説明

ベッド装置

【課題】この発明は手元スイッチを着脱するときに駆動源によって駆動される部分が誤動作することのないベッド装置を提供することにある。
【解決手段】駆動源によって駆動される部分を有するベッド装置であって、
駆動源が設けられたベッドフレーム5と、ベッドフレームに設けられ駆動源の駆動を制御するためのコントローラ31と、コントローラから導出された中継コード32と、中継コードとシリアルバスコネクタ34を介して着脱可能に接続される接続コード36を有し駆動源をコントローラを介して駆動する手元スイッチ21を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は床板を複数の床部に分割し、一部の床部を駆動源によって起伏駆動して利用者の上半身を起こすことができるベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にベッド装置は矩形枠状のベッドフレームを有する。このベッドフレームには上面にマットレスが載置される床板が設けられる。床板は複数の床部に分割され、そのうちの少なくとも利用者の上半身に対応する部分の床部を駆動機構によって起伏駆動できるようにしている。それによって、マットレス上に仰臥した利用者は上半身を起こし、その姿勢を楽に維持することができる。
【0003】
上記駆動機構は駆動源を有し、この駆動源は上記ベッド本体に設けられたコントローラに電気的に接続されている。上記コントローラには手元スイッチが電気的に接続され、このコントローラによって上記駆動源を遠隔的に操作できるようになっている。つまり、一部の床部を起伏操作できるようになっている。
【0004】
手元スイッチは、ベッド装置の設置状態などに応じてたとえばベッド本体の幅方向の一側に設けられている方が使い易い場合があったり、逆に他側に設けられている方が使い易いことがある。
【0005】
さらに、手元スイッチは、ベッド本体の長手方向一端であるヘッドボード側に設けられている方が使い易いことがあったり、或いはベッド装置に仰臥した病人や老人などが操作できないようにフットボード側にあった方がよいこともある。つまり、手元スイッチはベッド装置の設置状態や他の条件などに応じて設ける場所を変えることができるようにすることが要求される。
【0006】
そこで、従来は上記コントローラから導出される中継コードを複数の支線に分岐し、各支線をベッド本体の幅方向一側や他側或いは長手方向一端や他端に導出し、それた支線の先端にコネクタのメス側端子部を接続する。
【0007】
一方、手元スイッチから導出された接続コードの先端には上記コネクタのオス側端子部を接続し、このオス側端子部をベッド本体の所望する位置にある上記メス側端子部に接続することで、上記駆動機構の駆動源を上記手元スイッチによって遠隔的に操作できるようにしている。
【0008】
上記コントローラと上記手元スイッチは通常、電源線と信号セントによって電気的に接続される。したがって、上記コントローラから導出された中継コードと、手元スイッチから導出された接続コードを接続するための上記コネクタは、2つの電源用端子と、2つの信号用端子の、合計4つの端子を有する多端子コネクタが用いられる。
【0009】
特許文献1には、ベッド装置の床板の床部を駆動するアクチュエータ(駆動源)を有し、このアクチュエータはコントローラに接続されている。このコントローラには手元スイッチが接続され、この手元スイッチによって上記コントローラを介して上記アクチュエータの駆動を制御することが示されている。
しかしながら、手元スイッチとコントローラをどのようなコネクタによって電気的に接続するのかということはなんら示されていない。
【特許文献1】特開平9−187336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記多端子コネクタは、上述したようにオス側端子部とメス側端子部からなる。オス側端子部とメス側端子部にはそれぞれオス側とメス側の電源用端子と信号用端子が設けられ、これら端子を着脱するとき、電源用端子と信号用端子はほぼ同時に接続或いは切断される構造となっている。
【0011】
しかしながら、オス側とメス側の端子部を着脱するとき、電源用端子と信号用端子のどちらが先に接続されたり、切断されるかは一定でなく、たとえば接続するときには電源端子よりも信号端子が先に接続されたり、取り外すときには信号端子よりも電源端子が先に切断されるということがある。
つまり、オス側とメス側の端子部を着脱するとき、瞬間的に電源端子が接続されていない状態で、信号端子だけが接続された状態になるということがある。
【0012】
そして、コントローラに通電された状態で、上述したように電源端子が接続されていない状態で信号端子だけが接続された状態になると、通信エラーが発生し、駆動源が誤動作するという虞があった。
【0013】
この発明は、手元スイッチをベッド本体に接続したり、取り外すとき、電源端子が接続されていない状態で信号端子だけが接続されることがないようにしたベッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、駆動源によって駆動される部分を有するベッド装置であって、
上記駆動源が設けられたベッド本体と、
このベッド本体に設けられ上記駆動源の駆動を制御するためのコントローラと、
このコントローラから導出された中継コードと、
この中継コードとシリアルバスコネクタを介して着脱可能に接続される接続コードを有し上記駆動源を上記コントローラを介して駆動する手元スイッチと
を具備したことを特徴とするベッド装置にある。
【0015】
上記シリアルバスコネクタはオス側端子部とメス側端子部とを有し、上記中継コードにはオス側端子部が接続され、上記手元スイッチの接続コードにはメス側端子部が接続されることが好ましい。
【0016】
上記コントローラから導出された中継コードは複数の支線に分岐され、各支線の先端にはそれぞれ上記オス側端子部が接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、コントローラの中継コードと、手元スイッチの接続コードをシリアルバスコネクタを用いて接続するため、シリアルバスコネクタのオス側端子部とメス側端子部を着脱する際、電源端子が接続された状態で信号端子が接続或いは遮断されるから、手元スイッチの取り付け位置を変更するとき、通信エラーによる駆動源の誤動作を招くのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1はこの発明の一実施の形態に係る起床式のベッド装置1を示し、このベッド装置1はベッド本体としてのベースフレーム2を備えている。このベースフレーム2の四隅部にはキャスタ3が設けられ、このキャスタ3によってベースフレーム2は移動可能になっている。なお、ベースフレーム2の長手方向一端には4つのキャスタ3を同時にロックしたり、ロック状態を解除することができるペダル4が設けられている。
【0020】
上記ベースフレーム2の上方にはベッド本体としてのベッドフレーム5が設けられ、このベッドフレーム5は長手方向の一端と他端がリンク機構6によって連結されている。左右一対のリンク機構6は連動杆7によって連結されていて、この連動杆7は上記ベッドフレーム5の長手方向の一端部に設けられた昇降用駆動源8によって図1に矢印で示す方向に駆動されるようになっている。それによって、上記ベッドフレーム5は昇降駆動されるようになっている。
【0021】
上記ベッドフレーム5の上面には床板11が載置されている。この床板11は背上げ床部11a、腰床部11b、固定床部11c、第1の脚上げ床部11d及び第2の脚上げ床部11eの5つに分割されている。隣り合う各床部は、互いに回動可能に連結され、上記固定床部11cは上記ベッドフレーム5に固定されている。
【0022】
上記ベッドフレーム5の長手方向一端部の下面には背上げ用駆動源12と脚上げ用駆動源13が設けられている。図2に示すように、各駆動源12,13はそれぞれ駆動軸12a,13aを軸方向に進退駆動する。各駆動軸12a,13aの先端は回転軸12b,13bに一端が連結されたリンク12c,13c(図1に示す)の他端に連結される。
【0023】
各回転軸12b,13bにはそれぞれ一対の第1、第2のアーム12d,13d(図1に1つだけ図示)の一端が連結されている。各アーム12d,13dの他端にはローラ13eが設けられている第1のアーム12dのローラ12eは背上げ床部11aの下面に転接し、第2のアーム13eのローラ13eは第1の脚上げ床部11dの下面に転接している。
【0024】
上記背上げ用駆動源12と脚上げ用駆動源13が作動して各駆動源12,13が前進方向に駆動されると、リンク12c,13cを介して回転軸12b,13bが回転駆動される。それによって、第1のアーム12dと第2のアーム13dが起上方向に駆動されるから、その起上によって背上げ床部11aと第1の脚上げ床部11dが各アーム12d,13dの先端に設けられたローラ12e,13eによって押圧されて上昇するようになっている。なお、上記第1の脚上げ床部11dが起上させると、その起上に第2の脚上げ用床部11eが連動する。それによって、第1の脚上げ用床部11dと第2の脚上げ用床部11eはほぼへの字状に屈曲する。
【0025】
上記ベッドフレーム5の長手方向一端と他端の幅方向両端部にはそれぞれ取付け部16が設けられている。長手方向一方の一対の取付け部16には図1に示すようにヘッドボード体17が着脱可能に設けられ、他方の一対の取付け部14にはフットボード体18が同じく着脱可能に設けられている。
【0026】
上記昇降用駆動源8、背上げ用駆動源12及び脚上げ用駆動源13は図3に示す手元スイッチ21によって遠隔的に駆動を制御できるようになっている。この手元スイッチ21には、図3に示すようにベッドフレーム5を上昇させる上昇スイッチ22、下降させる下降スイッチ23、背上げ床部11aを起上方向に駆動する背上げスイッチ24、倒伏方向に駆動する背下げスイッチ25、第1の脚上げ床部11dを起上方向に駆動する脚上げスイッチ26、倒伏方向に駆動する脚下げスイッチ27、さらに手元スイッチ21の裏面にはたとえばボールペンの先などで押すことで手元スイッチ21の各スイッチの操作をオン・オフすることのできる図示しないが押圧スイッチが設けられている。
【0027】
上記ベッドフレーム5の下面の長手方向中央部で、幅方向の一端側寄りには、図1と図2に鎖線で示すコントローラ31が設けられている。このコントローラ31からは、内部に設けられた図示しない制御機器と電気的に接続された中継コード32が導出されている。
【0028】
この中継コード32は分配器33によって2つの支線32a,32bに分岐され、一方の支線32aはベッドフレーム5の幅方向一端からヘッドボード体17側に導かれ、他方の支線32bは幅方向他端からヘッドボード体17側に導かれている。各支線32a,32bの先端にはそれぞれシリアルバスコネクタ34を構成するオス側端子部34aが接続されている。
【0029】
シリアルバスコネクタ34としてはUSB1.1、USB2.0、EIA−485、IEEE1394、PCI Express、シリアルATAなどが知られており、この実施の形態では活線挿抜(ホットスワップ)可能なシリアルバスコネクタ34が用いられている。
【0030】
上記中継コード32の支線32a,32bに設けられたシリアルバスコネクタ34のオス側端子部34aには上記手元スイッチ21が着脱可能に接続される。すなわち、手元スイッチ21からは接続コード36が導出されていて、この接続コード36の先端には上記オス側端子部34aとでシリアルバスコネクタ34を構成するメス側端子部34bが接続されている。
【0031】
そして、このメス側端子部34bを2つの支線32a,32bに設けられたオス側端子部34aのいずれか一方に接続することで、上記手元スイッチ21によって上記各駆動源8,12,13を作動させてベッドフレーム5を上下動させたり、背上げ用床部11aや第1、第2の脚上げ用床部11d,11eを起伏駆動することができるようになっている。
【0032】
詳細は図示しないが、上記シリアルバスコネクタ34のオス側端子部34aとメス側端子部34bには、それぞれ2つのオス側とメス側の電源端子と信号端子とが設けられている。そして、シリアルバスコネクタ34の特性としてオス側端子部34aとメス側端子部34bを接続するときには、電源端子が接続されてから信号端子が接続され、取り外すときには信号端子が遮断されてから電源端子が遮断されるようになっている。つまり、電源端子が接続されていない状態で信号端子だけが接続されることがないようになっている。
【0033】
このような構成のベッド装置1によれば、コントローラ31から導出された中継コード32を2つの支線32a,32bに分岐し、それぞれの先端にシリアルバスコネクタ34のオス側端子部34aを設けてベッドフレーム5の幅方向の一端と他端とに配置するようにした。
【0034】
そのため、手元スイッチ21の接続コード36に接続されたメス側端子部34bを、ベッドフレーム5の幅方向の一端或いは他端のオス側端子部34aに接続すれば、ベッド装置1の設置状態や利用者の要望などに応じて上記手元スイッチ21をベッドフレーム5の幅方向一端側或いは他端側に設けることができる。
【0035】
手元スイッチ21の接続位置を変更するとき、シリアルバスコネクタ34のオス側端子部34aに対して手元スイッチ21のメス側端子部34bを脱着することになる。その際、オス側端子部34aとメス側端子部34bに設けられたそれぞれ2つの電源端子と信号端子は、シリアルバスコネクタ34の特性上、電源端子が接続されていない状態で信号端子が接続されるという状態が発生することがない。
そのため、オス側端子部34aとメス側端子部34bを脱着するときに通信エラーが発生し、昇降用駆動源8、背上げ用駆動源12或いは脚上げ用駆動源13が誤動作するのを防止することができる。
【0036】
ベッドフレーム5側にシリアルバスコネクタ34のオス側端子部34aを設け、手元スイッチ21側の接続コード36にメス側端子部34bを設けるようにした。たとえば、パソコンなどのようにシリアルバスコネクタ34が使用されている一般的な機器の場合、本体側にはメス側端子部を設け、キーボードやマウスなどの付属品側にオス側端子部を設けるようにしている。
【0037】
そのため、付属品に相当する上記手元スイッチ21側をメス側端子部34bとすれば、ベッドフレーム5のオス側端子部34aから取り外した手元スイッチ21を、パソコンの本体に設けられたシリアルバスコネクタに誤って接続するようなことがないから、パソコンや手元スイッチ21を故障や誤動作させるという虞もない。
【0038】
つまり、手元スイッチ21の接続コード36にシリアルバスコネクタ34のメス側端子部34bを設けるようにしたから、この手元スイッチ21をシリアルバスコネクタ34が用いられた他の機器に誤って接続するのを確実に防止することができる。
【0039】
なお、上記一実施の形態ではコントローラから導出された中継コードを2つの支線に分岐してベッドフレームの幅方向一端部と他端部に位置させてオス側端子部を設けるようにしたが、長手方向一端側と他端側に位置させるようにしてもよく、或いは中継コードを3つ以上の支線に分岐してベッドフレームの幅方向と長手方向とにそれぞれ位置させるようにしてもよい。
【0040】
また、ベッド装置としては床板の一部が起伏駆動されるだけでなくベッドフレームが上下方向に駆動される構成を例に挙げて説明したが、ベッド装置の構成はそれに限定されず、たとえばフレームが上下方向に駆動されるだけの構成や床板の一部が起伏駆動されるだけの構成であっても差し支えなく、要は駆動源によって駆動される部分を有し、その部分を手元スイッチによって遠隔的に操作するようにしたベッド装置であれば、この発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の一実施の形態のベッド装置の概略的構成を示す側面図。
【図2】ベッドフレームを下面から見た図。
【図3】ベッドフレームに設けられたシリアルバスコネクタのオス側端子部と手元スイッチに設けられたメス側端子部を示す図。
【符号の説明】
【0042】
4…ベッドフレーム、5…ベッドフレーム、8…昇降用駆動源、12…背上げ用駆動源、13…脚上げ用駆動源、21…手元スイッチ、31…コントローラ、32…中継コード、33…分配器、34…シリアルバスコネクタ、34a…オス側端子部、34a…メス側端子部、36…接続コード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源によって駆動される部分を有するベッド装置であって、
上記駆動源が設けられたベッド本体と、
このベッド本体に設けられ上記駆動源の駆動を制御するためのコントローラと、
このコントローラから導出された中継コードと、
この中継コードとシリアルバスコネクタを介して着脱可能に接続される接続コードを有し上記駆動源を上記コントローラを介して駆動する手元スイッチと
を具備したことを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
上記シリアルバスコネクタはオス側端子部とメス側端子部とを有し、上記中継コードにはオス側端子部が接続され、上記手元スイッチの接続コードにはメス側端子部が接続されることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項3】
上記コントローラから導出された中継コードは複数の支線に分岐され、各支線の先端にはそれぞれ上記オス側端子部が接続されることを特徴とする請求項2記載のベッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−295845(P2008−295845A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146488(P2007−146488)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)
【Fターム(参考)】