ベッド
【課題】 瞬時に使用者の身体周囲の空気の湿度並びに温度を低減させることが可能であり、且つ、低減された湿度を長時間保つことができるベッドを提供すること。
【解決手段】 通気性且つ非吸湿性を有するマットと、該マットが載置される基台部と、該基台部下面と床面との間に空間が形成されるように前記基台部を支持する脚部からなるベッドであって、前記基台部は、上面に開口部を有する箱型に形成されるベースと、前記ベッド幅方向に延設し、前記ベースの開口部を横切るとともに吸湿性及び放湿性を備える複数の平板材からなり、前記複数の平板材は、所定間隔をおいて互いに平行に配され、前記平板材と前記ベース内底面の間に形成される内部空間には、ファンが配され、前記ファンが、前記ベース底部に形成された開口部を介して、下方に前記内部空間の空気を排出することを特徴とするベッドである。
【解決手段】 通気性且つ非吸湿性を有するマットと、該マットが載置される基台部と、該基台部下面と床面との間に空間が形成されるように前記基台部を支持する脚部からなるベッドであって、前記基台部は、上面に開口部を有する箱型に形成されるベースと、前記ベッド幅方向に延設し、前記ベースの開口部を横切るとともに吸湿性及び放湿性を備える複数の平板材からなり、前記複数の平板材は、所定間隔をおいて互いに平行に配され、前記平板材と前記ベース内底面の間に形成される内部空間には、ファンが配され、前記ファンが、前記ベース底部に形成された開口部を介して、下方に前記内部空間の空気を排出することを特徴とするベッドである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マット内の空気を外部へ強制的に放出することにより、マット内の湿度並びに温度を睡眠に最適な状態とすることを可能とするベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球温暖化の問題に起因して、睡眠環境は悪化の一途を辿っている。特に夏季においては、湿度及び気温がともに高く、このような室内環境は睡眠を妨げることとなる。このため、近年においては、寝室に空調設備が備えられることが多くなっている。しかしながら、この空調設備は、いわゆる「冷房病」という体調不良を生じさせる原因となっている。
したがって、空調設備に過度に依存して、睡眠環境を調えることは最良の手段ということはできない。
【0003】
上記の実情を鑑み、清涼機能が付加された様々な寝具が提案されている。
特許文献1は、このような寝具の一例を開示する。また、図11は、特許文献1に開示される寝具を示す。
特許文献1の寝具(B)は、緩衝部(M)と、該緩衝部(M)が載置される基板(P)と、床面(G)から所定高さの位置で基板(P)を支持する脚部(L)から構成される。緩衝部(M)上で使用者が仰臥する。
【0004】
緩衝部(M)は、空間材(M1)と緩衝材(M2)の2つの層から主に構成される。空間材(M1)は、通気性と放湿性に優れた繊維材から構成される。緩衝材(M2)は、断熱性を有する材料から構成される。空間材(M1)と緩衝材(M2)はともに略直方体形状に形成される。また、緩衝材(M2)の層の一部に空間材(M1)の層が入り込み、空間材(M1)の層は、緩衝材(M2)の層を貫通している。
【0005】
緩衝材(M2)の層を貫通した空間材(M1)の層の下端にはファン(F)が接続し、ファン(F)は基板(P)により支持されている。
ファン(F)が作動すると、就寝中の使用者の身体周囲の空気が、空間材(M1)の層を通過して、基板(P)と床面(G)の間に形成される空間に放出される。これにより、使用者周囲の空気の湿度並びに温度が低下し、睡眠に適した環境を創出することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−87234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される寝具(B)は、以下に示す課題を有する。
まず、ファン(F)により作り出される空気の流れは、繊維材からなる空間材(M1)内を通過することとなり、空気の流れが非常に悪いものとなる。したがって、使用者の身体周囲の空気を素早く排出させることが困難である。
【0008】
また、空間材(M1)と緩衝材(M2)の境界において、空気の流速は理論的にゼロとなることと、空気中の湿気成分は重力の作用により下方に溜まりやすいという性質から、空間材(M1)と緩衝材(M2)の境界に湿気成分が蓄積されることとなるという問題を生ずる。したがって、ファン(F)の作動により、一時的に使用者周囲の湿度が低減されたとしても、ファン(F)の停止後、使用者の体温により空気が温められることにより、空間材(M1)と緩衝材(M2)の境界に蓄積された湿気成分が再び使用者周囲の空気に戻り、急速に使用者周囲の空気の湿度が増加することとなる。
よって、快適な睡眠環境を維持しようとすれば、ファン(F)を常時作動させる必要がある。
【0009】
常時、ファン(F)を作動させることは、省電力の観点から好ましくない。加えて、ファン(F)の発熱により、室温を増加させることとなり、かえって、睡眠環境に好ましくない作用を与えることとなる。
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであって、瞬時に使用者の身体周囲の空気の湿度並びに温度を低減させることが可能であり、且つ、低減された湿度を長時間保つことができるベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、通気性且つ非吸湿性を有するマットと、該マットが載置される基台部と、該基台部下面と床面との間に空間が形成されるように前記基台部を支持する脚部からなるベッドであって、前記基台部は、上面に開口部を有する箱型に形成されるベースと、前記ベッド幅方向に延設し、前記ベースの開口部を横切るとともに吸湿性及び放湿性を備える複数の平板材からなり、前記複数の平板材は、所定間隔をおいて互いに平行に配され、前記平板材と前記ベース内底面の間に形成される内部空間には、ファンが配され、前記ファンが、前記ベース底部に形成された開口部を介して、下方に前記内部空間の空気を排出することを特徴とするベッドである。
請求項2記載の発明は、前記平板材が木材からなることを特徴とする請求項1記載のベッドである。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記ベッドが配される室内の湿度を検知する第1湿度センサと、前記内部空間内の湿度を検知する第2湿度センサを備えることを特徴とする請求項1記載のベッドである。
請求項4記載の発明は、前記ベッドが配される室内の温度を検知する第1温度センサと、前記内部空間内の温度を検知する第2温度センサを備えることを特徴とする請求項1記載のベッドである。
請求項5記載の発明は、前記第1湿度センサの計測値と前記第2湿度センサの計測値の差異が、所定の閾値を超えたときに、所定の出力信号を出力する制御部を備えることを特徴とする請求項3記載のベッドである。
請求項6記載の発明は、前記第1温度センサの計測値と前記第2温度センサの計測値の差異が、所定の閾値を超えたときに、所定の出力信号を出力する制御部を備えることを特徴とする請求項4記載のベッドである。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記出力信号に応じて、前記ファンの動作が制御されることを特徴とする請求項5又は6記載のベッドである。
請求項8記載の発明は、表示部を更に備え、該表示部は、前記出力信号を受けた後、使用者にファンの作動時期を知らせることを特徴とする請求項5又は6記載のベッドである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、マット内で発生した湿気成分は、マットの非吸湿性により、マット中に含まれることなく、マット下方に移動し、内部空間に蓄えられることとなる。そして、この内部空間に蓄えられた湿気成分を多量に含む空気が途中で遮られることなく、ファンにより外部へ排出されることとなる。したがって、ファンの始動から瞬時に使用者の周囲の空気の湿度並びに温度を低減させることが可能となる。また、ファン停止時には、平板材がマットの湿気成分を吸収するので、長期間にわたって、マット中の低湿度環境を維持することができる。加えて、平板材が放湿性も備えるので、ファン作動時には、平板材に蓄えられた湿度成分も放出されることとなり、ファン作動後には平板材の吸湿性が復元される。
更に、マット下面と内部空間が連通することとなるので、マット内の空気流通性が良好に保たれる結果、カビやダニといったハウスダストの原因の発生を防止することができ、非常に衛生的なベッドとなる。
請求項2記載の発明によれば、平板材が適度な撓み変形をすることで体荷重が分散される。加えて、負荷される体荷重の増減により、平板材の撓み変形量も変動するので、使用者の身体に無理な負荷を与えず、快適な睡眠環境を醸し出すことができる。更に、平板材はマットに対して適度な剛性を付加することができ、マットの過度の変形を防止することができる。よって、使用者がマットの変形により無理な体勢となることを防止することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、室内の湿度とベッド内の湿度の差異を検知可能となる。
請求項4記載の発明によれば、室内の温度とベッド内の温度の差異を検知可能となる。
請求項5記載の発明によれば、室内の湿度とベッド内の湿度の差異に基づく出力信号を発生させることができる。
請求項6記載の発明によれば、室内の温度とベッド内の温度の差異に基づく出力信号を発生させることができる。
【0015】
請求項7記載の発明によれば、出力信号に応じたファンの動作制御が可能となり、ベッド内の湿度並びに温度を適切に制御可能となる。
請求項8記載の発明によれば、ファンを作動させるタイミングを使用者に知らせることが可能となり、必要なときにファンを作動させることが可能となる。よって、ファンを無駄に作動させることがなく、効率的なファンの操作を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るベッドの実施形態について、図を参照しつつ説明する。図1は、ベッドの側面概略図である。
ベッド(1)は、マット(2)と、マット(2)が載置される基台部(3)と、基台部(3)を支持する脚部(4)からなる。
脚部(4)は、使用者の頭部が位置する側(以下、頭部側と称する)と使用者の足部が位置する側(以下、足部側と称する)に配される。また、脚部(4)は、基台部(3)を床面(G)から所定高さの位置で支持し、基台部(3)と床面(G)との間に空間が形成される。
マット(2)は、使用者の身体を支持する。
【0017】
図2は、基台部(3)並びに脚部(4)を示す。図2(a)は、図1のマット(2)が取り除かれた状態のベッド(1)の平面図であり、図2(b)は、図2(a)の側面断面図である。
図3は、ベッド(1)を幅方向に切断したときの基台部(3)の断面図である。
以下、図2及び図3を参照しつつ、基台部(3)について詳細に説明する。
【0018】
基台部(3)は、上方に開口する箱型に形成されたベース(31)と、ベース(31)の上端開口部をベッド(1)左右幅方向に横切る複数本の平板材(32)と、ベース(31)頭部側の面から頭部方向へ延出する頭部支持板(33)を備える。
【0019】
ベース(31)周面は、頭部壁(311)、頭部壁(311)に対して所定間隔の距離をおいて頭部壁(311)と平行に配される足部壁(312)と、頭部壁(311)及び足部壁(312)の端部同士を接続するとともにベース(31)左右一対に配されるベース側壁(313)から構成され、頭部壁(311)、足部壁(312)及び一対のベース側壁(313)は、平面視矩形状のベース(31)周面輪郭を形成する。
【0020】
頭部壁(311)幅方向中心位置において、頭部壁(311)下部から足部壁(312)幅方向中心位置に向かって、床面(G)に対して平行にセンタ材(314)が延出する。また、ベース(31)の周面壁下部の各角隅部に底板支持片(315)が配される。
ベース(31)下部には、左右一対の底板(316)が配される。底板(316)はセンタ材(314)及び底板支持片(315)により支持され、床面(G)に対して平行なベース(31)底面となる。
【0021】
左右一対のベース側壁(313)の内側面には、角棒状の受け桟(317)が取付けられる。受け桟(317)は、頭部壁(311)内側面と足部壁(312)の内側面同士を接続し、床面(G)に対して平行にベース(31)軸方向に延出する。
受け桟(317)上面に沿って、受け桟(317)と同長且つ角棒状の緩衝棒(318)が載置・固定される。
【0022】
左右一対に配される緩衝棒(318)上に平板材(32)左右端部が載置される。平板材(32)は、ベース(31)の中心軸に対して直角に配される。平板材(32)の幅、厚さ並びに配置間隔は平板材(32)の有する機械的強度及びベース(31)の幅に応じて適宜定められる。
平板材(32)は、マット(2)並びにマット(2)上で仰臥する使用者の体重を支える。緩衝棒(318)は、平板材(32)両端部に加わる荷重を受け止め、平板材(32)の損傷を防止する。
緩衝棒(318)の材料は弾力性及び復元性を有するものであれば特に限定されないが、ウレタンフォームや塩化ビニル発泡体等の合成樹脂発泡体が好ましく利用可能である。
平板材(32)の材質は吸湿性及び放湿性をともに備えるものであれば特に限定されないが、木材が好ましく利用可能である。木材種としては、桐、スギ、ヒノキ等が具体例として例示可能である。
尚、本実施例においては、平板材(32)並びにベース(31)各構成部材は桐を用いて形成されている。
【0023】
上側に開口する箱型に形成されたベース(31)とベース(31)の開口部を横切る平板材(32)で区切られる空間は、内部空間(30)とされる。
内部空間(30)には、第2湿度センサ(51)、第2温度センサ(52)及びファン(6)が配される。第2湿度センサ(51)と第2温度センサ(52)は、平板材(32)の下面に固定される。内部空間(30)には、それぞれ複数個の第2湿度センサ(51)と第2温度センサ(52)が配されてもよい。複数個の第2湿度センサ(51)と第2温度センサ(52)とで、内部空間(30)の複数箇所で内部空間(30)の湿度並びに温度を計測することで、精度の高い湿度並びに温度計測を行うことが可能となる。
【0024】
ファン(6)は、底板(316)に支持される。底板(316)には、開口部(図示せず)が形成され、ファン(6)は、内部空間(30)内の空気を底板(316)に形成された開口部を介してベース(3)外へ排出する。
ファン(6)の配置個数は、単数でも複数でもよく、内部空間(30)の容積によって、配置個数は適宜定められる。また、ファン(6)の配置場所は、内部空間(30)内の空気を満遍なく排出可能なように適宜定められる。
【0025】
足部壁(312)外面上部には、角棒状の足部枠部(341)が固定される。また、ベース側壁(313)外面上部には、角棒状の側枠部(342)が固定される。足部枠部(341)と側枠部(342)は、ベース(31)の3辺を囲み、フレーム(34)を構成する。
側枠部(342)は、頭部壁(311)外面位置よりも頭部方向に延びる。そして、側枠部(342)と頭部壁(311)で囲まれる空間に平板状の頭部支持板(33)が配置される。
【0026】
図4は、頭部支持板(33)の取付け部分の拡大断面図である。
頭部支持板(33)は、頭部壁(311)に木ねじで固定される。頭部支持板(33)上面と頭部壁(311)上縁面は面一となる。更に、頭部壁(311)の外面には、センサ固定片(53)が固定される。センサ固定片(53)には、ベッド(1)が配される室内の空気の湿度を計測する第1湿度センサと室内温度を計測する第1温度センサが取付けられる。
【0027】
図5は、脚部(4)のうち頭部側に配される第1脚部(41)を示す。図5(a)は第1脚部(41)の正面図であり、図5(b)は、第1脚部(41)を側方からみた断面図である。
第1脚部(41)は、全体的に椅子型に形成される。第1脚部(41)は、座板(411)と、座板(411)をその下面から支持する角柱形状に形成された複数本の座板支持柱(412)と、座板(411)頭部側端縁上面から上方に立設する背板(413)を備える。
座板(411)上面は頭部支持板(33)下面と当接し、座板(411)は頭部支持板(33)を支持する。
脚部(4)のうち足部側に配される第2脚部(42)は、足部枠部(341)の下方に配され、足部枠部(341)両端下面を支持する。
これにより、基台部(3)は床面(G)から所定の高さの位置で支持されることとなる。
【0028】
図6は、マット(2)の構造を示す斜視図である。
マット(2)は、2層構造のマット本体(21)と、マット本体(21)外周面全体を覆う中綿層(22)と、中綿層(22)外周面全体を覆う外被層(23)からなる。図6において、内部構造を明瞭に示すため、中綿層(22)と外被層(23)は、途中で破断された状態で示されている。
マット本体(21)、中綿層(22)及び外被層(23)は、いずれも疎水性繊維から構成され、マット(2)全体として非吸湿性を備える。繊維の種類は特に限定されるものではないが、疎水性ポリエステル繊維が好適に使用可能である。
マット本体(21)は、第1繊維層(211)と、第1繊維層(211)の上に積層される第2繊維層(212)からなる。第2繊維層(212)は、第1繊維層(211)を構成する繊維よりも柔らかい繊維から構成される。これにより、第1繊維層(211)がマット(2)全体の剛性を確保し、マット(2)の過度の変形を防止する。そして、第2繊維層(212)は、使用者の身体形状に応じて変形することとなり、使用者の身体に無理な負荷がかかることを防止する。結果として、使用者の身体表面にかかる押圧力は全体的に均一となり、快適な睡眠環境を創出することが可能となる。
【0029】
中綿層(22)は、第2繊維層(212)よりも柔らかな繊維から構成され、使用者の身体輪郭の起伏に応じて変形可能である。中綿層(22)は、使用者に一層快適な睡眠環境を提供する役割を担う。
外被層(23)は、光触媒成分を含み、抗菌性、消臭性並びに有機物分解性を発揮する。これにより、衛生的な睡眠環境が提供されることとなる。
【0030】
図7は、使用者身体から生じた湿気成分の移動を示す模式図である。図7(a)乃至図7(c)は、湿気成分の移動を、順を追って示している。
図7(a)に示す如く、使用者身体から発生した湿気成分(W)は、マット(2)上方を漂う。そして、重力作用によって、その後、湿気成分(W)は、下方へ向かって移動する。
マット(2)を構成する繊維間には、空気が流通可能な程度の空間が設けられ、マット(2)の通気性が確保される。したがって、図7(b)に示す如く、重力作用を受け下方へ移動する湿気成分(W)は、マット(2)内部を通過する。
上述の如く、マット(2)は、平板材(32)によって支持される。したがって、マット(2)内部を通過した湿気成分(W)の一部は、マット(2)を支持する平板材(32)と衝突し、他の湿気成分(W)は、平板材(32)下方に形成された内部空間(30)に入る。
図7(c)に示す如く、平板材(32)と衝突した湿気成分は、平板材(32)の吸湿性により、平板材(32)表層に吸収される。
図7に示すように、湿気成分(W)が下方に移動し続けると、内部空間(30)内は飽和状態となる。飽和状態となったとき、湿気成分(W)の移動は停止する。
【0031】
ファン(6)が作動すると、内部空間(30)内部の空気は、一気に底板(316)下方に形成される空間へ放出される。これにより、湿気成分(W)が多く含まれる内部空間(30)内の空気が除去され、内部空間(30)の湿度を一気に下げることが可能である。
また、ファン(6)の作動により、内部空間(30)の気圧が一時的に低下する。この気圧の低下の結果、マット(2)内部の空気は内部空間(30)内に強制的に導入されることとなる。結果として、マット(2)内部に留まる湿気成分(W)も内部空間(30)内に入り、その後、底板(316)下方の空間に排出される。結果として、マット(2)内部の湿気も一気に除去されることとなる。
更に、平板材(32)が桐などの木材から構成されると、平板材(32)周囲の空気流れによって生じる平板材(32)からの高い放湿効果を得ることができる。したがって、ファン(6)の作動により、平板材(32)からも湿気成分(W)が除去されることとなる。
このように、内部空間(30)を設けることにより、瞬時の湿気成分(W)の除去が達成できることとなる。
【0032】
図8は、ファン(6)の作動制御の一例を示す図である。
上述の如く、ベッド(1)は、頭部壁(311)外面に取付けられる固定片(53)を介して取付けられるとともにベッド(1)が配される室内の湿度を測定する第1湿度センサ(54)と室内の温度を測定する第1温度センサ(55)と、ベッド(1)幅方向へ内部空間(30)上面を横切る平板材(32)下面に固定されるとともに内部空間(30)の湿度を測定する第2湿度センサ(51)と内部空間(30)の温度を測定する第2温度センサ(52)を備える。これら第1湿度センサ(54)、第1温度センサ(55)、第2湿度センサ(51)及び第2温度センサ(52)は制御部(56)に電気的に接続する。そして、制御部(56)は、これら第1湿度センサ(54)、第1温度センサ(55)、第2湿度センサ(51)及び第2温度センサ(52)が出力する湿度又は温度の測定値に応じた電圧値を受信する。
【0033】
制御部(56)には、第1湿度センサ(54)と第2湿度センサ(51)からの電圧差に対する所定の第1閾値が設定されている。更に、第1温度センサ(55)と第2温度センサ(52)からの電圧差に対する所定の第2閾値も設定されている。
ファン(6)は、第1湿度センサ(54)と第2湿度センサ(51)からの電圧差が第1閾値を超えた場合若しくは第1温度センサ(55)と第2温度センサ(52)の電圧差が第2閾値を超えた場合に作動する。尚、これら電圧差の閾値に対する超過量に応じて、ファン(6)の回転数が増減されるように、制御部(56)からモータ(6)への電気信号が変化する形態を採用してもよい。
このようにして、内部空間(30)の温度或いは湿度が室内の湿度或いは温度に対して所定量高くなっている場合に、ファン(6)を作動させ、内部空間(30)内の空気を排出可能である。
【0034】
制御部(56)からの出力信号は、ファン(6)への作動信号に限られるものではない。例えば、ベッド(1)に表示部を設け、制御部(56)から表示部へ信号を送る形態を採用してもよい。これにより、内部空間(30)の温度或いは湿度が室内の湿度或いは温度に対して所定量高くなっている場合に、制御部(56)から表示部へ信号を送り、この送信された信号に応じて、表示部が光源を点滅させる等の手段によって、使用者にファン(6)を作動させる時期を知らせるようにしてもよい。
或いは、制御部(56)からの出力信号を室内に備えられる空調用家電に送る形態を採用してもよい。
【0035】
(試験例)
以下、本発明のベッド(1)が奏する湿気除去効果に関する試験例を示す。図9は、本試験の試験条件を示す。
まず、マット(2)を用意し、マット(2)上層に湿度センサ(91)を配した。また、1m長さの綿製白布を二等分し、1辺25cmの正方形布片となるように折り畳み、マット(2)上面に載置した。その後、この一対の布片(92)にそれぞれ、100mlの蒸留水を含ませた。一方の布片(92)の下方に湿度センサ(91)は配されている。
そして、布片(92)上にポリエチレンシート(93)を掛け、これら布片(92)上面を覆った。このマット(2)を基台部(3)上に載置し、ベッド(1)を準備した。そして、このベッド(1)を恒温恒湿室に載置した。恒温恒湿室は、温度20℃、湿度65%に保たれた。
【0036】
図10は、上記のようにして、準備されたベッド(1)の湿度の変化を示すグラフである。
布片(92)をマット(2)上に載置してから13時間加湿を行い、13時間後に布片(92)を除去した。一の試験条件においては、単に布片(92)を除去した状態で、11時間恒温恒湿室にベッド(1)を載置し、マット(2)の湿度変化が計測された。他の試験条件においては、布片(92)除去後、ベッド(1)に備えられたファン(6)を作動し、11時間恒温恒湿室にベッド(1)を載置した。
【0037】
ファン(6)を作動させると、3時間以内に室内湿度の水準まで、湿らせたマット(2)の湿度が戻る。そして、除湿開始から10時間程度で、加湿工程でマット(2)内に吸収された湿気成分が除去され、マット(2)の湿度は、室内湿度と等しくなる。
一方、ファン(6)を作動させない場合には、緩やかにマット(2)内の湿度は減少していくものの、加湿工程で付加された湿気成分がマット(2)から完全に除去されることはなかった。
このことから、ファン(6)の作動によって、瞬時にマット(2)の除湿が完了するといえる。
【0038】
尚、通常のベッドの構造では、マット(2)下面から湿気成分が除去されず、マット(2)上面のみから湿気成分が除去されることとなるので、図10に示すファン(6)を作動させない状態よりも湿気除去機能は悪いと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、機密性の高い室内に配置されるベッドに好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るベッドの外観側面図である。
【図2】本発明に係るベッドの基台部を示す図である。
【図3】本発明に係るベッドの基台部の断面図である。
【図4】本発明に係るベッドの頭部支持板の取付け構造を示す図である。
【図5】本発明に係るベッドの脚部を示す図である。
【図6】本発明に係るベッドのマットを示す図である。
【図7】本発明に係るベッドの湿気成分の移動形態を示す模式図である。
【図8】本発明に係るベッドのファンの作動制御システムの一実施例を示す模式図である。
【図9】本発明に係るベッドの湿気成分除去効果に関する試験形態を示す図である。
【図10】本発明に係るベッドの湿気成分除去効果を示すグラフである。
【図11】従来のファン付ベッドを示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1・・・・・ベッド
2・・・・・マット
3・・・・・基台部
31・・・・ベース
32・・・・平板材
4・・・・・脚部
51・・・・第2湿度センサ
52・・・・第2温度センサ
54・・・・第1湿度センサ
55・・・・第1温度センサ
56・・・・制御部
6・・・・・ファン
【技術分野】
【0001】
本発明は、マット内の空気を外部へ強制的に放出することにより、マット内の湿度並びに温度を睡眠に最適な状態とすることを可能とするベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の地球温暖化の問題に起因して、睡眠環境は悪化の一途を辿っている。特に夏季においては、湿度及び気温がともに高く、このような室内環境は睡眠を妨げることとなる。このため、近年においては、寝室に空調設備が備えられることが多くなっている。しかしながら、この空調設備は、いわゆる「冷房病」という体調不良を生じさせる原因となっている。
したがって、空調設備に過度に依存して、睡眠環境を調えることは最良の手段ということはできない。
【0003】
上記の実情を鑑み、清涼機能が付加された様々な寝具が提案されている。
特許文献1は、このような寝具の一例を開示する。また、図11は、特許文献1に開示される寝具を示す。
特許文献1の寝具(B)は、緩衝部(M)と、該緩衝部(M)が載置される基板(P)と、床面(G)から所定高さの位置で基板(P)を支持する脚部(L)から構成される。緩衝部(M)上で使用者が仰臥する。
【0004】
緩衝部(M)は、空間材(M1)と緩衝材(M2)の2つの層から主に構成される。空間材(M1)は、通気性と放湿性に優れた繊維材から構成される。緩衝材(M2)は、断熱性を有する材料から構成される。空間材(M1)と緩衝材(M2)はともに略直方体形状に形成される。また、緩衝材(M2)の層の一部に空間材(M1)の層が入り込み、空間材(M1)の層は、緩衝材(M2)の層を貫通している。
【0005】
緩衝材(M2)の層を貫通した空間材(M1)の層の下端にはファン(F)が接続し、ファン(F)は基板(P)により支持されている。
ファン(F)が作動すると、就寝中の使用者の身体周囲の空気が、空間材(M1)の層を通過して、基板(P)と床面(G)の間に形成される空間に放出される。これにより、使用者周囲の空気の湿度並びに温度が低下し、睡眠に適した環境を創出することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−87234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される寝具(B)は、以下に示す課題を有する。
まず、ファン(F)により作り出される空気の流れは、繊維材からなる空間材(M1)内を通過することとなり、空気の流れが非常に悪いものとなる。したがって、使用者の身体周囲の空気を素早く排出させることが困難である。
【0008】
また、空間材(M1)と緩衝材(M2)の境界において、空気の流速は理論的にゼロとなることと、空気中の湿気成分は重力の作用により下方に溜まりやすいという性質から、空間材(M1)と緩衝材(M2)の境界に湿気成分が蓄積されることとなるという問題を生ずる。したがって、ファン(F)の作動により、一時的に使用者周囲の湿度が低減されたとしても、ファン(F)の停止後、使用者の体温により空気が温められることにより、空間材(M1)と緩衝材(M2)の境界に蓄積された湿気成分が再び使用者周囲の空気に戻り、急速に使用者周囲の空気の湿度が増加することとなる。
よって、快適な睡眠環境を維持しようとすれば、ファン(F)を常時作動させる必要がある。
【0009】
常時、ファン(F)を作動させることは、省電力の観点から好ましくない。加えて、ファン(F)の発熱により、室温を増加させることとなり、かえって、睡眠環境に好ましくない作用を与えることとなる。
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであって、瞬時に使用者の身体周囲の空気の湿度並びに温度を低減させることが可能であり、且つ、低減された湿度を長時間保つことができるベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、通気性且つ非吸湿性を有するマットと、該マットが載置される基台部と、該基台部下面と床面との間に空間が形成されるように前記基台部を支持する脚部からなるベッドであって、前記基台部は、上面に開口部を有する箱型に形成されるベースと、前記ベッド幅方向に延設し、前記ベースの開口部を横切るとともに吸湿性及び放湿性を備える複数の平板材からなり、前記複数の平板材は、所定間隔をおいて互いに平行に配され、前記平板材と前記ベース内底面の間に形成される内部空間には、ファンが配され、前記ファンが、前記ベース底部に形成された開口部を介して、下方に前記内部空間の空気を排出することを特徴とするベッドである。
請求項2記載の発明は、前記平板材が木材からなることを特徴とする請求項1記載のベッドである。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記ベッドが配される室内の湿度を検知する第1湿度センサと、前記内部空間内の湿度を検知する第2湿度センサを備えることを特徴とする請求項1記載のベッドである。
請求項4記載の発明は、前記ベッドが配される室内の温度を検知する第1温度センサと、前記内部空間内の温度を検知する第2温度センサを備えることを特徴とする請求項1記載のベッドである。
請求項5記載の発明は、前記第1湿度センサの計測値と前記第2湿度センサの計測値の差異が、所定の閾値を超えたときに、所定の出力信号を出力する制御部を備えることを特徴とする請求項3記載のベッドである。
請求項6記載の発明は、前記第1温度センサの計測値と前記第2温度センサの計測値の差異が、所定の閾値を超えたときに、所定の出力信号を出力する制御部を備えることを特徴とする請求項4記載のベッドである。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記出力信号に応じて、前記ファンの動作が制御されることを特徴とする請求項5又は6記載のベッドである。
請求項8記載の発明は、表示部を更に備え、該表示部は、前記出力信号を受けた後、使用者にファンの作動時期を知らせることを特徴とする請求項5又は6記載のベッドである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、マット内で発生した湿気成分は、マットの非吸湿性により、マット中に含まれることなく、マット下方に移動し、内部空間に蓄えられることとなる。そして、この内部空間に蓄えられた湿気成分を多量に含む空気が途中で遮られることなく、ファンにより外部へ排出されることとなる。したがって、ファンの始動から瞬時に使用者の周囲の空気の湿度並びに温度を低減させることが可能となる。また、ファン停止時には、平板材がマットの湿気成分を吸収するので、長期間にわたって、マット中の低湿度環境を維持することができる。加えて、平板材が放湿性も備えるので、ファン作動時には、平板材に蓄えられた湿度成分も放出されることとなり、ファン作動後には平板材の吸湿性が復元される。
更に、マット下面と内部空間が連通することとなるので、マット内の空気流通性が良好に保たれる結果、カビやダニといったハウスダストの原因の発生を防止することができ、非常に衛生的なベッドとなる。
請求項2記載の発明によれば、平板材が適度な撓み変形をすることで体荷重が分散される。加えて、負荷される体荷重の増減により、平板材の撓み変形量も変動するので、使用者の身体に無理な負荷を与えず、快適な睡眠環境を醸し出すことができる。更に、平板材はマットに対して適度な剛性を付加することができ、マットの過度の変形を防止することができる。よって、使用者がマットの変形により無理な体勢となることを防止することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、室内の湿度とベッド内の湿度の差異を検知可能となる。
請求項4記載の発明によれば、室内の温度とベッド内の温度の差異を検知可能となる。
請求項5記載の発明によれば、室内の湿度とベッド内の湿度の差異に基づく出力信号を発生させることができる。
請求項6記載の発明によれば、室内の温度とベッド内の温度の差異に基づく出力信号を発生させることができる。
【0015】
請求項7記載の発明によれば、出力信号に応じたファンの動作制御が可能となり、ベッド内の湿度並びに温度を適切に制御可能となる。
請求項8記載の発明によれば、ファンを作動させるタイミングを使用者に知らせることが可能となり、必要なときにファンを作動させることが可能となる。よって、ファンを無駄に作動させることがなく、効率的なファンの操作を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るベッドの実施形態について、図を参照しつつ説明する。図1は、ベッドの側面概略図である。
ベッド(1)は、マット(2)と、マット(2)が載置される基台部(3)と、基台部(3)を支持する脚部(4)からなる。
脚部(4)は、使用者の頭部が位置する側(以下、頭部側と称する)と使用者の足部が位置する側(以下、足部側と称する)に配される。また、脚部(4)は、基台部(3)を床面(G)から所定高さの位置で支持し、基台部(3)と床面(G)との間に空間が形成される。
マット(2)は、使用者の身体を支持する。
【0017】
図2は、基台部(3)並びに脚部(4)を示す。図2(a)は、図1のマット(2)が取り除かれた状態のベッド(1)の平面図であり、図2(b)は、図2(a)の側面断面図である。
図3は、ベッド(1)を幅方向に切断したときの基台部(3)の断面図である。
以下、図2及び図3を参照しつつ、基台部(3)について詳細に説明する。
【0018】
基台部(3)は、上方に開口する箱型に形成されたベース(31)と、ベース(31)の上端開口部をベッド(1)左右幅方向に横切る複数本の平板材(32)と、ベース(31)頭部側の面から頭部方向へ延出する頭部支持板(33)を備える。
【0019】
ベース(31)周面は、頭部壁(311)、頭部壁(311)に対して所定間隔の距離をおいて頭部壁(311)と平行に配される足部壁(312)と、頭部壁(311)及び足部壁(312)の端部同士を接続するとともにベース(31)左右一対に配されるベース側壁(313)から構成され、頭部壁(311)、足部壁(312)及び一対のベース側壁(313)は、平面視矩形状のベース(31)周面輪郭を形成する。
【0020】
頭部壁(311)幅方向中心位置において、頭部壁(311)下部から足部壁(312)幅方向中心位置に向かって、床面(G)に対して平行にセンタ材(314)が延出する。また、ベース(31)の周面壁下部の各角隅部に底板支持片(315)が配される。
ベース(31)下部には、左右一対の底板(316)が配される。底板(316)はセンタ材(314)及び底板支持片(315)により支持され、床面(G)に対して平行なベース(31)底面となる。
【0021】
左右一対のベース側壁(313)の内側面には、角棒状の受け桟(317)が取付けられる。受け桟(317)は、頭部壁(311)内側面と足部壁(312)の内側面同士を接続し、床面(G)に対して平行にベース(31)軸方向に延出する。
受け桟(317)上面に沿って、受け桟(317)と同長且つ角棒状の緩衝棒(318)が載置・固定される。
【0022】
左右一対に配される緩衝棒(318)上に平板材(32)左右端部が載置される。平板材(32)は、ベース(31)の中心軸に対して直角に配される。平板材(32)の幅、厚さ並びに配置間隔は平板材(32)の有する機械的強度及びベース(31)の幅に応じて適宜定められる。
平板材(32)は、マット(2)並びにマット(2)上で仰臥する使用者の体重を支える。緩衝棒(318)は、平板材(32)両端部に加わる荷重を受け止め、平板材(32)の損傷を防止する。
緩衝棒(318)の材料は弾力性及び復元性を有するものであれば特に限定されないが、ウレタンフォームや塩化ビニル発泡体等の合成樹脂発泡体が好ましく利用可能である。
平板材(32)の材質は吸湿性及び放湿性をともに備えるものであれば特に限定されないが、木材が好ましく利用可能である。木材種としては、桐、スギ、ヒノキ等が具体例として例示可能である。
尚、本実施例においては、平板材(32)並びにベース(31)各構成部材は桐を用いて形成されている。
【0023】
上側に開口する箱型に形成されたベース(31)とベース(31)の開口部を横切る平板材(32)で区切られる空間は、内部空間(30)とされる。
内部空間(30)には、第2湿度センサ(51)、第2温度センサ(52)及びファン(6)が配される。第2湿度センサ(51)と第2温度センサ(52)は、平板材(32)の下面に固定される。内部空間(30)には、それぞれ複数個の第2湿度センサ(51)と第2温度センサ(52)が配されてもよい。複数個の第2湿度センサ(51)と第2温度センサ(52)とで、内部空間(30)の複数箇所で内部空間(30)の湿度並びに温度を計測することで、精度の高い湿度並びに温度計測を行うことが可能となる。
【0024】
ファン(6)は、底板(316)に支持される。底板(316)には、開口部(図示せず)が形成され、ファン(6)は、内部空間(30)内の空気を底板(316)に形成された開口部を介してベース(3)外へ排出する。
ファン(6)の配置個数は、単数でも複数でもよく、内部空間(30)の容積によって、配置個数は適宜定められる。また、ファン(6)の配置場所は、内部空間(30)内の空気を満遍なく排出可能なように適宜定められる。
【0025】
足部壁(312)外面上部には、角棒状の足部枠部(341)が固定される。また、ベース側壁(313)外面上部には、角棒状の側枠部(342)が固定される。足部枠部(341)と側枠部(342)は、ベース(31)の3辺を囲み、フレーム(34)を構成する。
側枠部(342)は、頭部壁(311)外面位置よりも頭部方向に延びる。そして、側枠部(342)と頭部壁(311)で囲まれる空間に平板状の頭部支持板(33)が配置される。
【0026】
図4は、頭部支持板(33)の取付け部分の拡大断面図である。
頭部支持板(33)は、頭部壁(311)に木ねじで固定される。頭部支持板(33)上面と頭部壁(311)上縁面は面一となる。更に、頭部壁(311)の外面には、センサ固定片(53)が固定される。センサ固定片(53)には、ベッド(1)が配される室内の空気の湿度を計測する第1湿度センサと室内温度を計測する第1温度センサが取付けられる。
【0027】
図5は、脚部(4)のうち頭部側に配される第1脚部(41)を示す。図5(a)は第1脚部(41)の正面図であり、図5(b)は、第1脚部(41)を側方からみた断面図である。
第1脚部(41)は、全体的に椅子型に形成される。第1脚部(41)は、座板(411)と、座板(411)をその下面から支持する角柱形状に形成された複数本の座板支持柱(412)と、座板(411)頭部側端縁上面から上方に立設する背板(413)を備える。
座板(411)上面は頭部支持板(33)下面と当接し、座板(411)は頭部支持板(33)を支持する。
脚部(4)のうち足部側に配される第2脚部(42)は、足部枠部(341)の下方に配され、足部枠部(341)両端下面を支持する。
これにより、基台部(3)は床面(G)から所定の高さの位置で支持されることとなる。
【0028】
図6は、マット(2)の構造を示す斜視図である。
マット(2)は、2層構造のマット本体(21)と、マット本体(21)外周面全体を覆う中綿層(22)と、中綿層(22)外周面全体を覆う外被層(23)からなる。図6において、内部構造を明瞭に示すため、中綿層(22)と外被層(23)は、途中で破断された状態で示されている。
マット本体(21)、中綿層(22)及び外被層(23)は、いずれも疎水性繊維から構成され、マット(2)全体として非吸湿性を備える。繊維の種類は特に限定されるものではないが、疎水性ポリエステル繊維が好適に使用可能である。
マット本体(21)は、第1繊維層(211)と、第1繊維層(211)の上に積層される第2繊維層(212)からなる。第2繊維層(212)は、第1繊維層(211)を構成する繊維よりも柔らかい繊維から構成される。これにより、第1繊維層(211)がマット(2)全体の剛性を確保し、マット(2)の過度の変形を防止する。そして、第2繊維層(212)は、使用者の身体形状に応じて変形することとなり、使用者の身体に無理な負荷がかかることを防止する。結果として、使用者の身体表面にかかる押圧力は全体的に均一となり、快適な睡眠環境を創出することが可能となる。
【0029】
中綿層(22)は、第2繊維層(212)よりも柔らかな繊維から構成され、使用者の身体輪郭の起伏に応じて変形可能である。中綿層(22)は、使用者に一層快適な睡眠環境を提供する役割を担う。
外被層(23)は、光触媒成分を含み、抗菌性、消臭性並びに有機物分解性を発揮する。これにより、衛生的な睡眠環境が提供されることとなる。
【0030】
図7は、使用者身体から生じた湿気成分の移動を示す模式図である。図7(a)乃至図7(c)は、湿気成分の移動を、順を追って示している。
図7(a)に示す如く、使用者身体から発生した湿気成分(W)は、マット(2)上方を漂う。そして、重力作用によって、その後、湿気成分(W)は、下方へ向かって移動する。
マット(2)を構成する繊維間には、空気が流通可能な程度の空間が設けられ、マット(2)の通気性が確保される。したがって、図7(b)に示す如く、重力作用を受け下方へ移動する湿気成分(W)は、マット(2)内部を通過する。
上述の如く、マット(2)は、平板材(32)によって支持される。したがって、マット(2)内部を通過した湿気成分(W)の一部は、マット(2)を支持する平板材(32)と衝突し、他の湿気成分(W)は、平板材(32)下方に形成された内部空間(30)に入る。
図7(c)に示す如く、平板材(32)と衝突した湿気成分は、平板材(32)の吸湿性により、平板材(32)表層に吸収される。
図7に示すように、湿気成分(W)が下方に移動し続けると、内部空間(30)内は飽和状態となる。飽和状態となったとき、湿気成分(W)の移動は停止する。
【0031】
ファン(6)が作動すると、内部空間(30)内部の空気は、一気に底板(316)下方に形成される空間へ放出される。これにより、湿気成分(W)が多く含まれる内部空間(30)内の空気が除去され、内部空間(30)の湿度を一気に下げることが可能である。
また、ファン(6)の作動により、内部空間(30)の気圧が一時的に低下する。この気圧の低下の結果、マット(2)内部の空気は内部空間(30)内に強制的に導入されることとなる。結果として、マット(2)内部に留まる湿気成分(W)も内部空間(30)内に入り、その後、底板(316)下方の空間に排出される。結果として、マット(2)内部の湿気も一気に除去されることとなる。
更に、平板材(32)が桐などの木材から構成されると、平板材(32)周囲の空気流れによって生じる平板材(32)からの高い放湿効果を得ることができる。したがって、ファン(6)の作動により、平板材(32)からも湿気成分(W)が除去されることとなる。
このように、内部空間(30)を設けることにより、瞬時の湿気成分(W)の除去が達成できることとなる。
【0032】
図8は、ファン(6)の作動制御の一例を示す図である。
上述の如く、ベッド(1)は、頭部壁(311)外面に取付けられる固定片(53)を介して取付けられるとともにベッド(1)が配される室内の湿度を測定する第1湿度センサ(54)と室内の温度を測定する第1温度センサ(55)と、ベッド(1)幅方向へ内部空間(30)上面を横切る平板材(32)下面に固定されるとともに内部空間(30)の湿度を測定する第2湿度センサ(51)と内部空間(30)の温度を測定する第2温度センサ(52)を備える。これら第1湿度センサ(54)、第1温度センサ(55)、第2湿度センサ(51)及び第2温度センサ(52)は制御部(56)に電気的に接続する。そして、制御部(56)は、これら第1湿度センサ(54)、第1温度センサ(55)、第2湿度センサ(51)及び第2温度センサ(52)が出力する湿度又は温度の測定値に応じた電圧値を受信する。
【0033】
制御部(56)には、第1湿度センサ(54)と第2湿度センサ(51)からの電圧差に対する所定の第1閾値が設定されている。更に、第1温度センサ(55)と第2温度センサ(52)からの電圧差に対する所定の第2閾値も設定されている。
ファン(6)は、第1湿度センサ(54)と第2湿度センサ(51)からの電圧差が第1閾値を超えた場合若しくは第1温度センサ(55)と第2温度センサ(52)の電圧差が第2閾値を超えた場合に作動する。尚、これら電圧差の閾値に対する超過量に応じて、ファン(6)の回転数が増減されるように、制御部(56)からモータ(6)への電気信号が変化する形態を採用してもよい。
このようにして、内部空間(30)の温度或いは湿度が室内の湿度或いは温度に対して所定量高くなっている場合に、ファン(6)を作動させ、内部空間(30)内の空気を排出可能である。
【0034】
制御部(56)からの出力信号は、ファン(6)への作動信号に限られるものではない。例えば、ベッド(1)に表示部を設け、制御部(56)から表示部へ信号を送る形態を採用してもよい。これにより、内部空間(30)の温度或いは湿度が室内の湿度或いは温度に対して所定量高くなっている場合に、制御部(56)から表示部へ信号を送り、この送信された信号に応じて、表示部が光源を点滅させる等の手段によって、使用者にファン(6)を作動させる時期を知らせるようにしてもよい。
或いは、制御部(56)からの出力信号を室内に備えられる空調用家電に送る形態を採用してもよい。
【0035】
(試験例)
以下、本発明のベッド(1)が奏する湿気除去効果に関する試験例を示す。図9は、本試験の試験条件を示す。
まず、マット(2)を用意し、マット(2)上層に湿度センサ(91)を配した。また、1m長さの綿製白布を二等分し、1辺25cmの正方形布片となるように折り畳み、マット(2)上面に載置した。その後、この一対の布片(92)にそれぞれ、100mlの蒸留水を含ませた。一方の布片(92)の下方に湿度センサ(91)は配されている。
そして、布片(92)上にポリエチレンシート(93)を掛け、これら布片(92)上面を覆った。このマット(2)を基台部(3)上に載置し、ベッド(1)を準備した。そして、このベッド(1)を恒温恒湿室に載置した。恒温恒湿室は、温度20℃、湿度65%に保たれた。
【0036】
図10は、上記のようにして、準備されたベッド(1)の湿度の変化を示すグラフである。
布片(92)をマット(2)上に載置してから13時間加湿を行い、13時間後に布片(92)を除去した。一の試験条件においては、単に布片(92)を除去した状態で、11時間恒温恒湿室にベッド(1)を載置し、マット(2)の湿度変化が計測された。他の試験条件においては、布片(92)除去後、ベッド(1)に備えられたファン(6)を作動し、11時間恒温恒湿室にベッド(1)を載置した。
【0037】
ファン(6)を作動させると、3時間以内に室内湿度の水準まで、湿らせたマット(2)の湿度が戻る。そして、除湿開始から10時間程度で、加湿工程でマット(2)内に吸収された湿気成分が除去され、マット(2)の湿度は、室内湿度と等しくなる。
一方、ファン(6)を作動させない場合には、緩やかにマット(2)内の湿度は減少していくものの、加湿工程で付加された湿気成分がマット(2)から完全に除去されることはなかった。
このことから、ファン(6)の作動によって、瞬時にマット(2)の除湿が完了するといえる。
【0038】
尚、通常のベッドの構造では、マット(2)下面から湿気成分が除去されず、マット(2)上面のみから湿気成分が除去されることとなるので、図10に示すファン(6)を作動させない状態よりも湿気除去機能は悪いと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、機密性の高い室内に配置されるベッドに好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るベッドの外観側面図である。
【図2】本発明に係るベッドの基台部を示す図である。
【図3】本発明に係るベッドの基台部の断面図である。
【図4】本発明に係るベッドの頭部支持板の取付け構造を示す図である。
【図5】本発明に係るベッドの脚部を示す図である。
【図6】本発明に係るベッドのマットを示す図である。
【図7】本発明に係るベッドの湿気成分の移動形態を示す模式図である。
【図8】本発明に係るベッドのファンの作動制御システムの一実施例を示す模式図である。
【図9】本発明に係るベッドの湿気成分除去効果に関する試験形態を示す図である。
【図10】本発明に係るベッドの湿気成分除去効果を示すグラフである。
【図11】従来のファン付ベッドを示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1・・・・・ベッド
2・・・・・マット
3・・・・・基台部
31・・・・ベース
32・・・・平板材
4・・・・・脚部
51・・・・第2湿度センサ
52・・・・第2温度センサ
54・・・・第1湿度センサ
55・・・・第1温度センサ
56・・・・制御部
6・・・・・ファン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性且つ非吸湿性を有するマットと、
該マットが載置される基台部と、
該基台部下面と床面との間に空間が形成されるように前記基台部を支持する脚部からなるベッドであって、
前記基台部は、上面に開口部を有する箱型に形成されるベースと、前記ベッド幅方向に延設し、前記ベースの開口部を横切るとともに吸湿性及び放湿性を備える複数の平板材からなり、
前記複数の平板材は、所定間隔をおいて互いに平行に配され、
前記平板材と前記ベース内底面の間に形成される内部空間には、ファンが配され、
前記ファンが、前記ベース底部に形成された開口部を介して、下方に前記内部空間の空気を排出することを特徴とするベッド。
【請求項2】
前記平板材が木材からなることを特徴とする請求項1記載のベッド。
【請求項3】
前記ベッドが配される室内の湿度を検知する第1湿度センサと、
前記内部空間内の湿度を検知する第2湿度センサを備えることを特徴とする請求項1記載のベッド。
【請求項4】
前記ベッドが配される室内の温度を検知する第1温度センサと、
前記内部空間内の温度を検知する第2温度センサを備えることを特徴とする請求項1記載のベッド。
【請求項5】
前記第1湿度センサの計測値と前記第2湿度センサの計測値の差異が、所定の閾値を超えたときに、所定の出力信号を出力する制御部を備えることを特徴とする請求項3記載のベッド。
【請求項6】
前記第1温度センサの計測値と前記第2温度センサの計測値の差異が、所定の閾値を超えたときに、所定の出力信号を出力する制御部を備えることを特徴とする請求項4記載のベッド。
【請求項7】
前記出力信号に応じて、前記ファンの動作が制御されることを特徴とする請求項5又は6記載のベッド。
【請求項8】
表示部を更に備え、
該表示部は、前記出力信号を受けた後、使用者にファンの作動時期を知らせることを特徴とする請求項5又は6記載のベッド。
【請求項1】
通気性且つ非吸湿性を有するマットと、
該マットが載置される基台部と、
該基台部下面と床面との間に空間が形成されるように前記基台部を支持する脚部からなるベッドであって、
前記基台部は、上面に開口部を有する箱型に形成されるベースと、前記ベッド幅方向に延設し、前記ベースの開口部を横切るとともに吸湿性及び放湿性を備える複数の平板材からなり、
前記複数の平板材は、所定間隔をおいて互いに平行に配され、
前記平板材と前記ベース内底面の間に形成される内部空間には、ファンが配され、
前記ファンが、前記ベース底部に形成された開口部を介して、下方に前記内部空間の空気を排出することを特徴とするベッド。
【請求項2】
前記平板材が木材からなることを特徴とする請求項1記載のベッド。
【請求項3】
前記ベッドが配される室内の湿度を検知する第1湿度センサと、
前記内部空間内の湿度を検知する第2湿度センサを備えることを特徴とする請求項1記載のベッド。
【請求項4】
前記ベッドが配される室内の温度を検知する第1温度センサと、
前記内部空間内の温度を検知する第2温度センサを備えることを特徴とする請求項1記載のベッド。
【請求項5】
前記第1湿度センサの計測値と前記第2湿度センサの計測値の差異が、所定の閾値を超えたときに、所定の出力信号を出力する制御部を備えることを特徴とする請求項3記載のベッド。
【請求項6】
前記第1温度センサの計測値と前記第2温度センサの計測値の差異が、所定の閾値を超えたときに、所定の出力信号を出力する制御部を備えることを特徴とする請求項4記載のベッド。
【請求項7】
前記出力信号に応じて、前記ファンの動作が制御されることを特徴とする請求項5又は6記載のベッド。
【請求項8】
表示部を更に備え、
該表示部は、前記出力信号を受けた後、使用者にファンの作動時期を知らせることを特徴とする請求項5又は6記載のベッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−135838(P2007−135838A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333150(P2005−333150)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(502298642)府中商工会議所 (2)
【出願人】(591178883)府中家具工業協同組合 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(502298642)府中商工会議所 (2)
【出願人】(591178883)府中家具工業協同組合 (2)
【Fターム(参考)】
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