説明

ベンゼン生成抑制剤およびベンゼン生成抑制方法

【課題】安息香酸類含有製品からの有害なベンゼンの生成を抑制する、人体に安全なベンゼン生成抑制剤を提供する。
【解決手段】イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンからなる群から選択される少なくとも1つと、エチレンジアミン四酢酸またはその塩および/または縮合リン酸塩を組み合わせてベンゼン生成抑制剤の有効成分として用いる。また安息香酸類を含む組成物を、上記ベンゼン生成抑制剤と共存させることによって、当該安息香酸類を含む組成物内での安息香酸類からベンゼンの生成を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベンゼン生成抑制剤およびベンゼン生成抑制方法に関する。より詳細には本発明は、安息香酸やその誘導体から生じるベンゼンを有意に抑制することのできるベンゼン生成抑制剤およびベンゼン生成抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食品、化粧品や医薬品等の各種製品には、それ自体、あるいはそれに含まれる素材の保存性を向上するために、保存料として安息香酸やその塩が使用されている。
【0003】
しかしながら、かかる安息香酸類は、酸素や過酸化水素の還元反応によって生じるヒドロキシラジカルによって、発ガン性物質であるベンゼンを生成することが指摘されている(非特許文献1など参照)。
【0004】
このため、安息香酸類を含む飲食品、化粧品や医薬品等の各種製品に関して、例えば加熱処理を含む製造工程や光照射を伴う保存などの一般的な条件下でベンゼンが生成し、これらの製品の中に混在する可能性が懸念されている。
【0005】
とりわけ飲食品については、近年のホットベンダーによる加温飲料の普及やペットボトル等の透明容器入り飲料の普及に伴って、商品保存中や陳列中に熱や光照射の影響を受けやすい。このため、特に飲食品の分野において、安息香酸類に起因するベンゼン生成を防止し、製品へのベンゼン混在という問題を早期に解決する必要がある。
【非特許文献1】J Agr Food Chem. (1993)、 41(5):693-695
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、安息香酸類を原因物質とするベンゼン生成を有意に抑制できるベンゼン生成抑制剤およびベンゼン生成抑制方法を提供することである。特に、本発明は、安全性が高く水溶性で食品等に好適に使用できるベンゼン生成抑制剤、および多くの製品に汎用されるベンゼン生成抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねていたところ、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンからなる群から選択される少なくとも1つと、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、および/または縮合リン酸塩を有効成分とするベンゼン生成抑制剤に、安息香酸類に起因するベンゼン生成を有意に抑制する作用があることを見いだした。本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の態様を含むものである。
【0008】
(1)ベンゼン生成抑制剤
項1.イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンからなる群から選択される少なくとも1つと、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、および/または縮合リン酸塩を有効成分とするベンゼン生成抑制剤。
項2.イソクエルシトリン、ルチンまたはミリシトリンを含む植物抽出物からなる群から選択される少なくとも1つと、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、および/または縮合リン酸塩を有効成分とするベンゼン生成抑制剤。
項3.イソクエルシトリン、ルチンまたはミリシトリンを含む植物抽出物が、エンジュ抽出物、ダッタンソバ抽出物、ドクダミ抽出物、ヤマモモ抽出物、ソバ全草抽出物、小豆全草抽出物、タマネギ抽出物または羅布麻抽出物である項2に記載のベンゼン生成抑制剤。
項4.光照射によるベンゼンの生成を抑制するために用いられる、項1に記載するベンゼン生成抑制剤。
【0009】
(2)安息香酸類含有組成物のベンゼン生成抑制方法
項5.項1乃至4のいずれかに記載するベンゼン生成抑制剤を安息香酸類含有組成物に添加することを特徴とする、安息香酸類含有組成物のベンゼン生成抑制方法。
項6.安息香酸類含有組成物が、安息香酸、安息香酸の塩、安息香酸エステルおよびこれらのヒドロキシル体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する組成物である、項5に記載するベンゼン生成抑制方法。
項7.安息香酸類含有組成物が、安息香酸類を、安息香酸の量に換算して、総量で1〜2500ppm含有するものである、項5に記載するベンゼン生成抑制方法。
項8.安息香酸類含有組成物中に、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量が0.1〜10000ppm、エチレンジアミン四酢酸またはその塩の量が0.01〜10000ppm、および/または縮合リン酸塩の量が1〜10000ppmとなる割合でベンゼン生成抑制剤を添加する、項5に記載するベンゼン生成抑制方法。
項9.安息香酸類含有組成物が、飲食物、医薬品、医薬部外品、化粧品または飼料である、項5に記載するベンゼン生成抑制方法。
項10.安息香酸類含有組成物に添加される、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量が、当該組成物中の安息香酸類の安息香酸の量に換算した総量100質量部に対して、4〜450質量部、エチレンジアミン四酢酸またはその塩の量が0.4〜10質量部、および/または縮合リン酸塩の量が0.1〜300質量部となる割合で、ベンゼン生成抑制剤を添加する、項5に記載するベンゼン生成抑制方法。
【0010】
(3)安息香酸類含有組成物
項11.項1乃至4のいずれかに記載するベンゼン生成抑制剤を含有する、安息香酸含有組成物。
項12.上記安息香酸類含有組成物が、安息香酸、安息香酸の塩、安息香酸エステルおよびこれらのヒドロキシル体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する組成物である、項11に記載する安息香酸類含有組成物。
項13.安息香酸類含有組成物が、安息香酸類を、安息香酸の量に換算して、総量で1〜2500ppm含有するものである、項11に記載する安息香酸類含有組成物。
項14.安息香酸類含有組成物中の、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量が0.1〜10000ppm、エチレンジアミン四酢酸またはその塩の量が0.01〜10000ppm、および/または縮合リン酸塩の量が1〜10000ppmとなる割合でベンゼン生成抑制剤を含有する、項11に記載する安息香酸類含有組成物。
項15.安息香酸類含有組成物中の、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量が、当該組成物中の安息香酸類の安息香酸の量に換算した総量100質量部に対して、4〜450質量部、エチレンジアミン四酢酸またはその塩の量が0.4〜10質量部、および/または縮合リン酸塩の量が0.1〜300質量部となる割合でベンゼン生成抑制剤を含有する、項11に記載する安息香酸類含有組成物。
項16.飲食物、医薬品、医薬部外品、化粧品または飼料である、項11に記載する安息香酸類含有組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光照射や熱などによって生じる安息香酸類からのベンゼン生成を有意に抑制するための方法、ならびに当該方法に簡便に使用できるベンゼン生成抑制剤を提供することができる。本発明のベンゼン生成抑制剤ならびにベンゼン生成抑制方法によれば、製造、流通、保存期間の各段階で安息香酸類から徐々に生じるベンゼンの生成を有意に抑制することができ、長期間安定して安息香酸類含有製品の品質や安全性を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(I)ベンゼン生成抑制剤
本発明のベンゼン生成抑制剤は、有効成分として、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンからなる群から選択される少なくとも1つと、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、および/または縮合リン酸塩を含有することを特徴とする。
【0013】
本発明で用いられる、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンは、フラボノール類である。フラボノール類としては、クエルセチン、ケンフェロール、ラムネチン、ゴシペチン、ミリセチン、モリン、およびイソラムネチンやこれらの配糖体としてクエルシトリン、ハイペロシド、ルチン、イソクエルシトリンおよびミリシトリン、並びにこれらに酵素処理若しくは加水分解等の各種処理を施したもの(例えば、酵素処理ルチン、酵素処理イソクエルシトリン)を例示することができるが、本発明に特に効果があるのは、ルチン、イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ミリシトリンおよび酵素処理イソクエルシトリンであり、より好ましくはルチン、ミリシトリン、酵素処理ルチンおよび酵素処理イソクエルシトリン、更に好ましくはミリシトリンおよび酵素処理イソクエルシトリンである。これらのフラボノール類は1種単独で使用されてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。なお、これらは精製の有無は問わず、精製物であっても粗精製物であってもよい。
【0014】
また本発明では、上記の、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンそのものに代えて、イソクエルシトリン、ルチンまたはミリシトリンを含む植物抽出物をそのまま用いることもできる。かかるものとしてはエンジュ抽出物(エンジュの蕾もしくは花の抽出物)、ダッタンソバ抽出物、ドクダミ抽出物、ヤマモモ抽出物、ソバ全草抽出物、小豆全草抽出物、タマネギ抽出物または羅布麻抽出物等を例示することができる。
【0015】
上記植物抽出物は、イソクエルシトリン、ルチンまたはミリシトリンを比較的多量に含む植物の該当部位を水、アルコールまたはその他の有機溶剤を用いて抽出することによって得ることができ、そのままで使用しても、またさらに酵素処理して使用することもできる。
【0016】
本発明で好適に用いられる植物抽出物としては、小豆全草抽出物,エンジュ抽出物,ソバ全草抽出物、ヤマモモ抽出物などをあげることができる。特に好ましくはヤマモモ抽出物、エンジュ抽出物である。
【0017】
「イソクエルシトリン」とは、多くの植物に含まれるフラボノール類の一つで、下式で示される。
【0018】
【化1】

(式中、Glcはグルコース残基を示す)
【0019】
「酵素処理イソクエルシトリン」とは、イソクエルシトリンに糖供与体の存在下、糖転移酵素を作用して得られるもので、下式で示される、イソクエルシトリンと種々の程度にグルコシル化されたα−グルコシルイソクエルシトリンとの混合物をいう。
【0020】
【化2】

(式中、Glcはグルコース残基を、nは0または1以上の整数を示す)
【0021】
上記式において具体的には、酵素処理イソクエルシトリンは、α−1,4結合のグルコース残基数(n)が0のイソクエルシトリンと、α−1,4結合のグルコース残基数(n)が1以上、通常1〜15、好ましくは1〜10のα−グルコシルイソクエルシトリンとの混合物である。すなわち、酵素処理イソクエルシトリンは、イソクエルシトリン(n=0)と、当該イソクエルシトリンのグルコース残基に更にグルコースが等モル以上結合したα−グルコシルイソクエルシトリン(nが1以上)の混合物である。
【0022】
本発明で用いる酵素処理イソクエルシトリンは、異なるグルコース基の結合数(n)を有する種々の酵素処理イソクエルシトリンの混合物であってもよいが,グルコース基の結合数(n)が単一である一種の酵素処理イソクエルシトリンであってもよい。
【0023】
かかる酵素処理イソクエルシトリンは、イソクエルシトリンをグルコース残基転移酵素で処理することによって調製することができる。制限されないが、通常、酵素処理イソクエルシトリンは、グルコシダーゼまたはトランスグルコシダーゼ等のグルコース残基転移酵素を用いて、イソクエルシトリンにグルコース残基を等モル以上転移させて配糖化することによって製造することができる。
【0024】
なお、イソクエルシトリンのグルコース残基へのグルコース基の結合数(上記式(1)においてnの数)は、特に制限されないものの、通常、前述するように1〜15、好ましくは1〜10の範囲になるように任意に調整することができる。かかる調整方法としては、例えば、酵素処理イソクエルシトリン生成後に、各種のアミラーゼ(α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、マルターゼ等)を単独もしくは複数組み合わせて処理する方法を挙げることができる。こうすることによって、前述する方法で得られた酵素処理イソクエルシトリン分子中のグルコース糖鎖数を減少させて、任意のグルコース糖鎖長を持つ酵素処理イソクエルシトリンを得ることもできる。
【0025】
斯くして得られる酵素処理イソクエルシトリンは、イソクエルシトリン(ケルセチン3−0−モノグルコサイド)のグルコース残基に更にグルコースが等モル以上量結合したα−グルコシルイソクエルシトリンを主成分とするものであって水易溶性である。
【0026】
「ルチン」は、特にソバや柑橘類に多く含まれるフラボノール類の一種で、ビタミンPとも呼ばれるもので、下式で示される。
【0027】
【化3】

(式中、Glcはグルコース残基を、Rhaはラムノース残基を示す)
【0028】
「酵素処理ルチン」は、ルチンを糖供与体の存在下、グルコース基転移酵素で処理することによって調製したものである。通常、酵素処理ルチンは、グルコシダーゼまたはトランスグルコシダーゼ等のグルコース残基転移酵素を用いて、ルチンにグルコース残基を等モル以上転移させて配糖化することによって製造することができる。
【0029】
【化4】

(式中、Glcはグルコース残基を、Rhaはラムノース残基、nは0または1以上の整数を示す)
【0030】
上記式において具体的には、ルチンのグルコース残基へのグルコース基の結合数(上記式においてnの数)は、特に制限されないものの、通常、1〜15、好ましくは1〜10の範囲になるように任意に調整することができる。かかる調整方法としては、例えば、酵素処理ルチン生成後に、各種のアミラーゼ(α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、マルターゼ等)を単独もしくは複数組み合わせて処理する方法を挙げることができる。こうすることによって、前述する方法で得られた酵素処理ルチン分子中のグルコース糖鎖数を減少させて、任意のグルコース糖鎖長を持つ酵素処理ルチンを得ることもできる。
【0031】
本発明で用いる酵素処理ルチンは、異なるグルコース基の結合数(n)を有する種々の酵素処理ルチンの混合物であってもよいが,グルコース基の結合数(n)が単一である一種の酵素処理ルチンであってもよい。
【0032】
斯くして得られる酵素処理ルチンは、ルチンのグルコース残基に更にグルコースが等モル以上量結合したα-グルコシルルチンを主成分とするものであって水易溶性である。
【0033】
「ミリシトリン」は、ヤマモモ科植物に多く含まれるフラボノール類の一種で、下式で示される。

(式中、Rhaはラムノース残基を示す)
【0034】
ベンゼン生成抑制剤に含まれるイソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量は、安息香酸類からのベンゼン生成を抑制する効果を有する範囲であれば特に制限はされない。例えば、ベンゼン生成抑制剤100質量部中のイソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量は、0.01〜99質量部、好ましくは0.5〜99質量部の範囲を挙げることができる。
【0035】
本発明で用いられるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩としては、エチレンジアミン四酢酸、およびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムやエチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム(EDTA−Ca2Na)等のエチレンジアミン四酢酸塩を例示することができる。
【0036】
ベンゼン生成抑制剤に含まれるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩の割合は、安息香酸類からのベンゼン生成を抑制する効果を有する範囲であれば特に制限はされない。例えば、ベンゼン生成抑制剤100質量%中の安息香酸の割合として0.001〜99質量%好ましくは0.01〜90質量%の範囲を挙げることができる。
【0037】
本発明で用いられる縮合リン酸塩としては、2分子以上のリン酸が脱水重合して塩の形になったものをいい、多くの化合物が存在するが、例示としては食品添加物として用いられているものをあげることができる。具体的にはピロリン酸四カリウム、ピロリン酸二水素カルシウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム等のピロリン酸塩、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム等のポリリン酸塩、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、酸性メタリン酸ナトリウム等のメタリン酸塩をあげることができる。
【0038】
ベンゼン生成抑制剤に含まれる縮合リン酸塩の割合は、安息香酸類からのベンゼン生成を抑制する効果を有する範囲であれば特に制限はされない。例えば、ベンゼン生成抑制剤100質量%中の縮合リン酸塩の割合として0.05〜97質量%好ましくは10〜83質量%の範囲を挙げることができる。
【0039】
本発明のベンゼン生成抑制剤は、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンからなる群から選択される少なくとも1つと、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、および/または縮合リン酸塩を含有するものであればよく、他の成分の配合の有無は特に問わないが、担体や添加剤を配合してもよい。
【0040】
かかる担体としては、本発明の効果を妨げないものであれば特に制限されず、例えばシュクロース、グルコース、デキストリン、澱粉類、サイクロデキストリン、トレハロース、乳糖、マルトース、水飴、液糖などの糖類;エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等の糖アルコール;アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、グァーガム、ジェランガム等の多糖類;または水を挙げることができる。
【0041】
また、イソクエルシトリン、ルチン、ミリシトリンは水難溶性で取り扱いにくい物質であるため、必要に応じて、これらをエタノールなどの低級アルコール、またはグリセリンやプロピレングリコールなどの多価アルコールに溶かして用いてもよい。
【0042】
また添加剤としては、抗酸化剤、キレート剤等の助剤、香料、香辛料抽出物、防腐剤などを挙げることができる。
【0043】
なおここで添加剤として用いられる抗酸化剤としては、食品添加物として用いられるものを広く例示することができる。例えば、制限はされないが、エリソルビン酸およびその塩(例えばエリソルビン酸ナトリウム)等のエリソルビン酸類;クロロゲン酸、イソクロロゲン酸およびその塩などのクロロゲン酸類;亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムまたはピロ亜硫酸カリウムなどの亜硫酸塩類;α−トコフェロールやミックストコフェロール等のトコフェロール類;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)等;没食子酸や没食子酸プロピル等の没食子酸類;γ−オリザノール、エラグ酸、グアヤク脂、セサモリン、セサモール、メラロイカ精油、単糖アミノ複合物、フェルラ酸、トコトリエノール、ナタネ油抽出物、ゴマ油不鹸化物、アオイ花抽出物、アスペルギルステレウス抽出物、カンゾウ油性抽出物、クローブ抽出物、精油除去ウイキョウ抽出物、セイヨウワサビ抽出物、セージ抽出物、セリ抽出物、チャ抽出物、テンペ抽出物、生コーヒー豆抽出物、ヒマワリ種子抽出物、ピメンタ抽出物、ブドウ種子抽出物、ブルーベリー葉抽出物、プロポリス抽出物、ヘゴ・イチョウ抽出物、ペパー抽出物、ホウセンカ抽出物、ユーカリ葉抽出物、リンドウ根抽出物、酵素分解リンゴ抽出物、ごま油抽出物、菜種油抽出物、コメヌカ油抽出物、コメヌカ酵素分解物等を挙げることができる。
【0044】
本発明のベンゼン生成抑制剤はその形態を特に制限するものではなく、例えば粉末状、顆粒状、錠剤状などの固体状;液状、乳液状等の液状;またはペースト状等の半固体状などの、任意の形態に調製することができる。
【0045】
本発明のベンゼン生成抑制剤は、安息香酸類からのベンゼン生成を抑制することを目的として、安息香酸類を含有する組成物に広く適用することができる。このような組成物としては、例えば飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品、飼料等を挙げることができる。これらの形態は特に制限されるものではないが、好ましい形態として水を含有するもの、特に飲料、化粧水、化粧液、液剤、ドリンク、注射液および点滴等の溶液状のもの、中でも水溶液状のものを挙げることができる。
【0046】
上記安息香酸類としては、安息香酸(Benzoic acid)、安息香酸塩、安息香酸エステルおよびこれらのヒドロキシル体を挙げることができる。例えば、安息香酸の塩としては安息香酸のナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属塩;安息香酸のカルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩を挙げることができる。安息香酸のヒドロキシル体としては、2-ヒドロキシ安息香酸(2-Hydroxybenzoic acid=サリチル酸)、4-ヒドロキシ安息香酸(4-Hydroxybenzoic acid)、3,4-ジヒドロキシ安息香酸(プロトカテク酸:Protocatechuic acid)、2,3-ジヒドロキシ安息香酸(o-ピロカテク酸)、2,4-ジヒドロキシ安息香酸(β-レソルシル酸)、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(ゲンチジン酸)、2,6-ジヒドロキシ安息香酸(γ-レソルシル酸)、3,5-ジヒドロキシ安息香酸(α-レソルシル酸)を挙げることができる。安息香酸エステルとしては、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、安息香酸プロピル、安息香酸ベンジルを、またそのヒドロキシル体としてはパラヒドロキシ安息香酸イソブチル、パラヒドロキシ安息香酸イソプロピル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル等を挙げることができる。
【0047】
なお、本発明のベンゼン生成抑制剤は、防腐など製品の保存安定を図る等の目的で上記の安息香酸類を添加した製品や、原料に由来して本来的に安息香酸類を含む製品に添加配合して用いられることによって、該製品中での安息香酸類からのベンゼン生成を抑制することができる。
【0048】
本発明のベンゼン生成抑制剤は、安息香酸類を含む組成物に添加して用いられるが、その配合割合としては、当該組成物中の安息香酸類の安息香酸の量に換算した総量100質量部に対して、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量が、通常4〜450質量部、好ましくは、10〜50質量部、エチレンジアミン四酢酸またはその塩の量が0.4〜10質量部、および/または縮合リン酸塩の量が0.1〜300質量部となるような割合を挙げることができる。
【0049】
また、製品中での安息香酸類からのベンゼン生成は、製造、流通、保存期間の各段階において光照射や加熱などにより起こりうるが、本発明のベンゼン生成抑制剤によれば、特に光照射によるベンゼンの生成を有意に抑制することができる。
【0050】
これらの製品に対する本発明のベンゼン生成抑制剤の用法については、下記(II)および(III)において詳述する。
【0051】
(II)ベンゼン生成抑制剤を含む安息香酸類含有組成物
本発明は、前述した、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンからなる群から選択される少なくとも1つと、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、および/または縮合リン酸塩をベンゼン生成抑制剤として含有する安息香酸類含有組成物を提供する。当該安息香酸類含有組成物は、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンからなる群から選択される少なくとも1つと、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、および/または縮合リン酸塩を含有することによって安息香酸類に起因して生じるベンゼンの生成が有意に抑制されるという効果を奏する。
【0052】
なお、ここで安息香酸類含有組成物とは、前述する安息香酸、安息香酸塩、安息香酸エステルおよびこれらのヒドロキシル体などの安息香酸類を少なくとも1種含有する組成物を意味する。安息香酸類組成物には、例えば保存(防腐)などを目的に人為的に安息香酸類を添加した組成物(製品)のみならず、例えばシナモン、タイムまたはフェンネル等の香辛料;ニラ、大葉、ブロッコリーまたはしいたけ等の野菜類;香料基原物質であるベンゾイン(安息香)のように、組成物の調製に使用する材料に本来含まれる成分に由来して安息香酸類を含有する組成物(製品)も含まれる。
【0053】
かかる安息香酸類含有組成物に含まれる安息香酸類の量としては制限されないが、安息香酸の割合に換算して、通常1〜2500ppm、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは1〜600ppmを挙げることができる。
【0054】
安息香酸類含有組成物としてはヒトや動物に適用され、生体内に取り込まれる可能性のある製品、特に飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品、飼料等を挙げることができる。好ましくは飲食物である。飲食物として好ましくは、飲料、特に清涼飲料;化粧品として好ましくは化粧水、乳液;医薬部外品として好ましくはドリンク剤、うがい剤、洗口剤、液体はみがき、洗眼液;また医薬品として好ましくはドリンク剤、水薬、シロップ剤、目薬、注射液、点滴液などの、水を含有する各製品を挙げることができる。
【0055】
本発明が対象とする飲食物としては、保存等の目的で安息香酸類を添加したもの、もしくは、材料に本来含まれる成分に由来して安息香酸類を有しているものであれば特に制限されない。かかる飲食物として、例えば乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実飲料、アルコール飲料、粉末飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンクなどの飲料類;カスタードプリン、ミルクプリン、スフレプリン、果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロアおよびヨーグルト等のデザート類;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、ミルクアイスクリーム、果汁入りアイスクリームおよびソフトクリーム、アイスキャンディー、シャーベット、氷菓等の冷菓類;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレートおよびメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;ハードキャンディー(ボンボン、バターボール、マーブル等を含む)、ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、ドロップ、タフィ等のキャラメル類;ハードビスケット、クッキー、おかき、煎餅等の焼き菓子類(以上、菓子類);コンソメスープ、ポタージュスープ等のスープ類;浅漬け、醤油漬け、塩漬け、味噌漬け、粕漬け、麹漬け、糠漬け、酢漬け、芥子漬、もろみ漬け、梅漬け、福神漬、しば漬、生姜漬、梅酢漬け等の漬物類;醤油、ポン酢、セパレートドレッシング、ノンオイルドレッシング、乳化ドレッシング、ケチャップ、たれ、ソースなどのソース類;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム、プレザーブ等のジャム類;シロップ類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ、桃等の加工用果実;ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;バター、マーガリン、チーズ、ホイップクリーム等の酪農・油脂製品類;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめおよびワンタン等の麺類;その他、各種総菜および麩、田麩等の種々の加工食品を挙げることができる。好ましくは飲料および菓子類である。
【0056】
本発明の飲食物は、製造の任意の工程で本発明のベンゼン生成抑制剤を配合することを除けば、各種飲食物の慣用の製造方法に従って製造することができる。ベンゼン生成抑制剤の配合方法やその順番に特に制限はないが、ベンゼン生成抑制剤を製造工程の初期に添加するのが好ましい。好ましくは、安息香酸類の添加時において本発明のベンゼン生成抑制剤が含まれる状態にあるか、又は熱処理工程または光に晒される前にベンゼン生成抑制剤を配合するなどを挙げることができる。
【0057】
本発明が対象とする化粧品としては安息香酸類を含むスキン化粧料(ローション(化粧水)、乳液、クリームなど)、口紅、日焼け止め化粧品、メークアップ化粧品等を;医薬品としては安息香酸類を含む各種錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ剤、うがい剤、目薬、注射剤、点滴剤等を;医薬部外品としては安息香酸類を含む歯磨き剤(特に液体はみがき)、洗口剤、口中清涼剤、口臭予防剤、洗眼液等を;また飼料としては安息香酸類を含むキャットフードやドッグフード等の各種ペットフード、観賞魚若しくは養殖魚の餌等を一例として挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
【0058】
これらの化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料などの各種の安息香酸類含有組成物は、それらの製造の任意の工程で本発明のベンゼン生成抑制剤を配合することを除けば、各種製品の慣用方法に従って製造することができる。化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料に対するベンゼン生成抑制剤の配合時期は特に制限されないが、製造工程の初期、好ましくは熱処理工程前または光に晒される前に各種材料とともに配合することが望ましい。
【0059】
飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料等の各種の安息香酸類含有組成物に対する本発明のベンゼン生成抑制剤の添加量は、安息香酸類からベンゼンの生成が抑制できる量であれば特に制限されない。各組成物(製品)に含まれる安息香酸類の含量は、対象物の種類・用途およびそれに含まれる成分などを考慮して適宜選択、決定することができる。例えば、上記安息香酸類含有組成物に、ベンゼン生成抑制剤が少なくとも0.1ppmの割合で含まれるように添加されていれば良い。好ましくは1〜10000ppm、より好ましくは1〜5000ppmを挙げることができる。さらに好ましくは上記安息香酸類含有組成物に、ベンゼン生成抑制剤が1〜1000ppmの割合で含まれるような配合割合を挙げることができる。
【0060】
また安息香酸類含有組成物中に含まれる安息香酸類の安息香酸の量に換算した総量100質量部に対して、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量が、好ましくは4〜450質量部、より好ましくは、10〜50質量部とエチレンジアミン四酢酸およびその塩の量が、0.4〜10質量部、および/または縮合リン酸塩の量が、0.1〜300質量部となるような割合でベンゼン生成抑制剤を添加してもよい。
【0061】
また、安息香酸類含有組成物において、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリン(総量)100質量部に対するアスコルビン酸類(総量)の割合が、通常1〜100000質量部、好ましくは1〜50000質量部、より好ましくは2〜30000質量部、エチレンジアミン四酢酸およびその塩の割合が10〜3500質量部、および/または縮合リン酸塩の割合が10〜3500質量部となるように、ベンゼン生成抑制剤を配合することもできる。
【0062】
(III)安息香酸類含有組成物のベンゼン生成抑制方法
また本発明は、安息香酸類含有組成物のベンゼン生成抑制方法を提供する。
【0063】
本発明が対象とする安息香酸類含有組成物としては、保存等の目的で安息香酸類を人為的に添加してなる組成物、もしくは使用する材料に本来含まれる成分に由来して安息香酸類を有している組成物であれば特に制限はない。具体的には、前述した飲食物、化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料等の各種安息香酸類含有製品を挙げることができる。
【0064】
本発明の方法は、これらの安息香酸類含有組成物を、本発明のベンゼン生成抑制剤と共存させることにより実施することができる。ここで共存の態様としては、両者が接触した状態で存在する状態が形成されるものであれば特に制限されない。例えば、かかる共存状態は安息香酸類含有組成物に上記本発明のベンゼン生成抑制剤を配合して両者を混合することによって形成することができる。例えば、安息香酸類含有組成物が飲食物である場合は、本発明のベンゼン生成抑制剤を飲食物の製造時に材料成分の一つとして配合することによって上記共存状態を形成することができる。化粧品、医薬品、医薬部外品または飼料等の他の製品についても同様である。
【0065】
安息香酸類含有組成物に対する本発明のベンゼン生成抑制剤の使用割合としては、本発明の効果を発揮する範囲であれば特に制限されず、対象とする組成物の種類に応じて適宜調節することができる。特に制限されないが、当該安息香酸類含有組成物に対するベンゼン生成抑制剤の配合割合として、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量が少なくとも15ppm、好ましくは15〜1500ppm、より好ましくは45〜150ppmと、エチレンジアミン四酢酸またはその塩が1.5〜35ppm、および/または縮合リン酸塩が0.5〜1000ppmの範囲を挙げることができる。
→EMIQ等の「好ましくは」と「より好ましくは」の下限の量がどちらも45ppmになっておりますが、これでよいのでしょうか?
【0066】
更に、安息香酸類含有組成物に含まれる安息香酸類の安息香酸の量に換算した総量100質量部に対して、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンが、4〜450質量部、より好ましくは、10〜50質量部とエチレンジアミン四酢酸またはその塩の量が、0.4〜10質量部および/または縮合リン酸塩の量が、0.1〜300質量部となるような割合でベンゼン生成抑制剤を添加してもよい。
【0067】
当該本発明のベンゼン生成抑制方法によれば、安息香酸類含有組成物内で安息香酸類に起因して生じるベンゼンの生成を有意に抑制し、当該組成物へのベンゼンの混在を防止することができる。
【実施例】
【0068】
以下、実験例および処方例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。なお、ミリシトリン、ルチン、酵素処理イソクエルシトリン(以下、「EMIQ」という)とイソクエルシトリン、および酵素処理ルチンは、それぞれ調製例1、調製例2、調製例3および調製例4にて調製したものを使用した。また、ペンタポリリン酸Naは太平化学産業株式会社製、テトラポリリン酸Naは米山化学工業株式会社製、酸性メタリン酸Naは燐化学工業株式会社製のものを使用した。
【0069】
調製例1 ミリシトリンの調製
ヤマモモ乾燥葉(小枝を少し含む)200gを粉砕し、メタノール1Lを加えて60℃に維持しながら4時間攪拌して抽出した。この混合物を室温まで冷却後、吸引濾過する。残渣にメタノール150mLを加えて洗浄し、濾過液と洗浄液を合わせた。この溶液を、ロータリーエバポレーターを用いて100mLまで減圧濃縮した。黒緑色を呈した濃縮液を分液ロートに移し、水150mLを加えた後エチルエーテルで3回洗浄した。水層を減圧濃縮し、濃縮物にメタノールを加えて晶析し、黄褐色の析出物を得た。これをメタノールから再結晶を行うことにより、ミリシトリン2.5gを得た。
【0070】
得られたミリシトリンを、下記条件のHPLC分析に供して、ミリシトリンの純度(ミリシトリンの含有率(質量%))を算出した。
【0071】
<HPLC条件>
カラム:Inertsil ODS-3 Φ4.6×250mm(GLサイエンス製)
溶離液:水/アセトニトリル/TFA=850/150/1
検出:波長343nmにおける吸光度測定流速:1.0ml/min。
【0072】
測定の結果、調製したミリシトリンの純度は98.2質量%であった。
【0073】
調製例2 ルチンの調製
マメ科植物であるエンジュのつぼみ5kgを50Lの熱水(95℃以上)に2時間浸漬した後、濾別した濾液を「第一抽出液」として取得した。一方、濾別した残渣を更に熱水に浸漬して抽出し、「第二抽出液」を得た。これらの第一および第二抽出液を合わせ、30℃以下に冷却して沈殿した成分を濾別し、沈殿部を水洗、再結晶、乾燥することにより、純度95%以上のルチン452gを得た。
【0074】
調製例3 イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン(EMIQ)の調製
(1)イソクエルシトリンの調製
調製例2で調製したルチン200gを水40Lに分散し、これにナリンギナーゼ(天野エンザイム(株)、商品名ナリンギナーゼ"アマノ")を20g添加して反応を開始し、これを55℃で5時間保持した後、約10Lまで減圧濃縮し、冷却して生じた沈殿物を濾別した。得られた沈殿物(固形分)を水洗した後、乾燥し、イソクエルシトリン134gを回収した。
【0075】
(2)酵素処理イソクエルシトリン(EMIQ)の調製
上記で得られたイソクエルシトリン100gに、20Lの水を加えデキストリン400gを添加し分散させた。これにシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase:天野エンザイム(株)、商品名コンチザイム)100gを添加して反応を開始し、これを55℃、pH 7.0の条件下、24時間保持した。得られた反応液を冷却した後、ダイヤイオンHP−20(三菱化学(株)製)のカラムに付加し、5Lの水で洗浄した。次いでカラムに50容量%エタノール水溶液を供し、得られた溶出液を減圧濃縮した後、凍結乾燥して、酵素処理イソクエルシトリン(EMIQ)118gを取得した。
【0076】
得られたEMIQを、下記条件のHPLC分析に供して、EMIQに含まれる各種のα−グルコシルイソクエルシトリンのモル比(%)を算出した。
【0077】
<HPLC条件>
カラム:Inertsil ODS-2 Φ4.6×250mm(GLサイエンス製)
溶離液:水/アセトニトリル/TFA=850/150/2
検出:波長351nmにおける吸光度測定
流速:0.8ml/min。
【0078】
下記に酵素処理イソクエルシトリン(EMIQ)のモル組成比(%)を示す。当該モル組成比は、イソクエルシトリン(以下IQCとする)からIQCにグルコースがα−1,4結合で7個結合したIQC+Glc7までの8成分の合計を100%として換算した組成比である。表1の「IQC+Glc1」などの記載において「Glc」の後ろの数字は、イソクエルシトリンにα−1,4結合したグルコースの数を意味する。具体的には、例えば「IQC+Glc1」は、イソクエルシトリンにグルコースがα−1,4結合で1個結合したα−グルコシルイソクエルシトリンを、「IQC+Glc7」は、イソクエルシトリンにグルコースがα−1,4結合で7個結合したα−グルコシルイソクエルシトリンを、それぞれ意味する。なお、EMIQは、これらの成分以外に、IQCにグルコースが8個以上結合したもの(IQC+Glc8以上)を微量含んでいた。
【0079】
【表1】

【0080】
調製例4 酵素処理ルチンの調製
調製例2で調製したルチン100gに、20Lの水を加えデキストリン400gを添加し分散させた。これにシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase:天野エンザイム(株)、商品名コンチザイム)150gを添加して反応を開始し、これを52℃、pH 7.0の条件下、30時間保持した。得られた反応液を冷却した後、ダイヤイオンHP−20(三菱化学(株)製)のカラムに付加し、5Lの水で洗浄した。次いでカラムに50容量%エタノール水溶液を供し、得られた溶出液を減圧濃縮した後、凍結乾燥して、酵素処理ルチン91gを取得した。
【0081】
得られた酵素処理ルチンを、下記条件のHPLC分析に供して、酵素処理ルチンに含まれる各種のα−グルコシルルチンのモル比(%)を算出した。
<HPLC条件>
カラム:Inertsil ODS-2 Φ4.6×250mm(GLサイエンス製)
溶離液:水/アセトニトリル/TFA=850/150/2
検出:波長351nmにおける吸光度測定
流速:0.8ml/min
【0082】
表2に酵素処理ルチンのモル組成比(%)を示す。当該モル組成比は、ルチン(RTN)およびルチンにグルコースがα−1,4結合で1−7個結合した8成分の合計を100%として換算した組成比である。表2の「RTN+Glc1」などの記載において「Glc」の後ろの数字は、ルチンにα−1,4結合したグルコースの数を意味する。具体的には、例えば「RTN+Glc1」は、ルチンにグルコースがα−1,4結合で1個結合したα−グルコシルルチンを、「RTN+Glc7」は、ルチンにグルコースがα−1,4結合で7個結合したα−グルコシルルチンを、それぞれ意味する。
【0083】
なお、酵素処理ルチンは、これらの成分以外に、ルチンにグルコースが8個以上結合したもの(RTN+Glc8以上)を微量含んでいた。
【0084】
【表2】

【0085】
以下、実施例および実験例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0086】
実験例1
表3の処方1から6に記載の成分を各々混合して6種類の試験用飲料を調製し、清浄な200mL透明ガラス瓶に充填を行い密栓し85℃5分間殺菌後虐待試験に供した。
【0087】
1)試験処方
【0088】
【表3】

【0089】
2)虐待条件
キセノンランプフェードメーターによる光照射(1600ラングレー)を行った。
【0090】
3)飲料抽出、試験溶液調製
300mLの分液ロートに、試験用飲料200mLとn−ヘプタン(高速液体クロマトグラフ用、和光純薬)10mLを加え、振とう機(KM-SHAKER:IWAKI社製)にセットして5分間振とうした。10分間静置の後、有機層を回収してGC/MS分析用試験溶液を調製し、ベンゼン含量を測定した。
【0091】
4)GC/MS測定条件
GC:Varian, Inc. CP 3800、MS:Varian, Inc. Saturn 2100T
カラム:DB-Wax(0.25mm×30m、J&W Scientific.)
カラム温度:40℃(3min、一定)− 20℃/min --- 220℃(10min)
注入量:1μL
注入口温度:250℃
スプリット比:30:1
【0092】
5)試験結果
飲料中のベンゼン含量を表4に示した。
【0093】
【表4】

【0094】
なお、無添加品を、光照射をせずに冷蔵庫(5℃)にて5日間保存した試験飲料のベンゼン含量は1ppb未満であった。
【0095】
以上の結果より、EDTA−Ca2NaとEMIQやミリシトリンを併用して添加した飲料(処方5,6)は、光照射いずれの虐待条件でもベンゼン発生は低く抑えられていた。
【0096】
実験例2
表5の処方1から6に記載の成分を各々混合して6種類の試験用飲料を調製し、清浄な200mL透明ガラス瓶に充填を行い密栓し85℃5分間殺菌後虐待試験に供した。
【0097】
1)試験処方
【0098】
【表5】

【0099】
2)虐待条件
キセノンランプフェードメーターによる光照射(1600ラングレー)を行った。
3)飲料抽出、試験溶液調製
実験例1に準じて実施した。
4)GC/MS測定条件
実験例1に準じて実施した。
【0100】
5)試験結果
飲料中のベンゼン含量を表6に示した。
【0101】
【表6】

【0102】
なお、無添加品を、光照射をせずに冷蔵庫(5℃)にて保存していた試験飲料のベンゼン含量は1ppb未満であった。
【0103】
上記結果より、テトラポリリン酸Naまたはペンタポリリン酸Naと、EMIQを併用して添加した試験飲料は光照射の虐待条件ではベンゼンは検出されなかった。
【0104】
実験例3
表7のアスコルビン酸添加区の処方1から8および表8のアスコルビン酸無添加区の処方9から16に記載の成分を各々混合して16種類の試験用飲料を調製し、清浄な200mL透明ガラス瓶に充填を行い密栓し85℃5分間殺菌後虐待試験に供した。
【0105】
1)試験処方
【0106】
【表7】

【0107】
【表8】

【0108】
2)虐待条件
キセノンランプフェードメーターによる光照射(1600ラングレー)を行った。
3)飲料抽出、試験溶液調製
実験例1に準じて実施した。
4) GC/MS測定条件
実験例1に準じて実施した。
5)試験結果
飲料中のベンゼン含量を表9に示した。
【0109】
【表9】

【0110】
なお、アスコルビン酸添加区、アスコルビン酸無添加区共に、無添加品を、光照射をぜずに冷蔵庫(5℃)にて保存していた試験飲料のベンゼン含量は1ppb未満であった。
【0111】
上記結果のとおり、EMIQと酸性メタリン酸Naを併用して添加した試験飲料は、光照射条件下において、ベンゼンが検出されず、ベンゼン生成が抑制されていた。
【0112】
実験例4
表10の処方1から8に記載の成分を各々混合して8種類の試験用飲料を調製し、清浄な200mL透明ガラス瓶に充填を行い密栓し85℃5分間殺菌後虐待試験に供した。
1)試験処方
【0113】
【表10】

【0114】
2)虐待条件
キセノンランプフェードメーターによる光照射(1600ラングレー)を行った。
3)飲料抽出、試験溶液調製
実験例1に準じて実施した。
4)GC/MS測定条件
実験例1に準じて実施した。
【0115】
5)試験結果
飲料中のベンゼン含量を表11に示した。
【0116】
【表11】

【0117】
上記結果より、ペンタポリリン酸Naを0.5ppm以上添加することによって、有意にベンゼンの発生量を抑えることができた。
【0118】
実験例5
表12の処方1から7に記載の成分を各々混合して7種類の試験用飲料を調製し、清浄な200mL透明ガラス瓶に充填を行い密栓し85℃5分間殺菌後虐待試験に供した。
1)試験処方
【0119】
【表12】

【0120】
2)虐待条件
キセノンランプフェードメーターによる光照射(1600ラングレー)を行った。
3)飲料抽出、試験溶液調製
実験例1に準じて実施した。
4)GC/MS測定条件
実験例1に準じて実施した。
【0121】
5)試験結果
飲料中のベンゼン含量を表13に示した。
【0122】
【表13】

【0123】
上記結果より、EDTA・2Na・Caを1.5ppm以上添加することによって、有意にベンゼンの発生量を抑えることができた。
【0124】
実験例6
表14の処方1から9に記載の成分を各々混合して9種類の試験用飲料を調製し、清浄な200mL透明ガラス瓶に充填を行い密栓し85℃5分間殺菌後虐待試験に供した。
1)試験処方
【0125】
【表14】

【0126】
2)虐待条件
キセノンランプフェードメーターによる光照射(1600ラングレー)を行う。
3)飲料抽出、試験溶液調製
実験例1に準じて実施した。
4)GC/MS測定条件
実験例1に準じて実施した。
【0127】
5)試験結果
飲料中のベンゼン含量を表15に示した。
【0128】
【表15】

【0129】
上記結果より、ペンタポリリン酸Naが0.5ppm、EDTA・2Na・Caが1.5ppmの添加であっても、EMIQを30ppm以上添加することによって、有意にベンゼンの発生量を抑えることができた。
【0130】
実験例7
表16の処方1から9に記載の成分を各々混合して9種類の試験用飲料を調製し、清浄な200mL透明ガラス瓶に充填を行い密栓し85℃5分間殺菌後虐待試験に供した。
1)試験処方
【0131】
【表16】

【0132】
2)虐待条件
紫外線フェードメーターによる光照射12時間を行った。
3)飲料抽出、試験溶液調製
実験例1に準じて実施した。
4)GC/MS測定条件
実験例1に準じて実施した。
【0133】
5)試験結果
飲料中のベンゼン含量を表17に示した。
【0134】
【表17】

【0135】
上記結果より、EMIQが15ppmの添加であっても、ペンタポリリン酸NaもしくはEDTA・2Na・Caを500ppm添加すれば有意にベンゼンの発生量を抑えることができた。
【0136】
実験例8
表18、表19の処方1から12に記載の成分を各々混合して12種類の試験用飲料を調製し、清浄な200mL透明ガラス瓶に充填を行い密栓し85℃5分間殺菌後虐待試験に供した。
1)試験処方
【0137】
【表18】

【0138】
【表19】

【0139】
2)虐待条件
キセノンランプフェードメーターによる光照射(1600ラングレー)を行った。
3)飲料抽出、試験溶液調製
実験例1に準じて実施した。
4)GC/MS測定条件
実験例1に準じて実施した。
【0140】
5)試験結果
飲料中のベンゼン含量を表20に示した。
【0141】
【表20】

【0142】
上記結果より、ペンタポリリン酸Naとミリシトリンを併用して添加した試験区(処方3)ではベンゼンの発生が見られなかった。
【0143】
また、イソクエルシトリン、酵素処理ルチンもしくはルチンをそれぞれ単独で添加した試験区(処方4,7,10)よりも、それぞれとペンタポリリン酸NaもしくはEDTA・2Na・Caと併用した試験区(処方5,6,8,9,11,12)においてベンゼンの発生量が顕著に減少することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明のベンゼン生成抑制剤は、安息香酸やその塩またはそのエステルなどの安息香酸類を含有する製品について、熱や光によるベンゼン生成を有意に抑制することができる。近年、特に飲料等は、PETボトルなどの透明容器に収容包装されて販売される場合が多い。本発明は、防腐など、製品の保存安定を図る目的で安息香酸類を添加した製品であって、特に上記のごとく透明容器に収容包装されたものに対して、陳列棚の蛍光灯の影響による製品(安息香酸類含有製品)中のベンゼン生成を抑制することができ、その結果、長期間安定して品質や安全性を維持した製品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンからなる群から選択される少なくとも1つと、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、および/または縮合リン酸塩を有効成分とするベンゼン生成抑制剤。
【請求項2】
イソクエルシトリン、ルチンまたはミリシトリンを含む植物抽出物からなる群から選択される少なくとも1つと、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、および/または縮合リン酸塩を有効成分とするベンゼン生成抑制剤。
【請求項3】
イソクエルシトリン、ルチンまたはミリシトリンを含む植物抽出物が、エンジュ抽出物、ダッタンソバ抽出物、ドクダミ抽出物、ヤマモモ抽出物、ソバ全草抽出物、小豆全草抽出物、タマネギ抽出物または羅布麻抽出物である請求項2に記載のベンゼン生成抑制剤。
【請求項4】
光照射によるベンゼンの生成を抑制するために用いられる、請求項1に記載するベンゼン生成抑制剤。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載するベンゼン生成抑制剤を、安息香酸類含有組成物に添加することを特徴とする、安息香酸類含有組成物のベンゼン生成抑制方法。
【請求項6】
安息香酸類含有組成物が、安息香酸、安息香酸の塩、安息香酸エステルおよびこれらのヒドロキシル体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する組成物である、請求項5に記載するベンゼン生成抑制方法。
【請求項7】
安息香酸類含有組成物が、安息香酸類を、安息香酸の量に換算して、総量で1〜2500ppm含有するものである、請求項5に記載するベンゼン生成抑制方法。
【請求項8】
安息香酸類含有組成物中に、イソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量が0.1〜10000ppm、エチレンジアミン四酢酸またはその塩の量が0.01〜10000ppm、および/または縮合リン酸塩の量が1〜10000ppmとなる割合でベンゼン生成抑制剤を添加する、請求項5に記載するベンゼン生成抑制方法。
【請求項9】
安息香酸類含有組成物が、飲食物、医薬品、医薬部外品、化粧品または飼料である、請求項5に記載するベンゼン生成抑制方法。
【請求項10】
安息香酸類含有組成物に添加されるイソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量が、当該組成物中の安息香酸類の安息香酸の量に換算した総量100質量部に対して、4〜450質量部、エチレンジアミン四酢酸またはその塩の量が0.4〜10質量部、および/または縮合リン酸塩の量が0.1〜300質量部となる割合で、ベンゼン生成抑制剤を添加する、請求項5に記載するベンゼン生成抑制方法。
【請求項11】
請求項1乃至4のいずれかに記載するベンゼン生成抑制剤を含有する、安息香酸含有組成物。
【請求項12】
上記安息香酸類含有組成物が、安息香酸、安息香酸の塩、安息香酸エステルおよびこれらのヒドロキシル体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する組成物である、請求項11に記載する安息香酸類含有組成物。
【請求項13】
安息香酸類含有組成物が、安息香酸類を、安息香酸の量に換算して、総量で1〜2500ppm含有するものである、請求項11に記載する安息香酸類含有組成物。
【請求項14】
安息香酸類含有組成物中のイソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量が0.1〜10000ppm、エチレンジアミン四酢酸またはその塩の量が0.01〜10000ppm、および/または縮合リン酸塩の量が1〜10000ppmとなる割合でベンゼン生成抑制剤を含有する、請求項11に記載する安息香酸類含有組成物。
【請求項15】
安息香酸類含有組成物中のイソクエルシトリン、酵素処理イソクエルシトリン、酵素処理ルチン、ルチンおよびミリシトリンの総量が、当該組成物中の安息香酸類の安息香酸の量に換算した総量100質量部に対して、4〜450質量部、エチレンジアミン四酢酸またはその塩の量が0.4〜10質量部、および/または縮合リン酸塩の量が0.1〜300質量部となる割合でベンゼン生成抑制剤を含有する、請求項11に記載する安息香酸類含有組成物。
【請求項16】
飲食物、医薬品、医薬部外品、化粧品または飼料である、請求項11に記載する安息香酸類含有組成物。

【公開番号】特開2009−72184(P2009−72184A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215820(P2008−215820)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000175283)三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 (429)
【Fターム(参考)】