説明

ベルトの伝達性能曲線予測方法

【課題】伝達性能曲線の対象となるレイアウトの駆動プーリ及び従動プーリを用いた試験を行わなくても、ベルトの伝達性能曲線を予測することのできる伝達性能曲線予測方法を提案する。
【解決手段】駆動プーリ12と従動プーリ14に亘って巻き掛けられるベルトBの、スリップ率と軸トルクとの関係を示す伝達性能曲線を予測する方法として、まず、ベルトBの摩擦係数と滑り速度との関係を示すμ―v特性を取得する。次に、駆動プーリ12及び従動プーリ14の半径と巻き付き角、スパン長、初期張力、及び前記μ―v特性から、ベルトBの滑り速度と有効張力との関係を示すv―T特性を導出する。次に、前記v―T特性の滑り速度を、駆動プーリ12の周速度を用いてスリップ率に変換すると共に、v―T特性の有効張力を、駆動プーリ12又は従動プーリ14の半径を用いて軸トルクに変換することによって、ベルトBの伝達性能曲線を予測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動プーリ及び従動プーリに亘って巻き掛けられるベルトの、スリップ率と軸トルク(又はスリップ率と有効張力、あるいはスリップ率と軸動力)との関係を示す伝達性能曲線を予測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プーリを介して動力を伝達する摩擦伝動ベルトの伝達性能を評価する際、スリップ率と軸トルク(又は有効張力、あるいは軸動力)との関係を示す伝達性能曲線(実施形態中の図6参照)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。許容限度のスリップ率での軸トルクが大きいほど、ベルトの伝達性能は高いと評価される。
【0003】
従来から、このような伝達性能曲線は、例えば図8に示すような駆動プーリ22と従動プーリ24に亘ってベルトBが巻き掛けられた構成のベルト伝動システム21を用いた試験によって求められている。具体的には、まず、従動軸25を無負荷状態として、駆動プーリ22を所定の回転数NB1で回転させる。その後、従動軸25の負荷を徐々に増加させて、その過程で、従動プーリ24の回転数NB2を測定すると共に、回転数NB2ごとの従動プーリ24の軸トルクTRQを測定して、従動軸25と駆動軸23の回転数比iと軸トルクTRQとの関係を求める。スリップ率Sは、回転数比iを用いて下記数式1により得られるため、スリップ率Sと軸トルクTRQとの関係が求められ、伝達性能曲線を得ることができる。
【0004】
【数1】


ここで、i=NB2/NB1とする。i:無負荷時の回転数比、i:回転数比
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001―59548号公報(図5参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した試験によって得られる伝達性能曲線は、試験に用いたベルト伝動システムと同一のレイアウトでのベルトの伝達性能を示すものであり、プーリの径や、ベルト長さ等を変更する場合には、そのたびに試験を行う必要があり、多大な時間とコストを要していた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、伝達性能曲線の対象となるレイアウト及び走行条件での試験を行わなくても、ベルトの伝達性能曲線を予測することのできる伝達性能曲線予測方法を提案することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
請求項1のベルトの伝達性能曲線予測方法は、駆動プーリと従動プーリに亘って巻き掛けられるベルトの、スリップ率と軸トルクとの関係を示す伝達性能曲線を予測する方法であって、前記ベルトの摩擦係数と滑り速度との関係を示すμ―v特性を取得するμ―v特性取得工程と、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの半径と巻き付き角、スパン長、初期張力、及び前記μ―v特性から、前記ベルトの滑り速度と有効張力との関係を示すv―T特性を導出するv―T特性導出工程と、前記v―T特性の滑り速度を、前記駆動プーリの周速度を用いてスリップ率に変換すると共に、前記v―T特性の有効張力を、前記駆動プーリ又は前記従動プーリの半径を用いて軸トルクに変換することによって、前記ベルトの伝達性能曲線を予測する伝達性能曲線予測工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によると、まず、μ―v特性取得工程において、ベルトのμ―v特性を取得する。なお、μ―v特性は、ベルトが巻き掛けられるプーリの径、巻き付け角、及びベルトの走行速度等に依存せず、ベルト固有の特性とプーリの材質によって決まるものである。次に、μ―v特性を用いて、駆動プーリ及び従動プーリに巻き掛けられるベルトの滑り速度と有効張力との関係(v―T特性)を計算によって求める。なお、有効張力とは、ベルトの張り側張力と、緩み側張力との差のことであり、ベルトの滑り速度とは、プーリに対するベルトの相対的な移動速度のことである。最後に、得られたv―T特性の滑り速度と有効張力を、それぞれスリップ率と軸トルクに変換することにより、スリップ率と軸トルクとの関係を示す伝達性能曲線を予測している。
【0010】
このように、ベルトのμ―v特性を用いることによって、所望のレイアウト及び走行条件での伝達性能曲線を予測することができるため、従来のように伝達性能曲線の対象となるレイアウト及び走行条件での試験を行わなくても伝達性能曲線を得ることができる。
従って、たとえ駆動プーリ及び従動プーリの半径や初期張力等を変更しても、新たに試験を行う必要がなく、従来のように試験によって伝達性能曲線を求める場合に比べて、時間とコストを軽減することができる。
【0011】
請求項2のベルトの伝達性能曲線予測方法は、請求項1において、前記μ―v特性取得工程が、試験用駆動プーリと試験用従動プーリと複数のアイドラープーリとに亘って前記ベルトが懸架された構成の試験装置を用い、前記試験用従動プーリの回転軸を無負荷として、前記試験用駆動プーリを所定の回転数で回転させた状態から、前記試験用従動プーリの回転軸の負荷を徐々に増加させて、前記試験用従動プーリに対する前記ベルトの滑り速度を増加させながら、前記滑り速度を測定すると共に、前記滑り速度ごとの前記従動プーリの緩み側張力及び張り側張力を測定する測定工程と、前記測定工程により得られる、前記滑り速度ごとの緩み側張力と張り側張力の張力比と、前記試験用従動プーリに対するベルトの巻き付け角とを用いて、摩擦係数を求めて、前記μ―v特性を導出するμ―v特性導出工程とを有することを特徴とする。
【0012】
このμ―v特性取得工程においては、試験用従動プーリに対するベルトの滑り速度を変化させる試験を行い、滑り速度ごとの張り側張力と緩み側張力を測定し、摩擦係数が張力比の関数であることを利用して、滑り速度と摩擦係数との関係を示すμ―v特性を導出している。導出されたμ―v特性は、ベルト固有の特性とプーリ材質によって決まるものであるため、プーリ材質が同じであれば、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの半径やスパン長等を変更する場合であっても、同一のμ―v特性を用いて伝達性能曲線を予測することができる。
また、このμ―v特性取得工程で行う試験方法は、伝達性能曲線を測定するための従来の試験方法と同じであることから、比較的精度の高い伝達性能曲線を予測することができる。
【0013】
請求項3のベルトの伝達性能曲線予測方法は、請求項1において、前記μ―v特性取得工程が、試験用駆動プーリと試験用従動プーリと複数のアイドラープーリとに亘って前記ベルトが懸架された構成の試験装置を用い、前記試験用従動プーリを回転不能とした状態で、前記試験用駆動プーリの回転数を徐々に増加させて、前記試験用従動プーリに対する前記ベルトの滑り速度を増加させながら、前記滑り速度を測定すると共に、前記滑り速度ごとの前記試験用従動プーリの緩み側張力及び張り側張力を測定する測定工程と、前記測定工程により得られる、前記滑り速度ごとの緩み側張力と張り側張力の張力比と、前記試験用従動プーリに対するベルトの巻き付け角とを用いて、摩擦係数を求めて、前記μ―v特性を導出するμ―v特性導出工程とを有することを特徴とする。
【0014】
このμ―v特性取得工程においては、試験用従動プーリに対するベルトの滑り速度を変化させる試験を行い、滑り速度ごとの張り側張力と緩み側張力を測定し、摩擦係数が張力比の関数であることを利用して、滑り速度と摩擦係数との関係を示すμ―v特性を導出している。導出されたμ―v特性は、ベルト固有の特性とプーリ材質によって決まるものであるため、プーリ材質が同じであれば、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの半径やスパン長等を変更する場合であっても、同一のμ―v特性を用いて伝達性能曲線を予測することができる。
【0015】
請求項4のベルトの伝達性能曲線予測方法は、請求項3の前記μ―v特性導出工程において、前記張力比と前記試験用従動プーリの巻き付け角とから求められる摩擦係数μを、摩擦係数μに対応する滑り速度vと、前記駆動プーリの周速度Vとを用いて、下記数式2によって、補正摩擦係数μに補正し、この補正摩擦係数μを用いて前記μ―v特性を導出することを特徴とする。この構成によると、予測される伝達性能曲線の精度を向上させることができる。
【0016】
【数2】


ここで、α及びβは、α=1〜2、β=0.1〜0.3の値をとる定数である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態のベルトの伝達性能曲線予測方法で用いられる試験装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態のベルトの伝達性能曲線予測方法が適用されるベルト伝動システムの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態のベルトの伝達性能曲線予測方法を示すフローチャートである。
【図4】μ―v特性を示すグラフである。
【図5】プーリ上のベルトの滑りを説明するための図である。
【図6】伝達性能曲線を示すグラフである。
【図7】他のベルト伝動システムの構成を示す図である。
【図8】実施例のベルト伝動システムの構成を示す図である。
【図9】実施例のμ―v特性を示すグラフである。
【図10】実施例の伝達性能曲線を示すグラフである。
【図11】実施例のベルト伝動システムの構成を示す図である。
【図12】実施例の伝達性能曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。
本実施形態のベルトの伝達性能曲線予測方法は、図1に示すような試験装置1を用いてベルトBのμ―v特性を導出して、このμ―v特性を用いて図2に示すようなベルト伝動システム11におけるベルトBの伝達性能曲線を予測するというものである。本実施形態に適用されるベルトBは、摩擦伝動ベルトであれば、平ベルト、Vベルト、Vリブドベルト等の何れであってもよい。
【0019】
図2に示すように、ベルト伝動システム11は、駆動プーリ(Dr)12と、従動プーリ(Dn)14と、アイドラープーリ(Id)16とに亘ってベルトBが懸架された構成である。駆動プーリ12と従動プーリ14は、それぞれ駆動軸13と従動軸15に連結されている。駆動プーリ12及び従動プーリ14の半径を、それぞれR、Rとし、駆動プーリ12及び従動プーリ14に対するベルトBの巻き付き角を、それぞれθ、θとする。また、ベルトBの緩み側部分(アイドラープーリ16への巻き付き部分を含む)のスパン長をLとし、ベルトBの張り側部分のスパン長をLとする。駆動プーリ12は、図2に示す矢印の方向に回転駆動されるものとする。また、ベルト走行前のベルトBの張力である初期張力をTとし、駆動プーリ12の回転数をNとする。
【0020】
アイドラープーリ16は、巻き付き角θ、θと、緩み側のスパン長Lを制御するためのものである。また、アイドラープーリ16の回転軸は無負荷である。従って、アイドラープーリ16と駆動プーリ12との間の部分の張力Tと、アイドラープーリ16と従動プーリ14との間の部分の張力Tとは同じである。そのため、駆動プーリ12に対するベルトBの有効張力Tと、従動プーリ14に対するベルトBの有効張力Tとは同じである。なお、有効張力Tとは、ベルトBの張り側張力Tと、緩み側張力Tとの差のことである。
【0021】
図1に示す試験装置1は、ベルトBの摩擦係数μと滑り速度vとの関係を示すμ―v特性を取得するためのものである。なお、μ―v特性は、ベルトが巻き掛けられるプーリの径、巻き付け角、及びベルトの走行速度等に依存せず、ベルト固有の特性とプーリの材質によって決まるものである。
【0022】
試験装置1は、試験用駆動プーリ(Dr)2と、試験用従動プーリ(Dn)4と、4つのアイドラープーリ(Id)6〜9とに亘ってベルトBが懸架された構成である。試験用駆動プーリ2と試験用従動プーリ4は、それぞれ駆動軸3と従動軸5に連結されている。なお、試験装置1のレイアウト(試験用駆動プーリ2及び試験用従動プーリ4の径や巻き付き角、スパン長等)は、ベルト伝動システム11のレイアウトと同一でなくてよいが、同一であってもよい。駆動軸3は、図示しないモータに連結されており、このモータによって試験用駆動プーリ2は、図1に示す矢印の方向に回転駆動される。
【0023】
アイドラープーリ6〜9の回転軸は、軸方向に直交する方向に移動可能となっている。アイドラープーリ9は、試験用従動プーリ4に対するベルトBの巻き付き角θA2を制御するためのものである。アイドラープーリ7の回転軸には、デッドウエイト10が連結されている。デッドウエイト10の重さを制御することによって、ベルトBに所望の初期張力を与えると共に、ベルト走行時にベルトBの緩み側張力TA1をほぼ一定に保つことができるようになっている。
【0024】
以下、本実施形態の伝達性能曲線の予測方法について説明する。
【0025】
[μ―v特性取得工程]
図3に示すように、まず、試験装置1を用いて試験を行い、ベルトBの摩擦係数μと滑り速度vとの関係を示すμ−v特性を取得する。以下、具体的に説明する。
【0026】
デッドウエイト10を所定の重量に設定して、ベルトBに所定の初期張力を与えてから、従動軸5を無負荷状態として、試験用駆動プーリ2を所定の回転数NA1で回転させる。この時点では、試験用従動プーリ4の周速度VA2とベルトBの走行速度とは同じであるため、試験用従動プーリ4に対するベルトBの滑り速度vは0である。なお、ベルトの滑り速度とは、プーリに対するベルトの相対的な移動速度のことである。
【0027】
その後、従動軸5の負荷を徐々に増加させて、試験用従動プーリ4に対するベルトBの滑り速度vを増加させていく。この過程で、滑り速度vを測定すると共に、滑り速度vごとの試験用従動プーリ4に対するベルトBの緩み側張力TA1及び張り側張力TA2を測定する。なお、ベルトBの走行速度は試験用駆動プーリ2の周速度VA1と同じであるため、滑り速度vは、試験用駆動プーリ2の周速度VA1と試験用従動プーリ4の周速度VA2との差であり、試験用従動プーリ4の回転数NA2を測定することにより、下記数式3で求められる。
【0028】
【数3】


ここで、RA1は試験用駆動プーリ2の半径であり、RA2は試験用従動プーリ4の半径である。
【0029】
また、オイラー理論により、張力比TA2/TA1と摩擦係数μとは、下記数式4の関係が成立する。従って、試験により得られる滑り速度vごとの張力比TA2/TA1から、下記数式4を用いて摩擦係数μを求めることにより、滑り速度vと摩擦係数μとの関係が求められる。
【0030】
【数4】


ここで、θA2は、試験用従動プーリ4に対するベルトBの巻き付き角である。
【0031】
図4(a)は、横軸に滑り速度vをとり、縦軸に滑り速度vに対応する摩擦係数μをプロットしたグラフである。このプロットデータを、最小二乗法等により曲線近似化して、図4(b)に示すようなμ―v特性を導出する。近似式は、例えば下記数式5のような式とする。
【0032】
【数5】


ここで、a、b、cは、定数係数である。
【0033】
[v―T特性導出工程]
次に、図3に示すように、取得したμ―v特性と、プーリ半径R、Rと、巻き付け角θ、θと、スパン長L、Lと、初期張力Tとを用いて、ベルト伝動システム11におけるベルトBの滑り速度vと有効張力Tとの関係を示すv―T特性を導出する。
【0034】
具体的には、μ―v特性の滑り速度vを幾つか選択して、各滑り速度vに対応する摩擦係数μを、下記数式6又は数式7に代入することにより、各滑り速度vに対応するベルトBの有効張力Tを算出する。これにより、滑り速度vと有効張力Tとの関係(v―T特性)が求められる。なお、v―T特性を得るには、数式6に数式5を代入して計算してもよい。
【0035】
【数6】


【0036】
【数7】

【0037】
ここで、有効張力Tを算出するための上記数式6、7について説明する。
【0038】
ベルト伝動システム11において、ベルト走行時に従動プーリ14の軸トルクが0の場合、巻き付き角θの全域で、ベルトBは従動プーリ14に固着しており、滑りは生じない。
【0039】
プーリ12、14の軸トルクが増加すると(即ち、有効張力Tが増加すると)、有効張力TによりベルトBの弾性変形伸びが生じ、この伸びに相当する分だけ、ベルトBがプーリ12、14上で滑る。巻き付き部分におけるこの滑り分の角度を、滑り角φとする。プーリ12、14の巻き付き部分のうち角度θ−φ、θ−φの領域では、ベルトBはプーリ12、14に固着している。なお、有効張力Tは、プーリ12、14に対して共通であるため、有効張力TによるベルトBの伸びにより生じる滑り角φも、プーリ12、14で共通である。図5に示すように、便宜上、プーリ12、14上の滑り角φの領域を滑り域とし、角度θ−φ、θ−φの領域を固着域とする。
【0040】
滑り域においてオイラー理論が成立するため、緩み側張力Tと張り側張力Tとの張力比T/Tは下記数式8で表される。なお、数式8中の摩擦係数μφは、滑り域での摩擦係数を示している。
【0041】
【数8】

【0042】
上記数式8と、有効張力Tの定義式(T=T−T)とから、張力T、Tは、それぞれ、有効張力Tの関数として下記数式9のように表される。
【0043】
【数9】

【0044】
ここで、ベルト伝動システム11において、長さsの領域でのベルトの張力をT(s)、ヤング率をE、断面積をAとすると、ベルトBの全伸び量ΔLは、下記数式10で表される。
【0045】
【数10】

【0046】
初期張力Tの設定時(停止時)と走行時のベルトの全長が同じである、換言すると、ベルトの全伸び量が常に同じであることから、下記数式11が成立する。
【0047】
【数11】

【0048】
詳細な導出過程は省略するが、この数式11から下記数式12が導出される。なお、数式11から数式12への導出過程は、「大倉 清,龍巳 良彦,『摩擦伝動ベルトの初期張力と走行時張力の関係について』,日本機械学会2006年度年次大会講演論文集(4)[2006‐9.18〜22,熊本市]」に記載されている。
【0049】
【数12】

【0050】
数式12に、数式9のT、Tをそれぞれ代入することにより、下記数式13が得られる。
【0051】
【数13】

【0052】
滑り角φは、プーリ12、14の軸トルクの増加に伴って増加し、θ>θの場合、滑り角φはまず角度θに達する。このとき、ベルトBは従動プーリ14上で巻き付き部分の全領域で滑る。この状態を全滑り状態という。従って、上記数式13にφ=θを代入すると、従動プーリ14で全滑りとなったときの有効張力Tが表わされる。このとき、数式13中のμφは、巻き付き角θ全域での摩擦係数μを示す。数式13にφ=θを代入した式が、上述した数式6である。
【0053】
一方、θ<θの場合、滑り角φは増加していくと、まず角度θに達する。このとき、ベルトBは駆動プーリ12上で全滑り状態となる。上記数式13にφ=θを代入すると、上述した数式7が得られ、駆動プーリ12で全滑りとなったときの有効張力Tが表される。
【0054】
[伝達性能曲線予測工程]
次に、図3に示すように、得られたv―T特性を用いて、伝達性能曲線を予測する。
【0055】
具体的には、まず、v―T特性の滑り速度vをスリップ率Sに変換する。
θ>θの場合、従動プーリ14で全滑り状態となる一方、駆動プーリ12では全滑りに達していないため、ベルトBの走行速度をVとすると、スリップ率Sの算出式は下記数式14のようになる。
【0056】
【数14】

【0057】
一方、θ<θの場合には、駆動プーリ12で全滑り状態となる一方、従動プーリ14では全滑りに達していないため、スリップ率Sの算出式は下記数式15のようになる。従って、θとθの大小関係に関わらず、スリップ率Sは、下記数式16で求められる。
【0058】
【数15】

【0059】
【数16】

【0060】
また、v―T特性の有効張力Tを、下記数式17によって、従動プーリ14の軸トルクTRQ2に変換する。
【0061】
【数17】

【0062】
このように、v―T特性の滑り速度vと有効張力Tを、それぞれスリップ率Sと軸トルクTRQ2に変換することにより、スリップ率Sと軸トルクTRQ2との関係が求められ、図6に示すような伝達性能曲線が得られる。以上により、ベルト伝動システム11における所定の走行条件でのベルトの伝達性能曲線を予測することができる。
【0063】
以上説明したように、ベルトBのμ―v特性を用いることによって、所望のレイアウト及び走行条件での伝達性能曲線を予測することができるため、従来のようにベルト伝動システム11を用いた試験を行わなくても伝達性能曲線を得ることができる。
従って、たとえ駆動プーリ12及び従動プーリ14の半径や初期張力等を変更しても、新たに試験を行う必要がなく、従来のように試験によって伝達性能曲線を求める場合に比べて、時間とコストを軽減することができる。
【0064】
また、試験装置1を用いた試験により取得したμ―v特性は、試験装置1のプーリ12、14の径、巻き付け角、及びベルトの走行速度等に依存せず、ベルト固有の特性とプーリ材質によって決まるものであるため、プーリ材質が同じであれば、プーリ12、14の半径やスパン長等を変更しても、同一のμ―v特性を用いて伝達性能曲線を予測することができる。
【0065】
なお、本実施形態では、伝達性能曲線の横軸を、従動プーリ14の軸トルクTRQ2としたが、駆動プーリ12の軸トルクTRQ1としてもよい。
【0066】
また、伝達性能曲線の横軸を、有効張力Tとしてもよく、駆動プーリ12の軸動力W又は従動プーリ14の軸動力Wとしてもよい。なお、軸動力W、Wは、それぞれ下記数式18によって求められる。
【0067】
【数18】

【0068】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態のベルトの伝達性能曲線予測方法は、μ―v特性取得工程が異なる点以外は、第1実施形態と同様の工程により伝達性能曲線を予測している。
【0069】
本実施形態のμ―v特性取得工程では、前記第1実施形態で用いた試験装置1と同用の構成の試験装置1を用いる。以下、本実施形態のμ―v特性取得工程について具体的に説明する。
【0070】
デッドウエイト10を所定の重量に設定して、ベルトBに所定の初期張力を与えてから、従動軸5を固定して、試験用従動プーリ4を回転不能とする。この状態で、試験用駆動プーリ2の回転数NA1を0から徐々に増加させて、試験用従動プーリ4に対するベルトBの滑り速度vを増加させていく。この過程で、滑り速度vを測定すると共に、滑り速度vごとの試験用従動プーリ4に対するベルトBの緩み側張力TA1及び張り側張力TA2を測定する。試験用従動プーリ4の周速度が0のため、試験用従動プーリ4に対するベルトBの滑り速度vは、試験用駆動プーリ2の周速度VA1と同じである。
【0071】
前記第1実施形態と同様に、測定により得られた滑り速度vごとの張力比TA2/TA1と試験用従動プーリ4の巻き付け角θA2とを用いて、上述した数式4により、摩擦係数を求める。得られた摩擦係数をμとする。
【0072】
次に、この摩擦係数μを、摩擦係数μに対応する滑り速度vと、ベルト伝動システム11の駆動プーリ12の周速度Vとを用いて、下記数式19によって、補正摩擦係数μに補正する。
【0073】
【数19】


ここで、α及びβは、α=1〜2、β=0.1〜0.3の値をとる定数である。
【0074】
前記第1実施形態と同様に、横軸に滑り速度vをとり、縦軸に滑り速度vに対応する補正摩擦係数μをプロットした後、曲線近似化して、μ―v特性を導出する。
【0075】
導出されたμ―v特性を用いて、前記第1実施形態と同様の手順により、伝達性能曲線を予測する。本実施形態の伝達性能曲線の予測方法によると、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0076】
ここで、摩擦係数μを補正摩擦係数μに補正する理由について説明する。
前記第1実施形態では、従動軸5の負荷を徐々に増加させる試験を行ってμ―v特性を取得しているが、この試験方法は、伝達性能曲線を測定するための従来の試験方法と同じであり、試験用従動プーリ4は回転しているため、試験用従動プーリ4上のベルトのスリップ率は0又は有限値となる。
これに対して、本実施形態では、従動軸5を固定して駆動軸3の回転数を徐々に増加させる試験を行ってμ―v特性を取得しており、試験用従動プーリ4は停止状態にあるため、試験用従動プーリ4上のスリップ率は常に100%となる。
このような差異から、両試験により得られるμ―v特性は若干異なるものとなるが、伝達性能を測定する場合と同様の試験方法で得られるμ―v特性をそのまま用いる前記第1実施形態は、比較的精度の高い伝達性能曲線を予測することができる。
【0077】
そこで、本実施形態では、前記第1実施形態で得られるμ―v特性とほぼ同じμ―v特性になるように補正している。補正摩擦係数μを用いてμ―v特性を導出することにより、張力比TA2/TA1から得られる摩擦係数μをそのまま用いてμ―v特性を導出した場合に比べて高精度であって、前記第1実施形態とほぼ同じ程度の精度の伝達性能曲線を予測することができる。
【0078】
なお、補正に用いる上記数式19は、実際に、前記第1実施形態の試験方法と本実施形態の試験方法でそれぞれμ―v特性を求めて、その結果を比較することにより得た式である。
【0079】
なお、本実施形態では、摩擦係数μを補正摩擦係数μに補正してから、μ―v特性の近似式を求めているが、摩擦係数μと滑り速度vとの関係を示すμ―v特性の近似式を求めてから、摩擦係数μを補正摩擦係数μに補正して、μ―v特性を導出してもよい。
【0080】
また、本実施形態では、上記数式19を用いて摩擦係数μを補正しているが、摩擦係数μの補正方法は、必ずしも上記数式19によるものに限定されない。
【0081】
以上、本発明の実施の形態として、図2に示すベルト伝動システム11の伝達性能曲線を予測する場合を例に挙げて説明したが、本発明を適用できるベルト伝動システムの構成は図2に示すものに限定されない。ベルト伝動システムは、図7や図8に示すような、駆動プーリ(Dr)と、駆動プーリ(Dn)とからなる構成であってもよく、また、図11に示すように、駆動プーリ(Dr)と駆動プーリ(Dn)に加えて、2つ以上のアイドラープーリ(Id)が配置された構成であってもよい。なお、上述したように、アイドラープーリは、巻き付け角とスパン長を制御するためのものであって、アイドラープーリの回転軸は無負荷であるため、アイドラープーリの有無は、予測される伝達性能曲線の精度に影響を与えない。
【0082】
また、前記第1、第2実施形態では、図1に示す構成の試験装置1を用いてμ―v特性を取得しているが、試験装置1の構成は図1に示すものに限定されるものではない。
【0083】
また、μ―v特性を取得する方法は、前記第1、第2実施形態で述べた方法に限定されるものではなく、これ以外の試験を行って取得してもよい。また、計算のみによって取得してもよい。
【0084】
また、本発明のベルトの伝達性能曲線予測方法を実証するために、図8に示すようなベルト伝動システム21におけるベルトの伝達性能曲線について、本発明のベルトの伝達性能曲線予測方法による予測結果と、試験により求めた実測結果とを比較する試験を行った。なお、この試験では、ベルトは、Vリブドベルトを用いた。
【0085】
ベルト伝動システム21の構成及び走行条件は以下の通りである。
[ベルト伝動システム21の構成]
駆動プーリ(Dr)22の半径R=0.06[m]
従動プーリ(Dn)24の半径R=0.06[m]
駆動プーリ22に対するベルトの巻き付き角θ=π[rad]
従動プーリ24に対するベルトの巻き付き角θ=π[rad]
ベルトの緩み側部分のスパン長L=0.426[m]
ベルトの張り側部分のスパン長L=0.426[m]
[ベルト伝動システム21の走行条件]
駆動プーリ22の回転数N=2000[rpm]
ベルトの初期張力T=100[N]及び150[N]
【0086】
本発明の実施例では、まず、前記第1、第2実施形態で用いた図1に示す試験装置1を用いて試験を行い、μ―v特性(及びμ―v特性)を導出した。
試験方法は、前記第2実施形態と同様に、試験装置1の従動軸5を固定した状態で、駆動軸3の回転数を徐々に増加させて、滑り速度vを測定すると共に、滑り速度ごとの試験用従動プーリ4の緩み側張力TA1及び張り側張力TA2を測定した。なお、緩み側張力TA1は、デッドウエイト10の重さで決まる初期張力TA0とした。張り側張力TA2は、従動軸5に設置した軸トルク測定装置の測定結果から有効張力TEAを算出して、TA2=TEA+TA1により求めた。
【0087】
上述した数式4を用いて張力比TA2/TA1から摩擦係数μを算出し、横軸に滑り速度v、縦軸に滑り速度vに対応する摩擦係数μをプロットしてから、上述した数式5により近似化してμ―v特性を得た。その結果を図9に細線で示す。
【0088】
次に、この摩擦係数μを、下記数式20を用いて補正摩擦係数μに補正して、図9に太線で示すμ―v特性を得た。
【0089】
【数20】


ここで、Vは、駆動プーリ22の周速度である。
【0090】
得られたμ―v特性又はμ―v特性を用いて、前記第1実施形態で述べたv―T特性導出工程及び伝達性能曲線予測工程を経て、図10に示す実施例1〜4の伝達性能曲線を予測した。なお、実施例1、2では、μ―v特性を用い、実施例3、4では、μ―v特性を用いた。また、実施例1、3は、初期張力Tを100[N]とし、実施例2、4は、初期張力Tを150[N]とした。
【0091】
一方、図8に示すベルト伝動システム21により試験を行って、伝達性能曲線を算出した。その結果を、図10に実測結果1、2として示す。なお、実測結果1では、初期張力Tを100[N]とし、実測結果2では、初期張力Tを150[N]とした。
【0092】
実測結果1、2では、従動軸25を無負荷状態として、駆動軸23を回転数N(NB1)で回転させた後、従動軸25の負荷を徐々に増加させながら、従動プーリ24の回転数NB2を測定すると共に、回転数NB2ごとの従動軸25の軸トルクTRQを測定し、両プーリ22、24の回転数比iから上述の数式1によりスリップ率Sを算出して、伝達性能曲線を求めた。
【0093】
図10の結果から、実施例の伝達性能曲線は、実測結果の伝達性能曲線にほぼ一致していることがわかる。特に、μ―v特性を用いた実施例1、2の伝達性能曲線は、μ―v特性を用いた実施例3、4の伝達性能曲線に比べて、より実測結果に近く、精度が高いことがわかる。
【0094】
また、図11に示すようなベルト伝動システム31におけるベルトの伝達性能曲線について、本発明のベルトの伝達性能曲線予測方法による予測結果と、試験により求めた実測結果とを比較する試験を行った。この試験では、ベルトは、リブ数が6のVリブドベルトを用いた。
【0095】
図11に示すように、ベルト伝動システム31は、駆動プーリ(Dr)32と駆動プーリ(Dn)34と、2つのアイドラープーリ(Id)36、37とを有する。ベルト伝動システム31の構成及び走行条件は以下の通りである。
[ベルト伝動システム31の構成]
駆動プーリ32の半径R=0.06[m]
従動プーリ34の半径R=0.05[m]
駆動プーリ32に対するベルトの巻き付き角θ=2.3719[rad]
従動プーリ34に対するベルトの巻き付き角θ=1.0961[rad]
ベルトの緩み側部分のスパン長L=0.4153[m]
ベルトの張り側部分のスパン長L=0.5514[m]
[ベルト伝動システム31の走行条件]
駆動プーリ32の回転数N=1634[rpm]
1リブ当たりの初期張力T=70[N/rib]
【0096】
本発明の実施例では、まず、ベルト伝動システム31と同じ構成の試験装置を用いて試験を行って、μ―v特性を導出した。
試験方法は、前記第1実施形態と同様に、従動軸35を無負荷状態として、駆動プーリ32を所定の回転数NA1で回転させた状態から、従動軸35の負荷を徐々に増加させて、滑り速度vを測定すると共に、滑り速度ごとの従動プーリ34の緩み側張力TA1及び張り側張力TA2を測定した。測定方法は、上述の実施例1〜4と同様とした。その後、上述した数式4を用いて張力比TA2/TA1から摩擦係数μを算出して、μ―v特性を導出した。
【0097】
得られたμ―v特性を用いて、前記第1実施形態で述べたv―T特性導出工程の後、v―T特性の滑り速度vをスリップ率Sに変換して、スリップ率Sと、1リブ当たりの有効張力Tとの関係を示す伝達性能曲線を予測した。その結果を、図12に実施例5として示す。
【0098】
一方、図11に示すベルト伝動システム31により試験を行って、伝達性能曲線を算出した。その結果を、図12に実測結果3として示す。
【0099】
実測結果3では、従動軸35を無負荷状態として、駆動軸33を回転数N(NB1)で回転させた後、従動軸35の負荷を徐々に増加させながら、従動プーリ34の回転数NB2を測定すると共に、回転数NB2ごとの従動軸35の軸トルクTRQを測定した。両プーリ22、24の回転数比iから上述の数式1によりスリップ率Sを算出すると共に、軸トルクTRQとプーリ半径Rとから有効張力T(=TRQ/R)を求めて、スリップ率Sと1リブ当たりの有効張力Tとの関係を示す伝達性能曲線を求めた。
【0100】
図12の結果から、実施例5の伝達性能曲線は、実測結果3の伝達性能曲線にほぼ一致していることがわかる。
【符号の説明】
【0101】
1 試験装置
2 試験用駆動プーリ
3 駆動軸
4 試験用従動プーリ
5 従動軸
6〜9 アイドラープーリ
10 デッドウエイト
11、21、31 ベルト伝動システム
12、22、32 駆動プーリ
13、23、33 駆動軸
14、24、34 従動プーリ
15、25、35 従動軸
16、36、37 アイドラープーリ
B ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動プーリと従動プーリに亘って巻き掛けられるベルトの、スリップ率と軸トルクとの関係を示す伝達性能曲線を予測する方法であって、
前記ベルトの摩擦係数と滑り速度との関係を示すμ―v特性を取得するμ―v特性取得工程と、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの半径と巻き付き角、スパン長、初期張力、及び前記μ―v特性から、前記ベルトの滑り速度と有効張力との関係を示すv―T特性を導出するv―T特性導出工程と、
前記v―T特性の滑り速度を、前記駆動プーリの周速度を用いてスリップ率に変換すると共に、前記v―T特性の有効張力を、前記駆動プーリ又は前記従動プーリの半径を用いて軸トルクに変換することによって、前記ベルトの伝達性能曲線を予測する伝達性能曲線予測工程と、
を有することを特徴とするベルトの伝達性能曲線予測方法。
【請求項2】
前記μ―v特性取得工程は、
試験用駆動プーリと試験用従動プーリと複数のアイドラープーリとに亘って前記ベルトが懸架された構成の試験装置を用い、前記試験用従動プーリの回転軸を無負荷として、前記試験用駆動プーリを所定の回転数で回転させた状態から、前記試験用従動プーリの回転軸の負荷を徐々に増加させて、前記試験用従動プーリに対する前記ベルトの滑り速度を増加させながら、前記滑り速度を測定すると共に、前記滑り速度ごとの前記従動プーリの緩み側張力及び張り側張力を測定する測定工程と、
前記測定工程により得られる、前記滑り速度ごとの緩み側張力と張り側張力の張力比と、前記試験用従動プーリに対するベルトの巻き付け角とを用いて、摩擦係数を求めて、前記μ―v特性を導出するμ―v特性導出工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のベルトの伝達性能曲線予測方法。
【請求項3】
前記μ―v特性取得工程は、
試験用駆動プーリと試験用従動プーリと複数のアイドラープーリとに亘って前記ベルトが懸架された構成の試験装置を用い、前記試験用従動プーリを回転不能とした状態で、前記試験用駆動プーリの回転数を徐々に増加させて、前記試験用従動プーリに対する前記ベルトの滑り速度を増加させながら、前記滑り速度を測定すると共に、前記滑り速度ごとの前記試験用従動プーリの緩み側張力及び張り側張力を測定する測定工程と、
前記測定工程により得られる、前記滑り速度ごとの緩み側張力と張り側張力の張力比と、前記試験用従動プーリに対するベルトの巻き付け角とを用いて、摩擦係数を求めて、前記μ―v特性を導出するμ―v特性導出工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のベルトの伝達性能曲線予測方法。
【請求項4】
前記μ―v特性導出工程において、
前記張力比と前記試験用従動プーリの巻き付け角とから求められる摩擦係数μを、摩擦係数μに対応する滑り速度vと、前記駆動プーリの周速度Vとを用いて、下記数式1によって、補正摩擦係数μに補正し、この補正摩擦係数μを用いて前記μ―v特性を導出することを特徴とする請求項3に記載のベルトの伝達性能曲線予測方法。
【数1】


ここで、α及びβは、α=1〜2、β=0.1〜0.3の値をとる定数である。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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