ベルト取付治具
【課題】ベルト取付治具をコンパクトな構成にすると共に、プーリへのベルト取付時に作用するベルトの張力を下げて取付性を向上させる。
【解決手段】クランクプーリ2の外周及び両側面2d・2eを覆う取付部11は、クランクプーリ2の外周に沿う外周部13と、外周部13の一端からクランクプーリ2側面2dに沿う第一フランジ部14と、外周部13の他端からクランクプーリ2の側面2eに沿う第二フランジ部15とから成る。第一フランジ部14から側面2d方向であって、クランクプーリ2の外周よりも内径側で突設されたベルト保持部12は、Vリブドベルト4の側面が第一フランジ部14に当たってクランクプーリ2の外周に導入される際に、ベルト保持部12に保持されたVリブドベルト4の位置とクランクプーリ2の外周部に導入されたVリブドベルト4の位置との間で段差を形成するように突設している。
【解決手段】クランクプーリ2の外周及び両側面2d・2eを覆う取付部11は、クランクプーリ2の外周に沿う外周部13と、外周部13の一端からクランクプーリ2側面2dに沿う第一フランジ部14と、外周部13の他端からクランクプーリ2の側面2eに沿う第二フランジ部15とから成る。第一フランジ部14から側面2d方向であって、クランクプーリ2の外周よりも内径側で突設されたベルト保持部12は、Vリブドベルト4の側面が第一フランジ部14に当たってクランクプーリ2の外周に導入される際に、ベルト保持部12に保持されたVリブドベルト4の位置とクランクプーリ2の外周部に導入されたVリブドベルト4の位置との間で段差を形成するように突設している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト取付治具に関する。詳しくは、第一プーリと第二プーリの間へのベルトの巻掛け技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数のプーリにベルトを巻掛けてなるベルト伝動機構では、プーリ間で確実に動力を伝達させるために装着対象であるプーリ間のレイアウト周長よりもベルト周長を短くしてベルトに強い張力がかかるようになっている。
【0003】
このようにプーリ間のレイアウト周長よりもベルト周長が短いベルトをプーリに巻掛ける作業は手間がかかることがある。この手間を軽減させるために、特許文献1並びに特許文献2には、ベルトを周方向に伸長させてプーリ外周に巻掛ける作業を補助する治具が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されているベルト取付治具40は、円錐形部材43、傾斜平滑面44、弓形の脚部を有するガイドエリア45、直角に曲げられたフラップ46からなり、円錐形部材43とガイドエリア45にベルト27を載せた状態でプーリ60に沿って移動させることでベルト27を装着するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7247110号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0173737号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このベルト取付治具40は、円錐形部材43や傾斜平滑面44や弓形の脚部を有するガイドエリア45など複雑な構造をした部品により構成されている。また、このベルト取付治具40は、円錐形部材43がプーリ60の外周から径外方向に張り出した状態でプーリ60に取り付けられることになる。そうすると、ベルト27をプーリ60に巻掛けるに際して、ベルト27がプーリ60の外周から張り出した円錐形部材43を経由してプーリ60の外周に導入される分だけベルト27に余分な張力が作用してしまう。その結果、ベルト27をプーリ60に巻掛ける際に余分な力をかけることになり、ベルト27をプーリ60に巻掛け難くしてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ベルト取付治具をコンパクトな構成にするとともに、プーリへのベルト取付時に作用するベルトの張力を下げて取付性を向上させたベルト取付治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の発明は、第一プーリと第二プーリの間に、周長方向に伸縮可能なベルトを、前記第一プーリと前記第二プーリの軸間距離を固定したまま巻掛けるに際し、前記第一プーリの外周に設置して使用する、ベルト取付治具であって、前記第一プーリの外周及び両側面を覆って取り付けられる取付部と、前記取付部から前記第一プーリの一方の側面方向であって、前記第一プーリ外周よりも内径側で突設され、ベルトを保持するベルト保持部と、を備え、前記取付部は、前記第一プーリの外周に沿う外周部と、前記外周部の一端から前記第一プーリ側面に沿う第一フランジ部と、前記外周部の他端から前記第一プーリ側面に沿う第二フランジ部と、から成り、前記ベルト保持部は、前記ベルトの側面が前記第一フランジ部に当たって前記第一プーリの外周に導入される際に、前記ベルト保持部に保持された前記ベルトの位置と前記第一プーリの外周部に導入された前記ベルトの位置との間に段差が形成されるように突設されていることを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、取付部の外周部両端に設けられた第一フランジ部及び第二フランジ部を第一プーリの両側面に沿わせることにより第一プーリの外周に当該ベルト取付治具を安定して設置することができる。
そして、ベルト保持部が、取付部の第一プーリの一方の側面側において、第一プーリ外周よりも内径側で突設されているため、ベルトをベルト保持部を介して第一プーリの外周に導入する際に、ベルトの内周面がベルト保持部に当たり、ベルトの側面が第一フランジ部に当たって、ベルト保持部に保持されたベルトの位置と第一プーリの外周部に導入されたベルトの位置との間で段差を形成するようにして第一プーリの外周に導入することができる。
これによれば、特許文献1や特許文献2に挙げたように、ベルト保持部が第一プーリの外周よりも径外方向に張り出した形状をしているベルト取付治具に比べて、ベルトを第一プーリ及び第二プーリに巻掛ける際のベルトの張力を下げることができる。これにより、ベルトを第一プーリ及び第二プーリに巻掛ける際に必要な力を低減して、ベルトを巻掛け易くすることができる。
また、当該ベルト取付治具は、第一プーリの外周に設置した状態で、ベルト保持部が第一プーリの径外方向に張り出していないので、第一プーリの外周側に物理的空間の余裕がない場合でも使用が可能である。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明に係るベルト取付治具の前記取付部において、前記外周部の外周方向の一方の端部には、前記ベルトを前記第一プーリの外周に導入する切欠部が設けられ、前記第一フランジ部及び前記第二フランジ部は、前記切欠部を挟むように張り出しており、前記ベルト保持部は、前記取付部の中央よりも前記切欠部側に突設されていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、外周部の外周方向の一方の端部には、ベルトを第一プーリの外周に導入する切欠部が設けられているため、ベルトを第一プーリに巻掛ける際に、ベルトをベルト保持部から切欠部を通らせて第一プーリの外周に導入することができる。これにより、切欠部がない場合に比べて、ベルトをベルト保持部から第一プーリの外周に沿わせるまでの距離が短くなるので、ベルトを巻掛ける際のベルトに作用する張力を低くすることができ、巻掛け時の取付性を向上させることができる。また、ベルトをベルト保持部から切欠部を通らせて直ぐに第一プーリの外周に導入することができるので、ベルトがベルト取付治具から滑り外れるのを防止することができる。
【0012】
また、第一フランジ部及び第二フランジ部は、切欠部を挟むように張り出している。このため、第一フランジ部及び第二フランジ部の張り出し部分が第一プーリの両側面に当接することになり、安定してベルト取付治具を第一プーリに固定することができる。また、ベルトがベルト保持部から第一プーリの縁を跨いで切欠部を通って第一プーリの外周に導入される際に、第一プーリの縁を跨ぐ位置に第一フランジ部が張り出しているため、ベルトが直接第一プーリの縁に擦れて損傷するのを防止することができる。
【0013】
また、ベルト保持部は、取付部の中央よりも切欠部側に突設されている。このため、ベルトをベルト保持部から第一プーリの外周に沿わせるまでの距離が短くなるので、ベルトを巻掛ける際のベルトに作用する張力を低くすることができ、巻掛け時の取付性を向上させることができる。
【0014】
また、第3の発明は、第1の発明に係るベルト取付治具において、前記取付部は、前記第一プーリの外周に沿った円弧形状をしており、前記第一プーリの回転方向に起因する前記ベルトの取付方向の違いに対応できるように、前記円弧形状をした取付部の中央で面対称の形状をしていることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、取付部は、第一プーリの外周に沿った円弧形状をしているため、第一プーリの外周に安定して取り付けることができる。そして、当該ベルト取付治具は、面対称の形状をしているため、第一プーリの回転方向に起因したベルトの取付方向の違いに対応することができる。
【0016】
また、第4の発明は、第1〜第3の発明の何れかに係るベルト取付治具において、前記ベルト保持部は、前記第一プーリの側面に対して、垂直又は前記第一プーリの径外方向に鋭角を成すように傾斜していることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、ベルト保持部は、第一プーリの側面に対して、垂直又は第一プーリの径外方向に鋭角を成すように傾斜しているため、ベルトをベルト保持部に巻掛けた際に、ベルトを滑らせることなく保持することができる。
【0018】
また、第5の発明は、第1〜第4の発明の何れかに係るベルト取付治具において、前記第一プーリの側面に当接する当接面が前記第一フランジ部よりも内径側に配置された補強部を備えたことを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、第一プーリの側面に当接する当接面が第一フランジ部よりも内径側に配置された補強部を設けることにより、当該ベルト取付治具をより安定して第一プーリに装着することができる。
また、ベルトをベルト保持部に巻掛けた際に、ベルト保持部に過度の力がかかり折損の恐れがある。しかし、補強部を設けることで、ベルト保持部にかかる過度の力を分散することができ、ベルト保持部の折損を防止することができる。
【0020】
また、第6の発明は、第1〜第5の発明の何れかに係るベルト取付治具において、前記外周部の裏面に設けられ、前記第一プーリの外周面に設けられた溝に嵌合する嵌合部を備えたことを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、取付部の外周部の裏面に、第一プーリの外周面に設けられた溝に嵌合する嵌合部を設けることにより、ベルト取付治具を第一プーリの外周に設置する際に、第一プーリの外周面に設けられた溝と嵌合部とを嵌合させて、ベルト取付治具を第一プーリに強固に固定することができる。
【0022】
また、第7の発明は、第3の発明に係るベルト取付治具において、前記取付部には、前記ベルトが前記第一プーリの縁を跨ぐ位置に、前記ベルトと前記第一プーリの縁との接触を防止する損傷防止部が設けられており、前記ベルト保持部から巻掛けられた前記ベルトが前記損傷防止部を跨いで前記第一プーリの外周に導入されることを特徴としている。
【0023】
上記のように、取付部には、ベルトが第一プーリの縁を跨ぐ位置に、ベルトと第一プーリの縁との接触を防止する損傷防止部が設けられている。これによれば、ベルトが直接第一プーリの縁に擦れて損傷するのを防止することができる。
【0024】
また、第8の発明は、第3又は第7の発明に係るベルト取付治具において、前記外周部は、前記ベルトの張力によって前記第一プーリの外周に対して押圧される押圧面を有しており、前記押圧面には、前記ベルトの内周面に設けられたリブに嵌合する溝部が形成されていることを特徴としている。
【0025】
上記の構成によれば、外周部の押圧面に、ベルトの内周面に設けられたリブに嵌合する溝部を形成することにより、ベルトを外周部の押圧面を介して第一プーリの外周に導入する際に、ベルトの内周面に設けられたリブと押圧面に形成された溝部とが嵌合して、ベルトがベルト取付治具から滑り外れるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
ベルト取付治具をコンパクトな構成にするとともに、第一プーリと第二プーリの間に、周長方向に伸縮可能なベルトを、第一プーリと第二プーリの軸間距離を固定したまま巻掛ける際に作用するベルトの張力を下げて取付性を向上させたベルト取付治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係るエンジン本体の部分斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るクランクプーリの断面図である。
【図3】第1実施形態に係るベルト取付治具の斜視図である。
【図4】第1実施形態に係るベルト取付治具の六面図である。
【図5】第1実施形態に係るベルト取付治具をクランクプーリに装着した図である。
【図6】第1実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第一説明図である。
【図7】第1実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第二説明図である。
【図8】第1実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第三説明図である。
【図9】第1実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第四説明図である。
【図10】リブを設けた第1実施形態に係るベルト取付治具の説明図である。
【図11】溝部を設けた第1実施形態に係るベルト取付治具の説明図である。
【図12】第2実施形態に係るベルト取付治具の斜視図である。
【図13】第2実施形態に係るベルト取付治具の六面図である。
【図14】ベルト保持部を傾斜させた第2実施形態に係るベルト取付治具の説明図である。
【図15】補強部を設けた第2実施形態に係るベルト取付治具の説明図である。
【図16】第3実施形態に係るベルト取付治具の斜視図である。
【図17】第3実施形態に係るベルト取付治具の六面図である。
【図18】第4実施形態に係るベルト取付治具の斜視図である。
【図19】第4実施形態に係るベルト取付治具の六面図である。
【図20】第4実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第一説明図である。
【図21】第4実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第二説明図である。
【図22】第4実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第三説明図である。
【図23】第4実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第四説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本願発明の第1実施形態を説明する。本実施形態に係るベルト取付治具9は、クランクプーリ2とオルタネータのオルタネータプーリ3との間にVリブドベルト4を巻掛けする際に使用する。先ず、図1を参照しつつ、クランクプーリ2とオルタネータプーリ3に対するVリブドベルト4の巻掛けを説明し、図2を参照しつつ、クランクプーリ2の構造を説明する。
【0029】
図1に示されるように、エンジン本体1には、エンジンのクランク軸に連結されるクランクプーリ2(第一プーリ)と、オルタネータの入力軸に連結されるオルタネータプーリ3(第二プーリ)と、が所定の軸間距離を隔てて回転自在に支持される。このクランクプーリ2とオルタネータプーリ3との間には、実線と破線で示すVリブドベルト4が巻掛けされ、もって、クランク軸の動力が、クランクプーリ2、Vリブドベルト4、オルタネータプーリ3を順に介してオルタネータの入力軸に伝動されるようになっている。本実施形態では、クランクプーリ2とオルタネータプーリ3との間の軸間距離は変更不能とされ、また、図示するように、Vリブドベルト4に対して張力を付与する所謂オートテンショナ(張力付与手段)は搭載していない。
【0030】
(クランクプーリ2の構造)
図2に示すように、クランクプーリ2は、Vリブドベルト4の内周面に形成されるリブ4a(ベルトの内周面に設けられたリブ)と嵌合可能なプーリ溝2a(第一プーリの外周面に設けられた溝)を有し、このプーリ溝2aをプーリ軸方向で挟む一対のプーリフランジ2b・2c(第一プーリの縁)を備えている。このプーリフランジ2b・2cは、図2の断面視で、上記プーリ溝2aよりクランクプーリ2の径外方向へ若干、突出して形成されている。また、クランクプーリ2のボス部5には、エンジンの図示しないクランク軸が挿入される。符号2d・2eは、クランクプーリ2の側面を示す。なお、上記のVリブドベルト4は、その周長方向において若干伸縮可能な所謂低モジュラスベルトである。低モジュラスベルトは、心線にポリアミド繊維を用いることで、弾性率を比較的低くしたものであり、高弾性率のもの(所謂高モジュラスベルト)と比較して急激な張力低下が抑制される。
【0031】
なお、図1の太線矢印はVリブドベルト4の走行方向を示し、この走行方向にVリブドベルト4が走行するときのクランクプーリ2の回転方向を第一回転方向Aと、この第一回転方向Aと反対の方向を第二回転方向Bと、定義する。
【0032】
(ベルト取付治具9の構成)
次に、図3〜4を参照しつつ、本実施形態に係るベルト取付治具9の構成を説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係るベルト取付治具9の斜視図である。図3(a)〜(d)は、夫々、上記ベルト取付治具9を異なる方向から見た斜視図である。図4は、本発明の第1実施形態に係るベルト取付治具9の六面図である。図5は、ベルト取付治具9をクランクプーリ2に装着した図である。
【0033】
図3〜4には、コンパクトであってまとまりよく、一体的に形成されたベルト取付治具9が様々な方向から描かれている。
【0034】
図3及び図5に示されるように、ベルト取付治具9は、クランクプーリ2の外周及び両側面2d・2eを覆って取り付けられる取付部11と、取付部11から突設されたベルト保持部12とを主たる構成として備える。このベルト取付治具9は、クランクプーリ2幅に略等しく、図5に示すように、クランクプーリ2の外周に当接して使用するものであって、ベルト保持部12が図5に示されるクランクプーリ2の側面2d側に位置するように向きを定めて用いる。
【0035】
取付部11は、クランクプーリ2の外周に沿う外周部13と、外周部13の一端からクランクプーリ2の側面2dに沿う第一フランジ部14と、外周部13の他端からクランクプーリ2の側面2eに沿う第二フランジ部15とから構成されている。また、取付部11には、Vリブドベルト4がクランクプーリ2のプーリフランジ2bを跨ぐ位置に、Vリブドベルト4とプーリフランジ2bとの接触を防止する損傷防止部16・17が設けられている。
【0036】
外周部13は、図5に示すようにベルト取付治具9がクランクプーリ2の外周に当接された状態で、プーリ溝2a(外周)を覆う。この外周部13は、クランクプーリ2のプーリ溝2aに沿うように円弧形状に湾曲され、少なくともVリブドベルト4のベルト幅4w以上の幅を有している。
【0037】
第一フランジ部14は、外周部13をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、図5に示されるクランクプーリ2の側面2dに対して当接ないし密着するよう、外周部13の一端からクランクプーリ2の軸に向かって延在する。外周部13及び第一フランジ部14において、Vリブドベルト4と接触する損傷防止部16・17は面取りがなされて曲面形状になっている。これは、Vリブドベルト4巻掛け時にVリブドベルト4を損傷させないために設けている。また、第二フランジ部15も同様に、外周部13をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、図5に示されるクランクプーリ2の側面2eに対して当接ないし密着するよう、外周部13の他端からクランクプーリ2の軸に向かって延在する。
【0038】
ベルト保持部12は、図5に示すように、クランクプーリ2外周よりも内径側で第一フランジ部14から突設されている。具体的には、ベルト保持部12は、図6に示すように、Vリブドベルト4をベルト保持部12を介してクランクプーリ2の外周に導入する際に、Vリブドベルト4の内周面がベルト保持部12の保持面12cに当たり、Vリブドベルト4の側面が第一フランジ部14に当たることによって、ベルト保持部12に保持されたVリブドベルト4の位置とクランクプーリ2の外周部に導入されたVリブドベルト4の位置との間で段差を形成するように突設している。即ち、このベルト保持部12は、巻掛け時に、クランクプーリ2の側面2dからクランクプーリ2の外周に導入されるVリブドベルト4を屈曲させてクランクプーリ2の外周に沿わせる役割を果たす。なお、Vリブドベルト4巻掛け時に、Vリブドベルト4と接触するベルト保持部12の両縁12a・12bは、面取りがなされて曲面形状になっている。これは、Vリブドベルト4巻掛け時にVリブドベルト4を損傷させないために設けられている。
【0039】
また、上記で説明したベルト取付治具9は、図4に示すように、クランクプーリ2の回転方向(第一回転方向Aと第二回転方向B)に起因するVリブドベルト4の取付方向の違いに対応できるように、円弧形状をした取付部11の外周部13の中央の面Mで面対称の形状をしている。このようにベルト取付治具9を面対称構造とすることで、Vリブドベルト4がクランクプーリ2の側面2dからベルト保持部12の縁12b及び損傷防止部16を介してクランクプーリ2の外周に導入される取付方向、及び、その逆でVリブドベルト4がクランクプーリ2の側面2dからベルト保持部12の縁12a及び損傷防止部17を介してクランクプーリ2の外周に導入される取付方向の両方の取付方向に対応して使用することができる。
【0040】
(ベルト取付治具9の使用方法)
次に、図6〜図9を参照しつつ、上記のベルト取付治具9の使用方法を説明する。図6は、ベルト取付治具9の使用方法の第一説明図である。図7は、ベルト取付治具9の使用方法の第二説明図である。図8は、ベルト取付治具9の使用方法の第三説明図である。図9は、ベルト取付治具9の使用方法の第四説明図である。
【0041】
先ず、図6に示されるように、クランクプーリ2のボス部5にレンチ37の円筒形状である連結部37aを連結し、クランクプーリ2を手動で自由に回転できるようにする。
【0042】
<手順(a)>
次に、図5に示すように、ベルト取付治具9の外周部13がクランクプーリ2の外周に沿うように、第一フランジ部14及び第二フランジ部15をクランクプーリ2の側面2d・2eに当接させる。
【0043】
<手順(b)>
この状態で、図6に示すように、Vリブドベルト4をオルタネータプーリ3に巻掛けする。そして、Vリブドベルト4をクランクプーリ2の側面2d上を通ってベルト保持部12の縁12bで屈曲させてVリブドベルト4の内周面がベルト保持部12の保持面12cに当接するように巻掛ける。更に、Vリブドベルト4の側面を第一フランジ部14に当接させた後、損傷防止部16を跨がせたうえで外周部13上を交差させてクランクプーリ2の外周に沿わせる。詳しくは、オルタネータプーリ3に巻掛けしたVリブドベルト4は、Vリブドベルト4の移動方向と反対の方向に順に、即ち、ベルト取付治具9、クランクプーリ2のプーリ溝2aに対してこの順番で巻掛けられる。この結果、Vリブドベルト4は、ベルト保持部12とクランクプーリ2の外周との間で段差が形成されるように巻掛けられることになる。
【0044】
<手順(c)>
次に、図7に示すように、レンチ37を用いてクランクプーリ2を第一回転方向Aに回転させる。
【0045】
詳しくは、先ず、図6の状態から図7の状態となるようにクランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。すると、Vリブドベルト4には、伸張されることにより高い張力が発生する。上記張力は、Vリブドベルト4が外周部13上を交差しているので外周部13をクランクプーリ2の外周に対して押圧する押圧作用として働き、ベルト取付治具9とクランクプーリ2とをより強固に固定する。
【0046】
継続して、図7の状態から図8の状態となるようにクランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。そして、更に、図8の状態から図9の状態となるようにクランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させると、ベルト取付治具9のベルト保持部12に巻掛けられていたVリブドベルト4が損傷防止部16を乗り越えて、外周部13上に移動する。
【0047】
詳しくは、クランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させると、クランクプーリ2のプーリ溝2aに対するVリブドベルト4のリブ4aの嵌合の領域が徐々に広範になる。
【0048】
更に、クランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。すると、外周部13上のVリブドベルト4が外周部13を離れてクランクプーリ2の外周へと移動する。この移動後、ベルト取付治具9をクランクプーリ2の外周から回収する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係るベルト取付治具9によれば、取付部11の外周部13両端に設けられた第一フランジ部14及び第二フランジ部15をクランクプーリ2の両側面2d・2eに沿わせることによりクランクプーリ2の外周に当該ベルト取付治具9を安定して設置することができる。
【0050】
また、ベルト保持部12が、取付部11のクランクプーリ2の側面2d側において、クランクプーリ2の外周よりも内径側で突設されているため、Vリブドベルト4をベルト保持部12を介してクランクプーリ2の外周に導入する際に、Vリブドベルト4の内周面がベルト保持部12に当たり、Vリブドベルト4の側面が第一フランジ部14に当たって、ベルト保持部12に保持されたVリブドベルト4の位置とクランクプーリ2の外周部に導入されたVリブドベルト4の位置との間で段差を形成するようにしてクランクプーリ2の外周に導入することができる。これによれば、ベルト保持部12がクランクプーリ2の外周よりも径外方向に張り出した形状をしているベルト取付治具に比べて、Vリブドベルト4をクランクプーリ2及びオルタネータプーリ3に巻掛ける際のVリブドベルト4の張力を下げることができる。これにより、Vリブドベルト4をクランクプーリ2及びオルタネータプーリ3に巻掛ける際に必要な力を低減して、Vリブドベルト4を巻掛け易くすることができる。
【0051】
また、当該ベルト取付治具9は、クランクプーリ2の外周に設置した状態で、ベルト保持部12がクランクプーリ2の径外方向に張り出していないコンパクトな構成をしているので、クランクプーリ2の外周側に物理的空間の余裕がない場合でも使用が可能である。
【0052】
また、上記のベルト取付治具9によれば、取付部11が、クランクプーリ2の外周に沿った円弧形状をしているため、クランクプーリ2の外周に対して安定して取り付けることができる。そして、当該ベルト取付治具9は、面対称の形状をしているため、クランクプーリ2の回転方向(第一回転方向A、第二回転方向B)に起因したVリブドベルト4の取付方向の違いに対応することができる。
【0053】
また、上記のように、取付部11には、Vリブドベルト4がクランクプーリ2のプーリフランジ2bを跨ぐ位置に、Vリブドベルト4とプーリフランジ2bとの接触を防止する損傷防止部16・17が設けられている。これによれば、Vリブドベルト4が直接プーリフランジ2bに擦れて損傷するのを防止することができる。
【0054】
以上、第1実施形態に係るベルト取付治具9について説明したが、本発明は更に下記構成を追加して実施してもよい。
【0055】
例えば、図10に示すように、ベルト取付治具9において、取付部11の外周部13の裏面13bに、クランクプーリ2の外周面に設けられたプーリ溝2aに嵌合するリブ20(嵌合部)を設けた構成としてもよい。
【0056】
上記の構成によれば、取付部11の外周部13の裏面13bに、クランクプーリ2の外周面に設けられたプーリ溝2aに嵌合するリブ20を設けることにより、ベルト取付治具9をクランクプーリ2の外周に設置する際に、クランクプーリ2の外周面に設けられたプーリ溝2aとリブ20とを嵌合させて、ベルト取付治具9をクランクプーリ2に強固に固定することができる。
【0057】
また、図11に示すように、ベルト取付治具9において、取付部11の外周部13には、巻掛け時にVリブドベルト4の張力によってクランクプーリ2の外周に対して押圧される押圧面13aが設けられており、その押圧面13aには、Vリブドベルト4の内周面に形成されたリブ4aと嵌合可能な溝部13cが形成されていてもよい。ここで、溝部13cは、図11に示すように、外周部13の各々の側端部13e・13fから第一フランジ部14にかけて傾斜したラインを描くように形成されている。こうすることで、Vリブドベルト4を溝部13cにスムーズに沿わせることができる。
【0058】
上記の構成によれば、取付部11の外周部13の押圧面13aに、Vリブドベルト4の内周面に設けられたリブ4aに嵌合する溝部13cを形成することにより、Vリブドベルト4を外周部13の押圧面13aを介してクランクプーリ2の外周に導入する際に、Vリブドベルト4の内周面に設けられたリブ4aと押圧面13aに形成された溝部13cとが嵌合して、Vリブドベルト4がベルト取付治具9から滑り外れるのを防止することができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、図12及び図13を参照しつつ、第2実施形態に係るベルト取付治具209の構成を説明する。第1実施形態に係るベルト取付治具9は面対称構造をしていたが、第2実施形態に係るベルト取付治具209は面対称構造とはせずに、しかも、損傷防止部を設けない構造としている。なお、第1実施形態と同様の箇所は説明を省略して説明する。図12(a)〜(b)は、夫々、上記ベルト取付治具209を異なる方向から見た斜視図である。図13は、第2実施形態に係るベルト取付治具209の六面図である。
【0060】
図12及び図13には、コンパクトであってまとまりよく、一体的に形成されたベルト取付治具209が様々な方向から描かれている。
【0061】
図12及び図13に示すように、ベルト取付治具209は、クランクプーリ2の外周及び両側面2d・2eを覆って取り付けられる取付部211と、取付部211から突設されたベルト保持部212とを主たる構成として備える。ベルト取付治具209は、左右面対称となったベルト取付治具9の半分の形状に近い構成をしている。
【0062】
取付部211は、クランクプーリ2の外周に沿う外周部213と、外周部213の一端からクランクプーリ2の側面2dに沿う第一フランジ部214と、外周部213の他端からクランクプーリ2の側面2eに沿う第二フランジ部215とから構成されている。外周部213は、ベルト取付治具209がクランクプーリ2の外周に当接された状態で、プーリ溝2a(外周)を覆う。この外周部213は、円弧形状に湾曲されているが、その長さはベルト取付治具9の外周部13のおよそ半分である。第一フランジ部214は、外周部213をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、クランクプーリ2の側面2dに対して当接ないし密着するよう、外周部213の一端からクランクプーリ2の軸に向かって延在する。また、第二フランジ部215も同様に、外周部213をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、クランクプーリ2の側面2eに対して当接ないし密着するよう、外周部213の他端からクランクプーリ2の軸に向かって延在する。なお、第2実施形態では、損傷防止部を設けていない分だけよりコンパクトな構成とすることができる。
【0063】
ベルト保持部212は、クランクプーリ2外周よりも内径側で第一フランジ部214から突設されている。このベルト保持部212の大きさは、ベルト取付治具9のベルト保持部12のおよそ半分であり、第一フランジ部214に対して垂直に突設されている。そして、ベルト保持部212は、Vリブドベルト4を、ベルト保持部212を介してクランクプーリ2の外周に導入する際に、Vリブドベルト4の内周面がベルト保持部212の保持面212cに当たり、Vリブドベルト4の側面が第一フランジ部214に当たって、ベルト保持部212に保持されたVリブドベルト4の位置とクランクプーリ2の外周部に導入されたVリブドベルト4の位置との間で段差を形成するように突設している。このベルト保持部212は、巻掛け時に、クランクプーリ2の側面2dからクランクプーリ2の外周に導入されるVリブドベルト4を屈曲させてクランクプーリ2の外周に沿わせる役割を果たす。なお、Vリブドベルト4巻掛け時に、Vリブドベルト4と接触するベルト保持部212の縁212aは、面取りがなされて曲面形状になっている。これは、Vリブドベルト4巻掛け時にVリブドベルト4を損傷させないために設けられている。
【0064】
以上、第2実施形態に係るベルト取付治具209について説明したが、本発明は更に下記構成を追加して実施してもよい。
【0065】
例えば、図14に示すように、ベルト保持部212を、第一フランジ部214に対して、クランクプーリ2の径外方向に鋭角αを成すように傾斜させてもよい。
【0066】
上記の構成によれば、ベルト保持部212を、クランクプーリ2の側面2dに対して、クランクプーリ2の径外方向に鋭角αを成すように傾斜させることができるため、Vリブドベルト4をベルト保持部212に巻掛けた際に、Vリブドベルト4を滑らせることなく保持することができる。なお、ここで径外方向とは、ベルト取付治具209がクランクプーリ2に装着された状態で、クランクプーリ2の軸から外周に向かう方向のことをいう。
【0067】
また、図15(a)(b)に示すように、ベルト取付治具209に、クランクプーリ2の側面2dに当接する当接面230aが第一フランジ部214よりも内径側に配置された補強部230を更に備えさせた構成としてもよい。
【0068】
上記の構成によれば、クランクプーリ2の側面2dに当接する当接面230aが第一フランジ部214よりも内径側に配置された補強部230を設けることにより、当該ベルト取付治具209をより安定してクランクプーリ2に装着することができる。また、Vリブドベルト4をベルト保持部212に巻掛けた際に、ベルト保持部212に過度の力がかかり折損の恐れがあるが、補強部230を設けることで、ベルト保持部212にかかる過度の力を分散することができ、ベルト保持部212の折損を防止することができる。
【0069】
(第3実施形態)
次に、図16及び図17を参照しつつ、第3実施形態に係るベルト取付治具309の構成を説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同様の箇所は説明を省略して説明する。図16は、上記ベルト取付治具309の斜視図である。図17は、第3実施形態に係るベルト取付治具309の六面図である。
【0070】
図16及び図17に示されるように、ベルト取付治具309は、クランクプーリ2の外周及び両側面2d・2eを覆って取り付けられる取付部311と、取付部311から突設されたベルト保持部312と、ベルト保持部312から突設された補強部330とを主たる構成として備える。
【0071】
取付部311は、クランクプーリ2の外周に沿う外周部313と、外周部313の一端からクランクプーリ2の側面2dに沿う第一フランジ部314と、外周部313の他端からクランクプーリ2の側面2eに沿う第二フランジ部315とから構成されている。第一フランジ部314は、外周部313をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、クランクプーリ2の側面2dに対して当接ないし密着するよう、外周部313の一端313aからクランクプーリ2の軸に向かって延在する。また、第二フランジ部315も同様に、外周部313をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、クランクプーリ2の側面2eに対して当接ないし密着するよう、外周部313の他端313bからクランクプーリ2の軸に向かって延在する。
【0072】
ベルト保持部312は、クランクプーリ2外周よりも内径側で第一フランジ部314の端部314aから突設されている。具体的には、ベルト保持部312は、Vリブドベルト4を、ベルト保持部312を介してクランクプーリ2の外周に導入する際に、Vリブドベルト4の内周面がベルト保持部312の保持面312cに当たり、Vリブドベルト4の側面が第一フランジ部314に当たって、Vリブドベルト4がベルト保持部312とクランクプーリ2の外周との間で段差を形成するように突設している。
【0073】
補強部330は、ベルト保持部312の頂部312eから、その当接面330aがクランクプーリ2の側面2dに当接するように側面2d向かって傾斜している。こうすることにより、クランクプーリ2の側面2dに当接する当接面330aが第一フランジ部314よりも内径側に配置されることになる。
【0074】
更に、上記で説明したベルト取付治具309は、一枚の鉄板により製作可能となっている。即ち、ベルト取付治具309は、外周部313の他端313bで90°に折り曲げることで、外周部313と第二フランジ部315とを分ける。また、外周部313の一端313aで90°に折り曲げることで、外周部313と第一フランジ部314とを分ける。また、第一フランジ部314の端部314aで90°に折り曲げることで、第一フランジ部314とベルト保持部312とを分ける。更に、ベルト保持部312の頂部312eで鋭角に折り曲げることで、ベルト保持部312と補強部330とを分ける。このように、一枚の板を逐次折り曲げていくことで第3実施形態に係るベルト取付治具309を製作することができる。これによれば、より安価で簡単に本発明に係るベルト取付治具309を製作することができる。
【0075】
(第4実施形態)
次に、図18及び図19を参照しつつ、第4実施形態に係るベルト取付治具409の構成を説明する。なお、第1実施形態と同様の箇所は説明を省略して説明する。図18(a)〜(b)は、夫々、上記ベルト取付治具409を異なる方向から見た斜視図である。図19は、第4実施形態に係るベルト取付治具409の六面図である。
【0076】
(ベルト取付治具409の構成)
図18及び図19に示されるように、ベルト取付治具409は、クランクプーリ2の外周及び両側面2d・2eを覆って取り付けられる取付部411と、取付部411から突設されたベルト保持部412とを主たる構成として備える。このベルト取付治具409は、クランクプーリ2幅に略等しく、クランクプーリ2の外周に当接して使用するものであって、ベルト保持部412がクランクプーリ2の側面2d側に位置するように向きを定めて用いる。
【0077】
取付部411は、クランクプーリ2の外周に沿う外周部413と、外周部413の一端からクランクプーリ2の側面2dに沿う第一フランジ部414と、外周部413の他端からクランクプーリ2の側面2eに沿う第二フランジ部415とから構成されている。
【0078】
外周部413は、ベルト取付治具409がクランクプーリ2の外周に当接された状態で、プーリ溝2a(外周)を覆う。この外周部413は、クランクプーリ2のプーリ溝2aに沿うように円弧形状に湾曲され、少なくともVリブドベルト4のベルト幅4w以上の幅を有している。
【0079】
また、外周部413の外周方向の一方の端部には、図18に示すように、Vリブドベルト4をクランクプーリ2の外周に導入するためのコの字状に切り欠いた切欠部413dが設けられている。
【0080】
第一フランジ部414は、外周部413をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、クランクプーリ2の側面2dに対して当接ないし密着するよう、外周部413の一端からクランクプーリ2の軸に向かって延在する。また、第二フランジ部415も同様に、外周部413をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、クランクプーリ2の側面2eに対して当接ないし密着するよう、外周部413の他端からクランクプーリ2の軸に向かって延在する。
【0081】
また、第一フランジ部414及び第二フランジ部415は、それぞれ切欠部413dを挟むように張り出した第一フランジ張出部414a及び第二フランジ張出部415aを有している。ここで、第一フランジ張出部414aは、Vリブドベルト4がベルト保持部412からクランクプーリ2のプーリフランジ2bを跨いで切欠部413dを通ってクランクプーリ2の外周に導入される際に、Vリブドベルト4がプーリフランジ2bを跨ぐ位置に張り出している。すなわち、第一フランジ張出部414aは、Vリブドベルト4がプーリフランジ2bに直接接触するのを防止する役割を果たす。
【0082】
ベルト保持部412は、クランクプーリ2外周よりも内径側、かつ、円弧形状をした取付部411の外周部413の中央の面Mよりも切欠部413d側で第一フランジ部414から突設されている。具体的には、ベルト保持部412は、図20に示すように、Vリブドベルト4をベルト保持部412を介してクランクプーリ2の外周に導入する際に、Vリブドベルト4の内周面がベルト保持部412の保持面412cに当たり、Vリブドベルト4の側面が第一フランジ部414に当たることによって、ベルト保持部412に保持されたVリブドベルト4の位置とクランクプーリ2の外周部に導入されたVリブドベルト4の位置との間で段差を形成するように突設している。即ち、このベルト保持部412は、巻掛け時に、クランクプーリ2の側面2dからクランクプーリ2の外周に導入されるVリブドベルト4を屈曲させてクランクプーリ2の外周に沿わせる役割を果たす。なお、Vリブドベルト4巻掛け時に、Vリブドベルト4と接触するベルト保持部412の両縁412a・412bは、面取りがなされて曲面形状になっている。これは、Vリブドベルト4巻掛け時にVリブドベルト4を損傷させないために設けられている。
【0083】
(ベルト取付治具409の使用方法)
次に、図20〜図23を参照しつつ、上記のベルト取付治具409の使用方法を説明する。
【0084】
先ず、図20に示されるように、クランクプーリ2のボス部5にレンチ37を連結し、クランクプーリ2を手動で自由に回転できるようにする。
【0085】
<手順(a)>
次に、ベルト取付治具409の外周部413がクランクプーリ2の外周に沿うように、第一フランジ部414及び第二フランジ部415をクランクプーリ2の側面2d・2eに当接させる。
【0086】
<手順(b)>
この状態で、図20に示すように、Vリブドベルト4をオルタネータプーリ3に巻掛けする。そして、Vリブドベルト4をクランクプーリ2の側面2d上を通ってベルト保持部412の縁412bで屈曲させてVリブドベルト4の内周面がベルト保持部412の保持面412cに当接するように巻掛ける。更に、Vリブドベルト4の側面を第一フランジ部414に当接させた後、第一フランジ張出部414aを跨がせたうえで切欠部413dを通らせてクランクプーリ2の外周に沿わせる。詳しくは、オルタネータプーリ3に巻掛けしたVリブドベルト4は、Vリブドベルト4の移動方向と反対の方向に順に巻掛けられる。この結果、Vリブドベルト4は、ベルト保持部412とクランクプーリ2の外周との間で段差が形成されるように巻掛けられることになる。
【0087】
<手順(c)>
次に、図21に示すように、レンチ37を用いてクランクプーリ2を第一回転方向Aに回転させる。
【0088】
詳しくは、先ず、図20の状態から図21の状態となるようにクランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。すると、Vリブドベルト4には、伸張されることにより高い張力が発生する。上記張力は、Vリブドベルト4が外周部413上を交差しているので外周部413をクランクプーリ2の外周に対して押圧する押圧作用として働き、ベルト取付治具409とクランクプーリ2とをより強固に固定する。
【0089】
継続して、図21の状態から図22の状態となるようにクランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。そして、更に、図22の状態から図23の状態となるようにクランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させると、ベルト取付治具409のベルト保持部412に巻掛けられていたVリブドベルト4が第一フランジ張出部414aを乗り越えて、外周部413上に移動する。
【0090】
詳しくは、クランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させると、クランクプーリ2のプーリ溝2aに対するVリブドベルト4のリブ4aの嵌合の領域が徐々に広範になる。
【0091】
更に、クランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。すると、外周部413上のVリブドベルト4が外周部413を離れてクランクプーリ2の外周へと移動する。この移動後、ベルト取付治具409をクランクプーリ2の外周から回収する。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係るベルト取付治具409によれば、外周部413の外周方向の一方の端部には、Vリブドベルト4をクランクプーリ2の外周に導入する切欠部413dが設けられているため、Vリブドベルト4をクランクプーリ2に巻掛ける際に、Vリブドベルト4をベルト保持部412から切欠部413dを通らせてクランクプーリ2の外周に導入することができる。これにより、切欠部413dがない場合に比べて、Vリブドベルト4をベルト保持部412からクランクプーリ2の外周に沿わせるまでの距離が短くなるので、Vリブドベルト4を巻掛ける際のVリブドベルト4に作用する張力を低くすることができ、巻掛け時の取付性を向上させることができる。また、Vリブドベルト4をベルト保持部412から切欠部413dを通らせて直ぐにクランクプーリ2の外周に導入することができるので、Vリブドベルト4がベルト取付治具409から滑り外れるのを防止することができる。
【0093】
また、第一フランジ部414及び第二フランジ部415は、切欠部413dを挟むように張り出している。このため、第一フランジ部414及び第二フランジ部415の張り出し部分(第一フランジ張出部414a及び第二フランジ張出部415a)がクランクプーリ2の側面2d・2eに当接することになり、安定してベルト取付治具409をクランクプーリ2に固定することができる。また、Vリブドベルト4がベルト保持部412からクランクプーリ2の側面2dを跨いで切欠部413dを通ってクランクプーリ2の外周に導入される際に、クランクプーリ2の側面2dを跨ぐ位置に第一フランジ張出部414aが張り出しているため、Vリブドベルト4が直接クランクプーリ2の側面2dに擦れて損傷するのを防止することができる。
【0094】
また、ベルト保持部412は、取付部411の外周部413の中央の面Mよりも切欠部413d側に突設されている。このため、Vリブドベルト4をベルト保持部412からクランクプーリ2の外周に沿わせるまでの距離が短くなるので、Vリブドベルト4を巻掛ける際のVリブドベルト4に作用する張力を低くすることができ、巻掛け時の取付性を向上させることができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【符号の説明】
【0096】
1 エンジン本体
2 クランクプーリ
2a プーリ溝
2b・2c プーリフランジ
2d・2e クランクプーリ2の側面
3 オルタネータプーリ
4 Vリブドベルト
4a リブ
9 ベルト取付治具
11 取付部
12 ベルト保持部
12a・12b ベルト保持部の縁
12c 保持面
13 外周部
14 第一フランジ部
15 第二フランジ部
16・17 損傷防止部
A 第一回転方向
B 第二回転方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト取付治具に関する。詳しくは、第一プーリと第二プーリの間へのベルトの巻掛け技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数のプーリにベルトを巻掛けてなるベルト伝動機構では、プーリ間で確実に動力を伝達させるために装着対象であるプーリ間のレイアウト周長よりもベルト周長を短くしてベルトに強い張力がかかるようになっている。
【0003】
このようにプーリ間のレイアウト周長よりもベルト周長が短いベルトをプーリに巻掛ける作業は手間がかかることがある。この手間を軽減させるために、特許文献1並びに特許文献2には、ベルトを周方向に伸長させてプーリ外周に巻掛ける作業を補助する治具が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されているベルト取付治具40は、円錐形部材43、傾斜平滑面44、弓形の脚部を有するガイドエリア45、直角に曲げられたフラップ46からなり、円錐形部材43とガイドエリア45にベルト27を載せた状態でプーリ60に沿って移動させることでベルト27を装着するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7247110号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0173737号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このベルト取付治具40は、円錐形部材43や傾斜平滑面44や弓形の脚部を有するガイドエリア45など複雑な構造をした部品により構成されている。また、このベルト取付治具40は、円錐形部材43がプーリ60の外周から径外方向に張り出した状態でプーリ60に取り付けられることになる。そうすると、ベルト27をプーリ60に巻掛けるに際して、ベルト27がプーリ60の外周から張り出した円錐形部材43を経由してプーリ60の外周に導入される分だけベルト27に余分な張力が作用してしまう。その結果、ベルト27をプーリ60に巻掛ける際に余分な力をかけることになり、ベルト27をプーリ60に巻掛け難くしてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ベルト取付治具をコンパクトな構成にするとともに、プーリへのベルト取付時に作用するベルトの張力を下げて取付性を向上させたベルト取付治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の発明は、第一プーリと第二プーリの間に、周長方向に伸縮可能なベルトを、前記第一プーリと前記第二プーリの軸間距離を固定したまま巻掛けるに際し、前記第一プーリの外周に設置して使用する、ベルト取付治具であって、前記第一プーリの外周及び両側面を覆って取り付けられる取付部と、前記取付部から前記第一プーリの一方の側面方向であって、前記第一プーリ外周よりも内径側で突設され、ベルトを保持するベルト保持部と、を備え、前記取付部は、前記第一プーリの外周に沿う外周部と、前記外周部の一端から前記第一プーリ側面に沿う第一フランジ部と、前記外周部の他端から前記第一プーリ側面に沿う第二フランジ部と、から成り、前記ベルト保持部は、前記ベルトの側面が前記第一フランジ部に当たって前記第一プーリの外周に導入される際に、前記ベルト保持部に保持された前記ベルトの位置と前記第一プーリの外周部に導入された前記ベルトの位置との間に段差が形成されるように突設されていることを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、取付部の外周部両端に設けられた第一フランジ部及び第二フランジ部を第一プーリの両側面に沿わせることにより第一プーリの外周に当該ベルト取付治具を安定して設置することができる。
そして、ベルト保持部が、取付部の第一プーリの一方の側面側において、第一プーリ外周よりも内径側で突設されているため、ベルトをベルト保持部を介して第一プーリの外周に導入する際に、ベルトの内周面がベルト保持部に当たり、ベルトの側面が第一フランジ部に当たって、ベルト保持部に保持されたベルトの位置と第一プーリの外周部に導入されたベルトの位置との間で段差を形成するようにして第一プーリの外周に導入することができる。
これによれば、特許文献1や特許文献2に挙げたように、ベルト保持部が第一プーリの外周よりも径外方向に張り出した形状をしているベルト取付治具に比べて、ベルトを第一プーリ及び第二プーリに巻掛ける際のベルトの張力を下げることができる。これにより、ベルトを第一プーリ及び第二プーリに巻掛ける際に必要な力を低減して、ベルトを巻掛け易くすることができる。
また、当該ベルト取付治具は、第一プーリの外周に設置した状態で、ベルト保持部が第一プーリの径外方向に張り出していないので、第一プーリの外周側に物理的空間の余裕がない場合でも使用が可能である。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明に係るベルト取付治具の前記取付部において、前記外周部の外周方向の一方の端部には、前記ベルトを前記第一プーリの外周に導入する切欠部が設けられ、前記第一フランジ部及び前記第二フランジ部は、前記切欠部を挟むように張り出しており、前記ベルト保持部は、前記取付部の中央よりも前記切欠部側に突設されていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、外周部の外周方向の一方の端部には、ベルトを第一プーリの外周に導入する切欠部が設けられているため、ベルトを第一プーリに巻掛ける際に、ベルトをベルト保持部から切欠部を通らせて第一プーリの外周に導入することができる。これにより、切欠部がない場合に比べて、ベルトをベルト保持部から第一プーリの外周に沿わせるまでの距離が短くなるので、ベルトを巻掛ける際のベルトに作用する張力を低くすることができ、巻掛け時の取付性を向上させることができる。また、ベルトをベルト保持部から切欠部を通らせて直ぐに第一プーリの外周に導入することができるので、ベルトがベルト取付治具から滑り外れるのを防止することができる。
【0012】
また、第一フランジ部及び第二フランジ部は、切欠部を挟むように張り出している。このため、第一フランジ部及び第二フランジ部の張り出し部分が第一プーリの両側面に当接することになり、安定してベルト取付治具を第一プーリに固定することができる。また、ベルトがベルト保持部から第一プーリの縁を跨いで切欠部を通って第一プーリの外周に導入される際に、第一プーリの縁を跨ぐ位置に第一フランジ部が張り出しているため、ベルトが直接第一プーリの縁に擦れて損傷するのを防止することができる。
【0013】
また、ベルト保持部は、取付部の中央よりも切欠部側に突設されている。このため、ベルトをベルト保持部から第一プーリの外周に沿わせるまでの距離が短くなるので、ベルトを巻掛ける際のベルトに作用する張力を低くすることができ、巻掛け時の取付性を向上させることができる。
【0014】
また、第3の発明は、第1の発明に係るベルト取付治具において、前記取付部は、前記第一プーリの外周に沿った円弧形状をしており、前記第一プーリの回転方向に起因する前記ベルトの取付方向の違いに対応できるように、前記円弧形状をした取付部の中央で面対称の形状をしていることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、取付部は、第一プーリの外周に沿った円弧形状をしているため、第一プーリの外周に安定して取り付けることができる。そして、当該ベルト取付治具は、面対称の形状をしているため、第一プーリの回転方向に起因したベルトの取付方向の違いに対応することができる。
【0016】
また、第4の発明は、第1〜第3の発明の何れかに係るベルト取付治具において、前記ベルト保持部は、前記第一プーリの側面に対して、垂直又は前記第一プーリの径外方向に鋭角を成すように傾斜していることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、ベルト保持部は、第一プーリの側面に対して、垂直又は第一プーリの径外方向に鋭角を成すように傾斜しているため、ベルトをベルト保持部に巻掛けた際に、ベルトを滑らせることなく保持することができる。
【0018】
また、第5の発明は、第1〜第4の発明の何れかに係るベルト取付治具において、前記第一プーリの側面に当接する当接面が前記第一フランジ部よりも内径側に配置された補強部を備えたことを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、第一プーリの側面に当接する当接面が第一フランジ部よりも内径側に配置された補強部を設けることにより、当該ベルト取付治具をより安定して第一プーリに装着することができる。
また、ベルトをベルト保持部に巻掛けた際に、ベルト保持部に過度の力がかかり折損の恐れがある。しかし、補強部を設けることで、ベルト保持部にかかる過度の力を分散することができ、ベルト保持部の折損を防止することができる。
【0020】
また、第6の発明は、第1〜第5の発明の何れかに係るベルト取付治具において、前記外周部の裏面に設けられ、前記第一プーリの外周面に設けられた溝に嵌合する嵌合部を備えたことを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、取付部の外周部の裏面に、第一プーリの外周面に設けられた溝に嵌合する嵌合部を設けることにより、ベルト取付治具を第一プーリの外周に設置する際に、第一プーリの外周面に設けられた溝と嵌合部とを嵌合させて、ベルト取付治具を第一プーリに強固に固定することができる。
【0022】
また、第7の発明は、第3の発明に係るベルト取付治具において、前記取付部には、前記ベルトが前記第一プーリの縁を跨ぐ位置に、前記ベルトと前記第一プーリの縁との接触を防止する損傷防止部が設けられており、前記ベルト保持部から巻掛けられた前記ベルトが前記損傷防止部を跨いで前記第一プーリの外周に導入されることを特徴としている。
【0023】
上記のように、取付部には、ベルトが第一プーリの縁を跨ぐ位置に、ベルトと第一プーリの縁との接触を防止する損傷防止部が設けられている。これによれば、ベルトが直接第一プーリの縁に擦れて損傷するのを防止することができる。
【0024】
また、第8の発明は、第3又は第7の発明に係るベルト取付治具において、前記外周部は、前記ベルトの張力によって前記第一プーリの外周に対して押圧される押圧面を有しており、前記押圧面には、前記ベルトの内周面に設けられたリブに嵌合する溝部が形成されていることを特徴としている。
【0025】
上記の構成によれば、外周部の押圧面に、ベルトの内周面に設けられたリブに嵌合する溝部を形成することにより、ベルトを外周部の押圧面を介して第一プーリの外周に導入する際に、ベルトの内周面に設けられたリブと押圧面に形成された溝部とが嵌合して、ベルトがベルト取付治具から滑り外れるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
ベルト取付治具をコンパクトな構成にするとともに、第一プーリと第二プーリの間に、周長方向に伸縮可能なベルトを、第一プーリと第二プーリの軸間距離を固定したまま巻掛ける際に作用するベルトの張力を下げて取付性を向上させたベルト取付治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態に係るエンジン本体の部分斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るクランクプーリの断面図である。
【図3】第1実施形態に係るベルト取付治具の斜視図である。
【図4】第1実施形態に係るベルト取付治具の六面図である。
【図5】第1実施形態に係るベルト取付治具をクランクプーリに装着した図である。
【図6】第1実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第一説明図である。
【図7】第1実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第二説明図である。
【図8】第1実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第三説明図である。
【図9】第1実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第四説明図である。
【図10】リブを設けた第1実施形態に係るベルト取付治具の説明図である。
【図11】溝部を設けた第1実施形態に係るベルト取付治具の説明図である。
【図12】第2実施形態に係るベルト取付治具の斜視図である。
【図13】第2実施形態に係るベルト取付治具の六面図である。
【図14】ベルト保持部を傾斜させた第2実施形態に係るベルト取付治具の説明図である。
【図15】補強部を設けた第2実施形態に係るベルト取付治具の説明図である。
【図16】第3実施形態に係るベルト取付治具の斜視図である。
【図17】第3実施形態に係るベルト取付治具の六面図である。
【図18】第4実施形態に係るベルト取付治具の斜視図である。
【図19】第4実施形態に係るベルト取付治具の六面図である。
【図20】第4実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第一説明図である。
【図21】第4実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第二説明図である。
【図22】第4実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第三説明図である。
【図23】第4実施形態に係るベルト取付治具の使用方法の第四説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本願発明の第1実施形態を説明する。本実施形態に係るベルト取付治具9は、クランクプーリ2とオルタネータのオルタネータプーリ3との間にVリブドベルト4を巻掛けする際に使用する。先ず、図1を参照しつつ、クランクプーリ2とオルタネータプーリ3に対するVリブドベルト4の巻掛けを説明し、図2を参照しつつ、クランクプーリ2の構造を説明する。
【0029】
図1に示されるように、エンジン本体1には、エンジンのクランク軸に連結されるクランクプーリ2(第一プーリ)と、オルタネータの入力軸に連結されるオルタネータプーリ3(第二プーリ)と、が所定の軸間距離を隔てて回転自在に支持される。このクランクプーリ2とオルタネータプーリ3との間には、実線と破線で示すVリブドベルト4が巻掛けされ、もって、クランク軸の動力が、クランクプーリ2、Vリブドベルト4、オルタネータプーリ3を順に介してオルタネータの入力軸に伝動されるようになっている。本実施形態では、クランクプーリ2とオルタネータプーリ3との間の軸間距離は変更不能とされ、また、図示するように、Vリブドベルト4に対して張力を付与する所謂オートテンショナ(張力付与手段)は搭載していない。
【0030】
(クランクプーリ2の構造)
図2に示すように、クランクプーリ2は、Vリブドベルト4の内周面に形成されるリブ4a(ベルトの内周面に設けられたリブ)と嵌合可能なプーリ溝2a(第一プーリの外周面に設けられた溝)を有し、このプーリ溝2aをプーリ軸方向で挟む一対のプーリフランジ2b・2c(第一プーリの縁)を備えている。このプーリフランジ2b・2cは、図2の断面視で、上記プーリ溝2aよりクランクプーリ2の径外方向へ若干、突出して形成されている。また、クランクプーリ2のボス部5には、エンジンの図示しないクランク軸が挿入される。符号2d・2eは、クランクプーリ2の側面を示す。なお、上記のVリブドベルト4は、その周長方向において若干伸縮可能な所謂低モジュラスベルトである。低モジュラスベルトは、心線にポリアミド繊維を用いることで、弾性率を比較的低くしたものであり、高弾性率のもの(所謂高モジュラスベルト)と比較して急激な張力低下が抑制される。
【0031】
なお、図1の太線矢印はVリブドベルト4の走行方向を示し、この走行方向にVリブドベルト4が走行するときのクランクプーリ2の回転方向を第一回転方向Aと、この第一回転方向Aと反対の方向を第二回転方向Bと、定義する。
【0032】
(ベルト取付治具9の構成)
次に、図3〜4を参照しつつ、本実施形態に係るベルト取付治具9の構成を説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係るベルト取付治具9の斜視図である。図3(a)〜(d)は、夫々、上記ベルト取付治具9を異なる方向から見た斜視図である。図4は、本発明の第1実施形態に係るベルト取付治具9の六面図である。図5は、ベルト取付治具9をクランクプーリ2に装着した図である。
【0033】
図3〜4には、コンパクトであってまとまりよく、一体的に形成されたベルト取付治具9が様々な方向から描かれている。
【0034】
図3及び図5に示されるように、ベルト取付治具9は、クランクプーリ2の外周及び両側面2d・2eを覆って取り付けられる取付部11と、取付部11から突設されたベルト保持部12とを主たる構成として備える。このベルト取付治具9は、クランクプーリ2幅に略等しく、図5に示すように、クランクプーリ2の外周に当接して使用するものであって、ベルト保持部12が図5に示されるクランクプーリ2の側面2d側に位置するように向きを定めて用いる。
【0035】
取付部11は、クランクプーリ2の外周に沿う外周部13と、外周部13の一端からクランクプーリ2の側面2dに沿う第一フランジ部14と、外周部13の他端からクランクプーリ2の側面2eに沿う第二フランジ部15とから構成されている。また、取付部11には、Vリブドベルト4がクランクプーリ2のプーリフランジ2bを跨ぐ位置に、Vリブドベルト4とプーリフランジ2bとの接触を防止する損傷防止部16・17が設けられている。
【0036】
外周部13は、図5に示すようにベルト取付治具9がクランクプーリ2の外周に当接された状態で、プーリ溝2a(外周)を覆う。この外周部13は、クランクプーリ2のプーリ溝2aに沿うように円弧形状に湾曲され、少なくともVリブドベルト4のベルト幅4w以上の幅を有している。
【0037】
第一フランジ部14は、外周部13をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、図5に示されるクランクプーリ2の側面2dに対して当接ないし密着するよう、外周部13の一端からクランクプーリ2の軸に向かって延在する。外周部13及び第一フランジ部14において、Vリブドベルト4と接触する損傷防止部16・17は面取りがなされて曲面形状になっている。これは、Vリブドベルト4巻掛け時にVリブドベルト4を損傷させないために設けている。また、第二フランジ部15も同様に、外周部13をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、図5に示されるクランクプーリ2の側面2eに対して当接ないし密着するよう、外周部13の他端からクランクプーリ2の軸に向かって延在する。
【0038】
ベルト保持部12は、図5に示すように、クランクプーリ2外周よりも内径側で第一フランジ部14から突設されている。具体的には、ベルト保持部12は、図6に示すように、Vリブドベルト4をベルト保持部12を介してクランクプーリ2の外周に導入する際に、Vリブドベルト4の内周面がベルト保持部12の保持面12cに当たり、Vリブドベルト4の側面が第一フランジ部14に当たることによって、ベルト保持部12に保持されたVリブドベルト4の位置とクランクプーリ2の外周部に導入されたVリブドベルト4の位置との間で段差を形成するように突設している。即ち、このベルト保持部12は、巻掛け時に、クランクプーリ2の側面2dからクランクプーリ2の外周に導入されるVリブドベルト4を屈曲させてクランクプーリ2の外周に沿わせる役割を果たす。なお、Vリブドベルト4巻掛け時に、Vリブドベルト4と接触するベルト保持部12の両縁12a・12bは、面取りがなされて曲面形状になっている。これは、Vリブドベルト4巻掛け時にVリブドベルト4を損傷させないために設けられている。
【0039】
また、上記で説明したベルト取付治具9は、図4に示すように、クランクプーリ2の回転方向(第一回転方向Aと第二回転方向B)に起因するVリブドベルト4の取付方向の違いに対応できるように、円弧形状をした取付部11の外周部13の中央の面Mで面対称の形状をしている。このようにベルト取付治具9を面対称構造とすることで、Vリブドベルト4がクランクプーリ2の側面2dからベルト保持部12の縁12b及び損傷防止部16を介してクランクプーリ2の外周に導入される取付方向、及び、その逆でVリブドベルト4がクランクプーリ2の側面2dからベルト保持部12の縁12a及び損傷防止部17を介してクランクプーリ2の外周に導入される取付方向の両方の取付方向に対応して使用することができる。
【0040】
(ベルト取付治具9の使用方法)
次に、図6〜図9を参照しつつ、上記のベルト取付治具9の使用方法を説明する。図6は、ベルト取付治具9の使用方法の第一説明図である。図7は、ベルト取付治具9の使用方法の第二説明図である。図8は、ベルト取付治具9の使用方法の第三説明図である。図9は、ベルト取付治具9の使用方法の第四説明図である。
【0041】
先ず、図6に示されるように、クランクプーリ2のボス部5にレンチ37の円筒形状である連結部37aを連結し、クランクプーリ2を手動で自由に回転できるようにする。
【0042】
<手順(a)>
次に、図5に示すように、ベルト取付治具9の外周部13がクランクプーリ2の外周に沿うように、第一フランジ部14及び第二フランジ部15をクランクプーリ2の側面2d・2eに当接させる。
【0043】
<手順(b)>
この状態で、図6に示すように、Vリブドベルト4をオルタネータプーリ3に巻掛けする。そして、Vリブドベルト4をクランクプーリ2の側面2d上を通ってベルト保持部12の縁12bで屈曲させてVリブドベルト4の内周面がベルト保持部12の保持面12cに当接するように巻掛ける。更に、Vリブドベルト4の側面を第一フランジ部14に当接させた後、損傷防止部16を跨がせたうえで外周部13上を交差させてクランクプーリ2の外周に沿わせる。詳しくは、オルタネータプーリ3に巻掛けしたVリブドベルト4は、Vリブドベルト4の移動方向と反対の方向に順に、即ち、ベルト取付治具9、クランクプーリ2のプーリ溝2aに対してこの順番で巻掛けられる。この結果、Vリブドベルト4は、ベルト保持部12とクランクプーリ2の外周との間で段差が形成されるように巻掛けられることになる。
【0044】
<手順(c)>
次に、図7に示すように、レンチ37を用いてクランクプーリ2を第一回転方向Aに回転させる。
【0045】
詳しくは、先ず、図6の状態から図7の状態となるようにクランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。すると、Vリブドベルト4には、伸張されることにより高い張力が発生する。上記張力は、Vリブドベルト4が外周部13上を交差しているので外周部13をクランクプーリ2の外周に対して押圧する押圧作用として働き、ベルト取付治具9とクランクプーリ2とをより強固に固定する。
【0046】
継続して、図7の状態から図8の状態となるようにクランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。そして、更に、図8の状態から図9の状態となるようにクランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させると、ベルト取付治具9のベルト保持部12に巻掛けられていたVリブドベルト4が損傷防止部16を乗り越えて、外周部13上に移動する。
【0047】
詳しくは、クランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させると、クランクプーリ2のプーリ溝2aに対するVリブドベルト4のリブ4aの嵌合の領域が徐々に広範になる。
【0048】
更に、クランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。すると、外周部13上のVリブドベルト4が外周部13を離れてクランクプーリ2の外周へと移動する。この移動後、ベルト取付治具9をクランクプーリ2の外周から回収する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係るベルト取付治具9によれば、取付部11の外周部13両端に設けられた第一フランジ部14及び第二フランジ部15をクランクプーリ2の両側面2d・2eに沿わせることによりクランクプーリ2の外周に当該ベルト取付治具9を安定して設置することができる。
【0050】
また、ベルト保持部12が、取付部11のクランクプーリ2の側面2d側において、クランクプーリ2の外周よりも内径側で突設されているため、Vリブドベルト4をベルト保持部12を介してクランクプーリ2の外周に導入する際に、Vリブドベルト4の内周面がベルト保持部12に当たり、Vリブドベルト4の側面が第一フランジ部14に当たって、ベルト保持部12に保持されたVリブドベルト4の位置とクランクプーリ2の外周部に導入されたVリブドベルト4の位置との間で段差を形成するようにしてクランクプーリ2の外周に導入することができる。これによれば、ベルト保持部12がクランクプーリ2の外周よりも径外方向に張り出した形状をしているベルト取付治具に比べて、Vリブドベルト4をクランクプーリ2及びオルタネータプーリ3に巻掛ける際のVリブドベルト4の張力を下げることができる。これにより、Vリブドベルト4をクランクプーリ2及びオルタネータプーリ3に巻掛ける際に必要な力を低減して、Vリブドベルト4を巻掛け易くすることができる。
【0051】
また、当該ベルト取付治具9は、クランクプーリ2の外周に設置した状態で、ベルト保持部12がクランクプーリ2の径外方向に張り出していないコンパクトな構成をしているので、クランクプーリ2の外周側に物理的空間の余裕がない場合でも使用が可能である。
【0052】
また、上記のベルト取付治具9によれば、取付部11が、クランクプーリ2の外周に沿った円弧形状をしているため、クランクプーリ2の外周に対して安定して取り付けることができる。そして、当該ベルト取付治具9は、面対称の形状をしているため、クランクプーリ2の回転方向(第一回転方向A、第二回転方向B)に起因したVリブドベルト4の取付方向の違いに対応することができる。
【0053】
また、上記のように、取付部11には、Vリブドベルト4がクランクプーリ2のプーリフランジ2bを跨ぐ位置に、Vリブドベルト4とプーリフランジ2bとの接触を防止する損傷防止部16・17が設けられている。これによれば、Vリブドベルト4が直接プーリフランジ2bに擦れて損傷するのを防止することができる。
【0054】
以上、第1実施形態に係るベルト取付治具9について説明したが、本発明は更に下記構成を追加して実施してもよい。
【0055】
例えば、図10に示すように、ベルト取付治具9において、取付部11の外周部13の裏面13bに、クランクプーリ2の外周面に設けられたプーリ溝2aに嵌合するリブ20(嵌合部)を設けた構成としてもよい。
【0056】
上記の構成によれば、取付部11の外周部13の裏面13bに、クランクプーリ2の外周面に設けられたプーリ溝2aに嵌合するリブ20を設けることにより、ベルト取付治具9をクランクプーリ2の外周に設置する際に、クランクプーリ2の外周面に設けられたプーリ溝2aとリブ20とを嵌合させて、ベルト取付治具9をクランクプーリ2に強固に固定することができる。
【0057】
また、図11に示すように、ベルト取付治具9において、取付部11の外周部13には、巻掛け時にVリブドベルト4の張力によってクランクプーリ2の外周に対して押圧される押圧面13aが設けられており、その押圧面13aには、Vリブドベルト4の内周面に形成されたリブ4aと嵌合可能な溝部13cが形成されていてもよい。ここで、溝部13cは、図11に示すように、外周部13の各々の側端部13e・13fから第一フランジ部14にかけて傾斜したラインを描くように形成されている。こうすることで、Vリブドベルト4を溝部13cにスムーズに沿わせることができる。
【0058】
上記の構成によれば、取付部11の外周部13の押圧面13aに、Vリブドベルト4の内周面に設けられたリブ4aに嵌合する溝部13cを形成することにより、Vリブドベルト4を外周部13の押圧面13aを介してクランクプーリ2の外周に導入する際に、Vリブドベルト4の内周面に設けられたリブ4aと押圧面13aに形成された溝部13cとが嵌合して、Vリブドベルト4がベルト取付治具9から滑り外れるのを防止することができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、図12及び図13を参照しつつ、第2実施形態に係るベルト取付治具209の構成を説明する。第1実施形態に係るベルト取付治具9は面対称構造をしていたが、第2実施形態に係るベルト取付治具209は面対称構造とはせずに、しかも、損傷防止部を設けない構造としている。なお、第1実施形態と同様の箇所は説明を省略して説明する。図12(a)〜(b)は、夫々、上記ベルト取付治具209を異なる方向から見た斜視図である。図13は、第2実施形態に係るベルト取付治具209の六面図である。
【0060】
図12及び図13には、コンパクトであってまとまりよく、一体的に形成されたベルト取付治具209が様々な方向から描かれている。
【0061】
図12及び図13に示すように、ベルト取付治具209は、クランクプーリ2の外周及び両側面2d・2eを覆って取り付けられる取付部211と、取付部211から突設されたベルト保持部212とを主たる構成として備える。ベルト取付治具209は、左右面対称となったベルト取付治具9の半分の形状に近い構成をしている。
【0062】
取付部211は、クランクプーリ2の外周に沿う外周部213と、外周部213の一端からクランクプーリ2の側面2dに沿う第一フランジ部214と、外周部213の他端からクランクプーリ2の側面2eに沿う第二フランジ部215とから構成されている。外周部213は、ベルト取付治具209がクランクプーリ2の外周に当接された状態で、プーリ溝2a(外周)を覆う。この外周部213は、円弧形状に湾曲されているが、その長さはベルト取付治具9の外周部13のおよそ半分である。第一フランジ部214は、外周部213をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、クランクプーリ2の側面2dに対して当接ないし密着するよう、外周部213の一端からクランクプーリ2の軸に向かって延在する。また、第二フランジ部215も同様に、外周部213をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、クランクプーリ2の側面2eに対して当接ないし密着するよう、外周部213の他端からクランクプーリ2の軸に向かって延在する。なお、第2実施形態では、損傷防止部を設けていない分だけよりコンパクトな構成とすることができる。
【0063】
ベルト保持部212は、クランクプーリ2外周よりも内径側で第一フランジ部214から突設されている。このベルト保持部212の大きさは、ベルト取付治具9のベルト保持部12のおよそ半分であり、第一フランジ部214に対して垂直に突設されている。そして、ベルト保持部212は、Vリブドベルト4を、ベルト保持部212を介してクランクプーリ2の外周に導入する際に、Vリブドベルト4の内周面がベルト保持部212の保持面212cに当たり、Vリブドベルト4の側面が第一フランジ部214に当たって、ベルト保持部212に保持されたVリブドベルト4の位置とクランクプーリ2の外周部に導入されたVリブドベルト4の位置との間で段差を形成するように突設している。このベルト保持部212は、巻掛け時に、クランクプーリ2の側面2dからクランクプーリ2の外周に導入されるVリブドベルト4を屈曲させてクランクプーリ2の外周に沿わせる役割を果たす。なお、Vリブドベルト4巻掛け時に、Vリブドベルト4と接触するベルト保持部212の縁212aは、面取りがなされて曲面形状になっている。これは、Vリブドベルト4巻掛け時にVリブドベルト4を損傷させないために設けられている。
【0064】
以上、第2実施形態に係るベルト取付治具209について説明したが、本発明は更に下記構成を追加して実施してもよい。
【0065】
例えば、図14に示すように、ベルト保持部212を、第一フランジ部214に対して、クランクプーリ2の径外方向に鋭角αを成すように傾斜させてもよい。
【0066】
上記の構成によれば、ベルト保持部212を、クランクプーリ2の側面2dに対して、クランクプーリ2の径外方向に鋭角αを成すように傾斜させることができるため、Vリブドベルト4をベルト保持部212に巻掛けた際に、Vリブドベルト4を滑らせることなく保持することができる。なお、ここで径外方向とは、ベルト取付治具209がクランクプーリ2に装着された状態で、クランクプーリ2の軸から外周に向かう方向のことをいう。
【0067】
また、図15(a)(b)に示すように、ベルト取付治具209に、クランクプーリ2の側面2dに当接する当接面230aが第一フランジ部214よりも内径側に配置された補強部230を更に備えさせた構成としてもよい。
【0068】
上記の構成によれば、クランクプーリ2の側面2dに当接する当接面230aが第一フランジ部214よりも内径側に配置された補強部230を設けることにより、当該ベルト取付治具209をより安定してクランクプーリ2に装着することができる。また、Vリブドベルト4をベルト保持部212に巻掛けた際に、ベルト保持部212に過度の力がかかり折損の恐れがあるが、補強部230を設けることで、ベルト保持部212にかかる過度の力を分散することができ、ベルト保持部212の折損を防止することができる。
【0069】
(第3実施形態)
次に、図16及び図17を参照しつつ、第3実施形態に係るベルト取付治具309の構成を説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同様の箇所は説明を省略して説明する。図16は、上記ベルト取付治具309の斜視図である。図17は、第3実施形態に係るベルト取付治具309の六面図である。
【0070】
図16及び図17に示されるように、ベルト取付治具309は、クランクプーリ2の外周及び両側面2d・2eを覆って取り付けられる取付部311と、取付部311から突設されたベルト保持部312と、ベルト保持部312から突設された補強部330とを主たる構成として備える。
【0071】
取付部311は、クランクプーリ2の外周に沿う外周部313と、外周部313の一端からクランクプーリ2の側面2dに沿う第一フランジ部314と、外周部313の他端からクランクプーリ2の側面2eに沿う第二フランジ部315とから構成されている。第一フランジ部314は、外周部313をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、クランクプーリ2の側面2dに対して当接ないし密着するよう、外周部313の一端313aからクランクプーリ2の軸に向かって延在する。また、第二フランジ部315も同様に、外周部313をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、クランクプーリ2の側面2eに対して当接ないし密着するよう、外周部313の他端313bからクランクプーリ2の軸に向かって延在する。
【0072】
ベルト保持部312は、クランクプーリ2外周よりも内径側で第一フランジ部314の端部314aから突設されている。具体的には、ベルト保持部312は、Vリブドベルト4を、ベルト保持部312を介してクランクプーリ2の外周に導入する際に、Vリブドベルト4の内周面がベルト保持部312の保持面312cに当たり、Vリブドベルト4の側面が第一フランジ部314に当たって、Vリブドベルト4がベルト保持部312とクランクプーリ2の外周との間で段差を形成するように突設している。
【0073】
補強部330は、ベルト保持部312の頂部312eから、その当接面330aがクランクプーリ2の側面2dに当接するように側面2d向かって傾斜している。こうすることにより、クランクプーリ2の側面2dに当接する当接面330aが第一フランジ部314よりも内径側に配置されることになる。
【0074】
更に、上記で説明したベルト取付治具309は、一枚の鉄板により製作可能となっている。即ち、ベルト取付治具309は、外周部313の他端313bで90°に折り曲げることで、外周部313と第二フランジ部315とを分ける。また、外周部313の一端313aで90°に折り曲げることで、外周部313と第一フランジ部314とを分ける。また、第一フランジ部314の端部314aで90°に折り曲げることで、第一フランジ部314とベルト保持部312とを分ける。更に、ベルト保持部312の頂部312eで鋭角に折り曲げることで、ベルト保持部312と補強部330とを分ける。このように、一枚の板を逐次折り曲げていくことで第3実施形態に係るベルト取付治具309を製作することができる。これによれば、より安価で簡単に本発明に係るベルト取付治具309を製作することができる。
【0075】
(第4実施形態)
次に、図18及び図19を参照しつつ、第4実施形態に係るベルト取付治具409の構成を説明する。なお、第1実施形態と同様の箇所は説明を省略して説明する。図18(a)〜(b)は、夫々、上記ベルト取付治具409を異なる方向から見た斜視図である。図19は、第4実施形態に係るベルト取付治具409の六面図である。
【0076】
(ベルト取付治具409の構成)
図18及び図19に示されるように、ベルト取付治具409は、クランクプーリ2の外周及び両側面2d・2eを覆って取り付けられる取付部411と、取付部411から突設されたベルト保持部412とを主たる構成として備える。このベルト取付治具409は、クランクプーリ2幅に略等しく、クランクプーリ2の外周に当接して使用するものであって、ベルト保持部412がクランクプーリ2の側面2d側に位置するように向きを定めて用いる。
【0077】
取付部411は、クランクプーリ2の外周に沿う外周部413と、外周部413の一端からクランクプーリ2の側面2dに沿う第一フランジ部414と、外周部413の他端からクランクプーリ2の側面2eに沿う第二フランジ部415とから構成されている。
【0078】
外周部413は、ベルト取付治具409がクランクプーリ2の外周に当接された状態で、プーリ溝2a(外周)を覆う。この外周部413は、クランクプーリ2のプーリ溝2aに沿うように円弧形状に湾曲され、少なくともVリブドベルト4のベルト幅4w以上の幅を有している。
【0079】
また、外周部413の外周方向の一方の端部には、図18に示すように、Vリブドベルト4をクランクプーリ2の外周に導入するためのコの字状に切り欠いた切欠部413dが設けられている。
【0080】
第一フランジ部414は、外周部413をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、クランクプーリ2の側面2dに対して当接ないし密着するよう、外周部413の一端からクランクプーリ2の軸に向かって延在する。また、第二フランジ部415も同様に、外周部413をクランクプーリ2の外周に当接させたとき、クランクプーリ2の側面2eに対して当接ないし密着するよう、外周部413の他端からクランクプーリ2の軸に向かって延在する。
【0081】
また、第一フランジ部414及び第二フランジ部415は、それぞれ切欠部413dを挟むように張り出した第一フランジ張出部414a及び第二フランジ張出部415aを有している。ここで、第一フランジ張出部414aは、Vリブドベルト4がベルト保持部412からクランクプーリ2のプーリフランジ2bを跨いで切欠部413dを通ってクランクプーリ2の外周に導入される際に、Vリブドベルト4がプーリフランジ2bを跨ぐ位置に張り出している。すなわち、第一フランジ張出部414aは、Vリブドベルト4がプーリフランジ2bに直接接触するのを防止する役割を果たす。
【0082】
ベルト保持部412は、クランクプーリ2外周よりも内径側、かつ、円弧形状をした取付部411の外周部413の中央の面Mよりも切欠部413d側で第一フランジ部414から突設されている。具体的には、ベルト保持部412は、図20に示すように、Vリブドベルト4をベルト保持部412を介してクランクプーリ2の外周に導入する際に、Vリブドベルト4の内周面がベルト保持部412の保持面412cに当たり、Vリブドベルト4の側面が第一フランジ部414に当たることによって、ベルト保持部412に保持されたVリブドベルト4の位置とクランクプーリ2の外周部に導入されたVリブドベルト4の位置との間で段差を形成するように突設している。即ち、このベルト保持部412は、巻掛け時に、クランクプーリ2の側面2dからクランクプーリ2の外周に導入されるVリブドベルト4を屈曲させてクランクプーリ2の外周に沿わせる役割を果たす。なお、Vリブドベルト4巻掛け時に、Vリブドベルト4と接触するベルト保持部412の両縁412a・412bは、面取りがなされて曲面形状になっている。これは、Vリブドベルト4巻掛け時にVリブドベルト4を損傷させないために設けられている。
【0083】
(ベルト取付治具409の使用方法)
次に、図20〜図23を参照しつつ、上記のベルト取付治具409の使用方法を説明する。
【0084】
先ず、図20に示されるように、クランクプーリ2のボス部5にレンチ37を連結し、クランクプーリ2を手動で自由に回転できるようにする。
【0085】
<手順(a)>
次に、ベルト取付治具409の外周部413がクランクプーリ2の外周に沿うように、第一フランジ部414及び第二フランジ部415をクランクプーリ2の側面2d・2eに当接させる。
【0086】
<手順(b)>
この状態で、図20に示すように、Vリブドベルト4をオルタネータプーリ3に巻掛けする。そして、Vリブドベルト4をクランクプーリ2の側面2d上を通ってベルト保持部412の縁412bで屈曲させてVリブドベルト4の内周面がベルト保持部412の保持面412cに当接するように巻掛ける。更に、Vリブドベルト4の側面を第一フランジ部414に当接させた後、第一フランジ張出部414aを跨がせたうえで切欠部413dを通らせてクランクプーリ2の外周に沿わせる。詳しくは、オルタネータプーリ3に巻掛けしたVリブドベルト4は、Vリブドベルト4の移動方向と反対の方向に順に巻掛けられる。この結果、Vリブドベルト4は、ベルト保持部412とクランクプーリ2の外周との間で段差が形成されるように巻掛けられることになる。
【0087】
<手順(c)>
次に、図21に示すように、レンチ37を用いてクランクプーリ2を第一回転方向Aに回転させる。
【0088】
詳しくは、先ず、図20の状態から図21の状態となるようにクランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。すると、Vリブドベルト4には、伸張されることにより高い張力が発生する。上記張力は、Vリブドベルト4が外周部413上を交差しているので外周部413をクランクプーリ2の外周に対して押圧する押圧作用として働き、ベルト取付治具409とクランクプーリ2とをより強固に固定する。
【0089】
継続して、図21の状態から図22の状態となるようにクランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。そして、更に、図22の状態から図23の状態となるようにクランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させると、ベルト取付治具409のベルト保持部412に巻掛けられていたVリブドベルト4が第一フランジ張出部414aを乗り越えて、外周部413上に移動する。
【0090】
詳しくは、クランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させると、クランクプーリ2のプーリ溝2aに対するVリブドベルト4のリブ4aの嵌合の領域が徐々に広範になる。
【0091】
更に、クランクプーリ2を、第一回転方向Aに回転させる。すると、外周部413上のVリブドベルト4が外周部413を離れてクランクプーリ2の外周へと移動する。この移動後、ベルト取付治具409をクランクプーリ2の外周から回収する。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係るベルト取付治具409によれば、外周部413の外周方向の一方の端部には、Vリブドベルト4をクランクプーリ2の外周に導入する切欠部413dが設けられているため、Vリブドベルト4をクランクプーリ2に巻掛ける際に、Vリブドベルト4をベルト保持部412から切欠部413dを通らせてクランクプーリ2の外周に導入することができる。これにより、切欠部413dがない場合に比べて、Vリブドベルト4をベルト保持部412からクランクプーリ2の外周に沿わせるまでの距離が短くなるので、Vリブドベルト4を巻掛ける際のVリブドベルト4に作用する張力を低くすることができ、巻掛け時の取付性を向上させることができる。また、Vリブドベルト4をベルト保持部412から切欠部413dを通らせて直ぐにクランクプーリ2の外周に導入することができるので、Vリブドベルト4がベルト取付治具409から滑り外れるのを防止することができる。
【0093】
また、第一フランジ部414及び第二フランジ部415は、切欠部413dを挟むように張り出している。このため、第一フランジ部414及び第二フランジ部415の張り出し部分(第一フランジ張出部414a及び第二フランジ張出部415a)がクランクプーリ2の側面2d・2eに当接することになり、安定してベルト取付治具409をクランクプーリ2に固定することができる。また、Vリブドベルト4がベルト保持部412からクランクプーリ2の側面2dを跨いで切欠部413dを通ってクランクプーリ2の外周に導入される際に、クランクプーリ2の側面2dを跨ぐ位置に第一フランジ張出部414aが張り出しているため、Vリブドベルト4が直接クランクプーリ2の側面2dに擦れて損傷するのを防止することができる。
【0094】
また、ベルト保持部412は、取付部411の外周部413の中央の面Mよりも切欠部413d側に突設されている。このため、Vリブドベルト4をベルト保持部412からクランクプーリ2の外周に沿わせるまでの距離が短くなるので、Vリブドベルト4を巻掛ける際のVリブドベルト4に作用する張力を低くすることができ、巻掛け時の取付性を向上させることができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【符号の説明】
【0096】
1 エンジン本体
2 クランクプーリ
2a プーリ溝
2b・2c プーリフランジ
2d・2e クランクプーリ2の側面
3 オルタネータプーリ
4 Vリブドベルト
4a リブ
9 ベルト取付治具
11 取付部
12 ベルト保持部
12a・12b ベルト保持部の縁
12c 保持面
13 外周部
14 第一フランジ部
15 第二フランジ部
16・17 損傷防止部
A 第一回転方向
B 第二回転方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一プーリと第二プーリの間に、周長方向に伸縮可能なベルトを、前記第一プーリと前記第二プーリの軸間距離を固定したまま巻掛けるに際し、前記第一プーリの外周に設置して使用する、ベルト取付治具であって、
前記第一プーリの外周及び両側面を覆って取り付けられる取付部と、
前記取付部から前記第一プーリの一方の側面方向であって、前記第一プーリ外周よりも内径側で突設され、ベルトを保持するベルト保持部と、
を備え、
前記取付部は、前記第一プーリの外周に沿う外周部と、前記外周部の一端から前記第一プーリ側面に沿う第一フランジ部と、前記外周部の他端から前記第一プーリ側面に沿う第二フランジ部と、から成り、
前記ベルト保持部は、前記ベルトの側面が前記第一フランジ部に当たって前記第一プーリの外周に導入される際に、前記ベルト保持部に保持された前記ベルトの位置と前記第一プーリの外周部に導入された前記ベルトの位置との間に段差が形成されるように突設されていることを特徴とするベルト取付治具。
【請求項2】
前記取付部において、前記外周部の外周方向の一方の端部には、前記ベルトを前記第一プーリの外周に導入する切欠部が設けられ、前記第一フランジ部及び前記第二フランジ部は、前記切欠部を挟むように張り出しており、
前記ベルト保持部は、前記取付部の中央よりも前記切欠部側に突設されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト取付治具。
【請求項3】
前記取付部は、前記第一プーリの外周に沿った円弧形状をしており、
前記第一プーリの回転方向に起因する前記ベルトの取付方向の違いに対応できるように、前記円弧形状をした取付部の中央で面対称の形状をしていることを特徴とする請求項1に記載のベルト取付治具。
【請求項4】
前記ベルト保持部は、前記第一プーリの側面に対して、垂直又は前記第一プーリの径外方向に鋭角を成すように傾斜していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のベルト取付治具。
【請求項5】
前記第一プーリの側面に当接する当接面が前記第一フランジ部よりも内径側に配置された補強部を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のベルト取付治具。
【請求項6】
前記外周部の裏面に設けられ、前記第一プーリの外周面に設けられた溝に嵌合する嵌合部を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のベルト取付治具。
【請求項7】
前記取付部には、前記ベルトが前記第一プーリの縁を跨ぐ位置に、前記ベルトと前記第一プーリの縁との接触を防止する損傷防止部が設けられており、
前記ベルト保持部から巻掛けられた前記ベルトが前記損傷防止部を跨いで前記第一プーリの外周に導入されることを特徴とする請求項3に記載のベルト取付治具。
【請求項8】
前記外周部は、前記ベルトの張力によって前記第一プーリの外周に対して押圧される押圧面を有しており、
前記押圧面には、前記ベルトの内周面に設けられたリブに嵌合する溝部が形成されていることを特徴とする請求項3又は7に記載のベルト取付治具。
【請求項1】
第一プーリと第二プーリの間に、周長方向に伸縮可能なベルトを、前記第一プーリと前記第二プーリの軸間距離を固定したまま巻掛けるに際し、前記第一プーリの外周に設置して使用する、ベルト取付治具であって、
前記第一プーリの外周及び両側面を覆って取り付けられる取付部と、
前記取付部から前記第一プーリの一方の側面方向であって、前記第一プーリ外周よりも内径側で突設され、ベルトを保持するベルト保持部と、
を備え、
前記取付部は、前記第一プーリの外周に沿う外周部と、前記外周部の一端から前記第一プーリ側面に沿う第一フランジ部と、前記外周部の他端から前記第一プーリ側面に沿う第二フランジ部と、から成り、
前記ベルト保持部は、前記ベルトの側面が前記第一フランジ部に当たって前記第一プーリの外周に導入される際に、前記ベルト保持部に保持された前記ベルトの位置と前記第一プーリの外周部に導入された前記ベルトの位置との間に段差が形成されるように突設されていることを特徴とするベルト取付治具。
【請求項2】
前記取付部において、前記外周部の外周方向の一方の端部には、前記ベルトを前記第一プーリの外周に導入する切欠部が設けられ、前記第一フランジ部及び前記第二フランジ部は、前記切欠部を挟むように張り出しており、
前記ベルト保持部は、前記取付部の中央よりも前記切欠部側に突設されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト取付治具。
【請求項3】
前記取付部は、前記第一プーリの外周に沿った円弧形状をしており、
前記第一プーリの回転方向に起因する前記ベルトの取付方向の違いに対応できるように、前記円弧形状をした取付部の中央で面対称の形状をしていることを特徴とする請求項1に記載のベルト取付治具。
【請求項4】
前記ベルト保持部は、前記第一プーリの側面に対して、垂直又は前記第一プーリの径外方向に鋭角を成すように傾斜していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のベルト取付治具。
【請求項5】
前記第一プーリの側面に当接する当接面が前記第一フランジ部よりも内径側に配置された補強部を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のベルト取付治具。
【請求項6】
前記外周部の裏面に設けられ、前記第一プーリの外周面に設けられた溝に嵌合する嵌合部を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のベルト取付治具。
【請求項7】
前記取付部には、前記ベルトが前記第一プーリの縁を跨ぐ位置に、前記ベルトと前記第一プーリの縁との接触を防止する損傷防止部が設けられており、
前記ベルト保持部から巻掛けられた前記ベルトが前記損傷防止部を跨いで前記第一プーリの外周に導入されることを特徴とする請求項3に記載のベルト取付治具。
【請求項8】
前記外周部は、前記ベルトの張力によって前記第一プーリの外周に対して押圧される押圧面を有しており、
前記押圧面には、前記ベルトの内周面に設けられたリブに嵌合する溝部が形成されていることを特徴とする請求項3又は7に記載のベルト取付治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−82950(P2012−82950A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68268(P2011−68268)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】
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