説明

ヘテロ二重鎖による濃縮

本発明は、特異的な標的配列の濃縮に関する。濃縮は、特異的な標的配列を含むヘテロ二重鎖を形成し、次いで、当該ヘテロ二重鎖の特異的な開裂を行うことによって達成することができる。次いで、結合部分を、開裂させたヘテロ二重鎖に付加すると、それに続く、ヘテロ二重鎖中の特異的な標的配列の操作が可能となる。この方法は、当該ヘテロ二重鎖を環状化して、環状化へテロ二重鎖(CHET)を形成するステップと、CHETを、ミスマッチ塩基対を認識する酵素を使用して優先的に切断して、二重鎖を形成するステップと、結合部分を当該二重鎖につなげて、結合部分二重鎖を形成するステップとを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
核酸の濃縮のための方法および組成物を提供する。具体的な実施形態は、ヘテロ二重鎖分子の形成による核酸配列の濃縮に関する。
【背景技術】
【0002】
(緒言)
種々の酵素は、核酸配列のヘテロ二重鎖中のミスマッチ塩基対において、切断しまたは切れ目を入れることが可能である。ミスマッチ塩基対を制限部位として使用することができ、そのようなミスマッチを含有する核酸配列の任意のハイブリダイズしたセットを、ミスマッチ塩基対においてまたはその付近で、相対的に選択的に切断することが可能となる。対をなす核酸配列の特定のセットを使用して、特定のミスマッチを生み出すことによって、制限部位を、任意のセットのハイブリダイズした核酸配列中に有効に付加することが可能となる。したがって、核酸配列のミスマッチ依存性の切断を得ることが可能となる。いくつかの状況では、このミスマッチ依存性の開裂を使用して、これらの開裂させた産物をゲル上に流すことによって、ミスマッチがどこにあるかを同定することができる。断片の大きさに注目することによって、最初のミスマッチの部位の場所を決めることが可能となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(要旨)
いくつかの態様では、核酸配列の濃縮のための方法を提供する。この方法は、第1の核酸配列および第2の核酸配列を含むヘテロ二重鎖を形成するステップを含む。当該ヘテロ二重鎖は、第1の核酸配列と第2の核酸配列との間で、少なくとも1つのミスマッチ塩基対を含む。この方法は、当該ヘテロ二重鎖を環状化して、環状化へテロ二重鎖(CHET)を形成するステップと、CHETを、ミスマッチ塩基対を認識する酵素を使用して優先的に切断して、二重鎖を形成するステップと、結合部分を当該二重鎖につなげて、結合部分二重鎖を形成するステップとを含むことができる。いくつかの実施形態では、当該結合部分は、核酸配列につながり、その結果、結合部分核酸配列(BMNAS)を形成する。いくつかの実施形態では、BMNASは、相互にハイブリダイズした2つの核酸配列および結合部分を含む。この方法は、結合部分を選択し、それによって、結合部分につながっている核酸を濃縮するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、選択は、結合部分に結合する精製部分を使用することによって達成することができ、それによって、第2の核酸配列が濃縮される。
【0004】
いくつかの態様では、優先的な切断を、ミスマッチ塩基対に対してあらかじめ決定した場所において行う。いくつかの態様では、Endo Vを使用して、CHETを切断する。いくつかの態様では、優先的な切断を、ミスマッチ塩基対から1塩基対離れた場所において行う。いくつかの態様では、この方法は、核酸のホモ二重鎖を形成するステップと、ホモ二重鎖を環状化して、環状化ホモ二重鎖(CHOM)を形成するステップとをさらに含む。CHOMは、ミスマッチ塩基対を含有せず、ホモ二重鎖の形成および環状化は、ヘテロ二重鎖の形成および環状化と一緒に実施される。いくつかの態様では、CHETを優先的に切断するステップでは、CHOMが顕著に切断されない。いくつかの態様では、BMNASは、第1の制限部位をさらに含む。いくつかの態様では、BMNASは、第2の制限部位をさらに含み、制限部位のそれぞれが、核酸配列の対向する末端においてまたはその付近に位置する。いくつかの態様では、結合部分は、ビオチンを含む。いくつかの態様では、2つ以上の型のBMNASを使用し、当該BMNASは、縮重した5’末端および3’末端を有してよい。いくつかの態様では、少なくとも16個のBMNASを使用し、各BMNASは、異なる5’末端配列と3’末端配列との組合せを有する。いくつかの態様では、少なくとも1024個のBMNASを使用し、各BMNASは、異なる5’末端配列と3’末端配列との組合せを有する。いくつかの態様では、結合部分二重鎖を切断して、切断結合部分二重鎖(CBMD)を形成する追加のステップがある。いくつかの態様では、切断を、BMNAS内の制限部位によって制御する。いくつかの態様では、切断を、II型またはIII型の切断酵素によって行う。いくつかの態様では、切断を、切断用制限部位から約30塩基対離れて行う。いくつかの態様では、第2の核酸配列を同定する追加のステップがある。いくつかの態様では、ミスマッチ塩基対を同定する追加のステップがある。いくつかの態様では、同定を、ミスマッチ塩基対を配列決定することによって行う。いくつかの態様では、第1のアダプターを、CBMDの第1の末端に付加する追加のステップがある。いくつかの態様では、第2のアダプターを、CBMDの第2の末端に付加する追加のステップがある。第1のアダプターと第2のアダプターは、同一である必要はなく、異なってよい。いくつかの態様では、第1のアダプターは、第1のプライマー部位であり、第2のアダプターは、第2のプライマー部位である。いくつかの態様では、第1のプライマー部位および第2のプライマー部位を使用して、2つのプライマー部位の間の配列を増幅する追加のステップがある。いくつかの態様では、増幅を、エマルジョンPCRによって達成する。いくつかの態様では、増幅した配列を配列決定する追加のステップがある。いくつかの態様では、この方法を、in vitroで実施する。いくつかの態様では、第2の核酸配列の濃縮は、結合部分を精製部分に結合させることによって行う。いくつかの態様では、第2のCHETを形成する追加のステップがあり、第1のCHETと第2のCHETとは、異なるミスマッチ塩基対を有する。いくつかの態様では、少なくとも100個のCHETを形成し、それぞれが、異なるミスマッチ塩基対を有する。いくつかの態様では、少なくとも1000個のCHETを形成し、それぞれが、異なるミスマッチ塩基対を有する。いくつかの態様では、第1の核酸はDNAを含む。いくつかの態様では、第2の核酸はDNAを含む。いくつかの態様では、ヘテロ二重鎖の形成の間には、第2の核酸配列よりも多い第1の核酸配列がある。いくつかの態様では、ヘテロ二重鎖の形成の間に存在する第1の核酸配列の第2の核酸配列に対する比は、5:1以上である。いくつかの態様では、ヘテロ二重鎖の形成の間に存在する第1の核酸配列の第2の核酸配列に対する比は、100:1以上である。いくつかの態様では、ヘテロ二重鎖の形成の間に存在する第1の核酸配列の第2の核酸配列に対する比は、1000:1以上である。
【0005】
いくつかの態様では、核酸配列の濃縮のための方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、試料に、第1の核酸配列(FNAS)および第2の核酸配列(SNAS)を提供するステップと、FNASおよびSNASの相補鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2つのプライマーを提供するステップと、ポリメラーゼを提供するステップと、試料、プライマーおよびポリメラーゼを組み合わせて、ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成するステップと、ポリメラーゼ連鎖反応混合物に対して1回または複数回のポリメラーゼ連鎖反応サイクルを行って、ポリメラーゼ連鎖反応伸長産物を生み出すステップと、ポリメラーゼ連鎖反応伸長産物を変性させて、FNASとSNASを分離するステップと、ポリメラーゼ連鎖反応伸長産物をアニールして、FNASおよびSNASを含むヘテロ二重鎖を形成し、かつFNASを含むホモ二重鎖を形成するステップとを含む。この方法は、ヘテロ二重鎖を環状化して、環状化へテロ二重鎖(CHET)を形成するステップと、ホモ二重鎖を環状化して、環状化ホモ二重鎖(CHOM)を形成するステップと、ミスマッチ塩基対から1塩基離れた場所においてヘテロ二重鎖を優先的に切断するエンドヌクレアーゼを提供するステップであって、前記ヘテロ二重鎖の切断は、ホモ二重鎖の切断よりも優先するステップと、CHET、CHOMおよびエンドヌクレアーゼを組み合わせて、エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物を形成するステップと、エンドヌクレアーゼが、CHETを、ミスマッチ塩基対から1塩基離れた場所において優先的に切断するように、エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物をインキュベートするステップと、複数の結合部分核酸配列(BMNAS)を提供するステップとをさらに含むことができる。BMNASは、二本鎖核酸配列、二本鎖核酸配列につながっているビオチン、各核酸配列上の2つのEcoP15I制限部位であって、一方の制限部位が、1つの核酸鎖の3’末端付近にまたは3’末端において位置し、第2の制限部位が、当該核酸鎖の5’末端付近にまたは5’末端において位置する制限部位、および各核酸配列のそれぞれの末端上の縮重した末端を有してよい。この方法は、BMNASを二重鎖に連結させて、結合部分二重鎖を形成するステップと、結合部分二重鎖を、EcoP15Iを使用して切断するステップと、結合部分二重鎖の濃度を、磁気ビーズを使用することによって高めるステップとをさらに含むことができる。この方法は、濃度が高まった結合部分二重鎖を、EcoP15Iを使用することによって切断して、切断結合部分二重鎖(CBMD)を形成するステップと、第1のアダプターをCBMDの第1の末端に付加させるステップと、第2のアダプターをCBMDの第2の末端に付加させるステップとをさらに含むことができる。第1のアダプターと第2のアダプターは、異なってよい。この方法は、第1のアダプターおよび第2のアダプターをプライミング部位として使用して、エマルジョンPCRを実施して、CBMDを増幅するステップと、CBMD上で、高度並行非電気泳動配列決定技法を実施して、ミスマッチ塩基対を同定するステップとをさらに含むことができる。
【0006】
本発明のこれらおよびその他の特色を、本明細書に記載する。
【0007】
以下に説明する図面は、説明のためのものに過ぎないことを当業者であれば理解するであろう。いずれの場合も、図面によって本教示の範囲を制限する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】核酸配列を濃縮するための1つの実施形態を示すフローチャートである。
【図2】ヘテロ二重鎖の核酸配列およびホモ二重鎖の核酸配列を形成する最初のステップを示す図である。
【図3】ホモ二重鎖の核酸配列およびヘテロ二重鎖の核酸配列を環状化するステップを示す図である。
【図4】ヘテロ二重鎖をミスマッチ依存性に切断し、一方、環状化ホモ二重鎖分子は、相対的にそのままに留まるステップを示す図である。
【図5】結合部分核酸配列の1つの実施形態を二重鎖中に挿入して、結合部分二重鎖を形成するステップを示す図である。
【図6】結合部分核酸配列の種々の実施形態の種々の部分を示す図である。
【図7】結合部分二重鎖(BMD)を切断して、切断結合部分二重鎖(CBMD)を形成するステップを示す図である。
【図8】結合部分を選択し、それによって、ミスマッチに関与する塩基対について試料を濃縮するステップを示す図である。
【図9】2つの異なるアダプターP1およびP2を、切断結合部分二重鎖に付加させるステップを示す図である。
【図10】第2の核酸配列のあるセクションが、第1の核酸配列のあるセクションの量と比べて濃縮される実施形態を示すフローチャートである。
【図11】実施例5に記載するミスマッチ配列のライブラリーを生み出すのに関連のあるステップのうちのいくつかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(種々の実施形態の説明)
本教示は、一般に、特定の核酸配列またはそのセクションの相対的な量を増加させるための組成物および方法を対象とする。多くの状況では、生検由来の細胞または組織の試料等の生物学的試料は、多様な、関連性の高い核酸配列を含有する場合がある。従来の分子生物学の技法が、試料中の一般的な核酸配列を同定するのには十分であることが多いが、相対的に珍しい核酸配列を見逃すこともしばしばある。これは、珍しい核酸配列の存在が、より一般的な、類似の核酸配列の存在によって隠されることによる。例えば、患者の組織生検の場合、細胞の大部分は、野生型配列を有する遺伝子を含有し得るが、一部の細胞、例えば、癌細胞は、配列中に変異を有する同一の遺伝子を含有する。癌細胞が、試験した細胞のうちのごく少数に属する場合には、変異した核酸配列のより小さな集団、したがって、癌自体が、検出されない場合がある。
【0010】
本実施形態のいくつかでは、(1つまたは複数の)相対的に珍しい核酸配列について濃縮するアッセイが関与する。1つのそのような実施形態について、図1において、一般的な概要を述べる。図1中、ステップ30において、ヘテロ二重鎖130を、例えば、2つの異なるホモ二重鎖を融解させ、それらの配列を再アニールすることによって形成する。ヘテロ二重鎖は、第1の核酸配列と第2の核酸配列との間にミスマッチを含む。ステップ40において、ヘテロ二重鎖を環状化して、環状化へテロ二重鎖(CHET140)を形成する。次に、ステップ50において、ヘテロ二重鎖を、ミスマッチ依存性の様式で選択的に切断して、二重鎖(150)を形成する。この切断は、塩基対のミスマッチの付近で行うことができる。これに続いて、ステップ60において、結合部分155を、二重鎖150に連結させて、結合部分二重鎖160を形成する。この時点で、ステップ80aにおいて、最初のヘテロ二重鎖を、結合部分の使用によって精製することができる。
【0011】
当業者であれば理解するであろうが、上記の方法によって、結合部分(BM)の、核酸配列のヘテロ二重鎖への有効な挿入が可能となり、それによって、ヘテロ二重鎖の操作が可能になり、その相対的な濃度を増加させることができる。さらに、BMは、ヘテロ二重鎖の核酸配列中に挿入されるが、ホモ二重鎖の部分中には有効に挿入されることはない。したがって、この方法によって、BMの、ホモ二重鎖よりも、ヘテロ二重鎖中への選択的な挿入が可能となる。それについて濃縮をねらう核酸配列を包含するヘテロ二重鎖を形成し、かつ増幅をねらわない配列を有するホモ二重鎖を形成することによって、この実施形態を使用して、核酸のある集団を、別の集団よりも選択的に濃縮することができる。
【0012】
さらに、図1に示すように、ヘテロ二重鎖中の核酸配列を特徴付け95、それによって、塩基対のミスマッチに関与する核酸を同定することもできる。上記したようにヘテロ二重鎖を精製80aする代わりに、ステップ70においては、BMDを、直接切断して、切断されたBMD(CBMD170)を形成し、次いで、ステップ80bにおいて、精製または濃縮することができる。この精製/濃縮に続いて、点突然変異を含む核酸を多様な方法で増幅することができる。いくつかの実施形態では、ステップ81および82において、第1のアダプターおよび第2のアダプター181および182をCBMDに付加する。次いで、ステップ90において、アダプターをプライミング部位として使用して、CBMDのPCR増幅を実施することができる。増幅したPCR産物を、配列決定によって特徴付ける95ことができる。したがって、ヘテロ二重鎖の核酸の両方の配列が決定されることになる。こうして、核酸配列の相対的な量を増加させることができる。さらに、核酸配列が、別の核酸配列とどのように異なるか(すなわち、どの核酸がミスマッチに関与しているか)を同定することも可能である。当業者であれば理解するであろうが、別の面では非常に類似する配列間の違いを同定する能力は、とりわけ、配列のうちの1つが相対的に少ないパーセントで存在する場合には、大きな利益を有する。この節では、本明細書で開示する実施形態のうちの特定のものの背後にある一般的な概念のうちのいくつかの概要を手短に述べてきたが、次の節に続いて、より詳細な説明を提示する。以下の節は、本明細書において使用する用語の一連の定義を提供する。
【0013】
定義:
「第1の核酸配列」(FNAS)は、1つまたは複数のその他の核酸配列と比較する核酸を意味する。FNASは、任意の長さまたは配列であってよい。FNASの例は、対象とする遺伝子、例えば、疾患または障害と関係がある遺伝子を包含する。いくつかの実施形態では、FNASは、SNASよりも、試料中に豊富に存在する。いくつかの実施形態では、FNASは「制御配列」であり、これは、この配列が既知であり、これに対して、別の配列の存在または特徴を試験することを意味するが、このことは逆転させてもよい。当業者であれば理解するであろうが、「核酸配列」は、タンパク質をコードする単なる遺伝子または核酸配列よりも広義である。
【0014】
「第2の核酸配列」(SNAS)は、特徴付けおよび/または濃縮する核酸を意味する。SNASは、任意の長さまたは配列であってよい。SNASは、対象とする遺伝子および核酸配列を包含することができ、これらは、例えば、疾患または障害と関係がある場合がある。いくつかの実施形態では、SNASは、FNASほどには豊富に存在しない。いくつかの実施形態では、SNASが標的配列であるが、このことは逆転させてもよい。
【0015】
本明細書において注目するように、FNASおよびSNASは、ワトソン−クリック塩基対形成を介して相互に結合して、ヘテロ二重鎖を形成することが可能である。当業者であれば理解するであろうが、FNASおよびSNASはまた、それらの間で、少なくとも1つ(いくつかの実施形態では、複数存在する場合があるが)の塩基対の違いも有する。この違いは、例えば、挿入、欠失であってよく、その長さは、2塩基対以上であってよい。また、いくつの実施形態では、FNASとSNASとが、十分に類似する場合には、最初のPCR増幅を、同一のセットのPCRプライマーを使用して実施して、FNASおよびSNASを増幅することができる。いくつかの実施形態では、FNASは、SNASとは、少なくとも1塩基対、例えば、1〜2、2〜3、3〜4、4〜6、6〜10、10〜15、15〜30、30〜60、60〜100、100〜200、またはそれを超える数の塩基対分異なる。FNASおよびSNASを用いてヘテロ二重鎖を形成し、環状化することができる限り、これら2つの間のいずれの大きさの違いも可能である。本明細書において注目するように、いくつかの実施形態では、FNASとSNASとは、1塩基分のみ異なる。したがって、いくつかの実施形態では、これら2つの配列の間で異なるのは、単一のヌクレオチドのみである。本明細書で使用する場合、FNASとSNASとがハイブリダイズするという場合、これは、それらが完全にハイブリダイズすることを意味するわけではないことを理解されたい。具体的には、塩基対のミスマッチに関与する塩基は、相互にハイブリダイズすることはない。本明細書において注目するように、いくつかの実施形態では、試料中またはヘテロ二重鎖の形成の間のFNASの量は、SNASの量よりも多い。いくつかの実施形態では、FNAS:SNASの比は、1:1、5:1、10:1、100:1、100:1、10,000:1、100,000:1、または1,000,000:1以上である(SNASと比較して、少なくともこの量のFNASがあることを意味する)。
【0016】
FNASおよび/またはSNASと共に使用する場合の「種」という用語は、相補的であり、ハイブリダイズ可能である必要がない異なる配列が含まれることを意味する。したがって、例えば、FNASおよびSNASの第1の種は、p53に関する遺伝子であってよく、一方、FNASおよびSNASの第2の種はチトクロームcをコードする遺伝子またはエンハンサーエレメントである核酸配列であってよい。
【0017】
「相補的なFNAS」は、FNASに対して完全に相補的な配列である。
【0018】
「相補的なSNAS」は、SNASに対して完全に相補的な配列である。
【0019】
「ホモ二重鎖」という用語は、FNASと相補的なFNASとのハイブリダイズしたもの、またはSNASと相補的なSNASとのハイブリダイズしたものを意味することを意図する。これらのハイブリダイズした対は、ミスマッチを欠く。
【0020】
「ヘテロ二重鎖」という用語は、(ハイブリダイゼーションに関与しない)塩基対のミスマッチを含有する、ハイブリダイズしたFNASとSNASとのセットを意味することを意図する。
【0021】
「ミスマッチ」という用語は、配列が第2の配列と部分的にハイブリダイズしているが、それ自体は、当該第2の配列上の塩基とは、適切にワトソン−クリック塩基対をなさない任意の塩基を意味することを意図する。ミスマッチにより、ミスマッチを含有しないが別の面では同一である類似の構造よりも、ミスマッチ依存性の酵素によって優先的に開裂または切断することが可能な構造が生じる。
【0022】
「環状化へテロ二重鎖」(CHET)は、閉鎖型ループに形成されているヘテロ二重鎖を意味する。このループは、核酸だけで作製される必要はない。
【0023】
「環状化ホモ二重鎖」(CHOM)は、閉鎖型ループに形成されているホモ二重鎖を意味することを意図する。このループは、核酸だけで作製される必要はない。
【0024】
「二重鎖」という用語は、本明細書においては別段の指定がない限り、開裂している環状化へテロ二重鎖を指す。しかし、当業者であれば理解するであろうが、この「二重鎖」は、次いで再度環状化することもでき、または結合部分二重鎖(Binding Moiety Duplex)と同様に、連結させ環状化するセクションを有してもよい。
【0025】
「結合部分二重鎖」(BMD)は、それにつながっている結合部分を有している二重鎖を意味する。好ましい実施形態では、BMDは、結合部分核酸配列を含み、この結合部分核酸配列は、結合部分を含む。BMDは、二重鎖および結合部分を含んでよく、またはいくつかの実施形態では、結合部分が核酸配列を介して二重鎖につながっている場合、BMDは、二重鎖および結合部分核酸配列(BMNAS)を含んでよい。
【0026】
「切断結合部分二重鎖」(CBMD)は、切断されており、したがって、最早環状ではないBMDを名詞として意味する。
【0027】
第1のアダプターおよび第2のアダプターは、CBMDのさらなる操作のために使用することができる核酸を意味する。具体的には、アダプターは、CBMDの増幅のために使用することができる。アダプターの例には、ポリA尾部およびPCRプライミング部位が含まれ得る。全てではないが、いくつかの実施形態では、第1のアダプターと第2のアダプターは、相互に異なり、したがって、2つの異なるプライマー(各アダプターについて1つ)を、増幅のために使用する。
【0028】
「優先的に切断する」という用語は、一部の状況に限って、酵素が核酸配列の両方の鎖を通して切断することを意味する。ヘテロ二重鎖を優先的に切断する酵素は、(1つまたは複数の)ミスマッチを形成する配列ではない、同一であるハイブリダイズした2つの鎖を有するホモ二重鎖よりも、ハイブリダイズした2つの鎖を有するヘテロ二重鎖を切断する。一般に、本明細書に記載する「優先的な」切断は、ホモ二重鎖の切断と、ヘテロ二重鎖の切断とを区別する。したがって、二重鎖中の鎖の精密な配列は、過度には重要でなない。
【0029】
「結合部分」(「BM」)は、当該結合部分につながっているいずれかのものの操作および/または制御のために使用することができる分子である。いくつかの実施形態では、これは、結合部分が、適切な条件下で、精製部分に相対的に特異的に結合することができることを意味する。結合部分は、例えば、結合部分核酸配列またはリンカーを介したポリペプチドとして二重鎖に付加することが可能である必要がある。結合部分と精製部分との間の相互作用は、結合部分およびそれに結び付いているいずれかのもの、具体的には二重鎖の濃縮および/または精製を可能とするように十分に強力である。当業者であれば理解するであろうが、より強力な相互作用は、有用であり、精製および緩衝液の条件のより広い範囲を可能とすることができるが、また、弱い相互作用も役に立つ場合がある。ビオチンが、結合部分の例である。いくつかの実施形態では、BMを二重鎖中への挿入部分として使用する。いくつかの実施形態では、BMのみが、二重鎖に共有結合によって接続している。例えば、これは、結合部分が、二重鎖に直接連結させることができる核酸配列である場合に生じ得る。そのようなBMの例が、DNAまたはRNAのアプタマーであり、その結果、それによって二重鎖を操作することができるBMの直接的な連結が可能となる。また、抗体によって結合させることができる核酸配列も使用することができる。その他の実施形態では、結合部分は、核酸配列ではなく、当該結合部分は、核酸配列を使用せずに二重鎖につながる。例えば、二重鎖中のある配列に対する抗体を使用してもよく、またはプローブを末端の核酸に結び付けるための任意の方法も使用してよい。しかし、多くの実施形態では、二重鎖に付加するセクションは、核酸配列および当該配列にすでにつながっている結合部分を包含する。上記で注目したように、いくつかの実施形態では、BMは、精製部分(PM)とは、BMの何らかの精製および/または濃縮を可能にするのに十分な程度で相互作用することが可能である。しかし、BMは、必ずしも精製部分を必要とするとは限らない。例えば、BMは、磁気的に制御可能な粒子であってよく、それに続くBMの精製が、磁場の使用によって可能となる。
【0030】
「精製部分」は、結合分子に特異的に結合する分子である。例えば、ビオチンが、結合部分である場合、ストレプトアビジンが、その同族の精製部分となり得る。別の例では、ジゴキシゲニンが、結合部分であってよく、抗ジゴキシゲニン抗体が、その同族の精製部分となり得る。
【0031】
「濃縮する」は、1つの種の量を増加させることを意味する。相対的または優先的な配列の濃縮は、1つの配列が、別の配列と比べて濃縮されていることを意味する。当業者であれば理解するであろうが、増幅されているのがヘテロ二重鎖であることが多いことから、ヘテロ二重鎖中の核酸配列の両方を、等しく増幅されているとして(各核酸配列が、ヘテロ二重鎖中に存在するとして)特徴付けることができる。しかし、例えば、第1の核酸配列が、第2の核酸配列よりも多い量で存在した最初の試料と比べて、第2の配列核酸が、優先的に増幅または濃縮されている。したがって、本発明によって処理されている試料が、50%のFNASおよび50%のSNASを含有しても、依然として、元々の試料中のFNASとSNASとの比率と比べて濃縮を行うことができる。SNASとFNASとを組み合わせた関数としてのSNASのパーセントが、最初の値より大きい限り、SNASのさらにより少ない量またはパーセントであっても許容される。さらに、いくつかの実施形態では、配列の全体が濃縮されているのではなく、ミスマッチ塩基およびいずれかの側上のバーコード(または対をなすタグ)のみが濃縮される。しかし、好都合なことには、依然として、濃縮または検出されているのが第2の核酸配列の一部に過ぎない場合であっても、この過程を、第2の核酸配列の相対的な濃縮として特徴付けることができる。
【0032】
「ミスマッチ依存性の酵素」は、塩基対ミスマッチの存在に基づいて核酸配列を開裂または切断することが可能な酵素を意味する。Endo Vが、ミスマッチ依存性の酵素の例である。種々のミスマッチ依存性の酵素の例、具体的には、Endo Vの変異体が、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている、Baranyらに対する米国特許出願公開第2003/0148283号に開示されている。当業者であれば理解するであろうが、いくつかの実施形態では、任意の形態のミスマッチ依存性の酵素が、現在の実施形態のうちのいくつかに有用であり得る。しかし、いくつかの実施形態では、ミスマッチの部位に近接して開裂するミスマッチ依存性の酵素が好ましい。さらに、いくつかの実施形態では、ミスマッチ依存性の酵素は、ミスマッチにおいては開裂しないが、少なくとも1または2塩基対離れて開裂する。しかし、このことが、全ての実施形態で要求されるわけではない。いくつかの実施形態では、ミスマッチ依存性の酵素は、Endo V、リボヌクレアーゼA、ミスマッチ開裂(CCM)、開裂、CEL I、t4エンドヌクレアーゼVII、MutY、前記のうちのいずれかの突然変異体、またはそれらのいずれかの組合せからなる群から選択される。
【0033】
第1の核酸配列または第2の核酸配列に関して「特徴付ける」は、当該核酸配列に関する何らかの情報を提供することを意味する。これは、例えば、核酸配列がその一部をなし、それに核酸配列がつながっている遺伝子を同定すること、核酸における実際の配列を同定すること、塩基対のミスマッチに関与する塩基対の場所を同定すること、および(または)塩基対のミスマッチに関与する実際の核酸を同定することを含むことができる。
【0034】
「結合部分核酸配列」(BMNAS)は、結合部分に(場合により、リンカーを介して)つながり、二重鎖に連結する核酸配列を意味する。いくつかの実施形態では、BMNASは、縮重した末端を含有してよい。事実上、これは、複数のBMNASを使用し、それぞれが、末端上に異なる核酸配列を有することを意味する。これによって、粘着末端を有する二重鎖中へのBMNASのより良好な挿入が可能になる。いくつかの実施形態では、BMNASは、制限部位を含有する。いくつかの実施形態では、これらの制限部位によって、当該部位から20から30塩基対離れた開裂が可能となる。
【0035】
「バーコード配列」、「コード配列を同定する」および「対をなすタグ」は、対象とする遺伝子または配列の同定を可能にするのに十分な核酸配列を意味する。バーコード配列は、同定の根拠となる、元々の核酸配列の小さなセクションであってよいが、それである必要はない。例えば、ゲノム全体がすでに知られている状況であれば、その場合には、バーコードは、ゲノム中のどこに当該核酸配列が属するかを同定することを可能にするのに十分な長さのみを必要とし、それによって、遺伝子または対象とする配列を、非常に短い同定配列を使用して同定することが可能となる。いくつかの実施形態では、バーコードは、15〜30核酸長である。
【0036】
「遺伝子」または「対象とする配列」は、同定または特徴付けの対象となる遺伝子または配列を意味する。
【0037】
「核酸塩基」は、相補的な核酸塩基と対を形成する際にワトソン−クリック水素結合を形成することが可能な任意の窒素含有複素環部分を意味し、これらとして、核酸塩基類似体、例えば、プリン、7−デアザプリンまたはピリミジンが挙げられる。典型的な核酸塩基は、天然に存在する核酸塩基であるアデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミンおよび天然に存在する核酸塩基の類似体(Seela、米国特許第5446139号)、例えば、7−デアザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、7−デアザ−8−アザアデニン、イノシン、ネブラリン、ニトロピロール(Bergstrom、J. Amer. Chem. Soc.、117巻:1201〜09頁(1995年))、ニトロインドール、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、シュードウリジン、シュードシトシン、シュードイソシトシン、5−プロピニルシトシン、イソシトシン、イソグアニン(Seela、米国特許第6147199号)、7−デアザグアニン(Seela、米国特許第5990303号)、2−アザプリン(Seela、WO01/16149)、2−チオピリミジン、6−チオグアニン、4−チオチミン、4−チオウラシル、O−メチルグアニン、N−メチルアデニン、O−メチルチミン、5,6−ジヒドロチミン、5,6−ジヒドロウラシル、4−メチルインドール、ピラゾロ[3,4−D]ピリミジン、「PPG」(Meyer、米国特許第6143877号および第6127121号;Gall、WO01/38584)、ならびにエテノアデニン(Fasman、Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology、385〜394頁、CRC Press、Boca Raton、Fla.(1989年))である。「核酸塩基」という用語は、核酸に配列特異的に結合することができるポリマーを生成するために核酸技術を活用する者またはペプチド核酸技術を活用する者に通常知られている天然に存在する複素環部分および天然には存在しない複素環部分を含む。
【0038】
「ヌクレオシド」は、リボース、アラビノース、キシロースおよびピラノース等の糖の天然のベータまたはアルファのアノマー立体配置におけるC−1’炭素に連結している核酸塩基を含む化合物を指す。この糖は、置換されていても、または置換されていなくてもよい。置換されているリボース糖として、これらに限定されないが、炭素原子のうちの1つまたは複数、例えば、2’−炭素原子が、同一または異なるCl、F、−−R、−−OR、−−NRまたはハロゲンの基のうちの1つまたは複数で置換されているリボース糖が挙げられ、ただし、各Rは独立に、H、C〜C12アルキルまたはC〜C14アリールである。リボースの例として、リボース、2’−デオキシリボース、2’,3’−ジデオキシリボース、2’−ハロリボース、2’−フルオロリボース、2’−クロロリボースおよび2’−アルキルリボース、例えば、2’−O−メチル,4’−アルファ−アノマーヌクレオチド、1’−アルファ−アノマーヌクレオチド(Asseline Nucl. Acids Res.、19巻:4067〜74頁(1991年))、2’−4’−および3’−4’−の連結ならびにその他の「ロックト」または「LNA」の二環式糖の修飾形態(WO98/22489;WO98/39352;WO99/14226)が挙げられる。例示的なポリヌクレオチド内LNA糖類似体には、Greenfieldらに対する米国特許出願公開第2003/0198980号、2003年10月23日の4頁の構造(Bは、任意の核酸塩基である)がある。
【0039】
糖には、2’−または3’−位における、メトキシ、エトキシ、アリルオキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、メトキシエチル、アルコキシ、フェノキシ、アジド、アミノ、アルキルアミノ、フルオロ、クロロおよびブロモ等の修飾が含まれる。ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、天然のD立体配置異性体(D型)に加えて、L立体配置異性体(L型)も包含する(Beigelman、米国特許第6251666号;Chu、米国特許第5753789号;Shudo、EP0540742;Garbesi Nucl. Acids Res.、21巻:4159〜65頁(1993年);Fujimori、J. Amer. Chem. Soc.、112巻:7435頁(1990年);Urata、Nucleic Acids Symposium Ser.、29巻:69〜70頁(1993年))。核酸塩基が、プリン、例えば、AまたはGである場合、リボース糖は、通常、核酸塩基のN−位に結び付いている。核酸塩基が、ピリミジン、例えば、C、TまたはUである場合、ペントース糖は、通常、核酸塩基のN−位に結び付いている(KornbergおよびBaker、DNA Replication, 2nd Ed.、Freeman、San Francisco、Calif.(1992年))。
【0040】
「ヌクレオチド」は、モノマー単位としてのまたは核酸の内部の、ヌクレオシドのリン酸エステルを指す。「ヌクレオチド5’−三リン酸」は、5’位に三リン酸エステル基を有するヌクレオチドを指し、時には、「NTP」、または「dNTP」および「ddNTP」と表示して、リボース糖の構造的な特色を特に指し示す。三リン酸エステル基は、種々の酸素の硫黄による置換、例えば、α−チオ−ヌクレオチド5’−三リン酸を包含してよい。核酸化学の総説に関しては、Shabarova, Z.およびBogdanov, A.、Advanced Organic Chemistry of Nucleic acids、VCH、New York、1994年を参照されたい。
【0041】
「核酸」という用語は、天然の核酸、人工的な核酸、それらの類似体、またはそれらの組合せを指す。
【0042】
本明細書で使用する場合、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用し、これらに限定されないが、ヌクレオチド間のリン酸ジエステル結合による連結、例えば、3’−5’および2’−5’、逆方向連結、例えば、3’−3’および5’−5’、分枝構造、または類似体の核酸によって連結している2’−デオキシリボヌクレオチド(DNA)およびリボヌクレオチド(RNA)を含めた、ヌクレオチドモノマーの一本鎖および二本鎖のポリマー(核酸)を意味する。ポリヌクレオチドは、H、NH、トリアルキルアンモニウム、Mg2+、Naおよびその他等の関係がある対イオンを有する。ポリヌクレオチドは、もっぱらデオキシリボヌクレオチド、もっぱらリボヌクレオチド、またはそれらのキメラ混合物で構成することができる。ポリヌクレオチドは、核酸塩基および糖類似体からなることができる。ポリヌクレオチドは、典型的には、当技術分野ではより一般的にはオリゴヌクレオチドと呼ばれることが多い、数個、例えば、5〜40個のモノマー単位から、数千個のモノマーヌクレオチド単位までの大きさに及ぶ。別段の意味が限り、ポリヌクレオチド配列を指す場合は常に、ヌクレオチドは、左から右へ5’から3’の配列にあり、「A」はデオキシアデノシンを意味し、「C」はデオキシシチジンを意味し、「G」はデオキシグアノシンを意味し、「T」はチミジンを意味することを理解されたい。
【0043】
本明細書で使用する場合、「核酸配列」または「核酸塩基配列」という用語は、核酸塩基含有サブユニットを含むポリマーの任意のセクションである。適切なポリマーまたはポリマーのセグメントの非限定的な例として、オリゴヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、ペプチド核酸、ならびにそれらの類似体およびキメラが挙げられる。
【0044】
「類似体」の核酸は、それを添加する宿主中、または試験する試料中に通常見い出されない核酸である。例えば、標的配列は、類似体の核酸を含まない。類似体の核酸として、人工的な核酸、合成核酸およびそれらの組合せの核酸が挙げられる。したがって、例えば、1つの実施形態では、PNAは、L−DNAおよびLNA(ロックト核酸)、iso−C/iso−G、L−RNA、O−メチルRNAまたはその他のそのような核酸と同様に、類似体の核酸である。1つの実施形態では、いずれの修飾された核酸も、類似体の核酸という用語のうちに包含される。別の実施形態では、類似体の核酸は、系中の未変性の核酸とは実質的にハイブリダイズしないが、その他の類似体の核酸とはハイブリダイズする核酸であってよく;したがって、PNAは、類似体の核酸とはならないが、L−DNAは、類似体の核酸となる。例えば、L−DNAは、PNAと有効な様式でハイブリダイズすることができるが、L−DNAは、D−DNAまたはD−RNAとは類似の有効な様式ではハイブリダイズしない。したがって、プローブまたは標的の配列とハイブリダイズすることができるが、少なくとも1つの天然のヌクレオチドの特徴、すなわち、ヌクレアーゼによる分解に対する感受性またはD−DNAもしくはD−RNAとの結合等を欠くヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、類似体のヌクレオチドである。もちろん、類似体のヌクレオチドが、全ての違いを有する必要があるわけではない。
【0045】
「酵素的に伸長可能な」は、(i)ポリヌクレオチドの末端上にポリメラーゼ酵素の作用を通して酵素によって組み込まれることが可能であり、かつ(ii)その後のプライマーの伸長を支持することが可能であるヌクレオチドを指す。酵素的に伸長可能なヌクレオチドとして、ヌクレオチド5’−三リン酸、すなわち、dNTPおよびNTP、ならびにそれらの標識された形態が挙げられる。
【0046】
「酵素的に組み込み可能な」は、ポリヌクレオチドの末端上にポリメラーゼ酵素の作用を通して酵素によって組み込まれることが可能であるヌクレオチドを指す。酵素的に組み込み可能なヌクレオチドとして、dNTP、NTPおよび2’,3’−ジデオキシヌクレオチド5’−三リン酸、すなわち、ddNTP、ならびにそれらの標識された形態が挙げられる。
【0047】
「ターミネーターヌクレオチド」は、ポリヌクレオチドの末端上にポリメラーゼ酵素の作用を通して酵素によって組み込まれることが可能であるが、さらには伸長され得ないヌクレオチドを意味する。すなわち、ターミネーターヌクレオチドは、酵素的に組み込み可能であるが、酵素的に伸長可能ではない。ターミネーターヌクレオチドの例として、ddNTPおよび2’−デオキシ,3’−フルオロヌクレオチド5’−三リン酸、ならびにそれらの標識された形態が挙げられる。
【0048】
「プライマー」は、核酸配列の相補的なプライマー特異的部分とハイブリダイズし、プライマーの伸長が行われるように設計した、定義済みの配列のオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーは、ヌクレオチドの重合のための開始点として機能する(Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology、CPL Scientific Publishing Services、CRC Press、Newbury、UK(1996年))。
【0049】
「プライマーの伸長」という用語は、標的にアニールしたプライマーを、鋳型依存性ポリメラーゼを使用して、5’から3’への方向に伸ばす工程を意味する。特定の実施形態によれば、適切な緩衝液、塩、pH、温度、ならびにヌクレオチド三リン酸の類似体および誘導体を含めたヌクレオチド三リン酸を用いると、鋳型依存性ポリメラーゼは、アニールしたプライマーの3’末端から開始して、鋳型の鎖に相補的なヌクレオチドを組み込んで、相補鎖を生成する。
【0050】
「標的」、「標的ポリヌクレオチド」、「標的配列」または類似の用語は、試料中の、その有無を決定する、または濃縮する特異的なポリヌクレオチド配列を意味する。いくつかの実施形態では、標的はSNASである。この配列に対して、相補的なポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーション、または特定のステップもしくは実施形態では、例えば、ヘテロ二重鎖を形成するために、ほとんど相補的なポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを行う。いくつかの実施形態では、標的配列は、第2の核酸配列のうちの1つ(または第2の核酸配列の一部)である。図2および図10に図示するように、標的核酸配列は、第2の核酸配列の少なくとも一部である。いくつかの実施形態では、標的配列は、それに続くステップにおいて濃縮する配列である。いくつかの実施形態では、標的配列はまた、「少数配列」として記載することもできる。例えば、図2中、配列111および112は、121および122の配列ほどには豊富に存在せず、配列111および112を、121および122の配列に比べて濃縮する。この実施形態では、標的配列はまた、少数配列でもある。
【0051】
「標的配列」は、ポリマー全体を含んでもよく、または対象とする配列のサブ配列であってもよい。標的配列はまた、ヌクレオチドの任意の種類、例えば、PNA、cDNA、mRNA、アンチセンスRNA、siRNAまたはmicroRNAを含むこともできる(miRNAの論述については、Grishokら、Cell、106巻:2334頁(2001年);CarringtonおよびAmbros、Science、301巻:336〜338頁(2003年)を参照されたい)。このことはまた、FNASおよびSNASにも適用することができる。
【0052】
「制御配列」という用語は、それを上回って、標的配列を濃縮する配列を記載する。制御配列は、標的配列とハイブリダイズする(がヘテロ二重鎖を形成する)。いくつかの実施形態では、制御配列は、標的配列と比べて多量に存在する配列である。例えば、図2中、制御配列は、第1の核酸配列122および121である。必要に応じて、この配列は、「大多数配列」として理解され得る。例えば、図2中、配列121および122は、制御配列であるのみならず、また、大多数配列でもあり、これを上回って、少数配列111および112(のうちの少なくとも1つ)を濃縮する。しかし、本明細書に記載するように、「大多数配列」という用語を、必ずしも制御配列またはFNASの全ての実施形態に適用する必要はない。すなわち、制御配列またはFNASが、試料中の大多数配列ではない実施形態もあり得る。にもかかわらず、「制御配列」は、標的配列とヘテロ二重鎖を形成する。当業者であれば理解するであろうが、濃縮では、標的配列が制御配列よりも多い最終結果が必要となるわけではなく、(制御配列の量と比較して)試料中に以前に存在した量よりも多くの量の標的配列が存在するに過ぎない。いくつかの実施形態では、標的配列のみが、濃縮後に存在する。当業者であれば理解するであろうが、制御配列は、任意の様式で得ることができる。例えば、制御配列は、元々の試料の一部である場合がある。代替の実施形態では、制御配列を試料に添加して、特定の標的配列が、試料中に存在するか否かを決定する。したがって、制御配列が、最初は、標的配列と共には存在しない場合であっても、標的配列の濃縮を行うことができる実施形態がある。しかし、当業者であれば理解するであろうが、依然として、制御配列および標的配列という用語を使用することができる。これは、標的配列が、存在する制御配列の量(この量は、最初には存在しないが)に比べて増加するからである。
【0053】
FNASおよび/またはSNASは、DNA、RNA、それらの類似体、またはそれらの組合せで構成することができる。FNASおよび/またはSNASは、一本鎖であっても、または二本鎖であってもよい。FNASおよび/またはSNASは、これらに限定されないが、原核生物、真核生物、植物、動物およびウイルスを含めた、任意の生存している生物体またはかつて生存した生物体に由来し得る。FNASおよび/またはSNASは、細胞の核、例えば、ゲノムDNAを起源としてもよく、または核外の核酸、例えば、プラスミド、ミトコンドリアの核酸、種々のRNAおよびその他であってもよい。FNASおよび/またはSNASは、標的核酸がRNAである場合、所望により、最初にcDNAに逆転写することができる。本明細書に記載する組成物および方法と共に使用するためのFNASおよび/またはSNASを得るために、多様な方法が利用可能である。FNASおよび/またはSNASを、生物学的試料からの単離によって得る場合に可能な単離の技法として、(1)例えば、フェノール/クロロホルム有機試薬を使用する有機抽出に続くエタノールによる沈殿(例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology Volume 1, Chapter 2, Section I、John Wiley & Sons、New York(1993年))、または自動化DNA抽出装置(例えば、Model 341 DNA Extractor、Applied Biosystems製、Foster City、カリフォルニア州);(2)固定相吸着法(例えば、Boomら、米国特許第5234809号;Walshら、Biotechniques、10巻(4号):506〜513頁(1991年));および(3)塩によるDNA沈殿法(例えば、Miller ら、Nucleic Acids Research、16巻(3号):9〜10頁(1988年))が挙げられる。1つの実施形態では、FNASおよび/またはSNASは、mRNAであってよい。本明細書において注目するように、FNASおよびSNASは、試料中に存在し得る場合には、入手したり、合成したりする必要はない。
【0054】
「アニールする」および「ハイブリダイズする」という用語は、互換的に使用し、二重鎖またはその他の高次構造の形成をもたらす、1つの核酸の別の核酸との塩基対をなす相互作用を意味する。主要な相互作用は、塩基特異的であり、すなわち、A/TおよびG/Cであり、これは、ワトソン/クリック水素結合およびフーグスティーン型の水素結合による。
【0055】
「固体の支持体」という用語は、その上でオリゴヌクレオチドを、合成したり、結び付けたり、または固定化する任意の固相材料を指す。固体の支持体は、「樹脂」、「固相」および「支持体」等の用語を包含する。固体の支持体は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン、ポリエチレンオキシおよびポリアクリルアミド等の有機ポリマー、ならびにそれらのコポリマーおよびグラフトで構成することができる。固体の支持体はまた、例えば、ガラス、シリカ、細孔制御ガラス(CPG)または逆相シリカ等の無機性であってもよい。固体の支持体の形状は、ビーズ、球体、粒子、顆粒、ゲル、表面またはそれらの組合せの形態をとることができる。表面は、平面でも、実質的に平面でも、または非平面であってもよい。固体の支持体は、多孔性であっても、または非多孔性であってもよく、膨潤性であっても、または非膨潤性であってもよい。固体の支持体は、ウエル、くぼみもしくはその他の容器、入れ物、特色、または場所もしくは位置の形態として作ることができる。いくつかの固体の支持体は、アレイとして種々の場所、例えば、位置に作ってもよく、試薬のロボットによる送達のためにアドレス可能であってもよく、またはレーザー照射および共焦点集光もしくは偏光集光による走査を含めた手段によって検出してもよい。
【0056】
「アレイ」または「マイクロアレイ」は、固体の支持体上または整列させた入れ物中に存在するポリヌクレオチドの整列物を包含する。特定のアレイのフォーマットは、「チップ」または「バイオチップ」と呼ばれる(M.Schena編、Microarray Biochip Technology、BioTechnique Books、Eaton Publishing、Natick、Mass.(2000年))。アレイは、低い密度の数、例えば、1個から約12個のアドレス可能な場所、中等度の密度、例えば、約100個以上の場所、または高い密度の数、例えば、1000個以上を含むことができる。典型的には、アレイのフォーマットは、作製、取扱い、配置、積み重ね、試薬の導入、検出および保管を可能にする幾何学的に規則的な形状をとる。アレイは、各場所間に規則的な間隔を有する行と列とのフォーマットに作ることができる。あるいは、処理および/または試料採取を等しくするために、場所を、まとめたり、混合したり、または均一にブレンドしてもよい。アレイは、各場所が、試薬の高スループットな取扱い、ロボットによる送達、マスキングおよび/もしくは採取のため、ならびに/またはレーザー照射による走査、共焦点集光および/もしくは偏光集光による走査を含めた検出手段により空間的にアドレス可能であるように作られた、いくつかのアドレス可能な場所を含むことができる。アレイは、1つまたは複数の「アドレス可能な場所」、例えば、「アドレス可能な位置」、すなわち、既知の型の分子を含む物理的な場所を含むことができる。
【0057】
「懸濁アレイ」は、分析対象の検出および/または定量化を実施するための1つの代替の組成物または方法である。懸濁剤アレイにおいては、固相が、溶液中の粒子からなる。アレイの各粒子の部材が、粒子、例えば、ビーズを他と区別して同定する特徴、すなわち、形状、パターン、発色団またはフルオロフォア等を有する。
【0058】
ミスマッチ依存性核酸濃縮
核酸配列中の相対的に珍しい突然変異の同定は、とりわけ、試料がその他の類似の核酸配列またはほとんど同一の核酸配列を含有する場合、特に、対象とする核酸配列が、核酸配列の全集団のうちの少数である際には技術的に困難である場合がある。単にPCR増幅を使用するだけでは、所望の核酸配列の意味のある増幅を得ることはできない。これは、PCR増幅のために使用するプライマーが、両方の種上で同等に有効である可能性が高いからである。
【0059】
上記で概要を述べたように、特定の核酸配列をその後の処理に向けて選択的に濃縮するために、本技法は、ヘテロ二重鎖中のミスマッチの存在を使用する。いくつかの実施形態では、これは、少数の核酸配列を増幅することを意味し、それによって、少数の核酸配列を配列決定することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、試料中に存在するものの、多数のその他の類似(またはほとんど同一の)核酸配列の存在によって覆い隠されている核酸配列を増幅する。いくつかの実施形態では、この工程のための第1のステップを、図2に示し、図中、第1の核酸配列122と相補的な第1の核酸配列121とを含む第1の核酸配列の二重鎖120が、ホモ二重鎖中で対をなす。図に示すように、この試料は、相対的に多い量のホモ二重鎖120を含有する。これらのホモ二重鎖120に加えて、溶液が、相対的に少ない量のホモ二重鎖110を含有することができ、これは、変異した核酸配列(またはより一般的には第2の核酸配列)を含有してよい。第2の核酸配列のホモ二重鎖110は、相補的な第2の核酸配列112とハイブリダイズした第2の核酸配列111を包含する。多くの実施形態では、これが、試料の開始の取合せとなる得る。以下で注目するように、配列が既知の場合には、これらの核酸の2つのホモ二重鎖の存在を、PCRによって増加させ、それによって、試料中のその他の核酸配列の関連性を低下させることができる;しかし、このステップは、例えば、標的が未知の場合等、必ずしも全ての実施形態において必要であるとは限らない。
【0061】
その後の選択を制御する、最初のヘテロ二重鎖を生み出すために、種々のホモ二重鎖120および110を融解して、それらのホモ二重鎖を分離させることができる。次いで、二重鎖を再アニールして、ヘテロ二重鎖130を形成する。これを、図2中、ステップ30として示す。この再アニールの結果、多数のFNASのホモ二重鎖120の再形成およびヘテロ二重鎖130の形成が生じる。ヘテロ二重鎖130は、第2の核酸配列111(またはその相補鎖112)と第1の核酸配列122(またはその相補鎖121)とを包含する。ヘテロ二重鎖130は、少なくとも1つのミスマッチ131を含有する。(1つの配列中の単なる欠失または挿入の代わりに)従来のミスマッチがある実施形態では、核酸配列111および122のうちのそれぞれの中に、マッチしない少なくとも1つの塩基対がある。これらは、図2中、131aおよび131bとして同定される。しかし、当業者であれば理解するであろうが、ある塩基対が、各鎖中のミスマッチの一部である必要はない。これは、ミスマッチの形成に至る挿入または欠失である場合があるからである。同様に、各鎖中のミスマッチの部分である塩基の数に制限があるわけでもない。いくつかの実施形態では、こうした塩基の数は、各鎖中、単一の塩基であり、別の実施形態では、1〜3、3〜5、5〜10、10〜15、15〜30、30〜50個、またはそれを超える数の塩基が、ミスマッチに関与する。
【0062】
図2に示すように、融解および再アニール後には、試料は、ホモ二重鎖120とヘテロ二重鎖130との混合物であってよい。この時点では、ヘテロ二重鎖は、典型的には、ホモ二重鎖の集団と比較して、相対的に少数である。
【0063】
ヘテロ二重鎖130を形成させたら、ヘテロ二重鎖130およびホモ二重鎖120を環状化40して、環状化へテロ二重鎖(CHET)140および環状化ホモ二重鎖(CHOM)125を形成する。
【0064】
このステップに続いて、図4、ステップ50において示すように、環状化ホモ二重鎖125分子および環状化ヘテロ二重鎖140分子を含有する試料を、ミスマッチの存在を認識し、それに基づいて開裂する酵素を用いて処理する。環状化へテロ二重鎖(CHET)140のみがミスマッチを有するので、これらCHETのみが開裂されて、二重鎖150を形成する。環状化ホモ二重鎖125は、閉鎖状態を維持する。二重鎖150が、粘着末端151および152を包含する場合には、これらを、所望により、平滑末端化することができる。
【0065】
二重鎖150の形成に続いて、図5に示すように、結合部分核酸配列(BMNAS)155を、二重鎖150に連結させて、結合部分二重鎖160を形成する。結合部分核酸配列155は、その二重鎖150への容易な連結を可能にする核酸配列を包含することができる。結合部分核酸配列155は、縮重した末端153aおよび153bを包含し(図6)、これによって、二重鎖150の粘着末端151および152を生じさせる、ミスマッチ依存性の切断の可能な変動を考慮に入れることができる。
【0066】
ステップ60(図5)においては、CHOM125は、有効な制限部位(すなわち、ミスマッチ)を欠くので、切断されていないことから、結合部分核酸配列は、それらの核酸配列には連結しない。したがって、この時点では、溶液は、結合部分核酸配列155を包含する、結合部分二重鎖160、および二重鎖150を含有し、かつ当該溶液は、最初のCHOM125もさらに包含する。当業者であれば理解するであろうが、結合部分核酸配列を使用することができる一方で、また、結合部分の二重鎖150への選択的な付加を可能にし、BMのCHOM125への顕著な量の付加を伴わない任意の方法または組成物も使用してよい。したがって、いくつかの実施形態では、BMは、核酸配列挿入部分(BMNAS)なしで、二重鎖につながる。例えば、線状化配列(二重鎖150)は、環状化したCHOM125から分離することができ、次いで、BMを、線状の鎖(二重鎖150)のうちのいずれかに付加することができる。もちろん、そのような実施形態では、BMの必要性が大幅に減少し、図9に示すように、二重鎖は、BMを必要とせずに、それに直接付加されたアダプターを有することができる。これは、産物が、CHOMの過剰な集団からすでに分離されているからである。
【0067】
図6に図示するのは、BMNAS155を使用する1つの実施形態である。BMNAS155は、結合部分156に、場合によりリンカー157を介してつながっている核酸配列154を包含することができる。いくつかの実施形態では、結合部分核酸配列155は、制限部位158aおよび158bを、当該結合部分核酸配列の一方または両方の側上に包含する。いくつかの実施形態では、制限部位158aおよび158bは、EcoP15I部位である。当業者であれば理解するであろうが、任意の数の可能な制限部位を使用してよい。核酸配列の場所または同一性を同定するためにバーコードを使用する実施形態では、そのような場合には、制限部位158aおよび158bの遠位で開裂する制限酵素が好ましく、これによって、開裂産物170(図7)がバーコードセクション171aおよび171bを保持するのが可能となる。当業者であれば理解するであろうが、バーコードを必要としない実施形態(例えば、核酸配列の同一性が既知である場合)、制限部位が、制限部位自体において開裂されてよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、結合部分核酸配列155は、縮重した末端153aおよび/または153bを包含することができる。そのような実施形態では、末端が縮重して、二重鎖150中のオーバーハング151および152が何であるかを実際に分かっていることを必要とせずに、多様な、可能な二重鎖150へのBMNAS155の有効な連結を可能にする。そのような実施形態では、BMNAS155の各末端は、少なくとも1つの追加の核酸を包含して、少なくとも1つのBMAS155が、CHET140の切断によって生じたありとあらゆる可能な二重鎖150に有効にアニールすることを可能にする。実際には、これは、BMNAS155の末端が、BMNASの集団にわたって縮重していることを意味する。当業者であれば理解するであろうが、これら縮重した末端153aおよび153bは、任意の数の核酸であってよい。いくつかの実施形態では、縮重した末端は、各末端上の1つの核酸であり、したがって、BMNASの各末端において、16個の異なるBMNASが、核酸の全ての可能な取合せの全ライブラリーを形成することを可能にする。(各側に単一のヌクレオチドのオーバーハング151および152があると仮定した場合には)BMNASのこの組合せを使用することによって、二重鎖150の開裂によって生じた、いずれの可能な開裂部位も、少なくとも1つのBMNASに有効に連結させることができる。
【0069】
当業者であれば理解するであろうが、いくつかの実施形態では、二重鎖150を形成するためのCHETの切断において生じたオーバーハングは、2個以上の核酸長;例えば、2核酸長である場合がある。当業者であれば理解するであろうが、オーバーハングが長いほど、オーバーハングにおけるより多くの変動があり、したがって、より多数の可能なBMNASが、二重鎖150に容易にアニールするのを確実にするのに必要となる。したがって、より多数のBMNASを利用して、有効な連結が、BMNASと二重鎖との間で達成されるのを確実にすることができる。例えば、2つの核酸のオーバーハング151および152がある場合には、(変化が、各末端において2つの核酸である)256種の変化したBMNASを使用することができる。また、縮重した末端の数は、より多くてもよい。
【0070】
当業者であれば理解するであろうが、結合部分156は、結合部分核酸配列が精製部分につながることを可能にする任意の部分であってよい。いくつかの実施形態では、結合部分はビオチンである。いくつかの実施形態では、リンカー157が、ビオチンを核酸154に共有結合によって連結されることを可能にする。
【0071】
結合部分二重鎖BMD160の創出(図5)に続いて、結合部分二重鎖を、結合部分の使用によって精製することができる。しかし、多くの実施形態では、結合部分二重鎖を、最初に、BMNAS155の一部としてBMD160中にある制限部位において切断することによってさらに処理する。
【0072】
図7に示すように、ステップ70におけるBMD160のこの切断によって、切断結合部分二重鎖CBMD170の創出が生じる。結合部分核酸配列155が、2つのそのような制限部位(158aおよび158b)を包含する実施形態では、BMNAS160を切断すると、二重に切断結合部分二重鎖CBMD(170)と、第1の核酸配列および第2の核酸配列の残りを含有する切除されたセクション172とを得ることができる。このステップにおいて、第1の核酸配列および第2の核酸配列の大きな部分を除去することができる一方、切断結合部分二重鎖170は、依然として、結合部分核酸配列、塩基対のミスマッチに関与する核酸(例えば、いくつかの例では、点突然変異)、ならびに結合部分核酸配列のそれぞれの側上のバーコードセクション171aおよび171bを包含することができる。
【0073】
この時点では、精製ステップがすでに実施されているか否かに応じて、溶液が、環状化ホモ二重鎖125と、切断結合部分二重鎖(CBMD)170とを含有する場合もあれば、または含有しない場合もある。精製がまだ行われていない状況では、次いで、切断結合部分二重鎖170を、結合部分156と組み合わされることになる適切な精製部分の使用によって、CHOM125から精製して取り出すことができる。このことを、図8中、切断結合部分二重鎖170およびCHOM125の両方を含有する溶液101が精製されて、切断結合部分二重鎖170を有効に含有するが、ホモ二重鎖125は有さず、場合により過剰な第1および第2の核酸セクション172も有しない溶液102を得るステップ80bにおいて示す。当業者であれば理解するであろうが、この結果、ヘテロ二重鎖に関与する分子(111および122の両方)が、主としてホモ二重鎖120を含有した元々の組成物を上回って濃縮されることになる。いくつかの実施形態では、これは、試料の約50%が、111または112の少なくとも一方である結果に至ることができる(残りの半分は、121または122のいずれかである)。
【0074】
いくつかの実施形態では、追加の増幅およびそれに続く、配列決定または同定等の特徴付けのために、さらなる処理を行って、切断結合部分二重鎖(CBMD)170を調製する。1つのそのような実施形態を、図9に示す。ステップ82および82においては、切断結合部分二重鎖(CBMD)170は、それに結び付けたアダプター181および182を有する。これらのアダプターは、いくつかの実施形態では、プライマー部位(または「プライマー結合部位」)である。アダプター181および182をCBMD170に結び付けると、アダプター含有CBMD180が得られる。いくつかの実施形態では、2つのプライマー結合部位181および182が、CBMD170のそれぞれの側上にある。アダプターは、アダプター含有CBMD180、特に、131cおよび131dの位置に位置するミスマッチの原因である塩基の増幅のために使用することができる。いくつかの実施形態では、増幅を、エマルジョンPCRによって実施する。いくつかの実施形態では、アダプター181とアダプター182とは、相互に異なる。
【0075】
次いで、増幅産物を、配列決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、高度並行非電気泳動配列決定技法を使用する。当業者であれば理解するであろうが、バーコードの存在ならびに短縮された長さの第1の核酸配列および第2の核酸配列により、比較的短い長さの核酸(例えば、100個未満、100〜60個、60〜40個、40〜30個、30〜20個、20〜10個、10〜5個、またはそれ未満の核酸)上で最適に機能する配列決定技法が、これらの産物180のうちの多くを配列決定するために有用であり得る。これは、長さが、それらの技法に理想的であり得、かつ問題になっているセクションの適切な配列(例えば、バーコードおよび/またはミスマッチにおける配列)を供給することもできるからである。
【0076】
当業者であれば理解するであろうが、上記の方法および組成物の種々の実施形態は、種々の段階において種々の効用を有し得る。例えば、BM156が二重鎖150につながるや否や、ヘテロ二重鎖について試料の濃度を高めるまたはそれを濃縮することができる。あるいは、第2の核酸のミスマッチ131の部位における配列を決定することによって、第1の核酸配列と第2の核酸配列との間の(1つまたは複数の)違いの正確な性質を明らかにすることができるが、このことを、全ての方法において必ずしも実施する必要はない。これは、変異(例えば、突然変異)配列が、特定の遺伝子もしくは配列の中に存在することまたは遺伝子もしくは配列の中の特定の場所において存在することを単に分かっていることが、多くの目的では有用であり得るからである。したがって、全てのステップを、全ての方法において実施する必要があるわけではない。しかし、以下の節では、核酸配列の濃縮および特徴付けの1つの可能な実施形態の概要を述べる。
【0077】
いくつかの実施形態では、上記の技法を使用して、特定の核酸配列について単に濃縮するだけでなく、配列が生物学的試料中に存在するか否かも決定する。そのような実施形態を、図10に示す。そのような実施形態では、ステップ10において示すように、最初のステップにおいて、試料を採取する。次いで、ステップ20において、第1の核酸配列および第2の核酸配列を、PCRによって増幅する(例えば、それらのうちの一方は、試料中の健常な細胞からの野生型遺伝子の配列であり、他方は、試料中の癌細胞からの突然変異遺伝子の配列である場合がある)。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列および第2の核酸配列(ならびにそれらの相補的な配列)を、同一(しかし、同一でなければならない必要はない)のPCRプライマーを使用してPCR増幅する。この増幅によって、増幅された第2の核酸配列111および増幅された第1の核酸配列122を含有する試料を得る。第2の核酸配列は、相補的な第2の核酸配列とハイブリダイズし、第1の核酸配列は、相補的な第1の核酸配列とハイブリダイズする。この時点では、第2の核酸配列の量が、増幅されているが、SNASの量は、依然として、FNASの量と比較して、相対的に少数である。次いで、ステップ30において、PCR産物を、融解させ、相互にハイブリダイズさせて、少ない量のヘテロ二重鎖30および相対的により多い量のホモ二重鎖120を形成する。
【0078】
これに続いて、ステップ40において、ヘテロ二重鎖およびホモ二重鎖を環状化して、環状化へテロ二重鎖140および環状化ホモ二重鎖125を生成させる。次いで、ステップ50において示すように、ヘテロ二重鎖をなすDNA中のミスマッチを認識して、続いて、二重鎖に切断する酵素を使用する。いくつの好ましい実施形態では、この酵素は、Endo Vであり、これは、ミスマッチから1または2塩基対を切断する。このCHET140の切断によって、二重鎖150が生み出される。好ましくは、二重鎖は、粘着末端151および152を有する。これに続いて、ステップ60において、それぞれが異なる末端を有する(例えば、群としての縮重した末端を有する)、結合部分核酸配列のコレクションを提供し、それによって、少なくとも1つを、切断されたCHET(または二重鎖150)に容易に連結させ、この分子を再度環状化する。
【0079】
得られた結合部分二重鎖160は、BMD160に関する溶液および試料の操作を可能にする結合部分を含有する。この時点では、ステップ80aにおいて、結合部分二重鎖160を、精製部分に結合させることによって、場合により精製することができ、この精製部分は、例えば、親和性カラム中のビーズにつながっている。あるいは、この工程を、ステップ70において、結合部分二重鎖160を、制限酵素を用いて切断することによって継続してもよい。この制限酵素は、第1の核酸配列および第2の核酸配列において、BMNAS中のある部位を認識するが、BMNASの外側で切断する。いくつかの実施形態では、この制限酵素は、第1の核酸配列および第2の核酸配列を切断し、その結果、元々の第1の核酸配列または第2の核酸配列を同定するのに十分な量の配列が残存する(例えば、バーコード171aおよび171bがある)。
【0080】
この段階で、溶液がまだ精製されていない場合には、次いで、精製部分を用いてBMDを採取して、CBMD170を試料から取り出すことができる(ステップ80b、図10中には示されていない)。
【0081】
切断結合部分二重鎖170が生み出され、CHOMが十分に存在しないようなら、第1のPCRプライマー部位および第2のPCRプライマー部位(アダプター81および82)をCBMD170に付加することができる。次いで、これら2つのプライマー部位81および82を、CBMD170上でエマルジョンPCRのために使用することができる。これに続いて、PCR増幅産物を、高度並行非電気泳動配列決定技法(例えば、SOLiD(商標)(Supported Oligo Ligation Detection)の高度並行非電気泳動配列決定法)または別の適切な配列決定方法によって配列決定することができる。以下の節では、上記で開示したステップのそれぞれの種々の実施形態についてより詳細に論じる。
【0082】
濃縮のための試料の収集
試料および試料を収集するための方法を複数使用することができ、それらは、目的、試料の性質および何について試料を調査したいかに応じて選択されることを当業者であれば理解するであろう。試料は、任意の形態の核酸配列(例えば、DNA、cDNA、RNA、mRNA、miRNA等)を含有してよい。いくつかの実施形態では、1つの型の核酸を、都合により、別の型に変換することができる。例えば、DNA中でのみ機能するミスマッチ依存性の酵素を使用する場合、RNA試料を、DNAに変換することができる。
【0083】
上記で注目したように、いくつかの実施形態では、試料を採取し、対象となる可能性のある核酸配列を増幅する。最初の濃縮および増幅のステップとして、いくつかの実施形態では、第1の核酸配列および第2の核酸配列を標的とするようにPCRプライマーを選択することができる。同一のセットのプライマーを選択して、第1の核酸配列および第2の核酸配列の両方を増幅させることができることを当業者であれば理解するであろう。したがって、単一のセットのプライマーが、121、122および111、112の両方の群を有効に増幅することができる。当業者であれば理解するであろうが、プライマーは、第1の配列および第2の配列に対して相対的に特異的であってよい。例えば、特定の遺伝子がSNPを含有することが分かっている実施形態では、その遺伝子に対して特異的なプライマーを使用することができる。濃縮または特徴付けする配列または遺伝子が、最初は分かっていない実施形態または多数の遺伝子もしくは配列を検討する実施形態では、試料中の核酸により高い頻度で結合するプライマーを使用することができる。例えば、より短い、普遍的な、縮重したおよび/または多数のプライマーを使用して、より多数の核酸を同時に増幅させ、次いで、本方法を一通り行うことができる。いくつかの実施形態では、最初の試料を精製し、それによって、試料が、溶液中に主として核酸配列(例えば、DNA、RNA、miRNA等)を有効に含有するようになす;しかし、これが必要であるわけではない。
【0084】
いくつかの実施形態では、試料を、診断の一部として、例えば、組織試料が癌細胞と関係がある核酸配列を含有するか否かを決定するために採取する。しかし、試料はまた、健常な個体または健常であると思われる個体から、当該個体のゲノム内の変異のうちの任意、何らかまたは全ての変異を特徴付けるために取り出すこともできる。例えば、本技法を使用して、個体が有するSNPまたはその他の遺伝子の変異を広く同定することができるであろう。さらに、試料、および試料内に得られたPCR増幅産物を採取し、念頭に置く対象とする特異的な遺伝子を用いて増幅することもできる。したがって、特異的なPCRプライマーを使用して、単一の遺伝子または核酸配列と関係がある2つの核酸配列(第1の核酸配列および第2の核酸配列)を増幅することができる。さらに、本明細書に記載するように、いくつかの実施形態では、元々の試料は、第1の核酸配列および第2の核酸配列の両方を有する必要はない。したがって、いくつかの実施形態では、最初のPCR増幅は、第1の核酸配列または第2の核酸配列のみを増幅し、他方の配列を、その後の時点で添加してヘテロ二重鎖を形成する。
【0085】
多数のFNASおよびSNASが存在する場合があり、これらの方法によって、それらを同時に処理することができる。FNASおよびSNASの種々の種が、同一の配列である必要もなければ、同一の遺伝子に由来する必要もないが、そうであってもよい。いくつかの実施形態では、FNASの単一の種が存在し、かつミスマッチ以外は、当該種のFNASと同一であり、当該FNASとヘテロ二重鎖を形成することができるSNASの複数の種が存在する。いくつかの実施形態では、FNASおよびSNASの種々の種が、単一の遺伝子(または核酸配列)に由来するが、当該遺伝子(または核酸配列)の異なる部分からのものである。いくつかの実施形態では、FNASおよびSNASの種々の種が、異なる遺伝子および/または異なる核酸配列に由来する。いくつかの実施形態では、FNASの種々の種が、ヒトのゲノムに由来するものまたは標準試料からのものである。標準試料は、健常な個体に属し、したがって、「正常な配列」を示すとみなされる遺伝子または核酸配列のコレクションを包含することができる。FNASおよびSNASの多数の種々の種が企図される。例えば、2〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜500、500〜1000または1000〜5000種以上の異なるFNASおよび/またはSNASの種が企図される。いくつかの実施形態では、ゲノム全体を本方法によって処理する。いくつかの実施形態では、ゲノムは、ヒト、哺乳動物、植物、ウシ、ブタ、魚類等である。当業者であれば理解するであろうが、本実施形態のうちのいくつかは、生物体のゲノムが既知である場合に、特に有用である。
【0086】
いくつかの実施形態では、FNASの種およびSNASの種の両方を、癌の突然変異について試験するための生検等、同一の個体または試料から得る。試料を、生検の場合のように、個体から採取する場合には、当該試料は、個体が有し得る何らかの変異および健常な細胞から「病的な」(例えば、癌の)細胞への何らかの変異の両方を含有する場合がある。当業者であれば理解するであろうが、そのような実施形態では、その個体のゲノム試料中に、一般大衆とは異なる場合がある、SNPに関して生じた内部的なサブトラクションまたはその他の変異が有効に存在する。これに起因して、癌細胞と健常細胞との間の核酸配列の変異から、主要なミスマッチが生じる。もちろん、また、最初のPCRのステップ20を使用して、試料中にやはり存在する場合がある任意のその他のバックグラウンドの核酸配列も有効に排除することができる。
【0087】
当業者であれば理解するであろうが、いくつかの実施形態では、本技法は、種々の診断に適用可能であり得、診断上有用であるとみなされる標的核酸配列が関与するヘテロ二重鎖を形成することができる限り有効である。
【0088】
さらに、いくつかの実施形態では、開示した方法のうちのいくつかを、第1の配列と第2の配列との間の遺伝子の違いを決定するために使用することができる。これらの遺伝子の違いは、いずれの型、例えば、挿入、欠失、置換等であってもよく、組織、試料(生検の場合等)内の違いであっても、または同一の核酸配列、すなわち、ある遺伝子等についての個体間における違いであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、本実施形態のうちのいくつかを使用して、個体における一塩基多型(single nucleotide polymorphism)を同定することができる。
【0089】
ヘテロ二重鎖の形成
上記の記載および図2において注目したように、多くの実施形態では、元々の試料が、第1の核酸配列と第2の核酸配列との混合物をすでに包含する。上記で注目したように、これらの核酸配列は、ミスマッチの形成に関与する1つまたは複数の塩基以外は、相補的である。そのような場合、(所望により)上記のPCR増幅の後には、第1の核酸のホモ二重鎖120および第2の核酸のホモ二重鎖110が、多数存在する。ホモ二重鎖110の鎖およびホモ二重鎖120の鎖を分離させ、再アニールして、第1の核酸配列のホモ二重鎖120、ならびに第2の核酸111および第1の核酸122に加えてミスマッチ131を包含するヘテロ二重鎖130の両方を形成する。
【0090】
当業者であれば理解するであろうが、鎖の分離は、加熱または塩濃度を変化させること等のいくつかの方法において達成することができる。しかし、鎖の比較的迅速な再アニーリングが所望されることがある場合には、分離および再アニーリングの1つの有用な方法は、試料の加熱および冷却によるものである。
【0091】
いくつかの実施形態では、ヘテロ二重鎖中のミスマッチは、単一の塩基対のミスマッチである。しかし、当業者であれば理解するであろうが、本技法は、そのような実施形態に限定されない。いくつかの実施形態では、ミスマッチは、任意の長さまたは量の核酸を包含することができる。例えば、ヘテロ二重鎖130中には、1、2、3、4、5〜10、10〜20、20〜30、30〜100、100〜200または200〜500個以上の核酸のミスマッチが生じてよい。いくつかの実施形態では、ミスマッチは、各鎖上の2つの異なる塩基間ではなく、2つの配列間における追加の塩基の存在または塩基の不在である。
【0092】
当業者であれば理解するであろうが、ヘテロ二重鎖130の形成は、多数の第1の核酸配列122および121、ならびに相対的に少数の第2の核酸配列111および112を前提とした、統計的確率である。これに起因して、第2の核酸111と相補的な第2の核酸112とが相互に出合い、再アニールして、第2の核酸のホモ二重鎖110を形成する可能性は相対的に低い。
【0093】
いくつかの実施形態では、単一のミスマッチ部位131のみが、所与のヘテロ二重鎖のいずれの中にも存在する。2つ以上のミスマッチ部位が存在する実施形態では、後のステップにおいて、複数の切断が生じ得る。これを、得られた産物を調査し、宿主のゲノム中の既知の核酸配列と一致する配列を有するものを選択することによって制御することができる。当業者であれば理解するであろうが、そのような実施形態では、(1つまたは複数の)元々の核酸配列を同定するために、単一のバーコードが必要とされる場合には、CBMDのそれぞれの側上に、より長いバーコードを有することが有用である場合がある。
【0094】
環状化
ヘテロ二重鎖130の形成に続いて、試料中の核酸配列を、末端の連結によって環状化する。環状化は、任意の多様な様式で達成することができる。いくつかの実施形態では、環状化を、Steven Maceviczに対する米国特許第6054276号および/またはSmithら(米国特許出願公開第2006/0024681号)に開示されている方法のうちのいくつかによって達成することができる。これらのうちの関連性のある部分全体が、参照によって本明細書に組み込まれている。しかし、当業者であれば理解するであろうが、環状化の方法であれば、いずれであっても使用することができる。
【0095】
全ての実施形態で、ホモ二重鎖120を環状化する必要があるわけではなく、それらは、典型的には、試料中のヘテロ二重鎖の環状化の自然の結果として環状化される。
【0096】
当業者であれば理解するであろうが、ヘテロ二重鎖を環状化する利点は、ヘテロ二重鎖をどこか他所で切断しても、核酸配列が一緒に留まることである。このことは、特に切断部分がヘテロ二重鎖の末端のうちの1つの付近である場合には、核酸配列の完全な状態を維持するためにとりわけ好都合である場合がある。さらに、環状化によって、後のステップにおける特異的な連結が可能となる。この環状化によって、配列の完全な状態を維持する(すなわち、単一のFNASが、相互に連結した2つの半分のFNASとしてではなく、単一のFNASとして留まる)ことが可能となるのみならず、また、ミスマッチ付近での連結も可能となる。その結果として、非常に短い長さの核酸配列を使用して、FNASおよびSNAS、ならびにミスマッチ塩基対を同定することができる。
【0097】
当業者であれば理解するであろうが、ヘテロ二重鎖の全てを環状化することができる一方で、いくつかの実施形態では、ごく一部を環状化するに過ぎない(例えば、環状化は、ヘテロ二重鎖の100%に対して行う必要があるわけでなない)。このことは、連結のステップの間に問題を複雑にする恐れがあるが、切断されたBMDの配置(すなわち、BMNASのそれぞれの側上のバーコード配列)によって、配列のうちのどれが、元々の配列を示すものであるかを当業者であれば十分に同定することが可能である。
【0098】
いくつかの実施形態では、環状化は、CAPリンカー(またはアダプター)の使用によって達成される。これらのリンカーをホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖の上に連結させることができ、次いで、当該リンカーを相互に連結させて環状化産物を形成することができる。
【0099】
環状化分子は、いくつかのヌクレアーゼに対して抵抗性であり、したがって、不要な非環状化分子を、これらのヌクレアーゼの使用によって分解することができる任意選択のステップを可能にする。
【0100】
ヘテロ二重鎖の選択的な切断
へテロ二重鎖130を環状化へテロ二重鎖(CHET)140に環状化したら、溶液を、ミスマッチ依存性の酵素を用いて処理する。使用することができるミスマッチ依存性の酵素の多様な例がある。いくつかの実施形態では、ヘテロ二重鎖における核酸配列の両方の鎖を完全に開裂させる任意の酵素を使用することができる。いくつかの実施形態では、酵素は、Endo Vである。ミスマッチ依存性の酵素の追加の形態が、2003年8月7日に公開のFrances Baranyらに対する米国特許出願公開第2003/0148283号に開示されており、これは、ミスマッチ部位において開裂する複数の酵素を開示している。そのような酵素のさらなる論述として、Yaoら、標題「Strand−specific cleavage of mismatch containing DNA by Deoxyinosine 3’ Endonuclease from E. Coli」、the Journal of Biological Chemistry、1994年、269巻、31390〜31396頁およびHuangら、標題「Endonuclease/Ligase Mutation Scanning Method Specially Suited for Analysis of Neoplastic Tissue」、2002年、Oncogene、21巻、1909〜1921頁、ならびに「SNP Discovery in Pole Samples with Mismatched Repair Detection」、Fakhrhi−Radら、Genome Research、2004年、14巻、1404〜1412頁およびYaoら、標題「Cleavage of Insertion/Deletion Mismatches Flap and Pseudo−Y DNA Structures of Deoxyinosine 3’ Endonuclease from E. Coli」、the Journal of Biological Chemistry、1996年、271巻、30672〜30676頁;Heら、「Deoxyxanthosine in DNA is Repaired by E. Coli Endonuclease V」、Mutation Research、459巻、109〜114頁、2000年;Malekら、Mismatch repair detection (MRD): high−throughput scanning for DNA variations、Human Molecular Genetics、10巻:1657〜1664頁(2001年); Cottonら、米国特許第5958692号(T4エンドヌクレアーゼVII);Babonら、米国特許第5851770号;およびBaranyら、PCT公開第2006/023919号の教示が挙げられる。これらの参照文献の全体が、本明細書に組み込まれている。
【0101】
実際は、いくつかの実施形態では、任意の形態のミスマッチ依存性の切断を使用してよい(例えば、切断は、酵素に基づく必要はない)。例えば、Cottonら、米国特許第5698400号および第5958692号に開示されているように、リゾルバーゼの開裂を使用することができ、Blochに対する米国特許第5972618号に記載されているように、化学的な開裂を使用することができる。一般的には、へテロ二重鎖中の核酸のミスマッチを検出するように設計された方法は、本実施形態のうちのいくつかにおいて適用できる酵素または工程を含有する場合がある。これらの方法として、リボヌクレアーゼAによる消化、化学的な開裂、ならびにPCRおよびプライマーによる伸長に基づいた検出方法(Cotton、Curr. Opinion in Biotech.、3巻、24頁(1992年)に総説されている)が挙げられる。リゾルバーゼ(例えば、酵母およびバクテリオファージT4のX−ソルバーゼ(X−solvase)、Jenschら、EMBO J.、8巻、4325頁(1989年))は、数百個のヌクレオチドが関与する場合がある分枝したDNA中間体(例えば、DNAの十字型)の分解を触媒することが可能な核酸分解酵素である。一般に、これらの酵素は、DNAの歪みの部位の近くで活性を示す(Bhattacharyyaら、J. Mol. Biol.、221巻、1191頁(1991年))。T4エンドヌクレアーゼVII、バクテリオファージT4の遺伝子49の産物(Kleffら、The EMBO J.、7巻、1527頁(1988年))は、初めてホリデイ構造を分解することが示された(Mizuuchiら、Cell、29巻、357頁(1982年))リゾルバーゼである(West、Annu. Rev. Biochem.、61巻、603頁(1992年))。T4エンドヌクレアーゼVIIは、DNAの十字型(Bhattacharyyaら、上記;Mizuuchiら、上記)およびDNAループ(Kleffら、上記)を認識することが示されており、パッチ修復に関与することができる。バクテリオファージT7エンドヌクレアーゼIもまた、DNAの十字型を認識し、開裂することが示されている(West、Ann. Rev. Biochem.、61巻、603頁(1992年))。真核生物のリゾルバーゼ、特に、酵母Saccharomyces cerevisiaeに由来するものは、十字型DNAを認識し、開裂することが示されている(West、上記;Jenschら、EMBO J.、8巻、4325頁(1989年))。DNAのミスマッチを認識し、開裂するその他のヌクレアーゼも知られている。例えば、S1ヌクレアーゼは、試験DNAと対照DNAをアニールして、ヘテロ二重鎖を形成する場合に形成するDNAのミスマッチを認識し、開裂することが可能である。(Shenkら、Proc. Natl. Acad. Sci.、72巻、989頁(1975年))。また、E.coliのMut Y修復タンパク質も、DNAのミスマッチを検出し、開裂することが可能である。しかし、Mut Y修復タンパク質は、突然変異したDNAセグメント中に生じた突然変異の全数の50%を検出することが可能であるに過ぎない(Luら、Genomics、14巻、249頁、(1992年))。酵素、化学的な処理または一般的な切断のステップの唯一の重要な態様は、切断がミスマッチ依存性であり、両方の鎖(第1の核酸配列および第2の核酸配列)が切断されることである。両方の鎖が切断されない場合、その際には、以下に記載する連結のステップをそのように調節しなければならない。
【0102】
いくつかの実施形態では、塩基対のミスマッチの上流または下流の既知の相対的な場所において開裂する酵素を使用し、それによって、切断の場所を同定することによって、ミスマッチの場所のより確実な同定を可能にする。
【0103】
CHETの切断によって、二重鎖150が形成されることになる。それに続くステップのためには、環状化へテロ二重鎖140が、完全に開裂され、線状の二重鎖が生じるのが好ましい。当業者であれば理解するであろうが、非特異的な切れ目が、こうした処理の間に生じる場合があるが、問題にはならない。
【0104】
いくつかの実施形態では、これらの切れ目の存在が、この方法の結果に悪い影響を及ぼすことはないはずである。核酸配列に切れ目を入れ、鎖を融解させ、それらをゲル上に別々に流す以前の技法においては、切れ目の結果、ミスマッチについて誤って陽性を示す場合がある。しかし、ヘテロ二重鎖の完全な切断が生じる実施形態においては、DNA中の切れ目の結果、誤って陽性を示すことはない。これは、鎖が、この処理を通してアニールした状態に留まることができるからである。実際は、この工程の後期において誤って陽性を示す可能性を低下させるために、切れ目の修復のステップを実施することができるが、これが必要であるわけでなない。
【0105】
少量または取るに足りない量の非特異的な切断が、ホモ二重鎖に対して生じる場合がある;しかし、核酸配列中および溶液中の開裂した分子のかなりの量、または二重鎖150が、環状化へテロ二重鎖140からのものである。
【0106】
ミスマッチの開裂は、粘着末端または平滑末端を残すことができる。Endo Vによる開裂は、開裂した二重鎖上に粘着末端を残す。以下で注目するように、粘着末端は、BMNAS上に縮重した末尾を使用することによって対処することができる。いくつかの実施形態では、末端を平滑化し、それによって、BMNAS上の縮重した末端の必要性を取り除くことが好都合である場合がある。平滑化は、いくつかの方法、例えば、末端の充填または粘着末端の除去によって達成することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、CHETの両方の鎖がエンドヌクレアーゼによって切断される可能性を追加の酵素を包含することによって増加させて、両方の核酸の鎖を確実に切断することができる。例えば、いくつかの実施形態では、S1エンドヌクレアーゼまたはマグネシウムを包含して、切断を支援することができる。いくつかの実施形態では、支援酵素は、ヘテロ二重鎖の切断を支援するに過ぎず、ヘテロ二重鎖依存性のエンドヌクレアーゼなしでは切断を実施しない。
【0108】
結合部分の連結
上記に記載したように、環状化へテロ二重鎖を開裂させて、二重鎖150を形成し、次いで、ステップ60において、結合部分核酸配列155を二重鎖に連結させて、結合部分二重鎖(BMD)160を生み出すことができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、結合部分156を、核酸配列154の付加によって二重鎖150につなげることができる。核酸配列154は、結合部分156に、場合によりリンカー157を介して結び付いている。結合部分核酸配列155は、いくつかの構成成分を包含することができるが、唯一の必要な部分は、結合部分自体、および当該結合部分を二重鎖150にまたはその内部に結び付ける手段である。
【0110】
いくつかの実施形態では、BM156のみが二重鎖150につながる。例えば、これは、結合部分が、二重鎖に直接連結させることができる核酸配列である場合に生じる得る。そのようなBM156の例が、DNAまたはRNAのアプタマーであり、その結果、それによって当該二重鎖を操作することができるBMの直接的な連結が可能となる。また、抗体によって結合させることができる核酸配列も使用することができる。その他の実施形態では、結合部分は、核酸配列ではなく、当該結合部分は、核酸配列154を使用せずに二重鎖150につながる。例えば、二重鎖150中のある配列に対する抗体を使用してもよく、またはプローブを末端の核酸に結び付けるための任意の方法を使用してもよい。しかし、多くの実施形態では、二重鎖に付加するセクションは、核酸配列および当該配列にすでにつながっている結合部分を包含する。当業者であれば理解するであろうが、いくつかの実施形態では、二重鎖の切断された末端を相互に連結し戻すことに価値がある場合がある。これには、その後のさらなる処理に向けて、関連性のある配列(およびミスマッチに関与する塩基)を一緒にして保つより大きな可能性があるからである。例えば、これによって、バーコードの形成が可能となり、この処理を通して配列が一貫した状態に保たれる。
【0111】
いくつかの実施形態では、結合部分核酸配列155は、核酸配列154、場合により制限部位158aおよび158b、ならびに場合により縮重した末端153aおよび153bを包含する。上記で注目したように、縮重した末端153aおよび153bは、いくつかの異なる結合部分核酸配列の使用を意味し、それぞれの結合部分核酸配列は、末端において異なる組合せの核酸を有する。末端における縮重した核酸の数は、いずれの数であってもよく、各末端上で1つまたは2つであることが多い(例えば、Endo Vを使用する状況の場合)。したがって、縮重した末端153aおよび153bを有する結合部分核酸配列155が関与する方法では、16個の縮重した結合部分核酸配列が関与することができ、それぞれが、各末端において異なる組合せの核酸を有する。16個の「異なる」BMNAS(唯一の違いは、末端の核酸153aおよび153bに存在する)を用いれば、(単一の核酸のオーバーハングがあると仮定すると)ステップ50の結果生じた全ての可能な粘着末端151および152を網羅することができる。いくつかの実施形態では、それぞれの粘着末端上により多くの核酸が存在し、256または1,024個以上も縮重した末端を使用する。例えば、Endo Vがミスマッチ依存性の酵素として関与する状況では、1つの核酸または2つの核酸のいずれかを、オーバーハング151および152中に包含するこができる。これらのオーバーハングが留まる場合には、次いで、縮重した155のBNASは、16個または256個の変異のいずれかによってカバーすることができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、結合部分核酸配列155は、さらなる処理のために、追加の制限部位を包含する。追加の制限部位は、BMNAS155の遠位の領域の付近に位置することができ、いくつかの実施形態では、図6に示すように、結合部分156に対しても、かつ核酸配列154に対しても外側にある。いくつかの実施形態では、(図7に示すように)制限部位は、結合部位の遠位で開裂する。好ましい実施形態では、II型またはIII型のいずれかの制限部位および酵素を使用する。いくつかの酵素および部位は、FOCK I、EcoP I、MME Iならびに/またはIII型、ATP依存性の制限酵素および部位を包含することができる。代替の実施形態では、また、結合部分二重鎖160を切断するために、せん断によって開裂することもできる。好ましくは、結合部分二重鎖の切断は、変異した塩基のそれぞれの側上に約20個の核酸を残す。好ましい実施形態では、CBMD170のそれぞれの末端上に、元々のFNASおよびSNASに属する約40〜30、30〜20、20〜10個の核酸が存在する。
【0113】
同一の制限部位を、158aおよび158bについて使用することができるが、それらは、同一である必要はない。さらに、上記で注目したように、BMNASは、核酸配列154、リンカー157、BM156、制限部位158aおよび158b、ならびに縮重した末端153aおよび153bを包含することができるが、これらの態様の全てが、全ての実施形態において存在する必要があるわけではない。利用する方法の最終目標に応じて、上記の任意の組合せが存在してよい。したがって、いくつかの実施形態では、ステップ60において、BM156のみを使用し、このステップでは、実際のところ、二重鎖150を環状化する必要がない。同様に、いくつかの実施形態では、縮重した末端153aおよび153bを有するが、核酸配列154も制限部位も有さないBM156を使用する。いくつかの実施形態では、核酸配列154なしで、BM156、リンカー157、制限部位158aおよび158b、ならびに縮重した末端153aおよび153bを使用する。当業者であれば理解するであろうが、可能な組合せのそれぞれが、種々の利点を有し、それらは、本開示に照らせば、当業者には明らかとなるであろう。
【0114】
二重鎖150上の粘着末端151および152は、全ての状況において保たれる必要があるわけではない。点突然変異の身元を実際に知る必要がない実施形態では、特にそうである。したがって、いくつかの実施形態では、粘着末端を除去して、二重鎖150中に平滑末端を形成することができる。そのような実施形態では、結合部分核酸配列155上で縮重した末端を使用する必要がない。さらに、当業者であれば理解するであろうが、特定の種を、その他の種を上回って濃縮する目的では、結合部分核酸配列が、制限部位158aおよび158bを含有する必要はない。したがって、いくつかの実施形態では、結合部分核酸配列155は、結合部分156のみを含む。その他の実施形態では、結合部分核酸配列155を使用せず、その代わり、二重鎖の、環状化ホモ二重鎖125を上回る濃縮を、開裂したCHET140(二重鎖150)を、環状化ホモ二重鎖125を上回って選択することによって達成する。
【0115】
「結合部分」(BM)という用語は、十分な強度で、別の分子に結合すること、それと結合状態にあることまたはそれらの両方ができ、その結果、BMおよびBMにつながっている分子(例えば、核酸配列154または二重鎖150)と、BM156につながっていない核酸配列とをある程度分離することができる分子を指す。いくつかの実施形態では、このことは、BM156が、精製部分(PM)166と、BM156の何らかの精製および/または濃縮を可能にするのに十分な程度で相互作用することが可能であることを意味する。しかし、BMが、必ずしも精製部分を必要とするとは限らない。例えば、BM156は、磁気的に制御可能な粒子であってよく、それに続くBMの精製が、磁場の使用によって可能となる。
【0116】
いくつかの実施形態では、BM156は、溶液から、BM156に共有結合によってつながっている全ての分子を完全に取り出すことを可能にすることができる。その他の実施形態では、BM156がPM166と対をなすことによって、試料からPM166を取り出すことを介して、試料から、BM156につながっている有効量の分子を取り出すことが可能になる。例えば、100%から1%以下、例えば、100〜99、99〜95、95〜90、90〜80、80〜70、70〜50、50〜30、30〜20、20〜10、10〜1パーセント、またはそれ未満のBM156、したがって、BM156につながっている分子を取り出せば、本明細書に開示する組成物および方法を、所望するように実施することを可能にするのに十分であり得る。必要な量は、本明細書の教示および当業者の知識に従って、特定の状況に適するように決定される。
【0117】
所望の特定の特徴を有する分子であれば、いずれもBMとして有用であり得る。いくつかの実施形態では、BM156は、BMNASの任意選択の態様を妨げてはならない。BM156がPM166に結合することまたはPM166がBM156に結合することが可能となり、かつ試料から、それらの両方を取り出すこと、さらにはBMにつながっている任意の分子を取り出すことが可能となるのに十分堅固にかつ十分に長い持続時間にわたりBM156は結合することができる。当業者であれば理解するであろうが、BMにつなげる分子は、実施形態に応じて異なってよい。さらに、BMと、つながっている分子(例えば、核酸配列154)との間の相互作用が、BM156の使用により試料から当該つながっている分子を取り出すことを可能にするのに十分に安定である限り、BM156は、当該つながっている分子に共有結合によって結び付いている必要はない。そのような分子の例として、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、抗原および抗体からのエピトープおよびパラトープが挙げられる。当業者であれば理解するであろうが、このリストは、BMおよびPMの両方のための選択肢を包含し、適切に対をなす。
【0118】
任意選択的精製
結合部分核酸配列155を二重鎖150中に挿入して、結合部分二重鎖BMD160を形成した後には、ミスマッチを含有する、したがって、最初から第2の核酸配列を含有する核酸配列のみが結合部分156につながっていることになる。この時点において、結合部分156およびそれにつながっている(対象とする核酸を含めた)構成成分を単に採取することによって、第2の核酸配列111を第1の核酸配列122と比べて精製または濃縮することができる。
【0119】
上記で注目したように、この濃縮は、結合部分156に結合する精製部分166を使用して実施することができる。当業者であれば理解するであろうが、精製部分および結合部分の身元は、複数の要因に依存して異なってよい。いくつかの実施形態では、結合部分は、ビオチンであり、精製部分は、場合により磁気ビーズにつながっているストレプトアビジンを包含する。しかし結合部分が、核酸配列につながることができ、かつ精製部分が(これを必要とする場合には)、結合部分二重鎖160と環状化ホモ二重鎖125の分離を可能にするのに十分な程度の特異性および強度で、結合部分に有効に結合することができる限り、精製部分および結合部分の身元または特定の態様は、それほど重要ではない。当業者であれば理解するであろうが、精製のステップは、結合部分156を二重鎖150につなげてしまえば、種々の段階において行うことができる。したがって、いくつかの実施形態では、精製を、より後の段階において、例えば、結合部分二重鎖160を開裂させるステップの後に行う。
【0120】
BM156またはBMNAS155が二重鎖とはつながっていない、いくつかの実施形態では、二重鎖150の、ホモ二重鎖125を上回る濃縮は、環状化核酸配列と線状化核酸配列の分離を可能にする任意の方法によって達成することができる。したがって、いくつかの実施形態では、二重鎖150とホモ二重鎖125とを、線状化核酸配列には結合するが、環状化配列には結合しないゲルまたは分子の上で分離することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、ビオチンを末端に連結させ、逆精製(標的の取り出しとは対照的に廃棄物の除去)を実施する。
【0122】
いくつかの実施形態では、環状化DNAを、線状DNAを上回って選択することを、そのような選択性を有する酵素によって達成する。例えば、環状DNAを消化することはできないが、末端を消化することはできるBal31エキソヌクレアーゼ等の酵素もまた、選択ステップにおいて使用することができる。
【0123】
結合部分二重鎖の開裂
いくつかの適用例では、変異または塩基対のミスマッチが関与する遺伝子または配列の同定をねらう。いくつかの実施形態では、また、第1の核酸配列と第2の核酸配列との間の特定の違いを同定することも重要である。これらの課題を解決する1つの方法が、二重鎖150中の全ての核酸配列の配列決定である。しかし、この工程を達成することができる容易度は、第1の核酸配列および第2の核酸配列の大きさに一部依存することから、大きく変動する場合がある。
【0124】
しかし、全ての状況においてFNAS122およびSNAS111の全配列を配列決定するわけではなく、所望の結果を達成することも可能である。具体的には、ゲノムまたは多量の生物体(もしくは関連の生物体)の配列がすでに知られている状況においては、より短い長さの配列を使用して、FNASおよびSNASを同定することができる。すなわち、バーコード(または対をなすタグ)171aおよび171bを使用して、バーコード(したがって、FNASおよびSNAS)がどの配列(例えば、生物体中のどの遺伝子)の一部であるかを同定することができる。これによって、別の場合には必要となるであろう配列決定の量が減少するのみならず、別の場合には適用可能であり得ないであろう配列決定技法が可能となる。具体的には、比較的短い距離にわたる処理能力の点で最適な並行配列決定技法を使用することができる(以下に、より詳細に論じる)。これらの技法は、従来の、より長い距離の配列決定技法を上回る利点を有する場合がある一方で、より長い配列上で使用する場合には、追加の課題が生じることも多い。したがって、それと、FNASまたはSNASの上に存在するバーコードを比較し、それによって、FNASおよびSNASを同定するライブラリーまたはゲノムが存在する状況においては、それに続く配列決定のステップに関与する核酸配列の量を減少させることによって、これらの並行配列決定技法の使用が可能になる。
【0125】
したがって、いくつかの実施形態では、これらの代替の配列決定の方法を利用するために、第1の核酸配列および第2の核酸配列の大部分または少なくともあるセクションを、結合部分二重鎖160から除去する。そのような実施形態では、第1の核酸配列および第2の核酸配列を同定するために、第1の核酸配列および第2の核酸配列171aのうちの少量をバーコードとして保持する。
【0126】
切断のステップは、BMNAS155の内部に含有される制限部位158aおよび158bを使用することによって達成することができる。上記で注目したように、いくつかの実施形態では、これらの制限部位の結果、実際の部位の遠位で核酸が開裂する。多様な制限酵素および制限部位を使用することができるが、いくつかの実施形態では、II型またはIII型の制限部位および酵素、例えば、FOCK I、EcoP I、MME IおよびATP依存性の制限酵素を使用する。いくつかの実施形態では、EcoP15II部位および酵素を使用し、結合部分二重鎖160を切断して、切断結合部分二重鎖170を形成する。EcoP15Iは、当該部位から約25塩基を切断するので、EcoP15Iの結合部位のそれぞれの側上に約25個の核酸が残存することになる。
【0127】
(1つまたは複数)の切断の結果を、図7に示す。BMD160を切断すると、線状の二重鎖である切断されたBMD170が生じ、これは、「バーコード」または「対をなすタグ」171aおよび171bを含む。切断結合部分二重鎖は、131cおよび131dにおいて、(突然変異である場合がある)ミスマッチ塩基対もさらに包含する。したがって、切断結合部分二重鎖CBMD170によって、元々の核酸配列111および122のうちの比較的短いセクションを使用して、配列を適切に同定し、所望により、さらに点突然変異131a、131bを同定することも可能となる。これに照らして、結合部分二重鎖160を切断する必要があるとは限らないが、図7中、項目172として示すように、結合部分二重鎖160を1回のみならず、2回切断して、過剰量の第1の核酸配列122および第2の核酸配列111を排除することがとりわけ好都合となる場合がある。好ましい実施形態では、バーコード171a、171bの長さは、200ヌクレオチド未満、例えば、200〜100、100〜50、50〜40、40〜30、30〜20、20〜10、またはそれ未満の核酸長である。
【0128】
いくつかの実施形態では、この方法を、対象とする遺伝子または配列の全てがすでに知られているまたは同定されている生物体に由来する試料を用いて実施する。したがって、短縮された核酸配列またはバーコードを使用し、バーコードの配列を既知のゲノムと比較することによって容易に同定して、FNASおよび/またはSNASがどの遺伝子の一部であるかを同定することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、CBMDの開裂した末端は、粘着性であり、その後の処理を所望する場合には、当該末端の研磨が有益である場合がある。したがって、場合により、研磨のステップを、CBMD上で、例えば、それに続く、CBMDが関与する連結のステップを実施する場合には実施することができる。
【0130】
ホモ二重鎖とヘテロ二重鎖をそれまでに分離しなかった場合には、この濃縮/精製のステップを、切断のステップ70に続いて実施することができる。この時点におけるこのステップの実施により、ホモ二重鎖125のみならず、また、過剰の核酸配列172も除去する追加の利益がもたらされる。この工程を、一般的に、図8に示し、図中、溶液101中で、精製部分166を使用して、ホモ二重鎖125(およびおそらく過剰の核酸配列172)と共に溶液中にあるBM156を結合させる。次いで、(ステップ80bにおいて)精製部分166を、つながっているBM156および二重鎖170と一緒に別の容器に移動させ、SNASの量がFNASの最初の量と比較して濃縮されている溶液102を得ることができる。当業者であれば理解するであろうが、元々の溶液101からのPM166のいずれの分離も適切である。したがって、いくつかの実施形態では、PMをビーズに固定化し、溶液101をビーズ上に単に流し、次いで、このビーズを濯いで、ホモ二重鎖125の除去を行う。同様に、PM166を、磁気粒子につなげ、磁場の適用によって溶液101から取り出すこともできる。
【0131】
CBMDおよび増幅のためのアダプター
BMD160の切断70に続いて、FNASおよびSNASの残存するセクションを特徴付けすることができようが、いくつかの実施形態では、切断結合部分二重鎖170の量を、その後の増幅のステップを通してさらに増幅するのが好都合である。これを達成することができる1つの方法を、図9に示す。
【0132】
いくつかの実施形態では、アダプター181および182を、切断結合部分二重鎖170のそれぞれの側に付加させて、切断結合部分二重鎖170、具体的には、突然変異またはミスマッチ源のさらなる増幅を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、アダプター181および182は、ステップ81および82において付加させたPCRプライマー部位である。非対称性のアダプターの選択的な付加は、多様な方法で達成することができる。好ましい実施形態では、これを、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている米国特許出願第11/338620号、標題「Asymmetrical Adapters and Methods for Constructing Amplified Paired End Libraries for Genome Sequencing」、代理人整理番号3431.1008−000の開示に従って達成する。いくつかの実施形態では、アダプター181および182は、PCRプライマー部位であり、2つの異なる配列である。
【0133】
特異的なPCRプライミング部位の使用に加えて、核酸の増幅を可能にする任意の方法または工程を使用してよい。例えば、いくつかの実施形態では、CBMD170のそれぞれの側上に約20塩基対のポリアデニル化尾部をもたらすことができるターミナルトランスフェラーゼを使用することができる。次いで、このポリA尾部は、切断結合部分二重鎖170の増幅のための部位として使用してよい。
【0134】
アダプター181およびアダプター182の付加に続き、次いで、プライマーをアダプターに付加させ、PCR増幅を実施することができる。
【0135】
好ましい実施形態では、多数の種々のCBMD170を迅速に増幅するためにエマルジョンPCRを使用する。そのような技法は、当技術分野では周知であり、Dressmanら、「Transforming Single DNA Molecules in Fluorescent Magnetic Particles for Detection and Enumeration of Genetic Variations」、PNAS、100巻、8817〜8822頁(2003年)、およびLeamonら、PCT出願第WO2005/003375号、標題「Methods of Amplifying and Sequencing Nucleic Acids」で論じられている。いくつかの実施形態では、エマルジョンPCRには、磁気ビーズが関与し、これにオリゴヌクレオチド(プライマー)をつなげる(おそらくビオチン/ストレプトアビジンであるが、これは、使用する実際のBMによって異なってよい)。ビーズを、CBMD170と共に、PCRに必要な成分の全てを有する水性の混合液に添加し、構成成分を、油/洗剤のミックスと共に混合して、マイクロエマルジョンを形成する。理想的には、エマルジョン中のそれぞれの水性のセルが、平均して、1つ未満の鋳型と1つ未満のビーズとを含有する。次いで、混合液全体を、PCR増幅と同様に温度サイクルにかける。ビーズと鋳型が、同一の水性のセル中にある場合に、ビーズにつながっているオリゴヌクレオチドが、プライマーとして作用することになる。
【0136】
いくつかの実施形態では、これは、FNASおよびSNASの多数の種々の種が、同時に調査されている場合にはとりわけ好都合である。いくつかの実施形態では、1〜5、5〜10、10〜50、50〜100、100〜500、500〜1000または1000〜5000種以上の異なる種の核酸配列(またはそれらの部分)を、上記に記載した工程中のこれらの後期のステップのうちの少なくともいくつかを通して同時に調査する。いくつかの実施形態では、その数が、調査されている種々のCBMDの数である。
【0137】
このステップに続いて、いくつかの反応槽が単一のビーズのみを包含するように、ビーズを多数の反応槽のアレイに送達することができる。次いで、所望により、反応槽のそれぞれについて配列決定反応を同時に実施することができる。
【0138】
(1つまたは複数の)ミスマッチ塩基の特徴付け
アダプターを含有する切断結合部分二重鎖180の増幅に続いて、典型的には、FNASおよび/またはSNASの残存する部分、すなわち、バーコード171aおよび171bならびに/またはミスマッチ131cおよび131dに関与する実際の塩基等を特徴付ける。いくつかの実施形態では、この特徴付けは、増幅産物を配列決定することを意味する。いくつかの実施形態では、特徴付けでは、ゲノム中の第1の核酸配列または第2の核酸配列の配列または場所を、例えば、バーコードを使用して、単に同定することになる。これによって、ミスマッチに関与する可能性のある遺伝子またはその他の配列を同定することが可能となる。こうした遺伝子またはその他の配列は、対象とする関連の表現型を有する場合がある。
【0139】
いくつかの実施形態では、また、FNASおよびSNASの実際の部位およびそれらの間の違いの性質を、結合部分核酸配列155が挿入された場所を同定することによって決定することもできる。あるいは、産物180の2つの鎖を単に配列決定することによって、2つの別々の配列を得ることができ、ミスマッチに関与する塩基の同定が可能となる。ミスマッチを特徴付ける場合には、ミスマッチが生じる遺伝子または配列を単に同定し、ミスマッチが生じる核酸の位置または場所を同定し、またはいくつかの実施形態では、実際の核酸の違いを、第1の核酸配列と第2の核酸配列とを(配列決定の結果を調査することによって)比較することによって同定することができる。上記で注目したように、この違いは、2つ以上の核酸である場合があり、第1の核酸配列と第2の核酸配列との間で、任意の数に及ぶ核酸を包含してよい。
【0140】
並行配列決定
これらの方法は、大量に並行して配列決定することが、好都合であるまたは所望される状況に適用することができる。例えば、いくつかの実施形態が、多数の異なる遺伝子、または同一もしくは異なる遺伝子の多数の種々のセクションが存在する場合に有用である場合がある。したがって、FNASまたはSNASの複数の種がある実施形態では、アダプターを含有するCBMD180は、並行配列決定の方法によって特徴付けることができる。
【0141】
核酸配列の多数の比較的短い鎖を配列決定するのに最適化されている配列決定技法を、いくつかの実施形態の場合に使用する。例えば、最終産物が、(過剰な配列172を有しない)バーコードを付けた核酸配列を含む場合には、これらの産物に対して、従来のより長い距離の配列決定技法よりも、迅速で、場合により、正確な配列決定の方法を一通り行うことができる。この使用は、極めて多様な非常に類似する恐れのある配列に由来する特定の標的を増強または検出するのみならず、核酸配列およびミスマッチの原因である(1つまたは複数の)特定の核酸を同定するために、短いセグメントのみの配列決定を必要とするに過ぎないことから、非常に効率的な様式でもそれを行うという追加の利点を有する。
【0142】
当業者であれば理解するであろうが、使用することができるであろう多様な並行配列決定技法がある。例えば、いくつかの実施形態では、使用する技法には、その全体が参照によって本明細書に組み込まれているKevin McKernanらに対するPCT公開第WO2006084132号、代理人整理番号2005082−0009に開示されているオリゴヌクレオチドの連結および検出による配列決定が関与する。いくつかの実施形態では、DNAの配列決定を、並行オリゴヌクレオチド伸長、例えば、Maceviczらに対する米国特許第5750341号に記載されているものによって達成し、また、Maceviczらに対する米国特許第6306597号も使用することができる。これらの特許はいずれも、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。配列決定技法の追加の例として、Church polony技術(Mitraら、2003年、Analytical Biochemistry、320巻、55〜65頁;Shendureら、2005年、Science、309巻、1728〜1732頁;米国特許第6432360号、米国特許第6485944号、米国特許第6511803号)、454ピコタイターピロシーケンス技術(Marguliesら、2005年、Nature、437巻、376〜380頁;US20050130173)、Solexa単一塩基付加技術(Bennettら、2005年、Pharmacogenomics、6巻、373〜382頁;米国特許第6787308号、米国特許第6833246号)、Lynx大量並行サイン配列決定(Lynx massively parallel signature sequencing)技術(Brennerら(2000年)Nat. Biotechnol.、18巻:630〜634頁;米国特許第5695934号、米国特許第5714330号)、およびAdessi PCRコロニー技術(Adessiら(2000年)Nucleic Acid Res.、28巻、E87頁;WO00018957)が挙げられる。これらはいずれも、その全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【0143】
以下の節で、一般的に、種々の実施形態のうちのいくつかに関連性のある追加の態様について論じる。
【0144】
第1の核酸配列および第2の核酸配列
第1の核酸配列および第2の核酸配列を、多数の可能な配列から選択することができる。事実上、これらの2つの配列についての唯一の要件は、第1の核酸配列および第2の核酸配列が、相互にヘテロ二重鎖を形成することが可能であり、そのヘテロ二重鎖が、少なくとも1つのミスマッチを含有することである。いくつかの実施形態では、ヘテロ二重鎖は、1つのミスマッチのみを含有し、ヘテロ二重鎖130中で単一の開裂点をもたらす。複数の開裂は、可能ではあるものの、その後の工程を複雑にする恐れがある。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列は、野生型の遺伝子であり、第2の核酸配列は、当該第2の核酸配列が試料中に存在するか否かを同定する突然変異した遺伝子である。その他の実施形態では、第1の核酸配列は、突然変異した遺伝子であり、第2の核酸配列は、対象とする遺伝子であり、これについて、当該変異した遺伝子が試料中に存在するか否かを決定しようとする。そのような実施形態では、変異した核酸配列の存在は、ヘテロ二重鎖が形成されないことによって明らかとなるであろう。
【0145】
当業者であれば理解するであろうが、第1の核酸配列および第2の核酸配列は、DNA配列であってよく、いくつかの実施形態では、それらは、mRNA等のRNA配列である。当業者であれば理解するであろうが、本明細書に記載する技法または本明細書において達成される方法のステップからの結果が、種々の型の核酸配列において可能である限り、核酸配列のいずれの形態であっても使用してよい。したがって、事実上、ヘテロ二重鎖を形成し、その塩基対のミスマッチにおいて開裂され得る核酸配列であればいずれも、本明細書に記載する方法から利益を得ることができるであろう。
【0146】
サブトラクティブ濃縮
当業者であれば理解するであろうが、本実施形態の多くは、標的配列を、その他の配列を上回って、結合部分を介して積極的に選択することによって当該標的配列を増強することになるものとして記載されている。しかし、いくつかの実施形態では、標的配列の1つまたは複数の増強を、溶液からその他の配列を除去することによって達成する。例えば、いくつかの実施形態では、試料中に存在することが分かっている配列を、溶液中で当該既知の配列とヘテロ二重鎖を形成する配列を添加することによって除去する。次いで、ヘテロ二重鎖を、上記に記載したように、精製部分を使用する段階に作用させ、この時点で、当該既知の核酸配列が試料から取り除かれ、それによって、残存する核酸配列が、(最初の試料と比べて)濃縮される。もちろん、次いで、残存する核酸配列標的を増幅し、次いで、この配列をいくつかの方法において特徴付けることができる。当業者であれば理解するであろうが、既知の核酸配列を制御配列として添加する場合には、既知の配列は、単なる単一の核酸配列であっても、または核酸配列のハイブリダイズした対であってもよい。もちろん、ハイブリダイズした対の、除去する当該核酸配列の量を超えた使用により、より優れた精製が可能となる。これは、最初の大部分の配列のうちのより多くが確実に除去されることによる。
【0147】
ライブラリー
いくつかの実施形態では、一般なプライマーを最初の試料上で使用し、それによって、試料中のミスマッチを含有する多量の配列を増幅する。事実上、これらのミスマッチによって、別の面では類似するおよび/同一である核酸配列間の違いを示すことができる。例えば、この違いは、ゲノムに内在する違い、(健常細胞と癌細胞等の)2つの異なる細胞集団の存在に起因する違い、または試料に添加した制御配列に起因する違いによる場合がある。いくつかの実施形態では、一部または全部、例えば、100、100〜90、90〜80、80〜70、70〜60、60〜50、50〜40、40〜30、30〜20、20〜10、10〜1、1〜0.1、0.1〜0.001パーセント、またはそれ未満の異なる核酸配列を増幅する。実施例5で注目するように、この結果、試料中の、ミスマッチ塩基対を有する全部(または一部)の核酸配列の選択的な増幅を得ることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの核酸配列が増強され、例えば、1〜3、3〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜1000または1000〜10000個以上の核酸配列が、開示した方法によって増強される。これによって、試料中に少量で存在する核酸配列の検出が可能となるのみならず、試料中に存在する全部(または一部)の変異のライブラリーを有効にもたらすこともできる。試料がゲノムである状況においては、これによって、同定するゲノムの変異のうちの全部(または一部)をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、最初または未変性の核酸配列(これは、FNASまたはSNASの鋳型を形成するまたはそれらとして働く)の一部のみを増幅する。いくつかの実施形態では、FNASおよびSNASの大きさを制限または選択して、その他のステップをより効率的にするのが好ましい。非常に多様な大きさを使用することができるであろうが、FNASおよびSNASの塩基対の長さは、1,000,000未満、例えば、1,000、000〜100,000、100,000〜10,000、10,000から1,000、1,000〜500、500〜250、250〜200、200〜150、またはそれ未満であってよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、in vitroのアプローチの使用によって、試料の並行処理が可能となる。したがって、単一または比較的少数回の配列決定の実行を使用して、試料が、複数の可能な少数種の核酸配列のうちのいずれか1つ、または何らかの数の可能な変異核酸標的(多様なSNP等)を有するか否かを決定することができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、何らかの時点においてミスマッチ依存性の開裂および(おそらくBMNASを介した)BMの挿入のステップが続く環状化のステップによって、ミスマッチ依存性の酵素によって核酸配列に非特異的に切れ目が入ることに起因する誤った陽性を減少させる工程が可能になる。このことは、ミスマッチの部位を決定するためにミスマッチ依存性の切断に由来する産物をゲル上に流す技法の場合、問題となっていた。それに続いてBMをつなげるために、環状化核酸配列の完全な開裂を必要とすることによって、単に切れ目が入ったに過ぎない配列は、これらもまた、BMを挿入させるために完全に開裂されない限り、最終的な試料中には出現しないことになる。
【0150】
いくつかの実施形態では、過剰な核酸配列172の除去によって、ミスマッチの配列決定および特徴付けのより効率的な方法が可能となる。いくつかの配列決定の方法は、比較的短い距離にわたって最も有効であることから、完全長の核酸配列を有することが問題になり、配列決定の方法が不完全またはより複雑になる恐れがある。制限部位158aおよび158bを塩基対のミスマッチの場所の付近に(例えば、BMNASを介して)選択的に付加することによって、FNASおよび/またはSNASが、ゲノムまたは試料の中のどこに由来するかを同定することを可能にするのには十分長く、かつより短い距離の配列決定技法を十分に生かすには十分短い、より短い配列を容易に生成させることができる。さらに、制限部位を、ミスマッチを含有するセクションの近くに付加することによって、確実に、ミスマッチ自体が適切に同定されるようになすことができる。
【0151】
以下の節に、一般的に、上記で論じた実施形態のうちのいくつかの種々の実施例の概要を述べる。
【実施例】
【0152】
(実施例1)
核酸配列の濃縮
生検が、患者から試料を得るのに好ましい。次いで、試料中のp53遺伝子上におけるPCR増幅を実施する。このPCR増幅によって、野生型p53の集団、および生検試料中に存在する何らかの変異または突然変異p53が増加する。
【0153】
PCR増幅に由来する産物を融解および再アニールして、ホモ二重鎖、および(突然変異体が存在する場合には)p53遺伝子の可能なヘテロ二重鎖を形成する。これに続いて、増幅産物を環状化して、環状化ホモ二重鎖および環状化へテロ二重鎖を形成する。環状化したホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖を、Endo Vを用いて処理し、ヘテロ二重鎖中のミスマッチの近くでヘテロ二重鎖を開裂させる。これに続いて、ビオチン標識した結合部分核酸配列(BMNAS)を、切断された環状化へテロ二重鎖に連結させる。(開裂末端が平滑である場合には)単一のBMNASを使用することができるが、典型的には、いくつかの、結合部分核酸配列を使用し、それによって、BMNAS上に(通常、全ての可能な末端をカバーする)縮重した末端があり、少なくとも1つのBMNASを、切断されたヘテロ二重鎖に容易に連結可能となす。結合部分核酸配列は、内部のビオチンをさらに包含する。BMNASを磁気ビーズにつなげたストレプトアビジンの使用によって採取することにより、塩基対のミスマッチの部分である核酸配列を濃縮する。
【0154】
(実施例2)
ミスマッチ配列の特徴付け
実施例1において生み出した濃縮した核酸配列は、塩基対のミスマッチに関与する正確な(1つまたは複数の)核酸を決定するためにさらに特徴付けることができる。実施例1に記載した工程を実施するが、実施例1における結合部分核酸配列は、結合部分核酸配列の各末端の近くに1つずつ、2つのEcoP15I部位を含む。この改変したBMNASの連結に続いて、結合部分二重鎖を、III型の切断酵素、具体的にはEcoP15Iを用いて切断して、切断結合部分二重鎖を形成し、次いで、これを、環状化ホモ二重鎖から、ビオチン断片をストレプトアビジンでコートした磁気ビーズに結合させ、磁気ビーズを採取することによって精製する。
【0155】
これに続いて、(その全体が参照によって組み込まれている米国特許出願第11/338620号、代理人番号3431.1008−000に詳細に述べられているように)P1およびP2として、それぞれが各末端に付加した、2つの別々のプライマー部位または非対称性のアダプターを、切断結合部分二重鎖に結び付ける。次いで、これらのプライマー部位を、それに続く、エマルジョンPCRによるPCR増幅のために使用することができる。最後に、このPCR増幅の産物を、(その全体が参照によって組み込まれているKevin McKernanらに対するPCT出願公開第WO2006084132号、代理人番号2005082−0009に詳細に述べられているように)オリゴヌクレオチドによる連結および検出により配列決定して、ヘテロ二重鎖中のミスマッチ核酸を同定する。ミスマッチは、得られた配列を比較し、FNASの配列とSNASの配列との間のどこで違いが生じるかを決定することによって同定することができる。あるいは、BMNASの一部として挿入した既知の核酸配列の存在を使用して、それが、塩基対のミスマッチの近くにあることから、ミスマッチの場所を決めることもできる。
【0156】
(実施例3)
ミスマッチの同定なしでの特徴付け
当業者であれば理解するであろうが、全ての状況において、標的配列を配列決定する必要があるわけでない。例えば、いくつかの実施形態では、単に、ミスマッチがどこにあるか、またはミスマッチ(したがって、変異配列)が存在することを知ろうとすることができる。
【0157】
最初に、PCR増幅を、試料上で実施して、対象とする配列を増幅する。このPCR増幅によって、制御(FNAS)配列および標的(SNAS)配列の集団を増加させる。PCR増幅に由来する産物を、融解および再アニールして、ホモ二重鎖、およびSNASがFNASとは異なる場合には可能なヘテロ二重鎖を形成する。これに続いて、増幅産物を環状化して、環状化ホモ二重鎖および環状化へテロ二重鎖を形成する。環状化したホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖を、Endo Vを用いて処理し、いずれかのミスマッチの近くでヘテロ二重鎖を開裂させる。次に、開裂産物の粘着末端を平滑化する。これによって、BMNASの複数の形態の必要性が排除される。これに続いて、ビオチン標識した結合部分核酸配列を、切断されたヘテロ二重鎖に連結させる(二重鎖)。BMNASは、実施例2に記載したように、2つの制限部位を含有するものとする。配列の処理および特徴付けを、実施例2の記載に従って続ける。もちろん、(例えば、平滑末端化により)塩基対のミスマッチ自体が欠失する場合があることから、ミスマッチの原因である最初の塩基対の周囲のバーコードセクションの身元のみが残る場合もあろう。しかし、これは、ミスマッチの部位または一般的な場所の同定には十分である。
【0158】
代替の実施形態では、二重鎖の粘着末端を埋め戻し、それによって、ミスマッチに関与する核酸を保持することもできる。
【0159】
(実施例4)
SNPの濃縮および検出
いくつかの実施形態では、本技法を使用して、試料中のSNPを検出することができる。大多数の核酸配列および少数の核酸配列の両方を含有する反応混合液を最初に増幅する代わりに、標的の核酸配列(標的配列、SNAS)とヘテロ二重鎖を形成する既知の核酸配列(制御配列、FNAS)を試料に添加する。PCRを使用して、試料を増幅し、産物を融解させ、制御核酸配列を試料中の何らかの標的核酸配列に再アニールする。これに続いて、試料中の核酸配列を環状化し、ミスマッチ依存性の酵素を添加して、任意のヘテロ二重鎖を開裂させる。BMNASを二重鎖に連結させ、BMを最初の溶液から単離する。BMNASが、最初の制御配列とマッチする、何らかの添加した核酸配列と共に単離される場合には、試料中に、当該既知の配列についてのSNPが存在した。BMNASにつながっている核酸配列は、実施例2の記載に従って、配列決定して、SNPを完全に同定することができる。
【0160】
(実施例5)
ビーズに基づいた方法を使用する、ヘテロ二重鎖対形成ライブラリーの構築
試料中に存在するミスマッチ(例えば、DNA配列中の変異)を代表する、DNA配列のライブラリーを形成するために、最初に、標的領域をPCR増幅し、FNASとSNASとのヘテロ二重鎖を形成する。図11に、この実施例のステップのうちのいくつかの一般的な概要を提供する。その他のステップは、上記でさらに詳述されている。PCR混合液は、100μlの全反応混合液について、10pmolの各プライマー、200μmの各dNTP、2単位のAmplitaq gold(登録商標)DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems製)、50mM KCl、1.5mM MgCl、10mM Tris(pH8.4)、0.01%ゼラチン、および5〜10ngのゲノムDNAを包含することができる。次いで、反応混合液を、94℃下に8分間置いて、ホットスタート増幅を開始し、次いで、30サイクルの94℃、2分間、60℃、2分間のアニーリング、および72℃、2分間の重合を行う。PCR増幅後、温度を、95℃に5分間設定することができ、3℃/分でゆっくり4℃まで冷却して、ヘテロ二重鎖を形成することができる。場合により、DNAを、非酵素的なカラムまたはSPRIビーズを用いて精製することができる(いくつかの実施形態では、残存物Exo−SAPは回避されるべきである)。
【0161】
ヘテロ二重鎖を生み出したら、次いで、ホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖を環状化する。これは、CAPリンカーを添加し、CAPの連結によって環状化することによって達成することができる。2つのCAPリンカー配列を使用することができる。第1の配列は、CAPA配列:/5Phos/ACTGCTGであってよく、第2の配列は、CAPB配列:/5Phos/CAGCAGGCであってよい。反応混合液は、2μlのCAPリンカー、450pmol/μl、12μlの5×Invitrogen製Ligase Buffer、3μlのInvitrogen製HCリガーゼ(5単位/μl)、15μlのEnd−Repaired DNA、および31μlのdH2Oを包含することができる。次いで、反応物を、16℃で一晩インキュベートする。
【0162】
次いで、連結反応試料をPCI処理し、これらを、1×TAE緩衝液中の1.2%アガロースゲル上に充填する。次いで、ゲルを、1×TAE緩衝液中、110Vで、2.5〜3時間移動させる。次いで、2〜3kbの大きさのゲノムDNAについて、それらの上に連結したCAPリンカーを用いて第2の切断を行う。次いで、アガロースゲルからDNAを、例えば、Geneclean(登録商標)精製キット、Qbiogene (Irvine、カリフォルニア州)製を使用して溶出させる。
【0163】
使用することができるCAPリンカーの量を計算することができる。好ましくは、過剰のCAPリンカーを使用し、いくつかの実施形態では、CAPリンカーは、少なくとも100倍量で存在する。関連性のある式を、以下に示す。
【0164】
1μg×10pg/μg×1pmol/660pg×1/250bp=6ピコモル
1.5μg×6=9ピコモル
100倍のCAPリンカーを得るためには、少なくとも900pmolを使用することができる。また、環状化の連結反応についてのパラメータを、以下の式を使用して計算することもできる。
【0165】
pmol DNA/μgの大きさ
μg DNA×(1,000,000pg/μg)×(1pmol/(660pg/bp))×1/bpの数=pmol
1μg×10pg/μg×1pmol/660pg×1/2500bp=0.6ピコモル
5.0μg×0.6ピコモル=3.0pmol
分子内連結を達成するためのパラメータを決定するためには、以下の式を使用することができる。
【0166】
J=63.4定数/平方根(kbで示すDNAの大きさ)
I=(J/分子内パーセント(95%の場合0.95))−J
Iは、連結の最終濃度を、μg/mlまたはng/μlで示す。I値に基づいて、連結反応の希釈を決めることができる。以前に計算したように、1μgの250bp DNA断片は、6pmolである。
【0167】
J=63.4/√2.5=63.4/1.58=40.1
I=40.1/0.90−40.1=4.6ng/μl
I=40.1/0.95−40.1=2.1ng/μl
I=40.1/0.98−40.1=0.8ng/μl
環状化反応を、3ピコモルと同等である500ngのDNAを使用して設定することができる。好ましくは、1:3の比(3pmolλ0.25kb:9pmolのT30粘着性の内部アダプター)を使用する。95%以上の環状化を得るためには、5μgのλDNAを少なくとも2.1ng/μlまで希釈する反応を使用することができる。
【0168】
次に、これに続いて、環状化へテロ二重鎖を、EndoVを使用して開裂させることができる。1ピコモル当たりのPCR産物について1単位のNew England Biolabs(Ipswich、マサチューセッツ州)製Endonuclease Vを使用し、1×NEBuffer 4、20mM Tris−酢酸、50mM K−酢酸、10mM酢酸マグネシウム、および1mM DTT、25℃においてpH7.9中で、37℃で2時間インキュベートすることができる。次いで、DNAをPCI沈殿させ、33μlのdHO中に再懸濁させて、100ng/μlのストックを得る。
【0169】
次に、BMNASを、二重鎖(切断されたヘテロ二重鎖)を含有する溶液に添加することができる。以下の配列を有するビオチン含有BMNASを使用してよい。StickyT30A配列:/5Phos/GGCCAAGGCGGATGTACGNN(配列番号1)、およびT30Bビオチン配列: /5Phos/CGT ACA /iBiodT/CCGCCTTGGCCNN(配列番号2)。環状化条件を使用することができる。内部アダプターの鎖状体形成を回避するために、RR、PP、PR、RPのアダプターを異なるウエル中で使用することができる(R=プリン、P=ピリミジン)。連結反応物は、15μl EndoV処理PCR産物、または500ngの300bp PCR産物、180μlの5×リガーゼ用緩衝液、1.5μlのSticky BioT30(2pmol/μl)、4μl HCリガーゼ、および699.5μlのdHOを包含することができる。混合液を、16℃で一晩インキュベートすることができる。
【0170】
これに続いて、未環状化産物を、Plasmid−safe(商標)デオキシリボヌクレアーゼ処理によって除去することができる。実質的に全ての未環状化産物を除去するために、5μlのATPおよび5μlのATP依存性のPlasmid−safe(商標)デオキシリボヌクレアーゼを、3つの試験管のそれぞれに添加することができる。次いで、室温で40分間インキュベートし、次いで、70℃での20分間加熱により死滅させる。これに、産物のPCI沈殿および80μlのdHO中での再懸濁が続いてよい。
【0171】
これに続いて、−BioT30−サイクルのEcoP15I消化を行い、これに、消化産物のPCI沈殿、3倍洗浄、および70μlのdHO中での再懸濁が続いてよい。EcoP15I消化は、160μlの全容量について、80μlの環状化DNA、16μlのNEB3緩衝液(10×)、16μlのBSA(10×)、16μlのシネファンギン(50μM)、16μlのATP(10×)、および16μlのEcoP15I酵素を包含することができる。次いで、溶液を、37℃で1〜2時間インキュベートすることができる。
【0172】
EcoP15Iは、粘着末端を生み出し、したがって、末端の研磨のステップを、アダプターの連結の前に実施することができる。研磨のステップは、以下を包含することができる:室温で40分間インキュベートされる、70μlの消化産物、10μlの10×Epicentre(登録商標)End−it Buffer、10μlのEpicentre End−it ATP、10μlのEnd−it dNTP、および2μlのEnd−it Enzymeのミックス。
【0173】
これに続いて、修復末端をビーズに結合させることができる。混合液を、容量を200μlとしてから、PCI処理し、次いで、200μlの2×結合用洗浄液を添加することができる。次いで、あらかじめ洗浄したM280 Streptavidinビーズに、15分かけて結合させることができる(これを、1×W1Eで1回、1×BSAで1回、および1×BiWで1回洗浄することができる)、End Repaired lambda−BioT30 EcoP15I消化産物を、ビーズに結合させてから、産物を、(試験管を変えて)2×W1E、(試験管を変えて)2×W1E(37°C)、(試験管を変えて)1×BiWで1回、および(試験管を変えて)50μlの1×リガーゼ用緩衝液で1回によって洗浄することができる。
【0174】
これに続いて、アダプター(この場合は、PCRプライミング部位)を、切断されたBMD (End Repaired lambda−BioT30 EcoP15I消化産物)に連結することができる。2つのセットのアダプターを使用してよい。FDV2A: CCA CTA CGC CTC CGC TTT CCT CTC TAT GGG CAG TCG GTG AT; FDV2B: ATC ACC GAC TGC CCA TAG AGA GGA AAG CGG AGG CGT AGT GGT TおよびRDV2A: CTG CCC CGG GTT CCT CAT TCT CT; RDV2B: AGA GAA TGA GGA ACC CGG GGC AGT T(配列番号6).
反応混合液は、50μlの、1×リガーゼ用緩衝液中のDNAを結合させたビーズ、3.7μlのFDV(24pmol/μl)、3.7μlのRDV(24pmol/μl)、および3μlのHCリガーゼ(5単位/μl)(Invitrogen製)を包含することができる。この混合液を、RTで1.5時間インキュベートすることができる。FDVは、一緒にアニールしたFDV2AおよびFDV2Bであり、RDVは、一緒にアニールしたRDV2AおよびRDV2Bである。これに続いて、産物を、以下に従って洗浄することができる:(試験管を変えて)2×W1E(37°C)、(試験管を変えて)2×W1E、RT、および(試験管を変えて)2×BiW、1回。この混合液を、65℃で15分間インキュベートし、次いで、氷上で冷やすことができる。また、この混合液を、50μlの1×NEB2緩衝液でも1回洗浄し、新しい試験管に移してから、ニックトランスレーションを進めることができる。次いで、1×NEB2緩衝液、0.8μlの24mM dNTP、および1.5μlのDNA polI中で、39μlの、ビーズに結合しているDNAを使用することによって、DNAをニックトランスレーションし、16℃で30分間インキュベートすることができる。
【0175】
これに続いて、産物を、PCRによって、非対称性プライミング部位に対するAsymmetric Primerを使用して増幅することができる。第1のプライマーは、AsymPrimerFDV2: CCA CTA CGC CTC CGC TTT CCT CTC TAT G(配列番号7)であってよく、第2のプライマーは、AsymPrimerRDV2: CTG CCC CGG GTT CCT CAT TCT(配列番号8)であってよい。反応混合液は、50μlのPCRスーパーミックス、1μlのFDV2、および1μlのRDV2を包含することができる。PCRサイクルのプログラムは、95℃、5分間、[95℃、15秒間;62℃、15秒間;70℃、1分間]×35サイクル、70℃、5分間、およびその後の4℃を包含することができる。PCRが良好なようであれば、2μlのPFUまたは任意のその他の忠実度の高い酵素を用いたより大きな規模のPCRを、反応カクテルに添加してよい。大きな規模のPCRは、100μlのplatinum Taq PCRスーパーミックス、1μlのFDV2、および1μlのRDV2中で1μlの鋳型を使用して30サイクルにわたり実施することができる。次いで、産物を、QIA(Qiagen製)により精製し、PAGEゲル上に充填して、適切なライブラリーのバンドを単離することができる。切断されたバンドを、PAGEゲル溶出プロトコールを使用して溶出することができ、溶出産物を、QIAカラムにより精製することができる。産物は、100μlのLoTE緩衝液中に溶出させてよく、nano drop上で定量化して、5ng/μlとなすことができる。
【0176】
これによって、非対称性のプライマーを有する核酸配列のライブラリーが得られる。このライブラリーは、ヘテロ二重鎖の形成に関与し、塩基対のミスマッチを含む核酸配列を包含する。したがって、このライブラリーは、その他の核酸配列に由来する塩基対のミスマッチを有する、全部、一部または少なくとも1つの核酸配列(例えば、遺伝子)を含有することができる。
【0177】
以下に、一般的に、上記のステップのいくつかをより詳細に記載する。「PCI」は、等しい容量のフェノール−クロロホルムを酵素反応に添加し、室温で5分間スピンし、次いで、水相を新しい試験管に抽出するフェノール−クロロホルムのステップである。アルコール沈殿では、7.5M酢酸アンモニウムを3Mの最終濃度まで添加し、100×glycoblue(商標)グリコーゲン(Ambion製)を1×まで添加し;100%氷冷エタノールを70%の最終濃度まで、または0.7容量のイソプロピルアルコールを室温で添加する。次いで、ボルテックスし、80℃まで10分間加熱し、微量遠心管中、14000rpmで、エタノールを使用する場合には4°Cで、またはそれ以外の場合には室温で、15分間スピンする。次いで、上清を除去し、ペレットを、大きな断片の場合には氷冷した70%エタノール、または500bp未満の断片の場合には氷冷した80%エタノールを用いて2回洗浄することができる。定量化を、nanodrop上で実施することができる;しかし、glycoblue(商標)グリコーゲンを使用する場合には、対照のエタノール沈殿を等しいglycoblue(商標)グリコーゲンを用いて実行して、盲検として利用することができる。glycoblue(商標)グリコーゲンの読み取り値をガイドラインとして使用してよい。定量化が重大な意味をもつ場合には、試料を読み取る前にカラムにより精製することができる。
【0178】
本出願においては、別段の言及がない限り、または本開示に照らせば当業者は理解するであろうが、単数が唯一の機能的な実施形態ではない限り、単数の使用は、複数を包含することができる。したがって、例えば、「ある(a)」は、2つ以上を意味することができ、「1つの実施形態」は、その説明が、複数の実施形態に適用されることを意味することができる。さらに、本出願においては、「および/または(and/or)」は、「および(and)」の包含的な意味およびそれに代わる「または(or)」の排他的な意味の両方が、リストに対して適用されることを意味する。したがって、列挙は、リストの項目の全ての可能な組合せを包含し、かつ、また、その他の項目ではなく、それぞれの項目のみを排他的にも包含すると読み取る必要がある。この条件が加わっても、「および(and)」または「または(or)」という用語の使用が、何らかの特定の意味を示すようになることを意図するわけではない。そのような用語の意味は、特定の開示を読めば、当業者には明らかになるであろう。
【0179】
参照文献の組み入れ
特許、特許出願、論文、教科書などを含めて、本明細書に引用する全ての参照文献、およびそれらにおいて引用されている参照文献は、まだ組み込まれていない範囲で、それら全体が参照によって本明細書に組み込まれている。組み込まれている文献および類似の材料の1つまたは複数が、それらに限定されないが、定義された用語、用語の使用法、記載されている技法またはその他を含めて、本出願とは異なるまたは矛盾する場合には、本出願が優先する。
【0180】
均等物
前記の説明および実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態を詳述し、本発明者らが企図する最良の形態を記載している。しかし、本文中、前記の記載がいかに詳細に思われようとも、本発明は、多くの方法で実行することができ、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの何らかの均等物に従って解釈されなければならないことが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸配列の濃縮のための方法であって、
第1の核酸配列および第2の核酸配列を含むヘテロ二重鎖を形成するステップであって、前記ヘテロ二重鎖は、前記第1の核酸配列と前記第2の核酸配列との間で、少なくとも1つのミスマッチ塩基対を含むステップと、
前記ヘテロ二重鎖を環状化して、環状化へテロ二重鎖(CHET)を形成するステップと、
前記CHETを、前記ミスマッチ塩基対を認識する酵素を使用して優先的に切断して、二重鎖を形成するステップと、
結合部分核酸配列(BMNAS)を、前記二重鎖に連結させて、結合部分二重鎖を形成するステップであって、前記BMNASは、相互にハイブリダイズした2つの核酸配列および結合部分を含むステップと、
前記結合部分を、前記結合部分に結合する精製部分を使用することによって選択し、それによって、前記第2の核酸配列を濃縮するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記優先的な切断を、前記ミスマッチ塩基対に対してあらかじめ決定した場所において行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Endo Vを使用して、前記CHETを切断する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記優先的な切断を、前記ミスマッチ塩基対から1塩基対離れた場所において行う、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
核酸のホモ二重鎖を形成するステップと、前記ホモ二重鎖を環状化して、環状化ホモ二重鎖(CHOM)を形成するステップとをさらに含み、前記CHOMは、ミスマッチ塩基対を含有せず、前記ホモ二重鎖の前記形成および環状化は、前記ヘテロ二重鎖の形成および環状化と一緒に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記CHETを優先的に切断する前記ステップでは、前記CHOMの顕著な切断は生じない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記BMNASが、第1の制限部位をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記BMNASが、第2の制限部位をさらに含み、前記制限部位のそれぞれが、前記核酸配列の反対の末端に位置する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記結合部分がビオチンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
2つ以上の型のBMNASを使用し、前記BMNASが、縮重した5’末端および3’末端を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも16個のBMNASを使用し、各BMNASが、異なる5’末端配列と3’末端配列との組合せを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1024個のBMNASを使用し、各BMNASが、異なる5’末端配列と3’末端配列との組合せを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記結合部分二重鎖を切断して、切断結合部分二重鎖(CBMD)を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記切断を、前記BMNAS内の制限部位によって制御する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記切断を、II型またはIII型の切断酵素によって行う、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記切断を、前記切断用制限部位から約30塩基対離れて行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の核酸配列を同定するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記ミスマッチ塩基対を同定するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記同定を、前記ミスマッチ塩基対を配列決定することによって行う、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1のアダプターを、前記CBMDの第1の末端に付加するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
第2のアダプターを、前記CBMDの第2の末端に付加するステップをさらに含み、前記第1のアダプターと前記第2のアダプターが、同一ではない、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のアダプターが、第1のプライマー部位であり、前記第2のアダプターが、第2のプライマー部位である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のプライマー部位および前記第2のプライマー部位を使用して、前記2つのプライマー部位の間の配列を増幅するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記増幅を、エマルジョンPCRによって達成する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記増幅した配列を配列決定するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記方法をin vitroで実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の核酸配列の前記濃縮を、前記結合部分を前記精製部分に結合させることのみによって行う、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
第2のCHETを形成するステップをさらに含み、前記第1のCHETと前記第2のCHETとが、異なるミスマッチ塩基対を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも100個のCHETを形成し、それぞれが、異なるミスマッチ塩基対を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1000個のCHETを形成し、それぞれが、異なるミスマッチ塩基対を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の核酸がDNAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の核酸がDNAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記ヘテロ二重鎖の前記形成の間には、前記第2の核酸配列よりも多い前記第1の核酸配列がある、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記ヘテロ二重鎖の前記形成の間に存在する前記第1の核酸配列の前記第2の核酸配列に対する比が、5:1以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記ヘテロ二重鎖の前記形成の間に存在する前記第1の核酸配列の前記第2の核酸配列に対する比が、100:1以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記ヘテロ二重鎖の前記形成の間に存在する前記第1の核酸配列の前記第2の核酸配列に対する比が、1000:1以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
核酸配列の濃縮のための方法であって、
第1の核酸配列(FNAS)および第2の核酸配列(SNAS)を含有する試料を提供するステップと、
前記FNASおよび前記SNASの相補鎖上でのハイブリダイゼーションに適した2つのプライマーを提供するステップと、
ポリメラーゼを提供するステップと、
前記試料、前記プライマーおよび前記ポリメラーゼを組み合わせて、ポリメラーゼ連鎖反応混合物を形成するステップと、
前記ポリメラーゼ連鎖反応混合物を1回または複数回のポリメラーゼ連鎖反応サイクルに供して、ポリメラーゼ連鎖反応伸長産物を生み出すステップと、
前記ポリメラーゼ連鎖反応伸長産物を変性させて、FNASとSNASを分離するステップと、
前記ポリメラーゼ連鎖反応伸長産物をアニールして、前記FNASおよび前記SNASを含むヘテロ二重鎖を形成し、かつ前記FNASを含むホモ二重鎖を形成するステップと、
前記ヘテロ二重鎖を環状化して、環状化へテロ二重鎖(CHET)を形成するステップと、
前記ホモ二重鎖を環状化して、環状化ホモ二重鎖(CHOM)を形成するステップと、
ミスマッチ塩基対から1塩基離れた場所において前記ヘテロ二重鎖を優先的に切断するエンドヌクレアーゼを提供するステップであって、前記ヘテロ二重鎖の前記切断は、前記ホモ二重鎖の切断よりも優先するステップと、
前記CHET、前記CHOMおよび前記エンドヌクレアーゼを組み合わせて、エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物を形成するステップと、
前記エンドヌクレアーゼが、前記CHETを、ミスマッチ塩基対から1塩基離れた場所において優先的に切断するように、前記エンドヌクレアーゼ開裂反応混合物をインキュベートするステップと、
複数の結合部分核酸配列(BMNAS)を提供するステップであって、前記BMNASが、
二本鎖核酸配列、
前記二本鎖核酸配列につながっているビオチン、
各核酸配列上の2つのEcoP15I制限部位であって、1つの制限部位が、一方の核酸鎖の3’末端付近にまたは3’末端において位置し、第2の制限部位が、同一の核酸鎖の5’末端付近にまたは5’末端において位置する制限部位、および
各核酸配列のそれぞれの末端上の縮重した末端
を含むステップと、
前記BMNASを前記二重鎖に連結させて、結合部分二重鎖を形成するステップと、
前記結合部分二重鎖を、EcoP15Iを使用して切断するステップと、
前記結合部分二重鎖の濃度を、磁気ビーズを使用することによって高めるステップと、
前記濃度が高まった結合部分二重鎖を、EcoP15Iを使用することによって切断して、切断結合部分二重鎖(CBMD)を形成するステップと、
第1のアダプターを、前記CBMDの第1の末端に付加させるステップと、
第2のアダプターを、前記CBMDの第2の末端に付加させるステップであって、前記第1のアダプターと前記第2のアダプターが異なるステップと、
前記第1のアダプターおよび前記第2のアダプターをプライミング部位として使用して、エマルジョンPCRを実施して、前記CBMDを増幅するステップと、
前記CBMD上で、高度並行非電気泳動配列決定技法を実施して、前記ミスマッチ塩基対を同定するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−514452(P2010−514452A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544306(P2009−544306)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/089120
【国際公開番号】WO2008/083327
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(500069057)アプライド バイオシステムズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】