説明

ヘッドアップディスプレイ装置

【課題】小規模な回路構成で、シンボルの形状の歪みを抑えたままでノイズを低減でき、視認生の良いラスタ画像表示装置を提供する。
【解決手段】シンボルストローク発生装置からのシンボルストロークX/Y信号を、ヘッドアップディスプレイ装置に与えてシンボルを表示するものにおいて、シンボルストロークX/Y信号の出力側に、少なくとも3個のレジスタ51,52,54を直列に接続し、これらレジスタ51,52,54の出力データA,B,Cをコンパレータ&セレクトコントロール55で比較し、その比較結果により、先頭のレジスタ54を除く一個のどのレジスタのデータを選択するかの信号をデータセレクタ53に与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、航空機に搭載されるヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドアップディスプレイ装置は、飛行や戦闘に必要な情報を外界に重ねて表示し、パイロットのワークロードを軽減するとともに、正確な武器照準を補助するものである。外界を透視できるとともに、シンボルを表示するヘッドアップディスプレイと、このヘッドアップディスプレイにシンボルストローク信号を与えるシンボルストローク発生装置とから構成されている。
【0003】
この種のヘッドアップディスプレイ装置のストロークシンボルをヘッドアップディスプレイでなく、ラスタ画面に表示したい場合があり、このような場合は、ストローク/ラスタスキャンコンバータを用いて、ストローク信号をラスタ画像に変換する。このスキャン/ラスタの変換過程で変換ノイズが生じるため、このノイズを除去する必要がある。ノイズを除去するには、ディジタルフィルタを使用すると良い。一般的なディジタルフィルタとしては、移動平均法等を用いた信号平滑用フィルタや、たたみ込み、Z変換、フーリェ級数等を用いたFIR(Finite Impulse Response)フィルタ、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタ等がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
主に、ヘッドアップディスプレイ装置を支援する装置に使用されるストローク/ラスタスキャンコンバータのノイズを除去するために、上記した一般的なディジタルフィルタを採用すると、一般的なディジタルフィルタは処理が複雑であるため、リアルタイムでの変換が難しく、また回路が大規模となる。その上、フィルタにより変換したシンボル歪が出てしまい、ノイズ除去前よりも逆に視認性が低下してしまうという問題がある。
【0005】
この発明は、上記問題点に着目してなされたものであって、小規模な回路構成で、シンボルの形状の歪をおさえたままでノイズを低減でき、視認性の良いラスタ画像表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のヘッドアップディスプレイ装置は、シンボルストローク発生装置からのシンボルストローク信号をヘッドアップディスプレイに与えてシンボルを表示するものにおいて、シンボルストローク信号の出力側に少なくとも3個のデータレジスタを直列に接続し、これらデータレジスタのデータ比較により、先頭のデータレジスタを除く1個のデータレジスタのデータを選択するデジタルフィルタを含むストローク/ラスタスキャンコンバータを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、3個以上複数のデータレジスタの直列接続にはデータストアとの比較によるデータ選択でノイズ除去を行うディジタルデータを採用しているので、ストローク/ラスタスキャンコンバータ装置が視認性を損なわずに、コンパクトに構成できる。また、このようなストローク/ラスタスキャンコンバータ装置を用いれば、ストロークシンボル発生装置の信号を機器側の改修なしに容易にラスタ画面に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。図1は、この発明の実施形態ヘッドアップディスプレイ装置に使用されるストローク/ラスタスキャンコンバータの概略構成を示すブロック図である。このストローク/ラスタスキャンコンバータは、シンボルストローク発生装置よりのストローク信号X/Yを受けるアナログフィルタ41と、このアナログフィルタ41の出力を受けてディジタル信号に変換するA/D変換器42と、その出力を受けて微小なノイズ分を除去するためのディジタルフィルタ43と、このディジタルフィルタ43の出力を受けて、ストローク信号をラスタ画像対応で記憶するメモリ44と、同期信号発生器45と、シンボルストローク発生装置よりストロークZ信号を受けて、タイミングマッチングを取るタイミングマッチング部46と、メモリ44のX軸、Y軸を指定してストローク画像信号を取り出すカウンタ47と、このカウンタ47よりのディジタルストローク画像信号をアナログ信号に変換して、ラスタX/Y信号を出力するD/A変換器48とを備えている。
【0009】
このストローク/ラスタスキャンコンバータの特徴は、ディジタルフィルタ43を備えたことが最も特徴とするところである。ストロークZ信号は2値信号なので、メモリ44に記憶される。レベルインターフェイス回路49でラスタZ信号はビデオ信号に重畳されるため、レベルがアナログ信号に可変することが望ましいので、メモリ44からのラスタZ信号は、レベルインターフェイス回路49を介して出力する。
【0010】
ディジタルフィルタ43は、図2に示すように、レジスタ51と、このレジスタ51の出力を入力に受けるレジスタ52と、このレジスタ52の出力を一方の入力に受けるデータセレクタ53と、このデータセレクタ53の出力を入力に受け、その出力をデータセレクタ53の他方の入力に加えるレジスタ54と、レジスタ51の出力データA、レジスタ52の出力データB及びレジスタ54の出力データCを入力に受け、これらデータを比較し、その比較結果に応じ、データセレクタ53にデータBを選択出力するかデータCを選択出力するかの信号をデータセレクタ53に与えるコンパレータ&データセレクタコントロール55とから構成されている。
【0011】
レジスタ51、52、54、は12ビットのパラレルデータを受けて記憶するものであり、互いに直列に接続されており、クロック信号CLKを受ける毎にデータを記憶し、出力する。従って、データA、B、Cは今回、前回、前々回の順で記憶されることになる。
【0012】
コンパレータ&データセレクタコントロール55では、データA、B、Cをそれぞれ比較し、次の論理にしたがい、データセレクタ52のデータセレクタ動作を行わせる。
(1)C=A、C≠BならばCを選択する。
(2)C=B、Aは任意ならばBを選択する。
(3)A=B、Cは任意ならばBを選択する。
(4)A≠B≠CならばBを選択する。
【0013】
このストローク/ラスタスキャンコンバータでは、アナログフィルタ41によって、通常のノイズは除去されるため、ディジタル部で問題となるノイズ分の変化は高々1ビットであるため、図2のディジタルフィルタでは、3個のデータレジスタを直列に接続している。しかし、用途によっては、4個以上の適切な数のデータレジスタを直列に接続し、それらのデータの大小を比較することによって、データにノイズ分を含むか否か判定し、データセレクタによってノイズデータを除去してもよい。ただし、データレジスタの数を増加させると、シンボルの歪が生じる。例えば、データレジスタが3個でA≠B≠Cであれば、データBを常に選択することにより、直線的に上昇、あるいは下降するストロークの場合、歪を、大きくすることなく変換できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施形態ヘッドアップディスプレイ装置に採用されるストローク/ラスタスキャンコンバータの概略構成を示すブロック図である。
【図2】同ストローク/ラスタスキャンコンバータに採用されるディジタルフィルタの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0015】
41 アナログフィルタ
42 A/D変換器
43 ディジタルフィルタ
44 メモリ
51,52,54 レジスタ
53 データセレクタ
55 コンパレータ&データセレクタコントロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンボルストローク発生装置からのシンボルストローク信号を、ヘッドアップディスプレイに与えてシンボルを表示するヘッドアップディスプレイ装置において、
シンボルストローク信号の出力側に、少なくとも3個のデータレジスタを直列に接続し、これらデータレジスタのデータ比較により、先頭のデータレジスタを除く1個のデータレジスタのデータを選択するディジタルフィルタを含むストローク/ラスタスキャンコンバータを備えたことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−293377(P2006−293377A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118131(P2006−118131)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【分割の表示】特願2005−105666(P2005−105666)の分割
【原出願日】平成8年4月3日(1996.4.3)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】