プロファイルの小さい回折格子/トランスデューサー・アッセンブリを備えた弾性波タッチセンサー
弾性波基板、弾性波トランスデューサーおよび弾性波回折格子を有するタッチセンサーが提供される。弾性波トランスデューサーからの弾性波エネルギーが、基板の表面を沿うように伝搬する弾性波に結合するように、弾性波トランスデューサーと基板との間に格子が配置されている。弾性波トランスデューサーと格子との組合せは、ディスプレイ・デバイスに用いられる場合、弾性波基板と基板前面に配置されるベゼルとの間により容易に設けることができる。基板の裏面に弾性波要素を設ける必要がなく、ディスプレイ・デバイスの前面に弾性波基板を形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明の分野は、タッチセンサー技術に関しており、より詳細には、弾性波タッチセンサー技術(または表面弾性波タッチセンサー技術もしくは音波タッチセンサー技術もしくは超音波タッチセンサー技術、acoustic touch sensor technology)に関している。
【0002】
発明の背景
タッチセンサーは、コンピューターおよび他の電子システムのための透明または不透明な入力デバイスである。名称から分かるように、タッチセンサーは、ユーザーの指、スタイラス(または棒、stylus)または他のデバイスに起因した接触によって作動する。透明なタッチセンサー(特にタッチスクリーン)は、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマもしくはエレクトロルミネセント等のディスプレイ・デバイスまたは他の種類のディスプレイと組み合わされて使用されて、タッチ・ディスプレイを形成する。かかるタッチ・ディスプレイは、レストランのオーダー・エントリー・システム、工業的なプロセス制御の用途、双方向ミュージアムの展示、公共の情報提供所(public information kiosk)、ポケットベル、携帯電話、パーソナル携帯情報機器(PDA)およびテレビ・ゲーム等の商業用途に対して用いられつつある。
【0003】
現在、用いられている主なタッチ技術は、抵抗方式、容量方式、赤外線方式および弾性波方式である。かかるタッチスクリーンは、コスト的に競争力のある価格で高水準の性能をもたらす。かかるタッチスクリーンの全ては、タッチに反応し、タッチ位置座標をホスト・コンピューターに伝える透明デバイスである。超音波タッチスクリーンとしても知られる弾性波タッチスクリーンは、他のタッチ技術と有効に対抗し得るものである。これは、弾性波タッチスクリーンが、耐久性のあるタッチ表面を供しつつ、高い透明度および高い分解能のタッチ性能を有する必要がある厳しい用途に対応できることに主に起因する。
【0004】
一般的に、弾性波タッチスクリーンは、弾性波が伝搬し、かつ、タッチに対して感度を有する基板を有して成る。基板表面がタッチされると、基板を伝搬する波エネルギーの少なくとも一部が吸収される。タッチ位置は、電子回路を用いて、タッチスクリーン上に形成された概念的で目に見えないXY座標系の吸収位置を突き止めることによって決められる。それは、基本的には、波が最初に伝搬する時間を記録し、次いで、タッチによって波の振幅が減衰する時間を記録することによって行われている。タッチ位置を正確に決定するには、基板を伝搬する波の既知の速度と共に、上記の時間の差が用いられることになる。
【0005】
一般的に、透明なタッチセンサー(特にタッチスクリーン)は、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマもしくはエレクトロルミネセント等のディスプレイ・デバイスまたは他の種類のディスプレイの上に設けられる。別法にて、ディスプレイ・デバイスの表面がタッチに対して感度を有するように、タッチスクリーンをディスプレイ・デバイスの前面(または正面)に直接的に形成することもできる。後者では、看者とディスプレイ・デバイスとの間でガラスまたは他の材料が排除されるので、感知されるディスプレイ輝度およびコントラスト比が増加することになる。また、オーバーレイ・ガラス(overlay glass)を用いなくてよいので、オーバーレイ・ガラスの空間を設けるべくディスプレイ・デバイスの胴体(chassis)を変更する必要がないという点で経済的な利点が存在する。
【0006】
弾性波タッチスクリーンは、弾性波基板およびトランスデューサーを有して成る。なお、トランスデューサーでは、エネルギーがある形態から別の形態へと変えられる。例えば、送信トランスデューサーは、関連する電子回路からのトーン・バーストを受信することができ、基板に弾性波を送信する。その一方、受信トランスデューサーは、送信された弾性波を基板から受信することができ、処理が行われる関連する電子回路へと送信される電子信号を発生させる。
【0007】
種々の種類の弾性波トランスデューサー・アッセンブリは、既知である。弾性波タッチスクリーンに用いられる最も一般的なタイプは、ウェッジ状(またはくさび型)トランスデューサー・アッセンブリ(wedge transducer assembly)、格子状トランスデューサー・アッセンブリ(またはグリッド状トランスデューサー・アッセンブリ、grating tranceducer assembly)およびエッジ状トランスデューサー(edge tranceducer)である。
【0008】
図1Aは、典型的なウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aを示している。かかるウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aでは、波速度が適当に異なる種々の媒体の境界面に弾性波が斜めに入射した際に弾性波が屈折する現象を利用している。このような原理に基づき、ウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aは、ウェッジ12(例えばプラスチック製のウェッジ)から成っており、かかるウェッジ12の斜辺が、ウェッジ12の材料とは異なる材料(例えばガラス)から形成されている弾性波基板16の前面18に取り付けられている。また、ウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aは、トランスデューサー、厳密に言うと、ウェッジ12の上記斜辺以外の側面に設けられた圧電素子(または圧電要素)14を有して成る。矢印で示すように、圧電素子14は、ウェッジ12のバルク波と結合する。なお、ウェッジ12のバルク波は、臨界角(即ち、「ウェッジ角(wedge angle)」)で伝搬するが、基板16で水平に伝搬する波へと屈折するように伝搬するか、又は、そのような波から屈折するように伝搬することになる。
【0009】
図1Bは、典型的な格子状トランスデューサー・アッセンブリ10bを示している。かかる格子状トランスデューサー・アッセンブリ10bは、平行なストリップ(strip)として基板前面18に沿って整列する摂動要素(perturbation element)24から構成されている。また、格子状トランスデューサー・アッセンブリ10bは、トランスデューサー、厳密にいうと、基板前面18に対向する基板16の裏面(または背面)28に設けられた圧電素子26を有して成る。矢印で示すように、圧電素子26は、基板16のバルク波と結合する。格子22を介して、かかるバルク波は、基板18にて対向するように水平に伝搬する2つの波と結合する。格子状トランスデューサーの構造および使用についての詳細は、米国特許第6091406号に開示されており、かかる特許は、参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0010】
図1Cは、典型的なエッジ状トランスデューサー10cを示している。かかるエッジ状トランスデューサー10cは、基板前面18に感知できるほどのエネルギーを有する弾性波が生じるように、圧電素子32が基板16のエッジ34に直接的に取り付けられている。従って、界面は、圧電素子32を基板16に接続する機械的な機能を有しているだけでなく、矢印で示すように基板16で水平に伝搬する波へと結合する弾性波機能を有している。エッジ状トランスデューサーの構造および使用についての詳細は、米国特許第5177327号に開示されており、かかる特許は、参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0011】
最終的には、どのタイプのトランスデューサーを選択するかは、タッチスクリーンが設けられる構造的な環境に少なくとも左右される。例えば、どのタイプのトランスデューサーを選択するかは、弾性波基板がディスプレイ・デバイスの前面パネル(または正面パネル)に重なって別個のフェースプレート(faceplate)を構成しているか否かに左右されたり、または、ディスプレイ・デバイスの前面パネルに弾性波基板が直接的に組み込まれているか否かに左右されたりする。また、どのタイプのトランスデューサーを選択するかは、弾性波基板の形状、例えば弾性波基板が湾曲しているか又はフラットであるか否かにも左右されることになる。
【0012】
例えば、図2は、ディスプレイ・デバイス52、および、かかるディスプレイ・デバイス52に重ねられる弾性波基板54を有して成るタッチ・ディスプレイ50を示している。ディスプレイ・デバイス52は、湾曲した前面パネル56(例えば典型的な陰極線管に設けられている前面パネル)を有しており、弾性波基板54は、それに対応する湾曲した形状を有している。弾性波基板54の湾曲した幾何学的形状に起因して、基板54の周縁をカバーするベゼル58と基板54との間には空間が存在する。この場合、ウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aが、比較的大きいプロファイル(または輪郭もしくは側面形状、profile)を有するものであったとしても、そのようなウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aを好都合に基板54の前面60に設けることができる。つまり、弾性波基板54の前面60にトランスデューサーを設けることが可能な場合または望ましい場合に、ウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aが用いられ得る。
【0013】
図3は、ディスプレイ・デバイス72、および、かかるディスプレイ・デバイス72に重ねられた弾性波基板74を有して成るタッチ・ディスプレイ70を示している。なお、かかるディスプレイ・デバイス72は、液晶ディスプレイ、フラットCRTまたはプラズマ・ディスプレイ等のフラットな前面パネル76を有しており、弾性波基板74もまたフラットとなっている。そのため、基板74とベゼル58との間にはクリアランス(または隙間)が殆どまたは全く存在しない。このようにクリアランスが最小限であったとしても、格子状トランスデューサー・アッセンブリ10bは設けることができる。格子状トランスデューサー・アッセンブリ10bの格子22は、比較的小さいプロファイルを有しており、ベゼル58と基板74との間に設けられた最小限の空間内にて、基板74の前面80に配置することができる。圧電素子26を基板74の裏面82に配置することができる。圧電素子26とディスプレイ・デバイス72の前面パネル76との間にクリアランスを供するために、基板の裏面82を斜めに形成してもよい(又は斜角で設けてもよい)。
【0014】
ベゼル58と弾性波基板のエッジとの間にて利用できる周縁スペースが存在するタッチスクリーンでは、かかる周縁スペースにてエッジ状トランスデューサー10cを基板に設けることができる。しかしながら、このようにエッジ状トランスデューサー10cを設けることは、垂直面を慎重に機械加工しなければならないのでコストが相当に増加してしまうことになる。更に、レイリー波に結合することが望ましい場合では、エッジ状トランスデューサーがより複雑なものとなるので、望ましくないエッジ状トランスデューサーとなてしまう。
【0015】
別個のフェースプレートを形成する弾性波基板内に上述のトランスデューサー10を選択的に組み込む場合では、タッチスクリーン・メーカーが実行可能な解決策を一般的に見出すことができるものの、それは、ディスプレイ・デバイスの前面パネルを形成する弾性波基板の場合(即ち、ディスプレイ・デバイス自体がタッチに対して感度を有する前面パネルを有している場合)では当てはまるものではない。例えば、格子状トランスデューサー・アッセンブリの圧電素子は、弾性波基板の裏面に配置しなければならず、基板がディスプレイ・デバイスの前面パネルを構成する場合、その他の選択肢はない。ディスプレイ・デバイスがタッチに対して感度を有するフラットな前面パネル(例えばCRTまたは50”プラズマ−ディスプレイ)を有する場合、ディスプレイの前面にウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリを取り付けることは困難となり、ベゼルとウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリとの間に機械的な干渉(または機械的な障害、mechanical interference)がしばしば生じてしまう。かかる干渉は、トランスデューサーが正常に機能するのを妨害し得、更に悪い場合では、トランスデューサーまたはベゼルを損なう可能性がある。更に、弾性波基板が別個のフェースプレートを構成する場合では、エッジ状トランスデューサーに対しては垂直に機械加工した表面を設けることは非常に困難となり得る。
【0016】
しばしば、タッチスクリーン・メーカーは、ディスプレイ・デバイスを包囲するハウジングを変更するオプションを有していない場合がある。タッチスクリーン・メーカーがディスプレイ・デバイスのフェースプレートを構成するタッチスクリーンを製造する際、通常、ディスプレイ・デバイス自体は製造しない。むしろ、モニター・メーカーによって提供されるディスプレイ・デバイスを扱って製造が行われる。タッチスクリーン・メーカーが、供されたハウジングを新しいハウジングに交換するのは非現実的であるので、ディスプレイ・デバイスと供されたハウジングとの間で利用できるタッチスクリーン要素を収容するスペースがどのようなものであっても、メーカーはそれに適応しなければならない。タッチスクリーン・メーカーがベゼルの設計管理をする場合であっても、しばしば、トランスデューサーへの機械的な干渉に起因して、ベゼル開口部(ディスプレイ・デバイスのディスプレイ面を完全に利用できなくしている)のディメンションが減じることになる。
【0017】
従って、弾性波基板の前面に設けることができる比較的小さいプロファイルのトランスデューサーに対してはニーズがある。
【0018】
発明の要旨
本発明の第1要旨では、タッチセンサーが供される。タッチセンサーは、表面を有する弾性波基板を有して成る。ある好ましい態様では、基板は透明であり、そのため、基板をディスプレイ・デバイスと関連させて用いることができる。ある好ましい態様では、タッチセンサーは、圧電素子を有して成る弾性波トランスデューサーを更に有して成る。タッチセンサーは、基板とトランスデューサーとの間に配置される弾性波回折格子(または弾性波を回折させる格子、acoustically diffractive grating)を更に有して成る。弾性波回折格子は、弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーを、基板の表面に沿って伝搬する弾性波に結合(couple)させるように構成されている。弾性波回折格子は、様々な方法でもって、基板と弾性波トランスデューサーとの間に配置することができる。例えば、弾性波回折格子は、基板と弾性波トランスデューサーとの間に適当に取り付けられた構造的に別個の要素であってよい。あるいは、弾性波回折格子は、基板および弾性波トランスデューサーのいずれか一方または双方と構造的に一体化させたものであってもよい。例えば、弾性波回折格子は、基板および弾性波トランスデューサーの表面(もしくは表面の内部)のいずれか一方または双方に設けてもよい。従って、本明細書の便宜上、基板表面に沿って伝搬する弾性波がトランスデューサーを通過する前に弾性波回折格子に至る場合、または、弾性波トランスデューサーから伝搬してきた弾性波が基板の表面へと伝搬する前に弾性波回折格子に至る場合では、基板と弾性波トランスデューサーとの間に弾性波回折格子が配置されていることを理解されよう。弾性波トランスデューサーと弾性波回折格子との組合せは、弾性波基板と別の基板(例えば、基板の前面に設けられるベゼル)との間にてより容易に適合することができる比較的小さいプロファイルを有している。
【0019】
ある好ましい態様では、弾性波回折格子は、平行要素のアレイ(または配列、array)を有して成る。好ましくは、平行要素は、基板表面を伝搬する弾性波の波長に等しい距離で相互に離隔している。このような場合、回折した弾性波エネルギーが一体的に組み合わされて、より強い弾性波が形成される。また、タッチセンサーは、第2弾性波トランスデューサー、および、基板と第2弾性波トランスデューサーとの間に配置される第2弾性波回折格子を有して成る。この場合、第2弾性波回折格子によって、第2弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーが弾性波へと結合することができる。従って、第1トランスデューサーおよび第1弾性波回折格子が、基板の表面を横断するように弾性波を送信することができる一方、第2弾性波トランスデューサーおよび第2弾性波回折格子が、基板表面からの弾性波を受信することができる。
【0020】
本発明の第2の要旨では、タッチ・ディスプレイが供される。タッチ・ディスプレイは、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ、エレクトロルミネセント、真空蛍光ディスプレイ(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED)等のディスプレイ・デバイスまたは他の種類のディスプレイを有して成る。タッチ・ディスプレイは、弾性波タッチスクリーン(その基板がディスプレイ・デバイスの前面を成す)、弾性波トランスデューサー、および、基板と弾性波トランスデューサーとの間に配置される弾性波回折格子を更に有して成る。上述したように、弾性波回折格子は、弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーを、基板の表面に沿って伝搬する弾性波に結合させるように構成されている。弾性波回折格子、弾性波トランスデューサーおよび基板は、上述した特徴と同様の特徴を有するものである。特に、組み合わされた弾性波トランスデューサーおよび弾性波回折格子の小さいプロファイル自体は、基板とベゼルとの間のスペースが殆どない一体化されたフラットな弾性波基板を備えたディスプレイ・デバイスに対して好ましく適合するものである。
【0021】
図面の簡単な説明
図面は、本発明の好ましい態様の設計および効果を示している。図面では、同様の要素は、似たような参照番号で示している。かかる好ましい態様を示す図面を参照することによって、本発明の利点および目的をより良く理解することができる。なお、図面は、本発明のある態様を単に表したものであり、その範囲に限定して本発明を解すべきものではない。そのような事を前提として、以下にて、図面を用いることによって、本発明を更に特定しつつ詳細に説明する。
【0022】
図4には、本発明の好ましい態様に従って構成されたタッチスクリーン・システム100を示している。一般的に、タッチスクリーン・システム100は、弾性波タッチスクリーン105(即ち、透明な基板を有するタッチセンサー)、コントローラー110、コントローラー110とタッチスクリーン105とを接続するリード線115を有して成る。タッチスクリーン・システム100は、タッチスクリーン105上のタッチ(または接触)に反応するように構成されている。つまり、弾性波信号がタッチスクリーン105を横断するように送信されており、タッチに起因して、その弾性波信号の1つ以上が変化する(modulate)ようになっている。コントローラー110は、変化した信号を順に用いて、タッチスクリーン105のタッチ位置を特定する。コントローラー110がタッチを有効なものとして認識した場合には、コントローラー110は、タッチ位置をホスト・コンピューター(図示せず)に送信する。そして、ホスト・コンピューターでは、ディスプレイ・デバイスに関連情報(例えば、ユーザーがオプションを選択できるアイコン、メニューまたはディレクトリー等のグラフィック)を表示するコンピューター機能が実行されることになる。
【0023】
図5に示すように、タッチスクリーン105は、前面135を有する弾性波基板120、および、基板の前面135に設けられた複数のトランスデューサー・アッセンブリ125を有して成る。典型的には、4つのトランスデューサー・アッセンブリ125(図5では2つのトランスデューサー・アッセンブリのみを示す)が用いられている。4つのうちの2つのトランスデューサー・アッセンブリ125は、コントローラー110によって、それぞれが直交方向に基板前面135を横断する弾性波信号を送信するように作動する。そして、4つのうちの別の2つのトランスデューサー・アッセンブリ125は、コントローラー110によって、基板前面135から弾性波信号を受信するように機能する。かかる超音波信号は、コントローラー110で基板120のタッチ位置を決定できる格子を構成する。タッチ位置を特定および決定する弾性波タッチスクリーン・システムの一般的な使用および構成の詳細は、米国特許第3673327号、同4644100号および同6091406号に開示されている(かかる特許は、参照することによって、本明細書に組み込まれる)。
【0024】
図5に示すように、タッチスクリーン・システム100を常套のディスプレイ・デバイス155と関連して用いてタッチ・ディスプレイ150を構成することができる。かかる態様では、ディスプレイ・デバイス155のフェースプレートは、タッチスクリーン105の基板120として機能する。タッチスクリーン105は、ケーブル160によって出口部165と接続されている。出口部165は、電力を受容したり、コントローラー110(図4に示す)とのインターフェースを成したりしている。タッチ・ディスプレイ150は、ディスプレイ・デバイス155ならびに全ての関連のある回路およびケーブルを受容する略中空のモニター・バックケース170、ならびに、タッチスクリーン105および関連する部品をカバーおよび保護するベゼル175を有して成る。
【0025】
図示する態様では、弾性波基板120は、略フラットな矩形の幾何学的形状を有している。本発明は、ディスプレイ・デバイスのフラットなフェースプレートを成す弾性波基板を用いる際に最も有益であるものの、本発明は、いずれの種類のディスプレイ・デバイスにも一般に適用することができる。例えば、ディスプレイ・デバイスの前に存在するフェースプレートに対して、タッチスクリーン105を配置することができる。基板120は、六角形などの非矩形の形状を有するものであってよく、また、別法にてX軸およびY軸の双方または一方に沿って湾曲するものであってもよい。
【0026】
基板120自体は、動作周波数で弾性波が基板表面135に平行な方向で伝搬できる材料から構成されている。基板120は、常套的なディスプレイ・デバイスの前面を構成する材料と同じ材料(例えばガラス)から常套的に形成され得るものの、それとは別の材料で基板120を形成してもよい。別法にて、基板120は均一なものにする必要はなく、例えば種々の層から形成された非均一な材料から基板120を形成してもよい。
【0027】
基板120を伝搬する弾性波は、基板前面135におけるタッチに起因して検知可能に摂動が加えられるような弾性波であればよい。表面束縛波モード(または表面に拘束された波モード、surface bound wave mode)または板波モードについては多くの選択肢が存在する。表面束縛波、例えばレイリー波(擬似レイリー波を含む)は、優れたタッチ感度を有しており、任意の厚さの基板であっても表面近くの薄い領域に本質的に束縛(または拘束)される。水平偏波のせん断波は、液体およびゲル状の汚染物質(例えば水およびシリコーン−ゴムシール)とは弱く結合するという利点を有している。他の種類の波の伝搬をサポートすることに加えて、非均一な基板は、非対象な表面の出力密度を有する水平偏波のせん断波の伝搬をサポートするように特に構成されている。なお、かかる非対象な表面の出力密度を有する水平偏波のせん断波には、レイリー波のようにタッチ表面付近に拘束された水平偏波のせん断波であるラブ波が含まれる。充分に薄い基板におけるラム波では、弾性波モードについて更に別の選択肢がもたらされる。種々の工業的なトレードオフは、所定の用途に対して弾性波モードを最適に選択することに関連している。
【0028】
図6に最もよく示すように、各々のトランスデューサー・アッセンブリ125は、弾性波トランスデューサー180、および、基板120と弾性波トランスデューサー180との間に配置された弾性波回折格子185を有して成る。最も一般的なトランスデューサー180は、チタンジルコン酸鉛、チタン酸鉛またはニオブ酸リチウム等の圧電材料から構成されているものの、本発明はそれに制限されるものではない。弾性波を別の形態のエネルギーに変換するトランスデューサーまたはその逆の変換を行うようなトランスデューサー、例えば、光弾性波トランスデューサー(または光音波トランスデューサー)、磁気弾性波トランスデューサー(または磁気音波トランスデューサー)、弾性波−弾性波トランスデューサー(ある弾性波モードから別の弾性波モードへと変化するトランスデューサー)、熱弾性波トランスデューサー(または熱音波トランスデューサー)が特に利用される。
【0029】
トランスデューサー180は、典型的には、導電性部分を有する薄い矩形要素の形態を有している。なお、かかる導電性部分は、それらの間にて圧電応答材料を備えた電極として機能する。しかしながら、トランスデューサー180が矩形である必要はなく、例えば、タッチスクリーン表面が直角のコーナーを有していない場合には、トランスデューサーの形状を、利用できるレイアウトのスペースの幾何学的形状に対応させることができる。振動する電圧信号がトランスデューサー180の電極に適用される場合、圧電材料中で生じる電場(または電界)によって、圧電材料の性質、電極の配置および機械的な制限や結合に応じて、トランスデューサー180が圧電効果で振動する。また逆に、トランスデューサー180が機械的に振動する場合、振動する電圧が電極に現れることになる。
【0030】
トランスデューサー180によって生じる機械的な振動モードに関しては幾つかの選択肢がある。一般的には、トランスデューサー180の薄いディメンションに対しては、最も低い次元の圧縮−拡大振動が選択される。かかる要素は、長手方向成分が多い他の弾性波モードに結合する。その他として、ある電極が設けられた表面が、対向する面に平行で対向する方向に移動する最も低い次元のせん断振動が選択される。かかるトランスデューサー180は、せん断成分を有する他の弾性波モードに結合する。電極面内でせん断波がいずれの方向にも動くように、せん断波の方向を設計することができる。より高い次元(例えば、3次元、5次元または7次元など)の振動を用いることによって、より複雑な選択をすることもできる
【0031】
トランスデューサー180は、所望の振動モード(例えば5MHz)の動作周波数にて共振周波数(または共鳴周波数)を有するように設計されている。最も低い次元の圧縮または圧力振動に対しては、共振周波数が、トランスデューサー180の厚さの2倍によって除されたバルク圧力−波速度(圧電材料におけるバルク圧力−波速度)となり、その結果、トランスデューサー180の厚さがバルク圧力波長の半分となっている。同様に、最も低い次元のせん断振動では、共振周波数が、トランスデューサー180の厚さの2倍によって除されたバルクせん断−波速度(圧電材料におけるバルクせん断−波速度)となり、その結果、トランスデューサー180の厚さが、バルクせん断波長の半分となっている。トランスデューサー180は、タッチスクリーン105で用いられ、基板120の弾性波を結合させるので、機械的な減衰オシレータである。
【0032】
格子185は、トランスデューサー180によって生じる弾性波エネルギーを、基板120を水平に伝搬する弾性波(即ち、基板表面135に平行に伝搬する弾性波)に結合させるように構成されている。このため、格子185は、弾性波モードを結合させることができる周期的な弾性波摂動要素190のアレイを有して成る。図1Bに示すような従来技術の格子状トランスデューサー・アッセンブリ10bとは違って、トランスデューサー180と格子185との間に存在する基板120を伝搬する中間バルク波は存在しない。本発明では、摂動要素190がトランスデューサー180の表面と直接的に接触しているので、トランスデューサー180と摂動要素190との間で弾性波エネルギーが直接的に結合することになる。トランスデューサー180と摂動要素190との間での弾性波エネルギーの結合(即ち、格子185の回折特性)が最大限となるように、各々の摂動要素190の間の媒体は、トランスデューサー180に非効率に結合する。好ましくは、かかる媒体は空気から成るものの、摂動要素190の相対的な弾性波結合特性が、介在する媒体の相対的な弾性波結合特性よりも相当に大きい限り、エポキシ等の他の材料から媒体を形成してもよい。
【0033】
このように、電気信号を介してトランスデューサー・アッセンブリ125(送信モードとして作動するトランスデューサー・アッセンブリ)で生じる弾性波エネルギーは、格子185に入射し、表面束縛波または板波に変換される。そして、表面束縛波または板波は、上述した複数の通路を通るようにX軸およびY軸の方向にて基板120を伝搬する。その後、表面束縛波または板波は、格子185に入射した後、トランスデューサー125(受信モードとして機能するトランスデューサー)によって受信される弾性波エネルギーへと変換され、次々と電気信号へと変換されることになる。
【0034】
図示する態様では、各々の摂動要素190はまっすぐなものであってよい。別法にて、各々の摂動要素190は湾曲したものでもよく、その場合は、各々の摂動要素190が弾性波レンズとして機能し得る。また、各々の摂動要素190は、弾性波の一部とのみ相互に作用する点状セグメントまたは短い長尺セグメントであってもよい。場合によっては、各々が異なる波モードまたは伝搬軸を潜在的に有する2つ以上の異なる弾性波へと散乱させるように、摂動要素を設けてもよい。
【0035】
格子摂動サイクル、即ち、格子185の間隔またはピッチは、基板120を水平に伝搬する弾性波の波長に応じて、例えば、約0.01〜10mm、好ましくは約0.1〜5mm、より好ましくは約0.3〜1mmの範囲内で選択され得る。回折した弾性波の間に相加的作用がもたらされるように、格子185のピッチが、水平に伝搬する波の波長と等しいことが好ましい。
【0036】
特に、格子185は、対向して水平に伝搬する2つの波に典型的に結合する。基板120の中心へと伝搬する波または基板120の中心から伝搬する波は、基板120のタッチ位置を決定すべくタッチスクリーン・システム100で用いられる一方、基板120のエッジへと伝搬する波または基板120のエッジから伝搬する波は捨てられることになる。場合によっては、弾性波が格子185の方へと反射されるように、弾性波反射体(図示せず)を格子185と基板120のエッジとの間に配置してもよい。
【0037】
一般的には、トランスデューサー180から基板120へと弾性波エネルギーを効率的に結合させるために、摂動要素190は、できる限り非弾性である(例えば、圧縮または伸張しにくい)必要がある。材料の圧縮率は、摂動要素の厚さをヤング率で除すことによって決められるので、摂動要素の厚さが大きくなると、摂動要素の圧縮率が望ましくないものとなる。従って、摂動要素190を構成する材料のヤング率が小さいほど、摂動要素190をより薄くしなければならない。特に、例えばエポキシ等の比較的柔らかい材料であっても、充分に薄いなら、摂動要素190として効率的に用いることができる。摂動要素190は、同じ材料から構成してもよいし、または、複数の材料から構成してもよい。いずれの場合であっても、材料の全体的な圧縮率は、トランスデューサー180と基板120との間の弾性波結合を最大限にするように考慮すべきである。
【0038】
以下で更に詳細に説明するが、トランスデューサー180と基板120との間で格子185を種々に構成することができ、また、各々の摂動要素190の断面形状はどのような形状(例えば、半円形状、三角形状、矩形状、鋸歯形状など)であってもよい。格子185は、例えば、基板表面135またはトランスデューサー180に対して形成されたり、それらの中に形成されたりするが、基板120とトランスデューサー180との間に適当に取り付けられた別個のアッセンブリから格子185を形成してもよく、または、基板120またはトランスデューサー180と一体化させて格子185を形成してもよい。格子185の形成に際しては、いかなる手法(またはプロセス)を用いてもよい。例えば、スクリーン印刷でガラス・フリット(glass frit)を付着させることによって構成185を形成することができる。また、エッチング、切断、研磨、レーザー・アブレーションまたはその他の除去手段を用いることによっても構成185を形成することができる。更に、成形法もしくはホットスタンピングによっても、または、基板120もしくはトランスデューサー180の製造後で変性処理を行うことによっても、格子185を形成することができる。格子185の反射率と透明性とのバランスを取るために、個々の摂動要素の高さ及び/または幅を格子の全域で変更してもよい。
【0039】
注目すべきことは、図5に示すように、格子185とトランスデューサー180との組合せを基板120とベゼル145との間に適合させることができるように、かかる組合せは比較的小さいプロファイルを有している。一般的に、かかる組合せを基板120とベゼル145との間に適合させることは容易である。なぜなら、格子185の厚さを弾性波の波長よりも相当に小さくすることができ、トランスデューサー180の厚さが関連するバルク波の波長の半分となるからである。
【0040】
図7は、金属箔195を有して成る格子185aを示している。なお、金属箔195からは、摂動要素190のネガ・パターン(negative pattern)をエッチングすることによって、交互に設けられた摂動要素としてのタイン部200(または歯状部分、tine)およびスロット部205が形成される。生産効率の観点から、摂動パターンの複数のセットをより大きい金属箔シートへとエッチングしてもよく、その後、単一の摂動パターンを各々成すより小さい金属箔へと切断してもよい。金属箔195の好ましい厚さは、0.050〜0.075mmである。基板120(ガラスから成る基板)を水平に伝搬する弾性波の表面波速度が3.16mm/μsであり、周波数が5.53MHzであることを仮定すると、関連する弾性波の波長は0.571mmとなる。従って、ピッチが0.571mmの格子185(a)を得るには(即ち、隣り合うタイン部200の中心間の距離が0.571mmとするには)、各々のタイン部200の幅が0.286mmとなり、各々のスロット部205の幅が0.286mmとなる必要がある。
【0041】
エッチングが完了すると、図8に示すように、エポキシ等の適当な接着剤を用いて、金属箔195をトランスデューサー180の下側に取り付けることができる。得られるサブアッセンブリ(トランスデューサー180と金属箔195との組合せ)は、基板120の前面135に適当に取り付ける。好ましくは、硬化したセメント層(または接合剤層または接着剤層)の厚さは、0.025mm以下であるので、格子185の弾力性は過度に増加することはない。構造を一体的に接着するに際して、スロット部205がセメントで全体的に又は部分的に充填されないようにするのは不可能である。しかし、幸いなことに、このことはあまり重要ではない。なぜなら、比較的柔らかい接着剤を通る弾性波エネルギーの送信は、金属箔195を通る弾性波エネルギーの送信よりも効率の良いものではないからである。
【0042】
別法にて、スロット部205を介してトランスデューサー180と基板120との間で結合される弾性波エネルギーは、タイン部200を介してトランスデューサー180と基板120との間で結合される弾性波エネルギーに対して位相が180°ずれるように、スロット部205の寸法を決定することができたり、弾性波の速度が遅くなるエポキシまたは他の材料で完全にスロット部205を充填することができたりする。このように、スロット部を通って伝搬する「寄生」弾性波エネルギーからの基板表面における所望の波の励振が、タイン部200で回折した弾性波エネルギーへと好ましく加えられることになる。そのような効果を得るには、スロット部205を伝搬する弾性波エネルギーの相対位相(または相対的な位相、relative phase)が調整されるように、金属箔195をより厚くする必要がある。
【0043】
図9は、格子パターンが設けられた例えばアルミニウム等の金属ブロック210を有して成る格子185bを示している。格子パターンは、例えばホットスタンピングまたは圧印(coining)によって、摂動要素としてのリッジ215(ridge)および溝部220を交互に設けることによって形成される。圧印が完了すると、エポキシ等の適当な接着剤を用いることによって、トランスデューサー180の下側に金属ブロック210が取り付けられる。そして、得られるサブアッセンブリ(トランスデューサー180と金属ブロック210との組合せ)が、基板120の前面135に適当に取り付けられる。格子185の弾性が過度に増加することのないように、硬化したセメント層は0.025mm以下にする必要がある。弾性エネルギーがインピーダンスを変えることなくトランスデューサー180と基板120との間で伝わるように、金属ブロック210の厚さは、波長の半分であることが好ましい(アルミニウム・ブロックの場合では、5.53MHzにて0.57mm厚さであることが好ましい)。弾性波インピーダンスが等しくないトランスデューサー180と基板120との間で弾性波インピーダンスのマッチングが望ましい場合、所望のインピーダンスのマッチングが得られるように金属ブロック210の厚さを調整することができる。
【0044】
図10は、格子パターンに従ってガラス・フリット(例えば、酸化鉛を含有したセラミック)等の材料を基板表面135に付着させ、リッジ225および溝部230を交互に設けることによって形成された格子185cを示している。必要に応じて、基板表面135を適当に処理して格子材料を硬くしてもよい。そして、全てのリッジ225が等しく適切な高さとなるように、格子のリッジ225を部分的に研磨してもよい。その後、エポキシなどの適当な接着剤を用いることによって、トランスデューサー180がフラットになったリッジ225に取り付けられる。ガラス・フリットなどのセラミック材料の代わりに、ポリマー・インクを用いて基板前面135に格子パターンをプリント(または印刷)してもよい。別法では、図11に示すように、格子185dを形成することができ、トランスデューサー180の底面にガラス・フリットまたはポリマー・インクを付着させてリッジ235および溝部240を交互に設けることによって、格子185dが形成されている。
【0045】
図12は、リッジ245および溝部250が交互になるように基板前面135に形成された格子185eを示している。溝部250は、化学エッチング、研磨、サンドブラスティング(または砂の吹き付け処理)またはレーザー・アブレーション等の適当な手段を用いて形成することができる。そして、トランスデューサー180は、エポキシなどの適当な接着剤を用いて、溝部が設けられた基板面135に取り付けられる。トランスデューサー180を基板に接合するに際して、溝部が接着剤で充填されないようにすることが望ましい。溝部が接着剤で充填されないようにすることが不可能な場合には、接着剤とトランスデューサー180との間の弾性波結合を無視できる程に溝部250を充分に深く形成することが好ましい。即ち、溝部250の深さが増すと、入れられる接着剤の厚さが増し、かかる接着剤の圧縮率が増加することになる。必要に応じて、接着剤を通過する弾性波エネルギーがリッジ245を通過する弾性波エネルギーに対して位相が180°ずれるように、溝部250のサイズおよび深さを設計することもできる。別法にて、図13に示すように、格子185fを形成することができ、リッジ255および溝部260を交互に設けることによって、トランスデューサー180の底面に格子185fが形成される。
【0046】
上述したように、本明細書で説明したトランスデューサー/格子アッセンブリは、いずれの種類の適当なディスプレイとも共に用いることができる。タッチ・ディスプレイを構成すべく上述の回折格子を含んだトランスデューサー・アッセンブリと組み合せて用いることが可能なディスプレイとしては、真空蛍光ディスプレイ(VFD)および電界放出ディスプレイ(FED)が挙げられる。なお、VFDおよびFEDでは、トランスデューサーから、VFDまたはFEDに既に存在するガラス表面へと弾性波エネルギーを結合させるように、回折格子が用いられている。VFDおよびFEDと組合せて用いることができるトランスデューサー・アッセンブリの例としては、図5の要素125、ならびに、図8〜図13にそれぞれ示される格子要素185a,185b,185c,185d,185eおよび185fのいずれかと組み合わされたトランスデューサー180が挙げられる。更に、ディスプレイ・ドライバー電子機器(display driver electronics)が設けられているボードにタッチシステムのコントローラー電子機器(touch system controller electronics)を設けることもできる。
【0047】
図14Aは、タッチ・ディスプレイ300を構成するようにトランスデューサー・アッセンブリ301および反射体アレイ304が組み合わされたVFD299を示している。図14Bは、タッチ・ディスプレイ300を線303−303’で切り取った断面図を示している。VFDは、小さいディスプレイが必要とされる場合に一般に使用され、一般的には、リード線307を用いてサーキットボード(または回路基板)に設けられるように設計されている。VFD299は、弾性波を伝搬させるべく超音波基板として機能し得る前面ガラス基板302を含んでいる。VFDは、前面ガラス302、底部ガラス308およびスペーサー壁部309によって囲まれた真空領域305であって、真空部分313にアクセスできる真空領域305を含んでいる。格子306(リード線307に取り付けられている格子)、アノード310、リン光体311およびフィラメント312は全て真空領域305内に配置されている。真空領域305は高度に真空された領域であり、ディスプレイ機構を含んでいるために、トランスデューサーを前面ガラス302の裏面に取り付けるのが困難となっている。図14Aおよび図14bには、1次元でタッチを検知できる2つのトランスデューサー・アッセンブリ301が示されているものの、種々の既知のタッチスクリーン設計をVFDタッチ・ディスプレイに適用することができる。例えば、トランスデューサー・アッセンブリを1つのみ備えた設計、および、2次元でタッチを検知する設計が考えられる。それゆえ、前面ガラスの上面側に設けることが可能な本明細書で説明したプロファイルの低い回折格子と共にトランスデューサーを用いることは、VFDを使用してタッチ・ディスプレイを構成するうえで特に有用である。
【0048】
上述したVFDと同様に、本明細書で説明した回折格子を用いてFEDからタッチ・ディスプレイを構成することができる。FEDは典型的には小さいフラットなパネル・ディスプレイであり、LCDが用いられる種々の用途(例えば、携帯電子機器)に用いることができる。図15Aは、タッチ・ディスプレイ400を構成するようにトランスデューサー・アッセンブリ401および反射体アレイ404が組み合わされたFED399を示している。図15Bは、タッチ・ディスプレイ400を線403−403’で切り取った断面図を示している。FEDは、弾性波を伝搬させ、かつ、タッチ・ディスプレイのタッチ検知面として機能するように用いることができる上方アノード基板402(ガラスから成る基板)を有している。なお、タッチ・ディスプレイでは、弾性波エネルギーが生じているが、弾性波エネルギーはトランスデューサー・アッセンブリ401によって基板402へと結合している。FEDは、アノード基板402、カソード基板408およびスペーサー壁部409によって囲まれている真空領域405を有している。真空領域405内には、透明なアノード410、リン光体411、コーン412、絶縁部材414に配置されたゲート電極413、および、抵抗層415が設けられている。図15Aおよび図15bには、1次元でタッチを検知できる2つのトランスデューサー・アッセンブリ401が示されているものの、種々の既知のタッチスクリーン設計をFEDタッチ・ディスプレイに適用することができる。例えば、トランスデューサー・アッセンブリ401を1つのみ備えた設計、および、2次元でタッチを検知する設計が考えられる。真空領域405は高度に真空された領域であり、FEDディスプレイ機構を含んでいるために、トランスデューサーをアノード・ガラス基板402の裏面に取り付けるのが困難となり得、従って、FEDと組み合せてタッチ・ディスプレイを構成するのに特に有用な本明細書で説明したプロファイルの小さいトランスデューサー・アッセンブリが用いられている。
【0049】
本発明の特定の態様に関して説明してきたが、本発明は、かかる特定の態様に限定されるものではないことが理解されよう。また、特許請求の範囲および概念から逸脱することなく、種々に変更および変形を行うことができることを当業者は理解されよう。従って、本発明は、特許請求の範囲に規定される発明の範囲および概念に相当し得る代替物、変更物および均等物をもカバーすることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】図1Aは、従来技術のウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリの側面図である。
【図1B】図1Bは、従来技術の格子状トランスデューサー・アッセンブリの側面図である。
【図1C】図1Cは、従来技術のエッジ状トランスデューサーの側面図である。
【図2】図2は、湾曲した前面パネルを備えたディスプレイ・デバイスを有する従来技術のタッチ・ディスプレイの断面図である。
【図3】図3は、フラットな前面パネルを備えたディスプレイ・デバイスを有する従来技術のタッチ・ディスプレイの断面図である。
【図4】図4は、本発明のある好ましい態様に従って構成されたタッチスクリーン・システムのブロック図である。
【図5】図5は、図4のタッチスクリーン・システムを組み込んだタッチ・ディスプレイの平面断面図である。
【図6】図6は、図5にて線6−6で示された領域のタッチ・ディスプレイの拡大図である。
【図7】図7は、図5に示されたタッチスクリーンに用いることができる格子の好ましい態様の上面図である。
【図8】図8は、図5に示すタッチスクリーンに用いられる図7の格子の側面図である。
【図9】図9は、図5に示すタッチスクリーンに用いられる格子の別の好ましい態様の側面図である。
【図10】図10は、図5に示すタッチスクリーンに用いることができる格子の更に別の好ましい態様の側面図である。
【図11】図11は、図5に示すタッチスクリーンに用いることができる格子の更に別の好ましい態様の側面図である。
【図12】図12は、図5に示すタッチスクリーンに用いることができる格子の更に別の好ましい態様の側面図である。
【図13】図13は、図5に示すタッチスクリーンに用いることができる格子の更に別の好ましい態様の側面図である。
【図14A】図14Aは、VFDタッチ・ディスプレイの斜視図である。
【図14B】図14Bは、図14Aの線303−303’に沿って切り取ったVFDタッチ・ディスプレイの断面平面図である。
【図15A】図15Aは、FEDタッチ・ディスプレイの斜視図である。
【図15B】図15Bは、図15Aの線403−403’に沿って切り取ったFEDタッチ・ディスプレイの断面図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明の分野は、タッチセンサー技術に関しており、より詳細には、弾性波タッチセンサー技術(または表面弾性波タッチセンサー技術もしくは音波タッチセンサー技術もしくは超音波タッチセンサー技術、acoustic touch sensor technology)に関している。
【0002】
発明の背景
タッチセンサーは、コンピューターおよび他の電子システムのための透明または不透明な入力デバイスである。名称から分かるように、タッチセンサーは、ユーザーの指、スタイラス(または棒、stylus)または他のデバイスに起因した接触によって作動する。透明なタッチセンサー(特にタッチスクリーン)は、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマもしくはエレクトロルミネセント等のディスプレイ・デバイスまたは他の種類のディスプレイと組み合わされて使用されて、タッチ・ディスプレイを形成する。かかるタッチ・ディスプレイは、レストランのオーダー・エントリー・システム、工業的なプロセス制御の用途、双方向ミュージアムの展示、公共の情報提供所(public information kiosk)、ポケットベル、携帯電話、パーソナル携帯情報機器(PDA)およびテレビ・ゲーム等の商業用途に対して用いられつつある。
【0003】
現在、用いられている主なタッチ技術は、抵抗方式、容量方式、赤外線方式および弾性波方式である。かかるタッチスクリーンは、コスト的に競争力のある価格で高水準の性能をもたらす。かかるタッチスクリーンの全ては、タッチに反応し、タッチ位置座標をホスト・コンピューターに伝える透明デバイスである。超音波タッチスクリーンとしても知られる弾性波タッチスクリーンは、他のタッチ技術と有効に対抗し得るものである。これは、弾性波タッチスクリーンが、耐久性のあるタッチ表面を供しつつ、高い透明度および高い分解能のタッチ性能を有する必要がある厳しい用途に対応できることに主に起因する。
【0004】
一般的に、弾性波タッチスクリーンは、弾性波が伝搬し、かつ、タッチに対して感度を有する基板を有して成る。基板表面がタッチされると、基板を伝搬する波エネルギーの少なくとも一部が吸収される。タッチ位置は、電子回路を用いて、タッチスクリーン上に形成された概念的で目に見えないXY座標系の吸収位置を突き止めることによって決められる。それは、基本的には、波が最初に伝搬する時間を記録し、次いで、タッチによって波の振幅が減衰する時間を記録することによって行われている。タッチ位置を正確に決定するには、基板を伝搬する波の既知の速度と共に、上記の時間の差が用いられることになる。
【0005】
一般的に、透明なタッチセンサー(特にタッチスクリーン)は、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマもしくはエレクトロルミネセント等のディスプレイ・デバイスまたは他の種類のディスプレイの上に設けられる。別法にて、ディスプレイ・デバイスの表面がタッチに対して感度を有するように、タッチスクリーンをディスプレイ・デバイスの前面(または正面)に直接的に形成することもできる。後者では、看者とディスプレイ・デバイスとの間でガラスまたは他の材料が排除されるので、感知されるディスプレイ輝度およびコントラスト比が増加することになる。また、オーバーレイ・ガラス(overlay glass)を用いなくてよいので、オーバーレイ・ガラスの空間を設けるべくディスプレイ・デバイスの胴体(chassis)を変更する必要がないという点で経済的な利点が存在する。
【0006】
弾性波タッチスクリーンは、弾性波基板およびトランスデューサーを有して成る。なお、トランスデューサーでは、エネルギーがある形態から別の形態へと変えられる。例えば、送信トランスデューサーは、関連する電子回路からのトーン・バーストを受信することができ、基板に弾性波を送信する。その一方、受信トランスデューサーは、送信された弾性波を基板から受信することができ、処理が行われる関連する電子回路へと送信される電子信号を発生させる。
【0007】
種々の種類の弾性波トランスデューサー・アッセンブリは、既知である。弾性波タッチスクリーンに用いられる最も一般的なタイプは、ウェッジ状(またはくさび型)トランスデューサー・アッセンブリ(wedge transducer assembly)、格子状トランスデューサー・アッセンブリ(またはグリッド状トランスデューサー・アッセンブリ、grating tranceducer assembly)およびエッジ状トランスデューサー(edge tranceducer)である。
【0008】
図1Aは、典型的なウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aを示している。かかるウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aでは、波速度が適当に異なる種々の媒体の境界面に弾性波が斜めに入射した際に弾性波が屈折する現象を利用している。このような原理に基づき、ウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aは、ウェッジ12(例えばプラスチック製のウェッジ)から成っており、かかるウェッジ12の斜辺が、ウェッジ12の材料とは異なる材料(例えばガラス)から形成されている弾性波基板16の前面18に取り付けられている。また、ウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aは、トランスデューサー、厳密に言うと、ウェッジ12の上記斜辺以外の側面に設けられた圧電素子(または圧電要素)14を有して成る。矢印で示すように、圧電素子14は、ウェッジ12のバルク波と結合する。なお、ウェッジ12のバルク波は、臨界角(即ち、「ウェッジ角(wedge angle)」)で伝搬するが、基板16で水平に伝搬する波へと屈折するように伝搬するか、又は、そのような波から屈折するように伝搬することになる。
【0009】
図1Bは、典型的な格子状トランスデューサー・アッセンブリ10bを示している。かかる格子状トランスデューサー・アッセンブリ10bは、平行なストリップ(strip)として基板前面18に沿って整列する摂動要素(perturbation element)24から構成されている。また、格子状トランスデューサー・アッセンブリ10bは、トランスデューサー、厳密にいうと、基板前面18に対向する基板16の裏面(または背面)28に設けられた圧電素子26を有して成る。矢印で示すように、圧電素子26は、基板16のバルク波と結合する。格子22を介して、かかるバルク波は、基板18にて対向するように水平に伝搬する2つの波と結合する。格子状トランスデューサーの構造および使用についての詳細は、米国特許第6091406号に開示されており、かかる特許は、参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0010】
図1Cは、典型的なエッジ状トランスデューサー10cを示している。かかるエッジ状トランスデューサー10cは、基板前面18に感知できるほどのエネルギーを有する弾性波が生じるように、圧電素子32が基板16のエッジ34に直接的に取り付けられている。従って、界面は、圧電素子32を基板16に接続する機械的な機能を有しているだけでなく、矢印で示すように基板16で水平に伝搬する波へと結合する弾性波機能を有している。エッジ状トランスデューサーの構造および使用についての詳細は、米国特許第5177327号に開示されており、かかる特許は、参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0011】
最終的には、どのタイプのトランスデューサーを選択するかは、タッチスクリーンが設けられる構造的な環境に少なくとも左右される。例えば、どのタイプのトランスデューサーを選択するかは、弾性波基板がディスプレイ・デバイスの前面パネル(または正面パネル)に重なって別個のフェースプレート(faceplate)を構成しているか否かに左右されたり、または、ディスプレイ・デバイスの前面パネルに弾性波基板が直接的に組み込まれているか否かに左右されたりする。また、どのタイプのトランスデューサーを選択するかは、弾性波基板の形状、例えば弾性波基板が湾曲しているか又はフラットであるか否かにも左右されることになる。
【0012】
例えば、図2は、ディスプレイ・デバイス52、および、かかるディスプレイ・デバイス52に重ねられる弾性波基板54を有して成るタッチ・ディスプレイ50を示している。ディスプレイ・デバイス52は、湾曲した前面パネル56(例えば典型的な陰極線管に設けられている前面パネル)を有しており、弾性波基板54は、それに対応する湾曲した形状を有している。弾性波基板54の湾曲した幾何学的形状に起因して、基板54の周縁をカバーするベゼル58と基板54との間には空間が存在する。この場合、ウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aが、比較的大きいプロファイル(または輪郭もしくは側面形状、profile)を有するものであったとしても、そのようなウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aを好都合に基板54の前面60に設けることができる。つまり、弾性波基板54の前面60にトランスデューサーを設けることが可能な場合または望ましい場合に、ウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリ10aが用いられ得る。
【0013】
図3は、ディスプレイ・デバイス72、および、かかるディスプレイ・デバイス72に重ねられた弾性波基板74を有して成るタッチ・ディスプレイ70を示している。なお、かかるディスプレイ・デバイス72は、液晶ディスプレイ、フラットCRTまたはプラズマ・ディスプレイ等のフラットな前面パネル76を有しており、弾性波基板74もまたフラットとなっている。そのため、基板74とベゼル58との間にはクリアランス(または隙間)が殆どまたは全く存在しない。このようにクリアランスが最小限であったとしても、格子状トランスデューサー・アッセンブリ10bは設けることができる。格子状トランスデューサー・アッセンブリ10bの格子22は、比較的小さいプロファイルを有しており、ベゼル58と基板74との間に設けられた最小限の空間内にて、基板74の前面80に配置することができる。圧電素子26を基板74の裏面82に配置することができる。圧電素子26とディスプレイ・デバイス72の前面パネル76との間にクリアランスを供するために、基板の裏面82を斜めに形成してもよい(又は斜角で設けてもよい)。
【0014】
ベゼル58と弾性波基板のエッジとの間にて利用できる周縁スペースが存在するタッチスクリーンでは、かかる周縁スペースにてエッジ状トランスデューサー10cを基板に設けることができる。しかしながら、このようにエッジ状トランスデューサー10cを設けることは、垂直面を慎重に機械加工しなければならないのでコストが相当に増加してしまうことになる。更に、レイリー波に結合することが望ましい場合では、エッジ状トランスデューサーがより複雑なものとなるので、望ましくないエッジ状トランスデューサーとなてしまう。
【0015】
別個のフェースプレートを形成する弾性波基板内に上述のトランスデューサー10を選択的に組み込む場合では、タッチスクリーン・メーカーが実行可能な解決策を一般的に見出すことができるものの、それは、ディスプレイ・デバイスの前面パネルを形成する弾性波基板の場合(即ち、ディスプレイ・デバイス自体がタッチに対して感度を有する前面パネルを有している場合)では当てはまるものではない。例えば、格子状トランスデューサー・アッセンブリの圧電素子は、弾性波基板の裏面に配置しなければならず、基板がディスプレイ・デバイスの前面パネルを構成する場合、その他の選択肢はない。ディスプレイ・デバイスがタッチに対して感度を有するフラットな前面パネル(例えばCRTまたは50”プラズマ−ディスプレイ)を有する場合、ディスプレイの前面にウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリを取り付けることは困難となり、ベゼルとウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリとの間に機械的な干渉(または機械的な障害、mechanical interference)がしばしば生じてしまう。かかる干渉は、トランスデューサーが正常に機能するのを妨害し得、更に悪い場合では、トランスデューサーまたはベゼルを損なう可能性がある。更に、弾性波基板が別個のフェースプレートを構成する場合では、エッジ状トランスデューサーに対しては垂直に機械加工した表面を設けることは非常に困難となり得る。
【0016】
しばしば、タッチスクリーン・メーカーは、ディスプレイ・デバイスを包囲するハウジングを変更するオプションを有していない場合がある。タッチスクリーン・メーカーがディスプレイ・デバイスのフェースプレートを構成するタッチスクリーンを製造する際、通常、ディスプレイ・デバイス自体は製造しない。むしろ、モニター・メーカーによって提供されるディスプレイ・デバイスを扱って製造が行われる。タッチスクリーン・メーカーが、供されたハウジングを新しいハウジングに交換するのは非現実的であるので、ディスプレイ・デバイスと供されたハウジングとの間で利用できるタッチスクリーン要素を収容するスペースがどのようなものであっても、メーカーはそれに適応しなければならない。タッチスクリーン・メーカーがベゼルの設計管理をする場合であっても、しばしば、トランスデューサーへの機械的な干渉に起因して、ベゼル開口部(ディスプレイ・デバイスのディスプレイ面を完全に利用できなくしている)のディメンションが減じることになる。
【0017】
従って、弾性波基板の前面に設けることができる比較的小さいプロファイルのトランスデューサーに対してはニーズがある。
【0018】
発明の要旨
本発明の第1要旨では、タッチセンサーが供される。タッチセンサーは、表面を有する弾性波基板を有して成る。ある好ましい態様では、基板は透明であり、そのため、基板をディスプレイ・デバイスと関連させて用いることができる。ある好ましい態様では、タッチセンサーは、圧電素子を有して成る弾性波トランスデューサーを更に有して成る。タッチセンサーは、基板とトランスデューサーとの間に配置される弾性波回折格子(または弾性波を回折させる格子、acoustically diffractive grating)を更に有して成る。弾性波回折格子は、弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーを、基板の表面に沿って伝搬する弾性波に結合(couple)させるように構成されている。弾性波回折格子は、様々な方法でもって、基板と弾性波トランスデューサーとの間に配置することができる。例えば、弾性波回折格子は、基板と弾性波トランスデューサーとの間に適当に取り付けられた構造的に別個の要素であってよい。あるいは、弾性波回折格子は、基板および弾性波トランスデューサーのいずれか一方または双方と構造的に一体化させたものであってもよい。例えば、弾性波回折格子は、基板および弾性波トランスデューサーの表面(もしくは表面の内部)のいずれか一方または双方に設けてもよい。従って、本明細書の便宜上、基板表面に沿って伝搬する弾性波がトランスデューサーを通過する前に弾性波回折格子に至る場合、または、弾性波トランスデューサーから伝搬してきた弾性波が基板の表面へと伝搬する前に弾性波回折格子に至る場合では、基板と弾性波トランスデューサーとの間に弾性波回折格子が配置されていることを理解されよう。弾性波トランスデューサーと弾性波回折格子との組合せは、弾性波基板と別の基板(例えば、基板の前面に設けられるベゼル)との間にてより容易に適合することができる比較的小さいプロファイルを有している。
【0019】
ある好ましい態様では、弾性波回折格子は、平行要素のアレイ(または配列、array)を有して成る。好ましくは、平行要素は、基板表面を伝搬する弾性波の波長に等しい距離で相互に離隔している。このような場合、回折した弾性波エネルギーが一体的に組み合わされて、より強い弾性波が形成される。また、タッチセンサーは、第2弾性波トランスデューサー、および、基板と第2弾性波トランスデューサーとの間に配置される第2弾性波回折格子を有して成る。この場合、第2弾性波回折格子によって、第2弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーが弾性波へと結合することができる。従って、第1トランスデューサーおよび第1弾性波回折格子が、基板の表面を横断するように弾性波を送信することができる一方、第2弾性波トランスデューサーおよび第2弾性波回折格子が、基板表面からの弾性波を受信することができる。
【0020】
本発明の第2の要旨では、タッチ・ディスプレイが供される。タッチ・ディスプレイは、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ、エレクトロルミネセント、真空蛍光ディスプレイ(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED)等のディスプレイ・デバイスまたは他の種類のディスプレイを有して成る。タッチ・ディスプレイは、弾性波タッチスクリーン(その基板がディスプレイ・デバイスの前面を成す)、弾性波トランスデューサー、および、基板と弾性波トランスデューサーとの間に配置される弾性波回折格子を更に有して成る。上述したように、弾性波回折格子は、弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーを、基板の表面に沿って伝搬する弾性波に結合させるように構成されている。弾性波回折格子、弾性波トランスデューサーおよび基板は、上述した特徴と同様の特徴を有するものである。特に、組み合わされた弾性波トランスデューサーおよび弾性波回折格子の小さいプロファイル自体は、基板とベゼルとの間のスペースが殆どない一体化されたフラットな弾性波基板を備えたディスプレイ・デバイスに対して好ましく適合するものである。
【0021】
図面の簡単な説明
図面は、本発明の好ましい態様の設計および効果を示している。図面では、同様の要素は、似たような参照番号で示している。かかる好ましい態様を示す図面を参照することによって、本発明の利点および目的をより良く理解することができる。なお、図面は、本発明のある態様を単に表したものであり、その範囲に限定して本発明を解すべきものではない。そのような事を前提として、以下にて、図面を用いることによって、本発明を更に特定しつつ詳細に説明する。
【0022】
図4には、本発明の好ましい態様に従って構成されたタッチスクリーン・システム100を示している。一般的に、タッチスクリーン・システム100は、弾性波タッチスクリーン105(即ち、透明な基板を有するタッチセンサー)、コントローラー110、コントローラー110とタッチスクリーン105とを接続するリード線115を有して成る。タッチスクリーン・システム100は、タッチスクリーン105上のタッチ(または接触)に反応するように構成されている。つまり、弾性波信号がタッチスクリーン105を横断するように送信されており、タッチに起因して、その弾性波信号の1つ以上が変化する(modulate)ようになっている。コントローラー110は、変化した信号を順に用いて、タッチスクリーン105のタッチ位置を特定する。コントローラー110がタッチを有効なものとして認識した場合には、コントローラー110は、タッチ位置をホスト・コンピューター(図示せず)に送信する。そして、ホスト・コンピューターでは、ディスプレイ・デバイスに関連情報(例えば、ユーザーがオプションを選択できるアイコン、メニューまたはディレクトリー等のグラフィック)を表示するコンピューター機能が実行されることになる。
【0023】
図5に示すように、タッチスクリーン105は、前面135を有する弾性波基板120、および、基板の前面135に設けられた複数のトランスデューサー・アッセンブリ125を有して成る。典型的には、4つのトランスデューサー・アッセンブリ125(図5では2つのトランスデューサー・アッセンブリのみを示す)が用いられている。4つのうちの2つのトランスデューサー・アッセンブリ125は、コントローラー110によって、それぞれが直交方向に基板前面135を横断する弾性波信号を送信するように作動する。そして、4つのうちの別の2つのトランスデューサー・アッセンブリ125は、コントローラー110によって、基板前面135から弾性波信号を受信するように機能する。かかる超音波信号は、コントローラー110で基板120のタッチ位置を決定できる格子を構成する。タッチ位置を特定および決定する弾性波タッチスクリーン・システムの一般的な使用および構成の詳細は、米国特許第3673327号、同4644100号および同6091406号に開示されている(かかる特許は、参照することによって、本明細書に組み込まれる)。
【0024】
図5に示すように、タッチスクリーン・システム100を常套のディスプレイ・デバイス155と関連して用いてタッチ・ディスプレイ150を構成することができる。かかる態様では、ディスプレイ・デバイス155のフェースプレートは、タッチスクリーン105の基板120として機能する。タッチスクリーン105は、ケーブル160によって出口部165と接続されている。出口部165は、電力を受容したり、コントローラー110(図4に示す)とのインターフェースを成したりしている。タッチ・ディスプレイ150は、ディスプレイ・デバイス155ならびに全ての関連のある回路およびケーブルを受容する略中空のモニター・バックケース170、ならびに、タッチスクリーン105および関連する部品をカバーおよび保護するベゼル175を有して成る。
【0025】
図示する態様では、弾性波基板120は、略フラットな矩形の幾何学的形状を有している。本発明は、ディスプレイ・デバイスのフラットなフェースプレートを成す弾性波基板を用いる際に最も有益であるものの、本発明は、いずれの種類のディスプレイ・デバイスにも一般に適用することができる。例えば、ディスプレイ・デバイスの前に存在するフェースプレートに対して、タッチスクリーン105を配置することができる。基板120は、六角形などの非矩形の形状を有するものであってよく、また、別法にてX軸およびY軸の双方または一方に沿って湾曲するものであってもよい。
【0026】
基板120自体は、動作周波数で弾性波が基板表面135に平行な方向で伝搬できる材料から構成されている。基板120は、常套的なディスプレイ・デバイスの前面を構成する材料と同じ材料(例えばガラス)から常套的に形成され得るものの、それとは別の材料で基板120を形成してもよい。別法にて、基板120は均一なものにする必要はなく、例えば種々の層から形成された非均一な材料から基板120を形成してもよい。
【0027】
基板120を伝搬する弾性波は、基板前面135におけるタッチに起因して検知可能に摂動が加えられるような弾性波であればよい。表面束縛波モード(または表面に拘束された波モード、surface bound wave mode)または板波モードについては多くの選択肢が存在する。表面束縛波、例えばレイリー波(擬似レイリー波を含む)は、優れたタッチ感度を有しており、任意の厚さの基板であっても表面近くの薄い領域に本質的に束縛(または拘束)される。水平偏波のせん断波は、液体およびゲル状の汚染物質(例えば水およびシリコーン−ゴムシール)とは弱く結合するという利点を有している。他の種類の波の伝搬をサポートすることに加えて、非均一な基板は、非対象な表面の出力密度を有する水平偏波のせん断波の伝搬をサポートするように特に構成されている。なお、かかる非対象な表面の出力密度を有する水平偏波のせん断波には、レイリー波のようにタッチ表面付近に拘束された水平偏波のせん断波であるラブ波が含まれる。充分に薄い基板におけるラム波では、弾性波モードについて更に別の選択肢がもたらされる。種々の工業的なトレードオフは、所定の用途に対して弾性波モードを最適に選択することに関連している。
【0028】
図6に最もよく示すように、各々のトランスデューサー・アッセンブリ125は、弾性波トランスデューサー180、および、基板120と弾性波トランスデューサー180との間に配置された弾性波回折格子185を有して成る。最も一般的なトランスデューサー180は、チタンジルコン酸鉛、チタン酸鉛またはニオブ酸リチウム等の圧電材料から構成されているものの、本発明はそれに制限されるものではない。弾性波を別の形態のエネルギーに変換するトランスデューサーまたはその逆の変換を行うようなトランスデューサー、例えば、光弾性波トランスデューサー(または光音波トランスデューサー)、磁気弾性波トランスデューサー(または磁気音波トランスデューサー)、弾性波−弾性波トランスデューサー(ある弾性波モードから別の弾性波モードへと変化するトランスデューサー)、熱弾性波トランスデューサー(または熱音波トランスデューサー)が特に利用される。
【0029】
トランスデューサー180は、典型的には、導電性部分を有する薄い矩形要素の形態を有している。なお、かかる導電性部分は、それらの間にて圧電応答材料を備えた電極として機能する。しかしながら、トランスデューサー180が矩形である必要はなく、例えば、タッチスクリーン表面が直角のコーナーを有していない場合には、トランスデューサーの形状を、利用できるレイアウトのスペースの幾何学的形状に対応させることができる。振動する電圧信号がトランスデューサー180の電極に適用される場合、圧電材料中で生じる電場(または電界)によって、圧電材料の性質、電極の配置および機械的な制限や結合に応じて、トランスデューサー180が圧電効果で振動する。また逆に、トランスデューサー180が機械的に振動する場合、振動する電圧が電極に現れることになる。
【0030】
トランスデューサー180によって生じる機械的な振動モードに関しては幾つかの選択肢がある。一般的には、トランスデューサー180の薄いディメンションに対しては、最も低い次元の圧縮−拡大振動が選択される。かかる要素は、長手方向成分が多い他の弾性波モードに結合する。その他として、ある電極が設けられた表面が、対向する面に平行で対向する方向に移動する最も低い次元のせん断振動が選択される。かかるトランスデューサー180は、せん断成分を有する他の弾性波モードに結合する。電極面内でせん断波がいずれの方向にも動くように、せん断波の方向を設計することができる。より高い次元(例えば、3次元、5次元または7次元など)の振動を用いることによって、より複雑な選択をすることもできる
【0031】
トランスデューサー180は、所望の振動モード(例えば5MHz)の動作周波数にて共振周波数(または共鳴周波数)を有するように設計されている。最も低い次元の圧縮または圧力振動に対しては、共振周波数が、トランスデューサー180の厚さの2倍によって除されたバルク圧力−波速度(圧電材料におけるバルク圧力−波速度)となり、その結果、トランスデューサー180の厚さがバルク圧力波長の半分となっている。同様に、最も低い次元のせん断振動では、共振周波数が、トランスデューサー180の厚さの2倍によって除されたバルクせん断−波速度(圧電材料におけるバルクせん断−波速度)となり、その結果、トランスデューサー180の厚さが、バルクせん断波長の半分となっている。トランスデューサー180は、タッチスクリーン105で用いられ、基板120の弾性波を結合させるので、機械的な減衰オシレータである。
【0032】
格子185は、トランスデューサー180によって生じる弾性波エネルギーを、基板120を水平に伝搬する弾性波(即ち、基板表面135に平行に伝搬する弾性波)に結合させるように構成されている。このため、格子185は、弾性波モードを結合させることができる周期的な弾性波摂動要素190のアレイを有して成る。図1Bに示すような従来技術の格子状トランスデューサー・アッセンブリ10bとは違って、トランスデューサー180と格子185との間に存在する基板120を伝搬する中間バルク波は存在しない。本発明では、摂動要素190がトランスデューサー180の表面と直接的に接触しているので、トランスデューサー180と摂動要素190との間で弾性波エネルギーが直接的に結合することになる。トランスデューサー180と摂動要素190との間での弾性波エネルギーの結合(即ち、格子185の回折特性)が最大限となるように、各々の摂動要素190の間の媒体は、トランスデューサー180に非効率に結合する。好ましくは、かかる媒体は空気から成るものの、摂動要素190の相対的な弾性波結合特性が、介在する媒体の相対的な弾性波結合特性よりも相当に大きい限り、エポキシ等の他の材料から媒体を形成してもよい。
【0033】
このように、電気信号を介してトランスデューサー・アッセンブリ125(送信モードとして作動するトランスデューサー・アッセンブリ)で生じる弾性波エネルギーは、格子185に入射し、表面束縛波または板波に変換される。そして、表面束縛波または板波は、上述した複数の通路を通るようにX軸およびY軸の方向にて基板120を伝搬する。その後、表面束縛波または板波は、格子185に入射した後、トランスデューサー125(受信モードとして機能するトランスデューサー)によって受信される弾性波エネルギーへと変換され、次々と電気信号へと変換されることになる。
【0034】
図示する態様では、各々の摂動要素190はまっすぐなものであってよい。別法にて、各々の摂動要素190は湾曲したものでもよく、その場合は、各々の摂動要素190が弾性波レンズとして機能し得る。また、各々の摂動要素190は、弾性波の一部とのみ相互に作用する点状セグメントまたは短い長尺セグメントであってもよい。場合によっては、各々が異なる波モードまたは伝搬軸を潜在的に有する2つ以上の異なる弾性波へと散乱させるように、摂動要素を設けてもよい。
【0035】
格子摂動サイクル、即ち、格子185の間隔またはピッチは、基板120を水平に伝搬する弾性波の波長に応じて、例えば、約0.01〜10mm、好ましくは約0.1〜5mm、より好ましくは約0.3〜1mmの範囲内で選択され得る。回折した弾性波の間に相加的作用がもたらされるように、格子185のピッチが、水平に伝搬する波の波長と等しいことが好ましい。
【0036】
特に、格子185は、対向して水平に伝搬する2つの波に典型的に結合する。基板120の中心へと伝搬する波または基板120の中心から伝搬する波は、基板120のタッチ位置を決定すべくタッチスクリーン・システム100で用いられる一方、基板120のエッジへと伝搬する波または基板120のエッジから伝搬する波は捨てられることになる。場合によっては、弾性波が格子185の方へと反射されるように、弾性波反射体(図示せず)を格子185と基板120のエッジとの間に配置してもよい。
【0037】
一般的には、トランスデューサー180から基板120へと弾性波エネルギーを効率的に結合させるために、摂動要素190は、できる限り非弾性である(例えば、圧縮または伸張しにくい)必要がある。材料の圧縮率は、摂動要素の厚さをヤング率で除すことによって決められるので、摂動要素の厚さが大きくなると、摂動要素の圧縮率が望ましくないものとなる。従って、摂動要素190を構成する材料のヤング率が小さいほど、摂動要素190をより薄くしなければならない。特に、例えばエポキシ等の比較的柔らかい材料であっても、充分に薄いなら、摂動要素190として効率的に用いることができる。摂動要素190は、同じ材料から構成してもよいし、または、複数の材料から構成してもよい。いずれの場合であっても、材料の全体的な圧縮率は、トランスデューサー180と基板120との間の弾性波結合を最大限にするように考慮すべきである。
【0038】
以下で更に詳細に説明するが、トランスデューサー180と基板120との間で格子185を種々に構成することができ、また、各々の摂動要素190の断面形状はどのような形状(例えば、半円形状、三角形状、矩形状、鋸歯形状など)であってもよい。格子185は、例えば、基板表面135またはトランスデューサー180に対して形成されたり、それらの中に形成されたりするが、基板120とトランスデューサー180との間に適当に取り付けられた別個のアッセンブリから格子185を形成してもよく、または、基板120またはトランスデューサー180と一体化させて格子185を形成してもよい。格子185の形成に際しては、いかなる手法(またはプロセス)を用いてもよい。例えば、スクリーン印刷でガラス・フリット(glass frit)を付着させることによって構成185を形成することができる。また、エッチング、切断、研磨、レーザー・アブレーションまたはその他の除去手段を用いることによっても構成185を形成することができる。更に、成形法もしくはホットスタンピングによっても、または、基板120もしくはトランスデューサー180の製造後で変性処理を行うことによっても、格子185を形成することができる。格子185の反射率と透明性とのバランスを取るために、個々の摂動要素の高さ及び/または幅を格子の全域で変更してもよい。
【0039】
注目すべきことは、図5に示すように、格子185とトランスデューサー180との組合せを基板120とベゼル145との間に適合させることができるように、かかる組合せは比較的小さいプロファイルを有している。一般的に、かかる組合せを基板120とベゼル145との間に適合させることは容易である。なぜなら、格子185の厚さを弾性波の波長よりも相当に小さくすることができ、トランスデューサー180の厚さが関連するバルク波の波長の半分となるからである。
【0040】
図7は、金属箔195を有して成る格子185aを示している。なお、金属箔195からは、摂動要素190のネガ・パターン(negative pattern)をエッチングすることによって、交互に設けられた摂動要素としてのタイン部200(または歯状部分、tine)およびスロット部205が形成される。生産効率の観点から、摂動パターンの複数のセットをより大きい金属箔シートへとエッチングしてもよく、その後、単一の摂動パターンを各々成すより小さい金属箔へと切断してもよい。金属箔195の好ましい厚さは、0.050〜0.075mmである。基板120(ガラスから成る基板)を水平に伝搬する弾性波の表面波速度が3.16mm/μsであり、周波数が5.53MHzであることを仮定すると、関連する弾性波の波長は0.571mmとなる。従って、ピッチが0.571mmの格子185(a)を得るには(即ち、隣り合うタイン部200の中心間の距離が0.571mmとするには)、各々のタイン部200の幅が0.286mmとなり、各々のスロット部205の幅が0.286mmとなる必要がある。
【0041】
エッチングが完了すると、図8に示すように、エポキシ等の適当な接着剤を用いて、金属箔195をトランスデューサー180の下側に取り付けることができる。得られるサブアッセンブリ(トランスデューサー180と金属箔195との組合せ)は、基板120の前面135に適当に取り付ける。好ましくは、硬化したセメント層(または接合剤層または接着剤層)の厚さは、0.025mm以下であるので、格子185の弾力性は過度に増加することはない。構造を一体的に接着するに際して、スロット部205がセメントで全体的に又は部分的に充填されないようにするのは不可能である。しかし、幸いなことに、このことはあまり重要ではない。なぜなら、比較的柔らかい接着剤を通る弾性波エネルギーの送信は、金属箔195を通る弾性波エネルギーの送信よりも効率の良いものではないからである。
【0042】
別法にて、スロット部205を介してトランスデューサー180と基板120との間で結合される弾性波エネルギーは、タイン部200を介してトランスデューサー180と基板120との間で結合される弾性波エネルギーに対して位相が180°ずれるように、スロット部205の寸法を決定することができたり、弾性波の速度が遅くなるエポキシまたは他の材料で完全にスロット部205を充填することができたりする。このように、スロット部を通って伝搬する「寄生」弾性波エネルギーからの基板表面における所望の波の励振が、タイン部200で回折した弾性波エネルギーへと好ましく加えられることになる。そのような効果を得るには、スロット部205を伝搬する弾性波エネルギーの相対位相(または相対的な位相、relative phase)が調整されるように、金属箔195をより厚くする必要がある。
【0043】
図9は、格子パターンが設けられた例えばアルミニウム等の金属ブロック210を有して成る格子185bを示している。格子パターンは、例えばホットスタンピングまたは圧印(coining)によって、摂動要素としてのリッジ215(ridge)および溝部220を交互に設けることによって形成される。圧印が完了すると、エポキシ等の適当な接着剤を用いることによって、トランスデューサー180の下側に金属ブロック210が取り付けられる。そして、得られるサブアッセンブリ(トランスデューサー180と金属ブロック210との組合せ)が、基板120の前面135に適当に取り付けられる。格子185の弾性が過度に増加することのないように、硬化したセメント層は0.025mm以下にする必要がある。弾性エネルギーがインピーダンスを変えることなくトランスデューサー180と基板120との間で伝わるように、金属ブロック210の厚さは、波長の半分であることが好ましい(アルミニウム・ブロックの場合では、5.53MHzにて0.57mm厚さであることが好ましい)。弾性波インピーダンスが等しくないトランスデューサー180と基板120との間で弾性波インピーダンスのマッチングが望ましい場合、所望のインピーダンスのマッチングが得られるように金属ブロック210の厚さを調整することができる。
【0044】
図10は、格子パターンに従ってガラス・フリット(例えば、酸化鉛を含有したセラミック)等の材料を基板表面135に付着させ、リッジ225および溝部230を交互に設けることによって形成された格子185cを示している。必要に応じて、基板表面135を適当に処理して格子材料を硬くしてもよい。そして、全てのリッジ225が等しく適切な高さとなるように、格子のリッジ225を部分的に研磨してもよい。その後、エポキシなどの適当な接着剤を用いることによって、トランスデューサー180がフラットになったリッジ225に取り付けられる。ガラス・フリットなどのセラミック材料の代わりに、ポリマー・インクを用いて基板前面135に格子パターンをプリント(または印刷)してもよい。別法では、図11に示すように、格子185dを形成することができ、トランスデューサー180の底面にガラス・フリットまたはポリマー・インクを付着させてリッジ235および溝部240を交互に設けることによって、格子185dが形成されている。
【0045】
図12は、リッジ245および溝部250が交互になるように基板前面135に形成された格子185eを示している。溝部250は、化学エッチング、研磨、サンドブラスティング(または砂の吹き付け処理)またはレーザー・アブレーション等の適当な手段を用いて形成することができる。そして、トランスデューサー180は、エポキシなどの適当な接着剤を用いて、溝部が設けられた基板面135に取り付けられる。トランスデューサー180を基板に接合するに際して、溝部が接着剤で充填されないようにすることが望ましい。溝部が接着剤で充填されないようにすることが不可能な場合には、接着剤とトランスデューサー180との間の弾性波結合を無視できる程に溝部250を充分に深く形成することが好ましい。即ち、溝部250の深さが増すと、入れられる接着剤の厚さが増し、かかる接着剤の圧縮率が増加することになる。必要に応じて、接着剤を通過する弾性波エネルギーがリッジ245を通過する弾性波エネルギーに対して位相が180°ずれるように、溝部250のサイズおよび深さを設計することもできる。別法にて、図13に示すように、格子185fを形成することができ、リッジ255および溝部260を交互に設けることによって、トランスデューサー180の底面に格子185fが形成される。
【0046】
上述したように、本明細書で説明したトランスデューサー/格子アッセンブリは、いずれの種類の適当なディスプレイとも共に用いることができる。タッチ・ディスプレイを構成すべく上述の回折格子を含んだトランスデューサー・アッセンブリと組み合せて用いることが可能なディスプレイとしては、真空蛍光ディスプレイ(VFD)および電界放出ディスプレイ(FED)が挙げられる。なお、VFDおよびFEDでは、トランスデューサーから、VFDまたはFEDに既に存在するガラス表面へと弾性波エネルギーを結合させるように、回折格子が用いられている。VFDおよびFEDと組合せて用いることができるトランスデューサー・アッセンブリの例としては、図5の要素125、ならびに、図8〜図13にそれぞれ示される格子要素185a,185b,185c,185d,185eおよび185fのいずれかと組み合わされたトランスデューサー180が挙げられる。更に、ディスプレイ・ドライバー電子機器(display driver electronics)が設けられているボードにタッチシステムのコントローラー電子機器(touch system controller electronics)を設けることもできる。
【0047】
図14Aは、タッチ・ディスプレイ300を構成するようにトランスデューサー・アッセンブリ301および反射体アレイ304が組み合わされたVFD299を示している。図14Bは、タッチ・ディスプレイ300を線303−303’で切り取った断面図を示している。VFDは、小さいディスプレイが必要とされる場合に一般に使用され、一般的には、リード線307を用いてサーキットボード(または回路基板)に設けられるように設計されている。VFD299は、弾性波を伝搬させるべく超音波基板として機能し得る前面ガラス基板302を含んでいる。VFDは、前面ガラス302、底部ガラス308およびスペーサー壁部309によって囲まれた真空領域305であって、真空部分313にアクセスできる真空領域305を含んでいる。格子306(リード線307に取り付けられている格子)、アノード310、リン光体311およびフィラメント312は全て真空領域305内に配置されている。真空領域305は高度に真空された領域であり、ディスプレイ機構を含んでいるために、トランスデューサーを前面ガラス302の裏面に取り付けるのが困難となっている。図14Aおよび図14bには、1次元でタッチを検知できる2つのトランスデューサー・アッセンブリ301が示されているものの、種々の既知のタッチスクリーン設計をVFDタッチ・ディスプレイに適用することができる。例えば、トランスデューサー・アッセンブリを1つのみ備えた設計、および、2次元でタッチを検知する設計が考えられる。それゆえ、前面ガラスの上面側に設けることが可能な本明細書で説明したプロファイルの低い回折格子と共にトランスデューサーを用いることは、VFDを使用してタッチ・ディスプレイを構成するうえで特に有用である。
【0048】
上述したVFDと同様に、本明細書で説明した回折格子を用いてFEDからタッチ・ディスプレイを構成することができる。FEDは典型的には小さいフラットなパネル・ディスプレイであり、LCDが用いられる種々の用途(例えば、携帯電子機器)に用いることができる。図15Aは、タッチ・ディスプレイ400を構成するようにトランスデューサー・アッセンブリ401および反射体アレイ404が組み合わされたFED399を示している。図15Bは、タッチ・ディスプレイ400を線403−403’で切り取った断面図を示している。FEDは、弾性波を伝搬させ、かつ、タッチ・ディスプレイのタッチ検知面として機能するように用いることができる上方アノード基板402(ガラスから成る基板)を有している。なお、タッチ・ディスプレイでは、弾性波エネルギーが生じているが、弾性波エネルギーはトランスデューサー・アッセンブリ401によって基板402へと結合している。FEDは、アノード基板402、カソード基板408およびスペーサー壁部409によって囲まれている真空領域405を有している。真空領域405内には、透明なアノード410、リン光体411、コーン412、絶縁部材414に配置されたゲート電極413、および、抵抗層415が設けられている。図15Aおよび図15bには、1次元でタッチを検知できる2つのトランスデューサー・アッセンブリ401が示されているものの、種々の既知のタッチスクリーン設計をFEDタッチ・ディスプレイに適用することができる。例えば、トランスデューサー・アッセンブリ401を1つのみ備えた設計、および、2次元でタッチを検知する設計が考えられる。真空領域405は高度に真空された領域であり、FEDディスプレイ機構を含んでいるために、トランスデューサーをアノード・ガラス基板402の裏面に取り付けるのが困難となり得、従って、FEDと組み合せてタッチ・ディスプレイを構成するのに特に有用な本明細書で説明したプロファイルの小さいトランスデューサー・アッセンブリが用いられている。
【0049】
本発明の特定の態様に関して説明してきたが、本発明は、かかる特定の態様に限定されるものではないことが理解されよう。また、特許請求の範囲および概念から逸脱することなく、種々に変更および変形を行うことができることを当業者は理解されよう。従って、本発明は、特許請求の範囲に規定される発明の範囲および概念に相当し得る代替物、変更物および均等物をもカバーすることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】図1Aは、従来技術のウェッジ状トランスデューサー・アッセンブリの側面図である。
【図1B】図1Bは、従来技術の格子状トランスデューサー・アッセンブリの側面図である。
【図1C】図1Cは、従来技術のエッジ状トランスデューサーの側面図である。
【図2】図2は、湾曲した前面パネルを備えたディスプレイ・デバイスを有する従来技術のタッチ・ディスプレイの断面図である。
【図3】図3は、フラットな前面パネルを備えたディスプレイ・デバイスを有する従来技術のタッチ・ディスプレイの断面図である。
【図4】図4は、本発明のある好ましい態様に従って構成されたタッチスクリーン・システムのブロック図である。
【図5】図5は、図4のタッチスクリーン・システムを組み込んだタッチ・ディスプレイの平面断面図である。
【図6】図6は、図5にて線6−6で示された領域のタッチ・ディスプレイの拡大図である。
【図7】図7は、図5に示されたタッチスクリーンに用いることができる格子の好ましい態様の上面図である。
【図8】図8は、図5に示すタッチスクリーンに用いられる図7の格子の側面図である。
【図9】図9は、図5に示すタッチスクリーンに用いられる格子の別の好ましい態様の側面図である。
【図10】図10は、図5に示すタッチスクリーンに用いることができる格子の更に別の好ましい態様の側面図である。
【図11】図11は、図5に示すタッチスクリーンに用いることができる格子の更に別の好ましい態様の側面図である。
【図12】図12は、図5に示すタッチスクリーンに用いることができる格子の更に別の好ましい態様の側面図である。
【図13】図13は、図5に示すタッチスクリーンに用いることができる格子の更に別の好ましい態様の側面図である。
【図14A】図14Aは、VFDタッチ・ディスプレイの斜視図である。
【図14B】図14Bは、図14Aの線303−303’に沿って切り取ったVFDタッチ・ディスプレイの断面平面図である。
【図15A】図15Aは、FEDタッチ・ディスプレイの斜視図である。
【図15B】図15Bは、図15Aの線403−403’に沿って切り取ったFEDタッチ・ディスプレイの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有する弾性波基板、
弾性波トランスデューサー、および
基板とトランスデューサーとの間に配置される弾性波回折格子
を有して成り、
弾性波回折格子が、弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーを、基板の表面に沿って伝搬する弾性波に結合する、タッチセンサー。
【請求項2】
弾性波回折格子が、平行要素のアレイを有して成る、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項3】
平行要素が、弾性波の波長に等しいピッチを有する、請求項2に記載のタッチセンサー。
【請求項4】
弾性波回折格子が、弾性波トランスデューサーおよび基板と構造的に別個に構成されている、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項5】
弾性波回折格子が、基板と構造的に一体化している、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項6】
弾性波回折格子が、弾性波トランスデューサーと構造的に一体化している、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項7】
別の弾性波トランスデューサー、および
その別の弾性波トランスデューサーと基板と間に配置される別の弾性波回折格子
を更に有して成り、
その別の弾性波回折格子は、該別の弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーを弾性波に結合する、請求項1にタッチセンサー。
【請求項8】
基板表面が実質的にフラットである、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項9】
弾性波トランスデューサーが、圧電素子を有して成る、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項10】
弾性波回折格子が、交互に設けられたタイン部およびスロット部を有して成り、
該タイン部を介した弾性波トランスデューサーと基板との間の結合は、該スロット部を介した弾性波トランスデューサーと基板との間の結合に対して位相が約180°ずれている、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項11】
ディスプレイ・デバイス、
表面を有する透明な弾性波基板、
弾性波トランスデューサー、および
基板と弾性波トランスデューサーとの間に配置される弾性波回折格子
を有して成り、
基板が、ディスプレイ・デバイスの前面を形成しており、また
弾性波回折格子が、弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーを、基板の表面に沿って伝搬する弾性波に結合する、タッチ・ディスプレイ。
【請求項12】
弾性波回折格子が、平行要素のアレイを有して成る、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項13】
平行要素が、弾性波の波長に等しい距離で相互に離隔している、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項14】
弾性波回折格子が、弾性波トランスデューサーおよび基板と構造的に別個に構成されている、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項15】
弾性波回折格子が、基板と構造的に一体化している、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項16】
弾性波回折格子が、弾性波トランスデューサーと構造的に一体化している、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項17】
別の弾性波トランスデューサー、および
その別の弾性波トランスデューサーと基板と間に配置される別の弾性波回折格子
を更に有して成り、
その別の弾性波回折格子は、該別の弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーを弾性波に結合する、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項18】
基板表面が実質的にフラットである、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項19】
弾性波トランスデューサーが、圧電素子を有して成る、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項20】
弾性波回折格子が、交互に設けられたタイン部およびスロット部を有して成り、
該タイン部を介した弾性波トランスデューサーと基板との間の結合は、該スロット部を介した弾性波トランスデューサーと基板との間の結合に対して位相が約180°ずれている、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項21】
タッチ・ディスプレイが、真空蛍光ディスプレイまたは電界放出ディスプレイから成る、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項1】
表面を有する弾性波基板、
弾性波トランスデューサー、および
基板とトランスデューサーとの間に配置される弾性波回折格子
を有して成り、
弾性波回折格子が、弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーを、基板の表面に沿って伝搬する弾性波に結合する、タッチセンサー。
【請求項2】
弾性波回折格子が、平行要素のアレイを有して成る、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項3】
平行要素が、弾性波の波長に等しいピッチを有する、請求項2に記載のタッチセンサー。
【請求項4】
弾性波回折格子が、弾性波トランスデューサーおよび基板と構造的に別個に構成されている、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項5】
弾性波回折格子が、基板と構造的に一体化している、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項6】
弾性波回折格子が、弾性波トランスデューサーと構造的に一体化している、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項7】
別の弾性波トランスデューサー、および
その別の弾性波トランスデューサーと基板と間に配置される別の弾性波回折格子
を更に有して成り、
その別の弾性波回折格子は、該別の弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーを弾性波に結合する、請求項1にタッチセンサー。
【請求項8】
基板表面が実質的にフラットである、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項9】
弾性波トランスデューサーが、圧電素子を有して成る、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項10】
弾性波回折格子が、交互に設けられたタイン部およびスロット部を有して成り、
該タイン部を介した弾性波トランスデューサーと基板との間の結合は、該スロット部を介した弾性波トランスデューサーと基板との間の結合に対して位相が約180°ずれている、請求項1に記載のタッチセンサー。
【請求項11】
ディスプレイ・デバイス、
表面を有する透明な弾性波基板、
弾性波トランスデューサー、および
基板と弾性波トランスデューサーとの間に配置される弾性波回折格子
を有して成り、
基板が、ディスプレイ・デバイスの前面を形成しており、また
弾性波回折格子が、弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーを、基板の表面に沿って伝搬する弾性波に結合する、タッチ・ディスプレイ。
【請求項12】
弾性波回折格子が、平行要素のアレイを有して成る、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項13】
平行要素が、弾性波の波長に等しい距離で相互に離隔している、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項14】
弾性波回折格子が、弾性波トランスデューサーおよび基板と構造的に別個に構成されている、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項15】
弾性波回折格子が、基板と構造的に一体化している、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項16】
弾性波回折格子が、弾性波トランスデューサーと構造的に一体化している、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項17】
別の弾性波トランスデューサー、および
その別の弾性波トランスデューサーと基板と間に配置される別の弾性波回折格子
を更に有して成り、
その別の弾性波回折格子は、該別の弾性波トランスデューサー内の弾性波エネルギーを弾性波に結合する、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項18】
基板表面が実質的にフラットである、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項19】
弾性波トランスデューサーが、圧電素子を有して成る、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項20】
弾性波回折格子が、交互に設けられたタイン部およびスロット部を有して成り、
該タイン部を介した弾性波トランスデューサーと基板との間の結合は、該スロット部を介した弾性波トランスデューサーと基板との間の結合に対して位相が約180°ずれている、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【請求項21】
タッチ・ディスプレイが、真空蛍光ディスプレイまたは電界放出ディスプレイから成る、請求項11に記載のタッチ・ディスプレイ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【公表番号】特表2007−535010(P2007−535010A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517162(P2006−517162)
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/016908
【国際公開番号】WO2005/006242
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(399034633)エロ・タッチシステムズ・インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】Elo TouchSystems,Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/016908
【国際公開番号】WO2005/006242
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(399034633)エロ・タッチシステムズ・インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】Elo TouchSystems,Inc.
【Fターム(参考)】
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