説明

ヘパリン銀の調製及び用途

本発明は、ヘパリン銀の調製プロセス、火傷及び/又は熱傷を治療するための薬剤を製造する際のヘパリン銀の使用、火傷及び/又は熱傷を治療するためのヘパリン銀の使用方法、並びに火傷及び/又は熱傷を治療するためのヘパリン銀を含有する局所調製物に関する。ヘパリン銀の調製プロセスは、水溶液中での硝酸銀による可溶性ヘパリン塩のイオン変位、濃縮、濾過、精製、乾燥等の工程を包含し、製品は、銀イオン含有量25〜45%、ナトリウムイオン含有量0.5%未満、及び硝酸基含有量100ppm未満を有する。ヘパリン銀を用いて調製される薬物は、動物試験により実証されるように創傷治癒を加速させて、瘢痕化を低減させるように、火傷及び/又は熱傷を治療する際に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療技術分野に関し、特にヘパリン銀を調製する方法、火傷及び/又は熱傷を治療するための薬剤の製造におけるヘパリン銀の使用、火傷及び/又は熱傷の治療におけるヘパリン銀の使用方法、並びに火傷及び/又は熱傷を治療するためのヘパリン銀を含有する調製物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘパリンは、動物組織から得られるものであり、硫酸化グリコサミノグリカンであり、複雑な構造を有する。硫酸化グリコサミノグリカンの基本的な骨組みは、グリコシド結合によりウロン酸及びグルコサミンに連結される反復二糖単位から構成される多糖鎖であり、グリクロン酸としては、イズロン酸及びグルクロン酸が挙げられ、単糖残基はそれぞれ、様々な場所で硫酸化及び酢酸化される(例えば、種々の位置でのN−スルフェート基、N−アセテート基及びO−スルフェート基(エステル))。分割されていないヘパリンは、3,000〜30,000ダルトンの範囲の分子量、及び12,000〜15,000ダルトンの平均分子量を有する。3,000〜8,000ダルトンの分子量を有するヘパリンは、低分子量ヘパリンと呼ばれる。ヘパリンの最も重要な生理学的活性は、抗凝固活性及び抗血栓活性であり、ヘパリンの副作用としては、血小板低減及び出血が挙げられる。低分子量ヘパリンは、減少された抗トロンバーゼ活性を有し、したがって血栓症が防止される場合に出血の危険性を低減させることができる。さらに、低分子量ヘパリンは、高いバイオアベイラビリティ及びin vivoでの長い半減期を有し、その結果、ヘパリン製品の開発において多くの注目を集めている。
【0003】
現在市場に出ているヘパリン製品としては、注射可能溶液、クリーム、口腔用錠剤等のような形態のヘパリンナトリウム及びヘパリンカルシウムが挙げられる一方で、他のヘパリン塩は、目下臨床では使用されていない。ヘパリンは、主として抗凝固、血栓症疾患の防止及び局所微小循環の改善用に約70年間臨床で使用されている。ヘパリンの最も重要な副作用は出血であり、その結果、ヘパリンの禁忌としては、活動性の出血及び潰瘍、ヘパリンアレルギー、血小板低減、出血状態等が挙げられる。ヘパリンが火傷後の初期段階(虚血段階及びアシドーシス段階)中に大量で使用される場合、ヘパリンの塗布前に毎日試験した凝固時間の安全範囲は15〜30分であり、ヘパリンが火傷後の初期段階から創傷表面が治癒されるまで局所的に使用される場合に抗凝固の肯定的な結果は観察されないことが実験により確認されている。
【0004】
現在では、ヘパリンナトリウムは、表面静脈炎、静脈瘤性静脈炎の治療、静脈怒張及び静脈硬化症、血腫、打撲傷、腫脹及び浮腫、血栓性静脈炎(thrombophletitis)、静脈内輸液又は注入により引き起こされる滲出、軟組織挫傷、凍瘡、ひび割れ、湿疹に関する補助療法、瘢痕化の阻害及び瘢痕の軟化用に臨床で皮膚上に使用される。しかしながら、ヘパリン銀を調製する方法、火傷及び/又は熱傷を治療するための薬剤の製造におけるヘパリン銀の使用、火傷及び/又は熱傷の治療におけるヘパリン銀の使用方法、並びに火傷及び/又は熱傷を治療するためのヘパリン銀を含有する調製物を公的に開示する参照文献は見出されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[発明の内容]
本発明の目的は、ヘパリン銀を調製する方法、並びに火傷及び/又は熱傷を治療するための薬剤の製造におけるヘパリン銀、特に本発明の方法により調製されるヘパリン銀の使用を提供することである。動物試験により、上記ヘパリン銀は、火傷及び/又は熱傷の治療に適用可能であり、治癒速度の加速、感染及び炎症の発生の低減、並びに創傷表面の治癒の質の改善等のような利点を示すことが証明された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるヘパリン銀を調製する方法は、
(1)脱イオン水中に可溶性ヘパリン塩を溶解させる工程であって、それによりヘパリン塩溶液を得る、溶解させる工程、
(2)硝酸銀を工程(1)で得られる溶液へ添加して、攪拌して、溶解させる工程、
(3)真空下で工程(2)で得られる溶液を濃縮する工程であって、それによりヘパリン銀を沈殿させて、続いて濾過して、沈積物を収集する、濃縮する工程、
(4)脱イオン水中に工程(3)で得られる沈積物を溶解させて、続いて透析又は限外濾過により沈積物を精製する工程、
(5)真空下で工程(4)で得られる溶液を濃縮する工程であって、それによりヘパリン銀の濃縮溶液を得る、濃縮する工程、及び
(6)工程(5)で得られる濃縮溶液を凍結乾燥させる工程か、又は有機溶媒を添加することにより脱水させて、沈積物を収集して、真空下で従来通りに乾燥させる工程であって、それにより最終製品を得る、乾燥させる工程
を含む。
【0007】
上記ヘパリン銀を調製する方法において、可溶性ヘパリン塩は、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカリウム、ヘパリンカルシウム、ヘパリン亜鉛又はそれらの混合物から成る群から選択される。
【0008】
上記ヘパリン銀を調製する方法において、添加される硝酸銀の量は、溶液中の可溶性ヘパリン塩に基づいて、50〜800重量%、好ましくは150〜600重量%、より好ましくは200〜500重量%である。
【0009】
上記ヘパリン銀を調製する方法において、工程(6)における有機溶媒は、薬学的に許容可能な従来の有機溶媒又はそれらの混合物から選択され、好ましくはエタノール、アセトン、メタノール又はそれらの混合物、より好ましくはエタノールである。
【0010】
ヘパリン塩の調製及び抽出では、エタノール、メタノール及び/又はアセトン或いはそれらの混合物のような有機溶媒が、沈殿、脱水及び乾燥で通常使用される。本発明によるヘパリン銀を調製する方法では、比較的高い溶解度を有する硝酸銀が原材料として使用され、これは、反応溶液中で十分な遊離銀イオンを提供することでき、したがってヘパリン銀の形成及び沈殿を促進させる。その一方で、反応溶液中の銀イオンの存在に起因して、エタノール、メタノール又はアセトンのような添加有機溶媒は、爆発性の雷酸を形成しかねない。したがって、沈殿及び脱水に直接これらの有機溶媒を使用することはあまり良好ではない。本発明では、濃縮方法は、比較的低溶解度を有するヘパリン銀の沈殿に、また濾過に使用され、ここで濾液は、回収されて繰り返して再使用することができる。得られた沈積物は、再び脱イオン水中に溶解させて、透析又は限外濾過を用いて、沈積物中の不純物(残留ナトリウムイオン、吸収された銀イオン及び硝酸イオンを含む)を除去して、続いて溶液を再び真空下で濃縮して、有機溶媒を使用することにより脱水させるか、或いは凍結乾燥させる。
【0011】
本発明の方法により調製されるヘパリン銀は、高い純度及びより少ない不純物を有し、ここで銀イオン含有量は25〜45%であり、ナトリウムイオン含有量は2.5%未満であり、硝酸塩含有量は0.1%未満である。
【0012】
粉砕及び滅菌後、本発明の方法により調製されるようなヘパリン銀は、治癒速度の加速、感染及び炎症の発生の低減、創傷表面の治癒の質の改善等のような目的を達成するために、火傷及び/又は熱傷の創傷表面へ直接塗布することができるか、或いは他の薬物及び従来の賦形剤と一緒に配合させて、火傷及び/又は熱傷の創傷表面に塗布することができる火傷及び/又は熱傷の治療用の薬学的調製物を形成することができる。本発明の薬学的調製物は、粉末、軟膏、パッチ等、好ましくは粉末であってもよく、これらは、局所薬学的調製物で一般的に使用される薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。本発明はさらに、火傷及び/又は熱傷の治療方法に関し、ここでヘパリン銀を含有する局所配合物が患部上にコーティングされる。
【0013】
ヘパリンが火傷の治療に使用される場合、ヘパリンは、疼痛を軽減して、凝固を防止して、炎症を阻害して、新生血管形成を促進して、局所的な血管供給を回復させて、コラーゲンの合成及び分解に影響を及ぼし、創傷表面の治癒後に滑らかな皮膚へと導き、瘢痕及び瘢痕拘縮を低減させて、腸管のバリア機能を保護して、肺及び腎臓機能を保護並びに改善させて、人体の免疫性を高めて、感染を防止することなどができる。銀塩は、銀塩が皮膚の創傷表面へ塗布された後に収斂作用を示し、創傷表面を乾燥させることができ、痂皮形成及び治癒を促進することができる。ヘパリン銀が火傷及び/又は熱傷の創傷表面へ塗布されると、ヘパリン銀は、ヘパリン及び銀塩の両方の機能を示し、著しく治癒速度を加速して、感染及び炎症を低減させて、創傷表面の治癒の質を改善させる。
【実施例1】
【0014】
[本発明を実施するための特定の様式]
ヘパリンナトリウム(8,000Da未満の平均分子量を有するヘパリン60〜70重量%を含む;抗FIIa活性の2.3倍の抗FXa活性を有する、ここで暫定標準で規定される方法である国家食品薬品監督管理局のWS−487(X−423)−2001を用いることにより、FIIa効力は、ヒツジの血漿によって試験され、FXa効力は、COATESTキットによる方法に従って試験された)0.3kgを、脱イオン水10リットル中に溶解させた。背光性条件下で、硝酸銀1.2kgを添加する工程、室温で攪拌下で2時間反応させる工程、反応溶液が約3リットルの容量に低減されるまで35〜40℃で真空濃縮する工程、0.8μmの微孔性濾過膜を用いて反応溶液を濾過する工程、回収用に濾液を保管する工程、沈積物を攪拌下で脱イオン水0.3リットル中に溶解させる工程、3,000のカットオフ分子量を有する透析膜を使用することにより脱イオン水を用いて24時間透析する工程、溶液容量が約0.2リットルに低減されるまで再び真空濃縮する工程、及び凍結乾燥して、製品を得る工程を行った。製品は、粉砕して、200メッシュスクリーンに通して、空気浸透紙で包装して、エチレンオキシドで滅菌して、さらに二重層プラスチックフィルム袋で包装して、最終製品とした。
【実施例2】
【0015】
ヘパリンナトリウム(12,000〜15,000Daの平均分子量を有する;156IU/mgの効力を有する、これは、中華人民共和国の薬局方(2000年版)の付録XIIDで規定されるようなヘパリンの生物学的アッセイに従って試験された)0.3kgを、脱イオン水10リットル中に溶解させた。背光性条件下で、硝酸銀1.1kgを添加する工程、室温で攪拌下で2時間反応させる工程、反応溶液が約3リットルの容量に低減されるまで35〜40℃で真空濃縮する工程、0.8μmの微孔性濾過膜を用いて反応溶液を濾過する工程、回収用に濾液を保管する工程、沈積物を攪拌下で脱イオン水0.5リットル中に溶解させる工程、2,000のカットオフ分子量を有する限外濾過膜を使用することにより限外濾過する工程、溶液容量が限外濾過中に0.4リットルに低減される場合には補充用脱イオン水0.1リットルを添加する工程、補助用脱イオン水を添加した後に溶液約0.3リットルを得るように3回限外濾過する工程、溶液容量が約0.2リットルに低減されるまで再び真空濃縮する工程、3.5倍のエタノールを添加することにより脱水させる工程、沈殿させる工程、沈積物を35〜40℃で真空乾燥して、製品を得る工程を行った。製品は、二重層プラスチックフィルム袋で包装して、最終製品とした。
【0016】
実施例1及び実施例2で使用される方法によれば、ヘパリンカリウム、ヘパリンカルシウム、ヘパリン亜鉛又はそれらの混合物が使用される場合に、類似した結果が得られた。
【実施例3】
【0017】
硝酸銀製品の測定
1.銀イオンの測定方法
滴定が当該方法で用いられ、これは、ヘパリン銀約0.5gを秤量すること、硝酸8mlを添加することにより溶解させること、水50ml及び硫酸第二鉄アンモニウム指示溶液2mlを添加すること、0.1mol/Lのチオシアン酸アンモニウム滴定液で滴定することを含み、ここで0.1mol/Lのチオシアン酸アンモニウム滴定液1ml当たりは、銀10.79mgと等価であった。銀イオン含有量は、銀の量を、ヘパリン銀の量(ここでは、水含有量を減じた)で除算することにより算出された。水含有量は、乾燥減量により求められ、ここでサンプルを一定重量になるまで105℃で乾燥させた(中華人民共和国の薬局方(2005年版)に従う)。指示溶液及び滴定液は、中華人民共和国の薬局方(2005年版)に従って調製した。
【0018】
2.ナトリウムイオンの測定方法
ナトリウムイオンは、原子吸光分光分析法又はプラズマ発光分光法により測定した(中華人民共和国の薬局方(2005年版)の付録を参照)。
【0019】
3.残留硝酸塩含有量の測定及び確定
(1)着色法による測定:0.2%、0.15%、0.1%、0.08%及び0.05%の硝酸塩溶液を調製して、個々に2ml採取して、当量の硫酸を添加して、混合して、硫酸第一鉄溶液を壁に沿って添加して、2つの溶液間の界面での着色を観察した。ここで、硝酸塩濃度が0.1%未満である場合には褐色は現れず、着色法の検出限界は0.1%であった。ヘパリン銀2gを脱イオン水50ml中に溶解させて、γ線により分解させて、濃縮して、結晶化させて、糖類を除去して、溶液をさらに2mlにまで濃縮して、上記着色法に従って試験した。
【0020】
(2)イオンクロマトグラフィによる測定(中華人民共和国の薬局方(2005年版)の付録を参照):検出限界は50ppmであった。
【0021】
実施例1及び実施例2の製品の確定データを表1に示す。
【0022】
【表1】

【実施例4】
【0023】
ヘパリン銀を使用することによる火傷及び/又は熱傷の治療に関する動物試験
1.肥厚性瘢痕の動物モデル
長期にわたる瘢痕モデルは、ニュージーランドウサギの腹側表面からの2cm×5cmの全層皮膚を切除して、創傷表面を形成することにより確立した(参照文献:Morris, (1997), 過剰皮膚瘢痕化に関する急性及び慢性動物モデル:定量研究(Acute and chronic animal models for excessive dermal scarring: quantitative studies)の具体的な工程を参照)。対照群は、創傷表面をスルファジアジン銀粉末を用いて包帯による手当てをすることにより処理した。包帯は1週間につき1度交換した。治癒状況を切除から12ヶ月後に観察して、治癒標準は、痂皮が創傷表面の面積の5%未満であることであった。瘢痕組織をマッソン染色に付して、光学顕微鏡下で観察して、上皮形成後の創傷表面の真皮の厚さ(Da)及び隣接する正常組織の真皮の厚さ(Db)を測定した。瘢痕指数は、(Da−Db)/Dbとして算出した。
【0024】
結果を表2に示す。
【0025】
【表2】

対照群と比較する場合、差が有意である(p<0.05)。
【0026】
2.火傷の動物モデル
ラットを5%抱水クロラールで腹腔内麻酔をして、背中で脱毛して、10秒間90℃の蒸気で火傷させて、20%面積の強烈な第二度熱傷を引き起こして(参照文献「火傷の創傷表面に関する新たな技術及び治癒メカニズム(New Technology and Healing Mechanism for Wound Surface of Burns)」(Lu Shuliang編、2003年)の具体的な工程を参照)、ラットを負傷させた1時間後に、ラットに生理食塩水1mlを腹腔内注入して、血液容量を供給した。対照群のラットは、群中のラットが治癒されるまで創傷表面をスルファジアジン銀粉末を用いて包帯による手当てをすることにより処理した。ここで包帯は0.5〜1mmの厚さを有し、1日に1度交換した。試験群のラットは、それらが治癒されるまで創傷表面をヘパリン銀粉末(実施例1の製品)を用いて包帯による手当てをすること(addressing)により処理した。ここで包帯は0.5〜1mmの厚さを有し、1日に1度交換した。ラットを負傷させた後、サンプルをある時間間隔で採取した。創傷表面組織の湿重量(Ga)及び80℃で72時間焼いた後の組織乾燥重量(Gb)は秤量法により測定した。創傷表面の水含有量は、W=(Ga−Gb)/Ga×100%として算出し、ここでWは、浮腫の度合いを表した。創傷表面のヒドロキシプロリン含有量は、クロラミンT酸化法に従って測定した(Xu Zhiqin (1990)、「組織中のヒドロキシプロリンの測定の改善(Improvement of measurement of hydroxyproline in tissue)」を参照)。ヒドロキシプロリン含有量は、創傷表面のコラーゲン含有量を反映した。
【0027】
結果を表3に示す。
【0028】
【表3】

対照群と比較する場合、差が有意であった(p<0.05)。
対照群と比較する場合、差が有意であった(p<0.01)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘパリン銀を調製する方法であって、下記工程:
(1)脱イオン水中に可溶性ヘパリン塩を溶解させる工程であって、それによりヘパリン塩溶液を得る、溶解させる工程、
(2)硝酸銀を工程(1)で得られる該溶液へ添加して、攪拌して、溶解させる工程、
(3)真空下で工程(2)で得られる該溶液を濃縮する工程であって、それによりヘパリン銀を沈殿させて、続いて濾過して、沈積物を収集する、濃縮する工程、
(4)脱イオン水中に工程(3)で得られる該沈積物を溶解させて、続いて透析又は限外濾過により該沈積物を精製する工程、
(5)真空下で工程(4)で得られる該溶液を濃縮する工程であって、それによりヘパリン銀の濃縮溶液を得る、濃縮する工程、及び
(6)工程(5)で得られる該濃縮溶液を凍結乾燥させる工程か、又は有機溶媒を添加することにより脱水させて、沈積物を収集して、真空下で従来通りに乾燥させる工程であって、それにより最終製品を得る、乾燥させる工程
を含むことを特徴とする、ヘパリン銀を調製する方法。
【請求項2】
前記工程(1)における前記可溶性ヘパリン塩が、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカリウム、ヘパリンカルシウム、ヘパリン亜鉛又はそれらの混合物から成る群から選択され、好ましくはヘパリンナトリウムであることを特徴とする、請求項1に記載のヘパリン銀を調製する方法。
【請求項3】
前記工程(2)における前記添加される硝酸銀の量が、前記溶液中の前記可溶性ヘパリン塩に基づいて、50〜800重量%、好ましくは150〜600重量%、より好ましくは200〜500重量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のヘパリン銀を調製する方法。
【請求項4】
前記工程(6)における前記有機溶媒が、好ましくはエタノール、アセトン、メタノール又はそれらの混合物、より好ましくはエタノールであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のヘパリン銀を調製する方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により調製されるヘパリン銀。
【請求項6】
火傷及び/又は熱傷の治療用の薬剤の製造におけるヘパリン銀の使用。
【請求項7】
前記ヘパリン銀が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により調製される、請求項6に記載のヘパリン銀の使用。
【請求項8】
火傷及び/又は熱傷の治療用の局所調製物であって、活性成分としてヘパリン銀を含み、任意に局所調製物に許容可能である薬学的賦形剤を含む、火傷及び/又は熱傷の治療用の局所調製物。
【請求項9】
前記調製物が、粉末、軟膏又はパッチ、好ましくは粉末である、請求項8に記載の火傷及び/又は熱傷の治療用の局所調製物。
【請求項10】
火傷及び/又は熱傷の治療方法であって、ヘパリン銀を含有する局所調製物が患部に塗布され、該調製物が、好ましくは粉末、軟膏又はパッチであり、該ヘパリン銀が、好ましくは請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により調製される、火傷及び/又は熱傷の治療方法。

【公表番号】特表2008−536980(P2008−536980A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506905(P2008−506905)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際出願番号】PCT/CN2006/000742
【国際公開番号】WO2006/111092
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507349916)
【Fターム(参考)】