説明

ベルトモール

【課題】意匠テープ13の縁部131の近傍に皺・縮みが生じないようにする。意匠テープからの反射光の不揃いや不均一さを抑制して外観不良を抑制する。
【解決手段】外壁部11と内壁部12とを有する硬質樹脂製のモール本体と、外壁部11の外表面に溶着された意匠テープ13と、外壁部11の縁部近傍から立設された軟質樹脂製のリップ15とを有する自動車ドアパネル用のベルトモール1。意匠テープ13が溶着される外壁部11の外表面は長手直交方向に於いて凸を成す湾曲形状を成し、意匠テープ13の縁部131はリップ15の根元部151により被覆され、被覆部13−c直下に最大曲率部13−m*110が位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドアパネルの上縁部に取り付けられるベルトモールに関する。詳しくは、金属光沢や高艶色等の光沢を有する意匠テープを、硬質樹脂製のモール本体の外表面の長手方向に沿って接着(貼着,溶着)して成るベルトモールに関する。
【背景技術】
【0002】
モール本体の外表面の長手方向に沿って意匠テープを設けたベルトモールとしては、例えば、特許第3798657号公報(特許文献1)に記載の製造方法により製造されるベルトモールを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3798657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属芯モールからの軽量化の要請やコスト低減の要請から、硬質樹脂製のベルトモール本体の外表面に、金属光沢や高艶色等の光沢を有する意匠テープを設けることが試みられている。一例として、意匠テープ13Pを設けて成るベルトモール1Pを図4に示す。ここで、図4(a)は、図3(b)内の矢視S−S断面である。なお、図4のベルトモール1Pや図5のベルトモール1Q(後述)は、本願発明のベルトモール1,1A,1Bを想到する過程で検討したものであり、従来技術ではない。これらは、本願発明の要素の一部を含んでいる。
【0005】
ベルトモール1Pは、長尺状の外壁部11Pとその上縁部から折り返して延設された内壁部12Pとを有する硬質樹脂(PP)製のモール本体と、外壁部11Pの外表面・上部寄り領域にて長手方向に溶着等の手法により接着された意匠テープ13Pと、外壁部11Pの上縁部近傍である内壁部12Pの上縁部から立設された軟質樹脂(TPO)製の上シールリップ15Pとを有するとともに、さらに、内壁部12Pの下部から立設された軟質樹脂(TPO)製の下シールリップ16Pと、外壁部11Pの内表面・略中央部から立設された軟質樹脂(TPO)製の上舌部17Pと、外壁部11Pの下端から延設された軟質樹脂(TPO)製の下舌部18Pとを有する。このベルトモール1Pは、外壁部11Pと内壁部12Pの間隙に自動車用ドアパネル2(図3(b)参照)の上縁部を挟み込むようにして、該ドアパネル2に取り付けられる。これにより、上シールリップ15P及び下シールリップ16Pはウインドガラス(不図示)に弾性的に摺接する。また、上舌部17P及び下舌部18Pはアウタパネルの上縁部の外表面に弾接する。なお、PPとはポリプロピレンであり、TPOとはサーモポリオレフィンである。
【0006】
(1)第1の課題(皺・縮み)
上記ベルトモール1Pは、モール本体(外壁部11P・内壁部12P)を押出成形しつつ、上シールリップ15Pと下シールリップ16P及び上舌部17Pと下舌部18Pを押出成形してモール本体(外壁部11P・内壁部12P)の対応部位にそれぞれ溶着・一体化するとともに、同時に、ロール状に巻かれている意匠テープ13Pを繰り出して外壁部11Pの外表面に溶着等の手法により接着することにより製造される。このため、意匠テープ13PがPP製の外壁部11Pに接着される時点では、TPO製の上シールリップ15Pや下舌部18P等は、PP製のモール本体に溶着可能な程度の溶融状態にある。
【0007】
他方で、外壁部11Pに接着される意匠テープ13Pには、その両縁部を、意匠上の見地からテープの見せ幅をできるだけ大きく確保しつつ、何らかの部材で覆わなければならないという必要性がある。これは、製品に於いて意匠テープ13Pの縁が露出されていると、その部分から剥がれ易くなるためであり、また、ピッタリとあっていないと、見栄えが悪いためでもある。このため、図4の例では、意匠テープ13Pの上側の縁部131P付近をTPO製の上シールリップ15Pの根元部で覆うとともに、意匠テープ13Pの下側の縁部付近を硬質又は軟質のTPO層1110Pの上縁部で覆っている。
【0008】
しかしながら、そのようにすると、図4(b)に拡大して示すように、薄い意匠テープ13Pの上側の縁部131Pの先端側が、溶着可能な程度の溶融状態にあるTPOの中へ突出して支えなく漂うこととなる。その結果、その部分に皺が生じ、その皺が縁部131Pから意匠テープ13Pの幅方向中央側へ伝搬して、意匠面として露出されるべき部位に皺等の外観不良を呈するという不具合が生ずる。本発明は、この不具合を防止することを目的とする。なお、TPO層1110Pにより覆われる意匠テープ13Pの下側の縁部付近は、PP製の外壁部11Pに接着された状態であるため、皺が生ずることはない。
【0009】
図4(c)は、上述の皺の発生を防止するべく、意匠テープ13Pの上側の縁部付近を折り曲げて、内壁部12Pの上縁部表面に接着した例である。折り曲げて接着した部分を131PPで示す。しかしながら、そのようにすると、保護フィルムを剥がすことが困難になるという別の不具合が生ずる。即ち、意匠テープ13Pの表面には出荷時に保護フィルムが設けられているため、ベルトモール製造後、剥がす必要がある。具体的には、押出成形機から繰り出されるベルトモールを、冷却して、所定長づつに切断した後、剥がす必要がある。この時、折曲接着部131PPのために保護フィルムの剥離が困難となり、無理に剥がそうとすると、上シールリップ15Pの根元部等に破損等の不具合が生じてしまう。このため、図4(c)に示す手法は、採用できないのである。
【0010】
(2)第2の課題
つぎに、金属光沢や高艶色等の光沢を有する意匠テープを接着して成るベルトモールの別の問題点を説明する。意匠テープを接着して成るベルトモールでは、外観不良(反射方向の不揃いや不均一さに起因する像の歪み(メラメラ感))を防止するために、被接着面に対して、厳しい平坦性・平滑性が要求される。即ち、僅かでも被接着面の平坦性・平滑性が損なわれていると、反射方向の不揃いや不均一さにより像(実際は「像」と言えるほど鮮明ではないが)が歪み、いわゆるメラメラ感を生ずるため、厳しい平坦性・平滑性が要求されている。しかしながら、そのような平坦性・平滑性を達成しようとすると、コストが大きく上昇するという不具合が生ずる。
【0011】
本発明は、金属光沢や高艶色等の光沢を有する意匠テープを接着して成るベルトモールに於いて、コストを大きく上昇させることなく、反射方向の不揃いや不均一さに起因する像の歪み(メラメラ感)を、十分に抑制することを目的とする。
【0012】
(3)図5のベルトモールの場合
上記では、図4のベルトモール1Pに即して本発明の課題(皺・縮みの防止,メラメラ感の抑制)を説明したが、つぎに、図5のベルトモール1Qに即して課題を説明する。図5(a)は、図4(a)と同様、図3(b)内の矢視S−S断面である。また、Pは図4のベルトモールであることを示す添字であったが、Qは図5のベルトモールであることを示す添字である。また、符号の中の数字部分は、図4と図5で同等の部分について同じ数字を用いるように対応付けられている。以下では、図4と異なる点のみ説明する。
【0013】
図5(a)に示すベルトモール1Qは、長尺状の外壁部11Qとその上縁部から折り返して延設された内壁部12Qとを有する硬質樹脂(PP)製のモール本体と、外壁部11Qの外表面・下部寄り領域にて長手方向に接着された意匠テープ13Qと、外壁部11Qの下端部から延設された軟質樹脂(TPO)製の下舌部18Qとを有するとともに、さらに、内壁部12Qの上縁部から立設された軟質樹脂(TPO)製の上シールリップ15Qと、下部から立設された軟質樹脂(TPO)製の下シールリップ16Qと、外壁部11Qの内表面・略中央部から立設された軟質樹脂(TPO)製の上舌部17Qとを有する。このベルトモール1Qもまた、ベルトモール1Pと同様に、外壁部11Qと内壁部12Qの間隙に自動車用ドアパネル2(図3(b)参照)の上縁部を挟み込むようにして、該ドアパネル2に取り付けられる。
【0014】
図4と図5の比較から分かるように、図5のベルトモール1Qでは意匠テープ13Qが外壁部11Qの下部寄りに接着されるため、前述の皺・縮みの問題(第1の課題)が、意匠テープ13Qの下縁部131Qの側に生ずる。この点を除いて、図4のベルトモール1Pと同様である。なお、メラメラ感(第2の課題)については、図4のベルトモール1Pと全く同様である。
【0015】
また、図4と図5では、意匠テープ13P/13Qの幅が外壁部11P/11Qの幅よりも狭かったため、意匠テープ13P/13Qを外壁部11Pの上寄り/外壁部11Qの下寄りに接着しており、その結果、意匠テープ13Pの上縁部131P側/意匠テープ13Qの下縁部131Q側に皺・縮みの問題(第1の課題)が生じたのであるが、仮に、外壁部の幅と略同等の幅の意匠テープを用いるのであれば、皺・縮みの問題(第1の課題)は、意匠テープの上縁部側と下縁部側の両者で生ずることは言うまでもない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、下記[1]〜[2]のように構成される。なお、この項(課題を解決するための手段)と次項(発明の効果)に於いて、符号等は理解を容易にするために付したものであり、本発明の構成を符号等の構成に限定する趣旨ではない。
【0017】
[1]構成1
[1-1] 図1参照
長尺状の外壁部11と該外壁部11の上縁部から折り返して延設された内壁部12とを有する硬質樹脂製のモール本体と、前記外壁部11の外表面に接着された意匠テープ13と、前記外壁部11の少なくとも一方の縁部(「外壁部11の上縁部及び/又は下縁部」の意味;図1の例では外壁部11の上縁部)近傍から立設された軟質樹脂製のリップ15とを有し、前記外壁部11と内壁部12の間隙に自動車用ドアパネル2の上縁部を挟み込むようにして該ドアパネル2に取り付けられるベルトモール1であって、
前記意匠テープ13が接着される外壁部11の外表面は長手直交方向に於いて凸を成すように湾曲形成され、前記接着された意匠テープ13の少なくとも一方の縁部131は前記リップ15の根元部151により被覆された当該縁部131の端側の被覆部13−cと該被覆部13−cに連なる露出部13−eを有し、前記外壁部11は前記被覆部13−cに対応する部位内に前記露出部13−eに対応する部位より曲率が大きな最大曲率部13−mを有する、
ことを特徴とするベルトモール1。
接着とは、剥がれないように被覆することであり、溶着と貼着を含む概念である。
内壁部12は、外壁部11の上縁部から折り返して延設されているが、ここで、上縁部の「上」は、ベルトモール1を自動車用ドアパネル2に取り付けて該ドアパネル2を自動車に取り付けた場合の上下を基準とする。下記[1-2] や[1-3] でも同様である。
外壁部11の曲率は、最大曲率部13−mに対応する部位より端側(少なくとも一方の縁部の端側)では、最大曲率部13−m以下であればよく、露出部13−eに対応する部位の曲率との大小関係は任意である。即ち、露出部13−eに対応する部位より大きくてもよく、等しくてもよく、小さくてもよい。また、曲率=0(直線状)でもよい。図2や図3(a)の場合も同様とする。
[1-2] 図2参照
長尺状の外壁部11Aと該外壁部11Aの上縁部から折り返して延設された内壁部12Aとを有する硬質樹脂製のモール本体と、前記外壁部11Aの外表面に接着された意匠テープ13Aと、前記外壁部11Aの少なくとも一方の縁部(「外壁部11Aの上縁部及び/又は下縁部」の意味;図2の例では外壁部11Aの下縁部)近傍から立設された軟質樹脂製のリップ(下舌部)18Aとを有し、前記外壁部11Aと内壁部12Aの間隙に自動車用ドアパネル2の上縁部を挟み込むようにして該ドアパネル2に取り付けられるベルトモール1Aであって、
前記意匠テープ13Aが接着される外壁部11Aの外表面は長手直交方向に於いて凸を成すように湾曲形成され、前記接着された意匠テープ13Aの少なくとも一方の縁部131Aは前記リップ18Aの根元部181Aにより被覆された当該縁部131Aの端側の被覆部13A−cと該被覆部13A−cに連なる露出部13A−eを有し、前記外壁部11Aは前記被覆部13A−cに対応する部位内に前記露出部13A−eに対応する部位より曲率が大きな最大曲率部13A−mを有する、
ことを特徴とするベルトモール1A。
[1-3] 図3(a)参照
長尺状の外壁部11Bと該外壁部11Bの上縁部から折り返して延設された内壁部12Bとを有する硬質樹脂製のモール本体と、前記外壁部11Bの外表面に接着された意匠テープ13Bと、前記外壁部11Bの少なくとも一方の縁部(「外壁部11Bの上縁部及び/又は下縁部」の意味;図3(a)の例では外壁部11Bの上縁部及び下縁部)近傍から立設された軟質樹脂製のリップ(下舌部)15B・18Bとを有し、前記外壁部11Bと内壁部12Bの間隙に自動車用ドアパネル2の上縁部を挟み込むようにして該ドアパネル2に取り付けられるベルトモール1Bであって、
前記意匠テープ13Bが接着される外壁部11Bの外表面は長手直交方向に於いて凸を成すように湾曲形成され、前記接着された意匠テープ13Bの少なくとも一方の縁部131B・131BBは前記リップ(下舌部)15B・18Bの根元部151B・181Bにより被覆された当該縁部131B・131BBの端側の被覆部13B−cと該被覆部13B−cに連なる露出部13B−eを有し、前記外壁部11Bは前記被覆部13B−cに対応する部位内に前記露出部13B−eに対応する部位より曲率が大きな最大曲率部13B−mを有する、
ことを特徴とするベルトモール1B。
【0018】
[2]構成2
構成1に於いて、
前記意匠テープ13/13A/13Bの少なくとも一方の縁部131/131A/131B・131BBに対応している外壁部は、前記リップ15/18A/15B・18Bの根元部151/181A/151B・181B内へ突設されている、
ことを特徴とするベルトモール1/1A/1B。
根元部151/181A/151B・181Bとは、リップ15/18A/15B・18Bが、外壁部11の上縁部及び内壁部12の上縁部/外壁部11Aの下縁部/外壁部11Bの上縁部及び内壁部12Bの上縁部・外壁部11Bの下縁部に溶着されている部位全体を言う。
【発明の効果】
【0019】
構成1は、長尺状の外壁部11と該外壁部11の上縁部から折り返して延設された内壁部12とを有する硬質樹脂製のモール本体と、前記外壁部11の外表面に接着された意匠テープ13と、前記外壁部11の少なくとも一方の縁部(「外壁部11の上縁部及び/又は下縁部」の意味;図1の例では外壁部11の上縁部)近傍から立設された軟質樹脂製のリップ15とを有し、前記外壁部11と内壁部12の間隙に自動車用ドアパネル2の上縁部を挟み込むようにして該ドアパネル2に取り付けられるベルトモール1であって、前記意匠テープ13が接着される外壁部11の外表面は長手直交方向に於いて凸を成すように湾曲形成され、前記接着された意匠テープ13の少なくとも一方の縁部131は前記リップ15の根元部151により被覆された当該縁部131の端側の被覆部13−cと該被覆部13−cに連なる露出部13−eを有し、前記外壁部11は前記被覆部13−cに対応する部位内に前記露出部13−eに対応する部位より曲率が大きな最大曲率部13−mを有する、ことを特徴とするベルトモール1であるため、意匠テープ13の縁部131の皺や皺に起因する意匠テープ13の縮みを防止できるとともに、意匠テープ13面からの反射光の方向の不揃いや不均一さを抑制できる。また、そのための別途のコストも不要である。なお、ベルトモール1Aや1Bも同様である。
【0020】
構成2は、構成1に於いて、前記意匠テープ13/13A/13Bの少なくとも一方の縁部131/131A/131B・131BBに対応している外壁部は、前記リップ15/18A/15B・18Bの根元部151/181A/151B・181B内へ突設されている、ことを特徴とするベルトモール1/1A/1Bであるため、構成1の効果に加えて、さらに、ベルトモールとしての外形寸法を変更することなく、意匠テープ13/13A/13Bの縁部131/131A/131B・131BBを十分に覆うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ベルトモールの上縁部に本発明の特徴点を有する第1の実施の形態のベルトモールの断面図(a)と、その要部拡大図(b)と、変形例の要部拡大図(c)。
【図2】ベルトモールの下縁部に本発明の特徴点を有する第2の実施の形態のベルトモールの断面図(a)と、その要部拡大図(b)。
【図3】ベルトモールの上縁部及び下縁部にそれぞれ本発明の特徴点を有する第3の実施の形態のベルトモールの断面図(a)と、従来及び本発明の各ベルトモールの取付位置を示す模式図(b)。矢視S−Sが図1、2、4、5の断面位置を示す。
【図4】第1の実施の形態に対応するベルトモールであって不具合を有するものの断面図(a)と、その要部拡大図(b)と、変形例の場合の要部拡大図(c)。
【図5】第2の実施の形態に対応するベルトモールであって不具合を有するものの断面図(a)と、その要部拡大図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
(1)第1の実施の形態;図1
図1に示すベルトモール1は、長尺状の外壁部11とその上縁部から折り返して延設された内壁部12とを有する硬質樹脂(PP)製のモール本体と、外壁部11の外表面・上部寄り領域(外壁テープ台部110)にて長手方向に溶着された意匠テープ13と、外壁部11の上縁部近傍でもある内壁部12の上縁部から立設された軟質樹脂(TPO)製の上シールリップ15とを有するとともに、内壁部12の下部から立設された軟質樹脂(TPO)製の下シールリップ16と、外壁部11の内表面・略中央部から立設された軟質樹脂(TPO)製の上舌部17と、外壁部11の下端から延設された軟質樹脂(TPO)製の下舌部(下舌リップ)18とを有する。さらに、外壁部11の下端部近傍の内壁面からは外壁係止部112がモール本体内側へ向けて立設されており、内壁部12の下端部近傍の内壁面からは内壁係止部122が同様に立設されている。
【0023】
このベルトモール1は、外壁部11と内壁部12の間隙に自動車用ドアパネル2の上縁部を挟み込み、外壁係止部112と内壁係止部122をドアパネル2の対応部位に係止することにより、該ドアパネル2に取り付けられる。これにより、上シールリップ15及び下シールリップ16はウインドガラス(不図示)に弾性的に摺接する。また、上舌部17及び下舌部18はアウタパネルの上縁部の外表面に弾接する。
【0024】
ベルトモール1の外壁部11では、上部寄りの領域に外壁テープ台部110が設定されており、この外壁テープ台部110の表面を覆うように、意匠テープ13が溶着されている。外壁テープ台部110の表面は、長手直交方向(意匠テープ13の幅方向)に於いて凸を成すように、湾曲形成されている。また、外壁テープ台部110の上縁部(この部位は、内壁部12の上縁部でもある)には、外壁テープ台部110から連なるテープ接着面を有するテープ縁支持部1101が、上シールリップ15の根元部151内へ突出するようにして設けられている。このテープ縁支持部1101のテープ接着面に意匠テープ13の上縁部131が溶着される結果、意匠テープ13の上縁部131は、上シールリップ15の根元部151によって被覆される。即ち、被覆部13−cが設定される。この被覆部13−cの内側(図1で左側)に、上シールリップ15の根元部151により被覆されないで露出される露出部13−eが連なる。
【0025】
外壁テープ台部110において、被覆部13−cに対応する部位(被覆部13−cの直下の部位)には、表面の曲率が、被覆部13−cに対応する部位(被覆部13−cの直下の部位)と露出部13−eに対応する部位(露出部13−eの直下の部位)の中で最大となる部位、つまり、最大曲率部13−m*110が位置する。例えば、図1(b)の例では、被覆部13−cと露出部13−eの境界から少し被覆部13−c内へ入り込んだ位置に対応する部位(当該入り込んだ位置の直下の部位)に、最大曲率部13−m*110が位置する。また、図1(c)の例では、被覆部13−cと露出部13−eの境界と略同じ位置(境界と同じ位置か、又は、境界からほんの僅かだけ被覆部13−c内へ入り込んだ位置)に対応する部位(当該入り込んだ位置の直下の部位)に、最大曲率部13−m*110’が位置する。
【0026】
被覆部13−cに対応する部位(被覆部13−cの直下の部位)の中で最大曲率部13−m*110を除く部分の曲率と、露出部13−eに対応する部位(露出部13−eの直下の部位)の曲率との大小関係は任意である。即ち、被覆部13−cに対応する部位(被覆部13−cの直下の部位)の中で最大曲率部13−m*110を除く部位の曲率が、露出部13−eに対応する部位(露出部13−eの直下の部位)の曲率より、大きくてもよく、小さくてもよく、同じでもよい。また、前述のように「外壁テープ台部110の表面は、長手直交方向(意匠テープ13の幅方向)に於いて凸を成すように、湾曲形成されている」のであるが、被覆部13−cに対応する部位(被覆部13−cの直下の部位)の中で最大曲率部13−m*110を除く部分に関しては、その曲率は「0」でもよい。つまり、直線状を成していてもよい。なお、これらのことは、後述の第2や第3の実施の形態の被覆部13A−c/13B−cに対応する部位(被覆部13A−c/13B−cの直下の部位)の曲率に関しても同様である。
【0027】
このように、外壁テープ台110の表面が長手直交方向(意匠テープ13の幅方向)に於いて凸を成すように湾曲形成されているため、意匠テープ13の面からの反射光の当該の方向の断面での方向は理想状態でも平行ではなく、放射状を成す。したがって、外壁テープ台110の表面が、多少、平滑性に欠けていたとしても、反射光の方向の乱れが目立たなくなり、像の歪み乃至は所謂メラメラ感も目立たなくなる。また、湾曲形成されている結果、外壁テープ台110の下縁部が、隣接する外壁露出台部111の上縁部よりも大きく窪むこととなり、外壁露出台部111の上層として相対的に硬質のTPOを用いて形成されている外壁露出面部1110の上縁部が、意匠テープ13の下縁部を十分な厚さで覆うことができるようになり、意匠テープ13がその部分で剥がれることを確実に防止できる。なお、図1(a)に於いて外壁露出面部1110の表面を上方へ延長した線が、ベルトモールの本来の外形線を与える。言い換えれば、外壁部11の外形状は、従前のベルトモールと同じ外形線内に納められている。このため、関連する他部材との関係で必要となる試験要素の変更も最小限で足りる。また、前述のように、外壁テープ台部110から連なるテープ接着面を有するテープ縁支持部1101が、上シールリップ15の根元部151内へ突出するようにして設けられている。このため、従前のベルトモールの外形寸法を変更することなく、意匠テープ13の縁部131を十分に覆うことができる。
【0028】
また、前述のように、外壁テープ台部110では、露出部13−eに対応する部位(露出部13−eの直下の部位)ではなく、隠される部位である被覆部13−cに対応する部位(被覆部13−cの直下の部位)に最大曲率部13−m*110が位置している。このため、意匠性を害することなく、外壁テープ台部110の表面に設けられている意匠テープ13に対して若干の張力を加えることができ、その結果、像の歪み乃至は所謂メラメラ感を目立たなくさせる効果を、さらに高めることができる。
【0029】
(2)第2の実施の形態;図2
つぎに、第2の実施の形態を説明する。
第1の実施の形態では符号として数字のみを用いており、アルファベットは添えていなかったが、第2の実施の形態では「A」を添え、これにより、第2の実施の形態のベルトモール1Aであることを示す。なお、符号の中の数字部分(「A」の前の数字)は、図1と図2とで同等の部分について同じ数字を用いている。以下では、図1と異なる点を重点的に説明し、同じ点については符号中の同じ数字で示すことにより説明を省略する。
【0030】
図2に示すベルトモール1Aは、長尺状の外壁部11Aとその上縁部から折り返して延設された内壁部12Aとを有する硬質樹脂(PP)製のモール本体と、外壁部11Aの外表面・下部寄り領域(外壁テープ台部110A)にて長手方向に溶着された意匠テープ13Aと、外壁部11Aの下端部から延設された軟質樹脂(TPO)製の下舌部(リップ)18Aとを有するとともに、外壁部11Aの上縁部近傍でもある内壁部12Aの上縁部から立設された軟質樹脂(TPO)製の上シールリップ15Aと、下部から立設された軟質樹脂(TPO)製の下シールリップ16Aと、外壁部11Aの内表面・略中央部から立設された軟質樹脂(TPO)製の上舌部17Aとを有する。さらに、外壁部11Aの下端部近傍の内壁面からは外壁係止部112Aがモール本体内側へ向けて立設されており、内壁部12Aの下端部近傍の内壁面からは内壁係止部122Aが同様に立設されている。
【0031】
図1と図2の比較から分かるように、図2のベルトモール1Aでは意匠テープ13Aが外壁部11Aの下部寄りに設けられた外壁テープ台部110Aに溶着されるため、なんらの対策を施さない場合、意匠テープ13Aの縁部付近の皺・縮みの問題が、意匠テープ13Aの下縁部131Aの側に生ずる。
【0032】
このため、第2の実施の形態では、図2(b)に示すように、外壁テープ台部110Aの下端を下舌部(リップ)18Aの根元部181A内へ突出させて外壁テープ台部110から連なるテープ接着面を有するテープ縁支持部1101Aを構成し、その表面に、意匠テープ13Aの下縁部131Aを溶着することにより、また、最大曲率部13A−m*110Aを被覆部13A−cに対応する部位(被覆部13A−cの直下の部位)に設定することにより、上記の問題を解決している。
【0033】
(3)第3の実施の形態;図3(a)
第3の実施の形態は、意匠テープ13Bの上縁部131Bについて第1の実施の形態と同様の対策を施すとともに、意匠テープ13Bの下縁部131BBについて第2の実施の形態と同様の対策を施したものである。これにより、上縁部131B側に関しては第1の実施の形態と同様の効果を得るとともに、下縁部131BBの側に関しては第2の実施の形態と同様の効果を得ている。
【符号の説明】
【0034】
1,1A,1B ベルトモール(第1〜第3の実施の形態)
11,11A,11B 本体外壁部
110,110A,110B 外壁テープ台部
1101,1101A,1101B,1101BB テープ縁支持部
111,111A 外壁露出台部
1110,1110A 外壁露出面部
112,112A,112B 外壁係止部
12,12A,12B 本体内壁部
122,122A,122B 内壁係止部
13,13A,13B 意匠テープ
131,131A,131B,131BB テープ(上/下)縁部
13−c,13A−c,13B−c 被覆部
13−e,13A−e,13B−e 露出部
13−m*110,13−m*110’ 最大曲率部
13A−m*110A,13B−m*110B 最大曲率部
15,15A,15B 上シールリップ
151,151A,151B 上シールリップ根元部
16,16A,16B 下シールリップ
17,17A,17B 上舌部
18,18A,18B 下舌部(リップ)
181A,181B 下舌根元部
【0035】
1P,1Q ベルトモール(不具合を有する例)
11P,11Q 本体外壁部
110P,110Q 外壁テープ台部
111P,111Q 外壁露出台部
1110P,1110Q 外壁露出面部
112P,112Q 外壁係止部
12P,12Q 本体内壁部
122P,122Q 内壁係止部
13P,13Q 意匠テープ
131P,131PP,131Q テープ(上/下)縁部
15P,15Q 上シールリップ
16P,16Q 下シールリップ
17P,17Q 上舌部
18P,18Q 下舌部(リップ)
2 自動車用ドアパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の外壁部と該外壁部の上縁部から折り返して延設された内壁部とを有する硬質樹脂製のモール本体と、前記外壁部の外表面に接着された意匠テープと、前記外壁部の少なくとも一方の縁部近傍から立設された軟質樹脂製のリップとを有し、前記外壁部と内壁部の間隙に自動車用ドアパネルの上縁部を挟み込むようにして該ドアパネルに取り付けられるベルトモールであって、
前記意匠テープが接着される外壁部の外表面は長手直交方向に於いて凸を成すように湾曲形成され、前記接着された意匠テープの少なくとも一方の縁部は前記リップの根元部により被覆された当該縁部の端側の被覆部と該被覆部に連なる露出部を有し、前記外壁部は前記被覆部に対応する部位内に前記露出部に対応する部位より曲率が大きな最大曲率部を有する、
ことを特徴とするベルトモール。
【請求項2】
請求項1に於いて、
前記意匠テープの少なくとも一方の縁部に対応している外壁部は、前記リップの根元部内へ突設されている、
ことを特徴とするベルトモール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−224102(P2012−224102A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90517(P2011−90517)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【Fターム(参考)】