説明

ヘパリン結合タンパク質:ヘパリン検出のためのセンサー

本発明の態様は、ヘパリン結合蛋白質とその核酸の他、その蛋白質および核酸の製造法、およびヘパリン結合蛋白質およびその核酸の製造法に関する。本発明は、ヘパリン結合分子(HBM)を含む組成物に関する。このヘパリン結合分子は、ヘパリン結合ユニット(HBU)を含む。本発明はまた、ヘパリン結合分子(HBM)核酸をコードする配列を有する核酸に関する。本発明はまた、ヘパリンを検出するためのアッセイに関する。このアッセイは、ヘパリン結合分子(HBM)をヘパリンと接触させてHBM−ヘパリン複合体を形成する工程と、HBM−ヘパリン複合体を検出する工程とを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(謝辞)
本発明はJ.L.B.& Echelon Research Laboratories,Inc.(現在Echelon Biosciences Inc.)に対するNIH補助金R43CA81820による政府の援助により行われた。
【0002】
(関連発明の相互参照)
本出願は全文を本明細書に引用して援用する、2003年8月12日出願の米国仮出願第60/494,495号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
(I.発明の背景)
ヘパリンはきわめて不均一なグリコサミノグリカン(GAG)であり、ブタ腸粘膜またはウシの肺の肥満細胞から抽出される、ウロン酸とアミノグリコシド残基が交互に並んだ多糖のファミリーである。化学修飾、特に硫酸化により、アンチトロンビンIII(AT−III)に対する結合部位となる5糖配列が得られる。血液中では、ヘパリンはAT−IIIと相互作用し、Xa因子の活性化を妨害することにより血液凝固を阻止する。ヘパリンの抗凝固効果はこの相互作用により媒介され、トロンビン(IIa因子)とXa因子のAT−III阻害を著しく促進する。いくつかの疾患の処置および治療過程でヘパリンの検出は非常に重要である。従って、ヘパリンを正確かつ簡単に検出する必要がある。本発明ではヘパリン検出用分子、例えばヘパリンを定量し得る分子、およびこれらの分子の使用法を開示する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(II.要旨)
本明細書ではヘパリン結合分子およびその核酸を有する組成物、その蛋白質および核酸の製造法、およびヘパリン結合分子およびその核酸の使用法を説明する。
【0005】
(III.図面の簡単な説明)
本発明の説明と共に本明細書に含まれ、その一部を構成する付属する図面は、本発明の原理を説明するためのものである。
【0006】
(IV.詳細な説明)
本発明の化合物、組成物、製品、器具および/または方法を開示し説明する前に、開示された組成物と方法が、それらが当然変化し得るので、特定の合成法、特定の組成、または具体的な調合に制限されないことを理解する必要がある。本明細書に用いた用語は具体的な実施態様を説明するためにのみ用いられ、制限的であることを意図しないことも理解する必要がある。
【0007】
本明細書および付属するクレームに用いられる単数形「1つ」(「a」、「an」および「the」)は、その内容が明白に述べられない限り複数形も含む。従って、例えば「医薬担体」の意味はこのような担体の2つ以上を含む。
【0008】
本明細書ではある具体的な値の「約」、および/または別な値の「約」で範囲が表される。このような範囲を示す場合、別な実施態様ではある具体的な値から他の具体的な値を含む。同様に値が「約」を用いて近似値で表される場合、具体的な値は他の実施態様となることが分かると思われる。他の終点との関係、および他の終点とは独立であることの双方で、各範囲の終点は重要であることも、さらに理解されると思われる。本明細書に開示された値は多数あるが、それ自身の値に加えて具体的な値が「約」で開示されていることも理解する必要がある。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示されている。ある値が開示される場合、当業者がほぼ理解し得る様に、その値より「小さい」またはその値に「等しい」、その値より「大きい」またはその値に「等しい」、およびそれらの値の間の可能な範囲も開示されていることも理解される。例えば値「10」が開示される場合、「10より小さいか等しい」の他、「その値より大きいまたは等しい」も開示される。本出願を通じて、データはいくつかの異なったフォーマットで提供され、このデータは終点と出発点、およびデータポイントの任意の組み合わせを表すことも理解される。例えば、具体的なデータポイント「10」と具体的なデータポイント「15」が開示される場合、10および15より大きい、より大きいかまたは等しい、より小さい、より小さいかまたは等しい、および等しいの他、10と15の間も開示されることが分かる。
【0009】
本明細書および付録のクレームにおいていくつかの用語が参照されるが、それらは以下の意味を有するものとする:
「任意」または「任意に」は、それ以降に記載される事実または状況を生じても生じなくてもよいこと、および説明には上記事実または状況を生じる場合、および生じない場合が含まれる。
【0010】
本発明の好ましい実施態様を詳細に参照するが、その実施例は付属する図面に示される。可能な限り、同じ、または同様な部分を参照するために、全体の図面で同じ参照番号が使用される。
【0011】
開示された組成物を調製するために使用される成分の他、本明細書で開示される方法に使用される組成物自体も開示される。これら、およびその他の材料が本明細書に開示され、これらの材料の組成物、サブセット、相互作用、グループ等が開示される場合、様々な各実体、およびこれらの化合物の全体的な組み合わせおよび順列は明瞭に開示されないが、そのそれぞれが本明細書で検討し記載される。例えば、具体的なヘパリン結合分子(HBM)を開示し議論する場合、およびHBMを含むいくつかの分子に加え得るいくつかの修飾を議論する場合、それとは反対の事実が具体的に示されなければ、個別および全てのHBMの組み合わせおよび順列、および可能である修飾が具体的に検討される。従って、分子A、BおよびCのクラスと共に分子D、EおよびFのクラスが開示され、かつ組み合わせ分子の例A−Dが開示さる場合、個別に列挙されなくても個々が個別かつ総合的に検討され、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−EおよびC−Fが開示されたと考えられる。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせも開示される。従って、例えばサブグループA−E、B−FおよびC−Bが開示されたと考えられる。この概念は、開示された組成物の製造法および使用法を含む本出願の全ての態様に適用されるが、それに限定されない。従って、実行し得る様々な別な工程がある場合、これらの別な工程のそれぞれを、開示された方法の任意の具体的な実施態様、または実施態様の組み合わせで実行し得ると理解される。
【0012】
(A.組成物)
ヘパリン結合分子(HBM)を含む組成物であって、ヘパリン結合分子が少なくとも1つのヘパリン結合ユニットでなる組成物が開示される。ヘパリン結合分子をコードする核酸も開示される。これらの組成物はヘパリンの検出を助ける。組成物はいくつかの部分で典型的に構成され、そのそれぞれは様々な分子または組成物である。組成物の各部分、その製造法およびその使用法が以下に開示される。
【0013】
(1.ヘパリン結合分子)
ヘパリン結合分子(HBM)はヘパリンに結合する任意の分子である。HBMはヘパリン結合ユニット(HBU)と呼ばれる1つ以上の個々のユニットで構成できる。ある実施態様では、HBM−ヘパリン複合体が検出し得る様に、分子がヘパリンに結合する。HBMの検出、HBMの取り扱い、または例えばHBMの精製に有用であると思われる他の分子とHBMが結合し得る、または組み合わせ得ることも分かる。多くの実施態様でHBMはペプチドであるが、本明細書で述べる様に、ペプチドを多くの方法で修飾してヘパリンに対する親和性の増加、または安定性の増加等の様々な特性を提供し、または例えばペプチドを固体支持体に結合することができる。例えば、任意の既知のヘパリン結合分子を本明細書に開示したHBUまたはHBMと組み合わせて使用することができる。
【0014】
(a)ペプチドHBM)
ある実施態様ではHBMはペプチド系分子であり、これは1つ以上のHBUがペプチド系分子であることを意味する。ある実施態様では、HBUは配列番号1に見出される配列で構成され、これは7個のアミノ酸範囲を挟む2個の塩基性アミノ酸である(以後BXBと呼ぶ)。BXB分子はヒアルロナンに結合するために最小限に必要であることが知られている41,60。このドメインはH3P分子(ヒアルロナン結合分子の前駆体)のN−末端で同定されている。さらに、BXBドメインはアグレカン、CD44、TSG−6、RHAMMおよび結合蛋白質等の他のヒアルロナン結合蛋白質内にも見出されている。ヒアルロナンとヘパリンGAGとの構造はかなり異なるが、双方とも異なったウロン酸とグリコサミン残基とを有するGAGである(図1)。ヒアルロナンは硫酸化されない均一なグリコサミノグリカン(GAG)であり、規則的に繰り返す2糖が交互のβ−1,4−およびβ−1,3−グリコシド結合中の交互のグルクロン酸およびN−アセチルグルコサミンを構成する。ヘパリンは1,4−グリコシド結合を有し、規則的な繰り返し単位を有さず、2個のエピマー性ウロン酸を有し、双方ともN−およびO−硫酸化されている。
【0015】
HBUを含む1つの型の蛋白質はRHAMM蛋白質(配列番号7)である。RHAMMはヒアラドヘリンと名付けられた均一グループに属し、共通のヒアルロナン結合能で関連付けられている。RHAMMは細胞遊走と増殖を媒介し48、イソ型が細胞質の他、活性化白血球、サブ融合繊維芽細胞49,50、および上皮細胞51に見出される。細胞表面突然変異体におけるRHAMM発現は、選ばれたタイプの癌細胞で腫瘍発育を促進した52。細胞間RHAMMが細胞骨格蛋白質に結合し、ERKキナーゼと会合し、pp60V−srcとの相互作用により細胞周期を媒介する53ことが示されている。BXB分子はRHAMM内部に見出されている。ある実施態様では、HBMが例えば配列番号7を有するRHAMM蛋白質でないことが分かる。
【0016】
HBUはRHAMM分子の一部でもあり得る。例えば、RHAMMは全体的なへリックスターンヘリックス構造(配列番号6、実施例1)を有する2個のBXBモチーフを有する62アミノ酸ヘパリン結合ドメイン(HABD)を含むことが見出されている。この分子はヘパリンと共にHAにも高い親和性で結合する。RHAMM HARBの1個、2個または3個のコピー(それぞれHB1、HB2およびHB3)を含むGST融合蛋白質がクローニングされ、発現され、精製された。HAおよびヘパリンに対するこれらの蛋白質の親和性を競合ELISAにより測定した。ELISAは固定化リガンド、すなわちストレプタビン被覆マイクロタータープレートに結合したビオチン化ヒアルロナンまたはビオチン化ヘパリン(HA)を使用した。固定化HAにより、3個の融合蛋白質のそれぞれはHAに対する適度の親和性と選択性を示した。競合化合物としてのHAと比較してヘパリンは競合化合物として100倍以上強力であった。次に、ビオチン化ヘパリンを固定化リガンドとして用いるELISAにより、ヘパリンに対する親和性が確認された。特に、GST−HB3は他のグリコサミノグリカンと比較して最低で100倍の選択性を示した。GST−HB3は、血漿に極めて低い濃度で添加されたUFHおよびLMWHの双方の補正標準試料を検出した。
【0017】
次に、ビオチン化ヘパリンを固定化リガンドとして用いるELISAにより、HABDのコピー数が増加すると親和性が増加することが確認された。3コピーコンストラクトであるGST−HB3は優れた感度を示し、0.1U/mLの遊離ヘパリンが容易に測定された。さらに、GST−HB3は他のグリコサミノグリカンと比較してヘパリンに対し最少で100倍の選択性を示した。logK対log「Na」のプロットは、ポリ電解質理論に基づくヘパリン−HB3あたり2および3個のイオン相互作用間を示した。GST−HB3は、ヒト血漿中に100ng/mLの低いレベルで添加された未分画(15kDa)、および低分子量(6kDa)ヘパリンの双方の補正標準試料を検出した。分析に対する分散係数は6種の逐次ヘパリン希釈に対し9%以下であり、3種の市販血漿製品に対して12%以下であった。これらの研究は、GST−HB3が血漿中の治療用ヘパリンレベル、典型的には0.1U/mL〜2U/mLの範囲における定量検出に対する臨床的可能性を有することを示す。
【0018】
(b)ヘパリン結合ユニット)
HBU自身はヘパリン結合活性を有する分子である。これらの分子はヘパリンに結合する任意のものであり得るが、多くの実施態様ではそれらはペプチド系分子であると思われる。上記の様に、配列番号1のBXBがHBUの1例である。従って、ある実施態様では、HBMは単にHBUのみで構成される。しかしながら、典型的にはHBUは相互に結合してHBMを形成するが、HBMを形成するために1個のみのHBUが必要であるので、これは組成物がヘパリン結合活性を示すために必要ではない。例えばあるHBMは単一のHBUを含み得るか、1つのHBUは第2のHBUと結合するか、または第1、第2、第3HBU等が相互に結合する。これらは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10,11,12、13、14,15,16,17、18,19、20、25、30またはそれ以上のHBUが相互に結合している。それらは直列に結合し得る、すなわち1個のHBUが2個以下のHBUと結合するか、凝集体中に結合する、すなわち1個のHBUが3、4、5、6、7、8、または9個、または10個以上のHBUと結合し得る。
【0019】
さらに、HBUは切断し得る結合を通じて結合することができる。この様な切断し得るリンカーにより、還元条件、酸化条件下に、またはエステル、アミド、ヒドラジンまたは同様な結合の加水分解により個々のヘパリン結合ユニットを開放することができる。この様なリンカーにはスクシネート、ジスルフィド含有鎖、およびジオール含有鎖が含まれる。1つのHBMが、異なったリンカー、例えば異なった切断性リンカー、切断性リンカー、および非切断性リンカー等の異なったHBUを含み得ることが分かる。それらはGly−Phe−Leu−Gly等の、リソソームおよびリソソーム分解用の特定の標的配列を有する短いペプチドを含んでもよい。他の例には(GlySer)Gly等の柔軟なリンカーが含まれる。ペプチドリンカー、ペプチドアナログリンカー等を含む他のリンカーも使用し得る。ポリペプチドリンカーは1または2アミノ酸〜100アミノ酸またはそれ以上であり、本明細書に開示される1〜100の間の組み合わせ、または4〜50残基、または任意に8〜30アミノ酸長である。異種発現系で発現可能な組み換えHBUの適切な折り畳みが可能な配列は、Ser、Gly残基の代わりに例えばThr、および/またはAlaを使用し得るし、他のアミノ酸も許容される。または、HBUをポリエチレングリコールリンカー等の合成の柔軟な非ペプチドリンカーで結合してもよい。
【0020】
HBUが蛋白質を有する場合、それらは組み換え蛋白質であることも可能であり、分子生物学技術でHBUを製造しえることを意味している。従って、組み換え蛋白質は例えば単離された天然起源の蛋白質とは異なっていると考えられる。
【0021】
(c)HBM融合蛋白質)
HBMは融合蛋白質の一部でもあり得る。例えば、HBMをグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子と融合することができる。他の融合パートナーには例えばHisタグ(ポリヒスチジン融合系、ベクターpET−21d)、c−mycタグ、FLAGタグ、チオレドキシン融合体、またはマルトース結合蛋白質(MBP)が含まれるが、それらに限定されない。GST遺伝子融合系はバクテリア、酵母、哺乳動物および昆虫中で製造される融合蛋白質の発現、精製および検出に使用し得る組み込みシステムである。GST蛋白質をコードする配列は発現ベクター中に、一般に多重クローニング部位の上流に取り込まれる。次いで関連する蛋白質をコードする配列をベクター中にクローニングする。ベクターの誘導により融合蛋白質、すなわちGST蛋白質に融合した関連する蛋白質が発現する。次いで融合蛋白質を細胞から遊離し、精製することができる。融合蛋白質の精製は、グルタチオン残基に対するGSTの親和性により促進される。グルタチオン残基を樹脂に結合し、発現蛋白質生成物を樹脂と接触させる。融合蛋白質はグルタチオン−樹脂複合体に結合し、他の非特異性蛋白質が洗い流される。次いで低pH緩衝液である温和な溶離緩衝液を用いて、融合蛋白質を樹脂から遊離することができる。pHは約0.1〜約0.7、または約1.0〜約6.0、または約2.0〜約5.0である。例えばGSTと関連する蛋白質との間の特定の部位を切断するトロンビンおよびX因子等のいくつかの異なった酵素を用いて、GSTを関連する蛋白質から切り離すことが可能である。融合蛋白質を市販のいくつかのGST抗体により検出することもできる。
【0022】
(d)HBMおよびレポーター分子)
HBMはレポーター分子も含み得る。レポーター分子はHBMの検出を可能にする任意の分子である。レポーター分子をヘパリン等のHBMの標的に結合し得ることが分かる。レポーター分子はHBMに結合した、またはHBMに結合した分子の検出を可能にする任意のものでよい。例えば、レポーター分子は任意の化学発光または生物発光分子であり得るが、例えば燐光または放射性分子でもよい。当業者は様々なレポーター分子が存在することを認識し、それらを本発明の組成物および方法で使用するためにどの様に組み込むかを知ることができると思われる。この様なレポーターの例にはバクテリアアルカリホスファターゼ(BAP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ベータグルコシダーゼ(GUS)、分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)、赤色蛍光蛋白質(RFP)、セイヨウワサビペルオキシダーゼ複合体(HRP)およびルシフェラーゼが含まれるが、それらに限定されない。レポーター融合蛋白質コンストラクトは蛋白質の細胞内蛋白質局在化に日常的に使用され、この方法のユーザーガイドがScienceのSTKE45にオンラインで最近見られる。例えば、SH3ドメイン結合ペプチドおよびPDZドメイン結合ペプチドに対するBAP融合により、ELISA型フォーマット中の固定化SH3ドメインおよびPDZドメインが検出される。遊離ペプチドとの競合は、これらの相互作用の特異性を示した。
【0023】
(e)HBMおよび捕捉タグ)
ある実施態様では、HBM融合蛋白質は捕捉タグまたは捕捉タグレセプターを有することができる。捕捉タグを有する分子を捕捉タグのない分子から分離するために、捕捉タグを使用することができる。本明細書で用いる捕捉タグは、HBMまたはHBUと会合し得る任意の化合物、または本明細書で議論する任意の他の組成物、および捕捉タグを有する化合物または組成物を捕捉タグのないものから分離するために使用し得る任意の化合物である。捕捉タグがリガンド結合分子または抗体等の、捕捉タグレセプターと呼ばれる他の化合物に結合、またはそれと会合するリガンドまたはハプテン等の化合物であることが好ましい。捕捉タグと補足する成分、すなわち捕捉タグレセプターとの間のこの様な相互作用が、ハプテンと抗体との間、またはリガンドとリガンド結合分子との間の特異的相互作用であることも好ましい。捕捉タグと捕捉タグレセプターとの組み合わせを捕捉タグ系と呼ぶことができる。
【0024】
適当な捕捉タグには、HBMまたはHBU等の開示された組成物と結合し得るハプテンまたはリガンド分子が含まれる。核酸プローブとの関連で記載された好ましい捕捉タグは、Syvanenら、Nucleic Acid Res.14:5037(1986)に報告されており、蛋白質として用いることができる。好ましい捕捉タグにはビオチンが含まれ、核酸または蛋白質中に取り込むことが可能で(Langerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:6633(1981))、捕捉タグレセプター、ストレプトアビジンまたはビオチン特異性抗体を用いて捕捉される。捕捉タグとして使用される好ましいハプテンはジゴキシゲニンである(Kerkhof、Anal.Biochem.205:359−364(1992))。それに対する特異性抗体が知られているか、または特異的抗体を生成し得る多くの化合物を捕捉タグとして使用することができる。この様な捕捉タグを、その化合物を認識する抗体で捕捉することができる。捕捉タグとして有用な抗体を市販品から得ることができるか、または確立された方法を用いて製造することができる。例えば、JohnstoneおよびThorpeはポリクローンおよびモノクローン抗体の双方を製造するに有用な一般的方法を報告している(Immunochemistry in Practice、p30−85、Blackwell Scientific Publications、Oxford、England、1987)。従って、捕捉タグ:捕捉タグレセプターとして任意の抗原:抗体の組み合わせを使用し、捕捉タグ系を形成することができる。
【0025】
捕捉タグの1つのタイプは抗抗体法である。この様な抗抗体−抗体およびその使用はよく知られている。例えば、あるクラスの抗体(例えばIgG、IgM)に特異的な抗抗体−抗体、またはある動物種の抗体(例えば抗−ウサギ抗体)が他のグループの抗体を検出、またはそれに結合するために通常用いられる。従って、捕捉タグに対する抗体を入手し、例えば複合体の抗体部分に対する抗体に結合してこの抗体:捕捉タグ:HBM複合体を精製することができる。
【0026】
他のタイプの捕捉タグは、選択した他の分子と選択切断性共有結合を生成し得るものである。例えば、このタイプの好ましい捕捉タグは硫黄原子を含むものである。この捕捉タグと会合するHBUまたはHBM、または任意の他の分子をチオールプロピルセファロースカラム上に保持して精製することができる。カラムをよく洗うことにより不要な分子を除去し、例えばβ−メルカプトエタノールで還元することにより、比較的温和な条件下で精製後に所望の分子を採取することができる(このタイプの捕捉タグの還元を行うためにLorshおよびSzostak、1944年参照)。
【0027】
(f)支持体)
捕捉タグをHBMおよびHBU等の開示された組成物と会合し、例えば複合体を捕捉タグと会合しない分子から選択的に単離することができる。捕捉タグ複合体と相互作用し得る捕捉タグレセプター(CTR)が存在する。ある実施態様では、捕捉タグまたはCTRは固体支持体等の任意のタイプの支持体と会合することができる。CTRが固体支持体と結合する場合、捕捉タグ複合体がこのタイプのCTRと結合し、引き続き固体支持体により未結合分子を洗浄して除去することができるので、不要な分子から効果的に精製することができる。
【0028】
CTRまたは捕捉タグが結合し得る支持体は、CTRまたは捕捉タグが付着または結合し得る任意の固体材料である。これにはアクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレン−酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリメタアクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ガラス、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)、弗化カーボン、ナイロン、シリコンゴム、ポリアンハイドライド、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフマレート、コラーゲン、グリコサミノグリカンおよびポリアミノ酸等の材料が含まれる。支持体は薄いフィルムまたは膜、ビーズ、ボトル、ディッシュ、繊維、織布、成型ポリマー、粒子および微粒子を含む任意の有用な形を有することができる。支持体のある形はディッシュおよびビーズであり、他の形は磁気ビーズである。
【0029】
分析成分の基質に対する付着または結合は、CTRまたは捕捉タグが基質に対して付着または結合することで行われることが好ましい。次いで捕捉タグが成分上に結合または相互作用することにより、CTRまたは捕捉タグがプライマーまたは蛋白質等の分析成分、または例えばHBMまたはHBUの付着を仲介し得る。基質上に固定化されたCTRまたはCTにより、HBMまたはHBU等の会合分子を基質上に捕捉することができる。この様な補足は、次の検出工程を妨害し得る反応成分を洗い流すための便利な手段を提供する。固相検出器の異なった領域に異なったCTRまたはCTを付着することにより、HBMまたはHMU等の異なった分子を、固相検出器上の異なった位置、従って異なった診断位置に捕捉し得る。例えば、ミクロタータープレート多重分析では、96種までの異なった分子に対し特異性であるCTRまたはCTを、それぞれ異なったウェル中でミクロタイタープレート上に固定化し得る。捕捉と検出は、対応する試料分子が作成された特異的捕捉タグ系に対応するウェル中でのみ生じる。
【0030】
基質に対するオリゴヌクレオチドの固定化法は確立されている。オリゴヌクレオチド捕捉ドックを含むオリゴヌクレオチドを、確立された結合方法を用いて基質に結合することができる。例えば、適当な付着法はPeaseら(Proc.Watl.Acad.Sci.USA、91(11):5022−5026(1994))、およびKhrapkoら(Mol.Biol.(Mosk)(USSR)25:718−730(1991))によって報告されている。カゼイン被覆スライド上への3’−アミノオリゴヌクレオチドの固定化法はStimpsonら(Proc.Natl.Acad,Sci.USA、92:6379−6383(1995))によって報告されている。オリゴヌクレオチドの固相基質に対する好ましい付着法はGuoら(Nucleic Acid Res.22:5456−5465(1994))によって報告されている。
【0031】
開示された分析に有用な基質は、捕捉タグまたは捕捉タグに付着した分子等の分析中の1つ以上の分子に付着した検出抗体、または捕捉タグに付着した分子に対する基質である標的試料を有する。この様な分子は関連する分子に特性である。次いで捕捉された関連する分子を抗体等の第2のレポーター分子の結合により検出することができる。固相検出器におけるこの様な抗体の使用により、それに対し抗体を生成し得る任意の分子の検出を開発することができる。固相基質に対する抗体の固定化法は十分に開発されている。例えば、標準の固定化反応を用いてアミノ化表面、カルボキシル化表面または水酸化表面に対する付着により固相化を行うことができる。付着剤の例は臭化シアノゲン、スクシイミド、アルデヒド、塩化トシル、アビジン−ビオチン、光架橋剤、エポキシドおよびマレイミドである。好ましい付着剤はグルタルアルデヒドである。この様な付着剤、およびその付着への使用法はProtein Immubilization:Fundamentals and Applications、Richard F.Taylor編集(M.Dekker、New York、1991)、Johnstone and Thorpe、Immunochemistry in Practice(Blackwell Scientific Publications、Oxford、England、1987)、p209−216および241−242、およびImmobilized Affinity Ligand、Craig T.Hermansonら編集(Academic Press、New York、1992)に報告されている。固相支持体内に存在する反応性側鎖に対する抗体上の遊離アミノ基の化学的架橋により、抗体を支持体に付着することができる。例えば、グルタルアルデヒドまたはカルボジイミドを架橋剤として用いて、抗体を遊離アミノ基またはカルボキシル基を含む支持体に化学的に架橋し得る。この方法では、グルタルアルデヒドまたはカルボジイミドの存在で遊離抗体を含む水溶液を固相基質とインキュベーションする。グルタルアルデヒドと架橋するため、0.1Mカコジル酸ナトリウム等の緩衝液中、pH7.4で反応試薬を2容積%のグルタルアルデヒドとインキュベーションする。他の標準的な固定化反応は公知である。
【0032】
さらに、ストレプトアビジン等の非抗体蛋白質を同様な方法を用いて結合することができる。多くの蛋白質および抗体カラムの他、CTRまたはCTに共役するために特異的に誘導体化された支持体が市販されている。
【0033】
(g)固相試料)
固相試料とは、例えば捕捉タグ技術により標的分子または標的配列が結合または付着した固相基質または支持体である。標的分子または標的配列が標的試料または分析試料中に配送されることが好ましい。固相試料の1つの形式はアレイ試料である。アレイ試料とは、複数の異なった標的試料または分析試料がアレイグリッドまたは他の編成されたパターン中に結合または付着した固相試料である。
【0034】
固相試料に用いられる固相基質には、標的分子または標的配列が結合または付着し得る任意の固体材料が含まれる。これにはアクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレン−酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ガラス、ポリシリケート、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンゴム、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフマル酸、コラーゲン、グリコサミノグリカンおよびポリアミノ酸が含まれる。固相基質は薄いフィルムまたは膜、ビーズ、ボトル、ディッシュ、スライド、繊維、織布、成型ポリマー、粒子および微粒子を含む任意の有用な形を有し得る。固相基質の好ましい形はミクロタイターディッシュおよびガラススライドである。マイクロタイターディッシュの1つの形態がスタンダート96−ウェル型である。
【0035】
固相基質上に固定化された標的分子および標的配列により、固相基質上に局在する標的特異性分子の組み合わせを生成することができる。この様な局在化により、その後の検出工程を妨害し得る反応成分を洗い流すための便利な手段と、異なった複数の試料を同時に分析する便利な方法が提供される。診断用組み合わせを、異なった試料が付着する各部位に独立に形成することができる。固相試料を形成する標的分子を基質に固定化のために、上記の方法を使用できる。標的分子が蛋白質または多糖である場合、抗体の固定化のための上記の様な固相基質上に蛋白質または多糖を固定化することができる。
【0036】
固相基質の1つの形は、256個の別な標的または分析試料が小さな点のアレイとして付着したガラススライドである。各点は直径0.1〜2.5mmであることが好ましく、直径約2.5mmであることが最も好ましい。この様なマイクロアレイは例えばSchenaら(Science、270:487−470(1995))により報告された方法を用いて製作し得る。簡単に言えば、1個の印刷チップを取り付けたアレイ装置を用いて、マイクロアレイをポリ−L−リジン被覆マイクロスライド(Sigma)上に製作する。例えば、96ウエルミクロタイタープレートからチップに1μLのDNA試料(0.5mg/mL)を搭載し、所望の間隔で複数のスライド上にスライドあたり約0.005μLを沈降させる。次いで印刷スライドを加湿チャンバー中で2時間再水和し、100℃で瞬間乾燥し、50%の1−メチル−2−ピロリドンと50%の硼酸を含む緩衝液中で調製した0.05%無水コハク酸で処理する。使用直前にスライド上のDNAを例えば蒸留水中、90℃で2分間変性することができる。マイクロアレイ固相試料を、例えばコンピューター制御XYステージと顕微鏡対物レンズを有するレーザー蛍光スキャナーで走査することができる。混合ガス複数ラインレーザーにより複数の蛍光発色団を逐次励起することができる。
【0037】
CTとCTR、固相支持体と固相成分とを任意の組み合わせで使用し得ることが分かる。例えば、ある分析系は1つ以上の捕捉タグ系、例えば2、3、4,5,6,7,8、9、10またはそれ以上の捕捉タグ系を使用し得る。また、複数の組み合わせ、すなわち複数の固体支持体と固体とを任意の系で使用できる。さらに、CTとCTRとを本明細書に記載の任意の組成物または成分、または分析または方法で使用し得る。
【0038】
(h)HBMとヘパリンの結合活性)
Kdが10−4、10−5、10−6、10−7、10−8、10−9、10−10、10−11、または10−12またはそれ以上でヘパリンに結合するHBMおよびその改変体が開示される。さらに、ヘパリンまたはその改変体がHA等の他のアミノグリコーゲンと結合する親和性より少なくとも2、4、8、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、200、300または500倍以上である親和性でヘパリンに結合するヘパリンまたはその改変体が開示される。さらに、HBMはヘパリン以外の分子にも結合し得る。例えば、HBMはデキストラン硫酸、デルマンタン硫酸およびヘパリン硫酸にも結合し得る。明細書を通じて「ヘパリン」と言う用語は、これらの分子と互換的に使用でき、ヘパリンを検出・定量するために開示された同じ方法を用いて検出・定量できる。また、本明細書に開示する様に、0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、125、150、200、250、300または500分における残量分析操作で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100の間の残存ヘパリン結合活性を有するHBMまたはその改変体が開示される。ヘパリンに対する様々な結合活性を本明細書に開示した通り、または平衡透析またはカラムクロマトグラフィー等の結合定数測定分析を用いて測定し得る。個々のHBMそれぞれも、開示されたヘパリン残量から測定し得る基本ヘパリン結合速度を有することが分かる。基本ヘパリン結合速度の割合を、任意の時間で得られた基本残存ヘパリン量から計算され、他に言及しなければ分析の分析範囲内のデータを提供することが分かる。
【0039】
ヘパリンに結合し得る性質を有するHBMの改変体が開示される。基本HBMの結合活性の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%および99%でヘパリンに結合するHBMが開示される。議論された個々のHBM突然変異それぞれも、以下に開示される様な残存ヘパリン量から測定しえる基本ヘパリン結合活性を有することが分かる。これらの活性の割合は、特に言及しなければ分析の分析範囲内のデータを提供する任意の時間で得られた基本ヘパリン結合活性から計算し得ることが分かる。
【0040】
残存ヘパリンは、典型的にはヘパリンとHBMとの10分間のインキュベーション後に残存するヘパリン量を表す。HBMとインキュベーション後の残存ヘパリンと、緩衝液とインキュベーション後の残存ヘパリンとの比率をとり、残存ヘパリンを定量する。従って、HBMとインキュベーション後の残存ヘパリン量が低いほど、HBMで占められるヘパリン結合量が多いことになる。100から残存ヘパリンを差し引くことにより、残存ヘパリンを計算できる(100は実質的に阻害がない状態を表す)。HBMの改変体がより優れた結合活性を獲得した場合、反応の時間は例えば9、8、7、6、5、4、3、2または1分に減少することが分かる。阻害活性がより少ないHBMの突然変異では、インキュベーションを例えば12、14、16、18、20、25、30、45または60分に増加させる。1〜100の間になる残存ヘパリン量を得るためには、インキュベーション時間を変えて1回以上の分析が行われる。分析が分析範囲内で行われたことを実証する様に、例えば少なくとも2回の分析が行われる。2つの異なったインキュベーション時間で異なった残存ヘパリン量が得られた場合、分析が分析範囲内で行われたことが分かる。
【0041】
(i)改変体)
「改変体」とは核酸またはペプチド分子の配列の変化を指す。改変体を指す場合、その改変体は示された特定の置換に依存する特定の性質を示すが、改変体が開示された活性を維持する限り、他の置換、欠失および/または挿入、例えば具体的に示された位置以外の位置における保存的置換、挿入および/または欠失も予想される。
【0042】
本明細書に開示された性質を有するHBMを生産する改変体が開示される。置換が開示されるが、その置換はB分子の位置B、B、X、X、X、X、X、XまたはXで単独、または組み合わせで行われる。また、BとBとの間に8個のアミノ酸または6個のアミノ酸を有する改変体も開示される。ある実施態様では、BおよびBは塩基性アミノ酸を表し、Xが塩基性アミノ酸であるならば、X1−7またはX1−8は酸性アミノ酸以外のアミノ酸を表す。従って、ある実施態様では、X1−7またはX1−6またはX1−8はGly、Ala、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Tyr、Cys、Met、Asn、Gln、Arg、Lys、His、Phe、Trp、Proであるが、AspまたはGluでなく、鎖の中に少なくとも1個のArg、LysまたはHisが必要である。B1−6、B1−7またはB1−8のすべての実施態様が具体的に開示されていることが分かる。出願人はこの様なセット内の各具体的な種を記載していないが、個々の、および全ての種が具体的に開示され、ある実施態様の一部であるか、またはある実施態様の一部ではないと考え得ることが分かる。異なったB1−6、B1−7またはB1−8分子の実施例を、例えば表1に見出すことができる。他の実施例を、例えば本明細書に開示された異なったHBUに関連する異なったBLAST分析を行うことにより見出すことができる。
【0043】
RHAMM(518−580)分子に対する置換を有する改変体も開示される。このような置換を分子全体で行うことができる。YangおよびTurley(EMBO Journal、13(2):286−296(1994);少なくともRHAMM HA結合配列に関連する材料に関して、全文を本明細書に引用して援用する)は、1個のみのBXBモチーフを有する全長または可溶性RHAMMのHA結合に関する事実を提供している。例えば、モチーフ内にアミノ酸の30%を超えないアミノ酸の置換を有し、結合親和性を実質的に失わない、またはヘパリン選択性を減少させない分子が開示されている。例えば、表1は配列番号7の間の配列相同性、およびGenBank中のBLAST検索で生じる蛋白質およびペプチドを提供する。ある実施態様はモチーフBXXBBBXXBおよび/またはBBXXBBBXXBBを含まないことが分かる(Sobelら、J.Biol.Chem.267:8857−8862(1992)参照)。
【0044】
【表1−1】

【0045】
【表1−2】

【0046】
【表1−3】

【0047】
【表1−4】

【0048】
【表1−5】

【0049】
【表1−6】

【0050】
【表1−7】

【0051】
【表1−8】

【0052】
【表1−9】

【0053】
【表1−10】

【0054】
【表1−11】

【0055】
【表1−12】

【0056】
【表1−13】

【0057】
【表1−14】

本明細書で議論する様に、既知であり、本明細書に引用するHBM蛋白質とRHAMM蛋白質の改変体の数は多い。さらに、既知の機能性突然変異株に対し、開示された方法と組成物中でも機能するHBMとRHAMM蛋白質の誘導体が存在する。蛋白質の改変体と誘導体は当業者によく理解され、アミノ酸配列の修飾を含み得る。例えば、アミノ酸配列の修飾は、置換、挿入または欠失の3つの1つ以上である。挿入にはアミノ酸および/またはカルボキシ末端の融合の他、1個または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。挿入は通常アミノまたはカルボキシ末端融合より小さい挿入であり、例えば1〜4残基のオーダーである。実施例に記載される様な免疫原性融合蛋白質は、インビボ架橋または融合をコードするDNAで形質転換された組み換え細胞培養により、標的配列に対する免疫原性を与えるに十分な大きさのポリペプチドを融合することにより作製される。欠失は蛋白質配列から1つ以上のアミノ酸残基の除去が特徴である。典型的には、約2〜6個以下の残基が蛋白質内の任意の部位で欠失する。通常、蛋白質をコードするDNA中のヌクレオチドの部位特異性突然変異誘発によりこれらの改変体が調製され、その結果、改変体をコードするDNAが作成され、その後組み換え細胞培養中でそのDNAが発現する。既知の配列を有するDNA中の所定の部位で置換突然変異を生じる置換は公知であり、例えばM13プライマー突然変異誘発およびPCR突然変異発生である。アミノ酸置換は典型的には1個の残基の置換であるが、いくつかの異なった場所で同時に起こりえる;挿入は通常、約1〜約10個のアミノ酸残基のオーダーであると考えられ;欠失は1〜30残基の範囲であると考えられる。欠失または挿入は隣接するペアで行われる、すなわち2個の残基の欠失または2個の残基の挿入であることが好ましい。置換、欠失、挿入またはその任意の組み合わせを、最終コンストラクトに到達するために組み合わせ得る。突然変異が配列を読み取り枠の外に置いてはならず、2次mRNA構造を生成し得る相補領域を作製しない。置換突然変異とは、少なくとも1個の残基が除去され、異なった残基がその場所に挿入されたものである。このような置換は一般に、以下の表2および3に従って行われ、保存的置換と呼ばれる。
【0058】
(表2:アミノ酸略号)
【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

機能または免疫的同一性の実質的な変化は、表2のものより保存性の少ない置換を選ぶ、すなわち(a)置換領域におけるポリペプチドの骨格構造、すなわちシートまたは螺旋立体配置、(b)標的部位における電荷または疎水性、または(c)側鎖の大きさを維持することにたいするその効果の差がより重要である残基を選ぶことにより行われる。蛋白質の性質に大きな変化をもたらすと一般に期待される置換は、(a)セリンまたはスレオニン等の疎水性残基が例えばロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、バリンまたはアラニン等の疎水性残基で置換される;システインまたはプロリンが任意の他の残基で置換される;(c)例えばリジン、アルギニンまたはヒスチジン等の正電荷側鎖を有する残基が、グルタミン酸またはアスパラギン酸等の負電荷残基で置換される;(d)例えばフェニルアラニン等の嵩高い側鎖が、例えばこの場合はグリシン等の側鎖を持たない残基で置換される;(e)硫酸化および/またはグリコシル化に対する部位の数の増加等の変化である。
【0061】
例えば、1つのアミノ酸を生物学的および/または化学的に類似の他のアミノ酸と置換することは、保存的置換として公知である。例えば、保存性突然変異とは、1つの疎水性残基を別な疎水性残基、または1つの極性残基を別な極性残基で置換することである。この組み合わせには例えばGly、Ala;Val、Ile、Leu;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;およびPhe、Tyrが含まれる。それぞれ明瞭に開示された配列のこの様な保存的置換改変体は、本明細書で提供されるモザイクポリペプチドに含まれる。
【0062】
置換または欠失突然変異誘発を、N−グリコシル化(Asn−X−Thr/Ser)またはO−グリコシル化(SerまたはThr)に対する部位の挿入に用いることができる。システインまたは他の活性残基の欠失も可能である。Arg等の潜在性蛋白質分解部位の欠失または置換は、例えば塩基性残基の1つの欠失、またはそのグルタミン酸またはヒスチジン残基による置換で行われる。
【0063】
ある種の翻訳後誘導体化は、発現したポリペプチドに対する組み換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミンおよびアスパラギン残基が対応するグルタミン酸およびアスパラギン酸残基に翻訳後脱アミノ化されることが多い。または、これらの残基は弱い酸性条件下で脱アミノ化される。他の翻訳後修飾にはプロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリンまたはメチオニン残基の水酸基のリン酸化、リジン、アルギニンおよびヒスチジン側鎖のO−アミノ基のメチル化が含まれる(T.E.Creighton、Protein:Structure and Molecular Properties、W.H.Freeman&Co.、San Fransisco、p79−86、1983)、N−末端アミンのアセチル化、およびある場合はC−末端カルボニルのアミド化が含まれる。
【0064】
本明細書は様々な蛋白質および蛋白質配列を議論するが、これらの蛋白質配列をコードする核酸も開示されることが分かる。これには特定の蛋白質配列に関連する縮重配列、すなわち1つの特定の蛋白質配列をコードする配列を有する全ての核酸の他、その蛋白質配列の開示された改変体および誘導体をコードする縮重核酸を含む核酸も含まれる。従って、個々の核酸配列が本明細書に記載されないが、開示された蛋白質配列によって個々の、および全ての配列が本明細書に事実上開示され記載されていることが分かる。開示された蛋白質の特定の改変体が本明細書に開示される場合、どの特定のDNA配列が生物中のその蛋白質をコードするかをアミノ酸配列は示さないが、その蛋白質が生じる特定の種中の蛋白質をコードする既知の核酸配列も既知であり、本明細書に開示され記載されていることが分かる。
【0065】
開示された組成物に含まれ得る多数のアミノ酸およびペプチドアナログが存在することが分かる。例えば、D−アミノ酸または異なった機能性置換を有するアミノ酸が多数あり、表2および3に示される。天然起源のペプチドと反対の立体異性体の他、ペプチドアナログの立体異性も存在する。tRNA分子に選ばれたアミノ酸、および例えばアナログアミノ酸を部位特異的な方法でペプチド中に挿入する。遺伝子工学遺伝子コンストラクトをtRNAに加えることにより、これらのアミノ酸をポリペプチド鎖中に容易に取り込むことができる(Thorsonら、Method in Molec.Biol.77:43−73(1991);Zoller、Current Opinion in Biotechnology、3:348−354(1992);Ibba、Biotechnology & Genetic Engineering Reviews、13:197−216(1995));Cahillら、TIBS、14(10):400−403(1989);Brenner、TIB Tech、12:158−163(1994);IbbaおよびHennecke、Bio/Technology、12:678−682(1994;少なくともアミノ酸アナログに関連する材料に関して全文を本明細書に引用して援用する)。
【0066】
ペプチドに類似する分子を製造することができるが、それらは天然のペプチド結合で連結していない。例えば、アミノ酸またはアミノ酸アナログに対する結合はCH−NH−、−CHS−、−CH−CH−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH−、CH(OH)CH−および−CHHSO−が含まれる(これらはSpatola、A.F.、Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,peptides and Proteins,P、B.Weinstein編集、Marcel Dekker、New York、p267(1983);Spatola、A.F、Vrga Data(1983年3月)、第1巻、第3版、Peptide Backbone Modification(一般レビュー);Morley、Trends Pharm.Sci.(1980)、p463−468;Hudson、D.ら、Int.J.Pept.Prot Res.14:177−185(1979)(−CHNH−、CHCH−);Hann、J.Chem.Soc.Perkin Trans.I307−314(1982)(−CH=CH−、シスおよびトランス);Almquistら、J.Med.Chem.23:1392−1398(1980)(−COCH−);Jennings−Whiteら、Tetrahedron Lett.23:2533(1982)(−COCH−);Szelkeら、ヨーロッパ特許出願EP45665CA(1982):97−39405(1982)(−CH(OH)CH−);Holladayら、Tetrahedron Lett.24:4401−4404(1983)(−C(OH)CH−);およびHruby Life Sci。31:189−199(1982)(−CH−S−)に見出され、それぞれを本明細書に引用して援用する)。特に好ましい非ペプチド結合は−CHNH−である。ペプチドアナログはβ−アラニン、γ−アミノ酪酸等の結合原子間に1個以上の原子を有し得ることが分かる。
【0067】
アミノ酸アナログおよびアナログおよびペプチドアナログは、より経済的な製造、より大きい化学的安定性、医薬品としての性質の増大(半減期、吸収、力価、効力等)、特異性の変化(例えば
生物活性の広いスペクトル)、免疫原性の減少その他の増大したまたは望ましい性質を有することが多い。
【0068】
D−アミノ酸はペプチダーゼ等に認識されないので、D−アミノ酸をより安定なペプチドを生成するために使用できる。コンセンサス配列の1個以上のアミノ酸の同じタイプのD−アミノ酸(例えばL−リジンの代わりにD−リジン)による全体的な置換を、より安定なペプチドを生成するために使用することができる。2個以上のペプチドを同時に環状かする、または付着するためにシステイン残基を使用することができる。これはペプチドを特定の空間配置に制限するために有益である(RizoおよびGierasch、Ann.Rev.Biochem.61:387(1992);本明細書に引用して援用する)。
【0069】
((1)改変体の配列類似性)
本明細書で議論した様に、相同および同一という用語の使用は、類似性と同じ意味である。従って、例えば相同性という語句の使用が2つの非天然配列間で用いられた場合、これらの2つの配列間の進化の関係を必ずしも示さず、それらの核酸配列間の類似性または関連性を見ている。2つの進化上関連する分子間の相同性を決定する多くの方法は、それらが進化上関連しているか否かに係わらず、配列の類似性を測定する目的で任意の2つ以上の核酸または蛋白質に日常的に応用される。
【0070】
1.本明細書に開示された蛋白質の改変体または誘導体を定義する1つの方法は、特定の既知の配列に対する相同性/同一性に関して改変体および誘導体を定義することで行われることが分かる。例えば、配列番号1はHBUの特定の配列を示し、配列番号7はRHAMM蛋白質の特定の配列を示す。記載された配列に対し少なくとも60%、または70%、または75%、または80%、または85%、または90%、または95%の相同性を有する本明細書に開示された様々な蛋白質の改変体が具体的に開示される。2つの蛋白質の相同性をどの様に決定するかを、当業者が容易に理解すると思われる。例えば、相同性が最高レベルになる様に2つの配列を整列した後で、相同性を計算することができる。
【0071】
保存性変異体および相同性の記載は、変異体が保存性突然変異である特定の配列に対し少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%を有する実施態様等のどの様な組み合わせでも組み合わせることができる。
【0072】
一般に、本明細書に開示された遺伝子および蛋白質のうち、任意の既知の改変体および誘導体、または生じ得る改変体および誘導体を定義する1つの方法は、特定の既知の配列に対する相同性に関して改変体および誘導体を定義することである。本明細書に開示された特定の配列の同一性は、典型的には記載された配列または天然配列に対し少なくとも約40、50、55、60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99パーセントの相同性を有する。当業者は、2つの蛋白質または遺伝子等の核酸の相同性をどの様に決定するかを容易に理解し得ると考えられる。例えば、相同性がその最高レベルである様に2つの配列を整列することにより、相同性を計算することができる。
【0073】
相同性を計算する別な方法は、公開されたアルゴリズムで行われる。比較のための配列の最適整列を、SmithおよびWatermanの局所相同性アルゴリズム(Adv.Appl.Math.2:482(1981))、NeedlemanおよびWunschの相同性整列アルゴリズム(J.Mol.Biol.48:443(1970))、PearsonおよびLipmanの類似性検索法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:2444(1988))、これらのアルゴリズムのコンピューター実行(Wosconsin Genetics Software Package、Genetic Computer Group、575Science Dr.、Madison、WIのGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)で行うことができる。
【0074】
例えばZukerら(M.Science、244:48−52、1989)、Jaegerら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:7706−7710、1989)、Jaegerら(Methods Enzymol.183:281−306、1989)により開示されたアルゴリズム(少なくとも核酸の整列に関して本明細書に引用して援用する)により、同じタイプの相同性を核酸に対して得ることができる。任意の方法を典型的に使用することができ、ある場合はこれらの様々な方法の結果が異なることが分かるが、これらの方法の少なくとも1つで同一性が見出された場合、その配列は記載された同一性を有し、本明細書に開示し得ることを当業者は理解すると思われる。
【0075】
例えば、本明細書で用いる他の配列に対するある割合の相同性を有する引用された配列とは、上記の計算法の任意の1つで計算される引用された相同性を有する配列を指す。例えば、他の任意の計算法で計算して第1の配列が第2の配列に対し80%の相同性を持たない場合でも、Zulerの計算法を用いて第1の配列が第2の配列に対し80%の相同性を有すると計算された場合、本明細書で定義した通り第1の配列は第2の配列に対し80%の相同性を有する。他の例として、SmithおよびWatermanの計算法、NeedlemannおよびWunschの計算法、」Jaegerの計算法、またはその他任意の計算法で計算して第1の配列が第2の配列に対し80%の相同性を持たない場合でも、Zulerの計算法、およびPearsonおよびLipmanの計算法の双方を用いて第1の配列が第2の配列に対し80%の相同性を有すると計算された場合、本明細書で定義した通り第1の配列は第2の配列に対し80%の相同性を有する。さらに別な例では、計算法のそれぞれを用いて第1の配列が第2の配列に対し80%の相同性を有すると計算された場合(実際には異なった計算法は異なった相同性割合の計算値を与えるが)、本明細書で定義した通り第1の配列は第2の配列に対し80%の相同性を有する。
【0076】
((2)ハイブリダイゼーション/選択的ハイブリダイゼーション)
ハイブリダイゼーションという用語は、典型的にはプライマーまたはプローブと遺伝子等の少なくとも2つの核酸分子間の配列由来の相互作用を意味する。配列由来の相互作用とは、2つのヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログまたはヌクレオチド誘導体の間に核酸に特異的な方法で生じる相互作用を意味する。例えば、Cと相互作用するG、またはTと相互作用するAは配列由来の相互作用である。典型的には、配列由来の相互作用はヌクレオチドのWatson−Crick面またはHoogsteen面上で生じる。2つの核酸のハイブリダイゼーションは、当業者に公知のいくつかの条件およびパラメーターに影響される。例えば、塩濃度、pHおよび反応温度は全て、2つの核酸分子がハイブリダイゼーションするかどうかに影響する。
【0077】
二つの核酸分子間の選択性ハイブリダイゼーションに対するパラメーターは当業者に公知である。例えば、ある実施態様では、選択的ハイブリダイゼーション条件を厳密なハイブリダイゼーション条件と定義することができる。例えば、ハイブリダイゼーションの厳密性をハイブリダイゼーション工程および洗浄工程のいずれか、または双方の温度と塩濃度で制御することができる。例えば、選択的ハイブリダイゼーションを行うためのハイブリダイゼーション条件には、Tm(半分の分子がそのハイブリダイゼーションパートナーから解離する融点)より約12〜25℃低い温度で、高イオン強度溶液(6×SSCまたは6×SSPE)中のハイブリダイゼーションと、その後の洗浄温度がTmより約5℃〜20℃低い様に選ばれた温度と塩濃度とも組み合わせにおける洗浄が含まれる。温度と塩濃度とは、フィルター上に固定化された参照DNA試料が関連する標識核酸とハイブリダイゼーションし、次いで異なった厳密性で洗浄される予備実験で容易に決定される。典型的には、ハイブリダイゼーション温度はDNA−RNAおよびRNA−RNAハイブリダイゼーションではより高い。厳密性を達成するため、上記の様な、または公知の条件を用いることができる(Sambrookら、Molecular Cloning:Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring、Nwe York、1999;Kunkelら、Methods Enzymol.1987:154−367、1987;少なくとも核酸のハイブリダイゼーションに関する材料に対し、本明細書に引用して援用する)。DNA:RNAハイブリダイゼーションに対する好ましい厳密なハイブリダイゼーション条件は、6×SSCまたは6×SSPE中の約68℃(水溶液)と、その後の68℃における洗浄である。所望する相補性度を下げる場合、さらに可変性を検索する任意の領域のG−CまたはA−T過剰性によって、必要あればハイブリダイゼーションと洗浄との厳密性を下げることができる。同様に、所望の相同性を挙げる場合、さらに他界相同性が必要でアルゴリズム任意の領域のG−CまたはA−T過剰性によって、すべて公知の通り必要あればハイブリダイゼーションと洗浄との厳密性を上げることができる。
【0078】
選択的ハイブリダイゼーションを定義する他の方法は、ある核酸が他の核酸に結合する量(割合)を調べることである。例えば、ある実施態様では、60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、89、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%の制限核酸が非制限核酸に結合している場合である。典型的には、非制限プライマーは例えば10または100または1000倍過剰である。このタイプの分析は、制限および非制限プライマーの双方が例えばkの10倍または100倍または1000倍以下、または核酸分子の1つのみがkの10倍または100倍または1000倍、または拡散の1つまたは双方がk以下である条件下で行われる。
【0079】
選択的ハイブリダイゼーションを定義する他の方法は、ハイブリダイゼーションが所望の酵素処理を必要とする条件下で酵素的に処理されるプライマーの割合を調べることで行われる。例えば、ある実施態様では、選択的ハイブリダイゼーション条件とは、少なくとも60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、89、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%のプライマーが酵素処理を促進する条件下で酵素的に処理される場合であり、例えば酵素処理がDNAの延長である場合、選択的ハイブリダイゼーション条件は少なくとも60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、89、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%のプライマー分子が延長される場合である。好ましい条件には、酵素が処理を行うに適当であると製造業者が示唆しているか、当技術で示されている場合である。
【0080】
相同性と同様に、2つの核酸分子間のハイブリダイゼーションレベルを決定するために本明細書に開示された様々な方法があることが分かる。これらの方法と条件とは、2つの核酸分子間に異なった割合のハイブリダイゼーションを提供する子と分かるが、特に示されない限り、任意の方法のパラメーターが一致することで十分である。例えば、80%のハイブリダイゼーションが必要であり、これらの方法の任意の1つで必要なパラメーター内でハイブリダイゼーションを生じる限り、本明細書に開示されていると考えられる。
【0081】
ある組成物または方法がハイブリダイゼーションを総体的または単独で決定するためのこれらの基準の任意の1つに一致する場合、それは本明細書に開示された組成物または方法である。
【0082】
(2.核酸)
様々な改変体HBM等の本明細書に開示された様々な分子がある。これらのペプチド系分子を、例えば配列番号1をコードする核酸を含むいくつかの核酸でコードし得ることが分かる。例えば、細胞中であるベクターが発現する場合、発現したmRNAは典型的にはA、C、GおよびUでつくられることが分かる。
【0083】
(a)配列)
例えばwww.pubmed.gov.でアクセスできるGenbankデータベース中に見出される、BXB、RHAMMおよびHABD等のRHAMMのサブセクションに関連する様々な配列がある。これらの配列、および他の配列の他、それに含まれる個々の配列を本明細書に引用して援用する。蛋白質配列も同様に見出され、本明細書に引用して援用し得ることも分かる。
【0084】
配列番号1に示した特定の配列の1つが、開示された組成物と方法を例示するために本明細書で実施例として使用される。ヘパリン結合ペプチドをコードする配列が開示される。例えば、配列番号8は配列番号7のペプチド配列に対応する核酸分子である。配列番号10は配列番号9のペプチド配列に対応する核酸分子である。配列番号12は配列番号11のペプチド配列に対応する核酸分子である。
【0085】
この配列に関する記載は、特に指示しない限りHBMに関連する任意の配列に応用し得る。例えば、上記の様にHBNは蛍光性、発色性またはGST分子等の様々な分子と融合できる。これらの分子に対応する核酸が開示される。HBM核酸はさらに、例えばBAP核酸を有する。HBM核酸はまた、EGFP核酸をさらに有する。HBM核酸はまた、バクテリアGST核酸をさらに有する。
【0086】
例えば、核酸をプラスミド等のベクター中に含ませることができる。このようなベクターの例は公知である。
【0087】
当業者は配列の不一致と差をどのように解決するか、特定の配列に関する組成と方法と、他の配列に関する組成と方法とをどのように調節するか(例えばHBMの配列)を理解できる。本明細書に開示され、公知である情報が与えられれば、プライマーおよび/またはプローブを任意のHBM関連核酸のために設計することができる。
【0088】
(b)プライマーおよびプローブ)
本明細書に開示されるHBMに関連する核酸と相互作用し得るプライマーおよびプローブを含む組成物が開示される。ある実施態様では、プライマーはDNA増幅反応を支援するために使用される。典型的には、プライマーを特定の方法で配列中で延長することが可能であると考えられる。特定の方法による配列中のプライマーの延長には任意の方法が含まれるが、プライマーがハイブリダイゼーションするか、または会合する核酸分子の配列および/または組成は、プライマーの延長で生成した生成物の組成または配列を導くかそれに影響する。従って、配列に特異的な方法によるプライマーの延長にはPCR、DNA配列決定、DNA延長、DNA重合、RNA転写または逆転写が含まれるが、それらに限定されない。配列に特異的な方法でプライマーを増幅する技術と条件が好ましい。ある実施態様では、プライマーはPCR等のDNA増幅反応、または直接配列決定のために用いられる。ある実施態様では、プライマーを非酵素的技術を用いて延長することもできるが、例えば配列の特異的な方法でプライマーと反応して延長する様に、プライマーを延長するために用いられるヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドが修飾される。典型的には、開示されたプライマーがHBMに関連する核酸、またはHBMに関連する核酸領域とハイブリダイゼーションするか、またはHBMに関連する拡散の相補体、またはHBM遺伝子に関連する核酸の領域の相補体とハイブリダイゼーションする。プライマーとプローブとは、プライマーまたはプローブである要請に合致する任意のサイズであり、3、4または5ヌクレオチド長を含むがそれに限定されない。
【0089】
ある実施態様におけるHBMに関連する核酸と相互作用するためのプライマーまたはプローブのサイズは、DNA増幅、またはプローブまたはプライマーの単純なハイブリダイゼーション等のプライマーの所望の酵素処理を支援する任意のサイズであり得る。HBMに関連する核酸に対する典型的なプライマーまたはプローブのヌクレオチド長は少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500または4000である。
【0090】
他の実施態様では、HBMに対するプライマーまたはフローブのヌクレオチド長は6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500または4000
以下であるか等しい。
【0091】
HBMに関連する核酸に対するプライマーは、HBMを含む増幅DNA生成物を製造するために典型的に用いられる。一般に、生成物のサイズは典型的にはヌクレオチドが3個または2個または1個以内である様に正確に決められる。ある実施態様では、この生成物のヌクレオチド長は少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500または4000である。
【0092】
他の実施態様では、生成物のヌクレオチド長は20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500または4000以下であるか等しい。
【0093】
HABD分子を増幅するために本発明で有用であるプライマーの例には、以下が含まれる。
【0094】
配列番号2:5’−CGGGATCCGGTGCTAGCCGTGACTCCTATGCACAGCTCCTTGG−3’
配列番号3:5’−GGAGCGGTCGACACGGATGCCCAGAGCTTTATCTAATTC−3’
配列番号4:5’−GATCCGGTCTCGAGGGAAGTGGTTCTGGAAGTGGTTCAGGTTCGGGTAGCGGATCTGGTTCAGGAAGTGGTT−3’
配列番号5:5’−CTAGAACCACTTCCTGAACCAGATCCGCTACCCGAACCTGAACCACTTCCAGAACCACTTCCCTCGAGACCG−3’
(B.製造法)
特に言及しない限り、本明細書に開示した組成物、および開示された方法を実施するに必要な組成物を、その特定の試薬または化合物に対する公知の任意の方法を用いて製造することができる。特に言及しない限り、開示された分子を製造し、開示された方法を実施するために、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.1989)が開示した様な一般的な分子生物学技術を用いることができることが分かる。
【0095】
(1.核酸合成)
例えば、プライマーとして使用するオリゴヌクレオチド等の核酸を標準の化学合成方を用いか、酵素的方法を用いるか、または他の既知の方法を用いて製造することができる。このような方法は標準の酵素消化法の後、ヌクレオチド断片の単離(例えばSambrookら、Molecular Cloning:A labratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press Cold Spring Harbor、N.Y.1989、第5、6章参照)ことから、例えばMilligenまたはBecman 1Plus DNA Synthesizer(例えばMilligen−Biosearch、Burlington、MAのModel 8700自動シンセサイザー、またはABIModeru 380B)を用いる純合成法の範囲である。オリゴヌクレオチドの製造に有用な合成法はIkutaら(Ann.Rev.Biochem.53:323−356、1984(ホスフォトリエステルおよびホスファイトトリエステル法))、およびNarangら(Methods Enzymol.65:610−620、1980(ホスフォトリエステル法))によっても報告されている。ペプチド核酸分子をNielsenら(Bioconjug.Chem.5:3−7、1994)により報告された方法等の既知の方法を用いて製造することができる。
【0096】
(2.ペプチド合成)
開示されたペプチドを合成する1つの方法は、2つ以上のアミノ酸またはペプチドを蛋白質化学技術で結合することである。例えば、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)またはBoc(tert−ブチルカルボニル)試薬を用いる現在使用し得る実験室装置(Applied Biosystems、Inc.、Foster City、CA)を用いて、アミノ酸またはペプチドを化学合成することができる。例えば開示された蛋白質に対応するペプチドまたはポリペプチドを、標準化学反応により合成し得ることを、当業者は理解し得る。例えば、あるペプチドまたはポリペプチドを合成してその合成用樹脂から切り出されないが、ペプチドまたは蛋白質の他の断片を合成して樹脂から切り出し、他の断片上で官能基がブロックされている末端基を露出することができる。ペプチド縮合反応により、これらの2つの断片をそのカルボニルおよびアミノ末端でペプチド結合によりそれぞれ結合し、蛋白質またはその断片を生成する(Grant GA(1992)Synthetic Peptides:A User Guide、W.H.Freeman and Co.、N.Y.、1992;Bodansky MおよびTrost B、編集(1993)Principle of Peptide Synthesis、Springer−Verlac Inc.、N.Y.(少なくともペプチド合成に関連する材料に対し、本明細書に引用して援用する))。または、ペプチドまたはポリペプチドを本明細書に記載通りにインビボで独立に合成する。一度単離すると、これらの独立のペプチドまたはポリペプチドを同様なペプチド縮合反応により結合し、ペプチドまたはポリペプチドを生成し得る。
【0097】
例えば、クローン化または合成ペプチドを酵素的に連結することにより、比較的短いペプチド断片を結合し、より大きいペプチド断片、ポリペプチドまたは全蛋白質ドメインを製造することができる(Abrahmsen、L.ら、Biochemistry、30:4151、1991)。または、より短いペプチド断片から大きなペプチドまたはポリペプチドを構築するために、合成ペプチドの天然化学連結を用いることができる。この方法は2工程化学反応で構成される(Dawsonら、Synthesis ofProteins by Native Chemical Ligation Science、266:776−779(1994))。最初の工程は未保護合成ペプチドチオエーテルと、アミノ末端Cys残基を含む他の未保護ペプチドセグメントとの化学選択性合成により、最初の共有結合性生物としてチオエーテル結合中間体を得ることである。反応条件を変更せず、この中間体は自発的な早い分子間反応を行って連結部位に天然のペプチド結合を生成する(Baggiolini、M.ら、1992、FEBS Lett.307:97−101;Clark−Lewis、I.ら、J.Biol.Chem.269:16075、1994;Clark−Lewis、I.ら、Biochemistry、30:3128、1991;Rajarathnam、K.ら、Biochemistry、33:6623−30、1994)。
【0098】
または、未保護ペプチドセグメントを科学的に結合するが、化学連結の結果としてのペプチドセグメント間に形成した結合は非天然(非ペプチド)結合である(Schnolzer、M.ら、Science、256:221、1992)。この技術が蛋白質ドメインアナログの合成の他、完全な生物活性を有する大量のかなり純粋な蛋白質を合成するために使用されている(deLisle Milton、RC.ら、Techniques in Protein Chemistry IV、Academic Press、New York、p257−267、1992)。
【0099】
(3.組成物製造プロセス)
組成物の製造プロセスの他に組成物に導かれる中間体の製造プロセスも開示される。例えば、配列番号7、9、11、13および15のペプチドが開示される。合成化学法および標準分子生物学法等の、これらの組成物を製造するための様々な方法がある。これら、および開示された他の組成物の製造法が具体的に開示されていることが分かる。
【0100】
HBUをプラスミド構築のためのベクターとして使用できる。プラスミド調製、制限酵素消化、ポリメラーゼ連鎖反応、連結、形質転換および蛋白質合成等の基本的な組み換えDNA法が、当業者がよく知っている確立されたプロトコール61、または酵素またはキットの製造業者による推奨に従って行われた。
【0101】
レポーター核酸を増幅し、増幅されたレポーター遺伝子を制限酵素で消化し、制限レポーター核酸をHBM核酸と連結し、それにより融合蛋白質コンストラクトを生成する工程を有する融合蛋白質の製造法が開示される。任意に、バクテリア宿主を融合蛋白質コンストラクトで形質転換する別な工程を行うこともできる。HBM核酸を制限レポーター核酸に連結する前に、HBM核酸をGST核酸と融合することができる。
【0102】
レポーター核酸を増幅し、増幅されたレポーター核酸を制限酵素で消化し、制限レポーター核酸をHBM核酸と連結し、それにより融合蛋白質核酸を生成する融合蛋白質の製造法も開示される。任意に、バクテリア宿主を融合タンパク質核酸で形質転換する工程を行うこともできる。HBM核酸を制限レポーター拡散に連結する前に、HBM核酸をGST核酸と融合することができる。次いで融合蛋白質を発現し、精製することができる。
【0103】
HBMコンストラクトを製造する1つの方法は、RHAMMcDNA、例えば配列番号7を増幅し、増幅されたRHAMMを消化し、増幅されたRHAMMをベクター中に連結し、ベクターから生成物をえる工程を有する。この方法はさらにリンカーを生成物中に導入し、生成物をベクター中に連結し、次いでベクターから第2の生成物を得る工程を有し得る。これらの工程を繰り返してベクターから第3の生成物を得ることもできる。
【0104】
ある実施例では、2つの塩基の多いBXBモチーフを有する62個のアミノ酸のヘパリン結合ドメインを個々のHBUとして使用し、そのユニットを相互に結合してHBMを生成することができる(これは上記のHABD分子である)。例えば、RHAMM(518−580)cDNA(62個のアミノ酸のヘパリン結合ドメイン)をpGEX−ERL等のベクター中に挿入することができる。切断部位を有するプライマーをRHAMM(518−580)を増幅するために使用し、PCR生成物を消化し、既に消化された修飾pGEXベクター中に連結してコンストラクトを得ることができる。このコンストラクトをHB1と呼ぶ。(GlySer)Gly等のリンカーをベクター中に導入し、既に消化された他のcDNAと連結し、HB2組み換えコンストラクトが得られる。このコンストラクトはヘパリン結合分子(HBM)であると考えられる。さらに、他のリンカーと増幅されたcDNAを用いて、上記の工程を繰り返すことによりHB3コンストラクトを合成できる。このコンストラクトもHBMであると考えられる。各プラスミッドの他、空のベクターもバクテリア宿主中に形質転換される。次いで所望のペプチドを増幅する。
【0105】
検出または精製を容易にするため、融合蛋白質を作製することができる。融合蛋白質核酸を製造する1つの方法は、HBM核酸をレポータープラスミド中に連結し、融合蛋白質核酸を作製する工程を有する。次いで融合蛋白質を発現し生成することができる。例えば、上記の様にGST蛋白質を用いて融合蛋白質を製造することができる。GST蛋白質の製造法は公知であり、当業者はこの様な融合蛋白質を作製し得ると思われる62
【0106】
発色および蛍光染料を発現するために融合蛋白質を作製することができる。様々な
経口および発色染料が上記に開示されている。融合蛋白質を、宿主中に挿入されたプラスミドを用いて作製することができる。宿主は融合蛋白質を生成し得る任意の細胞である。この様な融合蛋白質を生成するため、当業者は宿主を使用し得る。宿主は例えばE.coli等のバクテリアである。ある実施例では、融合蛋白質を作製するために適当な遺伝子断片の融合体を有するE.coli発現ベクターを作製することができる。制限部位を有する末端プライマーを用いて、例えばEGFP遺伝子またはBAP遺伝子のPCR増幅によりE.coli発現ベクターを作製することができる。適当な制限消化の後、これらの断片をHBM遺伝子中に連結して末端融合体とすることができる。形質転換後、蛋白質生成物を発現し、標準の精製技術を用いて精製することができる。
【0107】
例えば、EGFP、BAPおよびGST−HBMはE.coli中で可溶性の形で容易に発現される。発現すると、3種の蛋白質は全て様々な塩、系面活性剤、pH、温和な酸化、および変性緩衝液中で比較的安定である。これにより、精製または分析法を自由に変更することができる。例えば制限部位を用いてHBM遺伝子をEGFPおよびpFLAG−BAP中に置くことができる。pFLGA−BAPはOMP−Aリーダーペプチドを有し、融合蛋白質を培養培地中に分泌する。一定の培地中でE.coliを生育させることにより、イオンクロマトグラフィーによる直接精製ができる。EGFP−HBMの単離を、抗GFP親和性カラムを用いて行うことができる。
【0108】
(C.使用法)
ヘパリンは極めて不均一なグリコサミノグリカン(GAG)であり、ブタの消化器粘膜またはウシの肺の肥満細胞から抽出される、ウロン酸とアミノグリコシド残基が交互に並んだポリサッカライドのファミリーである。化学修飾、特に硫酸化によりアンチトロンビンIII(AT−III)に対する結合部位となるペンタサッカライド配列が得られる。血液中でヘパリンはAT−IIIと相互作用し、Xa因子の活性化を阻害し血液凝固を妨害する。ヘパリンの抗凝固効果は、トロンビン(IIa因子)とXa因子とのAT−III阻害を顕著に促進するこの相互作用により媒介される。
【0109】
未分画ヘパリンと低分子量ヘパリンとの2種のヘパリンが、血液凝固生成と血栓症を減少する治療薬として用いられる4−8。未分画ヘパリン(UFH)ポリサッカライドは長さと抗凝固活性とが不均一であり、5000〜30,000Daの範囲の分子量を有する。低分子量ヘパリン(LMWH)は未分画ヘパリンから製造され、平均分子量4000〜5000kDaのより小さなポリサッカライドが得られる。これらの短い分子ではAT−III阻害を促進する能力が失われているが、Xa因子阻害を触媒する能力は維持されている。インビボ蛋白質結合の減少によりLMWHの生物適応性が改善され、より予測可能な抗凝固反応が得られる。LMWH処理の他の重要な特徴は、UFHの静脈内投与とは反対に皮下注射で投与し得ることである。
【0110】
血漿ヘパリンレベルをいくつかの臨床的に推奨される方法で検出することができる:(i)活性化凝集体時間(ACT)の測定、(ii)活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)12、(iii)ヘパリン制御試験(HMT)13、14、または(iv)抗Xa因子試験15。ヘパリン測定のたに化学的方法は蛍光発光基質上のトロンビン活性阻害の測定であるが16、この方法は臨床使用に必要な感度がない。30年以上にわたり、APTTの測定は患者に対する抗凝固剤の使用を規定しモニターするために元も広く使用されてきた道具であった。
【0111】
APTTは、固有の凝固経路を評価するために用いられる凝固の汎用スクリーニング試験である。この試験は凝固障害、阻害剤、およびVIII因子およびフィブリノーゲンの増加を含むヘパリン以外の多くに変数で影響される。第2に、APTT比の分母にどの値を使用するか、すなわち正常者またはAPTT処置患者のAPTTの平均値であるか上限であるか、についての合意がない。最も重要なことは、市販のAPTT試薬の感度が広い範囲で変わることである。さらに、少量の試料を用いた場合、潜在的な表面対容積効果があり、試料処理により凝固とトロンビン経路の双方が影響される。まとめると、APTTを行う場合、これらの因子が重大な分析誤差となり得る1、17
【0112】
抗Xa因子分析は、凝固カスケード中でXa因子を不活性化するヘパリンの能力に基づく発色分析である。この方法では、Xa因子とアンチトロンビンIIIが過剰に存在し、残存Ca活性がヘパリン濃度に反比例する。患者がアンチトロンビンIIIの正常な濃度を有すると仮定する。抗Xa因子分析を使用する場合、全ての患者に対しアンチトロンビンIIIレベルを測定することが推奨される。LMWH治療中、異なった分析で得られた抗Xa活性の結果の間にきわめて重大な差がある。
【0113】
1つの技術による結果の平均値は、他の技術による平均値の2倍以上である。いくつかの抗Xa因子分析で得られた結果の間の一致度が低いことは、患者の管理が患者をモニターするために行われた実験室技術により妨げられることを示唆している。発色技術による結果の間の最大の差は43%であった。1つの凝固分析と他の凝固または発色分析との間の差の理由は分からないが、分析中のトロンビン阻害の影響に関連すると思われる。LMWHの組成は、抗IIa活性の急速な消失を伴って投与後に変化する。ある凝固系分析は、補正曲線を作成するために血漿中に加えられたヘパリン中に残存する抗IIa活性に影響されると思われる。この材料は、注射後4〜6時間で採集された試験試料中からほとんど失われている。従って、補正曲線を作成するために用いられた凝固時間は試験試料に関しては長くなり、抗Xa活性を組織的に低く見積もることとなる。抗IIa活性に影響されない分析のみがこの効果を示さない18。この全く異なる測定結果は、凝固カスケードの生理的指標を評価するものでなく、ヘパリンを直接測定する分析を用いることの重要性を示すものである。
【0114】
硫酸プロタミンは、心臓血管手術、血液透析および心臓検査を含む様々な臨床処置でヘパリンを中和するために使用される、天然起源の陽イオン蛋白質である23、34。ヘパリンの中和を除去すると患者本来の凝固状態を回復する。しかしながら、例えばアナフィラキシーショック、全身性抗血圧、血小板減少症、顆粒球減少症、補体活性化およびサイトカイン放出等の副作用がプロタミンの使用で生じる25。現在用いられる別な方法は、いわゆるヘパリン除去装置(HRD)による親和性に基づく体外ヘパリン吸着、またはヘパリンを分解するためのヘパリナーゼの使用である26。このような装置では固定化ポリL−リジン(PLL)27、プロタミン固定化セルロースフィルター23、24、または他のポリカチオンリガンド28、29を使用し得る。PLLを使用すると、血液中のヘパリンを90%除去するためにHRDは0.5〜2時間を要し、ヘパリンが血漿外に拡散しビーズに固定化された親和性リガンド上に捕捉される交換セルを使用する。組み合わせアプローチ、すなわちポリエチレングリコール(PEG)3400リンカーを添加し、100kDaのPLLによる繊維膜のプレコーティングを用いると、プロ除去性が実質的に増幅される。小さなカートリッジで繊維グラムあたり60mgを吸着でき、これは固定化プロタミン単独の8倍以上の増加である。固定化ヘパリナーゼも体外ヘパリン除去について評価された30。しかしながら、容量と選択性が現在使用されている方法の全てに固有の問題である。
【0115】
または、HBMに結合することによりヘパリンを中和できる。例えば、合成ヘパリン等のプロタミン硫酸に結合しないヘパリンをHBMに結合することができるか、プロタミン硫酸およびHBMは結合に使用できるか、またはヘパリンの抗凝固剤活性の中和のためにHBMをプロタミンの代わりに使用することができる。HBMを少量使用し、プロタミンの負の効果を緩和することができる。HBMは合成ヘパリンを含むプロタミンが結合しないヘパリンに結合できる。HBMはプロタミンがある対象に有し得るアレルギー効果を持たない。
【0116】
患者の血液が被覆されていない医療器具に接触する手術中に、器具の表面は血漿蛋白質を変性し、血小板凝集体を促進し、補体系を活性化しトロンボン形成を開放する。従って、これらの出来事を開始させないためには抗凝固剤を使用することが必要になる。ヘパリンはこの目的のために最も使用される抗凝固剤であり、典型的には医療器具の表面上に固定化される。ヘパリンの固定化はポリプロピレン布をマイクロウエーブで活性化し、アクリル酸をグラフト重合させ、アミド結合によりヘパリンを共有結合させることで行われる31。または、上皮細胞接種に適した非細胞毒性架橋コラーゲンをN−ヒドロスクシイミドとカルボジイミドとの反応で修飾し、コラーゲンのリジン残基をヘパリンのカルボキシル基に結合する32。また別な方法では、重合成カチオン脂質を用いてイオン配位により疎水性器具の表面を修飾し、60nmの厚さの層を形成する33。表面を柔軟にする結果、全ての表面に斑をつけるか修飾し、ひび割れを生じさせる。ヘパリン被覆の均一性の測定は、品質管理(QC)の重要な領域である。
【0117】
器具上のヘパリン固定化の成功を示すQCは、吸着された蛋白質と、アンチトロンビン、トロンビン、高分子量キニノーゲン(HMWK)等の可溶性活性化マーカー、およびフィブリノーゲン結合容量に対する試験で構成される34、35。他の場合は、ヘパリン被覆の抗凝固剤活性を測定するためにAPTTまたは抗Xa因子法等の臨床的方法36、または血液ポンプ上のヘパリンの固定化を示す表面上の硫黄の相対含有量37を使用している。全血液分析における血小板活性化およびフローサイトメトリーが、ヘパリン被覆タンタルステントおよび金被覆ステンレス鋼ステントを試験するために用いられている38。同様に、APTTを用いる抗血栓生成性、血小板付着および血栓生成がヘパリン、フィブロネクチンおよび心房間連通を閉塞するために設計された組み換えヒルジン被覆Nitinolコイルで評価された39。現在使用されている方法が何れもヘパリン被覆を直接検出しないことが重要である。ヘパリン検出の本発明の方法は、これらの医療器具の変質管理を改善・簡易化し、器具上のヘパリン被覆の均一性を実証するために有用である。
【0118】
(1.ヘパリンの検出方法)
開示された方法をヘパリンの検出法として使用することができる。この方法を任意のヘパリン分子を、本明細書に列記されたものを含む検出または結合するために用いることができる。さらに、HBM、HBUおよびHABDを本明細書に列記されたものを含む検出または結合するために用いることができる。ELISA、蛍光ベース分析、APTT(活性化部分トロンビン時間)分析および本明細書に開示された他の方法を含め、ヘパリンを検出するために様々な分析を使用することができる。さらに、試料中にヘパリンの量を定量するために分析を使用することができる。試料中のヘパリンの量を測定する1つの例は、第1インキュベーションで試料をHBMとインキュベーションしてHBM混合物を生成する工程であって、HBM混合物がHBM−ヘパリン複合体を形成する工程を有する。
【0119】
血液、血漿、血清、尿、唾液、腹腔液または分析データを必要とする任意の他の体液中でヘパリンを検出することができる。被覆表面上でヘパリンを可視化することもできる。
【0120】
低分子量ヘパリン(KMWH)と未分画ヘパリン(UFH)との双方を、本明細書に記載の方法で検出できる。本明細書に開示されたHBMは、ウシ、シグマ、高アンチトロンビン親和性分画、高親和性分画、およびヘパリンの不活性化蛋白質等の全ての主要な未分画ヘパリンと結合する(図23、25参照)。高親和性ヘパリン分画はAT−IIIと結合し得るが、不活性断片はAT−IIIと結合できない断片であると定義される。本明細書に記載された検出分析は、不活性断片を検出することができる。例えば、ヘパリンの不活性または活性部分の何れかと結合する本明細書に記載の方法と組み合わせて、AT−IIIに結合するヘパリンのみを検出する分析を使用し、結合した不活性ヘパリンの量を測定するための差分析を行うことにより、不活性断片を定量することができる。例えばこれらの不活性断片は炎症を制御するために重要であり、コンドロイチン硫酸と類似の方法で使用することができる。例えば未分画ヘパリンを広い範囲で検出することも可能で、図27は0.2U/mL濃度以下におけるヘパリンの検出を示す。
【0121】
例えばLMWHは表4に示すものが含まれ、その全てが本明細書に記載の方法で検出可能である。例えば、図22および24でダルテパリン、エノキサパリン、チンザパリン、アルデパリンおよびパルナパリンは全て、本明細書に記載のHBMと結合することができる。合成ヘパリンも容易に検出し得る(図26)。
【0122】
(表4:低分子量ヘパリン)
【0123】
【表4】

これらのLMWHおよびヘパリン分子を、一定期間抗凝固性を必要とする被験体に使用する、および使用し得ることが分かる。これらの分子は異なった速度および異なった量で代謝されるので、投与したヘパリンの量を例えばリアルタイムでモニターし得ることが有利である。開示されたHBMおよびHABD、およびそれらの使用法は、このモニタリングが可能でることが分かる。
【0124】
また、必要とする被験体に血液凝固パラメーターを回復する方法も開示される。
【0125】
((a)試料中のヘパリンの検出法)
ヘパリン検出方法の1つは、試料を取得する工程と、試料を分析に供する工程であって、分析はHBMを用いる工程と、ヘパリンを検出する工程とを有する。また、試料を取得する工程と、試料をHBMと接触させる工程と、HBM−ヘパリン複合体を分析する工程とを有する方法も考えられる。また、HBMとヘパリン試料を混合する工程と、HBM混合物を形成する工程と、HBM−ヘパリン複合体が存在するかどうかを測定する工程とを有する方法も考えられる。具体的な実施態様がいかに開示される。上記の様に、長鎖および短鎖の両方の他、合成ヘパリン等の全てのタイプのヘパリン分子を検出することができる。
【0126】
任意のタイプの合成ヘパリンを検出することができる。それらの例にはイドラパリヌックス(ペンタサッカライド、Sanofi−Aynthelaboより販売)、および米国特許第6,329,351号に見出される硫酸スルファミノヘパロサンが含まれ、合成ヘパリンに関する情報を本明細書に引用して援用する。
【0127】
ヘパリン検出分析を品質管理、薬物速度論、硫酸プロタミン最適化、およびヘパリンの抗増殖および抗炎症効果の測定に使用できる。また、ヘパリン検出分析を被験体中の経口、吸入および埋め込み投与ヘパリンの測定、およびヘパリンセファロースまたはステンと等のヘパリン被覆医療器具の浸出の測定に使用し得る。
【0128】
((1)ELISA)
ELISAは臨床検査および診断に広く使用されている。開示された実施態様で、96および384ウエルフォーマットの任意の標準ELISAを使用することができるが、それらに限定されない。伝統的な未分画ヘパリン(UFH)の他、耐分子量ヘパリン(LMWH)も使用し得る。
【0129】
((a)競合ELISA)
ヘパリンの親水性のため、市販のビオチン化ヘパリンで被覆したストレプタビン被覆ミクロタイタープレートが使用できる。洗浄工程後にウェルをブロックし、無蛋白質被覆溶液で安定化する。次いでHBM試薬を被分析試料(既知または未知試料由来)に加え、それに対しヘパリンレベルを決定し平衡させる。次いでHBM−被分析試料混合物をヘパリン被覆ミクロタイタープレートに加える。ストレプタビン(例えばプレート上)またはビオチン(例えばヘパリン上)、または抗体/抗原ペア、GST/GSH等の生物学的リンカー、および公知の他のリンカーを使用し得る。NHS−ヘパリン(N−ヒドロキシスクシミド)または他の活性化剤を用いてヘパリンをプラスチックに直接結合することもできる。例えば、ストレプトアビジンプレート上の50〜50,000ng/mLのビオチン化ヘパリンを使用できる。100〜10,000ng/mLも使用できる。プレート上のヘパリン量が多ければ試料中で高い範囲のヘパリンの検出能が得られるが、プレート上の低いレベルのヘパリンはより高感度の試験を与え、より低いレベルのヘパリンの分析を可能にする。試料由来のヘパリンと固定化ヘパリンとが、HBM上のヘパリン結合部位と競合する。固定化ヘパリンに対するHBMの結合を、GST等のタグによりHBMを認識するHRP結合抗体等の2次試薬を用いて検出することができる。この後に、TMB等の検出試薬を用いて第2試薬の活性を検出する。発色を停止し、吸光度を測定する。被分析試料のヘパリンがヘパリン被覆プレートに対するHBM結合と競合するので、発生した信号は、被分析試料中に存在するヘパリン量に反比例する。一連のヘパリン濃度の増加を分析と関連して行い、標準曲線と比較して存在するヘパリン量を測定することができる。ある実施態様では、捕捉蛋白質はGSTが切り離され、残りのHB3蛋白質が捕捉蛋白質として使用されるGST−HB3融合蛋白質である。
【0130】
蛍光ベースの分析も、ヘパリンに結合したHBMを可視化するために用いることができる。例えば、HBMをBAPまたはGFP等の蛍光分子と融合することができる。アルカリホスファターゼ融合コンストラクトが細胞下蛋白質の位置決めに日常的に使用される。融合コンストラクトの他に、蛍光染料をHBMに化学的に結合することができる。
【0131】
血漿、血清または血液を被分析試料として使用することができる。血清ベースヘパリン分析は、血液の別なクエン酸チューブ採取の必要がなくなり、患者から採取する必要のある全血液量を少なくする。血清ベースヘパリン分析は、他の分析に関しても試料を同じチューブから取ることができる。ヘパリンレベルのみが低下した被験体では、凝固カスケードベース分析に影響すると思われる活性化された組織因子蛋白質を除去する手段としてのクエン酸チューブを採取する前に、さらに別な血液チューブを採取する必要がある。この余分なチューブの必要をなくすことは、時間とコストの節約になる。異なった量のHBMまたは他の試薬を使用して分析を最適化することができる。多変量実験計画プログラムを、結果を最適化するために使用できる。多変量実験計画の1例は、ECHIPプログラムである。変数にはpH、緩衝液の組成、インキュベーションのタイミング、およびビオチン化ヘパリン、HBMおよび複合化抗体が含まれる。ヘパリンはUFHまたはLMWHである。
【0132】
((b)サンドイッチフォーマットELISA)
サンドイッチフォーマット分析では、被分析試料中のヘパリン濃度が増加すると検出信号が上記の競合分析フォーマットの場合の様に減少するのでなく、むしろ増加する。まず「捕捉蛋白質」がウェルを被覆するために選ばれる。ある実施例ではHB3−GSTがHBM分子として使用されるが、本明細書に記載する任意の被覆法をサンドイッチフォーマットELISAで使用できる。HB3蛋白質のGSTタグを切り取り、次いで切り取ったHB3を捕捉プローブとしてミクロタイターのウェル中に固定化する。
【0133】
別なアプローチは捕捉リガンドとして全く異なったポリカチオン種を利用することである。これは凝集を避け、より経済的であり、前もって調製し易い利点があり、最大で識別用の2つの異なった親和性リガンドを提供する。まず、捕捉リガンドを用いる。この様な捕捉リガンドの例にはプロタミンとポリL−リジン(PLL)が含まれる。合成ポリカチオンポリマーも用いることができる。ポリカチオンポリマーをウェルに吸着し被覆する。洗浄工程後に、被分析試料をウェルに加え、平衡させる。未結合被分析試料を洗い流した後、HBMをウェルに加える。例えば分析と同様に(実施例8)、ヘパリンへのHBMの結合を、HRP共役抗GST抗体用いて検出できる。この工程の跡にTMBによるHRP活性の比色分析を行う。発色を酸性にして停止し、吸光度を読み取る。捕捉蛋白質により捕捉された被分析試料中のヘパリン量が増加するにつれて、信号が増加する。この分析フォーマットでは、一連のヘパリン標準試料を対照として使用できる。
【0134】
サンドイッチフォーマットにより、分析中の試料中のヘパリンが増加すると信号が増加することが重要である。APTTまたは抗Xa分析とは対照的に、直接ヘパリン検出が凝固カスケードに依存しないので、血漿中でなく血清中で行い得る。競合分析と同様に、この分析を最適化するために多変量実験計画が使用できる。例えばこの分析を血液、血漿または血清中で行うことができる。
【0135】
((2)蛍光ベース分析)
UFHとLMWHの双方に蛍光ベース分析を用いることができる。例えば、ビオチン化ヘパリンで処理されたストレプトアビジン被覆ミクロタイタープレートを用いることができる。洗浄工程後、ウェルをブロックし得、無蛋白質被覆溶液で安定化し得る。例えばBAPが蛍光分子として用いられた場合、ヘパリンレベルを測定する被分析試料にBAP−HBMを添加し、平衡させる。次にこのBAP−HBM混合物をヘパリン被覆ミクロタイタープレートのウェルに加える。未知のヘパリンと固定化ヘパリンがBAP−HBM上のヘパリン結合部位と競合する。HBM上に存在するBAPタグと反応する基質を用いて、プレートに対するBAP−HBMの結合を比色で検出できる。発色を停止し、吸光度を測定する。発生した信号は、ヘパリン被覆プレートに結合するBAP−HBMの量に反比例する。
【0136】
((3)定量)
ヘパリンのレベルを、HBMを用いて定量することができる。例えば、血漿中のヘパリン量を、ヘパリンを補正標準と比較することで決定できる。図24はlogスケールでの結晶中のエノキサパリンの測定を示す。図25は、未分画ヘパリンも血漿中で測定し得ることを示す。競合およびサンドイッチフォーマットを同じ試料で比較することができる。血漿の一定量を、等容量のヘパリンから調製した逐次希釈液と混合する。相対吸光度対ヘパリン濃度(log/log)をプロットして補正曲線が得られる。例えば、ヘパリン測定の最適濃度はUFHに対し100ng/mL〜2000ng/mLであり、LMWHに対し400ng/mL〜2000ng/mLである。平行抗Xa分析実験では、これはUFHに対し0.1〜5U/mL、LMWHに対し0.3〜2U/mLに相当し、一般に0.1〜1.0U/mLである結晶中の治療レベルに適している。定量分析の1例では、マイクロプレートの内部に結合していた(図18)。様々な濃度の標準試料をウェル中に入れたが、その量は必要に応じて変わり得る(図19)。未知のヘパリン濃度を残りのウェルに入れ、HRP−HB3を用いる競合結合反応を行った。次いで試料をインキュベーションし、HB3とヘパリン間の反応を行った(図20)。低分子量ヘパリン試料では、より大量のHBM−HRPが結合可能で、より強い信号を発生した。高分子量ヘパリン試料では、
より少量のHBM−HRPしか利用できず、より弱い信号を発生した。
【0137】
HBMは1ng/mL〜100,000ng/mLの間のヘパリンレベルを検出可能である。HBMは10ng/mL〜10,000ng/mLの間のヘパリンレベルを検出可能である。HBMは100ng/mL〜2000ng/mLの間のヘパリンレベルを検出可能である
(b)被覆表面上でのヘパリンの検出法)
患者の血液が未被覆医療器具と接触する手術中は、器具の表面が血漿タンパク質を変性し、血小板凝集体を促進し、補体系を活性化し血栓形成を開始する。従って、この過程の開始を止めるために抗凝固剤を使用する必要がある。ヘパリンはこの目的のために最も多く使用される抗凝固剤であり、典型的には手術器具および病院で使用する多くの器具上に固定かされる。これらの器具が適当な、均一に塗布されたヘパリン層を有することが極めて重要であるので、これらの器具の品質管理が大切である。さらに、溶液中での器具に対するヘパリンの塗布は、ヘパリン鎖状のアニオンに付着し、表面上でのカチオンに対する結合を取り除き、ヘパリン鎖のその部分を溶液中に溶解する溶液中のカチオンのために時間と共に劣化し易い。
【0138】
また、血管形成術後の再閉塞を防止するために使用されるヘパリン被覆ステントも重要である。以下に開示する方法を用いるステントの品質管理により、ステント上のヘパリン被覆の均一性の可視化が可能であり、現在採用されている標準品質管理法と比較して費用と時間を節約する。
【0139】
被覆表面上のヘパリンを検出する1つの方法は、HBMをHRPと共役する工程と、蛍光、発色または化学発色によりHRPを検出する工程とを有する。被覆表面上のヘパリンを検出する別な方法は、レポーター分子と融合したHBMに表面を晒す工程と、レポーター分子と融合した過剰のHBMを除去するために被覆表面を洗浄する工程と、レポーター分子を分析する工程とを有する。ある実施態様では、レポーター分子を可視化し、被覆表面上でのヘパリンの均一性を測定する。
【0140】
上記の様に、例えば蛍光レポーター分子に融合したHBMを使用し得る。器具の表面をHBM融合蛋白質に晒し、表面により提示される蛍光レベルを検出するために蛍光顕微鏡を使用することができる。器具またはステントを曲げたり折りたたんだりすると、被覆に割れ目ができたり切れたりするが、そのような不連続を眼で見ることができる。例えば、蛍光を顕微鏡「またはその他の検出器で検出することができる。
【0141】
(c)HBMで被覆された医療器具)
本明細書に記載する他の実施態様は、製造中にHBMで被覆されるステント等の移植用医療器具を含む器具である。これらの器具をヘパリンで直接被覆する必要がないので、他の医療器具より有利である。他の実施態様では、製造中にHBMを付着することにより、ヘパリンを器具上に2次的に被覆することができる。または、器具を被験体に移植し、HBMを付着し、ヘパリン等の内因性グリコサミノグリカンを結合させることができる。
【0142】
(2.ヘパリンの除去または中和法)
被験体中のヘパリンの効果を停止するために、ヘパリンの中和をインビボで行うことができる。被験体からヘパリンをなくすために、ヘパリンの除去をエクスビボで行うことができる。血液、血漿または血清からヘパリンを除去または中和することは、臨床処置で必要であることが多い。手術または他の理由でヘパリンを血液から除去または中和しなければならない。例えば、患者が血管再生術または冠状動脈バイパス移植手術等の心臓手術を行う場合、一般に血液凝固を防止するためヘパリン等の血液希釈剤を手術前に投与する。血管再生術で用いられるバイパス装置またはバルーン等の異物器具に接触した場合、血液は凝固し易い。HBMを固定化し、HBMを試料に晒し、ヘパリンを液体試料から除去することにより、ヘパリンを除去し得る。例えば試料からヘパリンを除去するために親和性クロマトグラフィーが使用できる。必要な被験体に投与することにより、HBMをヘパリンを中和するためにも使用できる。
【0143】
1%〜10%、10%〜20%、20%〜30%、30%〜40%、40%〜50%、50%〜60%、60%〜70%、70%〜80%、80%〜90%、90%〜100%の割合で全ヘパリンを試料から除去できる。
【0144】
ヘパリンの除去には1分〜48時間、1時間〜24時間、または4時間〜12時間を要する。
【0145】
以下はヘパリンを除去するために用いられる具体的な方法の例である。
【0146】
(a)ビーズへの吸着)
ヘパリン除去法の1例は、ヘパリンをビーズに吸着することである。1例では、GST−HBMの精製で用いたものと同様な方法で、GST−HBMコンストラクトをグルタチオン−セファロースに吸着させる。これによりHBMが高い親和性であるが非共有結合GSH−GST相互作用により固定される。相手となるストレプトアビジンビーズで使用するために、HBMをビオチン化することもできる。次いで除去すべきヘパリンを含む試料をびぅと接触させ、HBM−ヘパリン相互作用を生じさせ、試料からヘパリンを除去する。HBMを活性化しビーズに付着することもできる。他の実施態様では、HBMを活性化ビーズに施すことができる。
【0147】
HBMはより長いヘパリンにより強く結合し、分子サイズに基づくヘパリンの親和性精製が可能である。精製に用いるHBM中のHBUの数を変えることにより、様々なサイズのヘパリン分子の優先的結合が可能になる。
【0148】
(b)共有結合付着)
他の方法では、HBMがビーズに共有結合で付着する。1例では、GSTのリジン残基とアガロースビーズの活性化エステルとの間でアミド結合を形成することにより、GST−HBMコンストラクトがAffiGel−10 NHS−活性化ビーズに共有結合で付着する。これはHBMリジン残基を修飾する可能性があるが、かなりの数の結合がGSTのままであり、HBM−ヘパリン結合を保存する結合のみが重要である。
【0149】
(c)還元的アミノ化)
HBMを還元的アミノ化により微図に結合することもできる。例えば、4.0〜6.0のpH範囲、より具体的にはpH4.5〜5.5、より具体的にはpH5.0でNaBHCNによる還元的アミノ化により、GST−HBMを過要素酸活性化エポキシ活性化アガロースビーズに結合することができる。蛋白質リジン残基に対する得られた2級アミン結合も、ヘパリン結合ドメインを共有結合で固定化する。次いでビーズをヘパリン含有試料に晒し、ヘパリンがビーズ上に固定化される。
【0150】
(D.キット)
本明細書に開示した方法の実施で用いることのできる試薬を含むキットが本明細書に開示される。キットには本明細書で述べた、または開示された方法の実施に必要である、または有益であると思われる試薬、または試薬の任意の組み合わせが含まれる。例えば、本発明の方法のある実施態様で述べた増幅反応を行うためのプライマーの他、所定通りプライマーを使用するに必要な緩衝液および酵素がキットに含まれる。
【0151】
ヘパリンELISA用のキットの1例は、マイクロプレート、HBM、および発色剤、対照標準試薬、洗浄緩衝液、およびAccucolor Heparin Kit(Signa製品)等の指示書、ヘパリン塩製品等の対照標準試料、および界面活性剤Tween−20が添加されたPBSまたはTBS等の洗浄緩衝液が含まれる。例えばマイクロプレートはヘパリン被覆またはHBM被覆マイクロプレートである。HBMは任意に検出用酵素に結合していてもよい。HBM−酵素の代わりに、キットはHBM−GSTおよび抗GST−HRPを任意に含み得る。キットの例とその使用指針は例えば実施例9〜20に見られる。
【0152】
キットの他の例はベッドサイドヘパリンクイックキ試験である。このキットは免疫化学試験と指示書を含む。免疫化学試験は1工程妊娠試験と類似している。例えば、その試験はHBMと、ヘパリンが検出された場合、色が変わる分子とを含むストリップとを有する。例えば、尿または血液試料を塗布窓に置く、液体分画と共にヘパリンを含む可溶性成分が液体の先端と共に移動する。液体が大過剰であるHBMに到達すると、ヘパリンがHBMと反応する。これが起きると、HBMが酵素を始動し不溶性染料の生成が始まり、染料が蓄積すると「プラスサイン」上の水平バーが見えるようになる。試験には対照ウインドウが任意に含まれる。対照ウインドウはプラスを示し、紙中のHBMが損なわれていないことを示す。ヘパリンを検出するため、例えば試験には尿、唾液、血清または血漿を使用することができる。
【0153】
キットの他の例には、蛍光分子に融合したHBMが含まれる。例えばHBMは融合蛋白質である。蛍光分子はHBMの検出を可能にする任意の蛍光分子である。どの蛍光分子を使用し得るかは、等業者が容易に理解できると思われる。実施例にはGFPとBAPが含まれる。このキットは任意の様々なHBMと、上記のそれらの改変体が含まれる。
【0154】
キットの他の例には、対外ヘパリン除去装置(HRD)が含まれる。このキットは親和性捕捉リガンドとしてのHBM分子を有し、1例では、固定化HBMを含む滅菌ビーズが血液等の体液が通過する滅菌チューブ中に含まれる。ヘパリンがビーズ上に捕捉され、残りの液体構成素物は保持されるに通り過ぎる。必要あれば、捕捉されたヘパリンは低pHおよび/または高塩濃度緩衝液で溶離することにより溶出することができる。
【0155】
(E.配列)
1.配列番号1:BX7B(BはRまたはKであり、X7は酸性残基を含まず、少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む)
2.配列番号2:5’−CGGGATCCGGTGCTAGCCGTGACTCCTATGCACAGCTCCTTGG−3’
3.配列番号3:5’−GGAGCGGTCGACACGGATGCCCAGAGCTTTATCTAATTC−3’
4.配列番号4:5’−GATCCGGTCTCGAGGGAAGTGGTTCTGGAAGTGGTTCAGGTTCGGGTAGGGGATCTGGTTCAGGAAGTGGTT−3’
5.配列番号5:5’−CTAGAACCACTTCCTGAACCAGATCCGCTACCCGAACCTGAACCACTTCCAGAACCACTTCCCTCGAGACCG−3’
6.配列番号6:RDSYAQLLGHQNLKQKIKHVVKLKDENSQLKSEVSKLRSQLVKRKQNELRLQGELDKALGIR
7.配列番号7:ヒアルロナン媒介モチーフレセプター(RHAMM)[Musmusculus]
【0156】
【数1】

8.配列番号8:ヒアルロナン媒介モチーフレセプター(RHAMM)[Musmusculus]核酸
【0157】
【数2】

9.配列番号9:M.musculus mRNA RHAMM
【0158】
【数3】

10.配列番号10:M.musculus mRNA RHAMM核酸
【0159】
【数4】

11.配列番号11:Rattus norvegicusヒアルロナン媒介モチーフレセプター(RHAMM)
【0160】
【数5】

12.配列番号12:Rattus norvegicusヒアルロナン媒介モチーフレセプター
核酸
【0161】
【数6】

13.配列番号13:ホモサピエンスヒアルロナン媒介モチーフレセプター(RHAMM)
【0162】
【数7】

14.配列番号14:ホモサピエンスヒアルロナン媒介モチーフレセプター(RHAMM)核酸
【0163】
【数8】

15.配列番号15:ホモサピエンスヒアルロナンレセプター(RHAMM)mRNA
【0164】
【数9】

16.配列番号16:ホモサピエンスヒアルロナン媒介モチーフレセプター(RHAMM)核酸
【0165】
【数10】

(F.参考文献)
以下の参考文献は、本明細書に対する参照であり、各々は、本明細書において具体的に参考として援用される。
【0166】
【化1】

【0167】
【化2】

【0168】
【化3】

【0169】
【化4】

【0170】
【化5】

【0171】
【化6】

【実施例】
【0172】
(G.実施例)
以下の実施例は、当業者に本発明でクレームする化合物、組成物、物品、器具および/または方法がどのように作製され評価されるかの完全な開示と説明を当業者に提供する様に示され、本発明を純粋に例示することを意図し、発明者が何を発明とみなすかを制約する意図ではない。数字(例えば量、温度等)に関して制度を保障する努力を行ったが、いくらかの誤差と偏差は考慮されるものとする。特に断らない限り、部は重量部であり、温度は℃であるか環境温度であり、圧力は大気圧または大気圧近辺である。
【0173】
(1.実施例1:プラスミド構築)
RHAMM(518−580:配列番号6)cDNAを全長マウスRHAMMを含むプラスミドからPCRで得た。PCRキットはNovagen(Madison、WI)製である。多重クローニング部位中のエンドヌクレアーゼ部位を変化させて、修飾ベクターpGEX−ERLをpGEXから開発した。5’にBamHIおよびNheI切断部位を有する順方向プライマー5’−CGGGATCCGGTGCTAGCCGTGACTCCTATGCACAGCTCCTTGG−3’(配列番号2)、および5’にSaIIを有する逆方向プライマー5’−GGAGCGGTCGACACGGATGCCCAGAGCTTTATCTAATTC−3’(配列番号3)を、RHAMM(518−580)を増幅するために合成した。PCR生成物をBamHIおよびSalIで消化し、BamHIおよびXhoIで既に消化されたpGEXベクター中に連結してHB1コンストラクトを得た。挿入がその後の操作中に挿入が行われない様に、このサブクローニング工程は下流の制限部位を除去する。P1解放読み取り枠(ORF)の逐次多重コピーを接続するため、XhoI部位を含む順方向プライマー5’−GATCCGGTCTCGAGGGAAGTGGTTCTGGAAGTGGTTCAGGTTCGGGTAGCGGATCTGGTTCAGGAAGTGGTT−3’(配列番号4)と、BamHI部位を含む逆方向プライマー5’−CTAGAACCACTTCCTGAACCAGATCCGCTACCCGAACCTGAACCACTTCCAGAACCACTTCCCTCGAGACCG−3’(配列番号5)とを用いて(GlySer)Glyリンカーを導入した。1個のP1ORFを有するベクターをBamHIおよびNheIで直線化し、アニールされたリンカープライマーと連結した。この中間生成物をBamHIおよびXhoIで再度消化し、BamHIおよびSalIで既に消化された別なPCR増幅P1ORF cDNAと連結してHB2組み換えコンストラクトを得た。別なリンカーと増幅P1cDNAとを用いて上記の工程を繰り返し、HB3コンストラクトを合成した。GSTとの枠内融合が存在し、RHAMMcDNAの増幅中に導入された可能性のある突然変異がないことを確認するため、全ての組み換えコンストラクトの配列決定を行った。
【0174】
高親和性HA結合蛋白質を得るため、交互のグリシンおよびセリン残基をコードするリンカーで分離したRHAMM(518−580)cDNA(図2A)領域のタンデム反復を使用した。サブクローニング工程が図2Bにまとめられるが、以下の5工程で行われた:(i)適当な制限部位を有する遺伝子工学GST発現ベクターの調製;(ii)GST−HB1コンストラクトを得るためのRHAMM(518−580)“P1”ドメインの挿入;(iii)P1ドメインを分離するための、19残基Gly−Serリンカー領域(GSGSGSGSGSGSGSGSGSG)をコードするオリゴヌクレオチドの挿入;(iv)GST−HB2コンストラクトを得るための第2のP1ドメインの付加;および(v)GST−HB3コンストラクトを完成するためのリンカープラス第3のP1ドメインの付着。
【0175】
従って、P1領域に対応するcDNA、すなわちPHAMM(518−580)を修飾pGEXベクター中にサブクローニングし、それぞれP1領域の1、2および3反復を有するGST−HB1、GST−HB2およびGST−HB3を得た(図2)。これらの組み換えコンストラクトの配列を、DNA配列決定で確認した。
【0176】
(2.実施例2:蛋白質合成)
GST−HBMプラスミドのそれぞれの他、空のpGEX−ERLベクターをE.coli株BL21(DE3:Novagen)中に形質転換した。バクテリアを20mLのLB培養液中、37℃で終夜生育し、1リッターの新鮮なLB中に移し、37℃で3時間インキュベーションした。0.1mMのIPTG(Pierce;GST単独およびGST−HB1用)または0.5mMのIPTG(GST−HB2およびGST−HB3用)を加えて発現を誘導し、22℃で4時間インキュベーションした。バクテリアペレットを遠心(4000×g、15分)で集め、100mLのSTE緩衝液(10mM Tris、pH8.0、150mM NaCl、1mM EDTA)で懸濁し、氷上で15分間インキュベーションした。次に各1mLのプロテアーゼ阻害剤(PMSF、アプロチニン、ペプスタチンA、ロイペプチン、Sigma、St.Louis、MO)および5mMのジチオトレイトール(DTT、Sigma)を加えた。発現蛋白質を超音波処理で溶液中に放出し、GST−tagたんぱく質を結合するために13,000×g(10分)の上精液を全容積10mLのグルタチオン−セファロース4Bビーズスラリー(5mLのビーズに等しい;Amersham Pharmacia、Pitscaway、NJ)上に加えた。PBS(pH7.4、0.1M)で6回洗浄後、所望の蛋白質(GST、GST−HB1、GST−HB2およびGST−HB3)をTris−HCl(100mM、pH8.0、120mM NaCl、0.1%Triton X−100)中のビーズの10倍容量の20mM GSH(Sigma)で溶出した。溶出をさらに2回繰り返し、各蛋白質の試料を得た。標準対照としてウシ血清アルブミン(BSA、Pierce)を含むBradford試薬(Sigma)により蛋白質濃度を測定した。精製した蛋白質を少量ずつ−80℃で保存した。使用毎に一定量を解凍し、与えられた実験セットに使用後は廃棄した。これらのコンストラクトは最初に37℃で発現した。しかしながら、蛋白質の大部分は不溶の形で存在し、発現温度を22℃に下げると、可溶性蛋白質の割合が劇的に増加した(図3a)。続いてGST蛋白質単独、およびGST−HB1、GST−HB2およびBST−HB3を固定化GSH上の親和性クロマトグラフィー、およびSDS−PAGE電気泳動で精製し、それぞれ予想したサイズ25、30、38および46kDaを示した(図2B)。挿入した断片のサイズを増加すると蛋白質濃度は減少した。従って、GSTおよびGST−HB1はバクテリア培養液1リッターあたり30mgの収量で得られたが、GST−HB2に対する最初の収量は10mg/Lであり、GST−HB3に対する最初の収量は5mg/Lであった。溶離緩衝液に120mMのNaClおよび0.1%のTriton−Xを加えるとGST−HB3の収量は14mg/Lに増加した。−20℃以下に維持すると全ての蛋白質は比較的安定であり、4℃で活性は数ヶ月間で次第に減少した。
【0177】
(3.実施例3:酵素連結免疫吸収体分析(ELISA))
ストレプトアビジン(SA;Roche、Indianapolis、IN)でプレコーとした96ウエルプレートの各ウェルに10μL/mLのビオチン化ヘパリン(平均分子量15kDa、Celsus、Cincinnati、OH)50μLを加え、4℃で終夜インキュベーションした。TBS(20mM Tris、150mM NaCl、pH7.5)で3回洗浄後、未結合SA部位をブロックするため100μLのStabiGuard溶液(Surmodics、Eden Prairie、MN)を各ウェルに加えた。室温(rt)で1時間インキュベーション後、TBSで3回洗浄し、100μLのGST、GST−HB1、GST−HB2およびGST−HB3を各3通り、濃度を増加して加えた。室温で1時間インキュベーション後、TBSで4回洗浄し、50μLのマウス抗GST抗体(Sigma;TBS中1:1000希釈)を加えた。インキュベーション後(1時間、rt)、プレートをTBSで4回洗浄した。次いで50μLのセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)共役抗マウスIgG(Sigma、TBS中1:3000希釈)を加えた。インキュベーション(1時間、rt)後、プレートをTBSで4回洗浄し、100μLの3、3’、5、5’−テトラメチルベンジジン(TMB、Digma)を加えた。15分間のインキュベーション中、ウェルは徐々に黒く発色した。最後に100μLの1M HSOを加え、得られた黄色を430nmの吸光度を測定して読み取った。
【0178】
異なったGAGを用いる競合ELISAでは、StabiGuardブロッキング工程の後、抗体添加工程の前に未標識GAGの100μL/ウェル分をGSTまたはGST−HB蛋白質(50μ/mL)に加えた(CS−C)。使用したGAGはコンドロイチン−4−硫酸(CS−A)とコンドロイチン−6−硫酸、ケラチン硫酸(KS)、ヘパリン硫酸(HS)(全てSigma製)、HA(190kDa;Clear Solution Biotach、Inc.、Stony Brook、NY製の1200kDa HAの酸分解で製造)、およびUFH(平均分子量15kDa、Sigma)を含んでいた。
【0179】
HAに対するGSTとGST−HBとの親和性および選択性を、本明細書に記載のものと類似しているが、固定化リガンドとしてビオチン化HAを用いるELISAシステムを用いて最初に調べた。GST−HB3蛋白質は最高の親和性で固定化HAに結合し、CS−AおよびCS−Cと比較してHAに対し選択性であった。驚いたことに、190kDaのHAもこの結合の置換に対し弱い競合化合物であったが、ヘパリンの1000倍低い濃度は固定化HAとのGST−HB3の相互作用に対し効果的に競合した。見かけ上、P1のタンデム反復はヘパリン親和性を選択的に増幅したが、HA親和性を減少した。従って、我々はビオチン化HAの代わりにビオチン化ヘパリンを用いてELISA法を繰り返した。GST−HB蛋白質のそれぞれは、GST−HB3の蛋白質濃度50μg/mL(100μL/ウエル)でUHFを競合化合物として用いて容易に置換された(図4)。
【0180】
(4.実施例4:GST−HB3蛋白質を用いるヘパリン定量)
さらにヘパリンを測定するため、競合ELISAを用いてGST−HB3蛋白質を選んだ。10μg/mL〜20ng/mLの逐次2倍希釈を調製し、2重の100μL/ウェル分を、ウェルあたり100μL×50μg/mLのGST−HB3で上記の競合化合物として使用した。さらに、100μL/ウェルのヒト血漿試料(Sigma)を100μL/ウェルの逐次希釈ヘパリンと予備混合し、プレートに加えた。このシミュレーションプラズマ分析では、UFHとLMWH(分子量6kDa、Sigma)を競合化合物として用いた。血漿試料中のヘパリン検出におけるGST−HB3の役割の実用性を調べるため、勾配濃度も用いた。
【0181】
GST−HBの特異性を評価するため、200μg/mLでCS−A、CS−C、HA、KS、HSおよびUFHを競合化合物として用いて競合ELISAを行った(図5)。結果は、他のGAGに比べてGST−HB蛋白質がより高い親和性と選択性でヘパリンに結合することを示した。さらに、親和性と選択性の双方が、タンデムP1ドメインの数が増加するにつれて増加する様に思われた。これは部分的には高度に硫酸化されたヘパリンと、結合部位のポリ塩基性を有するHSとの間の静電相互作用に帰すことができる。実効電荷の差が少ないヘパリンとHS tono間の差は、立体特異性リガンド認識に帰すことができる。GSTと各GST−HBとで、HA、CS−C、CS−AおよびUHFの逐次希釈を用いた。表5は各蛋白質に対して見積もられた競合置換のIC50値を示し、より硫酸化の少ないGAGに対するヘパリンの100〜2000倍の選択性を示している。図6はGST−HB3に対する生データを示す。
【0182】
(表5:固定化ヘパリンによるELISAにおける競合化合物としてのGAGに対するIC50の見積値、およびGST−HB検出)
【0183】
【表5】

(実施例5:溶液中の遊離ヘパリンの定量)
ヘパリン濃度の測定用の検出蛋白質としてさらに検討するために、GST−HB3を選んだ。まず、10μg/mL〜20ng/mLの範囲でUHFの逐次2倍希釈を調製した。UHFントリウム塩はブタ粘膜由来である。これらの希釈試料に対するELISAデータから吸光度対UFH濃度の対数プロットが得られ、相対吸光度(ヘパリンのないブランクに対し補正)対濃度のlog−logプロットから予想された直線関係が得られた(図7)。この補正曲線は、固定化ビオチン化ヘパリンに対するGST−HB3の結合により、遊離UFH検出に対する少なくとも3桁の直線範囲が得られることを示し、このELISAが高い感度と共に高い選択性でヘパリン濃度を測定する能力を有することを示している。塩濃度を50〜1000mMのNaClに変えて、イオン強度の効果を測定した。この分析で用いられた生理濃度である150mM NaClで最適感度が観察された。固定化GST−HB3がビオチン化ヘパリンとHRP−SAとによる検出と組み合わされた逆ELISAは、ヘパリン検出の感度に対し本質的に同じ結果を与えた。
【0184】
(実施例6:ヒト血漿中のヘパリンの定量)
血漿中における治療ヘパリンレベルに対するGST−HB3の適性を調べるため、ヒト血漿をヘパリン補正標準試料と比較した。一定量のヒト血漿を、UFH(平均分子量15kDa)とLMWH(平均分子量6kDa)から調製した等容積の逐次希釈調製試料と混合した。相対吸光対ヘパリン濃度のlog−logプロットも、緩衝液のみの補正標準試料と同じ勾配を有する直線を与えた(図8)。さらに、UFHとLMWHの双方は同じ勾配を示した。血清中のUFH対緩衝液の検出で基本的に感度が失われなかったが、予想通り、LMWHの検出感度は低かった。ヘパリン測定の最適範囲はUFHに対し10ng/mL〜20,000ng/mL、LMWHに対し40ng/mL〜20,000ng/mLである様に思われる。Accucolor Heparin Kit(Sigma)を用いて行われた平行実験で、これはUFHに対し0.01U/mL〜50U/mL、LMWHに対し0.3U/mL〜2U/mLに対応する。血漿中の治療レベルは一般にミリリッターあたり0.01〜10.0ユニットであり、ヘパリンレベルにおける治療に関連する変化をモニターするに十分な感度であることを示している。本明細書に開示した実験は、78ng/mL〜2.5μg/mLのUFHの6種の逐次希釈に対し分散の分析内係数(CV)が9%以下であり、Sigmaから購入した3種の異なった血漿製品に対して分析間CVが12%以下であることを示した。さらに、この検出範囲を通じて、希釈血漿試料中の5μg/mLまでのHAの存在による妨害を生じなかった。10倍高い濃度でも妨害はわずかであった(データを示さず)。
【0185】
新鮮なヒト血漿を添加してもこのELISAの吸光度を減少せず(図14)、ヒト血漿自体がヘパリンで観察された競合を妨害しないことを示している。すなわち、勾配またはlog−logプロットの切片に対する実効変化は、分析に血漿を加えても観察されなかった。しかしながら、4℃に4ヶ月間保存した血漿試料はELISA吸光度に若干影響し、妨害物質が時間切れ血漿中に蓄積したことを示している(図14)。従って、理想的には新鮮な血漿試料を分析に使用しなければならない。
【0186】
データは患者の変動範囲が最少であり、全般的な補正の後にヘパリン濃度の直接測定が可能である。この新しい検出法は、より早く、より高感度で、より定量的であり、病院の臨床化学サービスにより用意に組み込まれるので、現在の臨床ヘパリン測定プロトコールに実質的な進歩を提供する。
【0187】
(実施例7:ヘパリンとHB3との結合の特徴)
塩効果を観察するため、TBS中の異なったNaCl濃度を用いてヘパリン結合ELISAを行った。HB3濃度を0〜300μg/mLで変化させ、NaCl濃度を150mM〜1000mMで変化させた。GST−HB3をウェルに加えプレートを1時間インキュベーション後、各プレートからの一定量を空間的に対応する他の96ウエルプレートに移した。これらの一定量に含まれるHB3は未結合と考えられ、Bradford試薬(Sigma)を用いて濃度を測定した。次に、150mM NaClにおける比例ELISA信号(この実験ではAmax=2.00)からScatchard分析により結合HB3−ヘパリン量を計算した。異なったヘパリン量による以前の滴定で証明された様に、添加したヘパリンは全てプレートに固定された(データ示さず)。従って、未結合ヘパリン量は、全ヘパリン(最大信号に対応)から結合ヘパリン(測定吸光度に対応)を引いた値に等しい。従って、結合K値=[未結合HB3][未結合ヘパリン]/[結合HB3−ヘパリン]であると考えられる。低い濃度の信号は弱すぎて変化し易いので、300μg/mLにおける吸光度信号をKの計算に選んだ。次に、異なったNaCl濃度におけるK値の対数を[NaCl]の対数に対してプロットし、高分子電解質理論(PET)63に基づきHB3とヘパリンとの間のイオン相互作用数を得た。
【0188】
GST−HB3とヘパリンとの間の相互作用、およびそれに含まれるイオンの寄与を標準化するため、イオン強度を変化させて結合親和性の変化を試験した。NaCl濃度を15mMから1000mMに増加すると、HB3とヘパリンとの間の結合が増加した(図15)。未結合HB3、未結合ヘパリンおよび結合HB3−ヘパリン複合体の濃度を得ることにより、我々は異なったNaCl濃度でK値を計算し(表6)、イオン強度の増加に伴う結合の減少を定量した。ほとんどのヘパリン結合蛋白質で、結合に対する実質的な寄与は高度にアニオン性ヘパリンと対応するカチオン性蛋白質との間の静電相互作用から生じると考えられる。イオン強度を増加すると、ヘパリン上の負荷電硫酸およびカルボキシル基と、たんぱく質の陽荷電ArgおよびLysとの間のイオン相互作用を減少させると考えられる。与えられたヘパリン結合相互作用に対し、高分子電解質理論(PET)に基づく式がイオン相互作用を説明するために用いられる。
【0189】
logK=logK’+ZΨlog[Na
ここでK’は1M[Na]における解離定数であり、Z値は結合に含まれるイオン相互作用の数であり、Ψはヘパリン電荷あたり結合し、HB3に結合すると放出されるNaの割合(約0.8と見積もられる32)である。従って、logK対log[Na]をプロットすることにより、我々は勾配と切片からlogK’に等しいZΨΨ値を得ることができ、非イオン相互作用を見積もることができた(図16)。図からZ=2.50であり、結合ヘパリン−HB3相互作用あたり2〜3のイオン相互作用を示している。また、Gilbertに式に基づき、1M[NaCl]でKd=K’である場合、相互作用は非イオン相互作用であると考えられ、G=27.1kJである:
ΔG=−RT(lnK
ここでR=8.314J/mol・°Kであり、T=298°Kである。通常の[NaCl](150mM)におけるKと比較すると、ΔG=37.4kJである場合、結合の寄与は非イオン結合相互作用から27.1/37.4=72%であると計算され、したがってイオン結合の寄与は全結合エネルギーの28%にすぎない。この結合の特徴は、既知のヘパリン−蛋白質相互作用の中間の範囲でありHB3をヘパリンセンサーとして開発するために受け入れられる値である。
【0190】
(表6:固定化ヘパリンによるELISAにおける異なったNaCl濃度に対するKd値、およびGST−HB検出)
【0191】
【表6】

(実施例8:分析におけるセイヨウワサビペルオキシダーゼの使用)
セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)は発色または蛍光酵素として全てのタイプの免疫分析に広く使用される。使用した基質によって、反応生成物は可溶性であるか不溶性(沈殿)となり得る。HRPは低分子量(40,000g/mol)である利点があり、従って例えば抗体と小さな複合体を形成し、反応時間が短い。さらに、RHPは高い比活性を有しきわめて安定である。HRPはELISAの他、他の膜系分析でも広く使用される。テトラメチルベンジジン(TMB)を基質として、HBMと結合した場合は感度が非常に高い。ELISAでHRPを使用する1例は以下に記載される。
【0192】
HRPをpH9.5で0.1M NaHCO中に溶解した。次いでHRPをNaIOで酸化し、サイズ排除で分離し、HBMに過剰に加え、同じ緩衝液に対して透析する。2つの蛋白質をシッフ塩基形成により反応させ、NaCNBHにより還元される。次いで反応をリジンで停止する。複合体をPBSに対して透析し、約15倍に濃縮し、未標識HRPからHBM−HRP複合体を分離するためにサイズ排除カラムを通す。分画をとり、TMB基質溶液を用いてHRP活性を分析する。最初に溶出したピークから活性分画をプールし、吸光度で複合体の濃度を側定する。溶出した最初のピーク(最大分子量)にヘパリン結合活性があることが分かり、HBM−HRP複合体に対応する。
【0193】
(実施例9:血漿試料用の未分画ヘパリン(UFH)ELISAキット)
試薬:
この実施例では、キットにはヘパリン被覆96ウエルプレート、UFH(Sigma)標準試料(170μg/mL)、検出試薬−酵素複合体、複合体希釈液、TBM溶液、停止液(0.5MHSO)、10倍濃縮洗浄液(1部を9部の希釈HOで希釈してTBS0.05%のTWEEN20とする)、標準希釈液[TBS(150mM NaCl、10mM Tris、pH7.5)]が含まれる。ピペット、吸光度マイクロプレートリーダー、正常血漿、およびプレートカバーも含まれる。
一般的方法:
このヘパリン−ELISAキットは血漿中の未分画ヘパリンのインビトロ測定用に設計された、定量酵素結合分析である。この分析は、HRPと共役したヘパリン結合蛋白質を用いてヘパリンを直接測定する。ヘパリン−ELISAは、発色信号が試料中に存在するヘパリン量に反比例する競合分析である。ヘパリン被覆プレートのウェル中で分析試料をまず検出試薬−酵素複合体と混合した。検出試薬−酵素複合体の結合に対し、試料中のヘパリンがプレートに結合したヘパリンと競合する。試料中のヘパリンの濃度を既知の量のヘパリンの標準曲線を用いて決定した。ある実施態様では、標準曲線用に使用したヘパリンを分析するヘパリンのタイプに合致させることができる。
キットの使用法:
ヘパリン標準試料を正常な血漿中で希釈して0.03、0.1、0.3、1.0、3.0および10.0μg/mLの標準液を得た。Sigma製UFHからキット標準液を調製した。9.1mLの共役希釈液を秤量し、クリーンチューブに加えた。透析した検出試薬−酵素複合体の「クリーン転送液」を9.1mLの共役希釈液中に入れた。これは、500マイクロリッターの計量希釈液を加えてバイアル中に検出試薬−酵素複合体を再構成することで行われる。60秒を経過して凍結乾燥材料を溶解し、その溶液をチューブに戻した。この工程をさらに2回繰り返し、全ての検出試薬−酵素複合体がバイアルからチューブに移されたことを確認した。再構成された検出試薬−酵素複合体を7日間以下、4℃に保存することができる。
【0194】
蒸留水または脱イオン水中に10倍濃度洗浄緩衝液の1:10希釈を行い、ヘパリン−ELISAプレートを図19の様に設定した。ヘパリン標準希釈シリーズを3重に行った。10μLの標準液と試料を対応するウェルに加えた。90μLの作動検出試薬−酵素複合体をブランクウエルを除く全てのウエルに加えた。プレートを覆い、室温で1時間インキュベーションした。回転装置を使用することができる。
【0195】
溶液を廃棄し、ウェルあたり300μLの1×洗浄緩衝液で4回洗浄した。自動プレート洗浄装置を使用することができる。洗浄工程後、次の工程を直ちに行い、洗浄緩衝液をウェルから直ちに除去した。プレートを乾燥してはならない。100μLのTMBを各ウェルに加えた。プレートを室温、暗室中で10〜30分間インキュベーションし、ゼロヘパリンウエルが媒体中に暗青色を発色するまで待った。発色を監視し、過剰発色しない様にする。
【0196】
50μLの停止液を加え、色が青から黄色に変わった。各ウェルの吸光度を450nmで測定した。以下の式を用いて結合の割合を各試料毎に測定した:
[A450(試料)−A450(ブランク)]/[A450(ゼロヘパリン)−A450(ブランク)]×100=結合%
線形または非線形回帰を用いて、結合率対ヘパリン標準試料の濃度の標準曲線をプロットした。標準曲線に対する結合率を比較して、未知試料のヘパリンレベルを決定した。未知試料を含むウェルからの値と標準曲線の値とを比較して、ヘパリンを見積もることができる。
【0197】
(実施例10:緩衝液/尿試料に対する未分画ヘパリン(UFH)ELISAキット)
試薬:
この実施例では、キットにはヘパリン被覆96ウエルプレート、UFH(Sigma)、標準試料(10μL/mL)、検出試薬−酵素複合体、複合体希釈液、TMB溶液、停止液(0.5M HSO)、10倍濃縮洗浄液(1部を9部の希釈HOで希釈してTBS0.05%のTWEEN20とする)、標準希釈液[TBS(150mM NaCl、10mM Tris、pH7.5)]が含まれる。ピペット、吸光度マイクロプレートリーダーおよびプレートカバーも含まれる。
一般的方法:
このヘパリン−ELISAキットは緩衝液または尿等の低濃度の蛋白質を含む液体中の未分画ヘパリンレベルのインビトロ測定用に設計された、定量酵素結合分析である。この分析は、HRPと共役したヘパリン結合蛋白質を用いてヘパリンを直接測定する。ヘパリン−ELISAは、発色信号が試料中に存在するヘパリン量に反比例する競合分析である。ヘパリン被覆プレートのウェル中で分析試料を最初に検出試薬−酵素複合体と混合した。試料中のヘパリンは、検出試薬−酵素複合体の結合のためのプレートに結合したヘパリンと競合する。試料中のヘパリン濃度を、既知量のヘパリンの標準曲線を用いて決定した。
キットの使用法:
正常血漿中にヘパリン標準液を希釈して0.03、0.1、0.3、1.0、3.0および10.0μL/mLの標準液を得た。キット標準液をSigma製UFHから調製した。9.1mLの複合体希釈液を秤量し、クリーンチューブに加えた。透析検出試薬−酵素複合体の「クリーン転送液」を9.1mLの複合体希釈液に加えた。これは500マイクロリッターの計量希釈液をバイアル中に加えて検出試薬−酵素複合体を再構築することで行われる。60秒を経過して凍結乾燥材料を溶解させ、液体をチューブに戻した。この工程をさらに2回繰り返し、全ての検出試薬−酵素複合体がバイアルからチューブへ移されたことを確認した。
【0198】
蒸留水または脱イオン水中に10倍濃度洗浄緩衝液の1:10希釈を行い、ヘパリン−ELISAプレートを図19の様に設定した。ヘパリン標準希釈シリーズを3重に行うことができる。10μLの標準液と試料を対応するウェルに加えた。90μLの作動検出試薬−酵素複合体をブランクウエルを除く全てのウエルに加え、よく混合した。プレートを覆い、室温で1時間インキュベーションした。回転装置を使用することができる。
【0199】
溶液を廃棄し、ウェルあたり300μLの1×洗浄緩衝液で4回洗浄した。自動プレート洗浄装置を使用することができる。洗浄工程後、次の工程を直ちに行い、洗浄緩衝液をウェルから直ちに除去した。プレートを乾燥してはならない。100μLのTMBを各ウェルに加えた。プレートを室温、暗室中で10〜30分間インキュベーションし、ゼロヘパリンウエルが媒体中に暗青色を発色するまで待った。発色を監視し、過剰発色しない様にする。
【0200】
50μLの停止液を加え、色が青から黄色に変わった。各ウェルの吸光度を450nmで測定した。以下の式を用いて結合の割合を各試料毎に測定した:
[A450(試料)−A450(ブランク)]/[A450(ゼロヘパリン)−A450(ブランク)]×100=結合%
線形または非線形回帰を用いて、結合率対ヘパリン標準試料の濃度の標準曲線をプロットした。標準曲線に対する結合率を比較して、未知試料のヘパリンレベルを決定した。未知試料を含むウェルからの値と標準曲線の値とを比較して、ヘパリンを見積もることができる。
【0201】
(実施例12:緩衝液/尿試料に対する低分子量ヘパリン(LMWH)ELISAキット)
試薬:
この実施例では、キットにはヘパリン被覆96ウエルプレート、LMWH(Sigma)、標準試料(10μL/mL)、検出試薬−酵素複合体バイアル、複合体希釈液、TMB溶液、停止液(0.5M HSO)、10倍濃縮洗浄液(1部を9部の希釈HOで希釈してTBS0.05%のTWEEN20とする)、標準希釈液[TBS(150mM NaCl、10mM Tris、pH7.5)]が含まれる。ピペット、吸光度マイクロプレートリーダーおよびプレートカバーも含まれる。
一般的方法:
このヘパリン−ELISAキットは緩衝液または尿等の低濃度の蛋白質を含む液体中の未分画ヘパリンレベルのインビトロ測定用に設計された、定量酵素結合分析である。この分析は、HRPと共役したヘパリン結合蛋白質を用いてヘパリンを直接測定する。ヘパリン−ELISAは、発色信号が試料中に存在するヘパリン量に反比例する競合分析である。ヘパリン被覆プレートのウェル中で分析試料を最初に検出試薬−酵素複合体と混合した。試料中のヘパリンは、検出試薬−酵素複合体の結合のためのプレートに結合したヘパリンと競合する。試料中のヘパリン濃度を、既知量のヘパリンの標準曲線を用いて決定した。標準曲線用に使用したヘパリンは分析されるヘパリンと一致する。
キットの使用法:
正常血漿中にヘパリン標準液を希釈して0.03、0.1、0.3、1.0、3.0および10.0μL/mLの標準液を得た。キット標準液をSigma製材料から調製した。5.2mLの複合体希釈液を秤量し、クリーンチューブに加えた。透析検出試薬−酵素複合体の「クリーン転送液」を5.2mLの複合体希釈液に加えた。これは500マイクロリッターの計量希釈液をバイアル中に加えて検出試薬−酵素複合体を再構築することで行われる。60秒を経過して凍結乾燥材料を溶解させ、液体をチューブに戻した。この工程をさらに2回繰り返し、全ての検出試薬−酵素複合体がバイアルからチューブへ移されたことを確認した。
【0202】
蒸留水または脱イオン水中に10倍濃度洗浄緩衝液の1:10希釈を行い、ヘパリン−ELISAプレートを図19の様に設定した。ヘパリン標準希釈シリーズを3重に行うことができる。50μLの標準液と試料を対応するウェルに加えた。50μLの作動検出試薬−酵素複合体をブランクウエルを除く全てのウエルに加え、よく混合した。プレートを覆い、室温で1時間インキュベーションした。回転装置を使用することができる。
【0203】
溶液を廃棄し、ウェルあたり300μLの1×洗浄緩衝液で4回洗浄した。自動プレート洗浄装置を使用することができる。洗浄工程後、次の工程を直ちに行い、洗浄緩衝液をウェルから直ちに除去した。プレートを乾燥してはならない。100μLのTMBを各ウェルに加えた。プレートを室温、暗室中で40〜60分間インキュベーションし、ゼロヘパリンウエルが媒体中に暗青色を発色するまで待った。発色を監視し、過剰発色しない様にする。
【0204】
50μLの停止液を加え、色が青から黄色に変わった。各ウェルの吸光度を450nmで測定した。以下の式を用いて結合の割合を各試料毎に測定した:
[A450(試料)−A450(ブランク)]/[A450(ゼロヘパリン)−A450(ブランク)]×100=結合%
線形または非線形回帰を用いて、結合率対ヘパリン標準試料の濃度の標準曲線をプロットした。標準曲線に対する結合率を比較して、未知試料のヘパリンレベルを決定した。未知試料を含むウェルからの値と標準曲線の値とを比較して、ヘパリンを見積もることができる。
【0205】
本出願を通じて様々な文献が参照される。本発明が属する最新の技術をより詳細に説明するため、これらの文献の開示の全文を本明細書に引用して援用する。
【0206】
本発明の範囲または主旨から逸脱せず、様々な変更と変法を本発明に加え得ることは、当業者に自明であると思われる。本明細書に開示された明細書と実施例を考慮すると、本発明の他の実施態様は当業者に明らかであると思われる。明細書と実施例は単なる例であると考えるべきであり、本発明の真の範囲と主旨は以下のクレームに示されている。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】HAおよびヘパリンの部分4糖構造を示す。
【図2】GST−HB1、GST−HB2およびGST−HB3の調製の概略を示す。パネルAはHRAMM(518−580)を示し、パネルBはクローニング戦略を示す。
【図3】GST−HIB蛋白質の発現と精製を示す。パネルAは超音波処理後の蛋白質発現体の上清液を示し、各ボックスはGST単独およびGST−HB融合蛋白質を示す。パネルBはGSHによるGSTおよびGST−HB蛋白質の溶出後のGSH−セファロースゲル上での蛋白質精製を示す。各レーンはそれぞれ1.GST、2.GST−HB1,3.GST−HB2、4.GST−HB3である。
【図4】固定化ヘパリンを有するELISAを用いる3種のGST−HBの蛋白質的滴定を示す。キー:菱形、GST単独:4角形、GST−HB1:三角形、GST−HB2:十字、GST−HB3
【図5】固定化ヘパリンを用いる3種のGST−HBに対する競合ELISAを示す。競合化合物、パネルA:HA、SC−A、CS−C、UFH;パネルB:HCS、5μg/mLおよび200μg/mL;KS、5μg/mLおよび200μg/mL。対照:競合化合物を添加せず。
【図6】固定化ヘパリンおよびGST−HB3による検出を用いる定量競合ELISA。A:HA(Mw190kDa);B:CS−A;C:CS−C;D:UFH
【図7】固定化ヘパリンとGST−HB3検出を用いるELISAによるUFHの測定を示す。パネルAは逐次1:2希釈を示す。パネルBはUFH濃度の3桁におよぶ直線範囲を表すlog−logプロットを示す。
【図8】ヒト血漿における標準ヘパリンのELISA定量を示す。Key:四角形、UHF:三角形、LMWH
【図9】ヘパリン結合分子に対するプラスミド構築を示す。
【図10】ストレプトアビジン被覆プレート上のビオチン化ヘパリンを用いる、複数のグリコサミノグリカンを用いて行った競合ELISAを示す。コンドロイチン硫酸(CS)−A、CS−C、HA、硫酸ケラタン(KS)、ヘパリン硫酸(HS)、および未分画ヘパリン(UFH)が5μg/mL〜200μg/mLの範囲の競合化合物として選ばれた。
【図11】2つの標準ウエルフォーマットを用いる競合ELISA臨床分析を示す。本分析は従来の未分画ヘパリン(UFH)および新規の低分子量ヘパリン(LMWH)の双方に有用である。ヘパリンが親水性であるため、市販ビオチン化ヘパリンで処理したストレプトアビジン被覆ミクロタイタープレートを用いる。
【図12】ELISAのサンドイッチフォーマットを示す。ウェルを被覆するために「捕捉」蛋白質を使用する。検出プローブとしてHB3−GSTを使用する。
【図13】ヘパリン被覆表面の品質管理(QC)を示す。
【図14】ヒト血漿添加のヘパリンELISAに対する効果を示す。
【図15】NaClのヘパリンELISAに対する効果を示す。Key:菱形、150mM、三角形、500mM、十字、750mM、*印、1000mM
【図16】logK対log[NaCl]プロットを用いるヘパリン−HB3結合に対する高分子電解質理論データの解析を示す。
【図17】特異性の研究において、未分画ヘパリンがHBPと反応した唯一のグリコサミノグリカンであったことを示す。
【図18】ヘパリンELISAの1例を示し、ヘパリンはマイクロプレートウエルの内部に結合している。
【図19】ELISAプレートセットアップの1例を示す。これらの範囲を試料中のヘパリンの定量に使用できる。
【図20】競合ELISA結合反応を示す。未知試料および標準試料を植えるに添加し、次いでHB#−HRPを加えた。次いで試料をインキュベーションした。
【図21】洗浄工程後に図20の分析がどの様になるかを示す。TMBを添加し、次いで試料をインキュベーション、停止試薬を添加しプレートを450nmで読み取る。
【図22】低分子量ヘパリン(LMWH)ELISAを示す。全ての主要臨床LMWHが結合している。
【図23】未分画ヘパリン(UFH)ELISAを示す。全ての主要臨床UFHが結合している。
【図24】血漿中のエノキサパリンのELISAを示す。本分析を、被験体の血漿中のヘパリン量の測定に使用し得る。
【図25】血漿中のUFHのELISAを示す。本分析を、被験体の血漿中のヘパリン量の測定に使用し得る。
【図26】LMWH ELISAを用いる合成ヘパリン対チンザパリンを示す。合成ヘパリンは本分析を用いて容易に測定できる。
【図27】範囲を拡大したELISAを示す。ヘパリンを0.1U/mLで検出し得る。
【図28】HBMを用いるイドラパリヌックスの結合を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘパリン結合分子(HBM)を含む組成物であって、該ヘパリン結合分子がヘパリン結合ユニット(HBU)を含む、組成物。
【請求項2】
リンカーおよび第2HBUをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第2リンカーと第3HBUをさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ヘパリン結合ユニットが配列番号6と少なくとも80%の同一性を有するペプチドを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
配列番号6の任意の変化が保存的置換である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1、第2および第3HBUが配列番号1を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記HBMがバクテリアグルタチオン−s−トランスフェラーゼ(GST)と融合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記GST−HBMがバクテリアアルカリホスファターゼ(BAP)とも融合している、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記GST−HBMが増強緑色蛍光蛋白質(EGFP)とも融合している、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
配列を有する核酸であって、該配列はヘパリン結合分子(HBM)核酸をコードする、核酸。
【請求項11】
ヘパリンを検出するためのアッセイであって、該アッセイは、ヘパリン結合分子(HBM)をヘパリンと接触させてHBM−ヘパリン複合体を形成する工程と、ZHBM−ヘパリン複合体を検出する工程を包含する、アッセイ。
【請求項12】
前記HBMが請求項1〜8に記載のHBMである、請求項11に記載のアッセイ。
【請求項13】
前記アッセイがELISAを含む、請求項12に記載のアッセイ。
【請求項14】
試料中のヘパリン量を決定するための方法であって、該方法は、以下:
(a)第1インキュベーションにおいて試料をヘパリン結合分子(HBM)とともにインキュベーションしてHBM混合物を形成する工程であって、該HBM混合物はHBM−ヘパリン複合体の形成を可能にする、工程;
(b)該混合物中のHBM−ヘパリン複合体の量を検出する工程
を包含する、方法。
【請求項15】
前記HBMが請求項1〜8に記載のHBMである、請求項14に記載のアッセイ。
【請求項16】
前記HBMが捕捉タグを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記捕捉タグがビオチンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ヘパリンを捕捉タグレセプターとともにインキュベーションする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記捕捉タグレセプターがストレプトアビジンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記捕捉タグレセプターが固体表面に付着している、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記固体表面が96ウエルマイクロタイタープレートである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記固体表面がマイクロアレイである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記HMB混合物を洗浄する工程をさらに包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
未結合捕捉タグレセプターをブロッキング剤でブロックする工程をさらに包含する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記ブロッキング剤がビオチンである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ヘパリンを検出する方法であって、該方法は、以下:(a)試料を得る工程;(b)該試料をアッセイに供する工程であって、該アッセイがHBMを利用する、工程;および(c)該ヘパリンを検出する工程、を包含する、方法。
【請求項27】
ヘパリンを検出する方法であって、該方法は、以下:(a)試料を得る工程;(b)該試料をHBMと接触させる工程;および(c)HBM−ヘパリン複合体についてアッセイする工程、を包含する、方法。
【請求項28】
ヘパリンを検出する方法であって、該方法は、以下:(a)HBMとヘパリン試料とを混合し、HBM混合物を形成する工程;および(b)HBM−ヘパリン複合体が該混合物中に存在するか否かを決定する工程、を包含する、方法。
【請求項29】
前記試料が被験体から得られる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記HBMが請求項1〜8に記載のHBMである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記検出工程が比色、蛍光または放射線標識アッセイである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記HBMが固体支持体に付着している、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記試料が血漿、血液、尿または血清である請求項30に記載の方法。
【請求項34】
試料からヘパリンを除去する方法であって、以下:(a)HBMを固定する工程と;(b)HBM−ヘパリン複合体の生成を可能にする条件下で該HBMを該試料に曝露する工程、を包含する、方法。
【請求項35】
前記HBMが請求項1〜8に記載のHBMである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記試料が血漿、血液、尿または血清である、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記HBMが、それをセファロース活性化ビーズに吸着させることによって固定される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記HBMがマイクロタイタープレートに固定される、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記HBMがマイクロアッセイチップに固定される、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
被覆表面上のヘパリンを検出するための方法であって、以下:(a)レポーター分子と融合したHBMに該表面を曝露する工程;(b)該被覆表面を洗浄して、該レポーター分子と融合した過剰のHBMを除去する工程;(c)そして、該レポーター分子をアッセイする工程、を包含する、方法。
【請求項41】
前記被覆表面上のヘパリンの配置を決定する工程をさらに包含する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記HBMが請求項1〜8に記載のHBMであって、レポーター分子をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記被覆表面がヘパリン化ステントである、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記レポーター分子をアッセイする工程(c)が蛍光顕微鏡によって行われる、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
HBM、発色試薬、対照標準、洗浄緩衝液および指示書を含む、キット。
【請求項46】
前記HBMが請求項1〜9に記載のHBMである、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
前記HBMを検出するための試薬をさらに含む、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
前記試薬が比色、蛍光または放射線試薬である、請求項47に記載のキット。
【請求項49】
対照標準をさらに含む、請求項45に記載のキット。
【請求項50】
緩衝液をさらに含む、請求項45に記載のキット。
【請求項51】
マイクロタイタープレートをさらに含む、請求項45に記載のキット。
【請求項52】
前記マイクロプレートがヘパリン被覆されている、請求項50に記載のキット。
【請求項53】
前記マイクロプレートが前記HBMで被覆されている、請求項50に記載のキット。
【請求項54】
前記HBMがストリップ上にある、請求項45に記載のキット。
【請求項55】
ヘパリンが検出される場合に前記ストリップの色が変わる、請求項55に記載のキット。
【請求項56】
前記ストリップを尿、血液、血清または血漿と接触させてヘパリンを検出し得る、請求項54に記載のキット。
【請求項57】
前記ヘパリンが低分子量ヘパリンである、請求項27に記載の方法。
【請求項58】
前記ヘパリンが未分画ヘパリンである、請求項27に記載の方法。
【請求項59】
検出された前記ヘパリンが未分画ヘパリン分子の不活性部分である、請求項27に記載の方法。
【請求項60】
前記低分子量ヘパリンがロベノックスである、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記ヘパリンが合成ヘパリンである、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
前記HBMがHRPと共役している、請求項45に記載のキット。
【請求項63】
前記HBMがHRPと共役している、請求項1に記載の組成物。
【請求項64】
前記合成ヘパリンがイドラパリヌックスである、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
HBMで被覆された医療器具を備える、装置。
【請求項66】
前記医療器具がステントである、請求項65に記載の装置。
【請求項67】
医療器具を製造する方法であって、製造中に前記医療器具をHBMで被複する工程を包含する、方法。
【請求項68】
前記HBMと同じくヘパリンが前記器具上に被覆される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記HBMの後にヘパリンが前記器具上に被覆される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記医療器具を被験体に移植する工程と、前記HBMをヘパリンに結合させる工程とをさらに包含する、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
被験体中のヘパリンを中和する方法であって、有効量のHBMを該被験体に投与する工程を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2007−502112(P2007−502112A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523341(P2006−523341)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/026066
【国際公開番号】WO2005/018552
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(506051429)ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション (25)
【Fターム(参考)】