説明

プロバイオティクス構成成分及び甘味剤構成成分を含む組成物

本明細書にて開示されたのは、哺乳類による摂取の時点で、プロバイオティク微生物が組成物内に存在するように十分に安定であり得る組成物である。前記組成物は、
(a)プロバイオティク構成成分、及び
(b)甘味剤構成成分、
を含み、実質的にチューインガム基質を有しない。
さらに開示されているのは、哺乳類に影響を与える、疾患又は容態を軽減するための、又は全般的な健康を増強するための、予防的、治療的処置、又は非治療的処置の方法であり、本発明に記載されるような組成物の投与を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロバイオティク構成成分及び甘味剤構成成分を含む組成物に関する。本発明は、ヒト又はペットのような哺乳類による摂取の時点で、プロバイオティク微生物が組成物内に存在するよう十分に安定である組成物を提供するために、特に有用である。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティク微生物を含有する組成物は、当該技術分野において望ましい。そのような組成物を得るための様々な商業的試みが行なわれてきたが、押出成形のような標準的な市販ペットフード製造手順への微生物の感染性と関連する問題に起因して、生存状態であるか睡眠状態であるかどうかに関係なく、これらの多くは十分に効果のある水準のプロバイオティック微生物を提供していない。例えば、特にペットフード組成物において、標準的なペットフードキブル(kibbles)をプロバイオティック微生物でコーティング又は充填する取り組みが提案されてきたが、実際には、しばしば実用的でないことがわかる。標準的な市販フードの製造に関連する問題を避けるために、他の製造業者は、標準的なフード上に散布するためのプロバイオティク微生物粉末の瓶を提供することもある。しかし、これは、市場で成功し、広範囲のヒトの使用とペットにおける使用を獲得するであろう有効な組成物を得るために、この分野におけるなお更なる開発が必要であるという、利便性と承諾(compliance)の問題をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、哺乳類による摂取の時点で、プロバイオティク微生物が組成物内に存在するように十分に安定であり得る組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記組成物は、
(a)プロバイオティク構成成分、及び
(b)甘味剤構成成分
を含み、実質的にチューインガム基質を有しない。
【0005】
さらに本発明は、哺乳類に影響を与える疾患又は健康状態を緩和する、或いは全般的な健康を増強するための予防的、治療的処置、又は非治療的処置の方法に関し、本明細書に記載されるような組成物の投与を含む。一実施形態では、本発明は、そのような組成物の投与を含む、哺乳類における胃腸の健康を増強する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
例えば、刊行物及び特許を包含する様々な文書が、本開示を通して詳述される。そのような文書はすべて、関連部分において、本明細書に参考として組み込まれる。所与のいかなる文書の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの承認として解釈されるべきではない。本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文書における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0007】
百分率及び比率は全て、特に指示がない限り、重量で計算される。百分率及び比率は全て、特に指示がない限り、組成物全体を基準にして計算される。
【0008】
本発明で使用する様々な成分を包含する構成成分の商標名が本明細書で参照される。本発明者らは本明細書において、特定の商標名の物質により限定されることを意図していない。商標名により参照されているものと同等の物質(例えば、異なる名称又は参照番号で異なる供給源から得られるもの)は、本明細書の記載において置き換えられて使用されてもよい。
【0009】
本発明の記載において、様々な実施形態又は個々の特徴が開示される。当業者には明らかであろうように、これらの実施形態及び特徴のあらゆる組み合わせが可能であり、本発明の好ましい実施となり得る。
【0010】
本明細書の組成物は、本明細書に記載されるようないかなる要素を含んでもよいし、いかなる要素から本質的に成ってもよいし、又はいかなる要素から成ってもよい。
【0011】
本発明の様々な実施形態及び個々の特徴を説明し記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正が可能である。これも明らかになるであろうが、先行する開示で教示された実施形態及び特徴のあらゆる組み合わせが可能であり、本発明の好ましい実施となり得る。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「ペット」とは、家畜を意味しており、家庭内のイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、フェレット、ウサギ、ブタなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書では、家庭内のイヌ及びネコが好ましい。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「生存能力のあるプロバイオティク微生物」等は、その生存状態にあるプロバイオティク微生物を意味し、本明細書における定義によると、睡眠状態にあるもの及び胞子を包含するが、これに限定されない。
【0014】
本発明の組成物
本発明は、プロバイオティク微生物が、哺乳類による摂取の時点で、組成物内において未だ生存状態又は睡眠状態であり、微生物の活性を維持しているように十分に安定であり得る組成物に関する。前記組成物は、
(a)プロバイオティク構成成分、及び
(b)甘味剤構成成分、
を含み、実質的にチューインガム基質を有しない。
【0015】
本明細書において気付くように、甘味剤構成成分は、プロバイオティク構成成分の安定性を管理するために有用であることが見出される。
【0016】
組成物は、経口投与可能ないずれの形態であってもよい。例えば、組成物は、錠剤、カプセル等の形態であってもよい。これらの形態は、ヒトの使用に特に有用である可能性がある。他の形態は、通常哺乳類により摂取されるフードと組み合わせて使用するための、プロバイオティク及び甘味剤構成成分を含む粉末を包含してもよい。
【0017】
本明細書の組成物は、実質的にチューインガム基質を有しない。本明細書で使用するとき、用語「チューインガム基質」は、PCT国際公開特許WO03/017951において定義されているとおりである。また本発明で使用するとき、用語「実質的にチューインガム基質を有しない」とは、組成物が、組成物の10重量%未満、或いは約5重量%未満、或いは約2重量%未満、或いは約1重量%未満、或いは0重量%のチューインガム基質を含むことを意味する。一実施形態では、本明細書の組成物は、実質的にエラストマーを含まないことが好ましい。本明細書で使用するとき、用語「実質的にエラストマーを含まない」とは、組成物が、組成物の5重量%未満、或いは約3重量%未満、或いは約1重量%未満、或いは約0.5重量%未満、或いは0重量%のエラストマーを含むことを意味する。
【0018】
一実施形態では、組成物はペットフード組成物である。本明細書で使用するとき、用語「ペットフード組成物」とは、ペットによる摂取が意図される組成物を意味する。ペットフード組成物は、日常の食事に好適な栄養学上バランスの取れた組成物、並びに栄養学上バランスが取れていることがあり得る、或いは取れていないことがあり得るサプリメント(例えば、トリーツ(treats)、食用フィルム)を、限定なしに包含してもよい。そのようにペットフード組成物又はその構成成分は、栄養学上バランスが取れていてもよく、或いは取れていなくてもよい。本明細書で使用するとき、ペットフード組成物又はその構成成分に関して、用語「栄養的にバランスの取れた」とは、組成物又は構成成分が、水を追加する必要があることを除いて、生命を維持するための必要とされる既知の栄養素を、ペットの栄養学の分野で認証された当局の推奨に基づいた適切な量及び割合で有することを意味する。
【0019】
例えば、ペットフード組成物は、当該技術分野において容易に理解され、ドライフード(例えば、少なくとも部分的に押出成形されたキブル(kibbles))と砕けにくいフード(例えば、半湿潤フード)、又はこれらの混合物である。ペットフード組成物は、サプリメントであってもよく、例えば、錠剤、カプセル等、又はビスケット、ガム、食用フィルム、若しくは他のトリーツ(treats)のような他の形態であってもよい。
【0020】
プロバイオティク構成成分及び甘味剤構成成分は、次に記載される:
プロバイオティク構成成分
プロバイオティク構成成分は、ペットの消費に好適で、ペットの胃腸管内の微生物のバランスを改善するために、又は疾患又は容態の軽減又は予防のような、ペットに対する別の効果(本発明の効果は、本明細書における下記の方法の項目において、さらに詳細に記載される)に対して有効な、1以上の酵母又は細菌性プロバイオティク微生物を含む。当該技術分野において既知の様々なプロバイオティク微生物が、本発明において使用するのに好適である。例えば、PCT国際公開特許WO03/075676(ネッスル製品社(Societe Des Produits Nestle)2003年9月18日公開)を参照のこと。
【0021】
本発明の一実施形態では、プロバイオティク構成成分は、バチルス属の細菌、バクテロイデス属の細菌、ビフィドバクテリウム属の細菌、エンテロコッカス属の細菌、(例えば、エンテロコッカス・フェシウムDSM10663)、ラクトバシラス属の細菌、及びリューコノストック属の細菌、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、プロバイオティクは、ビフィドバクテリウム属の細菌、ラクトバシラス属の細菌、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0022】
バチルス属の細菌は、胞子を形成してもよい。一実施形態では、プロバイオティク構成成分は、胞子を形成しない。
【0023】
本明細書で使用するのに好適な乳酸菌の非限定例としては、ストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・ジアセチラクチス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトバシラス・ブルガリカス、ラクトバシラス・アシドフィルス(例えば、ラクトバシラス・アシドフィルス株DSM13241)、ラクトバシラス・へルベティカス、ラクトバシラス・ビフィズス、ラクトバシラス・カセイ、ラクトバシラス・ラクチス、ラクトバシラス・プランタラム、ラクトバシラス・ラムノーサス、ラクトバシラス・デルブルエキ、ラクトバシラス・サーモフィルス、ラクトバシラス・フェルメンチイ(Lactobacillus fermentii)、ラクトバシラス・サリバリウス、ラクトバシラス・リューテリ(Lactobacillus reuteri)、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリア・アニマリス、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム、及びペディオコッカス・セレビシエの菌株類、又はこれらの混合物、好ましくはラクトバシラス・サリバリウス、ビフィドバクテリウム・インファンティス、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
非限定例としては、PCT国際公開特許WO00/42168に開示されているような、切除され洗浄されたヒトの胃腸管から単離されたビフィドバクテリウムの菌株が好ましい。例えば、英国工業海洋細菌収集機関(National Collections of Industrial and Marine Bacteria Ltd)(NCIMB)において1999年1月13日に寄託され、加入番号NCIMB41003が与えられたとして記載されている、UCC35624と指定されたビフィドバクテリウム・インファンティス菌株を使用してもよい。切除及び洗浄されたイヌ科動物又はネコ科動物の胃腸管から単離された株が、特に有用である可能性がある。
【0025】
別の非限定例としては、PCT国際公開特許WO98/35014に記載されているような、切除され洗浄されたヒトの胃腸管から単離されたラクトバシラス・サリバリウスの菌株が好ましい。英国工業海洋細菌収集機関(National Collections of Industrial and Marine Bacteria Ltd)(NCIMB)において1996年11月27日に寄託され、加入番号NCIMB40830及び40829がそれぞれ与えられたとして記載されている、UCC1及びUCC118と指定されたラクトバシラス・サリバリウス菌株がより好ましい。
【0026】
一実施形態では、本発明の組成物は、組成物1グラム当たり少なくとも約10コロニー形成単位(CFU)、又は組成物1グラム当たり少なくとも約10CFU、又は組成物1グラム当たり少なくとも約10CFUの総数の生存能力のあるプロバイオティク微生物を有する。例えば、組成物は、組成物1g当たり約1014CFUまで、組成物1g当たり約1012CFUまで、又は組成物1g当たり約1010CFUまで、又は組成物1g当たり約10CFUまでの総数の生存能力のあるプロバイオティク微生物を有してもよい。CFUは、ヨーロッパ薬局方の方法の一部(2003、項2.6.12)として提供された方法を使用して、決定される。有利に、本明細書において提供される組成物は、少なくとも約3ヶ月、或いは少なくとも約6ヶ月、或いは約3ヶ月〜約24ヶ月、或いは約6ヶ月〜約18ヶ月の貯蔵寿命を有する。本明細書で使用するとき、用語「貯蔵寿命」とは、組成物の約1%以上、或いは約5%以上、或いは約10%以上、或いは約25%以上、或いは約50%以上、或いは約75%以上のプロバイオティク微生物が、周囲環境条件に露出後の参照時間において、生存能力があるという、組成物の特性を指す。
【0027】
さらなる例として、組成物は、組成物の少なくとも約0.001重量%、或いは少なくとも約0.01重量%、或いは少なくとも約0.1重量%、或いは少なくとも約0.5重量%、或いは少なくとも約1重量%のプロバイオティク構成成分を含んでもよい。さらなる例として、組成物は、組成物の約99重量%以下、或いは約75重量%以下、或いは約50重量%以下、或いは約25重量%以下、或いは約10重量%以下、或いは約5重量%以下のプロバイオティク構成成分を含んでもよい。
【0028】
甘味剤構成成分
本明細書の組成物は、プロバイオティク構成成分の安定性に有用であることが見出される甘味剤構成成分を含む。本明細書で定義される甘味剤構成成分は、単糖類、二糖類、又はこれらのあらゆる混合物である。
【0029】
一実施形態では、本明細書の組成物は、単糖類を含む。本明細書において利用される単糖類は、一般式C2nであり、式中、nは3以上の整数である。使用されてもよい単糖類の非限定例としては、ソルビトール、マンニトール、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リブロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ソルボース、及びこれらのあらゆる混合物が挙げられる。一実施形態では、単糖類は、ソルビトール、マンニトール、グルコース、マンノース、フルクトース、又はこれらのあらゆる混合物を包含してもよい。別の実施形態では、単糖類はソルビトールである。
【0030】
一実施形態では、本明細書の組成物は、二糖類を含む。本明細書で利用される二糖類は、一般式C2n−2n−1であり、二糖類は、グリコシド結合を経由して接続する2つの単糖類単位を有する。この式において、nは3以上の整数である。本明細書で利用されてもよい二糖類の非限定例としては、スクロース、マルトース、ラクチトール、マルチトール、マルツロース、ラクトース、及びこれらのあらゆる混合物が挙げられる。別の実施形態では、単糖類はスクロースである。
【0031】
甘味剤構成成分が利用されるとき、プロバイオティク構成成分の安定性に特に好都合であり得る一実施形態では、甘味剤構成成分は、約80℃〜約140℃、又は約90℃〜約120℃の融点を有する単糖類又は二糖類を含む。非限定例としては、ソルビトール又はキシリトールのような単糖類が挙げられる。
【0032】
例として、本明細書の組成物は、組成物の少なくとも約0.001重量%、又は少なくとも約0.1重量%、又は少なくとも約1重量%又は少なくとも約5重量%、又は少なくとも約10重量%、又は少なくとも約20重量%の甘味剤構成成分を含んでもよい。さらなる例としては、本明細書の組成物は、組成物の約99重量%以下、又は約90重量%以下、又は約95重量%以下、又は約75重量%以下、又は約50重量%以下の甘味剤構成成分を含んでもよい。
【0033】
実例となる任意成分
本組成物は、所望により、1以上のさらなる構成成分、例えば本明細書において記載される任意成分を含んでもよい。
【0034】
1つの実施形態では、組成物は、乾燥物質基準で、組成物の約20重量%〜約50重量%の粗タンパク質、又は約22重量%〜約40重量%の粗タンパク質を含んでもよい。粗タンパク質材料は、タンパク質含量が少なくとも約15重量%のいずれかの材料を含んでいてよく、その非限定的な例としては、大豆、綿実及び落花生などの植物性タンパク質、カゼイン、アルブミン、及び肉組織などの動物性タンパク質が挙げられる。本明細書で有用な肉組織の非限定例としては、新鮮な肉、並びに、魚粉、家禽粉、肉粉、骨粉などのような乾燥粉又は精製粉が挙げられる。他の種類の好適な粗タンパク質源としては、小麦グルテン又はトウモロコシグルテン、及び酵母のような微生物源から抽出されたタンパク質が挙げられる。
【0035】
組成物は、脂肪の供給源を含んでもよい。一実施形態では、組成物は、乾燥物質基準で、組成物の約5重量%〜約35重量%の脂肪、好ましくは約10重量%〜約30重量%の脂肪を含んでもよい。脂肪の供給源は、広く既知であり、本明細書で使用するとき、(例として)ワックス、脂肪、脂肪酸、及び/又は脂質を包含すると解釈される。
【0036】
ワックス、脂肪、脂肪酸、又は脂質の具体例は、当該技術分野において一般的な命名法に従って、しばしば交換可能であり得、例えば、脂質は、しばしば脂肪として特徴付けられることもある。本明細書の発明者は、いかなる命名法の特定の指定に限定されることをも意図せず、ワックス、脂肪、脂肪酸、脂質等としての特定の物質の分類は、便宜上の目的のみで行なわれる。
【0037】
例えば、脂肪はカカオバター構成成分を含んでもよい。本明細書で定義されるとき、カカオバター構成成分とは、1以上のカカオバター、カカオバター増量剤、カカオバター代替物、又はカカオバター置換物を含む。所与の脂肪は、カカオバター増量剤、カカオバター代替物、又はカカオバター置換物の1つとして分類されてもよく、時にはカカオバター増量剤、カカオバター代替物、及びカカオバター置換物の2つ以上として分類されてもよい。使用されるところで、カカオバター増量剤、カカオバター代替物、及びカカオバター置換物のそれぞれは、参照部類内の特定の脂肪の1つ、又はそのような脂肪のあらゆる混合物であってもよい。
【0038】
カカオバターは、一般に当該技術分野において既知であり、一般にチョコレートを調製するのに使用されるカカオ豆からの脂肪を指すこともある。ココア豆は、カカオの木(例えば、テオブロマカカオ)の鞘から入手できる。
【0039】
カカオバター構成成分は、さらに又は代わりにカカオバター増量剤を含んでもよい。また、これらの増量剤は、一般に当該技術分野において既知であり、一般にカカオバターと同類の固形脂肪指標(SFI)特性を有する他の脂肪と称されることもある。カカオバター増量剤は、C16又はC18の脂肪酸、又はこれらの組み合わせを含有する脂肪を含んでもよい。分留された及び/又は部分的に水素添加された形態を包含する、パーム油、シア油、イリッペバター、綿実油、及び大豆油は、カカオバター増量剤の非限定例である。
【0040】
カカオバター構成成分は、さらに又は代わりにカカオバター代替物を含んでもよい。また、これらの代替物は、一般に当該技術分野において既知であり、一般に、カカオバターのものと類似の融解特性若しくは他の特性、又は構造を有する脂肪を指すこともあり、これらは、非ラウリル酸脂肪(例えば、C16又はC18)系である。これらは、その分留及び/又は部分的に水素添加された形態を包含する、パーム油、綿実油、大豆油、及び菜種油のような植物油を包含する。一例は、フムコ・オイル・プロダクツ(Humko Oil Products)(テネシー州コードバ(Cordova))から市販されている、アストラル(ASTRAL)(登録商標)R(部分的に水素添加された硬化した植物油(大豆油及び綿実油)である。
【0041】
カカオバター構成成分は、さらに又は代わりにカカオバター置換物を含んでもよい。また、これらの置換物は、一般に当該技術分野において既知でもあろうし、一般にカカオバターのものと類似の融解特性若しくは他の特性、又は構造を有する硬質脂肪を指すこともあるが、これらはラウリル酸脂肪(C12)系である。そのようなカカオバター置換物は、カカオバターの融点よりも高い融点を有する傾向があり得、組成物に熱抵抗性を与えるために、これらの置換物を興味深いものにしている。これらは、分留及び/又はその部分的に水素添加された形態を包含する、パーム核油及びココヤシ油のような植物油を包含する。
【0042】
一実施形態では、カカオバター構成成分は、大豆油、綿実油、ココヤシ油、菜種油、パーム核油、上述の分留、及び上述の部分的に水素添加された形態からなる群から選択される少なくとも1つの脂質を含む。
【0043】
代わりに又はさらに、脂肪は、動物由来の脂肪構成成分を含んでもよい。一般に当該技術分野において既知であろうように、動物由来の脂肪構成成分は、動物に由来する脂肪を含む。非限定例としては、牛肉、鶏肉、豚肉、及び羊肉(例えば、ラード及びタロー)が挙げられる。また酪農脂肪としては、例えば、乳脂肪、分留乳脂肪、及びバター脂肪が挙げられてもよい。
【0044】
一実施形態では、脂肪は、全て重量で、約5:95〜約95:5、又は約5:95〜約25:75、又は約5:95〜約50:50の比の、カカオバター構成成分と動物由来の脂肪構成成分との組み合わせを含んでもよい。本明細書の別の実施形態では、脂肪は、全て重量で、約20:80〜約45:55、又は約25:75〜約40:60の比の、カカオバター構成成分及び動物由来の脂肪構成成分を含んでもよい。
【0045】
代わりに又はさらに、脂肪は脂肪酸を含んでもよい。実例となる供給源としては、ω−3又はω−6脂肪酸が挙げられる。
【0046】
ω−3−脂肪酸は、好ましくは、メンハーデン(ニシンのような魚)を包含する海洋(魚)資源に由来するため、そのように、前記資源に由来してもよい。ω−3−脂肪酸供給源の非限定例としては、オメガ・プロテイン社(Omega Protein, Inc.)(テキサス州ヒューストン(Houston))から市販されているオメガピュア(OMEGAPURE)のような、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)又はエイコサペンタエン酸(「EPA」)が挙げられる。脂肪酸のすべての形態もまた本明細書において考慮される。例えば、DHAはトリグリセリドとして提供されることが多い。そのため、特定の脂肪酸(例えば、「DHA」)が言及される場合には、こうした脂肪酸は、脂肪酸の遊離形態及び他の形態、例えば天然起源のトリグリセリド又は他の形態を包含する。用語、DHA、EPA、又は他の特定の用語が便宜上使用されるが、このように称される物質のすべての形態を包含することが当該技術分野において一般的に理解されるであろう。
【0047】
ω−6−脂肪酸を本明細書で使用してもよい。当該技術分野においてよく理解されているように、ω−6−脂肪酸は、鎖のω(末端)炭素原子から数えた時に、脂肪酸鎖の第6炭素原子と第7炭素原子との間に位置する二重結合を有するような脂肪酸物質である。
【0048】
好適な脂肪酸の他の例としては、これらの好適な塩を包含する、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、及びラウリン酸が挙げられてもよい。好適な脂肪酸のなお更なる例としては、パルミチン酸セチル、酢酸、乳酸、又はクエン酸のモノ−及びジ−グリセリド脂肪酸、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、及びモノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド(これらのいくつかは、脂肪としても特徴付けられる)のような、脂肪酸のエステル又は他の誘導体が挙げられる。
【0049】
組成物は、ω−3−脂肪酸及びω−6−脂肪酸の混合物を、多くの場合これらの構成成分を含有する様々な物質の使用を通じて含んでもよい。本明細書に用いるための特定の組成物は、1以上の特定のω−3−脂肪酸又はω−6−脂肪酸が強化されていてもよい。
【0050】
代わりに又はさらに、組成物はワックスを含んでもよい。例えば、実例となるワックスとしては、パラフィンワックス、蜜蝋(例えば、白色又は黄色)、カルナバ蝋、キャンデリアワックス、マイクロクリスタリンワックス、コメヌカワックス、セチルエステルワックス、及び乳化ワックスが挙げられる。
【0051】
代わりに又はさらに、組成物は、セラック又はキチンのような多糖類を含んでもよい。
【0052】
本明細書の組成物は、所望により炭水化物源を含んでもよい。コメ、トウモロコシ、ミロ、サトウモロコシ、大麦、アルファルファ、小麦などのような穀粒又は穀物は、実例となる炭水化物源である。これらの炭水化物源、及びその代表的な量は、広く既知である。
【0053】
組成物は、乾燥乳清又は他の酪農副産物のような構成成分を含んでもよい。
【0054】
組成物は、発酵性繊維を含んでもよい。発酵性繊維は、当該技術分野において周知である。発酵性繊維は、動物中に存在する腸内細菌がそれを発酵させて短鎖脂肪酸又は他の代謝構成成分を生成できるいかなる繊維供給源であってもよい。こうした発酵性繊維の非限定例には、ビートパルプ(甜菜から)、アラビアゴム、タルハガム、オオバコ、コメヌカ、イナゴマメガム、シトラスパルプ、ペクチン、フラクトオリゴ糖、マンナンオリゴフルクトース、大豆繊維、アラビノガラクタン、ガラクトオリゴ糖、アラビノキシラン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
一般に、発酵性繊維は哺乳類により消化されないが、ビフィドバクテリウム属のような腸内細菌種によって代謝される可能性がある。しかしながら、すべての腸内細菌が発酵性繊維を代謝できるわけではない。特に、サルモネラ属、大腸菌、及びクロストリジウム属のような細菌は、こうした繊維をまったく有意な程度にまで処理することができない。この優先的な消化性は、部類としての発酵性繊維に対して効果があり、コンパニオンアニマルの小腸内の全般的な細菌叢を改善するために使用できる。発酵性繊維は、乳酸菌及びビフィドバクテリウム属のような「良い」細菌にのみ食物を与えるであろうので、サルモネラ属、大腸菌、及びクロストリジウム属のような有害な細菌の量は、食物供給源の減少のために低下する可能性がある。そのため、有益な細菌種のための好ましい食物供給源を提供することにより、発酵性繊維により補われた餌は「悪い」細菌の量を減らしながら「良い」腸内細菌を増加することができる。
【0056】
ビートパルプ及びフラクトオリゴ糖、特に短鎖オリゴフラクトースは、本明細書に使用するのに特に好ましい発酵性繊維である。例として、フラクトオリゴ糖は、バナナ、大麦、ニンニク、ハチミツ、タマネギ、ライ麦、ブラウンシュガー、トマト、アスパラガス、アーティチョーク、小麦、ヤーコン、又はチコリーを包含する、多様な果物又は野菜に見い出すことができる天然起源の化合物である。フラクトオリゴ糖は、例えば長鎖オリゴフラクトース(例えば、イヌリン)として、又は短鎖オリゴフラクトースとして、チコリーの根から提供されることができる。本明細書で特に有用なのは、1−ケストース(GFと略される)、ニストース(GF)、及び1F−β−フラクトフラノシルニストース(GF)の内の少なくとも1つを含むフラクトオリゴ糖である。フラクトオリゴ糖は、本明細書で記載されるもののような植物から抽出できるが、それらはまた、フルクトース単位とスクロースのフルクトース単位とのB−(2−1)−グリコシド結合によって、1、2、又は3個のフルクトース単位をスクロース分子に加えることにより人工的に形成することができる。例として、フラクトオリゴ糖は、ゴールデン・テクノロジーズ・カンパニー社(Golden Technologies Company,Incorporated)から商標ニュートラフローラ(NUTRAFLORA)(これは、1−ケストース、ニストース、及び1F−β−フラクトフラノシルニストースを含む短鎖オリゴフラクトースである)として市販されている。別の例として、短鎖フラクトオリゴ糖及びイヌリンの混合物は、プレバイオ1(PREBIO1)又は市販のラフティロース(RAFTILOSE)及びラフティライン(RAFTILINE)の混合物であり得る。
【0057】
フラクトオリゴ糖は、短鎖オリゴフラクトースであってもよく、これは当業者に周知であろう。本明細書で特に有用なのは、1−ケストース(GFと略される)、ニストース(GF)、及び1F−β−フラクトフラノシルニストース(GF)を含む短鎖オリゴフラクトースである。好ましい実施形態では、短鎖オリゴフラクトースは、短鎖オリゴフラクトースの約25重量%〜約45重量%の1−ケストース、約25重量%〜約45重量%のニストース、及び約1重量%〜約20重量%の1F−β−フラクトフラノシルニストース、或いは短鎖オリゴフラクトースの約30重量%〜約40重量%の1−ケストース、約50重量%〜約60重量%のニストース、及び約5重量%〜約15重量%の1F−β−フラクトフラノシルニストースを含む。例として、短鎖オリゴフラクトースは、ゴールデン・テクノロジーズ・カンパニー社(Golden Technologies Company,Incorporated)から商標ニュートラフローラ(NUTRAFLORA)(これは、すべて短鎖オリゴフラクトースの重量で約35重量%の1−ケストース、55重量%のニストース、及び10重量%の1F−β−フラクトフラノシルニストースを含む短鎖オリゴフラクトースである)として市販されている。
【0058】
本明細書の実施形態では、発酵性繊維は、特定の有機物消失百分率を示してもよい。この任意の実施形態では、発酵性繊維は、大腸菌により生体外で24時間にわたって発酵される時、約15%〜約60%の有機物消失(OMD)を有してもよい。即ち、初めに存在した総有機物の約15%〜約50%は、大腸菌により発酵され及び変換される。繊維の有機物消失は、或いは約20%〜約50%、或いは約30%〜約40%である。
【0059】
したがって、生体外OMD百分率は次のように計算されてもよい:
(1−((OM残留物−OMブランク)/初めのOM))×100
ここで、OM残留物は24時間の発酵の後に回収された有機物であり、OMブランクは対応するブランク管(即ち、培地及び希釈された糞便を含有するが、基質は含有しない管)中で回収された有機物であり、及び初めのOMは発酵前に管の中に設置された有機物である。手順のさらなる詳細は、サンボールド(Sunvold)らの動物科学ジャーナル(J. Anim. Sci.)、73巻、1099−1109頁(1995)に見られる。
【0060】
本明細書の1つの実施形態では、組成物は、組成物の少なくとも約0.25重量%の総発酵性繊維を含んでもよい。「総発酵性繊維」とは、組成物中に存在する各発酵性繊維の相対量を加えることにより、言及された量が決定されることを意味する。例えば、組成物が、組成物の1重量%のフラクトオリゴ糖及び0.5重量%のビートパルプを含み、他の発酵性繊維を含まない場合、組成物は、組成物の1.5重量%の総発酵性繊維を含む。或いは、本発明の組成物は、すべてペットフード組成物の重量で少なくとも約0.5重量%の総発酵性繊維、少なくとも約1重量%の総発酵性繊維、少なくとも約2重量%の総発酵性繊維、或いは約1重量%〜約20重量%の総発酵性繊維、或いは約1重量%〜約10重量%の総発酵性繊維、或いは約2重量%〜約10重量%の総発酵性繊維、又は或いは約3重量%〜約8重量%の総発酵性繊維を含んでもよい。
【0061】
焼成及び他の好適なプロセスを使用してもよいが、ペットフード組成物の調製の好適なプロセスは、少なくとも部分的に押出成形である。押出されるときには、乾燥ペットフードは、通常、キブル(kibble)の形態で提供される。プロセスは、EP0,850,569に記載されている。
【0062】
本明細書における一実施形態では、組成物は、栄養補助食品を含んでもよい。本明細書で使用するとき、「栄養補助食品」とは、健康上の効果を提供する食品(強化食品又は栄養補助食品として)を意味する。
【0063】
本明細書の組成物は、通常ペットフードの製造に付随するプロセス条件に敏感である、いかなる様々な構成成分をも含んでもよい。例えば、そのような敏感な構成成分の一体性が、(完全に又は部分的にのいずれかで)保存されてもよい。敏感な構成成分の非限定例としては、市販の標準ペットフードに包含されるとき、標準押出成形工程の間に、約10%(重量で)超過の損失、或いは約20重量%超過の損失、或いは約50重量%超過の損失を示す構成成分が挙げられる。押出成形方法は、当該技術分野において周知である。敏感な構成成分の包含される例又は代わりの例としては、ビタミンA(β−カロチン及びリコピンのような、その形態を包含する)、ビタミンC(その形態を包含する)、ビタミンE(その形態を包含する)、ビタミンD(その形態を包含する)を包含するがこれらに限定されないビタミン、フェノール、カロチノイド、アルカノイド、キサントン、ポリフェノール、β−カロチン、有機硫黄、クルクミン、ケムフェロール、アスタキサンチン、γ−グルタミルシステイン、カテキン、プテロスチルベン、カンタキサンチン、システインスルホキシド、エラグ酸、ケルセチン、ツナキサンチン、イソチオシアネート、バイカリン、トコフェロール、ミリセチン、ゼアキサンチン、フラボノイド、レスベラトロル、アントシアニン、ビキシン、イソフラボノイド、ビンポセチン、フラボノール、ルテイン、コエンザイムQ10、プロアントシアニジン、リコピン、リポ酸などのような酸化防止剤が挙げられる。
【0064】
本発明の組成物に存在することができる、さらなる物質としては、炭酸カルシウム、カルシウム、ホウ素、セレン、塩化カルシウム、塩化物、フマル酸第一鉄、酢酸亜鉛、塩化コリン、クロム、グルコン酸第一鉄、硫酸亜鉛、クロム、トリピコリネート、コバルト、酸化マグネシウム、グルコン酸亜鉛、リン酸二カルシウム、銅、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、ヨウ素、炭酸マグネシウム、リン酸一ナトリウム、鉄、クロミウム・ピコリネート、塩化カリウム、マグネシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸カリウム、マンガン、乳酸カルシウム、ソルビン酸カリウム、リン、グルコン酸カルシウム、硫酸水素ナトリウム、カリウム、塩化クロム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ナトリウム、ニコチン酸クロム、リン酸三カルシウム、亜鉛、クエン酸クロム、これらの鉱物のいずれかの酵母含有物などのような鉱物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本発明の方法
本組成物は、動物、好ましくはペットにおける経口消費後に、効果を与えるために使用することができる。この効果は、一般に、動物の全般的な健康を維持及び改善する。症状の治療的軽減、或いは予防による疾患防止、或いは全般的な健康の改善のいずれかに効果がある、動物の健康及び生理の非限定要素は、免疫系の治療、胃腸系の治療、皮膚又は外被物の治療、ストレスの治療、及びこれらの組み合わせを包含する。非限定例としては、炎症性疾患、免疫不全症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、癌(特に胃腸及び免疫系の癌)、外耳炎、下痢性疾患、抗生物質起因性の下痢、虫垂炎、自己免疫疾患、多発性硬化症、アルツハイマー疾患、アミロイド症、リウマチ様関節炎、関節炎、関節可動性、股関節異形成、真性糖尿病、インスリン耐性、細菌感染症、ウイルス感染症、真菌感染症、歯周病、泌尿生殖器疾患、特発性膀胱炎、間質性膀胱炎、外科手術関連外傷、外科手術誘発転移性疾患、敗血症、体重減少、体重増加、過度の脂肪組織蓄積、拒食症、発熱の制御、悪液質、創傷治癒、潰瘍、腸バリア感染症、アレルギー、喘息、呼吸器疾患、循環器疾患、冠状動脈性心疾患、貧血、血液凝固系の疾患、腎疾患、中枢神経系疾患、肝疾患、虚血、栄養性疾患、視床下部−下垂体−副腎(HPA)軸を包含する疾患の処置又は防止、骨粗鬆症、内分泌疾患、及び表皮疾患が挙げられる。好ましいのは、下痢の治療又は防止、免疫系調節を包含する胃腸管の治療、好ましくは自己免疫疾患及び炎症の治療又は防止、皮膚及び/又は外被物系の健康の維持又は改善、好ましくは皮膚のアトピー性疾患の治療又は防止、視床下部−下垂体−副腎(HPA)軸を包含する疾患の治療又は防止、精神的認識及び活性水準を包含する老化の影響の改善又は低減、並びに感染中及び感染後の体重減少の防止である。
【0066】
免疫調節
以上で開示した疾患の処置は、当業者に既知の技術を使用して評価することができる。例えば、自己免疫疾患及び炎症を含めた炎症性疾患は、リンパ球幼若化現象、ナチュラルキラー細胞活性、ワクチンに対する抗体反応、遅延型過敏症、及びこれらの組み合わせなど、インビボ免疫機能試験を使用して検出及び監視されてもよい。本明細書でこのような方法について簡単に説明するが、これらは当業者には周知でもある。
1.リンパ球幼若化現象:このアッセイは、様々なマイトジェンに対する試験動物及び対照動物の新鮮な全血から単離されたリンパ球の生体外増殖反応を評価し、全般的なT細胞及びB細胞の機能の指標となる。簡潔に言えば、当業者に既知のフィコール・ハイパーク(Ficoll-Hypaque)密度遠心分離法によって、全血から末梢血単核球(PBMC)を単離する。単離したPBMCを、HEPES、L−グルタミン、及びペニシリン/ストレプトマイシンを加えたRPMI1640細胞培地で2回洗浄する。洗浄した細胞を、RPMI1640中に再懸濁させ、計数し、細胞密度を適切に調節する。2×10個の細胞を、一連の濃度(0.1μg/mL〜100μg/mL)の様々なマイトジェンに暴露する:その幾つの例としては、ポークウィードマイトジェン(ギブコ(Gibco))、フィトヘマグルチニン(ギブコ(Gibco))、及びコンカナバリンA(シグマ(Sigma))が挙げられ、10%ウシ胎児血清(シグマ(Sigma))を用い、5%COで37℃72時間にわたって、3回暴露する。54時間経過後に、細胞を1μCiH−チミジンでパルスし、細胞を集め、72時間後にトップカウントNXT(TopCount NXT)でシンチレーションカウントを読み取る。
2.ナチュラルキラー細胞活性:米国特許第6,310,090号に記載されているように、このアッセイは、試験動物及び対照動物の新鮮な全血から単離されたナチュラルキラー細胞の生体外エフェクター活性を評価する。ナチュラルキラー細胞は、哺乳類の先天性免疫機能の構成成分である。NK細胞の細胞毒性を評価する際の標的細胞として、イヌ科動物の甲状腺癌細胞を使用する。この細胞株は、以前にイヌ科動物のNK細胞によって死滅しやすいことが示されている。標的細胞は、10%ウシ胎仔血清(FCS)、100U/mLのペニシリン、及び100μg/mLのストレプトマイシンを付加した、20mLの最小必須培地(MEM;シグマ化学社(Sigma Chem. Co.)、(ミズーリ州セントルイス(St. Louis)))を用いて、T75フラスコ内で培養される。コンフルエントになったら、標的細胞をトリプシン処理し、3回洗浄して、完全培地(RPMI−1640+10%FCS+100U/mLペニシリン+100μg/mLストレプトマイシン)中に細胞数5×10個/mLに再懸濁させる。標的細胞の100μLアリコート3つを、96ウェルU底プレート(マサチューセッツ州ケンブリッジ(Cambridge)のコスター(Costar))にピペットで入れ、8時間インキュベートし、細胞接着させる。次いで、フィコール・ハイパーク(Ficoll-Hypaque)分離(前述)によって単離されたリンパ球(エフェクター細胞;100μL)を標的細胞に加えて、エフェクター/標的細胞(E:T)比を10:1にする。37℃で10時間インキュベートした後、5μgの3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を含有する基質20μLを加える。当該混合物を、37℃で4時間インキュベートし、その後、未代謝のMTTを吸引によって除去する。200μLの95%エタノールを加えることによってホルマザン結晶を溶解させる。マイクロプレートリーダーを使用して570nmで光学密度を測定する。NK細胞特異的溶解の百分率を次のように計算する:
特異的細胞毒性(%)=100×{1−[(標的細胞及びエフェクター細胞のOD−エフェクター細胞のOD)/(標的細胞のOD)]}
3.ワクチンに対する抗体反応:少なくとも12週間プロバイオティク餌又は対照餌を与えた後、被験体にワクチンのアレイ(最大5まで)を与える。ワクチンは、新規ワクチンと余剰ワクチンの混合物であってよい。使用してよいワクチンアレイの非限定例としては、フォートダッジアニマルヘルス(Fort Dodge Animal Health)によって調製されたワクチンの混合物が挙げられる。本明細書に用いるのに好適なワクチンの非限定例としては、イヌジステンパー、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザ、及びパルボウイルスが挙げられる。被験体のワクチン歴が、使用すべきワクチンを決定することになる。所与のワクチンに対する特異的抗体を、血液中で3週間にわたって測定し、対照餌群及びプロバイオティク餌群における反応の長さ及び強度を比較する。
4.遅延型過敏症:これは、免疫系の状態を評価する生体内での非侵襲的方法である。この試験は、ポリクローナルマイトジェンであるフィトヘマグルチニン(PHA)と、ヒツジ赤血球、多価ワクチン、ヒスタミン(100μLの0.0275g/Lリン酸ヒスタミン;グリア(Greer)、ノースカロライナ州ルノワール(Lenoir))、又はPBS(100μLの8.5g/Lリン酸緩衝生理食塩水;シグマ(Sigma))とを組み合わせた、皮内注射を含む。注射後0、24、48、及び72時間の時間間隔でキャリパーを使用した皮下脂肪の厚さとして、抗原に対する免疫反応を記録する。皮下脂肪の厚さの増加は、本発明の細菌による処置によって減少するはずの過敏性反応が大きいことを示す。
【0067】
本発明の組成物の効果を確定するためのさらなる方法は、米国特許第6,133,323号、及び同第6,310,090号に記載されている。
【0068】
身体組成
体脂肪量、除脂肪量、及び骨塩量を包含する身体組成を測定するための二重X線吸収法又はコンピュータ断層撮影(CT)スキャンを使用して、老化の影響の改善を判定してもよい。同様に、この方法を使用して、感染後の被験体における体重減少又は骨密度のような解剖学的変化を判定してもよい。
【0069】
ストレス低減
また本発明は、ペットにおける気分を向上すること又は憂鬱を軽減することを包含するストレスレベルの軽減のような、視床下部−下垂体−副腎(HPA)軸の過剰活性に関連する疾患を軽減する方法において使用されてもよい。エピネフリン、ノルエピネフリン、ドーパミン、コルチゾール、及びC反応性タンパク質を包含する血中ストレスホルモンの濃度を測定して、ストレスレベル及びそれらの低減または維持を判定してもよい。これらのホルモンは、認識されているストレスのバイオマーカーであり、当業者に既知の技術を使用して容易に測定することができる。さらに、副腎肥大は、HPA軸の上昇された活性の結果であるので、CT画像化による副腎の大きさの直接測定も採用してもよい。また、HPA軸の活性の生化学的及び生理学的測定には、哺乳類の気分又はストレスレベルを確認するために、行動評価が付随してもよい。
【0070】
皮膚及び外被物の健康
なおさらに、皮膚のアトピー性疾患、皮膚バリア機能の改善、又は皮膚の微生物生態学の最適化を包含する、ペットの皮膚又は外被物系の健康の維持又は改善は、2人の訓練された個人によって行なわれる皮膚及び外被物の評価を使用して測定されてもよい。このような評価の際に調査される基準の例としては、次が挙げられる:
a)脱毛指数:脱毛指数は、標準化ブラッシングセッションの間に生じた毛を回収することによって各被験体に割り当てられる。毛を保管して計量し、対照と被験体とを比較する。
b)主観的皮膚/毛測定:訓練された官能試験員が、脱毛、フケ、光沢、均一性、柔軟性及び密度を測定することによって皮膚及び外被物の状態を主観的に測定する。
c)皮膚機能測定:皮膚のバリア機能を、アセトン浸漬したガーゼで皮膚表面を拭くことによって測定してもよい。この手法は、単一の細胞層及び関連した角質層の脂質画分を除去することによって皮膚バリアを効果的に破壊する。当業者に既知の方法を使用して、経表皮水分損失(TEWL)の増加及び発作部位の赤色度を測定することによって、バリアの破壊を定量化する。前述のカメラ及び照明システムを使用して、発赤(紅斑)スコアを得る。破壊の直前及び直後、並びに5時間及び24時間エンドポイントにおいて、TEWLの読み値及び発赤スコアを獲得して、皮膚の保護及び治癒特性を評価する。
【0071】
胃腸の健康
ペットにおいて、腸の健康を改善するため、或いは下痢及び炎症性腸疾患を包含する腸の疾患を処置又は防止するための、本発明の使用は、大便スコアを使用して測定されてもよい。大便スコアは、次の指針に従って毎日記録されてもよく、本発明による細菌の給餌前及び給餌後に対照群と試験群とを比較する。
【0072】
得点:5 極めて乾燥している
この大便は硬く表面にくっつかない。大便は、押されると転がるであろう。大便を拾い上げたときに、くぼみができない。大便は、完全な単一体ではなく、個別の大便の集団として排泄されることが多い。大便は、収集後に元の形状を維持している。
【0073】
得点:4 しっかりしている(Firm)(理想的大便)
この大便は、しっかりしていて(firm)、良い形状であり、円筒形である。この大便は、拾い上げたときに容易にはばらばらにならない。この大便は、表面及び手袋に残留物を残す可能性がある。この大便は、単一体として排泄されることが多い。大便は、収集後に元の形状を維持している。
【0074】
得点:3 柔らかい、形状がある
この大便は柔らかいが、明確な形状がある。この大便は、容易にばらばらになり、表面及び手袋に確実に残留物を残すであろう。大便は、収集後に元の形状を失うことが多い。この大便は、別のスコアと共に存在することが多いが、大便試料全体を含むことができる。
【0075】
得点:2 柔らかい、形状がない
この大便は柔らかく、円筒形状を有さない。「2」に関連することが多い形状は、「牛肉パティ(cow patty)」形である。この大便は、収集されると元の形状を失い、表面及び手袋に確実に残留物を残すであろう。この大便スコアは、別のスコアと共に存在することが多いが、大便試料全体を含むことができる。この大便試料は、数インチ(1インチ=2.54センチ)の面積に広がる可能性がある。
【0076】
得点:1 液体
この大便のスコアは常に液体に似ており、粒子状物質が存在しても又は存在しなくてもよい。この大便は、完全な単一体ではなく、集合体(groups of piles)として排泄されることが多いであろう。この大便試料と共に粘液が存在することが多い。この大便試料は、収集が非常に困難であり、常に表面及び手袋に残留物が残る。この大便試料は、数インチの面積に広がる可能性がある。
【0077】
またさらに、血便、大便中の異物、又は大便中の粘液を包含する他の観察結果も記録される。
【0078】
本発明の使用方法は、臭気を引き起こす糞便及び尿において、化合物の生成を低減することにより、糞便及び/又は猫用トイレの臭気を低減するのに用いられてもよい。臭気を引き起こす化合物の非限定例としては、アンモニア、インドール、フェノール、アミン、分枝鎖脂肪酸、及び揮発性硫黄含有化合物が挙げられる。例えば、糞便のアンモニア濃度は、動物を本発明で治療した後に、次の方法を使用して測定することができる:新鮮な糞便の試料(5.0g)を40mLの2規定のHClを含有するプラスチックバイアル瓶内に量り入れる。試料は、サンプリング期間の終わりまで、4℃で保存される。その後、NHN及びラクテートの分析のために、試料が準備される(エルビン(Erwin)ら、1961年)。比色分析で、NHN(チャニー(Chaney)及びマーバッシュ(Marbach)、1962年)並びにラクテート(ベーカー(Baker)及びサマーソン(Summerson)、1941年)を分析するために、前記調製品の上澄みが使用される。さらに、知覚される糞便の臭気は、次のように人によりスコアを付けることができる:糞便の試料の収集に際し、訓練された個人が臭気にスコアを付ける。また糞便の臭気スコアは、1が最も臭わない、5が最も臭うという、1〜5の基準に基づく。
【0079】
さらに、ペットにおける胃腸感染症の処置は、ペットの腸内微生物生態系の改善を含んでもよい。ペットの微生物生態系の改善は、好ましくは、ペットの糞便中の病原菌量の低減を含む。ペットの糞便中に存在する病原菌の量は、当業者に既知の標準的な平板計数法を使用して数えてもよい。より好ましくは、病原菌は、クロストリジウム、エシェリキア、サルモネラ、バクテロイデス、カンピロバクター、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。好適な病原菌株の非限定例としては、ウェルシュ菌(C.perfringens)、クロストリジウム・ディフィシレ(C.difficile)、大腸菌(Eschericia coli)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0080】
尿路の健康
また、本発明の方法は、動物、好ましくはペットの尿路の予防的処置又は治療的処置のいずれかを包含してもよい。尿路の処置の非限定例としては、尿路感染症の治療又は防止、尿道結石を包含する腎疾患の治療又は防止、膀胱感染症の治療又は防止などが挙げられる。理論に束縛されるものではないが、本発明は、生体外にて立証されるように、これら病気の防止に有用であり、その結果、シュウ酸−、スルツバイド−、又は尿酸−含有結晶を分解する能力があると考えられる。シュウ酸は、尿代謝の副産物であり、腎臓、膀胱、及び他の尿道結石を引き起こし、尿路感染症を引き起こす不溶性沈殿物を形成する可能性がある。腸内シュウ酸を分解することにより、したがって尿路でのシュウ酸の沈殿及び蓄積を潜在的に防止することによって、本発明は、尿路の感染症及び他の病気を治療及び防止し得る。シュウ酸の分解は、生体外で、ボーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim)/R−ビオファーム(Biopharm)から市販されているシュウ酸試験キットcat♯755699を使用して測定されてもよく、尿の試料で高性能液体クロマトグラフィーにより測定されてもよい。
【0081】
栄養素消化
本発明は、繊維、脂肪、タンパク質、ビタミン、及びミネラルの消化又は吸収(集合的に「栄養素消化」と称される)を改善することを含む、ペットの健康を改善又は維持するための方法において使用されてもよい。繊維消化の改善は、前記プロバイオティク細菌及び有益な内在性微生物相の増殖を促進し、それがある種の潜在的病原菌の抑制に役立つので望ましい。さらに、ヒトにおける腸内発酵に起因した、毒性代謝産物及び有害酵素の量の減少が、文書で立証されている(トモマツ(Tomomatsu)、「オリゴ糖の健康効果(Health effects of oligosaccharides)」、(1994)食品技術(Food Technol)、48巻、61〜65頁)。繊維消化は、希釈した糞便試料を使用して接種する代わりに、各実験が関心の細菌の株の純粋培養を使用したこと以外は、ビッカーズ(Vickers)らによる、「イヌ科動物の結腸の微生物相による選択されたフラクトオリゴ糖及び他の繊維基材の発酵の比較(Comparison of fermentation of selected fructooligosaccharides and other fiber substrates by canine colonic microflora)」、(2001)Am.J.Vet.Res.61巻、No.4、609−615頁に記載の方法を使用して決定されてもよい。
【0082】
関節の健康
さらに本発明は、ペットにおける関節疾患を処置又は防止し、その結果、これらの動物の活動及び生活の質を向上するために使用されてもよい。関節疾患の例としては、可動性障害、変形性関節症、リウマチ様関節炎、臀部、肘及び膝の異形成、脊椎症、並びに外傷後関節炎症が挙げられる。例えば、ある程度の跛行を有する犬は、本組成物を全部で90日食べてもよく、獣医により、0、30、60、及び90日に、体重、ボディ・コンディション・スコア、皮膚及び外被物の評価、並びに整形外科評価が検査されるであろう。整形外科評価は、跛行の程度、体重負荷、高体重負荷(challenged weight bearing)への抵抗性、後足の伸張、並びに、歩く及び走るための犬の能力への視覚的影響力を包含するであろう。また、関節の角度及び動作の範囲は、手動の角度測定により決定されてもよい。さらに、フォースプレート(force-plate)分析を、関節の健康を決定するために使用することができる。所有者は、全般的な生活の質、及び知覚される動物の関節の健康を評価するために、0日、30日、60日、及び90日に、アンケートに記入する。
【0083】
1つの実施形態では、方法は、本明細書に記載される組成物の、ペットへの直接の経口投与に関する。この方法に用いられる組成物の様々な実施形態としては、形態又は組成、及びその中に含有される様々な構成成分の量が挙げられ、本明細書において詳細に記載される。
【0084】
本発明のプロセスに関連して、本明細書で使用する時、用語「経口投与する」、「経口投与」等は、ペットが1以上の本明細書に記載される組成物を摂取する、又は摂取するよう指示されること、或いは前記ペットの所有者が、ペットが1以上の組成物を摂取するよう指示されることを意味する。飼い主が提供するように指示される場合、こうした指示は、組成物の使用が、胃腸管の治療又は本明細書で記載される他の使用方法のような、本明細書で記載される1以上の効果を提供し得る又は提供するであろうことを、飼い主に教える又は知らせるものであってもよい。さらに又は代わりに、指示は、組成物が生きたプロバイオティク培養物を含有することであってもよい(所望により、存在する又は保証される、生きたプロバイオティク培養物の量に関する指示を包含する)。例えば、こうした指示は、口頭指示[例えば、獣医、他の保健専門家、専門販売員又は組織、並びに/若しくはラジオ又はテレビ媒体(すなわち、広告)からの口頭指導]を通じて、或いは、書面での指示[例えば、獣医又は他の保健専門家からの書面での指示(例えば、手書きメモ)、専門販売員又は組織からの書面での指示(例えば、広告用チラシ、パンフレット、又は他の教育用品を通じて)、文字媒体からの書面での指示(例えば、インターネット、電子メール、又は他のコンピュータ関連媒体)、並びに/若しくは組成物に付随する収容手段からの書面での指示(例えば、組成物を収容する包装上に存在するラベル)]を通じてであってもよい。
【0085】
組成物は、様々な頻度又は持続時間に従って投与されてよい。例えば、組成物は、通常少なくとも1週間に1回、又は少なくとも1週間に3回、又は1日に1回〜1日に約4回、或いは1日に1回〜1日に約3回、或いは1日に1回〜1日に約2回、或いは適宜投与される。本明細書の効果を達成するために、組成物が、少なくとも約1週間、或いは少なくとも約2週間、或いは少なくとも約3週間、或いは少なくとも約4週間、或いは少なくとも約6週間、或いは少なくとも約8週間、又は期間無制限に投与されることが好ましい。
【0086】
一実施形態では、ペットフード組成物は、食用フィルムであってもよい。食用フィルムは、付与されるコーティング、及び少なくとも1つのフィルム層、少なくとも2つのフィルム層を包含できる。
【0087】
フィルム層は、あらゆるポリマー、軟化剤、充填剤、マトリックス、又は他の組成物から作製されてもよい。フィルムは、特定の厚さのフィルムにおいて、口腔で許容できる溶解速度を有する。例えば、フィルムが厚さ50μmを有するとき、フィルムが、約15秒以内に口腔で溶けることが、望ましくあり得る。或いは、フィルムは、よりゆっくり溶けることが望ましくあり得る。例として、フィルムは、プルラン、加工デンプン、ペクチン、カラギーナン、マルトデキストリン、又はアルギネートで作製されることができるが、これらに限定されない。適用されるコーティングは、組成物、及びそこに含有される様々な構成成分の量を含むことができ、本明細書において詳細に記載される。好ましくは、付与されるコーティングは、本明細書において記載されるプロバイオティク構成成分及び甘味剤構成成分を含有する。
【0088】
フィルム層は、天然又は合成水溶性ポリマーを含む高水溶性ポリマーを使用して製造できる。ポリマーは、好ましくは良好なフィルム成形性を有し、柔らかい可撓性フィルムを製造し、ペットの消費に安全である。前記ポリマーの1つは、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロースの塩のような水溶性セルロース誘導体であり得る。或いは、ポリマーは、アクリル酸コポリマー、又はそのナトリウム塩、カリウム塩、若しくはアンモニウム塩を含むことができる。アクリル酸コポリマー又はその塩は、メタクリル酸、コモノマーとしてのエーテルのスチレン又はビニル型、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンブリコール(blycol)、ヒドロキシプロピルデンプン、アルギン酸又はその塩、トランガカンス(trangacanth)、バム(bum)ゼラチン、コラーゲン、変性ゼラチン、及びコハク酸又は無水フタル酸で処理したコラーゲンのような多糖類又はその誘導体と組み合わせることができる。
【0089】
また、フィルム層を製造するために、次のものを限定なしに使用することができる:プルラン、マルトデキストリン、ペクチン、アルギネート、カラギーナン、グアーガム、他のゼラチン等。フィルム層の厚さは、所望により変えることができるが、通常0.01mm〜3.00mm、好ましくは0.03mm〜1.00mmの範囲である。
【0090】
付与されるコーティングは、フィルム層の片面又は両面に付与されることができる。フィルム層は、フィルム層の上面に上側外表面を包含し、フィルムの底面に下側外表面を包含する。上側外表面は、一般に下側外表面と平行である。フィルムの上面は、一般にフィルムの底面と平行である。
【0091】
一実施形態では、食用フィルムは、第一層及び第二層を含むことができ、該層が互いに、該層の周辺の少なくとも一部に沿って固定され、該層および開口部の間において、付与されるコーティングを受容できる内部容積を形成する。その後、当該技術分野において周知の密封方法を使用して、前記層が、前記層の前記周辺部の周囲において完全に密封されることができる。一般に、これらは熱密封機の使用を包含する。
【実施例】
【0092】
次の実施例は、本発明を例示するために提供するものであり、いかなる形でも本発明の範囲を制限しようとするものではない。
【0093】
(実施例1)
本発明の組成物は、次の個々の構成成分を指示された量で含む:
【表1】

【0094】
カカオバターを温度100℃で1時間加熱した後、40℃に冷却する。相対湿度10%のグローブボックス内で、プロバイオティク微生物をカカオバターに添加する。ソルビトールを204℃に加熱した後、相対湿度12%で49℃に冷却する。ソルビトールを、カカオバターとプロバイオティク微生物との混合物と混合し、均一に分散した材料を提供する。この材料を望ましい形状及び大きさの複数個の型に注ぎ、さらに冷却する。胃腸の健康上の効果のために、哺乳類に、組成物1グラム当たりおよそ8×10CFUのプロバイオティク微生物を含む組成物の単回投与を1日1回、フードと共に投与する。
【0095】
(実施例2)
本発明の組成物は、次の個々の構成成分を指示された量で含む:
【表2】

【0096】
組成物は次のように調製される:約75%(重量)のカカオバターを100℃で約1時間加熱した後、40℃に冷却する。相対湿度10%のグローブボックス内で、約50%(重量)のビフィドバクテリウム・インファンティスをカカオバターに添加する。ソルビトールを204℃に加熱した後、相対湿度12%で49℃に冷却する。カカオバターとビフィドバクテリウム・インファンティスとの混合物、クエン酸、ラズベリーフレーバー、及び食用色素をソルビトールと混合し、均一に分散した材料を提供する。この材料は、ペットサプリメントのために各々適した大きさの複数個のスティック内に丸め入れられる。
【0097】
(実施例3)
本発明の組成物は、次の個々の構成成分を指示された量で含む:
【表3】

【0098】
組成物は、次のように調製される:約60%(重量)のカカオバターを100℃で約1時間加熱した後、40℃に冷却する。相対湿度10%のグローブボックス内で、約50%(重量)のビフィドバクテリウム・アニマリスをカカオバターに添加する。カルチャーテク(Culturetech)064(82℃のオーブン内で一晩加熱)、パーム核油(121℃)、乳酸粉末(82℃のオーブン内で一晩加熱)、及び乳白色コーティング(約60℃で一晩スパン乾燥される)を温度35℃で約30分間〜1時間共に混合し、白色コーティング混合物を提供する。残りのビフィドバクテリウム・アニマリスと約1/2の残りのカカオバターとを、直径約1〜2mmの切片に細分し、白色コーティング混合物を通じて分散させる。最終混合物をカップに注ぎ、15℃に冷却して凝固させる。混合物は、周囲環境条件にて、回転パン内で3時間ボールに丸められる。糖を、ボール上にコーティングを形成するために添加する。ボールをプラスチックバック内で温度約5℃に冷却した後、約32℃で残りのカカオバターでコーティングする。次に、コーティングされたボールを回転パン内に置き、コーティングゴムL溶液を均一に分配することにより、糖コーティングの事前コーティングをする。ボールを16時間乾燥させる。次に、ボールに白色シロップを付与するために、二酸化チタンを含有する糖溶液を使用し、続いてオレンジ・オパカラー(orange Opacolor)を含有する糖溶液を付与する。ボールを再び16時間乾燥した後、カルナウバワックスでつやを出す。
【0099】
(実施例4)
ペットフード組成物は、食料フィルムであり得るペットサプリメントであり得る。食用フィルムは、次のように調製される:Aw(水分活性)<0.2の食用フィルムは、ワトソン・フーズ(Watson Foods)(コネチカット州ウェストヘーブン(West Haven))から入手することができる。フィルム(56mm×60mm)は、食用高分子物質の二層を組み合わせ、層の周辺部の少なくとも一部を封止することにより作製でき、層と開口部との間に、付与されるコーティングを受容できる内部容積を形成する。市販のタローは、100℃で1時間事前加熱後、50℃に冷却することができる。40gのAHC7プロバイオティクを260gのタローと50℃で混合することができる。次に、プロバイオティク/タロー混合物の付与コーティングのおよそ3mLのアリコートを、開口部を通じて内部容積内に、全重量(食用フィルムとプロバイオティクの混合)の2.5〜3.0gで、置くことができる。その後、食用フィルムを、嫌気性の部屋(酸素<500ppm)に移動し、市販の複数温度熱密封機を使用して層の周辺部の周囲において完全に熱密封し、プラスチックで裏打ちしたアルミニウム袋に入れることができる。プロバイオティクの初期活性は、1.9・10CFU/gである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)プロバイオティク構成成分、及び
(b)甘味剤構成成分、
を含むことを特徴とする組成物であって、
実質的にチューインガム基質を有しない、組成物。
【請求項2】
前記プロバイオティク構成成分が細菌を含み、該細菌が、バチルス、バクテロイデス、ビフィドバクテリウム、エンテロコッカス、ラクトバシラス、及びリューコノストック、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される属を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記甘味剤構成成分が、単糖類、二糖類、及びこれらの混合物からなる群から選択される甘味剤を含み、好ましくは前記甘味剤構成成分が、ソルビトール、マンニトール、グルコース、マンノース、フルクトース、及びこれらの混合物からなる群から選択される単糖類を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
コーティング構成成分をさらに含み、該コーティング構成成分が、甘味剤構成成分の少なくとも一部を含み、好ましくは該コーティング構成成分が、二糖類を含み、好ましくは該コーティング構成成分が、スクロースを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物がペットフード組成物であり、好ましくは該ペットフード組成物が、栄養学上バランスの取れたペットフード組成物である、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物がペットフードサプリメントである、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ペットフードサプリメントが食用フィルムであり、該食用フィルムが、第一層及び第二層を含み、該層が互いに、該層の周辺部の少なくとも一部に沿って固定され、該層および開口部の間において、付与されるコーティングを受容できる内部容積を形成しており、前記層が、前記層の前記周辺部の周囲において完全に封止されている、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記付与されるコーティングが、プロバイオティク構成成分及び甘味剤構成成分を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
組成物の約0.001重量%〜約50重量%の細菌、及び約50重量%〜約99重量%のソルビトールを含み、好ましくは組成物の約0.001重量%〜約10重量%の細菌、及び約50重量%〜約99重量%のソルビトールを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
哺乳類の健康の増強用の薬剤を製造するための組成物の使用であり、健康の増強が胃腸の健康の増強である、先行する請求項のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項12】
健康の増強が、薬剤の経口投与を含み、該経口投与が1日1回〜1日4回であり、好ましくは少なくとも1週間に1回であり、より好ましくは少なくとも1ヶ月に1回であり、好ましくは該経口投与が任意である、請求項10に記載の使用。
【請求項13】
哺乳類がペットである、請求項11に記載の使用。

【公表番号】特表2008−535520(P2008−535520A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506508(P2008−506508)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/012563
【国際公開番号】WO2006/110406
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(595056859)ザ・アイムス・カンパニー (52)
【氏名又は名称原語表記】The Iams Company
【Fターム(参考)】