説明

ヘッドマウントディスプレイ装置及び通信システム

【課題】HMDで通信を行う際に、効率的な通信を行うことができるようにすること。
【解決手段】HMD10Aが、他のHMD10(例えば、HMD10C)と、管理サーバ40を介して通信を行う際、HMD10Aと、HMD10Cと、の状態を特定する情報を、それぞれ管理サーバ40に送信しておく。管理サーバ40では、HMD10Cの状態に応じて、HMD10Aが送信したデータを変更して、HMD10Cに送信し、また、HMD10Aの状態に応じて、HMD10Cが送信したデータを変更して、HMD10Aに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドマウントディスプレイ装置及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の眼前で画像を表示するヘッドマウントディスプレイ装置(以下、HMDという)において、無線を介して他の装置と通信を行うことができる技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−37487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線を介してHMD同士で通信を行っている場合、通信相手のHMDの状態、例えば、画像を表示するディスプレイがユーザの眼前にはないような状態の場合には、このような通信相手に映像データを送信しても、送信した映像データが無駄となる。
【0005】
そこで、本発明は、HMDで通信を行う際に、HMDの通信処理の負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明に係るヘッドマウントディスプレイ装置は、データの送受信を行う通信部と、自装置の状態を特定する情報を、データの配信元に送信する処理を行う状態情報処理部と、前記情報に対応して、前記配信元から音声データを受信した場合には、受信した音声データをスピーカに出力し、前記配信元から映像データ及び音声データを有する動画データを受信した場合には、前記映像データを表示部に出力し、前記音声データをスピーカに出力する処理を行う入出力情報処理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明によれば、HMDで通信を行う際に、効率的な通信を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】通信システムの概略図。
【図2】HMDの概略図。
【図3】管理サーバの概略図。
【図4】管理情報テーブルの概略図。
【図5】情報を送受信する際の処理を示すシーケンス図。
【図6】HMDの表示部に表示される映像画面の概略図。
【図7】HMDの概略図。
【図8】HMDの表示部に表示される映像画面の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の第一の実施形態における通信システム1の概略図である。図示するように、通信システム1は、HMD10A、10B、10C(以下、各々を特に区別しない場合には、HMD10という)と、管理サーバ40と、を備え、HMD10は、アクセスポイント(以下、APという)60を介して、ネットワーク70に接続することができるようにされている。
【0010】
図2は、HMD10の概略図である。図示するように、HMD10は、スピーカ11と、表示部12と、センサ13と、操作部14と、撮像装置15と、集音装置16と、制御装置18と、を有する。
【0011】
センサ13は、表示部12の位置を検知する。本実施形態においては、センサ13は、表示部12が、ユーザが表示部12に表示された映像を視覚することのできる眼前位置(ユーザの眼前の位置)にあるか、ユーザが表示部12に表示された映像を視覚することのできない退避位置(ユーザの眼前から外れた位置)にあるか、を検知する。例えば、センサ13は、近接センサを眼前位置及び退避位置の少なくともいずれか一方に配置して、表示部12の接近を検知することで、表示部12がこれらの少なくともいずれか一方の位置にあることを検知することができる。
【0012】
制御装置18は、制御部19と、記憶部25と、無線通信部26と、バッテリ27と、入出力インタフェース部28と、を備える。
【0013】
制御部19は、全体制御部20と、通信処理部21と、通信情報処理部22と、入出力情報処理部23と、状態情報処理部24と、を備える。
【0014】
全体制御部20は、制御装置19での全体の処理を制御する。
【0015】
通信処理部21は、IP、TCP、UDP等の通信プロトコルに従った通信処理を行う。
【0016】
通信情報処理部22は、管理サーバ40に未だログイン(登録)していない場合には、管理サーバ40へのログイン処理を行う。
【0017】
また、通信情報処理部22は、HMD10の利用者の指示に応じて、管理サーバ40より、通信相手先を選択するための接続情報を取得する処理を行い、さらに、取得した接続情報を表示部14に表示し、操作部14を介して、HMD10の利用者より、通信先であるHMD10の選択を受け付け、選択されたHMD10を識別する識別情報を含む通信先情報を生成して、管理サーバ40に送信する処理を行う。
【0018】
さらに、通信情報処理部22は、予め定められたプロトコルに応じて、他のHMD10との間の通信を確立し、また、当該通信を終了する処理を行う。
【0019】
入出力情報処理部23は、送受信する動画データを処理する。例えば、撮像装置15から得られる映像データと、集音装置16から得られる音声データと、を所定のプロトコルに応じて合成することにより、動画データを生成し、通信処理部21に出力する。また、通信処理部21から入力された動画データより映像データと音声データを分離し、それぞれ、入出力インタフェース部28を介して、表示部12及びスピーカ11に出力する。
【0020】
また、本実施形態の入出力情報処理部23は、表示部12の予め定められた領域に、自装置の撮像装置15で撮像された動画データを表示する処理を行う。
【0021】
状態情報処理部24は、センサ13の検知信号に応じて、表示部12の位置(眼前位置又は退避位置)を特定し、表示部12が視覚可能な状態(位置)にあるか否かを特定した状態情報を生成して、通信処理部21及び無線通信部26を介して、管理サーバ40に送信する処理を行う。なお、状態情報の送信タイミングは、予め定められた時(呼制御時、周期等)、状態が変化した時、等であればよい。
【0022】
記憶部25は、制御装置18での処理に必要な情報が記憶される。例えば、管理サーバ40の通信アドレス(IPアドレス等)を特定する情報等が記憶される。
【0023】
無線通信部26は、アンテナを介して無線信号を送受信する処理を行う。例えば、RF処理、ベースバンド信号処理及びMAC処理を行う。なお、本実施形態においては、無線通信部26は、AP60を介してネットワークに接続するインフラストラクチャモードで動作する。
【0024】
バッテリ27は、HMD10の各部に電源を供給する。なお、スピーカ11、表示部12、センサ13、操作部14、撮像装置15及び集音装置16への電源の供給は、全体制御部20が制御する。
【0025】
入出力インタフェース部28は、制御装置18に他の装置、部位を電気的に接続するインタフェースである。
【0026】
図3は、管理サーバ40の概略図である。図示するように、管理サーバ40は、記憶部41と、制御部44と、通信部51と、を備える。
【0027】
記憶部41は、管理サーバ40を介して情報の送受信を行うHMD10を管理する管理情報を記憶する管理情報記憶領域42を備える。例えば、管理情報記憶領域43には、図4に示すような管理情報テーブル42aが記憶される。
【0028】
管理情報テーブル42aは、HMD欄42bと、通信アドレス欄42cと、通信状態欄42dと、通信先欄42eと、状態情報欄42fと、を有する。
【0029】
HMD欄42bには、管理サーバ40を介して情報の送受信を行うHMD10を識別するための識別情報が格納される。
【0030】
通信アドレス欄42cには、HMD欄42bで特定されるHMD10の通信アドレス(IPアドレス等)を特定する情報が格納される。
【0031】
通信状態欄42dには、HMD欄42bで特定されるHMD10が、管理サーバ40を介して他のHMD10と通信を行っているか否かを特定する情報が格納される。本実施形態では、「通信中」の文字列が格納されている場合には通信を行っているものとし、「−」の記号が格納されている場合には通信を行っていないものとする。
【0032】
通信先欄42eには、HMD欄42bで特定されるHMD10が管理サーバ40を介して他のHMD10と通信を行っている場合には、当該他のHMD10を識別する識別情報が格納される。なお、複数のHMD10と通信を行っている場合には、通信先欄42eに複数の識別情報が格納される。なお、通信を行っていない場合には、「−」の記号が格納される。
【0033】
状態情報欄42fには、HMD欄42bで特定されるHMD10の表示部12の状態(位置)を特定する情報が格納される。なお、HMD10より状態情報を受信していない場合には、「−」の記号が格納される。
【0034】
制御部44は、全体制御部45と、通信制御部46と、接続処理部47と、配信情報処理部48と、管理情報処理部49と、を備える。
【0035】
全体制御部45は、管理サーバ40における処理の全体を制御する。
【0036】
通信制御部46は、IP、TCP、UDP等の通信プロトコルに従った通信処理を行う。
【0037】
接続処理部47は、HMD10からの接続情報要求に対して、管理サーバ40にログインしている(管理情報テーブル42aに格納されている)HMD10を識別する識別情報の一覧を接続情報として生成し、HMD10に送信する処理を行う。
【0038】
また、接続処理部47は、HMD10から、接続する相手先のHMD10の識別情報を含む接続要求を受信すると、当該識別情報で特定されるHMD10に対する呼接続処理を行う。
【0039】
配信情報処理部48は、HMD10から送信されてきた動画データを、受信するHMD10の状態に応じたデータにして、通信制御部46及び通信部51を介して、HMD10に配信する処理を行う。例えば、動画データの配信先のHMD10の表示部12が眼前位置にある場合には、HMD10から受信した動画データを当該HMD10に配信し、一方、動画データの配信先のHMD10の表示部12が退避位置にある場合には、HMD10から受信した動画データより音声データを抽出して、抽出した音声データを当該HMD10に配信する。
【0040】
管理情報処理部49は、HMD10よりログイン情報を受信して、このログイン情報に含まれるHMD10の識別情報及び通信アドレスを管理情報テーブル42aに格納し、また、HMD10から状態情報を受信し、受信した状態情報を管理情報テーブル42aに格納する処理を行う。
【0041】
通信部51は、ネットワーク70を介した情報の送受信を行う。
【0042】
以上に記載した管理サーバ40は、例えば、CPUと、メモリと、HDD等の外部記憶装置と、CDやDVD等の可搬性を有する記憶媒体に対して情報を読み書きする読書装置と、キーボードやマウスなどの入力装置と、ディスプレイなどの出力装置と、通信ネットワークに接続するためのNIC等の通信装置と、を備えた一般的なコンピュータで実現できる。例えば、記憶部41は、CPUがメモリ又は外部記憶装置を利用することにより実現可能であり、制御部44は、外部記憶装置に記憶されている所定のプログラムをメモリにロードしてCPUで実行することで実現可能であり、通信部51は、CPUが通信装置を利用することで実現可能である。
【0043】
AP60は、無線通信とネットワーク70を介した通信の中継処理を行う。
【0044】
図5は、HMD10Aと、他のHMD10Cと、が管理サーバ40を介して、相互に情報を送受信する際の処理を示すシーケンス図である。
【0045】
まず、HMD10Aの通信情報処理部22は、自装置の識別情報と、通信アドレスと、を特定したログイン情報を、通信処理部21及び無線通信部26を介して、管理サーバ40に送信する(S100)。
【0046】
このようなログイン情報を受信した管理サーバ40では、管理情報処理部49が、管理情報テーブル42aに新たなレコードを追加して、受信したログイン情報に含まれる識別情報及び通信アドレスを、それぞれHMD欄42b及び通信アドレス欄42cに格納し、通信状態欄42d、通信先欄42e及び状態情報欄42fには「−」の記号を格納する(S101)。
【0047】
また、HMD10Cの通信情報処理部22は、自装置の識別情報と、通信アドレスと、を特定したログイン情報を、通信処理部21及び無線通信部26を介して、管理サーバ40に送信する(S102)。
【0048】
このようなログイン情報を受信した管理サーバ40では、管理情報処理部49が、管理情報テーブル42aに新たなレコードを追加して、受信したログイン情報に含まれる識別情報及び通信アドレスを、それぞれHMD欄42b及び通信アドレス欄42cに格納し、通信状態欄42d、通信先欄42e及び状態情報欄42fには「−」の記号を格納する(S103)。
【0049】
次に、HMD10Aの通信情報処理部22は、操作部14を介して、HMD10Aの利用者より、他のHMD10との通信指示の入力を受け付けると、通信処理部21及び無線通信部26を介して、管理サーバ40に対して接続情報要求を送信する(S104)。
【0050】
このような接続情報要求を受信した管理サーバ40では、接続処理部47が、管理情報テーブル42aのHMD欄42bに格納されている識別情報の一覧を接続情報として生成し、通信制御部46及び通信部51を介して、HMD10Aに送信する(S105)。
【0051】
接続情報を受信したHMD10Aでは、通信情報処理部22が、表示部12に接続情報を表示し、操作部14を介して、利用者から接続する相手先のHMD10(ここでは、HMD10Cとする)の識別情報の選択の入力を受け付け(S106)、選択された識別情報を含む通信先情報を生成し、通信処理部21及び無線通信部26を介して、管理サーバ40に送信する(S107)。
【0052】
通信先情報を受信した管理サーバ40では、接続処理部47が、管理情報テーブル42aにおいて、通信先情報に含まれる識別情報がHMD欄42bに格納されているレコードを特定して、特定したレコードの通信アドレス欄42cに格納されている通信アドレスを発呼先として、通信制御部46及び通信部51を介して、発呼信号を送信する(S108)。
【0053】
このような発呼信号を受信したHMD10Cでは、通信情報処理部22が表示部12及びスピーカ11の少なくともいずれか一方を用いて発呼通知を行い、このような発呼通知に対してHMD10Cの利用者が操作部14を介して応答することで、HMD10Cの通信情報処理部22は、管理サーバ40に対して、通信処理部21及び無線通信部26を介して、応答信号を返信する(S109)。
【0054】
このような応答信号を受信した管理サーバ40では、接続処理部47が、通信処理部46及び通信部51を介して、応答信号をHMD10Aに転送し(S110)、また、管理情報処理部49が、管理情報テーブル42aにおいて、ステップS107で受信した通信先情報の送信元であるHMD10Aの識別情報がHMD欄42bに格納されているレコードを特定し、特定したレコードの通信状態欄42dに「通信中」の文字列を格納するとともに、ステップS109で受信した応答信号の送信元であるHMD10Cの識別情報を通信先欄42eに格納する(S111)。
【0055】
また、ステップS109で応答信号を送信したHMD10Cでは、状態情報処理部24が、センサ13の検知信号に応じて、表示部12の状態(眼前位置又は退避位置)を特定する情報を含む状態情報を生成し、通信処理部21及び無線通信部26を介して、管理サーバ40に送信する(S112)。
【0056】
状態情報を受信した管理サーバ40では、管理情報処理部49が、管理情報テーブル42aにおいて、ステップS112で受信した状態情報の送信元であるHMD10Cの識別情報がHMD欄42bに格納されているレコードを特定し、特定したレコードの状態情報欄42fに受信した状態情報に含まれている状態を特定する情報を格納する(S114)。
【0057】
また、ステップS110で応答信号を受信したHMD10Aでは、状態情報処理部24が、センサ13の検知信号に応じて、表示部12の状態(眼前位置又は退避位置)を特定する情報を含む状態情報を生成し、通信処理部21及び無線通信部26を介して、管理サーバ40に送信する(S114)。
【0058】
状態情報を受信した管理サーバ40では、管理情報処理部49が、管理情報テーブル42aにおいて、ステップS114で状態情報の送信元であるHMD10Aの識別情報がHMD欄42bに格納されているレコードを特定し、特定したレコードの状態情報欄42f受信した状態情報に含まれている状態を特定する情報を格納する(S115)。
【0059】
そして、HMD10A及びHMD10Cの入出力情報処理部23は、通信処理部21及び無線通信部26を介して、動画データを管理サーバ40に送信するとともに、自装置の表示部12の状態に応じて、管理サーバ40より送られてくる動画データ又は音声データを受信して、スピーカ11及び表示部12の少なくともいずれか一方に出力する(S116、S117、S118)。
【0060】
例えば、HMD10Aの表示部12の状態が「眼前」であり、HMD10Cの表示部12の状態が「退避」である場合には、HMD10Aから管理サーバ40に送信された動画データは(S116)、管理サーバ40の配信情報処理部48において音声データが抽出され(S117)、抽出された音声データがHMD10Cに送信される(S118)。一方、HMD10Cから管理サーバ40に送信された動画データは(S118)、動画データのまま(S117)、HMD10Aに送信される(S116)。
【0061】
このような場合には、例えば、図6に示すように、HMD10Aの表示部12には映像画面80aのような映像が表示され、HMD10Cの表示部12には映像画面81aのような映像が表示される。ここで、映像画面80aでは、第一領域80bにHMD10Cの撮像装置15で撮像された映像が表示され、第二領域80cにHMD10Aの撮像装置15で撮像された映像が表示される。また、映像画面81aでは、第一領域81bには映像が表示されず、第二領域81cにHMD10Cの撮像装置15で撮像された映像が表示される。なお、退避位置にある表示部12には、映像データを一切表示しないこと、または、表示部12の電源を切断することも可能である(第二の実施形態でも同様)。
【0062】
そして、例えば、HMD10Cにおいて、表示部12の位置が「退避」から「眼前」に変更された場合には(S119)、状態情報処理部24は、センサ13の検知信号に応じて、表示部12の位置(眼前位置)を特定する情報を含む状態情報を生成し、通信処理部21及び無線通信部26を介して、管理サーバ40に送信する(S120)。
【0063】
状態情報を受信した管理サーバ40では、管理情報処理部49が、管理情報テーブル42aにおいて、ステップS120で状態情報の送信元であるHMD10Cの識別情報がHMD欄42bに格納されているレコードを特定し、特定したレコードの状態情報欄42fに受信した状態情報に含まれている状態を特定する情報を格納する(S121)。
【0064】
このように、管理情報テーブル42aが更新されると、HMD10Aから管理サーバ40に送信された動画データは(S122)、管理サーバ40を介して、動画データのまま(S123)、HMD10Cに送信される(S124)。
【0065】
以上のシーケンスでは、HDM10AとHDM10Cとの間で通信を行う際の処理を説明したが、例えば、ステップS106の選択で、複数の通信先を選択することで、管理サーバ40より、複数のHDM10がHDM10Aより送信された動画データ又は音声データを受信することができる。
【0066】
以上のように、本実施形態においては、HMD10の表示部12の状態に応じて、管理サーバ40より、適切な情報が送られてくるため、効率的な通信を行うことができる。
【0067】
以上に記載した実施形態においては、HMD10から管理サーバ40には、動画データを送信するようにしているが、このような態様に限定されず、例えば、HMD10から送信他データを管理サーバ40より配信を受けている全てのHMD10又は1以上の所定の数のHMD10の状態が「退避」である場合には、HMD10から送信するデータを音声データのみとすることも可能である。このような場合には、管理サーバ40より、配信先の状態情報又は送信すべきデータの種別(動画データ又は音声データ)を特定する情報をHMD10に通知し、HMD10では、全体制御部20又は通信情報処理部22が、入出力情報処理部23に送信するデータの種別を指示するようにすればよい。
【0068】
さらに、以上に記載した実施形態において、映像データが送信されないHMD10には、当該HMD10が管理サーバ40に予め送信要求をしておいた他のコンテンツを、管理サーバ40からHMD10に送信するようにすることも可能である。
【0069】
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、HMD10同士が、無線を介して、直接P2P(Peer to Peer)で通信を行う場合を説明する。
【0070】
図7は、本発明の第二の実施形態におけるHMD210の概略図である。第一の実施形態と比較して、第二の実施形態におけるHMD210は、制御装置218の制御部219及び無線通信部226が異なっているため、以下、これらについて説明する。
【0071】
第二の実施形態における制御部219は、第一の実施形態と比較して、通信情報処理部222、入出力情報処理部223及び状態情報処理部224が異なっているため、以下、これらについて説明する。
【0072】
通信情報処理部222は、無線通信部226を介して、無線通信可能なHMD210を検索し、検索でヒットしたHMD210の識別情報の一覧を接続情報として取得する。
【0073】
そして、通信情報処理部222は、取得した接続情報を表示部14に表示し、操作部14を介して、HMD210の利用者より、通信先であるHMD210の選択を受け付け、選択されたHMD210に対して、予め定められたプロトコルに応じた呼制御を行い、選択されたHMD210との間の通信を確立し、また、当該通信を終了する処理を行う。
【0074】
入出力情報処理部223は、送受信する動画データを処理する。特に、本実施形態においては、通信相手のHMD210の状態に応じて、送信するデータを変更する処理を行う。
【0075】
例えば、通信の相手先のHMD210の表示部12の位置が「眼前」である場合には、撮像装置15から得られる映像データと、集音装置16から得られる音声データと、を所定のプロトコルに応じて合成することにより、動画データを生成し、通信の相手先のHMD210に送信する。一方、通信の相手先のHMD210の表示部12の位置が「退避」である場合には、集音装置16から得られる音声データを通信の相手先のHMD210に送信する。
【0076】
また、入出力情報処理部223は、通信処理部21から入力された動画データより映像データと音声データを分離し、それぞれ、入出力インタフェース部28を介して、表示部12及びスピーカ11に出力する。なお、通信処理部21から入力されたデータが音声データだけである場合には、入力された音声データをスピーカ11に出力する。
【0077】
さらに、入出力情報処理部223は、表示部12の予め定められた領域に、自装置の撮像装置15で撮像された動画データと、通信相手のHDM210から受信した状態情報で特定される通信相手のHDM210の状態を特定する情報と、を表示する処理を行う。
【0078】
例えば、一のHMD210と他のHMD210とが、P2Pにより通信を行っており、一のHMD210の表示部12は眼前位置にあり、他のHMD210の表示部12は退避位置にある場合には、図8に示すように、一のHMD210の表示部12には映像画面82aのような映像が表示され、他のHMD210の表示部12には映像画面83aのような映像が表示される。ここで、映像画面82aでは、第一領域82bに他のHMD210の撮像装置15で撮像された映像が表示され、第二領域82cに一のHMD210の撮像装置15で撮像された映像が表示され、第三領域82dに他のHMD210の表示部12の状態を特定する画像が表示される。また、映像画面83aでは、第一領域83bには映像が表示されず、第二領域83cに一のHMD210の撮像装置15で撮像された映像が表示され、第三領域83dに一のHMD210の表示部12の状態を特定する画像が表示される。
【0079】
状態情報処理部224は、センサ13の検知信号に応じて、表示部12の状態(眼前位置又は退避位置)を特定し、表示部12の位置を特定した状態情報を生成して、通信の相手先のHMD210に送信する処理を行う。
【0080】
無線通信部226は、アンテナを介して無線信号を送受信する処理を行う。ここで、本実施形態では、直接他のHMD210に接続するアドホックモードで動作する。
【0081】
以上に記載したように、本発明の第二の実施形態によれば、通信相手のHMD210の状態に応じて、送信するデータを変更することができるため、HMD210の通信処理の負荷を軽減することができ、さらに、ネットワーク70等の負荷を軽減することもできる。
【0082】
以上に記載した第一及び第二の実施形態においては、状態情報として、表示部12の退避位置又は眼前位置を用いたが、このような態様に限定されず、例えば、映像データの「使用」と、映像データの「不使用」とを用いることも可能である。例えば、通信相手のHMD10、210が送信した動画データの内、映像データを使用していない場合(例えば、他のコンテンツを表示部12に表示させている場合、表示部12の電源を切っている場合等)には、「不使用」の状態情報を管理サーバ40又は通信相手のHMD210に送信することで、映像データのない音声データを受信するようにすることも可能である。なお、「使用」の場合は「眼前」と同様の取り扱いをすればよい。
【0083】
また、状態情報として、音声データの「使用」と、音声データの「不使用」と、を用いることも可能である。例えば、通信相手のHMD10、210が送信した動画データの内、音声データを使用していない場合(例えば、他のコンテンツの音声をスピーカ11から出力している場合、スピーカ11の音量を0にしている場合、スピーカ11の電源を切っている場合等)には、「不使用」の状態情報を管理サーバ40又は通信相手のHMD210に送信することで、音声データのない映像データを受信するようにすることも可能である。なお、「使用」の場合は「眼前」と同様の取り扱いをすればよい。
【0084】
以上に記載した第一及び第二の実施形態においては、状態情報が「眼前」の場合には「動画データ」を送信し、「退避」の場合には「音声データ」を送信するようにしているが、このような態様に限定されず、例えば、「退避」の場合には、データの送信を停止(セッションは維持)することも可能である。
【0085】
以上に記載した第一及び第二の実施形態においては、HMD10、210から送信する情報を、撮像装置15及び集音装置16で取得された動画データ、または、集音装置16で取得された音声データ、としているが、このような態様に限定されず、例えば、HMD10、210の記憶部25に記憶されている動画コンテンツを送信することも可能である。このような場合にも、通信相手先の状態に応じて、動画データ又は音声データを変更して送信することで、HMD10、210の通信処理の負荷を軽減することができ、さらに、ネットワーク70等の負荷を軽減することもできる。
【0086】
さらに、以上に記載した第一及び第二の実施形態においては、HMD10、210からデータを送信するようにしているが、送信側の装置については、HMD10、210には限定されず、携帯電話、PDA、パーソナルコンピュータ等の通信機器であってもよい。
【符号の説明】
【0087】
1:通信システム、10,210:HMD、11:スピーカ、12:表示部、13:センサ、14:操作部、15:撮像装置、16:集音装置、18,218:制御装置、19,219:制御部、25:記憶部、26,226:無線通信部、27:バッテリ、40:管理サーバ、41:記憶部、44:制御部、51:通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの送受信を行う通信部と、
自装置の状態を特定する情報を、データの配信元に送信する処理を行う状態情報処理部と、
前記情報に対応して、前記配信元から音声データを受信した場合には、受信した音声データをスピーカに出力し、前記配信元から映像データ及び音声データを有する動画データを受信した場合には、前記映像データを表示部に出力し、前記音声データをスピーカに出力する処理を行う入出力情報処理部と、
を備えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記配信元は、他のヘッドマウントディスプレイ装置から送信されたデータを中継する管理サーバであり、
前記管理サーバは、受信した前記情報に対応して、前記他のヘッドマウントディスプレイ装置が送信した動画データ、または、前記動画データより抽出された音声データ、を選択して、送信すること、
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記配信元は、他のヘッドマウントディスプレイ装置であり、
前記他のヘッドマウントディスプレイ装置は、受信した前記情報に対応して、動画データ、または、前記動画データより抽出された音声データ、を選択して、送信すること、
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記入出力情報処理部は、
データの送信先より、他のヘッドマウントディスプレイ装置の状態を特定する情報を受信する処理と、
受信した前記情報に対応して、動画データ又は音声データを選択して前記送信先に送信する処理と、を行うこと、
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記送信先は、前記他のヘッドマウントディスプレイ装置に送信するデータを中継する管理サーバであること、
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項6】
請求項4に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記送信先は、前記他のヘッドマウントディスプレイ装置であること、
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記情報は、自装置の表示部が視覚可能な位置にあるか否かを特定する情報であり、
前記配信元又はヘッドマウントディスプレイ装置は、前記情報が、自装置の表示部が視覚可能な位置にあることを特定する情報である場合には、動画データを送信し、前記情報が、自装置の表示部が視覚可能な位置にないことを特定する情報である場合には、音声データを送信すること、
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項8】
請求項1から6の何れか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ装置であって、
前記情報は、自装置の表示部に受信した映像データを使用しているか否かを特定する情報であり、
前記配信元又はヘッドマウントディスプレイ装置は、
前記情報が、自装置の表示部に受信した映像データを使用していることを特定する情報である場合には、動画データを送信し、前記情報が、自装置の表示部に受信した映像データを使用してないことを特定する情報である場合には、音声データを送信すること、
を特徴とするヘッドマウントディスプレイ装置。
【請求項9】
自装置の状態を特定する情報を、前記管理サーバに送信する処理を行う状態情報処理部と、
前記情報に対応して、前記管理サーバから音声データを受信した場合には、受信した音声データをスピーカに出力し、前記管理サーバから映像データ及び音声データを有する動画データを受信した場合には、前記映像データを表示部に出力し、前記音声データをスピーカに出力する処理を行う入出力情報処理部と、を有するヘッドマウントディスプレイ装置と、
前記ヘッドマウントディスプレイ装置より受信した前記情報に対応して、他のヘッドマウントディスプレイ装置が送信した動画データ、または、前記動画データより抽出された音声データ、を選択して、前記ヘッドマウントディスプレイ装置に送信する処理を行う配信情報処理部を有する管理サーバと、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項10】
自装置の状態を特定する情報を、他のヘッドマウントディスプレイ装置に送信する処理を行う状態情報処理部と、
前記情報に対応して、前記他のヘッドマウントディスプレイ装置から音声データを受信した場合には、受信した音声データをスピーカに出力し、前記他のヘッドマウントディスプレイ装置から映像データ及び音声データを有する動画データを受信した場合には、前記映像データを表示部に出力し、前記音声データをスピーカに出力する処理と、
前記他のヘッドマウントディスプレイ装置より受信した前記情報に対応して、動画データ、または、前記動画データより抽出された音声データ、を選択して、前記他のヘッドマウントディスプレイ装置に送信する処理と、
を行う入出力情報処理部と、を有する複数のヘッドマウントディスプレイ装置を備えること、
を特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−283645(P2010−283645A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135954(P2009−135954)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】