説明

プローブ装置及びプローブユニット

【課題】配線シートの配線と該配線に対応した接続シートの配線とを確実に接続させる。
【解決手段】プローブ装置は、被検査体の電極に接触する多数のプローブと、該プローブに電気的に接続した配線シートと、該配線シートに電気的に接続した接続回路と、前記配線シートと前記接続回路の間に介在した絶縁性シートと、該絶縁性シートを貫通して前記配線シートと前記接続回路とを電気的に接続した熱溶融性の金属部材とを含む。前記配線シートは、前記プローブに電気的に接続された多数の第1の配線を有し、前記接続回路は、それぞれが前記第1の配線に対応された多数の第2の配線を有する。前記金属部材は、該前絶縁性シートを貫通して前記第1の配線とこれに対応した第2の配線とを結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルのような平板状被検査体の電気的試験に用いるプローブ装置及びプローブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶が封入された液晶表示パネルのような平板状の被検査体は、一般に、プローブ装置を備えるプローブユニットを用いた検査装置すなわち試験装置により検査すなわち試験をされる。そのような試験において、試験装置の電気回路からの電気信号がプローブ装置を介して被検査体に供給される。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されたプローブ装置は、被検査体の電極に接触する多数の接触電極を前部に備える1つの配線シートと、配線シートに電気的に接続されて結合された複数の接続シートと、配線シートを支持する支持体とを含む。
【0004】
配線シートは、前後方向へ延びる第1のシート状部材と、該第1のシート状部材に形成された多数の第1の配線であって前記接触電極が前部に設けられ、前後方向に延びる多数の第1の配線とを含み、前記接触電極が設けられた第1の配線をプローブとしている。多数の第1の配線は、左右方向、すなわち配線シートの幅方向に相互に間隔をおいて第1のシート状部材に設けられている。
【0005】
また、各接続シートは、前後方向へ延びる第2のシート状部材と、該第2のシート状部材に設けられた第2の配線であって、それぞれが配線シートの第1の配線に対応して結合され、前後方向に延びる多数の第2の配線とを含む。多数の第2の配線は、左右方向、すなわち接続シートの幅方向に相互に間隔をおいて第2のシート状部材に設けられている。
【0006】
複数の接続シートは、それらの幅方向の位置を合わせた状態に相互に重ねられて、かつ前後方向の位置をずらして前記配線シートに結合されている。各接続シートは試験装置の電気回路に電気的に接続されており、該電気回路からの電気信号は、各接続シートの第2の配線と、第1の配線シートの第1の配線と、第1の配線に設けられた接触電極とを介して被検査体に供給される。
【0007】
このプローブ装置においては、配線シートの第1のシート状部材の第1の配線側の面と接続シートの第2のシート状部材の第2の配線側の面とが向かい合う状態に接続シートの一部を配線シートに対向させて、この対向した部分において、配線シートの第1の配線と、接続シートの該第1の配線に対応した第2の配線とが熱圧着(すなわち、接合させる材料をそれらの融点以下の適当な温度で圧力を加え密着させ、かつ塑性変形を起こさせることにより、接合させる材料の表面を接触させて接合させる接合方法)により結合されている。これにより、配線シート及び接続シートは電気的に接続されている。
【0008】
ところで、配線シートと各接続シートとが結合される際にそれらの幅方向、すなわち複数の第1又は第2の配線が間隔をおいて並ぶ方向に位置ずれが生じることにより、接続シートの第2の配線と、配線シートの対応する第1の配線の隣に位置する第1の配線とが接触してしまうことがある。
【0009】
このような第1の配線とこれに対応しない第2の配線との接触を防止すべく、引用文献1の技術においては、絶縁性レジストが接続シートに設けられている。そのような絶縁性シートは、配線シートの第1の配線に熱圧着(すなわち、結合)される位置の近傍以外の第2の配線を覆うように、接続シートに設けられる。
【0010】
そのような絶縁性レジストを配線シートと接続シートとの間に設けると、第1及び第2の配線が結合するための貫通穴を絶縁性レジストに形成し、該貫通穴に配線シートを弾性変形させて押し込むことにより第1の配線を第2の配線に接触させ、それらの接触面において熱圧着を行うことになる。したがって、第1の配線は、配線シートが貫通穴に沿うように、左右方向から見た断面においてU字状に屈曲された状態で該U字の底部において接続シートの第2の配線に結合される。
【0011】
しかし、配線シートが、レジストの貫通穴に押し込まれ、第1の配線がU字状に弾性変形された状態で第2の配線に結合されると、屈曲された配線シートは、U字状から平坦な状態に戻る、すなわち第1の配線が第2の配線から分離する弾性力を受ける。特に、レジストの貫通穴は短絡防止のために微少な穴径にされるから、配線シートは貫通穴に強引に押し込まれて屈曲されることになり、前記したような弾性力が大きくなる。
【0012】
したがって、第1の配線シートと第2の配線シートとの間にレジストを介在させた上記のようなプローブ装置においては、第1の配線と第2の配線とが熱圧着されても、第1の配線が第2の配線から離れようとする力が配線シートに作用することにより、第1の配線と第2の配線とが分離してしまい、配線シートと接続シートの接続不良の問題が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−184853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、配線シートの配線と該配線に対応した接続シートの配線とを確実に接続させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るプローブ装置は、被検査体の電極に接触する多数のプローブと、該プローブに電気的に接続した配線シートと、該配線シートに電気的に接続した接続回路と、前記配線シートと前記接続回路の間に介在した絶縁性シートと、該絶縁性シートを貫通して前記配線シートと前記接続回路とを電気的に接続した熱溶融性の金属部材とを含む。
【0016】
前記配線シートは、それぞれが前記プローブから連続して又は前記プローブに電気的に接続されて後方に延びる多数の第1の配線と該第1の配線が一方の面に設けられた第1のシート状部材とを有する。前記接続回路は、その一部が前記配線シートに対向された状態にシート状に形成されており、それぞれが前記第1の配線に対応された多数の第2の配線と、該第2の配線が一方の面に設けられた第2のシート状部材とを有する。前記金属部材は、該前絶縁性シートを貫通して前記第1の配線とこれに対応した第2の配線とを結合している。
【0017】
前記接続回路は、多数の前記第2の配線と、前記第2のシート状部材とをそれぞれが有する少なくとも第1及び第2の接続シートを備えていてもよく、前記第1の配線は、前記第1の接続シートの前記第2の配線に対応された複数の第1の導電路と、前記第2の接続シートの前記第2の配線に対応された複数の第2の導電路とを有していてもよい。
【0018】
前記金属部材は、前記第1の導電路とこれに対応する前記第1の接続シートの前記第2の配線とを結合した複数の第1の金属部材と、前記第2の導電路とこれに対応する前記第2の接続シートの前記第2の配線とを結合している複数の第2の金属部材とを有していてもよい。前記第1の金属部材は、左右方向に間隔をおいて一列に配置されていてもよく、前記第2の金属部材は、記第1の金属部材から前方又は後方にあって左右方向に間隔をおいて一列に配置されていてもよい。
【0019】
前記接続回路は、多数の前記第2の配線と前記第2のシート状部材とをそれぞれが有する少なくとも第1、第2及び第3の接続シートを備えていてもよく、前記第1の配線は、前記第1の接続シートの前記第2の配線に対応された複数の第1の導電路と、前記第2の接続シートの前記第2の配線に対応された複数の第2の導電路と、前記第3の接続シートの前記第2の配線に対応された複数の第3の導電路とを有していてもよい。
【0020】
前記金属部材は、前記第1の導電路とこれに対応する前記第1の接続シートの前記第2の配線とを結合した複数の第1の金属部材と、前記第2の導電路とこれに対応する前記第2の接続シートの前記第2の配線とを結合した複数の第2の金属部材と、前記第3の導電路とこれに対応する前記第3の接続シートの前記第2の配線とを結合した複数の第3の金属部材とを有していてもよい。
【0021】
前記第1の金属部材は、左右方向に間隔をおいて一列に配置され、前記第2の金属部材は、前記第1の金属部材から後方にあって左右方向に間隔をおいて一列に配置され、前記第3の金属部材は、前記第2の金属部材の後方にあって左右方向に間隔をおいて一列に配置されていてもよい。また、前記絶縁性シートは前記配線シートに支持されていてもよい。
【0022】
前記第1、第2及び第3の接続シートは同一形状に形成されていてもよく、前記第1、第2及び第3の接続シートのそれぞれの前記第2の配線は、相互に平行に延びて、前方ほど左方又は右方のいずれか一方に傾斜して延びる第1の配線領域と、該第1の配線領域の後端部から後方に延びる第2の配線領域とを有していてもよい。前記第1、第2及び第3の接続シートは、左右方向における位置が同一となるように重ねられていてもよい。
【0023】
前記第1の接続シートの前端部は前記第2の接続シートの前端部より前方に配置され、該第2の接続シートの前端部は前記第3の接続シートの前端部より前方に配置されていてもよい。また、前記第1の配線は、前記プローブから連続し又は前記プローブに電気的に接続されて後方へ延びる第1の導電路領域であって、前方ほど狭ピッチとなるように前後方向に延びる第1の導電路領域を有していてもよい。
【0024】
前記第1の配線は、各プローブに電気的に接続されて後方に延びていてもよく、前記絶縁性シートは、前記配線シートの前記第1の配線を覆うように前記配線シートに支持されていてもよく、また前記プローブに電気的に接続する位置に前記プローブの後部針先が通される貫通穴を備えることができる。
【0025】
本発明に係るプローブユニットは、前記第1、第2及び第3の接続シートを含む上記のようなプローブ装置と、板状のプローブベースであって前記プローブ装置を上面の前方に備えるプローブベースと、該プローブベースの後部に、上方に延びかつ前後方向を厚さ方向とする状態に設けられた中継基板と、前記第1、第2及び第3の接続シートが、それぞれ、電気的に接続される第1、第2及び第3の接続部であって前記中継基板に設けられた第1、第2及び第3の接続部とを含むことができる。
【0026】
前記第1の接続シートが前記第2の接続シートの上側に重ねられ、該第2の接続シートが前記第3の接続シートの上側に重ねられていてもよく、また前記第1の接続部は前記第2の接続部の下方に設けられ、該第2の接続部は前記第3の接続部の下方に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるプローブ装置によれば、前記配線シートと前記接続シートとの間に前記絶縁性シートが介在していても、該絶縁性シートを貫通した熱溶融性の前記金属部材により前記第1の配線とこれに対応した前記第2の配線とが結合されている。これにより、前記配線シート又は前記接続回路の前記接続シートを前記絶縁性シートの前記貫通穴に押し込むべく前記接続シート又は前記配線シートを屈曲させる必要がない。
【0028】
したがって、前記絶縁性シートにより、前記第1の配線が対応しない前記第2の配線に接続されることを防止できるにも拘わらず、前記配線シート又は前記接続回路の前記接続シートが屈曲することなく前記第1の配線と第2の配線とが結合される。それ故、前記第1の配線と前記第2の配線とを分離させる力が生じないから、前記第1及び第2の配線を確実に接続することができる。
【0029】
また、複数の前記接続シートを1つの前記配線シートに結合する場合に、前記接続シートに前記絶縁性シートを設けると、それぞれが前記絶縁性シートを備える複数の前記接続シートが必要となり、プローブ装置が高価になる。しかし、本発明によれば、絶縁性シートを配線シートに設けることで、1つの前記絶縁性シートを1つの前記配線シートに設ければよいから、プローブ装置を安価に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るプローブ装置及びプローブユニットを備える試験装置を示す平面図である。
【図2】本発明に係るプローブ装置の第1の実施例を示す側面図である。
【図3】図2におけるプローブ組立体の近傍を拡大して示す側面図である。
【図4】図2における4A及び4Bの部分を拡大して示す側面図であって、図4(A)及び4(B)は、それぞれ、図2の4A及び4Bの部分を示す。
【図5】図2におけるプローブ装置に用いられる配線シートを示す図であって、図5(A)は配線シートの側面図を示し、図5(B)は配線シートの平面図を示す。
【図6】図2におけるプローブ装置の配線シートと接続シートとの接続前の状態を示す側断面図であって、図6(A)は接続領域の全体を示し、図6(B)は図6(A)の6Bの部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図7】図2におけるプローブ装置の配線シートと接続シートとの接続後の状態を示す側断面図であって、図7(A)は接続領域の全体を示し、図7(B)は図7(A)の7Bの部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図8】図2におけるプローブ装置の配線シートと複数の接続シートとの接続関係を示す図である。
【図9】本発明に係るプローブ装置の第2の実施例に用いられる配線シートを示す図であって、図9(A)は配線シートの側面図を示し、図9(B)は配線シートの平面図を示す。
【図10】本発明に係るプローブ装置の第3の実施例に用いられる配線シートを示す図であって、図10(A)は配線シートの側面図を示し、図10(B)は配線シートの平面図を示す。
【図11】本発明に係るプローブ装置の第4の実施例を示す側面図である。
【図12】図11におけるプローブ装置に用いられる配線シートを示す図であって、図12(A)は配線シートの側面図を示し、図12(B)は配線シートの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[用語の説明]
【0032】
本発明においては、図2において、上下方向を上下方向又はZ方向といい、左右方向をプローブ装置の被検査体側を前方とし、プローブ装置の中継基板側を後方とする前後方向又はY方向といい、紙背方向を左右方向又はX方向という。しかし、それらの方向は、ワークテーブルのようなパネル受けに受けられた被検査体の姿勢に応じて異なる。
【0033】
したがって、プローブ装置及びプローブブロックは、本発明でいう上下方向(Z方向)が、実際に、上下方向となる状態、上下逆となる状態、斜めの方向となる状態等、いずれかの方向となる状態に試験装置に取り付けられて使用される。
【0034】
[試験装置]
【0035】
図1を参照するに、試験装置10は、液晶表示パネルのような平板状の被検査体12の点灯検査に用いられる。試験装置10は、被検査体12を試験するための信号を送信する電気回路(図示せず)を備える。被検査体12には、検査のために必要な、例えば、液晶表示パネルを黒表示させるための試験信号又は駆動信号が電気回路から試験装置10を介して供給される。
【0036】
被検査体12は矩形の形状を有しており、その矩形の少なくとも1つの辺に対応する縁部12aに、多数の電極14が形成されている。各電極14は、これが形成された縁部12aの長手方向と直交するX方向又はY方向へ延びる帯状の形状を有しており、縁部12aの長手方向に所定の間隔で形成されている。図示の例では、被検査体12の隣り合う2つの辺に、多数の電極14が設けられている。
【0037】
試験装置10は、被検査体12を保持するためのチャックトップ16と、チャックトップ16の上方に配置された多数のプローブユニット18とを含む。チャックトップ16上の被検査体12は、従来よく知られているように、ストッパ部材20及びプッシャ22により、XY平面で姿勢を調整される。
【0038】
姿勢を調整された被検査体12は、チャックトップ16の吸引によってチャックトップ16上に保持される。チャックトップ16は、従来よく知られているように、xyzθ台上に設けられている。これにより、チャックトップ16上の被検査体12は、チャックトップ16と一体に、X軸方向、Y軸方向及びX−Y面に直角なZ軸方向へ移動可能であり、またZ軸の周り(すなわち、θ方向)に回転可能である。
【0039】
各プローブユニット18は、チャックトップ16と平行な面上にチャックトップ16から上方に間隔をおいて配置された概長方形のプローブベース24と、プローブベース24に支持された多数のプローブ装置26と、プローブベース24に設けられた中継基板28とを備える。
【0040】
多数のプローブ装置26は、プローブベース24の長手方向(X方向又はY方向)に間隔をおいてプローブベース24に支持されている。多数のプローブ装置26は、後に説明するように中継基板28に電気的に接続されている。中継基板28は、フラットケーブルのような接続配線30により試験装置10の電気回路に電気的に接続されている。
【0041】
[プローブ装置]
【0042】
図2を参照するに、各プローブ装置26は、プローブベース24に載置されかつ連結された連結ブロック32と、連結ブロック32に支持された支持ブロック34と、支持ブロック34に結合された結合ブロック36と、結合ブロック36に支持されたプローブ組立体38と、プローブ組立体38を中継基板28に電気的に接続する配線シート40及び接続回路42とを含む。
【0043】
連結ブロック32は、プローブベース24から立ち上がるようにプローブベース24に連結された本体部32aと、本体部32aの上部から前方に延びる補助部32bとにより、L字状の断面形状を有する。連結ブロック32は、本体部32aを上方から下方に貫通してプローブベース24に螺合された複数のボルト43によりプローブベース24に取り外し可能に結合されている。
【0044】
支持ブロック34は、直方体の形状の本体部34aと、本体部34aの下部から前方に延びる補助部34bとにより逆L字状の断面形状を有する。支持ブロック34は、一組のガイド44及びガイドレール46により上下方向に移動可能に、連結ブロック32の本体部32aの前面に本体部34aの後面において連結されていると共に、ボルト48により上下方向の位置を調整可能に連結ブロック32の補助部32bの下側に支持されている。
【0045】
ボルト48は、連結ブロック32の補助部32bを上方から下方へ貫通しており、また支持ブロック34に形成されたねじ穴50に螺合されている。支持ブロック34は、連結ブロック32の補助部32bと支持ブロック34との間に配置された一対の圧縮コイルバネ52により下方に付勢されている。これにより、支持ブロック34へのボルト48のねじ込み量を調整することにより、支持ブロック34、ひいては支持ブロック34に結合された結合ブロック36を介してプローブ組立体38の高さ位置を調整することができる。
【0046】
結合ブロック36は、上下方向を厚さ方向とした左右方向に長い板状部材であり、その中央領域において支持ブロック34の下側に支持ブロック34の補助部34bを上方から下方に貫通して結合ブロック36に螺合されたボルト54により結合されている。結合ブロック36は、その前下部に左右方向へ延びる下向き段部36aを有する。下向き段部36aには、結合ブロック36の貫通穴36bを上方から下方に貫通してプローブ組立体38に螺合されたねじ部材56によりプローブ組立体38が維持されている。
【0047】
図3を参照するに、プローブ組立体38は、ブロック片60の下面に前後方向に間隔をおいて組み付けられた一対のスリットバー64に、多数のプローブ62を左右方向に間隔をおいて前後方向に伸びる状態に配置し、円形の横断面形状を有する絶縁性のバー部材66をプローブ62に貫通させ、バー部材66の端部を一対のカバー部材68によりブロック片60に組み付けている。
【0048】
プローブ組立体38は、結合ブロック36の下向き段部36aに嵌め込まれた状態で、ブロック片60にねじ部材56が螺合されることにより、プローブ組立体38が結合ブロック36の下側に維持される。各プローブ62は、導電性材料により製作されており、ブレードタイプ(すなわち、板状)のプローブとされている。ブロック片60及び各スリットバー64は、いずれも、電気絶縁性を有するセラミック、合成樹脂等により、左右方向に長い角柱状の形状を有する。
【0049】
各スリットバー64は、角柱状の形状に製作されており、またブロック片60の前部下面又は後部下面に左右方向へ伸びる状態に装着されている。各スリットバー64は、これの長手方向(左右方向)に所定の間隔をおいて前後方向へ伸びて、前方、後方及び下方に開放する多数のスリットを下面に有する。
【0050】
各スリットは、プローブ62に対応されており、また対応するプローブ62の厚さ寸法に応じた幅寸法を有しており、さらに対応するプローブ62の前下部62a及び後上部62bを受け入れている。両スリットバー64のスリットにより多数のプローブ62は、左右方向の相互の間隔を維持されている。
【0051】
両カバー部材68は、スリットバー64の両側に配置されており、各カバー部材68は、バー部材66の端部を内側に受け入れた状態で、カバー部材68を貫通して、ブロック片60の左右方向における端部に螺合された複数のねじ部材69により、ブロック片60の左右方向における側面に取り外し可能に取り付けられている。
【0052】
各プローブ62は、その厚さ方向が左右方向となり、前下部62a及び後上部62bがそれぞれブロック片60から前方及び後方へ突出された状態に、スリットバー64に配置されている。各プローブ62は、また、前後方向へ延びて、前下部62a及び後上部62bをそれぞれ前側及び後側のスリットバー64のスリットに嵌合させている。
【0053】
各プローブ62は、後側のスリットに嵌合された後上部62bよりさらに後方において、上方に立ち上がる後部針先62cを有する。プローブ組立体38は、各プローブ62の後部針先62cを配線シート40に接触させた状態に、結合ブロック36に維持されている。
【0054】
図4(A)を参照するに、配線シート40は、前後方向に延びる状態に結合ブロック36の下面に支持されており、その前部においてプローブ組立体38に電気的に接続されている。配線シート40は、結合ブロック36の下面に一方の面を貼り付けられた第1のシート状部材70と、第1のシート状部材70の他方の面に形成された多数の第1の配線72を備える。各第1の配線72は、プローブ組立体38のプローブ62に対応されており、配線シート40は、多数のプローブ62と同数の第1の配線72を備える。
【0055】
さらに、配線シート40は、その前部に左右方向に延びるガイドフィルム76が設けられており(図5(B)を参照)、ガイドフィルム76に設けられた上下方向に貫通する多数の貫通穴77を介して第1の配線72の一部を下方に露出している。各プローブ62の後部針先62cは、貫通穴77を通されて対応する第1の配線72に接触している。これにより、配線シート40とプローブ組立体38は、電気的に接続されている。
【0056】
図4(B)を参照するに、配線シート40の後部は、接続回路42に電気的に接続されている。接続回路42は、複数の接続シート80を含み、各接続シート80は、第2のシート状部材82と、シート状部材82の一方の面に設けられた多数の第2の配線84とを備える。各第2のシート状部材82は前後方向に延びており、また多数の配線84は、相互に左右方向に間隔をおいて前後方向に延びるように第2のシート状部材82に形成されている(図8を参照)。
【0057】
各接続シート80は、第2の配線84が形成された面の一部を配線シート40に対向させ、絶縁性シート74を介在させた状態で配線シート40に結合されている。各第2の配線84は、第1の配線72に対応されており、絶縁性シート74を貫通する金属部材78を介して対応する第1の配線72に結合されている。これにより、配線シート40は、接続回路42に電気的に接続される。
【0058】
接続回路42が試験装置10の電気回路に電気的に接続されているから、該電気回路からの電気信号は、接続回路42の各接続シート80の第2の配線84、配線シート40の第1の配線72及びプローブ組立体38のプローブ62を介して被検査体12に供給される。
【0059】
[配線シート]
【0060】
図5を参照するに、配線シート40は、ポリイミドのような絶縁性の材料で製作された第1のシート状部材70と、シート状部材70に形成された多数の第1の配線72とを有する。したがって、配線シート40は、いわゆるフレキシブル印刷配線回路(FPC:Flexible Printed Circuits)又はTAB(TAB:Tape Automated Bonding)テープのような可撓性を有するシート状の印刷配線基板とすることができる。配線シート40は前後方向に延びており、図5においてその中間部分を省略して記載されているが、実際には、該中間部分は前後方向に延びている(図2を参照)。
【0061】
多数の第1の配線72は、図5(B)に示すように、相互に概並行に前後方向に延びており、前後方向に延びる第1の導電路領域72Aと、第1の導電路領域72Aの後端から連続して後方向に延びる第2の導電路領域72Bと、第2の導電路領域72Bの後端から連続して後方に延びる第3の導電路領域72Cと、第3の導電路領域72Cの後端から連続して後方向に延びる第4の導電路領域72Dとを有する。
【0062】
第1の導電路領域72Aの前端部の第1の配線72のピッチは、プローブ組立体38の左右方向に間隔をおいて配置された多数のプローブ62のピッチに対応している。また、第1及び第3の導電路領域72A及び72Cは、後方ほど配線相互のピッチが大きくなる状態で、第2及び第4の導電路領域72B及び72Dは、配線相互のピッチが維持された状態で前後方向に延びている。
【0063】
これにより、第1の配線72は、第1の導電路領域72Aの前端部のピッチ、すなわちプローブ62のピッチに対して、第4の導電路領域72Dのピッチ、すなわち第1の配線72の後部のピッチが大きくなるように、第1のシート状部材70に形成されている。
【0064】
また、第1の配線72は、図示の例では、第1のシート状部材70上に16本設けられており、それらのうちの4本を1つのグループとする4つのグループ73に分けられる。各グループ73は、4つの第1の配線72を、図5(B)において下側から、第1、第2、第3及び第4の導電路73a、73b、73c及び73dとしている。
【0065】
配線シート40の前端部には、左右方向(図5(B)における上側から下側)に延びるガイドフィルム76が設けられている。ガイドフィルム76は、その厚さ方向に貫通し、かつ長手方向に間隔をおいて配置される多数の貫通穴77を有する。多数の貫通穴77の間隔は、第1の配線72の前端部のピッチに対応されており、各貫通穴77は、対応する第1の配線72の一部を露出されている。この露出部分にプローブ62の後部針先62cが接触されることにより、第1の配線72とプローブ62とが電気的に接続される。
【0066】
また、配線シート40の後部には、絶縁性シート74が第1の配線72の第4の導電路領域72Dを覆うように設けられている。絶縁性シート74が設けられた第4の導電路領域72Dにおいて、各第1、第2、第3及び第4の導電路73a、73b、73c及び73dは、それぞれ、第1、第2、第3及び第4の金属部材78a、78b、78c及び78dが形成されている。絶縁性シート74は、各金属部材78に対応する位置に厚さ方向に貫通する多数の貫通穴79を有しており、各貫通穴79内に金属材料78が配置される(図6及び図7を参照)。
【0067】
各第1の導電路73aに設けられた第1の金属部材78a(図示の例では4つ)は、左右方向に一列に並んだ状態に相互に間隔を同一にして配置されており、各第2、第3及び第4の導電路73b、73c、及び73dに設けられた第2の金属部材78b、第3の金属部材78c及び第4の金属部材78dも、同様に、左右方向に一列に並んだ状態に相互に間隔を同一に配置されている。
【0068】
また、第1の金属部材78aは、第4の導電路領域72Dの前部に配置されており、第2、第3及び第4の金属部材78b、78c及び78dは、それぞれ、第1、第2及び第3の金属部材78a、78b及び78dの前後方向及び左右方向(図5(B)における右側及び上側)に間隔をおいて配置されている。
【0069】
これにより、各金属材料78は、全ての金属材料78(図示の例では16個)を左右方向に1列に配置する場合に比較して、左右方向の相互の間隔を広くして配置されるから、配線シート80との接続において隣り合う金属材料78の短絡を防止できる。図示の例において、各導電路73a〜73dは、第4の導電路領域72Dの後部まで延びているが、少なくとも金属部材78が配置される部分まで延びていればよい。
【0070】
配線シート40が印刷配線基板であれば、従来の印刷配線基板の設計及び製造方法により第1の配線72の配置、すなわち配線パターンを自由に設計できる。したがって、特許文献1の配線シートのように、1グループの接続端子の位置を前後方向に異なる位置において左右方向に同じ位置となるように、すなわち、前後方向に一直線に揃えるように配置してもよい。
【0071】
しかし、特許文献1のように接続端子(すなわち結合部)の位置を前後方向に一直線に揃えるべく、配線パターンに大きく曲がる角部を設けると、印刷配線基板の製作において、該角部と隣り合う配線とが短絡した状態で印刷配線が形成され、配線シートに電気回路不良が生じることがある。
【0072】
したがって、本実施例のように第1の配線が概平行な直線状に延びる状態に配置されることにより、従来知られているように、印刷配線基板の製造において配線が大きく曲がる角部を有する場合に比較して、印刷配線基板の不良率を低減することができる。
【0073】
本実施例において、配線シート40は、FPC、TAB等とされているが、リジットプリント基板(RPC:Rigid Printed Circuits)であってもよい。そのような場合、第1のシート状部材70は、アルミナ、紙フェノール、ガラス入りエポキシ等の硬質の材料で作成される。
【0074】
また、本実施例において、16本の第1の配線72が第1のシート状部材70に形成されているが、実際には、それ以上の第1の配線72が形成される。そのような場合には、グループ73の数と各グループに属する導電路の数とを調整してグループ分けすればよい。また、接続回路42の配線シートの枚数は、各グループの導電路の数と同数にすることができる。
【0075】
[配線シートと接続シートの接続]
図6〜8を参照するに、接続回路42は、第1、第2、第3及び第4の接続シート80a、80b、80c及び80dを含み、各接続シート80は、ポリイミドのような絶縁性の材料で製作された第2のシート状部材82と、第2のシート状部材82に形成された多数の配線84とを備える。第2の接続シートは前後方向に長いシート状部材であり、また多数の配線84は、相互に左右方向に間隔をおいて前後方向に延びるように第2のシート状部材82に設けられている(図8を参照)。
【0076】
したがって、接続シート80は、第2のシート状部材82に多数の配線84を形成した、いわゆるFPC、TAB又はフレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)のような可撓性を有するシート状の配線回路とすることができる。接続シート80としてFFCを用いる場合、FFCは、配線シート40に接続される接続部の被服の一方の面を除去されて使用される。したがって、FFCの平板型導線が第2の配線84として作用し、被服の他方の面が第2のシート状部材として作用する。
【0077】
各接続シート80は、第2の配線84が設けられた面の一部を配線シート40に対向させている。配線シート40と接続シート80との間には、配線シート40に第1の導電路を覆うように設けられた絶縁性シート74が介在している。この絶縁性シート74により、第1の配線72と、これに対応しない第2の配線84(例えば、第1の配線72に対応する第2の配線84の隣の第2の配線84)との短絡を防止することができる。
【0078】
絶縁性シート74は、接続シート80に設けられてもよい。しかし、複数の接続シート80を1つの配線シート40に接続する場合、配線シート40に絶縁性シート74を設ければ、1つの絶縁性シート74を1つの配線シート40に設ければよいから、複数の接続シート80のそれぞれに絶縁性シート74を設ける場合に比較してプローブ装置26を安価に製作することができる。
【0079】
図6を参照するに、接続シート80が接続される前の配線シート40は、第1の配線72が設けられた面に、貫通穴79を有する絶縁性シート74が形成されている。絶縁性シート74は、ポリイミドシートのような絶縁層でもよいし、ポリイミドインクを印刷技術により塗布した絶縁層であってもよい。第1の配線72の貫通穴79に対応する位置には、金属部材78がバンプ状に形成される。金属部材78のバンプの高さ寸法は、絶縁性シート74の厚さ寸法よりも大きくすることができる。
【0080】
図7を参照するに、接続シート80が配線シート40に接続されると、金属部材78は、貫通穴79に満たされるように押しつぶされた状態となる。そのような金属部材78を介して第1の配線72と第2の配線84とが結合される。金属部材78は、熱溶融性の金属部材とされており、配線シート40と接続シート80を貼り合わせた状態でリフロー工程のような加熱工程を経て第1及び第2の配線72及び84を結合することができる。
【0081】
絶縁性シート74の貫通穴79に金属部材78が満たされた状態で配線シート40と接続シート80とが結合されから、本発明のおいては、配線シート40の第1の配線72と接続シート80の第2の配線84とを結合するために、配線シート40又は接続シート80を絶縁性シート74の貫通穴79に押し込むように屈曲させる必要がない。
【0082】
これにより、配線シート40又は接続シート80を屈曲させることによる第1の配線72と第2の配線84とを分離させる力が生じないから、前記第1及び第2の配線を確実に接続することができる。また、金属部材78の分量を貫通穴79の容量と同程度とすることにより、金属部材78の飛散よる配線間の短絡を防止することができる。
【0083】
図6及び図7においては、1箇所の貫通穴79と金属部材78とについて説明しているが、実際には、多数の貫通穴79とそれらに対応する多数の金属部材78のそれぞれが絶縁性シート74及び配線シート40の多数箇所に設けられており、それら多数箇所の金属部材78が、リフロー工程を経て多数の第1の配線72と多数の第2の配線84とを同時に結合する。
【0084】
図8を参照するに、第1、第2、第3及び第4の接続シート80a、80b、80c及び80dは、それぞれ、第1、第2、第3及び第4の金属部材78a、78b、78c及び78dに対応されている。また、各接続シートの4つの第2の配線84の相互の間隔は、左右方向(配線シート40の幅方向)に一列に並んだ4つの金属部材78の相互の間隔と同一とされている。
【0085】
4つの金属部材78が左右方向に一列に並ぶように配置されているから、その列方向に接続シート80の幅方向を対応させることにより、接続シート80は、自身の長手方向を配線シート40の長手方向とした状態で配線シート40に接続される。
【0086】
本実施例において、各接続シート80は、同一形状の第2のシート状部材82と同一形状の配線パターンで第2のシート状部材82に設けられた第2の配線84とを含み、同一形状とされている。第2のシート状部材82は前後方向に長い帯状に形成されており、第2の配線は、前方ほど左方(図8において左側ほど下側)となる状態に傾斜した第1の配線領域84Aと、第1の配線領域84Aの後端部から、後方向(図8において右側)に直線状に延びる第2の配線領域84Bとを有する。
【0087】
配線シート40において、第1、第2、第3及び第4の金属部材78a、78b、78c及び78dは、それぞれ、前後方向(図8において左側から右側)に、及び左右方向(図8において下側から上側)に位置ずれした状態に配置されている。また、第2及び第3の金属材料78b及び78cの前後方向の間隔並びに第3及び第4の金属材料78c及び78dの前後方向の間隔は、それぞれ、第1及び第2の金属材料78a及び78bの前後方向の間隔及び第2及び第3の金属材料78b及び78cの前後方向の間隔よりも大きい。
【0088】
さらに、隣り合う第1の金属部材78a相互の間隔と、隣り合う第2の金属部材78b相互の間隔と、隣り合う第3の金属部材78c相互の間隔と、隣り合う第4の金属部材78d相互の間隔と、接続シート80の隣り合う第2の配線84相互の間隔とは、それぞれ同一とされている。
【0089】
上記のように製作された配線シート40と接続シート80との接続において、傾斜した第1の配線領域84Aのいずれかの部分を配線シート40の金属部材78に結合させれば、各接続シート80は、その前後方向の位置を調整することにより接続シート80の左右方向の位置を調整できる。例えば、配線シート40に対して接続シート80を前方(図8における左側)で結合しようとすれば、接続シート80は左方(図8における下側)に移動して結合されることになる。
【0090】
これにより、接続シート80の前後方向の位置を調整することにより、複数の接続シート80の左右方向の位置を同一として重ね合わせた状態で配線シート40に接続することができる。左右方向の位置が同一となるように接続シート80を配線シートに接続できれば、接続シート80の位置合わせが容易になり、プローブ装置の製作が容易になる。また、接続シート80を同一形状で作成することにより接続シート80の作成が容易かつ安価にできる。
【0091】
なお、第1、第2及び第3の接続シート80a、80b及び80cの前端部は、それぞれ、第2、第3及び第4の接続シート80b、80c及び80dの前端部より前方に配置されており、第1及び第2の接続シート80a及び80bの前端部の間隔は、第2及び第3の接続シート80b及び80cの前端部の間隔より小さく、第2及び第3の接続シート80c及び80dの前端部の間隔は、第3及び第4の接続シート80c及び80dの前端部の間隔より小さい。
【0092】
接続シート80の第2の配線84は、傾斜した第1の配線領域84Aを設けずに、前後方向に延びる第2の配線領域84Bのみから形成してもよい。しかし、そのような接続シート80は、前後方向の位置を変更することにより、左右方向の位置を調整することはできない。
【0093】
[接続回路と中継基板との接続]
【0094】
図2及び図7を参照するに、接続回路42は、配線シート40と中継基板28とを電気的に接続している。接続回路42は、プローブベース24の下面に取り付けられたケーブルホルダー89により、プローブベース24に支持されている。
【0095】
接続回路42は、第1、第2、第3及び第4の接続シート80a、80b、80c及び80dを含み、それらの前部において配線シート40に結合され、プローブベース24の貫通穴24aを通され、それらの後部において中継基板28に接続されている。接続シート80a、80b、80c及び80dは、それぞれ、コネクタのような接続部90a、90b、90c及び90dにより中継基板28に接続されている。
【0096】
第4の接続シート80dが第4の金属部材78dに対応されて配線シート40の後部に、第3の接続シート80cが第3の金属部材78cに対応されて第4の接続シート80dの上方に重ねられるように、第2の接続シート80bが第2の金属部材78bに対応されて第3の接続シート80cの上方に重ねられるように、第1の接続シート80aが第1の金属部材78aに対応されて第2の接続シート80bの上方に重ねられるように結合されている。
【0097】
また、接続シート80と中継基板28との接続部90は、第1の接続部90aの上側に第2の接続部90b、第2の接続部90cの上側に第3の接続部90c、第3の接続部90cの上側に第4の接続部90dが配置されるように、中継基板に接続されている。このように接続シート80が配線シート40及び中継基板28に接続されることにより、接続シート80を左右方向にずらすことなく、すなわち前後方向に重ねて複数の接続シートを配置して接続シート80を中継基板28に接続させることができる。
【0098】
複数の接続シート80を重ねて配置すれば、接続シート80を左右方向にずらして配置する場合に比較して接続シート80の長さ寸法を小さくすることができる。したがって、接続シート80の製作が容易になり、かつプローブ装置26の製作が安価になる。
【0099】
[配線シートの他の実施例]
【0100】
図9を参照するに、配線シート140は、先に説明した配線シート40の導電路領域72Aの前後方向の中間領域で配線シート40が幅方向に切断されたものである。配線シート140の前端部には、該前端部の第1の配線72のピッチに対応された貫通穴177を有するガイドフィルム176が設けられている。
【0101】
上記のように配線シート140を製作すれば、第1の導電路領域72Aは後方ほどピッチが大きい状態とされているから、配線シート140の第1の配線72の前端部のピッチを配線シート40の第1の配線72の前端部のピッチよりも大きくすることができる。
【0102】
したがって、プローブ組立体38のプローブ62のピッチが大きくされるとき(すなわち、被検査体12が電極14のピッチが大きいものに変更されるとき)、そのピッチに適合するように、配線シート40の切断部を変更することにより第1の配線72のピッチを調整することができる。
【0103】
一般に、FPC、TAB等の印刷配線基板の製造において、同一形状の複数の基板を作成することは容易で、同一形状の複数の基板の製作コストは、形状の異なる複数の基板の製作コストより安価になる。したがって、同一形状の配線シートを用いて、プローブピッチの異なる多数のプローブ装置を製作できれば、形状の異なる配線シートを用いて多数のプローブ装置を製作するよりも、プローブ装置を安価に製作できる。
【0104】
配線シート140は、配線シート40の導電路領域72Aの前後方向の中間領域で切断されているが、導電路領域72Aの後端で切断した場合に、第1の配線72のピッチが最大となる。また、配線シート40を切断することなく、導電路領域72Aの前後方向の中間領域で配線シート40を折り返してもよい。
【0105】
図10を参照するに、配線シート240には、第1のシート状部材70の全面に絶縁性シート274が設けられている。そのようにすれば、第1の配線72の全体が覆われるから、第1の配線72間に異物が付着することによる配線間の短絡を防止できる。
【0106】
さらに、絶縁性シート274の前端部に第1の配線72のピッチに対応した貫通穴277を設けることにより、絶縁性シート274をガイドフィルムとして作用させることができる。これにより、絶縁性シート274とガイドフィルムを別々に形成しなくてよいから、配線シートの製作が容易になる。
【0107】
[プローブ装置の他の実施例]
【0108】
図11を参照するに、各プローブ装置326は、プローブベース24に載置されかつ連結された連結ブロック332と、連結ブロック332に支持された支持ブロック334と、支持ブロック334に結合された結合ブロック336と、結合ブロック336に支持されたプローブブロック338と、プローブブロック338を中継基板28に電気的に接続する配線シート340及び接続回路342とを含む。
【0109】
プローブ装置326の連結ブロック332及び支持ブロック334は、それぞれ、プローブ装置26の連結ブロック32及び支持ブロック34と同一の形状及び結合関係とされている。結合ブロック336は、上下方向を厚さ方向とし、左右方向に長い板状部材であり、その中央領域において支持ブロック334の下側に結合されている。結合ブロック336と支持ブロック334とは、支持ブロック334を上方から下方に貫通して結合ブロック336に螺合されたボルト354により結合されている。
【0110】
プローブブロック338は、結合ブロック336を上方から下方に貫通してプローブブロック338に螺合されたボルト356により、結合ブロック336に結合されている。プローブブロック338は、その前部に板状の配線シート支持体338aを前方ほど下方に傾斜した状態に有する。配線シート340は、プローブブロック338の下面及び配線シート支持体338aの下面に支持されている。
【0111】
配線シート340は、可撓性のシート状部材370と、シート状部材370に設けられた多数の配線372と、各第1の配線372の前端部に設けられた接触電極377とを有する(図12を参照)。接続回路342は、プローブ装置26の接続回路42と同様の複数の接続シート80を備える。
【0112】
配線シート340は、第1の配線372が各接続シート80の第2の配線84と結合するように、その後部で接続回路342に電気的に接続されている。接続回路342が試験装置10の電気回路に電気的に接続されているから、該電気回路からの電気信号は、各接続シート80の第2の配線84、配線シート340の第1の配線372及び接触電極377を介して被検査体12に供給される。
【0113】
図12を参照するに、配線シート340は、配線シート40と同様に、いわゆるFPC又はTABテープのような可撓性を有するシート状の配線回路とすることができる。配線シート340は、前後方向に延びており、図12においてその中央部を省略して記載されているが、実際には該中央部は前後方向に直線状に延びている(図11を参照)。
【0114】
第1の配線372は、その前端部に下方に突出する接触電極377を備える。接触電極377のピッチ、すなわち第1の配線372の前端部のピッチは、被検査体12の電極14のピッチに対応されている。接触電極377と第1の配線372の前部とは、被検査体12の電極14に接触するプローブとして作用する。
【0115】
配線シート340の後部には、プローブ装置26の配線シート40と同様に、上下方向に貫通する多数の貫通穴79(図6及び図7を参照)を有する絶縁性シート74が第1の配線72を覆うように設けられている。絶縁性シート74の多数の貫通穴79には、金属部材78が設けられており、それらの配置は、プローブ装置26の配線シート40と同様にされている。
【0116】
接続回路342の接続シート80は、絶縁性シート74を介して配線シート140に対向され、第1の配線372と第2の配線84とが金属部材78を介して結合されることにより、配線シート340に電気的に接続される。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された趣旨を逸脱しない限り、種々に変更することができる。
【符号の説明】
【0118】
12 被検査体
14 被検査体の電極
24 プローブベース
26、326 プローブ装置
40、140、240、340 配線シート
42、342 接続回路
62 プローブ
62c プローブの後部針先
70、170、270、370 第1のシート状部材
72、172、272、372 第1の配線
72A 第1の導電路領域
73a 第1の導電路
73b 第2の導電路
73c 第3の導電路
73d 第4の導電路
74、274 絶縁性シート
76 ガイドフィルム
77、177、277 ガイドフィルムの貫通穴
78 金属部材
78a 第1の金属部材
78b 第2の金属部材
78c 第3の金属部材
78d 第4の金属部材
79 絶縁性シートの貫通穴
80a 第1の接続シート
80b 第2の接続シート
80c 第3の接続シート
80d 第4の接続シート
82 第2のシート状部材
84a 第1の配線領域
84b 第2の配線領域
90a 第1の接続部
90b 第2の接続部
90c 第3の接続部
90d 第4の接続部
377 接触電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の電極に接触される多数のプローブを前部に備えるプローブ装置であって、
それぞれが前記プローブから連続して又は前記プローブに電気的に接続されて後方に延びる多数の第1の配線と、該第1の配線が一方の面に設けられた第1のシート状部材とを備える配線シートと、
前記配線シートに電気的に接続されたシート状の接続回路であって、それぞれが前記第1の配線に対応された多数の第2の配線と、該第2の配線が一方の面に設けられた第2のシート状部材とを備える接続回路と、
前記配線シートと前記接続回路との間に介在する絶縁性シートと、
それぞれが該絶縁性シートを貫通して前記第1の配線とこれに対応する第2の配線とを結合した熱溶融性の多数の金属部材とを含む、プローブ装置。
【請求項2】
前記接続回路は、多数の前記第2の配線と、前記第2のシート状部材とをそれぞれが有する少なくとも第1及び第2の接続シートを備え、
前記第1の配線は、前記第1の接続シートの前記第2の配線に対応された複数の第1の導電路と、前記第2の接続シートの前記第2の配線に対応された複数の第2の導電路とを有し、
前記金属部材は、前記第1の導電路とこれに対応する前記第1の接続シートの前記第2の配線とを結合した複数の第1の金属部材と、前記第2の導電路とこれに対応する前記第2の接続シートの前記第2の配線とを結合している複数の第2の金属部材とを有し、
前記第1の金属部材は、左右方向に間隔をおいて一列に配置されており、
前記第2の金属部材は、記第1の金属部材から後方にあって左右方向に間隔をおいて一列に配置されている、請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項3】
前記接続回路は、多数の前記第2の配線と前記第2のシート状部材とをそれぞれが有する少なくとも第1、第2及び第3の接続シートを備え、
前記第1の配線は、前記第1の接続シートの前記第2の配線に対応された複数の第1の導電路と、前記第2の接続シートの前記第2の配線に対応された複数の第2の導電路と、前記第3の接続シートの前記第2の配線に対応された複数の第3の導電路とを有し、
前記金属部材は、前記第1の導電路とこれに対応する前記第1の接続シートの前記第2の配線とを結合した複数の第1の金属部材と、前記第2の導電路とこれに対応する前記第2の接続シートの前記第2の配線とを結合した複数の第2の金属部材と、前記第3の導電路とこれに対応する前記第3の接続シートの前記第2の配線とを結合した複数の第3の金属部材とを有し、
前記第1の金属部材は、左右方向に間隔をおいて一列に配置されており、
前記第2の金属部材は、前記第1の金属部材から後方にあって左右方向に間隔をおいて一列に配置されており、
前記第3の金属部材は、前記第2の金属部材から後方にあって左右方向に一列に間隔をおいて配置されている、請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項4】
前記絶縁性シートは前記配線シートに設けられている、請求項2又は3に記載のプローブ装置。
【請求項5】
前記第1、第2及び第3の接続シートは同一形状に形成されており
前記第1、第2及び第3の接続シートのそれぞれの前記第2の配線は、相互に平行に延びており、また前方ほど左方又は右方のいずれか一方に傾斜して延びる第1の配線領域と、該第1の配線領域の後端部から後方に延びる第2の配線領域とを有し、
前記第1、第2及び第3の接続シートは、左右方向における位置が同一となるように重ねられている、請求項3に記載のプローブ装置。
【請求項6】
前記第1の接続シートの前端部は前記第2の接続シートの前端部より前方に配置され、該第2の接続シートの前端部は前記第3の接続シートの前端部より前方に配置されている、請求項5に記載のプローブ装置。
【請求項7】
前記第1の配線は、前記プローブから連続し又は前記プローブに電気的に接続されて後方へ延びる第1の導電路領域であって、前方ほど狭ピッチとなるように前後方向に延びる第1の導電路領域を有する、請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項8】
前記第1の配線は、各プローブに電気的に接続されて後方に延びており、
前記絶縁性シートは、さらに、前記プローブが前記第1の配線に電気的に接続する位置に前記プローブの後部針先が通される貫通穴を備え、かつ前記配線シートに支持されている、請求項1に記載のプローブ装置。
【請求項9】
請求項2に記載のプローブ装置であって、前記第2の接続シートの上側に前記第1の接続シートが重ねられたプローブ装置と、
板状のプローブベースであって前記プローブ装置を上面の前部に備えるプローブベースと、
該プローブベースの後部に、上方に延びかつ前後方向を厚さ方向とする状態に設けられた中継基板と、
前記第1及び第2の接続シートが、それぞれ、電気的に接続される第1及び第2の接続部であって前記中継基板に設けられた第1及び第2の接続部とを含み、
前記第1の接続部は前記第2の接続部の下方に設けられている、プローブユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−233723(P2012−233723A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100773(P2011−100773)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000153018)株式会社日本マイクロニクス (349)
【Fターム(参考)】