説明

プロバイオティクス油懸濁液およびその使用

本発明は、懸濁液中におけるプロバイオティック微生物の高濃度の要件と当該懸濁液を真空注入に適用可能にする物理特性の要件との釣り合いを取ることを特徴とする、押出プロバイオティック食品への真空注入のためのプロバイオティクス/油懸濁液を提供する。さらに、当該懸濁液を調製する方法ならびに押出プロバイオティック食品の製造におけるその使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野
本発明は、押出プロバイオティック食品への真空注入のためのプロバイオティクス/油懸濁液の提供に関する。さらに、本発明は、当該プロバイオティクス/油懸濁液を調製する方法に関する。最後に、本発明は、押出プロバイオティック食品の製造においてプロバイオティクス/油懸濁液を使用する方法ならびに当該方法によって得られる押出プロバイオティック食品に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
長期貯蔵のための長期の生存能力を有するプロバイオティック微生物を含有する食品組成物を実現するために様々な商業的試みが為されてきたが、これらの多くは、当該微生物が押出などの標準的な商業ペットフード製造手順に対して脆弱であることに関連する問題のために、生存能力のあるプロバイオティック微生物の十分に効果的な濃度を提供できてはいない。例えば、標準的ペットフードキブルをプロバイオティック微生物でコーティングまたは充填するための努力が提案されてはいるが、実際には、多くの場合、実現不可能であることが判明している。
【0003】
国際公開第01/95745号(特許文献1)では、油溶液中にプロバイオティック微生物などの不安定な基質を含む、多孔質構造を特徴とする食品(キブル)を製造する方法であって、該基質を、「部分的真空」およびその後容器中に不活性ガスを放出することにより圧力を正常化する工程によって流動性形態で当該食品中に封入する、方法が提供されている。
【0004】
国際公開第05/070232号(特許文献2)では、国際公開第01/95745号(特許文献1)と同様に食品を製造する方法であって、さらに、油が少なくとも20の固体脂指数を有することを特徴とする方法が提供されている。国際公開第05/070232号(特許文献2)では、ビヒクルの固体脂指数が、20℃において少なくとも20である脂肪の使用が不可欠であり、かつ好ましいビヒクルはココナツ油であり、さらに好ましくはパーム油であることが開示されている。
【0005】
国際公開第03/009710号(特許文献3)では、オンライン混合のためのシステムおよび方法、ならびに食品用の表面コーティング組成物の適用について開示されており、さらに機器についても開示されている。当該機器は、液体−液体混合モジュールにインラインで接続されている乾燥物質−液体混合モジュール(この場合、乾燥物質はプロバイオティクスであり得る)を含み、この場合、1種類以上の液体を(プロバイオティクスを含んでいる可能性のある)第一液体中に混合することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第01/95745号
【特許文献2】国際公開第05/070232号
【特許文献3】国際公開第03/009710号
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、懸濁液中におけるプロバイオティック微生物の高濃度の要件と当該懸濁液を真空注入に適用可能にする物理特性の要件との釣り合いを取ることを特徴とする、押出プロバイオティック食品への真空注入のためのプロバイオティクス/油懸濁液の提供に関する。
【0008】
したがって、本発明の一局面は、押出プロバイオティック食品への真空注入のための懸濁液であって、油と、当該油に対して106〜1016CFU/kgの濃度の少なくとも1種類のプロバイオティック微生物とを含み、かつ20℃において0.08パスカル秒(Pa・s)未満の動粘度を有する、懸濁液に関する。
【0009】
代替の一局面において、本発明は、押出プロバイオティック食品への真空注入のための懸濁液であって、油と、当該油に対して106〜1016CFU/kgの濃度の少なくとも1種類のプロバイオティック微生物とを含み、ならびに当該油が20℃において0.08パスカル秒(Pa・s )未満の動粘度を有する、懸濁液に関する。
【0010】
本発明の懸濁液は、減圧下において当該食品上に当該懸濁液を噴霧することによる食品への当該懸濁液の適用に対して好適な懸濁液を得るために、当該懸濁液のために好適な成分を選択し、当該懸濁液中の当該成分の釣り合いを取ることによって、当該真空注入プロセスに適合される。
【0011】
本発明の別の局面は、
a)少なくとも1種類のプロバイオティック微生物を、乾燥粉末に対して109〜1017CFU/kgの総濃度を有する乾燥粉末形態で提供する工程と、
b)油を提供する工程と、
c)容器中において室温で連続的に撹拌しながら、油100kg当たり0.3〜15kgの当該プロバイオティック微生物粉末を当該油に加えて、懸濁液プレミックスを作成する工程と、
d)c)の懸濁液プレミックスを、混合手段を備えた貯蔵タンクに移動させる工程であって、ただし、当該移動が真空吸引によるものではない、工程と、
e)均一に分散されたプロバイオティック微生物の懸濁液を得るために、当該プレミックス懸濁液をRTで混合して当該懸濁液を得る工程と
を含む、本発明の懸濁液を調製する方法に関する。
【0012】
本発明のさらに別の局面は、少なくとも1種類のプロバイオティック微生物を含む押出食品を製造する方法であって、本発明の懸濁液の真空封入によって当該プロバイオティック微生物が当該食品の構造全体に均一に分散される、方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の局面は、押出食品を製造するための上記の方法によって得られる押出プロバイオティック食品を提供することである。
【0014】
本発明の最後の局面は、押出プロバイオティック食品の調製のための、本発明の懸濁液の使用であって、該懸濁液が、油と、当該油に対して107〜1017CFU/kgの濃度の少なくとも1種類のプロバイオティック微生物とを含み、かつ20℃において0.08パスカル秒(Pa・s )未満の動粘度を有する、使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】表1:選択された油のタイプの粘度と温度の関係。粘度はレオメーターを使用して測定した。20℃と25℃の間のΔ粘度を示している。さらなる詳細については実施例1を参照のこと。
【図2】20〜25℃の温度範囲内での、選択された油のタイプの粘度と温度の関係を示す。1:粗魚油、2:サケ油A、4:タラ肝油、5:サケ油B。さらなる詳細については実施例1を参照のこと。
【図3】本発明による製造プラントの一部を形成し得るタンク、容器接続などを図示する本発明の一態様を示す。
【図4】20〜25℃の温度範囲内での、選択された油のタイプの粘度と温度の関係を示す。
【図5】20〜25℃の温度範囲内での、選択された植物油のタイプの粘度と温度の関係を示す。
【図6】15〜35℃の温度範囲内での、亜麻仁油の粘度と温度の関係を示す。
【図7】プロバイオティクス有り(懸濁液)または無し(粗油)のサケ油Aの粘度を示す。懸濁液は、最終製品に対して1.2kg/トンの濃度/含有比でプロバイオティクスを含む。5℃から50℃まで昇温したときのデータ(右を指している矢印)および50から5℃まで降温したときのデータ(左を指している矢印)を示す。正確なデータ点は、図1に示す(実施例5も参照のこと)。
【0016】
以下のセクションにおいて、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0017】
次に、以下において本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の詳細な説明
定義
本発明についてさらに詳細に説明する前に、最初に、以下の用語および規則について定義する。
【0019】
懸濁液
懸濁液とは、流体に溶解せず、沈降するのに十分大きい粒子、例えば、凍結乾燥した微生物など、を含有する流体(例えば、油)を意味する。均一な懸濁液とは、機械的撹拌(例えば、ミキシングなど)によって、当該粒子が外部相(流体)全体に分散されている懸濁液を意味する。懸濁粒子(例えば、微生物)は、顕微鏡により見ることができ、静置すればやがて沈降する。
【0020】

本発明との関連において、「油」なる用語は、任意の食用の植物油および/または動物油を意味する。本発明との関連における油は、室温で粘性液体状態(「油状」)である。油は、「脂肪酸」を含み、これは、多くの場合、飽和または不飽和(一不飽和または多価不飽和)のどちらかの非分岐鎖状の長鎖脂肪族末端(連鎖)を有するカルボン酸である。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の比率は油によって様々である。例えば、亜麻仁油は、9%の飽和脂肪酸、18%の一不飽和脂肪酸、および73%の多価不飽和脂肪酸を含む。対照的に、ココナツ油は、91%の飽和脂肪酸、7%の一不飽和脂肪酸、および2%の多価不飽和脂肪酸を含む。食物への適用のためには、不飽和脂肪酸の健康効果から、飽和脂肪酸より不飽和脂肪酸の豊富な油が非常に好ましい。したがって、食品の重要な健康効果および特徴を保持するために、本発明において説明される食品は、好ましくは、高濃度の不飽和脂肪酸を含む。魚油は、油の定義に含まれる。魚油としては、サケ油、サバ油、レイクトラウト油、ニシン油、イワシ油、ビンナガマグロ油、タラ肝油、イカナゴ油(Ammodytes tobianus)、およびメンハーデン油が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0021】
オメガ3脂肪酸
「オメガ3脂肪酸」なる用語は、不飽和脂肪酸の一種であり、共通して、n−3位に、すなわち、当該脂肪酸のメチル末端から3番目の結合に、最後の炭素−炭素二重結合を有する。重要な、栄養的に必須のオメガ3脂肪酸の例は、α−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、およびドコサヘキサエン酸(DHA)である。
【0022】
オメガ6脂肪酸
「オメガ6脂肪酸」なる用語は、不飽和脂肪酸の一種であり、共通して、n−6位に、すなわち、当該脂肪酸の末端から6番目の結合に、最後の炭素−炭素二重結合を有する。オメガ6脂肪酸の例は、リノール酸およびアラキドン酸である。
【0023】
ビヒクル
「ビヒクル」または「担体」は、少なくとも1種類の物質を運ぶ流体成分(例えば、油)を意味する。本発明との関連において、油は、少なくとも1種類のプロバイオティック微生物を押出食品中に真空注入するためのビヒクルとして使用される。当該ビヒクルは、当該押出食品中に組み込まれた少なくとも1種類のプロバイオティック微生物を保存するというさらなる機能を有し得る。
【0024】
したがって、本発明によって使用される少なくとも1種類の油は、押出食品の製造において、プロバイオティック微生物の注入のためのビヒクルとして機能する。当該製造は、最終食品中のプロバイオティクス数(CFU)を最適化するために室温で実施される。この点に関して、油の粘度特性(例えば、動粘度)は、当該油が食品への真空注入に好適であるか否かに影響する。室温より高い温度において最適な粘度を有する油は、粘度の変化のために、室温では適用可能ではない場合がある。
【0025】
粘度
「粘度」なる用語は、せん断応力または伸長応力のいずれかによって変形させられるときの流体の抵抗の尺度を意味する。日常的な観点(および流体のみに対して)では、粘度は「厚さ」である。粘性率は、粘度の値として最も多く使用される。せん断粘度および動粘度は、最も頻繁に使用される。「動粘度」(または絶対粘度)は、粘度測定の単位である。動粘度のSI物理単位は、パスカル秒(Pa・s)であり、これはkg・m-1・s-1と同一である。1Pa・sの粘度を有する流体を2つのプレートの間に配置し、一方のプレートを1パスカルのせん断応力により横向きに押すと、当該プレートは1秒間にプレート間の層の厚さに等しい距離を移動する。動粘度に対するcgs物理単位は、ポアズである。より一般的には、特にASTM規格においては、センチポアズ(cP)として表される。ポアズとパスカル秒の間の関係は、1cP=0.001Pa・s=1mPa・sである。20℃における水の粘度は1.0020cPである。動粘度は、様々なタイプのレオメーター、例えば、実施例1において使用されているようなPhysica MCR 301によって測定される。流体の粘度の温度依存性は、流体の温度が上昇するに従って、概して流体の粘度が低下する(あるいは、概してその流動性が増加する)現象である。したがって、特に温度が5℃変化しただけで粘度が2倍になり得る潤滑剤などの材料において、正確な測定のためには、流体の厳密な温度制御が不可欠である。本発明との関連において言及される動粘度は、何も言明されていない場合には、20℃での動粘度である。本発明との関連において、油の動粘度における変化は、ΔPa・s/℃として表される。あるいは、油の動粘度における変化は、25℃および20℃での動粘度の間の差として説明される(25℃でのPa・s−20℃でのPa・s=ΔPa・s)。
【0026】
室温
「室温」または(周囲温度とも呼ばれる)なる用語は、人が慣れ親しんでいる閉鎖空間内の温度を意味する。本発明との関連における室温(RT)は、15℃〜29℃の範囲と定義される。
【0027】
固体脂指数(SFI)
「固体脂指数」(SFI)なる用語が本明細書において使用される場合、(SFI)は、温度勾配にわたる総脂肪に対する結晶(固体)相中の脂肪(残りは、液体相中に存在する)のパーセンテージの尺度である。
【0028】
過酸化物価
自動酸化(酸敗臭)に対する最適な試験は、「過酸化物価」の測定である。過酸化物は、自動酸化反応における中間体である。食用油脂中に存在する過酸化物の数は、それらの一次酸化レベルおよびその後にそれらが悪臭を放つようになる傾向の指標である。過酸化物価が低いほど、脂肪または油の品質ならびに保存状態はより良好である。他の方法も利用可能ではあるが、過酸化物価が最も広く用いられている。油脂に見出される二重結合が、自動酸化においてある役割を果たしている。不飽和度の高い油は、自動酸化の影響を最も受けやすい。自動酸化は、酸素を伴うフリーラジカル反応であり、異臭および悪臭を生じる油脂の劣化を引き起こす。過酸化物価、すなわち油または脂肪中の過酸化物の濃度は、腐敗の進行の程度を評価するために有用である。
【0029】
過酸化物価は、脂肪もしくは油1キログラムあたりの過酸化物酸素の量として定義される。通常、これはミリ当量(mequivまたはmeq)の単位で表される。SI単位が使用される場合、適切な単位は、1キログラムあたりのミリモル(1ミリモル=2ミリ当量)である。
【0030】
油の過酸化物価は、押出食品へのプロバイオティック有機体の真空封入において油がビヒクルとして使用されているプロバイオティック有機体の保存にも影響を及ぼす。過酸化物価が低い油は、良好なプロバイオティクス保存特性により、過酸化物価が高い油よりもビヒクルとして好ましい。
【0031】
保存料
「保存料」は、食品を保存するために当該食品に添加される天然物質または合成物質を意味する。「プロバイオティクス保存料」は、ホスト(例えば、ヒト、または愛玩動物などの動物)の胃腸系に定着し生息する有機体の能力という意味においてプロバイオティック有機体を保存する物質を意味する。保存は、最終食品のコロニー形成単位(CFU)および/または貯蔵期間中に維持される最終食品のCFUに反映される。
【0032】
酸化防止剤
「酸化防止剤」なる用語は、他の物質の酸化を遅延させるかまたは防ぐことのできる物質を意味する。酸化防止剤は、食品の劣化を低減するための食品添加剤として頻繁に使用される。合成および天然の両方の酸化防止剤が使用される。広範囲の種類の化合物において、例えば、フラバノイド、カロテノイド、トコトリエノール、トコフェロール、およびテルペン(例えば、アスタキサンチン)など、天然の酸化防止剤が同定されている。本発明の一態様において、合成酸化防止剤は、BHAおよびBHTからなる群より選択され、天然酸化防止剤は、ビタミンEフラボノイド、およびポリフェノールからなる群より選択される。天然の酸化防止剤は、抽出物、例えば、ローズマリーまたはブドウ種子抽出物(レスベラトロールを含む)などの形態で提供され得る。
【0033】
CFU
「コロニー形成単位(CFU)」なる用語は、生存可能な細菌または菌類の数の尺度である。死んでいる細胞も生きている細胞もすべてを数える直接検鏡法とは異なり、CFUは、生存可能な細胞を数える。CFUは、通常、CFUを含む物質の単位あたりのCFUとして得られる。したがって、CFUは、通常、当該コロニー形成単位を含む物質に対してCFU/lまたはCFU/gで得られる。物質のCFUは、通常、既知の量を好適な液体に懸濁させることによって評価する。当該液体は、続いて、さらに希釈してもよく、当該液体を使用して、好適な増殖培地、例えば、透明な寒天培地のプレートまたは好適な代替物などに播種する。例えば24時間の培養の後の、寒天培地上に形成されたコロニーの数により、関心対象の物質のCFUを算出することができる。
【0034】
押出、押出された
「押出」または「押出された」なる用語は、本明細書の文脈において、「調理押出」を意味し、これは、調理および成形された食品を作成するための、食品の加熱と押出行為の組み合わせであり、ならびにデンプンを含む湿ったタンパク質食品を調理し、粘性のプラスチック様の生地に加工するプロセスである。押出の際の食品成分の調理の結果は、次の通りであってよい:1)デンプンの糊化、2)タンパク質の変性、3)原料食品酵素の不活化、4)自然発生的な有害物質の破壊、ならびに、5)プレ押出物に由来する微生物数の減少。ダイを通して放出する際に、加熱された可塑性押出物は、急な圧力低下によって水分と熱を失いながら急速に膨張する。膨張冷却ならびに乾燥させた後、当該押出製造物において剛構造が発達し、細孔組織が維持される。押出のさらなる目的は、当該成分内に存在する任意の細菌を排除することである。
【0035】
密度
材料の「密度」なる用語は、単位体積当たりの材料の質量(g/L)として定義される。
【0036】
食品
「食品」なる用語は、本明細書において使用される場合、プロバイオティクスの有益な機能を加えられることが所望される任意の食品を意味する。例えば、それは、朝食シリアル、ペットフード、おやつであり得る。しかしながら、任意のヒトおよび/または動物用であることが意図される任意の食品であってもよい。例えば、食品は、粒子状食品または食物成分であってもよく、例えば、押出スナック製品、トルティーヤチップス、朝食用シリアル、クッキー、クリスプブレッド、食品発泡体、砕け米、ピーナッツと大豆ととうもろこしのブレンド、パフ小麦、朝食用の低密度発泡とうもろこしおよび発泡米、同時押出製品、ミューズリーバー、および押出プロセスによって形成される任意の他の押出製品であってもよい。本発明との関連における「ペットフード」は、押出法によって得られる食品を意味する。例えば、ドッグフードキブルなどの食物キブルである。
【0037】
愛玩動物
「愛玩動物」なる用語は、家畜、実験動物、または作業動物など経済的理由から飼育される動物とは対照的に、ふれあいと喜びのために飼われる動物または家族として飼育される動物を意味する。したがって、ペットフードは、愛玩動物によって摂取されることが意図される食品である(例えば、ドッグフードまたはキャットフードなど)。
【0038】
プロバイオティクス
「プロバイオティクス」または「プロバイオティック微生物」なる用語は、本明細書において使用される場合、腸内の微生物バランスを改善することによりホスト動物に有益な影響を及ぼすために、生きた微生物を供給する栄養補助食品として定義される。プロバイオティック微生物は、冷凍保存(例えば、冷凍乾燥)の結果として、クリプトビオシス(例えば、アンヒドロビオシス)などの、生命の不変態状態であってもよい。ただし、プロバイオティック微生物は、生命の代謝状態が可能な環境に晒されたときに、生命の代謝状態へと戻る。したがって、死んだ有機体、例えば死んだ微生物などは生息することができず、ならびに関心対象のホストの腸内微生物バランスを改善することができないという事実により、プロバイオティック有機体の定義内には入らない。
【0039】
プロバイオティック細菌とは、プロバイオティック特性を有する細菌を意味する。好適なプロバイオティック微生物の非限定的な例としては、酵母、例えば、サッカロミセス、デバロミセス、カンジダピチア、およびトルロプシス、かび、例えば、アスペルギルス、リゾプス、ムコール、ならびにペニシリウムおよびトルロプシス、ならびに細菌、例えば、ビフィドバクテリアム属、バクテロイデス属、クロストリジウム属、フソバクテリウム属、メリソコッカス属、プロピオニバクテリウム属、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ラクトコッカス属、コクリア属、スタフィロコッカス属、ペプトストレプトコッカス属、バチルス属、ペディオコッカス属、マイクロコッカス属、レウコノストック属、ウィッセラ属、アエロコッカス属、オエノコッカス属、およびラクトバチルス属が挙げられる。好適なプロバイオティック微生物の具体例は:黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)、ニホンコウジカビ(A.oryzae)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・レンタス(B.lentus)、バチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バチルス・メセンテリカス(B.mesentericus)、バチルス・プミルス(B.pumilus)、枯草菌(B.subtilis)、バチルス・ナットー(B.natto)、バクテロイデス・アミロフィルス(Bacteroides amylophilus)、バクテロイデス・カピローサス(Bac.capillosus)、バクテロイデス・ルミニコーラ(Bac.ruminicola)、バクテロイデス・スイス(Bac.suis)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(B.animalis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(B.bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(B.lactis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・プソイドロングム(B.pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・テルモフィルム(B.thermophilum)、カンジダ・ピントレペシイ(Candida pintolepesii)、酪酸菌(Clostridium butyricum)、エンテロコッカス・クレモリス(Enterococcus cremoris)、エンテロコッカス・ダイアセチラクチス(E.diacetylactis)、エンテロコッカス・フェシウム(E.faecium)、エンテロコッカス・インターメディウス(E.intermedius)、エンテロコッカス・ラクチス(E.lactis)、エンテロコッカス・ムントディ(E.muntdi)、エンテロコッカス・サーモフィルス(E.thermophilus)、大腸菌(Escherichia coli)、クリベロミセス・フラジリス(Kluyveromyces fragilis)、好酸性乳酸桿菌(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(L.alimentarius)、ラクトバチルス・アミロボラス(L.amylovorus)、ラクトバチルス・クリスパタス(L.crispatus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(L.casei)、ラクトバチルス・クルバタス(L.curvatus)、ラクトバチルス・セロビオサス(L.cellobiosus)、ラクトバチルス・デルブルッキー亜種・ブルガリカス(L.delbrueckii ss.bulgaricus)、ラクトバチルス・ファルシミニス(L.farciminis)、ラクトバチルス・ファーメンタム(L.fermentum)、ラクトバチルス・ガセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(L.helveticus)、乳酸杆菌(L.lactis)、ラクトバチルス・プランタルム(L.plantarum)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(L.johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(L.reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・サケイ(L.sakei)、ラクトバチルス・サリバリウス(L.salivarius)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ペジオコッカス・セレヴィシエ(ダムノサス)(P.cereviseae(damnosus))、ペジオコッカス・アシジラクティシー(Pediococcus acidilactici)、ペジオコッカス・ペントサセウス(P.pentosaceus)、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)、プロピオニバクテリウム・シェルマニイ(Prop.shermanii)、サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、スタフィロコッカス・カルノサス(Staphylococcus carnosus)、スタフィロコッカス・キシローサス(Staph.xylosus)、ストレプトコッカス・インファンタリウス(Streptococcus infantarius)、ストレプトコッカス・サリバリウス亜種・テルモフィルス(Strep.salivarius ss.thermophilus)、ストレプトコッカス・テルモフィルス(Strep.thermophilus)、乳連鎖球菌(Strep.lactis)である。
【0040】
製品の安定性
本明細書において使用される場合、「貯蔵寿命」なる用語は、周囲環境条件に晒された後の参照期間において、プロバイオティック微生物の約1%以上、あるいは約5%以上、あるいは約10%以上、あるいは約25%以上、あるいは約50%以上、あるいは約75%以上が生存可能である(CFUの定義も参照のこと)本発明の製品の特性を意味する。本発明の製品の貯蔵寿命は、6〜36ヶ月、例えば6〜24ヶ月、例えば9〜20ヶ月、ならびに例えば12〜16ヶ月である。
【0041】
貯蔵寿命
本発明の製品を含むプロバイオティクスは、優れた貯蔵寿命を有し得る。したがって、本発明の一態様において、食品中の少なくとも1種類のプロバイオティックの数は、製造日の少なくとも3ヶ月後において、104〜1016CFU/kg、例えば105〜1016CFU/kg、例えば106〜1016CFU/kg、例えば107〜1016CFU/kg、例えば107〜1014CFU/kg、例えば107〜1012CFU/kg、例えば107〜1010CFU/kg、または例えば108〜1010CFU/kgである。
【0042】
本発明の別の態様において、当該食品中の少なくとも1種類のプロバイオティックの数は、製造日の少なくとも6ヶ月後において、104〜1016CFU/kg、例えば105〜1016CFU/kg、例えば106〜1016CFU/kg、例えば107〜1016CFU/kg、例えば107〜1014CFU/kg、例えば107〜1012CFU/kg、例えば107〜1010CFU/kg、または例えば108〜1010CFU/kgである。
【0043】
本発明のさらなる態様において、当該食品中の少なくとも1種類のプロバイオティックの数は、製造日の少なくとも10ヶ月後において、104〜1016CFU/kg、例えば105〜1016CFU/kg、例えば106〜1016CFU/kg、例えば107〜1016CFU/kg、例えば107〜1014CFU/kg、例えば107〜1012CFU/kg、例えば107〜1010CFU/kg、または例えば108〜1010CFU/kgである。
【0044】
本発明のさらなる態様において、当該食品中の少なくとも1種類のプロバイオティックの数は、製造日の少なくとも15ヶ月後において、104〜1016CFU/kg、例えば105〜1016CFU/kg、例えば106〜1016CFU/kg、例えば107〜1016CFU/kg、例えば107〜1014CFU/kg、例えば107〜1012CFU/kg、例えば107〜1010CFU/kg、または例えば108〜1010CFU/kgである。
【0045】
本発明のさらなる態様において、当該食品中の少なくとも1種類のプロバイオティックの数は、製造日の少なくとも20ヶ月後において、104〜1016CFU/kg、例えば105〜1016CFU/kg、例えば106〜1016CFU/kg、例えば107〜1016CFU/kg、例えば107〜1014CFU/kg、例えば107〜1012CFU/kg、例えば107〜1010CFU/kg、または例えば108〜1010CFU/kgである。
【0046】
これらの数が、以下の、当業者に既知の標準的な貯蔵条件(貯蔵寿命)を達成し得ることは、理解されるべきである。
【0047】
真空注入
「真空注入」なる用語は、真空による物質の封入および対象物の本体全体への当該物質の分散を意味する。例えば、真空注入は、真空注入プロセスによる、ペットフードキブルなどの多孔性食品マトリックスへの懸濁液(ビヒクルおよび少なくとも1種類のプロバイオティック微生物を含む)の注入、脂肪の真空注入、およびペットフードキブルなどのペットフード製品への消化物(digest)の真空注入である。
【0048】
本発明の局面の1つとの関連において説明される態様および特徴が、本発明の他の局面にも適用されることに留意されたい。
【0049】
本願において引用されるすべての特許および非特許の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0050】
次に、以下の非限定的な例において本発明についてさらに詳細に説明する。
【0051】
プロバイオティック微生物とビヒクル油との懸濁液
本発明の一局面は、押出プロバイオティック食品への真空注入のための懸濁液であって、油と、当該油に対して106〜1016CFU/kgの濃度の少なくとも1種類のプロバイオティック微生物とを含み、かつ20℃において0.08パスカル秒(Pa・s )未満の動粘度を有する、懸濁液に関する。当該懸濁液は、押出食品の調製において使用するためのものであり、プロバイオティック食品押出製品の多孔性マトリックス全体へのプロバイオティック微生物の均一な分散によって特徴付けられる当該食品を得るための手段として機能する。この目的を達成するためには、当該懸濁液の調製のための物質を、慎重に選択しなければならない。プロバイオティック食品押出製品の製造において、使用準備のできた最終形態の懸濁液は、当該製造プロセスに対して、例えば製造において使用される機器の様々な部分を凝固させるなどの影響を及ぼすことなく、効率的な真空注入プロセスが可能ではければならない。例えば、本発明者らは、プロバイオティクス/油懸濁液の使用により、例えば、真空コーター/真空注入タンクにおいて製品への懸濁液の噴霧に使用されるノズルが凝固するなどによって、流体システムが凝固する場合があるということを経験している。システム中の懸濁液からの物質の蓄積により、液体の凝固が起こり、噴霧ノズルのそのような凝固により、清掃およびひいては生産ラインの修理のために製造を早期に停止することになり得る。重要なパラメータの1つは、真空注入プロセスのためのプロバイオティクス油懸濁液の粘度である。プロバイオティック食品押出製品の製造において不本意にも製造を停止しなければならないような事態を回避するために、本発明者らは、懸濁液においてビヒクルとして使用される油の粘度の重要性を見出した。さらに、本発明者らは、当該油がそのような真空注入に好適であり得ても、当該油をベースとするプロバイオティクス/油懸濁液の物理特性は事情が異なっている場合があり、準最適な粘度の懸濁液が真空注入プロセスに好適ではない場合のあることを見出した。
【0052】
本発明のプロバイオティクス/油懸濁液は、少なくとも1種類の油と、少なくとも1種類のプロバイオティック微生物とを含む。一態様において、当該懸濁液は、さらに少なくとも1種類の添加剤を含む。本発明は、20℃において0.08パスカル秒(Pa・s)未満の動粘度を有する、真空における適用のための、少なくとも1種類の油と少なくとも1種類のプロバイオティック微生物とを含む懸濁液を提供する。
【0053】
懸濁液に使用される油の特性
ビヒクル油の動粘度
懸濁液の油成分は、ビヒクルの目的に適合する。本発明の一態様において、当該懸濁液の油は、20℃において0.08パスカル秒(Pa・s)未満、例えば20℃において0.075パスカル秒(Pa・s)未満、例えば20℃において0.07パスカル秒(Pa・s)未満、例えば20℃において0.065パスカル秒(Pa・s)未満、例えば20℃において0.060パスカル秒(Pa・s)未満、例えば20℃において0.055パスカル秒(Pa・s)未満、例えば20℃において0.050パスカル秒(Pa・s)未満、例えば20℃において0.045パスカル秒(Pa・s)未満、例えば20℃において0.040パスカル秒(Pa・s)未満の動粘度を有する。一態様において、ビヒクル油の動粘度は、20℃において0.060パスカル秒(Pa・s)未満である。20℃で0.060パスカル秒(Pa・s)未満の粘度を有する油の例は、亜麻仁油(Vobra Special Petfoods BV,Netherlands)(図1、4、および6を参照のこと)である。さらなる態様において、ビヒクル油の動粘度は、20℃で0.050〜0.07パスカル秒(Pa・s)の範囲内、例えば、20℃で0.053〜0.066パスカル秒(Pa・s)の範囲内である。
【0054】
したがって、代替の局面において、本発明は、押出プロバイオティック食品への真空注入のための懸濁液であって、油と、当該油に対して106〜1016CFU/kgの濃度の少なくとも1種類のプロバイオティック微生物とを含み、ならびに当該油が20℃において0.08パスカル秒(Pa・s )未満の動粘度を有する、懸濁液に関する。この特定の局面は、油の粘度を指定するものであって、懸濁液の粘度を指定するものではない。本発明の他の局面に関連する態様が、この特定の局面にも関連するということは理解されるべきである。
【0055】
20℃と25℃の間の油ビヒクルのΔPa・s
20℃と25℃の間の当該油ビヒクルの粘度の変化は、当該油ビヒクルの重要な特徴であり得る。したがって、本発明による一態様において、油ビヒクルの20℃と25℃の間のΔPa・sは、少なくとも0.009、例えば0.009〜0.05Pa・sの範囲、例えば0.01〜0.05Pa・sの範囲、例えば0.01〜0.04Pa・s、例えば0.013〜0.020Pa・s、例えば0.013〜0.018Pa・sの範囲、例えば0.013〜0.016Pa・sの範囲である。これらの範囲の油の例は、サケ油Aである(図1、2、および4を参照のこと)。
【0056】
本文脈において、デルタ粘度(ΔPa・s)は、25℃の粘度から20℃の粘度を引くことによって算出される。油の粘度は、実施例1において開示される方法を用いて算出される。
【0057】
さらなる態様において、油ビヒクルは、0.08Pa・s未満の動粘度を有するか、または25℃と20℃の間の油ビヒクルのΔPa・sが少なくとも0.009Pa・sであるかのどちらかである。そのような油の例は、サケ油Aおよび亜麻仁油である(図1および4を参照のこと)。
【0058】
さらなる態様において、油ビヒクルは、0.08Pa・s未満の動粘度を有し、かつ25℃と20℃の間の油ビヒクルのΔPa・sが0.009〜0.05Pa・sの範囲である。そのような油の例は、サケ油Aである(図1および4を参照のこと)。
【0059】
本発明による油ビヒクルの動粘度およびデルタ粘度における範囲は、当該2つの態様の組み合わせに関連する態様、および当該2つの態様の間の代替手段に関連する態様にも適用されることは理解されるべきである。
【0060】
油のクラス
油は、任意の食用の植物油および動物油、あるいは少なくとも1種類の食用の植物油および1種類の食用の動物油の組み合わせであればどれであってもよい。したがって、一態様において、油は、植物油および動物油またはそれらの組み合わせからなる群より選択される。動物油には魚油も含まれる。さらなる態様において、油は、植物油および魚油からなる群より選択される。本発明の一態様において、油は魚油である。本発明との関連における魚油としては、サケ油、サバ油、レイクトラウト油、ニシン油、イワシ油、ビンナガマグロ油、タラ肝油、イカナゴ油(Ammodytes tobianus)、およびメンハーデン油が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。一態様において、魚油は、サケ油、サバ油、レイクトラウト油、ニシン油、イワシ油、ビンナガマグロ油、タラ肝油、イカナゴ油(Ammodytes tobianus)、およびメンハーデン油からなる群より選択される。さらなる態様において、魚油はサケ油である。当該油は、精製油、粗油、または複数の油の混合物であってもよい。したがって、一態様において、油は粗魚油である。
【0061】
当該油の供給源は、好適な植物油であってもよい。したがって、一態様において、当該油は、亜麻の油または亜麻種子の油(一般的に、亜麻仁油として知られる)などの植物油である。別の態様において、油は、亜麻仁油、オリーブ油、ルリチシャ油、リンオイル(lin oil)、カメリナ油、グレープシードオイル、チア油、キウイフルーツシードオイル、エゴマ油、コケモモ、スベリヒユ油、シーバックソーン油、大麻油、精製とうもろこし油、大豆油、ひまわり油から選択される。さらなる態様において、当該油は亜麻仁油である。亜麻仁油は、本願において説明されているような独特の粘度特性を有しており、そのことにより、亜麻仁油は独特な油ビヒクルであり得る。
【0062】
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
植物油および魚油などの油は、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸を含む組成物である。不飽和脂肪酸の群には、一不飽和脂肪酸ならびに多価不飽和脂肪酸が含まれる。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の比率は油によって様々である。食物への適用のためには、不飽和脂肪酸の健康効果のために、不飽和脂肪酸が豊富な油が飽和脂肪酸より非常に好ましい。したがって、懸濁液に使用する油は、好ましくは、不飽和脂肪酸が豊富である。したがって、一態様において、油は、一不飽和脂肪酸および/または多価不飽和脂肪酸が豊富である。したがって、一態様において、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の比率は、油によって様々であり、5:1未満、例えば4:1未満、例えば3:1未満、例えば2:1未満、例えば1:1未満である。油中の不飽和脂肪酸の含有量は、飽和脂肪酸の含有量より高くあってよく、そのため、不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の比率は、2:1以上、例えば3:1以上、例えば4:1以上、例えば5:1以上、例えば6:1以上、例えば7:1以上、例えば8:1以上、例えば9:1以上、例えば10:1以上である。
【0063】
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の比率は油によって様々である。例えば、亜麻仁油は、9%の飽和脂肪酸、18%の一不飽和脂肪酸、および73%の多価不飽和脂肪酸を含む。一方、ココナツ油は、91%の飽和脂肪酸、7%の一不飽和脂肪酸、および2%の多価不飽和脂肪酸を含む。
【0064】
食品の重要な健康効果および特徴を保持するために、本発明において説明される食品は、高濃度の不飽和脂肪酸を含み得る。JALへのMSS:食品にはペットフードも含まれるため、これが常に該当するか?さらに、食品中の脂肪の総量は、当該食品の正味の重量の0.5%〜45%の範囲であってよく、この場合、好ましくは、総脂肪含有量内における飽和脂肪と不飽和脂肪の間の比率は1/1〜20/1の範囲となるであろう。
【0065】
既知の健康に有益な不飽和脂肪酸は、オメガ3(n−3)脂肪酸、例えば、α−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、およびドコサヘキサエン酸(DHA)など、ならびにオメガ6(n−6)脂肪酸、例えば、リノール酸およびアラキドン酸などである。
【0066】
したがって、本発明の一態様において、懸濁液の油は、α−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、およびドコサヘキサエン酸(DHA)、ならびにオメガ6脂肪酸、例えばリノール酸およびアラキドン酸など、からなる群より選択される不飽和脂肪酸を含む。一態様において、懸濁液の油は不飽和脂肪酸が豊富であり、この場合、当該不飽和脂肪酸は、n−3脂肪酸である。一般的に、不飽和脂肪酸の群には、一不飽和脂肪酸および多価不飽和脂肪酸が含まれるということは理解されるべきである。
【0067】
したがって、さらなる態様において、懸濁液の油の不飽和脂肪酸は、α−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、リノール酸、およびアラキドン酸のうちの少なくとも1種類を含む。
【0068】
ビヒクル油の過酸化値
懸濁液のビヒクル油における別の重要なパラメータは、油の過酸化値である。過酸化物は、自動酸化反応における中間体であり、当該油の過酸化値は、油の酸敗化の尺度を反映し、したがって油の品質を反映する。酸敗により異臭および悪臭を生じる油脂の劣化作用は別として、高い過酸化値は、押出食品へのプロバイオティック有機体の真空封入において油がビヒクルとして使用されている場合のプロバイオティック有機体の保存にも影響を及ぼす。過酸化物価が低い油は、プロバイオティクス保存特性が良好であることから、過酸化物価が高い油よりもビヒクルとして好ましい。
【0069】
したがって、本発明の一態様において、上記の油の過酸化値は、油に対して6 meqO2/kg未満、例えば5 meqO2/kg未満、例えば4 meqO2/kg未満、例えば3 meqO2/kg未満である。本発明の好ましい態様において、油の過酸化値は、2 meqO2/kg未満である。別の態様において、上記の油の過酸化値は、2 meqO2/kg以下、例えば2 meqO2/kgである。
【0070】
添加剤
本発明の懸濁液は、少なくとも1種類の添加剤を含み得る。したがって、本発明の一態様において、押出食品への真空注入のための懸濁液は、酸化防止剤などの添加剤を含む。当該添加剤は、少なくとも、例えば当該油中の過酸化物の蓄積を低減することによって油ビヒクル成分を保存する機能を果たし得る。油中の酸化物の蓄積を最小限に抑えることにより、プロバイオティック押出食品の貯蔵の間の油の品質を維持する。不飽和度の高い油は、自動酸化の影響を最も受けやすい。油の過酸化物価も、押出食品におけるプロバイオティック有機体の真空封入において油がビヒクルとして使用される場合のプロバイオティック有機体の保存に影響を及ぼす。したがって、懸濁液に酸化防止剤を添加することによって、油の自動酸化反応が低減され、それによって、食品の品質の観点からだけでなく、プロバイオティック食品中に含まれるプロバイオティクスの保存および一定レベルの不飽和脂肪の観点からも当該油の品質が維持される。
【0071】
したがって、本発明の一態様において、懸濁液は、少なくとも1種類の添加剤を含む。さらなる態様において、当該懸濁液は、酸化防止剤を含む。さらに別の態様において、酸化防止剤は、天然の酸化防止剤および合成酸化防止剤からなる群より選択される。本発明の一態様において、合成酸化防止剤は、BHAおよびBHTからなる群より選択され、天然の酸化防止剤は、ビタミンEフラボノイド、およびポリフェノールからなる群より選択される。天然の酸化防止剤は、抽出物、例えば、ローズマリーまたはブドウ種子抽出物(レスベラトロールを含む)などの形態で提供され得る。
【0072】
好ましくは、天然の酸化防止剤を使用する。したがって、さらに別の態様において、酸化防止剤は、フラバノイド、カロテノイド、トコトリエノール、トコフェロール、およびテルペンからなる群より選択される天然の酸化防止剤である。ある特定の態様において、酸化防止剤はアスタキサンチンである。
【0073】
懸濁液のプロバイオティック微生物
プロバイオティック微生物(プロバイオティクス)は、ホスト動物(例えば、ヒトまたはペット)の腸内の微生物バランスを改善するために、栄養補助食品として押出食品に添加される。本発明によって使用されるプロバイオティック微生物は、好ましくは、凍結乾燥などの保存状態にある。当該凍結乾燥粒子のサイズは、1μm以上である。凍結乾燥形態において、プロバイオティック微生物は、冷凍保存の結果として、代謝状態にある。しかしながら、プロバイオティック微生物は、代謝状態が可能な環境に晒されたときに代謝状態へと戻り、ホストの腸内などの環境に生息する。したがって、生存不可能な(死亡した)微生物は、プロバイオティック微生物ではない。
【0074】
保存状態は、本発明の懸濁液において油を使用することにより、さらに維持される。したがって、油は、押出食品中へプロバイオティクスを注入するためのビヒクルとしての目的を果たす以外に、当該食品中に組み込まれたプロバイオティック微生物を保存する機能も果たす。その結果、当該プロバイオティック食品の安定性が向上し、最終的な食品の貯蔵寿命が増加する。
【0075】
プロバイオティクスは多様であり、細菌および菌類の両方において確認されている。双方の界に由来するプロバイオティック微生物は、本発明との関連において好適である。
【0076】
一態様において、本発明の懸濁液は、細菌、酵母、およびカビからなる群より選択される少なくとも1種類のプロバイオティック微生物を含む。本発明の別の態様において、当該少なくとも1種類のプロバイオティック微生物は、ビフィドバクテリウム、バクテロイデス、クロストリジウム、フソバクテリウム、メリソコッカス、プロピオニバクテリウム、ストレプトコッカス、エンテロコッカス、ラクトコッカス、コクリア、スタフィロコッカス、ペプトストレプトコッカス、バチルス、ペディオコッカス、マイクロコッカス、レウコノストック、ウィッセラ、アエロコッカス、オエノコッカス、およびラクトバチルスからなる群より選択される細菌である。
【0077】
本発明のさらなる態様において、当該少なくとも1種類のプロバイオティック微生物は、ビフィドバクテリウム、バクテロイデス、クロストリジウム、フソバクテリウム、メリソコッカス、プロピオニバクテリウム、ストレプトコッカス、エンテロコッカス、ラクトコッカス、コクリア、スタフィロコッカス、ペプトストレプトコッカス、バチルス、ペディオコッカス、マイクロコッカス、レウコノストック、ウィッセラ、アエロコッカス、オエノコッカス、およびラクトバチルスからなる群より選択される細菌である。
【0078】
本発明のさらに別の態様において、当該少なくとも1種類のプロバイオティクスは、サッカロミセス、デバロミセス、カンジダピチア、およびトルロプシスからなる群より選択される酵母である。本発明の一態様において、当該少なくとも1種類のプロバイオティクスは、アスペルギルス、リゾプス、ムコール、ならびにペニシリウムおよびトルロプシスからなる群より選択されるカビである。
【0079】
本発明のさらなる一態様において、当該プロバイオティック微生物は、黒色アスペルギルス、ニホンコウジカビ、バチルス・コアギュランス、バチルス・レンタス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・メセンテリカス、バチルス・プミルス、枯草菌、バチルス・ナットー、バクテロイデス・アミロフィルス、バクテロイデス・カピローサス、バクテロイデス・ルミニコーラ、バクテロイデス・スイス、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス、ビフィドバクテリウム・アニマリス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ロングム、ビフィドバクテリウム・プソイドロングム、ビフィドバクテリウム・テルモフィルム、カンジダ・ピントレペシイ、酪酸菌、エンテロコッカス・クレモリス、エンテロコッカス・ダイアセチラクチス、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・インターメディウス、エンテロコッカス・ラクチス、エンテロコッカス・ムントディ、エンテロコッカス・サーモフィルス、大腸菌、クリベロミセス・フラジリス、好酸性乳酸桿菌、ラクトバチルス・アリメンタリウス、ラクトバチルス・アミロボラス、ラクトバチルス・クリスパタス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・クルバタス、ラクトバチルス・セロビオサス、ラクトバチルス・デルブルッキー亜種・ブルガリカス、ラクトバチルス・ファルシミニス、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・ヘルベティカス、乳酸杆菌、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ジョンソニイ、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトバチルス・サケイ、ラクトバチルス・サリバリウス、ロイコノストック・メセンテロイデス、ペジオコッカス・セレヴィシエ(ダムノサス)、ペジオコッカス・アシジラクティシー、ペジオコッカス・ペントサセウス、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ、プロピオニバクテリウム・シェルマニイ、サッカロミセス・セレヴィシエ、スタフィロコッカス・カルノサス、スタフィロコッカス・キシローサス、ストレプトコッカス・インファンタリウス、ストレプトコッカス・サリバリウス亜種・テルモフィルス、ストレプトコッカス・テルモフィルス、乳連鎖球菌からなる群より選択される。
【0080】
プロバイオティック有機体の選択は、関心対象の特定の用途、例えば、ドッグフードなどのペットフードに応じて変わる。エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)は、プロバイオティックドッグフードに好適である。したがって、好ましい一態様において、少なくとも1種類のプロバイオティック微生物は、エンテロコッカス・フェシウムである。それに続いて、犬用のプロバイオティック押出食品の調製のために、懸濁液が使用され得る(例えば、エンテロコッカス・フェシウムを含むプロバイオティックドッグフードキブル)。特定の一態様において、当該少なくとも1種類のプロバイオティック微生物は、エンテロコッカス・フェシウムのNCIMB 10415菌株である。NCIMB 10415菌株は、EC No.13(E1707(新分類法))であり得る。
【0081】
一態様において、当該プロバイオティック微生物が、乾燥粉末形態で懸濁液に適用され、この場合、当該乾燥粉末中の当該プロバイオティック微生物の濃度は、乾燥粉末に対して109〜1017CFU/kg、例えば109〜1016、例えば1010〜1016、例えば乾燥粉末に対して1010〜1015CFU/kg、例えば乾燥粉末に対して1010〜1014CFU/kgの範囲である。
【0082】
本発明の懸濁液の特性
本発明のプロバイオティクス/油懸濁液は、少なくとも1種類の油と少なくとも1種類のプロバイオティック微生物とを含む。真空での適用のためのプロバイオティクス/油懸濁液は、20℃において0.08パスカル秒(Pa・s)未満の動粘度を有する。
【0083】
油と少なくとも1種類のプロバイオティック微生物とを含む懸濁液の成分は、当該懸濁液が真空注入プロセスに適用可能となるように、選択され、そして当該懸濁液中において釣り合いが取られる。したがって、当該懸濁液の成分は、当該懸濁液の動粘度が20℃において0.08パスカル秒(Pa・s)未満となるように釣り合いが取られる。
【0084】
したがって、本発明の一態様において、懸濁液の動粘度は、20℃において0.08パスカル秒(Pa・s)未満である。本発明の別の態様において、懸濁液の動粘度は、20℃において0.06パスカル秒(Pa・s)未満である。本発明のさらなる態様において、懸濁液の動粘度は、20℃において0.04〜0.06パスカル秒(Pa・s)の範囲である。
【0085】
上記の範囲内の動粘度を有する懸濁液が得られるように当該懸濁液を調製することによって、システムにおける、懸濁液に由来するものの蓄積を最小限に抑えることができる。噴霧ノズルの凝固などフルイディクスの凝固が防がれ、それによって、製造ラインを洗浄するため、およびひいては修理するための製造の早期停止が低減される。
【0086】
本発明の一態様において、当該少なくとも1種類のプロバイオティック微生物の濃度は、懸濁液の油成分に対して106〜1016CFU/kg、例えば107〜1016CFU/kg、例えば107〜1016CFU/kg、例えば108〜1016CFU/kg、例えば109〜1016CFU/kg、例えば109〜1014CFU/kg、例えば109〜1014CFU/kg、または例えば1010〜1014CFU/kgである。さらなる態様において、プロバイオティック微生物の濃度は、当該懸濁液を使用して得られるプロバイオティック押出食品において、最終食品に対して1×109〜3.5×1010CFU/kgであるべきということ、ならびに例えばエンテロコッカス・フェシウムを豊富に含むドッグフードなど、上記を勘案して当該懸濁液が真空注入に好適であることが考慮される。
【0087】
プロバイオティック微生物とビヒクル油との懸濁液の調製
本発明の一局面は、
a)少なくとも1種類のプロバイオティック微生物を、乾燥粉末に対して109〜1017CFU/kgの総濃度を有する乾燥粉末形態で提供する工程と、
b)油を提供する工程と
c)容器中において室温で連続的に撹拌しながら、油100kg当たり0.3〜15kgの上記プロバイオティック微生物粉末を当該油に加えて、懸濁液プレミックスを作成する工程と、
d)c)の当該懸濁液プレミックスを、混合手段を備えた貯蔵タンクに移動させる工程であって、ただし、当該移動が真空吸引によるものではない、工程と、
e)プロバイオティック微生物が均一に分散された懸濁液を得るために、上記プレミックス懸濁液をRTで混合して、上記の懸濁液を得る、工程と、
を含む、本発明の懸濁液を調製する方法に関する。
【0088】
当該方法において用いられる容器は、IBC容器または他の好適な容器であり得る。当該容器は、好ましくは、プレミックスを放出するための底部放出口を備える。当該方法において用いられる油は、上記において説明したように、本発明との関連において好適な油である。
【0089】
細菌粉末を、室温で連続的に混合しながら(例えば、5〜350RPMの回転速度)徐々に油に加える。
【0090】
一態様において、上記乾燥粉末形態における少なくとも1種類のプロバイオティック微生物の総濃度は、乾燥粉末に対して1010〜1013CFU/kg、例えば乾燥粉末に対して1011〜1013CFU/kg、例えば乾燥粉末に対して1012〜1013CFU/kgの範囲であり、例えば乾燥粉末に対して1013CFU/kgである。さらなる態様では、当該容器において、100kgあたり3.3〜6.7kgの上記プロバイオティック微生物粉末が上記油に加えられる。さらに別の態様において、プレミックスを3時間を超えない時間混合する。さらに別の態様において、プレミックスを1時間を超えない時間混合する。さらなる態様において、プレミックスを少なくとも1時間以上混合する。さらなる態様において、プレミックスを少なくとも1時間以上かつ3時間を超えない時間混合する。
【0091】
プロバイオティック食品を製造するための本発明の懸濁液の使用
本発明の懸濁液を使用することによって得られる最終的なプロバイオティック食品中のプロバイオティック成分の濃度は、Official Journal of the European Union, COMMISSION REGULATION(EC) No.1520/2007(2007年12月19日)に従って完成食料品中1×109〜3.5×1010CFU/kg(EU登録(EC nr E1707)によって規定されている)の範囲内でなければならない。
【0092】
したがって、当該懸濁液は、少なくとも、当該懸濁液中のプロバイオティック微生物の濃度、製造ラインでのプロバイオティックの損失を考慮して、したがって完成食料品に対して105〜1015CFU/kgの範囲内、例えば、完成食料品に対して1×109〜3.5×1010CFU/kgのCFUを達成するように調製され、真空注入によって食品に添加される。
【0093】
本発明の一局面は、押出プロバイオティック食品の調製のための本発明の懸濁液の使用であって、該懸濁液が、油と、当該油に対して106〜1016CFU/kgの濃度の少なくとも1種類のプロバイオティック微生物とを含み、かつ20℃において0.08パスカル秒(Pa・s )未満の動粘度を有する、使用に関する。
【0094】
本発明の別の局面は、少なくとも1種類のプロバイオティック微生物を含む押出食品を製造する方法であって、本発明の懸濁液の真空封入によって、当該プロバイオティック微生物が当該食品の構造全体に均一に分散される、方法に関する。
【0095】
一態様において、当該食品はペットフード製品である。別の態様において、当該食品は、ヒト用の食品である。
【0096】
押出プロバイオティック食品
本発明の最後の局面は、ある方法および/または上記において説明された方法によって得られる押出食品に関する。
【0097】
一態様において、当該食品中のプロバイオティックの最小量は、105CFU/kg〜1015CFU/Kg、例えば1×109CFU/Kg〜7.5×1011CFU/Kg、例えば2.5×109CFU/Kg〜7.5x1011CFU/Kgの範囲である。別の態様において、食品の水分%は、約7%、好ましくは8〜10%である。
【0098】
プラントの変法
プロバイオティクスを含む食品を製造するために、製造プラントが必要である。したがって、第一の局面において、本発明は、
−プロバイオティック懸濁液を投入するための第一投入タンクに接続された、プロバイオティック懸濁液を貯蔵するための第一貯蔵タンク
を備える、食品を真空注入するための製造プラントであって、この場合、当該第一投入タンクが、真空注入タンク内へと通じる1つ以上の噴霧ノズルによって当該真空注入タンクに接続されている、製造プラントに関する。
【0099】
このようにして、当該プロバイオティック懸濁液は、真空注入タンク内に位置された食品上に噴霧され得る。
【0100】
第一または第二貯蔵タンクならびに第一および第二投入タンクの内容物を変更することなく、3種類以上の懸濁液/溶液を真空注入することができることは、有利であり得る。したがって、第二の局面において、本発明は、少なくとも、
−プロバイオティック懸濁液を投入するための第一投入タンク(7)に接続された、プロバイオティック懸濁液を貯蔵するための第一貯蔵タンクと、
−脂肪溶液を投入するための第二投入タンクに接続された、脂肪溶液を貯蔵するための第二貯蔵タンクと、
−消化物溶液を投入するための第二または第三投入タンクに接続された、消化物溶液を貯蔵するための第三貯蔵タンクと
を備える、食品を真空注入するための製造プラントであって、この場合、当該第一投入タンク、第二投入タンク、および第三投入タンクは、真空注入タンク内へと通じる1つ以上の噴霧ノズルによって当該真空注入タンクに接続されており、少なくとも当該第一投入タンクは、真空注入タンク内へと通じる1つ以上の第一噴霧ノズルによって、個別に当該真空注入タンクに接続されている、製造プラントに関する。開示された本発明の製造プラントにおいて、プロバイオティック懸濁液は、食品中に真空注入される他の成分と分離された状態に保たれる。これは、真空注入タンクに個別に接続されている第一投入タンクを備えることによって実現される。有利なことに、プロバイオティクス油/脂肪懸濁液が他の溶液から分離された状態に保たれる場合、当該プロバイオティクスの最適な生存能力が維持される。
【0101】
第二投入タンクおよび第三投入タンク内の溶液は、連結された接続部によって真空注入タンクに接続されていてもよく、これにより、プラントの構築を簡素化することができる。
【0102】
他の溶液を、本発明の食品中に真空注入してもよい。したがって、別の態様において、製造プラントはさらに、溶液を貯蔵するための第四貯蔵タンクを少なくとも備え、この場合、当該第四貯蔵タンクは、1つ以上の噴霧ノズルによって、溶液を投入するための第四投入タンクに接続されている。
【0103】
第四貯蔵タンクおよび第四投入タンクは、さらなる溶液を貯蔵するために最適化することができる。第二投入タンク、第三投入タンク、および第四投入タンク内の溶液は、連結された接続部によって真空注入タンクに接続されていてもよく、これにより、プラントの構築を簡素化することができる。
【0104】
投入タンク内に入れられたいくつかの溶液が混ざることを避けることも有利であり得る。したがって、別の態様において、本発明は、第二投入タンク、第三投入タンク、および第四投入タンクの少なくとも1つが、1つ以上の噴霧ノズルによって真空注入タンクに個別に接続されている製造プラントに関する。
【0105】
2種類以上の異なる溶液が混ざると、それによって沈殿および噴霧ノズルの凝固を生じる場合があるので、これは有利であり得る。
【0106】
混ぜ合わされた投入タンク
場合によっては、投入タンクの溶液は、真空注入タンクに移される前に混合してはならない。そのため、さらに別の態様において、本発明は、第二投入タンク、第三投入タンク、および第四投入タンクのそれぞれが、1つ以上の噴霧ノズルによって真空注入タンクに個別に接続されている製造プラントに関する。2種類以上の異なる溶液が混ざると、それによって沈殿および噴霧ノズルの凝固を生じる場合があるので、これは有利であり得る。別の利点としては、例えば、第四貯蔵タンクおよび第四投入タンクを、例えば投入タンクの1つにおいてノズルが凝固した場合の余剰のラインとして確保することができるという点が挙げられる。この方法では、第四注入ラインへと迅速に切り替えることが可能であり、したがって、プラントが故障状態である場合のコストのかかる「中断時間」が生じることを防ぐことができる。「注入ライン」とは、真空注入タンクに通じる容器の組み合わせ、例えば、1つ以上の噴霧ノズルによって真空注入タンクに通じている第四投入タンクとそれに通じている第四貯蔵タンクなど、を意味することは理解されるべきである。
【0107】
噴霧ノズル口
異なる溶液を食品上に噴霧するので、噴霧を最適化する必要がある。したがって、さらなる態様において、本発明は、それぞれの噴霧ノズルの口が、1〜250mm2、場合により1〜200mm2、例えば1〜150mm2、または1〜100mm2、または1〜50mm2、または1〜25mm2、または1〜15mm2、または1〜10mm2、または1〜5mm2、または1〜3mm2などの断面積を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造プラントに関する。各タイプの溶液に対して最適なノズルを備えるのは、噴霧の効率が、各噴霧ノズルの口およびノズルを通る溶液の粘度によって変わるという点において重要性である。さらに、噴霧は、当該ノズルを通る溶液の速度によっても変わる。したがって、各注入ラインは同じタイプの噴霧ノズルを備える必要はないということは理解されるべきである。
【0108】
断面積
したがって、さらなる態様において、第一投入タンクに接続された各噴霧ノズルの口は、1〜250mm2、場合により1〜200mm2、例えば1〜150mm2、または1〜100mm2、または1〜50mm2、または1〜25mm2、または1〜15mm2、または1〜10mm2、または1〜5mm2、または1〜3mm2などの断面積を有し、ならびに第二投入タンクに接続された各噴霧ノズルの口は、1〜250mm2、場合により1〜200mm2、例えば1〜150mm2、または1〜100mm2、または1〜50mm2、または1〜25mm2、または1〜15mm2、または1〜10mm2、または1〜5mm2、または1〜3mm2などの断面積を有し、ならびに第三投入タンクに接続された各噴霧ノズルの口は、1〜250mm2、場合により1〜200mm2、例えば1〜150mm2、または1〜100mm2、または1〜50mm2、または1〜25mm2、または1〜15mm2、または1〜10mm2、または1〜5mm2、または1〜3mm2などの断面積を有し、ならびに第四投入タンクに接続された各噴霧ノズルの口は、1〜250mm2、場合により1〜200mm2、例えば1〜150mm2、または1〜100mm2、または1〜50mm2、または1〜25mm2、または1〜15mm2、または1〜10mm2、または1〜5mm2、または1〜3mm2などの断面積を有する。
【0109】
底部放出口
真空注入のプロセス全体にわたってプロバイオティクスの高い生存能力を維持するためには、溶液の正しい取り扱いが必要である。したがって、さらなる態様において、本発明は、第一混合タンクが、当該第一混合タンクにおける底部放出口によって第一貯蔵タンクに接続され、プロバイオティック懸濁液が、少なくとも重力により、可能であれば重力のみによって、当該第一混合タンクから当該第一貯蔵タンクへ送られることが意図される製造プラントに関する。さらなる混合タンクを備えることの利点は、懸濁液への微生物の添加が急過ぎる場合、凍結乾燥されたプロバイオティクスを油/脂肪懸濁液中に混合することにより微生物のフレーク/沈殿物が生じる場合があるという点である。さらに、手動による混合が有利であり得る。混合タンクの例は、IBCタンクである。懸濁液が第一貯蔵タンクに移動される場合、プロバイオティクスの生存能力が失われかねないので、当該懸濁液に対してあまり強すぎる力を加えないということも重要である。混合タンクの底部に設けられた放出口と、当該混合タンクの下方に位置された第一貯蔵タンクとを備えることによって、懸濁液を重力のみによって貯蔵タンクへ移動させることが可能である。あるいは、当該放出口は、別の場所、例えば、混合タンク1の側面に設けられていてもよい。当該混合タンクは、例えば、当該混合タンクの側面に設けられた放出口によって当該タンクを空にできるように適合させてもよい。
【0110】
真空吸引ユニットの条件
したがって、一態様において、第一混合タンクと第一貯蔵タンクとの間の接続は、真空吸引ユニットを含まない。別の態様において、第一混合タンクと第一貯蔵タンクとの間の接続は、容積式ユニットを含まない。真空吸引ユニットおよび容積式ユニットの両方は、プロバイオティクスの生存能力に対して有害であり得る。さらに、プロバイオティクスが接触する表面を最小化することによって、例えば長い管などの表面への付着によるプロバイオティクスの損失、すなわち、生存能力の損失を避けることもできる。
【0111】
混合手段
懸濁液が第一貯蔵タンク中に維持されるとき、プロバイオティクスが、懸濁液中に留まること/均一に分配されることは重要である。したがって、さらなる態様において、当該第一貯蔵タンクは、以下の混合手段:回転式インペラー、回転式混合タンク、あるいはインペラーおよび回転式タンクの組み合わせのうちの少なくとも1つを備える。インペラー、回転式タンク、または両方の組み合わせなどの混合手段を備える第一貯蔵タンクを具備することにより、プロバイオティクスの沈降を防ぐことができる。当業者にとっては、説明された目的のために好適であり得る別の混合手段は公知であろう。
【0112】
未コーティング食品を適用するための開口部
真空注入タンクはさらに、真空注入が始まる前に、(まだ注入されていない)食品を受け入れることができなければならない。したがって、さらなる態様において、真空注入タンクは、未コーティングの食品を当該真空注入タンクへ適用するための少なくとも1つの開口部を備える。食品(注入前)は、乾燥装置から直接、真空注入タンクへ移動させてもよく、これは、未注入の食品が真空注入タンクに入った時、周囲温度より高い温度を有してもよいことを意味する。したがって、一態様において、真空注入タンクは、乾燥装置に接続されている。当該食品が、20〜50℃、例えば20〜45℃、25〜50℃、30〜45℃の温度を有する場合、結果として当該プロバイオティクスの生存能力を著しく損失することなく、より多量の溶液/懸濁液が、食品中に注入されることになる。
【0113】
圧力
真空注入タンクは、タンク内部の圧力を真空まで減圧できるように構築してもよい。したがって、一態様において、真空注入タンク内の圧力は、0.01bar〜1.5bar、例えば0.01bar〜1.5bar、例えば0.05bar〜1.5bar、例えば0.05bar〜1bar、例えば0.1bar〜1bar、例えば0.05bar〜0.1bar、例えば0.1bar〜0.3bar、例えば0.3bar〜0.5bar、例えば0.5bar〜0.7bar、または例えば0.7bar〜0.9barの範囲の圧力に調節することができる。圧力を1barより高くすることが可能であることにより、圧力解除の後により大きな圧力差を達成することができ、これにより、結果として良好な真空注入を行うことができる。
【0114】
収集タンク
真空注入に続いて、食品(この段階ではプロバイオティクスを含んでいる)は、真空注入によらない、さらなるコーティングを必要とする場合がある。したがって、さらなる態様において、真空注入タンクはさらに、コーティングされた食品を注入タンクから収集タンクへ送るために収集タンクに接続されており、この場合、当該収集タンクはさらに、収集容器に適用されるべき1種類以上の物質を収容するための少なくとも1つの容器に接続されている。例えば、高粘度や、噴霧ノズルを凝固し得るサイズの成分を含むなどの理由から、すべての溶液が、噴霧による食品への適用に好適なわけではないため、そのような溶液を適用するための他の手段が必要となる場合がある。さらに、高粘度溶液は、当該真空注入タンク内に既に設けられている噴霧ノズルに損傷を生じる場合があるため、真空注入タンクに溶液を追加するためにさらなる手段を適用することは、不適当であり得る。収集タンクは、例えば、標準的なチューブ、パイプ、またはホースにより1つ以上の容器から溶液を受け取ることができる。
【0115】
収集タンクの混合手段
真空注入された食品に、1種類またはそれ以上の溶液を均一に分配することが困難な場合もある。したがって、さらなる態様において、当該収集タンクは、次の混合手段:回転式インペラー、回転式混合タンク、のうちの少なくとも1つを備える。当業者にとっては、他の混合手段も公知であろう。
【0116】
温度制御
製造全体にわたって、プロバイオティクスの生存能力に有利な環境状態を提供することが重要である。したがって、一態様において、少なくとも第一貯蔵タンクおよび第一投入タンクは、プロバイオティック懸濁液の温度を、15℃〜29℃の範囲に維持するための手段を備える。プロバイオティクスは、一般的に、温度変化の影響を受けやすく、したがって、温度を制御することが有利である。その上、異なる製造セクション間において一定の生存可能な数を有する食品を提供するために、プロバイオティクスを収容する少なくともいくつかのタンクにおいて温度制御することは有利であり得る。
【0117】
製造プラントは多くの個別の構成要素を備えるために、手動で制御することが困難な場合もある。したがって、さらなる態様において、当該プラントは、さらに、少なくとも1つの貯蔵タンク内の温度制御、少なくとも1つの投入タンク内の温度制御、2つ以上のタンクの間での導入口および放出口の開閉の制御、ノズルから噴霧される液体の量の制御、真空タンク内の圧力の制御、および混合時間の制御からなる群より選択される作業のうちの少なくとも1つを制御するための制御ユニットを備える。
【実施例】
【0118】
実施例1
選択された油の粘度の測定
機器:動的レオメータPhysica MCR 301(Anton Paar GmbH, Germany)、C−PTD200 Peltie温度制御、およびCC27共軸円筒式測定システム(内径26.66mm/外径28.92mm)
【0119】
方法:油の粘度は、回転数:180rpm、5〜50℃の温度範囲、加熱速度:0.5℃/分において測定し、1℃ごとに記録した。試料を2つ並行して測定した。図1の表に、油の平均粘度(Pa・s)を一覧する。
【0120】
UPP, Belgiumからの供給:
1.粗魚油
2.サケ油A
3.精製とうもろこし油
4.タラ肝油
【0121】
Vobra Special Petfoods BV, Netherlandsからの供給:
5.サケ油B
6.大豆油(酸化防止剤を含む)
7.ひまわり油(酸化防止剤を含む)
8.亜麻仁油
9.ルリチシャ油
【0122】
結果:油の1つ、サケ油A(United Petfoods(UPP)Belgiumによって供給された)は、本発明の実験において試験された残りの油に勝る独特の粘度特性を示している。冷蔵温度でのサケ油Aの粘度は残りの魚油よりも高いが、20℃〜25℃の温度範囲では、サケ油Aは、温度上昇に対して、試験した残りの油よりもずっと速く粘度が低下する。したがって、温度(20〜25℃の温度範囲内)に対するサケ油Aの粘度の変化(ΔPa・s/℃)は、実験において試験した残りの油と異なっている。粗魚油(United Petfoods (UPP) Belgiumによって供給された)、タラ肝油(United Petfoods (UPP) Belgiumによって供給された)、およびサケ油B(Vobra Special Petfoods BV,Netherlandsによって供給された)の粘度の変化(ΔPa・s/℃)は、20〜25℃の温度範囲内では基本的に同じである。
【0123】
懸濁液の真空注入によってプロバイオティック押出製品を製造するために、プロバイオティクス/油懸濁液の調製のための担体油(ビヒクル)としてサケ油Aを選択した。サケ油Aは、20〜25℃の温度範囲における独特の粘度特性のために、残りの油より好ましかった。製造プロセスは、20〜25℃の温度範囲において実施され、サケ油Aの使用により、真空コーターの噴霧チップ(ノズル)の凝固が避けられ、当該担体油中へのプロバイオティクスの均一な分配が向上するであろう。さらに、油/プロバイオティクス混合物は、真空コーターに導入される前にタンク内において絶えず混合されており、その結果、細菌を油に添加する際のプロバイオティクスフレークの形成(真空コーターにとって好適ではない)が回避される。
【0124】
分析された油の粘度は、高温(40℃以上)では等しいが、そのような高温は、プロバイオティック細菌の生存能力に深刻な影響を与え、その結果、最終的な食品のCFU/kgにも深刻な影響を与える。
【0125】
まとめると、油の粘度は、油および当該油に添加された物質の供給源によって影響を受ける。油に添加された物質は、粘度などの油の特性に影響を及ぼす。したがって、プロバイオティック微生物の注入のためのビヒクルとして油を選択する場合には、油の特性を考慮に入れる必要がある。そのため、油/プロバイオティクス懸濁液の調製において油に添加される物質が、粘度などの懸濁液の重要なパラメータに深刻な影響を及ぼさないように注意する必要もある。
【0126】
実施例2
プロバイオティック懸濁液を得るための、プロバイオティクスと油溶液との混合
懸濁液は、乾燥粉末に対して109〜1016CFU/kgの総濃度を有する乾燥粉末状態の1種類のプロバイオティック微生物を油に混合することによって得ることができる。最終的な懸濁液に対する含有の比率は、油100kgあたりにプロバイオティクス粉末0.3〜15kgであるべきである。プロバイオティクスを油に混合するとき、当該粉末を油にゆっくりと混合しないと、当該プロバイオティクスが沈殿する場合がある。したがって、当該凍結乾燥粉末のすべてを一度に加えるべきではない。プロバイオティクスの生存能力を維持するために、懸濁液の温度は30℃を超えるべきでない。当該混合は、連続的に攪拌しながら、例えばIBC容器などの混合タンク中において実施することができる。この混合は手動で実施してもよい。好ましくは、得られた懸濁液は、混合手段を備える貯蔵タンクに移される。混合タンクから貯蔵タンクへの移動は、好ましくは、混合タンクの底部放出口を介して貯蔵タンクへと行われる(したがって、当該混合タンクは、物理的に当該貯蔵タンクの上方に位置されている)。次に、均一に分散されたプロバイオティック微生物の懸濁液を得るために、当該懸濁液を、当該貯蔵タンク内で、15〜29℃の、しかし30℃を超えない温度において混合する(当該混合工程は、5〜350RPMの回転によって実施されてよい)。当該懸濁液は、真空注入において使用される前に、当該貯蔵タンク内に3時間を超えて貯蔵されるべきではない。当該懸濁液を長時間貯蔵する場合、当該懸濁液が汚染される場合がある。
【0127】
実施例3
ドッグフード用の懸濁液/油ビヒクル
プロバイオティック化合物の担体(油ビヒクル)としての油の正しい選択は、特定の油の粘度と、特定の粘度を達成するために実現される必要のある温度とに基づいている。プロバイオティクスの生存能力に影響を及ぼし得る油の物理的/化学的パラメータと共に、特定の油の官能パラメータも、製品全体の味および臭いに関連する重要な因子である。さらに、栄養パラメータも考慮する必要がある。したがって、これらすべてのパラメータを満たす油ビヒクルを見つけ出すのは、容易なことではない。
【0128】
官能パラメータ:
プロバイオティックドッグフードの場合、押出乾燥ドッグフードを製造するためにサケ油担体を含む懸濁液を使用する。当該サケ油の選択は、犬が、90%を自分の嗅覚に頼って食べ、ヒトの30倍を超える嗅覚を有するという事実に基づいている。したがって、主要な官能パラメータ(特に犬に対する)としての臭いに基づいた最終的な製品(ドッグフード)の嗜好性に影響を及ぼさない、プロバイオティック化合物のための特定の油ビヒクルを見出すことが非常に重要である。
【0129】
栄養パラメータ:
上記において言及されたパラメータと共に、プロバイオティクスのための油ビヒクルとして使用される油は、「健康的」である必要がある。飽和脂肪酸、トランス脂肪酸などを多く含むことは、一般的に、「不健康的」と見なされる。その上、そのような脂肪が高濃度だと、完成品のプロバイオティック効果が最小化され、「悪玉」LDLコレステロールの濃度を上げて「善玉」HDLコレステロールの濃度を下げることにより冠状動脈性心疾患のリスクを増加させる。動物性脂肪の中でもサケ油は、多価不飽和脂肪酸(オメガ3およびオメガ6)のその独特の組成が周知であり、したがって、一般的に「健康的」な脂肪と見なされている。上記において言及された特性を有し、真空注入に対して最適化された製品を提供するためには、油ビヒクルの粘度が重要であることが分かっている。
【0130】
粘度:
真空注入に適合するための基準も満たすサケ油を見出すために、様々なサケ油の粘度を比較した。図1および2に示されているように、すべてのサケ油が同じ粘度特性を有しているわけではない。サケ油Aの粘度は、20℃と25℃の間においてサケ油Bよりも急速に減少しており、これは、プロバイオティック化合物の担体(油ビヒクル)としてのサケ油Aの使用にさらなる利点を提供するものである。そのような粘度挙動を有するサケ油は、最終製品におけるプロバイオティック化合物の均等な分散と共に懸濁液の混合能力を向上させ、かつ懸濁液中での、したがって最終製品中での、プロバイオティック化合物の安定性の向上により、製造段階の間の沈降/無駄を低減する。
【0131】
まとめると、サケ油Aは、ドッグフードなどの動物用飼料のためのプロバイオティクスの真空注入に好適な油ビヒクルとなる。本実施例は、ドッグフードについて言及しているが、サケ油Aが他の動物用製品またはヒト用製品において使用することができないということ意味しているわけではないことは理解されるべきである。
【0132】
実施例4
ヒト用食品のための油ビヒクル/懸濁液
プロバイオティック化合物の担体(油ビヒクル)としての油の正しい選択は、特定の油の粘度と、特定の粘度を達成するために実現される必要のある温度とに基づいている。プロバイオティクスの生存能力に影響を及ぼし得る油の物理的/化学的パラメータと共に、特定の油の官能パラメータも、製品全体の味および臭いに関連する重要な因子である。さらに、栄養パラメータも考慮する必要がある。したがって、これらすべてのパラメータを満たす油ビヒクルを見つけ出すのは、容易なことではない。
【0133】
官能パラメータ
ヒト用製品における動物性脂肪/油の使用は、最終製品の嗜好性に対して総体的な作用を及ぼし得る官能パラメータにより制限される。したがって、そのような動物油は、様々なタイプの魚油と同様に、たとえ油が健康基準(例えば、実施例3において説明されたような)を満たしているとしても、最終消費者はそのような製品に対して抵抗を感じる場合がある。したがって、ヒト用製品におけるプロバイオティクス油ビヒクルとして使用される油は、最適な真空注入のために必要とされる粘度基準を満たす必要があるが、動物用製品のために使用される油よりも様々な官能パラメータを伴う。植物油は、好適な候補であり得る。
【0134】
栄養パラメータ:
動物油を使用する代わりに、植物由来の好適な油ビヒクルを有することも有利であり得る。いくつかの植物油は、肯定的な健康パラメータを有する。亜麻仁油(Vobra Special Petfoods BV,Netherlands)は、大豆油、とうもろこし油、およびひまわり油と比べて、高濃度の多価不飽和脂肪酸(オメガ3およびオメガ6)および軽いナッツの香りを有する「健康的」な油と見なされる。これらのパラメータにより、亜麻仁油は、ヒト用製品の製造のための油ビヒクルとして好適な候補である。
【0135】
粘度:
20℃〜25℃の範囲において植物由来の様々な油の粘度を比較した場合、亜麻仁油は、プロバイオティクスの真空注入のための油ビヒクルとして使用するための独特の特性を有することが明らかとなる(図1および5)。亜麻仁油は、分析した植物油の中でも、20℃および25℃の両方において最も低い粘度を有する。亜麻仁油の曲線の傾きは小さいにもかかわらず(低いΔ粘度)、他の油と比較して低い粘度を有している。動物油と比べても(図1および4)、亜麻仁油の粘度は、20℃および25℃の両方において最も低い。
【0136】
まとめると、亜麻仁油の粘度ならびにその独特の物理的/化学的パラメータおよび官能パラメータから、亜麻仁油はヒト用製品の製造のためのプロバイオティクス油としての使用に対する良好な候補である。
【0137】
本実施例は、ヒト用製品について言及してはいるが、亜麻仁油が動物用製品においては使用することができないということを意味しているわけではないということは理解されるべきである。
【0138】
実施例5
懸濁液の粘度
最終的な懸濁液の粘度は重要なパラメータであるため、懸濁液を真空注入に用いる場合には、油の粘度に対する細菌の影響を試験すべきである。図1(第10〜13行)および図7は、様々な温度での最終粘度に対する細菌の影響が最小であることを明確に示している。「懸濁液」(実線)は、最終製品に対して1.2kg/トンの濃度/含有比でプロバイオティクスを含むサケ油Aである。原料油(点線)は、プロバイオティクスを含まないサケ油Aである。上方の線は、5℃から50℃まで昇温したときの粘度を示しており、一方、下方の線は、50℃から5℃に降温したときの粘度を示している。下方の線において、点線と実線は、お互いにほとんど重なっている。冷却と加熱の間には違いが存在し、これは、分析試料における残留熱によるものと思われる。
【0139】
図1(第10〜13行)は、5℃から50℃へ加熱したときおよび後方は50℃から5℃へ冷却したときの粗サケ油とそれに対する懸濁液の粘度を示している。使用した現在の含有比では、各温度段階での両方の試料における粘度の違いは、平均0.001Pa・sと小さい。
【0140】
粗油のΔ粘度(20℃〜25℃)は、加熱段階において0.011Pa・sであり、冷却段階において0.009Pa・sである。
【0141】
懸濁液のΔ粘度(20℃〜25℃)は、加熱段階において0.011Pa・sであり、冷却段階において0.010Pa・sである。
【0142】
冷却段階および加熱段階での両方の試料のΔ粘度(20℃〜25℃)の変化は小さく、平均0.01Pa・sであると総括することができる。
【0143】
一般的に、特定のタイプの油の粘度の異なる測定間においては、違いがあると考えられる。これは、使用された厳密なバッチおよび試料の取り扱い方法における軽微な差異によるものと思われる。そのような小さな違いは避けられないが、本発明は、油/懸濁液の粘度が、最終製品におけるプロバイオティクスの生存能力にとって実に重要であるということを明確に示している。
【0144】
実施例6
製造プラント、図3を参照のこと
当該プラントは、個々の溶液、例えば、プロバイオティック懸濁液、脂肪の溶液、および消化物の溶液などを貯蔵するために使用することができる1つ以上の貯蔵タンク2〜6を備え得る。貯蔵タンク2は、さらに、混合タンク1に接続されてもよい。その理由は、当該粉末を油/脂肪懸濁液中にゆっくりと混合しないと、油/脂肪懸濁液と凍結乾燥したプロバイオティクス粉末との混合により、結果としてプロバイオティクスの沈殿が生じる場合があるからである。この混合は手動で実施してもよい。混合タンク1は、物理的に貯蔵タンク2の上方に位置され得る。この方法では、混合タンク1内の懸濁液を、混合タンク1の底部に設けられた放出口から、貯蔵タンク2へと移動させることができる。あるいは、当該放出口は、別の位置、例えば、混合タンク1の側面などに設けてもよい。混合タンクは、例えば、混合タンク1の側面に設けられた放出口からタンクを空にすることができるように適合させることができる。
【0145】
その上、この構成は、重力のみによって移動を実施することができるということを意味しており、これは、懸濁液中のプロバイオティクスの生存能力にとって有益であり得る。
【0146】
プロバイオティクス懸濁液を貯蔵および投入するための貯蔵タンク2および投入ユニットタンク7は、懸濁液を混合する手段、例えば、インペラーまたは回転式タンクあるいはその両方の組み合わせなどを備えてもよい。他の貯蔵タンクおよび投入タンクが、混合するための同じ手段を備えていてもよい。各貯蔵タンク2〜6は、さらに個々の投入タンク7〜9に接続され得る。別の態様において、少なくとも2つの貯蔵タンクが投入タンクを共有する。各投入タンク7〜9は、さらに、単一の真空注入タンク13に接続され得る。一態様において、これらの接続は、各投入タンクを個別に真空注入タンク13に接続する少なくとも1つの噴霧ノズルを含む。さらなる態様において、これらの接続は、それぞれの投入タンクを個別に真空注入タンク13に接続する、噴霧ノズル10〜12による接続のセットであり、これにより、各投入ユニットタンクの内容物を個別に、真空注入タンク13内に存在する食品に噴霧することが可能となる。プロバイオティクスを含む油/脂肪懸濁液と1種類以上の他の溶液との混合を避けるためにこれは重要であり、というのも、混合によりプロバイオティクスの生存能力が低下する場合があるためである。したがって、少なくとも、プロバイオティクス−油/脂肪懸濁液から真空注入タンクに通じる噴霧ノズルは、いずれにも他の投入タンクに接続されるべきではない。
【0147】
噴霧ノズルの形状は、ノズルを通って噴霧される溶液/懸濁液に応じて最適化される必要があるため、噴霧ノズルの詳細な形状は様々であり得る。さらに、真空注入タンク13は、食品を受け入れるための1つ以上の開口部16を備えていてもよい。食品がタンク内の適切な場所に位置されると、以下の工程:
a)真空注入タンク内の圧力を0.2〜0.95barまで下げる工程、
b)例えば、15〜29℃の温度で、噴霧ノズル10〜12の対応する1つ以上のセットにより、投入ユニットタンク7〜9のうちの1つから溶液の1種類を導入する工程、および
c)圧力を1barに戻す工程
が実施され得る。次いで、工程a)〜c)を、食品中へのさらなる真空注入のために他の溶液(または同じ溶液)で繰り返してもよい。後続の溶液を当該食品中に封入するために、これは重要である。真空の解除は、製品および/またはプロバイオティクスに対して有害であり得る圧力の急激な変化を避けるために、ゆっくりと実施され得る。
【0148】
いくつかの真空タンクは、不活性ガスを用いて真空タンク内の圧力を解除するように設計されており、当該不活性ガスは、実際には脂肪の安定性に作用し得、したがって、プロバイオティクスの生存能力に有害であり得る。したがって、一態様において、圧力解除は、不活性ガス、例えば、窒素および二酸化炭素などによっては実施されない。大気は窒素および二酸化炭素を含むが、大気を使用する圧力の解除は、本発明の一部であることは理解されるべきである。
【0149】
噴霧された溶液を注入タンク内に均一に分配させるために、ある種の混合工程が必要な場合がある。したがって、混合タンクは、回転させることができてもよく、またはインペラーなどを備えていてもよい。そのため、封入工程の際、または成分封入の各工程の後に(真空注入タンク13において)混合が実施される場合に有利であり得る。
【0150】
真空注入タンクは、収集容器14に通じる放出口も備え得る。当該収集タンク14は、食品上へのコーティング剤(これは真空注入されない)も必要な場合、特に有用であり得る。そのようなコーティング剤は、収集タンクに接続された容器15に貯蔵され得る。コーティング剤の例は、はちみつ、天然甘味料、人工甘味剤、ビタミン、酒石、または他の添加剤などを含む懸濁液であり得る。
【0151】
参考文献
Official Journal of the European Union, COMMISSION REGULATION (EC) No 1520/2007 of 19 December 2007

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出プロバイオティック食品への真空注入のための懸濁液であって、油と、該油に対して106〜1016CFU/kgの濃度の少なくとも1種類のプロバイオティック微生物とを含み、かつ20℃において0.08パスカル秒(Pa・s)未満の動粘度を有する、懸濁液。
【請求項2】
油の過酸化値が、2 meqO2/kg以下である、請求項1記載の懸濁液。
【請求項3】
酸化防止剤をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の懸濁液。
【請求項4】
酸化防止剤が、天然の酸化防止剤および合成酸化防止剤からなる群より選択される、請求項3記載の懸濁液。
【請求項5】
天然の酸化防止剤が、フラバノイド、カロテノイド、トコトリエノール、トコフェロール、およびテルペンからなる群より選択される酸化防止剤である、請求項4記載の懸濁液。
【請求項6】
酸化防止剤がアスタキサンチンである、請求項5記載の懸濁液。
【請求項7】
酸化防止剤が、BHAおよびBHTからなる群より選択される、請求項4記載の懸濁液。
【請求項8】
油に不飽和脂肪酸が豊富に含まれている、前記請求項のいずれか一項記載の懸濁液。
【請求項9】
不飽和脂肪酸が、n−3脂肪酸および/またはn−6脂肪酸である、前記請求項のいずれか一項記載の懸濁液。
【請求項10】
油が、魚油、植物油、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の懸濁液。
【請求項11】
魚油が、サケ油、サバ油、レイクトラウト油、ニシン油、イワシ油、ビンナガマグロ油、タラ肝油、イカナゴ油(Ammodytes tobianus)、およびメンハーデン油からなる群より選択される、請求項10記載の懸濁液。
【請求項12】
油が植物油である、請求項1〜10のいずれか一項記載の懸濁液。
【請求項13】
油が、亜麻仁油、オリーブ油、ルリチシャ油、リンオイル(lin oil)、カメリナ油、グレープシードオイル、チア油、キウイフルーツシードオイル、エゴマ油、コケモモ、スベリヒユ油、シーバックソーン油、大麻油、および大豆油からなる群より選択される、請求項12記載の懸濁液。
【請求項14】
少なくとも1種類のプロバイオティック微生物が、細菌、酵母、およびカビからなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の懸濁液。
【請求項15】
少なくとも1種類のプロバイオティック微生物が、ビフィドバクテリウム、バクテロイデス、クロストリジウム、フソバクテリウム、メリソコッカス、プロピオニバクテリウム、ストレプトコッカス、エンテロコッカス、ラクトコッカス、コクリア、スタフィロコッカス、ペプトストレプトコッカス、バチルス、ペディオコッカス、マイクロコッカス、レウコノストック、ウィッセラ、アエロコッカス、オエノコッカス、およびラクトバチルスからなる群より選択される細菌である、請求項14記載の懸濁液。
【請求項16】
少なくとも1種類のプロバイオティック微生物がエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)である、請求項15記載の懸濁液。
【請求項17】
少なくとも1種類のプロバイオティック微生物が、エンテロコッカス・フェシウムのNCIMB 10415菌株である、請求項15記載の懸濁液。
【請求項18】
少なくとも1種類のプロバイオティクスが、サッカロミセス、デバロミセス、カンジダピチア、およびトルロプシスからなる群より選択される酵母である、請求項14記載の懸濁液。
【請求項19】
少なくとも1種類のプロバイオティクスが、アスペルギルス、リゾプス、ムコール、ならびにペニシリウムおよびトルロプシスからなる群より選択されるカビである、請求項14記載の懸濁液。
【請求項20】
プロバイオティック微生物が、黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)、ニホンコウジカビ(A.oryzae)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・レンタス(B.lentus)、バチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バチルス・メセンテリカス(B.mesentericus)、バチルス・プミルス(B.pumilus)、枯草菌(B.subtilis)、バチルス・ナットー(B.natto)、バクテロイデス・アミロフィルス(Bacteroides amylophilus)、バクテロイデス・カピローサス(Bac.capillosus)、バクテロイデス・ルミニコーラ(Bac.ruminicola)、バクテロイデス・スイス(Bac.suis)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(B.animalis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(B.bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(B.lactis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・プソイドロングム(B.pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・テルモフィルム(B.thermophilum)、カンジダ・ピントレペシイ(Candida pintolepesii)、酪酸菌(Clostridium butyricum)、エンテロコッカス・クレモリス(Enterococcus cremoris)、エンテロコッカス・ダイアセチラクチス(E.diacetylactis)、エンテロコッカス・フェシウム(E.faecium)、エンテロコッカス・インターメディウス(E.intermedius)、エンテロコッカス・ラクチス(E.lactis)、エンテロコッカス・ムントディ(E.muntdi)、エンテロコッカス・サーモフィルス(E.thermophilus)、大腸菌(Escherichia coli)、クリベロミセス・フラジリス(Kluyveromyces fragilis)、好酸性乳酸桿菌(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(L.alimentarius)、ラクトバチルス・アミロボラス(L.amylovorus)、ラクトバチルス・クリスパタス(L.crispatus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(L.casei)、ラクトバチルス・クルバタス(L.curvatus)、ラクトバチルス・セロビオサス(L.cellobiosus)、ラクトバチルス・デルブルッキー亜種・ブルガリカス(L.delbrueckii ss.bulgaricus)、ラクトバチルス・ファルシミニス(L.farciminis)、ラクトバチルス・ファーメンタム(L.fermentum)、ラクトバチルス・ガセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(L.helveticus)、乳酸杆菌(L.lactis)、ラクトバチルス・プランタルム(L.plantarum)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(L.johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(L.reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・サケイ(L.sakei)、ラクトバチルス・サリバリウス(L.salivarius)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ペジオコッカス・セレヴィシエ(ダムノサス)(P.cereviseae(damnosus))、ペジオコッカス・アシジラクティシー(Pediococcus acidilactici)、ペジオコッカス・ペントサセウス(P.pentosaceus)、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)、プロピオニバクテリウム・シェルマニイ(Prop.shermanii)、サッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、スタフィロコッカス・カルノサス(Staphylococcus carnosus)、スタフィロコッカス・キシローサス(Staph.xylosus)、ストレプトコッカス・インファンタリウス(Streptococcus infantarius)、ストレプトコッカス・サリバリウス亜種・テルモフィルス(Strep.salivarius ss.thermophilus)、ストレプトコッカス・テルモフィルス(Strep.thermophilus)、乳連鎖球菌(Strep.lactis)からなる群より選択される、請求項14記載の懸濁液。
【請求項21】
動粘度が、20℃において0.06パスカル秒(Pa・s)未満である、前記請求項のいずれか一項記載の懸濁液。
【請求項22】
動粘度が、20℃において0.04〜0.06パスカル秒(Pa・s)の範囲である、前記請求項のいずれか一項記載の懸濁液。
【請求項23】
20℃と25℃の間のΔPa・sが、少なくとも0.009Pa・sである、前記請求項のいずれか一項記載の懸濁液。
【請求項24】
a)少なくとも1種類のプロバイオティック微生物を、乾燥粉末に対して109〜1017CFU/kgの総濃度を有する乾燥粉末形態で提供する工程と、
b)油を提供する工程と、
c)容器中において室温で連続的に撹拌しながら、油100kg当たり0.3〜15kgの該プロバイオティック微生物の粉末を該油に加えて、懸濁液プレミックスを作成する工程と、
d)c)の該懸濁液プレミックスを、混合手段を備えた「貯蔵タンク」に移動させる工程であって、ただし、該移動が真空吸引によるものではない、工程と、
e)均一に分散されたプロバイオティック微生物の懸濁液を得るために、該プレミックス懸濁液をRTで混合し、該懸濁液を得る工程と
を含む、前記請求項のいずれか一項記載の懸濁液を調製する方法。
【請求項25】
乾燥粉末形態中における少なくとも1種類のプロバイオティック微生物の総濃度が、乾燥粉末に対して1010〜1013CFU/kgの範囲である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
100kgあたり3.3〜6.7kgのプロバイオティック微生物粉末が、容器中において油に加えられる、請求項24または25記載の方法。
【請求項27】
プレミックスが、3時間を超えない時間混合される、請求項24〜26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
プレミックスが、1時間以上混合される、請求項24〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1種類のプロバイオティック微生物を含む押出食品を製造する方法であって、前記請求項のいずれか一項記載の懸濁液の真空封入によって、該プロバイオティック微生物が該食品の構造全体に均一に分散される、方法。
【請求項30】
食品がペットフード製品である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
食品がヒト用食品である、請求項29記載の方法。
【請求項32】
請求項29〜31のいずれか一項記載の方法によって得られる押出プロバイオティック食品。
【請求項33】
食品中のプロバイオティクスの最小量が、105CFU/Kg〜1015CFU/Kgの範囲である、請求項31記載の食品。
【請求項34】
食品の水分%が7%を上回る、請求項32または33記載の食品。
【請求項35】
押出プロバイオティック食品の調製のための、前記請求項のいずれか一項記載の懸濁液の使用であって、該懸濁液が、油と、該油に対して106〜1016CFU/kgの濃度の少なくとも1種類のプロバイオティック微生物とを含み、かつ20℃において0.08パスカル秒(Pa・s )未満の動粘度を有する、使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−524532(P2012−524532A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506503(P2012−506503)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055353
【国際公開番号】WO2010/122107
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511255476)
【Fターム(参考)】