説明

プール薬剤タブレット

本願の一つの側面は伸長円筒状側面(40,130)と、伸長平側面(30)または伸長凹面カット形状側面(140)を含む形状の固体薬剤タブレット(11)に関する。本願のもう一つの側面は水和した次亜塩素酸カルシウムと硫酸マグネシウム七水和物の混合物を含む固体薬剤タブレット(11)に関する。本発明はさらに固体次亜塩素酸カルシウムと一またはそれ以上の固体アルカリ金属リン酸塩の混合物を含む固体薬剤タブレット(11)に関する(図面、図3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定形状のプール薬剤タブレットに関する。さらに詳しくは、本発明は簡単に識別でき、かつ、大量の水中への着実な薬品の溶解を提供する薬剤タブレットに関する。
【背景技術】
【0002】
水の浄化は毎日の生活にとって重要である。飲料水、浴用水、水泳用水は細菌、真菌、その他の汚染物質が不健康な濃度レベルになるのを防止するために適切に浄化する必要がある。浴用水や水泳用水を浄化する典型的な方法は、望ましい浄化薬剤物質を含むタブレット、ブリケット、または溶液を水に溶解させることを用いる。
【0003】
浄化薬剤を用いる、水泳用プールのような大量の水の処理における共通の課題は大量の水の中に洗浄薬剤を均一に分布させる調剤品を提供することであった。当該技術分野での試みは、結局、周囲の水中への浄化薬剤を計量するための手段を有する、ブリケット、円形状、円筒状や楕円状のブロックのようなさまざまな形状の圧縮タブレットの使用することに落ち着いている。
【0004】
当該分野での付加的な関心事には人間や動物が大量の高濃度のプール薬剤に曝露したときの安全性が含まれている。それゆえに、プール薬剤タブレットは好ましくは、薬剤の多量の水中への均一な制御された分散を可能にするように形成される。タブレットが創られる時は、薬剤の分散のより優れた制御が常に求められる。
【0005】
当該技術分野では、消費者が異なるプール薬剤を他の薬剤から識別できるようにすることに対するさらなる必要性もある。薬剤の使用には、ある種の薬剤を含む家庭用品であっても、何らかの注意を要することが知られている。好ましくない反応を避けるため、あるタイプのプール薬剤タブレットを他のものから視覚的に識別できることは消費者にとって有用だろう。プール薬剤タブレットの形状が異なっていることは、視覚的な識別の一つの選択肢である。
【0006】
Casbergに付与された米国特許第4876003号は薬剤を均一にそして、十分に長い時間かけて溶解することを可能とする水浄化薬剤のパッケージに関する。この特許には、斜めにそして内部に先細りした二つの相対する両端に連結した細長い中央部分を有し、同じ配置のタブレットシェルによって包まれているが、両端に開口を有する、ハロゲン化合物を含有する細長い錠剤が記載されている。そのシェルの開口は薬剤が通過して大量の水の中に溶解することを可能にする。
【0007】
同様に、Casbergに付与された米国特許第4928813号は大量の水の中に塩素薬剤を溶解するのに使用するためのカプセルとそのカプセルの製造方法に関する。この特許はタブレット部分とシェル手段を一般的に含むカプセルを開示している。タブレット部分は少なくとも一つのハロゲン薬剤化合物タブレットを含む。タブレット部分は二つの相対する両端の部分を伴う伸長中央部分を有している。シェル手段はタブレット部近傍にしっかりと取り付けられている。シェル手段はタブレット端部分に隣接した二つの端部分を有している。端部分のそれぞれはそれを通過する通孔とそれを通過する管手段又は流路を有する延長部分を有するタブレット壁を含む。これにより、水が延長部分と通孔を通過して、タブレット部に接近することで、シェル手段がハロゲン化合物の溶解速度を減少させる。このタブレットは他のタブレットよりも長時間持続し、比較的均等な速度で溶解するように設計されている。
【0008】
さらにCasbergに付与された米国特許第5137731号は密閉した周辺の水に不浸透な防壁を有するドーナッツ型のプール薬剤タブレット形状を開示している。タブレットサイズと穴の直径に関係して、その防壁は特定のサイズとし、望ましい大きさのとても均一な溶解速度を達成する。
【0009】
Casbergに付与された米国意匠特許第283649号及び同第625619号には水の利用者にとって危険を生じさせない、周囲の大量の水の中へのプール薬剤の均一な分散を提供する、当該技術分野で使用されるプール薬剤タブレットの異なった形状が示されている。
【0010】
上述した当技術分野における進歩にもかかわらず、必要とされているのは、他のタブレットから視覚的に区別できるように形作られ、かつ、周囲の大量の水の中へのプール薬剤の均一で安全な分散を提供しながら容易に取り扱いができるように形作られたプール薬剤タブレットである。理想的には、薬剤タブレットはろ過システムに簡単に詰まったり、引っかかったり、ろ過システムの他の組成物を妨げたりしないものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要約
それゆえに本発明の一つの側面は、第一伸長円筒状側面と、第二伸長平側面または凹面カット形状側面により連結している上部平面と下部平面を有する、プール薬剤において浄化剤として使用するための薬剤タブレットに関する。
【0012】
本発明の別の側面は第一伸長円筒状側面と、第二伸長平側面または凹面カット形状側面により連結している上部平面と下部平面を有する薬剤タブレットであって、薬剤タブレットが水和した次亜塩素酸カルシウムを含む薬剤タブレットに関する。
【0013】
さらに本発明の別の側面は第一伸長円筒状側面と、第二伸長平側面または凹面カット形状側面により連結している上部平面と下部平面を有する薬剤タブレットであって、薬剤タブレットが硫酸マグネシウム七水和物と水和した次亜塩素酸カルシウムの混合物を含み、その混合物は混合物の総重量に基づいて少なくとも約17重量%の水と、混合物の総重量に基づいて約0.1%から約10%の石灰と、少なくとも25重量%の硫酸マグネシウム七水和物と、約75重量%より少ない水和した次亜塩素酸カルシウムを含む、薬剤タブレットに関する。
【0014】
さらに本発明の別の側面は第一伸長円筒状側面と、第二伸長平側面または凹面カット形状側面により連結している上部平面と下部平面を有する薬剤タブレットであって、該薬剤タブレットが水和した次亜塩素酸カルシウムとアルカリ金属リン酸塩を含む薬剤タブレットに関する。
【0015】
本発明のさらなる側面は第一伸長円筒状側面と、第二伸長平側面または凹面カット形状側面により連結している上部平面と下部平面を有する薬剤タブレットであって、該薬剤タブレットが水和した次亜塩素酸カルシウムとスケール防止用固体アルカリ金属リン酸塩と残留物分散用固体アルカリ金属リン酸塩を含む薬剤タブレットに関する。
【0016】
本発明の利点には、浄化薬剤の均一な溶解、スケールの防止、及び残留物の分散が含まれる。本発明の他の利点は薬剤が浄化するプールの水の中への薬剤の分散が制御されている点である。その独特の形状によって本プール薬剤タブレットが簡単に認識されることは本発明のさらなる別の利点である。
【0017】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる「D形」という用語は、物品が大文字Dの形状をしていることを意味する。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる「月形」という用語は、物品が三日月の形状をしていること、即ち、その物品の1つの側面が凹面の形状を有することを意味する。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる「タブレット」という用語は、任意の形状又はサイズのタブレット、或いは本発明に必要な浄化用化学薬品から作られるその他の圧縮形状製品を網羅する。
【0020】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる「混合物」という用語は、本明細書に記載の材料の均一な又はほぼ均一な混合物をいう。
【0021】
本明細書及び特許請求の範囲で次亜塩素酸カルシウム製品に関連して使用される「水和した」という用語は、次亜塩素酸カルシウム製品の少なくとも5重量%の含水量を有する任意の次亜塩素酸カルシウム製品をいう。
【0022】
本発明で使用される「平均溶解速度」という用語は、特に断わらない限り、静止状態にある水の体積中への本発明のタブレット化された混合物の静的平均溶解速度を意味するのに使われる。
【0023】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる「着色剤」という用語は、本発明の化学タブレットに着色をほどこす任意の薬剤、顔料、染料、毛髪染料、またはその他の物質を言う。
【0024】
図1を参照すると、本発明のタブレットの一態様を表す薬剤タブレット11が示されている。図2〜図4にも表されている化学薬剤11は独特のD形構造を有している。
【0025】
図1〜図4は本発明の薬剤タブレット11の一態様を表している。薬剤タブレット11は上部平面10と下部平面20を有している。上部平面10は、第一伸長円筒状側面40と第二伸長平側面30により、下部平面20と連結されている。
【0026】
図4に示されているように第二伸長平側面30は二つの端32と32´を有している。端32と32´は薬剤タブレットの亀裂や破損の原因となる応力を最小化するだけでなく、タブレット11の特別な形状の形成を補助する。
【0027】
図1に示すように、上部平面10は上部傾斜端12と連結することができる。上部平面と上部傾斜端は上部内側端13に連結されている。上部傾斜端12は薬剤タブレットの上部平面の周囲に沿っている。図2に示すように、上部傾斜端の幅14は、上部外側端16から上部内側端13までを測定すると約0.25インチである。
【0028】
図2に見ることができるように、薬剤タブレットの下部平面20も下部傾斜端22に連結することができる。下部平面20は下部内側端23によって、下部傾斜端22に連結している。下部傾斜端22は薬剤タブレットの下部平面の周囲に沿っている。下部傾斜端の幅24は、下部外側端26から下部内側端23まで測定すると約0.25インチである。幅14と24は同じ大きさであるのが好ましい。
【0029】
好ましくは、図2に示すように、本発明の薬剤タブレットは上部平面に連結する上部傾斜端および下部平面に連結する下部傾斜端を有する。この特定形状はこの薬剤タブレットを水の浄化に使用される他の薬剤タブレットから区別するのを補助する。
【0030】
他の寸法が本発明の薬剤タブレットに適することがあるかもしれないが、好ましくは、薬剤タブレット11を所定の寸法に合わせ、100重量%の水和した次亜塩素酸カルシウムタブレットに対して150g/日未満の最適平均溶解速度を維持する。好ましくは、薬剤タブレット11は10.2立方インチの体積を持ち、好ましくは、その重さは約300gである。理想的には、薬剤タブレット11は25.1平方インチの表面積を持つ。フィーダーの最高供給速度での水に接触した薬剤タブレット11の表面積は13.5平方インチである。
2.0ガロン/分の最高流速でのこの接触面積は原液100%の水和した次亜塩素酸カルシウムタブレットに対して1日当たり有効塩素20ポンドという望ましい供給速度をもたらす。
【0031】
さらに、他の寸法が本発明の薬剤タブレットに適することがあるかもしれないが、図1及び図2に示すように、伸長円筒状側面40が、参照番号42によって示すように約3インチの直径を有して(完全に円筒形として)形成されることが好ましい。さらに、伸長円筒状側面40の頂点44と伸長平面30までの距離34は約2.37インチであることが好ましい。その上、上部平面10と下部平面20の距離18は約1.7インチであることが好ましい。
【0032】
薬剤タブレットの好ましい態様は、(全体が円筒形として)約3インチの直径の伸長円筒状側面、約2.37インチの伸長円筒状側面の頂点44と伸長表面30との距離、そして約1.7インチの上部平面10と下部平面20との距離18を有する。
【0033】
図5〜図7に示されるように、本発明の薬剤プールタブレットは代わりに月形にすることができる。すなわち、前の態様で見られた伸長表面の代わりに、伸長凹面カット形状側面を有している。この代替態様のプール薬剤タブレットは上部平面110と下部平面120を有している。上部平面110は、第一伸長円筒状側面130と第二伸長凹面カット形状側面140により、下部平面120と連結されている。この凹面カット形状側面140は、任意の凹面の曲率とすることができる。
【0034】
任意の曲率をこの伸長凹面カット形状側面に使用できる。その曲率は粒状材料を型に圧縮して作られ、タブレットの所望の形状を形成することができる。好ましくは、図5〜図7で示すように、凹面カット形状の曲率は1.5インチの半径で形成され、3インチの円形タブレットに切り込み、タブレットの反対側の側面から切断した凹みの最深部までの距離が2.24インチとなるようにする。この好ましい形状は最適表面積を提供する。
【0035】
図5に示すように、上部平面110は上部傾斜端112と連結することができる。上部平面と上部傾斜端は上部内側端113に連結されている。上部傾斜端112は薬剤タブレットの上部平面の周囲に沿っている。上部傾斜端の幅114は上部外側端116から上部内側端113まで測定すると、約0.25インチである。
【0036】
図6に見ることができるように、プールタブレットの下部平面120も下部傾斜端122に連結することができる。下部平面120は下部傾斜端122に下部内側端123によって連結している。下部傾斜端122はプールタブレットの下部平面の周囲に沿っている。下部傾斜端の幅124は下部外側端126から下部内側端123まで測定すると約0.25インチである。
【0037】
好ましくは、図6に示すように、薬剤タブレット111は上部傾斜端に連結する上部平面および下部傾斜端に連結する下部平面を有する。この特定の形状は水の浄化で使用される他の薬剤タブレットとこの薬剤タブレットを識別するのを補助する。
【0038】
他の寸法が薬剤タブレットのこの態様に適することがあるかもしれないが、好ましくは、薬剤タブレット111を特定の寸法に合わせ、100%の水和した次亜塩素酸カルシウムタブレットに対して150g/日未満の最適平均溶解速度を維持する。好ましくは、薬剤タブレット111は約300gの重量を有する。
【0039】
理想的には、薬剤タブレット111は少なくとも25.1平方インチの表面積を持つ。しかし、さらに好ましくは25.9平方インチの表面積を持つ。フィーダーの最高供給速度での水に接触した薬剤タブレット111の表面積は13.5平方インチである。2.0ガロン/分の最高流速でのこの接触面積は、100%の水和した次亜塩素酸カルシウムタブレットに対して1日当たり有効塩素20ポンドという望ましい供給速度をもたらす。
【0040】
さらに、他の寸法が薬剤タブレット111に適することがあるかもしれないが、図5、図6で示すように、伸長円筒状側面140は、参照番号142によって示されているとおり、(タブレットが完全に円筒形として)約3インチの直径を有するように形成することが好ましい。さらに、伸長側面130の頂点144と伸長凹面カット形状側面140上の一点146までの距離134は約2.24インチであることが好ましい。その上、上部平面110と下部平面120の距離118は約1.75インチであることが好ましい。
【0041】
本発明の薬剤タブレット11と111の一つの態様は、好ましくは、圧縮した粒子状の水和した次亜塩素酸カルシウムのみを含む。或いは、薬剤タブレット11は水和した次亜塩素酸以外にウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルーまたはフタロシアニングリーンのような着色剤を付加的に含むことができる。
【0042】
好ましくは、次亜塩素酸カルシウムは47%の塩素を浄化用途に利用することを可能にする量で存在する。この組成物は、好ましくは、少なくとも約25重量%の硫酸マグネシウム七水和物と、約75重量%よりも少ない水和した次亜塩素酸カルシウムを含む。さらに好ましくは、その組成物は約25%〜約40%の硫酸マグネシウム七水和物と、約60重量%〜約75重量%の水和した次亜塩素酸カルシウムを含む。この混合物中の水の量は混合物全量の少なくとも約17重量%、さらに好ましくは混合物の約18重量%〜約24重量%とすべきである。粒子状の硫酸マグネシウム七水和物は粒子状の水和した次亜塩素酸カルシウムに物理的に混合して本質的に均一な粒子状混合物を製造する。
【0043】
この態様は少量の他の物質を含むことができる。ひとつの好ましい物質は石灰(Ca(OH))であり、上記2成分の混合物の総量の約10重量%まで、好ましくは約0.1重量%から約10重量%まで、さらに好ましくは約0.5重量%から約3重量%まで、最も好ましくは約1重量%から約2重量%までの量で含有させることができる。
【0044】
薬剤タブレット11と111中の水の量はこれらのような薬剤製品中の水を測定するための任意の標準的な分析方法によって測定することができる。本発明者らの好む方法は熱重量分析法(TGA)である。
【0045】
さらに、上述の態様は着色剤も含むことができる。上述の態様に添加された着色剤は消費者がこの処方のものと、利用可能な他のものとを識別するのを補助するであろう。上記のように、異なる薬剤間での識別力は消費者の安全性にとって重要である。
【0046】
好ましい着色剤は、以下に限定されるわけではないが、ウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンを含む。好ましくは、着色剤の濃度は0.01%から0.5%の間である。理想的にはその濃度は0.05%である。
【0047】
本願のもう一つの態様はほぼ68%の塩素が浄化目的に利用されることを可能にする量で水和した次亜塩素酸カルシウムを含む。好ましくは、コネチカット州ノーウォークのアーチケミカルズ社から入手可能なHTH(登録商標)及びCCH(登録商標)の製品のような市販の次亜塩素酸カルシウム製品が、約65重量%から約75重量%の範囲の最小利用可能塩素濃度を有している。そのような市販の次亜塩素酸カルシウムの残りは、通常、水と無機カルシウムとアルカリ金属塩からなる。典型的には、存在する塩は塩化ナトリウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム等を含んでいる。
【0048】
さらに、この態様における水和した次亜塩素酸カルシウムはアルカリ金属リン酸塩とさらに組み合わせることができる。固体アルカリ金属リン酸塩のアルカリ金属は、リチウム、ナトリウムまたはカリウムとすることができる。好ましくはアルカリ金属リン酸塩のアルカリ金属はナトリウムである。本態様における好ましいアルカリ金属リン酸塩は三ポリリン酸ナトリウム(sodium tripolyphosphate,STPP)である。STPPは、このような次亜塩素酸カルシウムのタブレットを使用すると時々生じるスケール沈着の発生を防止するのに使われる。
【0049】
この態様における水和した次亜塩素酸カルシウム成分は好ましくはタブレットに存在する全成分の総重量の少なくとも約95%である。最も好ましくは水和した次亜塩素酸カルシウム構成成分はタブレットの成分の総重量の約98.5%から約99.5%である。アルカリ金属リン酸塩STPPは典型的には、この態様において、タブレットの成分の総重量に基づいて少なくとも0.1重量%であるが、4.5重量%を超えない量で存在する。より好ましくは、STPPはタブレットの成分の総重量に基づいて、約0.2重量%から1.0重量%の量で存在する。最も好ましくは、STPPはタブレットの成分の総重量に基づいて約0.5重量%の量で存在する。
【0050】
薬剤タブレットの上記態様は着色剤を含むこともできる。適切な着色剤の例はウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー、またはフタロシアニングリーンを含む。
【0051】
さらに別の態様では、上述した約68%の利用可能な塩素を有する水和した次亜塩素酸カルシウムは、STPPやヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)のような、二種またはそれ以上のアルカリ金属リン酸塩を組み合わせて混合することができる。SHMPは、残留物分散用アルカリ金属リン酸塩である。
【0052】
上述の態様と同様に、この態様における水和した次亜塩素酸カルシウム成分は好ましくはタブレット中に存在する全成分の総重量の少なくとも約95%である。最も好ましくは、水和した次亜塩素酸カルシウム成分はタブレットの成分の総重量の約98.5%から約99.5%である。
【0053】
それぞれのアルカリ金属リン酸塩は本態様のタブレットに存在する成分の総重量に基づいて少なくとも0.1重量%であるが、4.5重量%よりも低い量でこの態様において存在する。より好ましくは、それぞれのアルカリ金属リン酸塩は本態様のタブレットに存在する成分の総重量に基づいて少なくとも0.2重量%であるが、1.0重量%以下の量で存在する。最も好ましくはそれぞれのアルカリ金属リン酸塩は本態様のタブレットに存在する成分の総重量に基づいて0.5重量%以上または0.5重量%を超える量で存在する。
【0054】
この態様が水泳用プールや温水浴槽や温泉などの、供給装置が使用される水処理用途で使われる場合には、この態様の利点はスケール堆積物とフィルターの通路閉塞等の軽減を含む。
【0055】
同様に、上記に与えられた例のような着色剤は、水和した次亜塩素酸カルシウムと組み合わせて一種またはそれ以上のアルカリ金属リン酸塩を含むこの薬剤タブレットの態様に加えることができる。
【0056】
典型的には、水浄化に使用するための薬剤タブレットは、液圧プレスやブリケット装置のようなタブレット化装置の使用を含む、当該技術分野で知られた方法で形成される。液圧プレスの操作においては、任意の適当な滞留時間及び圧力を使用することができる。
【0057】
好ましくは、本発明の薬剤タブレットは水泳用プールのフィーダーやスキマーユニット内に置かれる。より好ましくは、その薬剤タブレットは「ウエーブ」技術の塩素処理装置内に置かれる。本発明の薬剤タブレットは温泉や温水浴槽の浄化にも使用することができる。
【0058】
本願の薬剤タブレット11と111は原液100%の水和した次亜塩素酸カルシウムに対して約150g/日よりも少ない平均溶解速度を持つ。言い換えれば、300gのタブレットが静止した(非流動の)多量の水中に完全に溶解するのに少なくとも2日間かかるであろう。好ましくは平均溶解速度は本発明のタブレットに対して一日あたり100gより少ない。本発明の薬剤タブレット11と111の平均溶解速度は水泳用のプールのスキマーやフィーダー内のように流水条件においては一般により高い溶解速度を有するであろうことを認識すべきである。
【0059】
以下の例によって、本発明をさらに詳細に説明する。特に断わらない限り、すべての部やパーセントは重量基準であり、すべての温度は摂氏である。
【実施例】
【0060】
例1
図1〜図4に記載されているような薬剤タブレット11は、液圧プレスやブリケット装置のような、当該技術分野で知られたタブレット化する方法の使用によって形成することができる。これらの図面に示されているようなD形タブレットは水の浄化で使用されるその他のタブレットやブリケットから容易に識別することができる。
【0061】
例2
図5〜図7に示されているような薬剤タブレット111は、液圧プレスやブリケット装置のような、当該技術分野で知られたタブレット化する方法の使用によって形成することができる。これらの図面によって示されているような月形タブレットは水の浄化で使用されるその他のタブレットやブリケットから容易に識別することができる
【0062】
本発明を具体的な態様を参照して上に説明してきたが、本明細書に開示された発明概念から逸脱することなく、多くの変更、修正、変化がなされ得ることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の精神や広義の範囲内に入る変更、修正、変化のようなすべてのものを包含することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明による伸長平側面を伴うプール薬剤タブレットの上面透視図である。
【図2】図1のプール薬剤タブレット側面透視図である。
【図3】本薬剤タブレットの円筒状側面を示す図1のプール薬剤タブレットの図である。
【図4】本薬剤タブレットの伸長平側面を示す図1のプール薬剤タブレットの図である。
【図5】本発明による伸長凹面カット形状側面を伴うプール薬剤タブレットの上面透視図である。
【図6】図5のプール薬剤タブレットの側面透視図である。
【図7】図7は薬剤タブレットの凹面カット形状側を示す図5のプール薬剤タブレットの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プール薬品において浄化剤として用いる薬剤タブレット(11)であって、
上部平面(10,110)と、
下部平面(20,120)と、を含み、
上記上部平面(10,110)と上記下部平面(20,120)が、第一伸長側面及び第二伸長側面によって接続されており、
上記第二伸長側面は伸長平側面(30)、または伸長凹面カット形状側面(140)である、
薬剤タブレット。
【請求項2】
以下の寸法の少なくとも一つを含む、請求項1に記載の薬剤タブレット:
第一伸長円筒状側面(40、130)の頂点(44)と上記伸長平側面(30)の距離が約2.37インチ、
上記上部平面(10、110)と上記下部平面(20,120)の距離が少なくとも約1.7インチ、及び
上記第一伸長円筒状側面(40,130)の頂点(44)と上記伸長凹面カット形状側面(140)の一点(146)との距離が約2.24インチ。
【請求項3】
薬剤タブレット(11)が水和した次亜塩素酸カルシウムと硫酸マグネシウム七水和物の混合物を含み、上記混合物は上記混合物の総重量に基づいて少なくとも約17重量%の水と、上記混合物の総重量に基づいて約0.1%から約10%の石灰と、少なくとも25重量%の硫酸マグネシウム七水和物と、約75重量%より少ない水和した次亜塩素酸カルシウムを含む、
請求項1に記載の薬剤タブレット(11)。
【請求項4】
薬剤タブレット(11)が少なくとも一種の水和した次亜塩素酸カルシウムと、少なくとも一種のアルカリ金属リン酸塩を含み、
好ましくは、前記少なくとも一種のアルカリ金属リン酸塩は三ポリリン酸ナトリウムを含み、
より好ましくは、前記三ポリリン酸ナトリウムは薬剤タブレット(11)の総重量に基づいて約0.1重量%〜約4.5重量%の量で存在する、
請求項1に記載の薬剤タブレット(11)。
【請求項5】
水和した次亜塩素酸カルシウム、
スケール防止用固体アルカリ金属リン酸塩であって、好ましくは、前記スケール防止用固体アルカリ金属リン酸塩は上記タブレットの総重量に基づいて約0.1重量%から約4.5重量%の量で存在し、より好ましくは、前記スケール防止用固体アルカリ金属リン酸塩は三ポリリン酸ナトリウムを含む、スケール防止用固体アルカリ金属リン酸塩、及び
残留物分散用固体アルカリ金属リン酸塩であって、好ましくは、前記残留物分散用固体アルカリ金属リン酸塩は上記タブレットの総重量に基づいて0.1重量%から約4.5重量%存在し、より好ましくは、前記残留物分散用固体アルカリ金属リン酸塩がヘキサメタリン酸ナトリウムを含む、残留物分散用固体アルカリ金属リン酸塩、
の混合物を含む、請求項1に記載の薬剤タブレット(11)。
【請求項6】
着色剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の薬剤タブレット(11)。
【請求項7】
前記着色剤がウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルーまたはフタロシアニングリーンである、請求項6に記載の薬剤タブレット(11)。
【請求項8】
一日あたり約150gより少ない速度で溶解する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の薬剤タブレット(11)。
【請求項9】
上記上部平面(10,110)と上記下部平面(20,120)の少なくとも一つが、上部傾斜端(12,112)と下部傾斜端(22,122)の一つに連結している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の薬剤タブレット(11)。
【請求項10】
上記薬剤タブレット(11)の上記上部傾斜端(12,112)と上部外側端(16,116)との距離、及び上記薬剤タブレット(11)の上記下部傾斜端(22,122)と下部外側端(26,126)との距離が約0.25インチである、請求項9に記載の薬剤タブレット(11)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−517056(P2008−517056A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537895(P2007−537895)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/033307
【国際公開番号】WO2006/044086
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(500000175)アーチ ケミカルズ,インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】