説明

ベルト脱着装置

【課題】2つのプーリへのベルトの脱着を自動的に行うことのできるベルト脱着装置を提供する。
【解決手段】ベルト脱着装置1は、上下方向に離れた位置に配置された1対の支持部材10、11と1対の支持部材13、15と、上下方向に関して前記2対の支持部材の間に配置された1対の挟持部材17、19と、前記各1対の支持部材を一体的に上下方向に駆動する上下駆動手段7a、7bと、前記各1対の支持部材が離接するように前記各1対の支持部材を水平方向に駆動する第1水平駆動手段方向9a、9bと、前記1対の挟持部材が離接するように前記1対の挟持部材を水平方向に駆動する第2水平駆動手段方向9cとを備え、前記2対の支持部材及び前記1対の挟持部材は、少なくとも水平方向に一体的に移動可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのプーリにベルトを脱着するためのベルト脱着装置、ベルトの装着方法、及びベルトの取外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトを2つのプーリに装着して、ベルトを走行させながら、ベルトの切断や研磨等の加工を行う場合がある(例えば、特許文献1参照)。従来では、このような2つのプーリにベルトを装着する場合には、手作業によって、ベルトを弛んだ状態で2つのプーリに懸架していた。また、2つのプーリからベルトを取り外す際には、2つのプーリを近接させて、ベルトの張力を緩めた後で、手作業で取り外していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006―200732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、2つのプーリにベルトを懸架したり、2つのプーリに懸架されたベルトを取り外す作業を手作業で行うことは、作業効率が悪いため、これらの動作を自動化することが求められている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、2つのプーリへのベルトの脱着を自動的に行うことのできるベルト脱着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
第1の発明のベルト脱着装置は、2つのプーリに無端状のベルトを脱着するベルト脱着装置であって、上下方向に離れた位置に1対ずつ配置され、前記ベルトを内周側から支持する2対の支持部材と、上下方向に関して前記2対の支持部材の間に配置され、前記ベルトの途中部を外周側から押圧挟持する1対の挟持部材と、前記各1対の支持部材を上下方向に駆動する上下駆動手段と、前記各1対の支持部材が離接するように前記各1対の支持部材を水平方向に駆動する第1水平駆動手段と、前記1対の挟持部材が離接するように前記1対の挟持部材を水平方向に駆動する第2水平駆動手段と、を備え、前記2対の支持部材及び前記1対の挟持部材が、少なくとも水平方向に一体的に移動可能であることを特徴とする。
【0007】
このベルト脱着装置によって、2つのプーリにベルトを装着する場合には、先ず、バーに吊り下げられた状態のベルトをバーから取り外すなどの方法によって、ベルトを取得する。そして、上下2対の支持部材によってベルトを内周側から支持すると共に、1対の挟持部材によってベルトを外周側から押圧挟持することによって、ベルトを保持する。その後、ベルト脱着装置に保持されたベルトの内周側に、2つのプーリを挿入してから、2対の支持部材を上下駆動手段により近接させると共に、1対の挟持部材を第2水平駆動手段により離間させてベルトの外周面に対する押圧を解放し、2つのプーリにベルトを装着する。
このようにして、ベルト脱着装置によって、2つのプーリへのベルトの懸架を自動的に行うことができる。また、上下2対の支持部材によってベルトを内周側から支持すると共に、1対の挟持部材によってベルトを外周側から押圧挟持することによって、ベルトを保持するため、ベルトを安定的に保持できると共に、ベルトの内周側に2つのプーリを挿入しやすい。
【0008】
一方、2つのプーリからベルトを取り外す場合には、2つのプーリに装着されたベルトの内周側に、上下2対の支持部材を挿入すると共に、このベルトの外周側に、1対の挟持部材を配置する。次に、各1対の支持部材を第1水平駆動手段により離間させてから、2対の支持部材材を上下駆動手段により離間させて、上下2対の支持部材によってベルトの内周側から支持させると共に、1対の挟持部材を第2水平駆動手段により近接させて、1対の挟持部材によってベルトの途中部を外周側から押圧挟持することによって、ベルトを保持する。その後、2対の支持部材及び1対の挟持部材を一体的に移動させて、2つのプーリから後退させる。
このようにして、ベルト脱着装置によって、2つのプーリからのベルトの取り外しを自動的に行うことができる。また、上下2対の支持部材によってベルトを内周側から支持すると共に、1対の挟持部材によってベルトを外周側から押圧挟持することによって、ベルトを保持するため、2つのプーリからベルトを保持した状態で後退させやすい。
【0009】
第2の発明のベルト脱着装置は、前記第1の発明において、前記2対の支持部材及び前記1対の挟持部材を、一体的に水平方向に駆動する駆動する駆動手段を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によると、2対の支持部材と1対の挟持部材とを、自動的に移動させて、脱着作業を行うことができる。
【0011】
第3の発明のベルト脱着装置は、前記第1又は第2の発明において、前記2つのプーリが、この2つのプーリに装着された前記ベルトを走行させながら前記ベルトの幅方向端部を切断して、加工済ベルトと、この加工済ベルトよりも幅の小さいリング屑とを形成する切断装置に備えられており、前記2対の支持部材のうち上側の1対の支持部材を駆動するための前記上下駆動手段が、前記2対の支持部材及び前記1対の挟持部材によって前記加工済ベルト及び前記リング屑が保持された状態から、前記上側の1対の支持部材を下降させることによって、前記リング屑の上端を前記加工済ベルトの上端よりも低い位置とし、前記2対の支持部材及び前記1対の挟持部材に保持された状態の前記加工済ベルト及び前記リング屑を、前記2対の支持部材の軸方向に沿って相対的に移動可能であり、前記2対の支持部材の軸方向一端側に配置された押出部材により、前記2対の支持部材の他端側に押し出すベルト押出手段と、前記リング屑の上端を前記加工済ベルトの上端よりも低い位置としたときに、前記加工済ベルトの内周側の、前記上側の1対の支持部材よりも上方の位置に挿入され、前記加工済ベルトを回収するベルト回収部材と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
2つのプーリから加工済ベルト及びリング屑を取り外して、この加工済ベルト及びリング屑を2対の支持部材及び1対の挟持部材に保持させた状態から、上側の1対の支持部材を下降させる。加工済ベルトは、その剛性によって中央部がくびれた形状が維持される。一方、リング屑は、加工済ベルトよりも幅が小さく剛性が低いため、上側の1対の支持部材による支持を失うと、その形状を維持することができず、リング屑の上端は、加工済ベルトの上端よりも低い位置となる。
その後、加工済ベルトの内周側の、上側の1対の支持部材よりも上方の位置にベルト回収部材を挿入してから、押出部材を2対の支持部材の軸方向他端側に移動させて、加工済ベルト及びリング屑を前記他端側に押し出す。これにより、加工済ベルトをベルト回収部材に回収し、リング屑を落下させる。
このようにして、加工済ベルトとリング屑とを自動的に分別して回収することができる。
【0013】
第4の発明のベルト脱着装置は、前記第3の発明において、前記ベルト回収部材が、前記一端側から前記他端側に向かって、下方に傾斜して延在していることを特徴とする。
【0014】
この構成によると、ベルト回収部材に吊り下げられた加工済ベルトを、ベルト回収部材に沿って滑らせて移動させることができる。
【0015】
第5の発明のベルト脱着装置は、前記第3又は第4の発明において、前記ベルト回収部材の、前記他端側の端部が取り付けられる支柱と、前記支柱の下端が取り付けられる台座部とを備えることを特徴とする。
【0016】
第6の発明のベルト脱着装置は、前記第5の発明において、前記支柱が、鉛直方向の軸を中心に回転可能に前記台座部に取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
この構成によると、ベルト回収部材に吊り下げられた加工済ベルトを取り外す際に、台座部を2対の支持部材及び1対の挟持部材から離間させなくても、支柱を回転させるだけで、ベルト回収部材から加工済ベルトを取り外す作業を行うことができる。従って、より効率的に回収作業を行うことができる。
【0018】
第7の発明のベルト脱着装置は、前記第6の発明において、前記ベルト回収部材の数が複数であって、前記複数のベルト回収部材が、上方から見て放射状に前記支柱に設けられていることを特徴とする。
【0019】
この構成によると、ベルト回収部材に加工済ベルトを回収した後、支柱を所定の角度だけ回転させることにより、このベルト回収部材に吊り下げられた加工済ベルトをベルト回収部材から取り外す作業を行うと同時に、別のベルト回収部材に新たに加工済ベルトを回収することができる。従って、より効率的に回収作業を行うことができる。
【0020】
第8の発明のベルトの装着方法は、上下方向に並んで配置された2つのプーリに無端状のベルトを装着する方法であって、上下方向に離れた位置に1対ずつ配置された2対の支持部材によって、前記ベルトを内周側から支持すると共に、上下方向に関して前記2対の支持部材に間に配置された1対の挟持部材によって、前記ベルトの途中部を外周側から押圧挟持する、ベルト保持工程と、前記ベルト保持工程の後、前記ベルトの内周側に、前記2つのプーリを挿入する、プーリ挿入工程と、前記プーリ挿入工程の後、前記1対の挟持部材を水平方向に離間させて前記ベルトの外周面に対する押圧を解放すると共に、前記2対の支持部材を上下方向に近接させて、前記2つのプーリに前記ベルトを装着する、ベルト装着工程と、を有することを特徴とする。
【0021】
このベルトの装着方法では、上下2対の支持部材によってベルトを内周側から支持すると共に、1対の挟持部材によってベルトを外周側から押圧挟持することによって、ベルトを保持する。その後、ベルト脱着装置に保持されたベルトの内周側に、2つのプーリを挿入してから、2対の支持部材を上下方向に近接させると共に、1対の挟持部材を水平方向に離間させてベルトの外周面に対する押圧を解放し、2つのプーリにベルトを装着する。
上述したように、上下2対の支持部材によってベルトを内周側から支持すると共に、1対の挟持部材によってベルトを外周側から押圧挟持することによって、ベルトを保持するため、ベルトを安定して保持できると共に、ベルトの内周側に2つのプーリを挿入しやすい。従って、この装着方法は、2つのプーリへのベルトの懸架を自動化するのに適している。
【0022】
第9の発明のベルトの装着方法は、前記第8の発明において、前記2つのプーリに装着される前記ベルトを取得するために、バーに吊り下げられた前記ベルトを、前記2対の支持部材又は/及び前記1対の挟持部材によって前記バーから取り外す、ベルト取得工程を有し、前記ベルト取得工程の後又は途中で、前記ベルト保持工程を行うことを特徴とする。
【0023】
第10の発明のベルトの装着方法は、前記第9の発明の前記ベルト取得工程において、前記バーに吊り下げられた前記ベルトの外周側に、前記1対の挟持部材を配置した後、前記1対の挟持部材を近接させて、前記ベルトの途中部を外周側から押圧することにより、前記ベルトの上側部分を前記バーから離間させてから、前記1対の挟持部材を前記バーから後退させることを特徴とする。
【0024】
バーに吊り下げられた状態のベルトは、楕円形状となっている。ベルトの途中部を外周側から1対の挟持部材によって押圧することにより、ベルトは、略中央部がくびれた形状(ひょうたん形状)に変形するため、ベルトの上端の位置が上昇して、ベルトがバーから離すことができる。この状態で、1対の挟持部材をバーから後退させることにより、ベルトをバーから取り外す。
【0025】
第11の発明のベルトの装着方法は、前記第9の発明の前記ベルト取得工程において、前記バーに吊り下げられた前記ベルトの内周側に、前記2対の支持部材を挿入した後、上側の前記1対の支持部材を上昇させて、前記ベルトを前記バーから離して持ち上げてから、前記2対の支持部材を前記バーから後退させることを特徴とする。
【0026】
バーに吊り下げられたベルトの内側に挿入された上側の1対の支持部材を、バーよりも上昇させることにより、ベルトをバーから離間させる。この状態で2対の支持部材をバーから後退させることにより、ベルトをバーから取り外す。
【0027】
第12の発明のベルトの取外し方法は、上下方向に並んで配置された2つのプーリに装着された無端状のベルトを取り外す方法であって、上下方向に離れた位置に1対ずつ配置された2対の支持部材を、前記2つのプーリに装着された前記ベルトの内周側に挿入すると共に、上下方向に関して前記2対の支持部材の間に配置された1対の挟持部材を、前記ベルトの外周側に配置する、配置工程と、前記配置工程の後、前記各1対の支持部材を水平方向に離間させた後、前記2対の支持部材を上下方向に離間させて、前記2対の支持部材によって前記ベルトを内周側から支持させると共に、前記1対の挟持部材を水平方向に近接させて、前記1対の挟持部材によって前記ベルトの途中部を外周側から押圧挟持する、ベルト保持工程と、前記ベルト保持工程の後、前記2対の支持部材及び前記1対の挟持部材を、前記2つのプーリから後退させる、ベルト取外し工程と、を有することを特徴とする。
【0028】
2つのプーリに装着されたベルトの内周側に、2対の支持部材を挿入すると共に、このベルトの外周側に、1対の挟持部材を配置する。次に、各1対の支持部材を水平方向に離間させてから、2対の支持部材材を上下方向に離間させて、上下2対の支持部材によってベルトの内周側から支持させると共に、1対の挟持部材を水平方向に近接させて、1対の挟持部材によってベルトの途中部を外周側から押圧挟持することにより、ベルトを保持する。その後、2対の支持部材及び1対の挟持部材を移動させて、2つのプーリから後退させる。
上述したように、上下2対の支持部材によってベルトを内周側から支持すると共に、1対の挟持部材によってベルトを外周側から押圧挟持することによって、ベルトを保持するため、ベルトを安定して保持できると共に、2つのプーリからベルトを保持した状態で後退させやすい。従って、この取外し方法は、2つのプーリからのベルトの取り外しを自動化するのに適している。
【0029】
第13の発明のベルトの取外し方法は、前記第12の発明において、前記2つのプーリが、この2つのプーリに装着されたベルトを走行させながら前記ベルトの幅方向端部を切断して、加工済ベルトと、この加工済ベルトよりも幅の小さいリング屑とを形成する切断装置に備えられており、前記ベルト取外し工程の後、前記2対の支持部材のうち上側の1対の支持部材を下降させることにより、前記リング屑の上端を前記加工済ベルトの上端よりも低い位置とする、分離工程と、前記分離工程の後、前記加工済ベルトの内周側の、前記上側の1対の支持部材よりも上方の位置にベルト回収部材を挿入する、ベルト回収部材挿入工程と、前記2対の支持部材の軸方向一端側に配置した押出部材を、前記2対の支持部材の軸方向他端側に移動させて、前記加工済ベルト及び前記リング屑を前記他端側に押し出すことにより、前記加工済ベルトを前記ベルト回収部材に回収すると共に、前記リング屑を落下させて回収する、分別回収工程と、を有することを特徴とする。
【0030】
2つのプーリから加工済ベルト及びリング屑を取り外して、この加工済ベルト及びリング屑を2対の支持部材及び1対の挟持部材に保持させた状態から、上側の1対の支持部材を下降させる。加工済ベルトは、その剛性によって中央部がくびれた形状が維持される。一方、リング屑は、加工済ベルトよりも幅が小さく剛性が低いため、上側の1対の支持部材による支持を失うと、その形状を維持することができず、リング屑の上端は、加工済ベルトの上端よりも低い位置となる。
その後、加工済ベルトの内周側の、上側の1対の支持部材よりも上方の位置にベルト回収部材を挿入してから、押出部材を2対の支持部材の軸方向他端側に移動させて、加工済ベルト及びリング屑を前記他端側に押し出す。これにより、加工済ベルトをベルト回収部材に回収し、リング屑を落下させる。
このように、上側の1対の支持部材を下降させることにより、加工済ベルトの上端とリング屑の上端の位置を変化させて、加工済ベルトとリング屑とを分離している。そのため、この分別回収の方法は、自動化するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係るベルト脱着装置を示す斜視図である。
【図2】(a)はベルト脱着装置にベルトを供給するベルト供給装置を示す側面図であって、(b)は(a)の図中左側から見た正面図である。
【図3】ベルト脱着装置によって、バーに吊り下げられたベルトを取得する工程を示す図である。
【図4】ベルト脱着装置によって、2つのプーリにベルトを装着する工程を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るベルト脱着装置を示す側面図である。
【図6】ベルト脱着装置によって、加工済ベルトとリング屑とを分別回収する工程を示す図である。
【図7】分別回収工程の一部の他の例を示す図である。
【図8】他の実施形態に係るベルト脱着装置の一部を示す平面図である。
【図9】ベルト脱着装置によって、バーに吊り下げられたベルトを取得する工程の他の例を示す図である。
【図10】ベルト脱着装置によって、2つのプーリにベルトを装着する工程の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。
本実施形態のベルト脱着装置1は、加工機の2つのプーリ91、92(図4(a)参照)への無端状のベルト100の脱着を行うためのものである。加工機は、プーリ91、92に加えて、加工部を備えており、ベルト100に張力を付与した状態でベルト100を走行させながら、切断や研磨等の加工を行うようになっている。2つのプーリ91、92は、駆動軸93と、駆動軸93の下方に配置されて、上下方向に移動可能な従動軸94とにそれぞれ取り付けられている。また、2つのプーリ91、92は、本実施形態では、互いにほぼ同じ径であるが、異なっていてもよい。
【0033】
図1に示すように、ベルト脱着装置1は、1対の支持バー(1対の支持部材)10、11と、1対の支持バー(1対の支持部材)13、15と、1対の挟持バー(1対の挟持部材)17、19と、上下駆動手段7a、7bと、水平駆動手段方向9a、9b、9cとを有する。
以下、図1に示す左右方向及び前後方向を、左右方向及び前後方向と定義して説明する。
【0034】
1対の支持バー10、11と1対の支持バー13、15とは、上下方向に離れて配置されている。1対の挟持バー17、19は、上下方向に関して、1対の支持バー10、11と1対の支持バー13、15との間に配置されている。支持バー10、11は、それぞれ前後方向に延在した棒部材であって、左右方向に並んで配置されている。支持バー13、15も同様に、それぞれ前後方向に延在した棒部材であって、左右方向に並んで配置されている。挟持バー17、19も同様に、それぞれ前後方向に延在した棒部材であって、左右方向に並んで配置されている。支持バー10、11、13、15は、ベルト100を内周側から支持するためのものであり、挟持バー17、19は、ベルト100の中央部を外周側から押圧挟持するためのものである。
【0035】
ベルト脱着装置1は、支持バー10、11が左右方向に移動可能に取り付けられたベース21と、支持バー13、15が左右方向に移動可能に取り付けられたベース23と、挟持バー17、19が左右方向に移動可能に取り付けられたベース25と、ベース25が固定されると共に、ベース21とベース23とがそれぞれ上下方向に移動可能に取り付けられたベース27とを有する。
【0036】
ベース21には、支持バー10、11を左右方向に駆動する水平駆動手段(第1水平駆動手段)9aが設置されている。ベース23には、支持バー13、15を左右方向に駆動する水平駆動手段(第1水平駆動手段)9bが設置されている。ベース25には、挟持バー17、19を左右方向に駆動する水平駆動手段(第2水平駆動手段)9cが設置されている。ベース27には、ベース21及びベース23をそれぞれ上下方向に駆動する2つの上下駆動手段7a、7bが設置されている。
【0037】
ベース21は、3枚の板状部材を上方から見てU字状に連結したような形状に形成されており、ベース21の中央部分の前面には、左右方向に沿って2本のガイドレール29a、29bが並設されている。これら2本のガイドレール29a、29bには、図示しないリニアガイドを介してスライダ35、36が左右方向に摺動可能に取り付けられている。
【0038】
また、ベース21には、左右方向に延在するボールネジ31、32が配設されている。ボールネジ31はその左端部が、ベース21の左壁部に回転可能に軸支されている。また、ベース21の左壁部の左側の面には、ボールネジ31の左端に回転軸が連動連結されたモータ30aが取り付けられている。ボールネジ31に係合する図示しないナットは、図示しないブラケットに取り付けられており、このブラケットは、スライダ35に取り付けられている。また、ベース21には、ボールネジ31とスライダ35とモータ30aと左右対称に、ボールネジ32とスライダ36とモータ30bとが配置されている。
【0039】
従って、図示しない制御部を介してモータ30aの回転軸を回転駆動することにより、ボールネジ31が回転し、図示しないナットがボールネジ31に沿って左右方向に移動し、これに伴ってスライダ35が左右方向に移動するようになっている。なお、スライダ36も同様の動作で左右方向に移動する。但し、スライダ36は、スライダ35と逆の向きに移動するようになっている。なお、2つのモータ30a、30bが、水平駆動手段9aを構成している。
【0040】
ベース23は、上述したベース21の構成と同様の構成を有し、モータ33a、33bを回転駆動することにより、スライダ38、40が左右方向に移動するようになっている。また、ベース25も、上述したベース21の構成と同様の構成を有し、モータ34a、34bを回転駆動することにより、スライダ42、44が左右方向に移動するようになっている。なお、2つのモータ33a、33bが、水平駆動手段9bを構成し、2つのモータ34a、34bが、水平駆動手段9cを構成している。
【0041】
支持バー10、11は、ベース21に設置されており、詳しくは支持バー10はスライダ35に、支持バー11はスライダ36に固定されている。支持バー13、15は、ベース23に設置されており、詳しくは支持バー13はスライダ38に、支持バー15はスライダ40に固定されている。挟持バー17、19は、ベース25に設置されており、詳しくは挟持バー17はスライダ42に、挟持バー19はスライダ44に固定されている。
【0042】
ベース27は、ベース台28の上面の後端部に設置され、上下方向に延在している。ベース27の上端には、突出板27aが前方に突出して設けられている。ベース27の前面には、上下方向に沿って2本のガイドレール45a、45bが並設されている。
これら2本のガイドレール45a、45bには、図示しないリニアガイドを介してベース21、23が上下方向に摺動可能に取り付けられている。ベース27には、上下方向に延在するボールネジ47、49が配設されている。ボールネジ47はその上端が、ベース27の突出板27aに回転可能に軸支されている。また、ベース27の突出板27aの上面には、ボールネジ47の上端に回転軸が連動連結されたモータ(上下駆動手段)7aが取り付けられている。ボールネジ49の下端は、モータ(上下駆動手段)7bの回転軸に連動連結されており、このモータ7bは、ベース台28中に設置されている。
【0043】
ボールネジ47、49にそれぞれ係合する図示しないナットは、ブラケット48に取り付けられており、このブラケット48は、ベース21、23の後面にそれぞれ取り付けられている。
【0044】
従って、図示しない制御部を介してモータ7aと、図示しないモータ7bの回転軸を回転駆動することにより、ボールネジ47、49が回転し、図示しないナットがボールネジ47、49に沿って上下方向に移動し、これに伴ってベース21、23が上下方向に移動するようになっている。また、ベース21とベース23とは逆の向きに移動するようになっている。
【0045】
また、ベース台28の下面には、車輪50が取り付けられており、これにより、ベルト脱着装置1は水平方向に自由に移動可能となっている。
【0046】
次に、ベルト脱着装置1にベルト100を供給するためのベルト供給装置80の一例を説明する。図2に示すように、ベルト供給装置80は、複数のベルト100が吊り下げられる、上面が円弧状に形成されたハンガー81と、ハンガー81の先端部に設けられた突出バー(本発明のバーに相当)82と、ハンガー81の上面に沿って配置された押し板83と、シリンダ84とを備えている。シリンダ84のロッド84aは、押し板83に固定されている。ハンガー81の先端部分は、突出バー82側に向かって下方に傾斜している。シリンダ84の作動によって、押し板83は、ハンガー81の長手方向(図2中の左右方向)に沿って移動して、ハンガー81に吊り下げられた複数のベルト100を所定ピッチ(この場合はベルト幅に相当する長さ)だけ先端側に送り出す。これにより、最先端のベルト100が、ハンガー81の先端部の傾斜面に沿って滑り落ちて、突出バー82に送られるようになっている。
【0047】
次に、ベルト脱着装置1の動作について説明する。
まず、ベルト供給装置80からベルト100を取り外して、このベルト100を加工機の2つのプーリ91、92に装着する手順について説明する。
【0048】
[ベルト取得工程]
先ず、ベルト供給装置80に向かって、ベルト脱着装置1を前進させて、図3(a)に示すように、突出バー82に吊り下げられたベルト100の内周側に、支持バー10、11、13、15を挿入すると同時に、ベルト100の外周側に挟持バー17、19を配置する。このとき、支持バー10、11は最接近する位置にあり、支持バー13、15も同様に最接近する位置にある。また、挟持バー17、19は、互いに最も離れた位置にある。
続いて、図3(b)に示すように、支持バー10、11を上昇させて、ベルト100を突出バー82から離して持ち上げてから、ベルト脱着装置1をベルト供給装置80から後退させ、突出バー82からベルト100を取り外す。
【0049】
[ベルト保持工程]
その後、支持バー13、15を設置したベース23が下降し、ベルト100の内周面に接触すると、図示しない制御部を介してモータ7bが停止して、ベース23が停止する。次に、図示しない制御部を介してモータ34a、34bを動かし、スライダ42、44を移動させ、スライダ42、44に設置されている挟持バー17、19を接近する方向に移動させ、ベルト100内周面同士が当接しない程度に接近させる。また、支持バー10と支持バー11とを離間させると共に、支持バー13と支持バー15とを離間させ、弛まない程度にベルト100に張力を与えると、図示しない制御部を介してそれぞれのモータを停止させる。これにより、図3(c)に示す状態となる。
【0050】
[プーリ挿入工程]
そして、ベルト脱着装置1を車輪50によって加工機まで移動させて、図4(a)に示すように、ベルト100の内周側に、2つのプーリ91、92を挿入する。
【0051】
[ベルト装着工程]
その後、図4(b)に示すように、支持バー10、11を下降させると共に、支持バー13、15を上昇させて、2つのプーリ91、92にベルト100を懸架する。懸架後、図4(c)に示すように、支持バー10、11を接近させると共に、支持バー13、15も接近させ、ベルト張力を緩める。また、挟持バー17、19を離間させて、支持バー10、11、13、15及び挟持バー17、19がベルト100から離れるようにしてから、プーリ92を下降させて、ベルト100に適宜張力を付与する。その後、ベルト脱着装置1を後退させ加工機外に該ベルト脱着装置1を移動させる。
【0052】
次に、加工機において切断等の加工が終了した後、加工機からベルト100を取り外す手順について説明する。
【0053】
[配置工程]
予め、支持バー10、11及び支持バー13、15は、上下方向で両プーリ91、92間に入るような位置にしておく。また、挟持バー17、19は、最大限離間しておく。
ベルト脱着装置1を加工機に向かって前進させて、2つのプーリ91、92に装着されたベルト100の内周側に、支持バー10、11、13、15を挿入すると共に、ベルト100の外周側に挟持バー17、19を配置する(このとき、図4(c)に示す状態となる。)
【0054】
[ベルト保持工程]
次に、プーリ92を上昇させてから、支持バー10及び支持バー11と、支持バー13及び支持バー15とをそれぞれ離間する方向に移動させると共に、挟持バー17及び挟持バー19は、接近する方向に移動させる(このとき、図4(b)に示す状態となる。)。さらに、支持バー10及び支持バー11とが上側に移動し、支持バー13及び支持バー15とが下側に移動することでベルト100に張力を与える(このとき、図4(a)に示す状態となる。)。
【0055】
[ベルト取外し工程]
張力を与えてベルト100をベルト脱着装置1に懸架した状態で、ベルト脱着装置1を後退させベルト100を加工機から取り出す。
【0056】
以上説明したように、ベルト脱着装置1によって、2つのプーリ91、92へのベルト100の脱着を自動的に行うことができる。
【0057】
また、上述したように、支持バー10、11、13、15によってベルト100を内周側から支持すると共に、挟持バー17、19によってベルト100を外周側から押圧挟持することによって、ベルト100を張力を付与した状態で保持している。そのため、ベルト100を安定的に保持できる。さらに、ベルト100の内周側に2つのプーリ91、92を挿入しやすい。また、ベルト100を保持した状態で2つのプーリ91、92から後退させやすい。
【0058】
<第2実施形態>
本発明の第2の実施の形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
本実施形態のベルト脱着装置201は、特に、加工機が、断面矩形状のベルト100を断面V形状に切断する切断装置の場合に使用される。この切断装置では、2つのプーリ91、92に装着されたベルト100を走行させながら、ベルト100の両端部をカッター等により切断することにより、断面V形状のVベルト100aを形成する。この切断によって、Vベルト100aの両側には、Vベルト100aよりも幅の小さい2つのリング屑100bがそれぞれ形成される。本実施形態のベルト脱着装置201は、上記第1実施形態と同様に、切断装置の2つのプーリ91、92へのベルト100の脱着を行うことに加えて、2つのプーリ91、92から取り外されたVベルト100aとリング屑100bとを分別して回収することができるようになっている。
【0059】
図5に示すように、ベルト脱着装置201は、上記第1実施形態のベルト脱着装置1の構成に加えて、ベース27に設けられたベルト押出手段60と、分別回収補助装置70とを有する。ベルト押出手段60は、ベース27に取り付けられたシリンダ62と、このシリンダ62のロッド62aに固定された押出板(押出部材)61とを有する。
【0060】
シリンダ62は、ベース23とベース25との間に設けられている。即ち、シリンダ62は、1対の挟持バー17、19と、1対の支持バー13、15との間に配置されている。押出板61は、シリンダ62のロッド62aに取り付けられており、シリンダ62を作動させることにより、押出板61は前後方向に駆動されるようになっている。
【0061】
分別回収補助装置70は、車輪73が取り付けられた台座部71と、この台座部71に固定された鉛直方向に延びる支柱72と、支柱72に突設されたベルト回収バー74と、台座部71の上面に配置されたリング屑回収箱75とを有する。ベルト回収バー74は、先端側に向かって上方に傾斜して延在している。
【0062】
次に、ベルト脱着装置201の動作について説明する。
2つのプーリ91、92へのベルト100の装着する手順、及び、2つのプーリ91、92からVベルト100a及びリング屑100bを取り外す手順は、上記第1実施形態で述べた手順と同じである。
以下、2つのプーリ91、92からVベルト100a及びリング屑100bを取り外した後に、Vベルト100aとリング屑100bとを分別して回収する手順について説明する。
【0063】
[分離工程]
図6(a)に示すように、支持バー10、11、13、15及び挟持バー17、19によって、Vベルト100a及びリング屑100bを保持した状態から、図6(b)及び(c)に示すように、支持バー10、11を近接させてから、下降させる。Vベルト100aは、挟持バー17、19によって挟持されていることにより、中央部がくびれた形状が維持される。一方、リング屑100bは、Vベルト100aよりも幅が小さく剛性が低いため、支持バー10、11による支持を失うと、その形状を維持することができず、リング屑100bの上端は、Vベルト100aの上端よりも低い位置となる。なお、図6(c)では、リング屑100bは支持バー10、11と共に下降しているが、図7に示すように、リング屑100bの上側部分が弛んだ状態となることによって、リング屑100bの上端が、Vベルト100aの上端よりも低い位置となってもよい。
【0064】
[ベルト回収バー挿入工程]
次に、分別回収補助装置70を車輪73により移動させて、図6(d)及び図5に示すように、Vベルト100aの内周側の、支持バー10、11よりも上方の位置に、ベルト回収バー74を挿入する。
【0065】
[分別回収工程]
2つのプーリ91、92からVベルト100aとリング屑100bとを取り外す際に、予めロッド62aを縮ませておき、図5に示すように、Vベルト100a及びリング屑100bの後方(ベース27側)に、押出板61を配置しておく。この押出板61を、シリンダ62によって前方に移動させ、Vベルト100a及びリング屑100bを前方に押し出す。これにより、Vベルト100aは、ベルト回収バー74に回収され、リング屑100bは、リング屑回収箱75内に落下する。以上により、Vベルト100aとリング屑100bとを、自動的に分別して回収することができる。
【0066】
また、ベルト回収バー74は、先端側に向かって上方に傾斜して延在しているため、ベルト回収バー74に吊り下げられたVベルト100aは、ベルト回収バー74に沿って図5中の前方向に自動的に滑り落ちる。そのため、ベルト回収バー74に複数のVベルト100aを吊り下げることができる。従って、分別回収作業を終える度に、Vベルト100aをベルト回収バー74から取り外さなくても済むため、連続して分別回収作業を行うことができる。従って、より効率的に回収作業を行うことができる。
【0067】
以上説明した第2実施形態は以下のように変更して実施することができる。
【0068】
上記実施形態では、分離工程の際、図6(a)の状態から、支持バー10、11を近接させてから、下降させているが(図6(b)及び(c)参照)、支持バー10、11のベルト100に接している位置や、ベルト100の特性(周長や剛性)によっては、支持バー10、11を近接させずに下降させてもよい。
【0069】
上記実施形態では、押出板61は、上下方向に関して、挟持バー17、19と支持バー13、15との間の位置に配置されているが、Vベルト100aとリング屑100bとを前方に押し出せる位置であれば、これに限定されるものではない。
【0070】
上記実施形態では、ベース台28と台座部71の両方が、車輪により移動可能となっているが、台座部71は、移動不能であってもよい。
【0071】
支柱72は、台座部71に回転自在に取り付けられていてもよい。この構成により、ベルト回収バー74に吊り下げられたVベルト100aを取り外す際に、台座部71又はベース台28を車輪により移動させることなく、支柱72を回転させるだけで、ベルト回収バー74からVベルト100aを取り外す作業を行うことができる。従って、より効率的に回収作業を行うことができる。
【0072】
支柱72が、台座部71に回転自在に取り付けられている場合、図8に示すように、支柱72に、複数本(図8では4本)のベルト回収バー74が、上方から見て放射状に取り付けられていてもよい。この構成により、ベルト回収バー74にVベルト100aを回収した後、支柱72を所定の角度(図8の場合には例えば90度)だけ回転させることにより、このベルト回収バー74に吊り下げられたVベルト100aをベルト回収バー74から取り外す作業を行うと同時に、別のベルト回収バー74に新たにVベルト100aを回収することができる。従って、より効率的に回収作業を行うことができる。なお、図8では、ベルト回収バー74の数は4本であるが、3本以下又は5本以上であってもよい。
【0073】
ベルト回収バー74は、水平方向に延在していてもよい。
【0074】
また、ベルト回収バー74は、ベース27に設けられていてもよい。具体的には、ベルト回収バー74が、その軸方向(ベルト回収バー74が水平に延在する場合には、前後方向)に移動可能にベース27に設けられ、さらに、ベース27に、ベルト回収バー74をその軸方向に移動させる手段(例えばシリンダ)が設置された構成であってもよい。
【0075】
押出板61を前後方向に駆動する手段は、シリンダ62に限定されるものではない。例えば、前後方向に延在するボールネジ等を用いて、モータにより押出板61を前後方向に駆動してもよい。
【0076】
押出板61がベース27に固定され、ベース21、23、25が、それぞれシリンダ等の駆動手段によって、ベース27に対して前後方向に駆動されるようになっていてもよい。
【0077】
また、ベルト押出手段60は、必ずしもベース27に設けられていなくてもよい。分別回収補助装置70のように、ベース27とは別体であってもよい。
【0078】
切断装置は、ベルト100の少なくとも一方の端部を切断して、ベルト100よりもかなり幅の小さいリング屑を形成するものであれば、Vベルト形成用の切断装置に限定されない。
【0079】
次に、上記第1及び第2実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0080】
1]突出バー82からベルト100を取り外す際、ベルト100の内周側に、支持バー10、11、13、15を挿入すると共に、ベルト100の外周側に挟持バー17、19を配置した後、以下の手順で行ってもよい。
図9(a)に示すように、突出バー82に吊り下げられたベルト100は、楕円形状となっている。図9(b)に示すように、支持バー10、11を離間させると共に、支持バー13、15も離間させて、ベルト100の内周面に接触させた後、図9(c)に示すように、挟持バー17、19を近接させて、挟持バー17、19によりベルト100の中央部を外周側から押圧する。これにより、ベルト100は、中央部がくびれた形状(ひょうたん形状)に変形するため、ベルト100の上端の位置が上昇して、ベルト100が突出バー82から離れる。このとき、支持バー10、11、13、15によってベルト100が内周側から支持されているため、挟持バー17、19とベルトとが摺動するのを防止できる。その後、ベルト脱着装置1をベルト供給装置80から後退させてから、図9(d)に示すように、支持バー10、11、13、15を移動させて、ベルト100に張力を付与する。
【0081】
2]2つのプーリ91、92からベルト100(又はVベルト100aとリング屑100b)を取り外す際、上記実施形態では、ベルト保持工程において、プーリ92を上昇させた後で、挟持バー17、19を近接させているが、プーリ92を上昇させると同時に、挟持バー17、19を近接させてもよい。これにより、ベルト100は常に張力が付与された状態となるため、弛みによる位置ずれを防止できる。
【0082】
3]挟持バー17、19と、支持バー10、11、13、15とが、前後方向に相対的に移動可能に構成されていてもよい。具体的には、例えば、ベース25が、ベース27に対して前後方向に移動可能に設けられ、ベース25を前後方向に駆動する手段(シリンダ等)を備えた構成であってもよい。
この構成の場合、突出バー82からベルト100を取り外した後、以下の手順によって、ベルト100を2つのプーリ91、92に装着することができる。
【0083】
図10(a)に示すように、ベルト脱着装置に保持されたベルト100の内周側に、2つのプーリ91、92を挿入する。このとき、支持バー10、11の間隔(支持バー13、15の間の隔)は、プーリ91(92)の径よりも大きい状態となっている。その後、図10(b)に示すように、支持バー10、11を下降させると共に、支持バー13、15を上昇させて、ベルト100の張力を緩める。このとき、ベルト100は、その上下方向中央部が、挟持バー17、19によって押圧挟持されているため、上下両端部が膨らんだ形状で維持されている。そのため、1対の支持バー10、11(13、15)は、その間隔がプーリの径よりも大きくても、ベルト100からほとんど力を受けていない状態とすることができる。
【0084】
次に、図10(c)に示すように、支持バー10、11、13、15のみをベルト100の内周側から後退させる。上述したように、支持バー10、11、13、15は、ベルト100からほとんど力を受けていないため、ベルト100の内周面に引っ掛かることなく、後退させることができる。その後、図10(d)に示すように、挟持バー17、19を離間させる。同時に、プーリ92を下降させて、ベルト100に張力を付与する。この手順でベルト100をプーリに装着することにより、支持バー10と支持バー11とを近接させる工程、及び、支持バー13と支持バー15とを近接させる工程を省略することができる。
【0085】
4]上記第1及び第2実施形態では、突出バー82に吊り下げられたベルト100を突出バー82から取り外すことにより、ベルト100を取得しているが、ベルト100を取得する方法はこれに限定されるものではない。例えば、図2に示すベルト供給装置80を以下のように変更してもよい。突出バー82を設けずに、突出バー82の位置に、最接近させた支持バー10、11を配置し、押し板83によって、ハンガー81に吊り下げられた複数のベルト100をハンガー81の先端側に送り出すことにより、最先端のベルト100をハンガー81の先端部の傾斜面に沿って落下させて、支持バー10、11に引っ掛けてもよい。
【0086】
5]上記第1及び第2実施形態では、支持バー10、11、13、15及び挟持バー17、19は、ボールネジ等を用いて、モータにより上下方向又は左右方向に駆動されるようになっているが、支持バー10、11、13、15及び挟持バー17、19を駆動する手段は、モータに限定されるものではなく、例えばシリンダであってもよい。
【0087】
6]上記第1及び第2実施形態では、ベルト脱着装置1、201を作業者が押したり引いたりして車輪50を動かして、ベルト脱着装置1、201を移動させるようになっているが、ベルト脱着装置1、201を自動的に移動できるように、ベース27に例えばシリンダ等の駆動手段が取り付けられていてもよい。
【0088】
7]上記第1及び第2実施形態では、加工機にベルト100を装着した後、一旦支持バー及び挟持バーを加工機から後退させて、加工機による加工が終了した後で、再び、支持バー及び挟持バーを加工機に配置しているが、加工機の種類によっては、ベルト100を装着した後で、支持バー又は挟持バーを後退させずにそのままの状態にしておいてもよい。
【0089】
8]ベース27は、ベース台28に、鉛直方向の軸を中心として回転可能に取り付けられていてもよい。これにより、ベルト脱着装置1の向きを変更するために、ベース台28を移動させなくて済むため、ベルト供給装置80と加工機の設置場所によっては、ベルト供給装置80から加工機への移動を効率的に行うことができる。
【0090】
9]上記第1及び第2実施形態では、2つのプーリ91、92は上下方向に並んで配置されているが、2つのプーリ91、92が水平方向又は斜め方向に並んで配置された加工機にも使用できるように、ベース27が、前後方向の軸を中心として回転可能に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1、201 ベルト脱着装置
7a、7b 上下駆動手段
9a、9b 水平駆動手段(第1水平駆動手段)
9c 水平駆動手段(第2水平駆動手段)
10、11 支持バー(支持部材)
13、15 支持バー(支持部材)
17、19 挟持バー(挟持部材)
21、23、25 ベース
27 ベース
29a、29b ガイドレール
30a、30b モータ
31、32 ボールネジ
35、36、38、40、42、44 スライダ
45a、45b ガイドレール
47、49 ボールネジ
50 車輪
60 ベルト押出手段
61 押出板(押出部材)
62 シリンダ
70 分別回収補助装置
71 台座部
72 支柱
73 車輪
74 ベルト回収バー(ベルト回収部材)
75 リング屑回収箱
80 ベルト供給装置
81 ハンガー
82 突出バー(バー)
83 押し板
84 シリンダ
91、92 プーリ
93 駆動軸
94 従動軸
100 ベルト
100a Vベルト(加工済ベルト)
100b リング屑

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのプーリに無端状のベルトを脱着するベルト脱着装置であって、
上下方向に離れた位置に1対ずつ配置され、前記ベルトを内周側から支持する2対の支持部材と、
上下方向に関して前記2対の支持部材の間に配置され、前記ベルトの途中部を外周側から押圧挟持する1対の挟持部材と、
前記各1対の支持部材を上下方向に駆動する上下駆動手段と、
前記各1対の支持部材が離接するように前記各1対の支持部材を水平方向に駆動する第1水平駆動手段と、
前記1対の挟持部材が離接するように前記1対の挟持部材を水平方向に駆動する第2水平駆動手段と、
を備え、
前記2対の支持部材及び前記1対の挟持部材が、少なくとも水平方向に一体的に移動可能であることを特徴とするベルト脱着装置。
【請求項2】
前記2対の支持部材及び前記1対の挟持部材を、一体的に水平方向に駆動する駆動する駆動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のベルト脱着装置。
【請求項3】
前記2つのプーリが、この2つのプーリに装着された前記ベルトを走行させながら前記ベルトの幅方向端部を切断して、加工済ベルトと、この加工済ベルトよりも幅の小さいリング屑とを形成する切断装置に備えられており、
前記2対の支持部材のうち上側の1対の支持部材を駆動するための前記上下駆動手段が、前記2対の支持部材及び前記1対の挟持部材によって前記加工済ベルト及び前記リング屑が保持された状態から、前記上側の1対の支持部材を下降させることによって、前記リング屑の上端を前記加工済ベルトの上端よりも低い位置とし、
前記2対の支持部材及び前記1対の挟持部材に保持された状態の前記加工済ベルト及び前記リング屑を、前記2対の支持部材の軸方向に沿って相対的に移動可能であり、前記2対の支持部材の軸方向一端側に配置された押出部材により、前記2対の支持部材の他端側に押し出すベルト押出手段と、
前記リング屑の上端を前記加工済ベルトの上端よりも低い位置としたときに、前記加工済ベルトの内周側の、前記上側の1対の支持部材よりも上方の位置に挿入され、前記加工済ベルトを回収するベルト回収部材と、
を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベルト脱着装置。
【請求項4】
前記ベルト回収部材が、前記一端側から前記他端側に向かって、下方に傾斜して延在していることを特徴とする請求項3に記載のベルト脱着装置。
【請求項5】
前記ベルト回収部材の、前記他端側の端部が取り付けられる支柱と、
前記支柱の下端が取り付けられる台座部とを備えることを特徴とする請求項3又は4に記載のベルト脱着装置。
【請求項6】
前記支柱が、鉛直方向の軸を中心に回転可能に前記台座部に取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載のベルト脱着装置。
【請求項7】
前記ベルト回収部材の数が複数であって、
前記複数のベルト回収部材が、上方から見て放射状に前記支柱に設けられていることを特徴とする請求項6に記載のベルト脱着装置。
【請求項8】
上下方向に並んで配置された2つのプーリに無端状のベルトを装着する方法であって、
上下方向に離れた位置に1対ずつ配置された2対の支持部材によって、前記ベルトを内周側から支持すると共に、上下方向に関して前記2対の支持部材に間に配置された1対の挟持部材によって、前記ベルトの途中部を外周側から押圧挟持する、ベルト保持工程と、
前記ベルト保持工程の後、前記ベルトの内周側に、前記2つのプーリを挿入する、プーリ挿入工程と、
前記プーリ挿入工程の後、前記1対の挟持部材を水平方向に離間させて前記ベルトの外周面に対する押圧を解放すると共に、前記2対の支持部材を上下方向に近接させて、前記2つのプーリに前記ベルトを装着する、ベルト装着工程と、
を有することを特徴とするベルトの装着方法。
【請求項9】
前記2つのプーリに装着される前記ベルトを取得するために、バーに吊り下げられた前記ベルトを、前記2対の支持部材又は/及び前記1対の挟持部材によって前記バーから取り外す、ベルト取得工程を有し、
前記ベルト取得工程の後又は途中で、前記ベルト保持工程を行うことを特徴とする請求項8に記載のベルトの装着方法。
【請求項10】
前記ベルト取得工程において、
前記バーに吊り下げられた前記ベルトの外周側に、前記1対の挟持部材を配置した後、前記1対の挟持部材を近接させて、前記ベルトの途中部を外周側から押圧することにより、前記ベルトの上側部分を前記バーから離間させてから、前記1対の挟持部材を前記バーから後退させることを特徴とする請求項9に記載のベルトの装着方法。
【請求項11】
前記ベルト取得工程において、
前記バーに吊り下げられた前記ベルトの内周側に、前記2対の支持部材を挿入した後、上側の前記1対の支持部材を上昇させて、前記ベルトを前記バーから離して持ち上げてから、前記2対の支持部材を前記バーから後退させることを特徴とする請求項9に記載のベルトの装着方法。
【請求項12】
上下方向に並んで配置された2つのプーリに装着された無端状のベルトを取り外す方法であって、
上下方向に離れた位置に1対ずつ配置された2対の支持部材を、前記2つのプーリに装着された前記ベルトの内周側に挿入すると共に、上下方向に関して前記2対の支持部材の間に配置された1対の挟持部材を、前記ベルトの外周側に配置する、配置工程と、
前記配置工程の後、前記各1対の支持部材を水平方向に離間させた後、前記2対の支持部材を上下方向に離間させて、前記2対の支持部材によって前記ベルトを内周側から支持させると共に、前記1対の挟持部材を水平方向に近接させて、前記1対の挟持部材によって前記ベルトの途中部を外周側から押圧挟持する、ベルト保持工程と、
前記ベルト保持工程の後、前記2対の支持部材及び前記1対の挟持部材を、前記2つのプーリから後退させる、ベルト取外し工程と、
を有することを特徴とするベルトの取外し方法。
【請求項13】
前記2つのプーリが、この2つのプーリに装着されたベルトを走行させながら前記ベルトの幅方向端部を切断して、加工済ベルトと、この加工済ベルトよりも幅の小さいリング屑とを形成する切断装置に備えられており、
前記ベルト取外し工程の後、前記2対の支持部材のうち上側の1対の支持部材を下降させることにより、前記リング屑の上端を前記加工済ベルトの上端よりも低い位置とする、分離工程と、
前記分離工程の後、前記加工済ベルトの内周側の、前記上側の1対の支持部材よりも上方の位置にベルト回収部材を挿入する、ベルト回収部材挿入工程と、
前記2対の支持部材の軸方向一端側に配置した押出部材を、前記2対の支持部材の軸方向他端側に移動させて、前記加工済ベルト及び前記リング屑を前記他端側に押し出すことにより、前記加工済ベルトを前記ベルト回収部材に回収すると共に、前記リング屑を落下させて回収する、分別回収工程と、
を有することを特徴とする請求項12に記載のベルトの取外し方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−210083(P2010−210083A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265866(P2009−265866)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】