説明

ヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造

【課題】フロントバンパカバーの組み付け性の向上。
【解決手段】ランプ400の傾斜面400Aは、車両側搭載部品50の先端部50Aに当接し、フロントバンパカバー100をガイドして組付軌跡(矢印K)を形成する。よって、フロントバンパカバー100を組み付ける際、フロントバンパカバー100は、クランプ400の傾斜面400Aにガイドされ、所定の組付軌跡(矢印Kを参照)に沿って容易に組み付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両のヘッドランプレンズに洗浄液を吹き付けて洗浄するヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーナノズルから洗浄液を噴射してヘッドランプのヘッドランプレンズに吹き付け、レンズ表面の汚れを除去するヘッドランプクリーナ(ヘッドランプウォッシャ)を備えた車両が知られている。洗浄液を収容するクリーナタンクには洗浄液を圧送するポンプが設けられ、クリーナポンプとクリーナノズルとの間がクリーナホースで接続されている。このクリーナホースは、フロントバンパカバーの内側(車両後方側)に取り回されるのが一般的とされている。
【0003】
クリーナホースを保持するクリーナホースの保持構造の一例として、フロントバンパカバーのヘッドランプレンズの内側に配置されたエネルギーアブソーバ(樹脂製)に、クリーナホースを保持する保持手段が設けられたクリーナホースの保持構造が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平07−61330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造は、クリーナホースは確実に保持される。しかし、フロントバンパカバーの組み付け性については、更なる向上が求められている。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、フロントバンパカバーの組み付け性を向上させたヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造は、車両のヘッドランプレンズに洗浄液を吹き付けて洗浄するヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造であって、車両前方側端部に組み付けられたフロントバンパカバーと、前記車両前方側端部に設けられ、前記フロントバンパカバーの内側に配設された車両側ガイド部材と、前記フロントバンパカバーの内側に取り回され、前記ヘッドランプレンズに吹き付ける洗浄液が流れるクリーナホースと、前記フロントバンパカバーの内側面に設けられ前記クリーナホースを保持するクリーナホース保持部を有する保持部と、前記保持部に設けられ、前記フロントバンパカバーの組み付け時に、前記車両側ガイド部材に当接し、前記フロントバンパカバーをガイドして組付軌跡を形成するガイド面と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造では、クリーナホースはフロントバンパカバーの内側に取り回されると共に、フロントバンパカバーの内側面に設けられた保持部のクリーナホース保持部で保持される。また、保持部にはガイド面が設けられ、このガイド面は、フロントバンパカバーの組み付け時に、車両前方側端部に設けられた車両側ガイド部材に当接し、フロントバンパカバーをガイドして組付軌跡を形成する。
【0008】
よって、フロントバンパカバーの組付時に、ガイド面が車両側ガイド部材に当接してフロントバンパカバーをガイドすることで、フロントバンパカバーが組付軌跡に沿って容易に組み付けられる。従って、フロントバンパカバーの組み付け性が向上される。
【0009】
請求項2に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造は、請求項1に記載の保持構造において、前記ガイド面は、前記クリーナホース保持部よりも車両後方側に設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造では、車両側ガイド部材に当接するガイド面がクリーナホースを保持しているクリーナホース保持部よりも車両後方側に設けられているので、車両側ガイド部材が保持部に保持されているクリーナホースに当って押し、フロントバンパカバーとの間に挟まれ(かみこまれ)、組み付け不良となることが、防止される。つまり、フロンバンパカバーの組み付け性が更に向上される。
【0011】
請求項3に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造は、請求項1又は請求項2に記載の保持構造において、前記保持部は、ワイヤーハーネスを保持するワイヤーハーネス保持部を有することを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造では、保持部はクリーナホースに加え、ワイヤーハーネスも保持可能であるので、ワイヤーハーネス専用のワイヤーハーネス保持部材を別途設ける必要がない。よって、部品点数が削減され、その結果、製造コストが削減される。
【0013】
請求項4に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造は、請求項3に記載の構造において、前記ワイヤーハーネス保持部は、前記クリーナホース保持部よりも車両前方側に設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースでは、細長いワイヤーハーネスがクリーナホースの後側(車両前方側)に隠れるので、フロントバンパカバーとの間に挟まれ(かみこまれ)、組み付け不良となることが、より確実に防止される。つまり、フロントバンパカバーの組み付け性が更に向上される。
【0015】
請求項5に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の構造において、前記保持部は前記フロントバンパカバーとは別部品で構成され、前記保持部は前記フロントバンパカバーの内側面に固定されていることを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造では、別部品とされた保持部がフロントバンパカバーの内側面に固定される。よって、保持部をフロントバンパカバーに一体成形する場合と比較し、フロントバンパカバーの樹脂成形が容易とされる(成形性が良い)。
【0017】
請求項6に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造は、請求項5に記載の保持構造において、前記保持部は、前記フロントバンパカバーの前記内側面に接合される台座部を有することを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造では、保持部は、台座部がフロントバンパカバーの内側面に接合されることで固定される。よって、例えば、フロントバンパカバーに孔をあけることなく、保持部をフロントバンパカバーの内側面に固定できるので、フロントバンパカバーの外観品質が低下されない。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように請求項1に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造によれば、フロントバンパカバーの組み付け性を向上させることがきる、という優れた効果を有する。
【0020】
請求項2に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造によれば、車両側ガイド部材とフロントバンパカバーとの間にクリーナホースが挟まれ(かみこまれ)、組み付け不良となることを防止することができる、という優れた効果を有する。
【0021】
請求項3に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造によれば、製造コストを削減することができる、という優れた効果を有する。
【0022】
請求項4に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造によれば、ワイヤーハーネスがフロントバンパカバーとの間に挟まれ(かみこまれ)、組み付け不良となることを、より確実に防止することができる、という優れた効果を有する。
【0023】
請求項5に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造によれば、フロントバンパカバーを容易に樹脂成形することができる、という優れた効果を有する。
【0024】
請求項6に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造によれば、フロントバンパカバーの外観品質を低下させることなく、保持部をフロントバンパカバーの内側面に固定することができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図1から図6を用いて、本発明におけるヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、図中の矢印UPは車両上方向を示し、矢印FRは車両前方側方向を示し、矢印OUTは車両幅方向外側方向を示す。
【0026】
図1に示すように、車両幅方向に延在するフロントバンパカバー100が車両10の車両前方側端部12に組み付けられている(図2も参照)。フロントバンパカバー100は、樹脂成形により形成され、外側面が意匠面を構成する。フロントバンパカバー100の車両後方側には、ウレタン等の樹脂で形成されたバンパアブソーバ14が配設されている。バンパアブソーバ14の車両後方側には、バンパリインフォースメント16が車両幅方向を長手方向として配設されている。なお、バンパリインフォースメント16の車両幅方向両端部は、車両幅方向両端部に車両前後方向に沿って配設された一対のフロントサイドメンバ(図示省略)の前端部に接合されている。
【0027】
フロントバンパカバー100には、走行時に冷却風を取り入れるための導風孔101が開口されている(図2も参照)。フロントバンパカバー100の導風孔101の車両下方側の下部102の縦断面形状は、車両後方側が開口された略U字形状とされている。この下部102の内側の上部には、車両前方側下端部12Aに設けられた車両側搭載部品50が配設されている(図4(B)も参照)。下部102の内側の下部(車両側搭載部品50の下方)には、後述するクリーナホース306が車両幅方向に沿って配設されている(図2参照)。
【0028】
車両幅方向の左側端部には、ハイビームとロービームとが一体的に構成されたヘッドランプ80が設けられている。同様に、右側端部にもヘッドランプ80が設けられている。なお、左右のヘッドランプ80は、左右対称である以外は、同様の構造であるので、特に左右を区別しないで説明する。
【0029】
図2に示すように、フロントバンパカバー100の上部における車両幅方向両外側部分(角部)に、第一レンズ配設部120が形成されている。第一レンズ配設部120には、ヘッドランプ80のロービーム側レンズ82(図1と図3を参照)が配設される。また、フロントバンパカバー100の上部における第一レンズ配設部120の車両幅方向中央側に隣接する位置に、第二レンズ配設孔部126が形成されている。第二レンズ配設孔部126には、ヘッドランプ80のハイビーム側レンズ84(図1と図3を参照)が配設される。なお、上述したロービーム側レンズ82及びハイビーム側レンズ84(図1と図3を参照)が、本発明における「ヘッドランプレンズ」に相当する。
【0030】
つぎに、本実施形態に係る車両10が備えるヘッドランプクリーナ200について説明する。
【0031】
図2に示すように、車両10には、ロービーム側レンズ82及びハイビーム側レンズ84(図1と図3を参照)に洗浄液を吹き付けて洗浄するヘッドランプクリーナ200が設けられている。ヘッドランプクリーナ200は、洗浄液を収容するクリーナタンク202を有し、クリーナタンク202の側部には洗浄液を圧送させるクリーナポンプ204が設けられている。クリーナポンプ204には吐出口204Aが形成されており、この吐出口204Aにクリーナホース302の一端が接続される。クリーナホース302の他端は、略T字形状の分岐管350の流入口350Aに接続される。分岐管350はクリーナポンプ204によって圧送されてきた洗浄液を、左右のヘッドランプ80(図1、図3参照)に分岐させる。分岐管350の排出口350Bにはクリーナホース304の一端が接続され、分岐管350の排出口350Cにはクリーナホース306の一端が接続される。クリーナホース304及びクリーナホース306のそれぞれ他端は、略T字形状の分岐管360の流入口360Aに接続される(図3も参照)。分岐管360はヘッドランプ80のロービーム側レンズ82とハイビーム側レンズ84とに洗浄液を分岐させる。そして、これらの分岐管350排出部362、364に、各リーナノズル370がそれぞれ接続される。
【0032】
図3に示すように、クリーナノズル370は洗浄液を噴出し、ロービーム側レンズ82の表面又はハイビーム側レンズ84のレンズ表面に洗浄液を吹き付ける円板状の噴出部372を備えている。クリーナノズル370には、噴出部372に接続され、L字に屈曲した管状の接続部374を備えている。接続部374は、第一レンズ配設部120と第二レンズ配設孔部126とに形成された楕円形状の貫通孔122、128に挿入され、前述した分岐管360の排出部362、364に接続される。また、各クリーナノズル370は、板バネ54(図2を参照、図2では一つのみ図示)をフロンバンパカバー100に取り付けることで、クリーナノズル370の位置ずれが防止される。なお、上述した構成は、図3では示されていない車両左側のヘッドランプ80についても同様である。
【0033】
ここで、ヘッドランプクリーナ200は、乗員が図示しない操作部を操作することによりクリーナポンプ204が駆動され、クリーナタンク202の洗浄液がクリーナホース302、304、306を流れ、クリーナノズル370に圧送される。そして、クリーナノズル370に噴出部372から洗浄液が噴射され、ロービーム側レンズ82及びハイビーム側レンズ84のレンズ表面に洗浄液が吹き付けられることによって、レンズ表面の汚れが除去される(レンズ表面が洗浄される)。
【0034】
さて、図2に示すように、上述したクリーナホース302、304、306は、フロントバンパカバー100の内側(車両後方側)を取り回される。このうち、クリーナホース306は、フロントバンパカバー100の下部102の下面102Aに車両幅方向に沿って配設される。
【0035】
フロントバンパカバー10の下部102の下面102Aの車両幅方向の中央及び両外側部分の合計三箇所にクランプ400(図5も参照)が固定され、これらのクランプ400に、クリーナホース306が保持されている(図1及び図4(B)も参照)。なお、フロントバンパカバー100の下部102に固定されているクランプ400でクリーナホース306が保持されている構造が、本発明に係るヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造15とされる(図1及び図4(B)を参照)。
【0036】
つぎに、クランプ400について詳しく説明する。なお、以下、車両前方側や車両幅方向等の記載は、フロントバンパカバー100の下部102の下面102Aにクランプ400が固定されている状態における方向を表している。
【0037】
図4と図5とに示すように、クランプ400は、板状の台座部402を有している。この台座部402の上部にクリーナホース保持部410とガイド部404とが形成されている。
【0038】
クランプ400のクリーナホース保持部410は、台座部402の車両上部側部分(台座部402の上部における車両後方側部分)に形成され、車両上方側が開口された略円筒状(溝状)とされている。また、クリーナ保持部410は、車両幅方向を長手方向(溝方向)として配設されている。
【0039】
クランプ400のガイド部404は、クリーナホース保持部410の車両後方側に形成されている。ガイド部404は、車両前方側に向かうに従って上り勾配とされた傾斜面404Aを有している。傾斜面404Aは、クリーナホース保持部410の車両上方側端部410Lと台座部402の車両前方側辺部402Lとの間に亘って形成されている。なお、台座部402の車両前方側の端面402Aは、車両前方側に向かうに従って上り勾配とされた傾斜面とされ、ガイド部404の傾斜面404Aとで一体的な傾斜面が構成されている。つまり、車両後方側からみると、ガイド部404の傾斜面404Aと台座部402の端面402Aとで、逆T字形状の傾斜面400Aが形成される。なお、この傾斜面400Aが本発明における「ガイド面」に相当する。
【0040】
つぎに、クリーナホースの取付作業の説明とフロントバンパカバーの組付作業(組付方法)の説明とを通して、本実施形態の作用について説明する。
【0041】
図2に示すように、フロントバンパカバー100の下部102の下面102Aの車両幅方向の中央及び両サイドの計三箇所にクランプ400の台座部402を接合し固定する。なお、本実施形態においては、クランプ400は両面テープ(図示略)にて接合する。
【0042】
予めクリーナホース302、304、306を分岐管350、360に接続し、アッセンブリ化したのち、クリーナホース302の一端をクリーナポンプ204の吐出口204Aに接続する。そして、クリーナホース302、304、306をフロントバンパカバー100の内側(車両後方側)に取り回し、各分岐管360の接続部362、364をクリーナノズル370の接続部374に接続する。
【0043】
このとき、クリーナホース306を、フロントバンパカバー100の下部102の上面102の各クランプ400のクリーナホース保持部410に、車両上方側から押し込んで挿入し保持させる。
【0044】
このようにして、クリーナホースの取付作業が終了したのち、フロントバンパカバー100を組み付ける。なお、図4(A)に示すように、車両前側端下部12Aには、予め車両側搭載部品50が組み付けられている(先付けされている)。
【0045】
図4(A)から図4(B)へと示すように、フロントバンパカバー100を、車両前方側から車両後方側に向かって組み付ける。つまり、フロントバンパカバーの組付方向は、両前方側から車両後方側とされる。なお、正確には、図4(A)に示すように、フロントバンパカバー100は若干、車両前方側を上方に持ち上げて傾けた状態で、車両後方側に押し込むようして組み付ける。
【0046】
フロントバンパカバー100を組み付ける際、クランプ400の傾斜面400A(傾斜面404A及び端面402A)を車両側搭載部品50の先端部50Aに当接させる。そして、傾斜面400Aに車両側搭載部品50の先端部50Aを当接させた状態で、フロントバンパカバー100を車両後方側に押し込むことで、フロントバンパカバー100が傾斜面400Aにガイドされ、所定の組付軌跡(矢印Kを参照)に沿って組み付けられる。換言すると、クランプ400の傾斜面400Aは、車両側搭載部品50の先端部50Aに当接し、フロントバンパカバー100をガイドして組付軌跡(矢印K)を形成する。
【0047】
このように、フロントバンパカバー100の組付構造及び組付方法を用いれば、フロントバンパカバー100の組付時に、クランプ400の傾斜面400Aを車両側搭載部品50の先端部50Aに当接させることで、フロントバンパカバー100がガイドされ、フロントバンパカバー100が組付軌跡(矢印K)に沿って容易に組み付けられる。
【0048】
さて、図6に示すように、クランプ400でクリーナホース306が保持されていない場合(クランプ400を有しない構造の場合)、車両側搭載部品50の先端部50Aがクリーナホース304に当って押し、その結果、クリーナホース304が持ち上げられてフロントバンパカバー100の下部102の天面102Bとの間に挟まれ、クリーナホース306が正規の位置に取り回されていない状態になる可能性がある。
【0049】
これに対して、本実施形態のクリーナホースの保持構造15は、前述したように、クリーナホース306はフロントバンパカバー100の下部102の下面102Aに設けられたクランプ400のクリーナホース保持部410で保持されると共に、クランプ400の傾斜面400Aが車両側搭載部品50に当接してフロントバンパカバー100を組付軌跡に沿ってガイドすることで、フロントバンパカバー100が容易に組み付けられる。つまり、クランプ400でクリーナホース304が保持されていない場合(クランプ400を有しない構造のあ場合)と比較し、フロントバンパカバー100の組付性が向上される。
【0050】
特に本実施形態では、クランプ400の傾斜面400Aがクリーナホース306を保持しているクリーナホース保持部410よりも車両前方側、すなわち、組付方向上流側に設けられているので、車両側搭載部品50がクリーナホース306に当たり、クリーナホース306が正規の位置に取り回されていない状態になる可能性が、より確実に防止される。つまり、フロントバンパカバー100の組付性が更に向上される。
【0051】
また、走行中、クリーナホース306がバタつき、フロントバンパカバー100の下部102の下面102に衝突することにより発生する打音(異音)が防止又は軽減される。
【0052】
また、本実施形態においては、既存の車両側搭載部品50を、組付軌跡を形成するための車両側ガイド部材として利用しているので、車両側ガイド部材を別途設ける必要がない。つまり、部品点数が削減され、この結果、製造コストが削減される。
【0053】
また、クリーナホース保持部410とガイド部404(傾斜面400A)とが一体的に構成されたクランプ400を、フロントバンパカバー100の下部102の下面102Aに接合する構成とされているので、フロントバンパカバー100にクリーナホース保持部410とガイド部404(傾斜面400A)とを一体成形する構成と比較し、フロントバンパカバー100の樹脂成形が容易とされる(成形性が良い)。
【0054】
また、クランプ400の台座部402が、フロントバンパカバー100の下部102の下面102Aに両面テープで接合されている。よって、例えば、フロントバンパカバー100に取付孔をあけてスナップフィット構造で固定する構造と比較し、取付孔を形成する必要がないので、フロントバンパカバー100の外観品質が向上される。
【0055】
なお、本実施形態では、クリーナホース306は、クランプ400でのみ保持されていたが、これに限定されない。例えば、クランプ400の間、及びクランプ400の車両幅方向外側に従来のクランプ(ガイド部や台座部を有しないクランプ)を設けて(従来のクランプも併用して)、クリーナホース306を、よりしっかりと保持してもよい。
【0056】
つぎに、クランプの変形例について説明する。
【0057】
まず、第一変形例について説明する。図7に示すように、第一変形例のクランプ500は、クリーナホース306を保持するクリーナホース保持部410に加え、ワイヤーハーネス506を保持するワイヤーハーネス保持部512が設けられている。ワイヤーハーネス保持部512は、クリーナホース保持部410の車両前方側に形成され、車両前方側が開口された略コ字状とされている。そして、ワイヤーハーネス保持部512にワイヤーハーネス506を挿入し挟むことで、ワイヤーハーネス506が保持される。なお、ワイヤーハーネス506は、クリーナホース306よりも外径が小さい。
【0058】
つぎに、第二変形例について説明する。図8に示すように、第二変形例のクランプ600は、クリーナホース保持部410に加え、ワイヤーハーネス506を保持するワイヤーハーネス保持部612が形成されている。ワイヤーハーネス保持部612は、クリーナホース保持部410から車両後方側に延出され、先端部分が車両下方側に屈曲されたL字形状とされている。そして、図8(B)に示すように、ワイヤーハーネス保持部612とフロントバンパカバー100の下部102の下面102Aとの間にワイヤーハーネス506を挟むことで保持される。
【0059】
このように第一変形例のクランプ500及び第二変形例のクランプ600は、クリーナホース306に加え、ワイヤーハーネス506も保持可能とされているので、別途ワイヤーハーネス506を保持する専用のクランプなどが不要とされる。つまり、部品点数が削減され、この結果、製造コストが削減される。
【0060】
また、外形が小さく細長いワイヤーハーネス506が、クリーナホース306の後側(車両前方側)に隠れているので、フロントバンパカバー100との間に挟まれ(かみこまれ)、ワイヤーハーネス506が正規の位置に取り回されていない状態になることが、より確実に防止される。
【0061】
なお、上記変形例のワイヤーハーネス506は、フロントバンパカバー100に配設されたセンサー(検知手段)、例えば、オプション品として装着されているクリアランスソナー19(図1を参照)に接続されている。
【0062】
クリアランスソナー19は、縦列駐車や車庫入れ等の駐停車時等に、フロントバンパ12のフロントバンパカバー100が障害物に接近し過ぎた場合に警告を発するべく、障害物との距離を超音波で測定する。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0064】
例えば、上記実施形態では、クランプ400、500、600は、台座部402がフロントバンパカバー100の下部102の下面102Aに両面テープで接合されることで固定されていたが、これに限定されない。例えば、両面テープでなく接着剤によって接着されていてもよいし、フロントバンパカバーに取付孔を形成し、スナップフィット構造等で固定されてもよい。更に、フロントバンパカバーの成形性を考慮する必要性が低い等の場は、クランプ(クリーナホース保持部とガイド部)がフロントバンパカバーと一体成形されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る実施形態のクリーナホースの保持構造が適用された車両の前方側下端部を示す車両前後方向に沿った縦断面図である。
【図2】本発明に係る実施形態のクリーナホースの保持構造が適用された車両におけるヘッドランプクリーナを取り付ける前の状態を示し、フロントバンパカバーを車両後方側からみた斜視図である。
【図3】車両右側のヘッドランプ部分を拡大して示す斜視図である。
【図4】図1のフロントバンパカバーの下部部分を拡大して示すと共に、フロントバンパカバーの組み付けを(A)から(B)に順番に示す説明図である。
【図5】本発明に係る実施形態のクリーナホースの保持構造のクランプを示す斜視図である。
【図6】クランプでクリーナホースが保持されていないフロントバンパカバーの組み付けにおいて、クリーナホースがフロントバンパカバーとの間に挟まれて組付不良となる様子を(A)から(B)に順番に示す説明図である。
【図7】第一変形例のクランプを示す斜視図である。
【図8】(A)は第二変形例のクランプを示す斜視図であり、(B)は(A)のクランプを用いてクリーナホースとワイヤーハーネスを保持した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0066】
10 車両
12 車両前方側端部
12A 車両前方側下端部(車両前方側端部の下端部)
15 クリーナホースの保持構造。
50 車両側搭載部品(車両側ガイド部材)
82 ロービーム側レンズ(ヘッドランプレンズ)
84 ハイビーム側レンズ(ヘッドランプレンズ)
100 フロントバンパカバー
102A 下面(内側面)
200 ヘッドランプクリーナ
306 クリーナホース
400 クランプ(保持部)
400A 傾斜面(ガイド面)
402 台座部
404 ガイド部
410 クリーナホース保持部
500 クランプ(保持部)
506 ワイヤーハーネス
512 ワイヤーハーネス保持部
600 クランプ(保持部)
612 ワイヤーハーネス保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のヘッドランプレンズに洗浄液を吹き付けて洗浄するヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造であって、
車両前方側端部に組み付けられたフロントバンパカバーと、
前記車両前方側端部に設けられ、前記フロントバンパカバーの内側に配設された車両側ガイド部材と、
前記フロントバンパカバーの内側に取り回され、前記ヘッドランプレンズに吹き付ける洗浄液が流れるクリーナホースと、
前記フロントバンパカバーの内側面に設けられ、前記クリーナホースを保持するクリーナホース保持部を有する保持部と、
前記保持部に設けられ、前記フロントバンパカバーの組み付け時に、前記車両側ガイド部材に当接し、前記フロントバンパカバーをガイドして組付軌跡を形成するガイド面と、
を備えることを特徴とするヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造。
【請求項2】
前記ガイド面は、前記クリーナホース保持部よりも車両後方側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクリーナホースの保持構造。
【請求項3】
前記保持部は、ワイヤーハーネスを保持するワイヤーハーネス保持部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造。
【請求項4】
前記ワイヤーハーネス保持部は、前記クリーナホース保持部よりも車両前方側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造。
【請求項5】
前記保持部は、前記フロントバンパカバーとは別部品で構成され、前記保持部は前記フロントバンパカバーの内側面に固定されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造。
【請求項6】
前記保持部は、前記フロントバンパカバーの前記内側面に接合される台座部を有することを特徴とする請求項5に記載のヘッドランプクリーナのクリーナホースの保持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−149139(P2009−149139A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326980(P2007−326980)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】