もしくは自立性がなく電解質膜としての性能を測定できない。
【0121】
【表1】

【0122】
図9は、実施例4で用いた多孔質支持体単体の倍率10000倍の断面SEM写真であり、図10は、実施例4で得られたプロトン電解質膜の倍率10000倍の断面SEM写真である。図9及び10から、実施例4のプロトン電解質膜において、溶融した固体酸(電解質)3は多孔質支持体2中に均一に浸透していることが分かる。また、図示はないが、他の実施例のプロトン電解質膜においても、電解質(固体酸)3は溶融して多孔質支持体2中に均一に浸透していることが確認された。
【0123】
表1から分かるように、実施例1〜6では、プロトン電解質膜の引張破断強度が0.6MPa以上であり、良好な機械強度特性を示していた。しかし、比較例1では、電解質膜は、基材からの自立性がなく、電解質膜として使用するには強度不足であることが示された。
【0124】
また、実施例1〜6では、プロトン電解質膜が150℃かつ無加湿雰囲気下において、1.0×10-3S/cm以上のプロトン伝導度を示し、電解質膜として使用可能な性能をもっていることが分かった。これに対して、比較例1の電解質膜は、自立性の不足により、プロトン伝導性を測定する上で強度不足であることが示された。
【0125】
以上のことから、本発明の伝導性電解質膜は、再現性にすぐれ、良好な成形性を有し、機械強度に優れ、無加湿状態で高いプロトン伝導性を有することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、固体酸を用いたプロトン伝導性電解質膜及びそれを用いた燃料電池に関連した技術分野に好適に適用され得る。
【符号の説明】
【0127】
1 プロトン伝導性電解質膜
2 多孔質支持体
3 固体酸(溶融された固体酸)
6、7 触媒層
10 触媒層−電解質膜積層体
16 カソード側触媒電極
17 アノード側触媒電極
20 膜−電極接合体
21 燃料流路
22 酸化剤ガス流路
23 外部回路
28、29 セパレータ
30 燃料電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸と多孔質支持体とを備え、
前記固体酸が溶融されて溶融体を形成し、
前記多孔質支持体が前記固体酸の溶融体中に配置されていることを特徴とするプロトン伝導性電解質膜。
【請求項2】
前記固体酸が、無機固体酸である請求項1に記載のプロトン伝導性電解質膜。
【請求項3】
前記固体酸が、プロトン伝導性を有する無機塩である請求項1又は2に記載のプロトン伝導性電解質膜。
【請求項4】
前記固体酸は、融点が300℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜。
【請求項5】
前記固体酸は、リン酸セシウムである請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜。
【請求項6】
前記固体酸は、二リン酸五水素セシウムである請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜。
【請求項7】
前記多孔質支持体は、ガラス繊維で構成される請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜と、一対の触媒層とを備え、
前記プロトン伝導性電解質膜の両面に前記触媒層がそれぞれ配置されていることを特徴とする触媒層−電解質膜積層体。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜と、一対の触媒電極とを備え、
前記プロトン伝導性電解質膜の両面に前記触媒電極がそれぞれ配置されていることを特徴とする膜−電極接合体。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜と、一対の触媒電極と、一対のセパレータとを備え、前記プロトン伝導性電解質膜の両面に前記触媒電極と前記セパレータとがそれぞれ順次積層されていることを特徴とする燃料電池。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造方法であって、
固体酸を多孔質支持体上に配置する工程と、
前記固体酸を前記多孔質支持体の溶融する温度未満、かつ前記固体酸が溶融する温度以上の温度で熱処理して溶融させ、前記多孔質支持体に浸透させる工程と
前記固体酸を浸透させた多孔質支持体を冷却して固体酸を固化する工程とを含むことを特徴とするプロトン伝導性電解質膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−64342(P2012−64342A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205567(P2010−205567)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】