説明

ベンディングロール

【課題】 芯ロールの撓みと金属板(被加工物)のスプリングバックに起因する腰折れを未然に防止することにより、小径長尺のパイプを製造できるベンディングロールを提供する。
【解決手段】 送り込まれた金属板を、外周面に沿って曲げ加工するための金属製の芯ロールと、金属板を曲げ加工する際に芯ロールに対して押付けられ、芯ロールより大径である表面部が弾性体で構成された大径押付ロールと、芯ロールを挟んで大径押付ロールと対向した位置で芯ロールに対して押付けられ、大径押付ロールより小径である1対の中間押付ロールと、金属板を引き入れる側とは反対側の芯ロールの表面を通り、芯ロールと各押付ロールの間に介在するように配置され、芯ロールと同期駆動する無端形状の金属板案内ベルトと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールを用いた金属板の曲げ加工によって、パイプ、特に小径長尺のパイプを製造することのできるベンディングロールに関する。
【背景技術】
【0002】
パイプの製造は、連続するロールスタンドにより成形溶接する製造方法と、ロール曲げ加工を行うベンディングロールを用いて製造する方法がある。前者は製造機械が大がかりで高価であるが大量生産に向いている。これに対し後者は、製造機械が安価であるが大量生産に向いていない。ここで、薄肉長尺のパイプを製造しようとすると、従来の電縫溶接により製造する方法では、一般に、溶接する板厚がパイプの直径の0.01倍以上の厚みのものについては成形・溶接を行うことが出来るが、それ以下のものについては一般的にこの方法による製造は困難である。
【0003】
一方、ベンディングロールを用いた場合にあっては、金属製の芯ロールと2本の金属製支持ロールの間で金属板を通過させ、3点曲げの原理を用いて成形する方法と、金属製の芯ロールを弾性体ロールに押付けてできる弾性体ロールの変形部分に金属板を通過させて成形する方法に大別される。
【0004】
上述した3点曲げ成形では、金属板の先端及び後端(曲げ加工時の金属板の移動方向における両端)において曲げ加工力が加わらない範囲ができ、真円精度が得られない。
【0005】
また、上述した弾性体ロールによる成形では、厚みの薄いパイプの成形は容易であるが、小径で長尺のものを弾性体ロールで加工しようとした場合、図6に示すように、芯ロール100自身が矢印Z方向に撓み、芯ロール100の長手方向における中央部近傍の撓みが大きくなり、この部分のロール押し込み量が小さくなる。この為、パイプ状に金属板を成形した場合、図6に示すように、パイプ(製品)101の長手方向の中央部に隙間Eが出来る、いわゆる樽型になる。この現象は、長尺のパイプを成形する時ほど顕著になる。従って、鋼材を用いてパイプを製造しようとする場合、一般的に、直径の約10倍以上の長さを有する長尺のパイプを成形することが困難な場合が多かった。上述した樽型の変形に対し、特許文献1に記載のベンディングロールを始めとして、芯ロールにクラウンを設けることや、押付ロールにバックアップロールを設けて故意に幅方向に撓ませ、芯ロールと押付ロールが一定の間隔を保つようにして、上記問題を解決しようとするもの等があった。
【0006】
特許文献2には、図7に示すように、上下2本の弾性ロール102,103が硬質の芯ロール104を挟んで互いに対向する位置に配置され、芯ロール104に対して圧接されることによって、小径長尺のパイプを成形する構成が開示されている。
【0007】
特許文献3には、図8(a)に示すように、芯ロール104の周囲に、同一の直径を有する3つの押付ロール105を配置して、小径長尺のパイプを成形する装置や、図8(b)に示すように、芯ロール106を挟んだ状態で2つの押付ロール107を対向して配置し、芯ロール106及び押付ロール107に掛けられたベルト108を通して小径長尺のパイプを成形する装置が開示されている。
【0008】
特許文献4には、芯ロールの回りに複数の押付ロールを配置し、複数の押付ロールが芯ロールの長手方向の撓みを抑え、長尺のパイプを成形する装置が開示されている。
【特許文献1】特開平08−117869号公報
【特許文献2】特開平08−150417号公報
【特許文献3】特開2002−113521号公報
【特許文献4】特表昭61−502175公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されたように、芯ロールにクラウンを設けたり、押付ロールにバックアップロールを設けて故意に幅方向に撓ませ、芯ロールと押付ロールが一定の間隔を保つようにしたりして、上記樽型の変形の解消を図ろうとしても、小径長尺のパイプを成形しようとした場合には、芯ロールの撓みが大きくなりすぎ、上記技術では十分に補償できなかった。例えば、直径50mmで長さ2000mmのような長尺パイプの成形は、ロール曲げによる成形では行うことが出来なかった。
【0010】
特許文献2に開示された構成(図7に示す構成)では、押付ロール102,103が芯ロール104を挟んで対向して配置されているので、芯ロール104の上下方向の撓みは防げるものの、横方向の撓みは防げない。また、芯ロール104と押付ロール103の間を通過し、一旦成形された金属板(被加工物)は、材料の特性であるスプリングバックにより、形状を回復する方向に変形する。すなわち、図9(a)に示すように、金属板は、芯ロール104の表面から離れるように変形する。このため、芯ロール104と次の押付ロール102の間に金属板をうまく挿入することができず、図9(b)に示すように腰折れを起こしてしまう。例えば、板厚1mmに対し、直径120mmのような薄肉パイプの成形は、ロール曲げによる成形では行うことが出来なかった。
【0011】
特許文献3に開示されているように、押付ロールを3つ配置した場合では、芯ロールの撓みを抑えることができるが、押付ける力の釣り合いを調整する必要から、ロール位置の設定が困難であった。また、芯ロールの周方向において、3つの押付ロールが略等間隔に配置されているため、3つの押付ロールのうち少なくとも1つを大径のロールとした場合、金属板の挿入や、ロールとロールの間でのガイドが困難であるといった実用上の課題がある。そして、押付ロールを3ロール以上にした場合、押付ロール径を大きくすることが困難である。このため、押付ロールを用いた場合でも、芯ロールの横方向の撓みを十分に防止できるとは限らない。
【0012】
特許文献4に開示された複数の押付ロールを用いた場合でも、押付ロール間に隙間が残るため、スプリングバックに起因する腰折れを防ぐことはできない。また、薄肉の金属板ほどスプリングバック量が大きくなり、金属板を芯ロールの外周面上で1周以上密接させた場合には、金属板の重なり部に屈曲を生じてしまう。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑み、芯ロールの撓みと金属板(被加工物)のスプリングバックに起因する腰折れを未然に防止することにより、小径長尺のパイプを製造できるベンディングロールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明者は押付ロールとベルトを用いたベンディングロールについて広く研究を行った。これにより、まず、以下の知見を得た。
【0015】
a.押付ロールを3本にした場合、芯ロールの撓みを概ね抑えられる。一方、芯ロールに対して押付ロールを上下(2本)に配置した場合は、芯ロールの上下方向の撓みは防げるものの、横方向の撓みは防げない。
【0016】
b.押付ロールを3本にすると、これらの押付ロールの芯ロールに対する押付け力の釣り合いを調整する必要があり、押付ロールの位置の設定が困難であった。これに対し、2つの押付ロールを、芯ロールを挟んで対向する位置に配置する場合には、これらの押付ロールの芯ロールに対する押付け方向が対向する(互いに逆方向となる)ので、押付ロールの位置の設定が容易である。
【0017】
このように押付ロールが2本の場合と3本の場合とではそれぞれにメリット及びデメリットがある。そして、更なる研究を重ね、次の知見を得た。
【0018】
c.押付ロールは、被加工物である金属板のスプリングバックを小さくするために、芯ロールの径に対してできるだけ大径のものが望ましい。ただし、大径である押付ロールは1つでよい。
【0019】
本発明は上記の知見を基になされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
【0020】
本発明に係るベンディングロールは、芯ロールに複数の押付ロールを押付け、その押付部分に金属板を送り込み曲げ加工を行ない、パイプの製造に用いられるベンディングロールにおいて、送り込まれた金属板を、外周面に沿って曲げ加工するための金属製の芯ロールと、前記金属板を曲げ加工する際に前記芯ロールに対して押付けられ、前記芯ロールより大径である表面部が弾性体で構成された大径押付ロールと、前記芯ロールを挟んで前記大径押付ロールと対向した位置で前記芯ロールに対して押付けられ、前記大径押付ロールより小径である1対の中間押付ロールと、前記金属板を引き入れる側とは反対側の前記芯ロールの表面を通り、前記芯ロールと前記各押付ロールの間に介在するように配置され、前記芯ロールと同期駆動する無端形状の金属板案内ベルトと、を有することを特徴とするものである。
【0021】
また、芯ロールに複数の押付ロールを押し付け、その押付部分に金属板を送り込み曲げ加工を行ない、パイプの製造に用いられるベンディングロールにおいて、送り込まれた金属板を、外周面に沿って曲げ加工するための金属製の芯ロールと、前記金属板を曲げ加工する際に前記芯ロールに対して押付けられ、前記芯ロールより大径である金属製の大径押付ロールと、前記芯ロールを挟んで前記大径押付ロールと対向した位置で前記芯ロールに対して押付けられ、前記大径押付ロールより小径である1対の中間押付ロールと、前記金属板を引き入れる側とは反対側の前記芯ロールの表面を通り、前記芯ロールと前記各押付ロールの間に介在するように配置され、前記芯ロールと同期駆動する弾性体よりなり、かつ前記芯ロールと前記各押付ロールとの間で前記金属板を前記芯ロールの曲率で加工するための無端形状の金属板案内ベルトと、を有することを特徴とするものである。
【0022】
また、この場合、前記金属板案内ベルトは、弾性体で形成されており、前記芯ロールと接触する面において前記芯ロールの回転軸方向に延びる溝を有していることを特徴とするものである。
【0023】
さらに、1対の前記中間押付ロールの軸受部が、この中間押付ロールの回転軸方向における両端で一体のものとなっていることを特徴とするものである。
【0024】
さらに、前記中間押付ロールを前記芯ロール側とは反対側から支持するバックアップロールを有することで、より芯ロールの撓みを抑制する効果を発揮することを特徴とするものである。
【0025】
この場合、前記中間押付ロールの表面部が弾性体又は金属製であり、前記バックアップロールが金属製であることを特徴とするものである。
【0026】
また、この場合、前記中間押付ロールを前記芯ロール側とは異なる方向から支持し、前記バックアップロール及び前記芯ロールの回転軸を通る平面に対して対称な位置に設置される、一対のサイドバックアップロールを有することを特徴とするものである。
【0027】
さらに、前記芯ロールは、この外周面において、前記金属板の厚みに相当する段差部を有し、該段差部以外の領域において該芯ロールの半径が連続的に変化していることを特徴とするものである。
【0028】
ここで、金属板を送り込み曲げ加工を行う部分が、直径の10倍以上の幅を有する長尺の芯ロールを用いることを特徴とするものである。
【0029】
また、金属板の板厚が、金属板を加工したパイプの直径の0.01倍未満であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明のベンディングロールでは、1つの押付ロールが大径であるので、芯ロールと大径押付ロールとの間で金属板が挟まれ、金属板の先端から後端までより強い曲げ加工を加えることができる。
【0031】
本発明のベンディングロールでは、金属板案内ベルトが各押付ロール(1つの大径押付ロール及び2つの中間押付ロール)と芯ロールとの間に介在することで、押付ロール間での金属板のスプリングバックを未然に防ぐことができる。そして、板厚がパイプ直径の0.01倍未満である剛性の弱い薄板を用いた場合でも、腰折れを起こすことなく、芯ロールの外周面に沿って金属板を曲げ加工することができる。
【0032】
本発明のベンディングロールでは、押付ロールが3本であるが、1対の中間押付ロールが芯ロールを挟んで大径押付ロールと対向しているので、2つの押付ロールを用いた場合(図7参照)と同様に、容易にロール位置を設定でき、また金属板を容易に挿入することができる。
【0033】
本発明のベンディングロールでは、3つの押付ロールを用いて、3方向(芯ロールの回転軸と直交する方向)から芯ロールを押し付けているため、芯ロールの撓みをほとんど抑えることができる。このことにより、直径の10倍以上の幅(回転軸方向の長さ)を有する長尺の芯ロールを用いても撓みが生じず、芯ロールによって金属板を曲げ加工することができる。
【0034】
また、芯ロールの撓みを未然に防止することより、加工された製品が、いわゆる樽型に変形してしまうのを防止でき、小径で長尺のパイプを成形することも出来る。
【0035】
本発明のベンディングロールでは、芯ロールが金属製であるので、金属板(特に、金属板の先端部)の押付ロールヘのくい込みが良くなり、仕上がりの良好なパイプを製造出来る。
【0036】
本発明のベンディングロールでは、大径押付ロールより径の小さな中間押付ロールを配置することで、ロール解放と金属板の挿入および作業者の寄付きを容易にすることができるとともに、芯ロールの長手方向への成形素管の取出し作業性を向上することができる。
【0037】
本発明のベンディングロールにおいて、1対の中間押付ロールの軸受部が、中間押付ロールの回転軸方向(長手方向)における両側で一体のものとなっている場合は、芯ロールから押されて一対の中間押付ロールの間隔が広がるということがなく、中間押付ロールを介して金属板を芯ロールに密接させることができる。本発明のベンディングロールで、バックアップロールが設置されている場合は、芯ロールに対する中間押付ロールの押付力が大きくして芯ロールの撓みをほとんど抑えることができる。
【0038】
本発明のベンディングロールにおいて、外周面に金属板の厚みに相当する段差部を設け、段差部以外の領域において芯ロールの半径を連続的に変化させた芯ロールを用いれば、芯ロールの外周において金属板を重ねながらスムーズに曲げ加工できる。これにより、金属板として、スプリングバックの大きい素材を用いても曲げ加工することができる。しかも、金属板を芯ロールの外周上において少なくとも一部が重なるように曲げ加工する場合には、金属板の重なり部分の変形(折れ曲がり)を防止することができる。
【0039】
したがって、本発明に係るベンディングロールでは、従来成形不可能であった高張力金属材料からなり、小径で長尺のパイプも安定的に生産することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0041】
図1は、芯ロールに対する押付ロールを3個設けている第1の実施の形態を示すもので、図1(a)は本実施形態のベンディングロールの側面図であり、図1(b)は芯ロール1を拡大した側面図である。
【0042】
この実施形態に係るベンディングロールは、芯ロールの撓みを抑制し、回転力を伝達するロール機構と、加工時の金属板のスプリングバックに起因する腰折れを防止する金属板の案内機構とから構成される。
【0043】
まず、この実施形態に係るベンディングロールのロール機構は、送り込まれた金属板6の曲げ加工の中心となる芯ロール1と、芯ロール1の上方に配置された大径押付ロール2Aと、芯ロール1の下方に配置されたバックアップロール2Bと、芯ロール1とバックアップロール2Bとの間に配置され、大径押付ロール2Aと共に3点で芯ロール1を拘束(支持)できる2本(一対)の中間押付ロール3A,3Bと、中間押付ロール3A,3Bの撓みを抑えるためのサイドバックアップロール4A,4Bとで構成されている。
【0044】
サイドバックアップロール4A,4Bは、金属で形成されており、図1(a)に示すように、中間押付ロール3A,3Bのうち芯ロール1と対向する部分(外周面)とは異なる部分(外周面)に対して向かい合うように配置されている。また、サイドバックアップロール4A,4Bは、芯ロール1の回転軸及びバックアップロール2Bの回転軸を含む平面(仮想面)に対して、対称に配置されている。なお、サイドバックアップロール4A,4Bは、金属製でなくてもよい。
【0045】
芯ロール1は、ベンディングロールに通常使用されている芯ロール、例えば鉄製等の適宜選択された金属製の芯ロール1であり、回転可能に支持されている。芯ロール1の形状は、図1(b)に示すように、外周の1箇所において、加工する金属板6の厚み分に相当する段差部10を有し、この段差部10以外の外周面では、芯ロール1の半径を連続的に変化させた形状としている。すなわち、芯ロール1の回転方向(一方向)に関して、段差部10を境界として、芯ロール1の半径が連続的に増加(又は減少)している。ここで、芯ロール1の弾性係数は、成形する金属板6の弾性係数と同等であることが好ましい。
【0046】
本発明では、芯ロール1の大きさ(半径や回転軸方向の長さ等)、成形する金属板6を芯ロール1で重ねる幅6aは、特に限定するものではないが、金属板6の材料特性と芯ロール1の径に応じて、重ねる幅6aは、一意に決定される。即ち、成形された金属板6に生じるスプリングバックの量を考慮して、芯ロール1の大きさや、成形する金属板6を芯ロール1で重ねる幅6aを適切に設定することができる。このように設定すれば、曲げ加工を終えた金属板6(成形素管)を芯ロール1から取り出した際に、スプリングバックにより、図2(a)に示すように金属板6の両端部が間隔6bで離れ、溶接に適した幅とすることが出来る。そして、図2(b)に示すように、金属板6の両端部を溶接(溶接部分を6cで示す)して製品(パイプ)として完成する。特に、弾性拡幅率の高い高張力金属板等では、シュリンクプレス等の別工程を経ることなく、曲げ加工した金属板6をすぐに溶接し、製品化することが出来、効率的である。
【0047】
なお、金属板6のロール曲げ加工後のスプリングバック量は、広く知られている塑性加工理論に則り、例えば下記(1)式及び(2)式により算出することが出来る。
【0048】
=R/{1−3[(σ/E)×(R/t)]
+4[(σ/E)×(R/t)]} ・・・(1)
=R+t/2 ・・・(2)
【0049】
ここで、ロール曲げ加工したときの金属板6の半径をR、芯ロール1の半径をR、加工後にスプリングバックした時の金属板6(図2(a)に示す金属板6)の半径をR、金属板6の板厚をt、ヤング率をE、降伏応力をσとする。従って、予め金属板6の固有の特性(板厚t、ヤング率E、降伏応力σ)がわかっていれば、目標とする曲げ加工後のパイプの径に対し、用いるべき芯ロール1の半径R(芯ロール1の回転方向における特定位置での半径R)を一意に決めることが出来る。この半径Rが決まれば、芯ロール1の全体における半径が決まることになる。
【0050】
一方、本実施の形態では、段差部10を有する芯ロール1を用いたが、段差部10を持たない芯ロール1(言い換えれば、長手方向と直交する断面が略真円となる芯ロール1)を用いることもできる。
【0051】
図1(a)に示すように、大径押付ロール2A並びに中間押付ロール3A,3Bの表面部には弾性体21を設けている。弾性体21は、例えばゴム材が用いられ、その厚みは十分な変形能を持たせるため、一般的には20mm以上の厚さとし、均質な弾性を維持する上限値として100mm程度の厚みを設定している。
【0052】
図3に示すように、大径押付ロール2Aは、ロール昇降装置51により、昇降可能となっており、芯ロール1に押付けられる位置と芯ロール1から離れた位置(図3に示す位置)との間で移動することができる。また、バックアップロール2Bは、金属で形成されており、枠体5内に配置されている。そして、バックアップロール2Bは、モータ(図示せず)等の動力源からの動力を受けることにより回転可能となっている。
【0053】
図3において、支持体52は、大径押付ロール2Aの両端部(回転軸方向における両端部)を保持しており、この支持体52の両端にはガイド53が設けられている。ガイド53は、枠体5の支柱部分の側面に設けられているレール54上をスライド可能となっている。スクリュージャッキ55は、モータ(図示せず)等の動力源からの駆動力を受けることにより駆動し、支持体52を図3の上下方向に移動させる。ここで、支持体52を下方に移動させることにより、大径押付ロール2Aを芯ロール1に押付け可能となっている。
【0054】
中間押付ロール3A,3Bは共に、枠体5に設けられた支持部材57によって回転可能に支持されている。サイドバックアップロール4A,4Bはそれぞれ、枠体5に設けられた支持部材58によって回転可能に支持されている。なお、サイドバックアップロール4A,4B(一方のロールだけでもよい)を、このロールの長手方向において分割した構成とし、分割された各ロールの取付け位置を調整することで、中間押付けロール3A,3Bに対する押付量を適宜調整可能としてもよい。
【0055】
上述したロール機構の構成では、バックアップロール2Bの回転力が、中間押付ロール3A,3Bを介して芯ロール1および大径押付ロール2Aへと接触摩擦により伝達される。なお、図3中の符号56は、芯ロール1のチョックであり、大径押付ロール2Aの支持体52に懸架され、大径押付ロール2Aの昇降に伴い上下移動する。このように、本実施形態においては、3つのロール(大径押付ロール2A、中間押付ロール3A,3B)で芯ロール1を支持しているが、上述したロール昇降装置51を含む押付機構により、中間押付ロール3A,3Bに対して、大径押付ロール2A及び芯ロール1を移動させているため、2つのロールを用いた構成と同様の構成とすることができる。
【0056】
次に、この実施形態に係るベンディングロールにおける金属板の案内機構について述べる。
【0057】
無端形状の案内ベルト7は、図1(a)に示すように、上述したロール機構を構成する各ロール及び後述するテンションロール8に接触しているとともに、互いに対向して配置されたロールの間で挟まれている。具体的には、大径押付ロール2A及び芯ロール1の間→芯ロール1及び中間押付ロール3Bの間→芯ロール1及び中間押付ロール3Aの間→中間押付けロール3A及びサイドバックアップロール4Aの間→バックアップロール2B及び中間押付ロール3Aの間→バックアップロール2B及び中間押付ロール3Bの間→中間押付ロール3B及びサイドバックアップロール4Bの間→テンションロール8→大径押付ロール2Aの経路で案内ベルト7が掛けられている。そして、案内ベルト7は、芯ロール1の回転速度と同期駆動するようになっている。図1(a)に示すように、芯ロール1のうち案内ベルト7を掛けていない側の面には、金属板6が送り込まれる。
【0058】
なお、テンションロール8は、芯ロール1と同様に、例えば金属で形成されており、図3に示すように、アーム部材59によって回転可能に支持されている。ここで、アーム部材59を回動させることにより、テンションロール8の位置を変更することができ、案内ベルト7に張力を付加したり、この張力を解除したりすることができる。
【0059】
案内ベルト7は、例えば芯ロール1に巻きつけても柔軟になじむように、ポリエステルやナイロンの繊維基材の表面にウレタンゴムを皮膜した繊維布で構成されている。
【0060】
次に上述のベンディングロールを用いたパイプの製造工程について図4A,4Bを用いて述べる。図4A,4Bでは、案内ベルト7を点線で示している。
【0061】
まず、大径押付ロール2A及び中間押付ロール3A,3Bが、芯ロール1から退避した状態(図4A(a))から、矢印Xで示す方向に移動することにより、大径押付ロール2Aと中間押付ロール3A,3Bが案内ベルト7を介して芯ロール1に押しつけられる。
【0062】
また、テンションロール8は、図4A(a)に示す位置とは異なる位置に移動することにより、案内ベルト7に張力を与える。これにより、案内ベルト7は、ロール機構を構成する各ロール、具体的には、大径押付ロール2A、バックアップロール2B、中間押付ロール3A,3B及び芯ロール1の外周面に密接する。このとき、芯ロール1の段差部10は、金属板6の挿入位置である上端位置で停止している(図4A(b))。
【0063】
次に、大径押付ロール2A並びに中間押付ロール3A,3Bが、案内ベルト7を介して芯ロール1に押付けられた状態で、段差部10に金属板6の先端が位置(当接)するように、金属板6を挿入する(図4A(c))。具体的には、金属板案内装置9を駆動することにより、金属板6を芯ロール1側に移動させる。
【0064】
次いで、芯ロール1、大径押付ロール2A、中間押付ロール3A,3Bを回転させる。具体的には、バックアップロール2Bを回転させ、この回転力を中間押付ロール3A,3B、芯ロール1及び大径押付ロール2Aに伝達することにより、これらのロールを回転させる。この時、金属板6は、案内ベルト7で保持されながら大径押付ロール2Aで曲げ加工が行われる(図4A(d))。すなわち、大径押付ロール2Aの弾性体21が凹状に変形することによって、金属板6は、芯ロール1の外周面に沿って曲げ加工される。
【0065】
この状態からさらに曲げ加工を続けると、金属板6の先端は、中間押付ロール3A,3Bと芯ロール1との間を順次通過した後、芯ロール1のうち案内ベルト7により保持されていない面に到達する。ここで、スプリングバック現象により、曲げ加工された金属板6の先端側は、芯ロール1の表面から離れようとする(図4B(e))。
【0066】
そこで、金属板案内装置9を矢印Yで示す方向に移動させることにより、金属板案内装置9の先端に設けられたガイド体90を介して、金属板6の先端側を芯ロール1に押付ける。この状態を維持しながら金属板6の曲げ加工を続け、芯ロール1がほぼ1周することにより、金属板6の先端が大径押付ロール2Aと対向する位置に到達する(図4B(f))。ここで、図4A(b)における段差部10の位置と、図4B(f)における段差部10の位置は、概ね一致している。
【0067】
この時、金属板6の先端は、芯ロール1の段差部10に接触しているが段差部10の深さ(芯ロール1の径方向における長さ)は、金属板6の厚みと略同一であるため、芯ロール1の上端面(芯ロール1の半径が最大となる面)と、金属板6の先端における上面(芯ロール1と接触していない側の面)とは、ほぼ連続した面(曲面)を形成することになる。これにより、金属板6の先端部分に対して他の部分(後端側の部分)をスムーズに重ねながら、金属板6の曲げ加工を行うことができる。そして、金属板6は、この全体において、芯ロール1の外周に沿って曲げ加工される(図4B(g))。
【0068】
金属板6の後端部分まで曲げ加工を終えたら、ロール機構を構成する各ロールの回転を止める。具体的には、バックアップロール2Bの回転を停止させることにより、他のロールの回転も停止することになる。そして、大径押付ロール2A及びテンションロール8を移動させて図4A(a)のように案内ベルト7を解放する。これにより、曲げ加工された金属板6(成形素管)を芯ロール1から取り外すことができる。芯ロール1から取り外した金属板6は、図2(a)に示す状態となる。
【0069】
そして、金属板6の両端部を溶接工程によって溶接することにより製品(パイプ)を完成させる(図2(b))。
【0070】
なお、本実施形態では、金属板6の後端部分が大径押付けロール2A及び芯ロール1の間を通過したところで、金属板6の成形を終了させているが、さらに芯ロール1を回転させて、金属板6をより良い成形形状とすることも可能である。
【0071】
ここで、金属板案内装置9のガイド体90は、例えば金属板6や芯ロール1と接触する際、これらに疵をつけないように硬質ナイロン等の樹脂製の素材を用いることが好ましい。また、金属板案内装置9を移動させるための移動機構としては、公知のモータ等の動力源が用いられる。
【0072】
案内ベルト7は芯ロール1の回転速度と同期駆動されていることより、芯ロール1の回転に伴って、金属板6の先端は、芯ロール1及び各押付ロール(大径押付ロール2A、中間押付ロール3A,3B)の間においてスムーズな曲げ加工が行われる。
【0073】
図5は、本発明の第2の実施の形態であるベンディングロールの構成を示す図である。具体的には、図5(a)は、図1(a)に対応した図であり、図5(b)は、芯ロールの周囲における案内ベルトの拡大図である。
【0074】
上述した実施形態では、表面部に弾性体を備えた大径押付ロール2A及び中間押付ロール3A,3Bを用いたが、本実施形態では、各押付ロールに弾性体を設けずに、案内ベルトの構成を変更している。以下、案内ベルトの構成について具体的に説明する。
【0075】
弾性体で構成された案内ベルト71は、図5(b)に示すように、芯ロール1の回転軸方向に延び、案内ベルト71の移動方向において所定の間隔を空けて形成された複数の溝72を有している。そして、この溝72は、案内ベルト71のうち、芯ロール1と接触する側の面に設けられている。
【0076】
ここで、弾性体で構成された案内ベルト71は、厚手のものを用いることが好ましく、具体的には、3〜30mmの厚さを有することが好ましい。また、10mm以上の厚さを有する場合には、図5(b)に示すように、溝72が形成されていることが好ましい。
【0077】
図5(b)に示すように、案内ベルト71のうち芯ロール1と接触する領域では、各溝72における両側面が互いに接触することにより、芯ロール1の外周面に対して隙間無く密接する。一方、大径押付ロール2A及び中間押付ロール3A,3Bは、案内ベルト71のうち溝72が形成された面とは反対側の面で接触しているため、各溝72における両側面は互いに離れることになる。このように案内ベルト71に溝72を設けることにより、芯ロール1の表面に対して、案内ベルト71を隙間無く接触させることができるため、案内ベルト71を介して金属板6を芯ロール1に密接させることが出来る。しかも、図1(a)に示すベンディングロールのように、大径押付ロール2Aや中間押付ロール3A,3Bの表層部に弾性体21を設ける必要が無い。
【実施例】
【0078】
(実施例1)
第1の実施形態(図1)で説明したベンディングロールを用いて金属板のロール曲げ加工を行った。ここで、芯ロール1の直径を60mm、芯ロール1の長さ(回転軸方向の長さ、以下同様)を2000mm、段差部10の高さ(芯ロール1の径方向における長さ)を1.0mm、大径押付ロール2Aの直径を400mm、大径押付ロール2Aにおける弾性体21の厚さを30mm、中間押付ロール3A,3Bの直径を150mmとした。使用する金属板6は、引張応力が600N/mm相当の高張力鋼板であり、厚さ1.0mm、長さ2mのものを用いた。また、芯ロール1の回転速度を540mm/min、大径押付ロール2Aの芯ロール1に対する押付け力を約98kNとした。芯ロール1は鋼製であり、芯ロール1の弾性率は、金属板6の弾性率と略一致している。
【0079】
曲げ加工を行った後の金属板6は、直径76mmで、スプリングバック量を考慮した計算値とほぼ一致した。曲げ加工されたパイプ形状の金属板6(成形素管)の両端部は、長手方向に沿ってほぼ平行となり、長手方向における中央部の隙間はほとんどなく、樽型とはならなかった。
【0080】
(実施例2)
第2の実施形態(図5)で説明したベンディングロールを用いて金属板のロール曲げ加工を行った。ここで、芯ロール1の直径を60mm、芯ロール1の長さを2000mm、段差部10の高さを1.0mm、大径押付ロール2Aの直径を400mm、案内ベルト71の厚さを5mm、中間押付ロール3A,3Bの直径を150mmとした。案内ベルト71は、図5(b)で説明した溝72が形成されていないものである。使用する金属板6は、引張応力が600N/mm相当の高張力鋼板であり、厚さ1.0mm、長さ2mのものを用いた。また、芯ロール1の回転速度を540mm/min、大径押付ロール2Aの芯ロール1に対する押付け力を約98kNとした。
【0081】
曲げ加工を行った後の金属板6は、直径76mmで、スプリングバック量を考慮した計算値とほぼ一致した。曲げ加工されたパイプ形状の金属板6(成形素管)の両端部は、長手方向に沿ってほぼ平行となり、長手方向における中央部の隙間はほとんどなく、樽型とはならなかった。
【0082】
(実施例3)
第2の実施形態(図5)で説明したベンディングロールを用いて金属板の曲げ加工を行った。ここで、芯ロール1の直径を60mmとし、段差部10を有していない芯ロール1を用いた。すなわち、芯ロール1の半径は、すべての外周面上において略一定となっており、長手方向と直交する断面形状が略真円状となっている。使用する金属板6は、引張応力が270N/mm相当の普通鋼板であり、厚さ1.0mm、長さ2mのものを用いた。なお、他の条件については、実施例2と同様とした。
【0083】
曲げ加工を行った後の金属板6は、直径68mmで、スプリングバック量を考慮した計算値とほぼ一致した。曲げ加工されたパイプ形状の金属板6の両端部は、長手方向に沿ってほぼ平行となり、両端部の段差(ずれ)が3mm程度に成形することが出来た。また、長手方向における中央部の隙間はほとんどなく、樽型とはならなかった。ここで、スプリングバックによる金属板6の両端部の段差が3mm程度の場合には、両端部を突き合わせて溶接することができた。
【0084】
(実施例4)
第2の実施形態(図5)で説明したベンディングロールを用いて金属板の曲げ加工を行った。ここで、使用する金属板6は、引張応力が270N/mm相当の普通鋼板であり、厚さを0.8mm、長さ1mとした。なお、他の条件については、実施例3と同様とした。
【0085】
曲げ加工を行った後の金属板6は、直径115mmで、スプリングバック量を考慮した計算値とほぼ一致した。曲げ加工されたパイプ形状の金属板6(成形素管)の両端部は、長手方向に沿ってほぼ平行となり、長手方向における中央部の隙間はほとんどなく、樽型とはならなかった。
【0086】
本実施例における金属板6の成型力は、(実施例2)に比べて2割程度と小さくなり、中間押付ロール3A,3Bの剛性のみで樽型の変形を抑制できるため、サイドバックアップロール4A,4Bもしくはバックアップロール2Bを省略し、または中間押付ロール3A,3Bの軸受部をこれらロールの長手方向における両端で一体としなくてもよく、ロール配置の簡略化が図れる可能性がある。
【0087】
(実施例5)
第1の実施形態(図1)で説明したベンディングロールを用いて金属板の曲げ加工を行った。ここで、使用する金属板6は、引張応力が600N/mm相当の高張力鋼板であり、板厚を1.2mmとした。また、芯ロール1の直径を90mmとすると、曲げ加工後の金属板6の直径が125mmとなった。なお、他の条件については、実施例1と同様としている。パイプ状の金属板6の板厚及び直径の比が0.01以下の関係となるロール曲げ加工でも、金属板6(成形素管)の両端部が、長手方向に沿ってほぼ平行となり、長手方向における中央部の隙間はほとんどなく、樽型とはならなかった。
【0088】
(実施例6)
第2の実施形態(図5)で説明したベンディングロールを用いて金属板の曲げ加工を行った。ここで、使用する金属板6は、引張応力が600N/mm相当の高張力鋼板であり、板厚を1.0mmとした。また、芯ロール1の直径を80mmとすると、曲げ加工後におけるパイプ形状の金属板6の直径が110mmとなった。なお、他の条件については、実施例2と同様としている。曲げ加工後の金属板6の板厚及び直径の比が0.01以下となるロール曲げ加工でも、金属板6(成形素管)の両端部を長手方向に沿ってほぼ平行にでき、長手方向における中央部の隙間はほとんどなく、樽型とはならなかった。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るベンディングロールの説明図で、(a)は側面図、(b)は芯ロールを拡大した側面図である。
【図2】(a)はロール曲げ加工後の金属板の側面図、(b)は溶接後の金属板(製品)の側面図である。
【図3】本発明に係るベンディングロールのロール機構の説明図である。
【図4A】本発明の第1の実施形態に係るベンディングロールによる金属板の成形加工の動作を示す説明図である(a〜d)。
【図4B】本発明の第1の実施形態に係るベンディングロールによる金属板の成形加工の動作を示す説明図である(e〜g)。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るベンディングロールの説明図で、(a)は側面図、(b)は弾性体の案内ベルトを拡大した側面図である。
【図6】従来のロール曲げ加工でできた樽型のパイプの斜視図である。
【図7】従来のロール曲げ加工の構成を示す側面図である。
【図8】従来のロール曲げ加工の構成を示す側面図である。
【図9】従来のロール曲げ加工工程でできるパイプの腰折れの断面図である。
【符号の説明】
【0090】
1 芯ロール
2A 大径押付ロール
2B バックアップロール
21 弾性体
3A 中間押付ロール
3B 中間押付ロール
4A サイドバックアップロール
4B サイドバックアップロール
5 枠体
50 ロール押付装置
51 ロール昇降装置
52 ロールの支持体
53 ガイド
54 レール
55 スクリュージャッキ
56 芯ロールのチョック
6 金属板
6a 金属板の重なり部
6b 金属板の両端部の間隔
6c 金属板の溶接部分
7 金属板案内ベルト
71 弾性体の案内ベルト
72 弾性体案内ベルトの溝
8 テンションロール
9 金属板案内装置
90 金属板案内装置のガイド体
10 芯ロールの段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯ロールに複数の押付ロールを押し付け、その押付部分に金属板を送り込み曲げ加工を行ない、パイプの製造に用いられるベンディングロールにおいて、
送り込まれた金属板を、外周面に沿って曲げ加工するための金属製の芯ロールと、
前記金属板を曲げ加工する際に前記芯ロールに対して押付けられ、前記芯ロールより大径である表面部が弾性体で構成された大径押付ロールと、
前記芯ロールを挟んで前記大径押付ロールと対向した位置で前記芯ロールに対して押付けられ、前記大径押付ロールより小径である1対の中間押付ロールと、
前記金属板を引き入れる側とは反対側の前記芯ロールの表面を通り、前記芯ロールと前記各押付ロールの間に介在するように配置され、前記芯ロールと同期駆動する無端形状の金属板案内ベルトと、を有することを特徴とするベンディングロール。
【請求項2】
芯ロールに複数の押付ロールを押し付け、その押付部分に金属板を送り込み曲げ加工を行ない、パイプの製造に用いられるベンディングロールにおいて、
送り込まれた金属板を、外周面に沿って曲げ加工するための金属製の芯ロールと、
前記金属板を曲げ加工する際に前記芯ロールに対して押付けられ、前記芯ロールより大径である金属製の大径押付ロールと、
前記芯ロールを挟んで前記大径押付ロールと対向した位置で前記芯ロールに対して押付けられ、前記大径押付ロールより小径である1対の中間押付ロールと、
前記金属板を引き入れる側とは反対側の前記芯ロールの表面を通り、前記芯ロールと前記各押付ロールの間に介在するように配置され、前記芯ロールと同期駆動する弾性体よりなり、かつ前記芯ロールと前記各押付ロールとの間で前記金属板を前記芯ロールの曲率で加工するための無端形状の金属板案内ベルトと、を有することを特徴とするベンディングロール。
【請求項3】
前記金属板案内ベルトは、弾性体で形成されており、前記芯ロールと接触する面において前記芯ロールの回転軸方向に延びる溝を有していることを特徴とする請求項2に記載のベンディングロール。
【請求項4】
1対の前記中間押付ロールの軸受部が、この中間押付ロールの回転軸方向における両端で一体のものとなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のベンディングロール。
【請求項5】
前記中間押付ロールを前記芯ロール側とは反対側から支持するバックアップロールを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のベンディングロール。
【請求項6】
前記中間押付ロールの表面部が弾性体又は金属製であり、前記バックアップロールが金属製であることを特徴とする請求項5に記載のベンディングロール。
【請求項7】
前記中間押付ロールを前記芯ロール側とは異なる方向から支持し、前記バックアップロール及び前記芯ロールの回転軸を通る平面に対して対称な位置に設置される、一対のサイドバックアップロールを有することを特徴とする請求項5または6に記載のベンディングロール。
【請求項8】
前記芯ロールは、この外周面において、前記金属板の厚みに相当する段差部を有し、該段差部以外の領域において該芯ロールの半径が連続的に変化していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のベンディングロール。
【請求項9】
前記芯ロールは、前記金属板の曲げ加工を行う部分において、回転軸方向の幅が直径の10倍以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のベンディングロール。
【請求項10】
前記金属板の板厚が、前記金属板を加工した前記パイプの直径の0.01倍未満であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のベンディングロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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