説明

ヘアドレッシング中に適用されるカチオン性ポリウレタンとシリコーンを含有する化粧品用組成物

【課題】少なくとも一のカチオン性ポリウレタンと、少なくとも一の特定のシリコーンを組合せて含有する新規化粧品用組成物、特にヘアスタイリング用組成物の提供。
【解決手段】化粧品的に許容可能な水性媒体中に、(i)オレフィン性ホモポリマー又はコポリマーから誘導される少なくとも一の非イオン性単位を有する少なくとも一のカチオン性ポリウレタンと、(ii)ポリジアルキルシロキサン類及びポリ(オキシアルキレン)、アミン及びアルコキシ基から選択される少なくとも一の官能基を有する有機変性ポリシロキサン類から選択される少なくとも一のシリコーン、を含有してなる化粧品用組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、少なくとも一のオレフィン性ホモポリマー又はコポリマーから誘導される非イオン性単位を有する少なくとも一のカチオン性ポリウレタンと、少なくとも一の特定のシリコーンを組合せて含有する新規化粧品用組成物、特にヘアスタイリング用組成物に関する。
【0002】
化粧品用組成物、特にヘアスタイリング用組成物中に弾性的なカチオン性ポリウレタン類を使用することが知られている。
例えば、仏国特許出願第2815350号には、弾性型カチオン性ポリウレタンと、通常の固定用ポリマーを用いて得られるものと比較してより自然な形で毛髪の柔軟性を高める、すなわちヘアスタイルを弾性的に保持することを可能にするヘアスプレー及びヘアスタイリング用組成物を処方するためのその使用が記載されている。
仏国特許出願第2833960号には、自己付着性のカチオン性又は両性ポリウレタンを含有する化粧品用スタイリング用組成物、より詳細にはすすがれるヘアスタイリング用組成物、特にスタイリングシャンプーが記載されている。このような組成物は添加剤としてシリコーンをさらに含有していてもよい。
【0003】
本出願人は、ヘアスタイリング用組成物中に、オレフィン性ホモポリマー及び/又はコポリマーから誘導される単位を有する弾性型カチオン性ポリウレタンを使用することにより、経時的に優れた保持力が得られるが、化粧品的には乏しい特性に至り、またシャンプーでの除去が困難になることを見出した。
驚くべきことに、本出願人は、オレフィン性ホモポリマー及び/又はコポリマーから誘導される単位を有するこれらのカチオン性ポリウレタン類と、ある種のシリコーンとを組合せることにより、良好な化粧品特性を有し、毛髪の固定及び経時的にその状態に維持する能力に影響を及ぼすことなく、シャンプーで容易に除去可能であるヘアスタイリング用化粧品組成物を調製可能であることを見出した。
【0004】
よって、化粧品的に許容可能な媒体中に、オレフィン性ホモポリマー及び/又はコポリマーから誘導される少なくとも一の単位を有する少なくとも一のカチオン性ポリウレタンと、少なくとも一の特定のシリコーンを含有してなる化粧品用組成物、特にヘアスタイリング用組成物を提供することが本発明の目的である。
また、ガス状噴霧剤をさらに含有し、エアゾールの形態にされたこのような組成物を提供することが本発明の目的である。
このような組成物を毛髪に適用し、ついで毛髪をスタイリングし、乾燥させることを含むヘアスタイリング方法を提供することが本発明の更なる目的である。
【0005】
本発明によれば、化粧品用組成物は、化粧品的に許容可能な水性媒体中に、
(i)オレフィン性ホモポリマー及び/又はコポリマーから誘導される少なくとも一の非イオン性単位を有する少なくとも一のカチオン性ポリウレタンと、
(ii)ポリジアルキルシロキサン類と、ポリ(オキシアルキレン)、アミノ及びアルコキシ基から選択される少なくとも一の官能基を有する有機変性ポリシロキサン類から選択される少なくとも一のシリコーン、
を含有してなる。
【0006】
オレフィン性ホモポリマー又はコポリマーから誘導される少なくとも一の非イオン性単位を有する弾性型のカチオン性ポリウレタンは、本発明の組成物の第1の最も必須の成分である。
本発明で適切に使用される好ましいカチオン性ポリウレタン類は、
(a)少なくとも二つの不安定水素を含有する反応性官能基を有する少なくとも一の化合物、好ましくは第3級又は第4級アミンから誘導されるカチオン性単位、
(b)不安定水素を含む反応性官能基をその末端に有する非イオン性ポリマーから誘導される非イオン性単位で、少なくとも一の(b)単位、好ましくは少なくとも50重量%の(b)単位、より好ましくは全ての(b)単位が、不安定水素を含む反応性官能基をその末端に担持するオレフィン性ホモポリマー又はコポリマーから誘導される一又は複数の(b1)単位(類)であるもの、及び
(c)少なくとも一のジイソシアネートから誘導される単位、
を有する。
【0007】
ここで使用される場合、「カチオン性単位」とは、それ自身の化学的性質、又はそれが囲まれている環境及び/又はpH値により、カチオン性形態になる任意の単位を意味することを意図している。
ここで使用される場合、「不安定水素を含む反応性官能基」とは、水素原子の逸脱後、(c)単位を形成する化合物のイソシアネート官能基と共有結合を形成可能な官能基を意味する。このような官能基の適切な例には、ヒドロキシル、第1級アミン(-NH)又は第2級アミン(-NHR)、又はチオール(-SH)基が含まれる。
【0008】
ジイソシアネート類とこれらの不安定水素を含む反応性官能基を担持する化合物の重縮合は、不安定水素を含む反応性官能基(-OH、-NH、-NHR又は-SH)の種類に応じて、それぞれポリウレタン、ポリ尿素又はポリチオウレタンになる。より便宜的には、これら全てのポリマーは、本願ではポリウレタンクラスに含まれる。本発明のポリマーは、好ましくは真正のポリウレタン類である。
【0009】
(a)単位を形成する第3級又は第4級アミン類が二より多い不安定水素を含む官能基を担持している場合、得られるポリウレタン類は分枝状構造を有する。
【0010】
本発明のポリウレタンの好ましい実施態様では、カチオン性(a)単位を形成する第3級又は第4級アミン類は、二つの不安定水素を含む反応性官能基のみを有しており、従って、重縮合により得られるポリウレタン類は、実質的に直鎖状構造を有する。
もちろん、二を超える不安定水素を含む反応性官能基を担持するアミン類を少量含有する二官能性アミン類からなる混合物を使用することもできる。
【0011】
カチオン性(a)単位を形成する第3級又は第4級アミン類は、好ましくは次の式:
【化1】

[上式中、
各Rは独立して、直鎖状又は分枝状のC-アルキレン、C-シクロアルキレン、又はアリーレン基を表し、それらの全ては、一又は複数のハロゲン原子(類)で置換されていてもよく、O、N、P及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子(類)を含んでいてもよく、
各Rは独立して、C-アルキル基、C-シクロアルキル又アリール基を表し、それらの全ては、一又は複数のハロゲン原子(類)で置換されていてもよく、O、N、P及びSから選択される一又は複数のヘテロ原子(類)を含んでいてもよく、
各Xは独立して、酸素又は硫黄原子、又はNH又はNR基を表し、ここでRはC-アルキル基を表し、
は生理学的に許容可能な対イオンを表す]
の一つに相当する化合物から選択される。
【0012】
N-メチルジエタノールアミン及びN-tert-ブチルジエタノールアミンが、前記カチオン性ポリウレタン類を生成させるのに特に好ましい第3級アミン類である。
また、本発明のポリウレタン類のカチオン性(a)単位を形成する第3級及び第4級アミン類は、不安定水素を含む反応性官能基をそれらの末端に担持している第3級及び/又は第4級アミン官能基含有ポリマーでありうる。このような第3級及び/又は第4級アミン官能基含有ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは400〜10000である。
このようなアミン官能基含有ポリマーの適切な例としては、N-メチルジエタノールアミンとアジピン酸との重縮合により得られるポリエステルを挙げることができる。
カチオン性(a)単位を形成するアミン類が、第3級アミン官能化合物である場合、これらのアミン官能基の全て又は一部は、生理学的に許容可能な有機又は無機酸から選択される適切な中和剤で中和されなくてはならない。好ましい酸の例としては、塩酸又は酢酸を挙げることができる。
【0013】
本発明の好ましいポリウレタン類を形成する第2のタイプの単位は、示差エンタルピー分析により測定して、好ましくは10℃未満のガラス転移温度(Tg)を有し、不安定水素を含む反応性官能基をそれらの末端に担持する非イオン性ポリマーから誘導され、(b)単位と称される高分子単位を含む。
本発明によれば、これら(b1)単位の少なくとも一は、オレフィン性ホモポリマー又はコポリマーから誘導される。
【0014】
ポリウレタンの粘弾性は、(b)単位が0℃未満、さらにより好ましくは−10℃未満のガラス転移温度を有するポリマーから誘導される場合に、特に有利である。
これらのポリマーは、好ましくは400〜10000、より詳細には1000〜5000の重量平均分子量を有する。
【0015】
オレフィン性ホモポリマー及びコポリマーから誘導される(b1)非イオン性単位とは異なる(b2)非イオン性単位を形成可能な非イオン性ポリマーは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリカーボネート、及びフッ化ポリマーから選択されうる。
好ましくは、前記(b)非イオン性単位を形成可能なポリマーは、オレフィン性ホモポリマー及びコポリマーから選択されるのみである。
【0016】
本発明において適切に使用され、それらの末端に不安定水素を含む反応性官能基を有するオレフィン性ポリマーには、エチレン、プロピレン、1-ブチレン、2-ブチレン、イソブチレン、1,2-ブタジエン、1,4-ブタジエン及びイソプレンのランダム又はブロックホモポリマー及びコポリマーが含まれる。
ブタジエン及びイソプレンのホモポリマー及びコポリマーは、部分的又は全体的に水素化されていてもよい。
【0017】
好ましいポリマーは、エチレン及びブチレンのコポリマー、ポリブタジエン及び不安定水素を含む反応性官能基、特にヒドロキシル基をそれらの末端に担持している水素化ポリブタジエンである。さらにより好ましくは、これらのポリマーは1,2-及び/又は1,4-ポリブタジエン類である。
このようなポリマーは、例えばクレイトン(KRATON)ポリマー社からクレイトン(登録商標)L、特にクレイトン(登録商標)L2203(水素化ポリブタジエンジオール)、サートマー社(SARTOMER)からKRASOL LBH(登録商標)及びLBHP(登録商標)、特にKRASOL LBHP(登録商標)2000(ポリブタジエンジオール)、及びニッソー・ケミカル社(NISSO CHEMICAL)からGI(登録商標)3000(エチレンとブチレンのコポリマー)の名称で、商業的に市販されている。
【0018】
(c)単位を形成するジイソシアネート類には、脂肪族、脂環式又は芳香族のジイソシアネート類が含まれる。
好ましいジイソシアネート類は、ジイソシアン酸メチレンジフェニル、ジイソシアン酸メチレンシクロヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸ナフタレン、ジイソシアン酸ブタン、及びジイソシアン酸ヘキシルから選択される。もちろん、これらジイソシアネート類は、単独で、又は二又はそれ以上のジイソシアネートの混合物として使用されうる。より好ましくは、前記ジイソシアネートはジイソシアン酸イソホロンである。
【0019】
先に記載したように、本発明のカチオン性ポリウレタン類は、(a)、(b1)及び(c)単位に加えて、(b1)単位に至らしめる化合物とは異なる、少なくとも二つの不安定水素官能基を有する一般にはモノマーの非イオン性化合物である化合物から誘導される(b2)単位を所定量含んでいてもよい。
これらの(b2)単位は、一般にはC-C12ジオール類、例えばネオペンチルグリコール、ヘキサエチレングリコール、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、及び1,3-プロパンジオール、又はC-Cアミノアルコール類、例えばアミノエタノールから誘導される。
【0020】
本発明のカチオン性ポリウレタン類は、好ましくは弾性がある。
本発明の特定の実施態様では、前記カチオン性ポリウレタンは、(a)、(b)及び(c)単位の他に、任意のさらなる単位を含まない。実施例に記載されているポリウレタン(A)は、このような定義に相当するポリウレタンである。
別の実施態様では、カチオン性ポリウレタンは、(a)、(b)及び(c)単位の他に、さらなる単位を含んでいる。実施例に記載されているポリウレタン(B)は、このような定義に相当するポリウレタンである。
【0021】
上述したカチオン性ポリウレタンの粘弾性を特徴付ける物理パラメータは、その引張回復(復元)である。この回復は、予め定めた伸長度合いまで試料を迅速に引き伸ばし、ついで応力を解き、最後に試料長さを測定することからなる引張クリープ試験により測定される。
本発明の弾性特性を持つカチオン性ポリウレタンを特徴付けるために使用されるクリープ試験は、次のようにして実施される:
使用される試料は、80mm×15mmの細片に切断された500±50mm厚のポリウレタン皮膜である。このコポリマー皮膜は、水及び/又はエタノールに3重量%の該ポリウレタンを入れた溶液又は分散液を、22±2℃の温度、50±5%の相対湿度で乾燥させることにより得られる。
各細片を、互いに50±1mm離間した2つの顎部の間に固定し、20mm/分の速度(上述の温度及び相対湿度条件下)で、50%(εmax)の伸びになるまで、すなわち最初の長さの1.5倍に相当するサイズの細片が得られるまで引き伸ばす。ついで、20mm/分である引張速度と等しい復帰速度をかけることにより、応力を解き、ゼロ負荷(ε)に戻った直後に、試料の伸び(最初の長さに対する%で表す)を測定する。
【0022】
瞬間回復(R)は次の式:
(%)=((εmax−εmax)×100
を使用して算出する。
本発明の弾性カチオン性ポリウレタン類は、上述の条件下で測定して、5%〜95%、特に20%〜90%、最も好ましくは35〜85%の瞬間回復(R)を有することが好ましい。
【0023】
(b)単位を形成する非イオン性ポリマー及び本発明のカチオン性ポリウレタン類のガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418-97規格に従い、示差エンタルピー分析(DSC、示差走査熱量測定)により測定される。
本発明の弾性カチオン性ポリウレタンは、好ましくは少なくとも二つのガラス転移温度を有し、少なくとも一方は10℃未満、好ましくは0℃未満、より好ましくは−10℃未満であり、他方は少なくとも室温(20℃)以上である。
【0024】
本発明のポリウレタン類の瞬間回復、よって粘弾性は、種々の(a)、(b1)、(b2)及び(c)モノマー単位の含有量に依存する。
(a)単位の含有量は、好ましくは、ケラチン基質との良好な親和性の原因である正の電荷をポリマーに付与するのに十分でなければならない。(b)単位は、好ましくは、ポリウレタン類が10℃未満の少なくとも一のガラス転移温度を有し、脆弱な皮膜が形成されないようにするのに十分な重量含有量でなくてはならない。
【0025】
より好ましくは、ポリウレタン単位の全重量に対して、(a)単位は、0.1〜90重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは5〜25重量、最も好ましくは5〜10重量%、(b1)単位は、10〜99.9重量%、好ましくは20〜99重量%、より好ましくは30〜85重量%、(b2)単位は0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%である。さらに好ましくは、本発明のポリウレタン類は(b2)単位を何ら含有しない。
(c)単位は、ポリウレタン単位の全重量に対して、好ましくは1〜60%、より好ましくは5〜50%、最も好ましくは10〜40%である。
【0026】
(c)単位は、(a)及び(b)単位の合計と比較して実質的に化学量論量で存在する。高分子量を有するポリウレタン類を得るには、不安定水素官能基の数とほぼ等しいイソシアネート官能基数が必要とされる。当業者であれば、分子量を予想値に調節するために、任意のモル過剰の一方の官能基又は他のものを選択するであろう。
【0027】
もちろん、本発明の化粧品用組成物中に存在しているポリウレタンの量は、組成物の種類及び必要とされる特性に依存し、非常に広範囲内で変化し、最終的な化粧品用組成物に対して、一般には0.01〜40重量%、好ましくは0.05〜20重量%、最も好ましくは0.1〜10重量%の範囲で変化し得る。
【0028】
本発明の組成物の第2の主要成分は、ポリジアルキルシロキサン類、好ましくはポリジメチルシロキサン類(PDMS)と、ポリ(オキシアルキレン)、アミノ-及びアルコキシ基から選択される少なくとも一の官能基を有する有機変性ポリシロキサン類とから選択されるシリコーンである。
【0029】
本発明の化粧品用組成物において、添加剤として使用されるシリコーン類は、有機基で変性されているか又は未変性であり、25℃で5×10−6〜2.5m/s、好ましくは1×10−5〜1m/sの範囲の粘度を有する揮発性又は非揮発性で、環状、直鎖状又は分枝状のシリコーン類である。
本発明で使用されるシリコーン類は、組成物に可溶性であっても不溶性であってもよく、特に本発明の組成物に不溶性のポリオルガノシロキサン類であってもよい。それらは、油、ロウ、樹脂又はガムの形態で存在し得る。
【0030】
オルガノポリシロキサン類は、ウォルター・ノール(Walter NOLL)の「シリコーンの化学と技術(Chemistry and Technology of Silicones)」(1968)、アカデミー・プレス版において、より詳細に記載されている。それらは揮発性又は非揮発性であってもよい。
揮発性である場合は、シリコーン類は、特に60℃〜260℃の範囲の沸点を有するもの、特に次のものから選択される:
【0031】
(i) 3〜7、好ましくは4又は5のケイ素原子を有する環状ポリジアルキルシロキサン類。それらの適切な例には、特にローディア社(RHODIA)から「シルビオン(SILBIONE)(登録商標)70045V2」、又はユニオン・カーバイド社(UNION CARBIDE)から「揮発性シリコーン(登録商標)7207」の商品名で市販されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、ローディア社から「シルビオン(登録商標)70045V5」、ユニオン・カーバイド社から「揮発性シリコーン(登録商標)7158」の商品名で市販されているデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにそれらの混合物が含まれる。
【0032】
また、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型のシクロコポリマー、例えば次の式:
【化2】

を有し、ユニオン・カーバイド社から市販されている「揮発性シリコーン(登録商標)FZ3109」等を挙げることもできる。
さらに、ケイ素から誘導された有機化合物と環状ポリジアルキルシロキサン類の混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリトリトールの混合物(50:50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-(ヘキサ-2,2,2',2',3,3'-トリメチルシリルオキシ)ビス-ネオペンタンの混合物を挙げることもできる。
【0033】
(ii) 2〜9のケイ素原子を有し、粘度が25℃で5×10−6/s以下である直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン類、例えば特に、東レシリコーン社(TORAY SILICONE)から「SH200」の商品名で市販されているデカメチルテトラシロキサン。また、このクラスに属するシリコーン類は、コスメティクス・アンド・トイレタリーズ(Cosmetics and Toiletries)の第91巻、1月、76、27-32頁、トッド・アンド・バイヤー(TODD & BYERS)の「化粧品用の揮発性シリコーン流体(Volatile Silicone fluids for cosmetics)」において刊行されている論文に記載されている。
【0034】
非揮発性ポリジアルキルシロキサン類、好ましくはポリジアリールシロキサン類及びポリアルキルアリールシロキサン類、ガム類及びポリジアルキルシロキサン樹脂、有機官能基で変性したポリオルガノシロキサン類、並びにそれらの混合物が使用される。
前記ポリアルキルシロキサン類は、好ましくは(C-C)ポリジアルキルシロキサン類、より好ましくは(C-C)ポリジアルキルシロキサン類である。
これらのシリコーン類は、より詳細には、ポリジアルキルシロキサン類から選択され、中でも、トリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサン類を特に挙げることができる。シリコーンの粘度は、ASTM445規格アペンディクスCに従い25℃で測定される。
【0035】
これらのポリジアルキルシロキサン類には、非限定例として次の市販品:
− ローディア社から市販されているミラシル(MIRASIL)(登録商標)油、又は47及び70047系列のシルビオン(登録商標)油、例えば流体70047V500000;
− ローディア社から市販されているミラシル(登録商標)系列の油;
− ダウ・コーニング社(DOW CORNING)の200系列の油、例えば特にDC200(粘度:60000mm/s);
− ゼネラル・エレクトリック社(GENERAL ELECTRIC)のビスカシル(VISCASIL)(登録商標)油、及びゼネラル・エレクトリック社のSF(SF96、SF18)系列のいくつかの油;
が含まれる。
【0036】
また、ジメチコノールなる名称(CTFA)で公知の、ジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサン類、例えばローディア社の48系列の油を挙げることもできる。
このポリジアルキルシロキサンのクラスには、(C-C20)ポリジアルキルシロキサン類であり、ゴールドシュミット社(GOLDSCHMIDT)から「アビルワックス(ABIL WAX)(登録商標)9800及び9801」の商品名で市販されている製品も含まれる。
【0037】
本発明で適切に使用されるシリコーンガムは、特に、溶媒中において単独で又は組合せて使用され、200000〜1000000を含む高い数平均分子量を有するポリジアルキルシロキサン類、好ましくはポリジメチルシロキサン類である。この溶媒は、揮発性シリコーン類、ポリジメチルシロキサン(PDMS)油、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、塩化メチレン、ペンタン、ドデカン、トリデカン、又はそれらの混合物から選択され得る。
【0038】
本発明において特に使用される製品は、次の混合物である:
− ジメチコノール(CTFA)と称される鎖末端がヒドロキシル化したポリジメチルシロキサンと、シクロメチコーン(CTFA)と称される環状ポリジメチルシロキサンから形成される混合物、例えばダウ・コーニング社から市販されている製品Q2・1401;
− 環状シリコーンとポリジメチルシロキサンガムから形成される混合物、例えば、ゼネラル・エレクトリック社のSF1214シリコーン・フルイド;この製品は、デカメチルシクロペンタシロキサンに相当するSF1202シリコーン・フルイドに溶解した、数平均分子量500000を有する、ジメチコーンに相当するSF30ガムである;
− 異なる粘度の2つのPDMS、より詳細には、PDMSガムとPDMS油の混合物、例えばゼネラル・エレクトリック社の製品SF1236。SF1236は、20m/sの粘度を有する上述したSE30ガムと、5×10−6/sの粘度を有するSF96油の混合物である。このような製品は、好ましくは15%のSE30ガムと85%のSF96油を含有する。
【0039】
本発明で使用されるオルガノポリシロキサン樹脂は、Rが1〜16の炭素原子を有するアルキル基を示す、次の単位:
SiO2/2、RSiO1/2、RSiO3/2及びSiO4/2
を含有する架橋シロキサン系である。これらの生成物の中で特に好ましいものは、Rが低級C-Cアルキル基、特にメチル基を示すものである。
【0040】
またこれらの樹脂には、ジメチル/トリメチルシロキサン構造のシリコーン類であり、ゼネラル・エレクトリック社から「シリコーン・フルイドSS4230及びSS4267」の商品名で市販されている製品、又は「ダウ・コーニング593」の商品名で市販されている製品が含まれる。
また、特に信越からX22-4914、X21-5034及びX21-5037の商品名で市販されているトリメチルシロキシシリケート型樹脂を挙げることもできる。
【0041】
ポリジアリールシロキサン類はポリジフェニルシロキサン類であってよい。ポリアルキルアリールシロキサン類は、特に、25℃で1×10−5〜5×10−2/sの範囲の粘度を有する、直鎖状及び/又は分枝状のポリジメチル/メチルフェニルシロキサン類、ポリジメチル/ジフェニルシロキサン類から選択される。
このようなポリアルキルアリールシロキサン類の適切な例には、次の商品名で市販されている製品:
・ローディア社の70641系列のシルビオン(登録商標)油;
・ローディア社のロードルシル(RHODORSIL)(登録商標)70633及び763系列の油;
・ダウ・コーニング社のダウ・コーニング556コスメティック・グレード・フルイド(COSMETIC GRADE FLUID);
・バイエル社(BAYER)のPKシリーズのシリコーン類、例えば製品PK20;
・バイエル社のPN、PHシリーズのシリコーン類、例えば製品PN1000及びPH1000;
・ゼネラル・エレクトリック社のSFシリーズのある種の油、例えばSF1023、SF1154、SF1250、SF1265;
が含まれる。
【0042】
本発明で適切に使用される有機修飾シリコーン類は、その構造中に、炭化水素基により結合した一又は複数の有機官能基(群)を有する上述したようなシリコーン類である。
本発明で適切に使用される有機修飾シリコーン類には次のものが含まれる:
− C-C24アルキル基を有していてもよい、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばダウ・コーニング社からQ2・5200の商品名で市販されている(C12)アルキルメチコーンコポリオール、ユニオン・カーバイド社からシルウェット(SILWET)(登録商標)L722、L7500、L77、L711油の商品名で、又はダウ・コーニング社からDC1248の商品名で市販されている、ジメチコーンコポリオールと称される製品;
− 置換又は未置換のアミン基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばジェネシー社(GENESEE)からGP7100及びGP4シリコーン・フルイドの商品名で市販されている製品、又はダウ・コーニング社からQ2・8220及びダウ・コーニング929又は939の商品名で市販されている製品。置換されたアミン基は、特にC-Cアミノアルキル基である。このようなアミノシリコーン類は、アルコキシ基、特にメトキシ基を担持していてもよく、例えばワッカー社(WACKER)から市販されているベルシル(BELSIL)ADMLOG1シリコーンである:
− アルコキシル基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばSWSシリコーン社から「シリコーン・コポリマーF-755」の商品名で、またゴールドシュミット社からアビルワックス(ABIL WAX)(登録商標)2428、2434及び2440の商品名で市販されている製品。
【0043】
上述したようなシリコーン類は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%の量で、単独で又は組合せて使用されてよい。
【0044】
化粧品的に許容可能な水性媒体は、化粧品の分野で一般的に使用されている種々の添加剤及び溶媒、例えば界面活性剤、ゲル化剤及び/又は増粘剤、有機溶媒、香料、鉱物性、植物性及び/又は合成の油又はロウ、脂肪酸エステル、顔料及び染料、無機又は有機粒子、pH安定剤、防腐剤、及びUV吸収剤を含有していてもよい。
【0045】
本発明の組成物に使用される界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性又はカチオン性界面活性剤、又はそれらの混合物であってよい。
本発明において、単独で又は組合せて使用される適切なアニオン性界面活性剤には、次の化合物:アルキルスルファート類、アルキルエーテルスルファート類、アルキルアミドエーテルスルファート類、アルキルアリールポリエーテルスルファート類、モノグリセリドスルファート類;アルキルスルホナート類、アルキルアミドスルホナート類、アルキルアリールスルホナート類、α-オレフィン-スルホナート類、パラフィンスルホナート類;アルキルスルホスクシナート類、アルキルエーテルスルホスクシナート類、アルキルアミドスルホスクシナート類;アルキルスルホアセタート類;アシルサルコシナート類;及びアシルグルタマート類の塩、特にアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩、又はアルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩で、これら全ての化合物のアルキル又はアシル基が、6〜24の炭素原子を有し、アリール基が、好ましくはフェニル又はベンジル基に相当するものが含まれる。
【0046】
カルボン酸ポリグリコシド及びC-C24アルキルエステル、例えばアルキルグルコシドシタラート類、アルキルポリグリコシドタータラート類及びアルキルポリグリコシドスルホスクシナート類;並びにアルキルスルホスクシナマート類、アシルイセチオナート類及びN-アシルタウラート類で、これら全ての化合物のアルキル又はアシル基が12〜20の炭素原子を有しているものを、本発明において使用してもよい。適切に使用されるさらなるアニオン性界面活性剤としては、アシル基が8〜20の炭素原子を有するアシルラクチラート類を挙げることができる。
さらに、アルキル-D-ガラクトシドウロン酸及びそれらの塩、並びにポリオキシアルキレン(C-C24)アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン(C-C24)アルキル(C-C24)アリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン(C-C24)アルキルアミドエーテルカルボン酸及びそれらの塩、特に2〜50のエチレンオキシド基を有するもの、及びそれらの混合物を挙げることもできる。
【0047】
上述したアニオン性界面活性剤の中でも、本発明においては、(C-C24)アルキルスルファート類、(C-C24)アルキルエーテルスルファート類、(C-C24)アルキルエーテルカルボキシラート類、及びそれらの混合物、例えばラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、及びエーテル硫酸ラウリルマグネシウムの使用が好ましい。
【0048】
本発明で使用される非イオン性界面活性剤は、それ自体よく知られている化合物[これに関して、特に、「界面活性剤のハンドブック(Handbook of Surfactants)」、エム・アール・ポーター(M.R. Porter)、ブラッキー・アンド・サン社編(グラスゴー及びロンドン)、1991年、116-178頁を参照]である。それらは、例えば8〜18の炭素原子を含む脂肪鎖を有するポリエトキシル化、ポリプロポキシル化又はポリグリセロール化された脂肪酸、(C-C20)アルキルフェノール類、アルファ-ジオール類、アルコール類から特に選択され、ここでエチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数は、特に2〜50であってよく、グリセロール基の数は、特に2〜30であってよい。エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、脂肪アルコールにおけるエチレンオキシドとプロピレンオキシドの縮合生成物;好ましくは2〜30モルのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪アミド類;平均1〜5、特に1.5〜4のグリセロール基を有するポリグリセロール化脂肪アミド類;好ましくは2〜30モルのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪アミン類;2〜30モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化されたソルビタンの脂肪酸エステル;スクロースの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、(C-C24)アルキルポリグルコシド類、(C-C24)N-アルキルグルカミン誘導体、アミンオキシド類、例えば(C10-C14)-アルキルアミンオキシド又は(C10-C14)N-アシルアミノプロピルモルホリンオキシド;及びそれらの混合物を挙げることもできる。
上述した非イオン性界面活性剤の中でも、(C-C24)アルキルポリグルコシド類、特にデシルポリグルコシド類が好ましく使用される。
【0049】
本発明で適切に使用される両性界面活性剤は、脂肪族基が8〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の鎖であり、少なくとも一の水溶性のアニオン性基、例えばカルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスファート又はホスホナート基を有する、脂肪族の第2級又は第3級アミンの誘導体であってよく;さらに、(C-C20)アルキルベタイン類、スルホベタイン類、(C-C20)アルキル(C-C)アミドアルキルベタイン類又は(C-C20)アルキル(C-C)アミドアルキルスルホベタイン類;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0050】
アミン誘導体としては、それぞれ次の構造(1)及び(2):
-CONHCHCH-N(R)(R)(CHCOO) (1)
[上式中:
は、加水分解されたココナツ油中に存在するR-COOH酸から誘導されるアルキル基、ヘプチル、ノニル又はウンデシル基を示し、
はベータ-ヒドロキシエチル基を示し、
はカルボキシメチル基を示す];及び
-CONHCHCH-N(B)(C) (2)
[上式中:
Bは-CHCHOX'を示し、
Cはz=1又は2である-(CH)-Y'を示し、
X'は、-CHCH-COOH基又は水素原子を示し、
Y'は、-COOH又は-CH-CHOH-SOH基を示し、
は、加水分解されたココナツ油又はアマニ油中に存在するR2'-COOH酸のアルキル基、アルキル基、特にC17アルキル基、及びそのイソ形、不飽和のC17基を示す];
を有する、アンホカルボキシグリシナート及びアンホカルボキシプロピオナートの名称で、CTFA辞典、第3版、1982に分類され、米国特許第2528378号及び米国特許第2781354号に記載され、ミラノール(MIRANOL)(登録商標)の商品名で市販されている製品を挙げることができる。
【0051】
これらの化合物は、ココアンホ二酢酸二ナトリウム(disodium cocoamphodiacetate)、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム(disodium lauroamphodiacetate)、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム(disodium caprylamphodiacetate)、カプリロアンホジアセタート(capryloamphodiacetate)、ココアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(disodium cocoamphodipropionate)、ラウロアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(disodium lauroamphodipropionate)、カプリルアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(disodium caprylamphodipropionate)、カプリロアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(disodium capryloamphodipropionate)、ラウロアンホ二プロピオン酸、ココアンホ二プロピオン酸の名称で、CTFA辞典、第5版、1993に分類されている。
例えば、ローディア社からミラノール(登録商標)C2M濃縮物の商品名で販売されているココアンホジアセタートが、その適切な例である。
【0052】
適切な両性界面活性剤の中でも、(C-C20)アルキルベタイン類、例えばココベタイン、(C-C20)アルキル(C-C)アミドアルキルベタイン類、特にココアミドベタイン、アンホ二酢酸アルキル、例えばココアンホ二酢酸ニナトリウム、及びそれらの混合物が好ましく使用される。
【0053】
さらに本発明の組成物は、それ自体よく知られている一又は複数のカチオン性界面活性剤(類)、例えば第1級、第2級又は第3級脂肪アミン類の塩、場合によってはポリオキシアルキレン化された第4級アンモニウム塩、例えばテトラアルキルアンモニウム、アルキルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、トリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウム又はアルキルピリジニウムクロリド又はブロミド、イミダゾリン誘導体、又はカチオン性のアミンオキシドをさらに含有していてよい。
【0054】
上述した非イオン性、両性、アニオン性及びカチオン性の界面活性剤類は、単独で又は組合せて使用されてよい。界面活性剤(類)は、組成物の全重量に対して0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜30重量%、最も好ましくは1〜20重量%である。
【0055】
本発明の組成物に適切に使用され得るゲル化剤及び/又は増粘剤は、当該技術でよく知られており、カルボキシビニルポリマー及びコポリマー、(アルキル)アクリルポリマー及びコポリマー、(アルキル)アクリルアミドポリマー及びコポリマー、ポリ(オキシアルキレン)グリコール類、ポリ(オキシアルキレン)グリコールエステル、アルギナート類、バイオ多糖類、多糖類、例えばセルロース及びデンプン誘導体、天然に生じるガム類、例えばキサンタンガム、グアールガム、ローカストビーンガム、スクレログルカン類、キチン及びキトサン誘導体、カラギーナン、クレー類、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0056】
特に水相におけるゲル化剤の例として、セピック社(SEPPIC)から市販されているセピゲル(SEPIGEL)(登録商標)305、ソラビア社(SOLABIA)から市販されているフコゲル(FUCOGEL)(登録商標)1000PP、3VSA社から市販されているシンタレン(SYNTHALEN)(登録商標)K、BASF社から市販されているルビスコール(LUVISKOL)(登録商標)VA64P、クラリアント社(CLARIANT)から市販されているホスタセリン(HOSTACERIN)(登録商標)AMPS、グッドリッチ社(Goodrich)から市販されているペミュレン(PEMULEN)(登録商標)TR1、ガーディアン社(GUARDIAN)から市販されているルブラゲル(LUBRAGEL)(登録商標)MS、デグサ社(DEGUSSA)から市販されているサティアゲル(SATIAGEL)(登録商標)KSO、及びケルコ社(KELCO)から市販されているケルトロール(KELTROL)(登録商標)を挙げることができる。
ゲル化剤は、組成物の重量に対して、一般的に0.1〜15%、好ましくは0.5〜10%である。
【0057】
また本発明の組成物は、脂肪成分、例えば鉱物性、植物性、動物性及び合成の油、ロウ、脂肪エステル、脂肪アルコール、及び脂肪酸をさらに含有していてよい。
本発明で使用される油の適切な例には、以下のものが含まれる:
− 動物ベースの炭化水素油、例えばペルヒドロスクアレン;
− 植物ベースの炭化水素油、例えば4〜10の炭素原子を有する脂肪酸の液状トリグリセリド、例えばヘプタン酸又はオクタン酸のトリグリセリド、又は例えばヒマワリ油、コーン油、大豆油、カボチャ油、グレープシード油、ゴマ油、ナッツ油、杏仁油、マカダミアナッツ油、アララ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル/カプリン酸トリグリセリド類、例えばステアリネリーズ・デュボア社(Stearineries Dubois)から市販されているもの、又はダイナミット・ノーベル社(Dynamit Nobel)からミグリオール(Miglyol)(登録商標)810、812及び818の名称で販売されているもの、ホホバ油、シェアバター油;
− 直鎖状又は分枝状で、鉱物性又は合成の炭化水素、例えば揮発性又は非揮発性のパラフィン油及びそれらの誘導体、ペトロラタム、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばパーリーム(Parleam)(登録商標)油;イソパラフィン、例えばイソヘキサデカン及びイソデカン;
− 部分的に炭化水素ベース及び/又はシリコーンベースのフッ化油、例えば日本国特許公開第2-295912号に記載されているもの;フッ化油には、BNFLフルオロケミカルズ社(Fluorochemicals)から「フルテック(FLUTEC)(登録商標)PC1」及び「フルテック(登録商標)PC3」の名称で販売されているペルフルオロメチルシクロペンタン及びペルフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン;ペルフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン;ペルフルオロアルカン類、例えば3M社から「PF5050(登録商標)」及び「PF5060(登録商標)」の名称で販売されているドデカフルオロペンタン及びテトラデカフルオロヘキサン、あるいは、アトケム社(Atochem)から「フォーアルキル(Foralkyl)(登録商標)」の商品名で販売されているブロモペルフルオロオクチル;ノナフルオロメトキシブタン及びノナフルオロエトキシイソブタン;ペルフルオロモルホリン誘導体、例えば3M社から「PF5052(登録商標)」の商品名で販売されている4-トリフルオロメチルペルフルオロモルホリン;
【0058】
ロウ(類)は、特にカルナウバロウ、キャンデリラロウ、アルファロウ、パラフィン、オゾケライト、植物性ロウ、例えばオリブ木のロウ、ライスワックス、水素化ホホバ油、又は花の無水ロウ(flower absolute waxes)、例えばバーチン社(BERTIN)から販売されているRibes nigrum(クロフサスグリ)の花のロウ(仏国)、動物性ロウ、例えばミツロウ、又は変性ミツロウ(セラベリナ(cerabellina))から選択され;また、本発明で使用される他のロウ又はロウベースの原料は、マリン(marine)ロウ、例えば参照名M82でソフィム社(SOPHIM)から販売されているもの、一般的にはポリエチレンロウ又はポリオレフィンである。
【0059】
飽和又は不飽和の脂肪酸は、特にミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ラノリン酸、リノレン酸、及びイソステアリン酸から選択される。
脂肪エステルは、特にカルボン酸エステル、さらにはモノ、ジ、トリ又はテトラカルボキシルエステルである。
カルボン酸エステルは、特に飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状のC-C26脂肪族酸エステル、飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状のC-C26脂肪族アルコールエステルであり、ここでエステルの炭素原子の全数は10以上である。
【0060】
挙げることのできるモノエステルの適切な例には、ベヘン酸ジヒドロアビエチル;ベヘン酸オクチルドデシル;ベヘン酸イソセチル;乳酸セチル;C12-C15乳酸アルキル、乳酸イソステアリル;乳酸ラウリル;乳酸リノレイル;乳酸オレイル;オクタン酸(イソ)ステアリル;オクタン酸イソセチル;オクタン酸オクチル;オクタン酸セチル;オレイン酸デシル;イソステアリン酸イソセチル;ラウリン酸イソセチル;ステアリン酸イソセチル;オクタン酸イソデシル;オレイン酸イソデシル;イソノナン酸イソノニル;パルミチン酸イソステアリル;リシノール酸メチルアセチル;ステアリン酸ミリスチル;イソノナン酸オクチル;イソノナン酸2-エチルヘキシル;パルミチン酸オクチル;ペラルゴン酸オクチル;ステアリン酸オクチル;エルカ酸オクチルドデシル;エルカ酸オレイル;パルミチン酸エチル及びイソプロピル、パルミチン酸エチル-2-ヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えばイソプロピル、ブチル、セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル;リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシルが含まれる。
-C22ジ-又はトリカルボン酸とC-C22アルコールのエステル、並びにモノ-、ジ-又はトリカルボン酸エステル、及びジ-、トリ-、テトラ-又はペンタヒドロキシC-C26アルコールエステルが使用されてもよい。
【0061】
特に、セバシン酸ジエチル;セバシン酸ジイソプロピル;アジピン酸ジイソプロピル;ジ-n-プロピルアジパート;アジピン酸ジオクチル;アジピン酸ジイソステアリル;マレイン酸ジオクチル;ウンデシレン酸グリセリル;ステアリン酸オクチルドデシルステアロイル;モノリシノール酸ペンタエリトリチル;テトライソノナン酸ペンタエリトリチル;ペンタエリトリチル-テトラエリゴナート(pentaerythrityl tetraerygonate);テトライソステアリン酸ペンタエリトリチル;テトラオクタン酸ペンタエリトリチル;プロピレングリコールジカプリラート;プロピレングリコールジカプラート;エルカ酸トリデシル;クエン酸トリイソプロピル;クエン酸トリイソステアリル;トリ乳酸グリセリル;トリオクタン酸グリセリル;クエン酸トリオクチルドデシル;クエン酸トリオレイル;プロピレングリコールジオクタノアート;ネオペンチルグリコールジヘプタノアート;ジエチレングリコールジイソノナート;及びポリエチレングリコールジステアラートを挙げることができる。
【0062】
上述したエステルの中でも、パルミチン酸エチル及びイソプロピル、パルミチン酸エチル-2-ヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えばイソプロピル、ブチル、セチル、ミリスチン酸2-オクチルデシル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル;リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、及びイソノナン酸イソノニル、オクタン酸セチルが好ましく使用される。
【0063】
適切な脂肪アルコール類には、例えば飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状で、8〜26の炭素原子を有する脂肪アルコール類、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、及びそれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレインアルコール、又はリノールアルコールが含まれる。
【0064】
脂肪成分は、全組成物に対して、一般的に0.01〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜20重量%である。
【0065】
組成物の化粧品的に許容可能な水性媒体は、水の他に、一又は複数の有機溶媒(類)をさらに含有していてよい。
有機溶媒は、典型的にはC1-アルコール類、好ましくはアルカノール類、例えばエタノール、プロパノール、及びイソプロパノール、アルカンジオール類、例えばプロピレングリコール、及びペンタンジオール、ベンジルアルコール、C-C10アルカン類、アセトン、メチルエチルセトン、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、及びそれらの混合物から選択される。
有機溶媒は、組成物の全重量に対して、一般的には0.5〜80重量%、好ましくは1〜50重量%の範囲の量で存在している。
【0066】
当業者であれば、本発明の組成物の特性に影響を与えない、いくつかの添加剤を添加できるであろう。
【0067】
本発明の組成物は、好ましくはすすがれてもよいヘアスタイリング用組成物、例えばスタイリング用シャンプー、又はすすがれないもの、例えばスタイリング用ローション、フォーム又はゲルである。
それらはスタイリング用ローション又はスタイリング用ゲルの形態であってもよい。
【0068】
また、それらはエアゾールの形態に調製されてもよい。もちろんこの場合、組成物は噴霧剤を含有している。よく知られているように、前記噴霧剤は、場合によっては組成物に溶解していてもよい、ガス、又は圧縮もしくは液化ガスの混合物であってよい。適切なガス状噴霧剤の例には、空気、二酸化炭素、窒素、ジメチルエーテル、炭化水素、例えばプロパン、n-ブタン、イソブタン、又はイソペンタン、及びハロゲン化炭化水素、特にフッ化炭化水素が含まれる。本発明の組成物に存在しているシリコーン類は、最初から導入されていても、又は適用の直前に組成物に混合されてもよい。
アルコキシ基により有機変性されたシリコーン類が使用される場合、シリコーンは、好ましくは適用前に混合される。
【実施例】
【0069】
調製例
実施例1-スタイリング用ローション:
【表1】

実施例2-スタイリング用ゲル:
【表2】

8.7%のN-メチルジエタノールアミン、23.4%のジイソシアン酸イソホロン、67.9%のクラソールLBH2000(ヒドロキシル末端基を有するポリブタジエン)から形成され、塩化水素を使用して40%まで中和されたポリウレタン水性分散液(A)。
アモジメチコーン
ゲル化剤(ヒドロキシプロピルグアール)
水分散性シリコーングリコール
【0070】
実施例で調製された組成物では、毛髪の固定及び経時的な保持力を実質的に低下させることなく、良好な化粧品特性が得られた。ショートヘアでの「ストランド効果(Strand-effect)」のあるヘアスタイルと、アフリカ系毛髪での長時間にわたる整髪(プラスターダウン)が、これらの組成物を使用することで得られる。それらは、シャンプーで容易に除去された。
同様の結果が、8.4%のポリ(テトラメチレンオキシド)、8.6%のN-メチルジエタノールアミン、21.4%のジイソシアン酸イソホロン、61.6%のクレイトンL2203(ヒドロキシル末端基を有するポリブタジエン)から形成され、塩化水素を使用して40%まで中和された、水性分散液の(B)ポリウレタンを用いて得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品的に許容可能な水性媒体中に、
(i)オレフィン性ホモポリマー又はコポリマーから誘導される少なくとも一の非イオン性単位を有する少なくとも一のカチオン性ポリウレタンと、
(ii)ポリジアルキルシロキサンと、ポリ(オキシアルキレン)、アミン及びアルコキシ基から選択される少なくとも一の官能基を有する有機変性ポリシロキサンとから選択される少なくとも一のシリコーン、
を含有してなる化粧品用組成物。
【請求項2】
50重量%又はそれ以上のポリウレタンの非イオン性単位が、オレフィン性ホモポリマー又はコポリマーから誘導され、好ましくは全てのポリウレタンの非イオン性単位がオレフィン性ホモポリマー又はコポリマーから誘導される請求項1に記載の化粧品用組成物。
【請求項3】
前記オレフィン性ホモポリマー及びコポリマーが、それらの末端に不安定水素官能基を担持しており、エチレン、プロピレン、1-ブチレン、2-ブチレン、イソブチレン、1,2-ブタジエン、1,4-ブタジエン、イソプレン単位及びそれらの混合物から選択される単位を有するホモポリマー及びコポリマーである請求項1又は2に記載の化粧品用組成物。
【請求項4】
カチオン性ポリウレタンが、
(a)少なくとも二つの不安定水素を含有する反応性官能基を有する少なくとも一の第3級又は第4級アミンの反応により得られるカチオン性単位、
(b)少なくとも一の(b1)単位が不安定水素を含む反応性官能基をその末端に担持し、示差エンタルピー分析等で測定して、10℃未満のガラス転移温度(Tg)を有するオレフィン性ホモポリマー及びコポリマーから選択される少なくとも一のポリマーの反応により得られる非イオン性単位、
(c)少なくとも一のジイソシアネートの反応により得られる単位、
を含む請求項1から3のいずれか一項に記載の化粧品用組成物。
【請求項5】
カチオン性(a)単位が、二つの不安定水素を含む反応性官能基を有する少なくとも一の第3級又は第4級アミンの反応により得られる請求項4に記載の化粧品用組成物。
【請求項6】
前記カチオン性ポリウレタンが、最終の化粧品用組成物に対して0.01重量%〜40重量%、好ましくは0.05〜20重量%、最も好ましくは0.1〜10重量%を占める請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリジアルキルシロキサンが、環状、直鎖状又は分枝状のポリジアルキルシロキサン、好ましくはポリジメチルシロキサンである請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリジアルキルシロキサンが、ポリ(オキシアルキレン)基、アミン基で置換又は未置換のもの、好ましくはアミノC-Cアルキル基及びアルコキシ基、好ましくはC-Cアルコキシ基で有機変性されたポリジメチルシロキサン類である請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記シリコーンが、組成物の0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜5重量%である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を毛髪に適用し、ついで、場合によっては毛髪をすすぎ、毛髪をスタイリングし乾燥させることを含むヘアスタイリング方法。

【公開番号】特開2009−235036(P2009−235036A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−85986(P2008−85986)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】