説明

ベッド装置

【課題】各種の音楽再生装置が出力する音声信号に応じてベッド装置を振動させる際、不快な振動の発生が防止されるベッド装置を提供すること。
【解決手段】ベッド装置21は、各種の音楽再生装置MP1,MP2,MP3から音声信号が直接又は間接的に入力され、音声信号の振幅レベルを制限した信号を出力する振幅制限器2と、振幅制限器2に接続され振幅制限器2の振幅制限レベルを可変する振幅レベル調整器3と、振幅制限器2の出力側に接続され、振幅制限器2が出力する振幅が制限された信号を増幅して出力するアンプ回路4と、アンプ回路4の出力側に接続され、アンプ回路4が出力する信号に従って振動する振動子5を有し、音声信号の振幅レベルが異なる各種の音楽再生装置MP1等が出力する音声信号に応じて、快適なレベル範囲で振動を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド装置に関し、特に、振動を発生可能なベッド装置に関し、中でも、一般的な楽曲に対応して振動を発生可能なベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウェブ上のデータベースにインターネットを介してアクセスして、睡眠専用の振動パターンデータを入手し、この睡眠専用のデータに基づいて、振動を発生させるベッド装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、携帯型音楽再生装置で再生される音楽データに応じて振動するベッド装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−270401号公報(段落0045及び0065)
【特許文献2】特開2007−190322号公報(請求項3及び段落0012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のベッド装置によれば、睡眠専用の振動パターンデータしか扱うことができないため、振動パターンに対する、利用者の多種多様な要求に十分に答えることができないという問題がある。
【0006】
特許文献2のベッド装置によれば、通常の音楽に応じて振動を発生する場合、通常の音楽は、振動用に作成された専用データではないため、過大な振動等の不快な振動が発生して、利用者に違和感を与えるおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、各種の音楽再生装置が出力する音声信号に応じてベッド装置を振動させる際、不快な振動の発生が防止されるベッド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の視点において、音声信号の振幅レベルが異なる各種の音楽再生装置(音楽再生機器)が接続自在であり、前記音声信号に応じた振動を発生するベッド装置であって、前記音声信号が直接又は間接的に入力され、該音声信号の振幅レベルを制限した信号を出力する振幅制限器と、前記振幅制限器に接続され該振幅制限器の振幅制限レベルを可変する振幅レベル調整器と、前記振幅制限器の出力側に接続され、該振幅制限器が出力する振幅が制限された信号を増幅して出力するアンプと、前記アンプの出力側に接続され、該アンプが出力する信号に従って振動する振動子を有するベッド装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
(1)本発明のベッド装置は、音楽再生装置の種別にかかわらず、各種の音楽再生装置が出力する不特定な音声信号の振幅レベルのバラツキ、又は、音声信号の圧縮に伴う振幅レベルの急激な変化等の歪みを吸収して、ベッド装置を快適な範囲の強度で振動させることができる。
(2)したがって、本発明のベッド装置によれば、ベッド装置の利用者が、簡単に振動パターンを更新することができるという利便性を損なうことなく、利用者個人に適応した強度の振動が発生される。
(3)本発明のベッド装置は、振動専用データではない種々の音楽データに応じて、音楽データに含まれる振動パターンを忠実に再現しつつ、適正な強度レベルの振動を発生することができる。
(4)本発明のベッド装置は、ベッド装置を通常の音楽に応じて振動させる場合であっても、手動又は自動調整により、利用者の嗜好に応じた強度範囲で、振動を発生することができる。
(5)本発明のベッド装置は、入眠時、振動を途中停止したくなったとき、振幅レベル調整器の調整、例えば、手元調整により、簡単に振動を停止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例に係るベッド装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係るベッド装置の制御ボックス及びその周辺構成の詳細を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係るベッド装置のレベルインジケータの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係るベッド装置は、前記振幅レベル調整器が出力する信号の振幅レベルを報知するレベルインジケータを有する。この形態によれば、ベッド装置の利用者は、レベルインジケータを参照しながら、振動レベルを快適なレベルに調整することができる。
【0012】
本発明の実施の形態によれば、前記ベッド装置に加速度センサが付設され、該加速度センサによって検出される振動の強度に応じて、前記振幅レベル調整器の振幅制限レベルが可変される。この形態によれば、ベッド装置の振動レベルが自動的に快適なレベルに調整される。
【0013】
本発明の実施の形態によれば、前記音楽再生装置は、圧縮されたデータを元に圧縮された前記音声信号を出力するものであり、前記振幅制限器は、前記音声信号が圧縮されたことにより発生する、前記振幅レベルの歪みを除去する。この形態によれば、圧縮された音声信号に応じて振動を発生する場合であっても、不快な振動を自動的に除去することができる。このように、本発明のベッド装置は、市販の音楽再生装置が出力する通常の音声信号から快適な振動を生成することができる。
【0014】
本発明の実施の形態によれば、音楽再生装置として、携帯電話、デジタルオーディオプレーヤ、CDプレーヤ、MDプレーヤ及び各種コンピュータ等が利用できる。
【0015】
本発明の実施の形態によれば、“1/f”ゆらぎ振動のような微妙な変化が快適感に繋がるような振動パターンを発生する場合に、より本発明の効果が発揮される。
【0016】
本発明の実施の形態によれば、入眠時のように強すぎる振動が、逆に睡眠を妨害するような状況の発生を回避することができる。
【0017】
本発明の実施の形態に係るベッド装置は、振動を自動停止させるためのタイマを有する。この形態によれば、利用者はタイマの設定により、振動発生後、所望の時間で、振動を途中で自動的に停止させることができる。
【実施例1】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の一実施例を説明する。図1は、本発明の一実施例に係るベッド装置の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係るベッド装置21は、音声信号の振幅レベルが異なる各種の音楽再生装置(音楽再生機器)MP1,MP2,MP3等が接続自在であり、音声信号に応じた振動を発生することができる。このベッド装置21の制御ボックス1は、音声信号が直接又は間接的に入力され、音声信号の振幅レベルを制限した信号を出力する振幅制限器2と、振幅制限器2に接続され振幅制限器2の振幅制限レベルを可変する振幅レベル調整器3と、振幅制限器2の出力側に接続され、振幅制限器2が出力する振幅が制限された信号を増幅して出力するアンプ回路4と、を含む。さらに、ベッド装置21は、アンプ回路4の出力側に接続され、アンプ回路4が出力する信号に従って振動する振動子5を有する。
【0020】
振幅レベル調整器3による振動制限レベルの大きさは、利用者が、ボリュームのつまみを回したり、アップ・ダウンスイッチを押したりすることにより、手動調整してもよい。また、ベッド装置21に加速度センサ7を付設しておき、加速度センサ7によって検出される振動の強度に応じて、振幅レベル調整器3の振幅制限レベルを可変に自動調整してもよい。
【0021】
振幅制限器2は、アンプ回路4の前段に設けられ、アンプ回路4の前段で振動の振幅レベルが調整されることにより、段階毎の振幅レベルの可変範囲が小さくなり、微妙な振幅レベルの調整が可能である。これによって、利用者は、所望の振動レベルを得ることが容易となる。
【0022】
また、ベッド装置21は、振幅制限器2が出力する信号の振幅レベルを報知するレベルインジケータ6を有する。利用者は、レベルインジケータ6が表示する振幅レベルを参照しながら、振幅レベル調整器3を手動調整することが好ましい。
【0023】
振動子5は、ベッド装置21において、マットレス22の下面等に配置される。また、振動子5に加えて、振動の元になる音声信号から音声を出力するためのスピーカ23をアンプ回路4等に接続し、ベッド装置21上に配置することもできる。
【0024】
なお、振幅制限器2は、オペアンプないし抵抗から構成することができ、振幅レベル調整器3は可変抵抗器、半固定抵抗器等から構成することができ、振動子5には、圧電素子等を用いることができる。
【0025】
図2は、本発明の一実施例に係るベッド装置の制御ボックス及びその周辺構成の詳細を示すブロック図である。図2を参照すると、音楽再生装置MP1等は、市販のφ3.5ステレオミニプラグ等を介して制御ボックス1に接続され、例えば、WAVEファイルを再生した音声信号を再生出力する。
【0026】
制御ボックス1の一次回路1aには、コンセント8を通じて電源が入力され、パワーオフ回路12に一次側電源を供給する。パワーオフ回路12の出力側には、電源フィルタ及び保護回路15を介して、二次回路1b側の電源基板14に接続されている。電源基板14は、パワーオフ回路12及びアンプ回路4に二次側電源を供給する。
【0027】
パワーオフ回路12には、制御ボックス1の二次回路1b側をオンオフするために、起動スイッチ9及び強制終了スイッチ10が接続されている。さらに、パワーオフ回路12には、オートパワーオフタイマ11が接続されている。利用者は、オートパワーオフタイマ11の設定により、振動発生後、所望の時間で、振動を途中で自動的に停止させることができる。このオートパワーオフタイマ11を使用することにより、暗中で、音楽再生装置MP1の視認しにくい小さな停止ボタンを探索してオフしなくても、振動が自動停止されるため、睡眠の阻害が防止される。
【0028】
パワーオフ回路12の二次回路1b側の出力側には、ノイズフィルタ13が接続されている。ノイズフィルタ13には、パワーオフ回路12を通じて、音声信号が入力され、音声信号に含まれる高調波成分等のノイズを除去して、ノイズ除去された音声信号を出力する。
【0029】
ノイズフィルタ13の出力側には、振幅制限器2の入力側が接続されている。振幅制限器2の別の入力側には、振幅制限器2の振幅制限レベルを可変する振幅レベル調整器3が接続されている。振幅制限器2には、ノイズ除去された音声信号が入力され、振幅レベル調整器3の出力に応じて、音声信号の振幅レベルを制限した信号を出力する。振幅制限器2の出力側は、アンプ回路4及びレベルインジケータ6に接続されている。
【0030】
アンプ回路4は、振幅レベルが制限された音声信号を増幅して振動子5に出力する。レベルインジケータ6は、その振幅レベルを表示する。
【0031】
振動子5は、振幅レベルが制限された音声信号に応じて、音楽再生装置MP1が再生出力した音声信号に含まれる振動パターンを忠実に再現すると共に、利用者に不快感を与える過度の振動が排除された振動パターンで振動する。振動子5の振動は、図1に示したマットレス22に伝達され、マットレス22上で寝ている利用者に快適な振動を与える。
【0032】
図1及び図2を参照して、以上説明した本発明の一実施例に係るベッド装置21の利用方法の一例を説明する:
(1)コンセント8を接続する;
(2)起動スイッチ9をオンする;
(3)オートパワーオフタイマ11により、振動停止する時間を設定する;
(4)音楽再生装置MP1を制御ボックス1に接続する;
(5)音楽再生装置MP1でWAVEファイルを再生する;
(6)音楽再生装置MP1が再生する音声信号に応じた振動が発生する;
(7)利用者は、レベルインジケータ6を参照して、振動の振幅レベルを検知し、振動レベルが高すぎる場合には、振幅レベル調整器3を手元調整して、振動の強度範囲を快適な範囲に絞る;
(8)利用者が入眠しても、オートパワーオフタイマ11がタイムアップすることにより、自動的に振動が停止する。
【0033】
図3は、本発明の一実施例に係るベッド装置のレベルインジケータの表示例を示す図である。図3を参照すると、レベルインジケータ6には、オートパワーオフタイマ11、及び振幅レベル調整器3のレベルアップ・ダウンスイッチ3a,3b等が付属している。レベルインジケータ6は、例えば、図1に示すベッド装置21のヘッドボードに嵌め込まれる。
【0034】
レベルインジケータ6内には、図2に示した起動スイッチ9及び強制終了スイッチ10と、振幅レベルないし振動レベルを段階的に表示するレベル表示部6aと、図2に示した振幅レベル調整器3のカットレベルをアップ又はダウンさせるレベルアップ・ダウンスイッチ3a,3bと、オートパワーオフタイマ11をオンオフするタイマオン・オフスイッチ11a,11bと、振動停止時刻を設定するタイマアップ・ダウンスイッチ11c,11dと、現在時刻又は振動停止時刻を選択的に表示する時刻表示部11eと、が配置されている。
【0035】
利用者は、レベル表示部6aを参照しながら、レベルアップ・ダウンスイッチ3a,3bの操作により振動レベルを調整することができ、又、タイマアップ・ダウンスイッチ11c,11dにより、利用者が睡眠中であっても所望の時刻で振動を自動停止させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のベッド装置は、各種の音楽再生装置に対応しており、各種の音楽再生装置が再生する音楽から快適なレベルの振動を生成することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 制御ボックス
1a 一次回路
1b 二次回路
2 振幅制限器
3 振幅レベル調整器
3a,3b レベルアップ・ダウンスイッチ
4 アンプ回路(アンプ、オーディオアンプ)
5 振動子
6 レベルインジケータ
6a レベル表示部(振幅ないし振動レベル表示部)
7 加速度センサ
8 コンセント(電源入力)
9 起動スイッチ
10 強制終了スイッチ
11 オートパワーオフタイマ
11a,11b タイマオン・オフスイッチ
11c,11d タイマアップ・ダウンスイッチ
11e 時刻表示部
12 パワーオフ回路
13 ノイズフィルタ
14 電源基板
15 電源フィルタ及び保護回路
21 ベッド装置
22 マットレス
23 スピーカ
MP1,MP2,MP3 各種の音楽再生装置(音楽再生機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号の振幅レベルが異なる各種の音楽再生装置が接続自在であり、前記音声信号に応じた振動を発生するベッド装置であって、
前記音声信号が直接又は間接的に入力され、該音声信号の振幅レベルを制限した信号を出力する振幅制限器と、
前記振幅制限器に接続され該振幅制限器の振幅制限レベルを可変する振幅レベル調整器と、
前記振幅制限器の出力側に接続され、該振幅制限器が出力する振幅が制限された信号を増幅して出力するアンプと、
前記アンプの出力側に接続され、該アンプが出力する信号に従って振動する振動子と、
を有する、ことを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
前記振幅制限器が出力する信号の振幅レベルを報知するレベルインジケータを有する、ことを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項3】
前記ベッド装置に加速度センサが付設され、該加速度センサによって検出される振動の強度に応じて、前記振幅レベル調整器の振幅制限レベルが可変されることを特徴とする請求項1又は2項記載のベッド装置。
【請求項4】
前記音楽再生装置は、圧縮されたデータを元に圧縮された前記音声信号を出力するものであり、
前記振幅制限器は、前記音声信号が圧縮されたことにより発生する、前記振幅レベルの歪みを除去することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のベッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−220922(P2010−220922A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73477(P2009−73477)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】